平成13年10月10日(水曜日) 10時~12時
文部科学省 別館 第5、6会議室
岡田主査、井田委員、片山委員、亀田委員、島崎委員、大門委員、田所委員、田村委員、土岐委員、林委員、廣井委員、古谷委員、村上委員
研究開発局 田口防災科学技術推進室長 藤原防災科学技術推進室補佐
事務局より資料4‐1、4‐2及び4‐3に基づき説明された後、質疑応答が行われた。
主な質疑応答は以下のとおり。
【委員】
資料4‐1で「大学、防災科学技術研究所における地震・火山噴火研究等の推進」が減額となっているのは何故か。
【事務局】
防災科学技術研究所における地震観測網整備の減額である。
【委員】
資料4‐2の2ページ目のポンチ絵で、「地震動の予測」「耐震性の飛躍的向上」「被害者救助等の災害対応戦略の最適化」から「地震防災対策標準ガイドライン(仮称)への寄与」に一方向の矢印が付されているが、お互いのフィードバックが必要。 「被害者救助等の災害対応戦略の最適化」についてはロボットとシミュレーションだけのように見える。10ページでは表現されているが、不十分ではないか。
【事務局】
2ページのポンチ絵は概略図であり、詳細は本委員会での議論を踏まえてまとめることとなる予定。
【委員】
資料4‐2の「地震動の予測」のポンチ絵からは平地だけを考えているように見えるが、斜面も考えていることを表現すべき。
【事務局】
現段階では首都圏で言えばフィリピン海プレート上などの地震を発生させる地下の断層構造の調査を中心に考えているが、今後必要に応じて斜面も考えていきたい。
【委員】
「大都市大震災軽減特別プロジェクト」の「大都市」とはどこか。政令指定都市まで含まれているのか。
【事務局】
個別の研究課題の中で「地震動の予測」は限られた範囲でしか実施できないが、他の研究課題の成果は全ての都市に応用可能。
【委員】
「大都市大震災軽減特別プロジェクト」の5年先のスコープは何か。
【事務局】
最終的には自治体等で活用できるアウトプットを出すことが目標である。また、本案は適宜見直し等を行う予定。
【委員】
研究を始める前に地震防災対策標準ガイドライン(仮称)の内容を詰める必要がある。
【事務局】
地震防災対策標準ガイドライン(仮称)の作成そのものは内閣府等の仕事であり、本プロジェクトではそれに資するデータ等を提供することである。
【委員】
「地震動の予測」の探査地域はどこか。また、浅い地盤だけ実施するのか。
【事務局】
関東大震災を引き起こしたような深部から小田原周辺等の浅い断層までを範囲に考えている。また、ボーリング調査は約3kmのところまで実施する予定。
【委員】
地下構造を把握して、それに基づいてモデルを作成する旨記述する必要がある。
【委員】
対象とする地域はノイズが大きくて探査は困難ではないか。
【事務局】
技術的には可能と考えている。
【委員】
プロジェクトの実施機関は未定のようだが、実施する意思のある者に実施させるのか。
【事務局】
その中でコンペティションして決める予定。
【委員】
南海トラフの次の動きが今世紀前半にあると考えられているが、影響を受ける地域として首都圏や中京圏、近畿圏がある。その地域をどう守るのかという理念を置き、その中でどのようにすれば被害を軽減できるかというストーリーが必要なのではないか。
【委員】
資料4‐1の「地震に関する調査観測と全国を概観した地震動予測地図の作成」の中で委員指摘の議論が行われて、その一部を「大都市大震災軽減特別プロジェクト」で実施すると理解して良いか。
【事務局】
「地震に関する調査観測と全国を概観した地震動予測地図の作成」では全国、その中で大都市圏については特に「大都市大震災軽減特別プロジェクト」で詳細なものを実施する。
【委員】
中央防災会議で東南海と南海について議論しているが、その前提として南関東は大綱も出来ており、対策は目処が立っているとの理解がある。本プロジェクトでは南関東を実施するが、その後は南海等も行うと考えて良いのか。
また、地震防災対策標準ガイドライン(仮称)は中京圏や近畿圏も含むと考えて良いのか。
【事務局】
そのとおりである。なお、「地震動の予測」は予算上の制限で場所に制限があるが、地震防災対策標準ガイドライン(仮称)の詳細は意見を聞きながら決めていく予定。
【委員】
「被害者救助等の災害対応戦略の最適化」のシミュレーションは耐震補強等にもつながっていく内容と思うが、それらは「地震防災対策標準ガイドライン(仮称)への寄与」の中で実施するのか。また、そもそも地震防災対策標準ガイドライン(仮称)とは何か。
【事務局】
そのように考えている。また、研究開発の成果を自治体等にインプットしていくのが目的であるが、そもそも地震防災対策標準ガイドライン(仮称)がどのようなものであるべきかについても議論の対象にはいる。
【委員】
特に「地震防災対策標準ガイドライン(仮称)への寄与」については予算が認められた際には内容的に相当詰める必要がある。予算が認められればコンペティションを行うのだろうが、その前に全体計画をよく練る必要がある。
【委員】
研究者サイドから常時発言しないと、出てきた案に対して意見を言うことしかできなくなる。研究者サイドからどんな研究を行いたいかを行政サイドに常にインプットしていく必要がある。
【委員】
そのとおりである。その件については議題(4)で議論する。
【事務局】
「大都市大震災軽減特別プロジェクト」の大枠は資料4‐2のとおり考えているが、実施体制等の詳細については本日の議論も踏まえて検討していくこととなる。
【委員】
資料4‐3に記述されている研究は各省庁で類似した研究があると思うが、調整は図られているのか。
【事務局】
防災科学技術関係省庁連絡会等で調整を行っている。また、実施の段階においても協力することを考えている。
【委員】
資料4‐3のような資料が今まで出たことはあるのか。
【事務局】
ある意味初めて。従来からも類似のものはあったが、総合科学技術会議において社会基盤分野ができてからは初めてまとめられたもの。
総合科学技術会議で取りまとめられた「分野別推進戦略」について、事務局より資料4‐4に基づき説明された。
科学技術学術審議会研究計画・評価分科会で取りまとめられた「ライフサイエンス、情報科学技術、地球環境科学技術、ナノテクノロジー・材料及び防災分野における当面の研究開発の推進に関する考え方について」について、事務局より資料4‐5に基づき説明された。
事務局より資料4‐6及び4‐7に基づき説明された後、質疑応答が行われた。 主な質疑応答は以下のとおり。
【委員】
ヒアリングをいつ実施するのか分からないが、結果が反映されるか疑問。また、資料4‐2の様に文部科学省の施策として提案されても旧科学技術庁の考え方のみで大学の研究者の考えが反映されないのではないか。
【事務局】
大学における潜在的な研究開発ニーズをどう把握して施策に反映させるかは大きな課題であると認識している。それを解決するための1つの方策として前回及び前々回の委員会で連携についての議論を行っていただいた。
【委員】
本委員会で策定する研究開発計画に基づき、優先度が高いものから予算要求がなされると理解して良いか。
【事務局】
そのように理解していただければ良い。
【委員】
大学のことをよく分かって欲しいという指摘に対しては、少し年月はかかっても引き続き努力していただきたい。また、科研費のプロポーザルを情報源として積極的に活用していただくのも手法だと思うし、戦略的に科研費を使うということも検討してはどうか。
【委員】
分かってもらわなければ困るというのは一方的な意見であり、お互いの歩み寄りが必要。
【委員】
今の議論は本委員会の発足時からの議論だと思うが、資料4‐5の冒頭に記述されているような防災に関する研究者が国研や大学等を問わずにまとまる仕組みは考えているのか。
また、大学側の意見はいつも旧文部省を知ってもらわなければならないということに終始するところがあるが、両者歩み寄りの場として本委員会などは重要な会議であり、何かパイプを作るべきである。
【事務局】
資料4‐5の「2.関係者間の連携等の推進」にあるようなことがその仕組みであると考えており、大学側とも話しをしている。また、情報の集約については、研究開発計画の作成作業自体がその機能を果たすと考える。
ユーザーの役に立つ研究をどのように進めて行くべきかが大切であり、その上で最初に行うべきことは旧科学技術庁と旧文部省の連携であり、大学の研究者の意見を良く聞く必要があると考えている。ただし、大学の研究者が研究したいことを実施すれば良いというわけではなく、行政として仕事をしているということは理解していただきたい。
【委員】
防災に関する研究開発基本計画や分野別推進戦略等について、可能ならホームページに載せていただきたい。また、それぞれの位置付けも示していただけるとありがたい。
資料4‐7の1ページについて、2(2)の「制御」は「予防・防止・抑止」等他の表現に出来ないか。
【委員】
抑止と制御は若干異なる。「抑止・制御・軽減」とするのはいかがか。
【委員】
資料4‐7の2ページの1(1)~(7)には自然現象としての斜面変動があればありがたい。
【委員】
斜面変動は1と2の中間と思われる。斜面変動以外にも何があるか考える必要がある。
【委員】
資料4‐7の1ページの1について、文部科学省の研究は基礎研究が中心となるが、それが長期的には防災に役立つ旨の表現を加えていただきたい。
c)についてはなぜ地震だけ重点化した表現になるのか。
2ページの3には「平常時の防災対策向上」の意味合いの表現を加えていただきたい。
【事務局】
基本的考え方のc)については、国費を投入して研究する以上、被害インパクトが大きい災害に重点を置く必要がある。現在の日本で死者数千人規模の被害が生じる可能性があるのは地震である。
【委員】
資料4‐7の2ページの1(1)の表現は変。「地震」だけで良い。
1ページの1.f)はどのような趣旨かわかりにくいため、表現を考える方が良い。
【事務局】
先進国との協力と途上国との協力の2つの意味合いがあり、1ページの3(4)に記述している。
【委員】
資料4‐7の2ページ2で火山災害が記載されていないが、火山についても対策部分があるはずであり、項目を追加すべき。
【委員】
資料4‐7の1ページ2のタイトルにある「研究開発の進め方」とは何か。
【委員】
「研究開発課題」としてはいかがか。
【事務局】
問題ない。現行の計画と同様、課題とその進め方について記述する予定。
【委員】
研究の方向性として記述するべき。その上で進め方が必要。
【委員】
資料4‐7の2ページに関して、災害原因となるライフライン等は、3に含まれるのか。
【事務局】
そのとおり。
次回は12月初旬に開催することとなった。
以上
研究開発局開発企画課