研究開発プラットフォーム委員会 先端計測分析技術・機器開発小委員会(第6回) 議事録

1.日時

平成24年8月24日(金曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省16F特別会議室

3.議題

  1. 平成25年度のプログラム実施の重要事項について
  2. その他

4.出席者

委員

二瓶主査、石田委員、江原委員、大島委員、近藤委員、佐藤委員、菅野委員、杉浦委員、杉山委員、竹内委員、田中委員、松尾委員、森川委員、山科委員

文部科学省

森本大臣官房審議官(研究振興局担当)、菱山振興企画課長、柿田基盤研究課長、立元基盤研究課総括係長

オブザーバー

籔内経済産業省知的基盤課長、市川JST先端計測分析技術推進委員会総合評価分科会長、澤田JST開発総括、久保JST先端計測室長、児山JST先端計測室副調査役、佐藤JST研究開発戦略センター(CRDS)フェロー、福田JST研究開発戦略センター(CRDS)フェロー

5.議事録

【二瓶主査】  それでは、定刻になりましたので、本日の委員会、先端計測分析技術・機器開発小委員会の第6回でございます。始めさせていただきたいと思います。
 本日は、議題といたしまして、「平成25年度のプログラム実施の重要事項について」を予定しております。
 それでは、事務局から配付資料等の確認をお願いいたします。

○立元基盤研究課総括係長より、出席者の紹介と配付資料の確認があった。

【二瓶主査】  それでは、議題1の「平成25年度のプログラム実施の重要事項について」に入らせていただきます。
 前回お知らせいたしましたとおり、この小委員会のもとにタスクフォースを設置しまして、7月以降、これまで3回にわたって、主として平成25年度から取り組むべき研究開発の在り方について、集中的な検討をさせていただいております。その結果を重要事項のたたき台として本日提示させていただいております。本日、皆様から御意見をいただき、必要な修正を行った上で、小委員会決定としたいと考えております。
 それでは、事務局よりタスクフォースにおける検討の経過も含めて、資料の説明をお願いいたします。

○立元基盤研究課総括係長より、資料2-1に基づき説明があった。

○児山JST先端計測室副調査役より、資料2-2、2-3に基づき説明があった。

○柿田基盤研究課長より、資料2-4、3に基づき説明があった。

【二瓶主査】  ただいま資料2-1から資料3にわたって御説明いただきました。まず、前半のJSTの先端計測室でおまとめになった文章に関する質問、御意見を承って、その後に資料3にかかわる概算要求の重要事項、さらには研究開発プラットフォーム構築に向けた重要事項、その項目についての議論をしたいと思います。
 初めの資料2-2、2-3について御質問、資料2-1はタスクフォースの審議状況の御報告でございますので、御質問、御意見いただければ幸いです。いかがでございましょう。
 どうぞ。

【石田委員】  資料2-3ですけれども、児山さんから非常に力強いお話がありましたインプットとアウトプットの比較で、23年度の売上高が75億円ぐらいですか。予想を上回っているということで、非常にすばらしいと思うんですけれども、例えば23年の例でいいんですけれども、左側の中で売り上げのトップの3つはどのくらいの金額かというのはわかりますでしょうか。

【児山副調査役】  実は一番売れていますのが、製品化時期が一番早い18年度の一番上にありますものです。これが売上高が一番高くなって、トプコンの眼科診断用の機器です。高速フーリエ光レーダー顕微鏡になるかと思います。
 その次がやはり眼科系ですが、平成21年度の下から2番目、3次元前眼部OCT、こちらになろうかと思います。
 3つ目が、23年度のものは売れ出したばかりなので、これはそんなには出ていないんですが、そこそこ大きいものといいますと、おそらく19年度の下から2つ目、ニコンの研究用倒立顕微鏡というところかなと思います。
 ただ、トータルとしては前の2つが圧倒的に大きいという状況です。

【二瓶主査】  今のやりとりですけれども、この売上高というのは、まさに市場でその装置が売れたという金額の合計ということですか。

【児山副調査役】  はい。実際に市場に出て売れた金額を御報告いただいております。

【二瓶主査】  ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

【田中委員】  先に言われてしまったんですが、インプットとアウトプットのところ、こういったグラフを作ること自身が、多分、文部科学省では画期的じゃないかなと思います。こういうことを実際数値として出していただくことが、私たちがこういうプロジェクトをやってきて、これだけお金をつぎ込んだのにどうなんだというふうに言われたときの非常によい資料として挙げられると思いますし、これはあくまで1つの切り口であって、そういう製品が売れただけでなく、科学に関する例えば若手が育つとか、そういったこともありますので、逆にこれを出し過ぎるとまずいかなという気もします。
 それと、資料3のところに書かれている3ページ目の2です。国の重要な研究開発プロジェクトで利用されることとありますが、私も実際に使わせていただいています。最先端研究開発プロジェクトでこの顕微鏡を使っておりまして、9月の学会でもこの顕微鏡を使って得られた研究成果を発表いたします。

【二瓶主査】  田中先生の成果が、今朝の新聞に載っていましたね。

【田中委員】  今朝の新聞に掲載されたのは、いま申し上げたものとは別件でございます。

【二瓶主査】  ほかにいかがでしょうか。
 資料2-2に出ておりました放射線計測の関連ですが、これも今朝の新聞に大分載っていましたけれども、お米の玄米の全袋検査ですね。新聞にはメーカー2社と書いてあったように思うんですが、あれはどこですか。

【田中委員】  すみません。1社は島津です。

【児山副調査役】  今、田中先生がお話になったように、1社は島津製作所、もう1社は富士電機ですが、本事業で開発を行う検査機器はお米だけを対象としたものではないんですけれども、プレス発表されたものはまずお米に使うということで、受注生産を開始しているという報告になっております。

【二瓶主査】  あれはそれこそ名目上というか、御事業においては4月開始のプログラムだったと思いますが、いずれもそれぞれの会社の自己努力プラス本事業によるさらなる開発成果、前から10月以降と我々は考えていたんですが、実際は今朝の新聞にありましたように、早場米の出荷に間に合わせるというんで、9月に測ってほしいという要望が現地からあったんですね。結局それに間に合ったというふうに理解していいですか。

【児山副調査役】  はい。

【二瓶主査】  かなりチャレンジングであった1年物の開発が、ただいま御紹介申し上げたように、一部成果が上がって、既に現地の農協レベルの出荷検査に使われるという状況になっております。
 ほかに何かございますでしょうか。
 どうぞ。

【児山副調査役】  放射線計測の製品化の関係で補足をさせていただきますが、いま申し上げた富士電機の米の放射線計測機器以外にも、短期型で採択されました日立コンシューマエレクトロニクスのガンマカメラが、福島県内の企業が仲介となって、実際に除染の現場で使われているという報告が出ております。

【田中委員】  それはどこから線量が出ているかを、いわば可視化するための装置でしょうか。

【児山副調査役】  はい。イメージング装置でございます。

【二瓶主査】  ありがとうございました。
 それから、私からもう一つ、放射線計測絡みでお尋ねしたかったのは、資料2-2の3ページの中段辺りにありますゲルマニウム半導体型検出器を超える革新的機器の開発を検討すると、こうありますが、今年の採択の審査会で議論があったと思うんですが、確かにゲルマニウム半導体型検出器を超えるものがダイレクトに現時点では採択されていませんね。しかしながら、簡単に議論を御紹介しますと、有望な装置開発が日本の3カ所ぐらいで並行して行われているという状況です。それぞれ一つ一つの単位で見ると、必ずしもその1本で完成まで行けるかどうかが疑問であるという議論がありましたけれども、そういうものをオールジャパンできちっとやるべきということを申し上げたいんですけれども、例えば「検討する」という内容にはそういうことを含んでおりますか。
 要するに、実用化と直近で成果を上げるというタイプの研究は、必ずしもボトムアップの形式の研究開発じゃ十分に加速できないという側面がある。一方、トップダウンでどこまで行けるのか、あるいはこの事業の中でトップダウンを純粋にできるのかという問題があります。あくまでも公募をして、それを束ねていく、そういう考え方ですから、制度的に必ずしも整合性がよくないですね。例えば従来、この事業の中で、FS、フィージビリティスタディに半年ないし1年半の時間をかけて、関係研究者を集めて検討した、その結果をもってきちんと開発チームを編成して開発に入るということは従来行われてきたんですが、ゲルマニウム半導体型検出器についてそれをやる気はありますか。

【児山副調査役】  革新技術タイプで実施していただくことを十分に検討していただいた上で、ほんとうに見込みがあるんであれば、やれる可能性は残っておると考えております。

【二瓶主査】  私の申し上げたかったのは、従来、領域開発、あるいは評価委員会委員長の専決事項としてFSのチームを編成して予算をつけるということはやられていたと思うんですよ。そういう方法を積極的に利用して、先ほど柿田課長から御説明のあったような短期決戦型の開発を効率よく進めると、そういうやり方がますます重要になってきていると思うんですね。ぜひ御検討いただきたいと思います。
 ほかに何か御意見ございますか。
 どうぞ。

【籔内経済産業省知的基盤課長】  経済産業省知的基盤課長の籔内と申します。
 今、お話をいろいろ聞いていて、先ほど田中委員が売上高の表を見て、文科省の委員会の資料としてこういうのが出るのは画期的だとおっしゃいましたけれども、ずっと最初から説明を聞いていますと、資料というか中身がほとんど経産省の委員会の報告書のような気がして、すごいなと思って聞いてはいるんですけれども、当方、知的基盤課ということで、柿田課長から御説明のあった科学的イノベーションを牽引する研究基盤戦略についての中間報告(案)の中では、文科省さんは研究基盤というお名前を使っていらっしゃいますけれども、経済産業省では知的基盤という名前に置きかえて、ついこの間、我々も中間報告書を出させていただいたところです。柿田課長にもオブザーバーとして参加していただいておりました。
 中身を見ると、すり合わせたわけではないんですが、ほとんど同じようなことが書いてあるなと思っていて、1つ思ったのは、例えば先ほど二瓶先生もおっしゃったように、ゲルマニウム半導体云々のところで、最後の行に将来的にはデファクトスタンダードとなる機器の開発と検討と書いてありますし、例えばその前の資料ですと、出口戦略をよく考えて、知的財産についても知的財産戦略と絡めて開発していくというようなことを書いてあります。確かに出口戦略は大事だと思っておりまして、知的財産のみならず、例えばまさにデファクトスタンダードをとるとなると、ISOへ標準をとりにいくとか、そういったことも念頭に置きながら開発していかないといけないなと。それは我々も同様であります。
 当方のことをちょっと御説明させていただきますと、今まで産業技術総合研究所というところで、計量標準なら計量標準の開発、計量標準を使った計測機器の開発、更にそれらを開発する中で、評価方法だとか測定方法の規格化、それからデータベース、みんなばらばらで行われておりました。そうではなくて、計量標準の開発とともに測定器の開発も行い、計測手法の開発も行い、最終的な出口として、特許であるとか、又はISOに標準として提案していくとかいったことをにらんだ総合的な開発が必要なんじゃないかと、我々も最近思っているところでございます。
 したがいまして、こういう報告書の中にも、特許とか知的財産戦略というのもあるんでしょうけれども、例えば世界の標準をとりにいく、つまりISOに標準を提案するといったようなこともどこかに書いておいていただくといいのかなと。
 昔は、1つの業界団体のコンセンサスが全部得られてからでないとISOには提案できませんでしたけれども、我々も制度を変えまして、トップスタンダード制度というものにしました。つまり、業界団体全部のコンセンサスではなく、トップを走っている1社、2社がこれでいいということになれば、それでISOに提案するという制度も作ったわけでございます。したがいまして、知的財産とともに、デファクトスタンダードをとりにいくというのは、世界のISOに標準を提案しにいくといったことも念頭に置いて、研究開発分野をより充実させていただけるといいのかなと思った次第でございます。
 この中身を見ますと、我々の報告書に近いようなことがたくさん出てくるんで、別に柿田課長とすり合わせたわけではないんですけれども、すごいなと思っているところで、立派な報告書が出ているなと思っております。
 すみません、感想めいたことで。以上でございます。

【佐藤委員】  今の件、すごく重要だと思うんですけれども、今までばらばらにやられていたという標準化とかISOを取得する制度的な問題、そういうのに向かっていくときにばらばらにやられていたという話がありましたね。何か障壁があったから、そのようになったのか、それとも、そういう考えには及んでいなかったのか、背景を教えていただけますでしょうか。

【籔内経済産業省知的基盤課長】  率直に申し上げまして、例えば産業技術総合研究所で計量の標準を作っている人たちは、でき上がった後の製品がどのぐらい世界で売られていくか、国内で売られていくか、また、売り込むためには何が必要なのか、1つは、まさに売り込むためにはISOみたいなところで世界のデファクト、つまり標準をとっていかないと売れていかないというようなことにまで思いが至らなかったのも事実であります。そういった様々な理由はあるんでしょうけれども、それぞれみんなばらばらに、標準なら標準を作る人、測定器なら測定器を研究して作る人というふうに分かれていたのが、どうせ作るなら、最終的には例えば特許をとることとか、ISOへの標準を提案することを念頭に置いて、一体となった取組が必要ではないのかなと考えております。
 釈迦に説法でございますが、2001年から2010年まで、科学技術基本計画の中で知的基盤の充実が大事ということで、10年間かけて我が国の中で知的基盤のいろいろな整備が行われてきました。経産省の例で言うと、まさに柿田課長からも御説明にあった公共財なので、なかなかそれがどういう成果に結びついているかがわかりにくいところがあります。しかし、我々10年の成果の中で調べていて、たった1つしかなかったんですけれども、標準を開発して、たまたま開発すると同時に測定器も開発した。それをやっていくうちにデータがとれたので、データベースも開発しました。さらに、そこからいろいろな途中での試験評価方法なり、計測標準なんかができたので、ISOに提案したら、それが通ったという例がたった1つだけあったので、それは産総研発のベンチャーで切り出して、今、年商何億かになっているとお聞きしております。そういったことを念頭に置いて、その人たちは途中からそういうことを思いついたわけなんですけれども、一体となった取組というのが重要なんだなと思う次第であります。
 特に日本の電子顕微鏡は、かつては世界シェアが8割から7割あったのが、現在は、聞くところによると、4割から3割になったんだと。それは1つには、ISO等できちんと標準をとれなかったことが原因じゃないかというようなことを言う方もおりまして、日本が開発した機器を国内の研究においていかに使っていくか、更にもうちょっと言えば世界でどれだけ使ってもらうか、世界で使ってもらうためには、ある程度のデファクトスタンダードをとっていかないと、海外で売り込みに行けないなというようなところを推進していかないといけないと考えております。

【佐藤委員】  産業競争力という意味で言えば、国家戦略的に国際標準というか、そういう標準の取組をもっと積極的に進めないと、なかなか産業競争力はつかないですよね。

【籔内経済産業省知的基盤課長】  そうだと思います。

【佐藤委員】  単独の企業だけでいろいろやっていると大変ですね。その辺を指導してもらえばいいのかなという気はするんですけれども。

【籔内経済産業省知的基盤課長】  たまたまでしょうけれども、柿田課長のところと私のところと同時に同じようなことを、やっぱりこれが問題だよなということで、書いている内容もほとんど同じなのかなと思う次第であります。

【杉浦委員】  何となく、昔、要素技術の開発の議論をしていたとき、今の議論を聞いたような記憶が戻ってきたんですけれども、この委員会の中で、要素技術開発をずっとやってきたときには、やはりISOだとかスタンダード化するということが非常に重要だということで多分議論をしてきて、いろいろなたくさんの要素技術が作られてきたんだと思うんですけれども、それがそこのところまで上がらずに、実用化も行かずに、そのまま実証機器として開発しましょうという次のステップを順番に上がってきて今の考えになってきたと。
 JSTからの報告でライフイノベーションのところを見ると、考え方がほかの分野に比べておくれている。はっきり言って、前回タスクフォースでもいろいろ議論したんですけれども、そういうレベルのところの前でとまっているという感じがして、放射能の測定だとか、電池なんかではユーザーの意見だとかいろいろなのを聞いて、何をするかということがかなり明確な戦略として出ている。ところが、ライフイノベーションについては、これは非常によくわかる出口と入り口のところだけの話になっていて、実はこの前の委員会の中でも議論した一番の問題点は、医療イノベーションだとかライフイノベーションというのはいろいろなステップがある。あとの報告の案の中にもあると思いますけれども、ホップ・ステップ・ジャップという考え方で、ホップの機器開発のところは何かターゲットを見つけるような機器を徹底的に開発して、それで見つけたターゲットを使って、今度はターゲットを簡易に測定すると実用化の道を作るという2つの基準が書いてあると思うんですけれども、その間にはかなり幅があって、いろいろなステップが来ると思うんですけれども、このJSTのところでは、まだそこのところの議論まで行けていないような気がして、そういう制約があるというところをどうやってクリアしながら、この委員会の中できちんと次のステップを出すかというところを議論する必要があるんじゃないかと。だから、専門家の分科会の中でかなり突っ込んだ議論をしていただくと、ターゲット指向型で機器開発をするのか、機器開発はもうスタンダードでいいものを作ってもらう、その次で、ターゲットを見つけて、そのターゲットを人体だとかいろいろなところで測定するためにやるのかという、この2ステップが違う動きになるんじゃないかという気がするんで、その辺は考慮しておかないといけないんじゃないかなというのが私の感想です。

【二瓶主査】  どうぞ。

【山科委員】  柿田課長がホップ・ステップ・ジャンプと3つのファクターに分けて御説明がありましたけれども、一般的に計測機器の開発に当たり、特にライフイノベーションの関連でいえば、診断機器としてこういうものを測れればいいなという願望は色々あるかと思うんですけれども、本小委員会における先端計測機器の開発に当たりましては、ホップの段階の生体のどういうメカニズムを計測する必要があるのか、そこのところをきちっと問い詰めて、公募した場合にも、審査の段階でただ便利な機械だ、有用な機械だというだけじゃなくて、それがこの委員会の一番の発端の議論だったんだと思うんですけれども、それが計測されることによってどういう領域が広がってきて、どういうサイエンスが起き上がってくるのか、そこにむしろ視点を置いた公募の審査みたいなものが一番問われるんじゃないかと思います。

【二瓶主査】  ありがとうございました。
 実は放射線計測の分科会の中で、実際に今年度行ったことは、4月から始めて9月にはもう製品を出すというような、ニーズが非常にはっきりしていて、それに合うような装置開発をする、これが実用化タイプなんですけれども、そうではなくて、3年、5年かけてしっかりした革新技術をねらうタイプの公募もあわせてやりました。
 ですから、おそらくライフイノベーションにおきましても、今先生御指摘のように、先端的かつ革新的な装置開発と、いわば技術的には必ずしもトップではない、最先端ではないが、しかし、ニーズがあって、それをクリアするというニーズが非常に明確であるような、そういう場合の装置開発と、やはり二通りあると思うんですね。それを意識した分科会形式の課題審査、それの進捗を図るというような考え方が必要ではないかと。
 全体として、先ほど課長からお話のありました非特定であるけれども、先端をねらう装置開発、これが従来の本流だったんですね。ところが、放射線計測をきっかけにして、あるいはこれも柿田課長がなさったんですが、第4期の基本計画の中での科学技術プラスイノベーション政策という総合的な政策を実現するための仕組み、それが強く出てきたことの1つの具体化のあらわれだと私は認識しております。世の中、ニーズ指向で、必要性があるのになかなかできてこない。それに対応するような装置開発、機器開発があるべきであるし、一方では、将来を見据えた、少し時間はかかって、要素技術から始めて段階的に進めていかなければならないような機器・システム開発もあるわけですね。その両方をこの事業ではカバーしていく必要がある。そのスタンスは今後も変わらないという理解のもとに、いわば領域縦割りの、さっき出ました放射線計測、それからライフイノベーション、グリーンイノベーション、この3つに分けて来年度、この事業を進めようと、そういう御提案があったわけですけれども、その中身は、実はそのように理解すべきではないかと思っておりますが、課長、よろしいですか。

【柿田基盤研究課長】  はい。今、二瓶主査からおっしゃっていただいたとおりだと考えております。
 その関連で申しますと、資料3の1ページの一番下のなお書きのところにホップとジャンプと2つあるわけですが、いずれも、要素、機器、プロトタイプという3つのフェーズを設けるという、これはある意味、領域非特定型が主流だった時代の方式でございます。一方、今年度より立ち上げた放射線計測領域については分科会方式により、1~3年以内に製品化する実用化タイプと、少し中期的な視点で革新的な技術・機器開発を進める革新技術タイプの2タイプで進めており、要素、機器、プロトタイプという分類とは違うやり方で行っております。したがいまして、ライフイノベーション領域を立ち上げたときに、放射線計測領域と同様、実用化タイプと革新技術タイプに分けて進めたほうがよいのか、従来のように要素、機器、プロトタイプの各フェーズを設けたほうがよいのか、どちらのやり方で進めるべきか検討が必要かと思っております。

【二瓶主査】  ライフイノベーションに関していえば、これからですので、いわゆる医療現場にかかわるニーズを的確に把握されている方を委員に入れて十分に議論する。その上で、進め方を決めていく必要がありますよね。従来はあまりそういうスタンスで物を考えていなかったというのが事実ですので、そういう意味では、ライフについては今後十分に検討する必要があると思いますが、そのほか、グリーンに関していえば、従来、電池でしたけれども、もっと幅を広げて物を考えるとなると、今までも環境計測は随分経験がありますので、その辺り、分科会のメンバーの幅を広げて、そこで議論すれば、比較的明快な結論が得られると思いますね。
 ほかにいかがでしょうか。

【田中委員】  今、ちょうどいろいろ、私がお話ししようとしていたことをかなり皆さんおっしゃられたと思うんですが、特にライフサイエンスに関しては、といいますよりも、この委員会自体が先端ということで、かなりニッチな、こういう技術があってそれを何とか物にしたいというドライビングフォースでやっている部分、それを高く評価すべき部分もあるんですが、それともう一つ、あちらこちらからお話がある例えば特許とか、あるいはマーケットとか、特に世界に向けたマーケットに考えますと、この委員会だけで何か結論を出していいものかという部分がありますし、ライフに関してはこれ以外のところの方が大部分を占めているので、例えばこれからライフのどの分野をターゲットにするかといったときに、ほかとの連携といいますか、これを開発するとこちらにも役立つとか、そういう観点、デファクトスタンダードにするとか、どうしても日本の中にいると、ある程度日本の市場があるために、その中で閉じてしまう、1つのループを作ってしまうという可能性があるんですが、韓国がなぜ強いかというのをよく言われているように、初めから世界に向けて市場を考えているということもありますので、先ほど経産省の方が言われたように、そういう戦略的な部分も考えた、連携がとれるようなものを観点の1つとして、特にライフではこういう立場になって、日本の中に世界でもトップのような方がそういう開発をされているのに、それがなかなかつながらない、特にマーケットにつながらないのは、そういったところが欠けているという部分がありますので、特にライフに関しては、そういう観点が重要じゃないかなと思います。

【二瓶主査】  どうぞ。

【佐藤フェロー】  今回、経産省の方に来ていただいたのは大変よかったと思うんですね。やはり違った観点で議論していただけるし、また、マーケットというかニーズとか、そちらを非常に把握しておられると思うんで、同じようにライフも、できれば厚生労働省の方に来ていただけると大変いいんじゃないかなと思いますが、いかがでしょうか。

【柿田基盤研究課長】  是非参画していただきたいと考えております。例えば、JSTの放射線計測領域分科会には、当方から声をかけて、農水省、厚労省の担当官にもオブザーバーとして参画していただいておりますので、ライフイノベーションにおいても御協力いただけるよう、我々から働きかけていきたいと思います。

【佐藤フェロー】  ぜひよろしくお願いします。

【二瓶主査】  どうぞ。

【石田委員】  資料3についてですけれども、柿田課長からホップ・ステップ・ジャンプとわかりやすく説明いただいたんですけれども、対象がホップとジャンプということですが、真ん中のステップと書いてあるところが実は一番大変な研究なんですよね。例えばLCMSを使ってマーカーを見つけるとなると、病院の先生とかいろいろな病院の検体でやると、これが一番大変なんで、これが抜けているわけですね。最初の機器開発と次のジャンプがありますけれども、おそらく私が思うには、ホップの場合の研究もステップのように、マーカーを実際のサンプル、患者からとった血液で測定できないと意味がないわけなんですね。もしこれを除きますと、ジャンプの方になりますと、マーカーを見つけた研究者の人がジャンプの事業を申請すると、要するに谷間があるので、私の考えですと、ホップ・ステップ・ジャンプも全部対象じゃないかと。ホップとステップが一連の中で初めて新しい機器が見つかると思うんですよね。ですから、ステップを対象から抜かすというのはちょっとまずいんじゃないかと。これは一貫している流れだと思います。例えば田中先生がされているようないろいろなマーカーを見つけるのも、おそらく病院の先生の協力で、臨床の血液でされていると思うんですよ。それがあって初めていろいろな分析手法が確立できるということですので、ステップを抜くというのはちょっとまずいと私は思うんですけれどもいかがでしょうか。

【田中委員】  私も今やっている最中のことで、それにまさにかかわっていることでしたので、ちょっと意見を控えたんですが、日本で基礎研究、例えばお医者さんが画期的な発見をされます。でも、それが実際に、例えば診断薬とかにつながらないのは、その部分が残念ながら日本は欠けていますので、そういうところをちゃんと準備すれば、日本は今よりも何倍も貢献できるはずですし、それが回り回って日本の中に富とか知恵をもっと生むと思いますので、そういったところの施策といいますか、準備というのは非常に重要だと思います。ありがとうございます。

【二瓶主査】  どうぞ。

【菅野委員】  今のステップのお話なんですけれども、実はステップのところは医学部の先生、それから病院の協力という形で、全く研究体制が違うんですね。1人の人を例えばPIとして選任しても、実際はその人の下に20人~30人いて、各先生方に200万とか300万というお金を配って、その方々が各病院の倫理委員会を通して血液を集めて機器開発をやっていると、あっという間に5年ぐらい経ってしまうわけです。だから、これは実は医学部関係のお医者さんを中心としたプログラムが非常にたくさん文科省、厚生省でもお金が出ているわけですね。実際、機器開発にかかっているお金の10倍ぐらいの研究費がそういうところに投入されていて、トランスレーショナルリサーチだとか、先端開発だとか、日々のがん研究だとか、そういうところに全部出ていますので、できたらそういうプログラムとこことがうまく連携できる、私僕はプラットフォームみたいなものがよろしいのではないかと思っております。そういうものを拠点みたいな形で作って、ここで開発したもののところにそういう先生方が、例えばトランスレーショナルリサーチのトップの先生方がそのお金で、そこで拠点に患者さんを連れてくるとか、血をとるとか、そういうやり方をして、出てきたデータはデータベースでやってと。そうじゃないと、お医者さん主導になると、医者は工学的なことは全くわかりませんから、MSで一体どうやってあれが解析できているのか全くわからないというようなお医者さんが、これは患者にこうだからみたいなことを言っちゃうので、わけがわからなくなる。だから、そこは餅は餅屋できちっと連携していくことが大切かなと思います。

【石田委員】  おっしゃるように、研究体制は違いますけれども、先生がおっしゃったそこのお医者さんと臨床のサンプルで実際にデータを出さないとジャンプに行きませんから、そこは絶対に重要なところなんですよ。だから、逆に言うと、最初のシーズの開発と最後の出口の臨床機器のところ、一番大事なのはそこなんですよね。実際の臨床サンプルでマーカーをきっちり見つけていくというところは対象にしないということなんですけれども、一番大事なところだと思いますけどね。

【菅野委員】  もう一つ、私の考えをお話しさせていただくと、1本の線で一気通貫で話が来ていますけれども、実は分かれていると思うんですね。プロジェクトとしては5年程度のスパンと考えますと、ホップの部分はホップの部分で新しいものを見つけると。ジャンプの部分はジャンプの部分で、もう既にわかったものがいっぱいあるわけです。要するに、血糖値とか、アミロイドとか、こういうものを測ればいいということはわかるけれども、じゃあ、血糖値を採血せずに測れるかといったら、だれも測れないわけです。だから、ジャンプのところでは、血糖値を非侵襲的にリアルタイムに測る簡易なものを作るのはどうするんだと、そういう発想でいいと思うんですね。

【石田委員】  ということは、マーカーが見つかったものをジャンプでやるという。

【菅野委員】  そうです。ここでこう書いてあるのは、若干誤解を与えることだと思います。

【竹内委員】  ステップの部分を別のお金で、厚労省のお金とか、そういうのでされてはどうかということなんですが、ちょうどこのステップに当たるところというのは、資料3の2ページ目にあります研究開発成果の普及・促進に相当すると思います。プロトタイプの装置を実際にいろいろな方に共用して使っていただきながら、よりいいものに向上していくというものですが、実際には、普及・促進のプロジェクトは、期間も短く、3年未満ですし、予算的にもそんなにないかと思います。厚労省などの、そういうプロジェクトと連携しながら進めるということは考えられないのでしょうか。

【柿田基盤研究課長】  今の竹内先生の御意見は、2ページの6に関連することかと思います。おっしゃるように、ホップの段階ででき上がった装置を医学研究の現場に投入して、具体的なユーザーニーズとのきめ細かいマッチングを図る、あるいは使い勝手を良くしていくという活動は、まさにこの6のところに該当すると思います。

【竹内委員】  連携しながらですね。

【柿田基盤研究課長】  はい。連携しながら進めることが必要だと思います。

【二瓶主査】  どうぞ。

【菱山振興企画課長】  振興企画課長の菱山でございますが、今の議論、菅野先生がおっしゃるとおりだと思っていまして、ステップの段階のバイオマーカーの同定というのは、、特に基礎医学研究の中ではメインの研究でございます。それはどういうことかというと、我が省のライフサイエンス予算は先端計測の10倍以上の予算を使って、人の血液や試料を使って、分析するに当たっては相当お金がかかっているということでございますので、先端計測の中でやろうとすると全然足りないわけでございます。
 そういった意味では、ライフサイエンスの研究と機器開発を連携して進めていくことが非常に重要であると思います。以前ライフサイエンス課長をやっていましたので、状況はいろいろ見させていただいていただきました。研究室にお伺いすると、さっきの輸出の話じゃありませんが、かなりの輸入超過でございまして、ほとんどの研究室は皆さん御存じのとおり海外のものを使っております。このプログラムで是非良いものを開発していただくというのが必要ではないかと考えております。まさにライフサイエンス予算を投入しても、その予算が海外製のものを買うほうにどんどん行ってしまうというところがありますので、ぜひいいものを開発して日本で使う、海外で使ってもらうという戦略が重要ではないかと考えております。

【二瓶主査】  このプログラムで作り上げられたプロトタイプ、あるいは実証・実用化を経た装置群を、今おっしゃったこの事業の10倍のお金を使っているグループが取り上げてくれることが本来の筋道であると従来より考えております。しかし、なぜそうなっていないかといいますと、この事業を立ち上げるときに、ある程度、きちっとした装置ができ上がったら、3台ないし5台作る予算をこの事業から出してほしいと私は主張しましたら、結果として、事業の予算規模に必ずしも合っていないので、もっとほかにやりたいことがあるからということで、多分、田中先生のところで2台ぐらいお作りになりましたかね。2台がせいぜいなんですよ。そうすると、今のお話のステップの事業にここからできた装置をそのまま持っていくというのはなかなか難しい。そこで外国輸入品がどっと入ってきて、結局、我々のアウトプットをつぶしてしまうことになってしまうんですね。その辺りの連携はぜひ文科省の中で考えていただきたいと思います。要するに、連携がもっとスムーズにいけば、10倍の予算をお持ちのところでここの事業のアウトプットをきちっと使いこなしていただければ、非常にいい流れができると思うんですが、いかがですか。

【菱山振興企画課長】  前職はJSTの経営企画部長をやっておりましたので、その実情をいろいろ聞いております。ただ、プロトタイプ機ですと、キャリブレーションがちゃんとできているかどうかというような懸念がありなかなか使いにくいと思いますが、うまく連携をとれるということが重要だと思います。幾つかのものについては、例えば放医研とか理研の研究者が発案したもの、東大の先生が発案したものが取り上げられていますので、ぜひうまく循環ができればいいのではないかと思います。

【二瓶主査】  ぜひともお願いしたいのは、実は輸入品というのは、現にそういったことをやっているんですね。すぐれた先端機器がプロトタイプまで行きますと、それを一遍に10台ぐらい作るんですよ。それを10台ぐらい主要な医療機関に配って、そこで試験的に使い始めるということをヨーロッパでもアメリカでもやっている。日本ではやっていない。それが決定的な差だと思いますよ。ぜひ御検討のほどお願いします。
 どうぞ。

【菅野委員】  二瓶先生がおっしゃるとおりで、アーリーアクセスということをメーカーから言ってきます。それは、製品が出る2年か3年前にアーリーアクセスをやって、それで最初の論文を書くんですね。そうすると、それはオンリーワンの機械ですから、非常にいいところに論文が出て、研究者にとってもうれしいですし、会社にとっても宣伝になると、そういうことです。極端なことを言うと、経済産業省の方でそういうお金を用意していただいて、言ってみれば、アーリーアクセス支援みたいなものがあれば、研究機器としては、今、二瓶先生がおっしゃったようなところが非常に大きくて、意外とおもしろいのはアメリカに配ってみるという手があるんですね。そうすると、アメリカでも使いたいと、オンリーワンならそういうことが起こり得ますので、そうすると輸出にもつながると。決して経済産業省と関係ないことじゃないという気もいたします。

【二瓶主査】  どうぞ。

【杉山委員】  今の議論を伺っておりまして、柿田課長に伺いたいと思います。今までの先端計測の議論と少し変わってきた点として、先端計測機器の売上高も出ましたし、先端計測機器というものをキーワードにして、省庁との連合とか、様々な医学分野との連合とか、少し話が大きくなってきています。そうしますと、資料2の横型の図ですが、予算をとりにいくときに、先端計測機器開発の体制を今変えようとしていることを更に主張されてはどうかと思います。グリーンイノベーション、ライフイノベーション、放射線計測と3つ、同じような形で「ユーザーや関係省庁を含めて推進体制を構築」と書いていますが、実はそれぞれの分野に対して、先端計測機器の特徴を生かしながらいろいろな取組み方をしていくことが新しいメッセージとして発信できるように、説明時に強調されますと、予算化に向けて強いのではないかと考えております。

【柿田基盤研究課長】  今年度からJSTの実施体制を従来のものから変更しておりまして、全体を統括する推進委員会のもとに、従来からこの事業の主軸として進めてきたオンリーワン・ナンバーワンの機器開発を進める総合評価分科会を設置するとともに、明確な課題指向型での機器開発を進めるグリーンイノベーション領域や放射線計測領域についてそれぞれ分科会を設置するなど、開発課題や特徴に応じた体制を整え始めたところです。ライフイノベーション領域を立ち上げる際には、今年度構築した体制を拡充し、全体として強化していくということを考えております。

【二瓶主査】  ありがとうございました。どうぞ。

【松尾委員】  ライフ関係はそれほど詳しくないので発言は差し控えさせていただいていたんですけれども、今お聞きしていて、こちらの委員会で扱っている予算というのは、いわゆるライフサイエンス全体に比べれば、額としてはそれほど大きくないということで、そうすると、この委員会で培ってきた先端計測ならではという部分は柱としてあって、それを新しい体制にうまく広げていくという、その柱の部分を大事にして、例えば世界スタンダードというところの感じが私自身、まだ理解が浅いかもしれないんですけれども、世界スタンダードに近くなりそうなものをうまく取り上げて、まず一点突破、成功例を作るとか、そういったようなことも考えられるのかなと思いまして、概念的なコメントで恐縮ですけれども、感想です。

【柿田基盤研究課長】  今、松尾委員がおっしゃったことは、オンリーワン・ナンバーワンのものをしっかりと作っていくという、このプログラムの根幹についてのお話しかと思います。そこのところはしっかりと念頭に置きながら、今後とも事業を推進してまいりたいと思います。

【二瓶主査】  どうぞ。

【澤田開発総括】  資料2-3に書いてある、瀬藤チームの開発成果ですけれども、これは島津製作所が、とにかくプロトタイプでも要望があれば思い切って市場に出すということを決断して、販売を開始したわけです。要するに、非常にリスクを抱えている段階でも思い切って売り出して、クレームがつけば直す自信があると島津製作所の方もおっしゃっていました。実際、注目されれば、いろいろな国家予算が常に使われているとも言えるわけですね。こういったものの件数が増えてくれば、こういったものを支援するプロジェクトは、経産省でも厚生省でもできるのではないかなと。例えば申請すれば、あるいは放っておいても民間の活動だけでいいものは自然に浸透していくと。国家的にはですね。要するに、既にそういうふうな活動が行われている点は事実認識として覚えておいていただきたいと思います。

【二瓶主査】  今お話がありました、たまたまこのケースなんですが、開発責任者の瀬藤先生がタスクフォースのメンバーでいらっしゃいまして、つい最近出た話が、例えば中国の研究機関でこの装置を買いたいという話が既に出ているんですね。ただ、これは私自身も悩ましいところで、まだ十分にこれから検討しなければいけないと思っておりますが、この事業の成果の製品が海外に輸出できるかという話、これは別途よく検討をする必要があると思うんです。そういう点をぜひ文科省、柿田課長のもとでも検討をしていただいて、将来の制度設計を対応できるような形にしていかないといけないという感じはいたします。
 どうぞ。

【田中委員】  余計なことをお話しすることになると思いますが、私も多少はこの顕微MALDIにかかわっていますので、ある意味反省を込めて申し上げるんですが、このプロジェクト自身、これでうまくいくのかどうかというのは、企業側、島津側にあったことは確かです。これをもう少し早い段階で事業化していれば、もっと多くの方にたくさん使っていただけたなという反省があります。ですから、逆にその失敗であったことをうまく、もう少しベンチャーといいますか、勇気を出してやっていればよかったということを逆にある意味学んでいただければいいという部分もあると思います。
 以上です。

【二瓶主査】  ありがとうございました。
 私、さっきお尋ねしようと思っていたんですが、資料2-3のこのような例がもう少し早くこの委員会に出てきていただければよかったと思うのですが、おそらく把握できる仕組みがないのでしょう。いろいろな意味で、ここの事業のアウトプット、でき上がった装置がどんなところで実際に使われているかをしっかり把握する方法、これも考えないといけないのではないでしょうか。

【児山副調査役】  今、やっとこういうふうな事例がわかり出したのは、実は先端計測室の中にプレス担当を置きまして、成果の把握に目を光らせるようにいたしておりますのと、横の連携をこれまで以上に図ろうとしておりますので、そういった面で、我々のJSTの中ではそういう情報をなるべく把握できるようにしたいというのと、当然のことながら、研究者の先生方、我々の開発チームの先生方にもそういった事例があれば的確に御報告をお願いするということはしっかりやらせていただこうかなと思っております。

【二瓶主査】  どうぞ。

【佐藤委員】  こういった成果を公表するのが初めてということを聞いて驚いたんですけれども、このような成果は公表し、適切に訴えていくべきだと思います。先端計測はマザー・オブ・サイエンスと言われているわけですから、開発されたものがどのように使われて、どのようなものにつながっていったかという総体としての波及効果が本来ものすごく大きいはずです。

【佐藤委員】  どうやってそれを測るのか、測り方が難しいんですけれども、その測り方をよく考えて、経産省で言えば、産業連関表などの波及効果を考えますよね。そういうようなことも含めて、これの波及効果でこのぐらいの事業規模が生まれたとかいうことは言えるような気がするので、もう少し発展させたらよいのではという気がします。

【二瓶主査】  ありがとうございました。実はその辺りはプラットフォーム構築の要素なんですね。プラットフォーム構想というのは、2年前にこの小委員会が打ち出した構想ですので、徐々に進んではおりますが、おそらく、来年度辺りから相当きちっとでき上がっていくと思いますが、今のような、要するに、基盤技術として横に展開できる情報をもっとしっかり確保するというのはとても大事で、それが新たな研究を生み出しますし、新たな研究者に研究のモチベーションを与えますし、そういう部分をもっともっと強化するのが本来、文科省の基盤研究課のねらうところではないかと思うんですけれども、今日の資料3の後半にもその議論がありますので、その点ももし御意見いただけましたらば幸いですが、いかがでしょうか。
 どうぞ。

【杉浦委員】  ポンチ絵の2枚目のステップのところが赤枠で囲っていない、この部分がある意味ではプラットフォームのデータベースを作るところだと思うんですね。今どのぐらいのバイオマーカーがあって、どのぐらいの研究者が、厚生省のいろいろな基幹研究だとか、文部科学省のほかの研究費を使ってどういうバイオマーカーが調べられているかという、そのプラットフォームと最初のホップのところの機械とがどうやって結びつくかということがやられたら、新しい見つけるべき機械のテーマが決まりますし、ここでデータベースがきちんと動いてわかってくれば、このターゲットを見つけるためのバイオマーカーを提案することができる、そのためのステップの場所がプラットフォームの基本的な第一義的な役割ではないかという気がするんですけれども、いかがでしょうか。

【二瓶主査】  ありがとうございます。いや、全く私もそう思います。
 どうぞ。

【山科委員】  前にもお願いしたことがあると思うんですけれども、いつもここで議論して、あるテーマを決めて、それをJSTにおいて募集・採択をすると、このような形で結果だけが出てきて、その途中のプロセスというのはほとんどわからない。例えば、この課題についてどんなような応募が何件あったかという数字は見せていただいたことはあるけれども、どんなテーマの応募があったか、そのうちどれが採択されたか、その辺りはせめてこの小委員会の中でだけでも教えていただくことはできないのでしょうか。

【久保室長】  応募に当たって、各先生方の提案につきましては、非公開の形で応募していただいておりますので、ただ、何らかの形でこういう分野について何件応募がありましたなど、そういった形の御報告はできるかと思います。

【二瓶主査】  どうぞ。

【佐藤委員】  前の話に戻りますが、私もステップのところは非常に重要だとタスクフォースの中で言ったのですが、既に研究をやっているところとのコラボレーションをうまくやればいいという観点で私も納得いたしました。ただ、ステップが本事業の開発対象ではないと言い切ってしまうのではなくて、直接の対象ではないかもしれないけれども、関連づけてやるような、少し含みを残しておいたほうがいいんじゃないですかね、と思いました。

【石田委員】  杉浦先生がおっしゃった点ですけれども、マーカーのデータベースを使い、ホップで開発した機械でやればいいという話ですけれども、実際の臨床サンプルで開発してマーカーが見つかった、その機器でしか信用されないわけですよね。ですから、ホップで開発した機械を利用しようとすると、臨床サンプルを使わないと信用されないわけです。そのギャップがあると思います。

【杉浦委員】  そこのところが一番難しいと思いますが、ほんとうはステップのチームに、このような全く新しい物質を探したいという人を入れないといけないわけです。ですから、機器開発の専門家だけでなく、実際にバイオマーカーを探っていてこれを知りたいという人を一緒に入れたグループを作る。だから、そのような体制を組むことを申請の要件にするなどする必要があると思います。

【二瓶主査】  石田先生がおっしゃいましたけれども、先ほど竹内先生が御指摘のように、ホップの研究成果に関する共用事業というのがあります。そこにはちゃんと臨床の専門家が入る、現に北大の西村先生のグループではそのように進めていました。ですから、可能性はちゃんとあるんですね。それをもっと強化すべきだということではないでしょうか。

【石田委員】  はい。

【二瓶主査】  どうぞ。

【菅野委員】  石田委員がおっしゃったような事例はあるんですが、この頃は少し様子が変わってきていまして、例えば質量分析計でたんぱく質を網羅的に解析して、その中からこのたんぱく質はどうも病気と関係しているようだとか、そういうことが出てくるわけですね。しかし、同じ質量分析計で診断をするかというと、それは設備投資の点から言っても、効率の点から言っても全く違うので、それは1検査100円ぐらいの簡単な方法で新たに診断するわけです。ですので、そこで必要になる技術はこのごろ違ってきているわけですね。同じようなことが核酸を解析する次世代シークエンサーの技術でもそうですし、それから、メタボロームと言われる低分子のことを解析していく技術でもそうですし、それからイメージングでもそういう状況です。数万個あるものの中からどれが候補物質なのかを探すのがステップの段階で、この1個だとわかったら、その物質をどうやって安く早く、患者さんに優しく探すのかというのがジャンプの段階ですので、ちょっとそこには差が出てくると思います。
 民生用の機器を作るためにはコストがものすごく大切なんですけれども、研究用の機器の場合、1億円とか2億円でも買って使うわけですね。両者はコンセプトが全く違うので、実際、私も次世代シークエンサーを使っていますが、3回に1回はデータが出ず、それで100万円が不意になってしまうのです。それでも、その機械を使わないとそのデータは出せないので、我々はそれを買うわけです。

【二瓶主査】  ありがとうございました。    
 それでは、本日は予定した議事は以上でございます。
 事務局から何かございましたらお願いいたします。

○立元基盤研究課総括係長より、今後のスケジュールの確認があった。

【二瓶主査】  森本審議官、せっかくお出ましですので、一言最後にお願い申し上げます。

【森本大臣官房審議官】  本日は、暑い中お越しいただきまして、ありがとうございます。
 今日の御議論いただきましたライフイノベーションには、今までの先端計測とは違う側面がいろいろな意味で入っておりまして、医工連携や薬事法による規制というものや、信頼感をどう醸成するかなど、特殊な要因があると思っております。新しいチャレンジですので、我々としてはライフサイエンス関係者の方の御意見もぜひ伺いながら進めていきたいと思っております。
 予算の要求の過程でまたいろいろ御意見、あるいは御指導をいただきたいと思いますので、ぜひ今後ともよろしくお願い申し上げます。今日はありがとうございました。

【二瓶主査】  ありがとうございました。
 それでは、本日はこれで散会にさせていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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