防災分野の研究開発に関する委員会(第3回) 議事要旨

1.日時

平成13年7月30日(月曜日) 13時30分~15時30分

2.場所

KKR HOTEL TOKYO 11階 「白鳥の間」

3.議題

  1. 調査検討にあたっての基本的考え方について
  2. 総合科学技術会議における検討状況等について
  3. 平成14年度予算要求に向けて留意すべき事項について 1.IT、ロボティクス等の最先端技術を活用した緊急災害救助
  4. 平成14年度予算要求に向けて留意すべき事項について 2.関係機関間の連携の具体化について
  5. 平成14年度予算要求に向けて留意すべき事項について 3.当面の課題について
  6. その他

4.出席者

委員

 岡田主査、井田委員、片山委員、亀田委員、小林委員、大門委員、田所委員、田村委員、土岐委員、林委員、廣井委員、古谷委員、村上委員、渡辺委員

文部科学省

 研究開発局
 田口防災科学技術推進室長
 藤原防災科学技術推進室補佐

5.議事要旨

 開会、前回欠席委員紹介の後、議事録の公開の仕方について議論が行われ、委員の確認用は発言者名を記し、公開に当たっては委員の発言か事務局の発言かの区別は行うが、発言者名は記さないこととなった。

(1)調査検討にあたっての基本的考え方について

 事務局より資料3‐2に基づき説明した後、質疑応答が行われた。

【委員】
 第2段落の「災害の復旧」を「災害からの復旧・復興」としていただきたい。

【委員】
 第3段落に国際協力も実施している旨の記述がないが、国際協力は実施していないのか。

【事務局】
 国際のキーワードを入れて文言を検討する。

【委員】
 緊急対応はどこに記述されているのか。

【委員】
 復旧に含まれていると考える。

【委員】
 復旧と緊急対応は異なるものである。予防と緊急対応、復旧・復興は防災の三要素であり、第2段落の「災害の復旧」は「災害の予防、緊急対応及び災害からの復旧・復興」の記述になる。

【事務局】
 文言を検討する。

【委員】
 学術研究の注書きがない。研究環境から見た場合、学術研究、基礎研究、基盤的研究開発はボーダレスになってきているが、役割分担も必要であることから、それぞれに説明書きが必要ではないか。

【委員】
 厳密に記述しようとすると大変なので、このままで良い。

【委員】
 タイトルからは、既に基本的考え方が示されているとも読める。実際には基本的な考え方を今後議論していくため、タイトルには基本的方針等の文言を使用すべきである。

【事務局】
 方針とすると柔軟性がなくなってしまうのでこの表現にした。第4段落の「基本的考え方」を「基本的方針」に変更したい。

【委員】
 資料3‐2は今後の議論の中で整理されていく。

【事務局】
 学術研究、基礎研究、基盤的研究開発は法令用語である。基盤的研究開発は注書の定義が法令中でなされている。その他は普通名詞として使用されており、定義付けをした法令はない。

【委員】
 学術研究と基礎研究の違いが一番分からない。

【事務局】
 観点の違いではないか。学術研究にも基礎研究も応用研究もある。

【委員】
 みんなが簡単に理解できるよう言葉の定義を整理するのは今後の課題である。

(2)総合科学技術会議における検討状況等について

 事務局より資料3‐3に基づき説明した後、質疑応答が行われた。

【委員】
 重点分野推進戦略専門調査会での取りまとめ資料は社会基盤ワーキンググループに参画していたので理解していたが、総合科学技術会議での取りまとめ資料の文言にいつの間にかなっていた。上部組織に上がっていけば簡潔な表現になるのは想像できるが、プロセスが分からない。

【事務局】
 総合科学技術会議の事務局ではないので分かりかねるが、全体をコンパクトにまとめる議論の中で、総合科学技術会議での資料は重点分野推進戦略専門調査会でのものを要約したものと理解している。社会基盤も例示は2つで後は「等」になっているが、「等」に全てが入っていると考えている。

(3)平成14年度予算要求に向けて留意すべき事項について

1.IT、ロボティクス等の最先端技術を活用した緊急災害救助

 田所委員より説明があった後、質疑応答が行われた。

【委員】
 イメージとしては、どこかにスーパーコンピューターがあって各自アクセスすると考えるのか。又は、各地のパソコンをインターネットで結ぶのか。

【委員】
 各パソコンでシミュレーションできるよう、できるだけ簡略化した計算をする方向で検討している。災害時にOn‐sightでシミュレーションする可能性の課題はある。

今のグループはシミュレーション統合の専門家は多いが、地震や火災等の専門家が少ないので、専門家が集まって議論が出来る場を提供していくことが重要と考えている。

【委員】
 情報インフラの整備が進んでいく中で、災害時に対応できる平常システムを組み込んでいく趣旨は私も常々主張しており同感であるが、この場合平常時システムにはどういう形を考えているか。

【委員】
 商業ベースによって情報インフラが整備されていくと思われるため、防災サイドから声高く働きかけることによって防災を組み込んだシステムが整備されていくだろうと考えている。これは、防災専用インフラを整備するより遙かに安く、平時連続性の高いシステムになる可能性がある。

【委員】
 リアルタイムシステムを自治体が個別に開発しているため、連続性がなく問題があるとのことだが、防災システムを共通化していく中で建物データベースの規格が異なる等の問題が多いと思うがどうか。

【委員】
 既存のデータベース等を活用する。分散シミュレーションはデータをどのようにシミュレーション側に渡すかだけが問題であり、既存の地図や建物データベースはそのまま使用が可能。カーナビのデータも提供してもらえることから、小規模な自治体でも容易に導入が可能と考えている。

【委員】
 有事の際に被害地に情報を提供するシステム等の手当はあるのか。

【委員】
 結論は出ていないが、情報通信の研究者も多くおり、早晩解決される課題であると考えている。

2.関係機関間の連携の具体化について

 事務局より資料3‐4に基づき説明した後、質疑応答が行われた。

【委員】
 フォーラムとなっているが、独立行政法人防災科学技術研究所等で行っていた緊急災害のシンポジウムの拡充と考えて良いのか。

【事務局】
 フォーラムとしたのは、恒常的な枠組みを考えているからであり、既存のシンポジウム等との関係は今後検討していきたい。

【委員】
 全体を統括した大きな枠組みと考えて良いのか。

【事務局】
 既存のシンポジウム等を取り込んでいくのか連携を図っていくのかを含めて今後検討していきたい。ただ、防災分野全体を見渡せるような枠組みにしていきたい。

【委員】
 関係研究機関とは具体的には何を考えているのか。

【事務局】
 他省庁や民間の研究機関を考えている。ただし、メンバーシップを研究機関とするのか研究者とするのかは検討したい。

【委員】
 産業界は入っているのか。

【事務局】
 関係研究機関の中に産業界も入っているが、具体的イメージがなかったので資料には記載していない。

【委員】
 常時活動する枠組みなのか。

【事務局】
 パーマネントなものを考えている。

【委員】
 東大地震研究所の地震予知研究協議会と斜面災害研究推進会議とは性格が違うのか。

【委員】
 斜面災害研究協議会について詳しく知らないので何とも言えないが、地震予知研究協議会は予算の調整も行っている。

【事務局】
 自然災害研究協議会も斜面災害研究推進会議も基本的には研究者の集まりであり、フォーラムではユーザーも含めた枠組みを考えている。地震予知や火山噴火予知などは地震調査研究推進本部で成果の評価から公表までのメカニズムができているので、それ以外の分野を扱っていきたい。

【委員】
 関係研究機関に他省庁の研究機関や自治体等が含まれると、他省庁との調整が必要になってくるがどうか。

【事務局】
 他省庁との調整が未了のため「構想」としており、積極的に調整していきたい。文部科学省としてはニーズを踏まえた研究開発を行い、成果をユーザーにオープンにして行くべきだと考えており、その点で利害の対立はないと考えている。

【委員】
 予算獲得の役割も果たすのか。

【事務局】
 予算獲得までは視野に入れていない。調整が主体になると思うが、これを機に防災分野での研究ファンドを導入できると最良と考えている。ただし、平成15年度の予算以降になると思う。まずはユーザーを含めた議論を行って、具体化していきたい。

【委員】
 各省庁を巻き込むと、文部科学省ではなく内閣府に置くべきものと言われないか。

【事務局】
 そのようなことはないと考えているが、実施の過程でその方が良いということであれば、それでも構わない。

【委員】
 対象となる関係者の範囲が広いだけに、この案に賛同するかがポイント。うまくいかなかったら、旧科学技術庁に関係する研究者のみの枠組みになる危険性がある。

【事務局】
 旧科学技術庁ではこのような取り組みは不可能であったと考える。文部科学省になったから、大学とうまく連携することにより可能になると考えている。

【委員】
 将来的には研究ファンドを持ち、適切な機関で実施するイメージも良いが、出発点としてはイニシアティブを本委員会でとる。

【委員】
 必要経費はどのように考えているのか。

【事務局】
 当面は活動内容を議論することになるため、会議費やシンポジウム開催費等で1~2千万程度と考えている。

【委員】
 地震調査研究推進本部との関係はどのように考えているのか。

【事務局】
 地震調査研究推進本部で扱っている地震観測研究等はフォーラムでは扱わない。

【委員】
 今や地震調査研究推進本部は地震観測だけではなく、より範囲を広げていく方向であるため、オーバーラップする部分が出てくるかもしれない。

3.当面の課題について

 事務局より資料3‐5に基づき説明した後、質疑応答が行われた。

【委員】
 2ページ「3」の「ITやロボティクス~重要と考えられる。」は「ITやロボティクス~重要である。」に変更すべき。

【委員】
 3ページ「4」の1行目に「国土」を加える。

【委員】
 1ページ「1」の「推進方策等を示していくこととするが、」は「基本的方針や推進方策を示していくこととする。」にすべき。

【委員】
 1ページ「1」の書き出しは「大学においては、研究科、研究所、研究センター等において」とすべき。

【委員】
 1ページ「2」の3行目「共用の研究施設」は「国際共用研究施設」とすべき。

【委員】
 1ページ「1」に国際のキーワードを加えるべき。

【委員】
 2ページの「3」のタイトルは、「統合的な防災科学技術の展開」など本委員会でIntegrateしていくイメージにすべき。

【委員】
 防災に関する研究開発基本計画に沿って、総合的防災科学技術とする方が良い。

【委員】
 「2」としてE‐ディフェンスが出るのは違和感がある。「3」「4」はグローバルな内容だが、「2」は個別の内容。

【事務局】
 項目の順序としては、徐々に大きな内容となるイメージで記載している。

【委員】
 違和感があるが、省庁再編直後のこの時期を考えれば素直な表現と思う。

【委員】
 来年度予算をどうするかがメインテーマであることから、このままであればありがたい。

【事務局】
 1‐4‐3‐2の順序ではいかがか。

【委員】
 来年度予算のための当面の資料であり、「3」や「4」は今後議論すべき内容である。このままで良いと思う。

【委員】
 順序は大きな問題ではない。「4」が地震と火山を除いた連携であるとすると抜け落ちのイメージが出るのは問題があるのではないか。「4」のタイトルは「関係機関の連携等」となっているが、ヒトに焦点を当てて「関係者・研究者」にする方が良いのではないか。

【事務局】
 「者」には法人も含まれるので、「関係者・研究者」にしても問題はない。

【委員】
 2ページ5.の「民間」や3ページ「4」第2段落の「利用者」は防災の実務(者)という言い方はできないか。また、フォーラムとする以上は地震調査推進本部等からも広く集まってもらうイメージを出す方が良い。

【委員】
 自然災害研究協議会も地震学者が個人の資格で参加しており、フォーラムも個人の資格で参加すると言うことを強調する方が良い。

【委員】
 行政は個人よりポジションとする方が参加しやすい。

【委員】
 フォーラムの件は予算が付いてから議論する方が良い。

【事務局】
 本日の意見を踏まえて資料を修正の上で各委員にお示しする。

【委員】
 「3」や「4」は表現が漠然としているため、具体例を記述する方が良い。

【委員】
 フォーラムなどは明記すべき。

【委員】
 予知・予測研究の記述がないが、入らないのか。

【事務局】
 予知・予測研究そのものは地震調査研究推進本部の所掌であり、入らない。

(4)その他

 次回は9月後半以降に開催する。

以上

お問合せ先

研究開発局開発企画課