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大型放射光施設評価作業部会(第2回) 議事録

1.日時

平成25年4月26日(金曜日)午前10時00分から12時00分

2.場所

文部科学省 3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 前回の議論概要及び今後の進め方について
  2. SPring-8のこれまでの取組・成果の概要について
  3. 施設及び設備の整備・高度化について
  4. ビームラインの運用、整備等について

4.出席者

委員

福山主査、雨宮委員、小松委員、杉原委員、高尾委員、田島委員、唯委員、南波委員、
西島委員、水木委員、山縣委員、山田委員

文部科学省

原量子放射線研究推進室長、三宅基盤研究課長補佐、神部量子放射線研究推進室長補佐

5.議事録

【福山主査】
  おはようございます。定刻になりました。放射光施設評価作業部会、第2回を開催したいと思います。今日も率直かつ活発な御議論をお願いします。
 今日は、森委員が御欠席、西島委員が途中退席されるという御連絡を頂いております。
 それでは、まず事務局より配付資料を御確認いただきます。よろしく。
【神部補佐】
 それでは、事務局より配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
 議事次第にございますとおり、まず配付資料としまして資料1-1から資料1-5、及びあと資料2-1から資料2-3、また参考1、2、3、4を配付資料として用意しております。
 また机上資料としまして、参考5、6としまして、SPring-8の学術成果集及び産業利用成果集のパンフレットを机上配付資料として用意しております。欠落等あれば、事務局まで御連絡いただければと思います。
【福山主査】
 これから議題。
 前回の議論の概要及びこれからの進め方、枠組みについて、事務局より御説明をお願いします。
【神部補佐】
 それでは、事務局より説明をさせていただきたいと思います。配付資料のまず1-2を御覧ください。
 配付資料の1-2でございますが、今後の評価作業部会の進め方をまとめておるものでございます。本日が第2回としまして、SPring-8のこれまで取組・成果の概要について、また施設及び設備の整備・高度化について、ビームラインの整備・高度化についての三つを議題として挙げております。
 また、第3回以降につきましては、皆様に事前に御連絡いただきました御予定をもとに、既にこちらのほうで日程を入れさせていただいております。
 また3回目につきましては、利用者、ユーザーの支援及びその利用者の利用研究の課題選定などについて議題としているところでございますが、3回目につきましては、ユーザー団体の代表としまして雨宮委員から、また企業ユーザーからの意見としまして森委員から御意見を、プレゼンをお願いしたいと考えているところでございます。
 続きまして、資料1-3でございます。こちらのほうにつきましては、前回の作業部会においても配付いたしましたが、またその前回の議論を踏まえまして修正したものを今回は配付させていただいております。この赤字の部分が修正した部分となっております。
 資料1-4に、その前回の議論で御指摘いただきました論点をまとめたものを用意しておりますが、ここの内容というのがこの資料1-3、評価の項目及び視点の赤字のところに反映しているという状況でございます。
 簡単にその修正の内容について御説明させていただきますと、まずビームラインの整備・高度化につきましては、共用ビームラインのアップグレードをどのように進めるのか、その共用ビームラインと設置者ビームラインとの循環システムというのが一つ提案として挙がっております。その点をつけさせていただいております。
 また3ポツ目、利用者支援につきましては、ユーザーの視点から求められる支援、またユーザーニーズを酌み取るという点につきまして、よいユーザーがよい課題を持ち込み、それを施設がそれを適切に対応するという点につきまして、SPRUCとどのように連携していくのかということが重要だろうというふうな御指摘を頂いているところでございます。
 2枚目になりますが、5ポツ、利用者研究課題の選定のところでございますが、既にその課題の申請数、競争率というのがこの数年間もう飽和状態にあるのではないかと、このような状況につきまして、どのように今後対応するのかという点を御指摘いただいている点でございます。
 また6ポツ目、施設の運用・運転につきましては、SPring-8が夏に止まるのと同時に、同じようにPFといったほかの放射光施設も同じように止まってしまう、こういった問題をどのように考えるかという点を追加しております。
 7ポツ目、研究拠点及び人材育成の点でございますが、拠点という点につきましては、各施設、ほかの例えばJ-PARCといったほかの量子ビーム施設も含めまして、そういう各施設が連携し、ユーザーが持つよい課題を連携させ、更によい成果を創出する、早期の成果創出を推進する、そういった取組が必要ではないかという点を追加させていただいております。
 また最後のポツになりますが、人材につきましては、企業の人材を育成するといったこともできないかという点を追加しております。
 最後8ポツ、研究成果の公表・社会への還元につきましては、成果公開の研究ですが、公開してないものをきちんと追跡することが重要ではないかという点。また専用ビームラインにつきましては、企業の場合、成果を公表しないということが、それはまたいい成果を出している証拠にもなることなので、ほかの評価方法も必要ではないかという点を追加しております。
 また、最後のポツですが、運転時間だけではなく、成果というのもここ数年、その数が論文等につきましてはもう飽和状態にあるのではないかという点を追加しております。以上でございます。
 最後は資料1-5でございますが、こちらが全体の議事録の資料になっております。こちらのほう、既にメール等で確認をいただいているところではございますが、更に修正等があれば、改めて御連絡いただければと考えております。以上でございます。
【福山主査】
 ありがとうございました。今、御紹介いただいたのは、まず前回でのこの会で、皆さんからいろいろ御意見賜りました。その詳細が資料1-5、議事録(案)として整理されております。これ、御覧いただいているところですけれども、改めてコメントがありましたら、どんな段階でもいいです、御指摘ください。
 資料1-5に頂いた御意見を論点整理したのが資料1-4。それをもとに、各項目でどういうことをこの作業部会でこれから検討するべきかということが整理されているのが資料の1-3という位置づけになります。御覧いただいて、今、事務局のほうから御説明ありましたけれども、赤字でいろいろ追加がございます。
 このワーキンググループの目的は、このいろいろ課題、重要な課題が整理されていますそれに関して将来のビジョンを提示するという、それがこのワーキンググループの目的です。ということで、この資料の1-3をちょっと御覧いただいて、皆様の今まで御意見いただいたことが的確に整理されているかどうか、御確認いただければと思います。
 よろしいでしょうかね。これから議論する途中で、その都度問題になるかと思います。
 資料の1-2について、これからのタイムスケジュール、今の資料の1-3、かなり整理されたのをもとに、日程まで含めて整理されております。雨宮さんと、本日は欠席されている森さんが、次回?
【神部補佐】
 はい。森委員につきましては本日御欠席となっておりますが、事前に森委員のほうには既にお話をしておりまして、第3回のときにプレゼンをお願いしております。
【福山主査】
 はい。次回に雨宮さんと森さんと。
 それと、前回と今回、今日の議論をいろいろいただくわけですけれども、それを踏まえて、この会でSPring-8の将来のためにいろいろ意見交換する際に、本ワーキンググループの委員に限らずお話を伺いたいと、お話を伺うべきだという方がおられたら、是非そういう方にここに来ていただいて、御意見を賜りたいと思っております。
 先ほど申し上げましたように資料の1-3、これはこれからのガイドラインですので、よく御確認いただければと思います。これは、もちろんフィックスされたものではなくて、これからの議論を踏まえてダイナミックに修正、追加等々されることになると思います。
 先ほど申し上げましたように、議事録に関しては、これは改めて御覧いただいて、コメントがあれば随時お願いいたします。
 それでは、議題に入りたいと思います。SPring-8のこれまでの取組・成果の概要について、前回の評価で指摘された事項への対応状況を含めて、これはJASRI、熊谷さんのほうから御説明をお願いいたします。
【熊谷理事】
 お手元に資料2-1というものがあります。時間もあれですので、かいつまんで説明させていただきます。
 まず1ページ目ですが、これまでの主な取組で、赤い部分が主に加速器のところ、それから青い部分が光源・制御・利用のところということに分けてあります。
 一番初めのスタートが1997年、これが共用が開始される直前ですが、そのときのエミッタンス、ビームのクオリティー、質を決める値ですが、それが6.8という値。それからビーム電流が20ミリアンペア。それから運転条件としては、電子ビームを1日1回だったと思うんですが、朝の9時に入れて翌日の9時にまた入れるという、そういう定時の入射からスタートしました。で、そこにありますように、エミッタンス、それからビーム電流等々が、徐々にエミッタンスは小さくなり、ビーム電流の値は大きくなると。それから、定時入射からトップアップ入射に切りかわったのが2004年ということで、現在までそのトップアップが継続されているということになります。
 加速器に関しては、24回対称が一時48回対称に、それから4回対称、最近は1回対称と。この対称性が下がるにつれて、ビームを安定に回すことが非常に難しくなるということで、現在は1回対称の調整が今スタートしております。これ、BL43LXUという特殊な光源を持ち込むということで導入したものですが、今調整中ということになっております。ただ、43LXUの挿入光源のギャップをオープンにした状態で運転するということに関しては、今問題なく実施されている。で、5月の連休明けからは2.4ナノメーターに入るということになっております。
 それから光源・制御に関してはいろいろな改善が行われておりますが、一つはいろんな装置の自動化、それから光の偏光の切りかえとか、そういう手法の開拓、それから検出器の開拓、これはPSIとの共同研究のスタートが2000年ですが、それからPILATUSというものが実機投入され、現在はこの検出器をメーカーが作って販売しているということです。
 それとともに、昨今の測定、実験の質が大容量化、それから高速化ということになってきておりまして、検出器もその方向に今動いております。500K、いわゆるピクセルサイズが500Kで、フレーム・レートが24Kと、1秒間に24Kまで取れるという、そういう検出器まで開発されてきているということです。
 それから測定手法のほうですが、ピンポイント、それから超高速の繰り返しを可能とするチョッパー開発、これSPring-8の1周が208キロヘルツでビームが回りますけれども、一つ一つのビームのチョップすることができるというチョッパーの開発が終わって、今、実機投入をされております。
 そういういろんな計測手法を足し合わせて、京大のビームラインとか電通大という課題解決型のビームライン、これは専用ビームラインですが、そちらのほうに今、応用されていると。
 それから、利用の自動化とともに、成果専有とか、それから測定代行だとか、それから遠隔にいて試料だけをSPring-8に持ってきて実験をするという遠隔実験システムというのも2012年から開始されております。まあこういう自動化とか遠隔システムが整備されると、恐らく利用は、もっと利用者の数は増えるかと思っております。
 2ページ目は利用の枠組みの変遷でして、1997年、一般課題から始まった利用が現在ではいろんな種類のものがあります。一般成果専有、時期指定、測定代行、それから長期利用だとか萌芽的、これは若手教育用ですが、萌芽的研究課題。そのほかに、重点研究課題というものがありまして、これは主に産業界の方だとか、まあ学術もあるとは思いますが、いろんな分野の初めて使うような人にきちんとまずは使ってもらって利用者になっていただくという、手厚い支援を取ったものですが、そういうものがメディカルバイオとか重点産業トライアル、いろんなところでスタートをして現在に至っております。
 次のページがいろんな分野での2007年から2012Bまでのそれぞれの期における応募課題の数をグラフにしたものです。生命科学、それから医学応用、物質科学、化学、地球・惑星、環境、産業利用、その他ということで、応募を見ていただくと、生命科学と医学応用というのは、年次が2007年から12年にかけて応募の件数が徐々に減っているように見えます。それから物質科学も同じような傾向がある。化学に関しては、2012Bに減っているように見えますが、どちらかというとだんだん最近増えてきていると。それから地球・惑星科学はほぼ一定、環境科学もほぼ一定、産業利用も微増ということですかね、少しずつ増えているような感じになっています。その他というのは、これも分類には入らない分野のものが徐々に減っているということになっております。
 で、これを見ていただくと、物質科学が800課題ぐらいに対して、産業利用というのが500課題。そのうちの産業界は6割ぐらいの課題数になります。
 その次のページは論文の発表状況ですが、1999年から2012年までの統計を示しております。ここの中で一つだけ、数字はそこにありますが、おおよそ現在ですと、論文の発表数が実件数で、例えば2012年は494、2011では761ということになっております。延べ件数は、1本の論文で複数のビームラインを使った場合にはそれぞれにカウントされておりますので、140件ほどの論文というのは、実はビームラインは2本以上使っているということになります。恐らく、これがSPring-8の特徴の一つなのかもしれません。
 次のページが、共用ビームラインごとの論文発表数で、細かく数字が挙がっておりますが、ベンディングマグネットと挿入光源のビームラインで論文の数が出やすいのか、出にくいかということを調べると、多少ベンディングマグネットのビームラインのほうが論文数が多いと。恐らく、ベンディングマグネットのほうが手法がきちんとしているので、定型的な解析とか手法で恐らく論文が出しやすいという傾向にあるのではないかということが言えます。
 それから、先ほど下にある複数のビームラインを多角的に利用した結果の論文が毎年100件と。もう一つは、この複数のビームラインのほかに、複数課題で1論文という割合も結構多くて、2012年というある時期を限定しますと、1論文当たり2.2課題ほどで成果が出ているということに統計上なっております。
 6ページ目が、最近のSPring-8を使った成果ということで、挙げさせていただいているものが、2011年の『サイエンス』誌の10大業績というものにSPring-8を使ったものが二つノミネートされております。これは、いずれも高い分析力というものを利用したもので、一つははやぶさの非常に小さな5ミクロンほどの、その写真にありますが、カーボンファイバーの先についている微小な粒子の分析をしたということ。それからもう一つは、光合成のたんぱく質の構造解析をした。たんぱく質は大阪市大の神谷さん、岡山大の沈さんという二人の方が作ったものをSPring-8で分析をしたという、この二つがノミネートされております。
 アウトプットの事例ですが、7ページに移りますが、先ほどのいろんな装置、それから機器の開発をしてきたということの結果として、ピンポイントの構造解析だとか、QUick XAFS、それからHAXPES、それからナノビーム、これはOSAKA MIRRORというような、石川先生がここにいらっしゃいますが、開発したミラーを使ってナノビームまで収束するという、今はここ100ナノメーターということが書いてありますが、数十ナノメーターまでのビームを収束させることができると、そういう特性を生かしてそれぞれの今、分野に応用することで、それぞれの分野の発展、進展が今、顕著になりつつあります。
 それから、次のページが産業利用ですが、エレクトロニクス、素材、環境、エネルギー、創薬、生活用品、いろんなところにこのSPR4ng-8の光が使われております。主に分析という手法のところで大きな力を発揮しているのが現状となっております。ただこの中に、一つだけ分野として入っていないのが、農業関係というかそういう部分が、食品もそうですが、そういう部分がこれからの分野ではないかと思っております。
 9ページに移りますと、産業利用事例のトピックスということで四つほど挙げてあります。一つは、ポリマーセメントの設計法、コンクリートの水和・効果の経時変化を実験的に明らかにしたものと。それからもう一つは、ここには載っていませんが、コンクリートの発泡、いわゆる中に気泡を入れるというものがありますが、その気泡をどうやって適切に入れるかというようなことです。
 それからヘアケア製品、これは普通の生活用品に適用したもの。
 それから、レーザーピーニングは鋼材の表面改質、ひずみを除去または改質して、疲労に強い金属を作るという、ある意味では産業利用に直結したような使い方もあります。
 それから、産業利用で今拡大しているのが、自動化等に伴う測定代行の拡大というものがあります。現在、産業利用では3本のビームラインがありますが、今年度からですか、3本とも測定代行が実施される予定になっております。この図は、その中のBL14B2と19B2に関する測定代行が期ごとに徐々に増えて増加し、今後ともに増えると思われます。
 それから10ページですが、産業利用の状況ということで、左上の青い棒グラフは企業数、ユニーク企業数です。これを見るとほぼ一定、180から160社ということになっております。ただ中を見ると、この通年にわたって使うメーカーと、それから一時期使って撤退してまた新しい企業があるところから入ってくるという、使い方が2種類ありまして、これが一定ということは、ベースになる、通常使うメーカーさんと、それから一時期入ってきて、利用が終わったら使わない、それから何か課題があって入ってSPring-8を使うという、その二つの部分が一応並行状態になって、160から180社になっているということになっております。
 その右側が利用企業の業種割合ですが、素材、化学・日用品、エレクトロニクス、輸送、機械、医薬品、食料、社会基盤、分析等、それから分類不能というのがありますが、今このカテゴリーに入っていないものということで、この部分はどちらかというと徐々に増えているように見えます。なので、これからこの分類不能というところをきちんと解析して、利用分野の開拓につなげていくことが必要かと思っております。
 傾向等がありますが、そこはそういう今分析があるということになると。
 それから11ページですが、人材育成はどうなっているかということですが、SPring-8で萌芽的研究支援課題、これは大学院の学生を対象として実施しているものです。2005年からスタートしまして、今現在まで7年ほどになっておりますが、そこに左側に大学別利用実績とありますが、こういう大学の大学院の学生が萌芽的研究支援課題で支援を受けているということです。
 この萌芽的課題支援というのは、一人前のきちんとした研究者に育てるということで、SPring-8を使うことで育てるということで、研究計画申請をきちんとしてもらって、実験をして、報告、論文につなげると。その実験に当たっては、大学の先生、それからJASRIのスタッフ等が強力なタッグを組んで支援をしていくというプログラムでございます。
 2005年から2012年までの間にどのぐらいの件数のものがあったかというのが帯グラフになっております。この中で2007年の1年間使われた方がおおよそ48人ほどいらっしゃいますが、その方の現在、2013年でどういうポストに就いておられるかというのを分析すると、48人のうちの20人ほどが大学の教員の方、それから民間の研究所に行っている方が十数人、あとはポスドクの方が六、七人と、それからお医者さんというのもあったり、いろいろとあります。不明の方が6名ほどということで、この萌芽的研究支援がそれなりの役割をきちんと果たしているということが、その分析からわかっております。以上です。
【福山主査】  どうもありがとうございました。いろいろな情報が提示されました。いかがでしょうか。いろんな側面がありますね。
 最初のほうに言われた、この対称性云々というのは要するに電子の軌道のことですか。
【熊谷理事】
 はい。
【福山主査】
 それが、最初24回だった。それを真ん丸1回というのは、真ん丸という?
【熊谷理事】
 いや、そういうことではなくて、普通のシンクロトロンというのは軌道、電子を安定に回すために、あるユニットをつなげていって1周ができるわけです。SPring-8の場合は、88多角形という偏向電磁石が88個ありますので、88多角形になっているんですけれども、その偏向電磁石2台を1組にしてそのユニットと考えると、それが48ユニットあるんです。当初はビームを安定に回すということを最優先にしましたので、電子にエネルギーを与える高周波空洞を入れるということがあって、その部分の安定性をきちんと確保しようということで、本来は48回対称にしたいんですけども、24回対称からスタートしたと。
 一応、安定に回ることが確認できたので、ユーザーにとっては48回対称のほうがエミッタンスが小さくなったりいろんな安定度が高くなったり、ベータファンクションのマッチングがよくなって、輝度が上がるので、48回対称にしたということです。
 それが現在は、BL43LXUというのは30メーターの長直線部に挿入光源を置くんですが、その中に4極マグネットを追加してしまっているので、1周の中にイレギュラーな部分が1か所だけあるんですね。そういうリングに今なってしまったという。
【福山主査】
 ああ、そういう意味ですか。
【熊谷理事】
 はい。
【福山主査】
 そういうふうにするということと、トップアップで安定、インテンシーが安定化するという作業をされたこととは、直接関係していますか。
【熊谷理事】
 リンクしています。
【福山主査】
 リンクしていますか。
【熊谷理事】
 はい。
【福山主査】
 それができて、初めてトップアップになると。
【熊谷理事】
 トップアップということと、その1回対称というのを両立させようとすると、トップアップのときに電子ビームを追加入射したときに、それが損失する量を非常に少なくしないと、壁の厚さが決まっていますので、ユーザーに非常に迷惑をかけると。ですので、入射のときの入射効率を高くしつつ、1回対称も実現しないといけないということで、今そこが、入射効率が今100%と書いてありますが、BL43LXUをきちんとギャップを狭めてしまうと入射効率が80%まで落ちてしまうということで、これをいかに改善するかというのが今重要なポイントになっております。
【福山主査】
 そういう技術は、世界的に見たときにどういう位置づけになるんですか。
【熊谷理事】
 これは、1回対称の放射光リングは多分SPring-8しかありません、今は。30メーターという長直線部を持っている放射光施設がないので、ここが一番。
【福山主査】
 そういう意味では、本当にそういう方向でのフロンティアの技術。
【熊谷理事】
 はい。これができると、どんなリングも可能だということになります、原理的には。
【福山主査】
 うん、そうか。
 それと2ページ目、重点研究課題、確かにSPring-8でいろんな視点でどういう課題をやっているというか聞くときに、こういうキーワードが出てくるんですが、この研究課題は国が提示したものですか、それともSPring-8が独自に計画して展開してきている?
【熊谷理事】
 これは国プロ、高田さん知っています? 国プロでしたっけ? 重点課題は。
 国プロで。
【福山主査】
 全て?
【原室長】
 タンパク3000プロジェクトとかですね、一部は国が直接やっているプロジェクトであります。そのほか、この利用の枠組みについては、役所とJASRI、理研が相談しながら決めることになっています。最終的には国がJASRIの計画を認可するということになっていますので、それ以外の分野については相談しながらその時点時点で決めたということだと思います。
【福山主査】
 ということは、SPring-8の中である程度ターゲットを決めて、それを重点とするという、そういうことも。
【原室長】
 そうですね、それもあると思いますし、役所からお願いをしているものもあると思います。
【福山主査】
 役所からは幾つかありますね。
【原室長】
 はい。それで、両方とも形式としてはJASRIのほうから出していただいて、国が承認すると。例えばタンパク3000は国の直接のプロジェクトですので、国からお願いしている部類だと思います。
【福山主査】
 そうですね。
【原室長】
 両方のやり方があると思います。
【福山主査】
 そういう課題は、コミュニティと意見交換して、どこかの段階でこれをやろうというふうに決めていたんでしたか、どうでしたか。
【西島委員】
 タンパク3000ですか。
【福山主査】
 タンパク3000はどっち、コミュニティが最初、イニシエーターですか。それとも国が、もしあのときは政策的に遅れちゃいけないといって。
【西島委員】
 私の感覚ですと、タンパク3000に関してはやっぱり国プロだと思います。多数の構造解析を実施するということで。当時、5年間で3,000個が目標と聞いたときは、300個の間違いじゃないかと思ったぐらいです。私はタンパク3000の準備委員会、更に推進委員を5年間やったんですけれども、最初の会議のときに目標3,000個と聞いて、到底無理であり、大変なプロジェクトの推進委員になったことを、ちょっと後悔したんです。まあ、それは冗談ですけれども。
 ある意味では、タンパク3000は相当に無理があったかもしれませんけれども、あれによって随分と構造解析に関わる成功体験を積んだことは良かったと思います。それともう一つは、理研が3,000個を解くために理研専用のビームライン2本作るというお話があり、そのタイミングで製薬協がビームラインを1本作るなら便宜を図るというお話がありました。もし、そのお話がなかったら、多分、製薬協はビームラインを1本作らなかったと思います。そういう意味ではタンパク3000の波及効果は高いとの印象です。だから、3000に関しては、国主導と言ってよろしいんじゃないかと思います。
【福山主査】
 今のお話にあった理研、まあオーナー、設置者理研で理研のビームラインもある、その役割分担いろいろあるんですけれども、今日ここで御報告があった論文云々のときの報告は共用ビームラインだけで、SPring-8全体の論文発表等々のデータではない?
【熊谷理事】
 4ページの論文発表は、共用ビームラインと専用ビームライン、それから理研のビームライン、全て。
【福山主査】
 ああ、上のところはそうですね。
【熊谷理事】
 はい。色で区別して。
【福山主査】
 5ページは、これは共用ビームライン?
【熊谷理事】
 これは共用ビームラインだけです。
【福山主査】
 で、これに対応した専用ビームラインのデータは?
【熊谷理事】
 恐らくあるとは思いますが、ちょっと私のほうで取りまとめていないという。
【福山主査】
 ここは、SPring-8全体を絶えず見なきゃいけないから。これ、全体像とか特に必要ですね。
【石川センター長】
 理研のビームラインについては、別途またお話をいたしますが、理研、あと共用以外の専用ビームラインのところの成果をしっかりと追っかけていくというところが多分すごく重要で。
【福山主査】
 必要ですね。絶えず全体を見ておかないと。
【熊谷理事】
 そうですね。
【石川センター長】
 そこがどうやられているのかというのは若干議論の必要なところかと思います。
【福山主査】
 確かにここのワーキンググループは、あくまでもリング全体の活動を見るということですから、その中に幾つか区割りがあるのはそれは一向にかまわないんですけれど、全体のアクティビティー、このマシンをオプティマイズするという点から、絶えず同時に見ておく必要がありますよね。何かこの種のデータは特に、全部それがいつも一緒に見られるような整理が必要ですね。
 具体的ないろいろ成果の話がありました。いやあ、すごいマシンですよね。
【高尾委員】
 一ついいですか。
【福山主査】
 はい、どうぞ。
【高尾委員】
 追加で。先ほど、重点領域をどう決めているかの話ですけども、本当は雨宮先生の話をしていただいたっていいんですけれども、最後から2ページ目、下に「重点グリーン/ライフ」ってありますけれども、これは基本的に第3期計画とか第4期計画を見ながら、JASRIさんがお役所と相談されて決めておられると。何でこんなことを言うかというと、今の走っているビーム、期まで私が主査をやっていたので、そういう説明を受けました。
【福山主査】
 ということは、これはJASRIが。
【高尾委員】
 要するに、国の動きを見ながら、お役所と相談しながら重点領域を決められていると。
【福山主査】
 まあ、だから役所、文科省が最終的に関与するんだけれど、もともとの議論の始まり、出発点のところは、もちろんJASRIの現場。
【高尾委員】
 だけど、その上は第4期計画とか、そういう大きな国の計画の中でのキーワードみたいなところはやると。それを課題選定委員会でこういうことをやるよというのを決めて、おやりになっていると。それを私がやっていたということ。
【福山主査】
 ということは、コミュニティの意向はそのまま反映されていると、基本的に。
【高尾委員】
 むしろ、そうじゃなくて。
【福山主査】
 いや、だからコミュニティ議論するときに、それはもちろん国がどういうことを言っているかというのは、絶えず意識しながら議論するわけだけど。
【雨宮委員】
 コミュニティがどの分野に特化しろとかいうのは、なかなか出てこないことです。
【福山主査】
 だけど、本当はそれやらないと。
【高尾委員】
 やらなきゃいけない。
【雨宮委員】
 いやいや、それはおっしゃるとおりなのですが、コミュニティは多様性があるので、例えばどこかの分野を特化させるということは、もちろんいろんな情報はコミュニティから上げていくけれども、やっぱり決めるのは、これでいこうと上から言ってもらわないといけないという部分は、私はあるかと思っています。
【福山主査】
 その上というのは、どういう上ですか。
【雨宮委員】
 最終的にトップダウンで決めるときに、コミュニティの雰囲気を全然知らずに行政が決めると困りますが、コミュニティがいろいろけんけんがくがくやっていることをうまく情報を取ってもらうというプロセスを意味しています。一方的にトップダウンという意味じゃないです。
 課題選定に関しては、重点課題も一般課題もPRCでやっていますので、同じ枠組みで選定されていると思います。
【福山主査】
 ローカルにはそういうプロセスをきちんとやっている。だけど、大局的な方向性を決めるときには、コミュニティのいろんな意見はともかく出すと。だけど、さっき言われた上というのは、どこかまだ理解していないんだけれど、上はそれをよく見極めて。
【雨宮委員】
 上とは、国、行政という意味です。
【福山主査】
 文科省。
【雨宮委員】
 ええ。
【原室長】
 手続を申し上げますと、JASRIのほうがこういうことでやりたいと。で、こういうことでやりたいというに当たっては、課題選定委員会とかで議論していただいてやるということでありますけれども。JASRIが課題選定委員会に提案するに当たっては、文科省と、例えば国の政策、科学技術基本計画とか、あとはここに書いてある例で言えばタンパク3000がこれから始まるとかいう、その国の大きな政策の方向性を踏まえた上で、JASRIのほうからこういうことを重点課題としたいということをPRし、課題選定委員会に提案していただいて、そこで了承取れたものが文科省に出てきて、了解をすると。
 法的な手続で言えば、PRCで議論していただいたものをJASRIが文科省に提案してきて、それを文科省が了解するということではありますけれども、その提案をするに当たっての事前のいろんな調整の中で、JASRIと文科省が相談させていただいているというのが実態ではあります。
【福山主査】
 そのときに、今おっしゃった、JASRIとおっしゃった。だけど、共用ビームライン、もちろんJASRIでいいんですけれども、SPring-8全体として、本当に世界に冠たる成果を出そうというときに、共用ビームラインのような、今のような視点の方針決定だとあれだと思うんですけれども、それと専用ビームラインが連携して動くのか、全然関係ないのか。リング全体としての活動を社会にアピールするときに、別というわけにいかないですよね。外の人なんて、全然そんなの区別していない。
 石川さん。
【石川センター長】
 よろしいですか。例えばタンパク3000のところに、タンパク3000とその横に「重点タンパク500」というのが書いてございますが、そのタンパク3000という国全体として3,000決めるプロジェクトの中の共用ビームラインで500を受け持ちましょうというのがこの重点タンパク500でございます。で、そのほかの2,500のところは理研側でやるというのがこのプロジェクトであったと。
【福山主査】
 ああ、そういう役割分担。
【石川センター長】
 はい。で、上のナノテクノロジー支援でございますが、これも例えば原子力機構ですとか物材ですとか、そういう専用ビームラインも入って、そのうちの一部分をJASRIの共用ビームラインで担当したという形になっています。
【福山主査】
 だから、そのときにJAEAそれから理研、それの間の連携、まあ連携が必要かどうかも含めて、そこの間の重要なテーマに関して共用でやるのか専用でやるのか、どっちがいいか。テーマによっては何かビームラインの特徴を生かそうとするとか。
【石川センター長】
 大枠としては、SPring-8全体で受けて、それをSPring-8の中にいるいろいろなところが分担するという形になっているんだろうと。
【福山主査】
 パックでちゃんとそれがそういうふうになっていれば、課題によって、これは専用でやる、場合によっては共用でやるという、そこまでフレキシビリティーがあるかどうかというと、そう。
【水木委員】
 補足というか、今の件に関しては、例えば重点ナノテク、あるいはナノテクノロジーに関しては、JASRIの審査委員会にもう一括してそこで決めていますので、そこでこれは原子力機構のビームライン、これは共用のというふうに分かれている。だから、そういう意味では。
【福山主査】
 一括されていると。
【水木委員】
 いや、一本化されています。
【福山主査】
 それはいいですね。だから、そういう意味で、課題によってそれに適したビームラインで実験できるような仕組みにはなっていると、そう理解していいですか。それは大事なところです。
【雨宮委員】
 さっきのトップダウンとユーザー視点とに関して一言付け加えます。一般課題を出すユーザーの立場から見れば、特に重点課題を作ってくださいという要望は上がってこないと思います。また、自分たちのテーマで一般課題を出す時に、重点課題の割合が大きくなって、一般課題の割合が少なくなり過ぎることは懸念事項ですけれども、今の場合にはある上限を決めてやっているので、それであれば一般課題がそんなに押されないのだからいいであろう。また自分の課題が重点課題のキーワードに絡むのであれば、重点課題に出しに行こうという形で、今のところバランスがとれていると思います。しかし、重点課題のシフト数が大きくなり過ぎて、一般課題が切迫する状況になることはまずいと思っています。
【福山主査】
 今までそういう問題はなかったと。
【雨宮委員】
 少なくとも、ある上限を設定して、重点課題で取れる枠には制限をかけています。
【福山主査】
 そういう観点で、共用、専用、理研云々のビームラインの区別というのはどのくらい意識されるか。
【雨宮委員】
 少なくとも私が関わっているのは共用におけるテーマ選定だけで、専用はそれぞれ別の専用のコミッティーがやっているので、そこは私は見えていません。
【福山主査】
 だけど、さっきのお話は、テーマによってはそのテーマの特徴にフィットしたビームライン、専用、共用、関係なく選ぶという、そういうこと?
【水木委員】
 今の例えば重点課題に関するナノテクのテーマに関しては国のプロジェクトがあって、そこでまずSPring-8全体で評価して、そして適当なテーマができるビームラインに振り分けるという、そのナノテクの枠に関してはそうしていました。
【福山主査】
 そこはちょっと、テーマがちょっと違うことがあったのかな。
【田島委員】
 ちょっといいですか。
【福山主査】
 はい、どうぞ。
【田島委員】
 多分、この重点課題という意味は、SPring-8全体としてこういう課題を重点的にやりましょうとJASRIなりが決めるというのではなくて、国プロがまずあって、国プロを推進するためにSPring-8が必要だとなったときに、優先的にその枠を提供しましょうという、そういう感じだと私は思いますね。
【福山主査】
 そういう受け止めでよろしいんでしょうか。
【田島委員】
 ちょっと言い方は難しいですけれども、例えば科研費のように、ピアレビューをして研究者自身がこういうものを重点的に今後5年間やりましょうと決めるという、そういう仕組みはないと思います。
【福山主査】
 さっきの高尾さんの話で、国プロといっても国から来る、上から来るんだけれども、国がそういう決断をする際にはコミュニティのいろいろな活動、意見が十分反映されて、形としてはそういう固まりのテーマがオファーされる、そういうことでしょうか。
【高尾委員】
 ちょっと補足しておきますと、重点ライフとナノテクは、今21本か22本かだったと思いますけれども、共用ビームラインが使われています。それで、こういう分野を重点にするからイノベーションにつながるよということを、応募者がそう思ったら重点課題へ出してくださいということになっていまして、範囲を決めるのはまず選定委員会のほうで決めていただいて、応募してきた中から本当に重点課題に該当するかという審査をここでやっています。だから、この重点に合うと思う課題を選ぶという作業を審査委員会でやっています。ものすごく大きなナノとライフという枠組みの中で、しかもイノベーションにつながるということが見える課題を選ぶ作業をやっています。
 だから、今全体でビームライン当たり5%ぐらいだったと思うんですけれども、そういうのでやっていまして、全てのビームラインで5%になるようにはなっていません。それは審査を結構厳しくやっていますので、ということです。これから次はどうなるかわかりませんけれども、少なくとも4回やりましたけれども、4回はそういう考え方で選ばせていただきました。
【福山主査】
 SPring-8みたいにこういう公共財みたいな、公共財をフルに使うときにこういう審査をやる。それから国は国としての方針がある。そういういろんな視点があるときに、こういう固まりのプロジェクトをやるということに関して、今までのやり方で特にこういう問題点があったという、そういう認識はどなたもお持ちでなくて、まあテーマによっていろいろこう色合いは違うかもしれないけれども、やり方として、枠組みとして特に問題点はなかったということでよろしいんでしょうか、石川さん。
【石川センター長】
 今はとってもよくなっているんですけれども、昔、国プロから運転費が別個に来ているときがあって、それをやられると大変困ったことになるわけです。で、今は量研室でまとめていただいて、一本化された形で来るわけですが、例えばあとライフ課からタンパク3000のための運転だみたいな形で運転費を頂いたこともございまして、それが始まるともう非常に大変なことになりますので、是非量研室に頑張っていただいて、一本化を続けていただきたいと。
【福山主査】
 これは工夫しなきゃ、大変大事ですね。そこさえうまく量研室で整理していただければ、研究者のレベルでは非常にいい仕組みだと、特に問題はないと。わかりました。これは、これからもいろんな議論のときに出てくるかと思います。ちょっと時間を使いました。
 次に進めさせていただきます。理研のほうから、今度は石川さんのほう、御説明ください。どうぞ。
【石川センター長】
 では、資料2-2に基づきまして、施設及び設備の整備・高度化についてのお話を、私のほうから10分ちょっとでまずさせていただいて、その後議論をしていただきたいと思います。
 まず1ページ目、SPring-8老朽化への対応ということで、建設以来15年がたちますと、だんだん老朽化が進んでおりまして、それをやっつけながら今運転をしているというところでございます。細かいお話はいたしませんが、いろいろなところで老朽化が進んでいる。で、それを新しいものに置きかえて、単に復旧するのではなくていいものにしていくというのが現状やっていることです。
 2ページ目に行っていただきますと、SPring-8の運転時間でございますが、これは何回もいろんなところでお見せしている図でございますが、ここで申し上げたいのは、ピンクで細い線になっているダウンタイムのところが非常に少ない状態でずっと保たれていると。これは適切な維持管理、あと老朽化対策が行われて、初めてこういうことが実現するものでございます。
 3ページ目でございますが、次を見据えた対策ということで、老朽化したものを新しいもので置きかえていいものにするということをいろいろと考えてございます。特に平成24年の補正予算で、加速器の冷却・空調システムのうちで蓄積リングの空調及び冷却系機器の更新を行っております。これは15年前と今では、こういう空調機器、冷却機器の効率が非常に違うものでございますので、これを置きかえることによって、今後の電気代高騰にかなりいい方向に動くものだと思っておりますし、例えばSPring-8が次期計画になったときにも、これは使えるものと考えております。
 これからクライストロンの高圧電源の更新を考えてございますが、これも壊れますと非常に大変なことになりますので、予防的にこういうものの更新を考えています。これも、十何年たちますと随分省エネになっているということと、次の計画にも使えるだろうということで、この更新を考えております。
 次のページでございますが、SPring-8、15年たちますと、非常に国際競争が加速しておりまして、一番上にESRFの状況が書いてございますが、最近のこのESRFで蓄積リングの高度化、アップグレードの計画が発表されまして、この蓄積リングを使ってESRF周長840メートルで100ピコメートルラジアンという、ERLをしのぐ光源性能が可能だということがかなり確実になってきております。そういうものをSPring-8に当てはめてみますと、100ピコメーターラジアンをはるかに下回るエミッタンスが可能になるのではないかと考えております。
 回折限界リングとそういうものを呼ぶわけでございますが、それとEnergy Recovery Linac、線形加速器との比較をしてみましたのが次のページでございます。蓄積リングを使いますと、安定度とか信頼性が非常に高くなる、消費電力が小さくなるというような特徴がございまして、光源性能はほぼ同じでパルス幅が若干長いのですが、時間を究極に追求するところはむしろXFELの世界だと思っておりますので、XFELと回折限界リングを組み合わせるというのが一つのソリューションではないかと考えているわけです。
 次のページから、ESRFがやったことのちょっと細かいデータが幾つかございますが、SPring-8ではマルチベンドをたくさんにすることによってエミッタンスを下げることをずっと考えてきたわけでございますけれども、ESRFから出てきた提案は、マルチベンドはある程度に抑えてほかの方法を幾つか組み合わせていくとかなり小さいエミッタンスになるよということが出てまいりました。
 次のページでございますけれども、このメリットは安定領域が非常に広いと、あと現実的な電磁石の強さで収まる、非常に実現可能性が高いものがもう既に設計段階としてあるということでございます。
 次のページでございますが、このDiFFraction Limited Storage Ringの国際ワークショップというのを今まで昨年度2回、ESRFで1回、SPring-8で1回やっておりまして、ここでほぼ技術的なことが固まって、あと新しいサイエンス、サイエンスがどう広がっていくかというような議論が始まっております。第3回を9月にSLACで行う予定です。
 その次のページでございますけれども、ESRFがアップグレード計画を既に始めております。既に始めておりまして、2020年1年間で、この入替えだけに約100ミリオンユーロかけて行うと。もちろん、その前にもの作りのお金がかかるわけでございますが、こういう計画がESRFから出てまいりまして、これは進む方向になっています。
 こういうことを考えました上で、「SPring-8Ⅱ」というものを考えていくわけでございますが、それが10ページでございまして、大きく三つ、放射光利用の裾野を拡大していくということと、あと国際的な研究開発競争の先端ツールをしっかりと作る。もう一つ、SPring-8の非常に大きな特徴でございますSACLAとの相互利用の需要拡大に応えるということを目的にして、「SPring-8Ⅱ計画」を考えています。これは、科学技術の進歩に応え、我が国独自の戦略的な光源をタイムリーに稼働させるものだと思っているわけです。
 その次の11ページに、この技術革新への基本戦略ということでまとめてございますが、ここのも三つ、ESRFとほぼ重なるわけですが、マルチベンドの緩和、電子ビーム安定領域の確保。で、ESRFが考えていない新たなエミッタンス低減策の導入ということを考えて、ESRFはある意味で桁でしのぐものを作っていくというのが、今の基本的な考え方です。
 その次の2ページは、非常に細かい話になりますので、目標だけ。100ピコメートルラジアンを下回るエミッタンスを現実的な電磁石パラメータとスペーシングで実現するという目標を掲げて、そういうことをいろいろ考えてみますと、下に書いてあるようないろいろなことをするとできるだろうというのが結論です。
 で、13ページ、安定領域の確保でございますが、今の第3世代放射光源と同じレベルのダイナミックスタビリティーの確保と誤差に対する感度の達成を行うと。これも下にいろいろなことが書いてございますけれども、こういうことを考えていくとこれも達成可能だろうということでございます。
 で、達成可能な条件で設計目標を立てていきますと、14ページでございまして、今のものから大体90倍から300倍よくなる。で、300倍を考えると、23ピコメーターラジアンという値が出てきます。これは、ESRFが100ピコメーターラジアンでございますので、その4分の1程度のものが余り無理をしないでできるだろうというのが現時点での結論でございます。
 このスケジュールと予算でございますけれども、要素技術開発を始めて5年程度で機器製作が始まって、その以降5年あれば、もう利用技術の開拓に移れるというようなことを考えております。一番ゆっくりやって、まあこんなものかなというところです。
 最後に、このSPring-8ⅡとSACLAが広げる利活用ということで、SPring-8ⅡとSACLAを組み合わせることによりまして、原子、電子レベルの非常に速い変化と、あと系全体のマクロな現象をつなぎ合わせることが可能になります。もちろん、このSPring-8Ⅱの入射器としてSACLAを活用するということは当初から考えていることでございますので、入射部分、非常に高性能入射器としてSACLAの線形加速器を使うということを考えてございます。そのためのビーム輸送試験をこの秋に開始する予定でございます。以上、簡単でございますが。
【福山主査】
 ありがとうございました。新しいSPring-8Ⅱの計画の概要に関して御紹介がございました。いかがでしょうか。
【西島委員】
 途中で退席する前にちょっと聞いておかないと思い、発言いたします。いい方向に行くというのはすごくいいことだと思うんですけれども、お金も伴うことですから、確認させてください。9ページに書いてあるESRFが夏から1年かけてリングを改造する計画というのは、これはそれをやっている期間にESRFは止まるということなんでしょうか。
【石川センター長】
 止まります。
【西島委員】
 ですね。
【石川センター長】
 はい。
【西島委員】
 ということは、日本においても当然止まるということですね。
【石川センター長】
 日本においても、当然止まります。
【西島委員】
 止まりますね。
【石川センター長】
 止まります、はい。
【西島委員】
 そうなると、夏休み云々の問題ではなくて、例えばヨーロッパの場合はESRFの近くにスイスの放射光施設もありますし、そもそも陸続きで、幾つかの国が集まってESRFを使っているものですから、改善のために止まることについては合意がとれていると思います。けれども、日本の場合もPFがありますが、PFも正直言うとかなり老朽化しているという問題がある。そうすると、PFとの関係をここで議論する必要はないと思うんですが、国全体の放射光施設群におけるPFの老朽化とか、そういう課題を総合的に考えていかなきゃいけない部分が出てくるとの印象です。
【石川センター長】
 それはおっしゃるとおりだと思います。だから1年を止めても、後でちゃんとメリットがなければもちろん止めることはナンセンスですし、あとその1年をどうするかということは、多分ここで議論することではないと思いますが、皆さんでよく議論していただきたいと。
【西島委員】
 そうですよね。それで、要するにいい話であるならば、思い切ってSPring-8を止めてしまって、改善するという判断もあるでしょう。しかし、製薬会社の場合は特許戦略等を考慮すると、1年間じっとタンパクの構造解析を控えるということはあり得ないと思います。そういう意味でも、ユーザーコミュニティとしてどういうリスクを考慮すべきであるのか十分に承知しておくということは必要だと思いますね。
【石川センター長】
 はい。
【福山主査】
 そうですね。そういう観点で、HMBという、ハイブリッドマルチベンドって、これどういうのかわからないんですけれども、今あるリングの要するに、基本的な構造はもちろんそのままで、マグネットの部分の改修というか入れ替え、基本的にはそういうパターンの作業なんですか。
【石川センター長】
 ビームのエミッタンスが小さくなるということは、エレクトロンビームが小さくなりますので、全体を小さくできます。そうするとマグネットもコンパクトになって、必要な電力量もわっと減って、ということが起きます。ですから、マグネットだけを換えるんではなくて、全体を小さくしていくことによってビームがよくなる、エネルギー消費量が減るということを狙っていきたいと。
【福山主査】
 それを、ビームを狭くするためには、どういう工夫がキーポイントなんですか。
【石川センター長】
 これは、一つはですね、先ほど申し上げたものです。
【福山主査】
 確かに、仮にビームが細くなればそういうことができるって、逆に思うんですけれども、もともとそういうビームを出そうとしていたんでしょうか。
【石川センター長】
 ビームを細くするために、マグネットを分割して、まず今は1セルに二つのベンディングマグネットがあるチェスマン・グリーンというのを使っているんですが、まずそれを幾つかに増やしてあげる。で、今は3の場合と4の場合と考えているんですが、それと、あとRF系を換える、ここに14ページにいろいろ書いてございますけれども、最初は、ビームエナジーを下げてしまうとエミッタンスは下がると。今アンジュレータテクノロジーが発達しておりますので、エネルギーを下げても高いエネルギーのX線が出るようになっています。ですから、8GeVでなくて、まず6GeVにすることによっても今と同じX線が出るので、エレクトロンビームのエネルギーを若干下げることによってビームは小さくなる、それが最初。
 で、次のベンディングアングルというのは、マグネットを増やすことによって、一つのマグネットで曲がる角度が小さくなると、これは3乗に効きますから稼げると。で、次がダイポールフィールドのオプティマイゼーションで2倍ぐらい稼げて。もう一つ、エレクトロンビームの広がりを抑えるダンピングを増やすことで1.4倍程度。あと、ダンピングパーティションナンバーコントロールということをやると2倍程度。で、オプティクスのオプティマイゼーションをやると1.何倍か。
 こういうのを全部組み合わせてあげると、90倍から300倍よくなるという計算でございます。ですから、どれが一つだけを換えるんではなくて、ほぼ全部を入れ替えてあげることが必要になります。
【福山主査】
 そういうやり方が、今日のお話だとESRFの基本的な考え方が出てきた。それと、どこが違うんですか。
【石川センター長】
 ESRFでもほぼ同じなのですが、多分ダンピングパーティションコントロールのあたりとか、あとダイポールフィールドオプティマイゼーションなどのやり方がちょっと違うと。で、ESRFでも幾つかを組み合わせているんですが、我々のところではそれにまたつけ加えて、一つ、二つ新しい要素を入れているというところでございます。
【福山主査】
 そこの日本の独自性が可能なのは、何がもとなんですか。日本でどういうことがあるから、ESRFよりもいいものをそこはできるという、一番肝腎なポイントは何なんでしょうか。
【石川センター長】
 一番肝腎なポイントは多分周長がでかいことで、スペースがたくさんある。ESRFは840メートルの中に全部収めなければいけないんですが、我々は1.4キロというスペースを持っています。ですからマグネットを置くにしても、自由度が結構ある。
【福山主査】
 そういうことが。
【石川センター長】
 いろいろ工夫ができるという。
【福山主査】
 できると、そうか。基本的なコンセプトはESRFと変わらない。だけど、更にオプティマイズするときにいろいろ工夫する、その実空間が広くとれると。
【石川センター長】
 はい、実空間が。
【福山主査】
 だから、可能性がより。
【石川センター長】
 はい。
【福山主査】
 それで100倍近くあると。
【石川センター長】
 はい。いやいや、100倍はいってないですが、四、五倍ですが。
【福山主査】
 ああ、そうか、23と、はい。23と100。
【石川センター長】
 はい。
【福山主査】
 そうか。で、6GeVでやる、ESRFは何GeVでオペレートするんですか。
【石川センター長】
 ESRFも6GeVで考えています。
【福山主査】
 だから、彼らとしてはリングのキャパシティーそのまま。
【石川センター長】
 そのまま。で、我々はそこも余裕がある。
【福山主査】
 だそうです、ごめんなさい。皆さん、どうぞ御質問を。
【水木委員】
 いいですか、ちょっと細かくなって申し訳ないけれども。ビームラインのほうに、リングがよくなってきたときに、今のビームラインのコンポーネントはどのくらい変える必要があるのか、あるいはほとんど変えなくていいのかというのはどういう状況ですか。
【石川センター長】
 最初は今のビームラインのコンポーネント、今のというか、今ビームラインもだんだん改良をしているわけですが、改良型のビームラインがまずSPring-8Ⅱのイニシャルのフェーズに対応するように作る、作っていると思っています。
【水木委員】
 で、場所はもう同じ場所ですか。
【石川センター長】
 少なくとも、インサーションデバイスに関しては、場所は同じところに取るということで進めています。
【雨宮委員】
 ESRFとSPring-8Ⅱの周長の800mと1,400mの違いが、その改造予算に効いてくるのですか。ESRFだと改造は128億円になっていますが。
【石川センター長】
 ESRFのそこに書いてある予算はコンポーネントを作る予算が抜けていて、入替えだけの予算。
【雨宮委員】
 入替えだけ。
【石川センター長】
 はい。我々のはコンポーネントを作るところから全部の予算を書いてあるので、ちょっと紛らわしいんですが。
【福山主査】
 ほかにはいかがでしょうか。
 さっきの話にちょっと戻るんですけれども、ESRFとこのSPring-8Ⅱを比べたときに、日本に既にある、あるいは開発されつつある素材、ほかの国にない特別の性能を持った素材を、例えば典型的にわかりやすいのはマグネットに使うことによって、材料科学の進展がこういう大きな施設の次の目標を実現するときに有用、役に立つとかいう側面はあるんでしょうか。
【石川センター長】
 SACLAがいい例だと思うんですが、SACLAのアンジュレータというのは日本のいわゆるNEOMAX、あれがあって初めてできたわけです。
【福山主査】
 ああ、そうですか。
【石川センター長】
 はい。で、SPring-8のインバキュームアンジュレータもそのNEOMAXがあって初めてできるわけでございますけれども、SPring-8はNEOMAXとはなかなか長い間のコラボレーションをやっておりまして、ある意味で高温になっても磁力を保つような磁石というのを、まあ特別開発段階のものを使わせていただいているというところがあります。
【福山主査】
 これはインターメタリック、佐川さんのところ?
【高尾委員】
 そうです、日立です、これ。
【石川センター長】
 日立金属。
【福山主査】
 日立か、実際は。
【石川センター長】
 はい。
【福山主査】
 それから、日本で開発されたすばらしい素材、今の場合は世界最強の磁石、それを我々持っているわけですけれども、更にそれをよくする努力がずっと行われている。そういう段階での材料が、今度はリングの開発、新しいタイプのリングを作るときに役に立つと。で、これができると、今度は更にいい物質開発の活動が次のステージであってという、そういうサイクルのいい例になる。
 そうか、XFEL、SACLAもNEOMAXがあって初めて。
【石川センター長】
 はい。あのサイズになったというのは、NEOMAXで短周期のアンジュレータ、で、十分な磁場がエレクトロンビーム上にできたというところで初めて可能になった。
【福山主査】
 すばらしいことですね、大変。
 何か、はい、高尾さん。
【高尾委員】
 ここは中間評価の会議なんですけれども、未来の話ばっかりになっていますけれども。未来としてSPring-8Ⅱになったときに、今のユーザーが撤退しなければならない人もいるかもしれないし、それから維持できる人と、それから新たなユーザーになる人、その辺が多分バランスを設計しないと駄目だと思うんですけれども、その辺はどのように今お考えになっていますか。
【石川センター長】
 これ、多分世代が変わるごとにいつも同じ議論をしなきゃいけないと思うんですが、多分本当に新しいことをやる人たちは20%だろうと。で、今やっていることは原理的に全部できるようにしておかなければいけないと思っています。
【高尾委員】
 ありがとうございます。
【山田委員】
 すいません。
【福山主査】
 はい、山田さん、どうぞ。
【山田委員】
 その点に関してなんですが、やはりユーザー全体を、日本全体の放射光施設でどうキープしていくかという観点をきちんとやっておかないと、一施設だけの問題で捉えているとちょっと見逃すところがあるかなと考えています。
 前回も私、言ったんですが、利用者数がサチり始めているとか、そういうような状況をその一施設だけで考えるんじゃなくて、日本全体の施設でどういうふうに例えばユーザーの移り変わりがあるのかとか、それからまあ論文数に関してもそうなんですが、やはり内容をきちんと見ていかないといけない。SPring-8だったら、例えばまあサチっているとはいえ、非常にフラグシップサイエンス的な論文がきちんと出るとか、そういうようなところをやっぱり見ていかないといけないんじゃないかなと、そういうふうに。だから、日本全体の放射光施設としてどういうふうにユーザーをバランスとってキープしていくか、増やしていくかという観点がかなり重要なんではないかと思うんです。
【福山主査】
 どうもありがとうございました。
 今の点、このSPring-8の中間評価は、このワーキングは確かに議論の対象はSPring-8ですけれども、それを議論する際に、絶えず日本全体での研究活動を念頭に置いて、その中でのこの施設の在り方、変化の仕方、それを議論しなければいけない。確かにSPring-8にはその責任があるということと理解してよろしいですか、山田さんが言われたのは。
【山田委員】
 PFにもその責任があると。
【福山主査】
 はい。あえてここはSPring-8、まずここの委員会ではコミュニティ全体を考えてください。はい、そのうちPFのことも、またあらわに議論になる場合もあるかもしれません。どうもありがとうございました。
 続いて2-3に関しても、石川さん、お願いします。
【石川センター長】
 続きまして、ビームラインの整備・高度化についてということで、やはり短いお話をさせていただきます。資料2-3でございます。
 まず、共用ビームライン・専用ビームラインの利用状況というのが1ページ目にございますが、まず緑の棒グラフが共用ビームラインの利用研究課題数で、緑の折れ線グラフが共用ビームラインの本数でございます。この年次変化を見ています。ダイダイ、オレンジの棒グラフ、折れ線グラフが専用ビームラインの利用研究課題数、専用ビームラインの本数でございます。
 この緑同士、赤同士を比べていただきますと、大体やれる利用課題数がビームラインの本数にほぼ比例しているということがわかります。共用ビームライン、専用ビームラインともに、本数が増えると課題数も増えると。で、最近では専用ビームラインの新設、増設、新規増設が行われておりまして、特に課題解決型ビームラインが増えているわけでございます。
 次のページに参りまして、前回の中間評価以降に整備されたビームラインを書いてございますが、これ共用ビームラインは1本もございませんで、専用ビームラインが上から豊田、フロンティアソフトマター、東京大学の放射光アウトステーション物質科学、革新型蓄電池先端基礎科学(京都大学)、これはNEDでございます。同じくNED関連、電気通信大学の先端触媒構造反応リアルタイム計測。で、今まだ調整中でございますが、大阪大学のレーザー電子光Ⅱ、これは核物理関係のビームラインでございます。
 それに加えまして、理研のビームラインといたしまして、理研のターゲットタンパクビームライン、これはターゲットタンパクの国プロで作ったビームラインでございます。もう一つが理研の量子ナノダイナミクスビームライン、これは先ほどございましたBL43という長直線部に特殊なアンジュレータを入れて、非弾性散乱のために作っているビームラインでございます。
 こういうものが整備されているわけでございますが、この専用ビームラインというのはもちろん勝手に作るというわけではなくて、登録施設利用促進機関、JASRIの下にある選定委員会、この下に専用施設審査委員会というのがございまして、以下の審査、そこに書いてございますような審査基準に基づいて設置しているものでございます。こういうものをJASRIさんのほうで審査していただいて、最終的に大家でございます理研が承認するという形で専用施設ができ上がっております。
 次のページでございますが、共用ビームラインの今後の整備・活用の方針を決める上で、論文数と採択数がビームラインによってどう変わっているかということを分析してみました。そうしますと、採択数と論文数はだいたい比例するというのが、非常に大まかな傾向でございますけれども。この左側の絵を見ていただきますと、緑色で囲ってございます論文数が採択数に比べて非常に多いんだけれども論文数が少ないグループ、これは産業利用のビームラインでございまして、産業利用だとそういうこともあるかなと。その下にございます黄色で囲っている三つが、利用が論文成果に余り結びついていないビームライン群かなということで、このあたりは今後、若干の立ち入った分析が必要ではないかと考えております。その比例関係から逆側に外れる赤の部分が、利用が非常に効率よく論文に結びついているビームライン群かなということが言えると思います。ですが、非常に多くのビームラインは採択数と論文がほぼ比例関係にある、ダイアゴナルなところに乗っているというのが今の結果でございます。
 今後、いろいろな分析が必要だと思いますけれども、この成果を出していくということに関しましては、この成果公開の厳格化が既に実施されているわけではございますけれども、非常に混んでいるところに関しましては、この混雑緩和のための追加整備でありますとか、あと成果に出ているものを加速するための追加整備を行っていくことが必要かなと考えています。もちろん、利用が論文成果に結びついていないビームラインに関しましては、その原因を分析して、改善の方向を探っていくということが必要だと考えております。
 前回も申しましたように、このビームラインの循環システムの枠組みを構築いたしまして、SPRUC等ユーザーの皆様の意見も取り入れつつ、このビームラインをどう作り変えていくかということを考えていく必要があると思っています。
 次が、前回からリクエストのございます理研ビームラインについてでございますが、理研ビームラインの考え方は、光科学の先端拠点として最先端の研究開発を行っていくと。世界に先駆けての最先端の放射光利用技術開発を行うということでございまして、毎年約100件の内部利用研究課題を採択してございます。
 理研ビームラインとして運用しているものはそこに書いてあるものでございますけれども、まずいろいろございますけれども、17というのが軟X線のビームラインです。ここは、軟X線の発光分光ですとか、あと最近では液体の光電子分光を世界に先駆けて確立しております。
 BL19番というのは、30メートルアンジュレータの一番初めのビームラインでございまして、超高輝度X線光源を用いたいろいろな物性実験が行われているわけでございますが、そのSPring-8のヒストリカルに見ると、放射光の世界でヒストリカルに見ると、30メートルのアンジュレータを実現したということが非常に大きくて、これがその長いアンジュレータを使うSACLAにダイレクトにつながっているわけでございます。
 その下の理研構造ゲノム1、構造ゲノム2というのは、先ほど西島先生から御紹介がございましたタンパク3000のときに作ったビームラインでございまして、これはベンディングでございますが、ロボット等を導入いたしまして、非常にハイスループットな構造解析を行うということがやられております。
 その下のBL29、これは理研の物理のビームラインで、1キロメートルのビームラインでございますが、これもヒストリカルにはX線でコヒーレンスというのが、このビームラインで世界的にも始まったようなところがございまして、このコヒーレンスを使ったオプティクスとして、大阪大学と協力して、いわゆるOSAKA MIRROR等への開発に使われております。現状では、この1キロメートルでありますと、10ナノメートルを切るようなフォーカスが可能になっているわけでございますけれども、そこで使われた技術をSPring-8の共用ビームラインに持ってきますと、数十ナノメートルのフォーカスというのができまして、そういうものを皆さんに使っていただいているということがございます。
 一方でこのビームライン、1キロメートル先でエレクトロンビームが見えますので、モニターとして非常にいいということで、光源、加速器の人たちと協力して、以前、光源の安定化に使ったことがございます。
 右側に行きまして、BL32というのは、ターゲットタンパクの国プロで整備しておりますたんぱくのマイクロビームビームラインでございまして、たんぱくのビームラインとしては世界最小のビームサイズでございまして、数ミクロンのたんぱく結晶で構造解析ができるという性能を持っています。
 次のBL43というのが、先ほど御紹介のございました、非弾性散乱を測定するためのビームラインでございまして、これは今整備中で、ようやく動き出したところです。
 次の44B2というのは、最小構造生物のビームラインとして整備されたものでございますけれども、最近物質科学に転用されまして、パウダーの構造解析装置が入っております。
 その次の45XUというのは、理研の一番古い構造生物のビームラインの一つでございまして、古くはロドプシンの構造解析、たんぱく、GPCRの世界で初めてのデータをここで出したわけでございますけれども、最近では主に小角散乱に使われています。こういうものが、理研ビームラインとしてあるわけです。
 次のページが、かなりあれなんですけれども、理研ビームラインの論文発表数をビームラインごとで最近5か年の論文数を一番上の緑のところに書いて、そのうち、その中でハイインパクトファクターのものがどれだけあるかというのを下にまとめてございます。5か年で、『ネイチャー』、『サイエンス』が全部で7つ。あと、最近出てきましたネイチャー何たらというのが幾つかというような感じになっています。
 この理研ビームラインの成果でございますけれども、まず一つはコヒーレンスを使ったいろいろなイメージングでは、ある意味で世界の先端を走っていまして、特に最近では理研と大阪大学の共同研究ということになっているんですが、これは理研の基礎特研にいた方が大阪大学の准教授で出たので共同研究になっているというX線タイコグラフィー、コヒーレントなビームで結晶でないもののイメージを、広がったものでもナノレゾリューションで見えるというようなことをやっておりまして、こういう方法がSPring-8及びSACLAを用いた生体試料の高分解能観察への応用が始まろうとしています。
 二つ目が、磁石でない磁気記録を可能にする新しい記録材料の可能性ということでございますが、カドミウム、オスミウムの酸化物の結晶構造、これは理研の物理化学ビームラインで磁気散乱をはかった結果でございます。この磁気散乱をはかるところも、このSPring-8は高性能アンジュレータと、あと高性能偏光素子の組合せで、非常に特徴ある仕事が非常にたくさん出てきているわけでございますけれども、その偏光素子の開発等はかなり古く、非常に早い段階で理研のビームラインで行って、それが共用ビームラインに広がったという経緯がございます。
 最後のページに、この理研ビームラインで世界に先駆けて開発された技術が幾つかまとめてございますが、硬X線の光電子分光、これはSPring-8中に広まって、いろいろなところでお使いいただいております。
 超高精度ミラー光学系、これ先ほど申しましたOSAKA MIRRORでございますが、これも理研のビームライン、1キロ先ですと7ナノまで行くわけでございますけれども、普通のところでも100ナノを切るような集光ビームを作って、皆様にお使いいただいているというわけでございます。
 コヒーレント回折イメージング、これは結晶性を持たないものをナノレベルでイメージするという技術でございますが、これもこの先駆者でございます、今UCLAにおりますジョン・ミャオと一緒に理研のビームラインを使って進めまして、世界で初めて3Dのイメージをとるなど、いろいろな発展が理研のビームラインでありました。
 非常に最近の例でございますが、非線形のX線光学というのが始まりまして、非線形、フォトンのダウンコンバージョンを使ってあげると、いろいろなことがアトミックレゾリューションでどのエレクトロンが何をやっているかが分かるというようなことがございまして、これもSACLAを利用して、レーザーを利用しますといろいろな非線形光学が出てまいりますので、今後大きく発展していくものだと考えております。以上でございます。
【福山主査】
 どうもありがとうございました。いろいろなお話がございました。いかがでしょうか。
 どうぞ。
【雨宮委員】
 共用ビームラインと専用ビームラインの比較の1枚目でビームライン数の比と課題数の比を考えると、共用ビームラインの混雑感が高いという気がします。SPring-8のユーザーの層を広げるという意味で、SPring-8全体のビームラインの半分が共用という割合を、もう少し多くてもいいのではと前々から感じています。共用ビームラインの数を増やすと、それをサポートするインハウススタッフの数が足りない等の問題があるかも知れませんが、SPring-8全体の利活用を最適化・最大化するという意味では、もう少し共用ビームラインの数が増えてもいいという印象を持っています。
 課題解決型の専用ビームラインや、出口指向の明確な専用ビームラインの役割の重要さを否定する訳ではありませんが、もう少し共用ビームラインの数が多いと良いという印象を前々から持っています。
【福山主査】
 SPRUCを預かる雨宮さんとしては、それが非常に強く意識されると。このことに関してはいかがでしょう、御意見。
 確かに、一般的にそういう印象を持たれる、これは事実だと思う。その理由、理研のビームラインの使われ方、役割が共用ビームラインと違っていて、そのために専用ビームラインもぎりぎり、中では混雑しているんだというそういう状況があるんでしょうか、どうなんでしょうか。つまり混雑度という意味で、共用と専用で、確かにちょっと見ると、専用のほうが余裕があるんじゃないかという見え方もするかもしれない。それに関して、当事者はどういうお考えでしょう。
【石川センター長】
 余裕度をどういうメジャーではかるかが問題なんですが、専用ビームラインのミッションというのは、ある意味で失敗するかもしれないことを切り開いていくところも一つのミッションなので、共用ビームラインでそういうことが多分できなくなっているというところが、むしろ問題だなと。
【福山主査】
 そういうことというのは?先端的な、開発的なこと?
【石川センター長】
 開発的なというか、海のものとも山のものともわからないことっていうのを、始めてみないと広がらないところがございますよね。
【福山主査】
 それに関して、雨宮さん、どうでしょうか。
【雨宮委員】
 確かに、共用ビームラインでビームタイムをもらって実験するユーザーの立場から見れば、リスクのあることはあまりできないし、また学生を教育する時間的な余裕はない。要するに限られたシフト数で成果をいかに出すかという、いい意味でのプレッシャー、時には、強迫観念みたいなものが多分専用ビームラインよりは強いと私は思っています。
 あと、私の理解ではなぜ共用ビームラインの数が頭打ちになったかというと、文科省が予算を出さなくなったというのが端的な理由で、それでSPring-8やJASRIの方々の努力で一生懸命外にアウトリーチをして、ビームラインを作るためのファンドを取ってきたという涙ぐましい努力がありました。それはそれで非常に高く評価しますが、共用ビームラインの数が増えないのは、文科省の予算がつかないことが一番の原因だと思っています。共用ビームラインの数の制限が、ユーザーの数が飽和していることと非常に相関していると私は思っています。
【福山主査】
 この点、ビームライン、今余裕があるのはビームライン、ベイカントホールはどのくらいあるんですか。
【水木委員】
 すいません、今ちょっと言葉の定義でちょっとコンフューズしている、共用ビームラインと専用ビームラインというのは、原子力機構とか大学も、理研のビームラインは理研のビームラインでまた違うので、専用ビームラインはさっき言われた共用ビームラインと同じような強迫観念があって、3年間取り組むテーマはちゃんとJASRIに出して、そして何年以内に論文化するというのはちゃんと共用ビームラインと同じように義務が課されているので、理研、今の話は多分理研のビームライン、施設者側のというか、オーナーのビームラインの話を専用ビームラインと言われたんじゃないかと思うんですけれども。
【雨宮委員】
 いや、私は理研ビームラインと専用ビームラインを一緒にして、共用以外のものを全て一つにくくって話していました。
【福山主査】
 彼の立場からすると、一緒に。
【雨宮委員】
 正確には、三つのカテゴリーがあるということですね。専用BLと共用BLと施設者である理研BLということですね。
 共用がその全体の中で半分です。それはちょっと少ないという感じを持っているということです。
【水木委員】
 もう一つ、ビームラインの数もそうなんですけれども、マシンのマシンタイムというか、全体の運転時間も予算に関係してくる話であって、特に今年は、今年度というか、少し減る可能性があるとかいうのが出てきているので、やっぱりそういう意味での限られたリソースの中、あるいはマシンの中で予算をつけることによって、少しそれが上向きになる可能性もあるとは思うんで、その辺もちょっと考慮してもらいたいなと思います。
【福山主査】
 その観点で、仮に予算が少しあったときに、新しいビームラインを作る余裕はもうない、ぎりぎり? 数ホール空いてます?
【石川センター長】
 いや、5本あります。
【福山主査】
 5本空いている?
【石川センター長】
 はい。
【福山主査】
 だから、お金さえあれば、そこはある程度は対応できる。
 これに関して、原さんのほうから何か。
【原室長】
 まあそもそも混雑しているという、一般的な状況は確かにそうだなと思うんですが、新しいビームラインを作る方向でいくのか、それとも運転時間をもうちょっと増やして、ビームのユーザータイムを増やす方向でいくのか。更にその前提として、それだけ国費を投入するだけの成果が得られる見通しがあるのかというところが問題になるかと思います。
 最近は、確かに共用ビームラインをどう増やしていくのかとか、あるいは運転時間を増やしていくべきかどうかという議論は、国の審議会レベルではしていただいておりませんので、是非この作業部会で今後の方向性として、例えば共用ビームラインを更に増やしていくべきだとか、運転時間を増やしていくべきだとか、あるいはもう必要ないとかいうことを議論していただければなとは思いますけれども。
 予算を増やすに当たっては、当然何でそれが必要なのかということがしっかりした客観的なデータに基づいて裏づけられる必要があると思いますので、その辺も議論していただければ有り難いと思います。
【福山主査】
 そうですね。ここは、このSPring-8という科学研究上の施設の将来を議論しているときの根幹です。成果があるのかと、これだけあるからこうして欲しいと、そういう議論ができれば。
【熊谷理事】
 福山さん、ちょっとよろしいですか。
【福山主査】
 はい、どうぞ。
【熊谷理事】
 先ほど、理研のほうのビームタイムの一部が共用利用に回されて、今使われているわけですけれども、実は枠組みとしては、専用ビームラインのマシンタイムのある一定の割合は共用に使えるようになっているんですよ。なんですが、これはそれを使うということは、JASRI側のスタッフの数が足らないということもあって、きちんと効率的には使われない状態になっているので、そこをこの先ほど雨宮さんが26本は少ないという話がありましたけれども、18本の中のある一定の枠が使えるようになれば、それなりのことはできるんだとは思いますけれども。
 まあ一つ問題があるとしたら、専用ビームラインに普通の一般の方が入って使ったときに、まあいろんなものが壊れちゃったと、壊しちゃったといったときの責任体制をどうするかとか、そういうある意味では規制緩和みたいなことをきちんとしないといけないんだとは思いますが、そういうものを有効に使う手立てを少し考えたらどうかなとは、私自身は思っているんですが。
【福山主査】
 これは重要ですね。ビームラインを増やすということを要求する前に、まずは今ある専用ビームラインで割合はどれぐらいですか、共用に供すべきだというのは。
【石川センター長】
 最大20%です。
【福山主査】
 それは、ビームラインによって違っていい?
【熊谷理事】
 契約によります、最初の。
【福山主査】
 確かに20%は大きいな。
 はい、どうぞ。
【高尾委員】
 その件ですけれども、ナノテクノロジープラットフォームという制度がナノテク室がやっているやつがあって、その中で原子力機構とNIMSのビームラインはそっちのほうで実は一体化、運営されている部分があるんです。それは、要するに同じ課だけども、ナノテクプラットフォームのほうで実際に使いなさいということになって、そっちのほうはそれなりに、スタッフのお金ぐらいは多少はついているはずなんですね。そういう国の独法のビームラインに関しては動いていますけれども、民間が作っているビームラインに関しては、先ほど熊谷さんがおっしゃったように、いろいろ問題が多分あるだろうということですね。
【福山主査】
 いろいろ問題があるといったときに、具体的に何が?
【高尾委員】
 要するに、壊したときにどうするかとか。
【福山主査】
 それが一番ですか、問題は。
【高尾委員】
 あと人の、オペレーターは誰がするだとか。
【熊谷理事】
 民間の方、ビームラインの担当者に聞くと、使う側も含めてですけれど、施設を壊しちゃったらどうするのかというのが、まず最初に上がってきます。その後は、そういう民間が使うとしても、20%枠って結構大きな量なので、人がいないのに使えといっても非常に難しいということが次に上がります。ですので、その二つをどうやってクリアするかということはあるんだとは思いますけれども、まあうまく使えば、そういうことをまずやった上でということもあり得るかなとは思っています。
【福山主査】
 そうか。もともと可能性が含められて、どうぞ。
【田島委員】
 前回の中間評価のときにもその話があって、20があったとかどうかとかいう話があったと思うんですけれども、実績としてはどうなんでしょう、使われたことはあるんですか。
【熊谷理事】
 多分使っていないです。
【田島委員】
 ルールは決めたけれども、実際は使っていないと。
【熊谷理事】
 はい。20%で、ある一定の割合は契約によるということで、どこか一つのビームラインは3%か4%という値が出ていたとは思いますけれども、それも使っていないかとは思います。
【田島委員】
 それは、ビームだけ出れば何でもいいというものではなくて、やっぱりその後のほうがずっと大事なので、個々の測定に即したいろんなセットアップがありますから、空いているから何番に行きますというわけにはいかないですよね。だから、多分そういう意味での使い勝手は、やはり人の問題とプラス装置の問題だと思います。
【福山主査】
 これ、非常に重要な問題提起がなされたと思います。ともかく、共用ビームラインの観点からすると、いろいろ混雑して足りない。それを克服するのに、一番簡単なのはビームライン増やしてくれと。だけど今の議論は、実はそこへ行く前に、既に今ある現状の中に実は可能性があっちこっち隠れている。それがひょっとしたら、かなりの量になる。こういうことをちょっと御提案したいんですけれども。
 今の問題に関して、客観的にデータがどうなる、田島さんの質問と同じになる、どのくらい使われている? 使われる量が少ないということが、今のここでのお話だったと思うんですけれども。問題点、何があるかと。それに関して、今回その論点、まず現実がどうかということを整理して、その理由に関して分析をする。で、それに関して対応できることからする、できないことはできない。どうでしょうか。
 どうぞ、山縣さん。
【山縣委員】
 20本近くの専用ビームラインのうちに、それぞれのものが民間のものであったりとか、大学のものであって共用にも結構出しておられるとか。だからいろいろ違うと思いますので、そこら辺のデータを教えていただければと思います。
【福山主査】
 まさに現実がどうかということを、データ整理していただくのを出発、それをもとにビームラインによっていろいろ変化がある。それぞれの、どうしてそうかという分析、詳細は別として基本的な理由がきっと何か一つ、二つ、それぞれビームラインにあるはず。それを整理していただいて、その中で、工夫で対応できる、改善できることがある、きっとあるんだろうと思います。そういうので状況を改善する。これはステップ、取ろうと思えば取れますね。
 どうでしょう、石川さん、熊谷さん。
【石川センター長】
 その方向は非常に大切だと思いますけれども。だけど、一番大前提として、ファシリティーとして、どの程度の競争率でやっていくのが健全なのか。例えば100%受け入れることが健全なのか、50%が健全なのか、70%が健全なのか、そのあたりも考えておかないと、何か違う話になるような気がします。
【福山主査】
 わかりました。一律にやるのはこういうのはよくないと思うので、ビームラインの特徴によって、それは一番適正なのがどのくらいかと、それはいろいろバリエーションがある。だから、それまで含めて現状を整理していただく。それは必要だと思います。全部一律にやることは、専用ビームラインの場合は基本的に適さないと思います、それぞれ特徴があるはずだから。
【石川センター長】
 で、もう一つの問題として、先ほどの山田先生のお話とも絡むんですけれども、日本の中の放射光のやはり役割というものがいろいろあるはずなので、例えば教育をやるところはどこなのかとか、そういうことまでしっかり考えていかないと、みんなが同じにするのがいいのか、そうではないのか、そのあたりまで十分な議論が必要ではないかと思います。
【福山主査】
 ありがとうございます。これは、基本的にそうでなければいけないと思います。一律にやる理由は全くないと思います。だからこそ、それぞれのビームラインがあるんで。ビームラインの特徴が生きるようにする。だけど、総体としてSPring-8全体でどうか、そのときにPFを見て、SPring-8の位置づけを更に考えると。まあ、それはこういう科学的なファシリティーにとっては当然で、一律に考えるのは避けたい、避けるべきだろうと思います。
 こういう話になると、だんだん先ほど原さんが言ったこと、いろいろ施設の仕組みをどうするかという議論をするときに、結局根底はそういう仕組みに関して議論するときにどういう方向性で、何を狙ってよりよくするかという議論をするときに、一様にいくわけない。それぞれの特徴を生かした世界に冠たる成果がどのくらい出てくるかということが結局問われる。
 で、先ほどから議論になっていることで非常に面白い、気になったんですけれども、ビームラインの本数増えれば、課題数は増加する。これは誰でも分かること、当たり前ですよね。それがサチュレートしている。だけど、そのときに、課題数がサチュレートしても、そこから出てくる研究成果の中身がどんどんよくなっていったら一向にかまわないですよね。その分析できますでしょう。この分析は『サイエンス』、『ネイチャー』云々、インパクトファクター、インパクトファクターっていうのは雑誌の評価であって、論文の評価ではないんで。インパクトファクター云々議論するのは、予備校が東大に何人入った、京大に何人入ったかって、あの数を競っているのと同じ。東大行った学生、京大行った学生が、まあいい人は多いでしょうけれども、全部がいいわけじゃないですよね、それぞれ違う。
 それぞれの人が本当にいいかどうかがわかるのは、これはサイテーションインデックス。サイテーションがどのくらいになっているかということが、長い時間オペレーションがあって、古い論文に関しては、例えば10年前の論文でサイテーションがいまだに10前後だとか。だけど、どんどん近藤効果の論文みたいに、30年、40年前からどんどん上がっているとか、そういう分析ができると本当の研究施設としての意味がある。多くの場合、『サイエンス』、『ネイチャー』の論文というのは、レファレンス、リファーされる数って割合少ないのが多いですよ。それは要注意。
 で、そこら辺の分析が本当にこう、先ほど原さんが言ったように、やっぱり核心なので、成果があるかっていうときに、本当にサイエンスコミュニティにどれだけ尊敬されているデータがあるか、そういうのを分析っていうのは、例えば顕著な論文に関して、一番やっぱり取っ掛かりが面白いのは、ちょっと古い論文で『サイエンス』、『ネイチャー』に出たののサイテーションの数を見て、実際にサイテーションも今は多いんだと。これは、評価の対象。そういうデータを集めてありますか。
【石川センター長】
 少しはある。
【福山主査】
 追跡調査です。基本的に、論文の評価はサイテーションで決まる。
【石川センター長】
 ある程度はあるんですけれども、今の御指摘は非常に大切だと思いますので、ちょっと時間をかけてこれはやりたいと思います。
【福山主査】
 是非いい方法を工夫していただくと、SPring-8ぐらいのマシンで新しい切り口で評価、意味ある評価をして、それを社会に伝える。非常にいい評価基準を日本で模索するきっかけになるかもしれません。
【石川センター長】
 多分、一番は『サイエンス』に出たロドプシンの論文で、現時点で3,500ぐらいになっていると思います。
【福山主査】
 あれは何年前ですか。
【石川センター長】
 2000年です。
【福山主査】
 これはやっぱりすごいね。いや、だから『サイエンス』、『ネイチャー』は、僕全部悪いなんて言っているんじゃないんですよ、異論は確かにそうなっている。
【石川センター長】
 かなり一つ一つについて、ある程度の追跡を行っていく必要があるんだろうと。
【福山主査】
 その際に、ある程度焦点は絞られると思うんですけれども、『サイエンス』、『ネイチャー』に出ていなくても、サイテーションの数が多い論文ってある。増え続けている論文っていうのがよくある。むしろそれが普通。そういうところにも目配りした評価軸ができると、そのビームラインの役割が研究者のコミュニティに対して果たした役割がわかれば。
【石川センター長】
 例えば軟X線のビームラインなんかですと、ビームラインを作ったという論文が、サイテーションが六、七年で150とか、そういうことになっていますので。そういうのも含めてちょっと調べてみたいと思います。
【福山主査】
 そうすると、SPring-8にあるビームラインの役割の多様性と、それぞれの深さがより客観的に見えてくるだろうと。繰り返しになりますが、『サイエンス』、『ネイチャー』云々というのはジャーナリスティックにはいいんですけれども、一過性というか、本当にどこまで意味があったかって、ちょっと考える必要があるかと思いますのでね。
 こういうことがきちんと整理できて、こうだっていうことになると、それを持っていって原さんが納得して下されれば、ビームラインが増えるかもしれないので。
【石川センター長】
 きっと原さんのところはその話よりも、タイヤが幾らもうけたとか、トヨタが幾らもうけたとか、そちらのほうかと。
【福山主査】
 確かに、重要な指摘、ごめんなさい、僕らはサイエンティフィックな観点からの評価のことを言ったので、インダストリーでの、産業界に意味ある研究成果の評価の軸というのは当然違って、それはそれできちんとそちらの方向でやらないといけないと思う。
【水木委員】
 よろしいですか。違う観点のデータが必要かなと思ったのは、今の共用ビームラインが少ないのか、多いのか、十分なのかということに関してなんですけれども、課題のこれは、例えば今今回出ている数字とかは課題の採択数なんですね。例えば応募がどれだけあって、それに対して採択数、だから何%、応募はどんどん増え続けているのに採択数はサチっているとすると、だんだん競争率が激しくなってきて、ユーザーはもっとポテンシャルユーザーはいっぱいいるんだけれども、マシンタイムなりあるいはビームラインが限られているからサチってしまっていると言えるんですけれども、もともと応募件数もサチッていて、そして課題採択数もサチっているならば、まあそれはちょっと別な観点になりますよね。だから、そのデータはこのデータからはちょっと読み取れないなと思ったんです。
【福山主査】
 そうか、採択率のデータがこれ並んでいないと。
【熊谷理事】
 いや、あります。
【水木委員】
 ああ、ありました?
【熊谷理事】
 いやいや、皆さんのところにお配りしていないんですが、応募課題数と採択数のこの図は、実は応募数しか書いていないんですが、このデータの採択率のグラフもあるので、それはお渡しします。ちょっと抜けている部分があると。
【原室長】
 次回、議論していただくときに、全部まとめて整理して一覧性をとったほうがいいと思います。
【福山主査】
 そう。次回のときに、さっき最初に話題になったように、ビームライン全部一緒に、共用の。
【熊谷理事】
 専用ビームラインも含めて。
【福山主査】
 はい。リング全体の総合的な評価をそれでして。
 それと、今あったのは、専用ビームラインをもっと活用する可能性があるかもしれないという、それに関しての現状整理と、そこら辺が話題になりました。ほかにいかがでしょうか。いろいろ今日も中の様子がよくわかる御説明をいただきました。
 はい、どうぞ小松さん。
【小松委員】
 ちょっと全然レベルの違う話で恐縮なんですけれども、やっぱり使用の裾野を広げるといったときに、いわゆるある意味の広報活動というんでしょうか、単純に言うと、今後どんどん高度化していくと、我々産業界のほうからしますと、だんだん付いていけないなみたいなところがあって、我々も例えば会社のトップに予算をくださいと言うときには、とてつもなく分かりやすい言葉で、こんな夢があるんですよとか、フロムツーでこんなことができるんですよという、まあ分かりやすいイメージで言えるようなことっていうのを、非常に苦心するんですけれども。ある意味、そういう部分の広げるためのこういう簡単な、何かそういう広報的なものとか、そういう活動っていうのはなされているんでしょうか。
【石川センター長】
 その点については今まで非常に問題があったのではないかと思っておりまして、ちょっと去年、今年あたりからやり方を変えていくことを考えています。これは、請う御期待ということで。SACLAのほうでも同じ話がございまして、SACLAのほうはもっと難しいですから、いろいろ大変かと思いますが、その辺に関しましては違うアプローチを今年度からしていきたいと思っています。これは本当に請う御期待でございます。
【福山主査】
 何が出てくるか楽しみですね。確かに今の問題はSPring-8、このマシンに限らず、いろいろ先端研究をしているときに、それが社会とどうつながる、どういう意味を持っているかという、それをできるだけ簡単に理解していただくと。簡単にすると、うそを言うことが多くなっちゃうんだけれど、できるだけエッセンスを易しく分かりやすく言うという、これは難しい。これは確かにみんながいろんなところで苦労していることだと思うんですけれども。それは石川さんのところで期待しましょう。
【杉原委員】
 もう一つ、よろしいですか。
【福山主査】
 はい、どうぞ。
【杉原委員】
 杉原と申します。この5年ほど、フロンティアソフトマターのところで私も代表ということでやらせてきていただいていて、ほかの専用ビームラインとは少し性格の異なるようなビームラインになっておりますけれども、産業の利用というだけではなくて、学術の先生方と一緒に、まあもちろん技術の高度化も目標の一つに掲げながら、産業への貢献度みたいなところを上げての活動になっております。
 やはり、今も小松さんのほうからもありましたけれども、いかに連携をさせていくか、していっていただけるかというのは、連携の場をたくさん持っていきましょうというのは、もうどんなところでも議論の場には出てくるんですね。ところが、その場づくりをコーディネート、あるいはプロデュースする方々、あるいはそういう仕組みづくりがもう少し何かうまく流れていかないのかなと。そこが、ある意味、例えば連合体を1つの母体にするのか、あるいはほかの専用ビームラインでやるのか、あるいは施設側でやるのか、そういったところの取組というのは、何かもう一つ何かこう工夫できる余地があるんではないかなというような、そういう感想を最近持っております。
【福山主査】
 実はこの問題も、元素戦略のほうから見て、随分いろいろ工夫を、論点理解に努めているんですけれども。今の問題の根幹にある連携という言葉、協力、どうでもいいんですけれども、インダストリー、出口のところとアカデミアの間、いろいろギャップがある。その間をできるだけ自主的にうまくつなげる、この仕組み。これ、結局何かというと、一番早いのは、インダストリーの現場で何が問題になっているかという課題の整理を明確にしていただく機会をアカデミアの人が聞く。それが結局一番早い。アカデミアの人が話していますと、これ自分たちはこうできますよと言うと、インダストリーの方に言われても、インダストリーの方とのコミュニケーションがなかなか進まない場合が多いです。だけど逆に、現場でいろいろなことをやっている方で、すばらしいレベルまで行っているんだけれど、ここがともかく困る、分からない、何だろうという、そういう種類の話をしてくださる現場の方の話を研究者、アカデミアへ、これは効き目ありますね。で、そういう場は確かに少ない。
 SPring-8でそういう機会を、今までもそういう機会を持っておられるんだろうと思うんですけれども、それを確かにシステマティックにされると、何か日本全体にとってもインパクトが大きいかなと。
【石川センター長】
 多分、そのシステマティックというところが非常に重要で、今まではどちらかというと個別対応で、各社の分析担当の方がやってきて、こういう問題があるからどうですかという話でしたんですけれども、その辺をもうちょっと横につながってできるといいかなと。そのときに、いつも会社の壁というのが問題になるわけですが、その会社の壁が問題にならないようなところで、まずは皆さんで来ていただいて、ある程度なれたところからその壁を作っていただけるといいかなと思っています。そのあたりは、これから始めていこうと思っておりますので、先ほどの広報の話と併せて請う御期待ということで。
【杉原委員】
 もう一言だけなんですが、最近やはり企業の中も、要は研究されているメンバーだけではなくて、会社自身の技術戦略の中でどういったオープンイノベーションをやっていくかということの活動が、非常に活発化してきています。ですからある意味、各会社のそういったミッションを担っているところとうまくお話をさせていっていただければ、ある程度の最初の壁というのはそんなになくて、それで、ああ、こういうことをやっていこうかということで、その会社の中で落とし込めていけるといい、そういうルートは多分できていけるんじゃないかなと思うんです。
【石川センター長】
 我々は、もちろん各会社のストラテジーを決めるところとはお話はしたいわけですけれども、ちょっとそれを超えて、業界団体としてやはり共通に解決しなければいけない課題って多分お持ちですよね。で、そういうところでお手伝いできる仕組みを作っていきたいと思っています。
【福山主査】
 石川さん、全く同感で。基本的に、業界で広がりはいろいろあるんだけれど、例えば具体的に磁石、電池、その企業のどの企業をとっても共通の大きな課題がある。鉄鋼でもそう。そういうことで、どういうところにどういう問題を抱えているかという、そういうレベルの話をアカデミアの人が聞く。例えばSPring-8で、これはオープンにできますよね。で、そこでこれに関しては何とか自分はできそう、やりたいという人がいたら、それはそれでマッチメーキングすればいい、お見合いみたいに。
 だけど、その最初の意見交換、情報交換の場は確かに少ない。それができるとがらっと変わる。磁石しかり、構造材料しかり。それで、そういう場をSPring-8、それからJ-PARC、それから京、三つの大きな施設が基本的に連携して、何かそういうのを聞く機会ができれば、これは最終的にそういうふうに。
 だけど、その前に、例えばSPring-8の視点でそれをやり、知りたい、企業からその問題点をとことん知り尽くして、知財の問題でここ以上は言わないという、そこのノウハウもちゃんと身につけた人が論点を明快に整理してくださると。これは大学の先生、刺激されますよね。私も個人的に最近、鉄鋼の話を聞いてびっくりしましたけれども。
 結局、それがアカデミアのところにこれからもされて、そこでターゲットがはっきりして、それに興味を持った企業と、これは知財の問題まで含めて展開すればいい。それは、確かにSPring-8がそういう場を用意されるということで、日本の全体のアカデミアとインダストリーの関係はドラマティックに変わる可能性ありますよね。
 いや、これに関しても、石川さん、既にいろいろお考えなんで、期待したいと思います、是非。この評価委員会の範囲で、間にそういうのが出てくるわけではないんですね。まあ、近い将来。
【雨宮委員】
 将来計画のことで一つ質問が。SPring-8Ⅱの設計のところで、最後の15ページのところでスケジュールと予算というのがありますけれども、この201Xから始まって、そこを起点としてSPring-8Ⅱが使えるというのが、この図でいくと201Xプラス10のところから始まるんですか。
【石川センター長】
 10のところでは、もうその利用が始まってる絵を描いておりますので、スタートからどんなに遅くても10年後には、もう皆さんにお使いいただけると。
【雨宮委員】
 ということですね。
【石川センター長】
 はい。
【雨宮委員】
 この10のところの利用技術開拓というところが、利用開始という意味ですね。
【石川センター長】
 はい。もう利用して、新しいリングでの利用技術の開拓が始まっていると御理解ください。
【雨宮委員】
 はい。
【福山主査】
 どうも。よろしいでしょうかね。
 今日もいろいろ御意見、SPring-8のほうからいろいろ明快な論点整理、御説明がございました。それに関して、いろいろ御意見賜りましてありがとうございました。
 本日の審議、意見交換に関してはこれで終わらせていただいて、次回の予定等々に関して、事務のほうからお願いします。
【神部補佐】
 次回につきましてですが、資料1-2、最初にお配りしました資料にございますとおり、5月の15日の13時から15時を予定しております。会場は同じく文科省の3階になるんですが、ここではなくてF2特別会議室になりますので御注意ください。
 また、あと本日の会議の議事録につきましては、作成次第また委員の皆様に御確認をいただきまして、文科省のホームページに掲載させていただきたいと思います。
 また、本日の資料につきましては、お手元の封筒にお名前を御記入いただければ、あと机上に残していただければ、こちらでまた事務局のほうから後日郵送させていただきたいと思います。
 また、あと旅費の手続を済まされていない方がいらっしゃいましたら、また事務局のほうまで申し出ていただければと思います。以上でございます。
【福山主査】
 どうもありがとうございました。
 これで本日の会を閉会とさせていただきます。次回もどうぞよろしくお願いします。どうもありがとうございました。

お問合せ先

研究振興局基盤研究課量子放射線研究推進室

季武・宮嶋
電話番号:03-6734-4115(直通)

(研究振興局基盤研究課量子放射線研究推進室)

-- 登録:平成25年06月 --