防災分野の研究開発に関する委員会(第1回) 議事要旨

1.日時

平成13年6月28日(木曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省 永田町 第4、5会議室

3.議題

  1. 委員会開催の趣旨等について
  2. 総合科学技術会議における検討状況等について
  3. 文部科学省における防災分野の研究開発について
  4. 本委員会における今後の検討の進め方について
  5. その他

4.出席者

委員

 岡田主査、青砥委員、石山委員、片山委員、河田委員、小林委員、島崎委員、大門委員、田所委員、田村委員、土岐委員、林委員、廣井委員、古谷委員、村上委員、渡辺委員

文部科学省

 研究開発局素川審議官
 田口防災科学技術推進室長
 藤原防災科学技術推進室補佐

5.議事要旨

 開会、審議官挨拶、委員紹介、主査の紹介の後、主査代理の指名が行われた。
 主査代理:片山委員、田村委員、土岐委員

(1)委員会開催の趣旨等について

 事務局より資料1‐1、1‐2及び1‐3に基づき説明。運営規則(案)が原案どおり了承・決定され、会議が公開された。

(2)総合科学技術会議における検討状況等について

1 防災分野の研究開発に関する政策の概要

 事務局より資料1‐4に基づき説明した後、質疑応答が行われた。(発言者敬称略、以下同じ)

【委員】
 「防災に関する研究開発基本計画」の重要研究開発課題に記載されている事項は、インパクト、物理的特性に集中して設定されている気がする。
 また、災害により開発の効果が無に帰することからも、防災は途上国援助の大きな柱になっているが、人口増加により農村部では危険地域に居住し始めたり都市部でも無秩序な開発による脆弱性が大きな問題となってきている。そのような現状を踏まえた上での研究を考えているように思えるし、Vulnerabilityが増加していくことを中長期的に対処していく視点がないと思える。
 以上の観点から、この重要研究開発課題はどう理解すれば良いのか。

【委員】
 従来の研究計画等には、そのような視点が手薄だったという反省が今出ていると思う。

【委員】
 次の基本計画には反映されるのではないか。今後のことを考えれば、災害を物理的な現象として対応するのではなく、社会現象としての災害も含めて長期的総合的な視点で計画を作成する方向に向かっているように思う。次の基本計画策定時に議論されれば良いことと考える。

2 総合科学技術会議等における検討状況

事務局より資料1‐5に基づき説明した後、質疑応答が行われた。

【事務局】
 総合科学技術会議の社会基盤プロジェクトに向けて文部科学省として意見を述べていくための検討と、社会基盤プロジェクトの方向性に沿って文部科学省が行うべき研究開発の2つの視点から議論していただきたい。

【委員】
 8分野のうち重点4分野に対応した委員会が文部科学省に設置されているが、他の分野のうち防災だけ設置されているのはなぜか。

【事務局】
 エネルギーは経済産業省が主体になろうし、文部科学省においては原子力があるが、内閣府の原子力委員会がある。フロンティアは宇宙開発委員会があり、環境も海洋開発分科会が存在する。

【委員】
 他省庁や他機関と重複しない配慮があるが、社会基盤分野においても文部科学省が手を出す項目とそうでない項目があると思うが、仕訳はするのか。

【事務局】
 資料1‐2にも記載しているとおり「文部科学省における」としている。ただし、文部科学省としては基盤的共通研究や複数省庁にまたがる総合研究開発、E‐ディフェンスのような多額の費用がかかる施設を扱うことになっているので、関係省庁との連携は必ず議論になる。

【委員】
 ここではあまりテーマを限定しない方が良いと考えている。

【委員】
 内閣府はこういうことをやるべきと言うし、文部科学省はこういうことをやりたいと言えば良いと考える。

【委員】
 総合科学技術会議の議論の中には、今報告のあった内容以外のものが含まれており、それらは文部科学省で行う以外ないと思っている。それらはここで議論すべきと考えている。

【委員】
 重点4分野は社会基盤と密接に関わりがあると思うが、連携はとられるのか。

【委員】
 この指摘は社会基盤の検討会でも議題になった。ITなどは防災に活用しないでは済まない。情報分野で技術開発されたものをいかに活用するかを考える必要があるとの議論を行った。

【委員】
 文部科学省においても組織上は研究計画・評価分科会に属していることから連携が図れることにはなっている。

【委員】
 情報通信の委員会は情報の専門家はいても防災の専門家はいないので、ターゲットが異なることも考えられる。当委員会からも情報発信をして交流できれば良いと考える。

【委員】
 情報分野で社会各層に活用できるITを考える中で防災に活用できる技術があるかもしれないし、現在の技術で活用できるものがあるかもしれない。防災分野でもITを考えても良いと思う。通信でもITを考えて、どこかで活用できれば良く、緊密な連携より、緩い連携で良いのではないか。

【委員】
 研究計画・評価分科会ではそういう議論はしているのか。

【委員】
 研究計画・評価分科会では総合科学技術会議との仕分けはあるが、文部科学省の審議会からも積極的に発信していく方が良いという議論をした。この委員会の範囲もあまり厳しく考えずに議論して、まとめる時に調整すれば良いと思う。ITは防災の情報伝達収集手段として重要である。防災から観た情報化を討議すべき。
 防災にとって大事なのは、情報を受け取る市民がどれだけ実際の防災行動に活用するかだと思う。ITを防災面で活用することを考えなければならない。

(3)文部科学省における防災分野の研究開発について

 事務局より資料1‐6に基づき説明した後、質疑応答が行われた。

【委員】
 旧文部省の資料は少ないが、整理はつきにくい。

【事務局】
 各大学で行っている研究を資料としてまとめるところまで出来ていないし、必ずしも整理されているものではない。

【委員】
 大学では多くの研究が行われている。それらに目を向けないで作成した資料は、見る側に誤解を与える。

【事務局】
 行政レベルでまとめたものがなかったので、資料を出せなかったことを理解いただきたい。

【委員】
 委員会での議論の仕方とも関連するが、従来の科技庁では防災科学技術研究所を主体とした議論がなされていたが、文部科学省となった場合は大学も含めて議論しなければならない。

【委員】
 文部省としてはまとめていないかもしれないが、災害に関わる研究者のグループでは行っているので、一切ないということはない。

【委員】
 今回の資料はその1として、次はその2として旧文部省分を出さないと公平性に欠ける。

【委員】
 例えば、京都大学防災研究所の概算要求をどうするのかなどは、非常に大きな問題としてある。従来は1省に2つ同じものはつくらないということになっている。このため旧文部省においては防災研究所は京都大学以外にはない。だが、文部科学省になったら性格が違うとはいえ2つ存在することになるため、摺り合わせをしないと無駄遣いとの指摘を受ける。今までの方針と相容れないところをそうするのかという議論をアージェントにしないと、大学が非常に迷惑する。今回の資料も配慮いただきたい。

【事務局】
 今回の資料も大学関係課にも見せているが、指摘を踏まえて中身のある資料を出したいし、今後の議論の大きなポイントとして防災科学技術研究所と大学がどう連携して全体として研究開発を進めていく体制が取れるかがあると考えている。

【委員】
 998百万円は科学研究費の予算か。

【事務局】
 科研費と各大学等の合計。

【委員】
 これらの予算はいつどのように決められたのか。

【事務局】
 昨年夏に概算要求をして、12月に政府原案として決定されたものである。それ以前からの連続性からこの予算がでている。また、大学予算は防災関係として切り分けられない予算もあり、それらは数値化できない。

【委員】
 日本の慣習として、人件費などは入っていないが、この表からは全額が出ていると受け取られてしまう。全体が分かるものを作る必要があると思う。

【委員】
 旧科技庁も旧文部省も正当な議論を経て予算が決まっている。今回初めて横並びで防災分野の議論が始まったと考えていただければ良いのではないか。

【委員】
 本委員会では旧科技庁で管轄していた内容の議論をするのか、大学を含めた議論をするのか疑問が生じた。

(4)本委員会における今後の検討の進め方について

 事務局より資料1‐7に基づき説明した後、質疑応答が行われた。

【委員】
 9月以降は幅広い議論が出来るし、しなければならないと考えている。それまでは防災科学技術研究所を中心に実施してきた研究開発をどのようにしていくかの議論をする必要があると思っている。

【委員】
 本委員会のミッションとしては、我が国における防災分野のブループリントを書き、その推進を省内外に働きかけていく。その上で来年度の話や防災科学技術研究所と大学との連携、本当の意味での防災の推進をどうするかの議論になると考える。

【委員】
 防災研究を考えたときに、国の良い研究機関が一つあれば良いと言うことに異論はないと思う。大学出身の委員が真剣に国の研究機関を創るという意識を持つことが必要である。予算の大小を議論しても難しいと思う。

【委員】
 いくつもの研究機関があって、競合的な研究が行われることによって良い成果が出ると考える。国に研究機関が一つしかなければ発展しないと思う。

【委員】
 本委員会は、文部科学省において防災分野の研究開発には何をすべきかを考え、その上でどういう組織で行うのが効率的かの議論になる。何をすべきかを決める前にその議論をするのは早急である。

【委員】
 文部科学省として研究所を一つにするという前提で本委員会が設置されたわけではない。

【委員】
 E‐ディフェンスに限れば、民間も含めたオープンな施設であるので、論点が違う。

【委員】
 E‐ディフェンスに限った議論をすべきでなく、「防災」という概念に何を込めるかである。普通の人々の毎日の生活に着目して、公が最低限担保すべき「安心・安全」から何をどこまで守るべきかのスコープで防災を捉える議論が必要。何をすべきかとどう実現すべきかは分けて議論する必要がある。この委員会が防災基本計画で扱っている事象に対して安心・安全を担保する科学技術の推進を行うことを明確にする必要がある。

【委員】
 当面は平成14年度の概算要求について議論する。最終な成果物は防災に関する研究開発計画の文部科学省版を作ることと考えている。

【事務局】
 ご指摘のとおり。

(5)その他

 第2回は7月16日(月曜日)10時~
 第3回は7月30日(月曜日)13時~

以上

お問合せ先

研究開発局地震調査研究課