先端計測分析技術・機器開発プログラム 平成25年度のプログラム実施の重要事項

平成24年8月24日
科学技術・学術審議会 先端研究基盤部会 研究開発プラットフォーム委員会 先端計測分析技術・機器開発小委員会

【平成25年度概算要求の重要事項】

平成25年度のプログラム実施にあたって、以下の取組を実施することが求められる。

  1. 日本再生戦略(平成24年7月閣議決定)や第4期科学技術基本計画等を踏まえ、新規公募においては、「グリーンイノベーション」「ライフイノベーション」「震災・原発事故からの復興・再生」に貢献するためのターゲット指向型の研究開発を一層重視する。
     
  2. 重点開発領域として新たに「ライフイノベーション」領域を設定する。当該領域の推進のために、JST推進委員会の下にライフイノベーション領域分科会を設置する。当該分科会が扱う領域全体を俯瞰できる領域総括を置き、計測分析の専門家のみならず、ユーザー側の専門家、特に医師をはじめとする医療従事者に分科会への参画を求めることにより、医工連携の体制で、医療現場や国民からの開発要求に確実に応えることのできる効果的・効率的な取組を推進する。
     
  3. ライフイノベーション領域においては、医療イノベーション5か年戦略等からの要請を踏まえ、革新的な診断技術・機器等の開発に最重点を置く。
    • ライフイノベーションに貢献する診断技術・機器等について、二つのカテゴリーにおいて、それぞれ異なる役割を有する技術・機器・システムの開発を進める。
      1. すでに同定されているターゲット(診断マーカー)を、患者にとって負担が軽く、医師等にとって扱いやすく正確に測定できる診断機器・システムの開発。医療現場の要請に応える機器・システムを開発し、現場での確実な利用と国内外の市場の獲得につなげていく。
      2. 将来の診断の高度化につながる未知のターゲットを探索・解明するための、オンリーワン・ナンバーワンの革新的な計測分析技術・機器の開発。開発された技術・機器は、生命システムと各種疾病の本態解明や、新しいターゲットの探索・発見と同定のための研究に利用され、研究成果創出に貢献していく。
    • これらはいずれも、要素技術タイプ、機器開発タイプ、プロトタイプ実証・実用化タイプの各フェーズを設けて必要な開発取組を行うこととする。なお、両者の達成目標の違いについて、公募審査及び評価の視点に確実に反映していく。
    • 開発対象とする疾病については、今後重点的に取り組むべきものを明確化していくことが不可欠である。このため、JSTにおいては、ライフイノベーション領域分科会を本年秋頃までに速やかに設置し、当該分科会において、本プログラムで開発中の取組を俯瞰・分析した上で、他府省を含めた関連事業との関係性に留意しつつ、ワークショップを開催しながら、開発対象の重点化作業を進めていく。
  1. グリーンイノベーション領域に関しては、この2年間、太陽光発電、蓄電池、燃料電池の飛躍的な性能向上と低コスト化を目的とした「異相界面におけるパワーフロー現象解明のための計測技術」に開発ターゲットを絞り込んでいるが、当該技術の開発に引き続き重点を置きつつ、今後分科会を中心に、ワークショップを活用しながら、日本再生戦略等に明記されたグリーンイノベーションへの貢献に必要となる更なる課題を抽出し、新規公募の実施につなげていく。
     
  2. 放射線計測領域に関しては、分科会を中心に、平成24年度に採択した開発課題を踏まえつつ、被災地現場や行政等からの新たな測定ニーズを取り入れた上で、開発ターゲットを更新、明確化し、新規公募の実施につなげていく。
     
  3. 研究開発成果の普及・促進のための取組は重要であり、引き続き推進する。
    • 利用者ニーズの高い優れた機器(プロトタイプ機)について、有力なユーザーの利用に供した上で機器の高度化、標準化を行い、広く産学官に共用可能な状態まで仕上げていくための取組を実施する。
    • ソフトウェア開発タイプにおける開発成果を普及促進させるための取組を実施する。
  1. ソフトウェア開発タイプについては、当該開発タイプ単独で公募採択を実施するのではなく、要素技術タイプ、機器開発タイプ、プロトタイプ実証・実用化タイプそれぞれの開発フェーズにおいて、社会ニーズを踏まえたシステム化の取組を併せて実施することが重要であり、今後、JSTの推進委員会を中心に、公募要件等に関する更なる検討を実施していく。
     
  2. グリーンイノベーション及びライフイノベーションに貢献する開発課題の公募採択は、例えば、ユーザー側との連携が不可欠となる最重点課題は領域別分科会、それ以外は総合評価分科会が担うといったように、各分科会が適切な役割分担の下で実施していく。

 

【研究開発プラットフォーム構築に向けた重要事項】

 研究開発プラットフォームの構築に向けて、以下の取組を実施、検討することが求められる。

  1. 本プログラムで開発された機器・システムのプラットフォーム化を引き続き進めていく。
    • JSTにおいて、これまで開発された機器等の性能情報、関連する研究成果、機器の利用状況等を外部から検索・一覧できるデータベース作成を早急に進める。
    • JSTは文部科学省をはじめ関係者と協力して、重点開発領域毎にワークショップを開催し、その成果を、分科会における開発ターゲットの抽出や、評価指標の検討等につなげていく。
  1. 本プログラムで開発された機器・システムが、国の重要な研究開発プロジェクトで利用されることや、共用施設・設備の高度化に有効活用されることが望ましく、今後、これらの連携のために必要となる取組の検討を、小委員会は、研究開発プラットフォーム委員会とも連携しながら実施していく。
     
  2. 研究者が公募型研究費等で研究機器を調達する際に、国内の研究者又は国内企業が開発した機器ではなく、海外企業が開発した機器を整備導入するケースが増加してきており、その他の様々な要因も組み合わさり、我が国の国内メーカーの産業競争力の低下につながっている状況にある。このような状況を打破するための要因分析と具体的取組の検討を、小委員会は、研究開発プラットフォーム委員会とも連携しながら実施していく。

(別紙)

科学技術・学術審議会 先端研究基盤部会 研究開発プラットフォーム委員会
先端計測分析技術・機器開発小委員会 委員名簿

平成23年6月29日現在

(臨時委員)

主査

二瓶 好正

東京理科大学特別顧問

 

長我部 信行

株式会社日立製作所中央研究所所長

(専門委員)

 

石田 英之

前株式会社東レリサーチセンター常任顧問

 

江原 直行

応用光研工業株式会社代表取締役社長

 

大島 忠平

早稲田大学理工学術院教授

 

小原 満穂

独立行政法人科学技術振興機構理事

 

近藤 豊

東京大学大学院理学系研究科教授

 

佐藤 了平

大阪大学大学院工学研究科教授

 

菅野 純夫

東京大学大学院新領域創成科学研究科教授

 

杉浦 康夫

愛知県心身障害者コロニー総長

 

杉山 昌章

新日本製鐵株式会社技術開発本部技術開発企画部部長、
先端技術研究所解析科学研究部主幹研究員

 

竹内 孝江

奈良女子大学理学部准教授

 

田中 耕一

株式会社島津製作所フェロー

 

玉田  薫

九州大学先導物質化学研究所教授

 

中村 志保

株式会社東芝研究開発センター
記憶材料・デバイスラボラトリー研究主幹

 

原 清明 

株式会社堀場製作所執行役員

 

松尾 由賀利

独立行政法人理化学研究所先任研究員

 

森川 智

ヤマト科学株式会社代表取締役社長

 

山科 正平

北里大学名誉教授

(敬称略、50音順)

 

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研究振興局基盤研究課