研究開発プラットフォーム委員会 先端計測分析技術・システム開発小委員会(第7回) 議事録

1.日時

平成26年7月29日(火曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 3F1特別会議室

3.議題

  1. 先端計測分析技術・機器開発プログラム平成27年度のプログラム実施の重要事項について
  2. その他

4.出席者

委員

田中委員、二瓶主査、江原委員、小野委員、佐藤主査代理、菅野委員、杉山委員、瀬藤委員、竹内委員、中村委員、藤宮委員、森川委員、柳沢委員、山科委員

文部科学省

渡辺研究開発基盤課長、三宅研究開発基盤課課長補佐

オブザーバー

JST小原理事、JST齊藤執行役、JST林開発主監、JST市川総合評価分科会長、JST久保先端計測室室長、JST山下先端計測室調査役、JST菅原先端計測室調査役

5.議事録

科学技術・学術審議会 先端研究基盤部会
研究開発プラットフォーム委員会
先端計測分析技術・システム開発小委員会(第7回)
平成26年7月29日


【二瓶主査】  それでは、定刻になりましたので、本日の委員会を始めさせていただきたいと思います。本日は第7回になりますが、先端計測分析技術・システム開発小委員会でございます。本日は、「先端計測分析技術・機器開発プログラム平成27年度のプログラム実施の重要事項について」という議題でございます。
 それでは、資料の確認をお願いします。

○三宅研究開発基盤課課長補佐より、出席者の紹介と配付資料の確認があった。

【二瓶主査】  それでは、よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、本日の議事に入らせていただきます。
 まず初めに、資料1、お手元にございます、とじたものでございますが、前回、これの初稿版と申しますか、御紹介を申し上げて、御意見を頂いて、その御意見の下にリバイズしたというものでございますが、「先端計測分析技術・機器開発プログラム-10年の成果と今後の展望-」という形で、再度まとめさせていただきました。
 この御説明を申し上げたいと思いますけれども、前半といいますか、前回第1部、第2部といたしましたが、山科先生から、その2つをきちんと一緒にした方がいいという御指摘を頂きました。
 まず、その目次をごらんいただきますと、1章から5章までは前回と同じでございますが、次の第6章が、第1部のまとめでありましたけど、この部分を「10年間の成果のまとめ」とさせていただきました。第7章から第9章までが、第2部でございましたが、第7章に「今後の展望への視座」という章を設けまして、第8章、第9章は、以前のものとほぼ同じという構成でございます。
 前回、前半の部分は、かなり時間をかけて御説明を申し上げましたので、今回は概略を説明する程度にさせていただきます。
 まず、1ページ、2ページから、第2章が始まりますが、この章は、「本事業発足当初の目的と制度設計」ということで、この事業開始時の委員会での検討による制度並びにその考え方を御紹介した章であります。
 2-1)が「社会的背景・課題と事業の意義」、2-2)が「研究領域の選定と開発が期待される計測分析技術・機器」、4ページに「対象とする主要な機器」、5ページに「事業の進め方」ということで、6ページから3章に入ります。
 3章は、「10年間の本事業における制度の変遷・進歩と改革」です。この章は、まず、3-1)として、「我が国の科学技術・学術及び社会・経済的状況の変化と変遷」ということで、まずは学術政策、即ち、科学技術基本計画が、第2期、第3期、第4期に係ってございます。
 御承知のとおり、基本計画は5年単位ですが、特に第3期と第4期で考え方がかなり変わった点があります。つまり、第4期に、「科学技術イノベーション政策」として、イノベーションを視野にいれた路線が、ここから入りました。
 7ページのB、社会・経済的状況の変化は、ごく概略しか書いてございませんが、特に現事業との関わりでは、平成23年の東日本大震災、特に放射線影響の課題が出てきたということを書いてございます。
 8ページ以降は、制度の運営方法の進展について書いてあります。大事なポイントは第1期に「要素技術」、「機器開発」がスタートし第2期になって、「実証・実用化」、「ソフトウエア開発」並びに「開発成果の普及・活用」を始めたわけです。
 第3期では、先ほど申し上げました第4期基本計画の主な柱である「グリーンイノベーション」、「ライフイノベーション」二つの重点領域を発足させました。
 10ページ目からが、本事業の成果の説明になります。ここに説明がいろいろ書いてございますが、4−2)に特記すべき研究開発を表1にまとめました。
 これも前回ごらんいただきましたが、後ろの方にA3判でとじ込んだページがございます。裏表2ページにわたっていまして、これも前回御指摘がございましたように、30課題に加えて、事後評価で評価が高かった課題を付け加えてございます。合わせて四十数課題になりますが…。

【菅原副調査役】  49課題です。

【二瓶主査】  ありがとうございます。
 ごらんいただきますと、1ページ目は、ブルーのところは医療・生命科学計測のための機器。これも、医療・生命科学ですが、赤字で付け加えた部分を増やしてあります。
 れんが色のところが、材料計測のための機器。赤字の部分が後半に出てまいりますが、今回付け加えた部分で、事後評価がS評価のものを加えたわけです。
 その次のグリーンのものが環境計測のための機器、桃色のものが放射線計測のための機器ということですが、いずれも、赤字で書いたものを付け加えたということです。
 付け加えた課題の内容について説明していただけますか。

【菅原副調査役】  御説明申し上げます。
 赤字で今回新たに19課題が追記されております。今、先生がおっしゃいましたとおり、事後評価で特に評価が高かった課題について、新たに赤字で追記しております。
 前回お見せした表では、製品化した成果について印だけを記載していました。更に全般にわたって、カタログ製品化したものについては、具体的な製品名と製品化・販売されている企業のお名前を追記しております。
 以上です。

【二瓶主査】  ありがとうございます。
 これは、本来ですと、ページを費やして、きちんと書いた方がよろしいのですが、実は30課題は、JSTから別冊で成果集というものが冊子として、既に発表されておりますので、それに詳しい内容が載っているということで、この報告書には、直接は記載しないという方針をとりました。なお、そうかといって、もう少し詳しくという御希望があろうかと思いますので、本文の後に、参考資料の形で、開発内容の説明を付け加える予定です。以上が成果に関する部分でございます。
 14ページから、第5章「本事業における評価手法と事業評価」では、どのような考え方で課題を採択したのか、また、中間評価・事後評価をどのような評価項目でヒアリングをし、かつ、S評価等の評価をしたかについてまとめてあります。
 ただ、評価の問題は大変重要ですので、18ページ、5-5)では波及効果に関する評価手法について特別に考察が加えられています。まずは、既にある文献を紹介するという形式ですが、18ページAは、科学技術政策研究所、科学技術庁時代の報告書ですが、「企業における研究開発プロジェクトのモデル化の試み」の概要を紹介してあります。
 次に、20ページのBですが、これも文部科学省になった後の科学技術政策研究所、2008年に発表した「イノベーション測定手法の開発に向けた調査研究」の概要が紹介されています。
 21ページにCとありますが、これはアメリカの報告ですけれども、"Measuring Science, Technology, and Innovation:"という論文です。実はアメリカは相当詳しくデータベースを整理した上で、この試みを進めていますが、結論は、十分に必要なデータベースが整っていないということでした。
 23ページから、D「計測分析技術と機器開発分野における波及効果の考え方」として、これは、私自身の考察を記述してあります。その概要を説明しますと以下の通りです。
要するに、普通の製品ですと、開発をして市場に出し、それが売れてユーザーの手元に届いた時点で効果が生まれます。しかしながら、計測分析の装置は、そこで終わりではなくて、その分析機器あるいは計測機器が、ユーザーの手に渡った、その段階で、多くの場合、R&D の研究開発活動に貢献するわけです。そこから企業の生産活動のラインに入りまして、それが世の中の多種多様な膨大な数の製品として出ていって、それが社会貢献をする。社内のR&D活動と生産活動などには何段階かありますので、波及効果は膨大なものになるはずなのです。
 また、以上の観点と異なった種類の波及効果の例を1つだけ御紹介しますと、24ページの中間あたりに、スピルオーバー効果というキーワードが挙げてあります。技術革新の持つスピルオーバー効果は、イノベーションを論じる上で、重要な因子であるということは、アメリカのレビューの中にも出てまいります。
 スピルオーバーというのは、何かといいますと、例えば、これは、我々、化学触媒の例でよくお話しするのですが、貴金属担持触媒等の例をお考えください。自動車排ガス処理触媒の場合、白金粒子が酸化物の担体の上にある。そこにNOXガスが吸着し還元される。
 つまり、NOXガスは周辺の担体に吸着し拡散して、白金触媒に触れた途端に浄化反応が進む。反応はダイナミックに、どんどん進んでいく。1つの触媒粒子の活性点が、何回も何回も反応に貢献するという意味で、スピルオーバーという表現を使います。
 これをほかの例、例えば我々の事業でいいますと、SPring-8という非常に強力な計測基盤施設があります。しかしいくら強力でも、一時にそこで計測できるユーザーは、限られます。しかも日本では、ただ1つであります。
 しかしながら、ユーザーが自分の試料を持ったり、課題を持ったりして、集まってきて、そこで課題を解決できる。それが繰り返されれば、これは正にスピルオーバー効果です。
仮に、世界に1つしかない共用施設であったとしても、世界中から利用者が来て、問題解決に貢献すれば、これはスピルオーバー効果による波及効果が期待できるのです。このような波及効果をもっと重視すべきだという議論があるということで、あえて引用いたしました。
 波及効果は、実に重要なキーワードでありますけれども、定量的にそれをどう評価するかということは、今のようなことをもう少し固めていかないといけませんが、重要なファクターであると思います。
 24ページ、5-6)は、国際的視点からの事業評価ですが、Aは米国の例、Bはヨーロッパの例、Cは中国の例と3つ挙げてあります。それぞれにおいて、やはり分析機器・計測機器の国家的な規模のプロジェクトがあるということを紹介して、ちょうど我々の事業と、類似の事業が世界中でかなり重点的に行われているということを紹介したわけです。
 27ページからは、この10年間の成果をいろいろな観点からまとめて、まずは、事業の性格、どういう特徴があるか、課題もあります。まだ解決されていない課題もあります。
 そういうものを一通り検討し、更に今後の10年間でも、当然こういう課題に向けて、種々の施策がなされてしかるべきだろうということがあります。
 前回と重複してお話し申し上げましたが、前回御欠席で、今回御出席の先生方もいらっしゃいますので、御紹介しました。
 それでは、7章、31ページからですが、佐藤先生からお願いします。
【佐藤主査代理】  それでは、私の方から、7章以降、前回も説明したのですけれども、今日初めて出席されている方もいらっしゃいますので、簡単に説明させていただきます。
 今、二瓶先生の方から、今後の展望を描くには、今までの10年間がどういうふうになされてきたのか、あるいは、どういうふうな成果・課題があったのかということは、それなりにまとめていかないと、多分、今後の展望を描けないですねという話で、そこから二瓶先生にお願いして、今説明された対策をいろいろ作っていただいたので、それを受けた展望になっているかどうか分かりませんけれども、前回議論したように、こういう展望ではどうでしょうかということをお話しいたします。
 前回の議論はいろいろあったのですけれども、いろいろ厳しい御指摘もあったのですが、やはり、基本的には、山科先生が言われた、全体としてまとめなければいけないねというところが大きい。先ほど二瓶先生が話をされましたように、章立てを変えて、一本化したということが一番大きくて、それ以外は、今後の課題が非常に多いので、それを変えないで、そのままの構成にいたしました。
 時間が余りないので、簡単に説明しますと、31ページのところで、今、二瓶先生が説明された、これまでの本事業の主要目標あるいは主要成果ということに対して、簡単にまとめております。
 主要目標は、先ほど来の話をまとめますと、丸1から丸5ぐらいまでになるのではないか。オンリーワン・ナンバーワン、限界の突破、あるいは、世界市場シェアの拡大とか、そういうことに対する支援が、本事業の目標ではないか。
 それに対する主要成果が、先ほど説明されましたように、丸1から丸6ぐらいまである。
 後々の課題でもあるのですけれども、最後に二瓶先生がお話しされた、いわゆる本事業は、直接的な成果ももちろんあるのですけれども、それを使って、いろいろなイノベーションを起こしていくという意味での波及効果の方がむしろ大きい。
 だから、多分、普通の事業ですと、波及効果で、産業連関表みたいなものを使ってやると思うのですけれども、これは産学官、いろいろな関係するところの連関表でもって見ていかなければいけない話になるので、10倍とか100倍とか、もっといくのかもしれないのですけれども、そういう波及効果が生まれてくるはずなので、そういうものをちゃんと評価して、成果としては、正当な評価をして、この事業を位置付けるべきだと考えて、それ自体は、今後の課題に挙げてあります。
 32ページのところで、そういうふうにやってきたのだけれども、今後どういうふうにしていくかという意味での今までの課題を集約すると、いろいろあるのですけれども、結局、2点に集約されるかなと。
 1点は、やはり、世界市場の展開不足。丸2で、波及効果を含めた本事業の評価と評価手法の未確立が挙げられる。
 1に関しては、この事業が、いわゆる産業界に対して、直接的にやるということは、本来おかしいので、直接的ではないのですけれども、もともとこの事業を始めた時点の動機が、要するに、日本において、先端計測・分析機器の海外依存度が非常に高いということです。
 国公立機関で海外依存度が高くて世界最先端の研究ができるのかとか、本当に世界をリードする、そういうオリジナルなイノベーションの創出が本当にできるのですかということが、もともと本事業を起こすきっかけであったと聞いています。
 そういう意味からすると、やはり、そういうことができていけば、世界市場に展開していくのは当然なので、そういうことに対して、結果的には不十分だったかなということが、集約されます。
 2番目は、先ほど来、言っていますように、波及効果でファンディング、税金を使ってファンディングをやるわけですから、波及効果を含めた評価をやって、この事業の正当性をちゃんと国民に訴えていくべきだということを含めて、評価法も確立していかなければいけないと考えました。
 7-3のところで、こういうふうに、まず、世界市場の展開不足になったという原因を、いろいろ検討してみたのですけれども、33ページのところです。丸1から丸5まであるのですけど、結局、国際的な産業競争力に絡んできてしまうので、そうすると、その観点で見ると、産業競争力を付けるためには、世界トップのオンリーワン・ナンバーワン技術とユーザビリティとコストパフォーマンスが掛け算されたみたいな、それを最大化していく。あるいは、最大化できたところが、恐らくベストセラー機を生み出して、世界トップシェアを握っていくのでしょう。
 その辺が不十分だったかなと思うわけで、なぜそうかというと、やはり、本事業はオンリーワン・ナンバーワンを中心に基礎研究を重視して進めてきたと思います。もちろん、原理原則が見えなければ、先端計測ができないわけですから、オンリーワン・ナンバーワンを追求することは当たり前で、それを余りにも重要視したために、基礎科学ということを重要視して、ユーザビリティとかコストパフォーマンスに対する取組あるいは考え方が不十分だったかなと、その辺をもう少し取り組み方を変えていく必要があるのかもしれないという分析を行いました。
 今後のニーズを考えて、世界トップシェアにしていくということを考えると、タスクフォースのところで少し議論したのですけれども、世の中のニーズは、どういうふうに変遷しているかということを、主要なメンバー、有識者にヒアリングをして、聞いたところ、33ページの丸1、丸2、次のページの丸3ですが、そういうニーズが非常に高くなっているねということが分かりました。
 その下にある図のところで、分析対象に対する解析対象のサイズだとか、空間分解能、エネルギー分解能が、0.1nmとか、0.1eV、そういう世界のところが、解析技術領域として要求されてきている。これは大変な領域だなということが1点。
 丸2のところで、マクロとミクロをつなぐ3次元空間・エネルギー分布の立体構造可視化は、やはり大きな課題としてありますよということは言われている。
 丸3が、これは究極なのですけれども、単に分析・解析するだけでなくて、この分析した結果、これは何を言っていますよとか、どういうことを提示しているのですよという解まで、ソリューションまで与えるようなシステムにしていかないといけないのではないか。
 そうすると、ビッグデータも含めて、脳型コンピュータ的に、いろいろな分析、これまでの分析データも含めて、あわせて、今、新しい分析をやった結果として、これは、こういうことを言っている。人間の限界を超えた判断あるいは価値を創出するようなことに、つながっていくのではないか。
 もう一つ大きいものは、こういうことをやっていくと、その次の世代に向けて、膨大になっていきますから、そういう計測・分析研究者・技術者へつないでいくという意味で、あるいは、価値を向上させていくという意味で、こういうシステムが必要になってくるのではないかということが言われて、これは究極のニーズですねということが出てきました。
 そういうことを含めて、この事業でやっていかなければいけないことが、今言われたニーズも含めて、挙げられているのですけれども、少し気になったことが、コストパフォーマンスということが、やはり、この事業にあまり合わないのです。コストパフォーマンスというのは、学術的な観点から見ると、企業が本来追求すべきところが大きいので、ただ、問題は物すごく難しくて、産業競争力を上げようと思ったら、そこをやらない限りは、多分うまくいかない。
 そこはジレンマになるのですけれども、世界の物作りの潮流が、どうしても、今言ったことを、産業競争力を上げるという観点で、いろいろ検討されていて、コンポーネント化とかプラットフォーム化ということをやって、そのベースの上に新しいことを積み上げて、物を簡単にあるいは効率よく、生産性よく作り上げるということを、世界はやり始めて、あるいは、動いているので、今、日本の製造業が遅れているのが、その辺りなので、その辺りを強化していかないと、結果的には国際競争力を上げていけないのではないか。そういう取り組み方を、本事業の中に少し入れ込む必要があるのではないかと分析したわけです。
 現実に、部分的には、自動車のJASARやロボットのRTミドルウェア、ITの分野ではスマートフォンとか、そういうところにプラットフォームという考え方は出てきていますので、そういう例はある。
 計測の分野でも、特に我々と関係しているものは、今まで日本のお家芸だった電子顕微鏡のところで、海外メーカーがプラットフォーム化をして、あるいは、コンポーネント化をして、ユーザビリティを上げて、トータルとしての極大化、オンリーワン・ナンバーワンあるいはユーザビリティ、コストパフォーマンスの極大化を図って、日本を含めた世界市場のトップをとるという勢いになっています。これは、やはり、こういうことに対して、真剣に捉えて取り組んでいかないと、大変なことになるなということが、分析されたわけです。
 そういうことを踏まえて、8章のところで、当面どういうふうにしていきますかという話と、9章のところで、今後の展開はどうしていきますかということをまとめました。
 8章の今後のところは、平成27年度の施策になるのですけど、当面はそんな簡単に大きく変えることはできないので、基本的に今までの事業を継承しながら、その中に課題として、いろいろ分析されたものを少し入れ込んで、事業を推進してはどうか。
 それが、右側の37ページのところにある図に、簡単に示してありますけれども、今までの取組に対して、平成27年度については、特定領域、要するに、先行事業的にプラットフォーム化の検討を行うことを含めた、特定領域のところを設けて進めることが必要なのではないかという話と、ニーズをちゃんともう少し捉える、それをうまく事業に結び付けていくという意味も含めて、調査・評価機能の強化を図る。その2点ぐらいを平成27年度に少し入れ込んで、事業を推進すべきではないかということをまとめております。
 具体的に何をやるのということは、なかなか難しいのですけれども、36ページのところで、平成27年度の施策としては、調査機能の強化はもちろん、その下側のプラットフォーム形成のところで、少し具体的な課題を取り組む。
 例えば、立体構造観察顕微鏡みたいなことが、かなり大きなニーズとして取り上げられていますので、トモグラフィ顕微鏡だとか、あるいは、次世代のMALDIを含めた質量分析計だとか、あるいは、ナノ極限計測領域の分析技術だとか、そういうことを取り上げる。
 それは、ちょっと意味があって、1つは、出口でバイオ電顕ということが書いてあるのですけど、ヨーロッパが今この辺に非常に特化して、バイオ電顕のプロジェクトを起こしているということが言われている。それで世界を席巻されると、日本の電子顕微鏡は、非常に苦戦する可能性がある。
 あるいは、ライフイノベーションにおいても、分析の分野からは少し苦戦する可能性がありますので、そういうことに対して、ちゃんと取り組んでいく必要があるのではないかということが1点。
 いろいろなイノベーションが言われているのですけれども、やはり、デバイスだとか構造材だとか、あるいは、劣化現象ということのイノベーションをきちんとやっていくために、それらに対する先端計測分析技術をちゃんと捉えて、開発をしていく必要があるのではないか。そういうことを含めて、いろいろな(a)、(b)、(c)が必要なのではないかと考えたわけです。具体的には、これから、そういうことをもう少しもんで、どういうふうに具体化して、進めるのかということを検討していく必要があるのではないかと考えました。
 37ページのところで、今後10年後のあるべき姿、又は、ありたい姿をまとめたのですけれども、ここは(1)から、次の38ページの(6)まで挙げてあります。いろいろ挙げてあるのですけれども、結果的には、今言った産業競争力も含めて、あるいは、オンリーワン・ナンバーワンをもちろんやりながら、イノベーション創出を支援していくような、そういう具体的に支援できるような事業にしていく必要があると考えて、イメージ案ですけれども、そこに掲げた図に表現をしてみました。
 基礎科学・技術のところで、もちろんオンリーワン・ナンバーワンは開発するのですけれども、それによって、ノーベル賞級の研究成果を上げたい。それを、今度は、上側の課題とニーズのところですが、国家的な課題あるいはニーズに対して、きちんとひも付けをする。もちろん、ひも付けできないところもあるのですけれども、ひも付けできるところは、ひも付けをして、そこのニーズをつかまえて、開発を進める。
 そのときに、ちょっと今までと違うイメージは、そこの中間にプラットフォームの構築を描いています。これは何を言っているかというと、基盤があって、全てを開発するわけではなくて、ベースがあるわけで、その上に新しい原理原則を積み上げて、新しいものを生み出していくという考え方をとらなくてはいけないという意味で、プラットフォームの構築が必要である。新しく開発されたものを、プラットフォームの中に組み込んでいくということを考えている。
 できれば、世界標準に持っていきたいのですけれども、世界標準的なオープンプラットフォームみたいなことを積み上げて、実際に事業をするとしたら、企業がクローズドなものを積み上げて、事業化していくということができれば、できるような仕組みがあれば、非常に効率よくできるのではないか、そこが少しみそかなと、今後の展開をやっていく上での一番大きなみそかもしれない。
 ただ、これを研究者あるいは開発者に負担を負わすということはできない。支援する体制や、どういうフォーマットが良いのかを考える必要がある。どういうふうにして、このプラットフォームを作り上げていくのかという支援を、研究者から見たら、研究開発していったら、自然にそこが積み上がっていくみたいな形に持っていけないか。それは今後の課題なのですけれども、そういうことができるような仕組みを作っていく必要があるのではないか。
 こういうことをやっていこうとすると、その下側に、マザーオブサイエンス拠点のような、やはり継続的にこういう事業を進めていこうとしたら、それを支えるものがないと、難しい。そういう意味での拠点を作っていく必要があるのではないか。
 それは何を意識したかというと、アメリカでいえば、NISTみたいなものがある。いわゆる世界の先端計測、計測技術に対する標準あるいは認証です。NISTは、それだけではなくて、いろいろな分野に対する標準化、国家戦略としての標準化、認証技術を開発してやっていますから、年間1,000億円規模ぐらいのすごい予算でやっているので、そことまともに対抗してやる必要はないのですけれども、我々は知恵で、質で勝負して、少ない予算で、こういう拠点を作って、世界をリードするようなオンリーワン・ナンバーワン技術から、物作りを創出していくような事業につなげていく。そういうことをやっていくことが必要なのではないかと考えたわけです。
 もちろん、EUも、二瓶先生からありました、FP7だとかNMRみたいなところにありますように、プラットフォーム化して、世界標準的な法則等を蓄積して、ライフだとかいろいろなものに対して展開しようとしている動きがありますから、そういうことも参考にしながら、新しい事業を、今後の事業としてやっていく必要があるのではないかと考えました。
 以上でございます。
【二瓶主査】  ありがとうございました。
 あと、この冊子の後ろの方に、参考の図表と資料を添付しようと考えておりまして、これが全てではないのですが、今、準備の途中で、出来上がったものを付けてございます。
 これは、実は4年ほど前に、やはり、まとめの資料を作ったのですが、そのときの資料の内容をリバイズしたものを再度載せる。あるいは、参考資料2と申しますものは、JSTの皆さんがお作りになった資料で、これも4年ほど前ですが、そこで、国内及び海外における先端計測分析技術・機械開発事業類似の制度に関する紹介、海外の類似事例が添えてございます。こういうものを参考資料として、添付しようと考えております。
 以上が、今回もくろんでおります報告書の内容でございます。御説明は以上でございます。委員の先生方、前回に引き続き、御意見をいろいろと頂けますと、幸いでございます。いかがでございましょうか。
 どうぞ。
【田中委員】  前回参加できませんで、申し訳ありませんでした。
 リバイズされた後のところの24ページになるのですが、それの丸5の後半に書かれている、「世界のナンバーワン技術・機器」は、世界からユーザーを集めて「課題を解決する」機能を発揮することが可能である。はい、これ、私もそう思います。
 これに対して、更に前向きな話を差し上げたいのですが、その前に、実は先ほど、この10年の成果に関して、PDFファイルをサーチしました。課題という言葉が幾つ出ているか、はい、50個ありました。
 ただでさえ、課題という言葉は嫌いですので、これだけ出てくると、それだけで嫌になってしまいますが、そうは言いつつも、これは、私は、大分前の会議で申し上げたかもしれませんが、日本は課題先進国と言われています。世界の国々、人々は、遅かれ早かれ、日本と同じような問題にぶつかるということで、それを日本が先んじて解決できれば、世界の方々にも喜んでいただける。
 ちょっと楽観的ですが、みんなから喜んでいただける。わざわざ戦略的にどうのこうのする必要もなく、日本の方法が、世界の方々に喜んで受け入れてもらえるという話になればいいのですが、これまで、例えば、ライフとかグリーンという課題が設けられて、ライフは健康あるいは長寿になりたいということですし、グリーンは環境、隣の国は、環境でかなり悩んでいるみたいですが、そういったことを解決できる、するためには、いろいろな手が必要だけれども、その重要な1つが、やっぱり、分析・計測だと思いますし、そういったことを行う必要がある。
 ここで、世界からユーザーを集めて「課題を解決する」というよりも、世界からみんなが集まるくらいの課題解決能力といったところに、もう少し前向きに課題を解決しなければならないというよりも、私たちは先んじて課題解決をやるのだというふうな、何かそういう言葉があったらいいのかなと思うのですが、いかがでしょうか。済みません、個人的意見で、失礼します。

【二瓶主査】  ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ。

【菅野委員】  2つだったものを1つにされて、実は2つだったときは気が付かなかったのですが、やはり、つなぎのところが少し気になりました。
 というのは、ちょうど前半部分のところでも、本事業の課題という形で終わっているわけです。後半部分でも、従前の目標と成果、従前の課題と問題点という形で、目次から見ると、一見、重なっているように見えるのですけど、中身を見ると、まるで違う。
 ですので、ここはやはり誤解を避けるために、佐藤先生のところの「従前の」というキーワードが分かりにくくしているのではないかなという気がするので、「従前の目標と成果」のところはなかなか難しいかもしれませんけど、例えば、「従前の課題」ではなくて、これは「今後の課題」と書いた方が、先生の書いている内容には合っているのではないかなという気がするのです。
 「今後の展望への視座」ですから、この課題は、確かに従前の成果に対する課題と、二瓶先生が書いていらっしゃる中の一部かもしれないのですけど、そういう意味ではなくて、その中から、今後へつながるものを課題として、特にピックアップしておく。だから、その辺りが気になりました。
 もう一つ、非常につまらないことなのですけど、段落の切り方が、二瓶先生は比較的短いのです。佐藤先生のものは、すごく長いのです。多分、どちらかに統一された方がよいのではないかと思います。個人的な好みを言わせていただくと、短い方に統一していただいた方が、頭に入ってきやすいかなという気がします。
 どうも勝手なことを申し上げました。

【佐藤主査代理】  正に言われるとおりでございまして、本来は、大体、最初から最後まで1人が書かなければいけないのです。それで、さすがにこれだけの大作になると、分担して書かないと、とてもじゃないけど書けないということで、こういうふうになったのです。
 言われるとおり、私の方で、7章以降で書いた「今後の課題」、「従前の課題」というのは、今後の展望に対する課題ですから、今まで二瓶先生が書いてくれた課題は、もちろんあるのですけれども、集約すると、こうだということですから、言われたとおり、確かに「今後の課題」と変えた方がいいですね。

【菅野委員】  多分、その方が分かりやすいですよね。
【佐藤主査代理】  文章は、私の癖なので、長く書いてしまうところなので、ここは短く、検討します。検討させてください。

【菅野委員】  「従前の」というキーワードは避けた方がいいような気がします。

【佐藤主査代理】  なるほどね。

【二瓶主査】  ありがとうございます。大変具体的な御指摘で、すぐに検討させていただきます。
 ほかに。 どうぞ。

【柳沢委員】  細かいことなのですけれども、資料の方で、論文の掲載件数、特許出願件数、売上額、認可予算の推移という3つのグラフが付いていて、ほとんど唯一の定量的な評価結果です。もちろん定量的評価は非常に難しいので、そのこと自体は仕方がないと思います。
 しかし、前回の委員会でも、どなただったかちょっと思い出せないのですが、特許でも全然ライセンスされないというか、製品化されない特許もごまんとあると、本当にお金になる特許というのはごく一部であるというお話が出ていたと思うのです。特許ももちろんそうですし、論文も、出しただけで、ほとんど引用されない論文はごまんとあるわけです。
 論文の場合ですと、被引用数、特許の場合ですと、何か製品化されるとか、ライセンスされるというアウトカムは、調べれば、調べられるはずですので、それを資料として、公にするかどうかは別として、少なくともインターナルなスタディー資料としては、やっぱり、是非やった方がいいのではないのかなというふうに感じます。
 先ほども言ったように、唯一の定量指標ですので、せっかく定量指標を出すなら、意味のある、より意味の強いものにしていただきたいと感じます。
 本当にハイリーサイテッドの論文は、ノーサイテーションの論文の何十倍も価値がありますので、それを同じ土俵で、ただ出版数として表示するということは、ある意味、非常に危険なことだと思っています。

【二瓶主査】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。

【小原理事】  済みません、オブザーバーで発言するのもあれなのですけれども、前回も読みまして、前回は2つに分かれておって、今回1つになっているのですが、率直に申し上げて、6章の「10年間の成果のまとめ」は、第三者から見て、何を言わんとしているのか分からないということが、私の率直な感想です。
 当初の目的であった世界のオンリーワン・ナンバーワン、ないしは世界をリードする、あるいは世界の市場をとれるような技術を目指して、10年間頑張ってきたわけですけど、それがどうだったかということをまず書いていただいて、いろいろそれに関わる課題等に書いていただければ、誠にすっきりするのですけれども、このような書き方ですと、果たしてこの10年間は、総括すれば、一体どうだったのかということが、なかなか見えないということが、率直な感想です。
 もう一つは、実際、これらの方針を立てて進めてきたのは、この小委員会であるはずです。その記述が全くどこにもないということはおかしいと私は思います。
 また、これはJSTのPRをするわけではないのですけれども、推進してきたのはJSTの委員会なわけです。それから、進捗管理してきたのは、開発総括を中心とした部隊なのですけれども、そこら辺のことも全く触れていない。一体この事業は誰が進めてきたのかということは、なかなか分かりづらい文章になっているのです。やはり、これは、率直に言って、まずいと思います。
 したがって、どういう組織が、どういう方針を立て、どういう形で進めてきたかということを、やはりある程度触れないと、まずいのではないのかなと私は思います。
 以上です。

【二瓶主査】  どうもありがとうございます。もちろん、この報告書の責任主体は本委員会にございますから、そういえば、委員会の委員表等を当然付ける予定でありますけれども、御指摘の実質的に委員会がどう関与したかということが、具体的に書いていないということは、おっしゃるとおりですが、内容は全て委員会が議論したことでございますから、それはしかるべくきちんと書けばよろしい。その書き方は検討いたします。
 JSTの実施の体制について書いていないということについては、JSTの出した成果のリストでも、きちんと載せればいいのだろうと思います。 実際に活字にすると、ページ数ばかり増えてしまいますので、ホームページのリストでも付けましょうか。どういう内容のことが、どこを見れば、明らかになるか。今はこういう時代ですから、これは結構大事なことだと思います。小原理事、御意見いかがですか。

【小原理事】  やはり、それは明確に文章の中に入れていただきたい。
【二瓶主査】  分かりました。

【小原理事】  やはり、責任を持って進めてきたのはJSTですので、もちろん、方針は、この小委員会で立てていただきました。それにのっとって、私どもの評価委員を作りまして、募集し、選定し、そして進捗管理を行ってきたという結果がこれですので、それは明確に書いていただきたいと思います。全責任をJSTが負っていると思います。
【二瓶主査】  実施責任はJSTですよね。

【小原理事】  ええ。実施という意味での全責任は、JSTが負っています。
【二瓶主査】  ええ、ですから、全体の責任主体は、この委員会が持っているのです。それは、お間違えのないように。実施責任はJSTです。

【小原理事】  はい。
【二瓶主査】  ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ。
【中村委員】  先ほど、定量的な評価が、図1、図2、図3のみだという話がございました。特に重要なものは図3だと思っているのですけれども、この売上額の図は、本事業の結果を客観的に示したもので、非常に重要なところだと思っています。
 これに触れておられるのが、二瓶先生のところで、こういう結果を示すと、こうなっているというお話をされているのですけれども、赤の売上額を今年度以降に伸ばすと、投資額を上回るという予想ができるわけで、その点を佐藤先生のところの今後の展望、あるいは最初の方で、触れられてはいかがでしょうか。

【佐藤主査代理】  なるほど。
【二瓶主査】  なるほど。

【佐藤主査代理】  一応、31ページのところの本事業の費用対効果は、12年度でイーブンに達しているということは挙げたですけれども、もうちょっと強調しろということですね。
【中村委員】  ええ。

【佐藤主査代理】  分かりました。
【小原理事】  あと、私が先ほど申し上げました、6章の「10年の成果のまとめ」について、私は先ほど考えを述べたつもりなのですけれども、それに対しまして、何か一言お願いしたいのです。
 私は、先ほど言いましたように、これだと、不十分だと思います。やはり、目指してきたもの、それを達成したのか、しつつあるのか、至らなかったのか、それがまずあって、様々な課題をしっかり書くべきだということが、6章10年間のまとめの内容にすべきではないかなと思っています。

【二瓶主査】  御指摘の点はよく理解しています。要するに、いささか抽象的な表現になっているのです。これは、もちろん、目標を達成したと書いているのです。例えば、重視した項目はかくかくしかじかと書いてありますが、重視した目標をきちっとクリアしているというつもりで書いているのです。
 ですから、確かに御指摘のように、普通の報告書ですと、そういうものを、例えば、研究成果報告書では、何を実現したということをまとめて書くことは常識です。事業全体となると、いささか抽象的な表現にとどまっているということは、御指摘のとおりです。少し検討します。
 どうぞ。

【森川委員】  この10年間の評価につきまして、ちょっと曖昧になっているという御指摘に関係するのですけれども、平成16年に発足したときは、やはり、もともとオンリーワン・ナンバーワンを目指してきたわけです。その結果として、論文や特許や実際に成果物として上がってきた。ここは、もう十分成果であると言い切ってよろしいのではないかと思うのです。
 第4期の科学技術基本計画で、科学技術イノベーションは、プログラム的に見ると、後半に出てきた話であって、それは31ページにある「今後の展望への視座」のところで、オンリーワン・ナンバーワンと科学技術イノベーション創出支援と、トップにうたってしまうと、確かに、後段の丸5のところで、間接的に創出支援に貢献した。
 グリーンイノベーション、ライフイノベーションについては、直接的なイノベーション創出を支援という表現に、やや一歩後退したように。そして、波及効果に対する評価手法が未確立である。
 オンリーワン・ナンバーワンをやってきたことに関しては、こういう形で明確にできるというふうに言い切ってもよろしいのではないか。逆に言うと、イノベーションの創出ということに関しては、今後の正に課題であるという表現をした方が、やはり、読まれる方には御理解というか、御納得いただけるのではないか。
 先ほど、佐藤先生から、今後の課題でありました、35ページのところの1つの電子顕微鏡、日本の得意とする分野で追い立てられている。コンポーネントのプラットフォーム化を図って、コンポーネント単位の変更を可能にしている。これは、正に、今、この中に1つも、言葉として出てこないのですけれども、オープンイノベーションの話だと思うのです。
 前回の委員会でも申しましたように、科学技術白書にもオープンイノベーション化の推進は、今後の課題として、具体的に言葉も出ていますから、正に今後JSTがいろいろ実施に苦労されている、このプログラムが、イノベーションで省庁を超えて、横断的なものの核になるような、そういうことを、今後このプログラムは目指していくのだという、もっと前向きにそれを捉えるということも可能なのではないかと私は思うのでございますが。
 35ページの中段に、技術はあるのに、システムで負ける、経営マネジメントで負けている。こういう表現も、確かに負けていると言うのか、そういう産学官連携をもっと推進して、オープンイノベーションをやっていけば、ここは、今後世界に伍していける。
 何かこう少し遠慮がちに書かれているような気が私はしまして、ポジティブに成果として、自信を持って言うべきところと、課題として、今後改善していくというところを、うまく書き分けることは可能なのではないかと私は考えます。
 以上でございます。

【二瓶主査】  ありがとうございます。確かに少しめり張りを付けて、自信を持って、言い切る部分を明確に書くべきだと思います。
 シェアの問題は実はずっと以前から、4年前も議論のポイントになりました。シェアの問題に関して、5年や10年、そのくらいで、何か大きな変化が起こせるのかという議論はあります。確かに5年たって、初めて製品が出てくる。でも、これは早い方です。それが本当に世の中に影響を与えるぐらいになるのは、10年ぐらいは常識なのです。
 とすると、この事業を始めて10年で、シェアがどうこうと議論することは、必ずしも適切ではないということが1つあります。これは、佐藤先生の方がお詳しいでしょう。
 もう少し全体を大きな視点で、めり張りを付けて見るということは、確かに必要だと思います。

【市川分科会長】  後半の部分でお聞きしたいところがございます。アメリカなどは、NISTが中心に、そういうプログラムを進めているということなのですけれども、日本では、これの役割を果たしているのは、経産省の旧計量研という、今の産総研です。そことの関係が、ここの中には入っていないことが、若干気になっています。
 つまり、日本全体として、やらなくてはいけないことだと思いますので、省庁関係のいろいろなことがあるのかもしれませんけれども、日本としての戦略みたいなものをちゃんと立てないと、NISTには、かなわないという気がします。そこら辺が、難しい問題だと思います。
 ですから、いわゆるこの事業の立場と、従来の計量研がやってきた日本の計測の標準とか、そういうものを含めて、どうするかということを、もう少し考えた方がいいのではないかなという気がしました。

【佐藤主査代理】  正に御指摘のとおりでございまして、今回はあえてやめました。あえて。下手なことを書くと、下手な批判になってしまうとか、下手な評価になってしまうので、これは今後の課題だと。
 今後、やはり、この事業が標準や認証というところまで考えながら、先端計測をやっていくという意味で、どういうふうな取り組み方、どういうふうな体制で、どういうふうにやっていけばいいのだということを、やはりこれは国家事業的に考えないと、多分、無理でしょうから、省庁横断型は、今、盛んに、ライフイノベーションで言われていることと同じなのですけれども、結局、トータルとして、どうやってそれを捉えて、どういうふうに進めるのか。
 こちら側と計量研の方と併せて、どういう仕組みで、どういうふうに進めるのかということを、相当慎重に考えないと、下手な言い方はできないので、今後のタスクフォースというか、その中での検討課題だなと考えました。もし書くとしたら、そういうふうに書いてもいいのですけれども、そういうふうに考えました。

【二瓶主査】  どうぞ。
【菅野委員】  先ほど、まとめのところですけれども、佐藤先生の7-1が比較的よくまとまっているのです。これが、多分、比較的標準的なまとめになっていて、特にオンリーワン・ナンバーワンで、特筆すべきことがあるという形で、ポジティブな評価だと思いますので、せっかく1冊になったので、例えば、少し順番を入れ替えてみるとか、そういうことをお考えいただくとよいのではないかと思います。
 この後に、逆に、二瓶先生がお書きになったところ、性格とか課題のまとめが入っても、比較的つながるかなという気もいたします。これは、全く個人的な意見です。

【杉山委員】  そうですね。いいと思います。
【二瓶主査】  ありがとうございます。確かにいささか接続部分を解析接続にしようと思いながら、形だけの接続になっておりますので、御指摘のとおり、検討させていただきます。

【佐藤主査代理】  私も、目標と成果が少し分かりづらいなと思いながら、それで、逆に、あえてここで要約してまとめるぞと書いたので、二瓶先生と相談して、前側と合わせて、どういうふうにするか、後で検討させてください。

【江原委員】  済みません、よろしいですか。
【二瓶主査】  どうぞ。

【江原委員】  やはり、成果となっているので、これも個人的な意見なのですけれども、採択された企業とかチーム側から見た視点というのでしょうか、そういうような文章が入ってもいいのではないのかなという気はするのです。
 あくまでも、この小委員会から見た面ではなくて、いわゆる採択されて、オンリーワン・ナンバーワンの機器を作ったチームなり、企業の声というのでしょうか、それをうまく、直接的でも、間接的でもいいのですけど、入れた方が、成果としては、かなり効果が出るのではないかなという気がするのです。

【二瓶主査】  例えば、どういう形を考えればよろしいでしょうか。

【江原委員】  この中で、やはりオンリーワンという表が出ている何社かの方に、お話を聞いて、それを先生の方でまとめていただくというような形かなとは思うのです。
 多分、オンリーワンなり、ナンバーワンの装置を開発された方々は、かなりの自負を持っていらっしゃると思うので、読まれる方、読者の方にもアピールする言葉なり、文章が出てくるのではないのかなという気がしたものですから、具体的にどうしろということは、今、すぐには思い付かないのですけれども、意見を言わせていただきました。

【田中委員】  ちょっとよろしいでしょうか。

【二瓶主査】  どうぞ。

【田中委員】  直接的な話は、私は、逆に、このプロジェクトで、予算とかは関係ないことで、どちらかというと、波及効果という点から申し上げますと、これは前にも申し上げたと思うのですが、こういうふうに国が、先端計測が重要だということを言っていただけた、注目していただけた。それによる技術者あるいは営業の人も含めて、私たちは重要なことをやっている、やりがいがある。
 そういったことで、実際の取り組まれた、いわば認めていただいたプロジェクトよりも、どちらかというと、それ以外のところに及ぼした影響の方は、何倍もあるように思えます。
 ちょっと具体的には、会社の話は細かいことは申し上げられないのですが、それによって、これ以外のところで、例えば、今までゼロであったものが、世界市場の何割をとれるようになったということもあります。そういったことも触れていただいた方がいいのではないかと思うのですが、広げ過ぎでしょうか。
 もう一つ、済みません、先ほど中村先生が話された表です。実際に売上高が、ほぼ認可予算と、今の時点で、同レベルになりつつある。これは、前にも同じことをお話ししたのですが、このままいけば、もう超えてしまうというところで、こういった評価を、経産省ではなく、文部科学省が今まであったでしょうか。ほかはやっているのでしょうか。やられていない。
 そういう画期的なことで、評価軸、もともとはオンリーワン・ナンバーワンになることが目標だったと思うのですが、よくこういうプロジェクトは、実際やってみたら、こんないいことも出てきたということもあります。
 そういったことは、ある意味、画期的である。しかも、もう既にほぼ同額になっているということ、もう少し文章の中で述べてもいいのではないかなと思うのですが、どうでしょうか。
 以上です。

【二瓶主査】  ありがとうございます。
 この委員会ではなく、タスクフォースの会議でしたか、経産省の課長もお見えになっていて、極めて経産省的整理をされましたね、すばらしいですねとおっしゃったことがあります。

【田中委員】  もちろん……。

【二瓶主査】  ですから、多分、文科省では余りやっていないという意味ですね。

【田中委員】  論文とか特許の数は、学術的な面で見るということは、画期的だったのですが、今までなかったもの、新しい評価、今までと違うよさを見付け出したということは、私はすごくよかったなと思います。
【二瓶主査】  どうぞ。

【山科委員】  前回もいろいろ申し上げましたけれども、そのやり方を採用してくださって、私なりに非常に分かりやすい報告書が出来上がっていると思います。
 あと、もう一つ、この前もちょっと申し上げたのですけれども、この委員会として、あるいは、この事業として、一番成果になるものは表になった。この表は、表としては、随分膨らみました。しかし、書いてあるから、そこをよく読めば、分かるのだという考えもあるかもしれませんけれども、11ページの4-2の研究開発成果の中に、具体的にこういう装置ができて、これはどのぐらい売れて、どういう波及効果があったとか、そういうものの代表、オンリーワンとしては、こういうものがある、ナンバーワンとしては、こういうものがあると、具体的な品名を挙げた方が、成果として見やすいのではないかという気がいたします。報告書の体裁として、こういう成果がありますよと言って、見せるものは、具体的にここに明示されていた方が、なるほどなという気がするのではないか。その上で、 更に詳しいものを見たければ、表を見てくださいと言う考え方で、4-2をまとめられてはいかがかなと思います。

【二瓶主査】  ありがとうございます。
 代表例、典型的な例を、1つでも、2つでも、具体的な記述として挙げるということでございますね。確かに、そうすると、一般の人にとっては、ずっと分かりやすいですから、御指摘のとおりだと思います。

【小野委員】  よろしいでしょうか。

【二瓶主査】  どうぞ。

【小野委員】  事業の成果として、先ほど田中先生がおっしゃった波及効果なのですけれども、私自身も、周りの研究者の方々で、基礎研究をやっていらっしゃるとばかり思っていた方が、計測ということにものすごく研究を進められて、入ってきていらっしゃるということがあります。後ろの表を見ていても、そういう方がたくさんいらして、そういう意味では、非常にその効果が、私自身も感じられるし、大きかったかなというふうには思います。
 もう一つ、先ほどシェアの低下という話が出ていました。確かに事業というのは、やはり、ポジティブな面というのを第1に言わなければいけないことですし、それは大事なことですけれども、シェアの低下ということがある。
 ただし、それは、ナンバーワン・オンリーワンのものが、たくさん積み重なって、5年、10年たって、シェアになってくるということでよろしいとは思うのですが、その後、36ページのあたりにも、それを克服するための事業の施策ということが書いてありまして、重点課題ですか。シェアの低下に対しては、こういうふうな施策を考えているということを打ち出していけば、理解していただけるかなとは思います。
 以上です。
【佐藤主査代理】  いや、もうそのとおりで、そういう方向でやっていくつもりで書きました。
【二瓶主査】  大分御意見を頂きまして、本来ですと、10年間の成果を、この程度の報告書にまとめることは、至難のわざであるということは、項目の数からいっても、業績の数からいっても、大変なボリュームでございます。
 この報告書は、詰まるところ、何が目的かといいますと、一番大事なことは、累積予算額で450億円を超えている事業が、何をもたらしたかということを示す必要があるということです。
 これは先ほど小原理事の御指摘で思い出しましたけど、JSTに関する資料は、まだ入れる予定が、入ってないのです。ですから、見えてないのですけど、当然、JSTの組織で何をやったかということは、参考資料に具体的な表現で載せます。この事業のスキームがどうかということも載せます。
 要するに、目で見て、ぱっと分かるような資料を載せないと、言葉ではなかなか伝わらないのです。10年間で何件を採択して、例えば、そういう資料もきちっと載せないと、事業のボリューム感が分からない。それもお願いしているつもりでございます。
 ですから、そういうものを完備して、JSTのアクティビティーは、当然、もっと分かりやすくなります。この報告書は、小委員会が出す報告書ですので、一体、小委員会がヘッドクオーターとして、どういうもくろみを持って、どういうディシジョンを行って、どういう体系で、この事業を進めてきたかということが、中心になるということかと思います。それにも拘わらず、10年の成果といいますと、当然、御興味のある方は、自分の御興味のポイントが、もっと知りたいということになりますので、大変難しい作業ではあります。
 先ほど、ちょっと申しましたように、この報告書にすべて盛り込むことは大変ですから、いろいろな手だてで、見たい、欲しい情報がたどれるような工夫をすべきではないかと思います。これも、実はJSTにお願いしないと、できないのですが、例えば関係する情報資源のURLを一覧表にするだけで、膨大なデータベースにアクセス可能であるという資料になります。これは作業としてはなかなか大変ですが、資料としては大事なことだと思います。
 先ほど、イノベーションの定量的評価のところでお話しましたが、アメリカは主として、NSFなどが膨大なデータベースを持っています。これは日本でいえば、日本学術振興会(JSPS)かもしれませんが、文科省としても、膨大なデータベースを持っていると思いますので、統合的なものを考えるべきかも知れません。
 そういうものの全体像が分からないと、本当はイノベーションで、それが定量的にどうなったかなどは、皆目見当も付かない話なのですが、そういう方向に世の中は向かいつつありますので、そういう目論みも、一部こういうところに取り入れるべきかと思います。
 さて、大分御議論を頂きまして、時間も参りましたので、このくらいで、この議論は閉めたいと思いますが、頂いた御意見を可能な限り取り込んで、まとめ上げたいと思っておりますので、主査並びに主査代理にお任せいただけますでしょうか。
 どうもありがとうございました。御協力、心から感謝申し上げます。
 それでは、次に、資料2についての議論に移らせていただきます。
 まず、資料2の御説明をお願いします。

○三宅研究開発基盤課課長補佐より、資料2に基づき説明があった。

【二瓶主査】  ありがとうございました。
 ただいまの御説明に関し、御質問ないしは御意見を頂きたいと思います。いかがでございましょうか。
 どうぞ。
【杉山委員】  今回の資料で、今のプラットフォームの検討を進めることが2番目に大きく取り上げられています。先ほど一例として、オープンデータ化の仕組み等というお話がありましたが、やはり、今までは何度も議論には出てきているもののどういう形で、どういうふうに進めるのかという結論まで至る議論はできていません。このプラットフォームの検討を2番目に挙げたということで、これは小委員会でこれからスピードアップしてやるのでしょうか。
 更にこれは平成27年度の実施重要事項ですので、早めにこのプラットフォームの考え方や日本に適した形態を議論していく必要があると思います。 このようなプラットフォームの検討をいつぐらいまでにやらないといけないのか。また、どのような議論の場で結論を出すのか、もう少し伺いたいと思います。
【三宅研究開発基盤課課長補佐】  よろしいでしょうか。
【二瓶主査】  どうぞ。
【三宅研究開発基盤課課長補佐】  こちらにつきましては、具体的な実施方法については、書かせていただいておりませんが、プラットフォームの考え方自体が、こちらの親委員会である研究開発プラットフォーム委員会の審議の事項でもございます。
 また、先端計測の事業としての取りまとめは、こちらの小委員会の事項でございまして、具体的にどこで議論するかということは、その委員会との関係も踏まえまして、具体的な枝葉については、主査とも相談して、進め方を確定させていきたいと思っております。
【藤宮委員】  よろしいでしょうか。
【二瓶主査】  どうぞ。
【藤宮委員】  オープンデータ化に関しまして、御説明だけさせていただければと思います。
 プラットフォームを構築する上で、ハード的なもの、ソフト的なもの、様々なプラットフォームが考えられます。現状、大学の先生方同士は、共同研究という形で、非常にオープンに共同研究される体制がもう出来上がっています。大学と企業の間も、それぞれのチャンネルがあって、どんどん広がってきているということは、確かだと思っています。
 一方で、企業のソフトウエア開発とハードウエアの開発に関してなんですけれども、この点に関しましては、ハードウエアの企業が持っているグループ会社に、ソフトウエアを担当してもらうというケースが圧倒的に多いです。
 もちろん、それは、ある意味、効率がいいのですが、ハードとソフトを切り分けて、オープンな環境で物を開発するとか、プラットフォームを共有するということが、非常にしにくい体制になってしまっています。
 先端計測で今まで開発された機器の中で、とてもノウハウに近い部分は難しいかもしれませんが、成果物の中で、補助的に測定された結果などで、例えば、質量分析装置の測定結果ですとか、電子顕微鏡の測定結果ですとかをオープン化し、利用規程に基づいて使用する者には、無償で提供するような仕組みを作るという提案です。
  成果物の一部として、測定データがオープン化できれば、ベンチャー育成も含めて、企業間でのやりとりが活発化され、今後構築されるプラットフォーム上での議論も活発にできると私は考えています。
 オープン化されたデータがたくさんそろってくることによって、大学の中で新しい人を育てるにも、教材として利用も可能です。
 今後のプラットフォーム形成の中で、成果物を一定のルールで、オープンデータ化していきたいという考えで御提案させていただきました。
 以上です。
【二瓶主査】  私から質問になりますけど、今までJSTの作業の一環で、データフォーマットを決めて、今、御指摘のようなオープン化する、それの規制力といいますか、そのあたりは、何か実際にアクションを起こしましたか。どうでしたか。むしろ藤宮さんの御関係でのお話なのですが。
【藤宮委員】  ソフトウエア関連では、機器に必要なソフトウエア開発をサポートするプログラムが行われてきております。
 このプロジェクトが終了して、3年以内にオープンソース化する条件となっております。ちょうど今年度がその3年後に相当しますから、今年度から成果物が出る予定です。
 オープンイノベーションの視点でみますと、ハードウエアに強く関係したチームが開発しているものですから、データに関しては開示されることが少なく、ソフトウエアのみがオープンになる予定です。
 もう少しデータフォーマットの情報と生のデータが利用できる環境があると、ソフトウエアを作る、又は改良するという意味で、もう少し今までとは切り口が違った形で、オープン化できればいいなと考えております。
【二瓶主査】  よろしいですか。
【田中委員】  これはJSTの宣伝にもなると思うのですが、今のデータフォーマット云々、あるいは、ソフトのオープン化ということに関してなんですが、質量分析に関しては、MassBankというものがもう既にできていまして、これはみんなが貢献して、どんどん積み上げていく、誰でもその中に入れられる。
 それプラスアルファなのですが、実際にそれを見るためのソフトが、Mass++がありまして、これは、実はJSTのCRESTで当初開発されていたフリーウエアを引き継いで、私たちがというか、国プロで開発したわけです。これ自身、規模がかなり大きくなっています。
 もちろん、それを、いわばオープンといいますか、ソースコードを公開するということも、戦略もあるのですが、余りにも大きくなり過ぎて、それを、例えば、ある程度のグループが、更にそれの開発を継続するということが困難な状態に、分析計測はだんだん巨大化してきまして、難しくなりつつあります。
 1つのやり方がプラグインという形で、それぞれの自分のやりたいことだけを、ちょこちょこっと開発すればいい。そちらの方は、いわばコアになるMass++というものを土台にしてつなげる、くみ上げていけばいいといった戦略も1つの方法になるかなと思います。まだ開発を継続しております。
【二瓶主査】  先端計測の事業で開発した装置の各社のデータを、フォーマット化、きちんと統一して、オープンデータ化という方向に持っていくという議論は、数年前にありました。
 ちょっと気になっておりますことは、ソフトウエア開発のプログラムがなくなって、各機器開発に繰り込まれたということが、果たしてよかったのかということで、今のようなお話は、純粋ソフトウエアの分野で、ある種の規制力を持たないと、なかなか徹底しませんでしょう。
 MSなどは、伝統的に大量のユーザーがいらっしゃるから、もちろん、その分野で締め出されると、みんな困りますから、みんな従うのです。しかし、一般的に言うと、なかなか、正に最初の御指摘のように、それぞれ自分の都合で作って、人にサービスする気はないという、それが出発点ですから、いささか困るのです。
 ですから、例えば、オープンデータ化の仕組みを作るという文言がありますけれども、これをどうやって実際にするのかと。先生、何かアイデアはありませんか。
【佐藤主査代理】  先生、これ、今後の10年間の課題ですから、当面のプラットフォームについて、どうするかということは、今、杉山委員の方からいろいろありましたけど、むしろ、今後の課題です。具体的に、要するに、物理的な拠点としてのプラットフォームと、サービスや物を作っていくためのプラットフォームと、いろいろあるわけです。
 だから、そこを、今、平成27年度においては、どの辺までを、手を染めながらやっていくかということを検討して、具体的にこの辺はやるべきではないかということを決めて、少しやっていかなければいけないのではないか。
 JSTが今までいろいろ事業をやって、ハードウエアもソフトウエアも、いろいろなものを積み上げてきているわけです。それが、実態として、今どうなっていて、どういうふうにして、みんながどういう形でうまく利用できる形になっているかなど、それをちゃんと宣伝がうまくできているとか、そういうことも含めて、もうちょっとプラットフォームという考え方を強化しようやということも含めた考え方を、事業として、どういうふうに取り込むかということを検討しなければいけないのではないかと、先生、思うのです。だから、もう少し検討した方がいいのではないか。
 ただ、公募型の事業としてどうするのか、ということも絡みますので、難しいのですね。事業としての形を考慮して、プラットフォームを作っていかなければいけないということは、もう必然的に必要な気がします。それを公募型にするのか、あるいは、もうJSTの中の先端計測事業の中の一部として捉えてしまって、そこの中で、少しやっていくのかなど、何か事業の在り方も考えないと、難しいような気がします。
【二瓶主査】  今の問題提起は、こういう事業を継続していく上では、それこそ社会的責任といいますか、国の事業ですから、そういうことをきちんと成果としてまとめ上げていく義務、責任があるのではないかという感じがいたしますので、是非御検討をお願いしたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ。

【杉山委員】  ただいまのオープンデータ化ということに関連して、これまでタスクフォースでもいろいろな議論がありました。また世の中全体がビッグデータということで、いろいろな動きがあると聞いています。今年の先端計測機器開発公募でも、要素技術課題として、画像情報技術というタームが新しく入ったと思いますので、そのような変化を受けて新しい公募案件がでてくれば、それも1つの変化かと思います。
【佐藤主査代理】  プラットフォームにつながる個別のオープンデータ化だとか、何とかというものは、もちろん検討されていくということはいいと思うのです。ただ、プラットフォームというのは、やっぱり、全体として、共通基盤として効果がないと、駄目なので、そこのところをどういうふうな形で進めればよいのか。
 今は見えないけど、ぼやっとこういうふうにあるのだけれども、それをこういうふうに取り込んでいって、全体として、こうしようやという何かを作らないといけないですよね。そこの部分を少し検討しなければいけない。

【杉山委員】  はい。そのように思います。
【二瓶主査】  それでは、ほかに何か御意見はございますでしょうか。
【田中委員】  済みません。
【二瓶主査】  どうぞ。

【田中委員】  何度も意見を申し上げて済みません。
 この重要事項(案)の1ページの2ポツの中に書かれているところなのですが、それの五、六行目ぐらいから、既存の開発タイプ及び領域については、それぞれ設置された目的と考え方を踏まえ、研究費以外での支援の仕方(例えば、開発成果を製品開発を行う企業につなぐ仕組み)の検討というふうに、既に検討されていると思うのです。
 これは、また、質量分析というニッチな話で申し訳ありませんが、具体的な例として申し上げますと、これは、ここに瀬藤先生と竹内先生がいらっしゃいますし、私の経験は、10年とか大分前の話ですが、お二方の方がより最新のアクティブな話になると思います。もう既に10年ぐらい前から、こういうことがアメリカで行われているということをお話し差し上げることになると思います。
 アメリカで、質量分析学会参加者、3、4千名とか、非常に巨大な……、もっとですが、大きな学会です。そこで、もちろん、口頭発表も行われるのですが、ポスター発表が、10年前ぐらいの時点で、もう二千数百件ありました。4日間にわたります。
 そのポスター会場は、1辺が200メートルぐらいの非常に大きな会場で行われますが、その会場のポスターの周りに、実は、企業、ベンチャーあるいは大学のブース、百数十あります。非常に大きな企業も、本当に今年出たてのベンチャーも同じ広さです。みんな平等です。
 そういったところで、実際にポスターが発表されるところで、ベンチャー、本当に生まれたてのベンチャーなどが発表するときに、そのすぐ横にブースがあるわけです。そういったところで、自分たちのできたばかりの成果を発表する。そのすぐ近くに、例えば、もう何百億円、何千億円と売っている企業もあるわけです。そういうところで、発表者、参加者、企業の人たちが、実際に集える、交流できる場が、もう既にできているわけです。
 これは、日本に当てはめれば、例えば企業だけでなく、大学といった方々も集まる学会です。学会で、そういう場を設けることは、1件当たり数十万円の補助で済むことだと思います。
 そういった補助をすることによって、具体的には、そういうベンチャーが、安い費用で発表の場を設けられる。実際、翌年になると、もちろん消えているところもあります。単純に名前が変わる場合もあります。
 もっと劇的なことは、実はこれは数日前の話なのですが、済みません、具体的になり過ぎて、申し訳ありませんが、手術のときに、電気メスを使いますね。電気メスは、実際にガスが発生します。それを吸い取って、質量分析に入れて、それで、この患部を切って、がんなのかなとかということを判断するベンチャーの企業が、昨年か一昨年かできたのですが、今年もうなくなりました。巨大企業に買収されました。
 そういうふうに、ベンチャーが、そういう実際の製品につながる場を設けるということは、もう既に10年ぐらい前にできていますので、日本でももう学会は学術をやればいいというだけでなく、大学の先生自身が、そういったベンチャーを起こす時代になってきていますので、そういうところに、ちょっとした数十万円ぐらい、それ掛ける幾つかの学会という補助の仕方が、もう既に考えられる、検討を始められていると思いますが、済みません、私の経験を長々と述べる場になってしまいましたが、御参考にしていただければと思います。
 以上です。
【二瓶主査】  ありがとうございました。御指摘のような仕組み、それも、本来ですと、先端計測のプラットフォーム、すなわち、機器開発を行うこの委員会主導のプラットフォームを顕在化させて、そこで持つ機能の1つという形で、広げていければ良いと思うのです。御指摘のように、学会でできれば、それは、それで、もちろん、そういう実例があるという御指摘ですから、大変参考になると思います。
 ベンチャーに関する議論は、前回もいろいろございまして、いろいろな御意見が出ましたが、議論の段階でなく、ぼつぼつ、もっと有効な方策を実際に検討し、実行する段階ではないかという御指摘かと思います。ありがとうございます。
 どうぞ。
【竹内委員】  ライフイノベーション領域のところに、「事業の促進」を加えさせていただきました。機器を作る側の目線だけではなくて、機器メーカーの目線だけではなくて、使う側、ユーザー側のサイトの目線も考慮して進めていく必要があるからです。
【二瓶主査】  ありがとうございます。
 それでは、ぼつぼつ時間が迫ってまいりましたが、何か御意見がございましたら、是非。よろしいでしょうか。
 この資料2の案件につきましても、今日頂いた御意見並びに、もちろん、この後でも御意見があれば、事務局にお寄せいただければ幸いでございますが、このような基本的な事柄を念頭に置いて、平成27年度のプログラム実施の更に具体的な検討を進めるということかと思います。本日の議論の取りまとめに当たっては、主査にお預けいただけますと、幸いでございます。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。本日の議事は以上でございます。
 それでは、事務局から何かございましたら。

○三宅研究開発基盤課課長補佐より、今後のスケジュールの確認があった。

【二瓶主査】  それでは、本日は誠にありがとうございました。今後ともどうぞよろしく御支援のほどお願い申し上げます。ありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

文部科学省 科学技術・学術政策局 研究開発基盤課

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電話番号:03-6734-4098(直通)
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(文部科学省 科学技術・学術政策局 研究開発基盤課)