研究開発プラットフォーム委員会 先端計測分析技術・機器開発小委員会(第3回) 議事録

1.日時

平成23年9月27日(火曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省17F1会議室

3.議題

  1. 「先端計測分析技術・機器開発プログラムの改善と新たな推進方策について(中間報告)」について
  2. 平成23年度の公募採択状況について
  3. その他

4.出席者

委員

二瓶主査、石田委員、江原委員、大島委員、小原委員、近藤委員、佐藤委員、菅野委員、杉浦委員、杉山委員、竹内委員、玉田委員、原委員、松尾委員、森川委員

文部科学省

倉持研究振興局長、戸渡大臣官房審議官、柿田基盤研究課長、竹上基盤研究課課長補佐

オブザーバー

林独立行政法人科学技術振興機構開発主監、佐藤独立行政法人科学技術振興機構研究開発戦略センターフェロー、澤田独立行政法人科学技術振興機構産学基礎基盤推進部(先端計測担当)開発総括、安藤独立行政法人科学技術振興機構産学基礎基盤推進部(先端計測担当)参事役

5.議事録

【二瓶主査】  定刻になりましたので、本日の会議を始めます。本日は、第3回の先端計測分析技術・機器開発小委員会でございます。
 本日、議事次第にございますように、議題を2件準備しております。第1の議題は、「先端計測分析技術・機器開発プログラムの改善と新たな推進方策について」、この中間報告に関してご議論いただきたいと思います。また、第2の議題は、平成23年度の公募採択状況についてのご報告を頂く、そういう内容でございます。
 それでは、議題に入る前に、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

○ 竹上基盤研究課課長補佐より、出席者の紹介及び配付資料の確認があった。

【二瓶主査】  ありがとうございました。
 それでは、資料はよろしいでしょうか。
 よろしいようなので、議題(1)に入らせていただきます。「先端計測分析技術・機器開発プログラムの改善と新たな推進方策について」の中間報告に関するご審議をお願いしたいと思います。
 前回の小委員会でお知らせいたしましたとおり、本小委員会の下にタスクフォースを設置いたしまして、8月以降、3回にわたってご審議いただきました。主として平成24年度から取り組むべき研究開発の在り方について、集中的にご検討いただいたところであります。その結果を、中間報告として取りまとめたものをご紹介申し上げますが、現時点ではタスクフォース決定となっておりますが、本日、この中間報告に関し、ご討論をお願い申し上げまして、必要な修正を行った上で、本小委員会の決定とさせていただきたいと考えております。
 それでは、事務局よりタスクフォースにおける検討の経過と中間報告の内容についてご説明をお願いいたします。

○ 竹上基盤研究課課長補佐より、資料2-1、2-2、2―3、2―4に基づき説明があった。

【二瓶主査】  ただいまご説明いただいた資料2-1、2-2、2-3、2-4についてご意見をいただきたいと考えております。どの項目からでも結構ですので、よろしくお願いいたします。
 タスクフォースの議論をもとに組み立てているので、タスクフォースに参加していない委員の皆様からご意見を優先的にお伺いしたいのですが、どのようなことからでも結構です。

【杉浦委員】  2のプログラムの抱える主な課題のウ)ですが、1ページの一番下に、研究シーズからニーズ指向型になって、政策課題型になってきたことについて、この経過が書いてあるだけですが、どういった背景でこのように移行してきたのですか。

【二瓶主査】  これまでは、重点開発領域を設定して、その他一般領域も可という枠組みでの公募をしてきました。その中で、重点開発領域に対する応募は、必ずしも多くはないけれども、しかし、非常に少ないというわけでもない状況で推移してきました。その一方、小委員会の先生方からのご指摘もありましたとおり、せっかく重点開発領域を設定しておきながら、その領域の採択率が高いわけではなかったのです。それらのご意見が、この小委員会でもありましたし、タスクフォースの議論でもありました。その総括として、重点開発領域の設定意図や重要性が申請者に十分伝わっていないのではないかという指摘がありました。
 この理由として、公募期間の短さ(例年2月中下旬に公募開始し、応募締め切りが4月上中旬)が挙げられます。一方、もう一つの課題として、少しハードルが高いという意見もあります。
 ここには、ユーザーないしは提供者、開発者、または異分野の研究者の交流、あるいは、関心を持っている様々な方々との情報の流通が必ずしも十分でなかったのではないかという反省がございます。それを解決するための1つの方策は、プラットフォームを早急に立ち上げて、広く周知する方法、それに対するレスポンスを受けとめる方策、そういうものを早く立案すべきではないかという議論を昨年度一生懸命やったように思うのですね。杉浦先生、いかがですか。

【杉浦委員】  いや、JSTで応募・採択をし、その結果を毎年このような表で示されて、そうしたら、どこが問題で、どこがこうなったのかという議論を始めて、皆さん方はわかっているのかもしれないが、私の中では非常に消化不良で、本当にシーズからニーズに移って、ニーズから重点課題に移って、プラットフォームをつくるのが大事だという議論はしたのだが、少し腑に落ちていないところがあり、課題の応募・採択のプロセスと、ここでの議論の間に乖離が生じている感が否めないものですから、発言いたしました。確かにこれはそのとおりだと思うが、それではこれに対する方策は何かといったら、今二瓶先生の言われたプラットフォーム構築は1つの考え方ですけれども、この中間報告書の中にプラットフォームをつくるための方策は、いま一つはっきりしていない。ですから、課題として出されたものに対して、どういう解決策を提案するのかというのが、腑に落ちないので、もう少しご説明いただきたい。

【二瓶主査】  今ご指摘の点は、確かに反省点だと思います。この小委員会でかなりの時間をかけて議論して、重点開発領域を設定したにもかかわらず、その結果に関して十分な検討をしていなかったというご指摘かと思いますが、それは仰るとおりだと思います。今後の運営は、きちっとそういうことを踏まえないといけないと思います。
 ほかにはいかがでしょうか。今の関連でもご意見ありましたらどうぞ。

【小原委員】  1ページ目のところで、プログラムの内容について、要素技術タイプで採択された開発課題について、実用化、企業化までを見据えていないような事例も少なくない状況にあるということですが、これはポジティブな意味で書いているのか、ネガティブな意味で書いているのか、これがわからない。
 私は、ネガティブな意味で書いていると思うんですが、そもそも要素技術タイプにおいては、ここまで求めるのはちょっと酷ではないかと思います。その理由は、要素技術タイプの場合、申請時に企業と大学の先生が連携して申し込んでほしいという条件はつけておらず、大学の研究者のユニークな研究開発を支援するという側面もありますので、ここまで記載すると、拘束力を強めすぎるのではないかと思いますが、その辺りの背景を教えていただければと思います。

【二瓶主査】  私の意見を先に申しますと、確かに実用化、企業化という言葉だけでは少し言葉が足りないように思います。それは少し修正したいと思います。
 評価の現場で、例えば、採択のときは、もちろん非常に基礎的な観点、あるいは新規性、独創性の観点、そういう観点で採択をしております。
 一方、その採択された課題を研究者がどう推進していくかというところで、そこがこの表現の中ににじみ出ているのですが、技術の開発、あるいは装置の開発という事業全体をどのくらい重視しているかということです。ですから、ご指摘のように、実用化、企業化ということでくくってしまうと、やや説明不足のように思います。

【杉山委員】  私もタスクフォースメンバーとして議論させていただいていますが、要素技術だからこそどういう大きな効果があるのかが重要だと思います。つまり、この小委員会では、先端計測全体のあり方、考え方など、大きな方向性を議論していますが、そこに要素技術こそつながってくると考えます。つまり、確かに実用化、企業化という言葉だと無理があるかもしれませんが、大きな出口とか、世の中をどう変えるかという将来展望は、要素技術には必ずあったはずですが、それが小委員会の議論に必ずしもフィードバックされてこないことかと思います。つまり、そのあたりが先ほどの杉浦先生のご意見にも関連するかと思いますが、この委員会でコンセプトを決めて、それが実行された結果を見たときに、なかなか全体の研究開発の流れとしてフィードバックされていないところが、問題点として挙がっているのではないかと思います。その例の一つに、要素技術こそ非常に明確な出口があっていいはずなのに、それが明確になっていたかどうかが小委員会に戻ってこない。そのために、どうしても開発した研究者の意向重視のままに終わってしまった、そういう反省点があったというニュアンスではないかと考えております。

【小原委員】  ただ、ここは最初の入り口なので、ここであまり企業化や実用化を強調しすぎると、研究者に対するプレッシャーになりますので、やはり入り口は前広にとって、その後に徐々に絞り込んでいくという流れではないのかなと私は思っていまして、あまりここで強調するのはよくないのではないか。本当にアンビシャスな、かつチャレンジブルなものが来たときに、企業化の指向性がないから評価が下がるのではあまりにも酷に失するのではないかと思います。

【杉山委員】  企業化や実用化という言葉の問題ですね。

【小原委員】  そうですね。

【杉山委員】  企業化というよりも、やはり「狙っている大きな効果は何か」ということだと思うのですが。

【二瓶主査】  ありがとうございます。

【松尾委員】  最初の杉浦先生が仰ったことに関連して、私もちょっと感じたのですが、2ページの上から2~3行目あたりに、長期的展望に立って重点開発領域の研究開発に取り組むというのは、この2つのことを同時に行うのは、結構ハードルが高いことではないかなと思います。重点開発領域というのは、そのときに議論して、今こういうことが必要であるということで皆さんで議論をしているところで、長期的展望に立つというのは、もちろんそれが理想ではありますが、そこまで研究者に求めるというのはなかなか大変で、むしろそうするための仕掛けというか、それが二瓶先生仰ったプラットフォームなのかもしれないのですが、何かもう少しそういう仕組みを、ニーズに向けてシーズをうまく吸い上げられるような方向性があるといいのかなと思いまして、先ほどの杉浦先生に対するコメントとして申し上げました。

【玉田委員】  この報告書は、私が感じているのとほとんど同じ内容が書かれていて、自己評価にも関わらず辛口に書かれていて、すばらしいなと思いました。
 大学の学生のときと同じですが、応募数が多くないと自分の希望に見合った人は選べないということで、とにかく応募数を増やすことが重要ではないかと思います。そのときに、近年予算額が減ってきていますが、応募する立場からすると、採択数が100件であってもその倍率が100倍であった場合や、あるいは採択数の絶対数が少ないとなった場合、急に応募数が減るのではないかと思います。そうしたときに、色々な事業の総予算額と応募数とその成果を見たときに、もしかしたらちょっとそれが足りなくて、一生懸命正しいことを議論していても、それに見合った人がなかなか見つからないという状況なのではないのかなと思うのですが、そのあたり、JSTの方からご意見を伺えればと思います。

【二瓶主査】  いかがでしょうか、何かご意見ございますか。

【安藤参事役】  今のご質問、もう一度確認しますと、要するに、採択される件数が少ない状況の中で、応募者数も減ってきていることに対する問題点でよろしいですか。

【玉田委員】  つまり、小委員会とJSTの目標設定がいけなかった、周知が万全ではなかったということではなくて、例えば、予算額、採択数にかかわるところで、今回、この指摘があったような状況に陥っているということはないですかというのが質問です。

【佐藤フェロー】  要するに、予算が減ったために、結果的にこういう意欲的なプロジェクトが出なかったのではないかということですか。

【玉田委員】  こちらの希望に見合った人がなかなか応募してこないので、採択したかったけれども、出来なかったということです。

【佐藤フェロー】  それは何とも言えないのではないでしょうか。

【安藤参事役】  一つ言えることは、予算は減っておりますけれども、応募はそれほど減っていない状況にあります。そのため、実は良い提案が落ちている可能性はあります。やはり採択数は少なくなっていますので、予算の関係で、良い提案を仕方なく採択できない状況にはあります。例えば、良い提案が15件あるんだけれども、予算上10件しか採択できないというような状況になっています。

【玉田委員】  でも、それだとちょっと議論がおかしいのではないでしょうか。

【安藤参事役】  どういうことでしょうか。

【玉田委員】  良い提案が15件あって、10件しか採択されなかった、その10件について、ミッションとあまり合っていないという報告書がまとまるというのだとすると、ちょっと話がおかしいです。

【佐藤フェロー】  このように、事業の趣旨が随分変わってきているはずなのですけれども、その募集の変化が必ずしも申請者に伝わっていないということは事実だと思います。つまり、これまでの延長として申請者の方々は応募している。しかし、こちらの意図としては、どちらかと言えばニーズ指向のものに変わってきている。その辺は伝えられていないというか、伝わっていないというのが実情ではないかと私は思います。

【玉田委員】  それでは、周知活動の面で、まだできることがあるということなんですか。

【佐藤フェロー】  その余地はあるのではないでしょうか。

【竹上基盤研究課課長補佐】  議論の補足ですが、資料4の13ページ、こちらは平成23年度の応募状況、応募件数、採択件数について、開発タイプごとに記載しております。要素技術タイプは応募件数183件に対して、採択件数が8件、また、機器開発タイプは応募件数が64件で、採択が4件。うち特定領域に対する応募件数が25件、非特定領域に対する応募件数が39件あり、それぞれ2件ずつを採択しています。特定領域はアクション・プラン対応型のみの採択にとどまっています。ソフトウェアタイプが10件の応募に対して1件採択、実証・実用化タイプが10件の応募に対して4件の採択、これは大体昨年と同じ傾向になっております。

【佐藤フェロー】  狭い門ですね。

【二瓶主査】  仰るとおり、新規課題の採択枠が十分にとれないと応募する側が元気がなくなるということは事実だと思うんですね。そういうフェーズに入りますと、新しい重要な開発領域を提示しても、なかなか力の入った応募が出てこないという可能性は確かにあります。この事業の立ち上げ期においては、相当力の入った課題がどんどん出てきました。ですから、ここ2~3年はなかなか厳しい状況であるというのは、正直、ご指摘のとおりではないかなと私も思います。
 後ほどご議論いただきますが、そういう意味で、従来のオンリーワン、ナンバーワン路線、これは非常にアカデミックな路線ですが、こういう路線で必ずしも予算が十分に確保できないというのが、ここ2年、3年の傾向です。それと、一番重要なことは、第4期科学技術基本計画において、課題解決型を重視するという政府の方針が出たので、この時点においては、やはり課題解決型を重視した公募をする必要があるだろうということで、後ほどご議論いただくということです。
 そもそもの本事業発足時の理念を捨てるのかということですが、そういうことではございませんけれども、しかしながら、国の方針の非常に明快な部分、そこにどうこたえるのかということもこの事業の社会的責任ですから、それも重視する。言うならば、そういうウエートのかけ方が来年度は少し変わるんだという意識がある程度必要ではないか。それに伴って、実施体制においても、例えば、先ほど申し上げた評価委員会における評価も、課題解決型テーマに対する事前評価方式も新たな基準を考えなければいけないのではないかという、そういう時点に差しかかっているような気がいたします。これは後ほどご議論いただきたいと思っておりますし、あるいは、JSTの実行部隊においても、そのあたりをご議論いただきたいと思っているところです。そのようなことで、いかがでしょうか。
 ほかに何かご意見はございますでしょうか。

【小原委員】  2ページ目にJSTに対する辛口なご意見が出ていますが、この中で、私が思っているのと違う印象で記載がされています。例えば、「この基本方針に基づきJSTがプログラムを実施するという役割分担が適切に機能していない」ということですけれども、これは何を指してそう言っているのか。「特に」と書いてありますが、「研究開発タイプの重点開発領域に関して、小委員会での議論がJSTにおける公募・採択の実施にあたって的確に活かされていないなど」とありますけれども、少なくとも私どもの評価委員会では、今回、ある特定の分野を設定して選んでいるのもありますので、決して活かされていないという言い切りはちょっと厳しいのではないのかなと思っております。
 それから、もう一つは、私どもの評価委員会は、この小委員会の下部機関ではありませんので、あくまでも独立行政法人科学技術振興機構の評価委員会という位置付けになっておりますので、そこにJSTとしての考え方が入ってくるのは当然のことですので、すべて指示どおり的確に反映されていないというのは、ちょっとここは違うのではないのかなと私は思っておるのですけれども。

【二瓶主査】  かなり本格的な議論になりますね。いかがでしょうか。
 これはあくまでも重点開発領域の採択に関する議論ですね。それをまずご確認願いたいと思います。一般領域の議論ではありません。重点開発領域の審議ということであります。重点開発領域というのは、あるテーマを掲げて、それに対して応募が来て、それに関してどう評価基準を設けるべきかということなのですが、従来はやはり当初の理念、すなわちオンリーワン、ナンバーワン指向の、極めて明快な独創性、先端性のみで評価をしてきました。
 しかし、課題解決対応というカテゴリーをつくるからには、課題解決という評価基準がないといけないのですね。その点、理事にご検討いただきたいのですが。ところが、評価委員会では、従来と同じ基準で評価しておりましたから、課題解決の尺度は十分に意識されていたかという問題提起です。

【小原委員】  確かに、一般領域とアクション・プラン対応領域、を異なった評価基準で評価していたかと問われれば、おそらく基本的には同じ基準で評価していたと思います。ただ、分野を設定して、そこに応募してきたものに対して、同じ基準を当てはめて採択していたのではと思いますけれども。
 もしそうであれば、例えば、この小委員会で、特にアクション・プラン関係は、こういうような考え方でしっかり選んでほしいということを言っていただかないと、委員会としてはそれまでの考え方を踏襲して評価をしますので、それはこの委員会で、JSTが選ぶときにはここに留意してほしいということを言っていただかないと、これはなかなか反映するのは難しいのではないのかなと思っております。それから、もう一つは、もしそこまで方針として伝えたいのであれば、少なくともこの委員会に、私どもの評価委員長をオブザーバーで出席させるなり、メンバーの一人として加えるなりしていただかないと、意図がスムーズに伝わるのは難しいのではないかと私は思っているんですけれども。そこは組織のつくり方だと思いますけれど。

【二瓶主査】  ご指摘ありがとうございます。まさに私はそう考えておりますので、今後よろしくご協力のほどお願い申し上げます。
 というのは、これから次の議論に入ると更に明確になりますけれども、課題解決型の内容のもの、カテゴリーのもの、更に重視するという方向ですから、ご指摘のように、もう少し明快にする必要があるだろう、それは仰るとおりです。
 さて、ほかに何かご意見ございますか。

【杉山委員】  先ほど少し出ましたオンリーワン、ナンバーワンというキーワードと、課題解決型というキーワードで、課題解決型になってきたということになりますと、使う人がついてこないと駄目だと思います。オンリーワン、ナンバーワンの計測技術であれば、何か科学技術面でのブレークスルーがあり、それをすぐれた研究者が使うことで、新しい科学のブレークスルーが期待できるので、使う人の数とかデファクトスタンダード等はあまり考えなくても良いと思いますが、課題解決型になった途端に、やはりその技術を「誰が使うのか」という視点が重要になり、それがこれまでは少し欠けていたという指摘がこの資料の中に入っていると理解しているのですが、いかがでしょうか。

【二瓶主査】  ご指摘のとおりですね。課題解決ですから、いわゆる世の中のニーズ、しかも、重要度の高いニーズに対応したカテゴリーを設定して、その解決に向けた機器開発、技術開発を応募していただく、これが方針でございますので、その点に対応したしかるべき、従来十分でなかったとすれば、それに対応した変更を加えないといけない、それは仰るとおりです。

【杉山委員】  はい。

【二瓶主査】  さて、大分課題解決型の議論に過ぎましたので、できましたら次の議論に進ませていただければと思います。
 それでは、次に、24年度における重点開発領域のあり方についてご審議いただきたいと考えておりますが、その前に、事務局より「重点開発領域における公募テーマの設定に向けた進め方」についてのご説明をお願いいたします。

○ 竹上基盤研究課課長補佐より、資料3に基づき説明があった。

【二瓶主査】  ありがとうございます。
 それでは、引き続きまして、復旧・復興に資する先端計測分析技術・機器開発の課題例として、JSTよりプログラムにおいて活用しうる開発成果についてのご説明をお願い申し上げます。

【安藤参事役】  机上参考資料はこれまでに採択した課題の中から、もともと、例えば震災の対応のための計測機器をつくっていたというわけではございませんが、結果としてそういったものにも使えるだろうというものをピックアップしたというものでございます。
 ここでピックアップしたものにつきましては、既にプロトタイプ機ができているもの、あるいは市販されているもの、あるいはまだ要素技術の段階で開発しているものと、様々なものがありますので、直ちに使えるかどうかというのはまた別ですけれども、こういうものがありますということで例示をしたものでございます。
 放射性物質・放射線計測分析機器ということで、例えば、高感度ガンマ線3Dカメラ、これは京都大学の谷森先生が開発したもので平成20年度に開発を終了しておりますが、体内に取り込まれた放射性元素がどこに分布しているかという内部被曝の状況をモニタリングすることが可能であろうということです。実はこの課題については、プロトタイプ機は完成したという状況で、市場性であるとか、企業の戦略だとか、そういったことがございまして、とりあえずそこでとどまっているものでございますけれども、例えばハンディ型のX線のセンサー、これは京都大学の河合先生が開発したものでございますけれども、アワーズテックという企業から市販しているものでございます。汚染された土壌中のセシウムなどの放射性元素の微量分析、その場分析が可能です。また、農産物・水産物のその場分析にも活用可能であろうというものでございます。
 それから、アスベストの検出ができるような機器も開発しております。特に瓦れきの中にかなりアスベストが入っておるのではないかということで、そういったものの計測ができるだろうということで、これはリガクと明治大学が開発したものでございます。これも実はプロトタイプ機をつくった状況でとどまっているものでございますが、広島大学の黒田先生の検出キット、これは実はもう既にベンチャー企業から市販をしているものでございます。こういった形で世の中に出ているものもございます。
 それから、その他ということで、これは実は今年採択されたばかりのもので、これから開発しますので可能性だけでございますけれども、名古屋大学の中村先生による大型の構造物を高速に透視するための原子核乾板要素技術の開発でございまして、宇宙線を用いて大型の構造物を高速に透視するための要素技術の開発ということで、例えば、原子炉内部の状態を透視することも可能ではないかということです。ちなみに、この中村先生というのは、今、例のニュートリノのことで世間がかなり注目しておりますが、その開発をしている先生の一人でした。それは偶然で、直接これとは関係ないのですが、そういうことがございます。
 それから、21年度に実は調査研究というのも採択をいたしておりまして、そのときに劣化診断関係の技術を幾つか採択しました。これは開発というよりも可能性研究でございますので、半年とか1年ほどの調査研究でございます。本来であれば、それを踏まえた開発というのが必要ではございますけれども、腐食のセンシングであるとか、複雑系に基づく経年変化ですとか、そういった開発の可能性を調査したということで、いろいろと既存の課題の中でも、そういった震災対応等に役立つであろう開発もしているという状況でございます。
 以上です。

【二瓶主査】  ありがとうございました。
 これは全部開発終了したものですか。進行中のも含まれていますか。

【安藤参事役】  はい。23年度に採択したばかりのものもありますし、まだ開発中のものもございます。

【二瓶主査】  わかりました。
 以上をご紹介いただきました。ごらんいただきまして、今まであまり意識していなかったので、非常に幅広くすぐれた課題、独創性、先端性で選んできたという成果の中に、これだけ、いわゆる課題解決対応型課題というものに該当しそうなものが、既にこれだけあるのですね。この点は、我々の事業が社会に向けて活用を促すということのできる立場にいるということをご理解いただければと思います。ありがとうございます。
 以上の2つの資料をご紹介、ご説明いただきました。この資料をもとに、皆様方から来年度の重点開発領域の項目並びに今後の小委員会の進め方について、ご意見をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【石田委員】  私はタスクフォースのメンバーですが、マル1のイ)のところですけれども、地震・津波で、台風とありますけど、台風は除外したほうがいい。台風の予測はもうほとんどできていて、何かつけ加えたような感じになるので、地震・津波だけでいいのではないかなと思います。

【近藤委員】  少しコメントします。
 実は、台風を研究している先生とよく議論をしているのですが、台風自身の予測、気象庁などによる予測が不十分だという認識はあります。それは、ただ、非常に広範囲な基礎研究の上に、初めてそれができるものであって、短期間で成果を創出することを目指しているこの事業とはなじまないのではないかと思います。それはそのとおりだと思います。

【石田委員】  あんまり欲張らないほうがいいかなと。

【近藤委員】  そうですね。

【二瓶主査】  ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょう。

【菅野委員】  台風そのものの予測だけでなく、台風によってもたらされる被害の範囲を予想するというようなことには広げないほうがいいのですか。

【石田委員】  そうですね。はい。

【二瓶主査】  かなり政策的な判断ですね。

【石田委員】  台風を入れたのは、そういうことも含んでいるのですか。

【二瓶主査】  おそらく、もっと絞ったほうがいいだろうというご指摘ですね。柿田課長、いかがですか。

【柿田基盤研究課長】  ここの例示は、先ほどからご議論いただいております中間報告の本文にも同じことが出てきておりまして、実はタスクフォースのメンバーの先生から頂いたコメントとして台風がございましたので入れております。ぜひご議論いただければありがたいと思います。
 私ども行政サイドとしては、やはり社会的に求められているテーマであり、かつ、限られたリソースの中で本事業として優先的に取り組むべきものを掲げたいと考えております。【二瓶主査】  ありがとうございます。

【近藤委員】  テーマを、例えばア)、イ)、ウ)とか、こういうふうに設定した場合、その後の審議の進め方というのは、論点2があって、これ自身、小委員会みたいなのを設定して、そこでこのテーマについて議論する、あるいは検討する場を設けるということですか。

【柿田基盤研究課長】  そういうことです。

【近藤委員】  それは今までのやり方とちょっと違うわけですね。ここでは、そういうある程度の議論はしたのですが、突っ込んだ議論というのは、時間的にもなかなかできなかったと思うのですが、それを今回やるということなんでしょうか。

【柿田基盤研究課長】  はい。ただし、これは時間的な問題もございます。現状では、この事業のあり方も含めてタスクフォースでご議論いただいておりますが、重点領域の内容についての詳細な議論はまさにこれからという状況です。検討項目として、大震災からの復興やグリーンイノベーションについて突っ込んだ中身の議論をしていただくとなりますと、この委員会の場で全部をこなすというのはちょっと難しいかなと思っております。そういったことで、論点2に書いてございますように、先生方に幾つかのチームに分かれていただいて、ご議論いただいてはどうかという提案です。

【近藤委員】  そうですね。こういうときに、例えばア)とか、イ)とか、ウ)の候補があった場合に、それぞれの分野、あるいは開発の中で、現状、今はここまでできていて、こういう目標に対してこれが足りないとか、あるいは、その目標設定そのものは重要なのかどうか。例えば、放射線の生体への影響の把握というのは、もしそれをやる場合には、どういう項目の何をはかったらそれが重要なのかという、そこをまず知らないと、いきなり開発しましょうと言っても、何をやっていいかわからないと思うのですね。その後は、医学系の先生の話とか、そういうことも必要になってくるし、多面的にレビューをやる必要がある。そうすると、申請者や審査者は非常に難しくて、ランダムな応募になったり評価になったりするのではないかと思うんです。それをもうちょっと静まっていくようにやるには、それぞれの分野のかなり突っ込んだレビューが必要かなと思います。現状と課題、あるいは、目標そのものの明確さや必要性など、そういった点がすごく重要ではないかと思うんですが。

【柿田基盤研究課長】  できれば今日ご議論いただきたいと思いますけど、論点2にあるような考え方でグループ分けをさせていただいて、さらに、放射線の専門家や医療の専門家の方などに加わっていただいて、今ご指摘あったような話も含めて、検討していただくことが必要になるかと思っております。

【二瓶主査】  どうぞ。

【森川委員】  私もタスクフォースに参加させていただいた立場でございますけれども、私は委員としての最大の問題意識は、日本が国として長期的視点に立って、本当に国策として重点開発領域がどういう分野であるべきか、あるいは、それをどう育成していくかということにすごく関心がありました。それで、先ほどJSTの選定に関する議論がございましたけれども、私も委員として、せっかくここで議論した重点領域の特定型がなぜ少ないのかということに関して、すごく疑問に思っていました。
 ただ、ここで1つご提案ですが、時間軸を考えると、平成16年からこの委員会は本当に真剣に議論しながら、いろんな分野の重点領域を決めてきた。ここで、先ほど13ページでご発表されたところで、領域特定型はこれだけに限定しているから25件で、領域非特定型が39件かもしれませんけれども、もしかしたら過去の重点開発の蓄積の中から選ばれているものは、これは非特定ではなくて、重点領域として継続しているという見方をしたときに、一体どういうふうになるのだろうかと思いました。前の調査で、応募の6割はライフサイエンス分野ということですけれども、去年と来年度の重点領域を見ると、放射線の生体への影響の把握に関連すると思うのですが、ライフサイエンス系が消えてしまいます。ですから、領域特定の単年度の課題だけではなくて、これまで議論してきた経年の部分も蓄積して考えると、また違った見方ができるのではないだろうかと思うのですが、いかがでございましょう。

【二瓶主査】  確かにご指摘のとおりでございまして、従来は、今年度はこういう領域というふうに募集をかけて、それで、翌年度はそれが残るものもあれば残らないものもあるということをずっと繰り返してきたんですね。実際に、ある年度で重点開発領域に指定されたもの、その分野に該当する応募が後年度で申請があり、採択されたという実績はあると思います。しかしながら、それは統計的には一般領域として扱っています。そのあたりを、安藤参事役、内容的に識別するのは大変かもしれませんけど、どうでしょうかね。あるいは、来年度からで結構なのですが、一般領域というカテゴリーでも、過去の重点開発領域に関係するものは応募時に別途書き出してもらうとか、そういうふうに工夫すれば、オートマティックに今のようなことがちゃんと解析できるわけですね。

【森川委員】  もう一つだけ補足させていただきますと、タスクフォースの中間報告にもありますように、重点領域を設定したけれども、なかなか応募数が少ない。それは、いきなりというか、その年に提示されても、周知期間も短いわけです。ただ、国がこういう領域に力を入れていくんだ、しかも短期的ではなくて長期的にとなったときに、研究者の動向が変わっていくのではないかと思います。ですから、先ほど時間軸をと言いましたのは、重点領域をその時点で認識する――今回の震災復興・復旧、これはもちろん必要だと思うのですけれども、それを育てていくというか、そのためには、1年、2年ではなくて、ここにも要素技術は5年と書いてありますけれども、そういう見方で、少し年度をまたがって育成していく。この委員会そのものも重点領域を、何年度はこれというふうにしてしまわないでやっていくことが、先ほどの中間報告の内容にも関係するのではないだろうかというふうに思ったのですけれども。

【二瓶主査】  ありがとうございます。それは、確かにそういう発想で、実質的にはそういう感覚を我々は持っていたような気がするんですが、それが必ずしも周知されていないというのは、実態がそうですから。ご意見の趣旨は、今まで重点開発領域として指定した項目は、単年度、あるいはその当該年度にとどまらない、それなりに世の中の先端計測分析技術の、あるいは装置開発の方向づけとして世の中に発信できている、それはもう仰るとおりだと思うのですね。必ずしも単発で終わるような性質のものではないというのは、誰が見てもそのとおりだと思います。
 ですから、そういう議論になると、ますますその年に特別に指定した領域に関しては、それなりにきちっとした評価をして、それを採択していかないと、エンカレッジすることにならないのではないかという感じもいたしますね。そのあたりが、先ほど小原理事との話で出てきた新たな改善項目だろうと思います。
 ほかにいかがでしょう。

【松尾委員】  タスクフォースに参加していなかったので、幾つか質問させていただきたいのですが。

【二瓶主査】  どうぞ。

【松尾委員】  先ほどの机上配付参考資料、こちらはどのようにしてその情報を集められたといいますか、ここにある開発課題はどれもすごくすばらしいと思うのですね。ナンバーワン、オンリーワンを考えていたら、こんなに役に立つことがあったというのはすごくすばらしいと思うんですが、これと今回の話とをリンクさせるのは、どのようにして情報を統合されたんでしょうか。

【安藤参事役】  この資料はあくまでも採択された課題の中から我々が事務的に見て、こういった震災対応に資するのではないかということでピックアップしただけです。

【松尾委員】  ですから、これまでに採択された方々に、成果のPRに関してアンケートをすれば、もっといろいろ集まった可能性があるということでしょうか。

【安藤参事役】  それはあり得ると思いますけど、時間のない中では、そこまでちょっとやっていないということです。

【松尾委員】  なるほど。わかりました。
 それと、論点1のところで、3年とか5年とか、いろいろ時間が出てきているんですけれど、時間が出てきた経緯がわからないのですが。例えば、こういったすぐに使えるものがあるから、こういうものは3年でも開発できるんじゃないかとか、そういった理解でよろしいんでしょうか。

【柿田基盤研究課長】  これは我々のほうから回答したいと思います。
 松尾委員ご指摘のとおりと考えております。これは、東日本大震災からの復興ということで、短期的に対応しなければいけない課題ですので、中長期的に例えば10年ぐらいかけてじっくりやりましょう、というテーマではないと考えております。例えば、放射線の問題となりますと、福島の現地で可及的速やかに使えるものを開発する必要があります。その際に、ゼロから開発を始めるというよりは、既存の活用可能な技術や成果をもとにしながら、あるいは民間企業の研究開発を後押しするような形で出来るだけ短期でものを仕上げるということを想定した場合、3年とか5年という期間が一つの目安になるのではないかということです。

【松尾委員】  ありがとうございます。多分、こちらの資料を見せていただいたので、何かリンクしているのかなと思ったんですけれど。わかりました。
 それにしても思うんですけれども、やはり課題解決は重要なんですが、ナンバーワン、オンリーワンは捨ててはいけないだろうなというのは、逆に感じました次第です。

【二瓶主査】  ありがとうございます。仰いますとおりでして、決してナンバーワン、オンリーワンという従来の考え方を捨てるということではありません。ただ、先ほど来議論がありました評価基準という観点から見ますと、従来は領域ごとに特別な評価基準をつけ加えていないわけです。発足時から一貫した考え方としては、同じ考え方で評価をしてきた。ただ、これからは、特に来年度を想定しますと、これはある意味で、先ほどもちょっと申しましたとおり、国の基本政策として、それを重視するという政策に対応した事業活動ですから、それなりに評価基準を考える必要があるだろうと、そういうことです。
 では、一方、今までのものは捨てるのかというと、決してそうではなくて、それはもちろん極めて大事な理念でございますので、それはキープする。私の言い方が必ずしも十分でなかったかもしれませんが、従来の評価基準で、それでは重点開発課題対応の評価が間違っていたかというと、決して間違っていないんですね。ただ、そういうターゲットを指向していることに対して、特別追加して評価はしていなかったというのが今までです。
 どうぞ。

【安藤参事役】  ちょっと事実関係だけですけれども。少なくともこの23年度新規課題につきましては、アクション・プラン対応ということでございまして、そういう意味では、プレス発表資料の10ページをご覧いただきたいんですが、このアクション・プラン対応につきましては、他の領域、あるいはタイプとは別に、一応評価項目というのを設けております。そこのところは特別に審査基準を設けて、かつ、外部の専門家も入れまして審査をしておりますので、これは、そういう意味では、今回の来年度からやろうとしている議論の先行的・試行的にそういう形でやっておりますので、そこは誤解のないようにいただきたいと思います。

【二瓶主査】  ありがとうございます。仰るとおりです。
 どうぞ。

【佐藤フェロー】  先ほどの議論をずっと聞いていると、やはり基礎的な研究が非常に重要だという意見が非常に多いように思います。それはもうそのとおりなんですが、そのままではもう予算がつかないという状況をまずご理解いただく必要があります。もし本当に基礎研究重視で予算がつくのなら、何も変える必要はないわけです。それを何とかしないといけないというのが、タスクフォースの議論だったように私は思います。

【石田委員】  やはり一応名目は、我が国の非常に重要な国の施策である震災復興、それから、アクション・プランですよね。それに対して、先端計測の果たす役割というのがあって、予算を獲得するということではないでしょうか。

【佐藤フェロー】  もちろん、そのとおりでございますけれども、議論を聞いていると、やはり皆さんが暢気なことを言っているような感じがするので、そうではないと、非常に危機意識を持ってタスクフォースは検討したんだということをぜひ通奏低音のように見ていただきたいです。

【佐藤委員】  私もタスクフォースに関係して、今年度からこの委員会に入って、いろいろディスカッションしてきているのですけれども。これだけ詳しく、世の中にどのように貢献していくかということも含めて議論している委員会というのは、見たことがなくて、すばらしいと思います。それで、かつ、今回の重点領域の設定というのは、やはり日本は震災は避けられない。それから、台風も避けられないわけです。要するに、肥沃な土地を生み出していくのは、台風などがあってできているわけで、それに対する災害への備えが必要なわけです。
 これは柿田課長にお願いしたいのですが、一過性に終わらせたくないんです。一過性に終わらすと、日本において、本当の意味でのイノベーションができないと思います。ですから、今回のことを契機にして、もう一回我々は見方を変えて、こういうことをやって、震災などにどういうふうに対応していくのか、それに対する計測とか分析技術というのが、こういうものがあれば復興できていけるのではないか、あるいは、新しいイノベーションを起こしていけるのではないかということを真剣に考えなければいけない時期になっていると思います。そういう意味で、予算を確保するというよりは、今までのものにどんとプラスするぐらいの気持ちで議論したと思いますので、その辺、よろしくお願いします。

【柿田基盤研究課長】  はい。まさに我々もそのつもりでやっておりますし、タスクフォースの共通認識もそのとおりかと思います。
 先生方には今後ともご協力賜りたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

【佐藤フェロー】  先ほど少し出ました科研費のほうでもともとあった資金がなくなったという部分ですが、これはやっぱり基礎を支えていたと思うのです。そういうものをもう一度復活していただくことによって、シーズをもっと増やすというのも重要だと思います。科研費の枠は広がっているわけですから、ぜひそのあたりもトータルに考えていただきたい。

【近藤委員】  私は大気の研究をやっているのですが、私の場合は、開発者とユーザーが同じですよ。だから、やや状況は違うわけですが、放射線計測の場合、どの目的でどういうふうに使うか、3年間で人間への放射線の影響のアセスメントに使いたいのか、そのデータをどう使うのか、誰がどういうふうに使うのか、それを明確にしていかないと、せっかく計器を開発して、誰かが測るかもしれない。けれども、それは最終的に何の使われ方もされない危険性がやっぱりあると思うのですね。我々の場合は、今言ったように、自分の研究で項目的にこういうふうにわかっているので、絶対使うのですが、ユーザーと開発者が分離していた場合に、それは非常に使われない可能性があるので、そこは注意したほうがいいと思います。更に、その計測器が開発されて、ほかの目的に使われるということはあってもいいと思うのですが、まずは最初の目的が達成されないといけないのではないかという気はします。
 それから、もう1件質問ですが、さっきオンリーワン、ナンバーワンを目指す部分と実用化を目指す部分の兼ね合いについて、完全に理解していないのですけれども、具体的なものは、すごく独創性があるわけではないけれども、いわゆる改良型の測定器で、とにかく市場性があればいいということですか。そこら辺が完全に認識していないんですけれども。

【二瓶主査】  そのあたりが、世の中色々なものがあります。例えば、安全・安心プロジェクトで、緊急に行政がこういう要請をしているから、それに対応する機器開発をしてくれと。例えば、そういうプログラムの場合は、先端性とか独創性とかいうよりも、実際に役に立つというのが最も重視されるわけです。そういうものと、ここの委員会でやっているものとは、それは違います。どこが違うかというのは、先ほど来議論のあったとおりでございまして、そのあたりが評価委員会での議論によく出てくるのです。これは役には立つけれども、この事業で取り上げていいのかという議論がよくございます。そこの課題解決型と言いながらも、この事業から出ていくアウトプットは、世の中にそういうものがない、あるいは、そういうアイデアはあっても実現していない、そういう独創性と、それから、世界各国で簡単には追いつかれないという先端性と、それは確保したいと考えております。
 ですから、おそらく実際にこういう課題を設定して採択をするときの現場の考え方は、やはり今申し上げたような項目が第一であって、その次に、いかにユーザーが使えるかという項目、そのあたりが重視されるということになろうかと思います。
 どうぞ。

【松尾委員】  すいません、たびたび。
 オンリーワン、ナンバーワンに関してですけれども、例えば放射線計測なんかも、原子核の研究者の方たちは、何かを計測するために最高レベルのものを開発したら、例えば今回の放射能の問題が起きたときに、こういうことにも使えるんじゃないかということを気がついて、そういうふうに世の中に貢献したいと考えていらっしゃる方たちが多くいらっしゃるので、まさにオンリーワン、ナンバーワンを目指していたら、こういうことにも役立つということで、彼らの目もそっちに向けていただくというふうに考えると大変よろしいのかなと思います。佐藤先生の仰ることも十分わかりますけれど。

【二瓶主査】  仰るとおりだと思います。
 どうぞ、竹内さん。

【竹内委員】  この中間報告というのは、今まで議論したことが反映されていて、非常によろしいと思います。しかし、先ほど配付していただいた机上の配付資料には、今までに終了した、あるいは継続中の関連の開発課題が示されていますが、これをどのような形でサポートしようとしているのかということが見えません。私たち国民の目から見ますと、ロボットが今回の震災で役に立たなかったと報道されています。役に立たなかったかどうかという議論は別にして、これに膨大なお金が使われていたにもかかわらず役に立たなかったということに国民は怒っていると私は思います。こういう国の予算を使っているものが、実際にあともうちょっとなのか、その辺もよくわからないのです。何らかの形で成果を確実に国民に示すということは重要ではないかと思います。

【二瓶主査】  ありがとうございます。まさにご指摘のとおりでございまして、既に開発が終わっているから、さあどうぞ使ってくださいという形で、本当に使えるかどうかが問題となってきます。ですから、私は、こういうものにプラスアルファの追加の開発努力をして、本当に役に立つものとして出していくということをエンカレッジしたいんです。それは、このプログラムの中にはっきりと書いていないのですが、その部分は明らかにしたいと思います。
 もうこれは十分に仕上がっているから現場で使ってほしいと、何台か現場に配置するという考え方が1つ。更に追加的な開発要素をクリアしていただいて、それを現場に出していくというのがもう1つ。それを両方やるべきだと思っております。

【竹内委員】  そうですね。今回の地震対応では、ロボットの開発はもう終わって出荷目前になっていたが、完成後役に立たないという理由で廃棄してしまっていたなんていうことが言われておりまして、そのようなことにならないように、着実に成果として国民に知らしめる必要があると思っております。

【二瓶主査】  貴重なご指摘ありがとうございます。
 どうぞ。

【杉山委員】  私は、機器開発の最後の段階で改良ということはあっていいと思うのですけれども、最初の段階から改良型で国の予算を使っていくという事例はあまりないのではないかと思っております。ですから、オンリーワン、ナンバーワンの対極に位置するものは、具体的な使い方がわかっていて開発する、つまりユーザーと開発者が常に議論しながら進めていく技術と考えています。
 例えば電子顕微鏡の世界では、材料系ですと、収差補正技術が世に出たときに、日本はチームを作っていなかった。現在もそのままメーカーが開発を続けていますが、諸外国では次の色収差補正技術にまたチームを作って取り組んでいます。日本はやっていない。また、生物系レーザ顕微鏡の関係でも、新しい光学計について、ドイツではチームをつくって開発していますけれども、日本はやっていない。
 つまりユーザー、あるいは、専門家集団が学会で議論している次にこれが欲しいと思われている技術に対して、なかなかそこに国家予算が投入されてこない、と感じています。そういう技術はある意味でオンリーワン、ナンバーワンの対極にあると思います。

【近藤委員】  もう少しご説明をお願いします。

【杉山委員】  使う人、使い方がわかって計測装置を開発する方法に対して、オンリーワン、ナンバーワンの計測装置を開発する方法というのは、ちょっと違うと思っています。

【近藤委員】  そうすると、最初に仰ったほうは、今のプログラムには適合しないということでしょうか。

【杉山委員】  いえ、これまでオンリーワン、ナンバーワンの計測装置を開発する方法でいい成果が出てきているとは思います。そして、プラットフォームに代表される今まで少し欠けていた点として議論してきたのが、ユーザー、使い方をもっと考えて装置を開発していく方法であると思います。

【近藤委員】  それは、オンリーワンであってもそうだと仰っているのですか。

【杉山委員】  いや、違います。ですから、オンリーワン、ナンバーワンと対極にあるのが、ユーザーと声を合わせた開発型の計測装置と思っています。

【近藤委員】  それは、今、このプログラムでやるのが適切だと考えておられる。

【杉山委員】  考えています。

【近藤委員】  それはかなり違うターゲットというか、目標だということですね。後者の場合ですと、独創性やオンリーワンということではないということですね。

【杉山委員】  その後者の場合が、課題解決型ととらえています。

【近藤委員】  そういう意味では、改良などということですよね。簡単に言ってしまうと、多少改良はあるでしょうから。

【杉山委員】  改良という言葉のとらえ方ですけれども、最終的に使うときには、改良が入ると思いますが、初めから既存の装置の改良にはならない。

【近藤委員】  それはそうですが。
 もしその場合には、ユーザーの方とのかなり密接な対話がないといけないと思います。

【杉山委員】  そうですね。

【石田委員】  改良の考え方、いわゆるブレークスルーがあれば、大きな改良でも、それはもういいので。ただ、本当にもう改良したものというのは別ですが、改良の考え方だと思います。

【杉山委員】  そうです。改良の考え方については、もう少し議論が必要だと思います。

【二瓶主査】  どうぞ。

【原委員】  企業で機器開発している場合、やっぱりユーザーは誰か、出口は何かというのはすごく大事なのですね。その中で、オンリーワン・ナンバーワンをどうやって実現するかというのは、常に企業などは議論しています。だから、オンリーワン、ナンバーワンだから遠いというわけではなくて、常にそういう視点を持って、近いものも我々は開発しているということは理解していただきたいです。

【杉山委員】  はい。

【原委員】  それと、要素技術ですけれども、やはり要素技術の出口が多分意識して、例えば、機器開発をするときに、これを本当に開発できるのかといったら、要素技術でどの部分は開発されていて、どの部分は未開発なのかを見極めて、その部分をいかに開発するかということを常に考えるわけです。我々自身で解決するのか、どこかから技術を導入するのか、人を入れるかと、いろいろあるわけです。だから、要素技術というのは、出口を意識しながら開発しているわけです。

【杉山委員】  仰るとおりですね。

【原委員】  ただ、言葉の問題ですけれども、基礎技術というと、もう少し全体的なレベルアップを図るというニュアンスが含まれていると思います。今回、いろいろ要素技術の項目を見ても、ディテクターがこうなったら、システムを組むためには、どうしてもそこのブレークスルーを押し進めなければいけないということが含まれていると思うんですね。
 だから、個々の要素技術では、システム全体はできないけれども、システムをトータルでやるためには、それが必要だというような感じがしていますね。
 それから、台風は、わかっているようで、全然わかっていないと、僕は実感しているのですが。

【石田委員】  それはわかって発言しております。ただ、地震や津波と次元が違うような気がしたのです。

【原委員】  今回も台風で甚大な被害を受けているわけですよね。

【石田委員】  あれは雨によるものですね。

【原委員】  台風の速度などにしても、時々刻々変わってきますから、どの地域がどの時間帯に危ないのかという警報を鳴らすシステムがあってもいいかなと思っています。あんまりわかっているようでわかっていないわけです。

【石田委員】  公募テーマですが、マル2は全然問題ないと思います。継続です。
 マル1ですけれども、その中で、ア)とウ)は、先端計測という立場でいけると思いますが、イ)についてです。イ)は、例えば津波予測や、地震予測だと思いますが、別の組織、例えば、地震学会や気象学会、土木学会など、この先端計測のテーマとして、いろいろこれからチームを分けて議論するのですけれども、イ)のテーマというのはどうなのかという違和感を若干覚えています。

【二瓶主査】  柿田課長、この分野の計測技術・機器の開発を進めてほしいという意見が省内であったそうですが、ご紹介ください。

【柿田基盤研究課長】  地震関係につきましては、地震防災の担当部局の現在の取組としては、既存の技術による地震計を広く整備していくということがメインのようで、予知は難しいにせよ、革新的な計測技術の開発については、なかなか対応できていないという状況のようです。

【二瓶主査】  いかがでしょうか。

【杉浦委員】  イ)のところの地震・津波、台風という部分については、この事業の対応マターではないと思います。と言いますのは、地震でも防災、昔は予知ですが、今は防災に変わってきて、津波を予知するということも、もう地球規模で、ほかの現象としてやらなければいけない。台風も多分そうだと思います。
 本当は、そのような自然現象によって生じた災害について、災害の予知とか、そういうものを3年ぐらいのスパンで見る。例えば、私は、通勤地が名古屋ですけれども、通勤道路が水浸しになってしまって、行きはスムーズに行ったのですが、帰るときは通れないということが現実にあったわけです。台風が来る前の雨であれほどの被害が生じて、台風自体ではほとんど被害を受けないということは誰も予想しなかったと思います。そういうものに対する災害予知や、都市型の災害、例えば、地震による液状化など、そういうものに対する考え方や基本的な計測技術というのは、私はないと思うのです。そういうものを見ることが目的であればいいと思います。地震・津波、台風というテーマではなくて、それに起因する災害を計測するという格好に変えたほうが宜しいのではないでしょうか。

【二瓶主査】  実は、ここの表現はそうなっているんです。予知は念頭に置いていません。

【杉浦委員】  「によって起こる災害」のいう、「などの災害」という。そういうことであれば、非常に重要なテーマじゃないかと思います。

【佐藤フェロー】  「などによる」ならいいのですよ。

【二瓶主査】  「などによる」か。

【杉浦委員】  「などによる」ですね。

【佐藤フェロー】  「など災害」というので、地震を予知するということになるわけです。

【杉浦委員】  そうです。

【二瓶主査】  先生、どうぞ。

【菅野委員】  これ、実はバイオの状況と似ているかなと思うのですね。こういう、いわゆる地震、台風とかをやっている人たちは、現象のプロです。ちょうど医者が病気のプロであるように。ところが、病気の診断をする、例えば、CTスキャンだとかMRIというのは、物理現象をやって、機械工学をやって、それからソフトウェアをやってという、そういう医者ではないプロの関与が必要なわけです。だから、僕は、極端なことを言うと、オンリーワン、ナンバーワンの地震計をつくるというようなことを考えたときに、残念ながら、地震学者はつくれないと思います。これは、やっぱり物理学者や工学者や、そういうソフトウェアをつくる人が集まって、それで一体何を測りたいのだと。加速度なのか、ずれなのか、それをどういう形で測りたいんだということを地震の学者とやりとりした上で、それであれば、光ファイバーを使って、こういうやり方でつくったら、もうオンリーワンのものがつくれるのではないかということです。それをするのは防災研究所なのかというと、防災研究所ではないわけです。そういうものこそ、こういう先端機器開発のところでやるべきです。だから、僕はこれでいいと思います。トップダウンでそういうところでものをつくりましょうと。それをつくることによって、今まで見えないところが見えるようになるというのだったら、これは非常にいいことなのではないでしょうか。
 だから、違和感があるのは、今までシーズオリエンテッドでテーマ設定してきましたから、シーズが並ばないと違和感があって、ニーズが並んじゃうと、これは我々の仕事ではないように思うのですが、やはりこの小委員会の役割は、そのニーズのところを見て、それをブレークダウンする。シーズにブレークダウンするところを、JSTや小委員会がやって公募要項をつくるという流れではないでしょうか。だから、僕はこれでいいのではないかという気がします。

【二瓶主査】  ありがとうございます。
 何かご意見ありますか。

【近藤委員】  それは除外しませんが、逆に、災害そのものに対するものも、もちろん重要な項目として含んでいればいいと思います。

【菅野委員】  それはそうです。

【近藤委員】  あと、地震の専門家が測定器をつくれないというのは違いまして、私の研究室はエレキのボードをちゃんとやる人がいて、自分たちであれしているのですね。だから、それはやっているのです、実際は。ただ、それを加速するという意味ではいいのかもしれませんが。

【二瓶主査】  ありがとうございます。
 つけ加えさせていただきますが、先ほど竹内委員が仰いましたことについて、この資料の中で、大体はこの論点1の領域設定に対応しているんですが、瓦れき処理に適用可能なものというのは対応するものがないのですよ。それで、何のためにこれが役に立つかというと、瓦れき処理でアスベスト類が飛散して、それを作業者が吸引して健康被害を受ける、それをアスベストでなければ誰がやっても構わないけど、アスベスト発塵があるようなケースを早急に現場で検知したいというときに役に立つものなのですね。
 ご提案ですが、ア)、イ)、ウ)とありますが、エ)をつくっていただいて、やはり健康被害の項目をお入れになると、これが含まれるのではないかと思います。今の段階では、そこまでしか申しませんが、検討するということでいかがでしょうか。

【佐藤フェロー】  イ)の中に入りませんか。「地震・津波、台風などによる災害及び健康被害にかかわる」でいかがでしょうか。

【二瓶主査】  そのように、「健康」という言葉が入ればよろしいと思います。この案だとその言葉が表に出てきていないので。

【佐藤フェロー】  わざわざ入れる必要はないように思います。

【二瓶主査】  項目を新たにつくればいいのか、あるいは、言葉を補えばいいのか、事務局でご検討いただければと思います。

【柿田基盤研究課長】  はい。

【二瓶主査】  ほか、大体このくらいでよろしいですか。大分時間をかけました。何かぜひご発言をということがあれば、仰っていただければと思います。
 大島先生、いかがですか。

【大島委員】  私もタスクフォースに加わらせていただいて、先ほどのいろいろな議論を聞かせていただきました。
 私自身は、今までこういう政策を決めるところにはあまりタッチせずに、むしろ研究者としてナンバーワン、オンリーワンを目指してやっていたものですから、ここで議論されているものはとても時間的なスケールが短いように感じました。私がやっていた仕事ですと、もともと予定していた時間をはるかに過ぎてしまって、終わって、また次のステップ、その次のステップぐらいで実際に実現するということが多々あるので、ここで要求する3年、5年である目標を達成しなければいけないというのは、オンリーワン、ナンバーワンでファンダメンタルなところをねらう人にとってはかなり厳しいなと感じました。多分、その次のステップをねらうということになるだろうと思うのですが、ある程度目標は決まっている、それから、成果も出ている、それで、更にそれを加速するということかなとは思っております。

【二瓶主査】  ありがとうございます。
 それから、江原委員。例えば、現在よく使われているガンマ線検出器の結晶シンチレータなどのご専門かと思いますので、何かそのようなテーマに関連しご発言をいただけるとありがたいんですが。

【江原委員】  そうですね。テーマというか、まずこの公募テーマの設定に向けてというのは、この基本的な進め方は大いに大賛成です。
 それと、今、放射線関連というのは、いろんな考え方があるものですから、私のほうでまとめてから皆さんへ発表させていただきたいなと思います。
 それと、あと、玉田先生が仰られていた公募についてですが、私ども、中小企業で公募して、採用していただければなといつも思っているのですけれども、やはり時間的なもの、特に私どもなんかは、しょっちゅうホームページとかを見ているので、公募期間自体はそんなに短いとは思いません。それと、締め切りが大体3月末とか4月あたり。その後、採択になって、実際に予算が使えるというのが、大体8月ですね。私どもの場合だと、大体もう4月、5月にはいろんな機材を発注したい。発注して、入ってきたものは一切予算から削除されてしまう。中小企業にしてみると、そこがすごくやりにくいところで、結局、何度も私ども、JSTの公募に応募しないで、自社でなり、企業さんを見つけて一緒にやらせていただいたというのがあって、その辺をちょっとJSTで検討していただければなと思います。

【二瓶主査】  ありがとうございました。

【小原委員】  採択した後、募集を終えた後、資金を提供されるまでの期間がものすごく長いということでしょうか。

【江原委員】  そうですね。だから、さかのぼって認めてくれるとか、そういう救済手段があると、企業のほうは、どっちにしろ、多分やるとは思うんですけれども、そういう手段があると非常に応募しやすいなと思います。

【二瓶主査】  ありがとうございました。
 それでは、この議題は以上とさせていただきまして、次の議題(2)ですが、大分時間が詰まっておりますが、議題(2)の平成23年度公募採択状況について、JSTよりご説明をお願いいたします。資料4ですね。

【安藤参事役】  はい。それでは、今年度の採択状況につきましてご報告をいたします。この資料そのものは、既にホームページで公開しているプレス発表資料でございます。
 平成23年度は、今年の2月下旬から、震災を挟みまして、5月の中旬まで応募をいたしました。当初、4月としていた締め切りを一月ほど延ばしまして、全国から267件の応募がございました。全体の数としては、10%程度申請がアップしているという状況でございました。結果、17件の採択をしたという状況でございます。
 それで、次のページ以降、それぞれ各タイプの内容ですが、7ページなんですけれども、審査員の一覧というのがございます。実は、昨年度までの委員会と多少入れかえをさせていただきまして、こういう形で新しく委員長に市川先生、それから、副委員長に石渡先生という形にし、それに加え何人かの委員の先生も入れかえながら、新しい体制で審査をしたということです。
 10ページ、11ページ、これが選考の観点で、先ほども触れましたが、今回、機器開発タイプの中で、領域設定としてアクション・プラン対応の課題を設定しておりますので、これについては、政策対応型ということで、特別な審査基準、あるいは審査体制のもと採択をしております。
 それから、13ページですけれども、要素技術が183件ということで、前年が150件だったものですから、30件ぐらい増えているということで、かなり人気がございますが、結果は8件ということで、23倍という倍率でございました。
 それから、機器開発タイプにつきましては、64件ということで、これも1割ぐらい増えておりますけれども、結果、これも16倍というかなり狭き門でございました。
 領域特定ですが、アクション・プラン対応以外の、高性能レーザを用いた計測、これは実は昨年度議論いただいて領域を設定したものでございまして、引き続き2年目に応募したというものでございます。それから、3次元の構造解析及び可視化、これはたしかその前の年ぐらいだったかと思いますが、から引き継いで領域設定をしたものを応募したというものでございます。結果、今回は領域特定型ではアクション・プラン対応の課題のみ2課題採択と、それから、非特定領域の中から2件採択ということでした。
 それから、ソフトウェア開発とプロトタイプ実証・実用化につきましては、なかなか応募が少なくなっておりまして、それはなぜかと言いますと、プロトタイプ機が既に完成されているという条件の下で応募するものですから、なかなかそういうテーマが少なくなっているという状況かもしれませんので、応募が少しずつ減っているという状況です。
 ただ、今回のタスクフォースのレポートにもあったかと思いますが、ステップアップを重視する観点からしますと、実は今回採択された、例えば、機器開発タイプの非特定領域の2件につきましては、まさにステップアップしたものでございますし、プロトタイプ実証・実用化につきましても、4件すべてステップアップした課題である。ソフトウェア開発についても、調査研究からステップアップしたということで、そういう意味では、当初のもくろみどおり、ステップアップした課題が、結果ですけれども、採択をされているということで、そういう意味ではいい流れにはなっているのではないかなと思っております。
 それから、セクター別の傾向については、大体いつも大学が多いとか、今回はちょっと独法も頑張って、たくさん申請をいただいているところで、そのような状況です。
 最後のページは、ライフサイエンス系やナノテク関係の課題が、採択した結果多かったという状況でございます。
 説明は以上です。

【二瓶主査】  ありがとうございました。
 大変申し訳ありません。先ほどの議題のまとめを怠りまして、2分ほどお時間をいただきますが、先ほどご議論いただきました資料2-1の中間報告、大分時間をかけてご意見をいただきました。大変ありがとうございます。そのご意見をもとに、この資料を修正した上で、小委員会決定という形にさせていただきたいと思います。それから、10月14日に、この委員会の上部委員会である研究開発プラットフォーム委員会がありますが、その委員会に小委員会決定事項として報告させていただきたいと考えております。そういう意味で、修正結果は、これはメールでご覧いただけることにするのでしょうか。

【柿田基盤研究課長】  そうさせていただきたいと思います。

【二瓶主査】  そういう形とさせていただければと思いまして、本日は私にお預けいただきますようにお願い申し上げます。
 それでは、ただいま安藤調査役からのご説明に関して、何かご意見、ご質問等ございますでしょうか。
 よろしければ、ご了承いただいたということで、先に進めさせていただきます。どうもありがとうございました。
 それでは、まず先ほどご議論いただきました重点開発領域につきましては、公募テーマのくくり方、先ほど大分ご意見いただきましたので事務局とも相談して決めて、今後の審議のプロセス、それのどのようなカテゴリーに分け、どう進めるかということを検討したいと思っております。またご協力をお願い申し上げますが、その折にはどうぞよろしくお願い申し上げます。要するに、カテゴリー分けをして、各チームに本委員会の委員の先生方にそれぞれ分属をしていただいて、ご議論をともに進めていく際にご協力をいただければと考えております。
 本日の議題は以上でございます。事務局から何か連絡事項はありますか。

○ 竹上基盤研究課課長補佐より、今後の予定について説明があった。

【二瓶主査】  それでは、本日の委員会、これで終了させていただきます。ご多忙の折に長時間ご議論いただきまして、大変ありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

―― 了 ――

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