光・量子ビーム研究開発作業部会(第3回) 議事録

1.日時

平成24年4月20日(金曜日) 16時~18時

2.場所

文部科学省3F2会議室

3.議題

  1. 前回までの議論等について
  2. 委員及び有識者からのプレゼンテーション及び提出資料
  3. 今後の光・量子ビーム研究開発の推進方策の検討及び論点整理
  4. その他

4.出席者

委員

家主査、井上委員、加藤委員、兒玉委員、五神委員、佐野委員、辛委員、南波委員、三木委員、三和田委員、村上委員、吉澤委員

文部科学省

原量子放射線研究推進室長、阿部量子放射線研究推進室室長補佐、竹上基盤研究課課長補佐

オブザーバー

北海道大学 鬼柳善明 氏、日本原子力研究開発機構 加倉井和久 氏

5.議事録

 【家主査】 

 それでは、定刻になりましたので、ただいまから科学技術・学術審議会先端研究基盤部会光・量子ビーム研究開発作業部会の第3回を開催させていただきます。

 本日は、都合により川合委員と高原委員が御欠席です。本日は前回までの議論のポイントをまず共有するとともに、前回の議論に関連しまして、今後の光・量子ビーム研究開発の推進方策について、より掘り下げた形で委員及び有識者の方々からプレゼンテーションをしていただきます。そして最後に、本日の発表も踏まえまして、今後の光・量子ビーム研究開発の推進方策につきまして引き続き御議論をいただきたいと考えております。

 それでは、事務局より、本日の資料の確認などをお願いいたします。

【阿部補佐】 

 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。

 議事次第にございますとおり、本日の資料としましては、資料1‐1、1‐2、資料2‐1から2‐3まで、資料3‐1、3‐2、資料4から6まで、全体で10の資料があるかと思います。そのほかに参考資料、机上配付資料1と2がお手元にあるかと思いますけれども、もしお手元にない資料がございましたら、事務局まで一言いただければと思います。

 資料1‐1の委員名簿でございますけれども、南波委員が4月より原子力機構の理事になられたということで一部修正させていただいております。また、旅費手続が必要な委員の方の机の上には書類を配付させていただいておりますので、該当箇所に押印いただきまして、お帰りになる前に事務局まで御提出ください。よろしくお願いいたします。

【家主査】 

 どうもありがとうございました。資料等、よろしいでしょうか。

 それでは、議事に移らせていただきますけれども、皆様に一度御確認いただいたものではありますけれども、資料1‐2に事務局で前回までの議論のポイントをまとめていただいておりますので、御説明をお願いいたします。

【阿部補佐】 

 資料1‐2を御覧ください。

 前回の議論を踏まえまして追加している箇所が、ゴシック体で記載されております。ポイントは下線のところでございます。まず「光・量子ビーム分野の推進の意義について」ということで御議論がございました。加速器や中性子の装置などを国の産業とも連携しながら進めていくことが望ましいといったこと、輸出できるような技術として育てていくことが大事なポイントではないかといったお話がございました。また、日本の産業界、製造業も研究開発の拠点は日本に絶対置き続けるという強い信念を持ってやっている、光・量子ビーム施設があるからこそ日本で製品開発はしていくという形になっているのではないか、また、企業に役に立つ技術や検査装置であるにもかかわらず使えないということがあれば非常にもったいないのではないか、といったコメントをいただいております。

 続きまして、「施設・装置・技術等の開発・高度化とその有効利活用について」ということで、下のほうになりますけれども、要素技術開発とサイエンスの目的のバランスをとるのが重要ではないか、計測するだけではユーザーと施設の乖離が進み、施設の後継者がいなくなってしまうのではないか、施設と一体となって装置を開発できる層がとても大事、ユーザーが先頭となり施設をどうしていくのか検討が必要ではないか、といった御議論がございました。

 次に「課題解決型の研究開発・利用研究の推進について」というところでございますけれども、施設間の垣根を越えた自由な研究が重要である、ユーザー側でスーパーユーザーを育てていく、中性子と放射光の間といった中間層・境界領域の育成、ユーザーの開拓が重要ではないか、といった御議論がございました。

 次のページになりますけれども、「開発成果の利用促進・社会への還元等」というところで、産業利用等についてでございますけれども、情報やトライアルユースも含めたいろいろなサポートシステムがないとなかなか広がっていかないのではないか、産業界で量子ビーム等の解析等を理解されている方は非常に少ないという状況があるのではないか、また、施設側とユーザー側、サイエンティストとのインターフェースをどうするかという運用についてはきちんと配慮のある議論をしていくべきではないか、というお話がございました。

 最後になりますが、「人材育成について」追加したところとしましては、基礎教育の点からもサポートが必要、といったコメントをいただいていたところでございます。

 以上になります。

【家主査】 

 ありがとうございます。

 前回の御議論でつけ加わったポイントが太字で書かれておりますけれども、それ以外の第1回目で出てきた御議論も含めまして、この御意見のまとめにつきまして何か御発言がございましたら、自分の発言はちょっとこういう趣旨ではなかったとか、そういうことがありましたら、御指摘いただけませんでしょうか。

 事務局で項目ごとに大くくりにして、「装置開発の高度化」とか「有効利活用」、それから「課題解決型の研究の推進」、それから「社会への還元」「人材育成」とか、そういう大きなテーマごとに、頂戴した意見をここに列挙してあります。

 この資料は、とりあえずこれでよろしいでしょうか。これが今後の取りまとめのベースになるかと思いますので、後ほどまた読み返していただければ幸いです。

 それでは、今日の本題ですが、議題(2)、委員及び有識者からのプレゼンテーションに入りたいと思います。

 資料2‐1、2‐2、2‐3に基づきまして、前回の議論を踏まえまして、光・量子ビーム施設をめぐる状況や今後必要とされる方策等につきまして、各委員よりプレゼンテーションをいただきたいと思います。大体、目安として、発表15分、その後5分質疑ぐらいでお願いできればと思います。本日は村上委員、兒玉委員、それから吉澤委員から御推薦いただいている北海道大学の鬼柳先生、3人の方々に御発表いただきます。まず村上委員からお願いします。

【村上委員】 

 高エネルギー加速器研究機構の村上です。

 今日は、光・量子ビームの相補的利用ということを述べたいと思います。そのためのそういう光・量子ビームのどのようなプラットフォームを形成すべきかを少し考えてみましたので、発表したいと思います。ここにロゴが並んでいるのは、KEK、物質構造科学研究所、J‐PARC、Photon Factory、構造物性研究センターという形で、私の属しているものを書いておりますが、簡単に自己紹介も兼ねて、15分ですので、あまり時間はないですが、先生方のお手元にあるものから大分抜いております。なるべくコンパクトに発表したいと思います。

 KEKの中に物構研がありまして、我々、3つのプローブを共同利用に供しております。放射光、中性子、ミュオンで、私自身はこの放射光の施設に属しているわけですが、それは当然、強くここの加速器の施設とカップルしております。と同時に、我々、放射光・中性子・ミュオンというようなマルチプローブを使うという意味で、センターを2つ持っておりまして、そのうちの構造物性センターに属しております中性子・ミュオンの部分はJAEAとの間でJ‐PARCセンターというものを一緒につくり、運営しているという、そういう状況です。

 これは私の話のアウトラインなのですが、今申し上げましたように相補利用ということを少し自分で考えてみましたので、その部分を最初にプロットして、そういうものを実際にやった例、こういうのがおもしろいのではないかという例を2つ述べていきたいと思います。もう釈迦に説法ですけれども、放射光・中性子・ミュオンは、それぞれ特徴のある量子ビームでありまして、これらを合わせることによって、結晶構造だけではなくて電子構造まで精密に測定できるだろう、また、バルクの構造だけではなくて、非常に局所の表面とか界面の構造をきちんと調べる、それから、静的な構造だけではなくてダイナミクスまで調べていこうというのが、簡単に言えば我々の量子ビームの相補利用によって目指すところであります。例を出すのは時間がないので省かせていただきますけれども、例えば結晶構造だけにしましても、X線で見る結晶構造は電子密度を見るわけですが、中性子の場合は核密度、あるいは磁性の密度、スピンの密度を見ることになります。そういうわけで、マルチプローブを使うことが物質全体を多角的に見る意味で非常に重要なことであります。

 そういうものを、プラットフォームをつくっていろいろな物質をそのプラットフォームに乗せて研究していこうというのが我々のスタンスでありますけれども、そのときに、単に寄せるだけではあまりよろしくなくて、やはりこのピークの引き上げということが重要であろうと考えております。といいますのは、ピークの引き上げも2種類あるだろうと思っていまして、我々の持っているビームの手法とか装置を非常に先端化したものを合せるという意味で、先端的なサイエンスを出していこうというピーク、もう一つは、今までにないような科学分野をつくり上げていこうという、こういう未開拓な領域でのピークを引き上げる。そういうピークを引き上げることによってすそ野がどんどん広がっていって、広いユーザーがこの量子ビームのプラットフォームの恩恵を受けるという形になっていくのが望ましいと考えております。では、どういうふうにして、そのピークを引き上げたらいいのかということを考えますと、私の個人的な意見ですけれども、何かやはりブレークスルーを出すときには、新しい物質系とか未開拓な領域での発展がどうしても必要であります。これは主に大学などが主導する部分かと思います。

 一方で施設側としましても、非常に先端的なツール、今までないビームをつくるとか、あるいは、今までにない測定法をやってみるとか、そういう施設でのものが非常に重要であると思います。これ、両方が必要で、あるいは両方どちらかでも非常に大きいブレークスルーになることもありますけれども、大学側と施設側が両方協力し合いながらそういう相補利用によってピークの引き上げをやっていくことが本質的に重要だと思っています。

 そういうプラットフォームは、やはり、今、私の頭にあるのは、我々の機関のKEKなどが頭にあって、その例で申し上げましたけれども、やはりオールジャパンでそういうプラットフォームは形成していかないといけないだろうと思っています。そういうものを使ったマルチプローブの共同利用をきちんとやり、大学、産業界との強い連携を持ちながらやっていくことが重要であると考えます。そういう相補利用による多角的研究開発をするに当たっては、今までにないマルチプローブを使った、そういうものを相補利用する課題、新しく利用課題を共同利用施設としては考えていかないといけないだろうし、当然、そこでは新しい申請審査システム、今までにない審査システムの形成も必要でしょうし、一方でどういう方向でこういうマルチプローブを使っていったらいいかという、使うほうの立場としてはまだまだなれない部分があると思いますので、そういうものをうまくサイエンティフィックなアドバイスをしていくような制度も要るのではないか。そういうことをやっているうちに、大学がメインでしょうけれども、人材育成もその中でやり、いろいろなプローブに触れる、あるいはいろいろな物質に触れる人材を育成できるのではないかと考えています。

 国内でそのように非常に強いプラットフォームができると、今度は、海外の施設とも、これは比較的緩いカップリングで良いと思いますけれども、連携も重要だと思います。特に今、KEKで放射光・中性子・ミュオンと申し上げましたけれども、イギリスにもISISがあって、中性子・ミュオンが利用できる、すぐ隣にDIAMONDという放射光の施設がございますし、スイスでもPSIの中に放射光・中性子・ミュオンがあります。世界の中でこの3つの拠点、我々日本のJAEAも合せてその3つの拠点がこの放射光・中性子・ミュオンを持っていますけれども、そのほかの国も、単独ではありますが非常に先端的な装置、リングなどを持っていますので、そういうところとうまくリンクする。特に重要なのは、やはりアジア・オセアニア地区での拠点づくりは日本が主導してやっていくべきだと思いますので、各ところにある施設とうまく連携が重要であろうと。

 少し具体例を話します。まず1番目の具体例は、ピコ秒からフェムト秒の放射光のX線光源を用いた物質の電子状態・構造ダイナミクスの研究ということで、蓄積リングの光源からERLの光源ということを述べていきたいと思います。

 これは、先ほど申し上げました非常にとんがった装置を合わせて、硬X線だけではなくて軟X線、X線領域ではありますけれども、今までそういうなかなか硬と軟とX線はユーザーも開発するほうも分離してきたんですけれども、ここが一緒にやろうということを考えています。

 物質・化学・生命現象の時間スケールですけれども、早いところではフェムトセカンド、ここから先に行くと、もうほとんど電子の孤立系になってしまいますので、電子励起になってしまいますので、かなり単純なところに行くと思いますけれども、非常におもしろい物理・化学・生命のところでは、そこぐらいからマイクロとか、ミリとか、そういう時間領域であると思います。こういうところでのダイナミクス、静的な構造はもちろんですけれども、ダイナミクスをきちんとやっていこうと思っています。

 まず我々の施設でやっている例を出しますと、軟X線、硬X線、両方の領域で時間分解の測定をやっているわけですけれども、例えば軟X線の領域ですと、100eVから1,000eVぐらいの領域で内殻の電子状態の分光ということで、例えば1つの例ですけれども、これは溶液中での光誘起のスピン状態の遷移というようなものをロースピンからハイスピンへ変わるというようなものを実際に電子状態として見たりしています。特にCとか、Nとか、Oとかとか、そういう軽元素の内殻励起を通じて元素選択的に見るということをやっています。一方、よく似た系ですが、硬X線でも、では構造のほうの変化はどうかというようなことも観測することができるようになっておりまして、実際にこれも同じような光誘起のスピンクロスオーバーの錯体の例ですけれども、構造がかすかにこういうふうに変わっていくと、当然、ハイスピンとロースピンで周りの大きさ、格子の距離が変わってきますので、こういう動きが見えてきているわけです。

 一方で、硬X線を利用した研究という意味で非常に注目すべきは、我々PF-ARというビームラインで、これは、レーザーを当て、かつ、このPF-ARというのは常にシングルバンチモードで運転していますので、こういう分割実験にすごく都合がいいビームでして、そういうものから出てきたものをある程度間引いてレーザーと同期させて、その構造を調べました。これは調べた例です。これは、そのチブタイタネントという基板の上にマンガンの酸化物をつけたものですけれども、マンガンの電子状態の変化がマンガンの軌道の秩序は起こしているような系ですけれども、軌道秩序の軌道の状態が光を当てると同時に変わるというようなものを構造的に見ることに成功しておりますし、一方、ピコ秒での軟X線、先ほども時割経路はピコ秒なんですけれども、軟X線の例としましては、光触媒などが研究されておりまして、ある固有体に光を入れてやると、バルツバンドからコンダクションバンドへ励起されて、ホールのほうが移動して、このあたりのサイトで電子をもらって、水から酸素を分解して酸素を出す。

 一方、電子のほうは違うサイトに来て、ハイドロジェンをつくるというような過程が見えつつあるということであります。こういうものの先にはどういうことがあるかというと、当然、時間スケールをもっと早くしたいということで、フェムト秒光源へ我々はぜひやっていきたいということであります。放射光の一つの方向としては、電子構造をなるべく早いプローブを使って見ていきたいということで、その一つの我々が目指している加速器の方向としてEnergy Recovery Linac、ERLと呼んでいますけれども、これはLinacでありまして、ここから電子を生成して入れて、ぐるっと一遍回すだけでもう捨ててしまう。ただし、それだとエネルギーロスが大き過ぎるので、この部分でエネルギーを回収するということをやります。これはもちろん世界にまだ1つもないリングですが、これの発展を、今、取り組んでいまして、こういうことをやると、解説限界のビームが得られるとか、非常にショートパルスの光が得られるとか、あるいは、これは非常に速い繰り返しレートでありますので、試料を壊さずに精密に時間変化が追える。

 こういう先端的なリングはすぐにはできませんで、今、それをつくるための実証機をつくっております。Compact ERLというふうに名づけていますけれども、これが順調に技術的な解決がどんどん進んでいきまして、今年度の末には光が出るという状況にやっとこぎつけておりますので、これができれば、先ほどの元々の大きいリングも可能になってくるだろうと思います。こういうCompact ERLを利用して我々はいろいろな実験をやってみようと。今まで人類が見たこともないビームですので、そういうものを使ってどんどん面白いことをやろうということで、レーザー逆コンプトンをやることによって、実はX線も出る。非常にこれは小さいリングですので、エネルギーは低いのですが、そういう工夫をすることによってX線も出ますので、そういう構造を、100フェムト秒ぐらいですけれども、そういう時間分解能で測定していけるし、一方で出てくる光はそのまま使いますと、非常に強いテラヘルツ光ができますので、イメージングとかあるいはスペクトロスコピーができるだろうと考えています。

 というわけで、今のように軟X線から硬X線の光源を使うと同時にパルスレーザー光源を組み合わせることによって、物質の電子状態あるいは構造の高速ダイナミクスの方向に研究が展開できるだろうと考えています。静的構造から動的構造を目指したいということです。それから、Compact ERLが今ほとんどできつつありますが、そういう超低インスタンスの電子ビームを使ったものによってフェムト秒の光源が利用できるだろうということです。

 もう一つの例はぱらぱらと行かせていただきたいと思います。今度は、J‐PARCの中で中性子とミュオンをうまく利用して相補利用することによって、先端的な装置利用以外にフロンティアといいますか、未開拓な領域も開けるのではないかということを考えていますのが、中性子のスピンエコーの新しい方法を京大のグループとKEKのグループが協力してMIEZEというものを作っておりまして、Qとエネルギーの領域で言いますと、この程度で、小核領域でありますが、エネルギーが大体10-4meVに届こうかというところまで言っておりまして、一方、μSRの時間領域はこのあたりになりますので、中性子のものとμSRのものを合わせて使うことによって、かなり広い時間領域でのダイナミクスが追えるのではないかと考えておりまして、これは端的に書いた絵ですが、μSRのほうは非常にエネルギーの低いところで比較的ニュートロンは高いところ、実はX線はもっともっと高いんですが、そういう領域をオーバーラップさせることによって非常に広い領域でのダイナミクスを見ようということであります。

 一方、ミュオンで今非常に注目すべきは超低速ミュオンをつくっておりまして、これによってナノメーターサイズの深さでコントロールできるような深さ分解のμSRもあわせてできるということで、これによって非常に広い時間分解能で、さらにまた非常に深さ分解したものがミュオンでもできていく。一方、中性子のほうも、では深さ分解できないのかというと、ある程度できまして、こういうぎりぎりの角度でグレージングアングルという非常に薄い角度で入れてありますと、その角度に依存して、しみ込んでいく中性子が変わっていきますので、そういうことをやると、深さはある程度分解した形でのダイナミクスが可能であろうということで、先ほどのスピンエコーとあわせることによって、深さ分解したダイナミクスもやれるのではないかと。

 それをどういうふうなものに応用しようかというのはいっぱい提案があるんですけれども、その中でも、ちょっと変わったもの、私から見てちょっとおもしろいと思ったものを持ってきたのが、このTribologyというもので、この単語はあまり知らなかったんですが、摩擦ということで、「摩擦と潤滑の科学」というふうに名づけていますけれども、非常にマクロなところではよく御存じのようにエンジンのピストンとシリンダーがどう擦れるかという話、原子レベルでどういうふうに擦れるかという話まではかなり研究も進んでいるらしいですが、さらにこの電子レベルでこういう摩擦という現象がどうなるかというのは、非常に難しい問題かと思いますが、こういうものへのチャレンジも可能ではないかということを議論されております。

  まとめますと、非常に広い範囲でのダイナミクスが非常に重要であるということで、中性子・ミュオンを使うことによって低エネルギーから高エネルギーまで見えるのではないか、さらに、中性子では原子・分子からクラスターというところでの共同現象が見えますが、ミュオンではバルクからクラスターというふうに逆方向ではありますから、そういうものを相補利用することによって構造の階層性からのダイナミクスを見ていけるのではないかということです。

 以上で私の話は終わりでありまして、主張したかったのは、我々、目指すべきこういう結晶構造、電子構造、それからバルクから局所、静的から動的ということを達成するために、量子ビームのプラットフォームの形成が必要だし、マルチプローブの相補性は極めて重要であるということを申し上げたいと思います。

 以上です。

【家主査】 

 どうもありがとうございました。

 放射光・中性子・ミュオン、いろいろなビームの相補利用ということについてお話しいただきましたけれども、ただいまのプレゼンテーションに何か御質問なりコメントなりはいかがでしょうか。

【加藤委員】 

 量子ビームのプラットフォームですけれども、いろいろなそういう装置、施設が大分できてきたので、それがもう実現できる状況になってきていると思うんですが、何が難しいというか、要するに施設側とユーザー側というのがあって、施設側もいろいろな機関で運用しているという、マルチの機関が関与している、ユーザー側もいろいろな分野の人がいるわけで、それをうまくオーガナイズする必要があるわけですね。それで、どういうふうにやっていけばうまくいくのでしょうか。

【村上委員】 

 おっしゃるとおりです。例えば中性子を例にとるといいかと思いますけれども、中性子というのは、今、KEKとJAEAがJ‐PARCで一緒にやっているわけですけれども、そこの仕組みをJ‐PARCでは非常によく考えられて、ユーザーから見たときにはとにかく窓口が一緒になるようにしましょうという考え方で、今、その利用が進むようになっています。2つの別個の機関で、装置も実は別箇だけれども、そこはうまく融合した形でユーザーから、使うほうから見ると、どっちも自由にできる。そこをもう少し拡張して考えると、では、KEKは中性子・ミュオンだけでなくて放射光を持っているわけです。今、私が言いましたように、放射光・中性子・ミュオンを合わせて使うことが重要だということを申し上げましたけれども、そうすると、そこの機関で今の中性子の部分でうまくいっているようなやり方を、放射光も入れて作れるだろうと、そこまでは思っています。そういう形のものを少し将来的ではありますけれども、もう少し違う機関にも広げていけば、さらにユーザーからの利便性は高まってくるのではないかと思っておりますので、うまく機関間が調整してそういうシステムをつくることによって、相補利用の形をつくっていけるのではないかと。多分、いろいろな難しい問題もあるのだとは思いますけれども、原理的なところではやれるのではないかと考えています。

【加藤委員】 

 ナノテクというか、ナノサイエンスの分野でもそういうことが必要だということは大分言われていますよね。そういうところとの、まだあまり具体的になっていないから、まだほんとうの検討というか、そこまではまだ行っていないんですね。

【村上委員】 

 行っていないと思います。そもそも、サイエンスのほうだけからしても、相補利用をして本当にどんないいことがあるのかということを示すことが、まだ十分にできていない状態だと思っています。それを我々、やりたいというのを強く思っていて、個々のプローブを使っていい仕事というのはいっぱいあるわけですが、それを合せることによってさらにこんなことがわかるということを実際に示すのが、まずは必要かと。そういうものの実績が出てくると、では、それを一緒にちゃんと課題として審査して、自由に使うことが重要だろうという、そういう議論になってくるのだろうと思っています。

【加藤委員】 

 ありがとうございました。

【家主査】 

 ほかにいかがでしょうか。

【辛委員】 

 相補的な利用は非常に大事だというのはよくわかったんですけれども、それにやっぱり伴うのにピークの引き上げが大事とおっしゃっていて、この例を見ると、例えば時間分解とかそういうのがやっぱりピークの引き上げるべき分野と考えているんですか。

【村上委員】 

 最初のところで多分2つやり方があるかなと思ったのは、とにかく言い古された言葉で言えば、1つは学際領域というか、今まで全く未開拓であった2つの科学分野の間を積極的に挙げるというやり方が1つ。これはむしろどっちかというと大学あたりが中心になってやるべきかと思います。もう一つは、ほんとうに先端的な技術、ビームを使ったものを合せるというようなこと、これは施設ではないとなかなかできないだろうと。その1つの例が、最後にちょっとお示しした硬X線と軟X線をそういう広いエネルギー領域で合わせて使うことによってダイナミクスもいろいろなエネルギー領域でのダイナミクスを一遍に見られるようなものをもし作ることができるならば、それは多分、今までになくピークが出てくるはずだと私は思っているので、そういう先端性の装置を合わせることによるピークの引き上げという、そういうやり方が2番目にあるかと。だから、なかなか1つだけの装置でピークを引き上げるというのは、ある程度引き上がるんだけれども、ほんとうに画期的に引き上げるためには、何かその相補利用もあわせればいいのではないかというのが今日の趣旨でございます。

【家主査】 

 私から1つ質問させていただけるでしょうか。

 今の相補利用ということで、KEK(物構研)の中では構造物性研究センターという、そういう横串の組織をつくっておられるようですけれども、もう少し広く、例えば放射光学会、中性子科学会議、日本中間子科学会で、そういう異なる専門分野の学会の間で何かそういう連携をしようというような機運はまだまだないんですか。

【村上委員】 

 まだ今のところはないんですけれども、ただ、我々、結構多くの人が放射光と中性子、あるいはミュオンにまたがっているというか、それぞれ、かなりの人が良く知り合いなので、そういうことを何か大きい仕掛けとして、例えば一緒にサイエンスを議論するような場を学会として共同でつくるとか、そういうことはできるんじゃないでしょうか。

【家主査】 

 もちろん、組織的にやるというよりは、サイエンスベースでやるほうが実際的だと思いますので。

【村上委員】 

 ただ、そういうことは今まで一遍もまだ行われていないですが、おもしろいアイデアだと思います。3つなり4つなりの学会が一緒になる。

【家主査】 

 どうぞ。

【吉澤委員】 

 質問ではなくて、今のプラットフォームの話ですけれども、実はこの委員会と同じ、並列してプラットフォーム委員会があって、精力的な議論をされているんです。だから、そこでは施設型の横の連携はもう明確に視野に入れて、深い議論がなされているので、その委員会の議論との情報の共有を図ると良いと思いますね。それぞれの立派な先生方が同じことを別々にやるというのは非常に時間の無駄だと思いますので。そういう意味で、先ほどの質問でナノテクノロジーのほうはどうなっていますかということがありましたけれども、ナノテクノロジーのほうはナノテクノロジー・ネットワークというので物理が中心になって全国の二十幾つの機関をまとめて、もう四、五年やってきているんです。それの評価が出まして、それをフィードバックをかけて、新しい施策でさらに次の10年のネットワークをきちんとやる。それと量子ビームの連携も視野に入れてやっていこうというようなことが、今、着実に検討されていますので、そういうものをこの委員会では要素技術でいろいろなこととリンクさせていく議論をすれば、政策としてまとまっていくのだと思います。

 それから、複数プローブで2つのことをおっしゃったと思うんです。1つは相補利用で、確かに村上さんの言うところもミュオンと中性子とをおっしゃったと思うんだけれども、それ以外に、辛先生のやっているようなレーザーとX線とで、それぞれ独立ではできないけれども、2つを組み合わせることによって新しい性能が発揮できて新しいサイエンスができるというので、相補利用とか複数プローブというときも2つの視点があるので、そのそれぞれに対してどういう施策を考えるかという観点から方向性を打ち出していくと、非常にシャープないい政策が考えつくと思うんです。 以上です。

【家主査】 

 ありがとうございました。 いろいろ御意見いただきましたけれども、時間の関係もありますので、この話は一応これぐらいにさせていただきます。次に、兒玉委員からお話をいただきたいと思います。

【兒玉委員】 

 大阪大学の兒玉です。

 今日は、光拠点のほうでいろいろ要素技術、あるいは新しい連携、いろいろできまして、そこからいろいろなものが出てきているんですけれども、特にパワーレーザーに焦点を絞らせていただきまして一つの提案をさせていただきたい。それが量子ビームと融合することによって新しい世界が生まれますと、そのためにどうするかということなんですけれども、これが今日の一つの私の挙げた課題なんですけれども、こちらが光コミュニティー、光拠点でいろいろなことを開発あるいは連携をさせていただいております。そこで初めて生まれた利点とかいろいろあるわけでして、そういうことに関しまして全体をまとめたものが、今日お配りしておりますCDの中に細かいことは書いておりますけれども、いろいろなものが出ております。それから、このプログラムと連携いたしまして、CREST等も一緒になって要素技術がいっぱいできる。それから、あと現場レベルで言いますと、量子ビームの人たちともいろいろな連携が起こりかけている。こういう状況の中で、では本当に次にどう行くか、あるいは、こういうものが要素技術だけで終わるのかと。やはりこういう要素技術が要素技術ではなくて一つのシステムとして構築されていって、長期的視点に立った総合的な戦略的なプロジェクト、あるいは課題解決の核となるような形に検討されるべきではないかというのが今日の私の言いたいことでございまして、そのためにこういうプラットフォームができればということでございます。

 それで、まず最初に、パワーレーザーをきょうは軸に紹介させていただきたいのですけれども、パワーレーザー、これは10年前のパワーレーザーのピークパワー、それからあと出力、この2つを表しているわけですけれども、10年前は日本はまあまあそれなりに世界の先端におりました。これは世界的に見ましてパワーレーザーというのが先端技術の進展を牽引する技術集約型の研究開発だということで、いろいろな国、先進国の必須条件としてパワーレーザーはいろいろ開発されてきています。ところが、10年たちますと、どうなっているかといいますと、残念ながら日本はこういうところにおりまして、世界ははるかこういうところまで来ているわけです。ここで1つ言いたいのは、日本がここにあるというだけではなくて、先ほど言いましたようにいろいろな集約としてパワーレーザーが進展しておりまして、その結果といたしまして、実は繰り返しレーザー、いわゆる市販で買えるようなレーザーの出力もはるかに高くなっておりまして、今、ペタワットはお金を出せば買えるようになっておりまして、100Jぐらいの繰り返しもできるようになっている。10年前には全然考えられなかったことが起こっている。これを牽引していたのがまさにパワーレーザーであります。では、海外でどういう状況になっているか、世界のパワーレーザー開発、あるいはパワーレーザーに関係したプロジェクト、全部を挙げられておりませんけれども、例えば欧州だと欧州連合として1,000億のプロジェクトが動いておりまして、300億ぐらいが既に東欧3国につけられまして、フランスが動いて、こういうプロジェクトが動いている。これとは別に、また欧州ではXFELプロジェクト、これはまだ予算化はされておりませんけれども、今あるEUVの光はハードなX線に変えて、かつ、ペタワットレーザーを加味した計画があるわけでして、うまくすれば2015年からそういうものが始まる。それから、ドイツにあるX線レーザーなんですけれども、赤外のX線レーザーにパワーレーザーを融合させた、大体数十億ぐらいのプロジェクトが今年度から稼働することになって、これは先ほど言いましたXFELとペタワットレーザーを一緒にするという予備段階の計画としてこういうものが動いている。それから、フランスのほうはもう少し色々なものが動いておりまして、核融合用のレーザー1,000億とか、あとは1つ悔しいのが、実はフランスのパワーレーザー・ネットワークというのが2010年から動いていまして、これは日本の光拠点事業に全く影響された、これに刺激された、これを立ち上げたブリという研究所の方が、まさにこれを私たちはやりたいんだということで立ち上げたプロジェクトでございまして、5年間で80億ぐらいのプロジェクトが日本以外でも動き出した。パワーレーザーに限っている。あとは、こういうものがあったり、アメリカは、既にFELとパワーレーザーが一緒になった専用の施設が昨年から予算化されて30億ぐらいで動いているとか、レーザー加速のプロジェクトもそれと同レベルで動いているということでございます。あとは、各位こういう形で、パワーレーザーのプロジェクトが、これは欧米なんですが、あと中国、韓国まで入れたらいろいろあるんですけれども、少なくともこういう先進国ではいろいろな形で進んでいる。それに対して、日本のほうはといいますと、日本では、レーザー核融合の研究が旺盛な時代以降、EUVプロジェクト以外にはパワーレーザーを開発して学術利用する大きなプロジェクトには、恵まれなかった。欧米では、先ほど言いましたように大型プロジェクトが継続的にあった。もう一つ別にですが、あまり公にはなっていないんですけれども、あるフランスの会社の人から聞く話ですけれども、大型プロジェクトが終了後もフランスでは10年間、企業をサポートする、そういう体制があるということでございます。ですから、国が全体を挙げてそういうパワーレーザー関係のオプティクスをサポートしている、こういうこと。

 では、パワーレーザーに関する戦略性と継続性に関してフランスではうまくいっているんですけれども、ちょっと痛い話ですけれども、その成功例と失敗例を挙げさせていただきますと、例えば失敗例がありまして、これは日本で先ほど言いましたようにパワーレーザーに関しまして、今から数十年前に大型レーザーがつくられるときに、HOYAという会社を中心にガラスレーザーのガラスを開発して、それが世界のどこよりも優れたガラスであったということで、こういうものが開発されたんですけれども、その後が続きませんで、このHOYAはガラスの技術をアメリカに売って、HOYA‐USAとしてアメリカに行きました。その後、我々が大型レーザーを作るときに、このHOYA‐USAからガラスを買うときに、アメリカのDOEの許可を得ないと買えないという、まさに悔しい思いをさせられて、あげくの果ては、これがもう実はアメリカでは十分ストックがあるということで、これもシャットダウンになりまして、実はこの技術はもうほぼ断ち切れた。

 もう一つ成功例といたしまして、実は先ほど言いました大きな欧州のプロジェクトが動いているんですけれども、その中に欧州の3国に300億を投じるというのがあったんですけれども、ここでフランスはうまくやっておりまして、フランスは自国で開発しますと。お金は要りませんと。ところが、欧州の300億はどうやってそのレーザー装置を作るのかというと、元々ありませんから、フランスへ全部発注する。つまり、EUのお金が欧州を回って全部フランスに入るという、そういう見事な一つのマネー循環をさせているわけで、極めて戦略的です。こういうことを日本はまさにやっていかないと、これから太刀打ちできないのではないかということで、ぜひこういう国際競争に勝てるような戦略と技術を提唱できないかということが今日の一つの課題かなと思っております。もう少し細かく言いますと、これは先ほど言ったことを細かい話をさせていただいておりまして、具体的にどういうプロジェクトが動いたかということで、現在は、幸い拠点事業とかありまして、あるいはCRESTがありまして、要素技術に関しましては継続的にやらせていただいている。もう一つ、量子ビームのほうは、FELのような新たな技術ができてきているということですけれども、やはりこういうものを牽引する、そういうものがそろそろぜひ必要である。今なら色々なものがまだあります。他国にはないようなテーマとか、あるいはアメリカとかヨーロッパが買い付けにきている日本のパワーレーザーの材料、セラミック、こういうものはアメリカのいろいろなところが買い付けにきていたりしているわけですけれども、残念ながら日本はそれほどできていない。日本のものですけれども、そういうことができていない。あとは、もっともっと先進的な日本オリジナルな半導体レーザーを使った新しいレーザーとかこういうことを、今ならまだ間に合うという段階ですから、ぜひともこういうものを戦略的に検討する場所があればというところでございます。

 では、具体的にどういったことをやっていけるのかということですけれども、この図の左上に書かかせていただいているのは、文科省で作られた参考資料で、極めて光・量子ビーム関連に関する施策がいっぱいありまして、要素技術から、あと、実用化に対するそれぞれ、あるいは大型の施設に対して、まさに全体をきっちりと覆われたプロジェクトがあるわけなんですけれども、現状はこういう材料はあるんですけれども、有機的な連携が本当にこういうものが全部できているのかということなんです。具体的にこういうものを支えるプログラムがある。例えばここに示させていただいているのはパワーレーザーに関するものでございます。例えば阪大だけに限って言いましても、パワーレーザー、あるいは高エネルギー密度という領域に関しまして、4つのCRESTが動いておりました。こういうところでそれぞれの技術、世界レベルの技術があるわけです。ところが、例えば世界最高の光学施設、これはベンチャーを通じてFEL、SACLAとかあるいはアメリカのところに流れていったりもしているわけなんですけれども、ほかの技術などに関しましても、必ずしもある1点に集中せずに、それなりにぱらぱらと。それから、連携に関しましても、大阪大学では欧米中心、あるいはアジアを中心としてこういう拠点になっておりますけれども、こういう要素がいっぱいあるんですけれども、では、こういうものをどこでどうやって組み合わせていくのか。1つ1つはものすごく良いですけれども、ぜひこういうものを組み合わせることによって国際競争力ある展開ができる、そういうしっかりした受け皿がぜひとも必要ではないか。そのためにも、ここに書いてあるような大きな施設、あるいはプラットフォーム的なものがあれば、こういうものがうまく入って世界に対抗できるのではないかということでございます。

 では、なぜパワーレーザーが必要なのかと、そういういろいろな要素技術があるけれども、一緒になってなぜパワーレーザーが必要なのかということですけれども、それは、先ほど言いましたようにそれ自身が総合技術でいろいろな技術を牽引していくということもあるんですけれども、パワーレーザーを整備することによって、これまでの極限状態をさらに超えた世界があるということでございます。 ここには大体15年ぐらい先まで書かせていただいているんですけれども、レーザーの進展とともにいろいろなものが進歩する。例えばレーザーを使った加速に関して言いますと、今、CRESTのほうでおもしろいものが開発されておりまして、レーザーと、プラズマと、ビーム制御技術、こういうものをうまく連携させまして、ここでは阪大、KEK、JAEA、こういうものが連携しているわけなんですけれども、より安定な加減速制御可能な安定な電子ビームの実現、これをレーザーとプラズマを使ってやろうとして、ほぼこれはできているわけなんですけれども、こういうものを使って我々は新しい電子顕微鏡を作ろうとしている。これは、我々が今作っている、今年度あるいは来年度中にはデモができるであろうというもので、シミュレーションスペックとしては、ここにあるように10フェムトの時間分解で大体ナノメーターぐらいの空間分解が得られます。かつ、電波量が普通の加速器よりはるかに大きいので、シングルショットのイメージングが撮れるということでございます。これまでもレーザー駆動の電子顕微鏡というのはあるんですけれども、例えばノーベル賞を取った電界放出型、こういうものは電荷量が全然足りませんので、シングルショットはとれません。あるいは、リバモアにあるものなども、時間的には、はるかに長いということで、こういうフェムト秒でナノメートルの世界をシングルショットで撮れるというものが実はほぼもうできかけている。こういう物を使えば、どういうことがわかるかというと、本当に物質の構造が変化する最初の段階からダイナミクスが見えるということでございまして、ナノの世界からフェムトの時間スケールで変化していく様子が見えるということで、物質材料科学においても重要であるし、また、おそらくバイオのほうにも重要ではないかということで開発しております。

 ほかにもパワーレーザーを使ったら、実は簡単に極めて高い圧力が出るということでございます。普通、ダイアモンドアンビルという静圧縮でできるのは、400万気圧とか500万気圧、これがもう物理的限界です。これ以上は絶対いかないという物理的限界があるんですけれども、それよりもはるかにこういった超高圧の世界をレーザーは実現できます。例えば1,000万気圧以上になったらどういうことがあるかというと、ここにあるようにポストダイアモンド構造とか、固体金属水素とか、あるいは系外地球型惑星の中の状態になるとか、いろいろなことが起こる。それから、もう一つ、パワーレーザーでしかできないというか、パワーレーザーが得意とする圧縮で有名なのが材料プロセスです。例えば、ここにいらっしゃる佐野先生がやられているレーザーピーニングなどはその一つになるわけで、極限状態の材料をプロセスとしてつくり上げることができるということでございまして、例えばこれは横軸が圧力で、縦軸が温度ですけれども、従来、レーザーを物質に当てると、簡単に圧力は1,000万気圧に簡単に行くわけです。ところが、プラズマ状態にすぐなるということだったんですけれども、そういうことで、惑星の内部を調べるということがあったんですけれども、最近の技術の発展によって、実はプラズマにならない、1,000万気圧でも固体状態を実現できるようになってきた。では、この1,000万気圧で固体状態というのは何が面白いかといいますと、実は100万気圧というのは大きなバウンダリーがあります。100万気圧というと、ここに書いてあるエネルギー密度として化学結合とほぼ同じです。ですから、周りのエネルギーが化学結合のエネルギーと一緒ですから、この100万気圧というのは、我々が普通大気で考えるような化学結合とは全く違う反応が起こるわけです。そういうものの1つかどうかは人によっていろいろ解釈はあるんですけれども、ポストペロブスカイトという有名なものが、実は予測しなかったものが地球内部にあることが発見されたわけですね。これはまさにこの100万気圧を超えたこの世界です。実は、この100万からこういうすべてが金属になる3,000万気圧、この間は、もうこういう予測しないものとか、今までになかったものの宝庫になっているわけです。こういうところをアプローチできるのは、まさにレーザーしか今はないわけでございまして、ぜひこういうところをやっていきたいということで、実際にもう既にパワーレーザーをうまくコントロールしてポストダイアモンド、ダイアモンドよりさらに密度の高いダイアモンド、我々は「スーパーダイアモンド」と言っているんですが、そういうところも達成することができました。

 それからもう一つおもしろいことに、圧力をかけても、普通はダイアモンドなどは元に戻らないんですけれども、戻るものがほとんどなのですけれども、例えばシリコンに圧力をかけたら、金属になります。金属になって圧力を開放すると、また半導体に戻ります。ところが、我々の特殊な圧縮の仕方をすることによって、金属の状態のまま大気圧のところに持ち出すことができた。これは世界で我々のところしかないはずです。こういう、普通ではあり得ないような状況をレーザー、特に最近は非平衡の圧縮などもできるようになりましたので、いわゆる超高圧を出せるだけではなくて、さらに超高圧の状態を大気圧で保持できるようになってきているということでございます。こういう形でレーザーによる超高圧状態をうまくコントロールして、ほんとうに我々の手の上に新しいものを取り出すことができたら、いろいろなグリーンイノベーションに役立つものができるということでやっているわけなんですけれども、やはりもう少しほんとうに中を見ながら構造解析しながら、そういうことをやっていく必要があろうと。我々が今やっているのはパワーレーザーを中心としてその中の状態を見ているわけですけれども、やはりその構造がほんとうにどう変わっていくかということを見る必要があるということで、実はFELというところとパワーレーザーがうまく結びつけば、そういうことができる。さらに、先ほど言いましたような電子顕微鏡ですね、レーザー加速電子による電子顕微鏡を組み合わせることによって、先ほどのダイナミカルな圧縮の中で何が起こっているかということを見ながら新しいものを作っていけるということができるわけでございます。

 最後にもう一つ、真空の世界も実はパワーレーザーが解き明かせる可能性が出てきているということでございます。それは、実は真空に強い光を当てていくと、物質と光との相互作用と同じようなことが起こってきます。最初に起こるであろうというのが、真空と光の非線形な相互作用が起こります。その後、真空が壊れて、素粒子の世界になっていくわけなんですけれども、実は長い間、やはりこういう真空と光の非線形相互作用は相当難しいだろうと言われていたんですけれども、いろいろな要素技術、例えばプラズマを使った新しいミラーとか、そういうものができてきまして、今までより10桁位の高い反応率で真空と光の相互作用ができるようになるだろうという理論予測ですけれども、そういうことになってきておりまして、大体、昔はエクサワット位のパワーが要ったと思われていたのが、実は10桁位で真空と光の相互作用が見えるのではないかということ、さらに、もう少しこういうふうな真空場が真空偏極を起こしているところにX線レーザーをナノサイズに絞ってやって、そこからまさに真空の相転移ですけれども、起こさせるということも可能に、おそらくFELと結びつけばなるであろう。これは、まさに物質中であるような光相転移に近いような、おそらく1点のところからわっと真空が崩壊していくような、そういう世界があるだろうと思われています。こういう形で、真空と光との真空そのものがどういう状態なのかということに関しても一つの解を与える、そういう可能性があるということでございます。

 あとは、新しい核コヒーレント光学ということにも関係してくるということで、最後、まとめさせていただきますと、パワーレーザーの戦略と戦術、先進国として必要不可欠な技術集約型の研究開発課題であります。CRESTとか色々なもので構築されてきた世界競争力ある技術の集約と収れんが必要な時期になっております。このままでいくと、せっかく世界競争力がある要素技術が眠ってしまうおそれがあったりもします。それから、一部ではパワーレーザーと量子ビームの融合も進んでおります。こういった中から、ぜひ今までのこういう何とかのコミュニティーとか、何とかのコミュニティーではなくて、色々な技術が集約して一つのところに集約されていくことによって新しいものを開拓していって、学術イノベーションとか産業イノベーションにつながるような、そういうプラットフォームができれば、有効にいろいろなプログラムが働くのではないかということでございます。以上です。

【家主査】 

 どうもありがとうございました。

 では、ただいまのお話に質問等をお願いします。いかがでしょうか。

 非平衡圧縮で取り出すというのは、大変面白いと思ったんですけれども、鍵は何ですか。物質の問題ではなくて、圧縮方法の問題ですか。

【兒玉委員】 

 これがまだ、圧縮する段階で起こっているのか、冷却する段階で起こっているのかあたりも実は良く分かっておりません。どちらも速いんです。普通にレーザー、ナノ秒のレーザーを当てるよりもはるかに速く加圧して、過冷却というか、冷却されるという状況になります。その中で、普通は相転移というのは全体が変わると思われているんですけれども、構造相転移の時間がやはりピコ秒以上かかる。それに対して、それよりもはるかに短い時間で圧力がかかったり開放するものですから、ローカルに起こったり起こっていないところが出てくる。そうすると、どうも今のところ、そういう状態が超光子に、どういう名前か分かりませんけれども、相転移したものの周りに相転移する直前のものが網の目のような状態になってサポートしている、そういう状態になっている場合があります。

【家主査】 

 他にはどうでしょうか。

【加藤委員】 

 ここは割と物性の方が多いので、多分、今の御発表の中にいろいろありましたけれども、電子ビームあたりはまず使えるものなら使いたいという方も出てくるのではないかと思うんですが、もうすぐできるとおっしゃったけれども、いつごろ?

【兒玉委員】 

 まず、像としてイメージとしてできるのは、今年度の終わりから来年度の初めにかけては見えるようになると思います。先ほど言ったスペックのところ、1ナノメートルでおそらく30フェムト秒だろうと思いますけれども、それぐらいを現実的に出そうというと、来年度終わりぐらいかなと思っています。一応、CRESTが、私ではないですが、そのやっているCRESTが来年度で最後になりますので、そこまでには見えるようにしたいと。ただ、やはりそれがいろいろなユーザーに対して使えるようにするためには、やはりもう一つシステムとしての構築はさらに必要かと思います。

【家主査】 

 それでは、ここで次に行かせていただきます。ありがとうございました。

 では、次に、鬼柳先生にお話をいただきます。

【鬼柳氏】 

 では、北大の鬼柳です。「小型加速器中性子源の利用と開発の現状」ということで話をさせていただきます。今まで大きな装置の話だったのですが、北大に小型中性子源がありまして、J‐PARCの10万分の1ぐらいの強度ですけれども、それを使っていろいろやっている。最初、中性子源施設、それから小型が何で必要かと、それから国際的に見てどうなっているかというような話をしていきたいと思います。お配りしたのは30枚もありますので、ちょっと早目にいきたいと思います。

 中性子の特徴はもう既に御存じなんですけれども、一応、復習ということで、軽元素、水素、それからリチウムとかそういうのに感度が強いと。それから、透過力が強いので、金属の中を見られるとか、磁気モーメントがあって磁気相互作用をするので、磁性材料の磁気分布を調べるということで、物質・生命科学、材料創生、産業応用に使えるのではないかと考えている。さらに、応用範囲を広げていくというような意味でどうしたらいいかということで小型を考えているということです。中性子源はそう多いわけではないんですけれども、ヨーロッパは結構集まっている。アメリカもそこそこあります。オーストリアはヨーロッパの一部みたいなところがありますけれども、アジアはこの図で日本は今、大きなものは2つだけだと、そういう状況であります。ヨーロッパの中はヨーロッパの中で協力していますし、ここに出ていないもっと小さいのがあるので、色々な開発研究をやっている。アメリカも似たような状況です。国としては、日本はパワーとしては大きな国なんだけれども、非常に少なくなっている、そういう状況です。ビーム実験に使うという意味の中性子源としては、J‐PARCがあって、JRR‐3があると。以前はKENSがあったわけですけれども、それはもうなくなった。「中型」というような言い方をすれば、京都大学に原子炉がありますと。それから、ちょっとこれは書き忘れていましたけれども、住重に非破壊検査用の中性子装置があります。こういう大型装置に対して、いろいろなコントリビューションをしてきたというところでは、原子炉としては京都大学、小型の加速器としては北大がもう唯一だったというのがこれまでの状況です。

 中性子、こんな状況で非常に寂しいわけですけれども、御存じのとおりX線装置はもう書けないので、たくさんのがありまして、大学・企業に存在して、大学における教育・人材育成、それから企業でほんとうにトレーニングをしてということで、こういうPFだとかSPring‐8と大型、小型のコラボレーションはもう十分できているというふうに思っています。中性子に比べて圧倒的に小型装置が多いというのが放射光です。

 では、中性子のほうでどんなことをしていったらいいのかがこれからの話なんですが、あまりこんな小さい加速器が何の役に立ってきたんだろうという、そういう疑問を持たれるかと思うので、北大でやってきた実績例をお示ししたいと思います。ここに北大の加速器の中性子強度がありますけれども、0.16×1013、J‐PARCは2×1017です。5桁の違いがあります。ここに冷中性子源が入っていまして、固形の反射体が周りを囲んでいるという、非常にシンプルな冷中性子源で、電子を加速して電子を重金属に当てて中性子を発生し、減速して実験するということをやってきたわけです。いろいろなことをやっていたんですけれども、最近の話題の中の比較的古いほうということで、J‐PARC用の高性能中性子減速材開発ということで、これはもう小型中性子源でなければできない研究。昔、KENSで使っていたメタン減速材は放射線損傷で使えない。ということで液体水素になったんですけれども、中性子強度が低いと。これで高性能なものはできないかということで、あまりシミュレーションがそれほどできない時期から実験を始めまして、これは北大で測定した色々な減速材のタイプの中性子エネルギーに対する強度ということで、エネルギースペクトルです。普通の水のところからメタンに入って、KENSがここまで来て、水素にすると、ここまで落ちてしまうわけで、それを何とかカバーしようとして結合型というのを工夫して作りました。それが、パラ水素だけにしてやると、さらに強度が増えるということまで行きまして、今はJ‐PARCにはこれが入っているということです。これが今のJ‐PARCの中性子のエネルギースペクトルですが、J‐PARCの中性子源はこの3つのものがありまして、赤が最大強度で開発したものですけれども、1メガワットのJ‐PARCは2メガワットのSNSよりも強いと、そういう結果になっています。今、SNSは逆に我々のまねをしてパラ水素で大きな減速材を使おうということで改良しようとしているということです。この差がついたのは何が良かったかというと、色々な実験がやれた。自分たちの発想がすぐ調べられる。ただ、実際には色々なことをやったんですけれども、うまく当たったのは1割以下ぐらいじゃないかと思います。ただ、何が大事だったかというと、いろいろなノウハウを蓄積できた。ノウハウはなかなか論文に書かないものなので、それがこれにつながったというふうに思っています。

 次がデバイス開発ということで、これは当時、理研にいた清水さんのアイデアで、我々が一緒にやったものですけれども、磁場、これは永久磁石で中性子を集束しようということをやりました。中性子波長で同じ中性子の強度の倍率ですね、波長依存があるんですけれども、ここで中性子強度が40倍ぐらい増えていると。要するに中性子が集束したということが分かりました。これは中性子デバイス開発の機運を世界的に高めて、国内的にはデバイス開発の大型予算獲得に成功するというところに行ったんですけれども、最初、この実験はKENSでやっていました。北大の100倍位の強度ですが、うまくいかなかった。別にKENSの中性子源が悪いわけではないんですけれども、目的に合った実験状況が作れてきちんと測定ができる、それがこの成功を導いて、その後、パルス磁気レンズとかやっていますし、これの応用型が既にJAEAのほうでは実際に使われていると、そういう状況です。

 最近やったのは、パルス中性子を使ったイメージングということで、普通の中性子ラジオグラフィーというのはX線のラジオグラフィーと同じようなもので、皆さんも御存じかと思うんですけれども、パルス中性子というものを使ったラジオグラフィーで、このときには飛行時間法で簡単にエネルギー依存の透過データができるということで、これまでと違ったものができるのではないかということで、結構長い間考えてきました。パルス中性子のイメージングは、原理は非常に簡単で、パルス中性子が出て、それが飛行時間でカウントですけれども、エネルギーの高い中性子は早い時間、遅い中性子は遅れた時間に来るということで、それをサンプルを通すと、いろいろな金属材料みたいなものはこういうブラッグエッジに位相するnλ=2d比に対応するということでぎざぎざのディップが出ます。それに応じて透過スペクトルがこんなふうに変わってくる。それから共鳴吸収のところでは、こんなピークが出てくるので、元素分析ができるだろうということで、こんなスペクトルができるので、これを解析してやると、画像データとして結晶組織構造的なもの、それから元素とかこの幅から温度が測れるのではないか、そういうことを考えています。

 最初、これはいろいろな何が測れるかということを考えるきっかけになった実験なんですが、3つの同じ素材のステンレスを熱処理したものと表面処理したものをトランスミッションではかったんですけれども、そのときに、これが断面積の形ですけれども、表面処理したものは大体同じ、熱処理したものは全然違った形になってきた。これは後で考えてみれば、結晶子サイズが違ったということなんですけれども、当時はよくわからなくて、何で差ができるのか、結晶組織構造で中性子断面積のグラフがBNLの325にあるんですけれども、あれはひょっとしたらうそじゃないか、そういうようなことで原因の追求と解析コードの開発というのをやりました。現状、どこへ行ったかというと、これは溶接片ですけれども、ここは棒材で、ここで溶接しています。これは断面で、ここで溶接しているわけですけれども、これで結晶の方位の分布が分かります。これは111方向、それから110というふうに、こういうデータが来ます。それから、等方的か異方的かというような情報も出せて、溶接したところは等方的になるし、そうではない、もともと圧延のところはかなり異方性が強いということがわかります。それは断面のところでは似たような状況です。それから結晶子サイズについても、溶接部では比較的小さくて、断面のほうはかなり大きい。それから、普通の上から見た結晶子サイズは平均的にはその間ぐらい。こんな情報が出せるようになりました。

 ここまでたどり着くためには、いろいろな実験もやってみたわけで、どちらかというと、あまり大型施設の申請書に書けるような内容ではなかったわけですけれども、いろいろな現象を追求するための重要な実験が北大でできたということがここまでたどり着けた理由かなと思っています。ただ、ひずみ測定は高分解能でできないので、こういうのはやっぱり大型施設へ持っていかなければいけないということで、これはモデル実験として引っ張り試験を10センチ角ぐらいの鉄でここにひっかけをつくってトランスミッションとディフラクションではかったというのがありました。今日はトランスミッションの結果だけをお見せしますけれども、これが透過率で、先ほどの断面積を反映した形の透過率の変化がここにあらわれています。49キロニュートンのところでこの形が変わっている、値がちょっと低くなっているのがわかります。それから、ここの部分だけ拡大してやると、ブラッグエッジと言っているλ=2dに対応するところが引っ張りの力が増えるに従って徐々に短い側にシフトしているということがわかります。それを図にイメージにしてやると、こういうふうになりまして、ひずみが10キロニュートンだと、ほとんどひずみは変わらないのですが、だんだん分布が出てきて、49キロだとかなりマイナスに強いひずみが出てきている。非等方性については、最初は0.54くらいで、比較的良いんですけれども、ここからここで急に変化が起きている。それから結晶子サイズについても、これと似たような傾向が出ていて、このひっかけのある部分でちょっと変化が起きて、49キロですごい大きな変化が出ている、そんなことが測定できました。

 これは、この共鳴吸収を使ってこういうディップをはかってやることによって、物質を核種の同定ができる、計量もできる、それからダイナミクス、この幅は運動のしやすさに依存するので、元素のダイナミクスのラフなダイナミクスを解析できる。それから温度を測定できるということがあります。これは元素の温度分布と元素分布です。こういう二重層の中に真ん中に銀が入っているもの、この全体にインジウムが入っていてというのを、これを合成してやるとこんな中性子ではかってこんな分布が見えます。それから、真ん中にヒーターを入れて温度を――これはインジウムではかったのかな──この幅を解析してやることによって温度分布を出せる。ただ、ちょっと測定の空間分解能が悪いので、温度分布はちょっとおかしいですけれども、大体、実際に沿ったような値が得られると、そんな状況になっています。

 北大はいろいろなことをやってきたんですけれども、一番最初は固体メタンをKENSに入れた。それから、ダイナ分光器というのがあって、準弾性・非弾性散乱の分布を取り入れたというのがあります。これは、今日お話ししていないです。

 その後からこの辺の話がありまして、今、パルス中性子イメージングが北大で始まりまして、それを今年からJ‐PARCで建設する。それから、小型中性子源に関してはイメージングだとかBNCTみたいなものもありますけれども、そういうのを日本や海外展開していくと、そういうことで動いています。

 なぜ小型中性子源が大事なのかということなんですけれども、非常に個人的な話ですけれども、当然、低強度の測定なので、いろいろな工夫がもう基本的に必要になっている。創意工夫が生まれやすい。大型中性子源でも、いろいろまだ不十分なところがありますけれども、高精度のいろいろな意味での高精度ができて、満腹まではいっていないですけれども、決まった装置でなかなか小回りがきかないということがあります。中・小型だと、萌芽的な研究ができる。それは、個人あるいは少数の考えで発想して、それを生かしていくことができる。大型施設の申請は大体多くの人が納得できるシナリオがないとうまく通らないということがある。それから、オンデマンド、要するにやりたいと思うことができる。これは産業界では特に重要かなと思っていますけれども、申請書を出して待ってやるのではなくて、すぐやりたいというときにできるという、そういうメリットがあります。それから、長期間の継続実験、間欠的でもいいんだけれども、何週間とか何カ月にわたる実験も可能性がある。それから、実験の自由度、アクセスの容易さ、そういうのがあります。それから、非常に重要なものの1つは、やっぱり教育とか人材育成、学生、院生、社会人も含めてですが、実際に物に触れて工夫をしながら、あるいは失敗をしながら研究・測定ができる。こういうことで人材育成に役に立つ。

 小型中性子源が今どうなっているかというと、アメリカにSNSがありまして、LENSがそれに同期するようにしてできました。日本では北大がありましたけれども、今は京都大学と理研で建設中です。それから、中国はChina Spallation Neutron Sourceというのを建設中でありますけれども、ある意味、独立でちょっと精華大学CPHS、これだけ書いていたんですけれども、北京大学でも高速中性子によるイメージングのための小型加速器中性子源を開発しています。あと、ESSをスウェーデンで作ろうとしていますが、それがスペインのビルバオに小さな加速器をつくろうとしている。こんな形でいろいろな小型と大型は相補的にやっているというか、助け合っている。昔の話をすると、ILLとJulichというのがあって、Julichで結構おもしろい中性子の分光器なども出てきて、IN10の原型はJulichだというようなことで、SNSに関してLENSと。これは北大とJ‐PARCの関係、KENSの関係というものを見てつくったもので、当然、強度はもうLENSは大幅にSNSより低いわけですけれども、小角散乱装置とか、反射率計、それからイメージングもやっていますけれども、そういうことをやっている。それから、これからSNSのセカンドターゲット用のパラ水素減速材実験とかやろうとしています。新しい減速材システムとか、減速材材料の断面積測定とか、小型中性子源ならではの色々な測定をやろうとしています。

 これはまだ絵の段階ですけれども、ESSがスウェーデンのLundに5メガワットというパワーでできる予定になっています。それに対して、ここの加速器テストとか、スペインでの中性子教育、それから中性子・プロトン応用ということで80キロワットぐらいのプロトン加速器がここで作られようとしています。

 精華大学はもう数年前に計画を始めたんですけれども、非常にもう早くて、これは精華大学のキャンパスをちょっと外れのところにChina Pulsed Hadron Sourceというのがありまして、建物ももうできている。Electron LinacとProton Linacが一緒に入っていると、そういう建物ができています。これは鳥瞰図ですけれども、中性子関係はここにターゲットステーションがありまして、まず、イメージングと小角散乱をやりましょうということで、かなりの部分は完成しているという状況です。ニュートロン強度としては1013ぐらいで、北大の1桁上ぐらいということです。

 日本では、京都大学で3.5MeVの加速器を使ってタンデムの加速器実験棟に入れて、まさに中性子を出すと、減速材を入れて実験をやろうとしている。これは教育とデバイス検出器開発とか、それからイメージング、小角散乱にちょっと工夫が必要かもしれませんけれども、それぐらいのことができるといいと考えています。それから、理研の話は結構大がかりにやろうとして、これは産業応用をかなり意識したもので、7MeVの加速器を持ってきて中性子源を作ろうということで動いています。小型陽子加速器を用いた中性子源を構築し、主にものづくり分野や企業の大学研究機関と協働で中性子イメージングに関する研究開発を行うということです。中性子は1012ぐらい出てきます。大体、北大と同じぐらいということです。

 これはシミュレーションの結果ですけれども、イメージングがありますけれども、こういうもののベースになるような透過画像をとろうというのがこの目的です。それで、自動車産業だとか航空産業、鉄鋼業、大型構造物分野、これは可搬型中性子源というものまでイメージしてこれから開発しようということです。いろいろな、まだ技術課題はあるわけですけれども、それを克服してやっていこうということです。

 最後になりますけれども、大型だけではなくて、小型中性子源が併存することの重要性がだんだん認識されてきているのかなと思っています。最近よく出てくる持続可能な社会とか、安全・安心な社会というものに対して、中性子科学がさらに貢献していくというときには、やっぱり常にもう既に役に立つ分野での利用の拡大と、それから潜在的にある応用分野の発掘とユーザーの拡大ということで、色々なところでより広く貢献していけるかなと。先ほど村上先生がおっしゃったのと似たような話で、そのためには中性子になじんだ人が必要で、装置を開発できる人、単にサンプルを持ってきて測定できるだけではなくて、装置を開発できる人が必要で、そのためには大型施設における最先端装置による実験体験も必要ですが、よりベースには、小型施設における基礎からの教育と種々の実験体験、そういうものが理想的だと思っています。

 ということで小型中性子源は中性子科学を支える基盤かなと思っていまして、現在、日本の活動グループとしてJCANSというのを作りまして、京大、理研、北大、KEK名古屋も入るのかな、というところで活動しています。それから、国際的にはUCANS、これはちょっと書いていませんけれども、そういうので活動が行われていますと、そういうことです。

【家主査】 

 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの御講演に何か質問等は。

【佐野委員】 

 東芝の佐野です。どうもありがとうございました。

 小型中性子源でもすばらしい研究がなされているというのは認識したんですけれども、ちょっと素人質問で申しわけないんですが、大型の施設と小型で違う一番の違いは、先ほど端的におっしゃった強度の違いということでよろしいのでしょうか。

【鬼柳氏】 

 中性子源としてはもう強度が桁違いに違うということです。装置的には、大型のほうはどちらかというと中性子回折の装置で決まったものが既に入ってしまっているというところだと思います。

【佐野委員】 

 例えば我々が利用させていただく場合、放射光ですと例えばSPring‐8とPFとでは大分エネルギーが違うので、その使い分けを考えるんですけれども、今の場合、例えばJ‐PARCとあるいはJRR‐3と加速器、また中性子源は、何かスペクトルだとかそういうのはあまり違いがないのでしょうか。

【鬼柳氏】 

 出てくるスペクトルは、ほとんど同じものは出せます。ただ、絶対値が低くなっているということがありますね。どうしても絶対値が少ないので、高精度の測定ができないために、さっきお見せしたひずみ測定で結晶子の細かいシフトみたいまでは見えないですね、小型では。ただ、組織構造に関するデータみたいなものは小型でも出せると思います。小型でちょっと見てみて面白そうだったら、大型へ持っていって見てみようか、そういうことが特に材料ですと、作ってみてどうかわからないというような状態でなかなか大型には持っていけないかなというところもありますので、そういうところを小型でどんどん利用してもらえればいいかなと思っています。

 それから、きょう紹介しなかったんですけれども、北大では小型で小角散乱をするという装置も古坂先生が開発されていまして、それも材料評価みたいなものにはそこそこ使えるというところまでは来ています。

【佐野委員】 

 ありがとうございました。

【家主査】 

 ほかにいかがでしょうか。この小型中性子源は予算規模としてはどのぐらいのものなんでしょうか。

【鬼柳氏】 

 北大は昔なので5億でできたんですけれどもね。建物を入れても10億かからないでしょうね。

【家主査】 

 よろしいでしょうか。

【井上委員】 

 さっき、X線との違いなどのことをおっしゃったんですけれども、今のお話にあったのは、大体、大学とか研究所の例ですよね。

【鬼柳氏】 

 はい。

【井上委員】 

 まだX線の場合はいわゆる企業とか色々なところで、もうものすごい既製品みたいなものが入っていますよね。だから、ちょっとずれがあると思うんです。

【鬼柳氏】 

 もう全くずれがあると思っています。

【井上委員】 

 だから、どんなものが良いかと言われたときも、大学でだったら、今のような強度が違うんだけれどもというようなことでいろいろ工夫して色々なことをやっておられると思うんですけれども、産業界で使われるようになったときは、目的はそれぞれあると思うんですよね。そのときに、そのスペックとして、そのエネルギーの話もあるかもしれませんけれども、強度の話もあるかもしれませんけれども、例えば時間構造の問題だとか、CWのほうがいいんだとか、パルスでもどのくらいのパルスがいいとか、繰り返しがどのくらいがいいとかというので、何か産業利用だったらこんなものというのがだんだんできてくるのでしょうか。

【鬼柳氏】 

 実際に今回、単純な絵をとるという話をお見せしなかったんですけれども、1012あるいは10乗ぐらいでも、ただ絵をとるだけだったら、ある程度のことはできます。それから、例えば企業、企業といっても、小さな企業は無理かもしれませんけれども、X線ほどは汎用にはならないですけれども、1011前後ぐらいの性能の装置を1台持って絵をとる、それから、連続よりはパルスで数十マイクロ秒位のパルス幅にしてもらえると、さっきお見せしたような結晶子のサイズだとかそんなものを見るぐらいのことはできるかと思っています。そんな大型でなくても、中性子源としてはオーケーというふうに思っています。

【家主査】 

 それでは、どうもありがとうございました。本日は資料3‐1、3‐2としてそれぞれ南波委員、それから佐野委員から御提供いただいております。それぞれ5分程度で御説明いただきたいと思いますけれども、3‐1につきましては、原子力機構量子ビーム応用研究部門の加倉井部門長から御説明をいただきたいと思います。

【加倉井氏】 

 それでは、量子ビーム基盤技術開発と展望ということで、量子ビーム研究所の加倉井が発表させていただきます。御存じのようにJAEA(原子力研究開発機構)は、さまざまな量子ビーム研究施設を持っておりまして、その中でも、既にお話がありましたように、東海地区に中性子源J‐PARC、それから3号炉、あるいは4号炉という中性子源を持っており、高崎量子応用研究所ではイオン照射研究施設TIARA、ガンマ線照射あるいは電子線照射施設というものを持って、それから木津地区では極短パルス大強度レーザーを用いた研究施設があり、研究開発が行われているということ、それから、播磨地区では、SPring‐8に回折装置あるいは実験装置を運営しているということがあります。皆さん御存じだと思うんですけれども、初代量子ビーム応用研究部門の部門長でおられた、ここにおられる加藤先生が、これらの施設を利用してこの量子ビームプラットフォームというものをぜひ先導的につくって、そういう概念を量子ビーム部門から発信されたと聞いております。それに向けて個々の量子ビーム施設でどのような基礎技術が開発されてこの量子ビームプラットフォームの構築に向けて我々が研究を行っているかということを本当に手短にお話ししたいと思います。1つ1つの施設を例に挙げてですけれども。

 それで、最初に中性子ビーム利用高度化基盤技術の話をいたしますけれども、これは幸いにこの基盤技術開発のプログラムの中で取り上げていただいて、特に中性子源研究技術の開発、あるいは集光技術の開発、それから検出技術の開発ということを全国の他の大学、北大、それから東北大、それからKEK、東大、それから京大を含めまして色々な要素技術の開発を行って、例えば集光技術ですと、ここに御覧になれるように集光ミラーというものを使って、幅広いビームを約10分の1に狭くする、集光することによって強度的にも10倍、1桁大きく得られる、そういう技術、例えば偏極技術ではJ‐PARCの白色中性子を偏極するのに不可欠なサンヘリウムフィルターというものを開発して、それによって既にヘリウム-3の核偏極率を70%まで精度を上げて実際に実験ができるようにして、この2つの例えば要素技術を組み合わせてJ‐PARCではこの反射率計によって偏極中性子のビーム量実験がこれから行われようというところまでこぎつけております。

 それから、先ほど鬼柳先生からもお話がありましたけれども、こういう検出器、いわゆるJ‐PARCでの時間分解能、それから空間分解能を究極に追求した検出技術、これは京大のμPICの例ですけれども、そういうものを使って実際に白色のビームを使ったイメージングというものの基礎が築かれて、実際に今、鬼柳先生のもとでイメージングビームラインのいわゆる設置がこれから提案されて実施されるということで、こういうイメージングの技術と例えば偏極技術とを合せますと、実際に物質の中の磁場の磁性体内部の磁区の構造というものを可視化できる、こういうような基盤技術から実際の応用例まで進展してきたということがあります。その先には、やはり例えばこれまでできた基礎基盤技術を利用して中性子部分のデータの三次元画像化というものがこれから重要になってくると思います。ここに1つの即発ガンマ線分析の、鬼柳先生も例に挙げられましたけれども、それのコンピュータトモグラフィーによってこれは一つの模範例として4期ガンマ線によってスキャンすることによって、カットビームでつくった三脚の足というもののトモグラフィーを実際に測定したという、そういうことが可能ですので、このような技術をこれからは中性子散乱、例えばディフラクションデータも一つの例ですけれども、特に今までやられていなかった散乱データとしての例えばPDF関数ですね。2体分布関数データというものを実際にコンピュータトモグラフィーで三次元化して、可視化する。それから、先ほど鬼柳先生のお話の中にもありましたけれども、残留応力分布というものもその三次元的に可視化することが可能になりますので、このJ‐PARCの利用による大量データの取得・蓄積をうまく利用して三次元画像化、それで視覚化による量子ビーム利用、データ活用の大幅な促進、これはいわゆる量子ビームの利用の普及にもつながると考えております。そういうような方向を目指していきたいと例えば中性子で考えております。

 高崎のイオンビームに関しましては、例えばイオンビームの高エネルギー化と利用、イオンビームは皆さん御存じのように、半導体耐放射線研究、あるいは重粒子線治療などに用いられておりますけれども、そこで今までの現在のエネルギー領域がある意味で加速できるイオンが限られていましたので、このような比較的500MeVぐらいまで限られていたんですけれども、これを原子量とか電荷を上げることによって、新しいイオン源を付加することによって非常に広いエネルギー領域の新しいイオン源を加速できるということで、これがまさにこれからの新しいイオンビーム育種、あるいはイオン穿孔膜の創製というものにつながって、あるいは半導体の耐放射線研究にもつながると思っています。この高崎研でのイオンビームの研究も、基礎基盤の研究のプログラムの中でこのビーム迅速切りかえ技術というものを開発しまして、任意にこれまでいろいろなビームを40分で切り替えてカクテルビーム加速、あるいはマイクロビームを形成するなど、これの技術の高度化というものを基盤技術の中で行ってまいりました。

 次に、これは兒玉先生の話の中にもありましたけれども、超高強度レーザーが作り出す新たな量子ビーム源ということで木津地区では、レーザーを利用して小型のイオンビーム源やkeV領域の小型アト秒のコヒーレントX線源などの開発を行っております。

 これはレーザー加速による小型イオンビーム源ですけれども、陽子を医療用に必要なエネルギー領域の100以上ですね、80から200MeVまでに加速するというような試みが行われていまして、実際に今まではそのフォイルを使ったターゲットを使ったもので50MeVぐらいまで加速ができているんですけれども、最近では確かクラスターターゲットを使う、分子のターゲットを利用することによって、このエネルギー領域が極端に上がったということで、この医療応用に必要なエネルギーの実現に向けて確実に進展を行っていくということで、従来よりも小型で安価なレーザー駆動の粒子線治療器の実現に向けて可能になってきたということが言えます。

 それから、相対的なプラズマから高調波を使って相対的プラズマを利用して300eV以上のアト秒のコヒーレントX線に成功しました。こういうものはまだ今、そんなに安定性よく取り出せるものではないので、この安定性を良くして高いエネルギーのコヒーレントX線の発生が可能、これはある意味で現在ではFEXLのようなSACLA等の大型施設のみでのコヒーレントX線の光源をある意味で小型化、実験室規模で実現できるということで、これも量子ビームの普及ということにつながる開発であると考えております。

 最後になりますけれども、播磨で行われている放射光を利用した研究としてコヒーレントX線の利用、それから特にXAFSを局所的なプローブとして使って、それをある意味で分散型X線吸収型に開発しまして、それで触媒機能の解明、あるいはこれを最終的には時間の変化というもの、時間分析というものを取り入れて、このような新しい触媒の開発に結びつける、あるいは放射光のメスバウワー・核散乱法を開発して非常に高エネルギー、neVのエネルギー分解能を持つ非弾性散乱の可能性というものを研究しております。一般的に非弾性散乱、共鳴散乱等の技術も開発しているということで、これは強相関係の研究、これは村上先生の話の中にもありましたけれども、そのような研究、あるいは触媒の発現機構の研究にこれから寄与していくと考えております。

 お話ししましたように、このように個々の量子ビームの普及とその相補利用というものを、ここにはちょっと簡単にこれまでに中性子と放射光の相補利用としてタンパク質の全原子構造解析、特に中性子が得意とする水分子、あるいは水素の位置というものを決めて全体像が見える、あるいは、先ほどお話ししたイオン源を使って新しい膜を創製して、それを実際に中性子で例えばそれが燃料電池の薄膜として使われる場合に、その中に水の分布がどうあるかということを測定する、このような相補利用、あるいは残留応力に関しましては、中性子、放射光の両方を使って残留応力の測定を行って、これは先ほどお話ししましたように中性子のイメージングを使いますと、ほんとうに三次元的な残留応力というものは、鬼柳先生がお話しになったようなブラッグエッジのトランスミッションを利用しますと、そういうことができるようになるということで、このような相補利用を通して我々の量子ビーム部門としては量子ビームプラットフォームの構築にこれからも貢献していきたいと考えております。

 以上です。

【家主査】 

 どうもありがとうございました。短い時間で申しわけございません。JAEAで取り組まれているいろいろな量子ビームの開発、それから、相補利用の例というものを御紹介いただきましたけれども、ただいまの御講演に何か御質問等いかがでしょうか。もしこの時点で特になければ、もうおひと方、どうぞ、お願いします。

【加藤委員】 

 これに関係しているかどうかわからないのですが、前回、南波委員のほうでシミュレーションの活用が重要ということをおっしゃられたのですが、シミュレーションといっても非常に範囲が広いので、どういうようなことを。

【加倉井氏】 

 おっしゃるとおり、シミュレーションの部分のところは大変範囲が広くて、1つはここのところで例で言いますと、この4ページ目のところですね。いわゆるデータ・アクイジション、それから、それの画像化、そういった部分の場所は、コンピュータ関係の部分の1つの大きい点だと思います。それから、いまひとつシミュレーションという形ですと、例えばSACLA等の例で言いますと、非常に短い時間の部分のところで実際の計測をする。ただ、その前の段階であらかじめコンピュータシミュレーション等を行ってやる。さらに、この光量子等の例で言いますと、今現在やっております例えばこのレーザー加速の部分のところであるとか、そういったところは、実際の実験データよりも前に、まずシミュレーションの部分のところをやって、この辺が可能である、そういったことを確認してやっていく。今現在では逆にシミュレーションのほうが先行している状況にあります。

 その右側にありますところの相対論的なプラズマ効果の部分のところにしても、今、シミュレーションで予測はされていたけれども、分からなかった、それが今、実験的に出始めているという状況であります。つまり、実験を先導するためのシミュレーションの部分と、それからデータ・アクイジション並びにデータ整理の部分のところでコンピュータの部分のところを使っていく、この2点がより広範な形での量子ビームプラットフォームに貢献するところになるではないかと考えております。

【加藤委員】 

 ありがとうございます。

【家主査】 

 よろしいでしょうか。それでは、加倉井先生、どうもありがとうございました。

 それでは、もう一つ、資料の3‐2、佐野委員からの「期待」ということでお話をいただきます。

【佐野委員】 

 資料はお手元にあるままでございますので、この場所でよろしいでしょうか。

 それでは、御説明させていただきます。

 産業界から見た「光・量子ビーム施設に対する期待」ということで、私の考え、それから東芝、あるいは産業界を推し量って少しまとめてまいりました。5つぐらいに分けてございます。皆さん御存じのことが多いと思いますので、手短に申し上げたいと思います。

 まず「産業界の状況」なんですけれども、御存じのとおり非常に厳しい状況にございます。先端基礎科学分野の成果を取り込んで技術や製品に高い付加価値を与え、雇用と生産を死守することが必要であるというふうに考えております。

 少し下のほうに行きまして、近年ですけれども、必ずしもその投資が企業の業績に結びついていない不透明感が我々としては持っております。以前は、90年代あるいは2000年ころまでは、企業の投資が、そのまま業績なり商品という形でうまく結びついていたと考えているんですが、なかなかそこら辺が今は難しい状況になっていると思っています。これは、我々の努力が一つは足りないと思うんですけれども、非常に難しいグローバルな世の中になってきたというのが一つの原因かと思っています。

 「将来への投資」のところですけれども、やはり今、我々、資源がない日本にあって、やっぱり科学技術、それから人材、それが非常に重要だと思っていまして、今後とも特に大型施設に関しては、国のサポートといいますか、投資が継続して必要だと考えている次第でございます。

 その下に少し下へ行きまして、そういって必ずしも、当然、我々産業界も努力しなくてはいけなくて、ただ、最先端の大型施設に関しましては、投資も非常に大きくなりますので、やはり国がサポートしていただいて、その中で我々がその成果を利用させて生み出してきた利潤は、税金なり雇用で国民に還元するようなスキームが生まれれば、非常に望ましいのではないかと考えています。

 その下の「人材育成」のところですけれども、今まで国に投資していただいた施設の建設等を通して、我々、端的に言えば東芝はその中で人材の育成がうまくできていたと考えています。最近は小型装置もいろいろ建設がいろいろなところでありまして、大型装置で非常に厳しい仕様を先生方に御指導いただいてつくってきた経験というものが小型装置の競争力向上にうまくつながっていると考えている次第です。

 ページをめくっていただきますと、その次のところですが、「建設・運転で得た技術の展開」ということなんですが、その一例ですが、重粒子線治療装置でございますが、これは放医研さんに御指導いただいて、直接そのシステムとしてはやらせていただいているわけですけれども、そのほかには当然SPring‐8ですとか、J‐PARC、SACLAの建設などでいろいろ要素技術を開発させていただいております。それらの要素技術を、我々、システムメーカーとしてインテグレーションすることによって、競争力のある重粒子線医療装置等を提供できるようになってきている、なりつつあるというふうに考えています。例えばちょっと資料には書いてございませんが、世界で大体10社ぐらいこういう医療用のシステムが提供できるところがあるかと思いますが、そのうち、5社ぐらいが日本です。これは、やはり今まで国の投資ですとか、先生方の御指導、そこら辺による我々の人材育成とがうまくかみ合ってきたのではないかと考えております。

 その下でございますが、きょうお話がございました加速器駆動の小型中性子源、このあたりは非常に我々も期待をしているところでございまして、やはり中性子、今、JRR‐3でも成果非公開がどんどん増えています。そういったことでニーズは非常に大きいと考えていまして、小型中性子源が実現して、さらに身近に使えるようになれば、産業競争力はさらにつくものだと考えています。

 レーザー装置の話なんですが、きょう、兒玉先生のお話もございましたけれども、一つの魅力的なアイテムとして考えていますのが、やはり新物質の創成ということで考えています。スーパーダイアモンドの話ですとか、固体金属水素、これは産業の形態を大きく変える可能性を秘めているのではないかと思っています。

 「産業界による施設利用」について一言申し上げますと、今まで我々はSPring‐8をはじめとしていろいろな施設を、東芝の場合ですと10年を超えるぐらい使わせていただいておりますけれども、いろいろな意味で非常に大きな成果が出ております。例えばということで書いてございますが、触媒ですとか、電池関係、それから内部の残留応力ひずみの測定、これは主にJRR‐3等でございますが、構造物の長寿命化という、非常にいい成果が出ているということでございます。

 これ以外にもいろいろなメモリー関係の開発ですとか、光ディスクの開発等もいろいろやらせていただいております。やはり、こういった開発を行っていく上で、国内に施設があるのは非常に重要だと考えておりまして、やはり地の利というんでしょうか、足しげく通って実験をする、それから、さらにそれが発展して性能の良い小型施設ができれば、それを身近に使うことができるということで、非常に産業界にとってはありがたいのではないかと思っております。

 それから、利用形態もいろいろあるかと思っておりまして、SPring‐8等では、非常に大きな工夫をしていただいている次第ですが、例えば産業利用ですと、年に4回募集がございますので、タイムリーな実験ができていると。ただ、それは逆の意味で言うと年に4回しかないということで、なかなか難しいところではあるんですが、大型施設を使う上では注目していただいていると考えています。さらには別の意味では、XAFSなどは既に郵送で測定するシステムを始めていただいていますので、そういった重層的なといいますか、いろいろなパスを使って施設が使えるのは非常に重要だと考えています。

 一つ、最初の第1回のときに話が出ていましたけれども、我々、東芝ですとか大きな会社は、自分のところでパスを使う人材はいると思うんですけれども、やはり優秀な技術を持った中小の会社等はなかなかそうはいかないので、トライアルユースなり情報の提供形態をもう少し考えていただけてもいいのではないかと思っております。

 以上ですが、やはり一つ最後につけ加えさせていただきますと、我々、企業の技術者が大型施設を使わせていただくということの一つの非常に大きな利点は、そこの非常に優秀な研究者ですね、施設の研究者、それから大学の研究者が集っているところで一緒になって一つのことを検討させていただくことができる、そこで我々、非常に育っているのではないか。企業の競争力のアップに直接は表われなくても、ボトムアップに非常に大きな助けになっていると感じております。我々の希望としましては、継続してこういった最先端施設の建設を続けていただくといいますか、新しい魅力のあるものの建設を続けていただくと、それから我々が使ういろいろなパスを用意していただくのが非常に重要だと思っております。

 今日、村上先生からもお話がございましたけれども、プラットフォームで相補利用というお話がございましたけれども、一つの新しい視点としましては、きょう吉澤先生からお話がございましたね、同時に使うということで、兒玉先生のレーザーとX線、それから辛先生のお話、そこら辺は非常にこれから先を占うといいますか、先の技術を、新しい技術を生み出す何かキーワードではないかと感じました。以上でございます。

【家主査】 

 どうもありがとうございます。産業界から見たニーズと、それから期待を述べていただきました。

 どうぞ。

【村上委員】 

 大型の施設の利用ということに関して、産業界からは、ある意味、非常に役に立っているというお話をしていただいたのですが、ちょっと聞きにくいことではありますが、逆にこういうところがもっとこうなっていったらいいというようなポイントが何点かあるのではないかと想像するのですが、ちょっと率直におっしゃっていただければありがたいと思うんですが。

【佐野委員】 

 先ほども出ていたと思いますけれども、やはり我々素人が大型装置を使う場合に、インストラクション的なところというのでしょうか、どこを使ったらいいかというのはなかなかよく分からないところがございます。先ほどのプラットフォームというお話もございましたけれども、例えば最近はSPring‐8にお話をしても、いやこれはPFを使ったほうがいいですよとか、あるいは、普通のX線のほうがいいですよというお話をしていただけるようになってきていますので、そこら辺はある程度改善されていると思うんですけれども、例えば中性子とX線、それから今のミュオン、多分、ミュオンは非常に面白いことができると思うんですが、そこら辺までなかなか、例えば産業利用推進室ですとかコーディネーターの方がなかなかうまくアドバイスしてくださっているかどうかは、ちょっとそこはもう少し改善の余地があるかなと思います。

【村上委員】 

 ありがとうございます。

【家主査】 

 サイエンティフィックなコンシェルジュがいるといいという感じですね。

【五神委員】 

 ちょっと人材育成のことでここに書かれていることで、大型施設の建設は総合的なシステム技術と。そこが日本は人材を含めて優位性を保っているというふうに書いていただいているんですけれども、我々、人材育成を担当している者からしたときに、そういう複雑な総合システムは日本の光学の中でむしろちょっと弱い分野ではないかという議論が相当最近は高まっています。むしろそういう比較的大規模なものの技術で国際的優位性があるということであれば、こういうビームを出すような装置は輸出産業になるというポテンシャルを持っているという点で重要だろうと思っているんですけれども、その辺の実情というか、実際、ちょっと補足をいただきたいと思いました。

【佐野委員】 

 もしかしますと、少し言い過ぎ、書き過ぎだったかもしれないのですが、ただ、例えば我々の例で言いますと、オーストラリアにシンクロトロン装置を建設させていただきましたし、最近ですと、これは国内ですけれども名古屋に、今、建設させていただいております。それから、横浜の医療施設、重粒子線の医療装置も建設することが決まりましたので、そういった意味である程度は海外に、それからあと検出器のシステムですとか、超電導マグネット等も海外からお話をいただいていますので、そういった意味では競争力が出ているだろうと思っております。

【五神委員】 

 もしそういうことだとすると、ここの本日の議論させていただいた部分は、むしろそういうものの装置を享受する側の立場で、しかし、そこが一部、村上先生の話などにもありましたけれども、高度なものを建設するということと双方向であることによって、日本の強い分野である人材育成の輸出技術になる部分をさらに強化するというのが施策としても意味があるのではないかと思いました。

【家主査】 

 いろいろ御議論をありがとうございました。座長の不手際で大分時間が押してまいりましたけれども、本日の議題の(3)として、今日いただいたプレゼンテーションを踏まえまして、今後の光・量子ビーム研究開発の推進方策について、資料の1‐2、これまでの御意見、それから前回の資料で示されたいろいろな検討の視点を踏まえまして、事務局で資料4として報告書の骨子(案)をまとめていただいております。これについて、事務局から御説明をいただければと思います。よろしくお願いします。

【阿部補佐】 

 お手元の資料4を御覧ください。

 資料1‐2でこれまでの御意見等をまとめさせていただいておりますけれども、それらと前回、柱を検討させていただいたものを、それぞれ分類して記載しております。項目としては前回挙げさせていただいた項目を四角で示しております。それから、中身については、「現状と課題」と「推進方策の方向性」ということで皆様方からいただきました御意見を分類して記載しております。資料1‐2に書いてあることがそれぞれ書いてありますので、説明は省略させていただきますけれども、特に漏れている観点とか、「推進方策の方向性」についてはこれから中身の検討として重要になってくるかと思いますので、そのあたりについて特に御意見をいただければと事務局では考えております。以上です。

【家主査】 

 今日、これについて少し意見交換をさせていただこうと思っていたところですけれども、大分時間が押してまいりました。ざっと御覧いただいて、どうしてもここで御発言があれば、承りたいと思いますし、もし御意見、メール等でお寄せいただければ、次回の審議に反映させていただきたいと思います。 それで、今後の予定につきまして、資料5を御覧ください。今回が第3回目ですけれども、もくろみといたしましては、次回あたりから報告書(案)の取りまとめという方向に進みたいと考えております。限られた時間での検討でありますので、本日の議論を踏まえまして、事務局と私のほうでこの骨子(案)に沿った形で報告書の素案をまとめさせていただきまして、委員の皆様に照会して、御意見、御提案を提出いただいた上で、次回に報告書(案)という形で検討を進めたいと思います。今日この場での御発言があれば承りますし、それから、この報告書骨子(案)をお帰りになって御覧になって、ここはこうすべきだというような御意見がありましたら、事前にメール等でいただいていると、その報告書の案のまとめに反映できるかと思います。そういう形でよろしいでしょうか。

【加藤委員】 

 この施設、いろいろなSPring‐8とかJ‐PARCとかいろいろな施設がありますが、それで今回はその施設の現状というか、そういうようなところが全体のプログラムの中に入っていないんですが、いろいろユーザー側の意見が出て、それでこういうふうにしたほうがいいというのはいっぱい出ているんですが、施設の現状がどうかというのは、もう皆さん御存じだから特に言わなくても良いとするのか、あるいは、それを踏まえてやはりこういう検討をしたということにするのか、その辺の関係がちょっと分かりにくいんですけれども。

【家主査】 

 そうですね。それに関係するかと思いますけれども、参考資料の1と、それから一番後ろについているかと思いますけれども、机上資料1があります。

 以前の報告書でもこのようなポテンシャルマップが示されていたということでありますので、今回は量子ビームのほうも含めてこのような形でまとめて、その施設のいろいろなところでの取り組みとか、そういう現状をこういう形で反映してはいかがかというようになっておりますけれども、何かもし御提案があれば。

【加藤委員】 

 プラットフォーム委員会のほうで多分そういう施設側の話はいろいろ議論されているのかなと思うのですが、本来であれば、いろいろな施設があって、その現状がどうで、何が課題で、それに対して、ここは主としてユーザー側が多いんですけれども、こういうふうにしていくのがいいと、そういうふうに展開するのがいいかと思うんですけれども。

【家主査】 

 その辺の議論の切り分けはいかがでしょうか。

【原室長】 

 先ほど吉澤先生からお話ししていただきましたけれども、これの作業部会と並行してプラットフォーム委員会というのがありまして、プラットフォーム委員会のほうでは量子ビーム施設だけではなくて、先ほどちょっとお話しいただきましたナノテクノロジーとか、ライフサイエンスとか、そういうものも含めて我が国の研究開発のプラットフォームを今後どう構築していくかというような議論をしていただいているところです。

 例えば、その施設に共通するような使い方の改善ですとか、一元利用、ワンストップサービスみたいなものをどうするかといったようなものは、専らプラットフォーム委員会で議論していただくのが、議論の重複を避けるという意味ではよろしかろうかなと事務局のほうでは考えています。ただ、量子ビームに閉じた中性子と放射光の相補利用とか、あるいはレーザーも含めてどういう使い方をしていくのかという量子ビーム施設だけに閉じたような話については、こちらからむしろプラットフォーム委員会のほうに打ち込んでいくということも考えられますので、施設の現状を一から分析して作業をするというのは、なかなか大変だと思いますけれども、そういう施設があるということを前提に、使い方の改善の案とかプラットフォームを、特に量子ビーム施設に限って言えばどういう改善策があるのかというようなことは報告書に記述していただくのはいいかなとは思いますけれども。

【加藤委員】 

 では、大体そういうことで。

【原室長】 

 ちょっと報告書はなかなか概念的な説明をしても分かりにかろうと思いますので、報告書の案なりを見ていただいた上で、必要な部分があればコメントいただければ直したいということですね。

【家主査】 

 そうですね、多分、報告書素案のもう少し形になったものを御覧いただいた上で、ここにこういうことを書き込んだらいいのではないかと、そういう御意見をどんどん入れていただければと思います。

【五神委員】 

 初回のときにも議論させていただいたんですけれども、そもそもこの光・量子ビームというのは、我々の光のほうは10年事業のうちの中間点、それから量子ビームのほうは一応5年で切ってやって次に向かう。それを一応バンドルした形で、前半、予算が動いているということがあって、それを相補的に連携しながらどう発展させていくかということでこの検討会があると思うんですけれども、今までの議論の中でお聞きしますと、それぞれ、方向性が連携することによって相乗効果のある部分と、やはりそれぞれの視点できちんと言わなければいけないということが両方あるように、今日の議論などを聞いていてもそういうふうに感じましたので、そこのところがやっぱりいろいろ施策としても選択肢が残るような形での書きぶりにしておいていただくことが、ここの議論を正しく反映していただけるのではないかと思います。

 それで、あと、今日は佐野委員が出していただいた産業界、あるいは日本という国の成長というものに向かって、ここで議論したことがどうプラスになるのかということについて、やはりきちんとした我々のこの委員会での議論を反映させるようなものが必要だと思っていまして、そのときに、日本の成長の方向についてかなり幅広なターゲットを用意しておかないと、どういうもので例えば日本の成長があり得るかという、日本のGDPを何が将来支えるかということについては、絞り込み過ぎると非常に選択肢も狭まってしまうので、しかし、その成長に資するような議論はたくさんあったと思うので、そこを取り込んでいただきたいと思います。

【家主査】 

 ありがとうございました。大事な御指摘だと思います。

 それから、今日の資料の最後のところにこういう机上配付2というイメージ図がありますけれども、これが光・量子ビーム研究開発の方向性のイメージ図のたたき台のようなものですけれども、もし御異存がなければ、こちらも報告書素案とあわせてこれをブラッシュアップした形のものを付けさせていただいて、またいろいろ御意見をいただきたいと思っておりますけれども、そういう形で進めさせていただいてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。

 それでは、ちょっと本当に今日は熱の入ったプレゼンテーションを聞きましたので、時間が超過してしまいまして申しわけございません。

 今後の予定について、事務局から御紹介をお願いします。

【阿部補佐】 

 本日の議事録、報告書素案、それから今御覧いただきましたポテンシャルマップ等々につきましては、後日照会させていただきますので、御協力のほどをよろしくお願いいたします。それから資料につきましては、前回同様、机上に封筒に入れていただいてお名前を書いていただければ、そのまま郵送させていただきますので、置いておいていただければと思います。 次回につきましては、5月29日火曜日16時からを予定しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【家主査】 

 それでは、どうもありがとうございました。

 

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研究振興局基盤研究課量子放射線研究推進室

(研究振興局基盤研究課量子放射線研究推進室)