研究開発プラットフォーム委員会(第14回) 議事録

1.日時

平成26年7月7日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 3階1特別会議室

3.議題

  1. 共用プラットフォームの取組について
  2. その他

4.出席者

委員

二瓶主査、宇川主査代理、今仲委員、佐藤委員、中村委員、瀧澤委員、長野委員、西島委員、村上委員、吉川委員、吉澤委員、野田委員、福嶋委員、森委員

文部科学省

川上科学技術・学術政策局長、伊藤科学技術・学術政策局次長、弦本研究開発基盤課長、工藤量子放射線研究推進室長

5.議事録

第14回 科学技術・学術審議会 先端研究基盤部会
研究開発プラットフォーム委員会
平成26年7月7日


【二瓶主査】  定刻になりましたので、本日の会議を始めさせていただきたいと思います。本日、第14回研究開発プラットフォーム委員会でございます。
本日の議題は、お手元議事次第にございますとおり「共用プラットフォームの取組について」を予定しております。
それでは、事務局より出席者の御確認と、配付資料の確認等をお願い申し上げます。

○三宅研究開発基盤課課長補佐より、出席者の紹介と配付資料の確認があった。

【二瓶主査】  ありがとうございました。よろしゅうございますか。
それでは、本日の議題、「共用プラットフォームの取組について」に入りたいと思います。
本委員会におきましては、我が国の科学技術イノベーションを考える、支えるプラットフォーム構築に向け、先端的な研究基盤の整備や運用等の方策について検討を行うこととしております。また、その検討を進めるに当たり、前回と前々回の2回にわたって、実際に様々な共用プラットフォームの取組を実施している関係諸機関から、取組の状況についてヒアリングを行いました。その結果、各プラットフォームの現状を把握するとともに、各プラットフォームが抱えている課題並びに問題点等が抽出されました。これらについて事務局で整理を行いましたので、事務局よりヒアリングの結果について御説明をお願いいたします。

○三宅研究開発基盤課課長補佐より、資料2に基づき説明があった。

【二瓶主査】  ありがとうございました。資料2は、2回にわたりまして行いましたヒアリングのための研究開発プラットフォーム委員会において提示されました皆様方サイドの御説明です。その中で出てまいりました主な取組、主な課題等の概要をまとめてございます。一方、本委員会の委員から提示されましたコメントについてもまとめていただいたところであります。いかがでございましょう。当事者の目から見て、何か抜けている部分、あるいは委員としてつけ加えるべきコメント、そのようなものがあれば御指摘いただければと思います。
よろしゅうございますか。私ども伺っておりまして、それぞれのプラットフォームが結成されて以来、かなりのプラットフォームにおいて既に多くの部分が完成しつつある、そのようなところもございますれば、比較的発足後間もないところもございます。ただ、この資料を拝見してもお分かりいただけますように、共通する部分というのがかなりございます。それは共通する部分が一番、言うならば本委員会で検討すべき大事な部分ということになりますが、そのような点について様々な御指摘がいただけたというように思っております。
もしよろしいようでしたら、次の話題、すなわち資料3についての議論に移りたいと思いますが、よろしゅうございますか。それでは、事務局から資料3の御説明をお願いいたします。

○三宅研究開発基盤課課長補佐より、資料3に基づき説明があった。

【二瓶主査】  ありがとうございました。資料3について御説明いただいたところでありますが、本日の議事は、この資料3が主要な資料になります。特に現状について、それからヒアリングの概要、その実施内容、これについては既に各委員よく御存じのとおりでございますが、一番大事なところは今後の検討方針ということになろうかと思います。
まず、1つ私から特段に指摘しておきたい点として、3ページ目の中段にございます、「科学技術イノベーション総合戦略2014」、これは本年の6月24日の閣議決定でございますから、直近の政府決定ということになります。この文書は、実はちょうど1年ほど前に科学技術イノベーション総合戦略というものが、サブタイトルがちょっと異なりますが、出されていたかと存じます。委員の先生方御存じかと思いますが。その内容を踏まえて、最新版としてリバイスしたと、そういう内容でございます。
その中に、ここに引いていただいておりますが、プラットフォームの必要性ということが指摘されております。手前みそでございますが、本委員会発足後2年強の時間をかけて、研究開発プラットフォームの必要性について、あるいは種々の課題について、あるいは新たに幾つかのプラットフォームを作ったという実績もございます。そのような経過を踏まえて、科学技術イノベーション総合戦略として、プラットフォームの必要性ということが極めて高いレベルの文書の中で指摘されているということは、喜ぶべきことであろうというふうに思いますが、逆に申しますと、ここまできましたので、本委員会としては更に今後何をすべきかということが大事な、そういう時期になってきたというように感じております。
本日は先生方、どんな観点からでも結構でございますので、御意見を頂きまして、本委員会の議論を更に先に進めたいというふうに考えております。いかがですか。どうぞ。

【西島委員】  皆さんが考えていただいているうちにちょっと。ここにはさらっと書いてあるのですけれども、1ページ目のところに、このプラットフォームの役割のときに、技術先導型、課題達成型、地域連携型ということで、とりあえずというか、技術先導型のプラットフォームとしてNMRと光ビームという形にしたのですけれども、考え方によると、技術先導型のプラットフォームとして採択されたNMRと光ビームは、幸いなことに、地域としては、例えばNMRの場合は関東と関西、あるいは光ビームの場合は日本全国をほぼカバーしているし、それから、技術先導型という形をとるならば、当然最先端の課題達成ができないようなところでは魅力がないところで、機器の高度化もなされたとの印象です。このような状況を考えると、更に課題達成、地域連携というカテゴリーに拡大することなく、既にこの二つでプラットフォームとしてはある程度出そろったので、ここを磨いていく、充実していくという方向という、どういうふうに考えるのかということと、今主査がおっしゃった、2014の科学技術イノベーション戦略との整合性をどうするのか。
特に若手の技術者の人材育成なんかを考えていくと、更にやはり課題達成型、地域連携型というものについてのプラットフォームを展開して広めていくのかと。守るのか、もっと広げるのかという、ちょっと観点が違うのかもしれませんけれども、そこをちょっとお聞きしたい。
特に今ある、34施設で既存プラットフォームに含まれていない先端施設について、できればほかのもうまく連携してプラットフォーム化していくということが、この今回のプラットフォームでの問題点、課題点を踏まえて、例えば次にプラットフォームを公募するときには、そういうプラットフォームの課題解決ができるようなところを選択するとかというところになるので、私としては積極的に考えればいいのかなと思うので、その辺の考え方はどうでしょうか。予算があればの話ですが。

【弦本研究開発基盤課長】  もちろん予算があればと思うのですけれども。昨年、概算要求をした課題達成型は、予算状況が厳しくて実現できなかったということがありますので、他の型についても実現はしていきたいと考えております。今は34施設の中で基本的に何とか型という形でプラットフォームを作っているのですけれども、将来的には34施設から枠をはみ出た形ででも、特に課題達成型とか地域連携型になると、そういう形でも考えたいと思っております。
また、今、先生の御指摘で、確かにNMRと光ビームが関東と関西で分かれていたり、全日本になっていたりということで、大きく捉えれば確かに課題達成型ではあるかなと思います。ただ、実際に作ったときは機器に着目した技術先導型という位置付けですけれども、それ以外にナノテクノロジープラットフォームが、例えば物を作るとか、そういう課題に応じてサブプラットフォームがあるように、我々も課題達成型というのを、できれば作っていきたいと予算状況の許す限りで思っています。

【二瓶主査】  よろしゅうございますか。私、今の御議論を伺っておりまして、ナノテクノロジープラットフォームですね、これはいわゆる技術の先導という内容に加えて、いわゆるナノテクノロジー、あるいはナノ材料の創成ですとか解析ですとか、いわゆるナノテクノロジーという全体像が既に1つの課題であるという意味で、ある意味で課題達成型の構成をとっているように感じております。
もちろんこの課題というのはいろいろな考え方がありますから、今後いろいろなアイデアが出てきて、そういうプラットフォームができる可能性は大いにあり得るということですので、御指摘の点、どういうふうに更に広げるのか、今あるものをもっと深めて強固なものにしていくのか。西島委員の御指摘のように、現在あるプラットフォームをもっと横につなげて、この研究開発プラットフォームという構想の中に課題が幾つかあると。その課題を解決するというのが、一方では先ほどのヒアリング等で出ております人材育成ですとか、キャリアパスの確保ですとか、いろいろな特に人に関する課題というのが多々あるということは非常に明らかになっておりますから、そういうものを先鋭化していくと。それを解決するための仕組みを構築しておくという考え方もあろうかと思います。
この点について、何か御意見ございますか。どうぞ。

【森委員】  今、二瓶先生がおっしゃった人の問題というのは、これからやはり大事だと思います。かなりの予算が装置を整え、またそれをオープンにするためのところに使われているのですけれども、実際このプラットフォームを運営しておられる、例えば大学の先生方などに聞きますと、それをやることによる、やはり時間的な制約とかも多くございまして、本当に自分のエフォートのどこまでをそこに注ぎ込んだらいいのか。それは注ぎ込めば注ぎ込むほど、もちろん支援の成果は上がるわけですけれども、そこをやはり逡巡しておられるトップレベルの研究者というのは少なくないと思います。
今の補助金や委託費で走っているこういう事業では、人の雇用は期限を切った雇用にならざるを得ないところがあるのです。したがって、それは例えば大学ですと特任研究員というような形で、特任助教とか、そういう形で雇用するのですけれども、私はその体制をとっている限りは、なかなか今、ヘッドにおられて本当に力を持っておられるけれども、自分の研究もあるので、この研究支援事業になかなか思い切り時間を割けないというところのジレンマを解決するような人事策を、お金が、予算があるのであれば、例えば今話題になっていますナノテクノロジープラットフォームは、24年から発足して、一応10年間と聞いておりますので、文科省の方の御努力だと思うのですけれども、今後額は減額されていくのかもしれませんけれども、ある程度の期間補助されることが、経費的な裏付けがあるとすると、その使い方を今のような年限を切った雇用で、特任教授とかそういう形で知識のある方、能力のある方を雇用するのではなくて、もっと実際にかかわっている研究者のプラスになるような形で人を雇う制度が考えられるべきだと思います。
それは例えば、大学の場合ですと、マル付き定員というような呼び方を私の近くの大学ではしているのですけれども、それは自動的に期限がくるのです。その定員に対しては、例えば10年だったら10年でこのポストはなくなりますという形の定員です。それはそういう仕掛けをとる以上、総定員が増えていくわけではありません。でも、やりたい施策のところに重点的に、能力を持った人のマンパワーを投入できる利点があります。
私は今走っているいろいろな研究支援のプロジェクト、あるいはプラットフォームの中で、何か事務方で工夫していただくことによって、そういう形の今までではない次元で、特任で期限を切ってやるのではなくて、もう少し今、実施責任者になっている先生にとってプラスになるような人事の施策があり得るのだと思うのですけれども、そういう観点もちょっと事務局で検討していただけたら、より有効かと思います。今、本当に大学や独法が持っている学術の力と民間の活力をタイアップ、適合させて、新しい革新的な技術開発につなげていくことが望まれているわけですけれども、どうしても全力が挙げられていない、そういうケースがあると思います。それは担当者の研究者のところに、そのような躊躇する要因が1つはあるのだと思います。私は、人に対するお金の使い方のところで、そういうより実りのあるやり方があるのではないかというふうに考えております。

【二瓶主査】  ありがとうございます。どうぞ。

【福嶋委員】  今の森先生の御意見と全く同じ考えでいまして、1つ前に説明していただいた課題にしましても、今回の課題にしても、やはり人の問題。特に期限付の人と、それから、技術サポートの人たちをどうするかというのが、どのプラットフォームでも問題になっていて、西島さんがおっしゃるように、制度を充実するにしてもそこをどうするかというのが一番重要であって。私はこの委員会で、その議論をいつするのかなと楽しみというか、具体的アイデアがないのであてられたら困ると心配していたのですけれども。あとどのぐらいあるのか知りませんけれども、そこで事務方に考えていただく以上に、それを考えるのがどうも委員の使命であり、そのために旅費をもらって来ているのかなと思いっていました。
ですから、今後主査がおっしゃるように、何を議論するか、今後何をするかというと、森先生がおっしゃるように、今の人の問題で。多分予算というのは、そんなに増えるものではないと推測される中でどうしていくかというのを、産業界も含めて考えなければいけないというのが一番大事なことだと思っていますけれども。以上です。

【二瓶主査】  ありがとうございます。どうぞ。

【森委員】  ちょっと補足させていただきます。私は独自に非公式に所要経費に関してお聞きしました。本当にそれを実施責任者としてやっている教授が、研究と支援とを両立させるために、例えばもう1人その人のそばに教授を置くというようなことに関わる、時限付きの教授の経費をお尋ねしたところ、それは考えている水準にもよるのだけれども、年間のお給料の、例えば1,200万円だったら1,200万円に、あと退職金の数百万を足したもの、つまり、お一人当たり年間1,500万円程度を、その当該の大学なり、当該の法人なりの経理へ、恐らくですけれども、経理へ直接入れるようなことができれば、その機関にとっての時限付きの、その機関の中で雇用している時限付きの定員になり得るということをお聞きしました。
だから、もし何かのプロジェクトで全国に10人そういう先生を作って、そこを強化するということをもしされるにしても、1億5,000万円程度ということになります。だから、今もらっておられる、文科省の方が調えてきていただいているお金の中から、それぞれの事業の大きさにもよるでしょうけれども、そのプロジェクトで例えば全国に10人選ぶとかということになったときに、年間1億5,000万円程度の経費のようです。ただ、私がお聞きした人も、事務的なことが少しあって、そういうプロジェクトのお金を経常的な大学なり法人の人件費の中に入れ込むことができるのかどうか。そこについては、私の聞いた方にはお答えいただけませんでした。ただ、額としてはその程度ですと、退職金つけてその程度ですとおっしゃいました。参考です。

【二瓶主査】  ありがとうございました。どうぞ。

【吉澤委員】  幾つかのプラットフォーム、それぞれ皆置かれている細かい微細な構造が違うので、1つ全体で統一的に議論するのは難しいのですけれども、結局人の問題、人を育てる問題も、プラットフォームの中の評価基準の中に、やはりコーディネーターをきちんと置いて、何人置いて、どれだけの活動をしてもらいましたかということを、今後今あるプラットフォームを評価していくことが起きてくると思うので、そのときに文科省としては、こういうことをきちんとやっていってくださいということの1つとして、コーディネーターや技術支援者を何人用意できたかということを評価基準にすることが、今、人を育てて、あるいは給与を確保して10年雇用するとかいう具体的なことも、多分政策として立案していくときの考え方の方向性と、具体的な施策で今、選んでいるプラットフォームが、これから3年間とか5年間どういう活動をしてもらいたいのか。
その中でどういう評価でそれを評価していくのかということを施策に落とし込んでいくと、抽象的に人を育てられたり、長い間その人を、人材育成プラットフォームができたりすればいいのだけどなと言っていても、多分具体的な施策に落とし込んでいかなきゃいけないので、その辺は今見えている中だと、コーディネーターや産業利用の推進をきちんとやってもらう。そのための特任の定員なり何か名称を用意して、そういう役職の人をプラットフォームでは用意しましょうということを施策にしていただくと、もう少し具体的に進められるのではないかなと思います。
それから、ナノプラットフォームは、やはり野田先生が委員で、議論を聞いていて運営されているので、どういう意図でやってプラットフォームを作っていかなきゃいけないかということをよく分かっているので、ヒアリングのときに聞かせていただいていても、それが反映されて、それがまた次の2期に入っているという、うまくいっている1つのモデルケースだろうなと思ったのですが。下のレベルでその話をすると、それぞれにたくさんいろいろな研究所や大学があって、いろいろな装置を持っていたのだけれども、1つのナノプラットフォーム化の具体的ないいところというのが、それを見える化して、稼働率を全部赤裸々に文科省が把握できるようになった。だから、それを有効に使うようにということが施策として打てるようになって、最終的には大目標である研究開発力の強化策につながっていくので、見えるようになったというのは、非常に大事だと思うのですね。
ですから、光プラットフォームも今やっとできてスタートしていますけれども、じゃあ課題公募、それぞれの施設、やはり施設ごとでやると施設の論理なので、我が方は年に2回やっています、3回やっています、それぞれ皆さんやっているのだけれども、プラットフォーム化するのであれば、それを一元化するというのを、やはりプラットフォームの施策としての評価基準に国が設定していただければ、否応なく組織の論理を超えて、窓口一本化ワンストップサービスというのは楽ですけれども、それを実現しているかといったら、何らかの仕掛けがないと実現していないのですよね。産業利用の推進もそうなのですよ。
だから、そういうところをきちんとプラットフォームという施策を打つためには、これが評価基準であり、そのための施策を打っていくぞということを、ここで皆さんに具体的に議論していただいて、方向性をまとめていただいたら。そうすると、プラットフォームに採択されている現場をやっている方々も、これが評価基準だから、ここを国はやってほしいのだなということが明確になると、対応もとりやすいのではないかと思います。

【二瓶主査】  ありがとうございました。今の御議論で、大変大事だと思いましたのは、確かに今、三十幾つ、いわばサブプラットフォームと読めば、もちろんもっと大きいのもあるかもしれませんが、その要素群があると。それを全体として束ねれば、人材育成の面、例えばキャリアパスの形成、それから今御指摘の、各プラットフォームのパフォーマンスが一挙に広く知れ渡る。いわゆる見える化が達成できる。誰が見ても、どこでこういうことがされていて、それを支えるこういう人たちがいて、こういう優れたパフォーマンスが生まれているなどということが、全国的に関係者に広く知れ渡る。これが一番単純な意味でのプラットフォーム化のメリットなのではないかと思います。
そういう点を考えますと、先ほど西島委員の御指摘にもありましたように、そろそろ横につなげて、プラットフォーム体制を強化するというような方向もあり得るのではないかというような印象を持ちます。何か御意見いただければ幸いです。どうぞ。

【佐藤委員】  ちょっと観点が違うかもしれないのですけれども、私、3回ぐらいしかまだ出ていないので、この委員会としての求めるところが十分理解できているかどうかというのは難しいのですけれども。
何をもってイノベーションというのかとか、それから、プラットフォームって結局、最終的にはどう考えればいいのかという、そこの問題をちょっと上から見ないと、各論に入っちゃうと、恐らくいろいろな人の問題だとか、足りないよとか、それは我々も足りない、足りないといつも言っているので。それから、横をつなげればいいのではないかといろいろ言っているつもりでいるのですけれども、なかなかそれができないというのは何故かというのを考えると、いわゆるイノベーションというのは、結局科学技術でもって限界とか未踏の技術を開発して、新しい価値を創造していくということでしょうから、そのためにそれぞれのプラットフォームというか共用のプラットフォームはどういうふうに位置付けられて、どういうふうに今まで成果を出してきたのかということに、少し戻らなければいけないかもしれないというのが1点。
それと継続的に生み出そうとしているのがプラットフォームであって、価値を継続的に生み出したいがために土台を作りたいわけですね。共通的な土台を作って、その中からあるものを開発しようとしたら、ほかはできていて、この部分だけちょっと変えれば、あとは大きな価値が生み出せますよというようなことにつながるのがプラットフォームだと思うので、そういう観点で見直してみるとどうなのかというふうに、ちょっと考え直してみなければいけないのかなと思います。
それからもう一つは、人材の問題は、私も大学にいて、つくづく人材不足というか、枠がない。みんないろいろなことをやりたいのだけれども、人の枠がないというのが本当に苦労した経緯があるのですけれども。結局、企業も同じだと思うのですけれども、何をもって大きな価値を生み出すかという、国家的な課題を含めて、この問題を解決したらどのぐらいの価値を生み出せるのかということをちゃんと評価していない。やはりちゃんとそこを評価しないと、いわゆる「京」を使って、要するに人間ではできないシミュレーションをやって、それが人類のこういうことの解決ができて、これだけの価値を将来的に生み出せますよねと。それをある程度数値的に、半定量的に生み出せれば、これだけの価値を生み出せるのだから、これぐらいの予算、あるいはこれぐらいの人員は確保してくださいよということは当然要求できるわけで。その辺を明快にしながらやらないと、金があれば人が雇えるのではないかとか、いろいろなことの問題にきてしまうので、そこのところの問題をちゃんとクリアにしていかないと難しいのではないか。
そうすると、評価方法だとか、あるいは国家プロジェクトとしての診断の方法だとか、そういう方法自体もちょっと作っていかないと、多分今のままの評価法ではなかなか。ほかの委員会でも僕はちょっと盛んに言い続けているのですけれども、ニーズとか課題というのをどうやってつかまえているのかという話と、やったプロジェクトがどういうふうに評価されて、どれだけの波及効果を含めて価値を生み出したのかってどうやって評価できるのですか。そこを作らないと、結局国のプロジェクトをいくらやったって、価値を正当に評価できないのではないですかという話を盛んに今言っているのですけれども、それとかなりつながるなという思いをしたので、西島先生の言っている、横をつなげるという話も、そういう価値をどれだけ生み出せるかということに、だからこうつなげようと言えば多分つながってくるはずで。まあ、ニワトリと卵の関係が出てくるかもしれませんけれども、そういうこともちょっと考えながら、戦略を立てる必要があるかなというふうに思いました。

【二瓶主査】  西島さん、いかがですか。

【西島委員】  課題解決型ということが、少し言われ過ぎているかなという気もしますけれどもね、正直言って。要するに、課題解決型が言われ過ぎると、短期決戦型で小さな目標になってしまうところもちょっとあるので、その辺も含めて、さっき言った、このプラットフォームで10年間の人材をやるのであれば、やはり10年後を見据えた大きな課題解決を見なきゃいけないのだけれども、先生がおっしゃったように、評価が短期決戦型になってくると、少し小さなテーマになり過ぎているなという気がしますよね。そこをちょっといつも危惧はしていますので。評価というのは、まさしくそういうところも含めてやるのだと思うのです。
例えば、創薬というと、耳触りはいいし、薬をやることに対して誰も反対しないのだけれども、5年ですぐ新薬の卵がかえるのが見えるようだったら、製薬会社は困らないわけでね。そういうようなことも含めて、むしろ根源に関わるような基礎的な基盤的な研究をしっかり育てていく。そういうのを企業はなかなかできないので、企業ができないような大きなテーマとか、そういう創薬の根源に関わるようなものについてやると。そのために必要な最先端計測、いわゆる実測と高度シミュレーション等の融合が重要です。例えば、そういうものを学官中心でやってもらいたいというのが、産業界の本音なのではないかなというふうに思うのですね。本当にやってすぐに出るものについては、はっきり言いまして、国を待っている時間はないので、企業がどんとお金を注ぎ込むのですが、どんと注ぎ込むにはリスクが高い分野、例えば、それが多分基礎・基盤研究だと思うのです。
人を育てるというのは、まさにそういう部分であって、特に、話は飛んでしまうけれども、さっき言った研究支援をやるような方というのは、地道にやる方が多いので、そういう人にうまくキャリアを積ませて評価するということが、なかなか日本はできないと思うのですけれども、そこをしっかりやらないと、日本は恐らく科学技術立国として存続が難しい。隣にはやたら人件費が安くて人数が多い国がたくさんありますから、そういうところに勝つためには、今やっている技術支援の人たちが安心して職務に専念しつつ、力を磨いていける環境構築が重要であるということを我が国として再認識すべきでしょう。このプラットフォームというのは、あちこちで人材育成と言われていますけれども、どういう技術を持った人がどういう支援をするかというのは、意外と描きやすいのではないかなと思うのですね、ほかに比べると。
そういう意味では、ここで技術支援とか、ここでキャリアを積んだ人たちがこういう形で認められて、ここで育った人がこういうふうに活躍したというのは、意外と描きやすいのではないかなというふうに思うので、佐藤先生のおっしゃった、もちろんそういうイノベーションは何かというのはありますけれども、1つ人材育成という部分に論点を絞って、ここは意外とできやすいのではないかなと。場合によっては、同じ拠点間を異動させてやって、技術を磨いていって、そういう基礎技術を学んでいった、1つのことではなくて2つの領域を分かるような技術者。それがキャリアパスになっていって、その人たちの雇用を磨いていたというのは、実績としては残しやすいのではないかなというふうには、一応感じているのですけれども。

【二瓶主査】  今、お二人の委員のおっしゃったことは大変大事なことだと思うのですね。要するに、横につなげるということは、類型化しやすいという面もありますし、どこの拠点ではどういう人材が必要かということも、みんなが知ることができる。当然それは1つのキャリアパスの母体になるわけで。1か所にずっと、10年でやめなければならないというふうに考えるのか、2年ごとにいろいろな拠点で、いろいろな科学技術の分野を学ぶというふうに考えるのか、これはもちろん個々の人の人生設計と関わりますけれども、比較的若い人たちは、2年ずつぐらい異動していった方がずっと力量、キャリアを積めるわけですよね。多くの場合そうだと思うのですが。そういう仕組みができれば、それはそれですばらしい。
一言で言えば、一体今ここで研究開発のためのプラットフォームをどう作る。そのサブプラットフォームが現状これだけある。新たにどういうものが必要だ。あるいは、現在あるプラットフォームでどういう人材が必要とされているか。それが見えるようになれば、それだけで人材育成の1つのモデルができるような気もするのですね。そのあたり、要するに、各項目の課題というのは非常にはっきりしてきているのですけれども、じゃあそれをどう解決するかという解決の手段は、1か所で考えていてもなかなかできないと、万能ではないと。複数のところを束ねれば、いろいろな形でそれをお互いに相互的に役立てることもできる。あるいは、マスが大きくなるということが、その分野の重要性を示す根拠にもなる。いろいろな意味で実績評価につながるのではないかという、そんな感じがするのですけれども、いかがでしょうか。どうぞ。

【福嶋委員】  今おっしゃった、マスを大きくするというのは大変賛成なのですけれども、非常に卑近な例でいいますと、いろいろなプラットフォームを含めて組織がいっぱいあって、その中で多分優秀な人は、あちこち引っ張りだこになると思うのですけれども。
そのときに、我々のところでもあったのですけれども、まず考えるのは、生涯賃金を考えるわけですね。そうしたら、余り動くと退職金も含めて大変不利になってしまう。そこを考えて動けない人、動かない人も随分いるのです。ですから、いろいろな組織があって、その中で動きやすい、まさに先ほどおっしゃった経理上、事務上のシステムというのも、あるようでないわけですよね。そういう具体的なところから考えていかなければいけないですし、我々豊田中研でも、実は期限付人間を採ったりしているのですけれども、余り心配しなくても、いい仕事をした人はちゃんと次のポストが見つかっています。それが結局はキャリアパスができやすいような、システムが必要だと考えます。
それがやはり小さな組織がいっぱいあるがために、例えばどこかの法人からどこかの法人に移ったときに、その人は単に引っ越すというだけじゃなくて、いろいろな意味で動きやすい状況になっているかというと、必ずしもそうじゃない。そういうところをまさに考えていかなきゃいけないところがあるのではないかと思いますけれども。

【二瓶主査】  どうぞ。

【村上委員】  やはり今の流動化という意味では、動いて得するというシステムじゃないと、多分誰も動かないと思うのです。給与関係で年俸制にするとか、そういう手法はあるかもしれませんが、一方で、技術者というか科学者として、動いた方が得だという部分をどう作るかということだと思うのですけれども。
ちょっとこの技術先導型というネットワークの考え方の基本に立ち戻って述べたいのですけれども、これってやはり各拠点で、今までにない技術的な先導的なものを各拠点で作っていくというところにまず1つ、もちろんそれをネットワーク化するというのは次の段階としてあるとしても、各拠点でいかに先端的な技術を作り得るかというところの評価も、やはり要るのだと思うのです。そのためには、このネットワークに参画している人たちと、各拠点の非常に深くいろいろな手法を研究している人たちとの間の、もしかしたらそこの人材交流も、本当は重要なのではないかなと思っています、拠点の中での。
もしそういう、非常にその拠点に特徴的な、唯一無二の技術をその人がもし身に付けられるということがそのネットワークの中でできるのだったら、じゃあ違う拠点にこのネットワークの中で移ったときには、更にまた新しいものがその人に身に付くということで、これはやはり移る人は、科学者として、あるいは技術者としての非常に大きいメリットを感じるのではないかなということで、いろいろな給与とかそういう事務的な問題を解決することは最低必要だけれども、その上に立って、やはりそういうネットワークの本来の持つ技術先導というところの先鋭化というのを、このネットワークの大きな価値として我々は評価するというようなことが重要じゃないかなと感じました。

【福嶋委員】  ちょっと補足を。全く賛成なのですけれども。また例で申し訳ないのですけれども、結局は各拠点がいい仕事をしろということになるのですけれども、豊田中研で期限付のポスドク的なシステムをしたときに、ちょうどキャヴェンディッシュの所長の人が来られて、豊田中研でもそんなことができるのだということで、とても褒めてくださったのですよ。後から考えてみると、どういう意味かというと、任期が3年でも研究者が応募してきてくれるということは、あなたの会社というのはすごいステータスがあって、あそこで仕事をすれば、次の仕事がとても見つけやすいという意味で、良い仕事をしている研究所だから、そういうことができるのですねと。ですから、応募者のキャリアアップの観点からみてもメリットがあるから任期が3年間でも来てくださるというシステムができるのですねといって、本当はそう言って褒めてくださったのですけれども。
実は我々もそんなに厳しく考えてなくて、人材を3年間でもいいから確保したいということがあってやったところがありました。まさに本当に実力があって、キャリアアップできるところであれば、3年間であってもメリットを持ってきてくださる。そういういい研究所を作るのが、結局は究極の目的であるはずなので、単純に人材が来ないから、3年間つなぎでつなぐというのができてしまったのが、少し問題かなと思っていますけれども。

【二瓶主査】  どうぞ。

【森委員】  この第3ページの真ん中辺にも書いてあるのですけれども、最先端設備の機能と研究課題の双方に精通した人の重要性が指摘されているのですけれども、私は現在行われているプラットフォームでの研究支援は、まさにナノテクノロジープラットフォームの場合ですと、実施責任者と言われている、大学ですとその装置なりシステムの責任者、学術上それを一番よく知っている責任者がアプライして、この支援事業をしているということになっていると思います。
それで、これは、こういうプラットフォームよりも前から文部科学省のシステムとして実施されてきている民間等との共同研究と形は似ているのですけれども、民間との共同研究は、お願いしてくる民間の方は、大学の先生が今どれぐらい忙しくてどういう状況かを一応カウントしてくれて、それは阿吽の呼吸のうちに、それは向こうにインプットされているのですけれども、こういう今よくなった側面ももちろんありますけれども、オープンな中でほかの課題を受け入れて、それに対してすぐに支援をするということがデューティーになってくると、それを預けられた、やはり研究主体で生きてきた教授というのは、非常にそこはプレッシャーがかかると思います。もちろん最先端設備の機能は十分分かっているし、課題を解決するための一番いい方法もその人なら分かるのですけれども、でもその人が、とてもじゃないけれども、100%そこにのめり切れない。それはもう一つの本務である大学の先生ですと、研究と教育という、それがあるから、全てをそこに注ぎ込むことができないわけです。
だから、そこが私は今一番大きなネックになっていて、人を育てるということもありますけれども、ある意味よそ様が持ってきたテーマを支援しているだけで、研究者としての実力がつくかというと、それはまた少し問題だと思います。本当は両方分かっている教授について、自分でテーマを探して、次々出てくる課題を乗り越えていくという、そういういわゆる修業の時代を、非常に苦しい時代を乗り越えて、やっと日本が誇る研究者という方が育っていくという側面もあると思います。もちろん人様の仕事をしていく中で育っていく要素もあると思うのですけれども、そこを大学として、本務に近い形でそれを受けてしまうのは、やはり非常に危険であって、大学の立ち位置というものを、あるいは独法の立ち位置というものをしっかり押さえて、その上でしかし、なし得るアウトプットがマキシマムになるような制度を、やはり考えていく必要があるというふうに思います。

【二瓶主査】  ありがとうございました。どうぞ。

【長野委員】  恐らく先生方御自身が描いているプラットフォームのプロジェクトが少しずつ違うので、若干御意見の違いが出てくると思うのですけれども、私は今、森先生がおっしゃったのと全く同じ感触を持っているのですね。支援と研究ということに対して、どこまで支援ということに対して、確かに支援ということでもプラットフォーム、私は創薬の方を関係しているのですが。力を入れれば入れるほど、自らの先端的な研究を削がなければいけないという。また、その人自身が非常に不安定な雇用ということですから、自らの研究を高めていかなければいけない。その先のプロモーションということも考えないと。どうしてもその辺のジレンマといいますか、それは最大の、私はこういったプロジェクトの、プラットフォームの問題点だろうなと。前回、前々回お聞きしたときも、いずれも人材についてちょっとコメントをさせていただいたのですが。
今回、二瓶先生の方から、横につなげるという御提案が出て、ちょっと私の発想にはなかったので、もう1回そういう目で見てみたいなとは思いますけれども、なかなか解決策が見いだせない。この委員会で委員が回答を出すべきだという御意見もありましたけれども、なかなかどういう回答があるのかなと、むしろそれを議論していただけると、私としては非常に有り難いなという感じがいたします。

【森委員】  補足ですけれども、私もこういう問題を解決するのに、これをやればすぐ成果が出るというのは、なかなかそれは難しいと思うのですけれども、しかし、やはり問題点の大きなところがそういうところにあって、それを解決するための制度的なこと、あるいは経費的なことで手が打てるのであれば、それは大学なり独法がこういう支援をしているということの、我が国としての特徴を生かして、決して本来の業務を妨げることなく、それが進むように考えるべきだと思います。

【二瓶主査】  どうぞ。

【今仲委員】  ちょっと議論をお伺いしますと、どうも最先端で長期にわたるテーマで、大型装置を使ったイメージに結構寄り過ぎているのではないかなという気がちょっとしています。私どもMEMSとか、ナノプラットフォームを使ったりしているのですけれども、利用者の大半の方は、ベンチャー、中小企業なのです。自ら触れないのです。ですから、全部丸投げで、新しいことを考えたのだけれども、これを分析してほしいのだと。分析の仕方も何も分からないと。ところが、出てきた結果は非常に面白いと、共同研究に発展されるケースがあるのですね。そういう意味では、本当にオペレーションだけできる人がたくさん要るのです、必要なのです。
私ども、マイクロナノ・オープンイノベーションセンターでも、自腹で10名ほどそういうオペレーションの人を雇っているのですけれども、フルキャパで動いているのですね。ほとんどお客さんはベンチャー、中小。我々、大企業でそういう研究をやってきましたけれども、思いつかなかったようなものをやられているのです。分析方法が分からないと、ナノテクプラットフォームの方にお伺いしてお願いしていると。そういうところも、やはりイノベーションだと思うのですよね。それもちょっとスコープに入れていただきたいなという気がしました。

【二瓶主査】  おっしゃるとおりだと思いますね。たまたまこの文書の中にもございますが、研究支援人材に並んで、私、余り意識していなかったのですが、この橋渡し人材ということが書いてあります。非常に幅広い、ある種の職種だと思います。そういう意味で、御指摘よく分かります。どうぞ。

【中村委員】  私自身、ナノテクノロジープラットフォームの一部分を使わせていただいていまして、先生方の御努力、森先生がおっしゃっていることは、私たちの想像以上の大変さがあるのかなというふうに感じております。先ほど流動性の確保の話がございましたけれども、もちろん流動性の確保は活性化に不可欠ということになるわけですけれども、一方で拠点側から見ますと、恐らく流動性を確保すると、人材確保が難しくなるといった二律背反が生じているのかなというふうに想像しています。
それに対しまして、1つ提案といいますか、コメントなのですけれども、民間をリタイヤした優秀な専門研究者とか技術者を、うまく活用する仕組みがあってもよろしいのではないでしょうかというふうにちょっと感じました。もちろん支援者は全てリタイヤした人というわけではなくて、若手とペアにして、1つの仕事、ミッションとしまして、若手の育成といった意味も持たせるといったこと。それから、ほかのメリットとしましては、我が国のいつも言われていることですけれども、技術流出ですね、そういうのを食い止めると。そういうことがもし可能になったらよろしいかなというふうに、ちょっと感じました。以上です。

【二瓶主査】  ありがとうございます。
それでは、私から1つ議論のポイントを提案したいのですが、今、御議論の中で出てまいりましたが、横につなぐ、サブプラットフォーム、あるいはプラットフォーム、大型プラットフォーム。今、この委員会に御出席になっている先生方が関係しているプラットフォーム全部を念頭に置いて御議論いただきたいのですが。
一時期、先生方のお手元にあります、ちょうど2年前にこの委員会から出しました「科学イノベーションを牽引する研究基盤戦略について」という、今日も参考資料1として配付されております。この17ページに、全体を俯瞰する図がございます。この一番下のところに、研究開発プラットフォームの構築というところの下に、言うならば多くのサブプラットフォームを全部連ねて、全体ネットワークを作るというような絵が書いてございます。これを私は、個々のプラットフォームが議論の今までの対象でありましたが、全体を束ねたものを、これもプラットフォームだというふうに考えますと区別がしにくいので、例えばグランドプラットフォームというように仮に名前をつけますと、グランドプラットフォームを早く構築をして、個々のプラットフォームにおける各種のインフォメーションを平らにつなげていく。これは日本における研究基盤をほぼ全体を網羅する可能性がございます。そういうものを作ってはいかがか。実はこの絵自身がそれを物語っているのです。
しかしながら、こういうものをきちっと支えるためには、あるしっかりした、例えば研究独法が全体をマネージするような機能をしっかり持つという、拠点型のグランドプラットフォームというのが一番恐らく到達点だというふうに思いますけれども。そういうものをすぐ作るというわけにはなかなかいきません。これはもちろん予算だけの問題ではなくて、いろいろな問題が付随すると思います。
そこで、まずは入り口として、バーチャルというと言葉はよくないのですが、ネットワーク上で、いわばそういうグランドプラットフォームを形成してはいかがかと。そのグランドプラットフォームの上で、例えばこの委員会のもとに運営委員会を、小委員会のような形で作っていただいて、それが全体をマネージするというようなことを考えますと、これは実現の可能性がぐっと増すのではないかという気がしております。例えば、そういう考え方に関して、先生方の御意見はいかがでございましょうか。どうぞ。

【今仲委員】  野田先生からお話しいただいた方がいいかも分からないのですけれども、TIAで、つくばイノベーションアリーナですね。産総研のプラットフォーム、NIMSのプラットフォーム、それから高エネ研のプラットフォーム、筑波大のプラットフォーム、その設備だけを共用にくくり出して、もちろん技術もあるのですけれども、それをトータルで見られるホームページを作ろうという動きはやっております。ただ、それがマネージまでいくのかどうかは。これがやりたければここへ飛べるよというレベルに終わっちゃうのか、今ちょっと頑張っているところです。ですから、有効だと思っています、そういう方法は。

【二瓶主査】  ありがとうございます。野田先生、ナノテクノロジープラットフォームというのは、ある意味で、今話題にお出しになったプラットフォームより少し規模の大きい、5倍か10倍か、5倍ぐらいでしょうか、規模の大きな、いわばグランドプラットフォームだと思うのですが、いかがでしょうか、実際に運営されていて。

【野田委員】  今、2つ一緒に大きな課題を抱えていて、1つは設備。設備をただ見えるだけではなく、ただリストを出すだけではなくて、それがどういう稼働状況なのか、どういう成果が出るのかといった、そういった情報まで欲しいというのが、結構ユーザーからきています。そういうものを作るということと、もう一つは、実はどういう人たちがそれに携わっているかと。結構人を見ているというか、彼らのところだったら安心して、例えば森先生のところだったら安心してお願いできるとか、やはり実際に支援に関わっている人たちを見える形にできないかと。
そういったちょっと2つ、我々センターの方に突きつけられておりまして、やはり単につなぐだけのことは容易にできると思うのですけれども、やはりそれをマネージングしていくときには、いろいろな要求に対して応えられるような機能を持たないとつらいかなという気がちょっとしています。そうすると、そこをそれぞれの個々のプラットフォームがシェアしてできる、共通の例えば言語じゃないですけど、ソフトウェアでもいいのですけれども、何かそういうものを持つと非常にいいかなと。
実は私も6月の初めに、アメリカのクリーンルームなのですけれども、微細加工のプラットフォーム、全米で60以上あるのですけれども、その実際の現場の人たちが集まる会議に行ったときに、やはり共通の登録システムだとか、それから安全の問題だとか、それから、ユーザーに対するサービスだとか、共通のことを議論するにはどうしたらいいかと。そうしたら、一番簡単なのは、メールが一番いいよというのですけれども。ちょっとそれだと証拠も残らないと思うのですけれども。
ちょっとそういうコンソーシアムでもいいですけれども、共通的に議論して、その情報がうまく流れるようにすれば、それほどお金をかけなくてもできるかなと。ただ、その場合には結構中のプラットフォームの形と、全体との整合性をうまくとる必要があるのですけれども。ちょっとその辺は、実際の各プラットフォームの担当者が結構大変かもしれませんけれども、一応そういうのを議論して、こういう形で情報を流しましょうという統一的なものを作れば、ある程度プラットフォーム的になるのかなという気がします。

【二瓶主査】  質問ですが、今、アメリカの例でおっしゃっていたのはUSNSですか。そうではなくて?

【野田委員】  これは実は、アメリカのIEEEという、日本でいうと物理学会ですかね。学会が中心になって、いろいろな大学にそういったクリーンルームがある。だけれども、それは共通の場で議論するというのがほとんどなかったと。要するに、クリーンルームを運営するには、コストもかかる、人もかかる、いろいろありますよね、人的な問題とか。それをみんなで議論して、それで効率よくできないかという、そういう場なのです。そういう会議だったのですけれども、やはりなるべく共通な、例えば登録システムを採用しようとか、個々にみんなばらばらでやっていると、こちらの確かにナノプラットの設備リストは非常によくできていて、だけどそれはこちらとは相互に情報交換するには難しいねと。もう1回PDFに落とさないと駄目かなとかありますよね。
ですから、そういうところも含めた共通的なものを作っていくと、日本中どこにどういう装置があって、これは例えば最先端なのか、それとも我々がふだん使える装置なのかという、みんなユーザーから見て使いやすくなるのではないかなという気がしますね。そういった議論の場を作る、で、なるべくだんだん統一的なものに作っていこうというのがあればいいかなという感じがしますけれども。

【二瓶主査】  ありがとうございました。ほかに。どうぞ。

【佐藤委員】  今先生が言われた、グランドプラットフォームって私はすごくいい発想だなと思いますね。これは要するに、1つは日本の中にある最先端のインフラというのが、全体でどういうものがあって、どういう状況にあるかということを、まず我々は十分知らないですよね。それをちゃんと明快にして、日本の科学技術を推進する上でのトップのレベルというのがどういう形になって、どういうふうに使えるのかということが、これだけ分かるだけでもすごい効果だなという気はちょっとするのですね。
ただ問題は、グランドプラットフォームにしたときに、やはりマネージしようとしたときに、何をそこから生み出すのですかというところがある程度明快でないと、金も投じることがなかなかできないような気がするのですね。だから、例えばコンピューターでシミュレートして、こういうことが本当に実現できるかできないのか、未踏の技術をSPring-8で何とかしてということをつなげていって初めて、この問題はこういう課題、国家的な課題に対してこういうふうに解決できるよねというような、何かそういう課題が何本かあって、それをうまくつなげていくと、グランドプラットフォームの中で世界最先端のところで解決していくことができるのではないかということが、バーチャルに結んで見えるような形になれば一番いいような気がするのです。それが本当に出し得るかというのが、1つの大きな課題かなという気はするのですけれども。それができれば、すばらしいと思うのですけれども。

【二瓶主査】  ありがとうございます。私からもう一つ質問なのですが、野田先生がさっきちらっとおっしゃったマネジメントの問題ですね。これは既に、ナノテクプラットフォームで実際になさっているように私には思えるのですがいかがでしょうか。もちろんナノテクプラットは、NIMSが非常にしっかりしたマネジメントの拠点として、センター組織を形成されていらっしゃいますが、先ほどちょっとおっしゃった、幾つか分散した拠点、地域拠点ですとか、大小いろいろあるにしても、例えば地域ごとに全国5箇所ぐらいの比較的大きな拠点を選んで、分散型のマネジメントシステムを考えることはできませんでしょうか。

【野田委員】  今、実はセンターといっても3つのプラットフォームがあって、それがそれぞれハブ機能をやっていますので、センターとしてはその3つのハブがばらばらにならないというか、常に情報はみんなで共有するような形にしようというのがセンターで。恐らく先生がおっしゃるように、ハブを作ったとしても、あるいは全体を例えばコンソーシアムで見るのか、何かの形で、結構頻繁に。ただ、実際会うというよりは、メールとかスカイプとか最近、あとテレビ会議が結構発達していますので、そういうシステムを使って、常に月1回か2回かは必ずそういうディスカッションをすると。問題に関しては、なるべくどう解決するかと。
佐藤先生がおっしゃったように、やはりナノプラットも、今求められているのは、どういう成果をやっているのですかというところがすごくあるので、いろいろな装置があるけれども、この装置とこの装置とこの装置を組み合わせるとこういうことができますよと、そういう我々はコーディネート機能として非常に大事だなということで、やはりマネジメントをやる人たちは、ほとんど恐らく全ての装置について、最低限情報は持っていないとなかなかできないなという感じがしています。そういう人材を育てていくのが大事かなと思います。

【二瓶主査】  ありがとうございます。先生、どうですか。

【宇川委員】  確かにこれは大きなビジョンで、うまく実現すれば、いい面もたくさんあると思うのですね。でも、逆にそれだけに慎重な面も必要かなという気も、お話を伺っていて感じて。今までのナノテクノロジープラットフォームですとか、あるいは革新的ハイパフォーマンスコンピューティングインフラというのは、このビジョンですとサブプラットフォームに当たるわけですね。その場合でも、既にある程度機器は共通だし、利用者側もコミュニティーとして共通面があるのだけれども、そこでもプラットフォームを作る上では様々な困難があったと。だけど、そこは皆さん作ってみると非常にいいということで、前に進んでいるのだと思うのです。
それがこのHPCIという計算機でも全く同じで、共通的なアカウントがとれるとか、1回の申請でいろいろな計算機を同時に使えるようになるとか、どこにどういう資源があるか分かるようになるとか、あるいは共通的に支援者のサポートができるとか、すごくいい面がいっぱいあったと。それは疑いないことだと思うのですね。
もう一段上の、このグランドプラットフォームの構造を入れようと思ったときに、機器もかなり違っていれば、利用者側も違っていて、ある意味で、そういう意味では非常にヘテロジーニアスな構造の上に、もう一つ屋根をかぶせようとしているわけなので、それによっていかなるメリットが出るのかというところを、もう一段御議論いただく必要があるのではないかなというのが、お話を伺ってきて感じることです。
この参考資料1のP17でも、包括的に捉えた上で必要な取組を行って、全体としての効果、効率を上げると。それは確かにおっしゃるとおりだと思うのですが、もう一段踏み込んで、じゃあ上がるべき効果とか効率とは一体何なのかというところの検討を進めないといけないのではないかと、そういうことを感じましたので、発言させていただきました。

【二瓶主査】  ありがとうございます。
さて、それでは、予定の時間がもうちょっとあるのですが、ただいまは少しフォーカスした議論をお願いしておりますので、もう少し幅広く御意見を承りたいと思います。どういう内容でも結構なのですが、いかがでございましょうか。どうぞ。

【西島委員】  産業界がもし相談したとき、さっき二瓶先生がおっしゃったとおり、さっきも言いましたけれども、やりたいことは分かっているのだけれども、例えば物質の構造解析については分かるのだけれども、機能解析についてどういうふうにやるのかというのが分からないときに相談に乗ってくれるような人材(専門家)、こういう計測があるよということを示唆できる人材(専門家)が必要です。というのは、例えば製薬企業の場合には、圧倒的に合成化学者、薬理実験者とかそういうのは多いのですが、X線構造解析の専門家とか、高磁場NMRの解析が担当できる専門家はすごく少ないのですね。大手といえども少ないです、非常に。すごく専門性の高い人間は、やがて会社をやめて、気がついたら大学の教員になってそれなりに活躍している方もいます。実際、思ったよりも多分、あの大手の製薬会社でもこんなものかというぐらい、実は先端計測の専門家は少ないと思います。それは1つには、それがどのぐらい重要かということについて、会社の上層部はなかなか理解していないのですね。分かってくれば、広がっていくと思うのです。
1つ私の経験ですけれども、十数年前にタンパク質の構造解析を決めようということで、SPring-8にビームラインを作るという話があって、作って10年間やったのです。ところがSPring-8でビームラインを作ったときに、そのときに一番重要なのは、良い結晶をとれるかどうかだということで、良い結晶、すなわち高品質の結晶を作るにはどうすればいいのかというときに、たまたま宇宙ステーションの「きぼう」を使うときれいな結晶をとれるというので、じゃあ宇宙ステーションを使おうということで包括協定を結んで、20社中のうち8社ぐらいが宇宙にサンプル(タンパク質)を送った。最近では、これも発表していいと思うのですけれども、中外製薬が創薬プロセスの一環として個別に共同提携を結んで、宇宙ステーションを利用しているというのが報告されています。
さらに、そもそも結晶化できないものとか、結晶化すると本当の機能を失ってしまうようなものについては、やはり溶液での実測、NMRが必要だという要望があって、時のタンパク3000をやっている鶴見地区の理研とか、今、950Mが設置された横浜市大、そういうところのNMRを少し使わせてもらおうということで、我々はNMRを注目した。そうこうしているうちに、水素の位置情報が分かればいいということで、中性子利用にも興味を持って、中性子施設の方にも調査団を送って情報交換を進めた。残念ながら、中性子の場合は大きな結晶が要るということで、まだ創薬プロセスに組み込んでいませんけれども、中性子利用の意義は分かっている。最近では、10年間持っていたビームラインを保持するのではなくて、理研と連携してSPring-8の優れたビームラインを有効に使っていこうと方針を転換しました。同時に、数年後にはSACLAというものを使いたいということで、私たちがSACLAを使うにはどうしたらいいかというのを、業界として理研と相談しています。そういった最先端の計測をやると、すごい情報量が出てくるので、それから、全ての対象を実測できないので、実測前にシミュレーションが必要だろうということと、それから、測定後の検証を含めた、いわゆるドッキングスタディーは、やはり世界最高のスパコン京、あるいは代替のスパコンを使っていこうということで、気がつくとそういった形で、ニーズと目標がはっきりしていたということで、共用促進法の対象となっている大型先端施設と、そして宇宙というものを統合的に利用しようという意向が具体化しました。
だから、こういうような形で、課題がはっきり見えていればいいのですけれども、何かの新規機能を探すときにはなかなか良い測定手段が思いつかない、例えば1分子解析をどういうふうにやるか。そういうものを研究している先端施設はどこにあるのか? どうすればいいのか? そんなときに道先案内人のような、いろいろなことを分かっているような人材が中核にいればいいのかなという。それが1つのグランドプラットフォームのメリットなのかなと思います。

【二瓶主査】  ありがとうございました。先ほど私、自分がピンときていないのに申しました、橋渡しを担う人という例が出てまいりましたね。おっしゃるように、全然違う分野を両方分かっている方というのは非常に少ないですから、貴重な知見が得られる、情報が得られると、そういう御指摘だと思います。ありがとうございます。
ほかにございますでしょうか。

【福嶋委員】  それに関連してなんですが、ちょうど横につなぐという話がありましたけれども、これ、本当に全部つなぐと膨大な量になってしまって、ネットワークを後から探すのが大変になる気がします。何を言いたいかといいますと、今、西島さんがおっしゃったように、製薬という1つの、横に対して縦があって、そこでいろいろなところに持っていくというところで広がっていくというのがあって。
例えば、今は、文科省さんは元素戦略とか何とかで、縦に相当するいろいろな戦略を持っておられて、元素戦略の方とお話ししていますと、意外に最先端の機器のことを御存じでない方もおられます。知りたい機能でどこがはかられるかと御存じない方が、最先端の方でもおられます。ですから、全部横につなぐネットワークも当然必要だから、こういうのを作る必要があると思いますけれども、縦串の人たちとのやりとりが意外に少ないのではないかなと感じています。製薬業界は1つやりましたよね。自動車業界があるかどうか知りませんけれども、そういうのが本当の意味で、お互いに知って、一番いい使い方をしていく方策として、必要じゃないかなと思いましたけれども。

【二瓶主査】  ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。

【吉川委員】  各プラットフォームでのヒアリングの結果を見ておりますと、今日の先生方のお話においても、技術支援者の方のキャリアパスというのは非常に重要であるというお話が、いろいろな先生方のコメントにあったのですけれども。あと、それから技術支援者の資格化が重要であるとか、そういうことに関して現状は、技術支援者の方の今のキャリアパスというのは、どういう形になっているのでしょうか。それはプラットフォームごとにそれぞれ違っていて、統一したキャリアパスがないというのが現状なのか。それとも、ある程度共通したものがあるのだけれども、それがはっきり目に見える形のものになっていないというところなのか。ちょっと私、よく分かっていないので、御質問でした。

【二瓶主査】  多分、野田先生が一番。

【野田委員】  今、人材タスクフォースって、ナノプラットの中なのですけれども、ナノプラットの中でもばらばらなんですね。ですから、ある機関は、例えばNIMSなのですけれども、パーマネントのポジションで、きちんと職階といいますかをきちんと作っていると。ただそれだけじゃなくて、任期付きも、最近労基法で雇用可能期間が10年まで延びましたので、任期付きでもきちんと技術レベルでそういう職階的なものを作った方がいいのではないかという議論を今しています。ただ、ちょっとこれはナノプラットの特殊な部分だけで、恐らく一番大きな課題を抱えているのは大型施設の方だと思うので、むしろそちらの方はほかの先生方に聞かれた方がよろしいかと思いますけれども。

【二瓶主査】  御指摘のとおり、現状、ほとんどできていないと言っていいのではないかと思います。もう少し一般的な分野を考えますと、各学会が最近そういう動きをしております。例えば、表面科学会が、表面計測士でしたか、確かそういうタイトルをつけて講習会をやって免状を差し上げているというようなことをしておりますが、ほかもいろいろなところでそういう目論見があると思います。結局、狙いはここの議論と全く一緒でして、その人がいわゆる履歴書に資格欄に何と書くかというのと、必要性、ニーズは一緒なのです。どういう分野で一定の力量を持っているのかを、誰か客観的に評価してあげる仕組みが必要になります。その仕組みがどのぐらい今の日本の世の中であるのか。有名な資格というのはたくさんありますけれども、例えばここで今議論しているような意味では、まだまだこれからだということだと思います。

【吉川委員】  現状でどういう資格が必要かということを考えるときに、若い人たちが、これからそういうキャリアを目指して頑張ろうと思えるような、そういう魅力あるキャリアパスを、できるだけ早く、できるところから提示をすることが非常に必要じゃないかと思っております。
といいますのは、今、私は京都大学におりますけれども、二、三年前にUniversity Research Administrator、URAというのですが、そういうキャリアが文科省の方ですかね、やってくださって、大学の中にそれができまして、非常に助かっています。資金を獲得するための書類作成に、Ph.Dを取っているような方がいろいろな支援をしてくださっています。研究者にも適性がありまして、そういう支援がとてもやりがいもあって向いている方というのはやはりおられて、そういう方は引っ張りだこなんですね。もちろん時限付きの予算ですので、3年とか5年で次どうなるでしょうかという話を今、しているのですけれども、私は是非これを継続して、大学の中である程度の人数の方を雇用していただきたいと言っているのですが。
こういう技術支援の方の重要性についてですが、例えば企業でしたら、みんなから非常に頼りにされて、リスペクトされている技術者の方には、マイスターというような称号を立てて、マイスター制度の仕組みを作るとか、いろいろな仕組みを考えておられると思います。是非こういう委員会から何か提案ができると、若い人たちにとって非常に魅力のあるものになるのではないかなということを感じました。

【二瓶主査】  ありがとうございました。どうぞ。

【村上委員】  やはり私自身は大型の研究施設にいるわけですが、問題がある、一番よく議論される点で、何によってその人を評価するかということなのですが、今のこの支援者というのは、ある意味、我々ですとビームラインサイエンティストというような技術支援というところに主な任務があると思うのですね。先ほども、研究とどういうふうに折り合いをつけるかというような議論もありますけれども、それはやはり研究で評価されるということとは別に、支援することによって評価されるという価値を作るということがやはり重要ではないか。
それはやはり日本の中で、そういう価値を作るというところは、外国の大型の施設に比べてかなり遅れている部分じゃないかなというふうに思っております。それはまさにそういう技術支援によって、いろいろな人からリスペクトされて、本当に最先端のいわゆる研究ではないのだけれども、あの人は非常に頼りになる、あの人と一緒にやれば非常にいい成果が出る、そういう形の価値を、何とかこのプラットフォームの中での支援者のそれぞれに与えられるような仕組み。それは1つの、今、マイスター制度とかという資格である場合もあるでしょうし、何かある名誉である場合もあるし、何かそういうタイトルなのかもしれませんけれども、そういうものをうまく入れていければ、この支援者の間の中で、まさにキャリアアップ、ちゃんとキャリアパスというのができていくというふうにできるのではないかなと思います。

【二瓶主査】  ありがとうございます。御指摘のとおりだと思いますが、文部科学省では生涯教育等、いろいろそういう分野を振興されている部局があると思うのですが、大変恐れ入りますが、次長、何かコメントいただけませんか。

【伊藤科学技術・学術政策局次長】  後半の研究人材なり研究支援人材の件につきましては、以前から我々も問題意識を持っております。特に最近におきましては、人材の流動性と、同時にやはり安定性も持たせませんと、特に若い優秀な方がそういったような分野で働いていただけなくなるといった問題がございます。よって、今、先行して議論が進んでおりますのは、研究者の問題でありまして、これについては先ほどお話が出ておりましたが、年俸制であるとか、あるいは混合給与であるとか、いろいろな意味で流動性を高め、かつ同時に安定性を持たせることが何かできないか、という議論をしております。
また、研究支援者につきましても、これも独法等でもいろいろな取組がございます。例えば、研究職、事務職以外に技術職というカテゴリーを設けまして、そこに必要な技能を明確にし、それに合わせての俸給表を作るといったような取り組みもございます。ただ残念なのは、個々の法人ごとにしますと、そういった技術職の人数というのがそんなにたくさんいなくて、どうしても10人、あるいは多くても20人ぐらいのところで回すということになってしまい取り組みにも限界があります。
そういうようなことで、今文科省の方では、例えばコンソーシアムを作って、それで3つとか4つの大学なり、あるいは研究機関の中で、そういった技術支援の方々も含めて、共通的に雇用をすることを始めております。そこであるときにある大学で働いていただいて、その次はこちらの大学というようなことで、安定性と、かつ流動性、これを同時に満たしていく取り組みです。またいろいろな場所で働くということでキャリアアップというのでしょうか、いろいろな研鑚も積んでいただくといったことも可能ではないかということで、今年度から制度としてはスタートしております。
ただ、そうは言いましても、これは技術支援者全体の数からすれば、まだ走り始めたところでありまして、そういう意味では先ほど来御議論のありました、例えばもっとプラットフォーム全体の中でそういったような流動性かつ安定性があるような研究支援人材のキャリアアップを図っていく方法ということも、この中で御議論いただければというように考えます。

【二瓶主査】  ありがとうございました。大変ポジティブな現状を御報告いただきました。確かにこれだけ政府を挙げての公的な文書の中に、人材育成、特に今話題の研究支援人材に関する課題がいろいろ出ておりますから、もうぼつぼつ実際にそういうものが形になり、我々のこの議論の中からでも実際にそういう職種が生まれるかもしれない。そういう情勢が近い将来期待できるというように感じました。どうぞまたよろしく御指導のほどお願い申し上げます。
さて、大体今日の御議論、もちろんまだまだ御意見おありかと思いますが……。

【佐藤委員】  ちょっと1点いいですか。

【二瓶主査】  どうぞ。

【佐藤委員】  さっきの西島委員、福嶋委員の意見にちょっと戻るのですけれども、とてもたくさんいろいろな設備があって、技術があってというのは、なかなか産業界を含めてよく分かっていない。分かっていないですよね。僕もここにきて初めて分かったことが結構あるので。だから、要するに言い方を変えると、科学技術はあるのに、何で産業競争力がつかないのだというのが、1つの問題かもしれないなというふうに思ったのですね、今。それで今、薬系の問題、それから自動車何とかという、分けるのがいいのかどうかはよく分からないのですけれども、どこでどういうメリットが、どういう形で組み合わせて価値を生み出せるかというのをちょっと考えないと、やはりいけないなという気がして。
先生、このグランドプラットフォームというのをせっかく提案してくれたので、これは別のチームを作って集中的に議論した方がいいのではないですかね。そういうのはどうですかねというのを、ちょっと提案したかったのですけれども。

【二瓶主査】  ありがとうございます。佐藤先生がおっしゃりたいのは、例えばこの委員会の中にタスクフォースを作って、それでこの課題をもう少し、例えば概算要求のベースに乗せるようなレベルの形にすべきであると。

【佐藤委員】  どうやったら、もっと大きな価値を生み出せるのか。この形だったら生み出せますよねというのが出れば、文科省だって多分、これは検討する価値があるねと出てきますよね、当然。その辺を集中的にやるのはどうかと。

【二瓶主査】  ありがとうございます。いかがでしょうか。確かにこの委員会、発足2年3か月を経過しておりますが、ぼつぼつ、何回も人材育成とかこういう課題が指摘されながら、なかなか解決への方向性が具体化されていない。それが現状ではないかという気がしておりますが、先生方、いかがでしょう。やはり課長に御意向を伺わないといけないかもしれません。いかがでしょう。例えば3回ぐらいの会議をこの委員会の中で開いては。

【弦本研究開発基盤課長】  済みません。具体的にどういう形で検討するかというのは、また事務的にも検討させてください。

【二瓶主査】  分かりました。今、課長の御意向で、方法論をまず検討したいということですので、その件は佐藤先生、よろしいですか。ありがとうございます。
ほかによろしゅうございましょうか。もしよろしければ、本日議題となりました、主として資料3でございますが、この資料3につきましては、本日頂いた議論をこの資料に加味してまとめた上で、我々の委員会の上位組織でございます先端研究基盤部会に報告したいと考えております。そのまとめに関しましては、大変恐縮ですが、主査一任というふうにさせていただきまして、8月28日に先端研究基盤部会が予定されておりますが、その部会に提出する形をとらせていただきたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。
(「はい」の声あり)

【二瓶主査】  ありがとうございました。それでは、本日の議題は以上でございます。事務局から何かありますか。

○三宅研究開発基盤課課長補佐より、今後のスケジュールについて説明があった。

【二瓶主査】  ありがとうございました。それでは、本日の委員会はこれで終了させていただきます。ありがとうございました。

―― 了 ――

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