光・量子ビーム研究開発作業部会(第4回) 議事録

1.日時

平成24年5月29日(火曜日) 16時~18時

2.場所

文部科学省 17階 研究振興局会議室

3.議題

  1. 前回までの議論等について
  2. 委員からのプレゼンテーション
  3. 中間報告(素案)について
  4. その他

4.出席者

委員

家主査、井上委員、加藤委員、兒玉委員、五神委員、佐野委員、辛委員、高原委員、南波委員、三木委員、三和田委員、村上委員、吉澤委員

文部科学省

森本審議官、柿田基盤研究課長、原量子放射線研究推進室長、竹上基盤研究課長補佐、阿部量子放射線研究推進室室長補佐

5.議事録

【家主査】 

 それでは、定刻になりましたので、只今から科学技術・学術審議会先端研究基盤部会光・量子ビーム研究開発作業部会の第4回を開催させていただきます。

 本日は、御都合により川合委員が御欠席でございます。

 本日の議題ですけれども、配付資料の表にありますように、まずは前回までの議論のポイントを、復習の意味で共有させていただくということ、それに引き続きまして、前回の議論に関連して、今後の光・量子ビーム研究開発の推進方策について、より掘り下げた形で委員及び有識者の皆様方からプレゼンテーションをしていただこうと思います。そして最後に、本日が4回目ということもありますので、本日の発表も踏まえまして、今後の光・量子ビーム研究開発の推進方策について、中間報告に向けまして、座長としては、できるだけ着地点を見ながらランディング飛行に入っていきたいと思っております。もちろん、自由に御意見をいただきたいと思います。

 それでは、事務局より、本日の資料の確認などをお願いいたします。

【阿部補佐】 

 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。

 議事次第にありますとおり、資料1-1から1-2、2-1から2-3、資料3、資料4-1から4-3と資料5、参考資料1から4まで。それから机上配付として1つ、パンフレットが1つあるかと思います。合計で15種類とパンフレットがお手元にあるかと思います。もし、欠落等がございましたら、事務局まで一言いただければと思いますのでよろしくお願いいたします。

 それから、資料5、前回の議事録につきましては、事前に御確認いただいておりますけれども、何かお気付きの点等がございましたら、本部会終了までに事務局まで御連絡ください。また、旅費手続が必要な委員の方につきましては、机上に書類を配付させていただいておりますので、必要箇所に押印の上、お帰りになる前に事務局まで御提出いただくようお願いいたします。

【家主査】 

 はい、ありがとうございます。

 それでは、早速ですが、議事に移らせていただきます。

 まずは、資料1-1に基づきまして、前回までの議論のポイントを、復習の意味も兼ねて事務局より御説明をお願いいたします。

【阿部補佐】 

 それでは、資料1-1を御覧ください。これまでの御意見等について記載しております。追加箇所はゴシック体の部分ですが、まず、「施設・装置・技術等の開発・高度化と、その有効利活用について」という項目につきましては、1枚めくっていただいた裏になりますけれども、「異なる専門分野の学会等の連携を行っていく機運を醸成されれば、円滑な相補利用を推進することにつながるのではないか」といった御意見をいただいております。

 次に「課題解決型の研究開発・利用研究の推進について」という項目では、次のページにある2つですけれども、「機関や分野の違いを問わず、ユーザー側から見れば窓口が1つになっているというような組織体制を整えることで、様々な分野にわたるユーザーの利便性を図ることが必要」といったことや、「ユーザーの希望している課題の解決に適した施設のコーディネート等が行われるようになってきたが、特にミュオン等の新しい分野まで考慮して対応できるよう、今後もより改善を続けていく必要がある」といったコメントをいただいております。

 続きまして、「開発成果の利用促進・社会への還元等について」というところにつきましては、1枚めくっていただきました下の方にございますけれども、「装置の巨大化により費用が拡大し、また、成果刈り取りまでの期間が長くリスクの大きい先端基礎科学分野においては、国の先行投資を継続して基礎科学を振興し、技術への波及を通して産業の活性化を促し、生まれた利潤を税金と雇用の拡大によって国民に還元するスキームが重要である」といった御指摘をいただいています。

 それから、「人材育成について」は、次のページにございますが、「企業の技術者が大型施設を使い、各施設の研究者や大学の研究者と一緒になって1つのことを検討することにより、企業人材のボトムアップに役立っている」といった御指摘をいただいているところでございます。

 それ以外にも幾つかコメントをいただいていたところですけれども、それらも踏まえて、本日は中間報告の素案といったものに反映させていただいているところですので、後ほど御議論いただければと思います。

 それから、参考資料1を御覧ください。1枚紙のものですけれども、前回、学会の連携について御意見をいただいておりましたので、そのことも踏まえまして、登録機関でありますJASRIとCROSSの連携の取組について資料をいただいておりますので、御参考にしていただければと思います。

 以上です。

【家主査】 

 はい、ありがとうございました。それでは、前回までの御議論を簡潔にまとめていただいておりますけれども、何か御意見等がございましたらお願いしたいと思います。私なりにまとめれば、光科学、量子ビーム、それぞれの発展を遂げてきましたけれども、近年、特にオーバーラップするところもかなり大きくなってきたということで、最先端の国際的競争力も見据えた今後の新たな展開を考えるということ。それから、利用促進という面、ユーザーから見て使いやすい、ユーザーフレンドリーなファシリティであるべきであると。それと関連しますけれども、産業利用、裾野の利用をいかに開拓していくかという問題。それから、こういった研究を持続的に展開するための人材育成、そういったことがポイントかなと思っております。

 何かこの時点で、意見交換について補足、あるいはコメントはございますか。この時点で、特にないようでしたら、早速、本題です。

 議題の2で、今日プレゼンをいただく予定が何件かございますので、お願いしたいと思います。光・量子ビーム施設をめぐる状況とか、あるいは、今後必要とされる方策につきまして各委員よりプレゼンテーションをいただきたいと思います。恐れ入りますが、発表は5分程度で、質問の時間を5分程度取りたいと思います。

 本日は井上委員、川合委員、理研の経営企画部の方から代理でプレゼンをお願いします。それから南波委員に御発表いただくことになっております。

 早速ですが、井上委員からお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【井上委員】 

 これは事務局の方にお送りした資料の2-1で、読んでいただければいいのですけれども、ちょっと説明しますと、基本的に、光・量子ビームの関連というのは、非常に大きな装置と、それからユニークな小型のものと両方あると思うんです。大きな装置に関しては、ちょっとした思いつきでやるというようなものではないから、かなり国全体としての戦略的な位置付けが必要で、もちろん、それぞれそのような位置付けで作られてきているわけですけれども、そのことで大きなものがかなりリードするという面もあるので、その状況というものをきちんととらえながら議論しないとよくないのではないかという面があると思うんです。ですけれども、日本では、今、例えば、私のことで言いますと、加速器に関して大型計画をきちんと論ずるところという司令塔みたいな場所がないと思うんです。かつては、学術審議会の中で加速器部会みたいなものがありましたが、ただそれは科学技術庁系のところは含まれていないものでした。統合されてから、そういうものがはっきりしなくて、個々の議論はあるのですけれども、そういうことを何か考える必要があるのではないかというのが1つの問題提起であって、ここでやれるという話ではないのですが。

 それから、具体的な話としては、中性子の話が幾つか出てきていたのですが、J-PARCのことが中心になって、先回、鬼柳先生から小型の話が出てきました。これも、大型の方は、もうできているかのような感じのところもありますけれども、実は、J-PARCだけを一生懸命にやってきたというところがあって、定常中性子といいますか、CWの中性子については日本としての計画がないというように私は思います。それがもういいのであればそれでいいのですけれども、そういうものではないのではないかということがあるので、そこについてどう考えるか。これも、ここで議論できる話ではないのかもしれませんけれども、問題があるということを指摘させていただきました。

 それから、こういう議論をする場合に、私が最初にちょっと申し上げたことですけれども、産業利用をかなり意識していると思うんですけれども、それをやる場合の位置付けとして大学が成すべきこと、それから、国立の研究機関が成すべきこと、それから、国立の研究機関の中でも、文科省の関係のところがやるべきことと、経産省や厚労省がやるようなところとは、それなりの位置付けが違うと思うんですけれども、それから先にまた民間企業での研究があるというような、その役割分担の意識が必要なのです。その中で、政府というか、国としては、特に文科省と経産省、厚労省等との連携ということを考えて、ここまではこっちでやる、ここからはこっちでやるといったようなことをやる場が要るのではないかということを書かせていただきました。

 そのほか、若干のことが書いてありますが、主な点はそういうことです。

【家主査】 

 はい、どうもありがとうございました。ただいまのプレゼンテーションに対して何か御質問、あるいはコメント等をお願いしたいと思います。どうぞ。

【加藤委員】  その大型装置についてちゃんとした検討の場が必要であるというのは私も同じような考えを持っておりまして、今、ロードマップという形でそういう計画が、学術審議会で公開されており、そこで、ある程度、必要性とか、そういうものは議論されていると思うんですが、本当に技術から利用まで含めて国としてどういうふうに位置付けしてやるべきかという検討をするには相当の議論が必要だと思っております。だから、今の形でそこまで行っているのかどうか、ちょっと分からないところがありますので、そういう場がやはり必要だと思います。

【家主査】 

 そういう議論を担うところというのは、どういうところに位置付けるのがいいんでしょうか。

【吉澤委員】 

 よろしいですか。そのために、科学技術・学術審議会の中に先端研究基盤部会という部会が作られたのではないかというのが私の認識なのです。多分、そこで今年は色々な作業部会で、この委員会もそうですけれども、粛々とやっていることが、たくさんやらなければいけないことがある。その中で今回の、この井上先生のような意見が反映されて、そういうことをきちんと議論していくようになっていけばいいのではないかと思います。中性子のこと、CWのことをちゃんと言っていただいているのは私としては非常にありがたいなと思います。

 それから、役割分担を他の省庁とやる議論というのはどこでやるのがいいんでしょうか。これは、むしろ総合科学技術会議なんでしょうか。

【井上委員】 

 ですが、総合科学技術会議を当てにするのではなく、抜本的に何か考えていただかないと進まないんじゃないですか。

【家主査】 

 あんまり司令塔が何でもかんでもやろうとすると、いい方向には行かないというところもあるので、実質的な審議は、吉澤先生がおっしゃるように先端研究基盤部会でやって、それを省庁横断的に何かオーソライズするような仕組みがあってもいいのかなと思います。大強度CW、中性子の話が出ましたけれども、これについては、何かコミュニティーとしてはどういう……。

【吉澤委員】 

 次世代炉のことをちゃんと考えていかなければいけないなというのは考えていまして、昨日でしたか、検討委員会を中性子科学会では持って精力的に議論していますので、第5期の審議会の答申が近いうちに出せると思います。

【家主査】 

 JRR-3、現状のものに比べてどのくらいの規模のものが想定されるという感じですか。

【吉澤委員】 

 いろんなレベルでいろんな人が言っているので、ここで申し上げていいかどうか、吉澤の個人的な意見としては60メガワット以上の原子炉がよろしいのではないかと思います。いわゆる世界のハイフラックス炉級ですね。今、中国でも60メガワットを作って、もうすぐ稼働する状況ですから、やはり、アジア地区にもう1基、そういうものがきちんと運営できる技術力のあるところが持っているのが好ましいと思います。中型炉では、オーストラリアも稼働していますし、韓国もHANAROも非常にいい状況で稼働していますので、次を考えるのであれば60メガワット以上のハイフラックス炉をきちんと我が国として検討のまな板に乗せていただけたらいいと思います。

【家主査】 

 はい、どうぞ。

【五神委員】 

 この光・量子ビームの部会の役割としては、先ほどからも御指摘があったように、大きな施設についてどういうプランを作るかというところにはなり得ないわけですけれども、光と量子ビームをあわせた形で色々なテクノロジー、あるいは人材育成の場としてどういうポテンシャルがあるかという議論をした中で、科学技術の方向性を考えた上で、そういうものが大事であるという主張は、この部会としての重要なメッセージになりうるだろうと思います。そういうものがほかにも幾つかあるとは思います。そういう文脈の中で報告書の中にきちんと記録していただくことが望ましい。

 井上先生がおっしゃるような大強度のCW中性子源は、そういうサイエンティフィックな意味で装置を作ることに意義がある。しかし、それだけでは自立する規模のものではないという状況であれば、どこかでくみ取ってもらわないといけないわけです。しかし、その科学技術的な観点での重要性を議論する場として、大型のプラットフォームをどうするかという場では議論できないと思います。サイエンスの議論と大型施設の施策の議論の間のバトンをうまく渡していくような役割をこの部会として担って、うまい形でメッセージを残すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

【吉澤委員】 

 そうだと思いますね。

【五神委員】 

 役割分担で、これは大きいものをやるところだからと投げても、そこではこういう議論はできないので、せっかくスピンを見るには中性子でなければいけないとか、色々な議論をやりましたので、その中で、パルスではなくてCWというものが欠落している、あるいは心配だということであれば、吉澤委員もそうだとおっしゃいますし、そこが大事かなと思ったので。ここでの議論を踏まえた予算要求という形だけではないはずですよね、この部会の役割というのは。

【家主査】 

 その際に、ここにも書いてあるように、少なくともJ-PARCを一生懸命にやっていたころは、その大強度に関してはJ-PARCが担うという、そういう認識が結構あったのではないかと思うんです。それで、やはり大強度のCWが必要だというところを説得的にするためには、かなりギリギリとした議論が必要なのではないかというふうに思います。

【吉澤委員】 

 ええ、中性子の専門家もそこは認識して、学会で特別委員会の第5期として、そこをまさに議論していますので、近いうちに、その報告書の内容等がまとまったら御報告させていただければと思います。

【家主査】 

 わかりました。その他に井上先生からの問題提起について何か御意見はございますか。

【南波委員】 

 このCWの部分のところの利用法といいますか、出口側の部分のところとして何をねらうか。ここで、もんじゅ後の国家プロジェクトとして立案すべきであると。これはJAEAと切り離してという書かれ方で、また、J-PARCに関してもJAEAと切り離してと、いわば、組織運営上のところが少し書かれているのですけれども、やはり、ここの場で議論していく話としては、このCWが必要であるというところ。それから、いま一つ、それが世の中に出ていくためには、1つは、こういったところでの議論と、もう1つはコミュニティーといいますか、先程議論にありましたように、この前、原子力委員会のところで近藤委員長の前でお話ししたときに、やはり、近藤委員長も、まずコミュニティーからの発信が先なのだ、それを受けて動いていくものであるという言い方をされているところがあって、そういう意味では、今の中性子科学会等で動いてきているということはとても重要なことなのだと思うんです。勿論、我々はまた、そのコミュニティーから離れた形での専門家として、そういったところに対して、こういうものが必要だという声を上げていくのは、この部会としての役割だと思います。

【家主査】 

 はい。他にございませんか。それでは、また全体議論のところで立ち返っていただいても結構だと思います。井上先生からのプレゼンについては一応区切りとさせていただきます。

 次に、資料2-2で川合委員からの意見というものが送られてきておりますので、これについて御説明をお願いいたします。

【川合委員代理(丸山)】 

 私は理化学研究所経営企画部の丸山と申します。あいにく川合が海外出張中でして、私の方から代読といいますか、代わりに御説明させていただきます。

 理化学研究所は、概ねSPring-8とかSACLAとか、施設者としての意見を述べさせていただきたいと思いますが、川合があまり参加できていなくてジェネラルな内容になっていることはお許しいただきたいと思います。

 内容ですけれども、まず、「開発全体について」というところで、装置関係、大型装置、それから小型の装置、先端的な研究開発を行うための装置、それからジェネラルに汎用性の高い、色々な人が使えるようなものを両方、推進すべきであろうということが書いてあります。

 それから、「次世代への投資について」というところですけれども、今後、大型の量子ビーム、もしくは光関連の施設を整備していく場合、それから現有の施設について書いてあります。前半については、現有の施設についての現状ですけれども、年々予算が削減されている傾向にあり、また、検出器の開発等々で重点化する必要があるのではないかということが書いてあります。後半、「また」以降が、今後、大型施設を一国で整備運営していくということがだんだん難しくなってくるであろうということで、国際協力を進めて、特に連携によって大型の施設を作っていくということを考えてはどうかということを書いてあります。

 それから、3番目、人材育成・利用促進についてというところですが、こちらについては、大きく分けて、優秀な人材を学生レベルから確保すること。それから、その利用者支援を行う人材に対するインセンティブ、それから、利用促進等について書いてあります。既に皆さん、各委員の先生方から色々な御意見が出ていることと、ほぼ同じではないかと思いますけれども、めくっていただいた方の「量子ビーム施設で」というところ、こちらは特に施設者として感じていることを書いてあります。利用者支援を行う人員といいますのは、ビームラインのお守りだけではなくて、彼らにとってインセンティブになるようなおもしろい課題を持ってやることが必要であるというようなことが書いてあります。

 それから、一番下ですけれども、「施設の有効利用について」、こちらでは、特に昨今の電力不足とか産業利用等について記述させていただいております。

 こちらからは以上です。

【家主査】 

 はい、どうもありがとうございました。まさに、この作業部会で議論しているようなことが書かれておりまして、それぞれ、全くごもっともという気がします。これについて何か改めて御意見はありますでしょうか。

【吉澤委員】 

 一般論としては、他の委員の皆様も人材育成について交流が必要だということを強調されて繰り返し発言されたと思うんですけれども、この部会から次の施策に行くときに具体的にどう踏み込めるかということを考えたときに、私がちょっと申し上げたいのは、大型施設、SPring-8とかJ-PARCに大学院生を滞在型で派遣するようなプログラムを考えていただくと、一般論として、掛け声ではいいのですけれども、具体的な施策として実現できると。

 そこで、実際の大型加速器、分光器の現場で半年とか1年とか長期的に引き受けてもらって研究することによって、真の意味での大学院の学生や会社の人を引き受けるのでもいいのですけれども、交流と、それから人材育成が本当にできる。それも具体的な施策として実現可能ではないか。そんなに予算もかからないのではないかと思いますので、是非、そういうことも視野に入れていただけたらと思います。

【家主査】 

 大体ここに書かれていることはこの場で議論されていることに沿った御意見かというふうに思いますので、これらは中間報告のところに大体反映できるものと思います。よろしいでしょうか。特に補足はよろしいですか。

 はい、それでは、次に南波委員からお願いいたします。

【南波委員】 

 これまでこの部会のところで様々な施策、あるいは出口側の方のところの議論の具体例も含めて出てきたのですが、その中で1つ抜け落ちているかなと思われるところがありましたので、今日出させていただきます。

 実は、4月24日に原子力委員会の新政策大綱の策定会議がございまして、その場で東京大学の中西友子先生が、今、放射線利用の部分のところで量子ビームを、J-PARCとか、様々なところがやり、それが重要なのは非常によく分かるけれども、ラジオアイソトープという見方が抜けているという御指摘をなさいまして、確かにそれはおっしゃるとおりでございます。ただ、我々、光科学、あるいは量子ビーム側の方から見たときに、一方これはアイソトープという部分とも直接関連するところもありますので、ある意味で、アイソトープも入れた形での量子ビームの部分のところを考えてはいかがかというのがきょうの提案でございます。

 お手元の資料を1枚めくっていただきますと、2ページ目、これは原子力政策大綱等の会議のところで出ている、いわば、日本における現在、放射線同位元素がどういう形で利用されているかという現状の話なのですが、かなりの部分が、密封型のアイソトープ、特にコバルト60等を中心とした、これはある意味ではビーム利用というような言い方もできるかと思います。一方で、非密封のRI等もこのような形で使われております。特に医療、教育、研究、民間企業等で幅広く使われているわけでございます。

 次の3ページ目、このアイソトープの部分のところに関して、現在のアイソトープの製造法としては、ここで例として原子力機構の例を挙げておりますが、TIARA、あるいは研究炉JRR-3、もちろんJMTRとか、そういった炉の部分、つまりイオンビーム、あるいは中性子、こういったものを使ってまずアイソトープを作るという部分のところがあるわけです。それを使って第4期科学技術基本計画においても、大目標は、「生涯はつらつ生活」というような形で、いわば出口側としての、がんの治療・診断、そういったところにこの分野のところにこのアイソトープが使えていかれるだろということがあるわけでございます。

 では、具体的なものとして、このアイソトープ、もちろん我々、今、PETとか、様々なところでアイソトープが使われているのですけれども、その次のものとして、臭素ブムロ77、あるいは診断用だけではなくて、治療観察用としてのカッバの60、テシームの177、レニウムの186、188、こういったものの開発が行われているわけで、こういった中ではイオンビーム、中性子、こういったものがアイソトープを作るものとしてできるわけであります。これを使ってアイソトープの診断、あるいは治療用の新しい薬剤の研究開発等の流れがあるわけです。これが1つのアイソトープのがん関係の利用です。

 いま1つは、植物版のPETといいますか、ポジトロンを利用した様々なイメージング技術関係。例えば、日本の土壌はかなりカドミウムに汚染されている状況なのですけれども、こういった中でカドミウムがどう植物の中で動くかとか、あるいは最近では、イオンビーム育種でカドミウムを集積しない新しい稲ができ上がってきている、こういったものがあるわけですけれども、こういうものを実際に見るという目的のためにアイソトープが使えるわけです。最近は、3.11の事故を受けてセシウムが問題になっているわけですが、こういったセシウムの動態解析、こういった分野のところにもこういった技術は使えていかれるものと思っています。

 最終ページになりますけれども、では、この量子ビーム、アイソトープを用いた最先端医療、あるいはバイオの応用研究というところで、今の光、あるいは量子ビームのこの研究開発の中での取り組むべき研究の1つの例として挙げさせていただいております。目的は、新しいRIを作る、そのRIの標識薬剤を作り出す。さらにアイソトープ、RIイメージングや照射技術によるオーダーメイド診断・治療等の最先端医療、さらに、先ほど申しました植物の物質移動のような応用研究、こういった分野のところに量子ビームが使えていかれるのではないかと思っております。

 これに必要な技術開発、中性子やイオンビーム、新規RIの製造技術の開発、それから新規RIや標識薬剤の開発、さらにポジトロンイメージングをはじめとするRIイメージング技術の高度化等があるわけで、これを実際に行っていく上では、画像の解析技術とか検出器の開発等がハードの分野としては入ってくると思います。これからの期待される成果としては、ドラッグデリバリーシステムの開発による難治性のがん等の治療、あるいは、イメージング技術によるがんや認知症の早期診断や治療、RIイメージング技術を用いた有用植物の選抜・育種、こういったところに、こういったものが使えていかれるのではないかと思います。

 そういうことで、これまでちょっと抜けていたかなと思われるところを補足させる意味で今回出させていただきました。

【家主査】 

 はい、どうもありがとうございました。この後、中間報告の素案についての議論をさせていただくことになりまずかその中で、「取り組むべき研究開発の事例」と、そこに今、話は関係しているわけですが、それの位置付けにつきましては、ちょっとこの後、議論させていただきたいと思いますので、それはちょっとこの場では置いておいて、内容について何か御質問とか御意見がございましたらお願いします。

 私は全く素人で知識がないのですけれども、RIは国内製造と輸入と、どんな感じなのでしょうか。

【南波委員】 

 まず、RIの利用の部分のところに書いた、ここにありますように、いわゆる、密封線源と非密封線源とあるわけです。密封線源の部分のところ、例えば、コバルト60とか、これはもうほとんど輸入です。非密封の部分のところ、我々の診断用とか、そういったところで使う部分に関しまして、これは半減期といいますか、寿命によって大分変わってくるのですけれども、通常、いわゆるPET診断等に使われるものについてはかなり寿命が短いものですから、病院等の近くで使われているものが中心です。ですから、半減期によって国内、国外の部分は、半減期の長いものに関してはほとんど輸入です。

【家主査】 

 ああ、そうですか。そうしますと、この資料の中にある供給金額云々というのは、その密封型については、もうこれはアイソトープが仲介になって輸入していると。

【南波委員】 

 はい。ここに書いてございますように、99%以上はコバルト60のガンマ線源です。コバルト60のガンマ線源は、ほとんどカナダ、あるいはイギリスからの輸入という形になっています。

【家主査】 

 ありがとうございます。何か御質問は、どうぞ。

【佐野委員】 

 私も素人なのですけれども、テクネチウム99とかは一時、生産が問題だというお話があったかと思いますが、その辺はどのような状況なのでしょうか。

【南波委員】 

 タクネチウムの部分に関しましては、もともとは炉で作られたものなのですが、その場合、従来ですと、いわゆる高濃縮ウランを使った炉のほうが中心になっています。これは、テクネチウムを作るに当たっての効率の問題です。ただ、そういった炉が研究炉を含めて世界的に老朽化し、需要に対して供給が追いつかなくなるという大きい問題があります。それで、国内においても、それにかわるものをというような形で、例えば、低濃縮ウランを使っての開発とか、そういったたぐいもあります。この問題は完全に解決されたわけではないのですが、今、ちょっと議論としては下火になってきているところだとは思いますけれども。原子力機構におきましても、今、JMTRとか、そういったところで将来的にはそういうものを作りたいという形での研究開発は進めています。

【家主査】 

 どうぞ。

【井上委員】 

 今のような話というのは重要な課題であって、解決しなければいけない問題であることはよく分かるのですけれども、先端研究開発的なものかどうかということがちょっとわかりにくくて、むしろ、経産省とか厚労省が解決しなければいけない問題なのではないでしょうか。

【南波委員】 

 今の先端の部分のところ、私の今回の部分の話としては、いわば光・量子ビームのところで、ここでやっているような、例えば、イメージング技術であるとか、検出技術とか、こういったところはまさにこの部会のかかわるようなところだと思います。

【井上委員】 

 それは分かりますけれども、ただ、イメージングの話も、従来、RIを使ってこられた方は、それを使いたいだろうということはよく分かるのですけれども、例えば、蛍光物質などを使うやり方等はどんどん進んでいます。ですから、それを超える更に先端的なものを出していかなければいけないと思うんです。従来型のものが下火になっているから何とか挽回というような、そういう話ではないだろうと思うんです。

 ただ、ここに掲げてある放射性セシウムの問題、これもここがやるべきかどうかわからないけれども、他のところはやらないかもしれないからという意味では、今の問題にかかわる問題として技術開発しなければいけないことがあるのかもしれないと思います。ただ、先ほどの従来型のものというのは、ちょっと、単にその分野の方が下火だからというのでは困ると思うんです。

 だから、私が、このRIに関してもっと根本的に問題を感じているのは、RIを取り扱える化学者がいないということの方が重要だと思うんです。放射線を取り扱う事業所は日本にはもう6,000くらいあるわけです。ですから、そこの大部分は加速器などではなくてRIを使っているわけです。どういうことが起こるかわからないわけですけれども、ケミストが非常に少ない。例えば、アルファ線が出るようなものなんかはみんな扱わなくなってきて逃げているわけです。ですから、そういう先端的な核化学をやる人が、原子力機構もそうだと思うんですが、非常に弱体化しているのではないですか。それはもう非常に問題です。具体的なことが起こったときには、結局、放射性物質になることが多いわけです。これは、物理屋ではだめなことが多いのです。物理屋の方は、まだしも見えているかもしれないけれども、核化学の人は非常に今、人材的に問題だと思います。そこを何とかするということを、主張する必要があるのではないかという気がします。

【南波委員】 

 今の人材の部分のところというのは大変重要な問題だと思います。ただ、この光・量子ビームの部会として、この後、議論になってくると思いますが、具体的な提案、どういうたぐいのものをやるか、この先、おそらく公募型のような形で何らかのものを出していくのでしょうけれども、そういったときに、実際にそのところを、ここで書いてあるようなセシウムの部分のところをやるとか、それはある意味で、例として出ているわけですけれども、実際にこういうものを測ろうとするときに、従来よりももっと高感度のものが必要になってくるとか、先生がおっしゃったように、それは今までの部分のところとは違う形の技術開発がどんどん進んでいるわけですし、こういう検出器関係にしても、我々、様々な新しい技術開発等を行っていって次のところに行くわけです。ですから、そういうものを引き出すためのものとしてこういうものが分野としてあるのではないかという提案として出ているところです。

 あと、今おっしゃった人材育成の話とかは、それは全体の話としてはとても重要な話で、まさに、中西友子先生がおっしゃったのも、人材が今、どんどん腐食してきているという点での問題を指摘されているわけです。では、この施策の中のところで、そこにどういうふうに組み込むかというのは、ちょっとこの先の議論にかかわってくると思うんです。つまり、この部会としての施策にどう持っていくかということで。

【井上委員】 

 いや、だから、重要で先端的でおもしろい化学者を必要とする、そういうものがあると思うんですよ。

【南波委員】 

 おっしゃるとおりです。

【井上委員】 

 そういうものを前に出されるといいのではないかと思います。

【家主査】 

 RIに関する問題提起の趣旨はよくわかりましたので、これは、この後の議論の中間報告の具体的な形の中でまた議論させていただきたいと思います。

 それでは、次に議題の3といたしまして、本日プレゼンいただいたものも含みまして、今後の光・量子ビーム研究開発の推進方策についての議論をお願いしたいと思います。

 資料1-1のこれまでの御意見、それから、前回の資料で示されていました光・量子ビーム研究開発における検討の視点等を踏まえて、資料3は、それらを踏まえて事務局のほうで取りまとめていただいた中間報告の素案でございます。これらにつきましては、メールでお送りして沢山の御意見をいただき、それらを、ある程度反映したバージョンになっております。

 また、更に資料の4-1、4-2、4-3として報告書の参考として添付する資料をまとめていただいています。これらについて事務局より全体の説明をお願いいたします。

【阿部補佐】 

 それでは、資料3を御覧ください。まず、目次についてですけれども、全部で9章立てになっておりまして、「はじめに」というところから「中間報告のおわりに」ということで、これらの章立てにつきましては、前回、骨子ということで出させていただいたところを踏まえて作成させていただいているところです。最後に参考資料を幾つかつける予定になっておりますが、こちらは後ほど説明させていただきます。

 まず「はじめに」の3ページ目ですが、まず「光・量子技術」ということで、我が国の現状、光科学技術と量子ビーム技術について、それぞれの特徴と現在の我が国での状況等を記載しているところでございます。

 1枚めくっていただきまして、次のページのところで、「本中間報告書の位置付け及び目的」ということで、これまで光科学技術及び量子ビーム技術、それぞれの観点から研究開発の推進方策が検討されて事業が実施されてきたというところですけれども、最近の技術や理論の進展によって重なり合うような部分も出てきたという状況などがあるということを言っております。

 また、2つ目ですが、光・量子技術は広範な分野の技術革新を支える重要な基盤技術であるということ、施設整備等の効率的な運営や効果的な環境整備とその活用、着実な人材育成確保等の推進を計画的に行うことが必要である。また、人材育成という場としても最適であるということ、そこの一番下の丸のところですが、まだこれは素案の状況ですが、ここの文章では「報告書」と書かせていただいておりますが、「本中間報告書は、本作業部会でのこれまでの検討を整理し、特に来年度以降早急に取り組むべきことを中心にまとめたものである。今後、本中間報告書を踏まえつつ、光・量子ビーム研究開発の更なる推進に向けて取り組んでいくことを期待する」ということで記載させていただいております。

 第2章が「光・量子ビーム分野の推進の意義について」ということで、政策的位置付けとして、まず、第4期基本計画で指摘されていることとの対比から、この光・量子分野の位置付けを記載しております。

 次のページに、「有効性・効率性」ということで、同様の視点ですけれども、その重要性であったり、これを検討して進めていくことの効果等々について記載しているところです。

 1枚めくっていただきまして、次の3章から7章までが個別の項目についての議論でございます。ここにつきましては、前回の骨子でありましたとおり、「現状と課題」ということと、それを踏まえた「推進方策の方向性」ということで中身を記載しております。まず、第3章の「施設・装置・技術等の開発・高度化とその有効利活用について」というところにつきましては、現状の課題としては、我が国においては光・量子技術に関係する様々な施設・装置等が存在し、研究開発の多様化が進むとともに、世界トップレベルの要素技術開発も生まれているということで、光科学技術と量子ビーム技術、それぞれについて現在の課題、また状況、そういった御指摘いただいたところを記載しております。

 また、次のページにありますが、「施設間の連携」ということで、こちらはどちらの技術という話ではなく両方に係るところだと思いますので、それを施設間の連携ということで記載しております。

 詳細はちょっと読み上げませんけれども、その指摘事項を踏まえて、(2)として推進方策の方向性として、「我が国の光・量子技術の次代の人材とイノベーションを生み出す源泉としてさらに発展させ、国家プロジェクトへの貢献と我が国の成長に資する活動として定着させていくべきである。そのためには、限りある資源を最大限有効に活用していくことが必要である」ということで、以下、連携強化・高度化の促進であったり、次のページにありますが、光科学技術の更なる進展、量子ビーム技術の更なる進展ということで方向性の指摘事項について記載しているところです。

 第4章になりますが、次のページです。「課題解決型の研究開発・利用研究の推進について」ということで、ここでも現状と課題と推進方策の方向性について、それぞれ今回御議論いただいた御指摘を記載しているところでございます。

 第5章も同様ですが、次のページになります。「開発成果の利用促進・社会への還元等について」ということで、御指摘いただいたところをまとめているところでございます。

 第6章のところが「人材育成について」、こちらの人材育成については、他の研究開発の取組のところでも重複するような形で記載しておりますが、ここは抜き出した形で人材育成全体としてまとめております。

 それから、めくっていただきまして、第7章として「国際的な取組」。本日も御指摘がありましたけれども、現状と課題、それから、推進方策、ちょっとここは他と比べて若干、記載が薄いかもしれませんが、現在、御指摘いただいた内容としては、ここに記載してあるような内容だと思います。

 それらを踏まえまして、第8章として、「今後5年程度に集中して取り組むべき課題等について」ということでまとめております。まず、中間報告という位置付けということと、概算要求の期限までに間に合うように、ある程度、見据えた上で、ここは記載しておりますので、若干、中長期的な課題というよりは、今後5年ということで区切った上で、集中的な取組が必要なことは何かということをまとめているところでございます。

 まず、(1)として「重点的な取り組み事項」のところですが、「基盤技術として、横断的・統合的利用に供される光・量子技術は、最先端の技術であり続ける必要がある。将来の利用研究の礎とするとともに、課題解決に向けた研究開発を強化し、開発成果を社会に還元していくことが重要である。そのため、これまで注力した研究開発の成果を最大限に活用して先導的な取組として今後5年程度で一定の成果が出るものに重点的に支援していくべき」ではないか。優位性、そういったものを活用して、「研究開発で5年から10年程度の間で開発された技術を活用した世界トップレベルの研究が行われ、イノベーションを促進することを目指す必要がある」のではないか。

 そういったことを踏まえて「今後の当面の光・量子ビーム研究開発においては、下記の事項を重点的に推進することが必要」ということで、その大きな方向性といったものを、以下、4つの黒四角で書いてあるような柱でまとめさせていただいております。

 まず、1つ目が「オープンイノベーションに向けた『ものづくり力』の革新を実現する先導的研究開発の推進」ということで、「我が国の国際競争力の強化には、我が国の強みである光量子技術における先端研究等を産業利用につなげていくことが必要である。そのため、課題を持つ企業等を巻き込みながら従来の経験則や網羅的解析に基づくものづくりから、我が国の先端装置・技術等の強みを生かした原理解明に基づくものづくりへ、それらを支える技術開発・研究開発を推進する。これにより他国の追随を許さない技術と先導的研究開発によりイノベーションの実現を図る」といったことでございます。

 2つ目が「横断的利用の成功事例となる利用研究と、その実現に向けた研究開発の推進」ということで、こちらの中身につきましても、まず、現状として、特に先導的な研究開発・利用研究は期待できるものが多いという現状があるので、そのため、こういったことを推進していくことが必要であって、それによって分野融合や境界領域の開拓推進、横断的利用を行える研究者数の増加とか、コーディネーターの質を有した研究者等の育成を図るということでございます。

 3点目が、「産業界を含めた利用者の裾野を大きく広げる研究開発等の推進」というところですが、まさに、その光科学・量子ビーム技術というのがキーテクノロジーということですので、これを生かして産業界との連携推進、光・量子技術を支えていくような技術開発、施設の利便性の向上、利用機会の提供等を通じて、利用者の掘り起こしとか分野開拓を推進していって、これによって産業応用化と、産業利用を含めた利用者数の拡大を図っていくということでございます。

 そして4点目が、「研究開発と一体的な若手研究者等の育成の推進」ということで、これまでも議論がありましたとおり、研究開発プロジェクトの中で一体となって若手の人材育成を図っていくことが重要ではないか、そういった取組が必要ではないかということで、それを柱として記載しております。

 (2)として、上記、今の4点の柱、重点的推進事項を具体的に実現するものとして、今後5年程度に集中して取り組むべき課題、研究開発は以下ではないかということで、次のページ、そのまた次のページまで、マル1からマル7について研究開発として取り組むべき課題というようなものを記載しているところでございます。

「これら先導的研究開発については、国の公募型研究費により実施することが適切」であり、「また、これら課題を強力に推進し、着実に成果へつなげていくためにプロジェクト全体の進捗管理や評価等を行っていく体制の構築が必要である。」ということで第8章を書いております。

 最後に第9章として、「中間報告のおわりに」ということで記載しておりますけれども、人材育成等については中・長期的な観点で戦略的な取組が必要であるということ。一方で、国際競走が激しい中、研究動向は日夜進捗しておりますので、柔軟な対応が必要であるのではないかとか、また、アジア諸国等々の情勢について配慮すべきではないかということを記載しておりまして、最後、様々な光・量子の分野である課題、そういったものが1つ1つ解決されていき、我が国のイノベーションの源泉として先端研究基盤となることを強く期待するというような記載で最後、まとめさせていただいております。

 以下、参考資料が次のページからあります。まず、参考1として、「今後の方向性等について」というものにつきましては、資料4-2を御覧ください。まだ素案ということでイメージのようなものですけれども、資料4-2にありますように、御指摘いただいたものから、主なものといいますか、中心的なコアなところを抜き出しまして、取り巻く状況とか課題、それらに対してどういった方向性で進めていくべきか。そして、大きな目指すべき方向性は何かといったことをイメージ図のような形でまとめている資料を参考資料として入れてはどうかと考えております。

 また、資料2として、先ほどのマル1からマル7の個別の研究開発の取組について、何かしら、そこの中身がわかるような資料を入れてはどうかということです。

 それから、資料3としては、今、お手元で見ていただいております中間報告の素案のところの中に既に入っておりますけれども、委員及び有識者のプレゼンテーションの概要ということで、これまでプレゼンテーションいただいたことについて概要を入れさせていただいております。

 それから、資料4として、ポテンシャルマップということで、こちらは資料の4-1、2つあると思いますけれども、光科学技術の研究ポテンシャルマップと量子ビーム技術の研究ポテンシャルマップということで、既に何名かの委員の先生には内容について御協力いただきまして記載させていただいておりますが、こちらもまだ修正が必要なところがあるかと思いますので、引き続き最終的なセットに向けて御協力いただければと思います。

 それから、資料5として、過去の関係報告書の概要ということで、こちらも本体の方に既につけておりますが、過去、平成17年くらいからの幾つか、この光と量子の分野での報告書がありましたので、それらの概要と、その提言を受けた上でどういった取組がなされてきたのかということをまとめさせていただいております。

 それ以下、この部会の設置であったり、また開催経緯であったり、委員一覧といった資料を添付させていただいております。

 以上でございます。

【家主査】 

 どうもありがとうございます。参考資料も含めると色々沢山ありますけれども、参考資料の方はこれから色々充実していく機会もあろうかと思います。本日、議論としては、本体の中間報告、素案のほうに、ある程度集中したいと思います。今から大体1時間程度になるかと思いますが、この中間報告の素案について色々御意見をいただければと思います。

 議論の整理をするために、一応、少し前の方から見ていきたいと思いますが、まず、ちょっと細かい点で、言葉使いのことですが、1枚めくっていただいたところに、最初のところに、「これまで、光科学技術及び量子ビーム(以下「光・量子技術」という。)」と、こういう形で略語をこの後、使っておりますけれども、私の感じだと、量子技術というとちょっと違うふうに受け取る方も少なくないと思いますので、やはり、ここは「光・量子ビーム技術と書く、そういう形に統一するのがよろしいかと思いました。「はじめに」のところの頭の表題もそうです。まず、それだけ申し上げておきます。

 この全体の構成としては、「はじめに」があって「推進の意義」、この辺はいいと思うんですけれども、それから、3.として、施設や技術の開発・高度化、国際的競争力も含めて、そういうものの必要性、それに関する推進の方向性。それから4.として、国家が進めている課題解決型の研究開発等にどのような貢献ができるかというようなこと。それから5として、利用促進、産業利用も含めて、その利用の裾野を広げて、より広い利用を促すという観点からの議論。それから、人材育成に関しましては、他のところにも色々なところで散りばめてありますけれども、ここで特出しとして人材育成に関する観点がまとめられております。それから国際的な取組というのがあります。8.の今後5年程度に集中して取り組むべき課題等について、ここがプラクティカルに、概算要求を見据えると一番読まれるところかなと思われますけれども、まず、重点的な取組事項として4つ、四角であって、その後に取り組むべき研究開発という具体例が幾つか書いてあって、そういう構成になっています。

 それでは、最初から少し見ていきたいと思います。まず、「はじめに」というところと、それから「推進の意義について」くらいの範囲で、何か御意見、あるいはお気付きになった点、ありますでしょうか。どうぞ、お願いします。

【五神委員】 

 家先生が最初におっしゃった冒頭のところを「光・量子ビーム技術」にすることは、ある面、そのようにも見えるのですけれども、ここの委員会の議論の成り立ちは、その光・量子ビーム技術という量子ビーム技術の部分と光科学の部分をコンバインしたという形で議論しているというところが大きな2つの柱になっているんです。そこの段階で光・量子ビーム技術とすると、本来、光・量子ビーム研究及び光科学技術研究というふうに併記しなければいけなくなってしまうという不都合が生じてしまうので、そこのところの整理をどうするかという結構根本的な問題で、前提認識にかかわるところなのできちんとした議論が、まず必要であると思います。

 家先生がおっしゃったことを私が誤解していなければ、最初の量子ビーム技術のところを「光・量子ビーム技術」にするということですか。

【家主査】 

 私が言ったのは、この表題のことはちょっと別にして、以下の光科学技術及び量子ビーム技術を光・量子技術というふうに略されていますが、量子技術というと、違う分野の方は違うふうにとらえてしまうと。

【五神委員】 

 じゃあ、ここは量子ビームということですか。

【家主査】 

 「光・量子ビーム技術」と。それは全くテクニカルな話です。

 ここの「はじめに」のところの表題をどうするかというのは、御指摘のように、またちょっと別の観点からの議論となります。

【五神委員】 

 分かりました。それは私が家先生の発言を聞き間違えたことで、そうであれば多分問題なくて、「はじめに」のところの2行目の「量子ビーム技術」はそのままでよろしいということですね、ここは。

【家主査】 

 私は、ここのところを言ったつもりはなくて、頭のここですね。

【五神委員】 

 はい、分かりました。それなら大丈夫です。

【家主査】

 だから、ここは、むしろ、ゴシックのところは略さずにフルで書いたほうがいいかもしれません。

【五神委員】 

 分かりました。それなら完全に同意いたします。済みません、誤解していました。

【家主査】 

 他に、どんなことでも結構です。ワーディングを詰めていかなければいけないと思いますので、気になる点があったら御遠慮なくお願いいたします。この辺は、位置付けとか意義なので、細かい表現の問題はあるかもしれませんけれども、大筋については、それほど異論のないところかと思います。

【佐野委員】 

 非常に細かい話なのですが、3ページの「テレビ」というのが出てくるのですが、有効性・効率性のちょっと上、2.の光・量子ビーム分野の推進の意義についての2ページ目の「有効性・効率性」の少し上に「テレビなどのイメージング・ビジョン技術において先導的な」というのがあるのですが、テレビというのは今、大分調子が悪くて、テレビというワーディングよりは、何かディスプレイとか、ディスプレイであれば有機ELとかがありますので、テレビももちろんあるのですが、一般の話としては、ちょっと。

【家主査】 

 なるほど、はい、ありがとうございます。光学機器、何と言えばいいんでしょうか。

【五神委員】 

 多分、これは私がインプットしたものが残ったようです。確かに、今、産業界にいる人から見ると、テレビ技術というのは禁句のように思われるかもしれませんが、1960年代、70年代の高度経済成長のときに、日本が世界を先導したテレビの技術、これはNHKの技研なども相当活躍して、そのときに圧倒的にテレビの技術が世界を制覇していた時代があって、つまり、日本の既存の独自の技術の中で、世界トップで産業を作るということが可能であったということを象徴していました。その流れの中で、もちろん、壁掛けテレビの議論が1960年代から研究開発が結実して、そこがビジネスになったかどうかは別としても、基礎から産業応用に至る中の非常に分かりやすい象徴事例だということで、日本が今、過度に自信を失っている中で誇れるものを現代的にまずい言葉ではない形で生かせるとよいと思いました。

 これはデジタル化のときに標準化で失敗して、それ以来、調子が悪くなりましたけれど、60年代、70年代の前半くらいまでは、本当に圧倒的な技術でした。そこからソニーとか、そういったところの今の、ちょっと前まで非常に華々しい勢いを持っていたところの土台が築かれたということで、基礎から産業展開というものの象徴的な事例であると。カメラとかの光学技術もそうですけれども、ちょうど「光」というキーワードにぴったりだったので、うまい形で生かしていただけると。他にもっと良いものがあれば置きかえていただければ良いと思います。

【家主査】 

 分かりました。そういう歴史をよく周知している方にとってはそうかもしれないですけれども、一般的には確かにちょっと「テレビ」というとあれなのかもしれませんね。はい、その辺は何かいいアイデアがあればお寄せいただくかして事務局で修正していただきましょう。他にはいかがでしょうか。この辺は大体一般論が書いてありますので。はい、どうぞ。

【井上委員】 

 テレのところではなくてビのほう。

【五神委員】 

 テレビジョンですね。

【井上委員】 

 だから、そのテレの話ではなくて画像機器というほうの。

【五神委員】 

 画像機器、あるいは放送としてのテレビの技術ですね、ディスプレイとか。

【井上委員】 

 だから、飛ばす方が意味があると。

【五神委員】 

 要するに、テレビを普及発展させた受像機の技術、撮像管の技術、そういったものを全部踏まえて圧倒的な技術を。

【井上委員】 

 受像、撮像はいいと思うんですけれども、遠隔地に飛ばすというところの意味ではなく。

【五神委員】 

 それも含めてですね、通信の基礎的な技術も相当含めています。ただ、ここでは光技術ですから。

【井上委員】 

 ここで言うのは画像のほうの。

【五神委員】 

 画像とか撮像とか受像機の技術ですね。あるいは、ブラウン管時代もかなり多数の基本特許を日本は有していたはずです。日立のキドカラーとか、ありますよね。今、終わってしまった話ですけれども。

【家主査】 

 簡単にするには、「光学機器・テレビなどの」を取ってしまって「イメージング技術において」とさらっと言ってしまえばいいのかもしれません。

【佐野委員】 

 多分、「テレビなどの」というのを取るだけでよろしいかもしれません。

【五神委員】 

 テレビがそれほど失墜しているとは思いませんでした。産業界の方から言われるのであれば仕方がないと。

【家主査】 

 パナソニックの話なんかを聞くと、そうかなと思います。ほかに何か、またお気づきになったら立ち戻っていただいても結構ですけれども、それでは、その次に3.のところで、いかがでしょうか、高度化。

【五神委員】 

 すみません、前回、この前の素案をお送りいただいたときに幾つかコメントを書かせていただきました。その中の「現状と課題」という項目で、光関係では10年間の事業の折り返し点だということが現状を語る基本と認識して頂きたい。。ですから、この5年間に、例えば、光関係で言うと、最先端の光の創成を目指したネットワーク拠点形成事業というものが、まさにその主要事業ですから、それの成果として大事なものを幾つか述べるべきと考えます。前回インプットした中で大半の部分は上手に取り込んでいただいていると思っています、しかし、1点、私がコメントした中で、ネットワーク研究拠点事業の中の最重要事業として進めているコヒーレント光科学研究基盤の整備ということを是非書いて頂きたいと思っています。これは東西のうちの東側のAPSAという私が代表を務めている事業ですが、それに関するものは完全に削除というか、取り上げていただいていない事情があります。

 これについては、この5年間の中で、先端のレーザー技術が「光の利用」という観点で大きく進歩したことがあげられます。今までは、例えば、極限レーザー技術研究という形で、いわばレーザー技術者のレーザーのための研究であったものでしたが、この5年間にその成果である軟X線コヒーレントビームとかテラヘルツ光源を、利用研究に資する形に転換してきました。この技術的進歩をとらえて、それを若手とか女性研究者の頭脳循環の拠点として、その装置を整備するということに重点投資しようということでした。これは最先端研究基盤事業で採択された幾つかの事業のうちの1つになっていて、それが24年には完成し、今後、利用を進めていこうというフェーズに入ります。その中で着実に成果を利用研究として出すということが重要だということがこの先の5年にやるべき事としては最重要です。それをインプットさせていただいたのですが、ちょっと意図がうまく伝わらなかった、あるいは、場所が悪かったということもあるのかもしれませんが、ここに盛り込まれていません。光だけではなくて量子ビームとの融合の部分ともなっています。都会の中にそういう拠点を作るもので、利用者が非常に増大することが見込まれる中で、若手の頭脳循環の拠点形成という施策的な意義もあります。これは、私がたまたまやっているので我田引水のように思われると困るのですけれども、全体的な流れから言ってもやはり重要なポイントになることなので、ここの場所でなくても結構ですが、経緯がわかるような文言を追加するとともに、後ろの方の、今後5年間の中で行うべき事業の中にも取り入れて頂きたい。それは他の大きな投資が必要なほかのものとは少しカテゴリーが違うかもしれませんが、この事業を着実に進めていくためにはきちんとした予算的な担保も必要ですので、是非盛り込んでいただきたい。最先端基盤整備事業は、設備の整備だけですので渡し切りのお金になっていて、そこだけでポンと切るということになると、前半の事業でやったことの継続性という観点からもあまり良くないのではないかと思うので、是非御検討いただきたいと思います。

【家主査】 

 ここの記述に関しては、光科学技術と量子ビーム技術の両方の、全体を読んでもらうためには、ある程度コンパクトにしなければいけないということもあるので、長さ的な観点もあったと思いますが。

【井上委員】 

 今おっしゃったのは、(1)のところの話ですか。

【五神委員】 

 ええ、光科学技術のところにネットワーク拠点のことが書いてあるのですけれども。

【井上委員】 

 (2)のほうの裏のページのところに若干何か書いてありますね。「さらなる進展」と。

【五神委員】 

 これとは全然違います。

【井上委員】 

 ああ、違うんですか。

【五神委員】  強いて言えば、(1)の光科学技術のところの、長期的視点に立った総合的、戦略的なプロジェクトが求められている中の、それに拮抗するようなものが一部、最先端研究基盤整備事業という形で、この施策部分と非常に強くリンクした形で実行されたものがあるというふうに分かっている人ならば読むかもしれませんけれども、そこのところの出し方はお任せしますけれども、もう少し重要なポイントではないかと思います。つまり、やってきたことが触れないという形になりますと、かなり大きな予算ですので、やはりおかしいのではないかと。

 最先端基盤整備事業では、例えば、重力波の望遠鏡とか物性研の超強磁場とか、色々なものが予算措置はされていて、それぞれ同じような問題が生じてはいるわけです。我々が関わったコヒーレント光科学研究基盤の整備事業提案では、この最先端の光の創成を目指したネットワーク拠点プログラムを10年事業として継続しているので、ある程度、安定的な維持・運営ができるだろうということが、評価されたポイントになったはずです。その意味で前半の実績という意味でもアピールすべき部分があるだろうと思います。これは東側の拠点が総力を挙げて後半戦でもやろうと考えていることですので、何らかの形で、うまい方で、全体の流れを損なわない範囲内で考慮していただければと思っています。

【家主査】 

 その分野の関連する研究としては日本全体を見ると他にもあるかなと思いますので、どういう形でここに入れ込めるか、少し事務局のほうで検討させていただければと思います。

【加藤委員】 

 今のことは、この「現状と課題」の光科学技術のところです。それで、そういう具体的な名称を入れて、それが後の方の色々な施設を有効活用した使い方につながってくるわけです。それがないと後にもつながってこないということですね。

【五神委員】 

 そうですね。だから、つなげることが必要であろうという記述を、その文言については事務局等でプロ的な目で妥当な文章を選んでいただければ、中身については多分十分おわかりだと思いますので。

【家主査】 

 はい。その他に、この3.の推進方策の方向性等も含めて、いかがでしょうか。

【三和田委員】 

 ここで発言するのがいいのかどうか分からないのですけれども、全体的には産業利用ということで、そういう言葉を入れていただいていて非常にありがたい報告書になっていると思うのですけれども、ちょっと抽象的な言い方で申しわけないのですけれども、やはり、大型施設を使った最先端の研究というのと、我々のところにダウンサイジングして産業界に使うというのが、どうも全体として分離されているような、そこを何か、最初に井上先生が言われたのですが、全体を含めてそのグランドデザインされているような書き方になっていると、産業界にとっては非常に使える技術になってくるのだなというのがあるのですが、どうしても先端技術と産業界への応用というのが何か分離されているような気がちょっとしてしまって、そこでできたものが下に落ちてくるのだけれども、じゃあ、誰が落としてくれるのかというような感じにちょっと見えてしまうので、そこら辺がどうなのかなと。

【家主査】 

 書き方としてなかなかうまい表現があるかどうかなのですけれども、私のイメージとしては、ピークを摘んでいくと全体に裾野も自然と広がっていくと、そういうイメージを持っているのですが。

【三和田委員】 

 そうなのですけれども、ただ、ピークをつまんで裾野を広げていくだけだと、我々が使えるようになかなかならないというのが今までの色々な技術だったので、やはり裾野もちょっときれいに整えていただく人がいないとなかなか行かなかったのですけれども。

【家主査】 

 ええ、その辺は後ろの方の利用の体制、あるいは産業利用含めたところで、いかにユーザーフレンドリーにするかというようなところで記述があるのではないかと思います。ここで高度化という面で、何かそういう観点から書くとしたらどういう表現がありますでしょうか。

【三和田委員】 

 例えば、現状の課題として、我々としてもやはりどんどん頂点は高くしていかなければいけないということは全く否定することではないのですけれども、頂点を高めていくのと同時に、やはり裾野もちゃんと上がっていくというところも、やはり頂点を上げていく人が係わっていってほしいというのが正直なところなのです。ですから、ここで、ちょっと表現だけなのですが、JRR-3やJ-PARCをはじめとした大型施設において利用の拡大や云々というのと、小回りがきき個人の発想を重視した萌芽的研究というのが何か分離されているような表現になっているというのがちょっと気になると。

【家主査】 

 そういう2つの側面を記述して、分離したという意図は多分ないのだろうと思うんですが。なかなか表現は難しいかもしれませんね。御指摘の点はよく分かりましたので、表現を工夫させていただきたいと思います。

 他にいかがでしょうか。とりあえず4.に進んでもよろしいでしょうか。「課題解決型の研究開発・研究利用の推進について」ということで、ここは課題解決型の研究開発、それも非常に重要で、それに十分な貢献ができるであろうということは異論のないところだと思いますので。

【佐野委員】 

 4.の一番最後の「高度なコヒーレント光源施設の活用において」というのは、五神先生が今御指摘された施設のことだと思ってよろしいですか。

【五神委員】 

 そうですね。これは利用技術の開発ですね。軟X線の分光器とかが、今まで放射光仕様で開発されてきたのだけれども、レーザーベースのコヒーレント軟X線が広く利用されるようになっていく中で放射光を用いて開発されてきた検出器や分析の技術を活用しながら新しい技術を伸ばしていくかというような意味合いで書いた文章が短縮された形で残っています。しかし、これは相互に量子ビームの方でも使う話で、両方の意味であると思いますので、このくらいの表現ぶりでよいのかなと。

【南波委員】 

 確かに、これはちょっと唐突な感じがしますね、これだけコヒーレント光源施設だけが特出しで書かれていると。

【五神委員】 

 だから、それは前に言ったところから消えたことによってで、そこに何か入れれば読めるのだと思います。それがあれば読めると思います。

【家主査】 

 そうですね。放射光とか、あるいは中性子ビームとかは皆さんよく既にご存じの施設なので、コヒーレント光源施設というのは、まあ比較的新しいコンセプトなので、その辺のところをもう少し丁寧に書く必要があるかもしれませんね。

【五神委員】 

 ここは、読み方によってはXFELのことだと思う方もいると思うので、色々に読んでもらって結構な文章だとは思うんです。新しい部分なので重要です。

【兒玉委員】 

 ちょっと細かい話なのですけれども、4の推進方策の丸の3つ目なのですけれども、「イオンビームやミュオンなどの利用者がまだ少ない分野」という言葉の使い方がいかにもネガティブな表現なので、「ポテンシャルユーザーが期待できる」とか、ポジティブなキーワードに変えた方がいいんじゃないですか。少ないのになぜやるのかとなりますから。

【家主査】 

 うん、そうですね、何かポジティブな表現。

【兒玉委員】 

 「大きなポテンシャルユーザーが期待できる」とか、何か、その言葉はよくわかりませんが。

【家主査】 

 その丸の最初に「潜在的利用者の掘り起こし」という文言がありますよね。

【南波委員】 

 「利用者の増大が見込まれる分野」みたいな言い方、プラスの方に。

【家主査】 

 そうですね。あるいは、「色々な分野での応用が考えられるが、まだそれが十分に活用されていない」というような言い方で。特に、そうですね、ミュオンなんかはこういうことにも使えますと、ミュオンで何が分かるかということがまだ一般的には必ずしも十分知られていないと思うので。

【五神委員】 

 ただ、利用者の拡大が期待されるとか、そういう分野なんじゃないですか。

【家主査】 

 うん、だから、頭の出だしが、利用者の掘り起こしを進めるためには、やはりそういう何に使えるかということの情報を広く伝えるということが重要なのかなと。

【五神委員】 

 異分野における利用者の拡大が期待されるとか、そんな感じじゃないんですか。

【家主査】 

 趣旨はわかりますので、ちょっと事務局のほうで工夫をしていただいて。

【加藤委員】 

 ミュオンに何カ所かそういう感じの、「使われていない」とか「有用性が十分示されていない」とかがあります。

【家主査】 

 分かりました。ちょっとそういう目で全体を見直しましょう。ちょっと、このページの下から2つ目の丸で、今、読んで気づいたのですが、「失敗事例云々」というのは、これはいいことだと思うんですけれども、何か量子ビームだけの話ではないと思います。ちょっとここも書きぶりを。はい、その他にはよろしいでしょうか。

 それでは、次に5.に進みたいと思いますが、いかがでしょうか。ここについては特に産業界からの委員の先生方、御覧いただいて、こういう書きぶりでよろしいかどうかを見ていただきたいと思います。

【高原委員】 

 よろしいですか。5.の(1)のマル3番目は、私はSpring-8のフロンティアソフトマタービームラインの企業19社の運営委員長をやっていますけれども、今かなり、そういう意味では製品開発等に使えるようなシステムを作りつつありまして、プロセシングとか、そういうものも含めて、企業の方が持ち込まれたら炭素繊維を焼いているところなどもはかれるようなシステムができつつありますので、このあたりは随分急速に変わりつつあるのではないかと思いますので、ちょっとこの表現には違和感があります。

【家主査】 

 はい。この辺は放射光と中性子では大分成熟度が違うと思いますし。

【吉澤委員】 

 確かに、「そういう先行事例を念頭に置きつつ全体的な光量子ビームの応用を」というような形にすれば、先行事例があった上で、それを施策に反映するぞという意識が見えるからいいんじゃないでしょうか。

【家主査】 

 はい、今のことは大変結構だと思いますので、そういう観点から少し文言を修文していただければと思います。

 はい、それでは次に6.人材育成については色々御意見がおありになるのではないかと思いますが。まあ、色々なレベルの人材育成があるので。先ほど御指摘のあった、大型施設の現場に長期滞在してというような話というのは、どこかにそれにかかわることが書かれていましたか。推進方策の方向性の3つ目の丸のところですね。「直接触れる機会を増やすことが重要である」と。

【佐野委員】 

 「例えば」みたいな形でしょうか。

【家主査】 

 そうですね。「てにをは」についてはちょっと幾つか気がついたところがありますけれども、それは最終的に全体にチェックするとします。

【五神委員】 

 人材育成のところで、たびたび議論されたように、加速器科学の人材育成についてはどうするんでしょうか。これ、私はコメントした記憶がありますが、直接私がかかわっているわけではない分野のところなので、取り上げないのなら取り上げなくてもいいのかなという判断をしてはおりますけれども。

【家主査】 

 今日の川合委員からのコメントにもあった話ですね。

【五神委員】 

 原子核物理とか、高エネルギー物理学の分野の中で加速器科学をやる人が出て、今まで人材供給源になっていましたが、ここでも議論しましたように、そういう研究教育をやっているところの中で、加速器のハードウェアを研究する人材育成の場はもうほとんどなくなっています。一方で、高度な技術を持っている人がまだ日本にはかなり多数いる状況で、それをどういうふうに次世代につなげていくかということが深刻な問題です。例えば、SACLAを見ても、あれは新竹さんでしたか、非常に優れた人がいて、そういう人材がいたからできたものだったと思うんですけれども、より先進的なものを次に作ろうとするときに、それは全部、技術は輸入しなければいけなくなるという問題がありますが、結構大きな問題なので、この報告書の中で。

【家主査】 

 何処かでメンションしておくと。

【五神委員】 

 ええ、一言くらいは書く必要があると思うんですけどね。放医研とかでもかなり深刻な問題になるのではないかと思います。

【村上委員】 

 そうですね。今の御指摘の点、私どもは非常に身につまされるところがあって、加速器の人達の人材育成する場が大学にほとんどなくなってきているのです。ですから、色々な他分野から採っています。仕方がなく、採ってから教育するというような状況になっていて、それでもそれなりには回っていますけれども、やはり、こういう基礎科学の中で加速器科学というのは基盤を成す技術なので、そういうところの人材育成を大学の方できちんと考えていただけることが本当は必要なのかなと思うんです。

 ちょっと話はずれるかもしれませんが、最先端の成果主義的なものに大学がずっと行ってしまっているような感じを私なんかは持っていて、そういう中で、そういう非常に基礎的な基盤技術が損なわれているというのが何か全体の構造になっているのかなという気がちょっとします。

【井上委員】 

 科研費程度では、ちょっと難しいところがあるんですよね。

【五神委員】 

 そうです。

【井上委員】 

 もうちょっとお金が扱えると。ところが、大学の中で、その分野にだけそんなお金を回せるかというと、なかなかそうはいかない。その中で、大学は人事をするときに適材がいるかということになってきて、だんだん、科研費でできる程度で成果を上げる人達でないと駄目になっているのではないかという気がしますよね。そこは何か、国が、必要だからとテコ入れするという別のルートがあれば別なのですけれども、なかなかそうもいかないと思うのです。

 まあ、歴史的に言うと、各大学で原子核研究をやるために小さな装置を持ってやっていて、各大学だけではいかなくなって東大の核研みたいな共同利用研ができて、それでも、その時代はまだ各大学にも、ある程度あって、核研も東大附置研であったというところがありますよね。ところが、それよりも更に大きくなって高エネルギー研みたいなものが必要になった時には、直轄研として新しいシステムを作った。その時に、もう高エネルギーの分野に関しては、使う人と作る人が完全に分離してしまったのです。だから各大学には、高エネルギー物理学をやる人はいるけれども、加速器をやる人は、そういうところにはいない。ただ、核物理の分野はまだ若干残っていて、そういう人が今、若干残っているということだと思うんです。

 ただ、高エネルギー物理をやるためにも、そのデバイス開発を高エネルギー研だけではそんなに沢山いるわけじゃないから、各大学で、測定器や何かの方に関しては人を育てる余地はあると思うんですね。ただ、加速器というか、ビーム物理みたいなことというのは非常に限られた小さなところなので。

 私は、だんだんと大規模化して高エネルギー研に何もかも集中してしまったのには、常々反対していた人間なのですけれども、結果として今の状態になった以上は、やはり、今ある高エネルギー研とか理研とか、そういうところが大学とのタイアップをよくするということで人を受け入れたりとか、何かそういう仕組みを考える必要があるのではないかという気はしますね。本当なら、大学自身がそれとは独立であってもいいのだけれども、もう難しくなっているような気がするのです。

【五神委員】 

 そうです。

【兒玉委員】 

 ちょっと手前みそで申しわけないのですけれども、実は、レーザーの加速器というのがずっと前から言われていて、我々、今、高エネ研のビームの先生と連携をやらせていただいていて、やはり、ビームの技術は我々は持っていない、ビームの技術はやはり高エネ研にある。そういう技術を色々なところに展開したいと、そういうことがお互いに共通のメリットとして出てきた。そうすると、大学といってもちょっとお金は要るのですけれども、大学レベルでもそういう新しい技術のところをビームの方も一緒になってやっていけば、まだまだ大学とやるところがあるのではないかと思うんです。それを今までのビームという概念、ここの中も全部、ビームといったら、もう今までの概念しかないのですけれども、もう少し先端的なというか、その次の次々世代くらい、そういうところもちょっと見据えたところで教育の中で取り込んでいくというのが1つのやり方の可能性はないのでしょうか。

【井上委員】 

 そういう努力をされている方はいるんです。ただ、実際問題として、例えば、私が辞めた後の教授のポストだって加速器の人ではなくなっています。そこは大学の人事だからなかなか難しくて。

【兒玉委員】 

 いや、だから、大学もやはり成果を、先ほど成果ばかりと言われたけれども、やはり、人を選考するときは成果をもって評価しないといけないシステムになっています。そうすると、そういうものを、成果を出そうと思ったら最先端、先端の、ほかのやっていないことをやっていかざるを得ないわけです。でも、その中にも今までの技術をうまく取り込めば、更に世界に対峙できるものがいっぱいあるわけです。そういうところをきちんとフォローアップしないと、今までの技術で、教育で、人がいなくなったでは、多分続かないのではないですか。

【村上委員】 

 今おっしゃった、それは阪大に連携講座を作っていただいているということでしょうか。

【兒玉委員】 

 いえ、そこまでまだ行っていません。

【村上委員】 

 そうですよね。だから、1つのやり方は、大学と、そういう大型施設を連携させるというのは、大学の方にそういう大型施設とうまくマッチングできるような部分を見つけていただいて連携講座を作っていただく。そこに大型施設のほうから、今、先端で活躍されている先生、あるいは、非常に貴重な技術を持っている先生に行っていただいて、そこで学生を育てる。連携講座だったらそこで学生が採れますので。その学生は、実は最初の話に戻りますけれども、非常に長期に大型施設に来てやるということを大学との間でうまくやれるといいのかなと思います。

 実は、そのことを私はずっと思っていて、非常に長い間、学生が来ると、じゃあ、授業をどうするんだとか、そういうような問題も生じるのです。そこで1つ、私が思っていたのは、総研大というのを我々は持っているんです。これがなかなかうまく活用されているかというと、実は、ちょっとここでの議論を超えるかもしれませんが、あまりうまくない。実は、その総研大をうまく活用することによって、そういう授業の問題とか、お互いに乗り入れ合うというのがいいアイデアではないかということを最近、実は思い始めているのですが、何かそんな形で連携講座というものをお互いに作る。つまり、総研大の中にも何らかの連携講座みたいなものを作って、そこで乗り切れるというようなことができれば今のような問題が現在のシステムで、ある程度解決するかなというふうに思っています。

【井上委員】 

 それが1つだと思いますけれども、もう1つ、高エネ研でやっておられるのは、加速器支援事業というものです。それは募集型ですけれども。

【吉澤委員】 

 あれはいいですよね。

【井上委員】 

 ああいうのを、今、微々たるものですけれども、もうちょっとちゃんと、そういう事業を国としても高エネ研に認めるような、テコ入れするような、といいますか。

【村上委員】 

 そのときに国から KEKの方にお金を出すというのが今までのやり方ですけれども。

【井上委員】 

 ええ、そうですね。

【村上委員】 

 逆に、それは大学の方に出してもらって、大学でそういうシステムを作ってもらってKEKのほうとうまく連携するというのだと、むしろ大学の方にもメリットがかなりできてくるので、そういうのもありかなと。

【井上委員】 

 ああ、それはいいですね。ただ、それは、単なる運営交付金では駄目なので。

【村上委員】 

 そうですね。

【井上委員】 

 そういうことがはっきりしていないと、大学の中に入っただけで何処へ行くか分からない。

【吉澤委員】 

 そういう募集型というのはいいんですけど、この委員会で、この部会で、研究振興局がやる事業かなということも僕はすぐに気になるんです。

【家主査】 

 予想どおり、人材育成については色々な御意見が出ると。

【五神委員】 

 すみません、ちょっと私が言い出しっぺで申しわけなかったのですけれども、私がインプットした文言はほぼ元の形で入っていて、人材育成についての(1)の最後の丸のところに、「加速器において特に大切である」ということを明示的に書いていただいております。ここで、人材育成を大学研究機関、装置メーカーと書くか、産業界くらいに書いたほうがいいかもしれませんけれども、計画的に進めることが求められているというふうに書いておいて、提案としては、取り組むべき課題の中に、そういう議論を踏まえて取り組むべきであるということを、後で立てるということでやるのが多分一番よいのではないかと思います。

【家主査】 

 はい。これに関してはきょうの川合委員からの御意見で、素粒子原子核分野との連携というものを含めてもう少し書き加えられることがあるかなと思います。やはり、人材育成は色々な意見が出ます。

 ちょっと先に進ませていただきます。「国際的な取り組みについて」、これは、概算要求の関係から言うと、今の時点でここにあまり具体的なことを書く形ではないのかなという気がしますけど、推進方策の方向性が報告書としてはちょっと寂しいので、何かもう少し書ければいいかなという気はしています。

【五神委員】 

 そうですね。

【家主査】 

 国際的な、世界的な動向、特に先端的研究施設に関しては国際的な動向で日本がどこで特徴を出せるかという戦略の問題、それと、やはりアジアを意識した国際協力、そういう観点からかもしれません。

【井上委員】 

 一般的には、この書きぶりなのでしょうけれども、具体例で言いますと、例えば、原子炉があちこちで国内のものが止まってしまったときに、韓国の研究用原子炉HANAROの利用とか、ああいったことを実際にやってもらっているということがあります。逆に、向こうのポハンの放射光が止まった時に日本と連携して受け入れるということがあります。そういうネットワークみたいなものがあったので、そういうことを例として挙げていいのかどうか知らないけれども、何かちょっと。

【家主査】 

 はい、ありがとうございます。それはいい事例だと思いますね。競争であり協調関係にあるというところを。

【加藤委員】 

 こういう先端施設は色々なところで開発をしていますけれども、日本の施設はやはり極めて性能が高い状況です。それを、例えばアジアの人達に使っていただくというのをどう考えるかなのですが、私はそれは非常に重要で推進すべきだと思っているのです。なぜなら、日本で研究された方が国に戻って、それで色々なところでの中核的な方になって役割を担って活動していくことになるからです。ある意味で、日本の技術とか知見がそちらに動くというか、そういうことはあるのですけれども、より大局的に見れば、やはり国としてつながりを作っていくというか、そういう国際関係において非常に大きな役割をするものである、そういう役割があると私は思うんです。

 そういうことで、今のところ何となく競争でどうのという感じがあるのですが、むしろ、全体的な戦略において、こういう先端施設をいかに活用するか、そういう視点も重要なのではないかと思います。私はそういうふうに考えていまず。それを書き込むかどうかについては、私は文案を送ったのですけれども、ちょっと一日遅れで送ったので採用されなかったようですけれども、そういうところも考えていただいたらと思います。

【家主査】 

 はい、それでは次に8.の「今後5年程度で集中して取り組むべき課題等について」ということで、重点的な取組事項としては黒い四角が4つあって、これがこの作業部会での全体的な議論でのいいまとめになっているかと思いますが、いかがでしょうか。先程の加速器に関係する人材開発のところ、一番最後の黒ポツの要素技術の開発を発展させる人材、広い意味ではここに読み込めるかなと思いますが、いかがでしょうか。

【南波委員】 

 産業界を含めたところの言葉の書き方、これは「光・科学技術は」とあるのですが、これは「光・量子ビーム技術」のことですね。

【家主査】 

 ああ、そうですね、ここは単純なミスですね。

【五神委員】 

 誤植ですね。

【家主査】 

 3行目にも同じものがあります。

【佐野委員】  この四角の4つ書いてあります項目と、それからその後の具体的な取り組むべき研究開発7つ書かれておりまして、そのつながりがちょっといま一つよくわからない感じがするんです。例えば、一番最初の四角に対応するものが1から7のどれかというものが対応がついているようなものであれば、何かそれをちょっとわかるように書いたほうが読むほうは分かりやすいのではないかと思いますけれども。

【家主査】 

 私が理解しているところを申し上げますと、この、(2)の取り組むべき研究開発というのは、これはこの中間報告というのは来年度の予算にも関わるので、そこで説明するときに、この光・量子ビームの分野で今後こういう分野、こういう研究が重要ですよという具体例を、ある程度示さなければいけないと思うんです。そういう意味で、ここに幾つかの具体例、事例として7つほど挙げてあって、それはこのシリーズの部会でプレゼンをしていただいた委員の先生方のプレゼンテーションの中からピックアップしたものです。

 最初のほうの4つの四角は、これとどれが対応するかという話ではなくて、この4つの観点は、今後進めていくべき研究開発のどれにも重要であって、例えば、研究開発の丸の何番かをやるにしても、この4つの観点の、欲を言えばすべて、あるいは、少しウエートの違いはあるかもしれませんけれども、そういう観点でもって研究開発を進めていただくというのが、この分科会のメッセージではないかなというふうに私は理解していますが、いかがでしょうか。そういう共通理解でよろしいでしょうか。

【吉澤委員】 

 よろしいですか。私も同じような印象を持ったので、今の主査の説明であればいいのではないかと思いました。というのは、本当に、この4つのタイトルは非常にいいまとめになっていて、私もスッと納得できたんです。ただ、具体的なことが7つ出てくるところで非常に違和感を持ちましたので。

【家主査】 

 これは具体的な話は、これは私もちょっと悩んでいるところで、これは報告書本体とはちょっと切り離して参考資料にするということも、場合によってはあり得るかなと、この辺は事務局と相談させていただきます。もちろんこれは、対外的に説明するときに、この分野が大事で、予算をちゃんとつけてもらわないと日本の将来がないですよという話をしなければいけないので、ある程度、こんなことで、こんな成果が認められて、課題解決にこういうふうに役に立つという具体例の説明をしなければいけない。そういう意味で、ここに幾つかの事例が書いてあるのだと思うのです。じゃあ、7つに入っているからどうか、7つに入っていないからどうかという話であるべきではないわけです。そこは共通理解とさせていただければと思います。

【佐野委員】 

 ちょっと言葉の問題なのですけれども、四角の最初に「オープンイノベーション」という言葉が出てくるんですが、その前にオープンイノベーションのところが出ていたのですが、そちらは知財の関係とかグローバルの関係で出てきたのでわかるのですが、ここのところだけ読んで「オープンイノベーションに向けた『ものづくり』」というと、何かちょっと意味がよく分からないと。

【家主査】 

 そうですね、私も分かりません。

【佐野委員】  あと、資料4-2の横刷りのところにも「オープンイノベーションを実現する先導的研究開発」とあるのですが、その四角のつながりが、このオープンイノベーションということはちょっと変えるか見直しをしたほうがわかりやすいと思います。

【家主査】 

 これはどういう意味合いで使う言葉ですか、すみません、知識がないのですが。

【原室長】 

 オープンイノベーションという言葉自体は、色々なプレーヤーが参加した場でイノベーションを推進すると、分かったような、分からないような説明になりますが。

【五神委員】 

 つまり、今までの日本の高度経済成長以降の産業成長モデルというのは非常に強い特許を持って、そこをクローズにしてプロパテントを重視した形で、それでもって垂直統合で勝ち抜いていくというものでした。今、それでも成り立っているのはキヤノンとか少数です。そういうものではなくて、例えば、最近の色々汎用化されてよく売れている製品を見ても分かるように、色々な知恵が混ざり合った中で物が出てきています。そういうものを、知財も含めてオープンに色々な人が、しかもそれがグローバルな環境で協力しながら生み出していくというのが今後の成長モデルとして重要です。光科学技術というのは、日本以外のところはそういうオープンイノベーションモデルが成功して新しい産業成長力に資するような活力を出している。それはアメリカやドイツなどで見られます。そういうものを模範事例として、そういうものになるようなものが光科学の分野には育ち得るだろうという中で、それが日本の閉塞状況にある産業の改革の方向性というものを含めて、光から光を当てるというような意味でオープンイノベーションというキーワードは使える言葉だと思います。しかし、ここで唐突にこういう形で出てくると、これは私が提案した文章ではないので、ちょっと具体的にどういう意図を持たれたのかわかりませんけれども、通じないというのはうなずけるなと。

 だから、問題は何を言いたかったかですよね。私が言いたいことは、光の融合性とか、色々なプレーヤーが国内外問わず入ってくるような特長を産業活力として使いたいということで、今は垂直統合モデルの中で培ってきた競争力をうまく有効活用しながら新しいモデルを打ち出して、次の活力をここから引き出していくという、本来、一番強いメッセージを述べるべきところで、大事なポイントだと思うので、うまい作文が必要だと思うんです。

【原室長】 

 言いたい話は、タイトル以下のところに書いてあることが伝えたいメッセージでございますので、それを体現するのにより適切なタイトルのつけ方がないかというのは、ちょっと工夫したいと思います。

【五神委員】 

 だから、産業成長に資するようなものに、この光から出していくような活動を、いずれにしても新しい分野なので、成長の芽のような形になっているので、そういうものを込められるタイトルが付くといいと思うんです。それが自動車産業とか機械何とかという既にかなりきちんとした構造があるところですと、中々そういうことは出しにくいので、光産業界という大きな産業組織があるわけではないところに、先導的な役割を光に持たせようということをメッセージとして出していくところだと思います。しかもSPring-8とか、そういうところに出入りする企業群というのは、装置を触媒として有望な産業を生み出す場になる可能性もありますし、人材育成でもそういう可能性があるというところを込めて、文章はそういうふうに書かれているように思うのですけれども、タイトルが舌足らずになっていることは明らかだと思います。

【家主査】 

 タイトルは大事ですからね。

【南波委員】 

 今のお話からすると、本文のところの中に、次のページの頭になるのでしょうか。「原理の解明に基づくものづくり、それを支える技術開発・研究開発を推進する」とあるので、ある意味で、その推進する具体的な方法としてオープンイノベーションという概念を、ここの後ろに一言書かれるのがいいのではないかという気がします。

【五神委員】 

 そうですね。そういう手はありますね。

【南波委員】 

 だから、これを行うために情報をより広くオープンにして行うオープンイノベーションが重要であるみたいなことをここにポンと入れると次につながってくるような感じがします。そういう意味では、タイトルから外して本文の方に「オープンイノベーション」というキーワードを入れ込むほうがいいような気がしますね。

【家主査】 

 それともう1つ、ここの本文の中には、割に産業利用とか、そういうことが中心として書かれていますけれども(1)の3番目の丸のところにあるように、やはり、世界トップクラスの研究が行われると、そこも非常に大事なので、そこもあわせた形でここの文章をまとめていただけると私としてはうれしいかなと思います。

【五神委員】 

 そうですね。ちょっとここは要検討ですね。あと、4項目は非常によくできているのですけれども、ちょっと文言の問題があります。長期的な戦略ということを考えたときに、やはり基盤的な研究を、個々の研究者がバラバラにやるだけではなくて、それを戦略的に進めることが非常に重要だという視点に立って、この最先端の光のネットワーク事業では、基盤的なのだけれども、戦略性をもってみんなで協力してやりましょうということが大事だということをやってきたと思うんです。ですが、そういうものが、この4項目の中に読み取れればいいのですけれども、本文の中には、例えば、その事例としては、強い光を扱うには強い光に耐える材料の研究という非常に地味な研究ですけれども、それが大事で、それを着々と戦略を立ててみんなでやらないと優位性が取れないという。そういうことも手を緩めずにやっていかなければいけないということは大事です。ここは、予算につながる検討と全く関係ないという意味で落ちたのか分かりませんが、報告書としては多分、あっても悪くはないのではないかと思うので、是非御検討いただきたいと思います。

【加藤委員】 

 先ほど家先生が言われた最先端の研究も入れてほしいと、それは私も同感なんですけれども、全体の論調として、色々な施設をどうやってもっと有効に活用すればいいかという、そういう感じの書き方になっています。だけども、そもそも量子ビーム装置を色々作って最先端の研究開発ができますよと言って整備してきた。それを今までやってきて、これまですばらしい成果が生まれ、ますますこれから素晴らしい成果が見込まれると、何かそういう方向を出さないといけないと思います。やはり、人材育成といっても、若い人は新しいところにどんどん来ますので、この分野全体としてのメッセージとして、そういう先端研究、先端というのは色々な意味がありますけれども、サイエンティフィックにも最先端の研究をやると。かつ、その装置も最先端の装置を使って、もっと産業につながるような開発もやる、そういう基本的な出し方が重要ではないかと思います。今、何か利用の方ばかりに行っているのですが、それだけだとちょっと全体の位置付けが悪いのかなという気がします。

【家主査】 

 この4つの四角の観点としては、文言のニュアンスとかは色々ありますけれども、まとめとしてこの4つを、この作業部会からの主要なメッセージとするという方向性としてはよろしいでしょうか。

 それから、(2)の「取り組むべき研究開発」については、これは扱いがちょっと微妙なところで、あまりこれが前面に出てしまいますと、せっかくここで高邁な議論をしていたのが、何か我田引水的に受け取られないこともないので、これは今後の予算要求等での説明を考えた際に、この中間報告というのがどういう形が一番エフェクティブかという観点で事務局と相談させていただければと思います。

【三木委員】 

 逆の観点から考えると、やはりこういう具体例があるのは、少し離れた分野からは非常に内容がすごくよく理解できますよね。

【家主査】 

 大事だと思います。

【三木委員】 

 ですから、そこを主査がおっしゃったように、うまく表現していただければ。

【家主査】 

 つまり、この報告書は予算要求の検討材料になると同時に世間一般にも公開されるわけです。そこにあまり生々しい話が出るとどういうふうに取られるかというのが、ちょっと心配なところがありますので。

【五神委員】 

 先ほど、最初に言ったコヒーレント光、レーザーベースの技術と量子ビーム技術を融合しているような領域の中で、これは辛先生が具体的にここで報告された中にかなり語られていたわけですけれども、やはり、そこの部分の伸びしろというのは非常に重要で、ここでやってきた5年間の施策と関係しています。そういうものを盛り込んでほしいということを最初に言いましたけれども、それが盛り込めるような形で文章のトーンを調整していただく。他の具体的な事例も、それと整合するようにして、どの装置の予算要求書として、説明するための資料は別に付ければいいだけの話ですから。ここにはリストとしてもおかしくないような形に調整して残していただければと思います。

【家主査】 

 はい、ありがとうございます。

 それでは、9.の「中間報告のおわりに」というところに4つの丸がありますけれども、この辺はいかがでしょうか。あと、参考資料のリストと、この作業部会での議論の経過と関連資料のリストがございます。

 きょうは色々な御意見をいただきましたので、これを踏まえてまた事務局の方で再度ブラッシュアップをしていただきまして、多分もう一度作業部会を開かせていただくことになると思っております。まだまだ色々議論があると思いますけれども、もう6時になりますので、本日はいったんこれで終了させていただきたいと思います。

 今、申しましたように、事務局と私の方で今日の議論を踏まえまして、中間報告の素案ではなくて、今度は「案」としてまとめさせていただきまして、また前回同様、皆様方に照会してさらなる御意見を御提出いただいた上で、できれば中間報告のソフトランディングをしたいと思っております。

 それから、事前評価の様式というのは何でしたか。

【阿部補佐】 

 机上配付資料として事前評価の様式なるものが置かれているかと思います。これは新しい施策なりを立ち上げるときには、その様式に必要事項を書いて審議会で審議をいただいた上でセットさせていくという手続になりますので、そういう様式に、この報告書の中から新しい施策の概要といいますか、そういったものを落とし込んでまとめていくというプロセスがこれから入っていきますので、御参考までにということです。

【家主査】 

 分かりました。では、改訂版をお送りするときに、またそれについての情報もいただくということでよろしいでしょうか。

【阿部補佐】 

 はい。

【家主査】 

 それでは、もし、全体を通して何かコメント等がございましたらお願いします。

 では、今後の予定について事務局から御説明をお願いしたいと思います。

【阿部補佐】 

 本日の議論を踏まえつつですけれども、6月8日に先端研究基盤部会、この作業部会の親の部会になりますが、それが開催されます。できましたら、そちらでこの審議の経過報告をさせていただきたいと考えているところです。また、本日の議論を踏まえまして、主査と相談させていただきながら報告書の素案を案という形でまとめていくような作業をさせていただきますが、本日の議事録と合せまして、また照会させていただきますので、中身の確認等よろしくお願いいたします。

 それから、本日の資料につきましては、御希望される方につきましては郵送にて御送付させていただきますので、机上の茶封筒に入れて右肩に氏名を御記入の上、置いてお帰りください。

 それから、まだ日程については仮日程でございますが、次回は6月19日火曜日、10時からの方向で調整させていただいておりますが、また、日程等が確定しましたら改めて御連絡させていただきます。

【森本審議官】 

 審議官の森本でございます。今日は本当に熱心な御議論をいただきましてありがとうございます。この委員会、非常に大事な審議をしていただいているということで、かなりまとまって参りましたけれども、将来の方向性が見えてきたということで私も非常に安堵しております。

 これだけ光・量子ビームの研究開発の拠点が日本に世界に誇るものがあるわけですので、この優位性をいかに維持していくか。ただ、その装置だけをクローズアップするのではなくて、それを使った利用研究等、そしてそれが産業競争力とか、国際的な存在感の強化、そういったものにつながっていくというのが他にはない強みということで、日本が世界でアピールできるものになるのではないかというふうに思っております。そういう意味で、今日は国際性の議論もございましたけれど、もう少し国際的な視点のことも充実させていければいいなと思っています。

 それから、先ほどの公募で選定する課題、そこのところの書き方を、研究テーマとしてではなく、課題解決型ということなので、もう少し、我々が直面している課題、それを乗り越えていくために必要な計画、そのような形で整理させていただければありがたいというふうに思っております。

 次回、是非、これの取りまとめに向けて御協力をお願いしたいと思いますので、事務局あてにまた色々御提案いただければ幸いでございます。どうもありがとうございました。

【家主査】 

 審議官、最後までお付き合いいただきましてどうもありがとうございました。

 それでは、本日はこれで閉会させていただきます。

 

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研究振興局基盤研究課量子放射線研究推進室

(研究振興局基盤研究課量子放射線研究推進室)