大強度陽子加速器施設評価作業部会(第4回) 議事録

1.日時

平成24年5月14日(月曜日)15時00分~17時30分

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.議題

  1. 前回の議論等について
  2. 今後の計画について
  3. 報告書(素案)について
  4. その他

4.出席者

委員

福山主査、相原委員、梶田委員、金谷委員、金子委員、熊谷委員、小森委員、田村委員、鳥養委員、西島委員、山縣委員、横山委員

文部科学省

柿田基盤研究課長、原量子放射線研究推進室長、藤澤加速器科学専門官、髙橋学術機関課学術研究調整官、阿部量子放射線研究推進室室長補佐、黒沢原子力課行政調査員

オブザーバー

永宮J-PARCセンター長、池田J-PARC副センター長、三浦J-PARC副センター長

5.議事録

【福山主査】

 定刻となりましたので、第4回の評価作業部会を開催させていただきます。本日御都合により、長我部先生が御欠席でございます。それでは、事務局から、配付資料の確認をお願いいたします。

【阿部補佐】

 配付資料の確認をさせていただきます。議事次第にありますとおり、配付資料としましては、資料1-1から1-3、資料2、資料3。それから参考資料として、1から4。そして、机上資料が一つ。それから議事次第に書いてございませんけれども、机上資料としまして、研究開発課題の中間評価結果という様式、御参考資料としまして「戦略分野5」と書かれている論文がお手元にあるかと思います。全部で12種類あるかと思いますけれども、お手元にございますでしょうか。

 それから、鳥養先生が30分程遅れるという御連絡がありましたので御了承ください。岡田先生も若干遅れているようですが、多分そろそろ御到着されるかと思います。以上です。

【福山主査】

 どうもありがとうございました。それでは、これより議事に入ります。まず、前回の議論等について、事務局から資料1-1から1-3までと参考資料をもとに御説明をお願いします。

【阿部補佐】

 それでは、資料1-1を御覧ください。これまでの議論の概要をまとめております。まず、1枚めくっていただきまして、2ページ目の下の方でございますけれども、「中間評価における指摘事項について」という項目の中で、研究コミュニティの規模等々につきまして、参考資料か何か出してくれないかという御要望がございました。それに関しまして、J-PARCセンターで御作成いただいた資料が参考資料1となっております。各研究コミュニティの規模、活動状況、成果ということで、ハドロン、ニュートリノ、中性子、ミュオンに分けて、それぞれどれぐらいのコミュニティの規模であるかとか、それからユーザー数の推移、それから最近の活動状況や主な成果についてまとめていただいておりますので、御参考にしていただければと思います。

 それから戻りまして、資料1-1に関しまして、6ページ目を御覧ください。前回第3回の議論の概要になります。主なところを御紹介させていただきますけれども、まず、国際公共財としてのJ-PARCということに関しまして、例えば「国際公共財」という言葉は学術目的であって、この点では世界に開かれるべきである。一方で、産業利用は主たる目的ではないため、競争のために海外からの利用を閉じるということを強調すべきではないというようなコメントをいただいております。また、海外からの非公開利用が増えている状況にはないけれども、取り扱いについて早めに検討する必要があるのではないだろうか。将来的にはSPring-8とJ-PARCが連携して共通の基盤を作ると良いのではないかといったコメントをいただいております。続きまして、平成19年の中間評価における指摘事項への対応状況に関してのコメントですけれども、指摘事項(11)に関しましては、マッチングファンドの導入を検討してもよいのではないかといったコメントをいただいておりました。それから、三つ目になりますけれども、核変換実験施設に関しまして幾つかやりとりをしていただきましたけれども、次のページにありますが、技術開発だけでなくサイエンスとして興味深いテーマにも利用されるという両面性が強調されるべきであるといったコメントをいただいております。続きまして、加速器整備についてというところでございます。ビームロスの低減が課題となるだろうということ。それから大強度の加速器は一つずつ問題を解決する必要があるということ。それからフライホイールの導入、これは前回の中間評価で指摘されていた事項ですけれども、これに関しましては、繰り返しを上げる方法でメインリングの大強度化を考えているといったJ-PARCセンターからの回答をいただいていたところです。1枚めくっていただきまして、ビームパワーから、効率よく効果的な結果を出すためにどのような努力がなされているのか、見えるようにプレゼンすることがこれからは重要になるだろうといったコメントをいただいております。それから、ニュートリノ実験につきましては、将来はさらなる加速器の大強度化が必要ということでやりとりをいただいております。最後にハドロン実験に関しまして、J-PARC等での実験と「京」等での計算が連携しているという話がございまして、大きな共用施設を用いた研究成果が相互に連携していることを社会へアピールできるよう、例えば、合同で研究成果の紹介を行う場があってもよいのではないかというコメントをいただいています。

 最後のJ-PARC等での実験と「京」等での計算が連携しているということに関しまして、参考資料2をJ-PARCセンターから御提供いただいております。詳細はこちらで紹介いたしませんが、原子核・素粒子物理分野におけるスパコン「京」との連携の取組ということで、現在スパコン「京」の方では大きく五つの分野が戦略的に取り組まれているところですけれども、その中で、原子核・素粒子分野との連携ということで、こちらの資料にあるような取組が行われているということでございます。それから、これに関係しまして、机上配付資料で一番下に入れております「戦略分野5」という見出しで書いてありますものでございますが、こちらも参考にしていただければと思います。

 それから、資料1-2、こちらは前回第3回の議事録です。事前に御照会させていただいておりますが、何かお気付きの点等ございましたら、本作業部会終了までに事務局の方にコメントをいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、資料1-3、前回議論していただきました平成19年の大強度陽子加速器計画中間評価における指摘事項への対応状況についてということで、その改訂版でございます。主な変更点でございますが、項目(1)のミュオンに関する記述につきましては、鳥養委員からいただいたコメントを反映して修正しております。それから、項目(1)のハドロン、項目(2)核変換、項目(3)フライホイールについては、前回の議論を踏まえまして追記しております。それから、項目(5)震災復旧に関して、こちらはセンター長のリーダーシップが発揮された旨を追記しております。項目(8)、(9)、(11)から(16)に関しましては、指摘事項が物質・生命科学実験施設に関するものであることが分かるように若干修正させていただいております。

 それから、参考資料3を御覧ください。1枚紙の資料でございますけれども、「共用ビームラインの利用料金について」という資料でございます。こちらは何度かこの部会の中でも御議論いただいているところでございますけれども、MLFの利用料金について、財政当局の方に了解をいただいております内容について若干御紹介させていただきます。利用料金の基本的な考え方につきましては、原則はSPring-8等のほかの国内施設、海外施設と同様に成果公開利用の場合は原則無償。但し、消耗品等は実費負担いただいております。それから、成果非公開利用の場合には運営費回収方式というものを基本的な考え方として利用料金を設定しているところでございます。今後の当面の利用料金につきましては、下の表のようになっております。現在、平成24年度始まったところですけれども、25年、26年と若干料金が上がるような形になっておりまして、27年以降が、ここに記載しているような金額を想定しているところです。但し、補足のところで書いておりますけれども、平成27年度までに所定のビーム強度である1メガワットに到達する予定であること。今後共用ビームラインの本数が増えていくだろうということ。一方で、昨今の電気料金が高騰しておりますので、そういったことにも留意する必要があるということで、適当な時期に必要に応じて見直していくというような考え方になってございます。

 それから、参考資料4を御覧ください。こちらは5月8日火曜日に現地調査に何名かの委員の先生方に行っていただきまして、そのときの概要でございます。詳細はこちらで読み上げませんけれども、視察としましては、ハドロン実験施設、ニュートリノ実験施設、物質・生命科学実験施設、隣接しております研究用の研究炉JRR-3を御覧いただきました。その後ろに、JRR-3での説明の際に使っていただいた資料が参考として入っておりますので、こちらも御参照いただければと思います。以上です。

【福山主査】

 どうもありがとうございました。資料1-1から1-3、参考資料1から4までです。まず、1-1の前回最後にサイエンスの話で非常に盛り上がったところ、ペンタクォークとスパコンとの連携が既に始まっているという、大変印象的なところだったんですけど。これに関して、戦略分野2の物質・材料のところは、J-PARCのMLFとSPring-8、そこまで視野に入れた連携がもう始まっているので、これに関しては、ここの席で次回にでも、新井さん、御紹介なさったらどうでしょうか。情報としてはプラスになるかと思います。

 1-3が、先程御説明がいろいろございましたけれども、平成19年6月にJ-PARCが中間評価されたわけですけれども、そこの時に既に指摘されていることに関しての対応状況、それに関しての案が色々整理されております。まず、1-3で、これを御覧いただいて、いかがでしょうか。(1)物質・生命科学実験施設及び原子核・素粒子実験施設、特にアンダーラインのところ。2番目、核変換実験施設。フライホイール、3番目。まず、積み残し事項に関してはよろしいでしょうかね。何か御意見ございますでしょうか。

 少し戻って、資料1-1で2枚目、中間評価における指摘事項で最初の丸のところ、研究者コミュニティに関して、確かに今日資料が出ていました。これに関して、西島先生の方から御意見をお願いします。

【西島委員】

 中間評価におけるということで、研究者コミュニティの規模、活動状況、成果ということを認識しておくということで参考資料1を作っていただき、ありがとうございました。中性子についてのユーザー規模が700ぐらいというのは、大体そんなものかなと思うんですけれども、この括弧が、外国人数60というのが、上のニュートリノの括弧の外国人400と比較するに、同じレベルの400、60になっているのかということと、それからユーザー数の推移で、2010年が中性子530人で2011年が250人という点、そして2012年が2,000人というのが、アバウトな数字にしては詳細な部分があるので、どういった根拠で530人が250人になったとしているのでしょうか。例えば震災があったので利用者が減りましたという実数ですけど、そういうユーザー数の推移をコミュニティの人数として出しているのかな。一方でニュートリノの方は震災の影響を全く受けてなくて、502、506という同程度になっているというので。いろいろな数字を持ってきていると思うんですけど、この数字をどこかで同じ基準の中で議論しておかないと、例えばニュートリノの場合は全世界が集まってやるから、それを取り込んでいるという数のような気もするし、これはそう言われれば、そうかもしれませんが、中性子の場合は、逆に言うと日本で使った利用者数で、またミュオンはミュオンで非常に正直な数字を出しているのかなということで、この辺は統一しておかないと。ニュートリノのコミュニティの人数として出ているこの数が、私の言っているコミュニティ、つまり、優先順位を決める時の数になったときに、この数が少し膨らみ過ぎているんじゃないかということ、中性子が530、250といって2,000というのと同じように表の中に入れて大丈夫かなと思うんですけど。いきなり振って済みません、金谷さん、どうでしょう。

【金谷委員】

 これを見せていただいたときは、中性子を見まして、今、西島さんが説明されたように僕は感じて、多分、700というのはユーザーコミュニティの、例えば学会員の数というような、そういうものを意識されていて、それから先の、各年度のユーザー数というのは、これはJ-PARCを使われた利用者数だと。そう思うとそんなにおかしな数字と思わなかったのですが、確かにニュートリノと同じ基準で書かれているかと言われると、ちょっと分からないですね。

【福山主査】

 そこはどうでしょう。事務的、データの整理の仕方。

【永宮センター長】

 ユーザー数というのは、震災が起こったときにはユーザーはほとんど来ないんです。だから減っているんです。これは明らかです。だけど、ニュートリノの人は、震災が起こっても一生懸命直しているのはユーザーです。だから、ずっと滞在しているんです。震災後にいるのはほとんどニュートリノとかハドロンの人ばっかりです。

【高エネ研(小林)】

 この500人というのは、ニュートリノの場合は、J-PARCを使いに来ているニュートリノ実験室に来ている人でもあるし、そういう意味ではコミュニティ全体は書いていない。ユーザー規模の500と書いてあるところと、その右の三つの数字というのは基本的に同じです。同じ集合。だからコミュニティの人数ということを実際に挙げる場合にはもっと大きな数字にはなるんですけれども。要するにT2Kという実験コラボレーションに所属している人の人数をここに書いてあるということです。

【福山主査】

 この欄、右側、二つ目のユーザー規模というものの定義がはっきりしていないということですか。コミュニティ全体の数がまずどのくらいいて、その中で、2009年からの実際のユーザーがどのくらいいるかという。

【永宮センター長】

 もう一度言いますと、ユーザー規模というのは左が正しいんです。中性子の700とか。要するにハドロンって300ありますね。これはユーザー数です。原子核のコミュニティというともっと多いんです。要するにその中でハドロンというのを取り出したら、素粒子もありますけれども、ハドロンのコミュニティというのは300ぐらい、これは正しいです。そういう意味では中性子を潜在的に使う人は、700というのは正しいです。それで2,000って、ここがちょっと1メガワットになった時に飛躍的に増えるように書いてありますが、現在では700ぐらいです。

【金谷委員】

 ちょっとよろしいですか。中性子の方からユーザー規模といいますと、700程度というのは学会、中性子科学会の会員数にほぼ対応する数字だと思うんですが、産業界からの、例えば産業利用推進協議会のメンバーというのがいらっしゃいまして、そこの人達というのは、ここの中に全くカウントされていない数字だと思うんですね。そうしますと、ユーザー規模というのは、ポテンシャルユーザーも含めまして、産業利用推進協議会の方を入れていただいたら、もっと数が増えると思うんですが、多分、そういう根拠じゃないかなとこの数字を見て思ったんですが。

【西島委員】

 僕、ちょっと気になったのは、ユーザー規模というこの数字を、今金谷さんが言ったように、それがニュートリノの500とか、ハドロン300と、中性子700というので、これが本当に実情に反映しているものなのかということをどこかで精査しておかないといけない。優先順位をやったときに、どう考えてもハドロン、ニュートリノの500に対して、中性子は産業界の利用も考えたら倍はいなきゃおかしいんじゃないかという、もし書くなら、何処かで修正しておかないといけないんじゃないかなという気がするんです。

【新井ディビジョン長】

 よろしいでしょうか。中性子の数字を出したのは私ですけれども、まず、ユーザー数の推移について、この数字自身は、実際J-PARCに来たユーザーズオフィスに登録した人数です。この括弧づけでありませんけれども、大体10%ぐらい外国人というふうな実数が出ています。それに対して700という数字は、一つの課題提案当たり、例えば4、5人の方が大体連ねる場合が多いんですけれども、その中の大体2人から3人ぐらいが実際には実験に来るというふうな、大体平均でいうとですね。そうすると、実際来られた人数に対して、いわゆるユーザー規模というのは2倍から3倍ぐらいの数じゃないかというのが、概算ですけれども。その辺から700というふうな数字がまずは出てきました。

【金谷委員】

 確認ですけど、基本的には課題提案からこの概数を出しているということですか。

【新井ディビジョン長】

 現状としてはそうですね。

【福山主査】

 だからそこが問題で、まず、この欄の三つ目から、2009年から2012年のところ、これはJ-PARCに来たユーザーということで定義がはっきりしていると。問題は2番目の列のユーザー規模といった、このユーザーという定義がはっきりしなくて、この資料1-1の四角のところ、これは研究者コミュニティの規模という文言になっていますね。資料1-1の2ページ目、要するに中性子ということに関連して何らかの仕事をしている人、これ全体を言っているようにとれる。その中でJ-PARCをどのぐらい利用しているかという、そういうのが必要だったということでしょうか。

【西島委員】

 本当はね。

【福山主査】

 だからそこが何か。

【相原委員】

 そうすると、コミュニティ規模だと、ハドロンとかニュートリノとか、また違う数字になっちゃうということです、このユーザー規模というところ。だから定義、もしコミュニティという規模、要するにポテンシャルユーザーも含めてですよね。実際に訪れたかどうかの欄とは別にして、潜在的ユーザーも含めて、この施設を使う可能性のあるコミュニティの人たちがどのくらいいますかというのであれば、そう定義していただく。そうじゃなくて、登録した人数というんだったらはっきりするわけで、その方が分かりやすいんじゃないか。

【福山主査】

 だからそこの定義をはっきりさせて、その定義のもとでいろいろな分野の数が出てくる。

【西島委員】

 最初に私が言ったのは、現時点とか、現時点でどのぐらいの人が使っていて、どのぐらいコミュニティがあるということ。それからこれから5年後、その規模が増えていくということ、ユーザーがどのくらい増えていくかというときに、そもそもコミュニティが小さいのに、ぼんと10倍も増えるわけはないので、そもそものコミュニティは非常に大きいんだけれども、現在はこのぐらいなのでという形を少し数字で持っておかないと、国民が、例えば優先順位といったときに、そもそもそれってコミュニティが小さいところにお金をつぎ込み過ぎているんじゃないかという議論を収拾できないと困るので、その制度というよりは、少なくともオーダーは中で統一しておかなきゃいけなくて、どう考えてもコミュニティが100か300か500ぐらいのことは常識としてわかると思うんです、学会レベルで見れば。その辺のところの数字が一人歩きしないようにそろえている一覧表は持っておいた方がいいんじゃないかなということで。お金をもらうことを考えれば、コミュニティは多いよと。潜在能力もあるよと。ユーザーも今は少ないけれども、増えていくよという希望的観測は各コミュニティ同じだと思うんですが、私のように全く違うコミュニティからすると、やっぱり客観的な数字を並べて、各部分が納得するものを持っているということは、この全体を生かして、大きな予算を取ってくるときに必要だと思うんです。そういう数字を少し持っておかなきゃいけないというので、それで見ると、これは基準がどうなのかなという印象を持ちました。

【福山主査】

 大変適切な御指摘だと思います。確かにこの参考資料1のところ、一番上は各コミュニティ規模と書いてあって、その下にユーザーの数となっている。確かに違いますね。今、西島委員が言われたことは大変適切だと思うので、ともかく今、あるいは近い将来にすぐ使うかどうかは別として、将来的にどのくらいニーズがあるだろうかということを見積もる際に、そもそも関心を持つ人、やりそうな人、それを全部含めたのがいわゆるコミュニティなのだろうと思うので、その数を出すのは所謂コミュニティの種類によって違うかもしれませんけど。

【梶田委員】

 よろしいでしょうか。

【福山主査】

 はい、どうぞ。

【梶田委員】

 コミュニティの数と言われて、多分、日本人の場合は何となく分かるんですけど、外国人をどこまで含めるのかというのは非常に面倒くさい話で、では、ニュートリノをやっている世界の規模をここに書くのか。決してJ-PARCに来ないような人も書いておくのか。それは中性子も同じようにするのか。日本だったらある程度数は、そういう定義でも分かるんですけれども、それで世界の括弧書きの外国人の数をどういうふうに定義していいのか。非常に曖昧になり過ぎるような私は印象があるんですけれども。

【福山主査】

 おそらく今まで議論、西島委員の言われること、それは確かに研究分野ということからすると、そのメンバーかもしれませんが、およそ将来的にも使いそうもない人、確かにそういう人もおられる。そこの境目は難しいと思うんですけれども、だから、どこまでを視野に入れて数に入れるかということは、きちっと当該者が議論する。但し、全てのハドロン、ニュートリノ、中性子、ミュオン、全部に関して同じ基準で数を書くべきだという点でははっきりさせておく必要がありますね。だからその際に、現実的に考えると、例えば国内で近い将来使いそうな人、その数に関してはある程度、こういう委員会でも数を把握しておく、概数を理解しておくということはきっと大切ですね。

【永宮センター長】

 もう一度繰り返しますけれども、2012年以降というのは、大体ここから4、5年先までどれぐらい人が伸びるだろうかというので、ハドロンは50%増で、ニュートリノは同程度で、中性子は2,000ぐらいで、ミュオンは300ぐらい。これはほとんどそれぐらいがユーザーとして期待される数です。これはユーザーです。本当のユーザーとして。それ以外のコミュニティまで含めるかどうかはきちっとやっておかないと分かりません。ユーザーとして現在使えそうな人で何%ぐらい増えるかということは、ここで書いてあるのは大体正しいかと思います。

【福山主査】

 確かにおっしゃることはわかります。とすると、この右側の2番目の欄を削除すればいい。これがいけない。ミスリーディングだと。結局そういうことでよろしいですか。この2番目の欄を全く無視する。どうですか。

【永宮センター長】

 これは現状です。プロポーザルに名前を書いている人は何人ぐらいいるかというので、大体それで算出しています。

【福山主査】

 だから、今、センター長がおっしゃったのは非常にはっきりしている。この具体的な数、それをセパレートしたものが2012年に出ているぐらいであって、これは素性がはっきりしている。この2番目の列が余りにも根拠がはっきりしなかった。

【永宮センター長】

 ただ、これはプロポーザルに名前を書いている人ですから、300と500と700というのは正しいです。

【相原委員】

 その場合、もしかすると現状の潜在的ユーザーの概数みたいなやつですよね。使っている人も含めるから、予定も含めて。今はそれだけ。だからこの数字をどう使うかというのは別の話であって、そう理解すればいいだけですよね。コミュニティと言ったらもっと大きいかもしれませんし、何をもってコミュニティという、大議論になると思うんです。その必要は恐らくここではないので、この施設を今使おうと思っている人も含めて必要な数字であると思えば出せばいいし、全く要らないんだったら、止めちゃえばいいし。

【福山主査】

 だけど、西島委員が気にしているのは、こういう表、説明がなく出ていくと、これだけが動いていくのは非常に危険なので。

【相原委員】

 そこは全くおっしゃるとおりだと思います。

【福山主査】

 だから、むしろそれを避けるためには、2番目の列を削除した方がすっきりするんじゃないかなと思いますが、いかがでしょうかね。

【永宮センター長】

 僕は、並べ方だけど、ユーザー規模現在と書いて、ユーザー規模の2012年以降というのを書いて、それで実際来所した数というのをその次の欄にすれば、もう少しはっきりするんじゃないかなと思うんです。現在のユーザー規模は中性子でも700です。250ではないです。去年は震災があったので来なかっただけなので。

【福山主査】

 だからそれは2011年と書いてあるから、これははっきりしている。

【永宮センター長】

 だから2009年、2010年、2011年は、これは実際来所した人の数です。それもさらに内部の人は含まないような来所した人の数です。だから、その後ろに50%増と書いたのは2番目のラインに対する数です。だから2番目のラインを残しておいて、2012年以降は何になるかというのを書いて、あと来所した数は参考程度に書いておくというのだったらいいと思います。2番目のラインをつぶしてしまうと、ちょっと現在の規模がわからなくなります。

【福山主査】

 西島さん、いかがですか。逆にそういうのだと中性子の700が違和感があると。

【西島委員】

 ただ、永宮さんが言うとおり、2番目を削っちゃうと現在の規模というのが消えちゃうので、それに対して50%増とか、同程度とか、2,000まで伸びるよ。そういうことですね。

【永宮センター長】

 そういうことです。

【福山主査】

 そういうふうに書けばいい。

【西島委員】

 そうですね。そういう形が欲しい。

【福山主査】

 だから50%増加とか同程度という書き方じゃないのにすればいい。

【鳥養委員】

 物性はビームラインの数、ビームラインの充実度でユーザーが決まっているというところがありまして、私共ミュオンコミュニティは、この調査に当たって世界を代表する他の三つの研究機関に、現在そこで活躍中の日本人研究者の名前と数を調査しまして、重複を避けて将来の数を見積もりました。その際に、海外の施設からのコメントは、陽子ビームラインの数でユーザーは制約されており、これを増やすと確実に増えますということでございます。ですから、今、私どもが出している数字は、現在海外で活躍している人を含めた潜在的ユーザーですが、施設が充実してくることによってビームラインが増えれば確実に増える。そういう意味では中性子もミュオンも背景には物性コミュニティ全体を背負っているというぐらいの覚悟でやっているわけでございまして、そこのところをどういうふうに見積もったらよいかというのを御指示いただきたいと思います。

【田村委員】

 よろしいですか。ハドロンもそういう意味では同じ状況でありまして、もっとビームラインが増えて施設が大きくなれば、2倍、3倍と増えるというふうに思います。それだけ世界中には同じような分野の研究者がいますけれども、いろいろな違う研究所に分散しております。だから、日本人の数はそんなには増えないと思いますけれども、括弧の中の外国人100というのは、これは何倍も増え得ると。それは施設の大きさで決まるというふうに思います。そこをどう、そこまで不確定なことを余り書いても仕方ないというのであれば、そういうふうにきちんとコメントして定義すればいいと思いますけれども、そこはちょっと難しいところだと思います。

【福山主査】

 いろいろ御意見ありがとうございました。この件に関しては確かにプライオリティー、順位付けをする必要がある場合、そういう状況が起こるかもしれない。そういう点で非常に重要な内容を含んでいると思います。このことに関しては、当該のところでどういう数を書くのが一番現実的かということを御議論いただいて、その結果を次回にでもまた参考資料でお出しいただくということでよろしいですかね。特に左から2番目のラインのところにどういうスタンダードで、どういう基準で書くかと。確かにそれはやっておく必要がありますよね。施設の有効利用というか。御指摘どうもありがとうございました。

 1-3に戻ります。先ほど申し上げました、まず、項目(1)から……。

【田村委員】

 済みません、ちょっとよろしいでしょうか。

【福山主査】

 はい、どうぞ。

【田村委員】

 一番最初のところに戻ってしまって申しわけないです。最初の積み残し事項の中でハドロンの部分ですが、若干細かいことではあるんですけれども、「コミュニティの議論を経て、学術会議の大型計画に『J-PARC加速器の高度化による物質の起源と解明』として、今後の計画がまとめられており」、これは間違ってはいないですけれども、ただ、学術会議のマスタープランに出ております物質の起源の解明というのは、J-PARCの主リング加速器の大強度化、それからニュートリノビームラインの大強度対応、それから原子核・素粒子実験施設、ハドロン施設の拡張とビームライン高度化、この三つからなっているんですね。なので、この項目というのはハドロン施設に関する部分ですので、ちょっと誤解を招くかなと読んだだけで思ったんですね。ですので、「J-PARC加速器の高度化による物質の起源の解明の中にハドロン施設の拡張とビームライン高度化に関する今後の計画がまとめられており」というふうにちょっと補足していただけた方がありがたいなと思っております。

【福山主査】

 この文章だと正確でない。

【田村委員】

 若干曖昧に聞こえたのは、もちろん間違ってはいないですけれども。

【福山主査】

 もう一度、物質の起源の解明。何とおっしゃった?

【田村委員】

 「起源と」ではなくて「の」なんですけれども、「J-PARC加速器の高度化による物質の起源の解明の中にハドロン施設の拡張とビームライン高度化に関する今後の計画がまとめられており」としていただけると正確だと思います。

【福山主査】

 これはよろしいですかね。文言上。

【永宮センター長】

 読んでなかったですけど、利用者協議会でまとめたものがあるんですね。これがほとんどここに書いてあることだと思うんです。コミュニティとしてまとめたのがね。だから、Uライン、Dラインもありますし、中性子もハドロンもそうですけれども、利用者協議会でまとめたものが1冊の冊子になっています。それがもとになって学術会議に行っているわけなので、その辺はコミュニティとしてのレポートはそちらだと僕は思っています。

【田村委員】

 今、私が申し上げたのは、単にこの部分はハドロンに関する項目なので、学術会議の大型計画に載っているものの一部ですよ。それだけですけれども。

【福山主査】

 特にハドロンのところに焦点を当てて記述されているからと。永宮先生、少しそこを、今、田村さんが言うように詳しく書くのは問題ですか。

【永宮センター長】

 問題ないです。

【福山主査】

 (1)はいいですかね。(2)核変換。それからフライホイール。よろしければ、次の多目的研究施設。(4)、(5)、(6)、(7)。円滑な施設利用体制。あとはずっとよろしいでしょうかね。お気づきの点、どこでも結構です。御指摘ください。

【金谷委員】

 よろしいですか。

【福山主査】

 はい、どうぞ。

【金谷委員】

 報告書としては特に問題ないと思うんですが、(5)のディビジョン長への必要な権限と責任の付与について、引き続き課題が存在するもののと書かれていると思うんですが、ここの「引き続き課題」というのを、具体的に少しこの場でお聞かせ願えればありがたいかなと思うんですが。

【福山主査】

 これは一番最初、2回目でしたか、問題になったJAEAとKEKでのJ-PARCセンターの位置付けが違っておりましたよね。そういう状況のもとで、J-PARCセンター長がリーダーシップを発揮する際に、それぞれのKEK、JAEAの中でのJ-PARCセンターの位置付けの違いが場合によっては顔を出すことがある。それは運営の問題で、今まで随分いろいろ工夫して実行されてきて、それは大変評価される。ですけど、その一番根本のところに関しては絶えず留意が必要だという。

【金谷委員】

 そういう意味でよろしいですか。

【福山主査】

 そういうことだと理解していますけど、どうでしたか。それでよろしいですね。

【永宮センター長】

 そういうことで結構だと思います。

【金谷委員】

 そこも今後議論されていくというふうに。

【福山主査】

 留意されているということですね。日本語は微妙ですね。確かにそれはこの場で非常にクリアになった事実で、事実は事実。それをこれからどうとらえていくかというのは心に残しておくべきことだろうということ。他にいかがでしょうか。国際公共財のことに関しても、ここは特によろしいですかね。御議論、よろしいですかね。それでは、この件に関しては以上で整理させていただきたいと思います。さらに改めて御覧いただいて御意見がございましたら、事務局の方に御連絡ください。

 それでは、続いて次の議題に移りたいと思います。今後の計画についてということです。この部分については、委員の皆様の御意見を報告書にしっかりと反映させたいと考えておりますので、机上配付しております「今後の計画に関する検討・評価の視点」をお手元に、脇に置かれ、御覧になりながらお話を聞いていただければと思います。本日、皆様に御議論していただいた後で、評価の記入様式を皆様にメールでお送りいたします。それに関して今週末、5月18日をめどに評価コメントを記載して事務局にお送りいただきたいと思います。そういう作業スケジュールが決まっております。そういうことを意識されて、これからの永宮センター長のお話をお聞きいただければと思います。では、永宮先生、お願いします。

【永宮センター長】

 それでは、本日はこの評価部会で最後の主たる発表になると思いますが、今後の計画についてまとめておきたいと思います。これは第1回の評価部会でお話ししたことですが、今後5年間の計画としては以下のものがございます。加速器と特にニュートリノでは、RCSを1メガワット化する。それからメインリングを750キロワット化するというのが目標でありまして、これは加速器だけの目標ではなくて、J-PARC全体の目標でもございます。中性子では、新設のビームラインと計算環境、試料環境、これは後で述べますが、があります。それからミュオンは新しいビームラインのSビームライン、Hビームライン、この二つのビームラインの整備がございまして、ハドロンでは高運動量ビームラインとCOMETという実現がございます。さらにADSと、建屋関係では総合研究基盤棟と放射化物使用棟、さらに宿舎等がございます。これらの明確な優先付けが必要であります。さらに維持費としては、現在目標は9サイクル運転ですけれども、KEKでは6サイクルしか認められておりませんので、これを9サイクルに近づける努力が必要になってきます。

 それでは、各々の計画についてまとめていきます。まず第1は加速器及びニュートリノということであります。リニアックとRCSでは、目下400MeVのリニアック建設が最終段階にあります。まず、震災で半年ほど遅れましたので、ここに書いてございますが、半年遅れの2015年に1メガワット化が出てくるのではないかなと思います。これを実現して1メガワットに向かって進めるつもりですが、これらの増強に対しては、ちょっと下に書いてございますが、最先端予算というのが既に交付されておりまして、それでほぼ充当されております。一方、ニュートリノの今後というのを考えてみますと、T2Kの実験では、今後5年間内に設計強度、すなわち750キロワットの実現が第1の課題でございます。その後、CP非保存実験に進む予定ですけれども、これにはさらなる強度増が要求されることになっています。そのためにまずはMRの750キロワットが必要になってきます。というわけで、この750キロワット化が課題になるわけですが、そのためには取り出しビームのエネルギーを50GeVに上げるというやり方と、繰り返しのサイクルを上げるという二つの方法がございます。前者の場合、(1)の場合ですけれども、その場合は消費電力が3.5倍ほど上がることを考えますと、30GeVのまま繰り返し上げる。それで高繰り返し化の方法が妥当であるという結論に達したわけであります。そこで、高繰り返しを行うときにはどういう課題があるかと申しますと約四つの課題がございます。第1は、低リプルの電源を作ることであります。このために実機製作を進めているところですけれども、レビューが必要でありまして、今年の夏にレビューを企画しております。第2は、ファインメットと呼ばれる新しいRF加速度の高度化であります。より具体的にいいますと、より高い電圧をかけることで加速効率を上げることであります。それから、第3番目は入出射システムの高繰り返し化でありまして、第4はかなりブルートフォースですけれども、シールドやコリメータの増設であります。現在、450ワットまでのビームロスを2キロワットのビームロスまで耐えるようにシールドを強化するということであります。そうしますと、大体4倍のビームが出てくるわけで、今、200キロワットですから、700キロワットは耐えることができるということです。

 そこで、この5年の計画をまとめてみますと、ニュートリノの速い取り出しでは高繰り返し、750キロワット化を目指しますが、ハドロンの遅い取り出し化では50キロワットから最終的には100キロワットを目指します。ということで、2017年までには750、100という、この両方を目指すということになるわけであります。上に書いた四つは、先程言いました電源とかいった四つの項目に相当するわけでありますが、特に予算を要するのは主電磁石電源の開発でありまして、これには約60億円が必要になります。これ以外は我々の与えられた経費で賄っていこうと思っております。

 その次に、中性子について話したいと思います。中性子は実験装置の整備はもちろんあるわけですけれども、それだけではなくて、試料環境、計算環境の整備というのが、ここ5年間の非常に重要な課題です。これは前回もそういう話がありました。試料環境というのは、元素戦略等の材料創成プロジェクトと密接に結びついているプロジェクトでございます。計算環境は京コンピューターももちろん結びついておりますが、CMSIと呼ばれる物性研規模の計算センターとも結びついていることであります。まず第1の実験装置の建設ですけれども、今残っているビームラインは約3本しかありません。その中で分岐ラインも含めて四つのビームラインの整備を考えております。一つは、ここに書きましたように、偏極中性子を用いた分光器でありまして、これは東北大学とKEK、さらに韓国の参入も考えております。第2は、ここに書いてあります生命科学でありまして、特に巨大結晶を対象としたもので、生命科学では茨城県のビームラインに次ぐ第2のビームラインになります。第3は、ナノ構造を解明するいわゆる小角散乱の装置でありまして、第4は分子振動を研究する分光装置であります。これらは中性子科学会というのがありまして、この学会を中心にしたコミュニティで何度も議論を重ねまして、その結果、優先順位を付して建設を進めていくという予定のものでございます。第2の計算環境や試料環境についてですけれども、計算環境は、これから整備が非常に重要な分野です。すなわち、高効率化、あるいは先端性を保証するにはどうしてもこの整備が必要になります。米国のSNSでは、最近この点に着目いたしまして、その整備を精力的に進めております。施設整備に約3億円が必要ではないかというふうに考えております。試料環境ラボの整備も大変重要なことでありまして、これもSNSの例を引きますが、このための研究所が隣接してあるほどであります。そこまでやらなくても、例えば圧力を変える、温度を変える、磁場を変える。あるいはタンパク質の中に重水素を入れて実験をする。こういうようなラボが必要でありまして、そういうラボのために整備4億円を見込んでおります。これらをまとめますと、試料環境、ちょっと小さい字ですけれども、上の方に試料環境及び計算環境、さらに下の四つがビームラインであります。もう少し細かく言いますと、ビームラインは整備が46億円必要ですけれども、そのうちこの5年間では42億円が必要。試料環境及び計算環境で約7億円が必要。これらは実は初年度からではなくて、2年次からの平成26年度から行いたいと考えています。また、この表は中性子科学会でも認可されたものでございます。

 次はミュオンですが、ミュオンは4本のビームラインがございます。4本のビームラインのうち2本しか完成しておりません。残りの2本を作りたいというのが、コミュニティである中間子科学会の総意となっております。まず、Sビームラインですけれども、これはサーフェイスミュオンのビームラインというものの略でございますが、特に極低温、あるいは高時間分解能、超高磁場、レーザー励起等々を行いまして、年間1台当たり約200課題をこなせる最も物性物理のコミュニティのユーザーのニーズに応えるビームラインと言えると思います。ビームラインとしては、極低温、高時間分解能、パルス、励起等々の四つのビームラインがありますが、これらの基幹部をつくるのがこの目的でございまして、測定器は順次、科研費等々を駆使しながら整備していくつもりであります。第2のビームラインはHラインと言われるものですが、右の方に書いてありますが、ミュオンのハイパーファインストラクチャーの決定、あるいはDeeMeと呼ばれるミュオンが電子に変換するという、所謂素粒子物理におけるレプトンフレーバーの変換の実験。さらにg-2という磁気能率、gファクターですが、2からずれを測定して標準模型のほころびを研究するという、こういう実験等々が企画されております。これらのコミュニティは、実はミュオンに興味を抱く素粒子グループでございます。従って、このビームラインは今までのμSRのグループ以外のグループが切り開くという意味で非常に重要な意味合いを持っています。まとめますと、陽子ビームを背にして見て、左側の二つのビームラインはまだ未整備でございまして、この二つのビームラインをそれぞれ14億円、11億円というので計25億円で建設したいというのがミュオンコミュニティ、即ちすなわち中間子科学会の総意でもございます。

 その次はハドロンでございます。ハドロンは、ここに2点書いてございますが、第1点は加速器のところでも触れましたが、一日も早い100キロワットの遅い取り出しビームを実現するということであります。これはKOTOと呼ばれるK中間子の稀崩壊の実験であるCP保存を検証する実験であるとか、KマイナスがKプラスに変化するダブルストレンジネスを用いた原子核、ハイパー核の研究において非常に切望されていることであります。第2は、ここに書きましたが、ビームラインの建設でございます。その一つは高運動量ビームラインと呼ばれるもので、陽子や中性子の質量が何故生まれるのかという、所謂南部理論の検証というのを行う実験装置でありますが、そういうのを行う。そして二つ目はCOMETというμ-e変換の実験を行う素粒子の実験であります。この二つのビームラインについて、それぞれ述べてみたいと思います。まず、高運動量ビームラインについて述べます。左の方にファイ中間子というのが書かれていますが、これはS、Sバーという二つのクォークで形成されている粒子でありますが、SやSバーの質量はファイ中間子の質量の半分よりはずっと軽くなっています。言いかえますと、S、Sバーという束縛状態をつくると、その過程で余分の質量が生じるというわけであります。これが南部理論のエッセンスですけれども、しかし、ファイ中間子を原子核の中に入れますと束縛が弱くなる可能性が出る。これも理論の予測ですけれども、そうしますと質量が軽くなるというので、元々のファイが軽いところに出てくるのではないかと、そういうことを調べるのが実験の目的であります。既に右下に書いてありますように、この図ではそういうヒントが見えてきております。この実験装置の磁石は既にありますが、実験ビームラインがございません。というわけで陽子ビームラインを作りたいということで、高運動量ビームラインというのは陽子ビームを引き出すビームラインですけれども、それを作り出す計画であります。この計画は原子核の実験グループで核物理のコミュニティで何度も何度も議論をされまして、目下優先度第1位で出ております。勿論、この全体ホールの拡張というのも原子核のグループからの要求として出ているんですが、その前に是非ともビームラインの建設を行いたいというのがこのグループの要求であります。全体として、ここに書いてありませんが、約20億円要します。一方、その次の高運動量ビームラインというのとセットで考えられているのが素粒子の計画でありまして、COMETと呼ばれるビームラインで、これも約20億円要します。従って、両方合わせると40億円となります。ミュオンというのは素粒子でありますが、電子と同じような性質を持ちます。このミュオンは標準理論では電子に変換することはございません。その変換が起こるかどうかというのを調べる。標準理論の破れを見ようというわけです。実はややプロフェッショナルになりますが、超対称性ニュートリノモデルというのがございます。これは軽い質量のニュートリノが見つかっているわけですが、それがあれば重い質量のニュートリノも存在するであろうという考え方です。これはシーソーモデルとも言います。それに基づきますと、ある確率でミューは電子に変わってもいいという結論が出てきます。現在10のマイナス12乗まで調べられていますが、ここではミューがeに変換することは起こっていない。従って、10のマイナス16乗まで4桁上げて調べたいというのがCOMETの最終目的であります。下の方に書いてございますが、フェーズ1は20億円のビームラインだけで実験可能なのは2桁、この2桁の向上、10のマイナス14乗まで調べることが可能です。それでも見つからない時には10のマイナス16乗までいこうというものでありまして、これは5年以降の計画になると考えられています。既にアメリカのフェルミ国立研究所ではmu2eという実験が2018年から始まることになっておりますので、大きな競争になっています。高エネルギーのコミュニティの強い支持も得られているわけでありまして、一方、KEKの素核研では、この両方を同時に進めたいというのが素核研の総意になっております。

 次は、核変換でございます。核変換は寿命の長い放射性廃棄物の中で特にマイナーアクチノイドというのを短寿命にしていくという計画でございます。それに至る道筋として、これはかなり大変な道筋ですけれども、二つの計画を進めます。第1は、右に書いてあるTEF-Tと呼ばれるもので、これはマイナーアクチノイドを燃やす炉で、最も重要な冷却材でターゲットでもある鉛ビスマスという材料の試験です。これを通過しないと本格的なADSには行けないと言われています。第2は、TEF-Pと呼ばれる物理実験でありまして、これは原子炉の臨界付近でマイナーアクチノイドの核データ等を収集するものであります。これには10ワットという非常に微量な陽子ビームしか必要がないのですが、原子炉を作るということのために、その許可の申請に数年の時間を要すると言われています。従って、ここでは、最初の5年計画で右側のTEF-Tをまず進めて、その次の5年にTEF-Pという申請の長くかかるものを進めたいというふうに思っています。TEF-Tというのは、400MeVのリニアックからの陽子ビームを用います。その主たる目的は、ここに赤で書いてありますが、材料照射、これは先程言いました鉛ビスマスのいろいろな試験が主な目的です。しかし、それ以外にもRIの製造、これはモリブデンであるとか、アルゴンとか、医療用のアイソトープの製造が非常に望まれておりますが、そういうものの製造、あるいは冷中性子を用いたダイポールモーメントの測定であるとか、短寿命核ビームの発生等々、所謂物理学の基礎的な実験にも使えるというわけであります。ということで、核変換のコミュニティはこの線で一応まとまって提案してきているわけですが、一方、それ以外のコミュニティ、RI製造とか物理実験、こういうコミュニティもかなり参加して、活発な議論が展開しているということでございます。そこで、まず、400MeVリニアックのビームラインをこの赤で示したように導いて、ここには敷地がございますので、建屋を建てて、まず赤で示した部分を作る。これが5年計画でございます。さらにTEF-Pと呼ばれる実験装置をつくるというのは、その後の計画になってまいります。ということでまとめますと、このチャートに書いてありますように、最初の5年はTEF-Tを主として行う。その次の5年にTEF-Pを行うというシナリオになっているわけであります。

 最後は施設整備でございますが、第1は、総合研究基盤施設でございます。目下J-PARCにはまとまった建物がなくて、20余りの建屋に分散して入居しております。さらに、先程申しましたように、中性子ではデータ解析のための計算機施設であるとか、試料環境の整備の部屋の確保等が望まれております。さらに、せっかく皆さん一緒に学際領域の形成を願っていたわけでありますが、そういう共通した教室もないということで、是非ともこれらを整備したいというのが私どもの願望でございます。第2は、放射化物使用棟です。そろそろ放射化物が大量にたまり始めておりますが、それを貯蔵しておくところがありません。何とかこれを建てないと、どうしたらよいか途方に暮れるという事態が近づいてきております。さらに必要な宿舎ですが、宿舎は重要ですが、これはKEKの内部予算で充当するということになっております。

 最後にまとめたいと思います。この線表ですけれども、ニュートリノと加速器でお金が必要なのは、先ほど言いましたように、メインリングの電源改造で60億円。これを2年次からスタートする。初年次はまだレビューを行っている最中でございます。中性子はビームラインの整備と計算環境、試料環境等がありまして、全部で49億円になります。KEKとJAEAの分担は13億円、36億円というふうになっております。ミュオンはKEK分ですが、これは25億円でSとHという二つのビームラインを同時に進める時のシナリオでございます。ハドロンは40億円で、これもCOMETと高運動量ビームラインの同時スタートということで考えています。核変換はTEF-Tのみを計上してあります。さらに研究棟、放射化物使用施設で全部27億円で、合計しますと、KEK分が138億円、JAEA分が152億円となります。ちなみに、これまでの4年間、2009年からスタートして、KEK分は18億円ほど計上されていましたけれども、JAEA分は180億円ほど計上されています。ということで、150億円というのは大きな数ではありますが、そういうことであります。

 最後に一つの図を示したいと思います。このスライドを見ていただければいいと思いますが、J-PARCは加速器と物質・生命科学、素粒子・原子核の3本立てでスタートいたしました。それぞれ、先ほど言いましたように、約1,000人のユーザーを抱えておりまして、外国人は物質・生命のときは約1割、素粒子・原子核では約6割というふうになっています。こういうユーザーがこれらを支えているということであります。

 この両者の連携、ここに線で書いてありますが、これは今後の課題だというふうに私は思っています。今後5年の方向として大強度化というのがございます。これは全てに共通したものでありまして、性能向上という軸足で見ますと、そういう課題でございます。これは第1に重要です。今後5年の第2の方向として、ここに四つの実験施設がございますが、例えばハドロン施設ではケイオンとかパイオンだけでなくて、ミュオンを使うであるとか、あるいは一次陽子のプロトンを使うであるとか、こういったビームラインを拡張していく。ミュオンでも2本のビームラインから4本のビームラインにして、μSR実験等以外のものにも拡張していこうということで、これらは一括りに言いますと、多様化の方向に向かっているというふうに考えられます。さらに鉛ビスマス等の核変換。鉛ビスマスは物質・生命科学に根差しており、核データは素粒子・原子核の応用でございますし、それ以外の応用もあるということで、素粒子・原子核、物質・生命科学と両方に根ざしたようなものが核変換です。これが整いますと3本柱の整備が可能になるということで、これを是非行いたいというふうに思っています。さらに、研究施設、放射化物使用棟、宿舎等々を整備いたしまして、これは安全を強化する、あるいは施設整備を強化するということであります。さらに、ソフトなこととして国際化や産業利用を進めるということで、J-PARC全体としては、これをまとめますと、総合科学が全体として開花するのではないかというふうに思っております。すなわち、今後5年の計画を進めることによって総合科学が開花するというふうに考えております。ということでよろしくお願いしたいと思います。

 あとは参考資料ですけど、これは加速器の4年後以降の計画案と国際化における課題のまとめを示しました。以上です。

【福山主査】

 今後の計画についてセンター長から御説明、各学問分野での計画の御説明がございました。先ほど冒頭申し上げましたけれども、机上資料として今後の計画に関する検討・評価の視点と今後の計画、それから評価の観点という1枚紙がございます。そこを御覧いただきながらお話を聞いていただいたと理解いたします。それでは、どこでも結構です。御意見をお願いします。

【横山委員】

 核変換についてですが、非常に重要なテーマだとお伺いしております。それでやはりこの時期非常に気になりますのは、新しい原子炉を建設するのを、今後数年間を見込んでいらっしゃるということですが、これは原発事故前からの御計画であるともちろん拝見しておりますが、原発事故後、変更なく計画どおりに進められるのか。また、その周辺の対策などをお聞かせいただければと思いました。

【永宮センター長】

 原発事故が起こって何が起こったかというと、そろそろ廃棄物の処理もきちっと考えなければいけないという事態になっていて、原発が今後、僕はある程度進むとは思うんですけれども、進まないとしても廃棄物の処理という問題は相変わらず残ってくるわけです。この廃棄物の処理を加速器駆動型でやるか、もんじゅのような高速炉を使ってやるかというのが原子力委員会の大きな課題でありましたが、もんじゅのようなものはより難しい形になっておりますので、我々としては加速器駆動の核変換を強力に推し進めたい。これは国際的にもこれが進められておりまして、中国では250億円ほど使って新たな加速器駆動の装置が予算化されて強力に進められつつあります。ヨーロッパでもそういうことが進みつつあるということで、せっかく日本でこういう考えを出した計画でありますので、それを強力に進めていきたいというふうに考えています。

【横山委員】

 ありがとうございます。追加で恐れ入ります。原研さんがJRR-3なども十分長い御経験を積んでいらっしゃると思うんですが、しかしながら、ここで新たに新しい原子炉を作るというときに、その進め方については、例えば地元への御説明等々はどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

【池田副センター長】

 まず、原子炉を新しく作るという一つの大きな事業に対しては、今、国の原子力大綱の見直しということで、福島を受けた今後の原子力の行く末について今国が議論して、答申が出ようとしています。それを見ながらということになると思います。それから、これは加速器を使った形の駆動システムということで、若干今までの核分裂ベースの炉とは違うということで、この辺の安全評価のあり方と。どういう方向で行くのかということもきちっとその辺の実際のあり方については議論が恐らく最初にあって、その先に建設をしていく可能性を見ていくということになろうか。ですから、全てありきということではないと。我々の姿勢としては、是非核変換という。今福島を受けて、逆の我々の問題意識は非常に高いところがありまして、バックエンドをきちっとやろうと。一つの大きな魅力的なオプションを是非進めていきたいということであります。ですから、何かをするときには必ず適切な評価というものがまずあって、その先があるということで、スタンスとしては、そこを堅持しながらやっていくということです。あと、地元に関しましては、核変換という言葉については、皆さん異口同音、私が接触した範囲でございますが、是非やってくださいと。いろいろなレベルの言い方があると思いますけれども、ゴミをきちっと分別して処理をすると。これは非常に良いことですので、是非それを進めてくださいという、地元を含めてそういう声はいただいているところでございます。

【永宮センター長】

 福島の前は、実はTEF-Pという物理の炉の部分を先に行って、TEF-Tというのを後でやるという、そういうストラテジーを組んでおりましたけれども、福島があったこともありまして、やはりTEF-Tという、要するにテクノロジーの方を先行させてやる方針に変えました。これは今後5年間行う。その間にTEF-Pという、本当に炉が必要なものが可能かどうかを見極めながら進めていく。そういう戦略に変えたということであります。それによって、また別の分野の物理の人が加わってきて、この計画に非常に魅力を感じているという事実もあります。

【福山主査】

 TとPのプライオリティー、順序を変えたということですね。

【永宮センター長】

 そういうことです。

【福山主査】

 他にはいかがでしょう。

【西島委員】

 今のところも大変重要だと思うんですが、ちょっとそこと視点が違うんですけれども、32ページで、これ同時にぼんと進んだ場合の金額が出ているんですけれども、これはいわゆる維持費、つまりJ-PARCが順調に円滑に5年間動いていくという維持費が十分出たということを前提として、プラスアルファという話ですよね。プラスアルファ、これだけ投入するということですね。

【永宮センター長】

 そういうことです。

【西島委員】

 これをやったことによって維持費が膨らむとか、そういうようなことというのはあるのでしょうか。例えば、ここをこれだけ通して動き始めれば、従来の維持費ではとても無理だとか、そういう話があるかということが1点。

【永宮センター長】

 それはないわけではないんですけれども、維持費のゴールというのがございます。我々前回の評価部会で187億円というの。それが出れば、別に必要はないんですけれども、ゴールに行かないときに、今ちょっとまだそれより少ないわけですから、その中で全部やれというのは確かに問題があることはあります。

【西島委員】

 もう1点は、2ページのときに、維持費の中で目標が9サイクルで、KEKが現在6サイクル、JAEAが8サイクルということですが、これは目標が9サイクルと現在云々というのは、これはどういうふうに私達は捉えればいいんですか。

【永宮センター長】

 それは量研室に答えていただいた方がいいのかもしれませんけど、9サイクルというのは今全ての施設が目標しているところです。去年の概算要求も全部9サイクルで出たんですけれども、実際に予算化されたのはKEK分が6サイクルで、JAEA分は8サイクル予算化されたということ。

【西島委員】

 いや、そうなると、目標は目標ですけど、現実としてそういう形になってくると、現実として維持費は9サイクルないわけですね。そこへもってきて新しくこれだけを投入していって、維持費が出たことを前提とするというと、結構思い切って優先順位をあらかじめ付けておかないと、つまり、評価の仕方として、さっきの核変換も含めて話を聞いていくと、どれもこれも大事なことだからやった方がいいという単なる応援演説ではなくて、むしろそこは厳しく書いた方がいいという、そういうものをいただければ。

【永宮センター長】

 相関してないわけじゃないですけど、現在の維持費で施設が全部予算化されて、絶対に運営できないかというと、それは必ずしもそうでもないです

【西島委員】

 いや、全てのコミュニティが満たされて、しかも、最先端の方に持っていって日本が科学技術立国でやっていくということになれば、私のように分野違いからすれば、お金のことを度外視してでも、こういう部門は頑張ってくれと言うのは容易ですが、現実的な話として、科学技術予算がどんどん減って、しかもイノベーションの優先順位も震災以降はライフイノベーションが3番目になったし、グリーンが2番でというようなことを考えてくると、果たしてこの話を聞いていて、どれもこれもみんな重要だから頑張ってくださいという形ではないと思うんですね。そういうものに対する優先順位をつけるなり、英断するなりというような材料がここにはちょっと見えてこない。もちろん、そこから出すのは難しいと思うんですが。

【田村委員】

 ちょっとよろしいですか。

【福山主査】

 はい、どうぞ。

【田村委員】

 非常に重要なポイントだと僕も思うんですけれども、中性子とかミュオンとかハドロンは基本的にビームラインを増やすということで、ほとんど同時にそれは動いて、それで成果はその分だけ同じ時間で沢山出るわけですね。そのビームラインを動かすための維持費はもちろん余計にかかりますけれども、それ以上にもともと加速器全体の運転経費というのはもの凄くかかっているわけです。だから、それに比べると、多少ビームラインが増えた分だけ維持費がかかっても、それだけ同時に成果が出るという方が良いということもあり得るわけで、それはやはり維持費がどれぐらいかかるかというのも含めた試算をして、それでどっちがメリットがあるかという議論をする必要があるのだと思います。

【西島委員】

 ですよね。

【田村委員】

 僕は多分、ビームラインに関しては多い方が結局は、多少ビームタイムも最終的に削ることがあるとしても、成果は沢山出るという方向に行くだろうと思います。

【西島委員】

 今日その数字はないですよね。

【田村委員】

 それはやはり欲しいと思いますけども。

【福山主査】

 今のプライオリティーをつけるという点で、確かに、これは32ページでしたね。これを拝見して、全体の中で、左に書いてある項目の中でどういう順序をつけるかという、核変換はともかく先にやるとか、そういう意味での順序付けと同時に、ちょっと違和感があるのは、ミュオンとかハドロンで、ミュオンだったらSとH同時、ハドロンも素核同時と。こういうふうに書くと、両方ともずっとだめになるという可能性が出やすい。そういうことを気にしておられるんじゃないですか。要するにここは少し、同時と書いてあるところは問題のスケールは少し下かもしれませんけれども、その中でも順序をつけておく。そうでないと、同時というと、同時に進まなければコミュニティが満足しないというと、これは額が増える。従って、バリアは当然高くなる。それを覚悟の上でこう言っておられるのかどうか。こういうところに同時と書かれると、コミュニティ、ちょっと離れたところから見たときにどうかと。その観点で、中性子、先程、これは何ページだったかな。11ページの説明のときに、4本のビームラインのお話があって、中性子科学会がプライオリティー付きで提案をするとはっきりおっしゃっていた。これはプライオリティーが付いているんですね。この4本の中で順番があると。それは学会で決められたと。ミュオンに関しても当然それがないといけないだろうと。ハドロンの場合は素と核だから、これは厄介かなとは思うんですけど。要するに、どこまで出来るかどうかは別として、そういうプライオリティー、順序付け、それがある程度コミュニティから提示されないと、行政のほうでもどこまで対応していいのかと。それが戸惑うもとになるんじゃないかと。さらに根本的にJ-PARC全体としてどういうところを中心にまずやっていくとか、そういうストラテジーが必要になってくる。

【相原委員】

 まさにその点で、西島委員も、今福山主査もおっしゃったんですけど、評価といった観点で、かつ、今の永宮先生のお話からだと、明確な優先付けが必要と言うんですけれども、優先付けをするべき境界条件といいますか、ユニット、まさにどのレベルまで優先付けするのかは福山先生がおっしゃった通りのことで、ブレークダウンするのか。J-PARC全体で良い悪いだけでいいのか。そうでないのであれば、この四つ、大きな項目があるんですけれども、どこかだけがいい、あるいはどこかだけだめというレベルにするのか。さらにブレークダウンしていくのか。あるいは先生がおっしゃったように、同時と言っているけれども、ここの委員会としては、これはこっちだよというまで踏み込むのかという疑問が一つあります。それからもう一つは、これはもっと大きな境界条件なんですけれども、この5年間でレッド、ブルーで分けてあるわけですけれども、JAEAのお金の払う部分とKEKの払う部分というのを同等に扱うべきなのか、そうでないのか。金を払えるんだったらそっちでやってくれというような話もあるわけですけれども、そういうことではなく、完璧にあるユニットに関して、ここに評価の観点、お金というより、この評価の観点、ガイドラインに従って、あるユニットについては厳しく評価しなさいという境界条件をはっきりさせていただかないと、ぱっと来たとき、どのユニットまで含め、全体としては良くないんだけれども、これだけ取るとか、いろいろなレベルに評価の観点がぶれますので、その辺の全体の指針については、あるいはセンターの方でこうしてほしいという指針があったのか、あるいは福山先生の方でこうすべきという指針があるか。もっと言えば、実は行政の方でこういうガイドラインがあるのかという点についてはいかがでしょうか。

【福山主査】

 永宮先生、いかがですか。

【永宮センター長】

 言われていることは皆もっともで、私もいろいろ考えたことが沢山あるんですけど、まず、JAEAとKEKと何が違うかといいますと、JAEAは核変換というのは、多分、ここの課じゃなくて、開発局という別の局の所掌になるんですね。それ以外のものは逆に、共用法のカテゴリーでどれだけ収まるかということになってくるような感じがします。いいですか。その二つに分ける。それから、KEKと書いてあるものは全部、多分同等に扱われるというか、同じところからお金が出てくるわけで、その場合、一番の課題は、やはりスーパービーといかに同時進行できるかというのが一番苦しいところじゃないかなと思っています。ということで、直感的にいうと、JAEAもKEKもそれぞれ100億以下にしないとだめなんじゃないかなという感じは持っています。皆さん、集めてみると、それでは足りないということにはなっていますが。それからもう一つは、ミュオンとハドロンの同時進行というのは、私自身も福山先生の言われたようなことを何回も当事者に投げかけてみました。ただ、どうしても当事者のコミュニティは同時進行でないと嫌であると言われたので、このままこういうふうに書いているということであります。しかし、ここでこれはきちっと順序をつけてくださいという指針が出ましたら、私の方でもう一遍帰ってそういうことをお願いするということをするのは、不可能ではないと思います。そういうことで、今のところは、先ほど言ったように、ちょっと極端な言い方をすれば、一つ遅れたら全部遅れてもいいのかという質問を私が当事者にいたしましたら、それで結構だという、そういう感じの、ともかく同時にやりたいということに非常に強い希望があるということです。

【福山主査】

 ああ、そうですか。御説明ありがとうございました。ミュオンの場合の同時というのはそういう意味だとすると、同時じゃないとこれは動かない、進められないという。素核の場合もそれでいいわけですか。

【永宮センター長】

 と言っても、現実にはそうなるかどうかというのは別問題です。僕のレベルの話でありますから、ここでもう一度それをきちっと、やはりきちっとするべきだと言うなら、それはそれなりに意味のあることだと思います。

【福山主査】

 このことは議論した方がいい。

【相原委員】

 ですから、要するに質問の意図としては、そういうユニットで評価していいんですかという話ですね。それ以外はしなくてよろしいというのか、もっとセンター側からそういうふうな要望があったとしても、我々としてはもうちょっと踏み込んで個別のもうちょっと下のユニットまで考えて評価すべきなのか、すべきでないのか。やはり評価の場合、一番上の指針を先に点をつける前に決めておかないと、付けて見てから変えるというのはまずいですので、それは絶対避けるべきだと思います。どうすべきかという大方針は誰かが示さなければ、委員が示すのか、行政が示すのか、主査が示すのか。やっていただいて、それを聞いた上でプロフェッショナルとして振る舞うということは僕はできると思うんですけれども、それがなくて、もやもやという感じはできれば避けていただきたいなという希望です。

【福山主査】

 おっしゃる通りだと思います。評価、基本的にプライオリティーを付けるということと一緒だと思いますけれども、そのことを個々の委員の方がなさる時に、全体の枠組みの中で、そもそもどういうウエートがつけられているのかという、その理解がないと適切なコメントができないと。その点に関して、こういうJ-PARCでいろいろな分野、違う分野の方が協力して仕事を進めているときに、違う分野の間のプライオリティーというのをつけるのは一般に難しいですね。少しブレークダウンして、例えば中性子、ミュオン、そういう中だったら、学会の中で責任を持ってプライオリティーを付けていただく。そこは出来るかもしれない。それに関して、先程の確認ですけど、中性子に関しては4本のビームラインの御提案はあるけれども、そこはコミュニティの中で納得されているのでしょうか。

【金谷委員】

 ある程度の議論は進める。

【福山主査】

 その観点で、やっぱりミュオンはどうでしょう。

【鳥養委員】

 ミュオンの方は毎年ロードマップの見直しを中間子科学会の総会でしておりまして、これまでSライン、Hラインという優先順位が付いていたんですが、やはり最低限ビームラインのところが着手していないと、外部資金によるその先の実験装置の開発というところに科学研究費の審査等で非常に厳しい状況があるということがありまして、とにかくSライン、Hラインの最低限のところは着手しようという考えで提案してきたものでございまして、プライオリティーを全くつけていないということではなく、Hラインは実験装置全部ではなく最低限のビームライン、ビームラインの一番基本の部分だけというふうに申し上げたらいいでしょうか、ということを御提案しているわけです。さらに、砕いていいますと、Sラインは4本ございます。この4本の1本1本に超高圧とか、極低温とか、いろいろ性質を持たせたいというユーザーの強い希望があるわけですが、例えば4本のうちの2本を先行するというふうなプライオリティーのつけ方は議論してまいりたいと。コミュニティの中でも相当議論して、そういう決め方ということも議論したんですが、全体としてはかなり実験装置の部分は削っても、基本的な部分だけは整備しようと。そういう結論に今年至ったというわけでございます。

【福山主査】

 いかがでしょうか、今の御説明。横山さん。

【横山委員】

 例えば、御提案ですが、それぞれの内容によっては適さないかもしれませんが、総額のうち6割方をA、8割方をB、そして10割をCというような区分をつくっていただいて、ここまでは最低限進めたいというコミュニティの先生方の意図を最低限実施できるような区別の仕方というようなものが可視化されていると、委員の先生方の方は評価しやすいといいますか、進めやすいという印象は持ちましたが、そのようなことはいかがでしょうか。

【福山主査】

 そうですね。それが一つ。ここにSとH同時と書いてあるけれども、その中身を少しブレークダウンして、その中のプライオリティー。そういう説明付きの順序付けというか、アブソリュートに順序じゃなくて、条件を明確にした上での順序付け。

【相原委員】

 今は何かミュオンだけが目立ってしまっていますけれども、こういうユニットにラベルがされているからであって、今横山先生がおっしゃったことは、もっと大きなラベルを付けたって構わないわけですね。ミュオンを通すかわりに、他を6割に抑えろとかいうことも出来るわけですので、何かそこにガイドラインがないと比べられない、もしそこまでやれとおっしゃるのであればですよ。サイエンティフィックにこういうコミュニティは良いという評価だけであれば、それを見て行政がどう振り分けるかは行政の責任でやるべきものだと僕は思いますけれども、更に行政に近いところまで踏み込めとおっしゃるのであれば、やはりどのレベルまでを我々に成績を付けろとおっしゃっているのかを定めないと、本当は出来ないだろうと思います。

【福山主査】

 これは永遠の課題。金谷さん。

【金谷委員】

 同じことを言うことになるかもしれませんが、僕ここの場でこの議論がいつ始まるのかなと思ってちょっと心配していたんですが、要するにプライオリティーをつけろという議論は、まず分野間、ここで言えば、例えば中性子、ミュオン、ハドロン云々あって、そこの中でのプライオリティーのつけ方と、それからコミュニティの中でのプライオリティーのつけ方というのは必ずしも一緒じゃないし、そこのところの大前提というのが、今、相原先生の言葉で言うと、行政から出てくるのか、福山先生から出てくるのか、J-PARCから出てくるのか知りませんが、そこがないことには我々は議論、もう何かどなり合いになってしまうのではないかなという危惧を持ちます。

【永宮センター長】

 ちょっと付け足しますと、最初集計したときは、これよりはるかに大きい数が出てきたんです。我々としては絞りに絞ってもらって、こういう値が出てきたんです。もうちょっと大きな観点で、これはこのままいってもいいものかどうか。あるいはこれの半分ぐらいにしたほうがいいかどうかとか、そういうガイドラインがないと、A、B、Cを付けなさいと言ったって、内部で大変なバトルになります。だから、そこら辺、何とか部会の方で優先順位を付けておいてもらって、あとは行政に任せてくださいと言うんだったら、我々としてはかえって気が楽になります。

【福山主査】

 この問題は、経費がかさむ計画に関しては絶えずある。ある意味で永遠の課題だと思います。もちろん、最終的には行政、文科省が財務省といろいろやりとりするときに、どのくらい迫力を持ってインパクトがあるようなアプローチができるかどうか。それを支えるのはやっぱりコミュニティ、こういうところですよね。そこはやっぱり十分連携しなきゃいけない。恐らくこの委員会の役目は、何でも順序をつけるというのではなくて、それぞれの分野での活動状況、既にいろいろお聞きしている。その中で、例えば少し下のレベルになりますけれども、先ほどのミュオンの説明だと、S、H同時と書いてあるけれども、よくよく伺うとこういうことだと。素核、ハドロンのところも少しスケールアップしていますけれども、そこに関しても同様な状況があって、それをこういうサイエンティフィックなコミュニティ、ここでそれぞれのケースがどうなっていくかということを十分紹介された。それをもとに委員の方はどう思うかを整理して、最終的にはそれを行政で少し状況に合わせて整理して順序立てて、いつもお金が足りないに決まっているので足りない。その足りなさの中で、どれにウエートをかけて最初にやるかどうか。それは行政の決断にお任せしなきゃいけない。だけど、行政が決断するときに、サイエンスのコミュニティにとってプラスになるように、行政もそれを踏まえて実行して、サイエンスコミュニティからもちゃんと喜んでもらえるようにという、そこのコミュニケーションですよね。相互理解。それに関して十分各カテゴリーのところの状況説明ができているかどうか。結局そこに尽きると思うんです。それが基本で、その中で少しカテゴリー、限定されたその中での順序の意味、どういうことであればこうだという、その説明がちゃんとされていることが必須だろうと思うんですけど。そうであれば、センターのほうもやりやすいでしょうか。永宮さん、どうでしょう。

【永宮センター長】

 はい、そうです。全くおっしゃるとおりです。

【福山主査】

 それ以上はさすがに、こういう委員会でも確かに金谷さんが危惧するように、深みにはまっていくと、それは罵倒するだけになりますよね。それはコミュニティにとってよくないこと、避けたいこと、建設的じゃない。だけど、いいところはそれぞれのところでちゃんとアピールしていただいて、何が大事で、そのために何をやろうとしているか。その中身はどうか。幾らかかるのか。それだけはきちっと言っていただく。それがここでちゃんと紹介されたところは評価が当然高くなると思います。そうでないところは仕方がないですね。西島さん、何か。

【西島委員】

 分かりました。福山主査の御意見というか、意味合いは十分察知いたしました。これまでの話を聞いて、結局、こういうふうに進めるときの課題なり、覚悟なり、そういうものを評価の方でやって、この中であえて中の方の優先順位に踏み込むとか、こっちをやって、こっちはだめよとか、実際できる題材は私たちのところに多分ないんじゃないかなというふうに思うんですね。恐らく今回の評価はそれでいいと思うんですが、場合によれば、2、3年経ったら、文科省がないものはないというので100億円で何とかしろという話が出てくるかも。そうなった時に、いや応なしに優先順位をつけるので、そのときは気持ちよくバトルしようと。そういうような気持ちで、今回は出てきたものに対して非常に前向きに、これを進めるならこういうところに注意すべきとか、こういうところをやるならグローバル展開がいいというような、そういうような評価になっていくという形でよろしいんじゃないですかね。

【福山主査】

 その基本にあるのはJ-PARCという大変なサイエンティフィックなオペレーション、永宮センター長の御尽力で建設の段階はかなりクリアして、これからはいかに見事なサイエンスを展開するか。そこが非常に重要な側面、それがあるので、そこはやはりいろいろ期待、希望を持って、エンカレッジしていろいろ考えたい。その際に確かにすべての分野の計画が同じように進捗しているわけじゃない。少しバランスがずれているわけですけど。それは個々のケースに関して目配りして、いいところはいい、逆にもうちょっとこうなっていればもっといいんじゃないかという、そういう視点でのコメント、これは必要ですね。基本は、やっぱりこれだけ1,400億以上使ってつくった施設でいい成果が出てくる。そのために工夫しなきゃいけないので、今回のこの評価委員会の一番基本はまずそこだと思うんです。建設の段階は基本的に終わったところが多い。終わっていないところも当然ある。これからサイエンスをやって何ぼと。そこが基軸で、そこにも活動がそういう方向に行っている部分、行きつつあるところ、もうちょっと、まあステージはいろいろありますよね。それぞれの状況を十分そこに留意しつつ、それぞれの分野に関してのコメントをいただく。それがきちっと整理できれば、あと文科省に頑張っていただく。御理解いただいて、それを踏まえて頑張っていただくという。そういうのはどうでしょうかね。それ以上はなかなか難しいし、やって建設的かどうかも自信ありませんね。サイエンスコミュニティとして。

 原さん、何か御意見は。

【原室長】

 ありがとうございます。福山先生にお話しいただいたとおりでございますけれども、予算制度上は毎年必要な額を要求するということになっていますので、例えば今後、5年間で100億円を渡すから優先順位をつけろという境界条件を例えば設定したとしても、100億円確保できるかもわからないですし、我々担当の気持ちとしては、できればそれ以上の金額を確保したいという気持ちがあります。この場ではJ-PARCセンターと、J-PARC全体として評価をしていただいていますけれども、この他の評価の枠組みとして、例えば学術分野についての学術分科会での評価ですとか、あるいは原子力政策を通じた原子力政策についての評価とか、いろいろな評価が輻輳的に絡み合っておりますので、なかなかJ-PARCの評価だけで決めた優先順位で省の中でそれが最終的な評価になるというわけでもないという状況がございます。我々としては、このJ-PARCセンターを有効に活用して、成果を出していただくために評価をしていただいているという気持ちですので、今後J-PARCという施設自体により良い研究成果を出していただくための、我々を支えていただくような観点からの評価をしていただくというのが行政にとってはありがたいということでございます。

【福山主査】

 皆様、よろしいでしょうか。難しい作業だと思いますけど。要するに視点というか、見方に関して。机上資料の評価の観点のところをそういう観点で見ていただくということで、報告書の素案について、事務局の方から以上の議論を踏まえて御説明ください。

【阿部補佐】

 それでは、資料3を御覧ください。「大強度陽子加速器施設中間評価報告書(素案)」というものを作成させていただいております。1枚おめくりください。目次(案)でございます。最初に、概要を1枚、最終的には入れようと考えておりますけれども、中身の項目としましては、1から7までの見出しを付けております。また、最後に参考資料を適宜入れさせていただこうかと考えているところです。まず、2ページ目になりますが、「はじめに」というところで、今回の評価に当たりまして、そもそものJ-PARCの概要、それから建設開始以降の状況、これまでいつ評価等をしてきたかといったことをそれぞれ順番に記載しております。それから、本中間評価の位置付け及び目的ということで、こちらも第1回のときに説明させていただいておりますが、今回のこの評価作業部会の位置付け等々を記載しております。めくっていただきまして3ページ目、上から4ポツ目のところでございますけれども、「本部会は、J-PARCの意義について再確認するとともに、東日本大震災からの復旧、平成19年の中間評価における指摘事項への対応、その後の状況の変化を踏まえ、施設の運用や体制、国際研究拠点としての取組、共用の促進の評価を行うとともに、今後の課題について検討を行い、ここに結果を取りまとめた。今後、本中間報告書を踏まえつつ、J-PARCにおける研究や利用の更なる推進に向け取り組んでいくことを期待する。」というような形で「はじめに」を記載しております。以下、評価の経過と次のページに、それ以外で幾つか近年まとめられております報告書を3点ほど記載しております。

 4ページの真ん中から2章目としまして、J-PARCの意義及び現状についてでございます。まず意義につきましては、「第4期科学技術基本計画」におきまして、J-PARCの果たす役割は非常に大きいということで、このJ-PARCは、多目的の最先端複合研究施設であり、基礎・基盤研究から産業応用まで幅広い分野の研究開発を推進することが期待されているものである。前回の中間評価時からその意義は変わることなく、むしろ本格的な運用が始まる中、本計画、本施設の重要性はさらに高まっている状況にある。また、諸外国でも同様の施設の建設、研究開発が進められており、熾烈な国際競争を踏まえれば、J-PARCを利用した研究の緊急性は極めて高くなっており、引き続き積極的に推進することが極めて重要である。海外施設の状況や施設の違い、そういったものを踏まえつつ、その特長を活かした国際協力と国際競争を推進することが重要である。そして、将来につながる新たな科学技術・学術の開拓、人材育成などを戦略的かつ効果的に支援していくことが必要であるということを記載しております。計画の進捗状況ということで3点挙げておりますけれども、MLFでのビーム共用につきましては若干遅れましたけれども、続くハドロン実験施設やニュートリノ実験施設については、計画どおり開始された。リニアックの400MeVへの性能回復につきましては、製作方法の合理化検討や東日本大震災の影響等によりまして若干遅れておりますけれども、平成25年の夏に実施される予定となっていること。さらに、第2期計画、これは19年の報告書に記載されておりましたけれども、第2期計画として構想されていたものにつきましては、前回中間評価の指摘を踏まえつつ、一部整備が進められているというような状況でございます。

 それから、3章目になります。震災の影響・復旧についてということで何点か記載させていただいております。まず、被災の状況、概要については省略させていただきますが、3ポツ目、23年度前期に実施予定であった約160課題が中止となり、約30課題が海外に流出した。震災当日40人いた外国人ユーザーについては、帰国をサポートすることで全員を帰国させたという状況があったということです。それに対して支援ということで、いろいろなところから支援をいただいたことをここにまとめさせていただいております。多くの学会、産業界等から早期復旧・再稼働の要望や支援が寄せられた。国内ではSPring-8等において、J-PARCで予定されていた課題の一部が実施された。また、アメリカのオークリッジ国立研究所、ロスアラモス国立研究所、英国ラザフォードアップルトン研究所、そういったところから課題の一部受け入れの表明などがございました。また、日本中性子科学会においては、海外の中性子施設の代替利用者に対して旅費を支援するといったことが行われまして、平成24年5月までの間に、主に若手研究者を対象に14件の支援が決定されたということでございます。それから復旧についても、これまでもJ-PARCセンターから御説明いただいたとおりでございますけれども、JAEA及びKEKの両機関の垣根を越えて、センター長の強力なリーダーシップの下、平成23年5月に公表されたスケジュールに基づきまして、研究者をはじめ、J-PARCセンター全体で早期復旧に向けた懸命な努力が行われた。その結果、平成23年12月にはビーム調整を開始し、スケジュールの関係上、復旧できていない部分もあったものの、平成24年1月には運用を再開したというところでございます。そして、今後の課題等ということで記載しておりますが、施設建設に携わったスタッフが復旧作業に参加することにより、早期復旧を実現した。こうした経験を踏まえ、最低限のところは自前で管理・復旧できる体制、これは人材育成であったり、またその確保、そういったものを維持していくことも重要であるということを記載しております。

 続きまして、まさにこの評価部会の重要なところになりますけれども、前回の中間評価、指摘事項への対応状況についてということでまとめている章でございます。施設が建設段階であった前回の中間評価においては、計画の意義及び計画の進捗に加えまして、下に書いてあります(1)から(5)の各項目について検討・評価が行われました。それぞれの指摘事項への対応状況につきましては、一部遅延しているものがあるものの、全体的には概ね順調に進捗していると考えられる。特に、東日本大震災からの早期復旧は、J-PARCセンターが一丸となった取組によるものであり高く評価できる。一方で、未着手な課題や引き続き対応が必要なもの、内外の状況変化による新たな課題や更なる取組の強化が必要なものがある状況である。ということで、以下(1)から(5)まで指摘事項への対応状況をまとめておりますが、ここにつきましては、資料1-3に記載しているところを大まかにまとめているところですので、詳細は省略させていただきますが、まとめているところの記述について紹介させていただきます。

 まず、(1)のところでございますが、平成15年度中間評価指摘事項への対応状況についてということで、MLF及びハドロン実験施設、核変換実験施設、それからフライホイールの導入について指摘されていたところです。ここの最後のポツ、7ページ目でいいますと、3ポツ目のところがまとめているところになりますけれども、以上のとおり、15年度の評価における継続検討事項については、引き続き取組が必要であるが、状況の変化も踏まえつつ、適切に対応しているものと言えるという形で記載させていただいております。続きまして、(2)多目的研究施設としての運用体制の構築についてということで、こちらでは運営体制について、それからセンター内各組織の連携等について、また震災対応について記載しております。それをまとめたものが一番下にございますが、以上のとおり、多目的研究施設としての運営体制の構築については、引き続き改善していくべき課題があるものの、概ね適切に対応していると言えるという形でまとめさせていただいています。続きまして、(3)円滑な施設の運営・利用の推進及び運営経費についてということで、こちらはMLFの関係のものでございます。MLFの審査のこと、それからJRR-3との一体的な運営、それから使い分け、審査体制について、またビームラインの整備に関すること。8ページ目に行きまして、産業利用の拡大のこと、コーディネーターや技術支援者を育成すること、一貫した分析サービスに関すること、知的財産権の保護や機密保持に関すること、運営経費について、そういったことがこの項目で指摘されていることです。それらをまとめますと、以上のとおり、MLFの運営・利用の推進及び運営経費については様々な取組が進められ、平成24年1月に共用を開始したところであるが、産業界からの期待も大きいことも踏まえつつ、引き続き利用者視点に立った運営の改善を進めていくことが必要である、という形でまとめさせていただいております。続きまして、(4)国際公共財としての取組についてという項目でございます。こちらにつきましては研究環境の国際化について、利用環境の国際化について、外国人滞在者やその家族への生活支援等についてといったものが指摘されていたところでございます。それらをまとめておりますのが、1枚めくっていただきまして、9ページ目の一番上でございますけれども、以上のとおり、国際公共財としての取組については一部進められてはいるものの、世界最先端研究施設としての国際的な研究拠点を構築するためには、研究居室等の環境整備をはじめ、より高いレベルでの取組が必要であるということでまとめさせていただいております。最後に(5)今後の課題についてというところでございますが、運用・利用体制については、J-PARCセンターに設置された各委員会で個別にレビューがなされているが、全体的なレビューはまだ行われていない。J-PARCセンターの位置付けに関する運営体制については、引き続き国際諮問委員会で評価を受けるとともに、運用・利用体制に関して、今後の利用の進展を踏まえたレビューを行う必要があるということで記載しているところでございます。

 続きまして、第5章になりますが、ここから第5章、第6章、最後「おわりに」の第7章については、本日の議論を踏まえて、また少し事務局の方で記載した上で委員の皆様に御確認していただくことになるかと思いますが、まず項目だけこちらの案として入れさせていただいております。まず、第5章、計画を取り巻く状況の変化等を踏まえた課題についてということで3点主に入れておりますが、(1)研究能力の更なる向上についてということで、運営体制や位置付けを含め、取組の現状、また戦略的な研究の推進について、今後の課題、例えばビームのさらなる増強及び性能の向上、そういったことをまとめていければと考えております。次に、(2)国際研究拠点化についてということで、国際公共財としての取組の状況、今後の課題、例えば研究環境の整備、外国人スタッフの増加、地域との連携の強化といったことがここに記載すべきことではないかということで柱を立てております。それから(3)MLFの共用の促進についてということで、こちらはア)からエ)まで4項目、記載しております。まず、ア)ですが、円滑な共用の推進及び利用支援の強化についてということで、共用開始の状況、登録期間の役割や利用支援の状況、今後の課題と展望といったこと。イ)としまして利用料金について、本日利用料金の基本的な考え方について参考資料を入れさせていただいておりますけれども、料金の考え方、共用ビームラインの当面の料金について、それから効果的・効率的な運営、自己収入の増加努力、そういったことがここに記載が必要ではないかということで入れております。それから、ウ)共用ビームラインの考え方について、共用開始後の現状、共用ビームラインの整備方針、専用ビームラインがプロジェクトを終わった後に共用化していくこともあるのではないかということで、そういったときの考え方、あり方、そういうものを記載してはどうかと考えております。それから、エ)として産業利用の促進について、産業界からの期待や要望、産業利用の状況と課題、産業利用の拡充に向けた取組、例えばトライアルユースの有効性であったり、専用ビームラインの外部利用の促進、また共同出資によるビームラインの整備の可能性、今回御指摘もございましたので、そういうことをここに記載してはどうかと考えているところです。

 それから第6章としまして、今後の課題及び計画の進め方についてということで、上記を踏まえた課題と今後の方策。特に、今後5年間の重要事項、それから早期に予算化すべき事項等について。また今後のスケジュールについては、計画の進捗や国内外の諸状況、社会的ニーズ、財政状況等を十分に踏まえ、適宜見直していくことが必要といった留意事項が必要なのではないかということで何点か箇条書きにさせていただいております。

 それから最後、「おわりに」ということで、第4期科学技術基本計画が始まったところですので、そういった中でJ-PARCの果たす役割や今後の期待ということを最後にまとめさせていただければと考えている次第でございます。

 1枚めくっていただきまして、11ページ目でございますが、参考資料としましては、ここに書いてあるような資料1から資料13まで、このような資料をこの報告書の中に添付すれば、今後、何か活用する際にも参照できるのではないかということで入れさせていただいておりますが、まず、中間評価票ということで、本日机上に置かせていただいております様式がございまして、審議会のほうではそちらの様式を提出することになっておりますので、それを添付してはどうかということ。それから資料2として、そもそものJ-PARCの概要を何点か。資料3として、震災の被害と復旧状況。資料4として、関係予算の内訳等々。資料5、6ということで、運営体制やセンターの組織について。資料7で利用料金のこと。資料8でJRR-3の利用状況。資料9として、国際的な位置付け等々について。資料10として、これはどこまで書けるかということであるかと思いますけれども、今後5年程度のスケジュール。資料11、12、13ということで、本部会の設置、開催経費、委員一覧というものを添付してはどうかと考えております。今のところ資料11ということで開催経緯だけ添付させていただいておりますけれども、これら資料を全体まとめたものとして、一つ冊子にまとめてはどうかと考えております。以上になります。

【福山主査】

 どうもありがとうございました。確認ですけれども、資料1、これが机上資料としてある中間評価結果という、この書類のことでしょうか。2枚目をめくって、裏に中間評価票と。こういうところに、狭いスペースにこの委員会で行った作業の結果をまとめると。

【阿部補佐】

 少し補足させていただきますと、今まさにこの委員会で作っていただいています報告書、これをもとに事務局の方で埋めさせていただいた上で御確認いただいて、それでここの親委員会になります先端研究基盤部会に報告するものとして適切かどうかというものを御確認いただくということになるかと思います。

【福山主査】

 提出先が?

【阿部補佐】

 先端研究基盤部会に報告することになります。当然、この報告書本体と合わせてになります。その上で最終的には、さらにその一番上の委員会の組織になります科学技術・学術審議会に報告されることになります。

【福山主査】

 はい。全体のスケジュール、枠組みがそうなっていると。それで、今の事務局からの御説明、報告書の案について、いかがでしょうか。

【田村委員】

 ハドロンのことばかりで申しわけないですが、この素案の4の(1)平成15年度中間評価指摘事項への対応状況についての最初の部分、この部分は資料1-3でしたかね。これの要約であるというふうにお聞きしましたけれども、最初のところにMLF及びハドロン実験施設については、研究者コミュニティのニーズ等に基づき整備等を進めているというふうに書いてありますけれども、これは1-3にある内容と少なくともハドロンに関しては全然違っていると思います。

 ハドロンについては、ここの1-3にありますように、指摘されている当該研究分野で優先順位付けを行って、それで判断しなさいというふうに指摘されていることに対して、研究コミュニティで議論して、これこれこういう計画になっている、ということを書いてあるだけなんですね。それで、実際に整備は進んでいないと。正直申しまして、先ほど何度も出ている高運動量ビームラインに関しては、ここ何年にもわたって我々のコミュニティは欲しいということを申し上げているんですけれども、実現していないということがありますので、このサマリーの部分にハドロンも一緒に整備等を進めているというふうに書いていただくのは、これはちょっと我々としては非常に心外であると思いますので、済みませんが、変更をお願いしたいと思います。

【福山主査】

 ハドロンは少し状況が、進捗状況のステージが違うと。事実としてそうだ。確かにそれはそうですね。他に。横山さん。

【横山委員】

 恐れ入ります。恐らく平成15年度、あるいは12年度の評価の際にはどこかに入れていただいたと思うんですが、やはりこれだけ大きな施設でございますので、パブリックへのアカウンタビリティーと、それに対する対策というのを文面でどこかに入れていただきたいと思います。私、僣越ながら、J-PARCの広報委員会の委員を務めておりまして、広報セクションリーダーでしょうか、鈴木さんという素晴らしい方がいらっしゃいまして、またJAEAの方でもクボさんというリスクのマネジメントを非常に経験を積んだプロの方がいらっしゃいまして、そうした協力体制のもと、もの凄くこの数年で努力を重ねられて進化していると思います。しかしながら、震災等を経て、科学に対する見方などが国民的に全面的にパラダイムシフトしている中でありまして、そうした中での基礎科学等々の説明のあり方というのはやはり丁寧にしていく必要があるかと思いますので、大きな項目でなくて結構だと思いますので、小さくても一言入れていただければ大変幸いでございます。

【福山主査】

 そうですね。社会とのつながりの点。他にいかがでしょうか。金谷さん。

【金谷委員】

 中性子に関してなんですけれども、幾つかの部分にJRR-3との一体的運営でありますとか、JRR-3を利用してという文言が出てくるんですが、この委員会でどこまでそれが言えるかどうかわからないんですけど、現在、JRR-3の再稼働についての見通しというのはほとんど我々にはわからない状況ですね。そこで、ここにこういうふうに書かれると、これはJRR-3は動くものだと考えていいならば、我々としては、コミュニティとしては嬉しいわけですが、そこら辺の御配慮というのはどういうふうに考えていらっしゃるのか。ちょっとお聞きしたいんですが。

【阿部補佐】

 済みません、少し補足させていただきますと、そういった状況もございましたし、お話もございましたので、10ページ目のエ)産業利用の促進についてというところの2丸目のところの2ポツ目ですが、定常中性子源であるJRR-3の早期運転再開への期待ということで、このあたりにそういった期待といいますか、この委員会での思いというものを記載してはどうかということで入れさせていただいたところでございます。

【金谷委員】

 ありがとうございます。是非。

【福山主査】

 ちゃんと用意ができている。他に。

【梶田委員】

 この文章の中で、これは素案なので最終的には入るのかもしれないんですけれども、一応確認させていただきたいんだけど、セクション3が震災の影響・復旧についてということでいろいろな事実がずっと書いてあるんですけれども、これは日本のこういう場合にはそぐわないのかもしれないんですけど、やっぱりこの復旧というのは素晴らしいことをやったと思うので、この委員会として、復旧については最大限にこの章で高く評価するべきではないかというふうに、そういうことを書いていいのか分からないんですけれども。

【福山主査】

 そうですね。これは幾ら書いてもいいぐらい、書き過ぎにならないぐらい書きましょう。他に。

【相原委員】

 1点細かいことですけれども、項目で、最初に福山先生がおっしゃったように、他の研究施設との有機的連携、SPring-8なりの経緯のようなもの、そういうものとの連携とかでエンカレッジ、大きな施設が日本に幾つかあるわけですから、それを使ってさらにポジティブなイメージになるような文章を一文入れてメッセージとして出すというか、今後のJ-PARCのあり方をそういうことで考えてくださいというようなところとか、委員長のメッセージですけれども、入れられたらいいかなと思います。

【福山主査】

 それも強調すべき事項ですね。

【西島委員】

 今の点だと、「おわりに」ということで、第4期科学技術基本計画でのJ-PARCの役割や今後の期待ということで立ち位置というか、そういうのもやはり必要だと思うんですね。自分のところだけお金欲しいという人もいるんじゃないかと思うので。今そんな状況じゃないので。

【相原委員】

 おっしゃるとおりだと思います。日本のサイエンスの中で非常に大きな柱であるけれども、それだけではないです。そんなのをアピールするような感じのものを、結びのところに入れるのがいいのかもしれません。

【福山主査】

 今のことに関連して、日本の国民というかタックスペイヤー、政府、大変サイエンスに関して好意的で、大きな1,000億円を超える施設が三つもできていると。これは素晴らしいことで、それをさらにそれぞれの施設が活躍すると同時に、その三つが、さらに三つの背後にあるいろいろな施設も連携して、今まで投資された施設がフルにより効率的に活動できるようにという、業界ではプラットフォームとかいろいろな言い方をするんですけれども、そういうのをより志向すべきであるとか、そういうメッセージはこの場でするのはいいのかもしれませんね。

 他にいかがでしょうか。金子さん。

【金子委員】

 4の(3)のところの円滑な施設の運営・利用の中の、産業利用の拡大に関していいますと、もう既に30%も産業利用を使われているという実績の部分が書いてなくて、これだけ見ると、まだそれほど使われていなくて、これからトライアルユースをやって拡大していきますよというふうにも読み取れるので、もう既に産業界にとっては大変重要な施設になっているということを書いていただいた方がいいかなというふうに思います。

【福山主査】

 確かにそれは驚きですよね。短期間によくそこまでいったと。確かにいろいろポジティブの面がある。それをもっといろいろあちこちで強調すると。この報告書全体的にそこが大事なところですね。褒めるべきところはとことん褒めると。確かに今の産業、金子さんが言われたの、ちょっと前を考えると夢のようですよね。

【金子委員】

 はい。SPring-8が20%と言っている中で、まさか30%までいくとは思わなかったので、私自身の感想としても本当によく使われているなと思います。

【福山主査】

 そうですね。ありがとうございました。他にいかがでしょうか。

【相原委員】

 そういう観点からいうと、これまでの業績というか、そういうことがどこにも出ていないのかなという気がする。サマリーみたいものが。いろいろ実際は出ているわけで、そのくらいはどこかに書いておいて、要するにもう既にいろいろ出ているわけですよね。もちろん素粒子だけじゃなくて、いろいろな分野で。その辺は何もなくて問題点だけというのは違うと思う。育てるための評価であるのであれば、何がうまくいってきたのか、そしてそれに対する思いというようなものを入れて、その上でさらに良くするための評価という感じのほうが後で使いやすくないかなと思いますけれども。

【福山主査】

 まず褒めて、それからアドバイスを適切にすると。

【相原委員】

 それはいっぱい業績があるわけですけど、その辺を適切な形でまとめられるといいと思います。各分野からのバランスをとってですね。

【福山主査】

 余計なことですけど、評価というと、どうしてもあげつらって何だかんだとつつくことが多いんですけれども、それは余り生産的でないときがあるので、こういう大きな施設の場合は特に将来を考えて、いいところはどんどん褒めて、その上でアドバイスをすると、効き目がありますよね。基本的にそういうのを共通認識にできればと。ほかに。さらにいろいろ御意見ないでしょうか。

【永宮センター長】

 今のことに関しては、第1回に話したときに、今までの成果のようなものを1ページにまとめたのがあるんですね。パワーから始まって、素粒子と原子核では何をやって何があったか。そういうのがあります。それをちょっと肉付けするような格好で書いていただければ、ずっと実りがあると思います。

【福山主査】

 確かに、ハイライト。

【田村委員】

 ここにない観点で、それほど重要じゃないのかもしれませんけれども、あるといいなと思うのは、一つは教育、研究者養成の教育的な役割をどれだけ担っているかということを、KEKは大学共同利用施設、機関ですので、当然と言えば当然ですけれども、MLFも含めて、相当な数の学生さんがそこで最先端の技術を学んで研究者としてもの凄い高度な教育を受けているということは我々としてみては当然ですけれども、やはり是非何処かに書いて、どれぐらいの学生が実際やっているか。人数なども入れてあるといいのかなとちょっと思いました。それから、もう一つはアウトリーチというか、社会に対する発信ですけれども、J-PARCの一般公開というのが物すごい人数が来るんですよね。2,000人以上来たという話を。

【永宮センター長】

 もっと、4,000人来ています。

【田村委員】

 4,000人ですか。東京からあんな遠いのに4,000人というのはちょっと信じがたい数字だと思うんですが、それだけ市民からも注目されていて、実際にこれだけのお金を使っているわけで、当然発信する必要があるわけですけれども、それをこれまでこういうふうにやってきたということをぜひ評価したいと思います。さらに、それをもっとやるべきであるということを書いたらいいかなと思うんですけど。

【福山主査】

 そうですね。それもプラスのところですね。さっきおっしゃった教育ということ、具体的には学生さん、院生まで含めて、学生に関しての言及かと思います。教育で一番、学部教育は別ですけれども、少しサイエンスがわかった人の一番いい教育は研究のセンターに投げ込む。研究のセンターにおける教育、エディケーショナルリサーチ・フロンティア、これはやっぱりキーポイントで、それは大きな施設だと非常に実効的にできる。それを強調する。さらにそれを踏まえて、もっと広く人材育成、ポスドク、もうちょっと先に行った、だけど若い人の人材育成といっても非常に重要なポイントになりますね。確かにそこら辺の現況は少ないかもしれません。

 他にいかがでしょうか、この際。今日いろいろ言っていただくと、次回の時の案がより内容豊かになるかと思います。ちょっと座長不手際で、最初のところで御紹介があった参考資料3、共用ビームラインの利用料金について、事務局から御説明があって、そこについて最初きちっと意見交換をしなかったんですけど。これは当初パワーが十分出ないということで少し休みになって、ちゃんと出るようになったら少し料金を高めるという、そういう戦略性がある。そういう運営費回収方式により利用料金設定になっていて、これは財務省とも合意されていると。だからこういう方式でやらせていただきたいと。今回のリポートでもそういうことがもとになると。利用料金のところ、(3)、イ)のところですね、利用料金。そこでは今日の参考資料3がもとになるかと思います。ほかにいかがでしょうか。

【熊谷委員】

 この中間報告書は、どちらかというと行政とか我々サイドから見ているものだと思うんですが、実はこういう大型施設というのは、民間の企業の研究者、技術者がかなりコミットしてこういう新しい装置ができているんです。そのことがこういう報告書の中では一切余り触れられないというのが、やはり日本のものづくりをエンカレッジするためには、こういう報告書の中にきちっと評価として入れていただいたほうがいいんじゃないかなという印象を常に持っているんですが。

【福山主査】

 具体的に何かこういうところでこういう重要な貢献をいただいているという、具体的な事例を含めて表現するとインパクトがありますね。だから具体的内容としてどういう表現にするのが。

【熊谷委員】

 それは永宮さんとか、担当者の方が多分御存じだと思うんですが、やはり具体的なところ、我々が今こうだこうだというよりは、多分担当者の方が一番よく御存じだと思うんですね、そこは。

【西島委員】

 それは例えばXFELなんかのこの間の式典なんかに行ったときには、小さな会社って失礼ですけれども、一芸にひいでた会社がかなりやっていて、代表して三菱重工株式会社が表彰されているという、例えばそういうようなものづくりの日本の基盤をやっているんだというものを示すという、例えばそういうことですよね。あれは大変私も感動しました。前々から私は知っていましたけれども、中にはそのぐらいそういうところまで絡んでいるんだなというので、そういう意味での企業人としての人が育っているというのがありますね。例えば宇宙ステーションも絡んで、宇宙ステーションも、宇宙ステーションをやった三菱重工株式会社の人はあそこからもうけるのではなくて、宇宙に上げてトラブルがないものを地上で組み立てて、しかもトラブルなく帰ってきたということが自分たちの地上のクオリティーの誇りだし、教育効果が高かったということを三菱重工株式会社の大宮社長なんか言っていましたから、そういうことをうまく書けるといいですね。

【永宮センター長】

 付け加えますと、我々も完成記念式典というのを2009年にやったんですけど、そのときにかなり沢山の会社を表彰しました。だから同じようなことですね。ただ、テクノロジー、加速器の方ですごく沢山の貢献があるんですけれども、それ以外にも検出器とかいろいろなことでもありますから、内部的に精査して、こういうものがフロンティアとして非常にカッティングエッジというかな、そういうものを切り開いているものであるという、そういう感じのことをまとめたほうがいいかもしれないですね。

【福山主査】

 確かに大きくはないけれども、一芸に秀でているところが重要なサポートをすることがある。

【西島委員】

 若い人の科学者離れとか言われていますから。

【福山主査】

 はい。いろいろいい御意見をいただきました。金谷さん。

【金谷委員】

 これもちょっと関係するかもしれないんですけど、産業利用の促進ということについてですが、先程金子さんが言われたように、沢山の企業が入ってきて、30%以上というのは、これはすごい数字だと思うんですが、これを持続的に発展させるためには、やはりもう少し学術のサポートが要ると思うんです。実際見ていますと、とっただけ、測定しただけで、それがなかなかアウトプットに繋がらないデータというのが産業界のデータを見ているとたくさんありまして、これはSPring-8での経験ですが、産学連携のビームラインというのをつくりまして、やはりそこで一緒にやってみると、彼らは非常に目新しくてやるんですが、そこでデータがとまってしまう。そこで解析が止まってしまう。そうすると、最初の立ち上がりは非常にいいんですが、今後の発展を考えると、もう少し産学連携ということをきちっと考えておいてやらないと、発展が失速していくような気がしますので、そういうメカニズム、例えばSPring-8の場合でしたら、産学連携のビームラインを作るとかという形があるかと思いますが、そういうところも少し何らかの形で記載できればいいと思います。

【福山主査】

 SPring-8の時の産学の連携ビームライン、これは研究者と企業、一緒やっているんでしたか。

【熊谷委員】

 一緒にやっていますね。

【福山主査】

 どの段階から一緒にやっているんですか。

【熊谷委員】

 最初の趣意書のところから全部。

【金谷委員】

 趣意書からですね。そして建設ももちろんで、それから産と学とがペアを組んで、それが19のペアがありまして、それが一緒に使って、実験は例えば後のテーマの場合もあるわけですね。産のテーマである場合も、学のテーマである場合もありますが、それを一緒に解析も含めて成果にしていく。そういう形ですね。

【永宮センター長】

 ちょっとよろしいですか。いつかの評価部会で議論になったと思うんですけど、産業界に開くためにはいろいろなことが必要です。例えば分析センターのような、何も知らない人のためのシステムであるとか、パンフレットをきちっと整備するとか、産業界への取り組みというのではまだまだ僕は進んでいないと思っています、J-PARCは。国際化と同様に、産業界への取組は、二つの柱だと思っているんです。その二つをこれからきちっとやっていかないと、J-PARCは伸びていかないといつも思っていますので、その辺、何かの形で入れ込んでいただけるとありがたいと思います。

【福山主査】

 この問題は国がレアメタルの問題、中国との関係で急速に問題になったレアメタルの問題を克服するというので新元素戦略、いろいろ考えて、ああいうもの、ベーシックサイエンスと材料、素材、部材のところまでつなげるような研究のグループをつくろうという動きがある。そういうときにそういう動きを研究したい、活動したいという人がJ-PARCに来たときに、できるだけ支障がないように、スムーズに進むためにどうあればいいかという、そういう問題と一緒ですね。これは具体的にいろいろターゲットが見えているから、それを意識しながら、どうあればいいかを考えると。MLFでは少しそういう方向、具体的に考えているんですか。

【新井ディビジョン長】

 いろいろですけれども、少なくともJ-PARC側からいわゆる研究拠点になるであろう研究機関ですね。いわゆるプライマリーインベスティゲーターという形で1名はサインする中では産学などをやる。それにあわせて現在、J-PARC全体、県を合わせますと7名コーディネーターの方がおりますので、その辺とまずいろんな、どんなことをするためにどんな実験をやったらいいかというようなことを例えば打ち合わせをして、それでより効果的な実験をやるようなことを進めると。さらに、実験だけでは終わりませんので、その辺のいわゆるデータ解析なり、具体的なものにつながるような部分については今後進める必要がありますけれども、今言われているように、その辺が最終的には必要な部分であろうというふうには考えている次第です。まだ具体的な行動には移っておりませんけれども、その辺は元素戦略の拠点機関が見え次第、その辺何らかのアクションはしたいなというふうには、CROSS(登録機関)と合わせて相談していきたいというふうに思っております。

【福山主査】

 そういう活動がSPring-8ともうまく将来的に連携がとれると、研究者としてはすごく便利でしょうね。他にいかがでしょうか。いろいろなテーマが御紹介、御意見を伺いましたけれども。今日いろいろ御意見をいただいたのが次回のときに反映されるはずで、その時にまた詳しく意見交換をさせていただければと思います。次回の予定と連絡事項について、これは事務局のほうから御紹介をお願いします。

【阿部補佐】

 次回につきましては、既に御連絡しておりますけれども、5月30日水曜日、15時から17時、会議室につきましては5階の5F3会議室を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。それから本日の資料につきましても大部にわたりますので、お手元の封筒に資料を入れていただきまして、右肩にお名前を書いていただければ、後日郵送させていただきます。

【福山主査】

 はい。今日もいろいろ貴重な御意見、ありがとうございました。これで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

 

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研究振興局基盤研究課量子放射線研究推進室

季武(すえたけ)
電話番号:03-5253-4111(内線4336)

(研究振興局基盤研究課量子放射線研究推進室)