平成14年10月24日(水曜日) 13時30分~15時30分
文部科学省 別館 第6会議室
岡田主査、石山委員、亀田委員、河田委員、小林委員、島崎委員、大門委員、田村委員、土岐委員、林委員、村上委員、古谷委員、渡辺委員
事務局より資料14‐1‐1~14‐1‐2に基づき説明を行った。
【委員】
評価結果の欄で、「本プロジェクトの開発により」と記載があるが、「本プロジェクトの実施により」とした方がいいのではないか。
【事務局】
非常に短い間に作成したため、文章が少し問題があったかも知れない。
【委員】
大都市大震災軽減化特別プロジェクトで「C」の評価となっているのはどうしてなのか。
【事務局】
大大特で「C」や「B」が付いているのは、例えば「耐震に関する実験・研究」では、E‐ディフェンスの施設が完成するまでもう2年ぐらいかかることを踏まえてこのような評価になったと聞いている。「政策・制度に関する研究」については、他の部分の成果が出てから取り組んでもいいのではということで、このような評価になったと聞いている。タイミング的に今必要であるとの説明が不足していたかも知れないので、来年度はその辺りをきちんと説明していきたい。
事務局より資料14‐2‐1、14‐2‐3、14‐2‐4に基づき説明を行った。
また、林委員より14‐2‐2に基づき説明があった。
【委員】
推進方策は、今後5年間の研究開発の進め方を示すものなので、非常に重要なとりくみになってくる。この推進方策に沿って、防災分野の研究の枠組みを、直すところは直していかなければならないと思うので、単に推進方策の提案にとどまらず、非常に大きなウエイトをもつ取り組みとの認識をもっている。
【委員】
4頁の表と5頁の表との関係を教えて欲しい。
【委員】
5頁の表は、1~4章をまたいで、「地変災害・気象災害等」を集めたものである。
当初、地震災害が多いというイメージがあったが、実際整理したら、この表のように分布しているということが分かった。
【委員】
本資料で分類されている343の命題の出所は何か。
【委員】
本命題は、平成5年度の防災に関する研究開発基本計画の文章を分類したものである。
【委員】
現状分析だけではなく、将来のことを考えないといけない。今回、新たに加えるものは入っていないのか。
【委員】
その点は、来月の委員会で議論をはじめていただけたらと思っている。
【委員】
平成5年の計画では、ダウンバーストや、冷害や干害、あるいは農林災害の類のものが入っていないが、これは平成5年の時点で削除されたと言うべきなのか。
【委員】
今回は、平成5年からこれまでの期間の研究を評価するという形で作業を行っている。平成5年以前の計画は、今データがないが、計画書があれば、同じ作業をやればいいのではないか。
【委員】
今やる、やらないの話をしているのではないが、先程の研究が平成5年の計画には入っていない。このような災害研究は、将来の推進方策には入れないことになるのか。
【委員】
それはフリーだと思う。
【委員】
復活ということは難しいのではないか。
【委員】
それはありうると思う。アンケート結果を見ているとダウンバーストといったキーワードや農林災害的な研究は依然として実施されている。前回の計画ではこうした研究は含まれていないが、この10年の研究実績としてこのような研究も行われているということをキーワードとして次回の委員会までに出して行きたい。そして、農林災害的な研究が次回の推進方策に含めるか否かについては、改めてこの委員会の責任の中で将来を見据えて評価すべきだと思う。
【委員】
本資料は、いい整理をしたと思うが、これは平成5年の計画を整理したということか。
【委員】
今回見直すべき原点が平成5年の計画にあるため、それを章ベースとしてこの資料に記載している。
【委員】
この次のステップとしては、今回のアンケートも同じように分析をやってみて、その上で骨子を作ろうということか。
【委員】
要するに骨子は、最後に出来てもいいのではないかと思う。主張したい方向性が、みんなにクリアになって、それがいろんな研究者に分かり易く説明できるようになった時に、一番エレガントな順番に付けたものを骨子と言っても良いのではないかと思う。
【委員】
「防災力を向上させる」という項目の中で、総合防災の部分の比率が非常高くなっている。総合防災といっても実際様々なハザードを想定している場面が大部分と思われるが、総合防災のデータ情報は、他の災害の情報を活用することによって、この表の右の端に集中しているということか。あるいは、研究の内容そのものが少し偏って、概念的に抜けているということか。どちらなのかが気になったが、こうしたことについて何か調べられたのか。
【委員】
どちらかといえば、後者のような気がするが、純粋に力学の問題では解けないようなものを総合防災というキーワードで呼んでいるような風潮が多々ある。それと同時に社会ニーズに答えるべき研究として出て来るもの、直接的に答えようとしているものも総合防災と言われている。そういう意味で、2つの大きな要素が、総合防災を構成している。1章から3章のなかでは災害全般というような捉え方は極めて少ない。殆ど4章に出てくると考えても良いので、明確に1章から3章で分かったことをその次に展開するものとして、4章の研究があるというよりは、新しい分野であまり明確に整理がされていないのが実態と思われる。
【委員】
4章自体に未整理なところがあって、これからも発展していかなければならないという側面がある。また4章と1~3章との間リンクが強いものと弱いものがあるが、防災対策を実質的に意義あるものとするためのアプローチは、両方から出てくる必要がある。そういう種類のことを今後ぜひ議論する必要がある。
【委員】
やはり、実証データを集めることによってデータベースを作りメカニズムを考え、予測をするという4つのステップを踏まえる訳なので、その一歩先に実際の被害軽減がある。逆に被害軽減のことであっても基本的なメカニズムなり、実証データの裏付けなしにああしたらいい、こうしたらいいとは言えないので、どの局面においても個々の研究をどれかに特化するとしても、その周辺の研究をどう見るか、どうリンクさせるかということから言えば、それぞれの研究の種類のバランスある発展ということを求めるべきだと思う。
【委員】
表の2‐1を見るとデータベース化するということが非常に少なくて、全体でも3件しかあがってこないことには驚かされたが、こうしたことは、これから頑張って研究していかなければならないと思う。基礎データを共有し、異なった研究機関、研究者がそのデータを活用するということがないと、埋もれてしまって進歩しない恐れがある。これから策定する推進方策は、データベース化という共通の資産を議論できるようになるものとして欲しい。
【委員】
指摘のとおりだと思う。実際に最近の研究は、データベースを作ることは当時に比べては格段に増えている。そういう意味では、トレンドとしてはそうなりつつあるように思う。
【委員】
むしろデータベースを作るということが正当に評価されてこなかったことが大きい。データベースの作成は、解析することと同等に重要なファクターであるということがなかなか育たなかった経緯がある。でも総合的な研究をやればやるほど、データベースがなければ出来ないことに気が付いた。そういうことが今度の推進方策で出てくると思う。
【委員】
推進方策の目的は、研究を分析するだけではなく、これを使ってこういう分野が必要だから予算をつけてもらうというように使わないといけない。
【委員】
また、推進方策は、第三者が読んで分かるようにすることと同時に災害のことを研究している研究者の立場をこれを見ることによって、知っていただく両方の効果がある。
【委員】
11月27日までには、河田・林委員を中心とした若手の研究者でアンケートの分析を行うと聞いているが、もう少ししっかりとした体制を組む必要があるのでは。
【委員】
あまりしっかりした体制を組んでしまうと、かえって小回りがきかない恐れがある。委員会から1ヶ月でやって欲しいと指示があれば、現体制で1ヶ月で調査・分析を行うことは可能である。
【委員】
調査・分析を行う研究者等に対して謝金等の手当が必要ではないか。
【事務局】
その辺りは、検討したい。
【委員】
調査分析には、学生や地震防災フロンティア研究センターのスタッフ、人と防災未来センターの研究員等が携わる予定である。
【委員】
本日、防災科研の理事長が委員として参画していないが、自分が理事長の立場で話しをするわけにはいかないかも知れないが、防災科研がこの調査分析に貢献できるように声を掛けてみる必要があるかも知れない。
【委員】
その辺りは、事務局からも心配をいただいているが、組織対組織というような形をとると、どうしても動きが重たくなる。とりあえず今回の作業は、推進方策のたたき台であるため、私と河田に任せていただいて、決定権についてはこの委員会にお願いしたいと考えている。
【委員】
表の2‐1で気象災害データベース化の項目がゼロになっているのは、気象庁が気象災害について膨大なデータを持っているから研究として出てこないという意味にもとれる。
【委員】
私も同じ質問で、表2‐1のデータベース化の項目で気象災害はゼロとなっている。他の災害は、1項目づつ入っているが少ないという点で違いはないので、気象災害もデータベース化の項目を是非入れて欲しい。実際に私どもの分野では雪崩のデータベースを100年くらい集めている。
【委員】
この数値は、平成5年の基本計画に気象災害のデータベース化という文言が入っていなかったという現状の数値である。今回の研究開発状況調査においては、気象災害のデータベース化が含まれていたので、それを反映したいと考えている。
【委員】
本資料で、データベース化という項目を入れていただいたのは、大変感謝している。是非、データベース化の項目は入れていただければ幸いである。
【委員】
資料14‐2‐3において「防災力」という言葉が入っているが、防災力という文言は公知公認の文言なのか。
【委員】
公文書の類かどうかは分からないが、かつての文部省の重点研究領域の表題が「防災力に関する云々」となっていたことを覚えている。
【事務局】
「防災力」という言葉が推進方策を作る際に是非とも必要な文言であるということで、ご承認いただければ公知公認の文言になる。
【委員】
総合防災という概念は、平成5年の計画策定時と阪神大震災後によってだいぶ違う。平成5年の計画では、「総合防災に関する科学技術」と書いてあるが、これは実は本当の総合防災でない。その違いは、アンケート調査を分析すると出てくると思われる。
【委員】
アンケートは、企業・財団等というのはあまり配布していないかったと思うが。
【事務局】
企業には、ゼネコン等など10程度配布した。それほど多くはない。
【委員】
災害・防災の問題は研究者だけの問題ではなく、企業などで地道に研究しているところがある。これからは大学の研究者だけでなくそういった人たちもタイアップしてやらないといけないこともある。その時にアンケートだけを頼りに行っていたら新しいものが抜け落ちてしまうことを心配をしている。アンケートだけを頼りに推進方策を策定したら研究者だけに偏ってしまうかも知れない。
【委員】
その辺りは、今回間に合いそうにないので、平成5年のペーパー分析とアンケートの分析を集めて、この委員会の先生方の眼力で、アンケートから漏れている部分を追加させていただくということではどうか。
【委員】
我々の眼力は万全ではないので、もっとシステマティックにやる方法はないかと思う。
【委員】
それは、我々の委員会が眼力の不明を負うべきだと思っている。
【委員】
14‐2‐2で、「自然災害の予知・予測」、「地変災害の防止技術」など4つ並んでいるが、最近の防災技術の場合では、ソフト対策も関係しているので、「地変災害の防止技術」という文言ではなく、「地変災害の防止・軽減」と書いたほうがいいと思う。
【委員】
ここはあえてソフト、ハードを分けずにソフト対策も入っている表現だと思われるが。
【委員】
ソフト対策等の軽減の技術も含めた表現のほうがいいと思われる。
【委員】
少なくとも該当個所は、平成5年の文言を使っているので、その辺りについてはこの推進方策をまとめる時に議論をいただければと思う。
次回は11月27日(水曜日)に開催することとなった。
以上
研究開発局開発企画課防災科学技術推進室