防災分野の研究開発に関する委員会(第29回) 議事要旨

1.日時

平成16年11月25日(木曜日) 13時30分~17時30分

2.場所

三菱ビル 地下1階 M1会議室

3.出席者

委員

 岡田主査、鎌田委員、亀田委員、佐藤委員、田所委員、土岐委員、林委員、廣井委員、村上委員、渡邉(興)委員

4.議事要旨

(1)「平成17年度概算要求における科学技術関係施策の優先順位付けの結果について(SABC評価結果)」について、資料29‐1‐1~に基づき、事務局から説明を行った。

【委員】
 「レスキューロボット等」はB評価を受けたが、内容から見て、B評価になったのは疑問であると、ロボット関係の方も言っていた。ここに書いてあるコメントについては様々な形で進めている。先日総合科学技術会議で“他省庁との連携をどうするか”についての会議に出席して発言したが、他省庁の課長から“レスキューロボットの連携が上手く進んでいる理由はこうだ”といった発言も出ており、連携は少なくとも高い評価を得ているはずである。

【事務局】
 総合科学技術会議の説明は、1回で終わりということではなく、説明後、細かい質問も2度ほどされたので、研究代表者にも相談させて頂きながら回答した。

【委員】
 実用からかなり離れており、基礎研究に留まっているのが問題であるとの指摘があった。しかし、消防との連携や新潟中越地震での使用など、実用に向けて様々な形で活動をしている。防災分野に、色々な形の予算を確保するのは重要であり、総合科学技術会議での評価が高くなるように工夫をすることが重要である。

【委員】
 個別に意見は色々あると思うが、出来るだけしっかりとした評価が出来る体制を整えるのが重要だ。評価を行う側も難しい。

(2)「大都市大震災軽減化特別プロジェクト(大大特)における3・4部門の平成17年度以降の研究実施計画について」について、事務局より資料29‐2‐1~に基づいて説明を行った。

【委員】
 資料29‐1‐3、レスキューロボットの優先順位の理由だが、“効果的・効率的に実施すべき”とあるが、予算を削ることと同じなのか。

【事務局】
 予算は別途、財務省と協議しており、獲得するように努力している。

【委員】
 資料29‐2‐2の平成16年度で終了する課題の終了課題は終わったから止めるという認識でいいのか。終わったというのは、誰がどのように判断したことなのか。

【事務局】
 重点化を図るということで、事務局と研究代表者とで話し合いを行い、研究担当者の了承を得て、終了するものである。予算も厳しくなる中で、成果を挙げていただかなくてはならない。そういった意味では、重点化、集中化せざるをえない。その際に、どのように重点化するかという観点から重要課題を決めた。そのことについては、この後、代表者からも説明があるはずである。より良い重点化の仕方をご議論頂ければ幸いである。

【委員】
 総合科学技術会議の評価について、中身を評価してくれることが大事である。課題が多いにもかかわらず、人員が足りないので、30分程度で審議し、それが予算に影響するのは日本の科学技術にとって良いことではないと私は考えている。5時間程度議論して評価してくれるのならいいが、一生懸命に行っている研究に対して30分という短い時間で評価をし、それが国の予算に反映されるというのは疑問が残る。少なくともこの委員会の評価については、この委員会で評価方式を決定できるはずだ。前回の3、4の評価は比較的低かった。確かに、低い評価を受けるだけの成果しか上げてこなかったかもしれない。だが、3、4は新しい課題に焦点を当てたものである。既存の成果の上に研究が成り立つのではなく、むしろ開発的な意味を持ったものである。被評価者にも反論権を与え、反論を聞いた上で再評価をして最終的な決定をするべきではないか。少なくともこの委員会では可能なのではないだろうか。是非、評価方式のブラッシュアップを考えて欲しい。

【委員】
 できる限り、この委員会の裁量で評価できることは行っていきたい。かといって、1年中委員に評価してもらうわけにもいかないので、もう一度考えながら進めたい。

【大大特3.1&2】資料29‐2‐3~に基づき、研究代表者が説明を行った。

【委員】
 総合的なシミュレーションについて、さまざまなシミュレータを接続することが課題の1つとして挙がっていたと思うが、進行具合はどのようになっているか。

【研究代表者】
 今年の11月に進捗状況をチェックした段階では、オフラインなため、パソコンで入力をしなければならなかったが、現在では半数は繋がっている。時空間情報基盤が完成しなくては繋げないので、来年3月までにはそれらを繋ぎやすい形に整備し、11月までには全て繋げたい。

【委員】
 シミュレータは様々な自治体に提供していくことが前提か。

【研究代表者】
 導入するためのプロトタイプを作る。作ったものがすぐに完璧に使えるものではない。

【委員】
 サブ課題1‐4はそれを行おうとしていたのではないか。

【研究代表者】
 それぞれの自治体の状況に応じて対応しなければならないのと、導入した後のメンテナンスも必要である。

【委員】
 それらも視野に入れておかなければならない。実際に現場で使用できるところまでの反映を目指すべきである。利用者が使えるであろうプロトタイプを作るだけでは駄目である。これから計画を進めていく上では、プロトタイプを定着させるための努力が必要である。

【研究代表者】
 これは使えそうだ、ということで関心を持っていただき、ソフト会社がいっしょに開発したい、という状況になればいいのだが。今までは早い段階から業者との付き合いを始めてしまうと、業者が囲い込みを行ったりするきらいがあったので、あえて線を引いてきた経緯がある。また、実際に自治体に利用してもらうには、小さくても、その地域のソフト会社と共に開発を行い、彼らが育って受け皿になってくれることを期待している。秋田県本荘市のケースでは自治体と地域の会社が共に開発を行っている。横須賀の場合は既にシステムを持っており、それらをいきなり入れ替えるわけにはいかないので、必要とされるところを順次提供していき、いずれ全て入れ替えるということを考えている。

【委員】
 いずれにせよ、実用化を考えてはいるが、どのように行うかは現時点では用意できていないということか。実用化を新たに研究として行わないまでも、何かが見えるような枠組みを持っておくことも賢明だと思う。

【委員】
 評価をする側に話を聞くと、研究テーマ、プロジェクトを重視する一方で、実用化できるかどうかについても、皆が聞くという。このプロジェクトに関しては、研究なのだからプロトタイプを作るのだ、とした方が評価をされると思う。余り先のことを話して、研究ではなくて事業だと受け取られると、理解が得られにくいのではないか。プロトタイプが出来れば、後は簡単だと言う方が、評価者からは理解を得やすい気もする。

【委員】
 プロトタイプはそれを見たら、いいものかは分かる。しかし、自治体が使う場合、専門家はおらず、使いこなせない場合も多い。そうなると、研究の為の研究、プロジェクトのためのプロジェクトと言われかねない。そう言われないために、民間で活用されることまで視野に入れている、とした方が評価される場合もある。

【研究代表者】
 現状に合わせ、小さな自治体レベルで利用するシミュレータ、それを支援する県レベルで利用するシミュレータの2段階にする。小さな自治体レベルでは、日常業務システムの中に入り込むようなシステムを考えている。本来ならば、日常業務システムも一緒に作らなくてはならないが、それはまだ出来ていない。

【委員】
 大大特は単なる科研費的な研究ではなく、実用に結びつくのが前提である。その場合、間にワンステップあっていいのか。総合科学技術会議の評価において、基礎的研究なのでB評価となったことを考えると、もう少し実用化に結びつけるようにと考えてしまうが、事務局としての意見はどうか。

【事務局】
 プロジェクト経費なので、災害の低減に役立つ成果が出た、という形に持っていきたいが、目標の立て方により達成度において差が出てしまうことも考えられる。原則としては、基礎的研究ではないので、実用化までは行かなくとも、それに結びつくような成果は挙げて頂きたい。

【委員】
 トータルな評価をしたときに全ての研究が現実に結びつくことはありえないが、1つも現実に結びつくものがないというのは好ましくないと考える。

【事務局】
 基盤的技術の確立が主題なので、基盤技術をベースに次の段階に結びつけることが必要である。ワンステップあるが、基盤技術の確立なので、次は円滑に進めるところまで行かなくてはいけない。

【委員】
 このプロジェクトで完成し、すぐに実用化できるというわけではない。プロトタイプだから、もう一段階必要なのだということは正直に言ったほうが良いかもしれない。

【委員】
 プロトタイプを作るということは、市町村の持つ特性をパラメータとして入れれば、すぐに使えるということか。

【委員】
 プロトタイプは市町村へ実際に適用してみて、実際に使えるかを実証しなければならない。しかし、実際に行おうとすると大変な作業である。その作業を全国の市町村にお願いしても、出来るわけがない。それは次のステップの大きなプロジェクトということになる。私が考えるのは、例えばいくつかの市町村に適用してみて、実際にこれが使用できるということを検証するところまでが、ここでは求められていると考える。プロトタイプといいながらも、そういった検証はしなくてはいけない。

【研究代表者】
 実際、三重県、秋田県、横須賀市で使用して頂くシステムについては、検証を行った上で改良して組み込んでいくことにしている。

【委員】
 それをプロトタイプと言っているのであって、実際にそれで終わってしまってはプロトタイプで終わってしまう。実際に使う為には多数の自治体に活用してもらうことを期待されているはずである。ただ、それは次のステップであり、ここで出来る訳がない。

【研究代表者】
 これらの意見は非常に重要であるが、評価者のコンセンサスは非常に重要である。どこに合わせた回答をしていいか分からなくなってしまう。

【委員】
 説明者の一人として発言したいが、私の研究分野から1つプロジェクトを移管するが、出す側として心配しているのが、作成者に余計な負荷が掛かることへの懸念である。現在あるシミュレータは完璧でもなく、それ自体で完結しているわけでもないので、将来よりよいものに継ぎ足していけるからこそ、基盤になっているという理解をしている。

【研究代表者】
 性能を上げて、きれいなコンパクトなプログラムにしようとすると、研究者が行っていることのエッセンスを吸い上げてしまうことになる。それで出来上がってしまうと、研究者が自分でシミュレータを作り変え、繋ぎ込みができなくなってしまう。このようなこともあって、プロトタイプを作る方向で行こうということになっている。繋ぎ込みがしにくいプラットフォームになってしまうと、研究者が研究意欲を無くしてしまう。研究者は常に新しいものを考え、試していきたいので、そういったことが保証出来るようなプラットフォームにしようと考えているが、それはすぐには製品化には結びつかないことも多い。

【委員】
 どこかの自治体において検証しても、その自治体が作るものは別のものになる可能性がある。それは更にもうワンステップ新しいプロジェクトが必要なのではないか。

【研究代表者】
 我々が直接赴き半年程度かければ、その自治体に合ったものが作れるが、一般の業者が我々のシステムを学び、製品にする為には労力がかかる。

【委員】
 どこかに使用して試してもらうのか。

【研究代表者】
 そうしないと研究したことにならない。

【委員】
 そういった視点で見ると、帰宅困難者に対する対策は日々変わっている。それを踏まえているか心配である。当初は平日の午後6時に地震が起き、東京では371万人が当日に帰るという想定であった。しかし、東京電力がこの想定はダメだと言った。電気も止まり、道路だけに発電機を使用するわけにもいかず、道路は照らさない、ということになった。となると街灯が付かないので、明るくなってから帰るしかなく、夜はどこかで過ごすことになる。また、周囲の県を合わせると650万人もの帰宅困難者が出る。計画は次第にまとまってきているが、それらはシミュレーションの中に反映されているだろうか。変化している実態を追いながら行わなければ、現実から離れてしまう。

【研究代表者】
 限られた資金・時間の中で、すべてのケースに対応するのは不可能である。東京都の担当者と話し合いながら進めているが、時間ごとの人の推移データがあれば、対策の参考になる。

【委員】
 例えば、帰宅時間は人により違うので、何時間後に何%が移動するかまでパラメータにしなければならないとなると、かなりシビアなのでは。シミュレーションについては、往々にして現実から離れがちであり、予算の割には役に立つものが少なくない。それでは困るので、できるだけ現実を反映したものを作って欲しい。

【研究代表者】
 帰宅難民の行動シミュレーションを震災総合シミュレーションに組み込もうとしたら、実際のモニタリングシステムと組み合わせないと使えない。

【委員】
 津波などの自然現象のシミュレーションはわかりやすい。しかし人間が絡むシミュレーションは相当数の基礎データを集めないと、的確な結果が出ないと思う。

【大大特4.1】資料29‐2‐11~に基づき、研究代表者が説明を行った。

【委員】
 このプロジェクトに移動等はあるのか。

【研究代表者】
 移動はない。

【委員】
 家屋の耐震補強は安い方法を開発することが大事だと思っている。このプロジェクトにより、50万円程度で行える耐震補強が開発できれば大成功だと思う。どの程度の経費を考えているのか。

【研究代表者】
 直接担当しているわけではないが、診断5万円、工法100万円で出来るようにしたいと思っている。しかし次の段階として、より安く市場価値のあるものにする必要がある。この研究プロジェクトにかかわっていないところでも、安い工法が開発されている。建築研究所や静岡県においても、もう少し安い方法と思われるものも開発されつつある。

【委員】
 安くても効果が高いものを作って欲しい。

【研究代表者】
 現在安く開発されているものが、本当に効果を上げることができるのかを評価する診断法を提示することも大切である。名工大の先生が行っている方法で複雑さの度合いを評価したところ、10分間で、もう少し精度の高い診断法で行ったものと同じ程度の評価基準を得ることができた。従来は、図面において耐震の説明を行っていたことが多いが、そもそも家屋自体が図面どおりではないこともある。実際に建っている家屋を基準として、耐震補強の有無による違いを説明する仕組みを作りたい。

【委員】
 自治体により補助が出るので、総額で100万円でできるならば自己負担は少なくて済む。

【研究代表者】
 名工大の先生も、そのくらいの金額が適当と考えているようである。国と自治体と個人で同様の負担割合である。

【委員】
 費用が高い、安いは性能に結びついていないのが現状である。本当に安くしようと考えるなら新工法を考えるより大工に頼むほうが安く済むと思っている。新工法については評価機構を作ろうとしている。

【委員】
 そういった動きが阪神・淡路大震災から10年経っても、このレベルなのでもう少し早くできれば良かった。

【委員】
 家具の移動シミュレーションはWEBにおいて行うということだが、耐震診断はやらないのか。

【研究代表者】
 このレベルの簡易な耐震診断は数多くある。しかし、簡易診断であるので、入れたデータが自分の物と違う場合もある。また、素材を追加することにより、耐震効果が高まるといったことも見て頂けるようになる。

【委員】
 それは信頼できるのか。

【研究代表者】
 入力データが信頼できるものであるなら、結果は信頼できるものであると思う。

【委員】
 数多くあっても、信頼できなければ意味は無いのでは。

【研究代表者】
 信頼できるものも数多く有る。

【委員】
 数多くあるから逆に不安がある。幾つかのシミュレーションで、全て同じ答えが出るとは思ってはいないが、誰がどのように行っているのかが不透明だ。

【研究代表者】
 耐震補強を行おうとする業者が作っている場合もある。それは危険側の値に傾く傾向もある。

【委員】
 個人住宅の耐震補強は現在考えていても、病院や学校の耐震補強の促進についてはこのテーマでは検討しないのか。

【研究代表者】
 このテーマには入っていない。延長上にアイディアが出てくる可能性はあるが、一般の木造の1階、2階建住宅を対象としている。

【委員】
 耐震改修促進法はかなりの改正が必要になると思っており、努力義務ではどうしようもないと考えている。そういうものは視野に入れていないのか。

【研究代表者】
 制度を変えて欲しいという提示はしているが、それは具体的に促進法のどこを変えて欲しいかという話はしていない。

【委員】
 “地震時の家具の動的挙動シミュレータの開発”は3.1、2との関係はどのようになっているのか。別々のテーマに似たような話が入っている。

【委員】
 家屋全体の耐震改造は進んできているが、家具の固定の仕方は標準的な方法が確立していない。家具メーカーや住宅メーカーが協力して開発を行えば、関係の人は興味を持つのではないだろうか。政策的、誘導的な部分まで考えることが大切である。

【研究代表者】
 そういったことも考えてはいる。住宅側の安全性能評価のポイントも高くなってくる。今後もその部分は努力したいと考えている。

【委員】
 家具固定にしても、釧路沖地震を2度経験しているにもかかわらず、普及率はそれ程上がっていないので、そちらのほうもお願いしたい。

【委員】
 家具メーカーからすると、地震に強い家具のデザインは売れにくい。また、補強器具を付けるのは値段が高くなることもあり、売れないという考えがある。しかし、静岡で調査したところ、多少高くても、地震に強い家具を買うという意見もあった。特に、地震でガラスが割れても破片が飛び散らないような加工がされているものなどである。家具ガラスの専門の会社などと協力すれば出来るかもしれない。そういった働きかけも大切である。

【大大特3.3】資料29‐2‐7~に基づき、研究代表者が説明を行った。

【委員】
 紀伊半島や土佐湾などでは孤立した地域が必ず出てくる。船でしか行くことが出来ないにもかかわらず、立派な港湾施設など無い。そういった場所をどのようにシミュレータに取り込んで行こうとしているのか。

【委員】
 海からの救援は資料29‐2―7の2ページの平成17年度達成目標として、海上からの支援についてボランティア船構想というものがある。これは最後に出来ればいいと考えている。船舶が津波を受けた際の挙動のシミュレーションや石油コンビナート等の港湾施設のシミュレーションを進めているので、それを確実に成果として出してもらった上で、ボランティア船構想については進めて欲しいと考えている。

【委員】
 東南海・南海地震が起こる頃には、緊急地震速報は相当進歩していると思うが、緊急地震速報についてはシミュレーションの中に入っているのか。

【委員】
 “大都市間連携情報高度化”において考慮したいと考えている。

【委員】
 東南海・南海地震の場合は、孤立地域が新潟県中越地震をはるかに上回る数で発生すると思うが、孤立地域対策は行っているのか。

【委員】
 “被害軽減の為の全体的な戦略計画策定手法の開発”で普及策事業を行っている。9月5日に発生した紀伊半島、東海道沖の地震に対しての8つの自治体の対応、今回の新潟県中越地震を踏まえての国内での感想を共有する会合を行った。その中で今回の新潟中越地震で問題になった孤立集落の問題は重視している。自治体と共に、現地調査を踏まえて孤立問題の実態を調べることから始める。最終的には“危機管理能力”の部分の対応すべき課題の一つとして考えていきたい。振興調整費の緊急研究の中には孤立集落対策の課題を独立して入れさせて頂いた。そちらからも成果が出てきて、将来統合が出来ると考えている。

【事務局】
 大大特1で近畿圏の地殻構造調査を行っており、RRにおいても東南海・南海地震も行っている。その成果をこの中にどのように取り込んでいくかは、また相談させて頂きたい。

【委員】
 そういう意味では、個々の研究者がそれぞれ行うと、矛盾したことが起こりかねないので、プラットフォーム担当をハザード毎に設けた。そちらで一元的に情報を整理し、成果をリンクさせたいと思っている。

【大大特3.4】資料29‐2‐10に基づき、研究代表者が説明を行った。

【委員】
 今日伺ったような話の内容を、評価のヒアリングの際には回答しているのか。

【事務局】
 評価の時には9つであったのを、今回さらに4つに絞って頂いた。評価の際には47の要素を9つに絞ったという所までの説明であった。来年に備え、4つに絞り説明がしやすいようにしてもらった。

【委員】
 実用化については、瓦礫内ロボットはプロジェクトが終わった時点で商品化できるような形にしたいと考えている。床下検査などでの商品化の引き合いが来ている。

【事務局】
 消防庁はテロ対策で地下鉄の構内に入っていくなどターゲットを絞っており、目的もクリアである。3.4は当初は全体のレベルアップをしながら絞り込んでいく方法であるという説明もしたが、実際に現場において役に立つかを指摘された。

【委員】
 実用というレベルが幾つか存在するが、消防が実際に使用し、配備され、すぐに使える状態が本当の実用化であると考える。しかし、文部科学省のプロジェクトとしてそこまで行う必要性はないと考えている。我々が考えている実用というのは2つくらい手前で、確かに出来ることを示す所までだと考えている。しかし、それだけでは許してくれないと思われるので、商品化といったところも考えていかなければと考えている。平成16年度の重点研究の一つにヘリコプターがあり、それは実用化できると考えているが、法令の問題などもある。ヘリコプターが落下した場合などの安全性が問題である。
しかし、山間部などに場所を絞ったならば、実用化できるレベルである。平成17年度のレスキューコミュニケータは現在も開発を進めているが、ある会社がこれを商品化したいと考えているようだ。商品化できたならば、普及できるのではないだろうか。

【委員】
 探査ロボットの電源はどうなるか。

【委員】
 バッテリーで1時間程度稼動できる。消防の話では、発電機などを積んでいるため、電源は余り大きな問題ではないということだ。1時間程度は充電されたバッテリーで稼動でき、更に使いたい場合は、バッテリーを交換するか、外部から電力を供給することになる。

【大大特4.2】資料29‐2‐13~に基づき、研究代表者が説明を行った。

【委員】
 今の話を聞くと、実際に地震が起きてから被害情報を集め、自治体の緊急対応を支援し、帰宅困難者などを予測するとあるが、事前対策的な活用が入らないで、防災情報システムと呼べるのだろうか。

【委員】
 防災訓練等で行っている。

【委員】
 実際に災害が起きた際には、このような被害が起きるということを行政職員や市民にアピールし、例えば、一年に一度、自宅までの帰路を歩いてみるといったことをしなくては、被害は軽減されないと考えるが、そういった要素をもう少し考えられないか。

【委員】
 板橋区は東京ガスと連動し、50メガメッシュの被害予測をしている。それを利用して自治体応急対応支援システムを活用していくことを考えている。また、板橋区は市民が参加し防災基本条例を作っている日本唯一の区であり市民防災は充実している。板橋区を選んだのはそういった理由からである。

【委員】
 災害情報総合研究は壮大すぎるのでやめ、新規課題として具体的なものを行うという話だが、一方で、内閣府で行っている“防災情報の共有化に関する専門調査会”での議論は、個人から国家に至る様々なレベルの情報をできるだけ共用することが最終結論だったと思う。そういった観点から言うと、災害情報総合研究を行うことが重要だと思うが。

【委員】
 共有システムは来年度の予算で都道府県に導入する。共通プラットフォームは現実に動き出している。また、災害情報総合研究は文部科学省が公表に向けて作業を進めている地震動予測地図をどのように活用するかや、余震情報をどのように流すかなどの話であり、システムの話ではない。研究の中身としては災害情報の内容についての話であり、地震動予測地図の防災への活用は別の所でも行っているが、この2年間のプロジェクトで結論が出る問題ではない。もし、やるべきであるならば、考えさせて頂きたい。

【委員】
 壮大なプラットフォームであるから、それと対応することはできないとは思う。ただ、委員会などへ研究側からの提案はあってしかるべきものだと思うが。現実の場で行われ始めたので、少し縮小するという理解でいいだろうか。

【委員】
 プラットフォームの話は、資料29‐2‐13の災害情報総合研究において書かれている。2ページに、確率的地震動予測情報や事前リスク情報、被害情報など情報の中身についてどのように活用され、どのように改善するかが書かれており、プラットフォームの話ではない。研究をやめるというよりは、別な場所で検討した方がいいということである。

【委員】
 一番の目玉に見える話であり、全てやめてしまったといったならば、批判が出るかもしれない。

【委員】
 これは、地震調査研究推進本部の「成果を社会に活かす部会」のテーマと重なるので、そちらで本格的に行った方が良いと考え、先生にも話してある。

【委員】
 3.1、2のシミュレーションとはどのような関係か。

【研究代表者】
 3.1、2ではツールの開発を行っている。

【委員】
 4.2はネットワークというよりは、デジタルカメラと携帯電話を利用して、職員が登庁する際にどのように情報を集めるかという程度のものである。

【委員】
 東京都など都道府県レベルではかなり高度な仕組みを持っている。市町村レベルではこちらのほうがいい。

【委員】
 費用差で安全度は変わるのか。

【委員】
 安全度が変わるかは分からない。むしろハイテクは危険な部分もある。例えばインターネットは丸の内に業者が集中しているので、そこで被害が出たならばまず使えない。しかし、デジタルカメラは全てが使えなくなることはない。そういった意味ではローテクも強い部分がある。

【委員】
 3.1、2との連携は当然可能である。競合するところもあるかもしれないが。

【委員】
 互いの研究の推移を確認するようにしたほうがよい。

【大大特4.3】資料29‐2‐15~に基づき、研究代表者が説明を行った。

【委員】
 住宅再建と住宅の耐震補強は対立するものと考えられている。地震保険に入っていれば耐震補強をしなくても保険料はもらえ、住宅再建で公的資金がもらえれば耐震補強をしなくてもお金がもらえるなど。新築する金額には及ばないが、上手く組み合わせることは出来ないのか。

【研究代表者】
 新潟県中越地震で気になったのが、ごく一部の地域を除いて、耐震補強云々のレベルではない、耐震面を強化する為には建て替えなくてはいけないような家が倒れている。耐震補強ができる家とできない家がある。今回の地震で崩壊したのは耐震補強ができない家であったという印象である。耐震補強はある一定のレベル以上の家を対象とするのならばいいが、それ以外は、建て替えしかないという印象である。

【委員】
 兵庫県には共済制度があるが、貯まった資金を耐震補強に回す、それを続けていれば、災害が起きた時に倒壊する家が減り、共済が払う資金も少なくて済む。そういった耐震補強と災害後の救済を上手く使えないだろうか。

【研究代表者】
 4.1において提案されていることも繋がりがあることだと思うが、現在の段階では、我々では事前対策の耐震補強自体は視野に入れていない。また、耐震補強について我々の中で議論をしていることは、南海地震の発生が30年以内として、現在耐震補強を行って20年後に地震が起きたならば、耐震補強の効果はあるのだろうか、また老朽化しているのではという話をしている。

【委員】
 地震保険の準備金が1兆5千億円程度あり、地震保険特別会計の見直しについて、財務省と話をしたことがあるが、1兆5千億円の資金の一部を耐震補強に回したらどうかと提案したがこともある。復興と事前対策を循環的に組み合わせることはできないか。また、仮設市街地は大都市だけで行うのか。

【研究代表者】
 基本的にはそうである。前の居住地まで1時間かかる仮設住宅団地ができてもどうしようもない。

【委員】
 評価をすることは確かに難しいことである。研究者の方にご自由にやって頂くことが理想だが、実際は第三者の目でもって評価をすることになっている。願わくは、今回の意見を踏まえ、それぞれの研究が良いほうに進むことを願っている。

(3)その他

 「国際防災協力のための防災科学技術に係るリスト作成作業部会」審議状況について、資料29‐3‐1~に基づき、事務局等から報告を行った。

お問合せ先

研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室

(研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室)