【資料1-3】大型放射光施設評価作業部会(第2回)における主なトピックス

1.施設及び設備の整備・高度化について

  • SPring-8 2への改造を行う期間は運転が停止するが、その間の受け皿となるであろうPFも老朽化が進んでいるという問題があり、ユーザーのニーズを満たせない可能性がある。日本の放射光施設全体で、整備計画を考えていく必要がある。
  • SPring-8 2へ改造されれば、新しいユーザーが生まれる。装置のポテンシャルとして既存のSPring-8ユーザー全てを受入れられるよう設計は行うものの、ユーザー受入れについては各施設で閉じるのではなく、我が国の放射光施設全体でどう役割分担をしていくのか、という視点で検討すべき。
  • SPring-8を利用した研究成果による新しい材料が、SACLAの実現を支え、更に新しい施設における研究成果に繋がるという良いサイクルの例になる。

2.ビームラインの整備・高度化について

  • 課題解決型である専用ビームラインの役割の重要性を否定はしないが、全ビームラインの半数以下が共用ビームラインという今の割合は少ないのではないか。
  • 専用ビームラインは失敗するリスクのある分野を切り開いていくことがミッションの一つ。限られたシフト数の範囲内で成果を出さなくてはならない共用ビームラインにおいて、このような実験ができない状態は問題ではないか。
  • 新しいビームラインを更に増やす方向が良いのか、運転時間を延ばしてビームのユーザータイムを増やす方向が良いのか、その前提として国費投入に見合う成果が得られる見通しがあるのか、検討すべき。
  • 専用ビームラインのビームタイムの一部を共用できる仕組みになっているが、ビームライン等の破損などに対する保証の問題と、共用利用時にサポートスタッフが手当できないという問題が大きなハードルになっており、共用が進んでいない。共用ビームラインの不足の解消を考えたとき、有効なリソースとなり得るのではないか。

4.利用者拡大について

  • インダストリーとアカデミアの間のギャップを自主的に埋めるには、インダストリーの現場で何が問題かということをアカデミアの研究者が直接聞くこと。これを確かなシステムにできれば、我が国全体にとってもインパクトが大きい。
  • 従来は個別の企業の相談に対応してきたが、これからは業界全体で共通に解決すべき課題に、アカデミアが対応する仕組みを作っていくべき。企業の抱える課題の情報をSPring-8の中でオープンにすることで、インダストリーとアカデミアのマッチメーキングをする場が形成できるのではないか。

5.利用研究課題の選定について

  • 重点課題設定においては、国の方針を踏まえつつ、選定委員会において議論されたものを国が認可しており、適切に設定されている。また、個別の課題について、その課題の特性に応じて、適当なビームラインで実験できる状態である。
  • 重点課題の割合が大きくなりすぎて、一般課題の割合が少なくなるのは問題だが、現状では、バランスがとれている。
  • 課題の採択数とともに、応募数も一括して推移が比較できる資料が必要。

6.施設の運用・運転について

  • 以前は国家プロジェクトを受け入れる際、プロジェクト毎に個別の運転費が充当されるケースがあったが、現在は共用補助金として一本化されており非常に運営しやすくなっている。継続するべき。

8.研究成果の公開・社会への還元について

  • 研究課題数がサチュレートしたとしても、研究の質が向上していれば構わない。サイテーションインデックスという切り口で成果を評価するべき。

その他

  • 本作業部会の議論においては共用ビームライン、専用ビームライン問わず、SPring-8全体を絶えず見ていく必要がある。

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研究振興局基盤研究課量子放射線研究推進室

(研究振興局基盤研究課量子放射線研究推進室)