防災分野の研究開発に関する委員会(第18回) 議事要旨

1.日時

平成15年4月17日(木曜日) 13時30分~15時30分

2.場所

経済産業省 別館 827号会議室

3.出席者

委員

 岡田主査、上田委員、片山委員、河田委員、壁谷澤委員、亀田委員、佐藤委員、島崎委員、永島委員、廣井委員、古谷委員、村上委員、渡邊(興)委員、渡辺(正)委員

4.議事要旨

(1)防災分野の研究開発に関する委員会の議事運営について

 事務局より資料18‐1‐1~5に基づいて説明を行い、防災分野の研究開発に関する委員会運営規則について委員会の了承を受けた。

(2)防災分野に関する研究開発の推進方策について

 事務局より資料18‐2‐1~2に基づき説明を行った。

(3)平成16年度概算要求に向けた防災分野の重点事項について

 事務局より資料18‐3‐1~4に基づき説明を行った。

【委員】
 今日は一般的に議論して、どの程度まで議論を絞り込むかについては、次の委員会でいいのか。

【事務局】
 紙として出すのであれば、案は次回の委員会の前に先生方に確認をしていただき、次回で大体決めることになる。

【委員】
 5ページの参考に分野別の速報値があるが、これは重点4分野しか書いていない。社会基盤分野はどのくらいの予算配分となっているのか。

【事務局】
 社会基盤分野は、政府全体として400億ぐらいのところである。

【委員】
 昨年重点領域として出されたもののうち、予算配分の時に考慮されたという実績はあるのか。

【事務局】
 それぞれついてどれだけ結果が出たのか分からないが、この方針が一つのベースになり、これに沿って、総合科学技術会議で予算要求の評価が出て、それに従い予算がついたりつかなかったりしているので、この方針がかなり強く反映されたのではないかと思う。

【委員】
 具体的に次回の委員会でどのくらいのレベルまでテーマの範囲を絞り込むのか。

【事務局】
 15年度の資源配分の方針についても社会基盤分野について記載されているが、平成16年度も同様な形式で方針が示されると思われるので、これに対して文部科学省、この委員会は、このように考えているということを答えられるようにしたい。

【委員】
 例えば、資料18‐3‐4の9ページの“過密都市圏での巨大災害対策”といわれた時に、災害被害をくい止める技術等にあげてある項目よりもさらに詳細なことが答えられるようにするということなのか。

【事務局】
 だいたいそのような形で考えている。

【委員】
 去年の6月19日の段階では推進方策が出ていなかったので、推進方策の第2章の〔1〕の1~4がこの18‐3‐4の9ページのところと比較となる。

【委員】
 推進方策の2章の「防災対策の戦略の構築」は、分野別推進戦略の研究開発目標の発災時即応システムだけではなく、15年度の資源配分方針に取り上げられた過密都市圏での巨大災害対策というのにも非常に関係している。また、推進方策2章の枠の研究テーマを貼り付けるとしたら、どの辺に貼り付けられるか、まずは貼り付けてみてから戦略を立ててみたらどうだろうか。

(4)リーディング・プロジェクトの進め方について

 事務局より資料18‐4‐1~2に基づき説明を行った。

【委員】
 2つあると思うが、ひとつはこの委員会でリーディング・プロジェクトの評価関係をどのように取り扱っていくかということ。もうひとつは、分科会では評価委員会を分野別委員会の下に作るということで決まっているのかということである。

【事務局】
 これはまだ案であり、リーディング・プロジェクトの今後の進め方としては、研究計画・評価分科会で3月13日に議論がなされたが、そこで出た意見を踏まえて、進め方案というペーバーができている。大体の意見は入れられた形になっているので、ほぼ資料に記載されている形で分野別の委員会に、各プロジェクトの評価をお願いすることになると思う。

【委員】
 この中で、評価委員会を設けなくてはいけないわけだが、その準備はどうなっているのか。

【事務局】
 ワーキンググループを特別に設置することがあるかと思うが、当委員会の場合は、“高度即時的地震情報伝達網実用化プロジェクト”一つのみなので、あまり複雑な形にする必要は無いと考えている。

【委員】
 このプロジェクトに関しては、評価委員会は改めて作らずにこの委員会で評価をやればよいと思う。

【委員】
 これまで私どもの組織では、様々な評価委員会において評価を受けてきたが、これだけの人数で評価することはあまりなく、5~6人ということが多かった。屋上屋を重ねる必要はないけれども、評価委員は、この委員会の委員全員ではなく、この委員会の中から数人を選ぶことでいいのではないか。また評価というのは3年目の評価と、終わりの評価なのか。

【事務局】
 3年目と5年目の評価は当然必要であるが、それに先立ってベースとなる計画や目標を形にする必要がある。また、得られた成果に係る知的財産権について、分野ごとに検討するというのが、分科会における宿題になっている。それについての検討も必要となっている。

【委員】
 評価といっても目標なり、進め方なり成果を話していただき、ヒアリングをしていくことになるが、あまり小さなグループを作っても仕方がない気がする。

【委員】
 この委員会には定足数があるが、我々が考えている評価委員会というのは、ほぼ100%の出席を考えているので。5~6人の先生にお願いしても評価の時には必ず来ていただくようにしている。その意味では評価委員会も定足数はあるのかも知れないが、全員の都合の良い日に評価をお願いすることとしたい。

【委員】
 資料の中に「研究開発プロジェクトで活性化するために、大学、特殊法人、独立行政法人等が一体的に・・」と書いてあるが特殊法人は入っていない。このプロジェクトは特殊法人は関係ないのか。

【事務局】
 資料の文言は、他のリーディング・プロジェクトも含めた言い方となっている。

【委員】
 これは、トップダウンで出てきたプロジェクトなのかそれとも公募を行ったのか。

【事務局】
 リーディング・プロジェクトの中には、色々なものがあったが、プロジェクトを担う中核の機関については、あらかじめ決まっていた。

【委員】
 もし、トップダウンのプロジェクトだとすると評価が悪い場合はどうなるのか。本当に評価するならば、全く別の人がやらなければ後追いの承認だけになってしまう。評価は独立性をもって厳密にやらなければならない。自分達が決めた委員会が評価するのでは駄目なのではないだろうか。

【委員】
 おっしゃるように、プロジェクトを進めていいよといったところが評価するのは厳密に言うとおかしいと思うが、プロジェクトを推進する側ではないから、問題はないかと思う。

【事務局】
 この委員会自体はプロジェクトを推進する委員会ではない。研究計画・評価分科会の下の分野別委員会なので、評価という機能が無いわけではない。そういう意味で各分野別の委員会に、20いくつあるプロジェクトを事前の評価を頂いた上で予算要求をして、現在立ち上がりつつあるところである。事前の評価を頂いた同じ委員会に続き、中間、事後の評価を頂くことを考えている。

【委員】
 このプロジェクトが経済活性化でスタートした割には、この委員会の構成は、研究者が多くて自治体や、ユーザーに当たる人の参加が少ない。このため経済活性化といった観点から評価できる人は少ないのではないか。

【事務局】
 経済活性化したかを図ることは難しいと思うが、実用化したか、実用化にどれだけ近づいたかという評価になると思う。分科会からは、ほぼこの形で評価をお願されると思うが、この委員会そのもので、直接評価していただくか、ワーキンググループを設置して評価するかということについては、引き続き検討していきたい。

【委員】
 本件については、次回までに考えていただきたい。また、今年度は、新しいリーディング・プロジェクトのようなものはないのか。

【事務局】
 予算のシーリングが完全に決まるのが7月末になるので、現在のところ不明であるが、8月にある種のプロジェクトの評価をいきなりしていただくことがないようにするために、一本に絞れないにしても、来年度の要求に向けてこういうものを押す議論をしていただきたいと考えている。

【委員】
 研究費が色々なプロジェクトにつくようになり、研究者だけでプロジェクトを進めるのには非常に課題が多くなっているのは事実である。これから、防災分野の研究開発に民間企業を積極的に取り込んでいかなくては、研究は進んでも裾野が広がらない。例えば経済産業省は、ナノテクノロジーで積極的にやっているが、文部科学省が防災分野の研究開発で民間企業を取り組んだときに民間企業の育成まで出来るのか。色々なことを考えていかないと核はできるが裾野が広がっていかない。現在、防災分野は大変研究が忙しい。色々なことをやりたいのだが、人を増やさないとやっていけないところまで来ている。

【委員】
 このリーディング・プロジェクトでは企業に開発をお願いすることもあると思うが、基本的にNPOが委託を受けて、NPOの中に入っている企業の人たちと一緒に仕事をすることになるのか。

【事務局】
 だいたいそのような形で進められている。

【委員】
 大都市大震災軽減化特別プロジェクトのうち川崎ラボで行っている研究では、民間に任せるという部分も作ろうとしている。ただし民間に委託したら人件費などの関係からコストがかかる。そのような制約があるため、民間へ委託するには、予算が決して十分とはいえない状況である。戦略的に考える必要がある。発足して半年たって発表を聞いてみたが、企業を育てるのは本当に大変であると感じた。大きな枠組みの中で、このプロジェクトがどのような位置付けにあるかをよほど認識して進めていかなくてはいけない。ただ、出せばいいという訳ではない。その後のフォローが重要である。

【委員】
 一般論でいろんな議論があるが、防災の研究が産業に結びつくのは本当に難しい。我々は、大学よりはずっと考えていると思うが、これが産業の育成に役に立つかと言えば非常に難しい。

【委員】
 自然外力によって出てくる災害を防止・軽減するという形で考えると産業は育たない。つまり、安全・安心社会を持ってくる、また防災を含めて自分たちの日常生活を安全にする、そのような産業化は出来るのではないか。例えば、ITを使った防犯システムなど色々な形で、メジャーではないが、関連の技術を使えるという意味ではマーケットが大きくなっているのではないか。自然災害に絞らずに、上位の概念の安全・安心を持ってくるとニーズは出てきている。
  例えばバリアフリーを取っても、災害ということを考慮しないでバリアフリーにするのは危険だ。むしろ防災というものを入れなくてはいけない。その議論をしていくとマーケットも広がるのではないか。メインフローで防災は無理だとしても、色々な関連のところとタイアップして開発をしていくと、産業が大きくなる余地はある。

【委員】
 確かにメジャーではないが、福祉産業と防災産業はドッキングする可能性がある。“シルウォッチ”というのがあって、これは福祉の分野では重度の難聴者に対して全額補助で支給されている。最近これは、警報データなどの防災に応用している。また、介護ベット、防災ベットをドッキングする動きなどがある。これから高齢化社会になってくると、委員がおっしゃった安全・安心からの切り口から言うと、メジャーにはならないが、小さいものがポツポツ出てきそうな気がする。文部科学省のプロジェクトにおいてもそういうものを育てていくことを念頭に入れていく必要があるのではないか。

【委員】
 リーディング・プロジェクトの事前評価において、こういう情報は出すが、情報の使われ方はそれぞれで使ってくれというのでは駄目だという委員のからの指摘があった。このような使われ方があるということを見せないといけない。P波とS波の違いでこのように使えますというだけでなく、これを利用して何が出来るかというところまで示していかないと。研究開発ではあるが、開発の意味が研究者以外のところできちんと見えてくるような成果として出していかなければ広がらない。

【委員】
 私がリーディング・プロジェクトに期待するのは、1予測の精度を上げる。2情報伝達のスピードを上げる。3それを社会に普及するシステムを作る。ということである。また、国の予算で人の命にかかわる情報を出すのだから、NPOだけでなく相当社会の広範な層をまきこんで最終的には一般国民まで情報を出さないとおかしいと思っている。さらに、プロジェクトの一環としてやるのはかまわないが、精度を上げることと、情報の伝達とは別な仕組みを作って、検討しないといけないと思っている。

【委員】
 その辺りについては、この委員会の事前評価のところでだいぶ釘をさしているところである。

【委員】
 地震予知が当面難しいとなれば、これができるだけいい形になればいいと思う。

【委員】
 国民の安全・安心は文部科学省が研究開発でどんどん出していく、それが売りである。ただし、1省庁だけでこの分野をアクティブにするのは非常に難しいと思われるため、経済産業省などと連携があってもいいのではないだろうか。

【委員】
 推進方策と、分野別推進戦略の社会基盤分野の資料を比べてみると、推進方策で作った枠組みのほうが範囲が広い。包括的かつ、総合的である。7項目それぞれを社会基盤の重点領域に当てはめようとすると、推進方策のテーマがはみ出してしまう。推進方策の各テーマは社会基盤のテーマのいくつかにまたがっていて、総合性は進んでいる。これを活かすようにやっていこうとすると、分野別推進戦略を変えて欲しい気持ちがある。

【事務局】
 科学技術基本計画は、5年の期限となっているため、いずれ改訂される。その際に今まで防災分野の研究開発においてこれまで10年間なかった総合的なレポートがあるので、改訂の際にはかなり織り込んでもらえるのではないだろうかと個人的には期待している。

【委員】
 あちらこちらで計画を作っていて、予算要求はまた別でやっているというようなものではなく、できるだけあわせていく。作ったレポートがこちらで反映されていなければおかしいし、同じものが5年後降ってくるなら、ばからしいということになる。

【委員】
 社会基盤の分野別推進戦略を策定する際には、防災だけでなく、交通などアメニティの専門家などいろんな人が入っていた。事務局案では安全の構築の項目が少なかったので過密都市圏の巨大災害被害軽減、文化財の防護などを入れてもらった。それから、異常自然現象発生メカニズムのところや研究開発目標をかなり変えてもらうなどそれなりに努力はした。

【委員】
 平成13年の省庁再編を当初は引きずっていたが、だいぶそれがなくなってきたと思う。平成5年度の防災に関する研究開発基本計画では、大学は何も関係無く、知らない場合が多かった。

【委員】
 推進方策の本編に関してお願いしたいことがあるが、34ページの人材の育成・確保の中に人文社会科学の人材育成について書かれているが、研究費を配分するだけでは人材は育成されないと思う。やはり、ポストが無いといけない。京大や、防災科研で人文社会系の研究者を積極的に採用されるようになれば、励みになり裾野が広がるのではないか。自治体に防災の専門家を積極的に採用するのが望ましいと書かれているが、もう少し踏み込んで書いたらよかったかもしれない。

【委員】
 この推進方策を英文にしていただきたい。要約版では外国人の方が議論しにくいので、全文を英文にすることが大切だと思う。それで初めて、国際的な議論が出来る。その際日本人の翻訳は使わず、外国人で日本語が堪能な防災専門のコンサルタントを使うと良い物が出来る。

(5)その他

 次回は、5月26日(月曜日)に開催することになった。

お問合せ先

研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室

(研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室)