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大強度陽子加速器施設評価作業部会(第3回) 議事録

1.日時

平成24年4月24日(火曜日)10時00分~13時00分

2.場所

文部科学省 3階 2特別会議室

3.議題

  1. 前回の議論等について
  2. 二期計画の核変換施設について
  3. 加速器整備について(1MWへのシナリオ)
  4. ニュートリノ実験について
  5. ハドロン実験について
  6. その他

4.出席者

委員

福山主査、相原委員、梶田委員、金谷委員、金子委員、熊谷委員、小森委員、田村委員、鳥養委員、西島委員、山縣委員

文部科学省

原量子放射線研究推進室長、藤澤加速器科学専門官、坂場学術機関課課長補佐、髙橋学術機関課学術研究調整官、阿部量子放射線研究推進室室長補佐、長田原子力課総括係係長

オブザーバー

永宮J-PARCセンター長、池田J-PARC副センター長、三浦J-PARC副センター長

5.議事録

 【福山主査】

 おはようございます。御参集くださいましてありがとうございました。東京は久しぶりにすばらしい青空で、今日の議論もスムーズにいくといいと思います。

 第3回目のJ-PARCの評価作業部会でございます。本日は御都合により、岡田委員、長我部委員、横山委員が御欠席と連絡をいただいております。それでは、事務局から、配付資料の確認をお願いいたします。

【阿部補佐】

 配付資料の確認をさせていただきます。議事次第を御覧ください。本日の配付資料は、資料1-1から1-6、資料2から資料6まで、全部で11種類の資料。それから、参考資料が一つお手元にあるかと思いますけれども、もし無いものがございましたら、事務局まで一声お声がけいただければと思いますが、よろしいでしょうか。

 それから、資料1-1の委員一覧を御覧ください。相原委員が、4月より副研究科長から研究科長になられたということで、一部修正させていただいております。以上です。

【福山主査】

 どうもありがとうございます。それでは、これから議事に入りたいと思います。まず、前回の議論等について、事務局から資料1-5まで説明をお願いします。

【阿部補佐】

 資料1-2を御覧ください。第2回作業部会後に文書で提出されました質問、それから御意見等についてでございますが、3名の委員の方より質問と御意見をいただいております。主なところは下線を引いておりますけれども、質問事項につきましては、資料1-3にJ-PARCセンターからの回答という形でまとめておりますので、そちらのほうを御覧ください。資料1-3、上からになりますけれども御紹介させていただきます。まず一つ目ですけれども、学生教育、人材育成も含めて、装置担当者の不足について、現状と課題、今後の対応はどのように考えているのかという御質問をいただいております。J-PARCセンターからの回答をいただいておりますけれども、業務委託等の活用をして、装置担当者の充実を図りたいと考えている。現状では、スクール等のプログラムが進められているけれども、学生教育、人材育成は重要な問題と考えていて、今後このような取組を発展させたいと考えているとのことです。

 また、二つ目ですけれども、ビームラインが残り3本となっているが、外国からのビームラインの設置についてどのように考えていくのか。スクラップ・アンド・ビルドやビームラインの分岐を含めて、今後の方策を伺いたいという御質問でございます。これまで台湾、インドの装置をMLFに置くという提案があった。しかし、1台の装置の予算を丸々拠出することは困難なこともあるため、日本側のマッチングファンド的な建設についても今後討が必要と考えている。一方で、装置稼動後5年ごとに装置の評価をすることになっており、評価によっては撤退もあり得るということです。また、小型で波長バンドを必要としない装置に関しては、原子炉装置同様に、ビームラインの分岐も視野に検討をしている。さらに教育用装置のほかの装置から分岐、あるいはカスケードに設置することも、今後検討したいということでございます。

 三つ目でございますけれども、最大23本のビームラインについて、競争的資金で建設したような装置を、今後共用ビームラインに移行していくことを考えたほうがいいと思うが、どのように考えているのかという御質問でございます。これに対しまして、共用装置として適切かどうか、ユーザー側の意見も踏まえつつ検討し、適切であれば、国とも相談して、共用ビームラインへ移行させたいと考えているとのことです。

 1枚おめくりください。物質・生命科学実験施設での研究について、今後国や海外の同等施設との協定を結ぶ予定があるのかという御質問でございます。ISIS、CSNS、BATAN、SNS、ESS、ILLであるが、これらの協定は、主に開発・技術協力であるということで、いわゆる利用研究については明確な協定等々は行っていない、今のところ利用研究について結ぶ予定はないということであります。

 次に、国外企業による物質・生命科学実験施設の成果非公開利用についてどのように考えるのかという質問でございます。J-PARCは国際公共財として整備されたものであって、またMLFは共用促進法対象施設でもあるため、基本的には内外の利用者に広く開放する。産業利用についても同様である。しかしながら、国内企業の国際競争力の向上という趣旨と矛盾するものと考えており、今後、利用の増加とともに理念を確認する必要があると考えているとのことです。

 それから最後になりますが、成果非公開の利用費については、ビームラインの高度化に利用してもよいのではないかという御質問です。国の会計的に許されるのであれば、検討したいという御回答をいただいているところでございます。

 続いて、前回議論がありました中で、組織運営について、若干いろいろと御議論はいただいたところですけれども、その後、両機関等でお話し合いを少ししていただきまして、今のところ、前のスライドにあるような形で、両機関、それから、J-PARCセンターそれぞれの認識として、こういう組織体系でやっていくということを伺っております。特に、前回お見せしたところから大きく変わっているわけではございませんけれども、原子力機構の右側のところについては、真ん中のあたりで、JAEAではJ-PARCセンターは11の研究開発拠点の一つということで、前回も説明があったとおり、一つの拠点という認識でやっているということでございます。また、KEKのほうは、拠点という考え方よりも、前回御説明があったようなプロジェクトというような位置づけで、全体を位置づけた上で協力してやっているということで、それぞれの機関長、機構長と理事長がJ-PARCの運営会議というところで、合意事項の尊重という形で、それぞれの意思疎通が図られて、J-PARCセンター長と運営会議でやりとりをされるというような全体の運営組織になっているところでございます。

 続きまして、資料1-4を御覧ください。これまでの議論の概要をまとめております。まず1枚目と、裏返していただきました2ページ目のところは、第1回の概要になりますので、説明は省略させていただきますが、3ページ目からが、前回第2回の議論の概要(案)となっております。主なところについて、こちらも下線を引いておりますので紹介させていただきます。柱立てとしましては、運営体制について、国際研究拠点化について、物質・生命科学実験、共用の促進についてということで、前回御議論いただいたところになっております。

 まず、運営体制につきましては、運営体制が迅速な対応を阻害しないように意識したほうが良いといったことや、当事者で議論して、良い回答を提案していただきたいということで、今、スライドで御紹介したような状況になっているところでございます。

 続きまして、国際研究拠点化につきましては、世界中から研究者が集まってくる魅力的な最先端施設とすることを第一として、優先順位付けを考えるとよいのではないか。居住環境が一番重要だといったこと。それから、外国人職員数が少ないということで、外国人スタッフを増やす努力が必要ではないか。また、交通機関が不便であるというような御指摘をいただいております。それから、物質・生命科学実験、共用の促進等についてというところでございますけれども、生命分野での中性子利用に関しましては、生物関係者が少ないのではないかということ。それから、アカデミックな利用を先行させて、製薬業界が追いつくような道筋を作っていくとよいのではないかということ。それから、ミュオンの関係では、生命科学分野でのミュオンが利用可能であれば紹介してほしいといった御指摘、御意見がございました。それから、戦略的な研究推進というところでは、トップダウン的に組織やコミュニティとして重点的に研究を進める仕組みが必要ではないかということ。非公開利用による収入の取り扱いについては、先ほどもございましたけれども、料金の利用の仕方の御指摘であったり、小型の中性子源がないということなどについて、コメントをいただいております。

 それから、最後、共用の促進については、特に下線を引いておりませんけれども、制度的に可能であれば、選定委員会と合同の委員会にできないかといったコメントをいただいていたところでございます。

 資料6を御覧ください。こちらは特に中身を詳細に御説明はしませんけれども、今御紹介しましたミュオンの関係のところで、わかりやすい事例を紹介してほしいということに対して、J-PARCセンターのほうから簡単に資料を提出していただいておりますので、御参考にしていただければと思います。

 それから、資料1-5が前回の議事録でございます。事前に照会させていただいておりますけれども、もし何か追加で修正等々ございましたら、本作業部会終了までに、事務局にコメントいただければと思います。以上です。

【福山主査】

 どうもありがとうございました。資料1-1から1-5まで御紹介いただきました。まず、資料1-3。これは評価部会後にいただいた御意見に対する、センターからの御回答です。それと1-4、議事録ですね。その2枚目、第2回の運営体制に関して、前回の委員会、この場でいろいろかなり明快な御議論がございまして、JAEAのほうでのJ-PARCの位置付け、これは組織の一部として。一方、KEKというのは、研究のスタイルの基本的なパターンとして、従来からこういうセンターに関しては、プロジェクトとして位置付けるという、そういう基本的な考え方の違いが両組織であると。ですから、それに関しては組織の体制として受け止めて、運用上スムーズにする、運営をしていくという、その工夫をするという方向性が明快に出たということです。

 資料1-4の2枚目の運営体制の丸の2番目のところ、当事者で議論して、良い回答を提示していただきたいという結論だったんですけれども、その後、当事者が意見交換して、非常にスムーズな相互理解ができているという御報告です。どうぞ。

【永宮センター長】

 ちょっとよろしいですか。ここに示された運営体制の図は、機構長と私が、その後相談してこういうふうにしたんですけれども、これはまだKEKの機構の中では認められたものではなくて、27日の所長会議で議論されて、そこで認められるということになっているものです。だから、こういう線だろうということはよろしいのですけれども、解決したと言われると、ちょっと語弊があります。それから、これは実は3年前に同じ議論がありまして、それは機構長も言われていたと思うんですけれども、こういうふうにしたいというので、僕もそこは賛成していたものと同じ図です。その後、いろいろな議論があって、ちょっと違う図になったりしたので、ごちゃごちゃしたんですけれども、先日、機構長と話して、これに戻しましょうということで、私も結構ですということで了解しました。

【福山主査】

 ということで、当事者で、この図でハッピーだと、こういう方向でやっていくと。正式決定はこれからだというコメントでしょうか。

【永宮センター長】

 そういうことです。

【福山主査】

 資料1-4の2枚目、前回の議論のポイントのところで、先ほど申し上げましたように、当事者で議論して、よい回答云々という、それに関しては、こういう提示があった、こういう状況になっているという御紹介です。これらについて、御質問、御意見さらにございましたら。

【西島委員】

 資料1-3の最後のページですかね。国外企業による云々というところですけれども、J-PARCは国際公共財としてということですけれども、ということは、我が国の中で、このJ-PARCに相当する国際公共財というのは何を想定しているのかというのをまず1点聞きたいのと、それから、利用の増加とともに理念を確認する必要があると考えているというのは、少しのんびりし過ぎているかなと思います。最先端の知的財産を、例えば海外のベンチャーが押さえていって、それに対して国内の企業が云々というのは、特にアジアの中では、日本の立場を考えれば、そこの知的財産については、かなり戦略的に守っていく、取っていくのが必要なので。もちろん基本的に内外の利用者に広く開放されているということは重要ですし、それはそうですが、企業的な立場からすれば、ここら辺のところは少しめり張りをつけたほうがいいのではないかなと。その辺をちょっとお聞きしたいですけれども、どうでしょうか。

【福山主査】

 まず、二つございましたね。国際公共財の具体的内容。それから、2番目、知財に関しての戦略性をどう考えているか。これは永宮センター長でしょうか。お願いします。

【永宮センター長】

 国際公共財というのは、あくまで中性子は、基本的にはやはり知的なものを追うというのが目的です。産業界の競争とかそういうことは、主たる目的ではないわけです。したがって、やはり知的にサイエンスとして追っていくという立場でいうと、世界に開かれたものでなければいけない。これが基本的な立場です。これを崩すわけにはいかない。ただ、個々の産業界でそういう事情があることは十分理解はしてはおりますので、個々の場合に即して考えたいと思います。ただ、あまり狭義の意味で、競争があるから外国に開放しないというようなことを、あまり強調はしたくないんです。

【西島委員】

 そうすると、先ほどの国際公共財というのは、例えば、SPring-8は国際公共財ではないのですか。

【永宮センター長】

 僕は、SPring-8も同じだと思います、基本的には。ただ、例えば、A社という人と、B社という外国のところが競っていて、A社とB社のどっちを優先的に採用するかということになったときには、ある種の判断はあると思います。

【西島委員】

 私、記憶はちょっと不明確ですけれども、SPring-8の場合には、国外企業が使う場合には、何らかのそういうような縛りというのが内規としてはあったんじゃないかなと思うんですけれどもね。そこの部分との整合性を、ちょっと考えていかなきゃいけないんじゃないかなと思うんですよ。例えば、海外のベンチャーが使いたいといったときには、サイエンス的に良いということで、それを成果非公開でどんどん使っていくような状況では、私はないんじゃないかなと思うんですけれどもね。

【永宮センター長】

 もし産業界が大幅に入ってきたときには、確かに新たな議論としてやるべきかもしれない。しかし、国際公共財と言ったときには、やはり大学とか研究者をもともと相手にして考えて作った言葉なんです。だから、産業界が何かをしたいときに、国内企業と外国企業をどうするかというのは、その場になって考えなければいけないことではあると思います。

【原室長】

 SPring-8が外国の企業が成果非公開で使う場合に、何らかの縛りをかけているかどうかというのは、ちょっと確認してみます。ちょっと我々は、そういう制度がしっかりあるということは、今の段階では把握しておりませんけれども。それから、国際公共財として、例えばSPring-8のようなものがありますが、J-PARC全体としては、確かにサイエンスのための施設ということが主たる目的ではございますけれども、特にMLFについては、産業界のユーザーへの開放というのも、一つ重要なポイントだと思います。産業界に開放するときに、例えば、国内の企業を優先するのか、国外をどう取り扱うのかというのは、確かに議論が必要だと思っております。今の段階では、まだそこまで議論が必要なほど、海外からの成果非公開の利用というのが、現実の問題として増えているわけではございませんので、できるだけ早目に検討したいとは思っておりますけれども、今現状ではそういう状況です。

【西島委員】

 ちょっと危惧したのは、本当にJ-PARCが大変優れていれば、成果非公開に伴って拠出するお金なんていうのは企業から見れば微々たるものです、。そう考えると、サイエンス云々といっても、成果が非公開というのと公開では全く違う状況ですからね。だから、非公開であるということは、後になった時に、それが海外のベンチャーとか、あるいは、アジアの中のほかの国とか、そういうところから使いたいということについては協議が必要と思っています。逆に言えば、海外から使われるぐらいの魅力ある施設だと思っています。だから、そういうことを危惧しています。逆に言うと、そのことを危惧していないということは、海外から見たら、お金を払ってまで使うほど魅力がない施設だということを前提として議論しているようなものなので、そこのところはちょっと企業としてはいかがなものかなという意識がございます。

【福山主査】

 今の問題に関して明らかにしておきたいのは、J-PARCセンターといったときに、素核の部分と、それから、物質・生命のところでちょっと位置付けが違っていて、物質・生命のほうは、共用法の適用の範囲に入っている、MLFは。今、西島さんはそれを前提にしておっしゃっていますか。それでよろしいですよね。

【西島委員】

 そうです。

【福山主査】

 だから、J-PARCセンターの中で、一様ではなくて、共用法を適用されているところに関しては、SPring-8と事情が共通だと。対応もきっと同じようにしていくべきだろうと。システマティックになっていたほうがいいですね。

【西島委員】

 そうです。

【福山主査】

 そこに関して、SPring-8の方はどなたか。

【熊谷委員】

 そこのところはあまり議論をされていないと思うんですけれども。今、ユーザーの方が、外国とか国内とか産業利用に関して、ある海外からの割合が少ないとか、あまりそういうことは考えていないと。今、西島さんの言われたように、海外からどさっと来て、占有というか、成果非公開というところがたくさん出てきた場合には、多少問題になるんじゃないかなと私自身も思いますけれども、今はそういう状態にはなっていません。

【福山主査】

 将来的には、SPring-8とJ-PARCが連携して、そういうことに関して、両方共通のラインを作ると。

【熊谷委員】

 そうですね。基準が二つあるというのはよろしくないと思いますので。

【福山主査】

 そうですね。ほかにいかがでしょうか。金子さん。

【金子委員】

 競争的資金で設立したような装置の共用化のほうの話ですけれども、もともとJ-PARCの、産業界からいくと、ワンストップの窓口で相談を受けていただいて、一番適切な装置を紹介していただけるという話できているんですけれども、実際問題として、共用法に該当しないビームラインは、使いたくても使えないということだととても困るわけで、そこはやっぱり最適な装置を提供していただけることが望ましいなと思っております。聞いたところによると、高エネ研側の装置に関しては、やはり共用法のほうに入っていないので、使うときに産業界からだと自由に使えないというふうな話も聞いているんです。それもやはりちょっと我々としては不都合があって、できればそこのところに、そういう差別をせずに、一番適した装置を紹介するという形で、J-PARCが開かれるとありがたいなと思っています。競争的資金のところで言いますと、経産省から出ているようなものは、産業界がぜひともやってほしいという思いもあって作った装置だと思っているので、それを産業界に開放しないというのは、ちょっとおかしいんじゃないかなと思います。

【福山主査】

 どうもありがとうございます。これも確かに、課題の申請のところは一本化されて区別がなくて、そこで審査される。それは非常に良いと。ただ、産業界から共用法が適用されていないビームラインを使おうとしたときに、スムーズにいかない。そこはそうなっているんですかね。共用法の適用のビームラインは。

【池田副センター長】

 今おっしゃっているのは、おそらくNEDOの資金でKEKが整備したラインということだと思うんです。KEKが本来的に整備したラインについては、KEKの中の制度として施設を使えるという枠組みがありますから、使えないということはない。今言っているのは、NEDOという競争的資金の、今はプロジェクトとして与えられた期間の中なので、NEDOのほうの縛りがあって入ってこれないのではないかと思っているんですけれども。おそらくその期間が終われば、一般のKEKのビームラインと同じように、産業界の方でも使っていただけると思っています。

【金子委員】

 ちょっとそこのところは、KEKの装置そのものが、やはり学術研究のための装置というふうな位置付けで、産業界では自由には使えないと聞いたんですけれども。

【池田副センター長】

 そもそも理念的にはそういうことですが、KEKの実態的運用として、余っているビームラインについては企業に供出するということで、今まで運用されてきていると思います。

【金子委員】

 はい、わかりました。

【福山主査】

 今の点は、確かにKEKの場合は、やはり学術研究が主になると。そういうことであるけれども、今のような産業界の要望でKEKのビームラインを使うときに、許される範囲で、できるだけ支障がないようにというのは重要なことですね。それはそういうふうになっていると。

【池田副センター長】

 そういうふうに聞いております。

【福山主査】

 理解します。では、梶田さん、何かありますか。

【梶田委員】

 単なる質問ですけれども、ちょっと全くバックグラウンドがなくて理解できないので。最後の項目で、成果非公開の利用については、ビームラインの高度化にも利用しても良いのではないかということで、国の会計的に許されるのであれば検討したいということですけれども、この利用費については、何が許されて、何が許されてないのかって、ちょっとバックグラウンドが全然ないので、この議論がわからないんですけれども。どういうものが現状許されるのかというのを、教えていただければと思うんですけれども。

【福山主査】

 これはどちらだろう。池田さんのほうですか。

【池田副センター長】

 今、質問を見失ってしまった。

【福山主査】

 1-3の最後のところです。成果非公開の利用費について。要するに、課金をすると。それでお金が入ってきていると。そのお金の行方、どう使われるかという質問ですね。

【梶田委員】

 そうです。

【池田副センター長】

 これは前回そのお話が出まして、有償利用で入ってきたお金は、有効に使うと。仕組みとして、ビームラインの、要するに、共用法であれば、それを高度化するというところに使ったら良いのではないかと。これについて、原室長のほうからお答えがそのときあったんです。それで我々としても、やはりそれを有効に使えるような仕組みとしてもらいたいということですが、現状はそのお金は、国庫に入るといいますか、予算に組み込まれてしまうというのが現状の仕組みのようです。その後、調べました。だけれども、共用促進法のこの事業で、こういう成果非公開の料金をうまく使うというのは、やはり今後もう少し便利な方法を探っていったらいいというのが、我々の今の共通の認識ですが、仕組みとしては、今、現状としては国庫に入ってしまうということです。

【梶田委員】

 ありがとうございました。

【阿部補佐】

 済みません、少し補足させていただきますけれども、成果非公開利用につきましては、運営費回収方式といって、基本的にかかっているコスト分を回収するという考え方になっていますので、それで動いているという整理を一応しています。その意味では、儲けて、それを何かに使うという考え方とはちょっと違うところがございます。制度的な制約と言えば制約かもしれませんけれども、若干そういうのはあるという認識はございます。

【福山主査】

 よろしいでしょうか。

【金子委員】

 今のについてなんですけれども、もともと予算を組むときに、非公開でこれだけぐらいは使うよねというのを予算として立てて、もともとこれぐらいが特別徴収として、非公開ですからとお金が入ってくるというふうな形ではないと思うんですけれども。だから、特別に臨時収入的な位置付けになるんじゃないかという気がするんですが、そこはどうでしょうか。

【阿部補佐】

 細かいところまで省略させていただきますが、非公開利用でも、J-PARCセンターはそこまでないのですけれども、SPring-8だと制度がいろいろあって、必ずしも運営コスト100%そうなのかというと、多分手数料的なところも入っていて違うところはございますけれども、料金の考え方としては、先ほど御説明したとおり、国のほうが充当している予算というのは、特に共用法の適用のところについては、あくまで共用として外に出している部分の運転費として、国庫として入れている整理にしております。つまり、非公開利用というのは、国庫が入ってなくて、お金を徴収した料金で施設が動いているという整理をさせていただいております。その意味では、そこで多少プラスあれば、その分について、そこで徴収した人たちに還元するという形で、高度化等に資するというのは考え方としてはあるとは思いますけれども、現状は、多分なかなかそこまではいっていないのではないかと思っております。

【福山主査】

 これも産業利用がどんどん進んで、この金額が大きな額になると、具体的な議論の対象になるんでしょうね。現時点ではその制度の問題があっても、そう重要ではないと。続いて、資料1-6について、事務局、御説明いただけますか。

【阿部補佐】

 それでは、資料1-6を御覧ください。こちらの資料は、前回の中間評価、平成19年に行っておりますけれども、その際に指摘されていることについて、今回この作業部会でJ-PARCセンターから御回答いただいていることについて、対応状況がどうかということをまとめさせていただいているものでございます。まだ中身については、本日の議論、それから次回の議論等々で修正が入ってくるかと思いますけれども、現状ということで御紹介させていただきます。これがおそらく評価書を作成していくときのベースになるのではないかと思いますので、後ほど御議論いただければと考えております。

 まず(1)ところでございますけれども、第2期計画についてということで、物質・生命実験施設及び原子核・素粒子実験施設のところで、これらの関連する研究者コミュニティで、当該分野における優先順位付けを行って、財政状況等踏まえつつ判断していくことが必要という御指摘をいただいていたところです。まず前回までの議論としては、中性子とミュオンのところについて記載しておりますけれども、中性子に関しましては、日本中性子科学会が策定したグランドデザインに従って装置の選定・整備を進めているという状況であると。それから、ミュオンにつきましては、最初の汎用ビームラインであるDラインの次として、コミュニティ内で議論して、超低速ミュオンを発生するUラインを優先することとしたと。コミュニティの努力により、競争的資金によるUライン建設が実現している状況であるということでございます。それから、下の(2)と(3)については、本日の議論のところになるかと思いますので、1枚めくっていただきたいと思います。

 (4)多目的研究施設としての運用体制の構築についてというところで、J-PARCの運営に当たっては、国際諮問委員会や利用者協議会などの仕組みを有効に活用することにより、ユーザーの意見を汲み上げることのような運営を目指すことが必要であるということに対してですけれども、これは前回、J-PARCセンターから御説明がありましたけれども、国際諮問委員会や利用者協議会を初めとした外部の委員会で構成される各種委員会を定期的に開催し、ユーザーの意見を適切に運営に反映させている状況であるとのことです。

 (5)センター長のリーダーシップはもとより、副センター長の明確な役割分担やディビジョン長への必要な権限と責任の付与が必要という御指摘についてでございますけれども、これにつきましては、各副センター長の役割分担は明確になっている。ディビジョン長への必要な権限と責任付与については、引き続き課題が存在するものの、少しずつ解決されている状況にあるということでございます。

 (6)センター内各組織が緊密に連携をとり、情報を共有できるような運営体制を構築していくことが必要ということに対してですけれども、定期的にディビジョン長会議やセンターコア会議、ディビジョン内の打ち合わせ、センター会議等を通じて、組織間の緊密な連携と情報共有が可能な体制を構築しているという状況だということでございます。

 (7)J-PARCセンターにおける明確な指揮命令系統の下、両機関の人員が融合し、一体となってセンターを運営していくことが必要ということに関してですけれども、両機関の人員が共存するなど、人員を融合した一体的な運営がなされている状況だということでございます。

 (8)円滑な施設利用体制の構築についてということでございますが、様々な分野における課題の募集が想定されていることから、専門部会の下に課題分野ごとの専門の分科会を設けることが適切ということでございますが、ここに記載しておりますとおり、8分科会を設けていて、ミュオンでは磁性・強電子相関と物理化学・一般の2分野を分けて課題審査をしている状況だということでございます。

 (9)JRR-3との合同審査体制の構築など、一律的な運営を目指した検討が必要ということ。それから、J-PARCとJRR-3は、相互補完の関係にあるので、ニーズの広がりを見ながら、両者一体の運営と、有効な使い分けの方策を検討すべきということでございますが、重要性は理解しているということで、JRR-3とJ-PARCの一体的な運営と有効な使い分けの方策については、引き続き検討を行うことが必要であるという状況だということです。

 3ページ目を御覧ください。

 (10)両機関の評価に際しては、異なった評価基準で評価を受けることに留意する必要がある。一方、ユーザー側からは、利用体系を意識することなく利用できるような配慮が必要ということでございますが、課題審査においては、各機関の間で基本となる統一基準を共有して、審査を行っている。一般利用者が、利用体系の違いを意識する必要のない運営がなされている状況であるということでございます。

 (11)ビームラインの整備に当たっては、国際諮問委員会等などを通じて、利用ニーズの把握に努めるとともに、ニーズを踏まえ、研究分野のバランス、学術研究と産業利用のバランスを考慮して設置することが必要ということでございますが、ビームライン整理に当たっては、国際諮問委員会や利用者協議会、MLF施設利用委員会で利用ニーズを踏まえた議論、審査が行われており、研究分野のバランス、学術研究、産業利用のバランスを考慮した建設計画が進められているところということでございます。

 (12)産業界のニーズを掘り起こし、利用を促進していくには、トライアルユースが非常に有効であることから、J-PARCの中性子利用においても、これを導入することが適切ということでございますが、こちらにつきましては、今年度の後期からトライアルユースが開始される予定となっているところでございます。

 (13)コーディネータや技術支援者を育成するためには、適切な評価の仕組みやキャリアパスを検討する必要があるということでございますが、MLFでは共通業務を行うための技術者が中心となるセクションの新設が検討されている。上記指摘への対応を目指した取組が行われているところであるということでございます。また、今後もコーディネータや技術支援者の適切な評価の仕組み、キャリアパスについて、継続した検討をしていく必要がある状況だということでございます。

 (14)試料の前処理からデータ取得・解析までの一貫した分析サービスを受けられるような制度も検討が必要であるということですけれども、これについては、この指摘への対応を目指した準備が、現在進められているということで、今後も検討を継続することが必要であるというところです。

 (15)知的財産権の保護や機密保持の徹底など、産業界に使いやすい仕組みを早急に整備することが必要ということですけれども、非公開課題の取り扱いを一部の職員に限定するなど、上記指摘へ前向きに対応している。しかしながら、産業利用が拡大している中、知的財産権の保護や機密保持がさらに徹底されるよう、データの取り扱いについては改善することが必要であるという状況だということです。

 (16)J-PARCセンターは、県との緊密な連携のもと、コーディネータの人材交流などを実施することが望ましいということですけれども、登録機関とMLFの間で、実務者連携会議を定期的に開催するなど、人的交流を目指した取り組みが進められている。今後もJ-PARCセンター、県、登録機関で、コーディネータの人材交流など、緊密な連携を実施することが必要な状況だということでございます。

 (17)光熱費や装置保守費など、今後のビーム試験や運用の経験を基に、経費削減に向けて努力を行うことが必要ということですけれども、こちらにつきましては、予算要求時において、定期的に経費削減努力を提示して努力しているところだということでございます。

 (18)国際公共財としての取り組みですけれども、課題申請の英語化やインターネット環境の整備はもとより、外国人研究者のユーザーズオフィスの整備、外国の研究環境やニーズを理解し、汲み取ることのできる支援者の雇用などの環境整備が必要ということでございます。課題申請については、産業利用を除いて分化されている状況ということです。それから、素粒子・原子核では提案書や審査は、もとより英語で行われている状況。また、英語のできるスタッフの配置や英語のホームページの整備、国際推進役として、アメリカの大学院でドクターを取得した研究者の雇用等の対応が行われている状況と。しかしながら、外国人職員については、割合として3.4%(16人)ということで少ないということもあるので、国際的な研究雰囲気を構築するためには、外国人研究者の数を増やす必要があるという状況だということです。

 (19)利用者の居室や宿舎等の環境整備が喫緊の課題であって、県や村など自治体との連携・協力の下、速やかな対応が必要であるということでございますが、こちらにつきましては、宿舎は49室を現在整備、残りは手配中である。居室については、試料準備室等を含めた研究基盤施設の一部として原子力機構が予算要求中であるが、今のところまだ実現していない状況だということでございます。

 (20)居室における英語表記や多種民族に対応した食堂などの整備環境。こちらについても、まだ実現していないので、引き続き取り組みが必要であるという状況です。

 (21)研究者の家族の教育、医療等の生活支援や家族の活動機会の充実など、自治体・地域社会と協調した取り組みが望まれるということについてでございますが、外国人滞在者と東海村長との定期的懇談会であったり、外国人職員、家族及び地域住民との懇談会、英語セミナーの開催などを通じて意思疎通を図るなどの取り組みを行っているところでございます。

 (22)広報担当者を配置し、国際的な広報活動の強化を図っていくことが必要という指摘でございますけれども、こちらにつきましても、国際推進役が広報担当者を兼務して、国際学会設置ブースで説明、英語版ホームページの改訂とか、英文広報誌の発行など、国際的な広報活動に参加するなどの取り組みを行っているところでございます。

 それから、最後5ページ目になりますが、今後の課題等についてということで、(23)センターの位置付けを含むJ-PARCの運用・利用体制については、今後のJ-PARCを取り巻く情勢、研究や技術の進展、利用ニーズの動向、運用開始後における知見や経験等を踏まえ、適切な時期にレビューを行うことが必要という御指摘でございます。本評価作業部会を初めとしまして、国際諮問委員会、中性子アドバイザリー委員会、ミュオンアドバイザリー委員会などで個別に外部からのレビューは受けている状況ではあるが、本格的なレビューはまだ行われていないということでございます。センターの位置付けに関する運営体制について、引き続き国際諮問委員会で評価を受けるとともに、運用・利用体制について、今後の利用の進展を踏まえたレビューを行うことが必要ということで、今のところということでまとめさせていただいております。以上でございます。

【福山主査】

 どうもありがとうございました。資料1-6、これは5年前のJ-PARCの中間評価の報告書です。今御紹介がございましたように、一応項目として23整理していただいて、中間報告の段階でいろいろコメントをいただいていることに関して、センターとしてどう対応してきているかということに関してのまとめでございます。これは今回の評価のためのワーキンググループで、最終的にレポートを書くときのレファレンス、出発点、比較の対象になるところでございます。これを見ていただいて、各項目で、最後のほうに、「上記指摘に適切に対応している」と書いてあるところがいろいろございます。それと対象的に、例えば、「何とかすることが必要である」ということがあって、そこの最後のところを見るだけで、個々の項目に関して対応がどういう状況になっているかが、ある程度おわかりいただけるかと思います。それでは、5年前のこういう指摘に関して、現状こうなっていると。このまとめに関して、質疑応答をお願いいたします。順不同でいくと混乱するといけませんから、順を追っていきたいと思いますけれども、まず(1)のところ、これはよろしいですね。

【鳥養委員】

 済みません、ちょっと訂正をお願いしたいんですが。

【福山主査】

 何か訂正ですか。はい。

【鳥養委員】

 申しわけありません。ミュオンのところで、「競争的資金によりUライン建設が実現している」と書いてありますが、これはUラインを建設したのは機構で、それを活用する実験装置をコミュニティが競争的資金で準備しております。ビームラインの建設は、科研費の精神になじまないというご指摘をいただきましたので、ビームライン自身は機構のほうで建設されましたので、細かいことのようですけれども、ちょっと重大なことですので、御訂正をお願いしたいと思います。

【福山主査】

 競争的資金が研究のところだと。御訂正ください。それから、2番目、その次の3番目、これはこれからの議論ですので。

 次のページ、(4)のところで、J-PARCは確かに永宮センター長の下で、国際諮問委員会等々と非常に積極的に意見交換されて、具体的な活動が展開されてきていると理解します。

 それから、センター内でのディビジョン長、中での役割分担。これに関しては、先ほど御紹介があったように、KEK側とJAEAで、J-PARCセンターの位置付けが制度的に違うところがある。それを乗り越えて、スムーズにセンター長のリーダーシップのもとに一丸となって作業を進めると。これは決して容易ではない。ただし、今回の3・11の後のめざましい回復ぶり、これはやっぱりセンター長のリーダーシップが明快に発揮された例かと思います。そういう状況で、ここは少しずつ解決されつつあるということです。

 それから、センター内で、各組織が緊密に情報共有できるようにと。これもスムーズに、適切に対応していると。

 この7番目は、先ほど申し上げたのと同じですね。JAEA、KEKの協力の下、センターでの明確な指揮命令系統の下、両機関の人員が融合して一体となってセンターを運営していくことが必要と。これは適切に対応していると。先ほどの繰り返しになりますけれども、3・11の後に起こった経緯を見ますと、ここのところはそういうことで進んでいるのだろうと理解します。

 それから、8番目。これはPACに関しては、特に今のところ問題はないでしょうね。適切に対応していると。PACに関しては、素核と物質・生命とちょっと違うかもしれませんけれども、組織の仕組みとしては、我が国伝統の全国共同利用研究所というのが機能していて、そこで行われているシステムが、そのまま機能を発揮しているのだろうと想像します。

 9番目。JRR-3とJ-PARC、連続とパルス、この関係。ここに関しては、有効的な使い分けの方策について、引き続き検討を行うと。これに関しては、現時点で特に何か大きな課題があるわけではないですか。金谷先生、ここら辺は。

【金谷委員】

 特に大きな課題というわけではないですけれども、むしろJRR-3の現状が、今は一番心配な状態で、それに関して、明確に我々にはわからない。原子炉問題が今、非常にいろいろなところで議論されていますので、むしろ我々としてはそちらのほうを、ぜひ再稼動に向けて頑張っていきたいなとは思っています。

【福山主査】

 確かにそういう不確定性があると。

 11番目、評価に関して。これは確かに繰り返し話題になるJAEAとKEKのカルチャーの違い。そういうことですので、各組織のカルチャーだけで評価をすると、アンバランスが出てくると。統一基準が必要で、それができていると。統一基準を共有して行っていると。

 それから、ビームラインの整備に関しても、国内外のコミュニティとの意見交換をもとに進めることが必要ということが書いてありますけれども、適切に進められていると。確かにこの5年の間に、MLFビームラインの設置された数は大変ですね。5年間で、基本的に今の状況。5年前だと何本でしたかね、ビームライン。非常に少なかったですよね。あれがあっと言う間に。これはビームラインの設置に関しては、コミュニティとの意見交換を十分された結果、実現されていると。

【金谷委員】

 ちょっとよろしいですか。基本的にはコミュニティの意見を非常に尊重していただいて、ビームラインの建設は順調に進んでいるという認識ですが、やはり海外ビームラインという考え方が当初よりずっとあって、国際化を目指す上でも、海外ビームラインはぜひ導入したいという考え方があったんですが、実際のところ、今、1本もそれが実現していないし、最初のコメントにも少し書きましたが、現実的に新しい予算化されていないビームラインというのは、3本しかない状況ですね。マッチングファンド等も考えて、全部1本丸々海外から作れというだけじゃなくて、いろいろな方策を考えていっていただきたいなというのが、コミュニティとしては希望するところです。

【福山主査】

 海外ビームラインは、どういう思想で、ぜひ導入が必要だという、そのキーポイントは何ですか。

【金谷委員】

 やはりJ-PARC自身の国際化も含めて、やっぱりビームラインが海外から建設されるということは、当然そこに研究者が海外から入ってくるわけで、非常に我々としては国際化に役立つと考えますし、もう一度繰り返しになりますけれども、それこそそのまま丸々1本作ってくれというだけじゃなくて、どこかで協力できるようなマッチングファンド、ここにも書かれていますが、そういうような形でも、ぜひ整備していっていただきたいと思います。

【福山主査】

 国際的な連携研究の推進というか。

【永宮センター長】

 山田さんとお話ししたところ、これから海外だけでビームラインを作るというよりは、海外と協力しながらビームラインの建設をするというようなスタイルも指向していきたいというようなことを言っておられました。僕は非常にそれは良いことだと思っております。

【福山主査】

 これはお金の点で、場合によってはややこしいかもしれませんが、SPring-8はそういう例は、台湾とかがありますね。

【熊谷委員】

 台湾がありますね。でも、台湾の場合は、お金は全部向こうから持ってきていますので。

【福山主査】

 ああ、そうですか。マッチングファンドじゃないわけですね。確かマッチングファンドになると、ちょっと微妙なところがあるかもしれませんね。ですけれども、それは解決しようと思えばできるだろうと。12番目、参加のニーズ。

【田村委員】

 ちょっと済みません、よろしいですか。この11番というのは、MLFに限った話をしているように見えるんですけれども、そう思ってよろしいんでしょうか。

【福山主査】

 学術研究と産業利用のバランスと書いてあるから、主としてそうなのかなと。

【田村委員】

 ええ。文章には一切書いてないので、共通な面もあるのかなという感じですが。

【福山主査】

 そうです。最初のところ、1、2、3は別ですけれども、後のところでは、そこははっきり明記されていないですけれども、明らかに素核ではなくて、物質・生命ということで。

【田村委員】

 それなら結構です。

【福山主査】

 確かにそこら辺は、ちょっとはっきりわかるように全部入れたほうがいいのかもしれませんね。12番目、トライアルユース、これは進んできていると。

 13番目、コーディネータ、技術支援者。これは決して十分ではないですけれども、そういう方向の活動が展開されていると。またその際、若手のことを考えると、キャリアパスの位置付けが大事になる。

 14番目、ビームラインが威力を発揮するためには、試料の前処理、それからデータ解析等々。それから、ビームラインに付属する、付帯する計測装置の拡充等々、いろいろこういう活動も必要。どうぞ。

【西島委員】

 この14番で、準備が進められているということなんですが、どういう形を描いているのかというのが、もしわかれば教えていただきたい。というのは、例えば、センターの中で分析部門みたいなものを持ってきてやるということで、その下に書いてある、これは当然企業が使うなら非公開になるので、一部職員に限定してやるということを考えるのか、あるいは、外部の民間企業の者を置いてやろうとしているのかという、その辺をちょっと。どういう準備を考えているのかなと、準備段階として。

【福山主査】

 これは池田さんでしょうか。

【池田副センター長】

 いろいろな試料の前処理であるとか、データのすべての一貫したサービスというのは、我々も基本的に大事だということで、ユーザーには最高の成果を持って帰ってほしいというのが基本的にあるわけです。そのために必要な予算措置というところが、例えば、何かの装置を整備していくというところが、まだまだ今までは不足していたということですが、共用促進法という一つの大きな枠組みができたということで、やはりユーザーのサービスを向上させるという観点での整備予算というのを、着実に伸ばしてきているということなので、時間が1年2年たてば、通常だれでも感じられる満足度というのは得られるのではないかと考えております。

【西島委員】

 あくまでもセンターの中の職員によるということですね。

【池田副センター長】

 そうです。今、分析ということだけ言いますと、外部の分析機関に頼むという状況にはないと。そういう能力があるところも今はないですし、やはり今はセンターの中で、きちっとその辺を構築していくという枠組みで進めようとしています。

【西島委員】

 わかりました。

【福山主査】

 はい、金谷さん。

【金谷委員】

 簡単な質問ですけれども、これは基本的に産業界を意識しておられて、それから、有料であるというふうに考えてよろしいですか。

【池田副センター長】

 産業界を意識しているということはないです。

【金谷委員】

 大学の人間も、試料を持ってきて、前処理やって、データ処理やってねとお願いしたら、やっていただけると。

【池田副センター長】

 ユーザーというのは、そういう意味での区別は。

【金谷委員】

 しないということですか。で、有料か。

【池田副センター長】

 有料かどうかというのは、コストを回収するという一つの、有償という場合には、そういうところは付きまとってきますが、別途相談です。基本的には、そういうものは無償化していきたいと我々としては思っていますが、やはりユーザーが負担すべきものはするという、一方の予算上の問題がありますから、そこはこれからの検討ということになっています。

【福山主査】

 15番目、知財の保護、機密保持。これはいろいろな場で、より難しい問題が起こることで、これは絶えず工夫が必要ですね。

 16番目。センターと県の緊密な連携、コーディネータ。これは大変スムーズにいっていると思うんですが。これは登録機関、MLF。特に県とセンターのところで、問題になっているようなことはございますか。特にないですか、スムーズ?

【茨城県(林)】

 前からコーディネータ制度というのは、非常に大事だということでお願いしていまして、現状では、登録機関のほうで、佐藤先生と福嶋さん、茨城県のほうは、私と大橋先生と森井さん。それから、J-PARCセンターのほうでは、鈴谷さんがコーディネータという格好になりましたので、当面はこの7名でいろいろ連携してやっていくということですけれども、やっぱり全分野カバーしていませんので、もう少し人材の拡充が必要だろうと思っています。

【福山主査】

 だけど、いい方向に向かって動いていると。

【茨城県(林)】

 はい、これから。ええ、そういうことです。

【福山主査】

 どうもありがとうございます。

 17番目。経費削減。3・11後は、特にこの問題はシビアですね。

 国際公共財は先ほども議論になりましたけれども、国際的な機関として、研究環境やニーズを理解し、汲み取ることのできる支援者。確かに十分でないにしても、確実に進展しているところですね。

 利用環境の国際化。これは居室、宿舎等々。宿舎の問題は懸案ですけれども、進みつつあると。確かにこれは最後の、指摘への速やかな対応が必要だと。確かにあまり猶予はできないことですね。

 それから、居、食のところ、食堂。

 それから、その下、21番目は、確かにビジターの家族の教育、医療等々。それから、支援。これは進んでいると。

 22番目、広報担当者に関しても、対応しつつあると。

 それから、最後。これは大きな装置、時代の変化に対応して、日々工夫していかなければいけないことで、それは絶えずターゲットがあるということですね。

 先ほど冒頭に御紹介しましたけれども、5年前にこういうコメントをいただいて、現状で回答いただいている。これが今回の本ワーキンググループでの作業をする際の、重要なレファレンスになるものでございます。どうもありがとうございました。さらにこれを御覧になって、気になるところ、コメント等々ございましたら、事務局へ御連絡ください。

 それでは、次の議題に移りたいと思います。2期計画の核変換施設についてお話しいただきたいと思います。御覧いただくとわかるように、大変熱がこもっていて、パワーポイントが厚いコピーになっています。時間がかかるのを恐れます。ですから、発表に際して、ベルを鳴らさせていただくことにいたしました。18分で1回目のベル、20分で2回目。ぜひ時間厳守で、なおかつ明快な御説明をいただきたいと思います。それでは、辻本さん、お願いいたします。

【J-PARCセンター(辻本)】

 J-PARCセンター・核変換セクションの辻本です。本日は、核変換実験施設について御説明させていただきます。そもそも核変換とは何ぞやというところから若干御説明させていただきたいと思いますけれども、我々は核変換だけではなくて、分離変換、分離と変換で一つの技術として考えております。今現在考えられている使用済み燃料の再処理というものは、再処理をして、必要なウラン、プルトニウムだけを取り出して、そのほかのものはすべてガラス固化体として、廃棄物として埋設処分するという考え方です。これを一緒くたに廃棄物として捨てるのではなくて、ある性状、あるいは半減期等に応じまして、ある程度の群に分離しまして、その中でも特にマイナーアクチノイドというものを核変換するというのが我々の考え方です。一般のごみでいいますと、一般のごみを分別して、それぞれの性状に応じて処分するという考え方に相当するものというふうに御理解いただければいいかと思います。

 これをやると何が良いことがあるかということですけれども、まず廃棄物処分場がありますけれども、これは地下300メートルの深いところに、ガラス固化体を埋めようと考えているわけですけれども、例えば、六ヶ所村の再処理工場、40年間運転しますと、約2平方キロの処分場が必要になります。これを分離変換することによって、いろいろ条件がありますけれども、最大で100分の1までに面積を低減することができます。それから、放射性毒性が約1万年程度続くと言われておりますけれども、これを数百年、これも100分の1程度に短くすることが可能であると考えております。このように、廃棄物処分にかかわる負担を物理的、それから時間的な負担を大幅に低減できる可能性があるものというふうに考えられております。この核変換をするものといたしまして、今、二つの概念が考えられております。一つは、発電用の高速炉を利用する概念、もう一つは、核変換専用のサイクルを用いる概念です。この発電用高速炉を用いる概念では、発電用の高速炉に広く薄く入れる方法です。従いまして、大体5%ぐらいにマイナーアクチノイドの濃度は制限されますけれども、大規模に発電用の高速炉が利用されない限り、これは実現できないということになります。一方、専用サイクル型といいますのは、後で説明しますけれども、我々はADSと言われる加速器駆動型の未臨界炉を考えておりまして、発電用高速炉に比べれば、非常にコンパクトなシステムに、かなり高濃度にマイナーアクチノイドを入れることができます。また、発電用のサイクルが、例えば軽水炉であろうと高速炉であろうが、それは全く関係ないということで、これ独自に核変換することができるという特徴を有しております。

 加速器駆動核変換システムの概念を簡単に御説明いたします。加速器駆動核変換システムと申しますのは、超伝導陽子加速器と、核破砕ターゲット、未臨界炉心から構成されるシステムです。炉心は未臨界になっておりますので、通常の原子炉と違って、これ単体では、中の核分裂連鎖反応を維持することはできません。外部から中性子源を入れることによって初めて内部での核分裂連鎖反応を維持できるシステムです。この外部からの中性子を、超伝導陽子加速器からの陽子を使った核破砕反応で中性子を発生させて、それを周りのマイナーアクチノイドで構成されます未臨界体系に入れて、そこで内部の核分裂連鎖反応を維持する。そこでマイナーアクチノイドを核変換させて、短寿命の核種、核分裂生成物に変換するというシステムです。臨界炉に比べまして、加速器のビームを止めれば、すぐに出力が落ちることができるということで、そういった安全性というもので利点が高いと考えております。

 こちらは概念図になっておりますが、我々考えておりますのは、熱出力800MWのADSでして、これ1基で1年間に250 kgのマイナーアクチノイドを核変換することができると考えております。この量は、一般的な軽水炉10基分から、年間排出されるマイナーアクチノイド量に相当いたします。

 核変換に関します前回評価部会での指摘ということで、先ほど資料にもありましたけれども、平成19年の中間評価では、重要ではあると。ただし、原子力政策全体の中で検討していく必要があって、今後、原子力委員会等の評価を踏まえて進めていくのが適当であるという指摘をいただきました。その後、平成20年から21年にかけまして、原子力委員会のこうした専門部会の中で検討が行われまして、分離変換技術というものは、放射性廃棄物の処分体系の自由度の増大が期待されるということから、関係機関に対しましては、研究開発を着実に推進することが求められました。平成22年に原子力機構の第2期中期目標が制定されましたが、その中でも、研究分野の一つとして、分離変換技術というものが記載されております。ただし、皆様御存じのように、昨年3月11日の震災以降、我が国の原子力政策が今後どうしていくかということは、まさに今、議論されている最中でありまして、分離変換技術が前提としております再処理そのものもどうなるかわからないという状況です。ただ、どのような選択がなされようと、やはり放射性廃棄物の処理処分というものは、我々が責任を持って、長期にわたって着実に遂行しなければならないものではありますけれども、まさに今、それをどうするかという議論がなされている最中というところです。

 次に、ADS実現に向けた技術課題ということで、そうはいいましても、ADSというのは非常に新しい概念でありまして、今までの原子炉とはまるで違う概念ということで、先ほどの原子力委員会の検討会でも、このようなADS実現のために解決すべき技術課題というものが挙げられております。この中で、ADSそのものの課題としては四つ挙げられております。まず、加速器の性能コストです。2番目といたしましては、ビーム窓と言われる、陽子ビームが入射するところですけれども、そこの工学的成立性の確証。それから、未臨界炉心の制御等の炉物理的課題。鉛ビスマス冷却炉の設計及び安全性といったものが、今後解決するべき課題であるとされまして、これに対する解、あるいは解に対する技術的・経済的見込みを得る活動を着実に推進すべきであるというふうに、原子力委員会で指摘されました。また、J-PARCの核変換実験施設に対しましても、マイナーアクチノイドの核変換システムの信頼性を向上させるために、第2期で計画している実験施設の必要性・有効性についても検討すべきであるというふうに、原子力委員会では指摘されております。

 それぞれの課題に対するこれまでの取り組みについて、簡単に御説明したいと思います。まず、加速器ですけれども、ADSでは、超伝導陽子加速器を用いることを前提としております。そのための要素試験といたしまして、このような図で示しておりますが、モックアップのクライオモジュールを試作いたしまして、試験を行いました。その結果、当初の目的は達成されるということを確認いたしております。この結果をもとにいたしまして、熱出力800MWのADSを運転するために必要な加速器の概念設計をいたしまして、800MWを動かすために大体1.5GeV、20mAの超伝導陽子加速器が必要になるんですけれども、それに対する電力量というのも計算いたしました。その結果、約100MWの電力が必要だということで、熱出力800MWのADSで発電する300MWの発電量で、十分この加速器を運転することが可能であるということがわかりました。このような超伝導陽子加速器の要素試験を、これまで行ってきたという状況です。

 それから、ビーム窓の工学的成立性ということで、これも原子力委員会で指摘されたところですけれども、ビーム窓といいますのは、概念図を示しておりますけれども、青で示しました試験管の底のような部分です。ビームを導入するために、内部は真空になっているんですけれども、その外側は核破砕ターゲットである液体の鉛ビスマスが流れているという状況です。このように陽子、それから、中性子で、高照射場にさらされると。それから、液体の鉛ビスマスというのは非常に腐食性が高いということがありまして、この部分の設計というのが、非常にADSの肝になっている部分です。我々は小規模な鉛ビスマスのループを製作いたしまして、その部分での試験等を行いまして、それらの結果をもとにいたしまして、ある程度成立性が見込める概念を検討いたしました。その結果、厚さが約2ミリ~3ミリで十分成立性は見込めるということがわかりました。ただし、これは非照射条件下での条件でありまして、このビーム窓の寿命を左右するのは、照射による材料の劣化ということになります。この照射による材料の劣化を判断するには、今はデータが全くないという状況でして、この照射データを取得するというのが、このビーム窓の工学的成立性に関しましては、今後重要な課題になると考えております。

 次に、マイナーアクチノイド装荷炉心の炉物理的課題ということですけれども、原子炉の一番基本的な特性といたしまして、実効増倍率というのがあります。これは普通の臨界炉ですと1です。1というのが基本になるわけです。これが1以下だと未臨界ということで、ADSは、必ず実効増倍率という値を1以下にしなければなりません。その解析精度というのが非常に重要になってくるわけです。これの現状の解析精度を調べるために、我々はIAEAの国際共同プログラムにベンチマーク問題を提出いたしまして、世界各国の協力を得て、現状の解析精度を検討しました。その結果がこれなんですけれども、要はいろいろな核データが世界中にあるんですけれども、代表的なものとしては日本、アメリカ、ヨーロッパの核データを使った結果が、大体実効増倍率に対して2%~3%もの差があるということがわかりました。通常の軽水炉ですと、これはほぼ0.1%程度で求められるものでありまして、マイナーアクチノイドを使った燃料に対しては、非常にこの辺が課題として大きなものであるということがわかったわけです。

 次に、鉛-ビスマス冷却炉の設計及び安全性ということで、特に昨年の3月以来、原子炉の安全性というものは非常に注目されているわけです。我々もADSの安全性を、計算ベースではあるんですけれども、検討いたしました。概念のところで述べましたように、ビームを止めさえすれば、非常に出力はすぐに落ちますから、安全に止めることができるということで、仮にビームを止められなかった場合、事故の場合はどうなるかということを検討いたしまして、その場合でも、代表的な事象を選定いたしまして検討した結果、燃料溶融に至ることはないという結論を得ております。ただし、これに関しましては、ある程度の規模の実際の炉を使って、今後試験していく必要があると考えております。

 それぞれの研究課題に対する今後の計画ですけれども、ADS用加速器に関しましては、まず信頼性向上を図っていくことが必要になるわけですけれども、そのためにはJ-PARCですとか、あるいは、米国のSNS等の加速器運転経験を蓄積していくことが重要であると考えております。それから、ビーム窓の工学的成立性に関しましては、先ほど述べましたように、寿命を評価するための照射データが全くないという状況でして、今後はそうした照射データ等を蓄積するということが重要になってくると考えております。未臨界炉心の炉物理的課題に関しましては、マイナーアクチノイドを装荷した炉心の核特性を、今十分予測できる段階ではないという状況です。したがいまして、マイナーアクチノイドを装荷した体系での炉物理試験といったものが必要になると考えております。鉛-ビスマス冷却炉の設計及び安全性に関しましては、先ほど述べましたように、ある程度の規模での炉を、実際に作ってみないとわからないところがあります。これに関しましては、後で述べますけれども、ヨーロッパ、あるいは中国等で、100MWクラスのADSを建設する計画が進んでおりますので、そういったところと国際協力を進めながら、研究開発を進めていきたいと思っております。先ほど述べました2番、ビーム窓の工学的成立性と未臨界炉心の炉物理的課題を解決するために、我々はJ-PARCで、核変換実験施設というものを考えております。これは二つの実験施設で構成されまして、一つはADSターゲット試験施設、TEF-Tと呼んでいます。もう一つは、核変換物理実験施設、TEF-Pと呼んでおります。TEF-Tのほうは、実際に鉛ビスマスのターゲットを作りまして、その中に材料試験片等を入れます。そこで実際に鉛ビスマスを流して、陽子ビームを入射した条件で、材料照射試験等を行う。それから、ターゲットそのものの運転経験も蓄積するということを考えております。ここに来るビームは、400MeVの133kWのビームが来るということになっています。こちらのTEF-Pのほうは、臨界集合体という非常に小型の原子炉です。出力は500Wという、非常に低出力の原子炉です。ここにマイナーアクチノイド燃料を導入いたしまして、マイナーアクチノイドを装荷した場合の原子炉の核特性等を研究する。それから、非常に低出力の陽子ビームを導入することによって、ADSを模擬した体系での炉物理的試験を行うというふうに考えております。

 ADSターゲット試験施設のほうですけれども、これはせっかく陽子とか中性子を使える施設ということで、多目的な利用を考えたいと。我々だけではなくて、そのほかの分野にも応用可能な施設として考えていきたいと考えております。この例は、例えば、BNCTを置いた場合のイメージということで、BNCTに限らず、例えば、RI製造ですとか、そのほかの物理的課題に対する実験というのも行われるような施設として考えていきたいと考えております。

 コミュニティ形成の動きということで、原子力委員会でJ-PARCの有効性を検討しなさいという宿題をいただいたので、国内、あるいは国外の研究者コミュニティの間で、そういったものの有効性といった議論も行ってまいりました。国内では、こうした原子力学会の研究専門委員会等で議論いたしまして、国外ではOECD/NEAの場で、それぞれ専門家の間で議論していただきまして、それぞれJ-PARCで計画している実験施設というのは、非常に有効なものであるというふうにコンセンサスを得ています。

 それから、これは海外の研究開発の状況ですけれども、先ほど述べましたように、ヨーロッパ、それから中国で、2010年代中頃に、100MWクラスのADSを建設する計画があります。ヨーロッパでは、ベルギーのSCKが中心になりまして、2016年に建設開始を目指して、このような100MWクラスのADSを建設する計画がありまして、この設計研究に我々も参加しているところです。中国では、201Xと書いてありますけれども、2010年代の中頃に、やはり同じような出力規模のADSを建設する計画がありまして、そのフェーズ1といたしまして、加速器を運転する計画が、実際建設用地、それから資金も確保されているという状況です。国際連携によるADS研究開発の進め方ということで、ある程度の出力が必要なこうした実験炉に関しましては、先ほど述べましたように、ヨーロッパ、あるいは中国等で研究計画が進められております。ただし、これらの施設では、マイナーアクチノイド燃料を使うことはありません。それから、ビーム窓に関しましても、現在の知見で寿命が見込まれるところまでしかやらないということで、その先に関しては計画がないという状況です。我々は、それに対して回答を与えるために、まずターゲット施設でビーム窓に使われる材料の照射試験を行って、実用規模での加速器、ADSの成立性が見込めるようなデータを取得する。それから、マイナーアクチノイドを使った燃料で炉物理的試験をやりまして、こういった特性試験をやると。交互に相補いながら、最終的な実用的な加速器駆動炉を目指して、研究開発を進めていきたいと考えております。

 以上、まとめですけれども、分離変換技術の役割というものですけれども、今、原子力政策が原子力委員会等でも議論されている最中です。ただ、どのような選択がなされようとも、放射性廃棄物の処理処分というのは、我々の世代が責任を持って着実に考えなければならない課題であると考えます。ADSは、こうした廃棄物処分の負担軽減に貢献できる可能性を有する技術であると、我々は考えております。原子力委員会のC&Rでも、この着実な研究開発の実施が求められておりまして、それに従いまして、我々も研究開発を行ってきたわけですけれども、ある程度の壁を乗り越えるためには、次の段階に進むためには、こうしたJ-PARCで考えておりますような実験施設を建設して、次の段階に進めていきたいと思っているわけです。このJ-PARCの核変換実験施設に関しましては、こうした研究課題解決のために計画しておりまして、我々だけではなくて、国内外の専門家間でも、その有効性・必要性についてもコンセンサスを得ているという状況です。

 ただし、冒頭でも述べましたように、今まさに原子力政策が議論されている最中ですので、この分離変換の研究開発をどう進めるかということは、その政策の動向に沿って考えていく必要があると考えております。以上です。

【福山主査】

 どうもありがとうございました。大変御協力いただきまして。では、御質疑、御答弁をお願いいたします。いかがでしょうか。

【西島委員】

 よろしいですか。実験炉の建設を計画しているのは欧州や中国ということは、極端なことを言うと、この分野においては、欧州、中国のほうが先へ行っているという認識なんでしょうか。

【J-PARCセンター(辻本)】

 ある意味では、先に行っていると言えますけれども。

【西島委員】

 ということは、それに対して、そこでの国際協力の一環として、日本の立ち位置という意味で重要だということですけれども、海外の中で出てこなかったアメリカとか、それから、欧州の他の国は、どういうふうに考えているんでしょうか。

【J-PARCセンター(辻本)】

 まず欧州の他の国ですけれども、これはベルギーで計画されておりますけれども、欧州のフレームワークプロジェクト、FP7の中で、今、研究開発を進めておりますので、他の国も一緒になって参加して、この設計研究を進めている状況です。

【西島委員】

 要するに、ベルギーだけじゃなく、欧州全体の一つの動きだと。

【J-PARCセンター(辻本)】

 そうです。欧州全体でやっています。

【西島委員】

 ですよね。

【J-PARCセンター(辻本)】

 ベルギーでやっているということですけれども、実際は欧州でという状況です。アメリカに関しては、アメリカそのものが、今、廃棄物をどうするかということが白紙状態になっていますので、具体的な計画は、今のところないです。ただ、核融合を使ったようなプロジェクトですとか、そういったものもあるとは聞いております。

【西島委員】

 具体的なところがアメリカのほうではないというのは、まあ、アメリカというのは本気でやれば、宇宙も、軍事もそうなんですけれども、かなりやると思うんです。現時点で、本気でやる具体的な計画がないということは、極端な話、一番最初のところにあった、処理場の面積が4分の1とか、それから、1万年が数百年に短縮というのが、果たしてこれだけの投資を見て、投資効果として魅力があるかという点が気になります。私、素人ですけれども、この程度なのかという印象を持つんですけれども、どうなんでしょうか。

【J-PARCセンター(辻本)】

 そこはいろいろ考え方があると思います。というのは、結局、リスクというものをどう考えるかということにつながっていると思うんです。数万年続くリスクをどう考えるか。それを減らすのにどれだけ投資するかというのは、おそらくいろいろな議論が必要だと思うんです。科学的な議論だけでは決まらない部分です。少なくとも我々研究者が提示できるのは、こういうオプションがありますと。こういうことをやれば、これだけ減らすことができますと。それをどう選択しますかというのは、別の議論だと私は考えております。

【西島委員】

 わかりました。

【福山主査】

 はい、相原さん。

【相原委員】

 このお話の場合、これはJ-PARCセンターで進めているということですけれども、主にJAEAのほうで計画を作って、概算要求を進めるということだと思うんですけれども、この核変換というやつの全体の意思決定というか、研究の進め方の方針もなんですけれども、これは要するに、我々なんかは大学の人間ですから、大学共同利用機関の意思決定はわかるんですけれども、このようなものの場合、国の政策とも非常に強く関係していると思うんですが、どのように方針を決定されているのか。その辺の仕組みは見える形で出ているんでしょうかね。要するに、次に何をするべきかとか、どういうものに重点を置くべきかというのは、どのような形で決定されるんでしょうか。

【池田副センター長】

 JAEAの場合であれば、どこの組織でもそうですが、5か年であるとか6か年という中期計画を策定して、それに沿って進めると。これが一つ、やることを決定するメカニズムだと思います。

 核変換については、残念ながらこの施設をこの期にこういうふうにして作るということは、まだ明記されていないし、中期目標にはなっていない。ただ、研究を進めるということについては、原子力委員会からの結果答申等あって、それに沿ってやっているわけです。ただ、そういうことではなくて、我々は今、提案をしようとしているところです、これに関してはですね。ですから、いつそれが立ち上がるかどうかというのは、今後、経営の中での検討、それから、所管であります原子力課と開発局、文科省の中の考え方とのすり合わせ、こういうものを経ながら、これは通常どこでも同じようなことをやっていますけれども、プロジェクトとして芽が出るかどうかという、そういう今、提案をしようとしている段階であるということです。

 ですから、意思決定というのは、しかるべくきちっとしたオーソリゼーションをもって行われるというふうに思います。最終的に、最初の出発点としては、JAEAの中のプロジェクトとして、出発できるかどうか。これが経営との間の話し合いの中できちっとされるべきものということで、我々も今、そういう活動を始めているという段階だということです。

【永宮センター長】

 ちょっとつけ加えますが、この核変換のコミュニティのサイズというのはどれぐらいなのかということが、多分御興味あるんだろうと思いますが、実際進めている人は、JAEAで10人とか20人程度です。ただ、これだけで孤立してやるのはよくない。核変換というのが、コミュニティというか、原子核のコミュニティも含めて非常に広く叫ばれているので、先ほどの応用も含めて、これを作ったときに、一体どういうことができるのか。冷中性子のコミュニティの人も興味あるしということで、今、コミュニティづくりを進めているところです。だから、核変換だけのコミュニティだけでなくて、もう少し広いコミュニティが、興味を持つということで進めると、より強くなるわけなので、そこがこれからの大きな課題だと思います。現実既に起こっていることなので、相原さんも御存じかもしれませんけれども、とにかく彼らだけでやっているわけではなくて、かなり周りのコミュニティも入っていますので、そういう方を巻き込んで、いろいろ議論を進めているところであります。

【福山主査】

 相原さんの御質問は、まさにそこのところをお聞きになったと。

【相原委員】

 ええ。

【福山主査】

 6ページに、技術的課題が1から4まであるけれども、サイエンスとして何が問題になるか、何が興味あるか、そういうことも含めて議論する。そういうコミュニティとの連携が必要ではないかという趣旨で、相原さんは質問されたと。

【相原委員】

 ええ。先ほどのJ-PARC、この施設の位置付けですけれども、もともとは生い立ちはサイエンスで。そうすると、例えば、今のお話のようなところは、学術会議でオープンで話をされているのか、あるいは、プロポーザルとして出されているのか、そういう中でもっと大きなソサエティ。実際、これは大きな結果を生むわけですから、J-PARCとして組織的につながりを強化しようとされているのかどうかというのが、私なんかではまだちょっと見えなくて。もちろん原子力の専門家の人たちには明らかだと思うんですけれども、その辺の取り組みが、全体のJ-PARCの中での位置付けというところで、どのような形でなされてきたのかなというのが一つの質問で。特に、例えば学術会議なんかでどういう形でこれを取り上げていってほしいのか、いこうとするのかという提案を具体的にされているのかというようなことも、ちょっと興味があります。

【福山主査】

 永宮センター長がさっきおっしゃったのは、そういうサイエンスを意識したコミュニティづくりが、今進みつつあると。そういうのが進むと、学術会議のところでも話題になってというか。

【永宮センター長】

 学術会議に、実はプロジェクトとして、これが提案されてはいるんです。ただ、あまりまだきちっと取り上げられていないというのは、やっぱりコミュニティのサイズというか、コミュニティがどれぐらい広いコミュニティを吸収するものかという問題があるからです。それから、今日はお示しになりませんでしたけれども、TEF-Tをやるか、TEF-Pをやるかというので、今回はTEF-Tを先行させようということになったわけですけれども、これはコミュニティをかなり意識して、応用関係を重視したからです。応用というのは、ここでは、中性子のダイポールモーメントであるとか、そういったことを指します。こういったコミュニティがかなり飛びついてきていますので、そういう点も意識して、今進めております。

【福山主査】

 確かにこの点は重要なところで、先ほど御説明を伺っていて、こういう廃棄物の処理のための技術開発というところが強調されているだけだと、あまり夢がないですよね。やっぱり同時に、これをやるというときに、これはできればサイエンスとしてはおもしろいことがあってと、それが対になっていると。今、永宮先生たちが強調されたのは、中性子のダイポールモーメントの問題とか基本的なことが、サイエンスをターゲット、目標の中に入ってくる。そういう側面もあって、その両面性があるということが強調されるべきですね。

【J-PARCセンター(辻本)】

 私個人は、これはサイエンスとして非常におもしろいとは思ってはいるんですけれども。

【福山主査】

 まさにサイエンス・アンド・テクノロジーですよね。ほかにいかがでしょうか。

【小森委員】

 基本的な質問ですが、J-PARCさんで考えておられる施設、第2期の施設の場合、陽子ビームがターゲットに当たったとき、どのくらいの中性子が出ますか。

【J-PARCセンター(辻本)】

 フラックスという意味ですか。

【小森委員】

 ええ、フラックスですかね。

【J-PARCセンター(辻本)】

 中性子のフラックスということですと、参考資料のほうにADSターゲット試験施設(TEF-T)というものをお示ししておりまして、こちらでどれぐらいの中性子が出るかということは示させていただいていますので、こちらを御覧いただければ、ある程度答えになるかと思うんですけれども。

【小森委員】

 わかりました。それからもう一つ、先ほどちょっと説明をされていましたが、ADSが将来的にできた場合、130万kWぐらいの原子炉が定常的に動いていたとして、それに対してADSが何個あればよいか、逆に、ADS1個で、原子炉何個分ぐらいの処理ができるのか教えて下さい。

【J-PARCセンター(辻本)】

 今は約50基、日本に軽水炉がありますけれども、先ほどお話ししたように、大体10基から出てくるマイナーアクチノイドを核変換するのに一つ必要ですので、このペースだと5基のADSが必要だという計算になります。

【福山主査】

 鉛ビスマスというこれ、どういう物性を持っているか知らないんですけれども、容器の開発。容器なんかは、どういう材料がいいかというのはわかっているんですか。

【J-PARCセンター(辻本)】

 容器は割と厚く作ればいいというところがありますので。ただ、ビームのところは、なるべく中での発熱を小さくするために薄くしなければならない。ただ、薄くしすぎると、鉛ビスマスは非常に腐食性が強いものですから、酸化で結構ぼろぼろになってしまう。それから、もう一つが、エロージョンといって、削っていってしまうんですね。要は鉛が当たっているようなものですから。その辺の材料開発というのは必要だと思っていまして、我々は鉛ビスマスの実際のループを作って、どれぐらい腐食するかという試験もやって、その結果として、大体これぐらいだったら成立するのではないかというところは見ております。

【福山主査】

 ITER、核融合のような場合でも、炉心はいいとしても、覆う炉壁がちゃんとしていないと装置にならないので、そこは物質材料開発がちゃんとしていないとだめですよね。

【J-PARCセンター(辻本)】

 はい。ただ、原子炉の場合は、普通この容器は十センチ以上の厚さで作るものですから、その辺は多少削れても、そこは大丈夫だというふうに考えております。

【福山主査】

 当面、そういうところは重要なターゲットにはならないということで、もっと大事なところはたくさんあるということで。

【J-PARCセンター(辻本)】

 だから、今はまだ緊急な課題にはなっていないと認識しております。

【福山主査】

 どうもありがとうございました。まだあるかと思いますが、続いて、はい、どうぞ。

【田村委員】

 済みません。ちょっと基本的なことをお聞きしておきたいんですけれども、よく加速器のスイッチを切れば止まるから安全ですよという言い方をされて、僕も今までそうだろうなともちろん思っていたんですけれども、今回の原発の事故は、臨界は止まったけれども、結局核分裂生成物の発熱でメルトダウンしたわけですよね。そういう意味で考えると、これも同じ、近い状況なのかなという気がするんですが、出力のワット数当たりの余熱というか、核分裂生成物の発熱量というのは小さいんでしょうか。そこはどうなんでしょうか。

【J-PARCセンター(辻本)】

 軽水炉に比べれば、逆に大きいです。

【田村委員】

 大きいんですか。

【J-PARCセンター(辻本)】

 大きいんですけれども、一つ特徴としては、冷却材に鉛ビスマスを使っていると。水は100度で沸騰しますけれども、鉛ビスマスは大体1,700度まで沸点がありますので、非常にその幅は広いです。それから、鉛ビスマスを使っているということで、自然循環力が非常に強くなるんです。それでかなり冷却できると考えております。それだけでも大体もつんですけれども、そのほかに受動的な、全く動力を必要としない崩壊熱の除去系というものもこれに設置することを考えておりますので、そこは我々は大丈夫だと思っています。その辺の考え方は、高速炉なんかでも共通の考え方だというふうに考えております。

【田村委員】

 わかりました。

【福山主査】

 高温まで液体でいるからということですね。それでは、どうもありがとうございました。続いて、加速器の整備について、長谷川ディビジョン長からお願いします。

【J-PARCセンター(長谷川)】

 加速器ディビジョンの長谷川です。加速器整備について御説明します。内容としては、運転開始後のマイルストーン、運転の実績、運転後の課題や改良点、そして加速器の性能向上について説明してまいります。ここに、運転開始後の主なマイルストーンを施設ごとに、調整開始と定格エネルギーの達成の年月、大強度試験と利用運転のときのビームパワーをまとめました。リニアックは、2006年11月から調整を開始して、翌1月に181MeVを達成するなど、それぞれの装置で調整を進めて、大強度ではRCS、MLFでは420kW、MRの速い取り出し、FXでは200kW、遅い取り出し、SXでは10kWを達成しております。利用運転では、RCS、MLFでは220kW、FXでは160~190kW、SXでは3.3kWを連続に供給しております。

 これはMLF、すなわち3GeVシンクロトロン、RCSからのビーム出力の履歴を示したものです。この縦棒がビームパワーをあらわしておりまして、後で説明しますが、RFQの不調のときには5kW、あるいは20kWでありましたが、その性能の回復後は120kW。そして、現在は200~220kWを供給して、累積のパワーとしては、600MWhに達しております。

 これはMRの速い取り出し、FXの累積の陽子の数と、1パルス当たりの陽子の数を示したものです。2010年1月の物理RUNの開始から震災までで、1.4×1020個の陽子を供給しました。震災後、これは3月と4月のビーム強度を示したものですけれども、1パルス当たりの陽子数は、現在1×1014個、これは世界最高になります。ビームパワーも、サイクル数を速くすることによって、現在190kWを連続で供給しております。遅い取り出し、SXですけれども、これはMRの中での加速のエネルギーと陽子の数を示したものです。3GeVで入射して、30GeVまで加速し、一様にゆっくり取り出すというのが遅い取り出しでありますけれども、ダイナミックバンプという、取り出し中にロスを最小にするようにバンプ軌道をフィードバック制御するという手法を用いまして、取り出し効率99.5%、世界最高の効率を達成しております。ビーム強度としては、連続で3.3kW、施設検査、1時間では5kW、スタディでは10kWを達成しております。ただ、取り出しビームの時間構造を見ますと、主電磁石電源の電流リプルに起因する、取り出しのビームスパイク構造が問題となっております。スパイクが全くなく、時間変動がない構造をデューティの100%としますと、現在は30%足らずということになっております。スピルフィードバックシステムと、横方向の高周波システムの導入でこれらを改善しておりますが、今後さらにそれを強化する必要があります。

 この二つの図は、平成21年と22年の運転実績を示したものです。主に立ち上げとコンディショニング、加速器のチューニング、ユーザーの時間というように分けております。21年度は4,670時間の中で、ユーザーには1,500時間、そのうちトラブルは約9%、ほとんどMLFに供給しました。この年は、RFQの不調によるコンディショニングの時間が長かったのが特徴的になります。22年度は5,550時間の中で、ユーザーには3,700時間供給して、トラブルは8%。MLF、ニュートリノ、ハドロンに供給しました。これは昨年度12月から1月で、2,455時間と短かったわけですけれども、チューニングの時間の割合が高く、ユーザーには1,210時間、うちトラブルは27%と高くなってしまいました。これは3月22日の朝、クライストロンの電源、重故障ということで、年度末までこの年度は止めてしまったということで、それを評価して、故障の時間が長くなっております。右の図は、これまでの経過と、今年の運転の稼動時間の見込みです。昨年、震災で短かったのは別にしますと、次第に運転時間を長くしておりまして、今年は全体で6,000時間、ユーザーには4,000時間供給する予定であります。

 このように、ビームパワーや運転時間を延ばしてきましたが、運転後の課題として幾つかありました。ここでは、RFQの放電問題、ビームロスの低減と、運転時間や稼働率の向上について述べたいと思います。RFQの放電問題ですが、2008年の秋、RFQの放電で、連続運転が耐えられないという問題が顕在化しました。これに伴って、RCS(MLF)のビームパワーも20kWに抑えられました。このため、2009年夏、真空システムとしてガスの流入を抑制したり、ポンプのオイルフリー化、ポンプを増設するなどの向上と、その後、コンディショニングといいまして、高周波による電極表面の正常化によって、精度が徐々に回復し、現在に至っております。また、バックアップRFQの製作を行いまして、類似の事象に備えました。

 また、これはリニアックでの残留放射線量を示したもので、特に中流部、将来エネルギー増強部分に広くロスが分布しております。これは加速しているH-と残留ガスとの反応でロスするもので、真空ポンプを追加設置して、ビームロスを低減しました。ただ、その追加では効果がない部分が上流、下流ありまして、この原因については、さらなる調査と改善が必要であります。また、その下流部、曲げたところで、H+による放射化というのも顕在化しました。これは上流で発生したH+が加速されて放射化するというもので、RFQの下流のところで変更させて分離を行い、100分の1に低減させて、現在では問題のないレベルとなっております。RCSの部分は、入射部の残留放射線量が、ビームパワー向上の大きな課題の一つとなっていました。これは周回しているビームが、荷電変換フォイルで散乱されてロスすることによります。そのため、ロスを局在化して、線量を抑制するために、新規にコリメータを設置しました。これがそのシミュレーションの結果ですけれども、コリメータがない場合には、この部分にビームが当たりましたが、コリメータを入れることでビームが当たらないようにして、この部分の線量を下げるというものです。実際に入れた結果、120kWのときに、2~3mSv/hだったものが、0.2と約10分の1に低減し、今後のビームパワー増強に有効であることが示されました。また、MRのビームロスですけれども、ビーム不安定性によるビーム損失を避けるために、バンチごとのフィードバックシステムを導入しました。MRの中には、8個のバンチという陽子の塊が周回しているわけですけれども、そのバンチ一個一個の振動をピックアップで検出して、個々のバンチに対して補正を行うというシステムです。この下の図は、青が陽子のエネルギー、赤が陽子の数ですけれども、左がフィードバックがある場合、右がない場合です。フィードバックがない場合は、このように急激にビーム強度が落ちる、すなわちロスするという現象が見られましたが、フィードバックを入れることで、こうした不安定性がなくなり、安定にロスなく加速することを実現しております。また、遅い取り出しでは、静電セプタムによる散乱で、下流の電磁石の残留放射能レベルがパワーを制限する要因となっていました。このために、コリメータを設置した結果、900μSv/hだったのを150と、約6分の1に低減しました。その他、リングコリメータの増強や、一部のダクトのチタン化などを進めております。

 一方、運転時間や稼働率の努力を継続的に実施しておりまして、これは2009年末ごろのビームトリップの要因の回数と時間を示したものです。ここでは、RCSのキッカー電磁石に関係するトリップが、非常に停止要因を占めているということがお分かりになると思います。稼働率向上の例としてこの改善と、運転時間の向上の例として、イオン源の運転時間の向上について御説明いたします。これはRCSキッカー電磁石の故障率の履歴です。当初13%、すなわち7分の1の時間が、この故障でビームが止められたわけですけれども、この要因を分析して、サイラトロンという電子管調整に係る多くの改善を施すことで、0.1%台、100分の1への減少を実現しました。また、運転時間向上の例ですが、イオン源の連続運転の長時間化があります。これはイオン源の電流と運転時間を示したもので、ランの27から電流を6mAから17mAに向上させました。運転時間も、ランの36から50日の連続運転を行いまして、1,000時間以上の運転を実施しております。また、保守の時間ですけれども、従来3日要していましたが、交換部品をユニット化して、一気に取りかえるということで2日、トラブルがないときには1日に短縮しております。これによって、長時間の連続運転と保守時間の短縮で、運転時間の向上を図ってきております。

 最後に、加速器の性能向上について述べたいと思います。項目としては、リニアックのエネルギー増強、ビーム電流増強、そしてメインリングの性能向上です。上の二つについては、予算措置済みのものであります。リニアックの性能向上は、J-PARCの当初の設計強度、RCSで1MW、MRで0.75MW。これを実現するには、リニアックのエネルギーで400MeV、電流は50mAが必要です。エネルギーは、現在の181MeVの後に、加速空洞などを増設して400MeVにまで上げる。電流は、イオン源やRFQといった先頭のものを、性能向上したものと取りかえるというものです。RCSも1MWを達成するために、幾つか性能向上が必要です。入射エネルギーが400MeVになることに伴って、バンプ電源の増強や、ビーム整形のための可変偏向電磁石電源の設置。あるいは、ビーム軌道を制御するための補正四極システム。ビームモニターの高度化や、荷電変換フォイルの長寿命化なども進めております。こうした400MeV化、大電流化は、現在製作と試験を進めておりまして、来年の夏以降、据えつけと調整をまとめて行って、その後、利用運転と1MW出力化を目指します。これがパワープロファイルですけれども、震災前のカーブに比べて、据え付け調整期間でのビームパワー増強はあまり現実的ではありませんので、実際には半年遅れということを見越しております。予算的には、最先端予算でほぼ充当しておりまして、この据え付け調整は内部の予算で手当する予定です。安定供給については、引き続き研究開発が必要ですし、1MW以上の可能性の検討は、1MWが見えてくる2015年半ばから、本格的に検討を始めたいと考えております。増強機器の製作状況ですけれども、加速空洞は震災の影響もなく、順調に製作が進んでおりまして、21台中19台が完了して、一部は工場に保管してあります。クライストロンという電子管は、必要数の製作は完了しておりますし、地上部の据え付けも順調に進めております。電流増強の機器ですけれども、イオン源はSNSのグループと協力として開発しておりまして、目標60mAに対して、74mAの引き出しに成功しております。ただ、エミッタンスが大きくて、実際に加速できる範囲の電流としては、60mA程度であること。また、セシウムという放電しやすい物質の制御とか、メンテナンスの頻度の評価といった、実用化には継続的なR&Dが必要で、現在それを進めているところです。RFQは、予備機の製作経験をもとに製作を進めておりまして、今年中には製作が完了する予定で、その後、大電力試験、ビーム試験を行って、来年夏にトンネルに据え付ける予定です。

 MRの大強度化につきましては、現在実現可能なビームパワーはコリメータでのロスが制限しております。そして、最近のシミュレーションの結果によりますと、空間電荷効果によるビームロスによって、現行の機器では450kW程度が限界と見ております。こうした背景があり、大強度化のシナリオとして、二つ考えられます。一つ目は、取り出しビームエネルギー量を上げること。これはもともとのシナリオで、フライホイールを導入して、エネルギーを50GeVに上げるというものです。これは19年度の中間評価でも指摘されておりまして、運転状況を見ながら、適切な時期に再度レビューを行い、判断することが必要と言われております。二つ目は、繰り返しサイクルを上げることです。ここに概念を示しましたが、繰り返しの周期を短くすることで、たくさんのビームを送ることでパワーを上げるというものです。

 我々は、電磁石の飽和の影響や、電力の状況を考慮して再検討した結果、この繰り返しサイクルを上げるという2番を選択し、今年2月の加速器技術諮問委員会で説明し、支持をいただきました。このために必要な項目ですけれども、主電磁石電源は、高い繰り返しと低いリプルのものとして、このような回路構成でR&Dを進めております。電源の製作には、予算の手当が必要となります。その他、高い勾配の高周波の加速系、入出射機器の高度化、リングコリメータの大容量化などが必要になります。これは大強度化のシナリオとして、高い繰り返しを選択する方針についての加速器技術諮問委員会の議論と、支持をいただいた部分の抜粋になります。

 以上、まとめますと、加速器は、運転開始後、困難なところもありましたが、ビームパワーや運転時間、稼働率を改善して、性能を向上し、ユーザーにビームを供給してまいりました。現在は、震災前と同等、あるいは、FXでは、それ以上のパワーで供給しております。ビームトリップ、故障とかビームロス、震災によるもの、そうとは明確に言えないものが今多発しておりまして、しばらくはこうした課題を解決していく必要があります。

 性能向上では、来年夏から秋、25年、リニアックのエネルギー増強や電流向上を図って、1MWへの実現を目指します。MRは電磁石電源や、高勾配加速空洞などによる高繰り返し化でのFXパワー向上、コリメータや真空容器の改善などによるSXパワー向上を図っていきます。ビームパワーだけではなく、安定供給という性能の観点からも、継続的な研究開発と予算の手当が必要であります。以上です。

【福山主査】

 どうもありがとうございました。加速器について、整備状況です。いかがでしょうか。

【梶田委員】

 どうもありがとうございました。それでRCSについてはタイムテーブルがあって、パワー増強の計画が示されたんですけれども、一方でMRについては、言葉では説明があったんですけれども、実際上、どういう年次計画で750kW、あるいはさらにその先についてお考えなのかということについて、ちょっと御説明をお願いできますでしょうか。

【KEK(小関)】

 では、KEKの小関です。御説明いたします。MRのパワーの増強のシナリオに関しましては、先ほど長谷川の報告にありましたように、エネルギーを上げるのか、あるいは繰り返しサイクルを上げるのかというのが非常に大きなポイントでありまして、我々は、繰り返しサイクルを上げることによって、750kWという値を達成したいと思っております。そのためには、いろいろな予算措置もこれから必要になります。ですから、それがどういうペースで措置されるかによって、我々の年次計画、特にパワーアップのプロファイルが変わってくるわけですけれども、それに関しましては、次回の向こう5年間の計画というところで、予算措置が行われた場合に、どういうペースで上がっていくかということをお示ししたいと思っております。いずれにしても、最終的には5か年の計画の最後の年には、750kWを達成したいと思っております。

【熊谷委員】

 ちょっといいですか。このRCSもMRも、これから1MWとか750kWに向かって作業を進めるわけですよね。そのときに、やっぱりこの大強度マシンというのは、多分ビームロスとの戦いだと思うんですよ。特に今は、ビームインテンシーが低い間は中心部を回っていて、そんなところで落とす確率というのは低いわけですが、これから定格の1MWとか750kWになると、いわゆるアクセプタンスぎりぎりのところにビームが入っていて、そこのロスがいろいろな制約を、多分放射化の問題だとか、機器の損傷だとか、放射線劣化とか、そこの戦いになると思うんだけど、その辺は今、どういうシナリオをお考えなんですか。

【福山主査】

 ビームダクトが狭くなったときに、どんなロスが。

【熊谷委員】

 ええ。だんだんだんだん外に膨らんでいって、チェンバとの境界ぎりきりのところまでいかないと、1MWとかなんか達成できないわけですよね。

【J-PARCセンター(長谷川)】

 先ほど御紹介したのは、いろいろなロスとの戦いということで、リニアック3GeV、MRということで、比例関係でいく分には、今、一つずつつぶしていっているところです。ノンリニアのところというのが見えてくるわけですけれども、それは強度を上げてきたときに見えてくる。もちろんシミュレーションでわかる範囲は、今から手当するわけですけれども、それは局所遮蔽なり、そのときの状況で手当していくということ以外。あらかじめわかっているところは、今から手当していると。

【KEK(小関)】

 済みません、ではちょっと補足しますけれども、特にこれからロスの問題が非常にシリアスになるのは、メインリングだと思うんです。メインリングは、RCSに比べると、定格の出力に比べて、ビームがアパーチュアに、必ずしも十分ではありませんので、そういう意味では非常に厳しい運転になる可能性があると思っておりますけれども、まず我々が特にやらなければいけないと思っているのは、とにかくロスを局所化させるために、我々はビーム輸送と、それから、リングの本体にコリメータを持っております。コリメータで受けられるロスの容量が、特にリングのコリメータに関しては、今、450Wという比較的少ないレベルに抑えてありますので、これを適切に増強することが不可欠だと考えております。ただ、そこで無制限に落とすことができるわけではないので、今想定している容量は2kW程度です。そのときに、2kWのロスを起こすコリメータの周辺で、本当に四極電磁石や補正電磁石の保守ができるかということが非常に重要な問題になりますので、今まさにそこは、タスクフォースチームをグループの中に作って、鋭意検討を進めているところです。ただ、いずれにしても、2kW程度のロスが可能なコリメータシステムということが必要になるだろうと考えております。

【熊谷委員】

 そのときに、その5か年計画の中に、その部分がきちっと組み込まれているんですか。

【KEK(小関)】

 ビーム強度は入っています。容量の増強というフラグに入っております。

【J-PARCセンター(長谷川)】

 もちろんこれ以外にも。

【熊谷委員】

 もう一つだけ。そこに今出ているので。繰り返しの2.56から1.何ぼに上げますよね。そのときに、電源は結構大変なことになりますよね、繰り返しというのは。立ち上がりの時間が速くなると思うけれども。その辺というのは、今の電源は全くそっくり作りかえるということを前提にしていると思うんですが、その性能というのは、どこでチェックするんですか。入れて初めてチェックできるという。

【KEK(小関)】

 済みません、それも僕が答えたほうがいいと思うんですけれども、まさに熊谷さんおっしゃったように、電源を新しい新規の電源に入れかえるということを考えております。そこに概念図が書いてありますけれども、大きなコンバータを二つ、それから、その間に回生用の大容量のコンデンサをかませまして、それで比較的低い電力で高い電圧を出したいと思っているわけですが、現在プロトタイプの試験を進めておりまして、少なくとも今年の夏までに、我々のこの方式が正しいかどうかということを、プロトタイプ試験の結果を踏まえて、レビューを受けたいと考えております。専門家の方々をお招きしてレビューを受けて、そこでの評価をきちんと再検討した上で、量産に踏み切ることができるかどうかということを判断したいと考えております。

【福山主査】

 熊谷さん、よろしいですか。技術的なチャレンジが。

【熊谷委員】

 いや、変なことばっかり言っているので。今聞くと、なかなかステップ・バイ・ステップで1個ずつ虫をつぶしてきて、ここまで来ていらっしゃるというのは、それなりに担当者の方がかなり努力されていると、非常に高い評価を私自身はするんですが、何分ロスの話が最終的には、多分一番性能を決める点なので、そこは心配だということです。ほかのことに関しては一つずつ、やっぱりハイパワーの、大強度の加速器というのは、やっぱり一つずつ虫をつぶしていく、問題を解決していかないと、やっぱり1足す1は2にならないと、性能は上がらないですよね。それが1足す1がいつの間にか1になったりすると、なかなか計画は達成できないということになりますので。プロセスとしては、非常に適切に対応されていると、私自身は思います。

【福山主査】

 その前提にある、パワーポイントの23ページだと思うんですが、大強度化のシナリオで、フライホイールを使うという件で、サイクルを上げるという。今日のお話は、このサイクルを上げるほうを選びつつあると。フライホイールのことは、可能性は当面考えていない?

【J-PARCセンター(長谷川)】

 サイクルを上げる方向で。

【福山主査】

 ということは、今日の最初の資料1-6で、5年前の評価の指摘事項で、3番目にフライホイールのことが書いてあるけれども、ここに関しては、もう方針が出てきているという関係なんですね。それでよろしいですね。ほかに御質問は。

【田村委員】

 メインリングのSXの時間構造の問題というのが、やっぱり実験をやる者としては一番気になっております。それで、ビームパワーを少しずつ上げていただくと思うんですけれども、時間構造のほうも、やっぱり画期的に改善しないと、そのパワーが生かせない、実験で使えないということになるわけですけれども、今のところどういう見通しかというのを、ちょっと簡単にお話しいただけますか。

【KEK(小関)】

 時間構造に関しましては、非常に厳しい状況であるということは、先ほどの図を見ていただければわかると思うんですけれども。今、非常に有効な手法と思われていることが二つありまして、一つは、スピルフィードバックシステムという我々が持っている、速い応答の四極電磁石を使ったフィードバックシステムです。現在、電源の強化を行っておりまして、電源を強化することで、この30%が40%にできるということは、2月の運転で確認しております。それをこれから進めていくということが一つ。それから、もう一つは、そこに横方向の高周波システムの導入と書いてありますけれども、横方向にベータトロン振動を励磁してやることによって、デューティファクターをよくするという仕掛けなんですけれども、それについても高周波の増強などで、かなりいけるんじゃないかと思っております。ただ、これはやっぱり原因が主電磁石電源の電流リプルに起因しておりますので、抜本的にこれに対峙するためには、やはり電源に踏み込まざるを得ない、主電磁石電源に。我々がこれから高繰り返しに向けて作ろうとしている電源システムのもう一つの特徴は、低リプルということでありまして、デジタルのフィードバック、それから、フィードフォワードを使った、低リプル電源を開発することを現在進めております。

【熊谷委員】

 もう一つだけよろしいですか。これは30GeVを繰り返し上げるということで、パワーは保証したわけですけれども、50GeVという利用は、今のところは考えなくてもいいということですか。

【KEK(小関)】

 その件に関しては、やはりこれは我々、利用実験のほうから、50GeVというエネルギーがどうしても必要であるということになれば、当然それを視野に入れなければいけないと思っております。ただ、今の段階では、むしろエネルギーよりはビーム強度を優先して、我々が最速で750kWに到達することのできるシナリオを選択するべきだと考えております。

【福山主査】

 どうもありがとうございました。これはコミュニティともいろいろ議論している結果、そちらのほうが良いだろうということの、高エネルギー及び原子核のコミュニティも言っていますので、そういう方向に同意されていると。コミュニティ全体でいろいろ議論しておられるその結果だと。

【永宮センター長】

 もちろん先ほど言われたように、そういう実験が出てくれば、またその時点で考えなければいけないと思います。

【福山主査】

 相原さん。

【相原委員】

 テクニカルなことは、一つずつは非常に、順調ではないんでしょうけれども、確実にやられているということはよくわかります。これは現場の人というよりは、むしろJ-PARCセンター長、あるいはマネジメントに対してのお願いですけれども、この加速器のJ-PARCのパッケージ自身を外に説明するときに、やっぱり今、結構問題になるのは、パワーの問題ですよね。これはヘビーパワーのユーザーですので、パワーコンサンプションをしている実態としては何ものでもないので、今、実際には出されたことが、いかにサイエンスパワーとか、アウトカムパワー、コストというよりは、実際にJ-PARCに投入しているパワーから、どれだけ効率よく結果を出すために、すべての今までの努力がなされているかというのを見えるような形でプリゼンするというのが、今後非常に重要じゃないかと思うんですよね。じゃないと、もちろん無限にパワーがあれば、幾らでもサイエンス出ますよというのは、これは話は別で、そういうことではなくて、有限の中からこれだけの努力をして、J-PARCにこれだけの投資をして、産業界にも役に立つというような形で、これは上層部がうまくプレゼンテーションをアレンジして、実際に行われていることを外に出していくというのが重要じゃないかと思います。

【永宮センター長】

 前回、相原さんは来られなかったんですけれども、3GeVのどれだけのパワーを要求するかというところに、やはり生命科学というのは、非常にパワーハングリーというのかな、1MWにいけば、かなり新たなことができるが、現在のパワーではかなり制限されているというところがあります。それは一つの、まあ、それだけじゃないですけれども、物質生命の分野でもそういうことはあると思います。そういうところは、確かにおっしゃるように、きちっと説明しながらやっていかなければいけないとは思いますけれども、前回、そこに関しては議論されたと思っております。

 ニュートリノに関しては、言わなくてもパワーが必要だというのはわかると思いますので、そういうことですね。ハドロンに関しては、もちろんパワーハングリーなところがあるんですけれども、もうちょっと低レベルの100kWとかそういうことが、今目標になっているわけで、これはKL→π0νν-という実験は、パワーを要求する実験です。

【福山主査】

 今、お話しが出たニュートリノに移りましょう。小林さん、お願いします。

【高エネ研(小林)】

 では、高エネ研の小林が、素粒子物理(ニュートリノ)実験について報告します。もともとの資料のタイトルはニュートリノ実験についてだったんですけれども、J-PARCでの素粒子実験というのは、ニュートリノだけではなくて、ほかの実験もあるので、主にニュートリノですけれども、ほかの実験もカバーします。

 まずはここから始めるんですけれども、J-PARCに限らず、素粒子物理が何を目指しているかということは、もう皆さんほぼ御存じだと思うんですけれども、物質の究極の微小構成要素を知りたい。それから、その間の法則を知りたい。それから、さらにはそれらが何であるのかということを知りたいという学問でして、今のところの理解は、四つの力があると。強い力、弱い力、電磁気、重力と。それぞれさまざまな素粒子と思われるものがあるというところまでいっていて、これらを一つの法則ですべてを説明したいと思うのが素粒子物理学で、今はそれを徐々に統合していけていると。今、持っているのは、電磁気と弱い力を統合した電弱理論と、それから、強い力を説明する強い量子色力学で、それらを二つ合わせて標準模型とか標準理論と。これは非常に今、成功していまして、過去何十年もの間、ほとんどの現象をうまく説明している。なので、ここを目指すためには、これの予想しない現象、またはこれが予想する値と違うものを、非常に精度よく高感度で探るということが、簡単に言うと、世の中のすべての素粒子実験がやろうとしていることです。その中で、J-PARCの素粒子実験のやることですけれども、大強度陽子ビームでさまざまな二次粒子、三次粒子ができます。ニュートリノ、K中間子。これらを用いて、先ほどのような実験をやるということです。標準模型で説明できない性質を発見して、標準模型を超える新しい物理をとらえるということが、すべての実験の目的になります。そのためには、とにかく大強度の実現は生命線です。これが現在の素粒子、標準模型の描像ですけれども、クォーク、レプトン、いろいろあるわけですけれども、J-PARCで探れる主な粒子というのは、アップクォーク、ニュートリノ、それから電子、ミュオンになります。ちなみにですけれども、例えば、スーパーケックビーでは、主にボトムクォークやタウ。それから、LHCでは、主にヒッグス粒子を探求するものだと。実際にどういう研究がどういうところでやられようとしているかという、J-PARCの二次元的なオーバービューですけれども、素粒子実験ではニュートリノを使ったT2K実験が、ニュートリノを使って現在進行中。それから、K中間子の性質を調べる実験が、この赤というのは建設、または実験中ですけれども、K中間子崩壊実験KOTOというのが、ハドロンホールで展開されると。それから、ほかにも第1段階の承認をされたK中間子の実験が二つ、ハドロンホールで計画。それから、ミュオンの性質を調べる実験が、ハドロンホールでCOMETというもの。それから、MLFでも計画があると。提案段階のものも含めると、MLFでμ-e転換からLINACの下流付近で計画されるEDM実験などがあります。ここのハドロンホールでは、多くの素粒子、原子核実験が計画されていて、私のカバーするところは素粒子実験全般で、あとの田中は、ハドロンホールで展開される、主に原子核実験の報告をします。

 これは研究推進のための仕組みでありまして、これは素粒子実験も原子核実験も同じというか、一つの枠組みでやっているわけですけれども、基本的にボトムアップの提案が、自発的に組織された国内、国際コミュニティから組織された実験グループからあると。典型的には数十人から数百人の規模で、これが実験提案書を作り、プログラマー・アドバイザリー・コミッティに提出すると。一般には、実験期間というのは数か月から数年。さらに一般的には、測定装置、時にはビームライン自身も実験の一部ととらえて、実験の性能を決めるものですから、ビームライン自身も含めて実験グループが、設計、建設、運転、保守、アップグレードに責任を持つということが一般的です。で、PACにプログラム提案書を出すと。物理的意義、実験実現性を評価する場であると。それから、素核研の所長の下にあるわけですけれども、所長の諮問に基づき、将来計画を議論することもあると。これは国際的にやられていまして、半分が外国人で、すべて英語でやられていて、年2回程度。これまでに43件の提案を評価してきて、第1段階の承認が11件で、第2段階、フルの正式承認が12件あります。これはここに見るように、KEK、J-PARC、JAEAがあって、プロポーザルはJ-PARCセンターに出て、素核研で所長の下のPACで議論され、素核研所長とJ-PARCセンター長に答申される。素核研の中には、さらにこれに加えて、PACの答申に基づき、実験を具体的に進めていく組織もあります。これはスムーズに機能しています。

 これまでと今後の研究。今度は二次元ではなくて、縦というか、時間方向の研究ですけれども、とにかくまず、現行実験で成果を出していく必要があると。今後5年程度では、先ほどのお話ですけれども、設計強度の実現。強度フロンティア実験の本格的展開。それから、ハドロンホールの陽子ビームラインの高度化により、COMET実験の段階的実現を目指したい。それと並行して、将来の可能性を広げる研究開発も続けていく必要がある。さらに長期的には、ニュートリノにおける物質反物質非対称性の探索実験もやってみたい。

 まず、現行実験、T2Kですけれども、T2Kというのは、J-PARCでミューニュートリノを作って、スーパーカミオカンデで検出する実験で、目的としては、ミューニュートリノが電子ニュートリノに変わったものを、スーパーカミオカンデで検出する、発見する。それから、もう一つは、ミューニュートリノを発射して、その数、ミューニュートリノを検出して、その減りを見るということです。ミューニュートリノ消失。これが目的です。最も重要なのは、電子ニュートリノへの変化の発見です。この実験は、世界最大強度が得られるJ-PARCと、それから、世界の最大の検出器で可能になる、この組み合わせで初めて可能になる最高感度の実験。ここでしかできないということで、世界から500人を超える研究者が集まっております。競争的資金も、国内、科研費、それから、海外からもこれぐらい集まっていると。計画どおり2009年4月に実験を開始して、震災直前まで、その日の朝まで取っていたんですけれども、そのデータをすべて解析して、結果を公表しました。3月までは145kW安定運転で、1.4×1020のプロトンを標的に当てたと。ただし、この量というのは、実はPACで承認された量に比べると、まだ2%です。

 これが去年の電子ニュートリノ出現の検出の結果ですけれども、この黒点、縦軸がイベント数で、横軸がニュートリノエネルギーですけれども、スーパーカミオカンデで検出された電子ニュートリノの候補の数で、6イベント検出されたと。ニュートリノへの変化、振動がないと仮定したときのバックグラウンドはこの緑のところなので、1.5ということで、超過分が観測されたと。これは世界に先駆けて、電子ニュートリノ出現を検出したと。これは今までニュートリノ振動というのは、確立されたと言われてきてはいるんですけれども、これまでに変化した先のニュートリノの種類を同定した実験、出現実験というのはありません。T2Kが初めてです。この出現が、ニュートリノ振動によると仮定した場合には未知の、これはθ13という量ですけれども、この混合角が有限であるということを、世界で初めて示したことになります。T2Kの成果ですけれども、先ほどの電子ニュートリノ出現に関しては、PRLに7月、結果を公表したのが6月なので、1か月後にはもう出ていると。これまで260を超えるサイテーションと、PRLに、Viewpoint in physicsに選ばれたと。それから、IOPというんですかね、英国物理学会により、2011年のすべての物理分野の成果の中で、トップ10のブレークスルーの一つに選ばれたと。それから、新聞各紙報道。それから、ミューニュートリノの消失のほうも解析結果を公表していまして、PRDのほうに出ています。それから、各種実験装置のNIM論文です。それから、若手研究者の育成という意味では、これは1年前のデータですけれども、博士号取得者14人、修士号取得者33人、在籍者が72人と11人となっています。

 その後ですけれども、震災時には、建屋、実験に大きな被害はなく、ただし、建屋周りに深刻な沈下があって、配管、配線の断裂多数。陽子ビームライントンネルの変形がありましたが、これが震災後で、その後、ほぼすべての磁石を再アライメントしました。2012年12月24日、震災後初ニュートリノビーム。3月8日、本格的な実験の再開にこぎ着け、現在、先ほどもありましたけれども、190kW運転を達成しました。今後のニュートリノ実験プログラムを、簡単に紹介しますと、とにかくまず電子ニュートリノ出現というのを99.7%程度で検出したわけですけれども、これを確実にしたいと。原子炉実験で、電子ニュートリノ消失という報告がありましたけれども、これは反電子ニュートリノの消失でありまして、電子ニュートリノと同じであるということは、これから調べるべきもので、電子ニュートリノを、まずT2Kとしては最優先で出現を確立したいと。その次には、電子ニュートリノ出現の精密測定。それから、ミューニュートリノ消失の精密測定をやっていきたい。それから、さらにはニュートリノビームを反ニュートリノビームに変えることはできるので、そういう方向も検討していきたいと。そのためには、すべてビームパワーが必要であると。例えば、これはプロポーザルの量、750kW×5年というのは認められた量ですけれども、今のパワーでいくと20年かかってしまうんですけれども、これだけのパワーで、これだけの年数5年走ると、例えば、電子ニュートリノ出現で、これは波のあるパラメータですけれども、この波の範囲にパラメータを制限することができると。別の実験から、例えば、横方向にこういうふうに線を引くことができると、CPバイオレーションフェーズという、CP非保存に関係する量になるには、何かヒントが得られるかもしれないと。それから、下はニュートリノ消失ですけれども、ちこちこしているところがこれだけ走ると、今、こういうふうな範囲でしかわかっていないところが、これぐらいでわかるようになると。これらを実現するためには、この数字を見て明らかだと思うんですけれども、設計強度の早期実現が決定的に重要であると。さらに将来には、ニュートリノ実験のプログラムとしては、加速器をさらに大強度化して、大きな検出器を作って、ニュートリノにおける物質反物質対称性の破れの探索に進みたい。そのためのR&Dやっていく。

 ニュートリノは以上で、もう一つ現行実験。ほぼ建設が終わり、もうすぐ実験にかかれる実験として、Kの崩壊実験。こういう崩壊ですけれども、これを探すと。これが、標準模型が予想する崩壊率というのがあるわけですけれども、それより上に出てくれば、それは新しい物理ということになるわけです。現在65名、海外28名、こういう外部資金で建設の最終段階にあり、来年の夏までには、理論的に予想される上限値以下の探索を開始すると。要するに、新しい物理が出るかもしれない領域を開始すると。最終目標はこのあたりですけれども、新しい物理の探索をしていくと。これは最終目標に達するためには、100kW以上×3年以上のビームが必要でして、これも設計強度の実現が不可欠です。KOTOの実験の現状ですけれども、2009年、ビームラインが完成して、K中間子の収量の測定をした。そうすると、保守的に仮定していた提案書の量より多いということがわかって、これはよいニュースですけれども、これもペーパーになっていると。それから、10年から検出器を建設して、今年建設完了で、実験を開始したいと。

 これが現行実験で、その次のプロジェクト、実験として実現したいと思っているのがCOMET μ-e転換探索実験です。ミュオンというのは、通常ミューから電子と、それから、ニュートリノを二つ出して、エネルギーは連続なレイシーになるわけですけれども、このμ-e転換というのは、原子核に捕獲されたミュオンが、電子だけを出すと。モノクロなものを出すという現象を探ると。これは標準模型でも存在して計算はできるんですけれども、崩壊率として1040ということで、現実的には測定できません。ということは、これが観測されたということは、すなわち新しい物理の発見になります。現在の上限値は、10-12ぐらいの確率というのがあるわけですけれども、それをこの実験は、4桁向上させるという、非常に高感度な実験になっております。例えば、この現象というのは、新しい物理というのは、一般に大きな崩壊率を予言するんですけれども、例えば、ニュートリノ質量が軽いということを説明できると思われる、あるシーソー模型というのがあるわけですけれども、それを仮定すると、この色がついたところあたりを予想すると。縦軸が崩壊率ですけれども。これまでの実験の上限値がここで、COMETは4桁向上させるとここまでいくということで、こういうモデルでは、かなり発見の期待がある。日本でミュオン素粒子物理というのは、スイスで今、MEG実験という、μ-eγ崩壊を探索する実験が走っていまして、これは世界を主導していると言えると思います。さらにJ-PARCという特徴を生かして、さらに世界をリードしたいと。LHCとも双方向的であり、競争となっているんですけれども、フェルミのmu2e実験計画というのと競争です。ビームの要求としては、56kW必要であると。ただしこれはこういうパラメータで、今の30GeV、8バンチに計算し直すと560kWになるので、これも大強度実現には不可欠です。我々としては、これを一足飛びに4桁ではなくて、まず段階的に実現していきたいと。第1段階目は、上流部を建設し、ビーム理解と2桁向上。最終的に4桁にいきたいと。フェーズ1、最初の段階では、まず全体の実験装置は、こういう超伝導、大きなソレノイドをこういうふうに作るんですけれども、最初の段階で上流部分を作り、ここに検出器を設置して、ビームの理解をすると。これでフェーズ2の設計のフィードバックを入れる。これでも2桁程度の向上という物理成果が得られた。それから、若手育成、それから、海外からの優秀な研究者を集めると。これが、これまでの加速器設計強度実現の必要性。既にしつこいほど言ってきたんですけれども、T2Kとしては、将来的に、最終的には750kWで5年走りたい。KOTOで100kW、COMETもこう。後ほど出てきますけれども、多くの原子核ハドロンもこういうパワーが必要で、現状は、速い取り出しで190kW、これ達成しようとすると20年。これはかなりの時間がかかってしまうので、設計パワーが実現されなければ、実験を終えるために数十年かかってしまう。これは現実的ではない。世界の競争にも負けてしまうと。J-PARCが世界に先駆けて物理成果を上げて、世界の素粒子分野を引き続きリードしていくためには、設計強度の早急な実現が必須で、そのためには先ほどの向上が必要です。

 さらにはやはりJ-PARCで、将来引き続き継続して素粒子物理の一つの拠点となっていくためには、可能性を広げるための研究開発も並行してやっていく必要がありまして、ニュートリノ実験のためのビームや液体アルゴン検出器。それから、ミュオンg-2/EDM実験をやっていく必要があります。

【福山主査】

 おまとめください。

【高エネ研(小林)】

 はい。をやっていく必要があります。以上です。

【福山主査】

 どうもありがとうございました。それでは、御質疑をお願いします。いかがでしょうか。

【熊谷委員】

 済みません。遅い取り出しのことをちょっとお聞きしたいんですが、速い取り出しの750kWというのは、問題はあるのかもしれませんが、難しいわけではないような気もするんですが、遅い取り出しで100kWというのは、ハード的には可能ですか。静電セプタムみたいなものを使うとなると、何となく成立しないような気もするんですが、その辺いかがですか。

【KEK(小関)】

 それに関しては、とにかく我々、遅い取り出しの機器の放射化をなるべく低く抑えるために、取り出し効率をよくするということが本質的に重要だと思っています。先ほど長谷川のプレゼンにありましたように、現在我々が到達した取り出し効率は、99.5%です。それを高いビームインテンシティでも実現できるとすれば、100kWのときの取り出しのロスは500W未満。我々は、500Wのロスであれば、マネージできるというふうに思っています、そこまでならば。もちろんそのためには、局所的にコリメータを入れるとか、遮蔽を施すとか、そういったことが必要になるかと思いますけれども、おそらくそこまでは目処が立つだろうというふうに、今のところは考えております。ただ、さらにその上のビームインテンシティを目指すためには、さらにいろいろなR&Dとか、デザインの検討が必要だろうと思っております。現状、そういうことです。

【熊谷委員】

 済みません。これはあれですか、算数の上では、必ず成立しているの。切り出しのビームと、セプタムの厚さで決まりますよね。そこはもう成立しているんですか。

【KEK(小関)】

 一応99.5%は成立しています。

【熊谷委員】

 そうですか。

【梶田委員】

 先ほどの小林さんのお話の中で、ちょっと最終的に、ニュートリノですけれども、将来は加速器のさらなる大強度化が必要だということをおっしゃられていましたけれども、またこれも加速器の方への質問ですが、そこら辺については、具体的な検討状況等はどうなっているんでしょうか。

【KEK(小関)】

 もちろん検討を始めたばかりですけれども、我々はとにかく設計強度に到達することが一番重要だと思っておりますので、それが最優先ではありますが、もちろんその先をにらんだ、ちょっとマルチメガワットスキームの検討は、既にスタートしております。そのためには、もちろん現存の加速器だけではなくて、新たな加速器を、新たな施設を追加する必要がある。今、そのための設計検討を進めているところです。もし次回時間があれば、1枚ぐらいスライドをお見せできればと思っております。

【福山主査】

 さらなるハイパワーですか。よろしいですか。時間もございますので、続いてハドロンのお話。田中さん、お願いします。

【J-PARC(田中)】

 J-PARCの田中です。ハドロン実験の現状について御説明申し上げます。またこういうところから始めるんですけれども、ハドロン物理とか原子核物理は、現状どういうところを目指しているかというと、クォーク・グルーオン・プラズマというか、クォークのあたりから出発した我々の世界というのが形になって、クォークが我々のこの体を作っていって、どういうプロセスできたかという話なんですけれども、その中で、クォークからハドロンへいくところで質量の獲得、クォークの閉じ込め。この部分ですね。ずっと高密度化が普通じゃない状態になってきたところで、ストレンジネスがかかわってくる。先ほど小林の話であった、三つ目のクォークですけれども、そういうのがかかわってきたときに出てくる、高密度核物質の物理であるとか、もうちょっと一般化されたストレンジネスまで含んだような一般化された核力について調べたい。それが我々の現在、J-PARCで進めようとしているハドロン物理、原子核物理です。

 これがハドロン実験施設の模式図なんですけれども、上流からビームがやってきまして、ここで生成標的が一つあります。ここでプロトンが、今、プラチナを使っているんですが、それを叩いて、そこでK中間子、反陽子、π中間子、いろいろなものを作りまして、二次ビームラインというのを使って、それぞれ実験エリアに出てまいります。使い終わったビームは、こちらのビームダンプで止まります。それぞれのビームラインで、現在どういう実験が進められているかというと、こちら側のK1.8というところですが、こういうストレンジネスが一つ、あるいは二つ入っているのは、ハイパー核の研究。あるいは、クォークが五つあるような変な素粒子を探すという実験。それから、こちら側では、BRというビームラインですけれども、K中間子を含んだ原子、あるいは原子核の研究を進めようとしています。

 反対側のこちら側ですが、これは先ほど小林さんのお話があったKOTOです。ここでやっていまして、その反対側のところで、タイムリバーサル実験、時間反転対称性、自然がどうなっているかという研究を進めようとしています。もう一つは、このビームラインとこのビームラインはまだできていないんですけれども、これに関しては、なぜ我々の体が質量を持っているかという研究、そして下のほうではCOMETの研究を展開したいと考えています。先ほどの小関の話にもありましたけれども、ここのところでビーム引き出し効率、99.6いったと思っていたんですけれども。ビーム強度はまだ依然として数kWで同じ苦しい中で実験を展開しているんですが、99.6、99.5が出て、そういう意味では、これからビームがどんどん上がっていって、いろいろおもしろい成果が上がってくる。良い時期に、今、差しかかりつつあるんじゃないかと、個人的には楽観的に見ています。そうはいうものの、これがそれぞれのビームラインで積み上がっているプロポーザルでして、それぞれ採択されたものです。K1.8、K1.8BR、そしてこれらの反対側の合計ですね。たくさんの実験が積み上がっていまして、年間2,000時間。これはもちろん我々、ビームをニュートリノとシェアして運転するわけですから、それをやって5年ぐらいかかるぐらいのたくさんの実験があります。現在ビーム強度、それから、これは加速器のビーム強度の年次展開なんですが、こんな感じできっと上がっていけるだろうと。我々も加速器部と協力して、ビーム強度を増強していくわけですが。現在この辺のところにいて、幾つかの実験はこういうところで進めているんですけれども、最初のうちはπ中間子を使ったような、比較的低強度でできる実験を、とにかくまず着手するんですけれども、この辺で50kW、100kWというのは、10kWを超えてくるあたりから、本当の意味でのK中間子を使って、ストレンジネスを二つ持つような粒子を入れるような研究という、そういったものが展開してきます。そういう意味では、今、ちょうど我々はここにいるんですけれども、これから新しい、本当の意味でのJ-PARCの実験を始めて、これから新しい成果が出てくるおもしろい時期であると、私は感じています。

 現場のほうの写真を見ていただきたいと思うんですが、これは先ほどのちょうどこの部分、K1.8のお尻のあたりにある実験装置です。SKSスペクトロメータと、ビームラインから出てくる、2GeV/cまでのビームを分析する装置です。全体で300トン、こっちも150トンぐらいある気合の入った装置ですけれども、これができて、最初の実験ができて、ようやく結果がパブリッシュというか、投稿されました。これはペンタクォークを探すというやつですけれども、これはLEPSというか、SPring-8で見つかった新しい粒子なんですけれども、これをこのプロセスではかってあげようと。ストロングプロセスで作るというので、もしあったとすると、ここにピークが出るんですが、幸か不幸かというか、このプロセスでは作れなかったという、これが最初の物理成果になっている。これは地震の直前にあった実験、地震の直後、この2月に2GeV/cでやって、こっちはまだ解析中ですけれども、こういう結果が出ています。

 先ほどのSKSとビームラインを使ったシステムは、ペンタというのは最初の一つのデモンストレーションとしてやったわけで、基本的にはこういう反応を使って、ストレンジネスを持った粒子を一つ二つ、そして最終的にはこういうところの研究をベースにして、たくさんのストレンジネスを含んだストレンジネス核物質、つまり、最初のところでお見せした高密度核物質とか、ハイパー核力というのを理解する手がかりをつかもうという、そういう研究をここで展開したいというところです。

 それから、もう一つ、こちらがその上流側、これはブランチ、BRというところで展開している、準備している実験ですけれども、これは高密度核物質の候補であるK-pp、3体の束縛状態がありますかというのを研究するための装置です。ほぼできました。こういうK-ppというのは、3Heという標的を使って作るんですけれども、これが最終的にプロトンとΛに崩壊して、Λがπ、pに崩壊する。そうすると、これを測定器で見ていると、電気を持った粒が三つ出てくると。前方には中性子が出てくるんですが、そういう実験装置です。

 これは理論の計算なんですけれども、これはppKじゃなくて、α+α+Kで計算したやつなんですが、α、αは、電気を持った二つというのは、御存じのようにこれはベリリウム8になって、2αで崩壊するというモードですけれども、こういう状態では決して安定ではないんですけれども、ここにK-が入ってくると、これが膠のような役割を果たして、本来2体で崩壊してしまうα、αもくっつけて、しかもそれが普通の状態のαよりも密度が高くなる。そういうことが起こるであろうと考えられていまして、こういう状態が中性子星の中とか、そういう圧力が入ったところ、高くなってきたところで、きっとこういう状態よりはこっちが自然な状態としてあるんじゃないかと思われているわけですけれども、そういったものを実験室の中で作ってあげようという研究です。これは今年の2月に、さっきのペンタの実験のパラサイトでちょっとやったんですけれども、パラサイトというか、合間をみてやったんですが、装置がちゃんと動いているということをあらわしているデータで、幾つかデータがとれて、標的のあたりから、これがΛから崩壊したpとπで、こっちが反対側のプロトンですね。これだけ見ると、非常にきれいに運動量がバランスしていて、既にこの中で2核子相関というか、pプロトンとΛの、つまり、ppKのバウンドステートがあるんじゃないかということを示すようなデータのふりをしているんですが、こういうデータがどれぐらいあるかというのを調べたいというところです。これでΛを作ってみるとこのぐらいで見えています。まあ、もうちょっときれにしたほうがいいんですけれども、こんな状況です。

 こうやって頑張って、みんな実験を準備しているんですが、どれぐらい真剣にやっているかというと、これはその一例として、例えば、2007年から2011年、これは主に科研費ですけれども、こういう各ビームラインの実験装置。実験装置というのは、基本的には僕らは自分たちで、いわゆる外部資金というのを集めてきて作るという。ビームとか運転とかというのは、KEK、J-PARCで用意するということになっているわけです。基本的にはそういう切り分けになっているんですけれども、何とこの実験装置を準備するのに、この立ち上げの時期に、みんな頑張って20億円集めて、装置を作った。これは今、ちょっと前に採択が通知されてきたやつを含まない状態で、ここ数年、これから3年間ぐらいで内約されている科研費で7.4億円。これぐらい日本のハドロン物理、核物理の先生方はJ-PARCに入れ込んでくださっているというわけで、非常にうれしいわけです。

 これは震災後、昨年度ですけれども、ユーザーがどれぐらい来たかというわけで、各ビームラインでこれぐらい来ています。トータル180で、数字を全部足すともっと多いんですけれども、ダブルカウントしている人とか省いて180人。これはユーザーズオフィスの登録数です。あと、ハドロンホールユーザー会というのがあって、これがほぼ同じような感じ。括弧内が外国人です。それから、プロポーザルに出ているリストというのは、それの3倍ぐらいいるという感じです。そういう意味では、徐々に人数は増えてきていて、これは後で言いますけれども、こういう新しいビームが来ると、もうちょっとこれぐらいまで増えるんじゃないかと期待しています。ちょっと古い写真だったりするんですけれども、こういう形で日本中から来ています。ハドロンホールの一つの特色は、若い人が多いということです。たまに偉い先生もいますけれども、大部分は若い。見てわかるとおり、みんな青少年集まってやっているわけで。これなんか真夜中のカウンティングハットなんですけれども、たまに偉い先生が横のほうにいるんですけれども、みんな本当に学生が集まってわいわいがやがややっていて、行くとおもしろいですので、ぜひ見に来てください。夜中が良いですけれども。国際会議というのも、幾つかこういう形でやって、いろいろ実験データが出始めたということもあるし、それから、実験データが出始めたときに、次の一手を考えるということで、いろいろな国際会議とか国内会議を開いています。基本的にはこういうのって、外国はHUAとかもインターナショナルなので、基本的には英語でやる会議になっています。国内の会議でも、できるだけ英語でやる感じです。

 少しずつ成果が出てきたということで、KOTOなんですけれども、お手元のデータはひょっとして2名になっているかもしれませんけれども、1名この間追加になって、KOTOで3人、E19はペンタで1人博士を取りました。それから、この間の物理学会で三輪君がハドロンビームを用いたペンタクォーク探索ということで、若手奨励賞をもらっています。これがさっきの最初に投稿されたやつで、プレプリまで出ているというやつです。

 それから、これは物理のほうじゃなくてものづくりのほうです。これは僕ですけれども、そういったものが、ここ数年間でこれぐらいはちゃんと。これは一応全部レフェリードジャーナルです。年間大体3本ぐらいのペースで作っているという感じです。一応ちゃんと報告もしています。

 それで今後の計画ですけれども、まず基本的には、出力増強と一次陽子ビームの新たな利用という形でくくれるんですが、出力増強、これは今後というか今計画で、1日も早く加速器部と協力して、100kW超の遅い取り出しビーム利用を実現すると。それで大強度K中間子ビームを用いたストレンジネス核物理の新しい局面を開くということです。高密度核物質、そして一般化された核力の理解を推進する。その次の一手として、一次陽子ビームの新たな利用として、一つは高運動量ビームライン、High-pといっているビームラインを作ります。これは出力増強だけでは得られない、新しい物理のパラダイム、物理研究の枠組みを開きたいと。これは30GeVの一次陽子とか、15GeV/cぐらいの高運動量のπ中間子ビームが実験に使えるようにしようという目論見でして、そういうベクトルメソンの質量をはかったり、重いチャームバリオンのスペクトルを測ったりして、高密度核物質、一般化された核力とはまたもう一つ別の、最初のこれで書いてありましたけれども、質量獲得機構の解明であるとか、クォークの閉じ込め機構の解明というのを、こういうパラダイムで進めていきたいと。ちなみに、現在の整備されているビームラインで1GeV/cとか2GeV/cの低運動量のK中間子ビームを使って、こういう研究をしています。

 もう一つは、この辺のところというのは、最初はほとんど強度を要しないので、大強度K中間子を使った実験と両立が可能であるということで、コストエフェクティブであるということがあります。もう一つは、先ほど小林が言いましたμ-e変換のCOMETのビームラインですね。これは素粒子標準理論を超える新発見を目指しているわけで、もう一つはこれで世界をリードする、新たな日本のお家芸となる可能性があるわけです。最初のうちは数kWで始めて、これもなかなかコストエフェクティブな実験だろうと思っています。どんな感じで作るかというと、これは先ほどのハドロン実験ホールで、そこに来る一次陽子ビームラインですけれども、シンクロトロンはこのあたりにいるんですが、その途中に一次陽子のある分離装置ですね。これからここを通るビームの大体1%とかコンマ1%ぐらいを、切り出す装置を作りまして、それで取り出したビームを実験エリアに導き出します。あるいは、ここのところで15kWぐらいまでの、ちょうどこの辺の遮蔽体で決まるんですが、小さな、小さくもないんですけれども、π中間子生成標的を使って、かなりの強度の15GeV/c、かなり運動量としては大きな、日本では大きい運動量のπ中間子ビームを実験でやります。いろいろな実験を展開いたしたいということです。

 実はCOMETなんですが、これが高運動量ビームになります。これは同時に作るわけですけれども、COMETというのはこちら側に作って、ここのところでターゲットを置いて、それでバックワードに出てくるπを、後方に出てくるパイオンを集めて、これがこの部分ですけれども。先ほどのあれで、ここに最初の実験装置を置いて、ビームサーベイと最初の物理実験を行うというための装置です。これは実は中というよりは、こういう形でちょっと置かざるを得ませんので、外にアネックスといいますか、張り出しを作りまして、その中で実験を展開できるようにしたいと思っております。それから、19年6月の評価部会での指摘事項に対する検討状況というのを申し上げたいと思います。ちょっと字が多くて申しわけないんですけれども、まずハドロン実験施設の拡張などについては、関連するコミュニティ、当該分野における優先順位付けを行い、その時点での財政状況を踏まえつつ判断という御指摘だったんですが、それに関して、まず前回の評価部会の後はコミュニティの議論を経て、これは御存じと思いますけれども、「J-PARCの加速器の高度化による物質の起源の解明」としてまとめられていまして、これを提出しまして、その後は文科省の学術審議会の下の作業部会で、(a,a)という、コミュニティとしてちゃんとまとまっているし、緊急度も高いという評価を得ています。ここの中でリストされているのが、主リングのビーム強度を0.75MWから1.7MWに増強する。それから、ニュートリノビームラインを大強度に対応するように高度化すると同時に、原子核素粒子、これはハドロン実験施設ですね、拡張とビームラインの整備・高度化を行うというのがパッケージになっています。今回、さっき言ったHigh-pとCOMETなんですけれども、基本的にはこの計画(3)の一部を具体化しましょうと言っているものでありまして、なかなかそうはいっても、すぐには大変なものですから、この中で現在のホールの中で実施可能な、High-pかCOMETのビームラインの建設を最優先で行うという結論になりまして、これは21年の5月にJ-PARCの利用者協議会が出した「J-PARCにおける研究の展望」にも、こういう作戦でいきましょうというのが触れられています。その後のホールの面積的な拡張については、これの次のステップとして、優先的に実施したい。これは原子核ですとか高エネルギーのコミュニティで、現在検討中という状況です。原子核のコミュニティでは、核物理委員会とかで議論して、これはHigh-p、COMETに次ぐ優先順位というところまで話が進んでいます。今後、もちろんさらに検討を進めていかないといけないわけですが、High-pですとか、COMETのビームラインの建設の実現状況を見つつ、まとめていきたいと考えております。

 最後にまとめです。J-PARCのハドロン実験施設ですが、基盤設備である一次陽子ビームライン、そして最初の生成標的ですね、K中間子、π中間子を作る生成標的。それから、ビームダンプというのは完成しました。運転中です。低運動量K中間子ビームライン、中性K中間子ビームラインも完成し、研究成果が出始めました。遅い取り出しの一次陽子ビームの強度は、現状ではまだまだ不十分で、たくさんの実験が待機中です。しかしながら、ビーム強度の改善というのが非常に期待されているわけでありまして、本格的なK中間子を用いた実験が開始されます。そして、それを使って進める実験の準備というのは、もう整っています。そのつぎの一手として、計画当初からの懸案である高運動量ビームライン。これは原子核コミュニティが最優先課題に設定しているんですが、これを建設し、核物理研究の新たなパラダイムを拓くと。それから、あわせてCOMETの実験用ビームライン。これは高エネルギーのコミュニティが、やはり高い優先順位を出しておりますが、これをあわせて建設。あわせてというか、これを一体として建設して、新しい研究を展開できるようにお願いしているということであります。以上です。

【福山主査】

 どうもありがとうございました。それでは、御質疑、御討論をお願いします。いかがでしょうか。

【西島委員】

 これは全く私は素人なので、聞いていてもすごいなと思うしかないんですけれども、新しい立派な装置ができると、計測して、要するに、どんどん新しいものが発見できるから、新しい実験が待機中ということなんですけれども、この分野における理論とかシミュレーションに対する我が国の立ち位置というか、そういうのはどうなんでしょうか。

【J-PARC(田中)】

  世界一です。これは全然冗談じゃなく、「京」コンピュータが走りましたよね。さっきのK-pp、あるいはppKで、α、αでKが入るところで、この中のαがくっついているという、何かドラマみたいですけれども、そういうのはスーパーコンピュータが計算しているんです。

【西島委員】

 ということは、いわゆるスパコンのミッションの中に、この部分の解決というのは組み込まれているということですか。

【J-PARC(田中)】

 そうです。スパコンを使うコンソーシアムというのは、御存じだと思いますがあって、その中の一つの柱というか、ハドロン物理とか、要するに、こういったものが集まって、どうやって素粒子が集まって、我々の体を作っている陽子とか中性子を作ったか。そういったものが集まって、我々の体を作っている。それが極端にどういうことであるか、そういうところで。

【西島委員】

 多分、世界でナンバーワンの理論とシミュレーションと計測の、そういう方々の連携とかコミュニケーションというのは、この分野はよろしいんでしょうかね。

【J-PARC(田中)】

 比較的良い方だと思いますけれども。特にちょっと我々、原子核だけですけれども、素粒子と高エネルギーというのは、歴史的にずっと一緒になって進んでいます。原子核のほうも、それはあれだったんですけれども、原子核談話会というのが原子核実験のコミュニティで、あと原子核理論の核理論懇談会というのがあるんですけれども、最近それが一緒になって原子核懇談会というのが、学会のときに一緒に総会を開くとか、そういうことで。もともと若い人だったんですけれども、コミュニケーションで、結構フォーマルにも。

【西島委員】

 その辺が若い人を引きつけているという、一つの魅力のポイントなんですかね。

【J-PARC(田中)】

 そう思います。

【福山主査】

 非常に印象的な話で、確認ですけれども、「京」で戦略分野の何番目か、5番目だったかな。あそこの活動の一つとして。今おっしゃったのは、クォークの閉じ込めのE19のところの実験に関しての計算とおっしゃった?

【J-PARC(田中)】

 シミュレーションというか、その次のページにあるプロトン、プロトン、K-とかの計算の右の下あたりに二次元の絵があるかと思うんですけれども。

【福山主査】

 どれかわからないけれども。

【J-PARC(田中)】

 じゃあちょっと。

【福山主査】

 ともかく、「京」でないとやっぱりできない計算だった?

【J-PARC(田中)】

 いや、そういうことではなくて、本当に、例えばクォークが幾つか集まってハドロン、陽子、中性子ができて、そのときに閉じ込めというのが起こるわけですよね。それが本当に起こるのかどうかというようなこととか、そういったものをスーパーコンピュータを使って計算いたします。

【福山主査】

 「京」を使わなくてもできる?

【J-PARC(田中)】

 「京」ができる前は、もちろん「京」を使わなくてやっていたわけですから。ただ、ものすごく。

【相原委員】

 僕も実は、HPCIの委員会もあるので、第5分野ですね。それで筑波大の宇川先生じゃない、とにかくもう一人がやっている分野で、やっぱり「京」じゃないとできないのは、その閉じ込めの第一原理から出すところはできません。そこをやらないと、本当にわかったことにならないので、その分野は大きく発展していって。今、ここでプレゼンテーションあったようなこととの連携は、非常にうまくいっているので、「京」のほうでも、この実験の話とかは入れて説明しています。

【福山主査】

 それは良いですね。

【西島委員】

 そういうのを融合的に、どこかでうまくやってくれるといいと思いますよね。

【相原委員】

 「京」の側は、必然性もあるというか必要もあって、そういう努力をされているので、こちらもそういう努力をされると、実際には起こっていることを、いかに先ほど言ったように見せるかというところの努力は、「京」の側はいろいろなプレッシャーがあるものですから、非常に強く出ています。そこが圧倒的に日本が強いということがはっきりしていて、それで「京」コンピュータを使うとさらに強いというのが、HPCIの第5分野の売りですね。

【福山主査】

 ああ、良いですね。だから、日本で大きな1,000億円以上の施設のJ-PARCで出てきたデータに関して、その解析が、今動き始めた「京」とのタイアップでできてきている。それはマテリアルサイエンスでも、今度はSPring-8とJ-PARC、MLF、「京」、これがうまく動き出すと、それぞれ世界のトップのものが三つそろってやったら、ほかにできないものが出てくる。例えば、新元素戦略で、レアメタルフリーのものを作るとか、そういうチャレンジが出ることを期待されているんですけれども、今、素核でも既にそれが始まっていると理解してよろしいですかね。

【相原委員】

 先生の分野で、新元素戦略の原子核版みたいなものが、「京」のコンピュータ、名前を思い出した、青木先生のところの第5分野と、それから、こちらのJ-PARCでやっているような原子核。理研なんかも絡んでいますけれども、原子核の分野で始まっているということですね。そこは非常に評価が高いです。

【福山主査】

 そうか、既に始まっていますか。すばらしいですね。これはやっぱり文科省もうれしいでしょう。こういうのは実例が。大きな施設三つのうちの、今御紹介あった二つ、J-PARCと「京」が既に。そういう方向の連携は、これからどんどん進んでいくんでしょうね。これは期待したいですね。

【J-PARC(田中)】

 こういうのがスーパーコンピュータで計算したものです。

【永宮センター長】

 こういう部会で宣伝するのが非常によかったと思うのは、分野の中では非常に常識的だけど、インターコミュニティの間ではほとんど知られていないことがあるということが良く分かりました。

【福山主査】

 いや、初めて聞きました。すばらしい話を聞かせていただきました。今日は3時間かけた甲斐があるという。確かにそういう分野の中ではよく知られていて当たり前というか、既知のこと。だけど、違うところでは知られていないことが多いかもしれませんけれども、この三つの大きな共用施設で出てくる成果に関して、定期的に同じプラットフォーム、同じ場でそういう研究成果の紹介なんかがあると。

【西島委員】

 いいですね。

【福山主査】

 うん。プラスが多いですね。ぜひそれは文科省のほうでもお考えいただければと思います。さっきちょっと気になったんだけど、ペンタクォーク、これはSPring-8。これは実験的には否定されているんですか。

【J-PARC(田中)】

 否定されているのではなく、このプロセスでは合成することができなかったということであります。

【福山主査】

 はい。ほかにこのテーマに関していかがでしょうか。今日はADS、核変換を伺って、加速器の整備を聞いて、ニュートリノ、ハドロン。ハドロンに関して、よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。大変盛りだくさんでした。それぞれのテーマに関して、場合によってはこれから疑問点が出てくる場合もあるかもしれませんが、それに関しては事務局に直接御連絡ください。事務局のほうで対応させていただきます。それでは、あと最初確認していただいた資料で、資料6、ミュオンに関して。これは最初、冒頭に御紹介がありました。それから、その後に参考資料、素粒子実験についての補足資料というのがありまして、これは高エネルギー物理学将来計画検討小委員会での答申をまとめたものですので、御参考までに御覧いただければと思います。以上、こちらで用意した審議すべきことは以上ですね。事務局のほう、お願いします。

【阿部補佐】

 次回につきましての御連絡ですけれども、次回は5月14日月曜日、15時から17時。会議室は今回と同じこちらになりますので、よろしくお願いいたします。また、J-PARCの現地視察についてですが、5月8日火曜日の午後を予定しております。まだ御参加の御連絡をいただいていない委員の皆様で、もし御希望、御都合よろしい方がいらっしゃいましたら、御連絡いただけると幸いでございます。

 本日の資料につきましても、大量になりますので、お手元の封筒に入れていただきまして、お名前を書いていただければ、後日郵送させていただきますので、よろしくお願いいたします。

【福山主査】

 いいですか。それでは、今日はありがとうございました。大変長時間でしたが、御協力ありがとうございます。

 

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研究振興局基盤研究課量子放射線研究推進室

(研究振興局基盤研究課量子放射線研究推進室)

-- 登録:平成24年05月 --