先端計測分析技術・システム開発委員会(第4回) 議事録

1.日時

平成28年3月18日(金曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 平成27年度先端計測分析技術・機器開発プログラム採択状況等について
  2. 次期先端計測分析技術・機器開発プログラムに向けた考え方及び平成28年度実施方針(案)について
  3. その他

4.出席者

委員

佐藤主査、尾嶋主査代理、田中委員、岡本委員、金澤委員、坂本委員、菅野委員、杉沢委員、杉山委員、中村委員、藤本委員、森川委員

文部科学省

渡辺研究開発基盤課長、中川研究開発基盤課長補佐、村松ライフサイエンス課長補佐、井上ライフサイエンス課専門官

オブザーバー

林JST開発主監、市川JST総合評価会長、山下JST先端計測室調査役、角野JST先端計測室副調査役、岡部JST先端計測室主査、森田AMED産学連携部長、黒木AMED産学連携部次長

5.議事録

【佐藤主査】  それでは定刻になりましたので、ただいまから第4回の先端計測分析技術・システム開発委員会を開催いたします。期末のお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。今日の会議は公開になりますので、そのつもりでお願いします。
それでは事務局より出席者の確認及び資料等の確認をお願いいたします。

中川研究開発基盤課課長補佐より、出席者と配付資料の確認があった。

【佐藤主査】  それでは資料はよろしいですか。早速議題1の、「平成27年度先端計測分析技術・機器開発プログラム採択の状況等について」に入りまして、あと、今までライフの関係で、先端計測で見ていたものが、AMEDができましたのでそちらに移管されたこともあって、その最初の年度ということでAMEDで公募採択がなされておりますので、JSTとAMEDの両機関よりその状況について報告してもらいたいと思います。後でそれに対して皆さんの御意見を頂ければと思います。資料についてはJST、AMED、最後に事務局から説明していただき、議題1の質疑はその後にまとめてお願いしたいと思います。それでは資料1、よろしくお願いいたします。

【山下調査役】  おはようございます。科学技術振興機構で先端計測プログラムを担当しております山下と申します。お手元の資料1を御覧いただきまして説明させていただきたいと思います。
目次といたしましては平成27年度の公募及び採択状況。続きましてPD、POのコメント、それからAMED及びJSTの連携、今後の予定という流れになっております。
1ページめくっていただきまして資料の上の方ですけれども、平成27年度の公募及び採択状況のうち、公募の類型の比較表でございます。類型といたしましては要素技術タイプ及び先端機器開発タイプの2つのタイプになっておりまして、先端機器開発タイプのうちNMR共用プラットフォーム連携型という枠を設けておりまして、それに関しましてはNMR共用プラットフォーム事業の連携を強める形の枠として今回公募いたしました。詳細につきましては資料を御覧ください。
下にまいりまして、2の応募状況と採択件数につきましてですが、表にございますように、全体の応募は145件、うち面接対象になりましたのは21件で、採択したのは7件になっておりまして、競争率は21倍です。
内訳といたしましては、要素技術タイプが応募件数85件、採択件数が3件、倍率は28倍。先端機器開発タイプにつきましては応募件数55件で採択件数が3件、競争率が18倍。NMR共用プラットフォーム連携型に関しましては応募件数が5件、採択件数が1件、競争率が5倍になっております。その下に、少し淡い字になっていますけれども平成26年度の実績を記載しております。その中の一番下に合計として、昨年度の応募件数が171件で採択件数が15件だったので競争率が11倍ということで、今年度の方がちょっと厳しい状況となっております。
3は公募のスケジュールですけれども、平成27年度の公募につきましては5月29日から7月2日で公募期間を設けまして、12月1日から開発を開始したという流れになっております。
次のページから採択課題についての詳細を記載しております。全部で7件で、要素技術が3件、上から3つ。次のページにいきまして先端機器開発タイプが3件。1ページめくっていただきましたところが先端機器開発タイプのNMR共用プラットフォーム連携型の1件で7件になっております。詳細につきましては資料を御覧いただければと思っております。
下のページですけれども、5、今回の先端計測プログラムの課題選考のための委員会の委員の皆様の一覧となっておりまして、市川先生を会長といたしまして合計14人のメンバーでお願いいたしました。
また1枚めくっていただきまして、6、選考の観点ですけれども、要素技術、先端機器開発タイプ、微妙に違いますけれども、基本的には新規性・独創性があるか、ユーザー・ニーズがあるか、実現性の高い開発計画になっているか、若しくは実施体制、それから開発終了後の方針、それから国内外の普及・波及効果、そして知的財産の戦略という視点で今回選考いたしました。
続きまして下のページ、PD・POのコメントですけれども、これに関しましては横にいらっしゃいます林開発主監PDと、市川総合評価委員会会長のPOのお二人から直接御説明いただきたいと思います。ではまず林理事、お願いいたします。

【林開発主監】  林です。早速ですけれども、今回の先端計測の平成27年度の活動を踏まえて感想を述べたいと思います。先端計測のプログラムは、ほかのプログラムに遜色のない成果が上がっているいい事業だと認識しています。まずそれが第1点です。残念ながら予算については少しずつ減ってきている。これをいかに維持していくか、あるいは内容をどう変えていくかが課題になるかと思っています。
どのようにすればということがあるのですけれども、1つは、予算が限られているのであればFS的なテーマをできるだけ採って、先端的なテーマをどう拾い出していくかという対処が1つあるのかなという印象を持っています。そうしないと、倍率が余りにも高過ぎるとなかなか応募してもらえない。しかもすばらしいネタになるようなものを拾い出せないことになりますから、その辺のバランスをうまくとっていくべきかという印象を持っています。
もう一つは、現時点で市場がかなり小さなものも、将来、展開が大きく開けるような可能性のあるものをいかに見付けるかがポイントだろうと思います。将来性があると明確に分かっている分野に集中しても、大きくなると分かっているものは当然企業がやるわけですから、ある程度リスクがあって、しかも独創的で潜在的ではあるが将来性があるものをどう拾い出すかがポイントだろうと思っています。
最後に、更に個人的な印象をお話しさせていただきます。今まで分野を限った、環境とか、エネルギーとか、放射線計測とかいうテーマの採択と、一般的にかなり先端的なものを採ろうという2つの流れがあったと思います。勿論、分野を限ったテーマも十分な成果は上げていますが、楽しみがあるのは分野を限らずに、できるだけ基礎的なテーマが発掘されることはないでしょうか。しかもそのネタを先端計測プログラムとしては事業化を目指した機器開発につなげていくかというところではないでしょうか。全く個人的な印象ですけれどもそのように思っています。以上でございます。

【市川会長】  総合評価会の会長をやっています市川です。私もコメントをさせていただきます。林PDと重なるところがあるのですけれども、平成27年度はユーザーの計測ニーズに合致するということがかなり強調されたので、例えば要素技術を採択するときも余りチャレンジングなものがなかったという印象があります。今後若手が主に、例えば要素技術に出してきます。確かに将来的に出口が見えないといけないのですけれども、そこは是非、これはちょっと面白そうで非常に楽しみだなという印象を持つようなものをなるべく採択できればと思います。平成27年度は残念ながらそういうところが少なかったために要素技術は件数も3件と、通常ですと機器開発より要素技術の方が多いはずなのですけれども、件数が逆転してしまいました。このことを次年度は少し考えてほしいということが1点です。
もう一つは、林PDが言われたように、プラットフォーム関係と分野をある程度限られるとその中からどうしても選ばなくてはいけないということで、特に予算が少ない場合にはほかの部分にしわ寄せが来ます。プラットフォーム関係という枠を設けずに、キーワードとして入れておくのはいいと思うのですけれども、余り枠をはっきり、例えば前年度はグリーンとかありましたけれども、そういうものは設けない方がいいのではないかという印象です。
これが今年度の感想なのですが、次年度以降の在り方に関しては、これからいろいろな議論があると思うのですけれども、このシステムは是非存続させてほしいと思っています。計測というのは縁の下の力持ちで、どうしても外部予算を取るときに不利になるのですね。科研費でも、例えばJSTのほかの外部資金でも。だから、こういうものは必ずどこか見える形で存続させることが必要だということです。もう一つは、先端計測でユニークな開発総括制度、PO制度というのがあります。私は、最初から10年間、実は発足時からずっと絡んできていて見ていますが、PO制度というのは非常にうまく働いて、いろいろな開発を進めていく段階でこのように修正しなければいけないとか、こういうところが重要だというのをPOが的確に示してくれているのですね。ですから終わった後の評価が非常に高い課題になっていますので、そこら辺は是非今後もPO制度は要らないのではということをせずに、いいところは存続させる形で今後も続けてほしいと私は思っています。以上です。

【山下調査役】  ありがとうございました。それでは私の説明に戻らせていただきます。お手元の資料の6ページの上の方です。AMED及びJSTの連携ということですけれども、具体的にどういうことをしたか2つほど御紹介したいと思っております。
1つは、AMEDの先端計測の公募要領の中に次のような文言が入っております。これはQ&Aの中に入っているのですけれども、医療分野の具体的な目標が示されない云々(うんぬん)と書いておりますけれども、要は、AMED以外にもJSTの先端計測若しくはJSPSやNEDOもありますからそちらも御検討くださいということが書いてあります。
下の段になりますけれども、具体的な動きといたしまして、我々JSTの先端計測のメンバーがAMEDさんの先端計測プログラムの公募説明会に参加させていただきまして、応募予定者の方からの質疑応答とか、個別相談に対応する形でやらせていただきました。AMEDさんは2月19日に公募の開始をされておりますけれども、その後3月7日、3月10日、3月11日と東京、大阪、名古屋で公募説明会をされました。そこでどのような結果だったかそこに書いてありますけれども、全部で5件ほどの個別相談があったのですが、相談内容に関しては、AMEDの説明会にJSTが来ているからJSTの応募についてついでに聞いてやろうという感じの内容でございました。ですので、特段AMEDとJSTの間にはさまって困っているという形ではなくて、JSTに応募したいがどうしたらいいだろうという内容のものが全部でした。
続きましてその下の段ですけれども、今後の予定です。本日、3月18日の文部科学省の委員会の後、3月29日にJSTでの先端計測分析技術・機器開発推進委員会を開催させていただきます。これは平成28年度の公募についてJSTの内部での方針を決定するためのものでございます。委員長は林開発主監でございます。その後、具体的な日程は決めておりませんけれども4月上旬に公募を開始いたします。その後、7月中旬頃から公募説明会を行いまして、その後、書類選考、面接選考を経て10月1日に開発開始をしたいということで今予定を組んでおります。以上でございます。

【佐藤主査】  ありがとうございました。それでは質疑に入る前にAMEDから資料2について説明をよろしくお願いします。

【森田部長】  日本医療研究開発機構の産学連携部長でございます。今日はこのような説明の機会を頂きまして大変ありがとうございます。簡潔に努めますが、5分ばかりお時間を頂きまして御説明申し上げたいと思います。
今JSTさんから御説明がありました資料1と私どもの資料2でございますが、もともと先端計測プログラムという大きなプログラムの中からライフサイエンス分野の研究開発のうち更に医療機器につながるものをAMED発足とともに移管したという位置付けでございますので、基本的には、今年度につきましては先端計測プログラムの運用方針を踏まえつつ、実際の審査選定の中でAMEDとしてどういうものを選ぶかを中心に選定しております。
おめくりいただきまして、併せてJSTさんのものも見ていただけたらと思うのですけれども、区分といたしましては要素技術開発タイプ、先端機器開発タイプは踏襲しております。チーム構成としましても、産学連携型ということですのでアカデミア単独というよりは産業界も入っていただく。併せまして、AMEDとしてのお願いといたしましては臨床のニーズ、実際に医療に使えるかどうかという視点を上流の研究の段階から持っていただく必要があるということでございますので、そういった方々にも入っていただく構成にしてございます。開発資金の目安等々につきましては現行の先端計測プログラムとほぼ同等のスキームで動かしております。
実際の応募状況、採択件数等々につきましては、先ほどJSTさんの御説明がございましたが、こちらも非常に応募が多く、最終的に採択件数が6件しか採れなかったということですので、倍率としては20倍以上ぐらいで、この状況は変わりません。私どものAMEDでこの事業を始めるに際しまして、JSTでのやり方なども学びながらやっていたわけでございますが、こんなにたくさん申請があるということが、最初の驚きでございまして、こういった分野の皆様方の御期待とかニーズの多さは私どもも十分認識をしているところでございます。
実際に採択いたしましたものは3ページ、4ページでございますけれども、要素技術タイプとなりますと比較的検証面のもの、機器タイプになりますと最終的な製品のイメージが出てきますので、病気の疾患名が付いた機器の開発といったものになってくるのが現状でございます。
おめくりいただきまして5ページですが、評価委員の先生方の構成です。本日の委員にもいらっしゃいますが、菅野先生にプログラム・オフィサーという形で御参画いただきまして、榊(さかき)先生にプログラム・スーパーバイザーという形で入っていただいております。委員の構成につきましても、医療のドクターの先生ですね。病院の現場がお分かりになる方にお入りいただいているのと、医療機器をお作りになっている方々に入っていただいて、そういった視点での評価をしていただいたということが恐らくJSTさんの評価の仕方との違いではないかと思います。
おめくりいただきまして選考の視点がまさにそういったところでございますけれども、医療現場のニーズをどうアーリーな段階から踏まえていくか、どうやって工夫するかということでございます。私どもAMEDは文部科学省、厚生労働省、経済産業省、3省の事業をまとめて運営することになっておりますので、省庁の事業にはそれぞれ性格がございまして、比較的出口側に近い経済産業省、あるいは臨床に近い厚生労働省の事業も、医療機器の開発という文脈の中では、産学連携部というところで一貫して運用する方針に改めましたので、そういう意味では、今年度につきましては先端計測というプログラムの性格付けをAMEDとしてはっきり御説明できなかった面があるだろうと。これはAMEDが発足して時間が短かったタイミングで、公募を行ったという反省もございますので、そういったことも含めまして、次年度の公募につきましてはこのプログラムはできるだけ上流の有望なシーズをしっかり拾って、将来の道筋を付けた形で次のプログラムにつないでいくという性格をもう少しはっきり出していきたいと考えております。
先ほどJSTからも御説明がございましたが、AMED全体の問題なのですけれども、シーズ、上流の技術、特にライフサイエンスと呼ばれる研究領域と、医療の研究のつなぎの問題が非常に難しいところがございます。AMEDは医療の出口にできるだけ早くつなげるというミッションがございますので、シーズをたくさん拾いたいという気持ちはあるのですけれども、道筋を作ってそこに何か筋を通していくことがAMED全体としての方向感でございますので、そういうことは是非御理解いただきながら、かつ上流のどういうシーズにアプローチしていくかということにつきまして、今般文部科学省の中でも、所管課も少し変更がございまして、そういった関係部署の政策担当の方々ともよく御相談をしながらこの事業の性格付けを今後よく考えていきたいと思っております。
説明は以上でございますが、POとして菅野先生がいらっしゃいますので、その他含めまして御意見、コメント等頂けたらと思います。お願いいたします。

【菅野委員】  榊(さかき)PSがいらっしゃいませんので、私のかなり個人的な感想も含めてのお話をしたいと思います。何分にも非常に予算が限られておりましたので、本当に昨年度選ぶのは大変でございました。多分先端機器計測でもそうだったと思うのですが、倍率が24倍ともなりますと、本当にこれから応募してくる人がいるのだろうかと心配になるような状況でございます。
今森田部長からお話がありましたように、AMEDでは各省庁の似たような研究開発事業を俯瞰(ふかん)してそれぞれの位置付けをして、文部科学省の事業に関してはより基礎的なところを見ていく方向で性格付けをしようと。昨年度は走りながら考えていた状況でしたのでなかなかそういうわけにはいかなかったのですけれども、今年度からはそういう方向で審査も採択もしていくべきではないかという話合いが内部で持たれております。
ただ、これも森田部長から話があったように、医療につなげていくというある程度の方向性を持ったものという形になりますので、ライフサイエンス全体のことを考えますとJSTとAMEDの間で抜けてしまう部分があるというところは、私もAMEDのPOの立場を離れて心配しているところでございます。
AMEDの事情を言いますと、創薬という部分と医療機器という部分が本当の出口なのですね。それ以外のところは全部研究ですので、ある意味AMEDが手柄を立てるとすると、創薬部分と医療機器部門で成果が上がらないと一体どうしていたみたいな話になりかねない状況があります。そうすると、幾ら基礎とはいえ、そういう形がどうしても出てくる。実際それを反映する形で治療機器も今度公募しようかと。治療機器につながる基礎研究ですね。そういうことを考えますと、基礎的なライフサイエンスの本当の計測、特にオンリーワン・ナンバーワンという観点での計測機器をAMEDで拾っていくのはかなり大変なことかなと。
思いますのは、今電子顕微鏡のディテクターがすごく進んだおかげで、たんぱく質を結晶化しなくても結晶解析で得られるレゾリューションでたんぱく質の立体構造が見えるという状況が出てきています。そういうものを開発するのが、この計測機器の全体を見回したところどこでやるのかとなると、JSTさんも予算が限られている中で大変だと思いますけれども、より基盤的な方での手当てみたいなことも必要かなと、これは私の本当に個人的な意見ですけれども、そういう気がしております。以上でございます。

【森田部長】  以上で資料2についての説明を終わります。

【佐藤主査】  ありがとうございました。それでは、参考資料について説明をお願いします。

【中川研究開発基盤課課長補佐】  事務局から参考資料1について簡単に説明させていただきます。我々、計測の担当部局ということでいろいろなところで関係の方々にお会いする機会もありまして、そういったところで今年のライフサイエンス系の計測についてのお話を聞くことがございます。それらの話を、ポイントをまとめたものになってございます。下線のところを見ていただくと、1つは機器開発を目標とする課題と機器の用途開発を目標とする課題で、後者の方が多い中で、本当の意味での先端計測機器が生まれてくるか、先ほど菅野先生もおっしゃったようなオンリーワン・ナンバーワンみたいなところの問題意識かと思います。最後のところはAMEDさんに寄せられたコメントかと思いますが、PMDAとの事前相談を含めて基本的な考え方をAMEDから打ち出していただくと加速するのではないかという声も我々に寄せられておりました。以上です。

【佐藤主査】  ありがとうございました。それでは最初の課題、平成27年度の応募採択状況を含めて、たくさん応募してくれることはうれしいのですが、採択するという意味での予算の厳しさがありますから、今後どうしていけばいいのかも含めて皆さんの御意見をお願いします。全般にわたってでも構わないと思うのですけれども、よろしくお願いします。

【尾嶋主査代理】  よろしいでしょうか。私は、市川会長の下で先端計測の評価委員もやっております。平成26年度まではAMEDがなかったので、先端計測でライフも両方一緒に全体を見ることができたのですけれども、AMEDができるというので、少し遠慮してという言い方はおかしいのですが、ライフの方は向こうに任せて、物質科学に分野を限ってやってきました。そのときに、両方の間でバレーボールのお見合いみたいな、抜けてしまうところができてくるのではないかということを心配しました。実際、今菅野先生がおっしゃったように、AMEDはどうしても医療と創薬に引きずられて間が抜ける傾向があったとのこと。その点は今後どこで拾うのか難しいのですが、先端計測できっちり拾っていかないといけないのかなと思いました。そのためには予算を、現在要素が2,000万円と5,000万円という形でやっていますけれども、金額を少し減らしてでも要素の数を増やす、例えば2対1ぐらいで機器よりも少し増やす方がいいのかなと思います。若手の独創的な意見をもっと採用する方針を示さないと新しいオンリーワンの技術は出てこないのではないかと懸念します。JSTのほかのプロジェクトでさきがけとCRESTというのがありますけれども、この先端計測は要素と機器が非常に密接になっています。さきがけとCRESTのギャップがよく問題になっていますけれども、そこのところがうまくつながっている非常にいいプログラムだと思っています。AMEDと先端計測のギャップを埋めることと、市川会長がおっしゃったように、独創的なものをもっと育てるという方向を考えないと、全てが応用に引っ張られてしまう、そこら辺にある技術の突き合わせで終わってしまう、という懸念があるなと心配しております。以上です。

【佐藤主査】  ありがとうございました。ほかに御意見ございますか。

【杉沢委員】  先端計測というのは我々機器メーカーからしますと有り難い制度でございまして、これによって新しい技術、非常にリスクの高い機器開発を進めてきた歴史がございます。近年予算が減ってきたということもあり、今年の採択結果を見ますと件数が非常に減っている。これは危機的なものだと考えております。ここに我々機器メーカーの新規事業につながるネタがころがっております。そのネタが減っているというのは問題であると思っております。
製品に近いもの、あるいはユーザーが見えるもの、市場が見えるものであれば当然我々の方が自主努力、自己投資をして開発していくわけですが、そういったものが見えないものほど、公的資金でやっていただくことが重要です。そういった観点から申しますと、今尾嶋先生がおっしゃったように一件当たりの金額を減らしてでも、採択件数を増やしていただきたいと希望します。我々はこれを技術のカタログと思っていますが、カタログに掲載されている品数を増やしていただくことが重要であるというのが1点目でございます。
もう1点は、我々がこの制度を活用するときに、どのような観点で考えているかということです。以前はリスクの高い研究や開発課題のリスクを減らすための補助制度と見ていたのですが、近年は、オープン・イノベーションの“のり”としてこの制度を活用したいと思っております。リスクを減らすための金銭的な補助を頂くという観点よりも、これまで知り合ったことのなかったような新しい技術とか新しいユーザーの方々との連携をこの制度を通して構築したい。そういった形での活用を重視するようになってきております。採択率が低いと応募するモチベーションが下がってしまい、そのきっかけを作るチャンスが減ります。そのチャンスを得るためには、ある程度の採択率を維持していただくことが大事と考えております。まとめますと、本制度が連携の“のり”という役割と新技術のカタログという役割を果たすために、一件当たりの金額を減らしてでもいいので採択件数を増やしていただく方向で検討していただければ有り難いと思っております。以上でございます。

【佐藤主査】  ありがとうございました。中村委員、どうぞ。

【中村委員】  ありがとうございます。私も市川委員長の下で評価委員を担当しております。私見ではございますが、昨年の傾向で感じたことは組合せの提案が多かったということです。それはどこに起因しているのかというところはあると思うのですが、例えばニーズのところで出口を早急に求められていると感じられたところがあるのかなと。もちろんニーズは非常に重要ではありますけれども、先を見据えた上で非常に先端的なところをエンカレッジするような仕組み、公募をかけていただけたらよろしいのかなと感じました。私の感想ですが一言申し上げました。ありがとうございます。

【佐藤主査】  ありがとうございました。ほかにございませんか。どうぞ。

【田中委員】  今年度から、今まで先端計測1つでまとまっていたことが、AMEDによって1つの身が2つに引き裂かれたようで残念な部分もあるのですが、少し前向きに考えますと、今まで分析機器とライフサイエンスというリンクがもしかしたら余りうまくいかなかったのが、AMEDという1つの器に入ることによってもっと広がりというか、応用、実際にどう使われていくかという評価が入るという点で期待する部分もあります。それの逆になるかもしれませんが、特にAMEDで、もちろんライフサイエンスというか人の健康、私自身も医学・薬学に役立とうといろいろ機器開発を行っているのですが、それを一生懸命目指すも、実際にやってみたら、これは医療じゃないところにも使えるのではという成果が出てくる場合がある。これはこれからの評価に主に関わることだと思うのですが、そういったときに、国のプロジェクトでよくあるのですが、最初の目的に合っていない、最初の評価項目になかったものは幾ら挙がっても点数に加えないという形ではなく、特に分析機器を開発しているという共通項で見ますと応用範囲が考えられると思いますので、何か今後そういった評価というか、もちろんJSTとして残った部分を逆に、本当は医療とか全然考えていなかったけれども、実際に医療に役立つじゃないかということも出てくると思いますので、今後このプロジェクトの意義の高さというものをアピールするためにもそういったことの観点がこれからあった方がいいのではないかという個人的な意見です。以上です。ありがとうございます。

【佐藤主査】  どうもありがとうございました。ほかによろしいですか。

【渡辺研究開発基盤課長】  予算をもっと増やせというお声がないのでちょっと安心しておりますけれども、

(多くの委員から)予算が今のままで良いというわけではありません。

【渡辺研究開発基盤課長】  状況を申し上げると、私どももこのままでいいとは思っていないのですが、減ってきたことには理由がある、むしろ何をどうすればいいか考えるべきではないかと思っています。
今ちょうど田中委員から御発言がありましたように、先端計測プログラムはもともと田中先生のノーベル賞受賞を契機としまして、その翌年、100億円という規模で始まりました。その後AMEDにライフサイエンス分野としてカウントできるものを切り出すという経緯で半分に分割されました。
杉沢委員からのコメントにもありましたけれども、産業界が計測機器として引き継いでいくためには、ターゲットになる市場は先端研究の場なので、一家に1台という規模ではないですから、そういうところのニーズをどのように維持していくか。今日は資料を御用意していなくて大変申し訳ないのですが、ここ十数年で見てみるとその維持をできなくなっています。表面計測系とか質量分析系ですとか、シェアは少し少なくなっておりますけれども日本がまだ力を維持して国際的なシェアも維持できているものがあります。しかし例えば生命科学系の分野では、シェアゼロ、国産機ゼロという状況ですね。だからと言って、例えばシーケンサーに再度投資をしますかというと、産業界としてはそういうことはないでしょうね、という状況です。
これはそれぞれの分野のアカデミアの人材とも非常に関連していまして、工学系の分野はまだチャレンジングなことをする人たちが維持されていますが、生命科学系はポスドク問題にも代表されるように、チャレンジングな研究を長期間、腰を据えてやることができづらい状況が現実問題としてある中で、独創的な成果、あるいは要素的に世の中を変えるかもしれない成果、それだけリスクの高い成果にチャレンジしていって、論文を書いて更にその先何年かかけて実現しましょうというところが非常に少なくなっているのは事実であり、そういった人材問題も含めた検討が必要です。
それから今、特に生命科学系の開発課題がAMEDとJSTの事業の間で抜けていると菅野委員の御指摘にもありました。私は率直に申し上げてその通りだと感じています。ライフ課の見方はまた別かもしれませんが、どちらかというと生命科学の中で今抜けている部分を一生懸命やるというところが先端計測機器のそもそものプロジェクトではなかったかという印象です。AMEDになって良くなったところは、文部科学省と経済産業省と厚生労働省の連携が非常にうまくいくようになった。プログラムからプログラムへの移行がスムーズになってきた面もございます。したがって、そういうところをうまく使うとすればシーズの部分をもう少し、例えばJSTの幅広い事業の中でしっかり育てたものをAMEDに移すという考え方の方が良いかもしれません。そこは、もともと1つの事業で中身であるべき議論をする前に、ライフだからということで分けてしまったものですから、それをもう少しあるべき形に戻していくというのはやぶさかではございませんし、その際に何とかして全体の額を増やすように努力することは申し上げるまでもないことです。ただそのときに、私たちも次々と放つ矢がないと、アベノミクスのように第3の矢が終わったら次の第3の矢がないと続きませんので、産業界のニーズをしっかりと出していただきたい。
今ちょっと思うのは、機器開発をするときにAMED分だと医療機器になるというところが前提としてあるため、今の規制体系の中で薬事承認がとれるような開発が中心となってしまって、個別の例を申し上げて恐縮ですけれども、質量分析装置、これを医療機器として認可を取得したいと考えても、現状では様々な成分を計測できる分析機器は認可できず、特定の病気の診断に必要な成分だけ計測できるようにして下さいということになってしまいます。医療機器認可が今の体系ではできないのですね。例えば田中委員の最近の成果の1つに、アルツハイマーのアミロイドベータが非常に精度高く血中からとれる質量分析機が開発されても、これをどう使っていくかというところに非常に大きな壁があります。だとすれば質量分析機のその次のところ、これは日本として強い分野ですから、その芽はAMEDではない場所でもっとしっかりと育てて、理論武装をした上で規制改革も兼ねて打ち込むぐらい大きく育てないと、今のままの育て方ではなかなか難しいと感じております。
ちょっと長くなって、内容もいろいろになったのですけれども、問題を解決するには制度的な問題のほかにもいろいろありますので、どういったことをすると産業界もいいシーズが出てきたと気付けて、若い方が10年腰を据えてやっていただけるようなことができるのか、額を増やせば大方の問題は少しずつ改善していくのですが、それが難しいときにどういう形でそれをやっていけるのかというところで少しお知恵を頂けると有り難いと思います。すみません、長くなりました。

【佐藤主査】  どうもありがとうございました。ほかにございませんか。よろしいですか。今課長が言われたように額を増やせばいいという話ではないと思いますね。今ちょうど転換期にあって、このプログラムが10年やられてきて、田中先生を含めて最初のきっかけがあって行われてきたのですけれども、それによって今後、実際ふたを開けてみていったら、反省としては、先端計測機器関係で国際的な競争力が落ちてきているのではないかということが逆に問題になってきて、今までのやり方で本当にいいのかがもう一つ今問われているわけです。それを含めてシーズとかニーズ、課題解決も含めて、どうやって社会に貢献していけるのかというプログラムになっていかないと多分駄目なのだろうと。そこを委員会としては今後の先端計測に対するプログラムをデザインして、どういう方向でどのような打ち出し方をすれば、単にニーズとかシーズだけでは駄目かもしれないとか、もっと本質的な社会の進む方向の指導原理みたいなものまで含めて先端計測がどうあるべきかを考えないと、一時のものに流されていくことによって結果的には競争力が落ちているねという話になりかねないので、その辺まで含めた議論をして、今後もうちょっといい制度設計をしていくべきなのだろうと思っております。
委員の先生方から額を減らして採択率を増やすという言い方があったのですが、それは1つのやり方かもしれないのですが、科研費との兼ね合いとか、科学技術予算に対しては、総額としては相当出ているわけで、そういうこととの抱き合わせでどうなのかということも含めて考えないと、せっかく戦略的にこうやってきて、大きな問題に対して解決していこうという話を進めてきたわけですから、それも含めて、急場しのぎで当面そのようにやっておこうという手はあるのかもしれないのですけれども、その辺は本質的に攻めないと間違った方向に行ってしまう可能性もあるなという気がするので、主査の意見として言いたいと思います。
1件質問ですけれども、AMEDで、本来は先端計測である程度、かなりライフは予算が大きくて、その分野をAMEDに移してそちらでほとんど採択してもらうようなことを考えていたと思うのですけれども、意外と予算が少なくなったということですか。まさかこんなに、二十何倍にもなっているとはとても思わなかったので。

【森田部長】  AMEDも、私どもの部でやっている予算以外にも実はいろいろございまして、AMED全体であればそこそこの御配慮を頂いた大きな塊にはなっております。ただ先端計測に限って申し上げますと、先ほど渡辺課長がおっしゃったように、何を移すかというときにある程度、金額ありきとは言いませんけれども、しかるべき金額の積み上げがなされまして、その引き継ぎましたものは当然計測課題もございますから、過去のものをきちんと育てないといけないとなると、新規に採択できる課題はおのずと少ないのでこれぐらいになったと。私も先生方がおっしゃるようにもっとたくさん採択できればよかったと思いながら、現実問題としてこれぐらいの倍率で、最初に申し上げましたけれども、これだけたくさん来るのだというのが実感でございました。ただ、なぜこんなにたくさん来るかというのは、実はJST時代からこんなにたくさん来ていたという作法があって、その作法にのっとった方々が同じように、窓口は違うけれどもAMEDも同じようにおっしゃってきたからこんな状態になったのではないかと今は思っております。

【佐藤主査】  継続の部分もあるから、そういう意味では新規採択は結構絞られているということですね。それにしても意外と少ないですね。

【菅野委員】  本当に、継続がほとんどで新規がなかったです。

【田中委員】  これ、もしかしたら非常に危険なことになるかもしれないのですが、今先端、AMEDもそうですが、分析機器の開発を一番表に立って公募しているわけですが、公募された方にとっては幾つも並行して出される場合がある。そういったときに、こちらでは駄目だったけれどもあちらではよかった。実際中身は、部分的にでも分析機器を開発することにつながっているのではないか。そういったものを集めて、これだけあるのだということになったら、逆にこれだけ開発されたいのだと、そういうものが受けるのだ、通るのだというアピールの仕方をすると逆に、ではそれぞれに分けて、これはなくなってもいいのではないかという話になるかもしれませんし、うまくそこら辺をできればいいのですが、これは文部科学省、AMEDの方に調べていただくという作業も発生してしまいますので、あくまでみんなの連携がうまく整えばという条件がつくと思いますが。以上です。

【佐藤主査】  今の意見に対しては、もともとの先端計測の事業をやりましょうといったのは、いろいろな課題を国プロで採択して、だけど先端計測機器とかいろいろな装置が大学とか国研とかいろいろな機関に入るのが、なんだ、結局海外製ではないか、海外製がほとんど入っているのではないかということを、野依さんをはじめいろいろな人たちが言い始めて、田中先生がノーベル賞を取ったときに、日本にこれだけのいいものがあるのになぜ使わないのかというそもそものきっかけがあったはずだと思うので、そういうことに向かえるような、それなりのプロジェクトになっていないと、とてもではないですが、海外勢と競争して日本のシステムの競争力があり、それで是非これを入れたいという話になるのですかというのが少し心配なので。細切れにしていくこと自身も心配だし、かといって若い人の創造性をどんどん発揮してもらう、それも救いたいというジレンマをいかに解消しながらどういう戦略を作るかということが今後の課題だと思うのですが。その辺まで含めないと計測事業としてはなかなかうまくいかないのではと思います。ほかに御意見どうぞ。

【金澤委員】  応募する側であるのと同時に、私自身現在分析化学会の理事をしておりますし、小さい学会ですけれどもクロマトグラフィー科学会の会長もしておりますが、そのような立場で、我々新しい分析技術を研究している側ではありますが、今先生がおっしゃったように先が見えていないとどういう技術が本当に必要なのか分からない。例えば私どもも分子生物をやっている方々とお話をすることによって、彼らが見たいものがもしかしたら我々の技術でサポートできるかもしれないというところがあるわけです。日本の研究者にとって、海外の技術を使うということは、例えばアメリカの技術でしたらアメリカの研究者の方が先に使えるわけですから有利なわけで、そうすると実は生命科学の分野、分子生物学の分野の研究でも日本の分析技術がないために先を越されている可能性があります。もし日本で開発された技術であれば、商品になる前に先に日本の研究者が使えるチャンスが日本の機器にはあるわけです。先端計測こそそういうお金だと、田中先生をはじめ、野依先生のお考えはそこにあったのだと私は改めて思いました。例えば再生医療とか、現在のがんの治療や、がん免疫とかも治療法が全く変わってきています。ですから学会でもそういう研究者を呼び、話を聞くような努力はしています。この大きいお金を有効に、研究を育てるためには、そこのニーズをもう一度探るというか、うまくマッチングする必要があるのではないでしょうか、最先端のすぐれた研究者とその技術を持っている方をうまく触れ合わせるような機会を積極的に増やして、そうすると日本の研究がお互いに高め合うことができるのではないか。今お話を伺っていると多分そういう研究費だったはずなので、そう思いました。そういう意味では是非先端計測を今後も進めていただきたい、また予算も取っていただきたいなと感じました。

【佐藤主査】  ありがとうございます。どうぞ。

【森川委員】  森川です。私は、今までどちらかというとニーズを優先すべきという考えでしたが、先ほど林先生や市川先生もおっしゃいましたけれども、要素技術の分野において、市場が見えない、市場が見えてくれば民間が入ってくる、という一方、市場が見えないリスクもあるが、だけど面白い、という分野をどうやってここでベース、裾野を広げるかということが必要と思います。それは要素技術の2,000万円を下げるのではなく、どちらかというと機器開発の件数と金額のバランスを先ほどと逆の2対1、それがいいか分かりませんけれども、ちょっと要素技術の数を増やしてはいかがでしょうか。私は何事もエコシステム的な発想が必要だと思うのですが、要素技術で少し件数が増え、その中から機器開発に移行する、今回の機器開発も要素技術で評価されて機器開発に移行したものもあったと思いますが、そういう流れがこのプログラム全体で動き出すような体系をとれないのかなと思います。その意味で、バランスが、3件3件というのは非常に残念で、3件ですから2,000万円掛ける3件の6,000万円と、5,000万円掛ける3件の1億5,000万円で、この金額バランスを変えることは検討できないだろうかと思います。以上です。

【市川会長】  今年度3件3件だった理由は、要素技術に余り面白いと思うものがなくてそうなってしまったのです。それはユーザーのニーズを強調されたので、そういうところを少し遠慮された方が、特に大学関係で増えたためではないかと思います。下の機器タイプは実は全て要素技術から発展したものです。機器開発は全部3件とも要素技術からきているものなのでうまくいっているのです。こちらがうまくいってしまったために要素技術が見劣りして、結局採択件数が1対1になってしまったというのが実情です。

【森川委員】  分かりました。

【佐藤主査】  いいですか。どうぞ。

【藤本委員】  藤本でございます。私も森川委員と近い意見になるのですけれども、要素技術開発はこのプログラムの1つの大きな花になるのかなと思っているところです。確かに余りニーズ、ニーズというと、面白い、飛躍的という言葉を使われていて非常にいいなと思っているのですが、飛躍的な開発につながるようなテーマが出てこない環境を作ってしまい、余りよろしくないと思います。
それと、先ほど来2つの先端計測分析機器開発事業、AMEDとオリジナルのもの、お話が出ていましたけれども、伺っていると相似形で運用されているように見えなくもないのですね。何が言いたいかと申しますと、ちょっと乱暴な意見かもしれませんが、例えば要素開発事業に関しては片方というか、オリジナルの方に集約してしまうような考えもあるのかなと。これをやることによって、ポテンヒットが生まれてしまう可能性も防げるのではないか。また、例えば要素技術開発でマーカーとして開発しようとした技術がDDSに生かせることもあると思うのです。そういう芽をどんどん拾っていくためにも、要素開発事業は集約することを検討されるのがいいのかなと思います。以上です。

【佐藤主査】  ありがとうございました。杉山委員、どうぞ。

【杉山委員】  私も今の藤本委員の意見に賛成で、やはりこの分野におきましては、要素技術は非常に重要です。必ずしも出口がよく見えなくても、今日のお話を伺っていましてもかなりの確率で機器開発につながっています。10年間でこのプログラムの予算は減ってきていますが、それでもうまくきている理由として、研究者の方が一生懸命何かにチャレンジングしていれば、自然にそれが最終的に機器開発につながるような、POをはじめとして制度も確立してきたということだと思いますので、それらをもっと生かしていただければ良いと思います。
他方、これまで予算を増やすためにグリーンとか放射線等の分野を作ってきましたが、この10年間の反省を受けて、これが少し限界に来たのかなと感じています。他の委員の方々もおっしゃいますように制度設計を変更する時期に来ていると思います。予算では、数千万円単位でお金が出る点に特徴があり、これを小刻みにして数百万円にしてしまうと、提案する研究者は他の課題でも数百万円単位の装置開発ができることを知っていますので、それらとの兼ね合いが問題になります。実際にJSTの持つさきがけとかERATOほか様々なところでも装置開発をしています。また最近増えているプラットフォーム事業でも、いろいろなところで機器開発をしていると思いますので、そういう他分野、他制度との連携を含め、少し制度設計を見直すことで本事業の位置付けを明確にして、かつ最終的には予算も増やしていくという提案になれば良いと思っております。

【佐藤主査】  どうもありがとうございます。大分2番目の課題に入り込んでいるような感じもするので、時間も余りないので続きまして議題2に入りたいと思います。説明を事務局からお願いします。

中川研究開発基盤課課長補佐より、資料3の説明があった。

【渡辺研究開発基盤課長】  こちらの資料3で制度のお話を出してしまうと説明が尽くされない部分がございますので少し補足させていただきます。要点を申し上げれば、JSTがいろいろ事業をしていく中で、もっと中の、どのような課題が出てきてどのように採択していくかをもう少し共有していった方がいいのではないかという、JSTに対する私どもの思いをお伝えしているところがございます。例えば機器開発の成果をいち早く、例えばCRESTなどで実施している課題の場で使っていただくことも1つでございます。また、先ほど田中委員が御指摘になったように、ほかのプロジェクトの枠の中で申請者が本来やりたかった課題が採択される可能性もあるわけでございまして、そういうときにより基礎的なテーマでしたら、例えば戦略創造やさきがけといったプログラムの中で基礎的な段階から実施していくことも可能になってくるわけです。申請する人は応募するプログラム1つ、これだと思って申請されるわけですけれども、採択する側がどういう応募課題があって、他のプログラムの方が適している場合には、そういったことがフィードバックされる仕組みがあることが望ましいと考えます。そこはJSTの中で、こういう課題がそれぞれより適した採択のプログラムがあるということを、手間暇がかかりますが認識した上で、どうすると大きな戦略目標が達成されるか、その辺をしっかり考えていただく必要がありますねと、もっと複雑な仕事をしてくださいとJSTに要求している部分がございます。
JSTからの課題の指摘にもありましたがプラットフォームとの連携に関しては、確かに枠という概念で必ず1課題採りましょうということになると、プラットフォームの採択課題自体が決まっている前段階でしたのでNMRですねということになってしまったのかもしれないですけれども、次の議題でプラットフォームの採択のバリエーションを増やしまして、特に今回採択に至ったものが、先端計測で開発されて製品化までいったようなもの、といってもまだベータ市場で何とかしていかなければいけないものですけれども、そういうもののプラットフォーム採択が今回叶いましたので、その場をプラットフォームとして活用することによってより次の計測のニーズが出てくる、あるいはプラットフォームとの連携の中で更に機器のユーザーを増やして次の段階に進むと、更にそれを基にどのように市場を更に大きくしていくかといったことも考えられるようになってまいりましたので、プラットフォームとの連携は今後もプラットフォームとして採択するものとの兼ね合いをより一層しっかりと見ていく必要があるかと思います。補足いたしました。

【佐藤主査】  どうもありがとうございました。この方針、今後に向けた考え方及び平成28年度の実施方針について皆さんから御意見をお願いいたします。この内容だけで今後どうするのというのを読み取るのがなかなか難しいと私も思うのですけれども、思う存分、多分課長の説明でも分かってもらえないのではないかと思うので少しだけ補足すると、例えばCRESTとかほかの大型の科学技術に関する国家プロジェクトがあるわけで、その中に先端計測が、本来先端計測でやるような計測技術だとか、機器だとか、開発しなければいけない部分が多分あるはずで、そういうものをピックアップして、それでこの事業とうまくリンクをさせながら、ほかの研究者のニーズに応えられることも含めてうまい形で開発が進められれば、それなりに本当の意味での予算をうまく使って開発できたことになるのではないかということまで含めて制度の枠を広げてプログラムを考えてみたらどうですかというのが大筋で、1つの例で言うとそういうことですね。そういうことまでこの中にニュアンスとしては入っているのですけれども、なかなか読み取れないと思うので少しだけ追加いたしました。皆さんから御意見等ありましたらお願いします。

【尾嶋主査代理】  この短い文章から全部を読み取るのは大変だと思うのですが、極論を申し上げますと、この先端計測が11年か12年ぐらい前にできたときには、日本で使っている装置は国産ではないのではないか、外国の製品ばかりを買ってきて使っているのではないかという議論があって、国産でもっと世界にマーケットを広げていくようなものをやりましょうという趣旨、評価基準だったと聞いていますが、それの位置付けが本当に今も保たれているのでしょうか。ということを申し上げたいと思うのです。つまり、この限られた予算でこれだけいろいろな分野で小分けして、先ほど2,000万円が多いかどうかという議論もありましたけれども、選択と集中でやっていかないと国際競争に勝てないと思うのです。いろいろな分析装置にしても、1国で1つ特徴のあるものが出てくれば立派な話であって、ヨーロッパにしても電子分光に強い国があり、他の分野に強い国もある。しかし、日本の場合本当にいろいろな分野があって、それに小分けしてお金を渡していたのではとても、あと10年たっても先ほどの評価基準を満たすことはできないと思うのです。私はむしろその考えよりは、ここに書いてある、科学が引っ張るイノベーションの創出、加速とか、産業競争力が上がることの方が大事で、計測機器で世界を制覇しなくてもいいのではないか。これを言ったらまずいのですけれども、この予算では無理だと思うのです。そこのところを本音と建て前をもうちょっと分けて考えた方がいいのではないか。そういう時期に来ていると思うのです。いやそんなことはない、分析機器で世界に勝つための予算措置をやるべきだという意見もあるかもしれませんけれども、これだけの予算でいろいろカバーしようとするより、その前提を見直した方がいいのではないか。私もCRESTである分析装置を作って、それが限られた分野で役立っています。世界制覇にはとてもいかないですが例えば光ビームプラットフォームの1つになれば1つの成功ではないかと思っています。そういう例をどんどん増やしていく方がこのプログラム全体としてはいいのではないかという感想を持ちました。ちょっと極論ですけれども。

【佐藤主査】  ありがとうございます。ではどなたか。どうぞ。

【杉沢委員】  今回まとめていただいた基本方針に書かれております検討課題は、非常によくまとまっていると思います。今後、この検討課題を具体的に議論することが大事と考えております。先ほどの私の発言で、一件当たりの予算額を減らしてでも採択課題数を増やすべきと発言した意図は、今回の公募結果を見て、採択課題数が余りにも少ないので、応募する側から見て、モチベーションが下がるという面で問題があると感じたからです。その解決策として、例えば予算を減らしてでも課題数を増やすという考え方もあるのですが、もっと視野を広げて、様々なファンドの中にいろいろと散らばっている計測技術に関する課題を俯瞰(ふかん)的に総合的に見ることによって、対応できる部分もあると感じました。私の部署では、いろいろな大学ですとか、他の研究機関の方々から様々なリクエストを受けて、研究開発チームを作ってファンドに応募しています。その際、課題の大きさや目標に応じて、最適なファンドに応募するようにしているのですが、私ども情報収集力と組織力で実行できることは極めて小さいと感じています。そこで、この先端計測の委員会がそれらを俯瞰(ふかん)していただいて、日本全体の中で計測分析機器に関する技術がどのように提案されていて、それに対して資源をどのように配分しているかということを示していただき、戦略的な方針を各ファンドに示すことができれば、効率的かつ効率の良いお金の配分ができるのではないかと感じたわけです。また応募する側から見ましても、自分たちの小さな殻の中で苦労したり、情報不足からくる無理無駄を防ぐことができますので、こういった方向を進めていただくと有り難いと思いました。検討課題の中には良い観点が沢山含まれておりますので、それぞれコメントさせていただきたいことは沢山ございますが、長くなりますので、1点にとどめさせていただきます。

【佐藤主査】  ありがとうございます。ほかに御意見等、ございましたら。どうぞ。

【菅野委員】  ちょっとずれるのですけれども、2つありまして、1つは、AMEDで他省庁の連携をしているとJSTの方も似たような他省庁の連携もあるのかなという気が、例えばプラットフォームとかプロトタイプ事業とか。この公募とは全く違うので変な話ですけれども、少し時間をかけてそういう連携を探るというのが1つあるかなと。
もう一つは、杉沢委員がお話しになったオープン・イノベーションですね。プラットフォームというところになってくると本当に企業のパーティシペーションが大切で、日本企業も随分マインドが変わってきて、オープン・イノベーションみたいな話があちこちで聞かれるのですね。ですので、少し制度的なところでこれは大切かもしれないのですけれども、ゼロ金利になって、例えば企業の余ったお金を定期預金にしているのも難しくなると、ひょっとするとこういうオープン・イノベーションのための基金にそれを回そうかという企業も出てくる可能性がありますので、そういう機運をうまく先取りするような制度設計をしておくのも、特に機器開発からプロトタイプ、プラットフォームとなると必要な額がどんどん増えてきますから、そういうようなものは、ちょっと公募とは違って申し訳ないのですが、お考えになっておくといいかなという気がいたしました。

【佐藤主査】  このプログラムだけで国際競争力を持つ分析計測装置を作り上げるのはとてもではないですができないですよ。尾嶋先生が言われるのも極論で、分からないわけではないけれども、企業は企業で、どうやってビジネスモデルにするのか真剣に考えてやってもらわない限りは、それに対して本当にコアとなる要素の技術あるいはそれに派生した機器システムをうまくプロトタイプで仕上げて、それを世界のベストセラー機にするのはあくまでも企業ですから、このプログラムだけでできる話ではないのですね。そこまで含めて、企業側は、今菅野先生や杉沢さんが言われたようなオープン・イノベーションまで含めてどういうビジネスモデルにもっていけるかまでデザインをしてもらわないと、デザインができていないから今日本は危機的状況にあるので、そこまで含めてつなげていかないといけないのだろうと。
それから市川先生が言われた、確かに面白い独創的なものが生まれるようにしたいね、でもなかなか出てきていないねというのでそこも問題なのですが、その新しい若い人たちのアイデアをうまく出させて、最後のベストセラー機にどうつなげていくかということを、これはまさに省庁の戦略に関わることだと思うのですけれども、それをどのようにデザインして進めていくか。我々もいろいろ意見を言いながら作り上げていかないといけないのだろうなと思うので、そういう観点で是非もう少し議論してほしいなと思います。ほかの先生方、どうですか。

【森川委員】  このプログラムの出口は、機器開発にあるというミッションは変わらないと思います。要素技術にこだわるわけではないのですが、このプログラムの公募に当たっては情報提供に努めることは、もちろんですけれども、基礎的でリスクのあるもの、先が見えないものは科研費等で裾野が広がっているわけですから、文部科学省関連のいろいろな補助金の中から、これはと思うものを要素技術プログラムに推薦する方法はないのでしょうか。公募で待っていてその中から選んでいると、面白いなのがなかったと、先ほど市川先生がおっしゃったのですけれども、ノーベル賞も公募しているわけではなくて、それなりの有識者が推薦しているわけで、その仕組みはこういうプログラムにも生かされるのではないでしょうか。科研費で面白い、CRESTで面白い、さきがけで面白い、そういうものを本人ではなくてそれなりの、評価委員の先生方がこのプログラムに推薦する。私は評価委員の先生方が出口戦略にはこのプログラムが一番いいので、まずこのプログラムの要素技術に応募しろとか、推薦制みたいな要素があると先ほど申し上げたようなエコシステムが回っていくのかなと思いました。以上です。

【佐藤主査】  なかなか難しい。どうですか。どうぞ。

【田中委員】  先ほどから何人もの方々の、要素技術にもっと力を入れるべきだという話にも関わりますし、オープン・イノベーションにも関わりますし、私自身は製造業の中にいますし、最後に1つの製品としてどこどこの会社が作ったということ、それはすごく誇りに思います。ただし、今日本の製造業、どちらかというとほかの国が伸びてきて、日本の中で応援団も少なくなっている。そういったときに少し考え方を変えて、例えばアメリカで世界ブランドはたくさんあるのですが、日本の車メーカーもそうですが、そういうところは1つのメーカーで全部を作っているわけではない。iPhoneも台湾のメーカーが作っていたりということで、部品メーカー、素材メーカーといえどもそれぞれがある意味誇りを持ってやっている。例えばベンチャーでこういう検出器を開発した、こういう前処理を開発した、そういったものが、例えばアメリカではどんどんマージといいますか、買い取られていくということもあります。そういったときに、残念ながらそのブランドは表には出ない。もしかすると消えてしまうかもしれないですが、それを日本では、ブランドが表に出ないから評価されないという傾向があるのだったら、そういう方々を評価する、きちんと名を残すという、うまくモチベーションを上げるようなことがあれば、例えば要素技術も、よし自分は頑張ろうとなる、そういう持ち上げ方といいますか、特に若手に対するモチベーションがないのでしょうかと、私自身では余り経験がないので、多分日本の中にはもう既にあると思いますし、他の国々の参考になることはたくさんあると思います。もちろんプラットフォームを作るのは是非ともやりたいです。ある意味機能としてやるべきことだと思いますが、皆さんがおっしゃるとおり少し考え方を変える時期にあるのかなと思えてきました。以上です。

【佐藤主査】  ありがとうございます。ほかに。

【岡本委員】  岡本と申します。私の専門は半導体です。半導体は今10ナノメーターの世界に向かい、これはインフルエンザウイルスの7分の1程度の大きさになってきています。この場合何が大事かというと、実はこれまで軽視されていた検査・計測。これまで検査・計測は付加価値がない工程なので、いわば虐げられていた。かつ装置も安くしろと。ところが時代が変わりました。10ナノメーターというと、むしろ検査・計測を積極的にやって、これを製造が設計側にフィードバックし、効率的に半導体を製造するというトレンドに完全に変わっている。これに積極的に取り組み、進行させているのが残念ながら日本ではなくむしろ海外。私は設計創造の現場にいますので検査計測の要素から機器までやることの重要性はすごく認知しており、本委員会の審議で進めていくべきだということには賛成です。
話を聞いていて2つのキーワードを思いつきました。1つは森川委員がおっしゃったエコシステムです。実はずっと思っていたのですけれども、今内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム、SIPでも革新的設計生産技術というプログラムがあって、ここは超上流からものを見ていって、将来予測をしながらやっていくというプログラムであるわけです。これは、まさに先端計測がどうあるべきかを示唆し考える場だと私は思っています。そういったプログラムとうまく連携すべきではないか。さっき佐藤主査からも科研費の話がありましたけれども、いろいろなところにお金は出ているわけだから、うまく纏めてやっていく必要があると考えます。エコシステムの中で事業を創成していくのは企業のミッションなのですけれども、その基礎を作っていくのは文部科学省の役目だと思っています。
もう1つは、完全なるバズワードなのですけれども、実は「マッドサイエンス」という言葉なのです。狂った科学、なのですけれども。このマッドサイエンス、実はだれも考えていなかった、考えていない、新発想の技術を是非計測分野のプログラムに入れるといいと思います。何度も出ているとおり、若手の研究者や技術者は本当に考えられないことを出してくるのです。今日も議論されましたが、ニーズ優先ばかりで出してしまうとそれは出てこなくなってしまいますね。確かにニーズは大事です。役に立たないものをやってもしようがない。でも全然違うマッドサイエンスの分野で新しい人がどんどん案を出すことによって新しい価値が創造できるかもしれない。有識者の委員の方々はその本質を見抜く目を持っていますから、そういうプログラムを1つ加えるといいのではないかと思っています。以上です。

【佐藤主査】  ありがとうございます。多分、時代はどんどん変化していて、最近の話題でいえばアルファ碁が囲碁棋士を破ったという。ここまでAIが進化して、コンピューターが進化して、10年か20年後には1チップが1ペタフロップスぐらいいくのではないかと言われ始めている状況なので、そういうことを踏まえると、今までの計測分析の持たせられる価値とか可能性とかが、見方を変えると全く変わってくる可能性があるのです。そういうことまで含めて、今岡本委員が言われたような見解というか、新しい分野にどう計測分析の、私も含めて古い人間からするとニーズを言うと大体後れているねという感じになってしまうので、そうではなくて、若い人たちを含めて新しい発想みたいなものを取り入れていくことも考えていく時期なのかなと思います。どうも我々はハード思考で物事を見ているので、ソフト的な思考を少し入れながら計測事業も考えていかないといけないのかなという気はします。そういうことも含めた新しいプログラムに、平成28年度はもう決まっていますので仕方がないのですけれども、平成29年度以降に向けた考え方を作っていきたいなと思っておりますので是非そういう議論もしてほしいと思います。ソフトの観点で言えば、坂本委員が少しソフト的な観点があると思いますが、何か御意見ありましたらお願いします。よろしいですか。

【坂本委員】  はい。

【佐藤主査】  ほかに御意見ございますか。

【渡辺研究開発基盤課長】  計測事業の中でやっていくという話ではなくなってしまうのでここでどう取り上げていただくかは難しいところなのですが、他省庁との連携ということですと、既に具体的には、例えば高温超伝導をどうするというお話については経済産業省、また、直流送電の話などもあるので国土交通省も少し関係してきますが、そういったところと、どうしたらこれが実現できるかという話を始めています。というのは、高温超伝導は、大型の加速器などにも当然使えるような技術でございますけれども、NMRが次の段階に行くには1ギガ超の装置を作っていかなければいけないのですが、これには高温超伝導がどうしても必要になります。ただ、残念ながら、杉沢委員からお話しいただいても結構なのですけれども、NMRを高温超伝導でやりましょうと言ったときに、線材メーカーが需要を考えると、NMRの開発だけでは当然やってくださらないわけです。従って、他のもっと大きな高温超伝導の需要の世界、鉄道とか、大分先になると思いますけれども核融合の世界の需要を合わせると、潜在需要が1兆円という規模で出てきます。そういった中で超伝導が実現していくと考えます。それを後押しするのは文部科学省だけではなくて、NEDOプロ、あるいは経済産業省のプロジェクトだったりするわけです。そこで課題が共通化できる部分をしっかり見極めながらやっていくという研究を進め、NMRに必要な部分も当然ございますから、その部分は例えば、今後こちらの先端機器のプログラムの中でどう考えていくかということを切り取っていただくということを検討しています。課題として浮き上がってきたものについては他省庁との大きな政策の枠の中で考えることは始めさせていただいていますが、全部が見えるわけではないので、一部始めておりますというところです。

【佐藤主査】  ありがとうございます。それでは時間も。どうぞ。

【山下調査役】  JSTでございます。現場の意見を少し述べさせていただきます。JSTは産連事業と基礎研究事業があるのですけれども、基礎研究事業、CRESTとかありまして、非常にいい研究者がたくさんいらっしゃる、日本でJSTだけではないかという感じのいい先生がたくさんいらっしゃるわけですから、その先生方との連携を持たないのは確かにもったいないということはございます。ではどうするのかという話もあるかと思うのですけれども、これまで余り表立ってはやっていないのですけれども、いろいろないい課題の先生方、目を付けて話をすることをやっていました。課題の作り込みという言い方をしているのですけれども、先生方、もしこの事業に応募するのだったらこういう形にした方がいいですよということをやっていたのですけれども、それをもう少し強化したいなと思っております。もちろん評価に関しましては普通に応募していただいて評価するのを変更することはありませんし、変な下駄(げた)をはかせることもないのですけれども、いいものに関しては作り込みをしたいなというのが1つあります。
もう一つ、基礎研究には戦略目標というものがございまして、国の方針という形になっておりますから、それとの連携をすることによって、研究者のニーズとかに合致していくのではないかと思っていますので、そういうものの連携も強めていきたいなと思っております。あと、出てきた成果を、先ほどのCRESTがいい研究者に早いうちに、アーリーアクセスといいましょうか、持ち込んで使ってくださいということで、いい論文を出してください、いい成果を出してくださいというものも進めていこうという、現場でできる運用に関しましては進めていきたいと思っております。以上でございます。

【佐藤主査】  ありがとうございます。JSTの制度も含めて多分今後検討していくことになると思いますのでよろしくお願いいたします。
時間になってきましたので、基本的な考え方、大きな方針、こういう方向で今後検討しながら決めていくということで皆さんよろしいでしょうか。それだけ確認させていただいて、もしこれでよろしければこの考え方、あるいは実施方針についてはこういう方向で進めさせていただきたいと思います。よろしいですか。ありがとうございます。ではそういうことでよろしくお願いします。
続きましてプラットフォーム関係の説明が少しありますので事務局からお願いいたします。

中川研究開発基盤課課長補佐から、資料3及び資料4についての説明があった。

【佐藤主査】  ありがとうございます。今のプラットフォーム関連の説明で皆さんから何か質問等ございましたら。

【尾嶋主査代理】  最後のページに共用プラットフォームの例が8つ出ています。プラットフォームが増えていって便利になって研究開発に貢献するという方向は大変いいことだと思うのですが、数が増えてくると限られている予算をどう分けるのか、が問題です。3年やったプラットフォームについて、評価をやって次のプロジェクトを減額するのか増やすのか、という議論はどこでやられているのでしょうか。

【中川研究開発基盤課課長補佐】  まずプラットフォームの政策のガバニングボードとしては、同じく宇川先生に主査をやっていただいているプラットフォーム委員会で今後やっていただこうと考えております。予算の話なのですけれども、この事業設計をしたときの考え方を申しますと、第5期科学技術基本計画期間を共用政策の総仕上げだと思っておりまして、報告書等にも集中的な改革を行って、これがしっかり根付いた形になって、もう予算補助で回していく時代は終わりにしたいと考えております。そういう意味では、利用料収入見合いとかを踏まえた事業規模とか、実はほかのプラットフォームでも幾つか工夫がありまして、企業にコンソーシアムを作っていただいてそこに一定の枠をやることで経営を安定しようとか、うまく受託分析会社を連携することで空いたマシンタイムも有効活用するとか、そういった工夫から、あとはこのプラットフォームで使う研究費の部分は競争できるようにしっかり取っていくとか、そういったところで安定的に日本の研究インフラとして維持したいと。

【尾嶋主査代理】  分かりました。

【渡辺研究開発基盤課長】  少し補足しますと、このプラットフォーム事業は、光ビームとNMRの2つだけでしたけれども、その他に34機関ほど別々に共用事業を支援するというプログラムがございました。それを今中川が申しましたように第5期の基本計画を考えていく中で、卒業できるグループが、例えば東工大のTSUBAMEというスパコンです。とても性能が良いのです。ほとんど自立して共用ができるようになったグループには支援を卒業していただき、新に幾つかのものをプラットフォーム的に作っていただいて、それで必要な支援をどうしましょうといった議論の下にプログラムの衣替えをいたしました。

【尾嶋主査代理】  分かりました。

【佐藤主査】  ほかにございませんか。どうぞ。

【杉山委員】  5ページ、原子・分子の顕微イメージプラットフォームのところで、データベースでプラットフォーム内の情報共有と可視化というキーワードが出てきました。いよいよチャレンジングなことが出てきたと思うのですが、実際にいろいろ課題もあると思います。例えば先端的なデータであればあるほど囲いたくなる人も出てくると思いますので、このあたりのプラットフォーム内の情報共有と可視化については特に問題なくいきそうなのか、戦略的にはどのようにお考えでしょうか。

【中川研究開発基盤課課長補佐】  提案の中では、私どもで力を入れているのかなと思ったのは、ニーズとかノウハウのデータベースを作ろうという提案は、実はプラットフォームの中ではユニークな提案だったと思っています。成果が、当然皆さん論文とか書かれて公になるものをここのプラットフォームで発見できたという意味で蓄積していくのもあるのですけれども、ここは特にノウハウみたいなところはプラットフォーム間で共有して、同じようなミスがとかじゃないですけれども、北大でうまくいったものがひょっとすると質量顕微鏡でもうまくいくかもしれないので、そういったノウハウで、特にもう一つは、このプラットフォームが力を入れているのは、新技術習得でもありますが、ここの装置を使える人のスキルを向上させていきたいと。大学で言うと技官のスキルアップを是非したいということも提案の中でありましたので、それにデータベースも生かしていくということではないかと思います。

【杉山委員】  分かりました。

【中川研究開発基盤課課長補佐】  オープンにするところと、内部用と外とは多分分けられると思います。

【杉山委員】  特にこれらの計測機器はデータも全部電子データ化されてきていますので、こういうものをこれからの情報のネットワーク化の中でどのようにデータベース化していくかという点が重要だと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【佐藤主査】  ほか、よろしいでしょうか。それではプラットフォームの関連はこれで終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
本日の議題としては以上なのですけれども、事務局から連絡事項等がありましたらお願いします。

【渡辺研究開発基盤課長】  本日、本来であれば局長の伊藤と総括官が出席の予定でしたが、実は私どもの課で実施しておりますロボティクスの若手育成の事業発表会が汐留で、JSTと一緒に開催しておりまして、今日は人員を分散せざるを得なかったので、出席がかないませんでしたことを最後にお詫び申し上げます。

中川研究開発基盤課課長補佐より、今後のスケジュールの確認があった。

【佐藤主査】  ありがとうございます。それでは以上をもちまして本委員会は閉会といたします。どうもありがとうございました。

── 了 ──


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