防災分野の研究開発に関する委員会(第13回) 議事要旨

1.日時

平成14年9月24日(水曜日) 10時~12時

2.場所

経済産業省 別館 第1111会議室

3.出席者

委員

 岡田主査、青砥委員、石山委員、片山委員、亀田委員、河田委員、大門委員、田村委員、土岐委員、林委員、村上委員、古谷委員、渡辺委員

4.議事要旨

(1)平成15年度予算概算要求について

 事務局より資料13‐1‐1~13‐1‐2に基づき説明を行った。

(質問等は特になし)

(2)防災分野の研究開発状況調査のとりまとめについて

【委員】
 現在の基本計画の文章が非常に難しく書いてあるため、これらの文章を分解するとともに、10年間にどのような形で研究が進んでいるかということを括弧の下に記載してはどうか。中間とりまとめを、計画の見直しの素材として使うといった観点から記述すると、分解と整理と統合のプロセスがどこかで見えてこないといけないのではないか。
 また、研究の到達度といったこともどこかに触れる必要があると思う。
 数値化までとは言わないが、科研費の評価と似たようなところがあってもいいと思う。

【事務局】
 分類については、詳細版ではもう少し細かく分類しているが、ご指摘のとおり各研究項目がどれだけ到達しているのか、必ずしもしっかり分析しているわけではない。

【委員】
 この現状調査は、自己点検評価のような形で行っている。林委員が言われるようなことを行うとすれば、外部評価のようなことをしないといけないことになるが、現状では、なかなか難しいのではないか。

【委員】
 次の推進方策は、現在の基本計画と同じ書き方でいいのだろうかと思う。現在、アカウンタビリティ(説明責任)を高めるといった大きな流れがあるので、個々の研究を方向づける基本計画であるとすれば、その中にある種のモデルとなるようなスタイルを持つべきだと思う。

【委員】
 今の議論は、次の推進方策の策定に向けて活かしていけばいいのではないか。今、中間とりまとめを変更すると少し変な形になるだろう。

【事務局】
 この取りまとめ自体は、アンケート調査の要約であるが、推進方策を策定するにあたっては現状評価をしっかりとしなければいけないと考えている。

【委員】
 地震・火山噴火予知は、今回の調査の対象外であるのに参考資料がついているのはどうしてなのか。

【事務局】
 委員から地震・火山噴火予知の部分が別の調査でまとまっているのなら、それも引用して、資料として読めるようにして欲しいといった依頼があったため、参考資料を添付することにした。

【委員】
 この参考資料に付いているレビューは最終報告でなく今後改訂されるため、現在の取りまとめに掲載する必要はないのではないか。

【事務局】
 この地震・火山噴火予知に関するレビューは、現時点では最新のものである。推進方策を策定する際は、測地学審議会との調整が必要になってくると思われるが、その時点でレビューが古いとなれば、当然1の(1)、(2)の地震・火山噴火予知の部分の引用についても変更する可能性はある。

【委員】
 先程の議論は、私が事務局に対してこれまであちこち走り回っても概要がつかみにくかった防災研究開発について、全体が分かるものにしてほしいことを依頼したためのものであるが、自分が予想したものとは違う形で取りまとめられていたので少し驚いた。このような取りまとめ方であれば、(1)、(2)についても今回の調査の対象外ということにして後ろ参考資料の方に持っていけばいいと思う。

【委員】
 まず、最初に今回の取りまとめが(1)、(2)を対象外として(3)から始まっていることを、説明しなければならない。各研究開発項目を小項目まで文章化し、その後の文章は、参考資料に含めてはどうかと思う。

【委員】
 地震・火山噴火予知のところは今回の調査の対象外であるため、項目だけ記載する形に書くということか。

【委員】
 基本計画に沿って、(1)、(2)の項目は構造だけを見せておいて、従来の基本計画に記述されている部分については後ろの参考資料に入れる。小項目ついても、今回の調査の対象外なので、ゴシック表記をしないようにしておけばいいのではないか。

【事務局】
 今のご意見を踏まえて対応したい。

【委員】
 今回の調査の中で「調査を行った」、「開発を行った」、など研究が終わったのか、継続しているような研究もある。また、「開発した」といえばもう研究をする必要がないと言いたいのか、その辺りはどうなのか。

【事務局】
 この調査自体で個別の研究課題の評価を行わないことになっているため、研究の個別の評価は行っていない。概要についても、回答いただいた調査票から読みとれるものを要約したと考えていただきたい。

【委員】
 資料13‐2‐1、p.4の構造物・施設の老朽化対策技術の高度化という項目の中で、木造建物・石油タンク等の点検技術を開発したとなっているが、木造技術の点検技術の開発とはどこを指しているのか。他にもそういった疑問があるところが数カ所みられる。

【委員】
 私もその点を気にしている。この取りまとめは、あくまでアンケートをまとめたものなので、あまり手を加えないほうがいいという議論になっているが、そのことについては序文でかなり明確に記述しておかないと、別のフェーズの議論に巻き込まれてしまう恐れがある。
アンケートをまとめただけであって必ずしも委員会としての統一的な見解を出そうと言うわけではないとか、委員会としては評価は行っていないということを明確に書いておく必要がある。また、表現についてもアンケートに書かれたものを忠実に表現したことも書いておく必要がある。

【委員】
 確かに、概要版第1章の最初の3行をもう少し詳しく書く必要がある。

【事務局】
 今の議論を踏まえて検討したい。

【委員】
 中間取りまとめの70ページには、都市の脆弱性を少なくする研究や防災力が高いコミュニティの再構築するといった意味の研究が進められているが、概要ではそういう記述がされていないという問題がある。

【事務局】
 ご指摘の部分については検討させていただきたい。

(3)防災分野の研究開発推進方策の骨子(案)等について

 事務局より資料13‐3に基づき説明した後、質疑応答が行われた。主な質疑応答は以下のとおり。

【委員】
 2章の1について火災が項目として出てきていないのは何故か。

【事務局】
 自然災害ではない人為的な災害というのは、基本的にはこの委員会の議論の対象外になる。ただし、自然発火の火災もあるので、議論も必要である。

【委員】
 2章の1(1)は地震という項目になっているが、2章の2(1)の項目では地震動となっており、「動」を入れて少し概念が狭まっている感じがする。これは地震災害といったほうが液状化等をふくめて広く網羅されるのではないか。

【事務局】
 特段に狭めようという意図はないので、「動」は外してもよいと考えている。

【委員】
 総合防災の項目では、モチベーションの要素が抜けていると思われる。

【委員】
 この中間とりまとめを踏まえ、推進方策を策定するとすれば、例えば、自然現象の解明と予知・予測というのは、それほど研究の絶対数がないのに、以前よりも今回の案の方が細分化されている。前回の計画では、集中豪雨と台風と気候変動等で終わっているのに、今回は斜面変動や津波が入ったりしてハザードが細分化している方向にある。体系化する時にもう少しダイナミズムというか、第2章、研究開発課題の1.自然災害の解明と予測、2.災害の抑止、制御、軽減技術、3.総合防災に関する研究開発の全体を通していくような基本的な枠組みが必要である。項目の並列はできれば避けるべきで、階層性が出せるものは階層性を吟味したうえで、残せるものは残してどうだろうか。

【委員】
 このような項目の分け方は、30年間変わってない。相変わらず自然現象の予測と解明に携わる人が非常に多いという問題が出てきている。防災分野の研究開発の推進方策なので、災害を先にもってこないといけないのではないか。防災分野というのであれば、最初に災害を出して、その外力をどう評価しているのかアプローチするのであればいいのではないか。この際、項目の順番を入れ替えてみてはどうか。

【委員】
 自然災害の解明の予測との部分に関して、限定的に災害を導く自然現象の原理の解明だけを扱うのか、その辺りが課題だと思う。つまり、災害ということを非常に限定した自然現象を追求するのか、そうでなくてもいいのかということである。

【委員】
 この分類は、歴史的な流れを見ると1、2の項目が最初に出てきて3番の項目は、新たに追加されたという経緯をたどっている。さらに、1、2はもっと細分化される傾向にある。将来的には3も細分化されるだろう。

【委員】
 例えば、昨年9月のNYテロ、またBSEなどに対して防災という概念を使うかどうか近々問題になると思うが、そうすると第2章の1が今のような天変地異系のものだけでなくて、もっといろいろなハザードについても考えなければいけなくなると思う。

【委員】
 3に関して、災害の社会経済的影響も評価技術まで入れるとすれば、先程、防災まちづくり、コミュニティの問題という指摘もあったが、例えば、保険制度であるとかあるいは被災者の支援技術とか社会学的なアプローチをもここで取り上げるかどうかも議論しなければいけない。

【事務局】
 委員会での議論の範囲としては、少なくとも社会科学というのは排除しないというのは明確であるが、自然災害以外の人為的な災害については、少し範囲外になると思われる。別途他にやるところがあるかは別として、文部科学省の防災科学技術の定義としては、一応自然災害ということを念頭においていただきたい。

【委員】
 近年、ナホトカ号の重油漏れ事件などが発生し、自然災害と環境というカテゴリー分けが昔ほど単純ではなくなってきている。このため少なくとも自然災害の定義を自然外力が引き金になって起こる災害という形に適用範囲を広げないと、今社会が欲しているニーズにマッチしないことになるのではないか。他のところでやるのだったらいいが、多分やらないと思う。漏れるところがあるとまずいので、この5、6年に起こっている災害をここでやるのか、他のところでやるのかきっちり仕分けをしておかないといけない。

【委員】
 将来、防災というキーワードをこの日本社会にどういう形で使っていくのかといった時に、自然災害だけであると自分たちを限定するのは非常にまずいと思う。この社会の安心や安全を守るということを防災ということで定義するなら、それ全部をカバーできるように防災科学技術推進室が広げていくべきだろう。
社会全体の安心や安全を守ると言うことであれば、今使っている以上にもっと多様なハザードに対応できるように考える必要がある。さらに、将来のトレンドとして見れば、もっとマルチハザードを対象とするわけだし社会的な部分が安定回復していくプロセスも入れていかなければいけない。

【委員】
 この推進方策の骨子の議論を次回の委員会でもやってみたい。従来型の体系化のやり方を変えたらどうなるのかというご提案を誰かがかやっていただけないだろうか。

【委員】
 次回までに私と林委員と文部科学省も含めて原案を検討したい。

(4)防災分野における経済活性化のための研究開発プロジェクトの事前評価について

 事務局、防災科学技術研究所から資料13‐4‐1~3に基づき、プロジェクトの評価方法、研究内容の詳細等について説明した。
 事前評価資料については、委員意見を踏まえて修正したうえで、研究計画・評価分科会への報告について主査に一任することで了承された。

 次回は10月24日(木曜日)に開催することとなった。

以上

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研究開発局開発企画課防災科学技術推進室

(研究開発局開発企画課防災科学技術推進室)