防災分野の研究開発に関する委員会(第23回) 議事要旨

1.日時

平成16年3月22日(月曜日) 13時~15時30分

2.場所

三菱ビル 地下1階 M1会議室

3.出席者

委員

 岡田主査、上田委員、片山委員、壁谷澤委員、鎌田委員、河田委員、佐藤委員、田所委員、土岐委員、永島委員、林委員、廣井委員、古谷委員、村上委員

4.議事要旨

(1)国連防災世界会議について

 内閣府より資料23‐1に基づいて説明を行った。

【委員】
 昨年策定した「防災分野の研究開発に関する推進方策」の中でも国際的な展開、組織的・総合的な国際展開を唱っているのでしっかりと進めて頂きたい。

【事務局】
 「国連防災世界会議資料」中には直接は記載されていないが、推本の取り組みについても情報発信をさせて頂く。

【委員】
 現在は直接は入っていないのか。

【事務局】
 柱としては入っていないが、記念事業などの中でPRをしていきたい。

(2)地球観測サミット等について

 文部科学省地球観測戦略策定準備室より資料23‐2‐1に基づいて説明を行った。

【委員】
 地震、津波、台風等の関係者はいるのか。

【事務局】
 災害分野からは防災科研の石田研究主監がメンバーに入っている。防災室としても、疎になっている西アジア、西太平洋地域に地震観測網を展開していきたいと考えている。
  事務局より、日米安全・安心WSの概要について資料23‐2‐2に基づいて説明を行った。

【委員】
 日米の会議のサマリーにE‐ディフェンス関係が入ってくるというのは良い。軌道にのってくれればいいと思う。

(3)平成17年度概算要求に向けた重点事項の検討について

【委員】
 スケジュールが去年より早くなったが、こちらの審議も早くしないといけないので忙しさは一緒か。

【事務局】
 その通りである。今回は早めに準備させて頂いた。

【委員】
 様々な手続きを踏んで平成17予算案を考えるということだが、どこを平成17年度の重点事項にするか事務局で素案はあるのか。

【事務局】
 まだである。3月下旬に決まる重点化の方向性もまだ分からないので、今後、これらを参考にしていきたい。

【委員】
 白紙に近いということか。

【事務局】
 それほど固まってはいない。参考資料4で“平成16年度文部科学省の防災分野における重点事項について”があるが、この際も重点施策の方向を簡単にまとめさせて頂いた。

【委員】
 恐らく次回は5月下旬となるが、場合によっては審議する時間が余り無いかもしれないので、その際はメール等で連絡をとりながら委員会にかける準備をしたい。

(4)防災研究成果普及事業の公募要領等について

【委員】
 公募要領では事業の背景、目的で“大規模な自然災害”と入っているのは良いとして、“地震・火山など”と書いてあるので事業の対象が地震・火山に限定しているように見えなくも無い。また、背景・目的のところに地震調査研究推進本部の話がでてくるが、ここでも地震の話だけである。今回は推本の成果だけを広めることに限定しているのではないはずだが、受け手側は限定して受け取ってしまうのでは。
 さらに事業内容に“国の計画・方針の下で”と書いてあるが、大学の研究は国の計画・方針に基づかないものも多く、除外されてしまうものと考えてしまう人がいるのではないか。限定的にするというのが、この委員会の趣旨であるならば仕方ないが、この指針は個人的には賛成できない。また、事業内容が何を狙っているのかよく分からない。地方のある大学と自治体がタイアップして研究し、地域の固有の災害対策に役立てようとしていると思っていたが、そうは読みきれない。それが5)の“公募対象について”に複線として現れている。
 また、東京において直接に大大特と係っている組織は地震研究所くらいだと思うが、東京都下には地震研究所以外にも東京に大きな影響を及ぼす災害の研究をしている機関は多々あると思うが、そういったところがタイアップしてプロジェクトに応募できないということになってしまわないか。例えば京都もそうだが、京都固有の文化財の地震災害は出せないのか。大大特において京都大学防災研究所では文化財の研究は行っていないが、このように排除されてしまう理由は何か。大大特や推本など国のプロジェクトに関与したものしか該当しないのか、そうでないのであればなんとかならないのか。
 さらに、3P8.(1)“以下の国の計画・方針に基づく防災研究成果を普及し、地域の防災事業に活用させるものであること”とあるが、応募する人たちは第1次の地震予知計画などは知らないと思う。それを何故ここに掲げないといけないのか奇異に感じる。

【事務局】
 公募要領の事業の背景・目的の2段落目に関して、地震以外についての背景も分かれば調べて書きたい。また3段落目の括弧書きについては(地震・火山噴火等)について削除したほうがいいのならば削除したい。また、今回の提案はあくまで国の計画の方針で実施されてきた研究成果を念頭においている。したがってそれ以外はこの事業のテーマでは考えてはいない。事業の背景として、本事業は国が実施する事業であるため、これまで国が進めてきた計画・方針を根底におきたいと考えている。

【委員】
 3頁~4頁にかけて記載されている(1)~(7)はorではなくandか。

【事務局】
 (1)の中ではどれかに該当すればよい。

【事務局】
 当初、大学の研究成果をいかに地域の防災に役立てるかという観点で知識や成果の普及を考えており、大学を事業の受け皿として研究成果の移転を構想として考えていた。ところが、財務省との折衝では国の費用を使うということで、ある程度の仕分けが必要だとの議論があった。ここでは受け皿としては、地方公共団体が指定する法人に委託費として資金を出し、対象とする研究成果は大学などの成果を移転するわけだが、その際に国の方針に基づいて行ってきたものについて、成果を普及するという話があったため、その結果、国の方針に基づく自然災害ということになった。
 しかし、地震・火山が目立っているので、前書きに地震には限らないといったことも記載していきたい。3Pの8の(1)は、国の計画・方針に基づく防災研究成果の普及ということで、そういったことを例示すると、地震については推本や地震予知のための新たな観測研究計画、火山噴火予知計画などもある。その他の災害については、この委員会でまとめた“防災分野の研究に関する推進方策について”や、“防災に関する研究開発基本計画”がある。それに基づき、国でプロジェクトやその他が行われているが、推進方策は幅広くなっているのである意味では殆どの防災研究は救われているのではと思っている。
 国として関与していないことに関しては、国費を投入して研究成果を普及するにはどうかと思うので、科研費などで自主的に行って欲しい。このため国の方針としてはキーワードとして外せないし、財務省との交渉でもそうであった。

【委員】
 先ほどの説明は理解しました。ただし、3頁に予知計画などを例示として書いているのは限定してしまう可能性がある。昨年度策定した推進方策は幅広い分野を含んでいるので、こうしたものを参照することというべきではないか。最初に出で来る地震予知、推本などはかかわる研究者は比較的少ないので、そこのところを注意しないと限定することになる。

【事務局】
 記述の順番を変更することにしたい。

【委員】
 シラス、文化財などは中身がよければこの5つの計画の中に十分に入ってくると思っていた。当初は10課題程度採用されるものと思っていたが、2課題に減ってしまったので、地震と火山をやったら終わってしまう。これまで委員から指摘があったところを説明の時には良く話しておいて欲しい。
 また、2の事業内容だが“異分野連携によって他の都道府県等にも”が目立ってしまっているが、まずは自分の県で役に立たなくてはいけないというのが抜けてしまっていないか。

【委員】
 地震・火山が強調されているという話だが、文部科学省では地震・火山については予知計画などがあるが、風水害だとむしろ国土交通省が防災対策を実質的にはやっている。縦割りを乗り越え、地震・火山、風水害、土砂災害もすべて分割で評価するのか、風水害等は優れておれば排除はしないが、地震・火山噴火をメインとしていくのか。私の意見では、研究が拡散しない為にも地震・火山を中心にした方がいいと思うが、事業の背景、目的のところに推本では余震の確率評価が行われてきたので、これを入れて欲しい。また、“その成果をどのように具体的に活用していいかわからない”は削除してもらえないか。“科学的知見が生み出されていますが、このような科学的知見を上手く防災活動に生かすことが求められている”として欲しい。
 また、異分野融合の中身についてどう理解したらいいかわからない。理・工・人文社会全てが融合していなければならないのか、一部融合していればいいのか。また、当該の県以外の大学や研究機関も参加してもいいのか。
 さらに3年以内となっているが3年間で研究課題を設定して、それから研究開発をし、活用するのでは間に合わないのでは。
 大大特などの、既存の今ある成果を防災に活用するのか、改めてニーズを自治体から集めて研究を行うのか、既存の実績の評価が必要ではないか。審査のところに実績の評価も含めるべきではないのか。

【事務局】
 最後の問については、大学の研究成果があることが前提であり、研究そのものではなく、この事業によって新たな研究をするわけではない。また、大学間のタイアップについては、1大学に限定するものではないので、組み合わせ可能である。
  異分野融合についての要綱の趣旨は、理工学から社会科学までの異分野の知見なので、社会科学的知見を入れて欲しいという趣旨である。また、都道府県なので政策的な知見が入ってくると思うが、それは社会科学的知見なのかもしれない。最初の質問については、本事業は文部科学省の事業ということで整理してあるが、風水害についても文部科学省でも所管しており、防災科研、京大防災研においても研究している。その他の自然災害という表記の仕方が悪かったかもしれないが排除しているわけではない。あえて地震・火山が中心と明記するかどうかだが、強調する必要はないと思う。先ほど委員から指摘があったように誤解を招くのであれば、防災全般について、例示として、地震・火山噴火、その他の自然災害としたい。財務省との折衝及び成果を社会に活かす部会の議論としては、地震の成果を普及することを考えているが、この事業に関しては自然災害全般である。

【委員】
 審査にあたっては災害種別によりウエイトを考える必要はあるのか。

【事務局】
 特に考えていない。

【委員】
 それであれば、委員がおっしゃったように地震・火山等は削った方がいい。

【委員】
 10件から2件になったので難しくなった。また、推進方策では当面5年間は、地震・火山を重点的にやると唱っているので、それに沿うべきではないだろうか。2件ということもあり、比重を分かるようにしておかなければ、審査が大変になるのではないか。

【委員】
 今までの成果の活用については、文量が少ないが、審査要領の5に入れてある。

【委員】
 審査の結果は地震・火山がメインになるのだから、応募の時にも事前に知らせるべきだろうというのが意見ですね。

【委員】
 当面は、地震・火山がメインだからといって、数年後に風水害で大きな災害が起きるかもしれない。その場合、この委員会は後追いでいいのだろうか。例えば、推本は当初は地震の調査しかしておらず、防災の問題をするべきだと意見を述べても扱ってもらえなかった。しかし世の流れなのか、地震調査研究課から、地震・防災研究課へとなった。何時までも地震を引きずっているのはいかがなものか。

【委員】
 都道府県・政令指定都市の自治体だけでは普及事業の推進は不可能である。ほとんど国が絡んでいる。大規模災害で一級河川となれば国交省が絡んでくる。プロポーザルとして、国の関係機関をオブザーバーとして入れられるとの文言を入れておかなければ、普及事業の内容が計画倒れになってしまうので、最初から国というものを視野に入れておくべきである。例えば津波対策の場合でも県単独でできる事業など少ない。その後、国との協議が待っている。それならば初めから情報交換を行っていたほうがいいのではないか。
  17年度の概算要求も控えているが、この数だけで展開していくのはよくない。自然災害全体に広げて貰う努力をして欲しい。

【事務局】
 要領には、関係省庁を明示していないだけで、連携は想定しているので、工夫をしたい。

【委員】
 どのような連携をするのか書いて頂くということですね。

【委員】
 例えば、災害弱者に情報を伝えるシステムで、こういう仕組みがあり、試作品を作るが、それを現実に普及させようとしても、4千万の資金では普及できず、総務省などの援助が必要である。そうなると他の省庁の力を借りることになるが、その際は例えば、国土交通省のバックアップが得られるというイメージでいいか。また実際には、仕組みを考える所までで、それを現実に普及させるには、さらに対話が必要であるということか。

【事務局】
 そうだ。

【委員】
 来年度、再来年度も要求できるとすれば、長いスパンの中で水害を考えるという手もあると思うが。

【事務局】
 来年度も概算要求で追加要求する手はあるが、自治体でこれだけの需要があるという数字を見せていかないといけない。当初は地震、火山災害も幾つかは入ってくると思っていたが、実際には2件になってしまったのでそれらを優先するというのは事務局案としては出しづらく、防災として行おうとなった。

【委員】
 P2に大大特で成果普及事業が実施される予定とあるので、地震についてはそちらで行われるというイメージがある。大大特だけでなく、こちらの事業でも地震となると、納得できない。

【委員】
 地震・火山に限定するのであれば明示すべきであって、明示していないのに誘導するというのは納得できない。今年は地震・火山にするならば、はっきりとすべきではないか。

【委員】
 土砂災害や水害でこれに応募しようと考えているグループもある。最初から地震・火山に限定してしまうのは気の毒である。

【委員】
 はっきりさせた上で風水害を除外するのなら仕方ないと思うが。

【委員】
 大大特で首都圏と近畿があり、あと2つになるわけだが、一つは地震・津波、もう一つは防災としたほうがいいのでは。16年度にこういう材料があるというのをベースとして17年度に財務省に要求していくのであればいいが、応募者に失礼になるかもしれない。

【委員】
 少なくとも、地震・火山に限るという議論はしているのか。

【事務局】
 それはしていない。

【委員】
 いい研究は確実に拾われるとは思うが、だが、現在の公募要領では初めて読む人には確かにわかりにくい。我々でもこれだけの質問が出てしまう。4‐1の2、3、5、6、8については脚注を無くし、きちんとした文章にする等が必要であろう。
  しかしながら、基本的にはスケジュールの通りに進めることが必要である。23‐4‐5の資料には、国の計画に縛られるという表記がなく、時点が古くなっているも知れない。

【委員】
 地震・火山に限るつもりがないのであれば、表現のトーンを下げましょう。

【委員】
 地震・火山以外でも優れたハザード対策は除外しないということを、はっきりここで決めておかないと4月6日の説明で困るであろう。それを明示すべきだ。結果として地震・火山が採択されるとしても、全てのハザードに対してよい提案から2つを選ぶという原則を確認すべきである。

【委員】
 何件くらい出てきそうなのか。

【事務局】
 防災研究フォーラムで大学からの提案は10数件の提案があった。

【委員】
 災害の種類は。

【事務局】
 地震火山以外も多数ある。

【委員】
 つまり地震火山が1件、その他1件とは限定できない。

【委員】
 色々な災害を含むということで結構だと思うが、評価にあたっての着目点は、地震火山を念頭に置いて「緊急性」の項目を入れたが、風水害においては地域格差は分からないので「緊急性」の考え方を見直す必要があるのではないか。

【委員】
 地震を念頭に入れたときに、どこの地域の緊急性が高いといえるだろうか。

【委員】
 対策の緊急性が高いというのは、どの分野でも重要な評価項目である。

【委員】
 日本全国に平等に緊急性があるとも思えないが。

【委員】
 それは可能性の話であって緊急性は別の問題だ。これはこのままでいいのでは。

【委員】
 机上資料1の中で、受け皿となる公益法人としてNPOが除外されており、NPOの財務等が整備されてないという理由だが、NPOでもしっかりしているところはあり、NPOだから駄目だというのは理由にならないのではないか。むしろ、商法に基づいて設立された株式会社の方が現在は1円でも設立できる時代なので、脆弱な場合もある。したがってNPOだから駄目だという理由にもならない。

【事務局】
 4200万という金を委託するのにしっかりと事業を実施してもらえるかを念頭においている。

【委員】
 例えば国際レスキューシステム機構などは、3億くらいのお金をハンドリングしている。NPOだから株式会社だからというわけではく、要はその法人がしっかりと出来るか出来ないかというのが問題であり、NPOだから駄目というのはおかしいのではないか。国の政策として研究開発型のNPOを奨励しており、この分野でも当然NPOが出てくるべきである。

【事務局】
 知的所有権は、NPOで管理できるかという議論も一部あるが。

【委員】
 アメリカでは各種研究所をNPOで運営しており、当然知的所有権も持っている。日本でも研究開発型のNPOが成り立つということは、日本でも特許等も取れるのは当然である。

【事務局】
 机上資料にある理由は、合理的でないところはあるが、現状では手続き上、難しい面がある。大大特の場合も防災科研を通してやっているので、NPOは直接の資金の受け皿にはならないが、全く排除するわけではない。机上資料の書き振りは直したい。

【委員】
 公募要領の8(1)だが、“以下の国の計画・方針~”の後に“研究成果のいずれか”という表現を加えたらどうだろうか。また、説明会が4月6日にあるが、参加できない方のために、URLアドレスなどを明記し、その内容を確認できるようにして欲しい。

【委員】
 様式6‐1の生年月日の下※印の部分は生年月日を書くので不要ではないか。

【委員】
 本日色々ご意見を伺いましたが、審査が難しそうだと言うことがよく分かった。本日の資料については、修正したうえで内容を固めていく必要がありますが、最終的には私に御一任頂ければと思います。

(5)その他

 次回は、5月頃に開催することになった。

お問合せ先

研究開発局開発企画課防災科学技術推進室

(研究開発局開発企画課防災科学技術推進室)