防災分野の研究開発に関する委員会(第9回) 議事要旨

1.日時

平成14年5月27日(水曜日) 15時~17時

2.場所

文部科学省 別館 第6会議室

3.出席者

委員

 岡田主査、青砥委員、井田委員、石山委員、片山委員、亀田委員、河田委員、大門委員、田所委員、田村委員、林委員、廣井委員、村上委員、虫明委員、渡辺委員

4.議事要旨

(1)大都市大震災軽減化特別プロジェクト実施機関の募集について

 事務局より資料9‐1に基づき説明された後、質疑応答が行われた。
 主な質疑応答は以下のとおり。(発言者敬称略、以下同じ)

【委員】
 応募の後、サブ研究チームについては、この委員会の意見を踏まえて選定することになっているが、どのような形で選考するのか。

【事務局】
 事務局ですべて判断できることではないので、必要に応じてコア組織等と相談をさせていただき、フォーメーションを組んだ上で委員会に諮らせていただくことにしている。

【委員】
 ユーザーサイドから見ると書かされる量が多くてつらいという意見を聞いたことがある。

【事務局】
 書式などは科学技術振興調整費の応募書類に準じている。

【委員】
 個別の課題ごとに応募が来ると考えて良いのか、それとも募集要項に書いている以外の新しいテーマ的なものについてはどのように考えたらよいのか。

【事務局】
 一応サブ研究テーマになんらかの関連するようなことを念頭において公募をしていることから、全く無関係なテーマは、採択されるとはいいがたい。

【委員】
 本プロジェクトの公募は大学等にも書類が配られているほか、費用もかなり使うこともあり、防災関係者から注目を集めている。したがって選定の過程もある程度透明性を示すことが必要である。審査組織ないし評価組織の評価をいただいたうえで文部科学省が決定するような形を整えたほうが説明責任という点からも、透明性という点からもよいのではないかと考える。

【事務局】
 委員の趣旨を踏まえた上で対応していきたい。

(2)国際斜面災害研究計画について

 京都大学佐々先生より資料9‐3に基づき説明された後、質疑応答が行われた。
 主な質疑応答は以下のとおり。

【委員】
 災害が起こったとき歴史的に有名な街を守ることが優先なのか、現在人が住んでいる街や暮らしを守ることが優先なのか。

【佐々】
 研究調査を実施する対象は、参加機関の提案に基づき、その国でもっとも必要性が高い地域について研究を行うことになる。したがって、人的被害の大きな住宅密集地域も一旦破壊されると復旧できない文化自然遺産地区についても研究対象になるだろう。

【委員】
 予算の規模は。

【佐々】
 現段階では分からないが、本研究の特別後援機関のうち、関心がある機関に協力していただくことになる。

【委員】
 斜面災害の原因には地震や雨があるが、これは研究項目に入っているか。

【佐々】
 入っている。現在、首都圏の住宅開発地区において、地震の時と雨の時とで斜面災害の発生場所も起こり方も異なると推定されるので、これを実証するための研究調査を実施している。

【委員】
 実験室と自然現象とのスケーリングの問題はどう考えるのか。

【佐々】
 地震時地すべり再現試験は、規模を縮小したモデル試験ではなく、自然斜面内に作用する力を再現し、すべり面の形成と運動を再現するものである。例えばこの例ではサンプルに対して26メートルの深さにあるすべり面に作用する垂直加重とせん断加重をかけ、さらに、そこに作用すると思われる地震力を与えている。

【委員】
 この参考資料の斜面災害研究推進会議のパンフレットの目的に災害の軽減と書かれており、災害の軽減という場合はもちろん自然科学的な研究が中心になると思うが、やはり社会科学の研究も必要だと思う。

【佐々】
 斜面災害の関係者は、自然科学、社会科学に関わらず、大学だけでなく他の省庁や外国も含んで、協力していただけるところはどことでも連携しようと考えている。

【委員】
 災害が起こるメカニズムが分かっていても都市を造ってしまうようなことがあるが、強制的に都市を造ってはいけないと言うことは難しいのではないか。

【佐々】
 行政的な強制力や大きな財政出動は、この斜面が危ないかもしれないと言うのでは困難であり、信頼される数値に基づいて本当に危険であるということを立証しなければならない。斜面災害の場合は、その潜在すべり面からのサンプル採取とその物理試験も可能であり、斜面災害研究を推進することにより十分可能であると考えている。

【委員】
 ユネスコから後援をいただくことになっているが、ユネスコをこちらがうまく利用するような工夫も必要ではないか。

【佐々】
 ユネスコからの後援(お墨付き)をもとに、各国の関連する各機関に対して財政支援をお願いすることを考えている。

(3)平成15年度防災分野の研究開発の推進について

 事務局より資料9‐4に基づき説明された後、質疑応答が行われた。
 主な質疑応答は以下のとおり。

【委員】
 総合科学技術会議では、理工学と人文社会科学系との融合というのが大きな柱となっており、実際のところ理工学と社会科学が対等に融合できるかと言えば、人材の面で社会科学は圧倒的に少ない。だから社会科学における防災分野の人材育成は大きな課題であるため、本文に「社会科学を含めた防災学の人材の育成」といったような部分を書いていただければありがたい。

【委員】
 自然科学と社会科学の融合が一つの柱となってきているが、実際、社会科学の分野に配分されるお金は少ない。自然科学と社会科学の融合といったことを取り上げていただく以上、研究費的にもそれ相応の金額をつけていただくように、言葉を補っていただきたい。

【委員】
 最後に「さらに防災のための研究開発を持続的に発展させるためには、社会科学を含めた防災研究人材をより一層積極的に育成することが必要である」という文章を入れていただければ。

【委員】
 国際協力における技術的な踏み込み方、資金の配分の仕方などを含めた協力の手順・技術の見方も必要となってくる。

【委員】
 資料9‐4の性格は、具体的には予算になんらかの反映をさせるために文部科学省として考え方を示すものか。

【事務局】
 予算だけでなく、文部科学省が関与するような例えば競争的資金などに、考え方を申し上げるようなことがある。

【委員】
 ODAの中で防災技術を位置付けることはできないのか。関連省庁との連携も意識して欲しい。

【委員】
 国際協力の実務担当者として苦労している。現地にないものを日本から持ってくるということでは、現地の防災に対して効果がない。

【委員】
 日本からの国際協力というと上から下に下ろす印象がある。実際には日本にも規制を守らない建物がある。地震保険についてもトルコから学ぶ点があるなど、必ずしも日本が上でトルコが下というわけでない。

【委員】
 これは研究計画・評価分科会に出す資料か。

【事務局】
 この場でご了解がいただければ、研究計画・評価分科会に提出して、それを踏まえて検討していただくことになる。

【委員】
 1ページの18行目のところがしっくりこないので、例えば「社会資産の更新・拡充と文化財の保護」のように更新・拡充と保護という言葉を対峙させておいたほうがいいのではないか。

【委員】
 文化財等を含めた社会資産の(保護・更新・拡充)システムとしては。

【委員】
 保護はどこに入れてもいいが、ちょっと整理したほうがいい。

(4)その他

【委員】
 大大特の3の災害対応戦略の最適化について、地方公共団体のスタンダードモデルとなることを大変期待をしている。地方公共団体の災害対応の指導は基本的に消防庁の仕事になっているので、本研究については消防庁とも連携をとっていただきたい。

【事務局】
 消防庁も含めて公募の資料を送付したほか、関係省庁連絡会議等でも連絡をしている。

 次回は6月27日に開催することとなった。

以上

お問合せ先

研究開発局開発企画課防災科学技術推進室

(研究開発局開発企画課防災科学技術推進室)