先端計測分析技術・システム開発委員会(第2回) 議事録

1.日時

平成27年7月23日(木曜日) 14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省 3F1特別会議室

3.議題

  1. 先端計測分析技術・システム開発に係る検討について
  2. その他

4.出席者

委員

佐藤主査、尾嶋主査代理、田中委員、大堀委員、森川委員、菅野委員、瀬藤委員、杉山委員、中村委員、藤本委員、坂本委員、金澤委員、杉沢委員

文部科学省

村田科学技術・学術政策局総括官、渡辺研究開発基盤課長、中川研究開発基盤課長補佐

オブザーバー

森本JST産学連携展開部長、市川JST総合評価会長、林JST開発主監、江端研究基盤環境形成作業部会専門委員

5.議事録

科学技術・学術審議会
先端計測分析技術・システム開発委員会(第2回)
平成27年7月23日


【佐藤主査】  それでは、第2回先端計測分析技術・システム開発委員会を開催いたします。非常に暑い中、ありがとうございます。
佐藤主査の紹介により、金澤委員及び杉沢委員の挨拶があった。

【佐藤主査】  よろしくお願いします。
それでは、早速事務局から配付資料等、お願いします。

中川研究開発基盤課課長補佐より、配布資料の確認があった。

【佐藤主査】  よろしいですか。不足はございませんか。今日は資料が少ないので、多分ないと思います。
では、早速議事に入りたいと思います。最初に、資料1に関して事務局から説明をお願いします。

中川研究開発基盤課課長補佐より、資料1に基づき説明があった。

【佐藤主査】  ありがとうございました。

【渡辺研究開発基盤課長】  AMEDプロジェクトとの関係について、少し補足させていただいてよろしいですか。先生方の関係分野、皆様、いろいろな分野に関係している方をお願いしておりますが、今、課長補佐の中川からも、医療機器に関してはこの先端計測機器プログラムのライフサイエンス分野の予算をAMEDに移管したという説明でございました。
その意味は、こちらの委員会は、まず文部科学省が先端計測機器プログラムとして実施の責任を負っているものについての予算の方向性を決めていただくという議論の場が、こちらの委員会の1つの目的でございますので、今日は文部科学省の予算を要求して、JSTが実施する部分になっている先端計測分析技術・機器開発プログラムについての議論をまずは優先的にしていただきます。
それから、AMEDに切り出したものはどうなっているのということでございますけれども、これは結局予算をどこが要求しているのかというと文部科学省で、JSTではなく、AMEDがそれを一体的にほかの予算プログラムと併せて運用するということになっているわけでございます。したがって、実質責任がAMEDに移っている部分がございまして、実は今日菅野先生もAMEDの医療部分の機器プログラム、移管したもののプログラムオフィサーとしてのお役目も負っていただいております。
ということで、そちらは私ども文部科学省とAMEDとの議論の中で、どういうところを重点的に進めていこうというのは、当然PD、POも含めてお話ししていくところにはあるのですが、先端計測機器プログラムではなくて、一般名詞としての「先端計測機器」でどうあるべきかという議論はこの場でしていただいて全く構いませんし、そういう大きな視点から見ていかないと、何を開発すべきかというところは当然出てきません。
他方、文部科学省がJSTで実施している、予算のプログラムとしての議論というところでできる範囲ということは、またAMEDのプログラムとのデマケーションというか、何をどちらでやるかということは少し整理しなければいけないので、そこのところが一瞬少しややこしくなっておりますけれども、今日の議題の資料1の先端計測分析技術・機器開発プログラムというのは、JST実施分についてこういう方針でよろしいかという議論でございます。
これとは当然別に、ライフ系でこういうものを見たいというニーズに対しての計測の開発をどこでするのかというそもそも論のお話がありますから、それはそれで当然していただく。その上で、医療直結、出口が見えていくお話なので、では、AMEDプログラムの方に重点化として何とか移していかなければいけないということは、御意見としていただきましたら、私どもで受け取って、AMEDとのお話合いの中でどうしていくのか、場合によっては、こちらにAMEDからの説明、という意味だと菅野先生がPOとしてされることになるのかもしれませんが、事務局としてAMEDとの関係をきちんと整理した上で、AMEDの方針はこうしたいということについて、意見交換する場を設けさせていただく。
こんな感じでございますので、今日の優先順位1は、JST実施分の従来の部分、ただし、ライフ部分が抜けている感じにはなりますというところについて、どうしていくか。予算の方向性について、まずは御議論いただきたいということでございます。

【佐藤主査】  課長の話が分かりづらい面もあると思うので、質問はありますか。今AMEDとの関係のところで、まずそこだけに絞って、よろしいですか。

【渡辺研究開発基盤課長】  よろしければ、菅野先生から、AMEDの実施状況などお話ししていただいてもよろしいですか。

【菅野委員】  AMEDの方は、実は今年度の課題募集が今終わって、これから審査に入ろうというところで、140件ぐらいの申請が来ていると聞いております。
まず、私の非常に個人的なあれですけれども、AMEDということになって、機器開発に関しては、文部科学省プログラム、厚生労働省のプログラム、ある意味、結構仲がいいといいますか、厚生労働省は認可の枠組みですね。それから、経済産業省は非常に出口の近いところと、何となく分かれた感じです。
ただ、全体のかじ取りが経済産業省なので、我々も応用のところにかなり引っ張られているということで、多分こちらの委員会から御覧になると大分違うのではないかというところが出てきかねない状況でございます。今のは本当に個人的な感想ですけれども、私もちょっと心して、いろいろ場面で情報を提供させていただいて、フィードバックもいただければと思っております。
以上です。

【佐藤主査】  ほかによろしいですか。要するに、AMEDに関しては、ここでコメント、アドバイス的なことはいいけれども、別に決める必要は何もないですということですよね。どういう役割分担をするのということに対して、ちょっと分かりづらかったので、そこだけもう一回言ってくれます。

【渡辺研究開発基盤課長】  ミッションとして、していただかなければいけないのは、先端計測分析技術・機器開発プログラムの予算要求方針について御意見を頂いて、こういう方針で進めようというある程度の合意をしていただくことです。そこからはみ出たライフサイエンス系の機器の開発は、もっとどうしてほしいということはもちろん御議論いただいて構わないのですが、それをどう扱うかということについては、AMEDとの調整が必要になってくるということです。

【佐藤主査】  意見はどんどん言ってくださいと。

【渡辺研究開発基盤課長】  全然オーケーです。

【佐藤主査】  そういうことで、あとは事務局というか、文部科学省が引き受けますということですね。よろしいですね。
田中先生、いいですか。

【田中委員】  私も先ほどからよく理解できない部分がありまして、まず、個人的な意見ですが、AMEDという組織ができて、その中で分析計測が生きていく、これからますます活用されるということ、分析計測for clinical useということで、これ自身は非常にうれしいのですが、自分で言うのも何なのですが、例えば、質量分析に限っても、clinical useとしてまだ十分育ってはいないわけです。そういう未熟な状態で、はい、分析計測はこうですと、それをそのままclinical useに持っていくと、十分準備されないうちに渡ってしまう危険性もありますし、今、先端で行われていることが、ああ、すみません、質量分析に戻りますが、質量分析ももともとは、例えば、鉄鋼の分析とか、そういったものだったのが、最近では、どちらかというと、創薬とか医療が伸び盛りなわけです。それになるまでに何十年も掛かったわけですので、質量分析に限らず、計測分析というのは、どんなところで、例えば、AMED関係につながるか分からない。そういったまだカバーし切れていないといいますか、思いもよらないもののつながりを考えた際に、それをうまくバトンタッチしていくような流れがあればいいと思いますし、それは自分の首を絞めるような形になるかもしれませんが、そういったものは必要かなと思います。
以上です。

【渡辺研究開発基盤課長】  よろしいですか。まさに今、田中委員の御指摘のとおりでございまして、医療機器、それからいろいろな診断機器と想定されるものが、今AMEDが取り扱っている要素技術が基礎的なものであっても、その辺でAMEDは線を引きたいようでございます。
そうなると、質量分析器に関しても、これからの使い道、使い方という観点では、確かに医療機器としての認可はまだされていませんけれども、そういう可能性も追求していきたいというところは当然出てきます。そこは是非こちらで扱っていきたいと私どもでは思っています。
それを世の中に成果としてどんどん出していったときに、どの時点で、どっちにしても、バトンゾーンというか、グレーになっている、どっちかと言い難いゾーンというのはありますので、役所の中ではどこかで線引きはしなければいけないのですけれども、技術に切れ目がなく、産業につながっていけるようにするにはどうしたらいいのか。これはAMEDとの間で十分御相談させていただくことにしつつ、広がりが大きい部分に関しては、当然従来どおりこちらの、今、資料1に書いてございます先端計測分析技術・機器開発プログラムの中で議論し、広がりと深みを持たせていくと御理解いただければ、よろしいかと思っております。

【佐藤主査】  よろしいですか。要するに、基礎研究から応用まで含めてシームレスに開発ができないと、当然できないわけで、その辺のかじ取りを文部科学省でやりますと。それに対してはいろいろここで一番近い、今までずっと近かった、我々が検討して近かったわけですから、我々からいろいろな意見を是非言ってくださいということでいいですね。
それでは、我々のタスクである先端計測分析技術・機器開発プログラムについて、皆さんから御意見、御質問等がございましたら、お願いします。

【尾嶋主査代理】  では、1つよろしいでしょうか。基本的にこの考え方でよろしいのではないかと思います。つまり、我々の開発する要素技術、機器の出口として、プラットフォームを明確に位置付ける。今回はNMRの共用プラットフォームということで、平成27年度試行しようということですが、主査の佐藤先生とか、二瓶先生がヨーロッパの状況を視察に行かれて、NMRプラットフォームが非常に発達している、特にメーカーと一体となって進んでいる、という状況を見てこられました。日本の場合、形としてはこの形が非常にいいと思うのですが、魂を入れるためには、NMRプラットフォームを作ったからこそ、本当にNMRユーザーがぐーんと広がって、かつ中身の深いものになったということを実証しないと、形だけで終わってしまう可能性があります。その次に光とか、電顕とかどんどん広がっていくと思うのですが、形だけ作って、実効的になかなかいかない可能性がある。だから、現在作った平成25年、26年度で、その辺りの状況はどうなのかということを教えていただきたいのですけれども、いかがでしょうか。

【中川研究開発基盤課課長補佐】  プラットフォームは来年終わるので、それの総括をもう一つの委員会で今やろうと思っています。その中でいろいろ材料なんかも集めているのですが、まず、先行してプラットフォームになっているNMRと光で、NMR中心に話しますと、NMRプラットフォームは相当ヨーロッパを意識してやっていると思います。プラットフォームに3機関が入っているのですが、その中で利用課題を共通で、一元的に受け付けて、そこから適切なところに配分するやり方とか、サポートスタッフのスキル向上のため研修会を開くとか、プラットフォームの中で出てきた課題としては、例えば、支援者の方を考えてみるときに、スキルアップというのが、ある種、スキル認定みたいな形ができる。これは恐らくいろいろな形のNMR、固体NMRとか、ああいったところで、彼はこの装置が使えますといった形でスキル認定をすることで、サポートスタッフの質を上げていこうといった取組の提案が幾つか挙がっていまして、それらを取り込んだ形で、来年以降もっと質と量というというのがあれですけれども、大きなプラットフォームとして是非バージョンアップを図っていただきたいと考えております。
技術との関係でいいますと、これもNMRで試行的にと考えたのは、先行事例がございまして、こちらの先端計測分析技術・機器開発プログラムで開発したものをトライアルユースという形で阪大に置いて、そこでまた利用者のフィードバックを得て、バージョンアップしたものをまた、JEOLなのですけれども、機器メーカーがバージョンアップした製品を作り上げたというのもあります。
ちょうどそういった形の、フィードバックが、先例があったものですから、それがこの試行で何かまた新しいものができたとき、プラットフォームに戻して使ったことで、次の製品につながる、次のバージョンを作るときに、その部品が取り込まれた形で新製品になる。そういったものを期待して、試行としてはやってみたのですが、これはまだ公募で挙がってきている状況なので、どういったものが挙がってきているのか、実際に採択まで行くかどうかもこれからの議論ですが、そこをよく見極めながら、来年の本格始動といいますか、平成28年度に課題を設定するときの参考にしたいと思います。

【尾嶋主査代理】  基本的には順調に立ち上がりつつあると、そこまでは言えないですか。

【渡辺研究開発基盤課長】  そこに関しては、要するに、システムとしては非常によくできている。それから、ユーザーも確実に増えている。サポートのお金が多いにこしたことはありませんけれどもというのがついていますけれども、人がワンストップサービスで便利に使う仕組みとしては非常によい。しかもネットワーク的にそれを運用することで、何も理研の横浜に行くばかりではなくて、北海道でも大阪でも使えますとなっていくことは、形としてはよい。
むしろこちらで御議論いただくときには、多分杉沢さんからも御発言があると思いますが、NMRの場合はちょっと特殊な事情で、世界にメーカーが2つしかありません。そのときに、日本として、まずはこの委員会としてなんですけれども、もちろん残った1社の、レッドリストに載っている会社がどうしていきたいかというのはもちろんあるのですけれども、どうしていきたいかということと、ユーザーのニーズは、何を見るかによって全然違ってきています。
それから、どんどん強い磁石を作りますと言って、1.02ギガヘルツまでは先日、固体で達成いたしました。それはそれで快挙ですけれども、次にどうしたいのですかと。次に1.2ギガ、当然桁を上げていくというのは技術的にはあり得るのですけれども、1機が30億円とかというお値段になってしまうわけです。それはどのぐらい使えて意味がありますかという技術的なところ、あとはもう一つ残っている人を協力相手と見るか、競争相手と見るか、完全にすみ分けて、私たちは食べ物も住むところもそれぞれ違うから、2人ともハッピーですというのか、それは企業戦略も含めてちょっと考えていかなければいけないのですが、まずはユーザー側から見ると、どうないといけないですよ。あとは、言わずもがなですけれども、アプリケーションをもっと使いやすくならなければ駄目だとか、いろいろなことがありますけれども、そうしたら、それをプラットフォームの課題にどう載せていくと、お互いがハッピーかというところを少し、まあ、たまたまNMRの事例ですので、例えば、そういう視点で、ちょっと特殊事情でございますから、御議論いただくということはあると思います。

【佐藤主査】  よろしいですか。共用のプラットフォームのところは、要するに、この委員会としてはユーザー側にどういうニーズがあるのですかと、それをちゃんと明快にして、ユーザーがそれを使っていろいろな技術開発、あるいはそれがビジネスにつながるかもしれないけれども、そういうことに対して、勝ってくれればいいという考え方で、どういうニーズがあるかというのを吸い上げる。それを先端計測として、共用の中にプログラムとして入れられないかと捉えています。
今日は前回お認めいただいたタスクフォース的な検討会、御三家、TEM、NMR、MSという3つの重要分析機器システムに対して、本当はもっと検討して、二瓶先生の時代から国際競争力はどうなっている、どんどん下がっているのではないかということで、それに対してどう取り組むのかということを少し入れながら、先端計測事業の中に、この委員会としては、どういうふうにそれを取り上げて、貢献していくのかというのをちょっと考えてやらなければいけないので、その検討会を踏まえて、実は今いろいろ検討している最中なのです。今回それが間に合っていないのですけれども、そういうのを踏まえて皆さんに提示しながら、最適なニーズを踏まえた、プログラムに関しては、挙げていきたいと思っていますので、そこはもう少しお待ちいただきたいのですけれども、それ以外のところで何か御質問等がありましたら。

【市川会長】  ちょっとよろしいですか。重点開発課題候補の考え方で、尾嶋先生からプラットフォームに関しては議論があったのですけれども、戦略的技術開発型は、今はタスクフォースで検討中という、さっき言いましたTEM、NMR、MSというふうに、具体的にはそういうことを考えておられているのでしょうか。

【佐藤主査】  重要課題は今3つ、これが三種の神器ではないけれども、日本にとっても、科学技術の進歩にとっても、すごく重要だと思っているので、それをまず取り上げて、検討します。

【市川会長】  今年度選考を始めたのですけれども、そのときに、NMRの共用の部分が、課題はある意味でとった方がよろしいという感じで、別枠的になっているのですけれども、そういったときに、例えば、戦略的技術開発型も、いわゆる枠としてそのまま残していくのかということになりますと、今のところ課題自体の予算が限られていますので、少ないのですよね。そこでどんどん枠が決まっていきますと、先端の基盤的なものの枠がどんどん狭まっていくという状況が発生すると思うのです。
だから、そこら辺をちゃんと考えてやらないと、何が出てくるか分からないようなシーズ志向で、ひょっとするとこれから物すごく化ける可能性がある技術もあると思いますので、そこら辺はちゃんと考えた上で議論しないと、ある程度市場性が見えているものばかりがますますここに出てきてしまって、10年たってみたら、新しいのが何も出てきていないということになることを考えながら議論していかなければいけないと思うのですけれども、そこら辺はいかがでしょうか。

【佐藤主査】  それはもちろんシーズ志向とニーズ志向と両方考えて、割合は50:50にするのか、7:3にするのか、3:7にするのかという議論はあるにしても、そういうことをやらないと、基本的にはボトムアップ事業ですから、それを提示して、それに対する応募をもらってやるという事業戦略はそんなに変わらないだろうと思いますけれども、これは私だけの判断では無理なので、課長。

【渡辺研究開発基盤課長】  その点につきましては、資料2で御用意したものとも関係がありますので、また後ほどそのあたりの議論は深めていただければよろしいかと思うのですけれども、まず1つは、俯瞰的にいろいろな技術が、どういうニーズがあるかということについては、佐藤委員長で御検討いただいている企業の方々を交えた議論に加えて、JSTのCRDSのライフサイエンス部門の方たちに、医療というか、生物学、生ものの現場でどういうニーズがあるのかというのを少し議論していただいております。先生の御報告と併せましてJSTからの報告ができるようなタイミングを今考えておりますので、どんな技術、どんな戦略的重点化があり得るかというのは、後の報告を待つ部分が1つございます。
それから、ボトムアップ式で全てを先端計測機器でやらなければいけないかというと、それはそうでもございません。やはり技術要素としてある程度見えていて、かつおもしろいものも含めて、非常に競争に近くても拾っていくというのが、先端計測機器プログラムのよいところであろうと。
それからさらにもう少し、もっととんがっていて、どういう応用があるか分からない、あるいは電子のスピンが見られるかもしれないから、やってみましょうなどというお話になってきますと、いずれは計測機器ということになってくるのかもしれないけれども、資料2で御議論いただきますようなCRESTとか、もう少しほかのチャレンジングなプログラムにそのシーズを送るということもございます。
これは従前から文部科学省というか、私どもでもJSTにもお願いしているところなのですが、一定の目的を持って、JSTにいろいろなプログラムが今設定されているのです。プログラム間のつながりをもう少しよくしていただいて、目標とか、大事だといっている御意見とか、いろいろな情報を共有し、戦略的に、それこそJSTのトップダウンプログラムとしてうまく運用していただくと、CRESTと先端計測機器との組合せで、世の中に、こちらにちょっと引用させていただいたdisruptive innovationのような、世の中に全然出なかった機器というのが出せる。場合によっては、もっと大きなしつらえが必要であれば、ほかの、それこそ、ImPCTはまた新たにできるかどうか分かりませんが、ImPCT的な大きなプログラムにすることも考えられます。
なので、受け入れる方の受皿というのはいろいろ考えようがございます。他方、先端計測機器を運用しなければいけない先生方の事情もございますので、その辺まずは御自由に御意見を頂きながらも、これは先端プログラムの方針としてやりましょうというところを、最後一応見込みを付けていただく、そんな御理解でお願いできますでしょうか。

【佐藤主査】  市川さん、よろしいですか。

【市川会長】  はい。多分今後そこら辺をちゃんと議論しながら煮詰めていく課題だということで、ここですぐ結論を出してくださいということではありませんので。

【佐藤主査】  ありがとうございます。どうぞ。

【杉山委員】  今のお話の中でCRESTという言葉が出てきました。新しい原理とか、新しい原理を使った分析装置の開発という、将来どう発展するか分からないような部分を、こちらの先端計測で先にやってから、それがCRESTに発展していくというケースもあるのでしょうか。
先ほどのお話だと、むしろそういうのはCRESTでやって、先端計測技術開発は、そういうシーズが少し見えてからの機器開発なのだともとれたのですが、予算規模からいくと、先端機器開発の方が少しチャレンジングといいますか、シーズの要素はやりやすいような気がしますが、そのすみ分けはどのように考えればよいでしょうか。

【渡辺研究開発基盤課長】  その辺は、御指摘にあった方の後者だと思っていまして、CREST、さきがけというのは、研究の要素が非常に強いものをまず目標設定して、要素技術の達成を、何をしましょうというよりは、研究目標として、例えば、光の新しい領域は何だとか、ITの次のペタのその上のゼタとかに行きたいときはどうするか、そういう目標設定で新しい技術に一つ一つ開発していく要素を作っていくという研究でございますから、先端計測機器はそれよりはもう少し先が見えてきているのかなという気はいたします。
ただ、金額的なものからいいますと、プログラムとしては、CRESTの方が1課題当たりの金額が大きくなるので、機器の要素開発が提案できるレベルになっているものは先端計測機器、あとはそこにどのぐらい新規性、独創性が入るかというのは、実はもう物によるというところなので、あとは誰がいつまでを目指して、どんなことをやりたいかによると思います。

【佐藤主査】  よろしいですか。

【杉山委員】  はい、判りました。田中先生もいらっしゃいますけれども、個人的には、先端計測技術開発自体が質量分析技術の新しい発見をきっかけとしていると聞いていますので、やはりここでも基礎は大事にしたいと思います。

【渡辺研究開発基盤課長】  それは是非お願いいたします。

【杉沢委員】  私から考え方を少し整理というか、お聞きしたいなと思いまして、この機器開発プログラムの全体のスキームは、最初の1ページに示されておりまして、非常にすばらしいなとは思っています。

【渡辺研究開発基盤課長】  それは是非お願いいたします。

【杉沢委員】  私から考え方を少し整理というか、お聞きしたいなと思いまして、この機器開発プログラムの全体のスキームは、最初の1ページに示されておりまして、非常にすばらしいなとは思っています。
この1ページ目の一番右側にある出口がここでは2つ示されまして、1つは最先端の研究現場で活用されて、それが結果として新しいサイエンスの潮流を作る、あるいは革新的な研究結果を創出する。これは非常に分かりやすくて、ぱっと考えると、例えば、論文の発表数とか、学会での講演回数、あるいは先生のようにノーベル賞をとられた、これが多分こちらかなと。
もう一つありまして、実用化により国内外の市場獲得、それが我が国の産業競争力を強化という、この出口の評価、出口というのは、特に我々分析機器メーカーをやっておりますと、いつも悩ましいところです。
もともと分析機器メーカーは、当社も含めまして、産業規模が非常に小さくて、単純に考えれば、我々の事業のアウトプットで、市場規模で評価されるというのは、言ってみれば、日本の産業全体から見れば、ごくごく小さい。ごくわずかになって、分析機器自体の出口として評価した場合は、数字であらわすと非常に小さいものになります。ただ、分析機器の一番のポイントはそうではなくて、それがもたらす波及効果の大きさが大きい。それはもう二瓶先生も何度もおっしゃっている話で、いつもそこを何とかアピールしたいと思っているところです。
これから御説明があるのではないかと思いますが、今回のこの後ろの資料は、多分この上の部分のアピールだと思って、これは非常にすばらしいし、これだけでも十分なのですが、是非今後この下の部分をどう評価するか、逆に言うと、それをどうアピールしていくかというところを、この委員会を含めて、是非考えていきたいなと、これはどちらかというと私の希望なのですが、そういうものを作り上げたいというのは、私としては是非お願いしたい、あるいは我々自身努力したいと思っています。
以上です。

【佐藤主査】  10年間やってきて、ここが成果と反省と両方が出ているところで、サイエンスですから、それをテクノロジーにして、実際に応用していくのですけれども、波及効果というのが、例えば、経済産業省がやっているようなことに比較したら、めちゃくちゃ大きいわけです、見方によれば。そこをちゃんと評価できるように、評価して、このプログラム、この継続事業がこれだけの波及効果で、このぐらいの価値をもたらしているということが言えるようにしなければ、委員会としてもおかしいだろうという話で、そこはちゃんとアピールできるようにしていかなければいけないという話で、それは出ていますので、是非やりたいのですけれども、人員も含めて、なかなか厳しい状況があって、その辺については、課長、どうですか。

【渡辺研究開発基盤課長】  いろいろなところで指標をとりたいとは思っているのですが、その一つは、例えば、公募の要項を書くときに、何と何は報告で必ず入れてくださいねと指摘しておくと、それは必ずいただけて、それが指標になっていくというのが一番理想でございます。
今だと論文ということである程度できるのですけれども、そうはいっても、工学系の論文というのはなかなか、例えば、ネイチャー、サイエンスという世界でもないので、それによって達成されたサイエンスの効果というのは言えるのですけれども、これは必ず何とか社製の何とかを使ったのでできましたとacknowledgeに書いてあるわけでもないですよね。acknowledge分析をするという手もありますけれども、どうするとそれが一番指標としてあらわれるのかというのは、むしろユーザー側の先生方から、必ず書きたくなる、acknowledgeに入れたくなる、あるいはメソッドとして書きたくなる方法を、何かポイントを教えていただけますと、成果のとり方、あるいは科研費とか、ほかのバンドのときに、評価の際にそういうことを入れていただけないかと。ただ、評価の項目が余り長くなると、申請する方もちょっとうんざりしてしまいますけれども、その辺のいいあんばいのところを教えていただけますと、関係のところで指標がとれるようにするということは、制度的には可能でございます。むしろJSTの実施者側の先生方からの御意見もお伺いしたいところでございます。

【佐藤主査】  JSTから市川先生あたり、どうですか。前回から議論していたのは、評価の仕方で、例えば、経済産業省が投入した額に対して、経済効果でいえば、60兆円ぐらい、70兆円ぐらいの波及効果がありましたという話を出しているでしょう。信憑性はどうこうあるにしても、それをJSTとして、あるいはこのプログラムとして、今後どういう評価をやっていくかという話です。

【市川会長】  そこら辺については、我々の評価委員の方ではほとんどやっていません。あくまでも、例えば、採択するときにはこれが非常におもしろい、将来性もあるよ、ひょっとすると、ニーズも物すごく化ける可能性があるということでとっているだけで、我々のところでは、市場性とか、そういう意味では評価をやっていません。

【尾嶋主査代理】  10年間でどのぐらいお金を投資して、どのぐらい経済効果があったかというデータをとっておられましたよね。

【市川会長】  ええ、あれはただ売上げだけです。だから今、圧倒的に売上げの方が伸びていて。

【尾嶋主査代理】  伸びていますよね。

【市川会長】  だから、あと10年ぐらいたつと、5倍ぐらいの差が出てくるのではないかというぐらい、それは分かるのですけれども、私の評価委員の方では、いわゆる波及効果としての評価というのはやっておりません。だから、多分我々の評価委員でそれをやってくださいと言われても、ちょっと無理な話だと思いますので、そこら辺は例えば、JSTのそういう部署でちゃんと評価をするとかやらないと、本当のことは分からないのではないかと思います。

【佐藤主査】  ちょっといいですか。

【山下調査役】  先端計測の担当の山下と申します。インパクトとかの感じの調査は難しくて、今やっておりませんけれども、具体的には、例えば、追跡調査で、特許はどれだけあるとか、論文が過去どれだけあるかということとしてはやっておりますけれども、どれだけの波及効果が出たかというところまでは、どうやっていいかというのもありまして、できていないというのが現状でございます。

【佐藤主査】  ファンディング・エージェンシーとして考えたときに、投入した額に対して、あるいは投入した資金に対して、それがどういう波及効果をもたらして、どういうふうになって、それが物すごく大きな成果になっている、だから、このファンディングはもっとやりましょうとか、もっと強化しなければいけないという話に多分評価がなっていくはずなので、そこはずっと問われている話なので、前回もそれは課題として、10年の成果をまとめたところ、あと今後何をやっていかなければいけないかというところで挙げてあるので、そこはどういう取組方をして、どういう内容を、それは海外も結構やられているという二瓶先生からの報告も結構ありますので、そういうのを踏まえて、人的な問題もあるかもしれませんけれども、それを考慮して、JSTとしてどういうふうに進められる可能性があるかというのをまずはちょっと検討してほしいのです。それを是非お願いしたいのですけれども、この辺はよろしいですよね。

【渡辺研究開発基盤課長】  ただ、その際に手法から考えましょうというのはなかなか難しくて、確かに特許に引用されている論文を数えるというのはあるのですけれども、それだと波及効果というにはまだ直接的過ぎるのですよね。
それから次に、では、そういう波及効果も含めて考えましょう、サイエンス・ディスカバリーの波及効果というと、政策研究的には、産業連関表とかに行ってしまうのです。これをするとまたちょっと一足飛びに遠くに行き過ぎていて、大きな社会全体から見ればミクロなディスカバリーとか、開発というのがどのぐらい波及しているかということを見たいと、まさにそういうことで、それは、例えば、先端計測機器の一つ一つの技術に注目したときに、何をはかるとそれに近いものが言えるかというのは、是非御示唆を頂きたいところでございます。政策評価手法として、その部分が全然ないというのが正直なところでございます。

【佐藤主査】  先生方から御意見、ございますか。いいですか。どうぞ。

【田中委員】  先ほどから特許とか、論文の話が出てきましたが、自分の経験からして、よく理解しようと思う場合に、例えば、論文の場合は、引用文献があります。その引用文献をたどっていくと、そのまた論文の引用文献がある。そこぐらいまでたどらないと、本当の姿が見えないことになります。
とすると、これはほとんど不可能な話なのですが、例えば、出てきた論文のそのまた手前、あるいは論文で引用されているそのまた後の論文とかという話になってきて、それでやっと全体の像が見えるかとなってしまいます。
そんなことをやっていたら、どれだけ人とお金があっても足らないということになりますので、これからほかの話と併せたことになると思うのですが、せっかくこの先端計測で十何年行ってきた、テーマとしても100件どころではないですね。それを全部やっていたら大変なことになるのですが、例えば、JSTニュースとかでも取り上げられていた先端の話が幾つもありますし、そういうものを、これはまた会社に問合せが戻ってくるだけなのかもしれないのですが、具体的な例、もう既に報道されているものもありますし、それ以外のものでも、例えば、これは広がりがありそうだなというものを掘り返してみると、実際に開発した担当者さえ思いもよらないところに使われていたり、それが何億円だという話は、もちろん数値としては出てくるかもしれないですが、これまでやられた方、あるいはこれから何かこういう先端計測的な、この予算、枠組みだけに捉われず、何かやろうと思ったときに、具体的に何かイメージできるような例があればいいと思いますし、具体的にはJSTニュースを挙げましたが、そういったことを調査してみると。
今100件以上ある話の中で出てくるもの、まだ私も全然カバーできていませんが、言葉としては一番分かりやすい言葉だと思うのですが、そういうものの棚卸し的なものをやってみると、取り組まれた方々のやりがいにもなると思いますし、では次に何をテーマに選べばいいかということを、担当者だけでなく、応募する人も理解できる、一つで幾つもおいしいというようなことができればいいのかなということで、何かそういうのに取り組めたらいいのかなという、それが今思いついた1つのやり方かなと思います。

【佐藤主査】  この件に関して、ほかはよろしいですか。どうぞ。

【林開発主監】  新製品が出たときに、企業に問い合わせて、100%回答が得られているかどうかという問題があると思うのです。それがフォローできていなくても、分かっているものだけであれぐらいの、この前出したぐらいの寄与があるということなのです。ですから、それをきちっとフォローできるように、申請段階からそういう約束事みたいなことができるかどうかですね。後々お聞きしますよ、ただ、名前は出さずに規模だけを教えてくださいという形で、嫌がられずにどこまでできるかというのは1つありますね。
それから、それで今の捉えている規模よりも何割か、あるいは何倍かの売上げの規模があるはずです。それに加えて、この機器開発によって新事業が生まれたというものもあるのですけれども、新事業に対して、分析機器が何割ぐらいの貢献をしたかという話になると、何か絵そらごとになって、こちらは大きな数字を幾らでも出せるのですけれども、出してもなかなか信用してもらえない。その辺をどうしたらいいか、皆さん方、是非お知恵を頂いて、これだけの大きな基盤技術というのは意味があるということをアピールできればと思っております。

【佐藤主査】  評価自身は、具体的に何をもってどう評価するのかというのは難しいのですけれども、私がコメントすると、経済産業省のNEDOの最終評価のところに、追跡調査を含めて、いろいろなプロジェクトがあって、それに対する成果、それから3年、5年、長いものでは10年追跡してどうなっているという状況を押さえて、毎回必ず報告があるのです。
それがある程度リーズナブルな形で、ああ、そういう観点でそういう評価をして、そういう値が出てきたというのはある程度分かるので、産業連関表も含めて、太陽電池とか何かの話も結構出てくるのですけれども、それがどこまで信頼度を持っているかは別にしても、そういう評価でこういう形になりますというのはあるので、評価する、あるいは国民に対する説明責任という意味では、しっかりやろうという姿勢が見えるのです。その辺がある程度要るのではないかと思うものだから。

【林開発主監】  おっしゃるとおりだと思います。ただ、NEDOの場合は、産業界とかなり近い関係で、テーマそのものが関連して求めやすい状況になっていると思うのですけれども、文部科学省系のテーマというのは基礎的な部分があって、発展した後の話を最初のときに求める、そういうことはなかなか難しいところがあって、その辺をどうするかというのはちょっと工夫が要るのではないかと思います。

【佐藤主査】  誰か評価方法を研究してくれる人はいませんかね。こういう波及効果はすごく大きいと思うのですけれども、これを長らく論議しても多分無理だと思うので、これはこのぐらいにして、今後の課題ということでよろしいですか。

(「はい」という者あり)

【佐藤主査】  ほかに御意見等がございましたら、はい、どうぞ。

【藤本委員】  1点確認したいのですけれども、前回のお話合いのときに、ニーズの話で、研究現場のニーズなのか、単なる計測のニーズなのかという議論があったと私は記憶しているのですけれども、今回の資料を見ると、また計測現場のニーズという形になっているのは、いろいろと言い訳を考えた結果、こういう形に落ちついているということでよろしいのでしょうかという確認が1点。
そのときに、2ページ目の戦略的技術開発型の2番目のポツで、未開拓で一定規模の大きさが見込める、この大きさというのは市場のことかなとは思うのですけれども、これは研究開発で使われる市場をあらわしている言葉なのでしょうかという確認です。

【渡辺研究開発基盤課長】  そのような御理解でよろしいかと思います。研究現場は、アカデミアだけではなくて、いろいろな人が使う場なので、ユーザーがいる場と広く捉えていただければよろしいかと思います。
それから、一定の規模の大きさとしているのは、そうはいっても研究の場ですから、パソコンとかプリンターみたいな市場規模ではないというのは言わずもがなでございますが、いろいろな意味で、リプレースしていく余地のあるものと捉えていただければと思います。

【藤本委員】  ありがとうございます。

【佐藤主査】  どうぞ。

【森川委員】  この委員会のミッションを考えると、現場のニーズを満たすということが大事だと思うのですけれども、そのニーズを考えるときに、今年の科学技術白書でちょっと気になる表現があったのは、国際的な研究ネットワークの中核から外れているという御指摘があって、ニーズというものを国内の研究現場だけなのか、広く海外まで含めた範疇で考えるのか、そこら辺をどう考えるか。これは今後領域を絞っていくときの一つの見方として御検討いただきたいと思います。
それでかつてはCRDSの技術の俯瞰図みたいなものを、例えば、NISTの調査レポートも含めて、この委員会では年に1回ぐらいは、3年に1回ぐらいですね、御報告いただいたのですけれども、そういう世界的なトレンドというか、世界的なニーズの把握、それから、ライバルがどの程度まで市場規模を見ているのかとか、そういうこともある程度参考にして絞り込んでいくということもよろしいのではないかと思います。

【渡辺研究開発基盤課長】  おっしゃるように、世界的なトレンドと、本当にそのニーズがどこにあるかという全体像を見ながら、個々の技術について言及できるというのは理想でございます。
少なくともライフ関係の分野に関しては、今御指摘のようなCRDSの俯瞰報告書というのが実は今ありますので、次回にでも、今の技術的な動向と併せて報告できるような場を、実際の作業状況にもよるのであれなのですが、そういう場を設けたいと思いますが、計測機器ということに関しては、数年前にそういう技術レポートが出されてから、実はその続きがないのです。その間に先端計測という意味で見ると、光学顕微鏡なんかはどんどん先に進んでいったり、それから、文部科学省の事業としてサポートしてきましたけれども、島津製作所のiMScopeとか、形態情報に質量分析情報が加わるみたいな新しいものも出てきているので、今何ができるようになってきたかというところが、また少し俯瞰的に見られない、御提示できないという状況であるというのは、私どもも重々認識しておりまして、そのあたりを何らかの形でお示ししながら、その最先端をやるというよりは、その先のサイエンスのニーズ、先端計測でこれは次、行けるかなというのは、とりたいのはむしろそっちだと思っておりますので、それは少し深いというか、少し先取りした議論ができるようなものを御提示したいと思っております。今のは御要望として承りました。

【佐藤主査】  よろしいですか。

【中川研究開発基盤課課長補佐】  あとNISTについては、前に一度佐藤先生から、是非調べたらどうだとおっしゃっていただいたのもありまして、今までCRDSの方で計測のチームがあったので、割とタイムリーにいろいろ情報提供を頂いていたのですけれども、今そのチームは解散して、ないので、またJSTとも相談しながら、我々はそういった海外のところは大事だと思っているので、きちんとフォローはしようと思っています。いずれ委員会でも御紹介できればと思います。

【佐藤主査】  よろしいですか、NISTに関しては、向こうにあれがない、文部科学省系はない。

【中川研究開発基盤課課長補佐】  直接はパイプを持っていない、私も聞いたことはないのですが、アメリカの大使館に文部科学省からもアタッシェが行っていますので、そこら辺のつてをたどるとか、NISTの評価なんかは公表されているドキュメントも多いですし、日本の評価の研究者で、それを分析している人もいるので、私はそのあたりは当たろうかなと思っていたのですが、手が回っておらず、すみません。

【佐藤主査】  分かりました。ほかによろしいですか。
では、戦略的技術開発型というところに関しては、今まだ検討している最中なので、皆さんにこういうことが問題で、こういう方向でやっていかなければいけないのではないかということを提示できる段階にないので、申し訳ないのですけれども、次回ぐらいにはそれを提示して、議論していただきたいと考えております。
では、この件についてはよろしいですか。方向性という意味では、こういう方向でやりますということで、よろしいでしょうか。
では、引き続きまして、資料2の議論に入っていきたいと思います。事務局から説明をお願いします。

中川研究開発基盤課課長補佐より、資料2に基づき説明があった。

【佐藤主査】  ありがとうございました。他事業との連携、先端計測で開発されたものが、相乗効果としてほかでいろいろ使われてきているということは、是非やってほしいわけで、それで効果がたくさん出てくる。さっきの波及効果ではないですけれども、研究においても波及効果が出てくるというようなことが出れば、事業としてはすごくいいと思いますので、是非こういうのを展開していただきたいのですけれども、皆さんの方から何か、御質問等、はい、どうぞ。

【市川会長】  ちょっと追加情報なのでが、今、柴田先生の機器開発の事例がありましたけれども、現在磁性材料に適用するということで、無磁場でこの分解の手法を使って、磁性材料というのはレンズの磁場がかかると問題なので、それがない状況で、同じようなことをやるというのを今、機器開発で進行中ですので、つながっています。さきがけで終わっているわけではなくて、機器開発で現在、平成26年度に採択されていまして、それをやっておりますので、そこら辺の情報もここに非常に役立っているということ、機器開発がちゃんとそこでフォローしながら進んでいるということをちょっとお知らせしたいと思います。

【佐藤主査】  この資料の中にちゃんと入っていなければいけないということですね。

【市川会長】  そうです。本当は入っていなければいけないです。

【佐藤主査】  ありがとうございます。ほかに何かありますか。どうぞ。

【菅野委員】  確かにこれは非常に大切で、僕はいろいろなことをやらされているのですけれども、実はCRESTの主査もやっていまして、実はおととい、瀬藤さんとも一緒に採択課題の審査をしてきたのですけれども、2人で、これは先端計測の方でやったらいいのにねと。実はこれはCRESTやさきがけで採択されたから表に出ているという面があって、CRESTもさきがけもそれ自身のミッションがあるので、先端計測機器みたいなので見ると意外とフィットしているものも、CREST、さきがけで見ると、目的がちょっと違うだろうということで、非常に狭き門なので、不採択になりやすい。そういう意味では、セカンドコンバート方式みたいなものがあってもいいのかなという気はすごくしました。
実は、論文を投稿すると、rejectと返ってくるのですけれども、うちの社が出しているこっちの雑誌に投稿してみたらというコメントがついて返ってくることがしばしばあります。ひょっとすると、そういうことがあってもいいかもしれないなという気は少ししました。これに関係して、ちょっと感想です。

【佐藤主査】  セカンドコンバート方式というのは、審査する先生の意向で、こっちで出してみたらということぐらいしかやっていないということ、今のほかのところに出してみたらというコメント。

【菅野委員】  論文の方は、エディターから来ます。例えば、ネイチャーに出しますと、今はネイチャーという雑誌もありますけれども、ネイチャー・ジェネティックスとか、ネイチャー・ナノテクノロジーとか、ネイチャー・バイオテクノロジーとか、ネイチャーの中に聞いたこともないようなまであるのです。
そうすると、ネイチャーに出すと、あなたはネイチャー・ナノテクノロジーに出したらどうですかというのが、その場合にはレビュアーのコメントもそのまま送りますということまで言ってくれるエディターがいます。

【佐藤主査】  そういうことはあり得るの。今のETAROでしたっけ、CRESTでしたっけ、やった内容を先端計測に出してみたらということは今はやっていないわけでしょう。

【菅野委員】  もちろんやっていません。

【渡辺研究開発基盤課長】  それは審査のときに、審査の先生方にもうちょっとロードをかけてしまうことになるので、若干気が引ける部分もあります。ただ、実際に審査をしている場で、この課題はむしろこっちでしょうというような御意見が出ることはありますし、例えば、そのときにシステムとして、要するに、それが不採択理由になったりもします。余りにも基礎的過ぎるから、お金が欲しいのは分かるけれども、事業スペックに合っていないというコメントが出ることもあります。それはむしろこちらの事業で申請してはどうかということを回付しますということと併せて、JSTの中であれば、科研費とのやりとりは、超えるのでなかなか難しいところもあると思いますけれども、JSTの事業の中でそういうコメントがついたものに関しては、審査の主査をされていた方からまとめてそちらの事業担当の主査にも送るということは可能かと思います。
ただ、そのときに、手続的に次に公募に公募してくれなければいけないというのがありますから、手元に来たリストをどう活用するのかというのはちょっとあるのですけれども、システムとしてそういうことが機能すればいいなというのは、私も賛同なのですけれども、あとはそれがどのぐらい先生方の負荷になるのかというところは、よく分かりません。

【佐藤主査】  どうですか、市川さん。

【市川会長】  逆にCRESTにも出して、先端計測にも出す先生がいます、2つとも。そのときにJSTから情報をもらって、こっちでとったら、こちらはやめるという形にしますので、できればその先生がどうしても予算をとりたければ、パラレルで出してくださって、どっちか通ったら、どっちか駄目だとしてくださった方が、やる方としては非常に楽です。
だから、むしろ応募者がそれなりの努力をしてくだされば、特に大きなもの、JSTの中で情報のやりとりをしますので、それは我々もやっています。CRESTが通ったら、こっちはやめるという話をしますので。
そうしてくださらないと、時期的にも大変なことになります。ここまでに全部評価しなければいけないのに、突然これをやめると来たら、もうむちゃくちゃな評価ですよね、とんでもない時間と、うまくいかなくなってしまいますので、それは申請者の努力というか、予算をとる熱意に依存するのではないかと思うのです。

【佐藤主査】  分かりました。すごくいいものがあって、これは通したいというのは、惜しいのがたくさんある。だけれども、採択率は限られているから、そういう意味で、いろいろな救える手を、ほかに対する応募をしてくださいということも含めてやるといいかもしれないですね。
ほかにございませんか。

【尾嶋主査代理】  ほかでの活用事例とか、こういうふうに発展していったというのは幾つか出ていますが、これはJSTの中ですよね。例えば、NEDOのプロジェクトとしてより実用に近いものが新たに生まれたというケースはないのでしょうか。
と言いますのは、大学から見たら、どっちに出そうかと思ったら、例えば、まず基礎的なのはCRESTに出して、ある程度産業界とのコネクションもできて、全体のストーリーができたらNEDOに出そうか、という形で考えます。場合によっては同じテーマを出すかもしれませんけれども。
そういう点では、先ほどの1ページ目に、我が国の産業競争力を強化と書いてありますけれども、文部科学省系の技術のビルドアップというか構築が、マーケットにまでつながるかどうかというのは、経済産業省的な観点、つまり産業界とより密着したところに波及しているかどうか、を調べるのも重要ではないかと思います。例は余りたくさんないかもしれませんけれども、NEDOへの波及という形での調査もやっていただければいいかなと思っていますが、いかがでしょう。

【佐藤主査】  どうですか。

【渡辺研究開発基盤課長】  その点につきましては、若干微妙な部分もあるのですけれども、まさに、AMEDがその試金石になっていまして、実は、AMEDのもともと先端計測のライフ部分というのが移ったところは、産業連携部というところです。佐藤先生がおっしゃったように、そこには今、AMEDのプロパーの人はそもそもいないわけですから、経済産業省のヘルスケア産業課長をしていた人が行っています。その人ともよく話すのですけれども、文部科学省から行きました、それから、経済産業省、要するに、NEDOプロからお金も引き出されているわけですね。あと医工連携の未来医療とかいろいろあるわけです。
それでぱっと見てみると、同じ人の名前の組合せが多いというのが第一印象です。というのは、よく捉えれば、先生がおっしゃったように、そもそも要素技術開発をしたのです。その次のフェーズに、今度は産業界の方が申請者になってNEDOのお金として、そうするともう出口ですから、製品化というところまでいっている事例というのが、非常にいい例としても見受けられる。
他方、今まで、AMEDができて一気通貫で、みんなでプロジェクトをちゃんとマネジメントしましょうという言葉の裏側には、ばらばらでやっていたから、何となく重複的にとっていたのも多いというのも、それがいいものなのか悪いものなのかというのは、まだ精細には見ていないので、その評価を今はしないことにしても、いろいろなプレーヤーがいるというよりは、文部科学省、NEDOのお金、あとは厚生労働省です。厚生労働省は薬事的な視点が入ってくるので、また別物ですけれども、プレーヤーの組合せはそんなに変わらないなというのが印象です。
AMEDになったことの一つのよさというのは、道筋がついたものについては、1つのプロジェクトは3年です、3年です、3年ですと、あとまた必死で次のAMEDではないけれど、経済産業省に行って、事業説明をしてとか、物すごく汗をかかなければいけないのが、3年でここまでできました、いや、でも、物によっては2年でいいので、次、ゲートウェイ方式で評価をした上で、これは早めに産業化の次のプログラムに乗せましょうという判断もしやすいわけなのです。
なので、それが非常にうまく機能するのであれば、分野的に全部そういうやり方というよりは、NEDOとJSTのこういった先端的な技術の部門の人たちがもう少し情報交換をし合って、加速プログラムみたいなことができたり、最適な組合せができたりということを考える。出口に近づけるという意味ではそうなのですけれども、最初の非常に基礎的な部分というのは、厚みがあって、いろいろな組合せがあるというのもなかなか捨て難いところがあると思いますので、何が最適なのかというところは、まさにAMED試金石で、いい組合せがまさにこれだったというのが、少し経験を積んで、経験知が高まってくるといいのではないかと、AMEDの部長とはそんな話をしております。

【佐藤主査】  もともとの先端計測事業は、A-STEPとか次の実用化まで見通したものを結構やっていたわけだから、そういう意味では、なるべく基礎から応用までカバーするというのは結構いいプログラムでやってきたはずですよね。そういう意味で、よかったと思うのですけれども、そういう統計は余りないかな。

【山下調査役】  それはないです。

【佐藤主査】  ないですね。

【中川研究開発基盤課課長補佐】  1点補足しますと、今JSTは法人としての評価をちょうどやっているところなのですけれども、そこでの自己評価で、以降、ページで挙げられているのが、これはNEDOではないのですけれども、先端技術での成果が、今度は自治体の公募事業みたいな形で、自治体での実証実験をやったという例があります。川崎市でやったPM2.5なんかを観測する装置を、開発は富士電機だったと思うのですけれども、そういった意味での連携というのは、それは今年の評価の自己アピールで書いていたものがありました。そういった例がございます。

【佐藤主査】  逆に言うと、ERATOとかCRESTとかさきがけ、要するに、このぐらいしかないの。もっとあるのでは、もっとあってもよさそうな気もするのだけれども。

【渡辺研究開発基盤課長】  もちろん活用されているものとしてはもっとあると思いますが。

【佐藤主査】  ねえ、今回代表例を挙げたということですね。

【渡辺研究開発基盤課長】  はい。

【中川研究開発基盤課課長補佐】  そこまで掘り下げてやれなかったので、事例的に顕著なものを拾ってきたので、網羅的なものまでやるかどうかはまた相談して、考えたいと思います。

【佐藤主査】  そうですね。成果としてはどのぐらいの数、活用・展開されたかというのは要ると思うので、やっておいてもらった方がいいかもしれないですね。
ほかにございませんか。瀬藤先生、アピールも含めて何か。

【瀬藤委員】  今のほかの研究に発展したということもいいのですけれども、結局それでいろいろな成果が出たと。国民に還元されたところというのは、予算が取れたところではなくて、その成果が出たというところだと思いますので、ERATOやさきがけやCRESTでいろいろな成果が出ました、それをたどっていくと源流はこういうところにありますという、多分そこまで言って、一つ終わる説明かと思いますので、NEDOとかは微妙だと思うのですけれども、科研費とかは多分いっぱいあっていいのではないかと思うのですけれども。

【渡辺研究開発基盤課長】  今の御指摘のところに関しては、今、リサーチマップとかいろいろございますね。科研費は一応情報のデータ化がすごく進んでいるので、国の関係者ではなくて、完全な第三者の興味を持った方が、日本の研究ドットコムというページを作っています。それを見ると、この先生が科研費の若手から何とかからSを取って、何年でこんなお金を取ってきましたというのが見られる。それを見ると、そうか、この先生の研究はこういうふうに進んできたのかというのが見えます。
ところが、データとして充実しているのは、科研費が中心なものですから、今はまだそこまでしか見えないのですけれども、そのデータが可視化されることで、実はその先生の努力の跡というか、苦労の跡というか、成果が出るまでに科研費の意味づけもよく分かってくるし、では、ここで大きなJSTのファンドが入ったからとか、ImPCTが入ったから、一気に進んだのだというのが見えてくるのだなと、自分の勉強のためにそういうページを時々見ておりますが、そういうものが可視化されることで、それも政策研究の一環だと思うのですけれども、それぞれのファンドの持つ意味合いとか、それがまた分野ごとにちゃんと分析されるようになれば、若手の方には何が必要だとか、どれぐらいのファンドの規模が必要だとか、いろいろなことがもう少しscientificにエビデンスベースで見られるようになるかなと思っていますが、今はまだお一人に着目して事例で追っていくという、ちょっと手作業でしか進んでいないのが実態ですが、少し見えるようになってきました。

【佐藤主査】  そういう手法を文部科学省も取り入れて、まとめるということはやれないですかね。

【渡辺研究開発基盤課長】  一応政策のための科学というところで、何とかできるようにしようと、データ化をしていこうということは進んでいるということで、まだ完成していません。

【佐藤主査】  ほかにございませんか。今日初めていらっしゃった金澤委員、何が何やら分からないかもしれませんけれども、何かコメント等がありましたら。

【金澤委員】  ありがとうございます。今伺っていて、我々医療系の分野では瀬藤先生なんかは、ここに書いてある以上の成果は見えていると私は思いますので、もう少しお調べになって広報していくと、この開発プログラムの意義がもっと国民にも分かるような形で出せると思いました。
それは多分機器メーカーの御協力もあって、学会等でもかなり広報活動もされていて、私は分析化学会とか、薬学会に所属しておりますけれども、そういうところで大学の教員だけではなくて、参加している学生レベル、参加している皆さんにかなり広報が行き渡っていますので、それがこの開発プログラムの意義だということが国民の方によく分かるような広報活動をされていくとよろしいのではないかと思いました。
また、先ほどこの開発プログラムに応募する側のところで、CRESTに応募してしまって、こちらに応募しないとかというところは、私も大学の教員で、こういうところに実際応募している側としても、そこのすみ分けが少し、特にAMEDが入ってきたことで、私は分析屋ですけれども、応用研究でもあるので、非常に迷うところでもあります。
ですから、今年はしようがないと思うのですけれども、今ここで御議論いただいたことは、私はここに参加させていただいたおかげで、非常によく分かりましたけれども、今のようなお話を今後もう少し広く、もちろんこれはホームページとかで公開されると思いますので、そこを研究者が見るように私も学会等で広報したいと思いますけれども、そういう広報の努力を少しされると、またここにトライしようという人も増えるのではないかと思いました。

【佐藤主査】  それはどういう意味で迷われたのですか。応募するときにAMEDとCRESTと何とかってありますよね。そういうことに対して、応募する側は、最初はどれかを選択してやろうとしますね。それで迷われて、結果的にこうなりましたというのは、どういう過程を踏んでいますか。

【金澤委員】  CRESTに応募するに当たっては、テーマがございますので、そこにマッチングしないと、もちろん応募できないということもあります。例えば、JSTの先端計測なのか、AMEDの先端計測なのかというところも、薬学系ですと、どちらなのかというところが、もしかしたら、伺えばよかったのかなとも思いますけれども、そういうところも迷うところではございます。

【佐藤主査】  個別に聞いていくと、今、大学の先生はAMEDに出すか、先端計測に出すか、何に出すかとすごく迷っている節がすごくあります。だからその辺を、さっきみたいに全部に出してもらえばと指導するのがいいのか、これは非常に迷うところだなと僕は思ったものだから、質問したのですけれども、そこが結構難しいのですね。宣伝の仕方をちょっと考えないと難しいのかな。
JSTから見たらどうですか。

【森本産学連携展開部長】  先端計測の広報につきましては、例えば、AMEDとJSTで一緒に説明会の場に同席して、それぞれにどういう特徴ですとか、どういうところが中心ですということを説明会ではやる。こういった努力をしてきました。それなりに多くの方には御理解いただけたと思います。
ただ、説明会で直にお話しできる方というのは、そんな全国ではなかなか難しいので、こういったことは少しまめにやっていきますし、今年AMEDとJSTのすみ分けはどうなのですかという質問をたくさん頂きました。そういうものは、今後はホームページにちゃんと整理して載せるという努力はしていこうと思っております。

【佐藤主査】  是非よろしくお願いします。
ほかにございませんか。坂本委員、ソフトの話は余りないのですけれども、ハードと同時にソフトはすごく重要なはずで、何かコメント等がありましたら、今後の展開も含めて。

【坂本委員】  まだ2回目なのでよく理解できていないところもあるのですけれども、いわゆるシステム化のようなものは、ここでは取り上げていただけないのかというのは、ちょっと感じました。機器単独しか対象にされていないのか、それを複数使って、システム化して、さらにそういうことをやりたいという場合には、こちらは対象にならないのかというのを、お話をお伺いして、ちょっと感じました。

【渡辺研究開発基盤課長】  それは、委員長としてどのように取り上げていくかということにもよるので、皆様で御議論いただければよろしいのですが、基本的にはシステム化というのは、新しいものをはかったり、新しい産業にどういう影響を及ぼすか、それがどのぐらい単独の技術を超えるものであるのかというところにもよってくると思うので、要は、何をどうシステム化することなのかということで、場合はよっては、当然こちらで取り上げていただく重点化の中に入っていくということになり得ると思っておりますが、いかがでしょうか。

【佐藤主査】  要素技術と先端機器開発と両方あるので、当然機器開発という範疇になると、システム的に考えなければ無理ですよね。ここだけの要素というのもあるのかもしれないけれども、要素技術だって、ある部分を含めて、システムとして考えないと無理かもしれないので、その内容によるのだと思います。

【菅野委員】  この間のノーベル賞は、超解像というのがとって、これは日本では全く、少なくとも僕は何も知らなかったので、超解像って一体何だという感じで、こう言っては悪いのですけれども、これはこの委員会の委員としてはちょっと恥ずかしい感じだったと思います。
超解像がノーベル賞をとってみると、実は、これは意外と日本人が得意な分野なのです。今回CRESTの1細胞の解析のところに、超解像風の提案がいっぱい来る、ですので、非常におもしろかったのですが、超解像のポイントは意外と情報を使うということです。つまり、10万枚ぐらい写真を撮って、それで各基点を合わせると超解像になる。だから、多分計測機器プラス情報処理みたいな合わせわざで超解像というところ。
だから、今御指摘のあったソフトウエアの部分というのは、そういう形で、システム化というとちょっとばらばらのものを合わせるという感じがしますけれども、最初からべたっと一緒のアプリケーション、あれもそうですね、今、電顕で1分子を結晶化せずに構造解析する。これも多分ノーベル賞的なものだと思いますけれども、あれも写真を、単粒子の分子を100万枚ぐらい撮って、その中からいいものだけ10万個選んで合成して、レゾリューションが原子のレベル、機器も非常にいいものを開発するけれども、情報処理のところも非常に凝っていて、このプログラムでなければ駄目だみたいなところがありますので、こうして見ると、ソフトウエアもかなり大切かなという気はします。

【佐藤主査】  だから、内容にすごく依存すると思うので、当然システム的に考えないとできないものもあるから、それをどんどん取り上げましょうというのはいいと思う。ソフトウエアも重要だということで、前から取り上げているぐらいですから。

【坂本委員】  そうなのですが、お話をお伺いしていると、最初の方のさらに新しいサイエンスという方がすごく重視されていて、市場を作る方の話がちょっと少なくなってしまっているのかというのを感じたものですから、こちらをもしやるのであれば、多分単独の機器ではなくて、広い意味での社会システムのところまで考えなければいけないのかもしれないですけれども、そういうところを発想していかないと厳しいのではないかと思ったので、先ほどの発言になったのですが。

【佐藤主査】  課長、どうですか。

【渡辺研究開発基盤課長】  社会システムというのは、市場を考えるときにとても大事で、例えば、今もう既にAMEDの方に移管した事業で、MSを使って、がんの検診に使えるようなものを見付けていきましょうということになるわけです。それは技術的にどんなにすぐれて、そこは間違いなくすぐれているので、採択になっているところの技術的なポイントを見れば、それはよく分かるのですけれども、それが社会に浸透していくには、健康診断のシステムを変えるか、システムに合うように作らなければいけないわけですよね、コスト的な部分も含めて。
まずは技術として開発してみましょうという段階は、やっぱり要素技術としてはあると思うのですけれども、おっしゃるように、出口を考えていったときに、社会システムにどういうふうに組み込むのかということを考えるのは非常に大事になってきて、それを採択のときにどのぐらいまで考えましょうかというところが、非常に大事になってくると思っております。

【佐藤主査】  だから、そこがさっきのシーズとニーズのすみ分けにもなるのですけれども、とにかく国際競争力がなかなかつかない、ついていないといういろいろな反省があるものだから、そこまで踏み込んで、基礎研究なのだけれども、そこまで考えることは幾らでもできるので、そういうのを組み込んで、入れて、そういう効果をもたらす可能性があるという提案をどんどんしてもらった方が多分いいのだろうと思います。
あと機器開発だと、システムになるので、システムとしてどう捉えて提案するかというのは是非やってもらいたいなという気がします。

【田中委員】  余りにも具体的で、考えがそこから発展できないかもしれないのですが、ソフトの開発という話に関して、ここで要素技術というと、どうしてもハードを頭に思い浮かべるのですが、もちろんソフトでも要素になるものはたくさんあると思います。
この前、学会で、ああ、これは役に立ちそうだなと思ったのは、これは質量分析の話ですが、ある化合物を測りたいときに、どういう前処理をすればいいかということは、ある程度シミュレーションでできるようになってくる。それをするためには、もちろんソフトが必要である。そのソフトがなぜ重要かといいますと、例えば、製薬メーカーなどは自分の測りたいものは外に話したくない。でも、そのソフトを使うと指導してくれる。それが結果的にシステムの非常に重要な、最終的にシステムとして成り立つようなものになりますので、ある意味、具体的過ぎるかもしれませんが、そう考えると、特に日本は、ハードはいいけれども、ソフトがそろっていないために、例えば、キットとして全部合わせたときに、欧米に負けてしまうというところもありますから、そういったところを、日本で実際にそういう開発も行われていますので、もっと頑張っていただければ、うれしいなと思います。

【佐藤主査】  よろしいでしょうか。
あとは中村委員、何かコメントがございましたら。

【中村委員】  先ほど一番初めの話で、波及効果のestimationが非常に難しいという話をお伺いしました。後半の話で、他事業との連携ということで、いろいろ拝見していますと、一番上のはCRESTで活用するという話が出てきていますが、波及効果として、ある意味、若手の育成、人の育成といったところも含めて考えますと、結構なものがあるのではないでしょうか。CRESTで先生方の学生の研究対象として使わせるとか、単にその機器を使わせるというだけではなくて、分野が広がっていくといった意味で展開していく。そういう少し広い目で見ますと、波及効果に対して違う世界が見えてくる可能性があるのかなと感じました。
以上です。

【佐藤主査】  ありがとうございます。
大堀委員、何かコメントがございましたら。

【大堀委員】  ユーザーのニーズを把握するとか、ユーザーの評価を得るということで、プラットフォームとかも提案されていますが、先端計測の意義、評価として、若干まだ先端計測に応募する側の立場の評価になっているようなところがあると思うのです。最終的にユーザーに対してどういう評価をされているかということをもっと拾い出すような仕組みみたいなものが考えられないか。
理想的なのは、将来のユーザーが先行投資して、一緒にユーザーとして参加できることをもっと活性化させるということですか、そういうことをやっていけるといいなと。特に波及効果ということで、産業競争力の強化ということなのですけれども、企業がこれにちょっと投資してみようかということをもう少し考えられるといいかなと思っております。

【佐藤主査】  その辺は結構やられているような気がするのですけれども、課長、どうですか。

【渡辺研究開発基盤課長】  その点はまさに御指摘のとおりで、先端計測機器なので、使うところは先端の場なのです、研究というか、いろいろな開発の場、もちろん企業であっても。それなので、プラットフォームの中に先端計測機器事業というものをうまくなじませたいというのがまさにそこでございます。
プラットフォームというのは、ワンストップサービスで皆さんの利便性を上げるということも1つですが、産業界を含めて、いろいろなユーザーを増やしていく。プラットフォームは、3割ぐらいは民間ユーザーになってくださっているという実績もありまして、そういうところにお試しの課題とか、新しく開発したものを一番初めに入れる場にして、そのときにこれだとちょっと違うとか、これだったら、海外製品の方がいいとか、そういう声も含めて、しっかり吸い上げられるようにしていくというのを、今後重点的に持っていきたいと。
ただ、プラットフォーム自体がまだそんなにたくさん形成されていないので、どこでもできる、どんな計測ニーズでもできるということではないのですが、プラットフォームとの連携強化は、まさに今御指摘のようなことを実現していく場にしていきたいと思っています。

【大堀委員】  分かりました。

【佐藤主査】  よろしいですか。

【大堀委員】  はい。

【佐藤主査】  今の観点でいうと、ユーザーというのが、産業競争力を強化するという意味でのユーザーに本当になっていますかということもあります。だから、世界的な競争力という考え方をすると、グローバルなユーザーは何を求めているのというのをもっと求めていかないと、それに対応した先端計測機器のスペックとは何なのかというのをつかまえてやっていかないと、多分本当の意味での国際競争力はなかなかつかないなという気はするので、今回いろいろ改革していこうという話は、まさにその辺にあるので、国内のユーザーのニーズというのは本当に何なのかという話と、国際的なユーザーは何を求めているのかというのを両方求められるような仕組みはどうやってやればできるのだろうというのをもうちょっと考えなければいけないなとは思っています。その辺を是非委員の皆さんと一緒に詰めていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
ほかにございませんか。どうぞ。

【杉山委員】  今の最後のお話を伺っていて、これは概算要求を考えていく上で、どんなところが新しいのかという観点を少し考えていたました。今最後に少し議論になったように、日本が世界を含めて進んでいる領域の一つである情報処理技術やITとか、そういうことを計測技術に取り組むことによって、新しいものができていくということは多分共有できていると思うのです。
そういう意味で、戦略的技術開発型のワードに関する点ですが、いろいろな情報処理は全部要素技術・システム、それから、計測技術・システムということで、システムという言葉が入っていますので、そこに取り組まれているのかなと最初は考えていたのですけれども、今議論を聞いていると、それだけでは情報処理技術ということがなかなか見えてこないという側面があると感じました。
その上で、最後に見ていきますと、市場や価値の変革を生み出すことが可能な新技術とあり、この新技術というワードはいろいろな意味合いを含んでいると感じます。このときに「これがどういうことによって」というワードが入っていないので、ここに情報処理技術を使ってとか、今のITの進化を使ってとか、ビッグデータみたいな観点もあるだろうし、「何を使って」というワードをもう一つ組み込ませて、市場や価値の変革を生み出すとしてはどうでしょうか。そうしますと随分幅が広がって、新しい先端計測を作っていくという意味合いが増えるのではないかと思いまして、提案いたします。

【佐藤主査】  すばらしい指摘をありがとうございます。確かにそういうのを中に盛り込むといいかもしれないですね。その辺は事務局側で検討してもらうことにします。
では、そろそろ時間になりましたので、今日の議題については、全て行われたということで、今、最後にちょっと言いましたけれども、この先端計測機器事業というのは、非常に厳しい状況であるということはもう間違いないので、どうやって科学技術イノベーションに貢献していくかということも含めて、事業として大きく発展させたいという思いがありますので、ほかでいろいろな活用をしている例とか、応用展開とかということも含めて、この事業の波及効果も含めて、どんどん展開をしていきたいと考えていますので、御協力を是非よろしくお願いします。
では、最後に事務局から今後のことについて、何かありましたら。

中川研究開発基盤課課長補佐より、今後のスケジュールの確認があった。

【佐藤主査】  それでは、以上をもちまして、終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

── 了 ──


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