研究開発プラットフォーム委員会 先端計測分析技術・システム開発小委員会(第3回) 議事録

1.日時

平成25年7月30日(火曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 3F1特別会議室

3.議題

  1. 平成26年度のプログラム実施の重要事項について
  2. その他

4.出席者

委員

二瓶主査、佐藤主査代理、飯島委員、江原委員、小野委員、菅野委員、杉山委員、瀬藤委員、竹内委員、中村委員、藤宮委員、森口委員、柳沢委員、山科委員

文部科学省

土屋科学技術・学術政策局長、伊藤科学技術・学術政策局次長、弦本研究開発基盤課長、三宅研究開発基盤課長補佐、

オブザーバー

小原JST理事、林JST開発主監、市川JST先端計測分析技術・機器開発推進委員会 総合評価分科会長、久保JST先端計測室長、児山JST先端計測室副調査役、増渕JST先端計測室副調査役、重茂科学技術・学術政策研究所 科学技術動向研究センター長補佐、福田JST研究開発戦略センター(CRDS)フェロー

5.議事録

科学技術・学術審議会 先端研究基盤部会
研究開発プラットフォーム委員会
先端計測分析技術・システム開発小委員会(第3回)
平成25年7月30日


【二瓶主査】  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第3回先端計測分析技術・システム開発小委員会を開催したいと思います。
 本日の議題、お手元にございますとおり、「平成26年度のプログラム実施の重要事項について」を予定しております。
 それでは、事務局より配付資料の確認をお願いします。

○三宅研究開発基盤課課長補佐より,出席者の紹介と配付資料の確認があった。

【二瓶主査】  それでは、本日の議題「平成26年度のプログラム実施の重要事項について」に入りたいと思います。
 前回の小委員会でお知らせいたしましたとおり、この小委員会のもとにタスクフォースを設置いたしまして、これまで4回、計測分析技術・システム開発の進め方について集中的な検討を行ってまいりました。
 その結果を重要事項のたたき台として、本日、提示させていただいております。本日、皆様から御意見を頂き、必要な修正を行った上で、小委員会決定としたいと考えております。
 それでは、事務局より、タスクフォースにおける検討の経過も含めて資料の説明をお願いします。

○三宅研究開発基盤課課長補佐及びJST先端計測室児山副調査役より、資料3-1~4-2に基づき説明があった。

【二瓶主査】  大変多くの資料を一度に説明させていただいたということになっておりまして、大変恐縮でございます。特にタスクフォースで議論した内容についての御紹介、本委員会の委員の皆様にはなるべくきちんとお伝えするというお約束をしておりながら、なかなかうまくできていなかったような気がしております。
 それでは、ただいま御説明いただいた資料について、2つに分けて御議論いただければと思います。
 まず、初めに、資料3-1から3-7までの資料、それから資料4-1、4-2の資料、要するに今までの議論の経過をまとめた部分に関する御質問、御意見をまず頂きたいと思います。その後に、本委員会の中心議題であります資料4-1、4-2、それについての御議論を頂く、そういう手順をとりたいと思います。
 まず前半でございますが、御覧いただきましたとおり、主な資料は、資料3-5、3-6、3-7ではないかと思います。そのあたりで御質問がありましたら、まずお受けしたいと思いますが、いかがでございましょうか。どの点でも結構でございます。
 資料3-7につきましては、本年度のプログラム募集が既に終わり、それの一次スクリーニングが終わり、二次のヒアリングの手前まで、現在、来ておりますので、かなりまとめて御説明いただいたように思います。どの点でも結構でございますので、御質問いただければと思いますが、いかがでしょうか。
【児山副調査役】  先ほど資料3-7で大事なところを説明することを忘れていまして、1点だけ補足させていただければと思います。
 資料3-7の6ページの3.でございます。重点開発領域を設定するに当たって、これはJSTの事務局サイドからのお願いにかなり近いところになるかと思うのですけれども、現状、かなり計測分析の原理自体は、応用分野がどんなに違っていても、既存の重点開発領域にいろいろ大きなばらつきが、実は出てきている部分があるのではないかと考えている次第でございまして、新たに開発分野を重点化するに当たっては、可能であれば、今日は市川先生が来ていらっしゃいますけれども、先端計測分析技術・機器開発推進委員会の下に総合評価分科会を設けておりますけれども、この中で、総合評価分科会が事前評価を行う一般領域の一部として例えば重点化するといったことも、我々としては考えておりまして、実際にその中の運営をどのようにしていくかは今後考える必要があるかと思いますけれども、事務局の事務的な効率化という観点から、一つこの点も御検討いただければと考える次第でございます。
【二瓶主査】  それでは、ちょうど良い補足の御説明がありましたので、今の点についていかがでしょうか。応募件数に大きなばらつきがあるのは事実なのですが、要するに重点領域化して特に目立つように提示したものは、内容の説明が丁寧であるということで、応募者にとって分かりやすい、その結果、応募がたくさん出てくる。
 そこで、今まで一般領域、実は先ほど御説明がありましたように、資料4-2を御覧いただきますと、「一般領域」という表現を改めて、「最先端研究基盤領域(仮称)」というように読み替えよう、要するに名称を改めよう、いかにも「一般領域」というのは没個性であるとともに、今おっしゃったように何が狙いなのかが分かりにくい、その他、見せないという雰囲気がそのまま出ているということもあり、これはタスクフォースの議論等でも、名称を変えてもう少し応募しやすいようにしてはいかがかと、そういう議論の結果です。
 したがいまして、この中をさらに、例えば年度ごとに何か重点化ということは、特定の分野を挙げて応募をエンカレッジする、そういう方法をとりたい、そういう意味ですね。
 では、せっかくですから、市川先生からちょっとそのあたりの経緯を御説明いただけますか。
【市川分科会長】  推進委員会で少し問題になりましたのは、今度のライフイノベーションの領域が設定されて、応募がすごく多かったのです。結局、予算的には半々くらいになりまして、結局、予算トータルとして余り増えていないのに半々に分かれて、現在の一般領域の例えば採択率を考えると、10%を切って7%とか、ものすごく低くなってしまうのです。
 だから、その辺りをうまく考えてその重点、例えばこういう社会的問題を解決する領域とか、そういうものも設定してもいいのですけれども、その辺りをうまく考えて何か算段をしないと、結局、一般領域に応募してもほとんど採択されないということで、先ほど言った最先端の研究にそういうモーティブフォースがなくなってしまうおそれをちょっと我々は感じたので、できれば何かこういう一つの大枠の中で小重点領域という形で何かそういう形で応募できないかと思っています。
 その中で、一つの領域の中で公平に優劣をそこで評価すれば、それなりに非常に面白いレベルの高い課題であれば採択されるだろうし、そうでなければ、せっかく小重点になったかもしれませんけれども、それはそれで採択されないという、競争原理を有効に働かせた上でやる必要があります。先ほど言った社会的問題解決というところでいろいろな、私も勉強してみたのですけれども、実はそんなに面白いテーマがないのですね。ないと言っては、出てこないのかもしれないのですけれども。
 そうすると、片や従来の一般領域でものすごく面白いものがあるにも関わらず、いわゆる予算の採択率の関係でそれが採択されないという、そういうジレンマというか、恐れもあります。何か我々としては、もう少し大枠に、重点でもいいのですけれども、評価する大枠の中で、小重点で公平に評価して採択するという形にしないと、先ほど言いましたように一般領域にはほとんど採択されないという評判が立って、結局あそこには応募しても駄目だなということになりかねません。そうすると、新しい計測技術の発展には非常にマイナスに働くのではないかという恐れがあったので、先ほど児山さんからありましたような、全体の中で小重点という形で行う手もあるのではないかという議論になりました。
【二瓶主査】  そのあたり、私、今初めて伺ったのですが、思い出していただきたいのは、「一般領域」というのは何かといえば、本プログラムの最も基幹となるプログラムなのです。特にオンリーワン・ナンバーワン路線でそれを重視するというのが、実はこの領域なのです。御理解いただけると思いますが、ライフイノベーションでも、今、「社会問題解決」という仮のタイトルになっていますが、現時点ではグリーンですね、これはイノベーション路線ですから、出口に近い、具体的なターゲットを掲げて開発研究をする面、そういう性格を与えて特化させたわけでしょう。
 そうすると、「最先端研究基盤」と、こういう名前にした理由は、最も切れ味のいい、私はもっと「次世代」とかはっきりとした、「最先端」でもいいのですが、「次世代基盤計測技術」を狙う。すなわち、オンリーワン・ナンバーワンですよ。それをきちっとやるのだということをもっと明確に出して募集すれば、当然、出てくると思うのです、いい課題が。いかがですか。
【市川分科会長】  それは、私は大賛成です。今まで「一般領域」というのは、何となくその他大勢だというので。
 でも、先の議論では、グリーンとライフしかないよと言われたので、異論があり抵抗しました。一般領域が辛うじて残ったという、多分、昨年度の小委員会に出ていて、そういう経緯を知っているもので、積極的に最先端研究基盤という形で出ていけば、多分、応募はかなり出てくると思います。だから、そのときに適正にやはり採択をしてもらわないと、あそこに出しても結局はほとんど10%以下というのは、ちょっとひど過ぎると思います。科研費から考えても、科研費の場合は20%ぐらいの採択率はありますので、ちょっとひど過ぎるという評判が立ってしまうと、後々ちょっとまずいことになるのではないかと思います。これについては、非常に私は大賛成でございます。
【二瓶主査】  理解できました。
 ただ、今年の例で言えば、ライフイノベーションもまさに10%を切っているのです。ですから、これは予算の枠とか、うれしい悲鳴ですよ。申請が多かったからそうなるわけで、局長は退室されてしまいましたが、まさに局長に聞いていただきたい話なのですね。
 もちろん、現今の情勢では、こんなにたくさん良いテーマの申請があるのに採れない、だから予算を増やせ、なかなかそうならないというところがつらいところですが、もちろん基本は良いテーマをきちっと選んで、良いテーマがあるにも関わらず採択できないという状況に関しては、是非、事務局に、財務当局にしっかりと折衝していただきたいということは、当然、この委員会としての委員の皆さんのお気持ちだろうと思います。
 話をもとに戻しますと、一般領域を活性化するという意味では、現在の提案ではもっと基盤を重視したオンリーワン・ナンバーワン路線を明確に出した、そういう募集をきちっとするということが一つのアイデアで、これはタスクフォースサイドからの意見として出てきている。
 それから、ただいまの御意見は推進委員会、要するに先生方の評価委員会サイドの御意見として出てきた、そういうものをもう少しきちんと議論した上で、適切な形にして来年度募集する、そういうふうに理解すればよろしいですか。
【市川分科会長】  はい、結構です。私は賛成いたします。
【二瓶主査】  ありがとうございました。
【杉山委員】  私も今の二瓶先生、そして市川先生の話に賛成です。ただ「オンリーワン・ナンバーワン」という言葉に含まれていればいいのですが、やはりJSTの整理していただいた2ページの一番下の2行が気になっています。計測分析技術の重要性から将来の革新技術の中にこれまで国産の機器をどうするのだという議論がたくさんあったと思いますが、スタンダードな技術の次世代型とか革新技術をやはり一般領域でしっかり入るように、そのためにも小テーマ化するというのは、大事だと発言しておきたいと思います。
 その理由は、産業界で装置を使う立場からいきますと、やはり電子顕微鏡とNMR以外にもSPMも非常に危なくなってきていまして、私たちが買おうと思うと、日本製を買おうと思っても海外製品しか出てこない領域があります。我が国が本来強かったスタンダードな装置が、徐々に海外にシェアを奪われていますので、そこでの次世代技術、革新技術、これがオンリーワン・ナンバーワンの中に一緒に入っていくようになれば有り難いと思います。
【二瓶主査】  ありがとうございます。
 杉山委員の御指摘は、要するにスタンダードとなった装置、あるいは技術、それが海外製品に押されてしまって、日本の製品がどんどんいわば成長が止まってしまっている、この現状をどう打開するか、そのための研究開発をエンカレッジする必要があるのではないかと、そういう御意見ですね。
【杉山委員】  はい。
【二瓶主査】  仮にそういう目的を明確にうたった領域をセットするとなると、どんな形になりましょうか。確かに今、市川先生と私が議論したのは、どちらかというとオンリーワン・ナンバーワン路線ですから、世界にないような新しい技術、新しい装置をつくるというところにかなりポイントがあるわけですけれども、今ある装置も、杉山先生のおっしゃっていることは更に磨きを掛ければ世界で競争力のある装置にできるのではないか、要するに日本のポテンシャルを使えばそういう戦略目標を立てる必要があるのだろうと、そういう御指摘ですね。
【杉山委員】  はい。
【二瓶主査】  もう少し具体的に何か御説明いただけますか。
【杉山委員】  どうしてもスタンダードな装置開発提案があったときに、例えば電子顕微鏡という技術がもうあるのではないかとなりがちです。そうではなくて、かつて電子顕微鏡分野に収差補正技術が出てきたように、検出器、それから電子銃の部分を含めて様々な技術開発を海外はまだまだやっています。さらに、集束イオンビーム加工技術のところでも、日本ではガリウムイオンビームしかやっていないと思いますが、海外では、その次のプラズマイオンビームとかレーザービームをFIBの次世代型として使おうという形でやっています。
 つまりスタンダードな技術なので一見、完成しているかのように見えても、その要素技術は確実に研究しているところが海外ではあるのです。そこがあるので次が出てきます。やはり現在ある装置に対しての革新的技術、次世代技術、すなわちスタンダード技術の次世代技術は何だろうかということを大切にしていただきたいと思います。
【二瓶主査】  大分分かってまいりましたが、市川先生、今の御意見に対して、最先端研究基盤領域という形でどう位置付ければうまく応募を喚起できるかというのはいかがでしょうか。
【市川分科会長】  多分、問題なくそれは要素技術の中で触れておけば、例えば新しい高輝度の電子源とか、実際、そういう要素技術でも提案がありますので、新しい高分解能の収差技術などを、この最先端研究基盤というところの要素技術として入れておけば、全く問題なく含まれると私は思います。
 余り排除するような形ではなくて、全部入れるような形にしておけば、皆さん、資金が必要ですから、多分、集まってくると私は思いますので、余り心配はしていません。例えば仮にこういう名称になったとしても、最先端オンリーワンだけではなくて、要素技術の中でやっぱりトップのものを開発するということがあれば、この中で十分やっていけると私は思っていますので、そういうふうに思います。
【杉山委員】  先ほどの「一般領域」、今、名前を変える議論がでていますが、そのサブ課題のところで、「オンリーワン・ナンバーワン」と並んで、「スタンダード技術の革新」、そういうようなワードがあるだけで随分違うと思います。
【市川分科会長】  そうですね。多分、その中で何かそういうキーワードを入れておけば、皆さん、応募しないということはないと思いますので。
【二瓶主査】  ありがとうございました。
 かなりイメージがはっきりしてきましたので、このあたりは更に秋口に、秋から冬に掛けてもう少し議論していただいてブラッシュアップするというようなことではいかがでしょうか。
 それでは、ほかに。もう後半の議論にも入っておりますので、全体に関してどんなことでも結構でございます、御質問、あるいは御意見、お願いしたいと思います。いかがでしょう。
【佐藤主査代理】  ちょっとライフイノベーション領域の件について、次のプログラムに対して強化していくという意味も含めてお伺いしたいことがありまして。
 今回の応募はすごく件数が多かったと。ものすごくうれしいことで、我々としても喜ぶべきことだと思うのですけれども、いわゆる「イノベーション」と言うと、最終的にはシステムにしていかなければいけないので、そういう観点で見たときに、カテゴリー1と2でどういう──いわゆるカテゴリー1が多かったのですかね、これは。多いということでしたよね。
【三宅研究開発基盤課課長補佐】  はい。
【佐藤主査代理】  どちらかというとその中身の状態が、どういうのをもってイノベーションにつなげるかは難しいのですけれども、イノベーションにつながっていくような観点で見たときの応募、いわゆる「一般領域」から来た、「ライフ」に関して流れてきたという観点と、それから、そうではなくてやっぱりイノベーションをかなり意識した観点での応募はどうだったのかは、菅野先生、何か分かりますか。
【菅野委員】  まだ、今、審査の最中ですので、何とも言いにくいところなのですが、個人的な印象をちょっとお話しすると、タイプ1の方は、本当に臨床の現場で使えるようなものを作ってほしいと。タイプ2の方は、どちらかというと研究の現場で使えるようなものを作ってほしいというような、そういう仕分でこういう書き方でお願いしたのですけれども、中身を見てみると、意外とごちゃごちゃで、意外とすぐに臨床で使えそうなものがタイプ2で申請されていたり、それから、これは作ってもやはり研究用途だろうなと思うようなものがタイプ1で申請されていたりしています。
 そういうのはあるのですが、両方のタイプはちゃんとライフイノベーション全体で見るとカバーされていて、私が非常に心配した、ちょっと焼き直してきたというのもかなりあるのですけれども、「ああ、こういう用途があって、本当に現場はこういうものを要求しているのだな」ということを思わせるような申請も結構ありまして、正直言ってそれが通るかどうかは非常に怪しいのですけれども、逆に、こういう思いがけないニーズがあって、ここに対して機械を作ると、確かにニッチはひょっとしたら日本が押さえられるかもしれないなと思わせるようなものもございますので、そういう意味では、やはり旗を立てた効果があるかなと。
 これは少し採択というのを見せて何年かやってみないと、応募する側も何か分からないのではないかという気がしますね。いきなりこちらの頭の中で考えたことと応募される方々の頭の中とがぴちっと一致するとは思えないので、しばらくやらないと駄目かなと思いますけれども、そういう感じになっています。だから、やっぱりイノベーションという形で旗を立てると、ある意味、そういうことを掘り起こす効果はあるようだなと。
 ちょっと話が長くなって済みません、飛びますけれども、本当は臨床の現場でこういうものを使って、普及かつ促進タイプの3年あたりで何かそういうものができると非常にいいのですけれども、ますますお金の掛かる話になってしまいますので、これは是非とも全体の底上げをお願いしたいというようなところは思っております。
 ちょっと雑駁ですが、そういう印象でございます。
【二瓶主査】  ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。
 それでは、本日、是非、御議論いただいて、ほぼ完成形に持っていきたいのが資料4-1なのでございます。資料4-1、先ほど御説明いただいておりますが、この資料について、何か御意見いただければ有り難いのでございますが、いかがでしょうか。
【小野委員】  資料4-1の全体の中で後半の「今後の先端計測分析技術」の方ですけれども、この中の5番目に、これまでの10年間に採択された研究開発課題について、どのような点に問題があったか、どの点が成果を上げたのか、そうでなかったのかということを検証する必要があるということに関して、非常に重要ではないかと思いますので、是非これをやっていただきたいということです。
 もう1点、先ほど杉山委員から、スタンダードタイプの、特に電子顕微鏡とかSPMですとか、そういうものの高性能化というお話が出たと思いますけれども、私ども、例えばナノマイクロ領域のテクノロジーとか半導体デバイスとか、そういうものをやっている者にとっては、やはりSEMの高性能化は非常に大きな役割を持っていて、汎用機器が非常に高機能になってきたということで技術の研究が発展しているところがありますが、最近、確かに海外のSEMなどが物すごく高機能化しているのが、ちょっと日本では遅れているということが目立っているので、是非そこら辺のところもやはり考えて取り入れていただけたらと思います。
【二瓶主査】  ありがとうございます。
 まさに御指摘のとおり、大変大事なことであるということは大変よく分かるのですが、これは実際、特に成果の波及効果を定量的に現すのをどうやればいいのだろうということをいつも考え込む、難しい課題でございます。
 それと、10年間の成果を、どのような成果が上がっているのかということをタスクフォースでは、随分議論させていただきました。これを外にちゃんと出さないといけないのですよね。どういう形で出すのかということは、まだ実はそのまま出せばいいというものまでは行っていないので、そういう意味では、タスクフォースの宿題事項として更に作業を続けるのか、あるいはJSTの、特に開発総括の皆様のお知恵を拝借して、そのグループに10年分をまとめてくださいとお願いするのが現実的なのか、そのあたりなのですね。これ、確かにきちっとやらないといけないと思います。JSTサイドでちょっと御意見を頂けませんか。
【久保室長】  いろいろな御意見を頂きながら、ちょっと時間と労力を掛けて、10年目の採択は今年度ですので、10年間の採択をした後という形でじっくりと時間を掛けて、それで分析をさせていただければというのと、あと、24年度から発足した重点領域につきましては、まだ2年目ですので、これはやっぱり3年以上、できれば5年以上経過して、卒業生がある程度出てきてから分析するのが正しい分析になるのではないかと思いますので、まずは今で言う「一般領域」、以前は「領域非特定型」と言っていましたけれども、それにつきまして、今後、どういった分析がよろしいのかを検討させていただければと思っております。
【二瓶主査】  そうですね、私の個人的な意見になるかもしれませんが、やはりこの事業開始以来10年間経過して、10年間経過しつつあるという時点で、特に開発総括の皆様はほぼ一貫して作業に関わってこられたのですね。そのあたりで、やはり現場を一番よく御存じだという点から、このまとめ作業を1年ないし2年、確かにおっしゃるように簡単ではありませんし、きちっと取り組まないといけないということで、そのあたりをJSTサイドの一つの取り組むべき課題として取り上げていただいて、実施計画を作っていただけると有り難いと思うのですが、それと何ですけれども、相当な労力を使って開発総括の皆様も努力されてきたということを何らかの形でまとめていただくチャンスとしてお考えいただければ幸いだと思うのです。いかがですか。
【林開発主監】  まさしくおっしゃるとおりだと思うのですけれども、定量化というのはもう極めて難しい問題で、基盤技術ですから、どういうふうに波及したか、PRすれば、それは数倍桁が違うぐらい寄与したということは十分言えると思うのですけれども、それを定量的に認知してもらうような形で示すのは極めて難しいと思うのです。
 ですから、おっしゃるように開発総括の先生方で、特にこれは注目するというようなものについて、それがいかに産業あるいは日本の中で科学技術に大きく寄与したかという形で、定性的でもいいですからざっくりとした方向性をまず出してみるというようなことから始めないと、数字、定量というのは極めて難しいと思いますので、いかがでしょうか、そういうような形で少し議論を進めていくということにさせていただいたらと思うのですけれども。
【二瓶主査】  全くおっしゃるとおりで、私は今おっしゃった形で結構だと思うのです。できれば検討していただきまして、出版物にでもまとめていただく、非常に重要な成果になるのではないかという気がしております。是非ともお願いしたいと思います。
【山科委員】  それに関連して、10年やったから10年目に採択したものまで含めてやっていると15年くらい掛かってしまいます。ですから、とりあえず1年目から5年目までに採択したものについて総括しておくと6年目以降のものについてどういう観点でどう整理すればいいかという、そういう問題も見えてくると思います。ですから、はじめの5年分について定性的なものでいいからやっていって、それで、もし仮に定量化できる部分があるならば、その部分をまた押さえていくといったあたりを繰り返しながら数年たったときに10年分がまとまってくるという、そんなやり方で進めてみてはいかがでしょうか。 ともかくこの事業の評価は根幹に関わることになっていくだろうと思いますので、何らかの形で是非やる必要があることだろうと思います。
【佐藤主査代理】  今のものに関連して、小野委員が言われた後半の、いわゆる日本の先端計測機器の産業競争力がちょっと弱くなっているという、どんどん海外製が入ってきてという状況が、やっぱりライフでも、グリーンでも、あちこちに見られるのですね、今の状況は。
 それは、オンリーワン・ナンバーワンの先端計測で今までやってきたものだけではやっぱり非常に難しい。もちろん企業側の努力も要るだろうし、いろいろな開発をする、新しい開発をしてユーザビリティーを上げていくことをやっていかなければいけないので、そういうことを総合してやっていかないと、本当は産業競争力が付かないなという印象なのです。
 タスクフォースでいろいろ議論した中身のものとしては、資料4-1の3ページ目の6番目に挙げている、それぞれの機器はやっぱりシステムなので、システムを例えば電子顕微鏡だったら線源の部分だとか、電源の部分だとかという、オブジェクト的にとらえて全体のシステムを最適にしてユーザビリティーを上げて使ってもらえるようにするということを考えていかなければいけないので、それぞれの開発したものをプラットフォームにどんどん入れ込んでいって、それを企業サイドでうまく組み合わせて使っていけるような、あるいは研究サイドでうまく使ってあたらしい価値を生み出すぐらいの、そういうものにしていくことをやらないと、トータルとしてやっぱり力は付いていかないのではないかということで、6番目に実は挙げているので、これは今後の課題でも検討していくべき課題で、二瓶先生は非常に頑張っておられるのですけれども、今後の課題としても挙げてやっていかなければいけないと考えている、そういう観点での答えに多分なると思うのですけれども、よろしいですか。
【二瓶主査】  ありがとうございました。
 それでは、いかがでしょう、どんなポイントでも結構なのですが、御意見いただけますと。
【森口委員】  では、先ほどから話題になっておりました過去の採択課題のフォローアップ的な話と、それから、それに関係して少し前半部分のところで、これは飽くまで例示ですけれども、1点、意見を申し上げたいと思います。
 済みません、前回欠席してしまったのですけれども、この事後評価的な話については、確か、初回に少しこの話題を出させていただいたのですが、先ほど御議論がありましたとおり、なるべく早くこれは手を付けた方がいいのではないかと思います。少しこれをやるにも試行錯誤で、時間が掛かると思います。こういう分野ではありませんけれども、私自身も獲得してきた外部資金について、こういう評価、事後評価、追跡評価、かなり受けてまいりましたけれども、その受ける側の立場から見ても、次第に深化してくる。最初は何を聞かれているのかなみたいなところもあったのですけれども、次第に評価をされる側も慣れてこられるという部分があると思います。
 先ほども御議論があった、なかなか定量的な評価は難しいですし、また、下手にこういう指標で計ろうとすると、またそれ自身がインパクトファクターなどの話と似ているわけですけれども、それ自身で計り切れないものが出てきてしまうので、それは余り定量的にこだわるということにならない方がいいのかもしれませんが、一方で、ある種の説明責任みたいなものが生じてくるので、やはり分野外の方から見ても「なるほど、これはうまくいっているな」というようなことが分かるような、なるべく客観的な評価の方法は少しやはり追い求めてみる必要があるのかなと思います。
 気になっているのは、今、こういう研究開発資金の競争的環境にある中で、やや刹那的にいろいろなことを皆さんがやって、何となく次々とテーマが変わっていってしまう可能性があるかなと。そういう中で、中長期にわたってしっかりといろいろな技術開発が継承されていっているかどうかということを見ていくことも必要だと思いますし、この分野は比較的研究開発期間が長いようですので、そこは心配ないのかもしれませんが、その点でちょっと気になったのが、これは事前に私は書面でもコメントさせていただいたのですけれども、資料4-1の2ページの6.のいわゆる社会の問題に対応したものの中で、環境問題でPM2.5の話を例示いただいているのは、これは確かに最近話題になったので、重要だとは思うのですけれども、一方でこのPM2.5の問題は、やや最近、社会問題化したのですけれども、これはやっぱり、我々、関わってきた者にとっては、随分中長期にわたってやってきた問題なのです。で、わっと盛り上がって、でも、最近話題になっているかというと、もう既にほとぼりが冷めているような感じもあって、そういうようなサイクル、社会問題というサイクルがある中で、こういう問題だけがぱっと出てしまうと、ここだけにプロポーザルが集中してしまうと、5年、10年たってみたときに、何であればかりやっていたのだろうかということになりかねない。
 これは決してそんなに軽い話題ではないのですけれども、そういう意味で、やっぱりこういうところのワーディングとして例示するときに、少し時間のスパンを考えながらやらないと、たまたまこういうものをやったときに少し話題になっていたということで例示してしまうことによって、少しそこがひっぱられるということがあってはいけないかなと思いますので、後半に書かれていたことも含めて、少しその時間スケールを十分に意識してこういうことの方針に書き込む言葉を選んだ方がいいかなと思います。
【二瓶主査】  ほかにいかがでしょうか。
【杉山委員】  この資料4-2の2番目の「社会問題解決領域」というワーディングを少し見直した方がいいと私も思っています。やはりここに「ライフイノベーション」と「社会問題解決領域」とワーディングをしてしまうと、そこに予算枠をある程度はめることになります。先ほど市川先生から、社会問題でどんな課題が来るだろうか、少し調べてみたら余りないかもしれないという御発言がありましたように、やはりここに書いた結果で、非常に募集に差が出てしまう可能性があると思います。
 そこでここはむしろ、「持続的社会の実現領域」とか、何か瞬間、瞬間で変わらないようなターゲット名称の方がいいと思いました。
【二瓶主査】  実は、この領域の、現時点は「グリーンイノベーション」という言葉遣いだったのですね。それを現時点のグリーンイノベーション領域でやっていることは、結局、太陽電池、二次電池、蓄電池に、これはあえて絞ってチャレンジしたということなのですが、それだけで3年間走ったという感じがありますので、この際、もう少し全体を包括するようなタイトルに変えた方がいいのではないかというのが根っこにございます。
 今の杉山委員の御発言に関連して、私も意見を申しますと、やはり「持続性」という言葉は、是非、使っていただいて、「社会持続性」何とかと、こんなタイトルでうまくまとまると、今までの流れもくめますし、新しい発展性もあるということで、やはりこのあたり、出口に近いところを狙う領域ですので、そのあたり、できれば委員の先生方の御意見を更に頂きたい。
 森口先生、いかがですか。
【森口委員】  私もうまくは言葉には表せなかったところがあるのですが、問題解決に資するという、その出口志向でやること自体は非常にいいと思うのです。
 ところが、そこで例示しようとしたときに、では問題とは何なのだろうかとその場で考えて具体的な問題を書いてしまうので、それにちょっと集中してしまうと。ですから、そこのバランスの問題かなと思っておりまして、特にここで例示されている「構造物の劣化・損傷」みたいな話は、最近やはり起きたからということもあるのです。多分、これは日本社会の構造的な問題で、過去に造ったものが寿命を迎える時期に来ている。そういう意味で中長期的といった問題として出てくるということだと思うのです。
 PM2.5は最近話題になったのですが、これは何で話題になったかというと、日本自身の環境が比較的きれいになってきて、相対的に海外からの寄与が大きくなったと。ですから、PM2.5はそのものが問題というよりは、日本の環境がかなりきれいになったところの中で、では、中長期的にどんな問題が次に出てくるのかと、こういう発想で考えると、少しやはり変わってくる。
 ですから、例えば太陽電池なども恐らくそうなのだと思うのですね。エネルギー技術で新しく代えていく中で新しい計測技術も必要ですよということなのですけれども、具体的な技術そのものにしてしまうと、また対象が絞られてきてしまうので、だから、募集の掛け方として、そこの背景にある構造的な問題といいますか、そういうことが読めるような募集の仕方にすれば、かなり違うのではないかと思います。
 問題解決そのものは非常に重要だと思います。それを否定するわけでは決してございません。
【二瓶主査】  ほかにいかがでしょうか。
【柳沢委員】  新参者なので、非常にピント外れのことを言ってしまっているかもしれないですけれども、ライフイノベーションについて、狭義のハードウエア計測機器の開発だけではなくて、いわゆる分子センサーとか、そういう目に見えないレベルのもの、「水もの」と言いますか、そういうのはすごく大事です。日本では一部の先生方が頑張っていますけれども、後れをとりつつある領域の一つです。そういうものは実際、このライフの申請にはたくさん出てきているのでしょうか。
 もし、何かそういう系統の応募が少ないようだと、もう少し計測技術を広くとらえて、そういう応募をソリシットするような文言を加えることもいいのではないかと感じたのですけれども。
【久保室長】  事務局から、今、審査中で余り詳しい話はできませんが、基本的に出口志向で公募したということがあるのが1点と、もう1点は、ヒトサンプルを必ず、動物実験は駄目ですよ、マウスとかカニクイザルだけでやるのは駄目ですよという形で、ヒトサンプルを使った形で公募していますという形ですので、どちらかというと、もう少しアーリーステージなものにつきましては一般領域の方に応募されているものがございます。
【柳沢委員】  でも、2の「ターゲットを解明するための」というのもあるわけですよね。
【久保室長】  はい。そちらもヒトサンプルを使ってくださいという形で、それがマストになっていますので、動物実験、マウスとかでやられている分については一般領域で応募してくださいという形の公募になっております。
【柳沢委員】  そのライフに関しては、今申し上げたように狭義のハードウエアの開発だけではなくて、そのような「水もの」の開発を積極的に誘い出すような、どこかに文言を入れるのもいいのではないかと思います。
【藤宮委員】  5年ほど前から分科会の評価委員で書類の審査のお手伝いをさせていただいています。
 今の御指摘のとおりで、実は今年からライフイノベーション領域が分かれましたですけれども、その前までは一般領域の中で、例えば細胞内の局所的な温度を計測するような温度感受性の強い蛍光物質ですとか、そのほかにも、抗体をうまく利用してアスベストを検出するようなものですとか、そういった形で、かなり装置に強く依存しないものでも申請がありまして、そういったことはかなり出ています。そういう意味では、以前からもずっと継続的に、今後もそういうものが入ってくると思います。
【瀬藤委員】  今の御指摘はもっともで、それに対して、これまでもあるということなのですけれども、ライフの方がヒトに絞ったということですので、今度、最先端研究基盤領域となっています今の一般の方で、多分、受皿になるのだと思うのですけれども、ライフというのがあるために、かえってバイオテクノロジーでヒト以外の細胞とか、若しくは農業的なことに出口があるようなことをやっているような人たちが、最先端研究基盤や一般の方に応募しにくいようになってしまってはいけないなというか、これをぱっと見たときに、バイオやライフの方をやっているから、自分はこっちじゃなくてこっちなのかなと思ってライフの方を見ると、自分は出せないなと思って、そこでやめてしまうというふうにならないような誘導の仕方というか持っていき方という、この募集の仕方ですね、それを少し工夫する必要があるのかなと。
 だから、例えば最先端研究基盤領域の説明をしていく中に、ヒト以外のバイオや、もっと基礎的なものについてはこちらで受け入れるのだということをはっきり書いてしまうとか、そういう工夫が必要かもしれないと、今、お話を伺って思いました。
【飯島委員】  私も、今、ライフの方の審査をやらせていただいていますけれども、やはり、かなりお医者様を入れるとか、ヒトのサンプルを使うということで、診断を強く意識していますので、どうしてもそういった応募が多かったという印象があります。
 先ほど、二瓶先生がおっしゃった資料4-1の3ページ目の6番ですけれども、「オンリーワン・ナンバーワン」とおっしゃるのは、一つ一つの要素技術のことかなと思うのです。そこはすごく先鋭化した技術が、多分、必要だと思うのですけれども、もう一つのポイントとしては、では実用化を図ろうとすると、ここにありますようにシステムの問題があって、両方ないと最終的に機械として実用化、あるいは皆様に共有していただくプラットフォーム化は難しいと思うので、そこがうまく両方の技術が融合できるような、そういった部分の技術の公募もあっていいのではないかと。システムの部分ですね。私はその辺、素人なので、イメージだけですけれども、ただ、やっぱり実用化しようと思うと、ある形にならないといけないので、そこのところをどうやって作っていくかというところは、結構、重要なのではないかと思うのですけれども、是非、考えていただきたいと。
【佐藤主査代理】  まさに御指摘のとおりで、そこは非常に重要で、ただ、今、いろいろ公募して受けている中にも、そのシステム、いわゆる装置として考えて、それを実現、企業も一緒に入って装置化するということまで入っていますので、特に実証・実用化などは、多分、そういう形になっているという形なので、あるのですね。
 ただ、それはそれでやるのですけれども、これは別に先端計測に限る話ではないのですけれども、要するにあくまでも競争がある話なので、そうすると、いろいろ調べてくると、世界の先端計測関係で見ると、例えばライフで見ると、EUが強いとか、それからアメリカのどこが強いとか、そういう先端関係の装置がどんどん日本に入ってきて、それがどうも加速しているという状況が見えると。
 実際にそれを使っている研究者に、例えばMSだとかそういうのをユーザーに聞いてみると、ユーザビリティーが圧倒的に海外の方がいいと。感度は一桁低いのですよと。でも、ユーザビリティーは全然海外の方がいい、「もうこれを使ったら日本製のものは使えないですよ、先生」とか言われてしまうのですね。
 そういうのが出てきて、何でこうなっているのだろうというのがやっぱり非常に心配しているところで、それは今後のオンリーワン・ナンバーワンの最先端の部分をもちろん開発しないと、それはやっぱり新しいものは見つけられませんから、それは絶対やらなければいけないので、それと同時に、それを組み込んだ形でのシステムの最適化をやらないと、これはやっぱり勝てないなということなので、それをやるためには、かなりこういうプログラムでやるとしたら、プラットフォームみたいなものに少しずつ入れていかないと、多分、駄目なのだろうと。
 個別で開発して、個別の技術がそれぞれのところで終わってしまったら、相乗効果が出ないので、プラットフォームの中に入れて、そういう日本のメーカーが使えるような形、あるいは日本の研究者がどんどんそれを使って、既存のものはできていると、その上に新しい、要するに、先ほど杉山委員が言ったような部分は新しいものを開発して、ものすごくいい形にしていくとか、それをやりやすくするような形もしないと駄目なので、そこのところを追い掛けていかないと、多分、最終的には日本の成長戦略につながらない話なので、プラットフォームという考え方がすごく重要だなと考えて、6番目はいろいろ具体的に、ではどうするのというのは非常に難しい、システムとして難しい。オブジェクト指向とかいろいろな考え方を持ってもらってデザインをする考え方を持ってもらわなければいけないので、多分、先端計測をやっている先生方の専門領域とはかなり違う部分を持ってこないと駄目なので、そういう部分を、ではこのプログラムの中にどうやって公募してもらうような形にしますかというのは、これはなかなか難しくて、今後検討しなければいけないという話になっているところです。
【竹内委員】  ソフトウエアなど、ユーザビリティーのところは非常に重要だということを感じています。ソフトウエアではいかに使いやすいか、いいソフトであるかという検証がとても重要です。これに関しては、必ずしも資料4‐2にあるような「要素技術」「実証・実用化」が終わって「開発成果の活用・普及促進」というふうなリニアな流れにならず、ソフトの場合には「開発成果の活用・普及」を実証実用化より先に行ってもいいのではないかと思います。皆さんに使ってもらいながら、いいソフト、世界一のソフトをつくって、その装置に仕上げていくところが重要ではないかと感じております。必ずしも配布資料に書かれた順番でなくてもいいのではないかと思います。
【二瓶主査】  その点につきましては、ソフト開発をここの「要素技術」「機器開発」「実証・実用化」以外に「ソフト開発」というプログラムを作っていたのです。それを2年か3年ぐらいでなくしてしまったのですが、なぜかといえば、ソフトはその都度、必要に応じて組み込むという発想で、今、先生がおっしゃいましたように特別に出すのではなくて、どの段階でも必ず必要であって、ただ、今の議論は、必要だから作るというよりは、ソフトの重要性はまさにユーザビリティーにつながってあるわけですから、そこをもっと重視するためにはどういう仕組みが必要かと、そういうことですよね。
【竹内委員】  実用化に持っていくためにも、皆さんに使ってもらうという段階が必要だということです。
【二瓶主査】  そうすると、「機器開発」のタイプでももちろんそういう段階があるし、「実証・実用化」の中でも必要ですね。
【竹内委員】  ただ、各タイプでは、限られた期間内だけで行うことになります。ソフトは皆さんに使ってもらう段階が特に必要なものがあるということです。
【二瓶主査】  そのあたり、佐藤先生にもお尋ねしたいのですが、今のようなことを、では一体どういう仕組みでやればいいのだろうか。最後にまとめてやるというものでもないだろうというのが竹内先生の。
【竹内委員】  そうです、実用化前にも必要と思います。
【二瓶主査】  そうですよね。
【竹内委員】  はい。
【二瓶主査】  いかがですか。
【佐藤主査代理】  藤宮委員に聞いた方がいいですよ。
【二瓶主査】  そうですか、では。
【藤宮委員】  ソフトウエア開発に関しましては、まず日本の中での印象と海外の違いから御説明したいのですけれども、海外だと、もともと会話で使用している言葉がそのままソフトウエア言語として縮小されたセットになっていますので、海外の先生はほとんど教科書を書くような感覚でソフトを作ってオープンにします。出版する感覚なのですね。著作権で保護すべきという感覚は、その辺によく表れていると思います。
 ところが、日本ではどちらかというと、記号を並べて組み合わせる、つまり部品を組み合わせる感覚で作ります。ですから、特許で保護しようとして欧米と意見が食い違った時代もありました。著作権で守りつつ、本として出版して広く使われるというイメージが日本では弱いですね。その差が根本にあるので、どうしても閉じた世界で囲い込むという感じで企業は物を作ります。
 そこでこのテーマに入っていきます。今までのような日本な考えを続けていきますと、Aのユーザーに合わせたソフトにまた予算、Bのユーザーに合わせた予算が必要ということにどうしてもなってしまいます。いずれかの時点で海外と同じように最初にプロトタイプを作ってオープンにする、本を出す感覚でとにかく出す、それでユーザーなり情報系の人たちをできるだけ集めて、オープンソフトに手を加えるコミュニティーを作るという形でもう少し形態を変えていかないと、予算が幾らあっても終わらないというジレンマから抜け出すことができないという気がしています。
 確かにユーザビリティーの部分だけを変えるとなると、情報系の先生方はどうしても論文になりにくいものですから、それもなかなか加わっていただけない。そういうこともあるので、計測機器に関わるユーザーとかそういった方をできるだけ入っていただいて、その間でソフトを組まなければいけない人たちのコミュニティーも集めながら、できるだけオープンにして、そのコミュニティーがソフトウエアを自発的に作れるような支援をする。そのためには、先ほど佐藤先生がおっしゃっていたプラットフォームがものすごく活きてくる受皿になるという気がしています。
【山科委員】  今のソフトウエアの件ですけれども、現在のジャンルの中に「開発成果の普及促進」があります。この部門を活性化することにより新たにつくられた装置にいろいろな分野の人が群がってきて、こういう用途のためにはこういうソフトも必要だ、ああいうソフトも必要だという、そういうような議論が起きることが期待されます。そのため「普及促進」を更に活用できるような方途を考えてみてはいかがと思います。
【二瓶主査】  確かにそうなのですが、たった今のこの仕組みが、必ずしも十分に今の藤宮委員がおっしゃったコミュニティーの役割まで、いや、もうちょっと大きいというか、広いものが必要だという御主張ですね。
【藤宮委員】  そうですね、先ほどの佐藤先生からお話のあったプラットフォームのようなものとうまく絡めて、ハードウエアの共通プラットフォームも提供しますが、そのコミュニティーの中にソフトウエアのチームも必ず付けて発展させるような仕組みと、何がしかの予算は必要かと思います。
【二瓶主査】  ありがとうございます。
 これがなかなか、大分長いこと議論してこういう仕組みに一生懸命やっているのですが、なかなか目標まで行っていないというのが現状です。
 どうぞ。
【柳沢委員】  素人の思い付きかもしれないですけれども、例えばソフトウエアに関しては、例えば全部オープンソース化することを義務付けるとか、そういうこともできるのではないでしょうか。
 私ども、生物学の領域では、新しい試薬とか動物を作ったら、論文を出したら、それはシェアしなければいけないというのが今はもう常識になっているわけで、それと同じように、すべてオープンソース化を義務付けるというのはどうなのですか。
【藤宮委員】  先生のおっしゃるとおりだと思います。
 ソフトウエアに関しまして、各企業がプロジェクトに参画したときに、オープンソフトウエア化を指示すると、自分のノウハウもすべてオープンにするという、何かちょっとしたすれ違いが発生します。たとえある時点の成果物をオープンソース化しても、自社内でその発展系はどんどん改良していけるわけですね。それまで作られたオープンソースはそれなりにコミュニティーの中で別の発展を遂げるという形が望まれます。プロジェクトに申請された企業に対して、もう少し具体的な指示、説明が足りなかったのかもしれません。
 現状では、特徴的な機能を持った部分は自社開発だから、その周りに作ったものまでオープン化できないという論理で、どんどん囲い込みが発展してしまうのですね。誤解のないように、ある時点の、とにかくそこまでのステップはオープン化する、だけれども、企業はちゃんと全部の成果を持っていって次の製品にどんどんブラッシュアップをしていけるのだということが理解されれば、もう少しオープン化しやすいはずなのですが、日本の中ではほとんどそれが通っていません。
【杉山委員】  今の議論は非常に重要だと思いますし、何らかの形でこの知的創造プラットフォームを新しい枠として作れないかという視点があると思います。ただこれまでもずっと知的創造プラットフォームはどうあるべきかという議論をしてきましたが、なかなか形にならなかった。それは今までいろいろなこともあったと思いますが、同じくJSTでナノテクノロジー・プラットフォームが全国25か所でスタートしていますね。この間、二瓶先生と一緒にNIMSのケースを見てきたのですが、NIMSの新しい試みは、最先端の装置を民間企業のユーザーに完全にオープンに使わせようとしています。
 つまりあのプロジェクトがうまく走れば、民間企業のニーズがどんどんNIMSに入って、今後の技術課題もある程度蓄積されていく仕組みになっていると感じました。そのような試みとこの先端計測機器開発が、何か共同で枠を作るような仕組みができないのでしょうか。
【久保室長】  そうですね、試行的にといいますか、まず昨年度開始しましたのは、ナノテク・プラットフォームの共用と先端計測のホームページ、共通にお互いバナーをリンクできるような形にして、お互い、そこで先端計測の成果の方に飛べますよという形で相互リンクを張って、情報提供するような形でまず昨年度から、ちょうど今年の春から実施しております。
 それで、そちらの方で応募されて、共用の方で知見が出たら先端計測に応募していただくとか、そういった情報提供になればということで開始しているところでございます。
 今後もそういう意味では連携するような形で、ちょっとこれからだと思うのですけれども、具体的な中身については、これから更によく連携できるような形で考えております。
【二瓶主査】  ありがとうございました。
 ぼつぼつ時間が来てしまいまして、いかがでございましょうか。資料4-1、それを可視化、図にしたのが資料4-2でございますが、特に今日、まとめとして御了解いただきたいのは、4-1のこれは案でございますが、これを基本的に本委員会で了承いただいたということにしていただいてよろしいかどうか、あるいは、更にもう少し意見を述べたいという委員の先生方がいらっしゃるかどうかですが、いや、実はこの4-1の表現は、具体的なことを余り書き込むと逆にそれが足かせになる可能性、そういうことも配慮して出来上がった文章であるということを御理解いただきたいのです。
 どうぞ。
【江原委員】  今、皆さん、先生方の御意見が多かったと思うのですけれども、私、小さい企業ですけれども、企業、メーカーとしては、やはり先生方の御希望にすべて添えるわけではなくて、開発要員、会社の予算、目的、そういうものがございまして、なかなか皆様の御希望に多分こたえられないのが現実だと思うのです。日本とそれは世界中の機器開発と比べれば、やっぱり人数も全然違いますし、そういう意味では、ある程度はやはり妥協点というのでしょうか、そういうのを見いださざるを得ないと思うのです。そういう意味で、今回のこの「ライフイノベーション」と「社会問題解決領域」「最先端基盤領域」というふうに分けて募集するのは非常にいいことだなと。
 ただ、先ほど「採択率」というのが出てきたのですけれども、採択率を重視するのか、それとも内容を重視するのかによって、どうしてもバランスが崩れてきてしまうのではないかと思うので、これはやむを得ないとJSTさんの方では大きく出していただいた方がいいのではないのかなと思います。
 それとあと、もう一つ、社会問題領域と最先端基盤、これを合わせてしまってもいいのかなと。若しくは、もし社会問題をこのまま出すのであれば、例えば「PM2.5等」というのはちょっと言葉を除いてもいいのかなと。「環境問題」「汚染物質問題」、というような感じの方がちょっといいのかなと私は思います。ちょっと個人的な意見ですけれども。
【二瓶主査】  ありがとうございます。
 実は、本日のメインの文章は資料4-1でございまして、これが更に中身を詰めて具体的な公募に持っていくわけですので、原則的な考え方をまとめたものが資料4-1、今、御指摘のようなことは、これから更に検討するということでございます。
 それでは、いかがでしょうか、資料4-1は一通り御説明いただきまして、先生方からも関連の御質問を頂きましたが、何か特にこの点はということがあれば、もちろんこれから御意見としてメール等で事務局に寄せていただいて結構なのです。ただ、一応、これをスタート台として本日の委員会でお認めいただきまして、今後、更に修正等は事務局並びに私にお預けいただけますと、もちろん、これ、基本的には予算化というのがこれからのステップでございますので、その予算化の段階で更に項が加わるということはあり得るのでございますね。そんなことで、本日の議論は資料4-1を基本的にお認めいただいて、修正等は主査にお任せいただくという扱いでよろしゅうございますか。もちろん、前提はきょうの御意見を承った上で修正を加えて、それを基本とするということでございます。よろしゅうございますか。
(「異議なし」の声あり)

【二瓶主査】  どうも恐れ入ります。
 本年度は、春からの時間が必ずしも有効に使えておりませんで、先ほど資料としてありましたが、タスクフォースでかなり一生懸命やったのですが、少し時間が不足しているという感が否めません。そんなことを御容赦いただきまして、以上のような取扱いとさせていただければと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、以上で事務局、何かございましたら、お願いします。

○三宅研究開発基盤課課長補佐より、今後のスケジュール確認があった。

【二瓶主査】  それでは、大変ありがとうございました。本日の委員会はこれで終了させていただきます。ありがとうございました。

―― 了 ――

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