研究開発プラットフォーム委員会(第12回) 議事録

1.日時

平成26年1月17日(金曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省 15F特別会議室

3.議題

  1. 共用プラットフォームの取組について
  2. その他

4.出席者

委員

二瓶主査、宇川主査代理、瀧澤委員、長野委員、西島委員、吉川委員、吉澤委員、今仲委員、中村委員、野田委員、福嶋委員、森委員、佐藤委員

文部科学省

弦本研究開発基盤課長、三宅研究開発基盤課課長補佐、神部量子放射線研究推進室室長補佐、立松参事官(ナノ)付参事官補佐、川口計算科学技術推進室長

オブザーバー

平山高度情報科学技術研究機構神戸センター長、平原物質・材料研究機構ナノテクノロジープラットフォームセンター運営室長、木川理化学研究所生命システム研究センターチームリーダー、野村高エネルギー加速器研究機構理事

5.議事録

第12回 科学技術・学術審議会 先端研究基盤部会
研究開発プラットフォーム委員会
平成26年1月17日


【二瓶主査】それでは、定刻となりましたので、ただいまから第12回研究開発プラットフォーム委員会を開催したいと思います。
 今回新年早々でございますので、御挨拶申し上げます。新年早々御多忙な折に、委員の先生方、また、皆様、お集まりいただきましてまことにありがとうございます。本年もどうぞよい年になりますように是非御協力のほどお願い申し上げます。
 本日の議題は、お手元の議事次第にございますとおり、「共用プラットフォームの取組について」を予定しております。
 それでは、事務局より出席者の確認並びに配付資料の確認をお願いいたします。

○三宅研究開発基盤課課長補佐より,出席者の紹介と配付資料の確認があった。

【二瓶主査】それでは、本日の議題、「共用プラットフォームの取組について」に入りたいと思います。
 本委員会におきましては、御承知のとおり、我が国の科学技術イノベーションを支えるプラットフォーム構築に向け、先端的な研究基盤の整備並びに運用等の方策について検討を行うこととしております。これまで共用施設・設備の適切な利用料金の考え方などについて御議論いただいてきたところでございます。
 今後、更に研究基盤戦略に関する重要事項の検討を進めるに当たり、実際に様々な共用プラットフォームの取組を実施している関係機関の皆様から現状の御報告を頂き、状況を把握するとともに、意見交換を行い、本委員会の参考にしたいと考えております。
 それでは、まずヒアリングに入ります前に、事務局より昨年12月24日に閣議決定されました平成26年度予算案について、先端研究基盤に関する部分のみ簡潔に御説明をお願いしたいと思います。

○三宅研究開発基盤課課長補佐より,資料2に基づき説明があった。
【二瓶主査】  それでは、本件に関しまして、何か御質問ございますか。
 よろしゅうございますか。それでは、何かもしございましたら後ほど適当なところで御質問いただいても結構でございますので、先に進めさせていただきたいと思います。
 それでは、続きまして、関係機関からのヒアリングに入りたいと思います。
 事務局より補足の御説明をお願いします。

○三宅研究開発基盤課課長補佐より,参考資料1、2に基づき説明があった。

【二瓶主査】今後の調査検討事項について、現在のプラットフォームの状況を踏まえて検討を進めるべきだと考えておりまして、既に活動されているプラットフォームに関する御説明を頂きたいと考えたわけでございます。
 現在、先ほど予算のところでお話ししていましたように、文部科学省においてはナノテクノロジープラットフォーム、革新的ハイパフォーマンスコンピューティングインフラ、並びに、NMRプラットフォーム及び光ビームプラットフォームなどの共用プラットフォームが活動を進めています。
 本日はこのうちから、まず、ナノテクノロジープラットフォーム及び革新的ハイパフォーマンスコンピューティングインフラの2つの拠点、仕組みにつきまして、それぞれ中核を担っていらっしゃいます物質・材料研究機構並びに高度情報科学技術研究機構、その2つの機関から御報告を頂きたい、そのように考えている次第です。
 進め方ですが、まず、それぞれ20分間の御説明を頂きまして、15分程度の質疑応答をしていただきたいと考えております。

 それでは、まず初めに、革新的ハイパフォーマンスコンピューティングインフラの取組につきまして、高度情報科学技術研究機構、神戸センターの平山センター長から御説明、お願い申し上げます。

【平山センター長】御紹介ありがとうございます。神戸センターの平山でございます。

 それでは、本日革新的ハイパフォーマンスコンピューティングインフラの取組ということについて御説明申し上げます。
 まず、HPCI、ハイパフォーマンスコンピューティングインフラの目的といたしましては、全国の最先端の計算資源を効率よく利用できる体制とその仕組みとして、HPCI、ハイパフォーマンスコンピューティングインフラを整備し、提供するということでございます。こういったHPCIを用いまして、萌芽的研究から大規模研究まで、また、産業利用にわたる幅広い分野において計算科学の活用を加速し、世界最高水準の成果の創出、産業競争力の強化と、それら成果の社会への還元を目指しております。
 また、コンピューティングインフラを幅広く活用することによりまして、継続的にスーパーコンピューターを開発していくための技術力を維持・強化するということも併せて目的としております。
 次に概要でございます。イノベーションの創出につながる最先端の研究基盤として、スーパーコンピューター「京」を中核といたしまして、多様なユーザーニーズに応える革新的計算環境を現在提供しております。
 計算資源といたしましては、理化学研究所の「京」、それから、9大学基盤センター、海洋研究開発機構、そして、平成26年度より参画されます統計数理研究所、それぞれが所有する計算資源のうち、ある一定の割合で提供を頂いております。なお、「京」に関しては85%が提供されております。
 これによりまして、ベクトル型からスカラー型に至るスーパーコンピューターの計算資源を利用者のニーズに応えて提供する体制を整え、平成24年9月末に共用を開始いたしました。現在、平成26年3月末までの1年半を1期として、利用を推進しております。
 次に、HPCIの枠組みと私ども高度情報科学技術研究機構(RIST)の役割でございます。資料3-1の3ページに示しておりますとおり、「京」を中核として、全国9大学や独立行政法人に設置されたスーパーコンピューターを高速ネットワーク(SINET4)で結び、共用計算環境を実現しております。共用計算環境を利用する際には、計算機の差異を意識することなくアクセスできるシングルサインオン機能を提供し、幅広いユーザーの利便性を確保しております。
 HPCIの運営に関しましては、理化学研究所、東京大学、情報学研究所、計算科学振興財団(FOCUS)、そして、RISTの5機関が文部科学省からの委託によりまして業務を分担して運営をしております。
 その中で、RISTはHPCI運用事務局として利用者の窓口機能を果たすとともに、利用者の選定やアクセスポイントの運営を行っております。
 次に、「京」の共用の枠組みとRISTの役割でございます。特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律に基づきまして、理化学研究所が特定高速電子計算機施設の設置・運転維持管理を行い、登録施設利用促進機関としてRISTが利用者選定と利用支援を行っております。国が定める共用の促進に関する基本的な方針に基づき、理化学研究所と登録機関が連携して「京」の共用促進事業を進めてまいります。
 資料3-1の4ページでございますが、課題選定あるいは情報発信といった利用者とのインターフェース業務は登録機関が一手に引き受け、対応いたしておりますが、利用者の専門とする分野が非常に幅広いということ、さらには、「京」の重点的、戦略的な利用を図るために、国が別途5つの分野を戦略分野と定め、各分野の中核機関となる戦略機関に対しては、「京」を優先的に利用させる仕組みを設けてあります。
 これら多様な利用者のニーズを幅広く集約し、提言を行うということを目的といたしまして、HPCIコンソーシアムが設立されております。したがいまして、理化学研究所、登録機関、HPCIコンソーシアムが三位一体の連携を図ることにより、広範な分野でのHPCIの活用を促進する体制となっております。
 特筆すべき取組の成果でございます。まず、HPCIの利用促進ということに関しましては、利用者がワンストップで利用支援が受けられる体制、一元的窓口のヘルプデスクでございますが、それを整備いたしました。
 また、複数のHPCI計算資源を利用申請する場合でも、1回の公募申請で済むように手続を簡素化いたしております。そして、先ほど申し上げましたように、1台のHPCI計算資源にアクセスするだけで他の計算資源にもアクセスできるシングルサインオンを実現いたしております。
 全ての利用研究課題につきましては、データ検索機能を持った成果発表データベースを整えまして、平成26年1月9日現在1,151件の成果発表データを公開したところでございます。
 「京」の応募が非常に集中をしております。そのため、「京」以外の計算資源への代替利用も推進をいたしました結果、平成26年度の募集では、「京」の一般利用83件の応募のうち、38件がHPCI等への代替も可であるという形で申請を頂いております。これによって、「京」の混雑がある程度避けられるのではないかと期待をしております。
 次に「京」における利用促進でございますが、「京」の一般利用枠30%程度のうち、若手の人材育成枠として5%程度を割り当てております。これによりまして、若手研究者が最先端の研究施設・整備に触れる機会を増やしたところでございます。平成25年12月27日現在「京」の利用者の総数は1,431名、うち産業界410名という状況でございます。
 産業利用に関しましては、その枠として5%を割り当てております。さらに、産業利用コーディネーターを配置し、申請前の相談及び利用方法への助言など、きめ細やかな産業利用支援を実施しております。その結果、共用開始後1年3か月が経過した平成25年12月27日時点で「京」を利用した企業は87社に達しております。また、平成26年度の課題募集でも産業界からの応募数が約1.6倍と拡大をいたしました。
 共用法施設との連携でございます。SPring-8、SACLA及びJ-PARCといった各登録機関との間で相互連携に向けた協力協定を平成24年に締結をしております。これに基づきまして、複数施設の連携利用に向けた取組を開始したところでございます。
 平成26年度の「京」の利用研究課題を公募いたしました結果、大型実験研究施設との連携利用として約10件、うち共用法対象施設8件の課題応募がございました。
 次に、調査検討に資する取組でございますが、資料3-1の6ページに記載されております5項目について御説明申し上げます。
 HPCI構築に係る課題でございますが、計算科学という1つの研究手段でございますため、ありとあらゆる研究分野において、計算科学的な研究手法を必要としております。そのため、利用者の専門分野の幅が著しく広く、支援に必要な知見あるいは情報収集の範囲も著しく広いという特徴がございます。そういった状況に対応するために、HPCIコンソーシアムにおいて幅広い利用者の意見、要望を集約し、このHPCIという体制構築の指針を策定していただいたところでございます。
 また、国がHPCI戦略5分野を設定しております。それぞれの最先端の研究分野におきましては、各戦略機関において支援をするということで進んでおります。
 参画機関、多数の機関が参加しており、各機関が所有しております計算資源を共用設備として運用するに当たりましては、共通運用の方針等を決定する連携サービス委員会及び技術的な裏付けを行います連携サービス運営・作業部会が設立されておりまして、日常の細かな問題に対応しております。
 また、提供されました計算資源に対します見合いの経費は、利用負担金として予算措置がなされており、RISTがその支払等の業務を代行しております。
 HPCIシステムのもう1つの特徴は、その利用者は主に遠隔地から利用するということでございます。したがいまして、高速のネットワークを活用して、また、シングルサインオンといったような機能も実現をいたしまして、情報セキュリティーを確保して、その利用者の利便性を向上しております。
 また、産業利用に配慮いたしました利用環境として、東西にアクセスポイントを設置しております。
 一括した課題選定ということに関しましては、HPCIシステム整備の一環といたしまして、共通運用システムとしてのユーザー管理支援システムが開発・整備されております。これを用いまして、全ての計算資源に対する一括した利用申込みと資源配分の管理を実現しております。これによりまして、複数の施設・設備の利用申請を簡便化いたしております。
 次に、利用者からの評価・要望でございます。まず、HPCIコンソーシアムからいろいろな提言を頂き、それに基づき反映をいたしました。
 まず、平成25年度下期には追加募集をいたしました。さらに、平成26年度の利用課題、選定結果につきましては、選定の発表を1か月前倒して実施をする予定にしております。
これは、特に産業利用の方々が4月からの利用がスムーズにできるようにという要望でございました。その結果、産業界の皆様の利用がより容易になりまして、第1回の公募に比べ、応募件数が1.6倍増加したというのは申し上げたとおりでございます。
 次に、利用者の意見を幅広く取り入れる仕組みといたしまして、中間報告会を開催し、意見交換会の場を設け、また、別途、利用者へのアンケートも実施し、その評価・要望の把握に努めております。
 まず、利用相談に関しましては、資料3-1の8ページの円グラフにございますように、第1回と共用開始1年後の第2回のアンケートを今までに行っております。
 このアンケート結果では、講習会、特に「京」を利用する上での講習会に対する要望が非常にたくさんございました。特に内容の充実、あるいは、開催の回数を増やしてほしい、あるいは、東京で開催をしてほしいといった要望が多数寄せられましたので、それらに応えていろいろな講習会等を開催してまいりました。
 計算資源の運用に対する要望に関しましては、当初多かったジョブ実行に関する運用への改善要望が2回目では減少いたしました。その代わり、利用の進展に伴うソフトウェアの整備といったような要望が多数寄せられておりましたので、これらは特に資源を持って参画されている機関の方にお伝えし、いろいろな整備等をお願いしたところでございます。
 取組の成果といたしましては、特にワンストップのサービスを提供するという私どもの初期の設置目標に関しましては、ほぼ達成できたのではないかというふうに考えております。
 次に、高度化の支援でございます。利用者の方々のプログラムは、その計算機に合わせて性能改善をする必要がございます。それを私ども支援要員が実施をしてきております。それについてはおおむね75%の利用者の方に満足が得られたということでございまして、今後も引き続き高度な利用支援を努力してまいります。
 続いて、他の共用プラットフォームとの連携でございます。これは大きく分けて2つございます。まず、1番目といたしましては、学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点事業(JHPCN)との連携でございます。この連携に関しましては、その課題募集に関しましても、HPCIにおけるユーザー管理支援システムを用いて一括した課題募集と選定を共同して行いまして、その効率化を実現いたしております。
 2つ目といたしましては、共用法対象施設との協力協定を平成24年6月に締結をいたしました。その下で連携促進協議会を設置し、連携利用の公募審査の共通的な方針及び研究者の相互紹介等といったことに関する協議を進めてまいりました。
 連携利用に関する課題の審査方針といたしましては、資料3-1の9ページにございますが、各施設においてそれぞれ独立して審査・選定を行うということです。それから、HPCIの計算資源を単独で利用する場合よりも、期待される効果・成果が質的又は量的に一層高まっているかというような視点で審査を行うこととしております。いわゆる連携利用について審査上の優遇を今回はしておりません。
 現在9ページにございますように、10件の連携利用の応募がございまして、そのうちの産業利用が5件ということで、現在審査が行われているところでございます。
 それから、人材育成・確保に向けた取組内容でございます。HPCIは冒頭申し上げましたように、非常に多数の機関が参画をしております。特に理化学研究所、あるいは、戦略5分野、それらはそれぞれが人材育成・確保に向けた取組をしております。HPCIでは3つのカテゴリーで人材育成を考えております。まず1つは、モデリングができる能力を持つ人材、それから、そのモデリングをベースに大規模なコードを開発できる人材、そして、3番目として、利用支援ができる高いスキルを持った人材という、この3つに分けております。
 私ども登録機関におきましては、その3番目の研究基盤を支える人材育成の確保ということに関してやってきておりますので、それに関する取組内容を御紹介いたします。
 まず、「京」の高度利用を進めております戦略分野との間での人材交流を進め、私どもの人材のスキル向上に努めております。
 また、スーパーコンピューターの開発企業から多くのシニアな技術者をお迎えしておりまして、この方々を研究者等に対する相談の業務を行う研究実施相談者又は専門技術員として確保したところでございます。
 人材の育成に関しましては、博士研究員といった方々を雇用し、その研究基盤を支える人材の育成・確保に努めております。具体的な方策といたしましては、大学あるいは研究機関との間での交流、あるいは、共同研究等を進め、最先端の研究動向の把握及び分析といったことに努めております。また、施設利用研究の促進のための方策に関する調査研究といたしまして、「京」を利用した利用方法の開発といったことも実施し、人材の育成に努めております。
 また、私どものところに関しましては、博士研究員から任期の定めのない主任・副主任研究員として雇用するといったキャリアパスを整備し、優れた学生が技術者や研究支援者等を目指す仕組みとして用意をいたしております。
 イノベーション創出に関する取組内容でございます。特に一元的な窓口としてそこでワンストップサービスを提供すること、さらには、情報発信や広報活動も一元的に行うということを実現いたしております。まず、資料3-1の11ページの図にございますように、利用者に対応しておりますのがヘルプデスクというところでございまして、ここでありとあらゆる利用者からの御要望、御質問を受けとめております。そこで必要な対応を全ていたしておりますが、それ以外のより高度な支援の御要望、あるいは、産業利用の支援に関わる話ということにつきましては、ヘルプデスクを窓口としてそれぞれの担当の部に次の対応を依頼するという形をとっております。
 ヘルプデスクでは1年間で大体2,200件の御相談に対応しておるところでございます。その中の1つで、高度化の支援ということに関しましては、計算機の場合は利用者のプログラムの実行効率を向上するということが非常に重要でございます。そのため、利用支援業務といたしましては、高速化を行っておりますが、ときには物理的な内容にまでも踏み込んでその支援を行っております。
 こういった支援の中の具体的な成果の一例でございますが、南海トラフ沿いの巨大地震等の被害予測が叫ばれておるわけですが、これらの予測のための計算はPCクラスタを使いますと1年から2年を要する程度の計算規模になります。そのため、「京」でこういう計算したいという話がございまして、移植・高度化を支援いたしました結果、1ケースが20時間で済み、計算時間を大幅に短縮できております。現在内閣府におきまして、同計算結果を踏まえた対策等の検討が行われており、計算結果と合わせて今後報告・公表される予定でございます。
 同じくイノベーション創出に関する取組といたしまして、産業利用支援が極めて重要でございます。特に企業研究者が施設・設備を利用する際には、高度な利用支援体制の整備が求められているところでございます。
 先ほどと同じくヘルプデスクを窓口として、その裏側で産業利用支援の部署を用意いたしております。ここでは11ページの図にございますように、利用促進、利用相談、利用支援という3本柱の下で業務を展開しております。
 このような利用支援体制を組んだ結果、現在までに87社が「京」を利用されております。また、平成26年度課題の応募におきましても、新規の参加企業が13社ほどございます。
 「京」を利用した具体的な成果の1例でございますが、リチウムイオン電池内の反応過程を解明して、電池の長寿命化と安全性向上につながる画期的な成果を出されている会社もございます。
 共用開始1年強ではございますが、既に産業界におきましても多くの成果が得られております。
 次に、今後の課題と取組でございます。計算資源の確保が非常に重要でございます。スーパーコンピューターは極めて短い期間しかその最先端性を維持することができません。したがいまして、HPCIの関連機関が新たに導入する資源を活用し、その資源の先端性の維持を図っていくことが必要でございます。
 また、資源提供機関ごとに運用ポリシー等、相当大きな違いがございます。そういった違いに関しましては、連携サービス委員会で調整をさせていただき、利用者の利便性の向上を図っているところでございます。
 成果の創出に関しましては、特に計算科学と実験科学とのシナジー効果を追及してまいる予定でございます。
 また、産業利用が非常に進展をしております。そのため、「京」の産業利用枠を5%程度から8%程度に拡大し、さらには「京」以外のHPCIの計算資源も使っていただくよう、その促進をしているところでございます。
 利用支援でございますが、ユーザー管理支援システムというものが非常に重要でございまして、それらの保守を関連する機関の皆様方と協力をしているところでございます。
 最後になりましたが、その他といたしまして、資料3-1の14ページに利用状況を簡単にまとめております。大体今までお話しした内容でございまして、時間も参りましたので、これにて終わらせていただきます。ありがとうございました。

【二瓶主査】どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまのお話に御質問、御意見等お寄せください。どうぞ。

【西島委員】最初の方で、「京」の85%という数字が出たと思うのですけれども、85%というのは「京」全体の85%の運用をここでは把握しているというか、掌握しているというか、どういう意味合いでしょうか。

【平山センター長】「京」の残りの15%は「京」の運用機関でおります理化学研究所が「京」の運用等の高度化調整をするために必要な枠としてリザーブをしておられます。

【西島委員】つまり、公募的な意味合いで85%という形でとられているのですか。

【平山センター長】はい、85%のうちの35%、正確に言えば30%でございます。それが公募の対象となる枠でございます。50%は国が特に重要であると考えております研究分野、先ほど戦略分野と申しましたが、そこに優先的に割り当てられております。

【西島委員】せっかく使うのであれば、「京」を使ってみたいというユーザーは多いと思うのですが、そのときに、83件のうち38件の代替利用を勧めたというのですけれども、主たる判断基準は何ですか。例えば、明らかに計算量が「京」を使わなくていいのか、あるいは、成果が公開型を優先するのか、あるいは、論文的に意義があるようなものを優先するという、何かそういう判断基準は持っているのですか。

【平山センター長】はい、ございます。もともと「京」の審査基準といたしましては、真に「京」を必要とする規模の計算になっているかということが1つございます。ですから、そこが一番判断の分かれ目になるところでございます。あとは、やはり科学的、社会的意義のある研究内容になっているのかと、そういうことでございます。

【西島委員】昔SPring-8のときに、そういう判断基準にするとどうしてもアカデミックに寄りがちであって、産業界の利用というのは必ずしもそういう部分ではなくて、速さとか、あるいは、使うことに対する会社の中での意義とかあるのですけれども、そういう産業利用について少し重点化するというような思わくはなかったのですか。

【平山センター長】説明が不足して大変失礼いたしました。産業界の利用に関しましては全く別の審査基準を用意しております。そのために、産業界の利用枠として別途5%というものを持っておりまして、そこの部分について別の産業界用の審査基準で審査をしているということでございます。

【西島委員】わかりました。
 あと、HPCIコンソーシアムについての実態の説明がなかったのですけれども、コンソーシアムというのは具体的にどのぐらいの規模のどういった団体ですか。そういう提言を受けているということは、相当なユーザー、コンソーシアムとして、例えば、SPring-8の利用者懇談会とかあります。それに匹敵するぐらいに、真にユーザーの声を聞き入れるようなコンソーシアムとして実態を持っているものですか。

【平山センター長】持っておられると思っております。

【西島委員】例えば、87社というのが産業界で使っていますが、87社の中でそのコンソーシアムに入っている会社というのはどのぐらいあるのですか。

【平山センター長】多分産業界としてはまだ入っていらっしゃらなかったのではないかと思います。

【西島委員】そうすると、ユーザーコミュニティーとして提言を受けるというのは本当にふさわしいところかというのをもう少ししっかりしないと。そういう提言を受けるコンソーシアムというのは漠然としていて、偏った意見を聞くことにならないかと思うので、その辺はしっかり、むしろこういうコンソーシアムはこういうぐらいの団体でこうなのだというものをはっきりこういう資料にもお見せになった方が、聞いている方としてはわかりやすいなというふうな印象を受けました。

【平山センター長】今後そのような機会がございましたら、コンソーシアムの状況も御説明できるようにいたします。

【西島委員】最後に、確かに運用としてはわかりますけれども、実際使って世の中にどういう成果が出たという、大事な部分が全く欠けているわけです。例えば、創薬に役立っただとか、医療がどうだったかというのは、今回はその対象になっていないかもしれませんけれども、例えば、成果公開型だと言っていますが、成果公開はどういう形で、どこに公開されていて、私たちはどういうふうにその内容を見ればよろしいのでしょう。

【平山センター長】資料3-1の14ページを見ていただきますと、成果発表データベースと書いてありまして、これがHPCIのポータルからここに飛べるようになっておりまして、こちらに入っていただきますと、右下の図のようなデータベースの画面が出てまいります。これは全データ検索もできるようになっておりまして、例えば、「京」一般利用のジャーナルでございますが、カーソルを当てていただきますと、今現在25件でございますが、その論文リストが全部出てまいります。さらに、特定の論文を選択していただければ、それに関するもう少し詳しいデータが出てまいります。ただし、論文そのものをここで表示することはできませんので、それはそういった情報ベースで学会誌等を御参照いただければと思います。

【西島委員】よくSPring-8とか、中性子のJ-PARCでは、トピックとして、普通の人がぱっと見て、最近出たトピックがわかりやすく表示されている。これだけ税金を使ってやったものについては、成果が比較的わかりやすく表現されているのですけれども、そういう御努力はなされています。RISTはそういうことをやっていらっしゃいますか。

【平山センター長】まだ1期が終わっておりません。この3月で1期が終わりますので、これからやろうとしているところです。

【西島委員】最初が重要ですから、最初にそういう取組を取り組まないと、いつまでたっても取り組まないものです。

【平山センター長】わかりました。

【西島委員】RISTというのがもうひとつ産業界からすると、実態というか、何となくよく見えない。正直言って、SPring-8のJASRIに比べると、やはり産業界に対する広報活動とか、そういう説明能力というか、努力が足りないなという印象を持っているので、その辺は是非進めてほしいなと思います。
【平山センター長】わかりました。

【吉澤委員】よろしいですか。
【二瓶主査】どうぞ。

【吉澤委員】1つは、利用者数が1,431名と資料に書いてありますが、これは延べ人数ですか、それとも、絶対数ですか。
 それから、もう1つは、大学の研究者でイメージしますと、大学院生、それから、職を持った研究者としては若手の40代未満、30代までの研究者と40代以上の方がどのぐらい使っているかというのは、利用分析としては重要な指標じゃないかと思うのですが、ざっくりした数字をお持ちでしたらお聞かせください。

【平山センター長】1,431名というのは、延べ人数でございます。
 39歳未満の方の御利用ということに関しましては、若手人材育成枠ということでその利用が進められておりますが、採用数は、課題としては原則お1人でその研究をするということになっておりますので、十数名でございます。また、それ以外にいわゆる課題の中に入っている若手の方もいらっしゃると思いますが、そこはデータ分析しておりません。

【吉澤委員】あと、もう1件ですが、1,151件のところで詳しい表を付けていただいているので、概要はイメージしやすいのですが、国際会議シンポジウムというのと国内学会シンポジウムというのは380とか340とか、非常に大きな数字を占めているように見えるのですが、これは具体的にどういうことでしょうか。「京」を紹介するシンポジウム、いや、研究会を開催したという意味でしょうか。

【平山センター長】各利用者の方々が国際会議あるいは国内会議等で御発表されているということでございます。

【吉澤委員】それぞれの利用者が成果を発表されたというイメージでよろしいでしょうか。

【平山センター長】はい、そうです。

【吉澤委員】ありがとうございます。

【二瓶主査】どうぞ。

【瀧澤委員】ありがとうございます。今のHPCIのこのプラットフォームだけではなくて、ほかのプラットフォームでも共通して言えるのかもしれないですけれども、日本全体で横断的に1つの分野ごとにプラットフォームを作るということは、航空業界に例えて言えば、国内の全部の航空会社がスターアライアンスの中に入っているというような、そういうようなイメージで、ともすると、競争環境がないので安住してしまうと思います。
 そういった中で、やはり最高のパフォーマンスを常に保っていくには、その中に適切なガバナンスを作らないといけないと思っていまして、先ほど御指摘ありましたけれども、コンソーシアムのHPCIコンソーシアムといった提言機関ですね、そういった中にどれだけユーザーの声が反映されるのか。ユーザーに対して運営側が強大な権力を持たずに、よりよい競争環境を保っていかれるような、そういうものをどういうふうにつくっていくのかというのをもう少しお聞かせいただきたいのですが。
 例えば、少し気になりましたのが、ユーザーの声を聞く機会として、資料3-1の8ページにありますけれども、「利用者の意見を積極的に取り入れる仕組みとして、中間報告会を開催し」とありますけれども、この第1回と第2回で共用開始半年後と1年後で比較して、例えば、運用面、真ん中の段の円グラフですね、その内容が若干変わってきていて、機能性能改善が減って、運用改善も減って、その代わり、利用環境整備の方に移ってきたというような、若干の変化が見えるので、改善しているとは思うのですけれども、日々の取組に関して、利用者の評価というか、そういったサービスの質の向上に向けた取組というのをどのようにされているのかというのをお聞かせください。

【平山センター長】運用に関しましては、まず、「京」に関しましては、私どもRISTと理化学研究所が協力いたしまして、月に1度、利用者に対してのブリーフィングを行っております。そこで新たな運用面でのいろいろな改善事項等を御紹介する。また、その場を通しまして、利用者が困っておられる、あるいは、不満である点を吸収して、運用の改善へつなげていくと、そういう形をとっております。
 また、戦略5分野の方々とはまた別に、運用懇談会というのが別途設けられておりまして、それは2か月に1回だったと思いますが、そういった場を通しまして運用に関わるいろいろな御要望を吸収していくというような体制で今現在は動いております。

【瀧澤委員】具体的に、実際どういう意見が日々出てらっしゃるのかというのは存じ上げないので、それが十分かどうかというのはわからないのですが、今後更にサービスの質をよくしていくための取組というのはお考えでしょうか。

【平山センター長】利用者への支援サービスといったときに、やはり一番大きいのは、利用者がお使いになるプログラムがそれぞれ御利用になる計算機上で最高のパフォーマンスを出せるようにプログラムをチューニングしていくという作業が実は非常に重要でございます。例えば、倍速くなれば資源が倍ほど大きくなったのと同じような結果になるわけですから、そういう意味で、高度化支援と私どもは呼んでおりますが、そこの作業をより一層進めていくということが一番必要だと考えております。
 また、そのために、私どもの方でも、とにかく「京」は非常に混雑しております関係で、なかなか使えない状況が今までございましたけれども、別途「京」と同じようなタイプの小型のスーパーコンピューター等も用意いたしまして、そこでそういったものを活用して、効率的な高度化支援を行っていこうと準備を進めたところでございます。

【佐藤委員】ちょっとよろしいですか。
【二瓶主査】どうぞ。
【佐藤委員】今まで出ている意見と絡むのですけれども、これはまさに日本の科学技術の最先端を行っていて、実験科学ではできないものを計算科学でやるということを含めて取り組んでらっしゃると思うのですけれども、そういう意味で、日本の科学技術が計算科学で、これこそがすごい成果だよねというアピール、先ほど来出ていましたけれども、そういうのがやはり必要だと思うのですけれども、1つだけ挙げるとしたら、今までの取組の中でどれがアピールできますか。これこそ日本の計算科学の粋を集めたものだというものは。

【平山センター長】非常にたくさんあってどれを選べばいいか困るところでございますが、戦略分野の1つで、心臓の鼓動のシミュレーション結果というものがございます。これはまさしく第一原理的な計算のレベルから組み上げていって、1つの心臓の鼓動までをやったということで、大変な計算量といろいろな異なる問題サイズの領域をうまくモデル化していって作り上げたというふうに聞いております。こういったことがうまく計算できれば、手術等の前にいろいろな検討ができるという意味で、非常に意義があるというふうに伺っております。
 また、あえてもう1つ言わせていただければ、これはまだ確定ではございませんが、そこの成果トピックスのところにございますように、HPCIとしての利用成果の1つでございますけれども、昨年の暮れ、『Nature』のニュースにブラックホールの蒸発に関するシミュレーション結果が取り上げられております。これは記事が掲載されてからわずか1週間で120万回のアクセスがあったといって、2013年度で最も『Nature』で読まれた記事であったというようなことがニュースになりました。
 ただ、これは若干まだ問題がございまして、この計算をされた方がまだ論文をきちんと投稿できていない状況で、この記事だけが何か先行してしまったといって御本人としては極めて不本意であるということを言っておられますので、ここでもあえて名前も出さないで、こういう形で、『Nature』の記事としてすばらしいものがこの成果として1つ出ておりますということだけ御紹介させていただければと思います。

【佐藤委員】いわゆる最先端のこういうトピックスを、やはり日本の最先端のプラットフォームを発展させるということをやっていかなくてはならないわけですから、国民目線でわかるようなアピールの仕方をしないと、わからないですよ。だから、そういうのを是非やっていただきたいのと、もう1点は、私も昔計算、スーパーコンピューターを作ってきた経緯もあるものですから、非常に気になっているのは、継続的に日本のスーパーコンピューターを更に新しいものに開発していって、国際的に競争力のあるものを開発できるのか、していけるのかということに対する今までの結果を踏まえて、やはり地球規模の計算をやらないとこれは無理だよねというのがいろいろあると思うのです。そうすると、今の100倍とか、1,000倍とか、もっと上のものを開発していかなくてはならないという意味では、そういう可能性というのはあるのかという話と、アメリカみたいにどちらかというと脳型コンピューターみたいなことに少しずつ動いているような気もするので、これはRISTに聞いていいかどうかわからないのですけれども、今後のこういう戦略に関わってくると思うので、その辺の見解を何か持っていますか。

【平山センター長】国の施策的なお話に質問が代わっておられると思うのですが、そういった1つのスーパーコンピューター開発の方向性に関しましても、HPCIコンソーシアムの方がいろいろと提言等をされる準備が進んでいるというふうに聞いております。
 また、国としても、いろいろな委員会等でエクサフロップスマシンの議論がなされているというふうに伺っております。

【二瓶主査】先ほど産業利用枠を5%から8%に増やすというお話がありましたが、若手人材育成枠5%、この内容について知りたいのですが、まず、若手というのはアカデミックと産業界とともに含むのですか、それとも、どういう定義でしょうか。

【平山センター長】若手に関しましては、これはアカデミックに一応今はなっております。39歳以下の研究者で、お1人で研究をされる課題ということになっております。したがいまして、現在は、産業界の若手の方は産業枠ということで御利用いただくようになっております。

【二瓶主査】5%枠は足りないのか、十分に足りているのか、いかがですか。

【平山センター長】これはなかなか複雑な事情がございまして、第1回では全く足りませんでした。五十数課題が若手枠に殺到してまいりました。したがいまして、採択率は実に14%しかありませんでした。その採択率が災いをしたと思っておりますが、平成26年度、この4月からの応募をもう締め切って、今審査が進んでおりますが、これは19課題しか応募がありませんでした。ということで、採択率を上げる努力を我々がしなければいけないというのを改めて痛感させられたことでございます。
 ただ、その一方で、計算の規模がどんどん大きくなっておりますので、1課題当たりの要求資源量が大変多くございます。そうすると、必然的に課題数を減らさざるを得なくなります。そのあたりを、どこでうまく塩梅をとって若い方の応募をエンカレッジするかということが今非常に難しい状況になっております。

【二瓶主査】ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

【宇川委員】皆さんなければ、最後に。
 
 HPCIコンソーシアムについていろいろ質問が出ていて、私実はコンソーシアムの理事長をやっております。ただ、こちらに座っている立場からすると、本来質問する立場なので、余り発言するのは適当ではないと思いますが、しかし、コミュニティー側としてこういったものをどう支えているのかという観点は非常に大事なことなので、ごく簡単に一言二言説明させていただきます。
 まず、コンソーシアムですけれども、比較的若い組織でして、4年前から準備を始めて、2年間の準備の後に一昨年4月に発足しました。個人をメンバーとするものではなくて、機関をメンバーとしています。計算科学技術関係の機関のそれぞれから代表の方が入っていただいており、現在約50機関だったと思います。正式メンバーが34機関、それから、アソシエイトメンバーという方々もいらっしゃるのですが、それが15機関、全体で約五十機関からなっております。産業利用という観点が非常に大事なわけですけれども、機関がメンバーですので、産業界に関しては正式メンバーとしては、スーパーコンピューティング技術産業応用協議会に入っていただいていまして、その傘下には、約25社だったと思いますけれども、主だったところはトヨタなどです。
 意見集約の方法としては、そういった各機関傘下にいらっしゃる方々の意見を持って機関メンバーがコンソーシアムの方に出てきていただく形をとっています。
 こういうプラットフォーム構築自体に関しても、実は準備期間の2年の間にかなりの議論をやりまして、今日、平山センター長が説明された枠組み自体も、予備段階のコンソーシアムで国とも検討しながら作ってきたという状況があります。そういう意味で、発足時からコミュニティーやユーザーの声というのをできるだけ反映させるようにやってきたと、そういう経緯はございます。
 一昨年の9月からHPCIの共用が始まりまして、その後もやはりまだ新しい仕組みですので、実際いろいろな問題が起こるわけです。毎年そういったことに関してユーザーコミュニティーから意見をアンケートという形でとって、定期的に国に提言をするということもしております。共用の第1期は1年半という非常に長い期間になってしまったので、どうしても追加募集が必要ではないかという声が非常にユーザーの方から多かったです。それも当然のことであるということで取り上げて、国に提言をさせていただいて、実現したということもあります。
 まだまだ不十分な点はいっぱいあると思うのですが、このHPCI自身がまだ第2期に入っていないような状況で、まだ落ち着いた状況というのでしょうか、運用する側も使う側もいろいろ迷って、揺れが激しい時点ではないかというふうに私個人的には思っていて、その範囲では比較的よい出発をしたのではないかと、これは多少我田引水になってしまうかもしれないので、余りいいコメントではないかもしれませんけれども、そのように思っております。
 幅広に活動していますので、もし必要だったらどこかで少し時間を、短い時間で結構だと思いますので、頂いて、コミュニティーベースのこういうプラットフォームの支援の仕方というふうな観点から説明をさせていただくということも考えてもいいのかもしれないというふうには思っております。
 以上です。

【二瓶主査】ありがとうございました。
 
 それでは、本課題の議論はここまでとさせていただきます。
 それでは、続きまして、2つ目はナノテクノロジープラットフォームでございます。御説明は物質・材料研究機構、ナノテクノロジープラットフォームセンター長でいらっしゃいます野田委員からお願い申し上げます。

【野田委員】野田でございます。どうぞよろしくお願いします。
 
 それでは、私の方から一昨年、平成24年7月から開始されましたナノテクノロジープラットフォームの概要について御説明したいと思います。与えられた内容につきましては、先ほどもありましたけれども、目的、概要から取組の成果、それから、この調査検討に資する取組の状況について説明してまいります。
 このナノテクノロジープラットフォームは、平成24年から一応10年の計画でございます。どういったことを目的とするかということですが、平成23年までナノテクノロジーネットワークを推進してきたわけでございますけれども、そこでいろいろな課題がございまして、特に本当に全ての研究者、技術者も含めて、利用できる体制になっていたのかということ、それから、やはり技術的領域をきちんと見ていく必要があるということがありまして、今回のこのプロジェクトでは3つの技術領域に対してそれぞれ代表機関を置きまして、きちんとどなたでも平等に使えるようなシステムをつくっていこうという考えです。
 基本的に、設備そのものは各機関が元々所有するものを提供するという考えでございます。それと同時に、やはり実際のソフトそのものに関してはそれぞれの第一線の研究者が開発、あるいは、それを使っているということでございますので、そのノウハウも含めたソフトの面でのサポートといった面で、先ほども産業界のお話がありましたけれども、単に大学関係だけじゃなくて、そういう産業界にも開かれたシステムをつくっていこうというコンセプトです。
 先ほどの3つのプラットフォームというお話ですが、それぞれ簡単に御紹介したいと思います。
 1つのプラットフォームは、微細構造解析プラットフォーム、これはやはり特色のある解析技術と言えます。特に電子顕微鏡が中心ですけれども、全国10機関が中心となって進めております。ここにいろいろな、超高圧電子顕微鏡だとか、高分解能電子顕微鏡というものがございますけれども、そのほかにSPring-8に、日本原子力研究開発機構と、それから、物質・材料研究機構(NIMS)が専用ビームラインを合わせて4本、NIMSは1ビームラインを持ってございますけれども、そういった放射光も提供されています。これはNIMSが代表となって全体を取りまとめるという形になっております。
 もう1つは微細加工プラットフォームです。特に半導体とかそういう分野では非常にいろいろな大学でその研究が進んでいるわけですけれども、これは全国16機関で、北海道から九州まで、それぞれにいろいろな特色がございまして、得意な分野に関して集中的に支援しようということでございます。これは京都大学が中心となって全体を取りまとめております。サポートする領域に関しましては、資料3-2の6ページに書いたようないろいろな分野でサポートできますということでございます。
 3つ目のプラットフォームは分子・物質合成プラットフォームです。これは薄膜のほかにやはり有機合成の分野で要望がございますので、そういう分野で合成と、それから、それの解析、評価といった面で、分子科学研究所が中心となりまして、全国11機関が参加して、北は千歳科学技術大学から南は九州大学まで支援する体制をつくっております。
 さて、私がおりますのはこのナノテクノロジープラットフォームセンターというところでございますけれども、それはどういう役割を果たすかということでございますが、この3つのプラットフォームをきちんと有機的に結び付けると同時に、その中の調整を行う。それから、ユーザー獲得に関しても積極的に行っていくということで、4つミッションがあります。
 我々のセンターとしては、1つは事業全体の調整・推進というのがございます。これは文部科学省の全体を見る運営統括会議というのがございますけれども、会議の意見を十分取り入れて全体調整を図るといった活動をしております。
 それから、全体のポータルサイト、これはやはり当センターから全ての各実施機関の状況が分かるような、そういったポータルサイトをつくるということ。それから、成果報告会やシンポジウム等いろいろな形で成果の発信を行うこと。
 それから、もう1つは企業にどうプラットフォームを使っていただこうかという観点から、そういった連携活動というのを行っております。
 それから、もう1つは人材育成関係の話でございます。
 まず1つ、このプラットフォームが、特に企業から見てバリアが高いとか、地方の大学が、このプラットフォームに入っていないとなかなか使いにくいのではないか等いろいろなこともありまして、やはり使いやすいような形にするように、約款方式にしております。
 利用形態は、先ほどのトライアルユースというのもありますけれども、基本的なことでございますけれども、利用料を取ることとしており、いろいろな形での支援を行っております。
 基本的に知財というのはその利用する人に直接帰属するとしております。共同研究の場合は別で、シェアするわけでございますけれども、基本的にはユーザーに知的財産権を与えるという形にしております。
 それから、これも委託費で行ってございますので、基本的に成果公開ということで、利用報告書を必ず使ったら出すということでございます。その際にアンケートを出していただきまして、その利用に関しての様々な意見を吸い上げるシステムにしております。
 また、利用料を払っていただいていますけれども、やはり企業が使う場合には成果非公開というケースもございますので、それに対応できるような形にもなってございます。
 成果の状況ですが、これは資料3-2の10ページに平成24年度の成果の状況を簡単に円グラフと棒グラフで示してあります。全体として大学が7割近く使っていて、二十数%は企業が使っているという状況です。
 それから、利用形態としては、トレーニングした人が自ら行う設備利用というのが結構多いということです。
 10ページの下の棒グラフですが、これは、先ほど私が述べましたナノテクノロジーネットワークのときの活動に対してどうなのかということで、利用件数の推移です。成果公開の利用件数ですが、ナノテクノロジープラットフォームになりまして、それまで大体1,300件で推移していたのですけれども、2,000件を超えるという形になりました。
 それから、成果の状況ですが、公開の状況、論文とか、特許も含めて、伸びてはいる感じでございます。
 基本的に、これは成果公開の部分でございますが、それに加えて、成果非公開の件数を加えますと、大体2,300件になる状況です。
 資料3-2には利用料の話は載せなかったのですが、利用料もかなり相当額、ナノテクノロジーネットワークのときに比べて4倍近くの状況にはなっております。
 成果はどういうものがあるかということで、3つほど、1つは学術的な面、1つはかなり技術トランスファーできるような点、それから、ちょっとチャレンジングな点というのを、御紹介したいと思います。2,000件の中から、実施機関が全部で37機関あるのですが、それぞれに選んでいただいて、その中から毎年6大成果というものを専門家の先生方に選んでいただくという、そういうプロセスを今進めているわけですが、その37機関の中から私が勝手に紹介したいなと思うものを、資料に出させていただきました。
 資料3-2の11ページは、微細構造解析プラットフォームの1つの成果でございまして、これはノーベル賞をとられたIBMのチューリッヒのベドノルズ先生が東北大学と共同研究で、ランタン酸化物の中の酸素の濃度を変えると電導度が非常に変わるというものです。それは一体どういう理由によるかということで、これは東京大学の構造解析のグループが支援して、非常に細かい電子顕微鏡を使って、チタンの位置がどこにあるのか、それが酸素の濃度によってどう変わっていくのか、可数がどうなるのか、そういった解析を行った結果でございまして、この成果はこの支援によってそのメカニズムがある程度明らかになったということでございます。
 それから、2つ目は、微細加工プラットフォームで行った、東北大学の支援によるものですけれども、もともとこのリオンと、それから、実はNHKもそうですけれども、新しい非常に微細なマイクロホンをつくりたいということで、シリコンエレクトレットですね、シリコンの振動子を使ってマイクロホンをつくるというものです。そのときに一番重要なポイントとして、いかに薄膜のメンブレンをつくるかといったところがキーポイントでございました。その辺は東北大学の微細加工と一緒になって、最終的にこれは4分の1インチ、約6ミリの型のほぼ普通のマイクロホンと同じぐらいのレベルの機能を持つものができたということで、これは実用化された1例でございます。
 もう1つ、分子・物質合成プラットフォームで行っている成果の1例ですが、これも実は東北大学のグループなのですが、こちらはフラーレンです。フラーレンの中に、実はリチウムのカチオン、プラスカチオンを閉じ込めると、そういった物質を大量につくるという技術が開発されて、それをどう応用展開していくかというところで、分子合成のグループが支援しているという例です。こういった燃料電池は固体電解質に使えるのではないかということで、今こういった応用の研究が進められているといったところでございます。
 こういった様々な、2,000件ほど成果が出てきているわけですが、それについては、産業界の方々も含めて、一般の方々も含めて、こういった成果報告会、それから、平成26年1月末に東京ビッグサイトでナノテク2014というのがありますから、その展示会と、それから、総合シンポジウムに大体600人から700人ぐらい来られますけれども、その場で紹介しようというふうに考えてございます。
 こういったもの以外に、地域での説明会だとか、いろいろなところの説明会でその成果の発信を行っております。
 次に、調査検討に資する取組ということで、順次お話ししていきたいと思います。
 共用プラットフォーム構築に係る問題点と、これに関しましては、我々センターとしては調整機関であるということと、いろいろな実施機関、それから、ユーザーからの声をくみ上げて、それをどうやってみんなで共有して問題を解決していくか、そういう活動を日々行っております。組織的には運営統括会議は全体を見るところです。それから、各3つのプラットフォームの中での委員会、それから、我々センターとしてはプラットフォームの代表者を集めて、個々の課題を、運営統括会議の意見も踏まえてここで議論するということもやっております。ただ、それだけでは代表者や、トップの人たちだけからの意見になるので、全実施機関37機関全体が集まって意見を交換する総会というのを開催しております。
 その中で、様々な課題をどう解決していくかということで、実はプラットフォーム連絡調整会議、これは文部科学省で設定していただいているのですけれども、その中で幾つか課題を解決するための方策を検討しています。平成25年度には13の課題について検討しているということで、実際に解決したものもありますし、もうちょっと議論するべきものと、この中には海外法人の支援とありまして、実はこれに関しましては、この研究開発プラットフォーム委員会の審議の結果を基に、ナノテクノロジープラットフォームの中に適用していく、そういう考えもあります。
 そのような中で、今非常に問題になっているのは、特に技術支援者のキャリアパス、質と量というところで、実はきょうも午前中タスクフォースを立ち上げまして、ナノテクノロジープラットフォームとしてどうするかというのをまず作ろうということで進めております。
 それから、これは10年のプロジェクトでございますが、やはり10年後のあるべき姿というものを今議論しているという段階です。
 先ほど、利用した方々には必ずアンケートをとるということで、2,000件ですけれども、実は平成24年度に利用された方から出た回答数は934件だったということです。それぞれどういう利用者かとか、あるいは、どういう関係や分野か、そういったことを聞いております。その中で、満足度はどうかという話を。満足度に関しましては大体利用された方はかなり満足されているなということでございますけれども、ただ、やはり不十分だという意見もあります。
 それから、センターが仲介してこういうプラットフォームの利用につながっているのもかなりございますので、そのセンターの窓口対応がどうでしたかといった、そういった意見も聞いております。
 その中で、どういった要望があったかということですが、やはりWEB等の簡単な利用法、予約、実は全国合わせると六百数十台、これは群でまとめているのもありますので、1個1個の装置にすると1,000台ぐらいになりますけれども、使用状況、予約状況を知りたいということがございまして、今そういったデータベースの公開的なものを作ろうとしており、作っている最中でございます。
 それから、1回の申請でいろいろなところを使えるようになるとか、そういったことも、手続の簡素化とか、そういった指摘もございます。
 装置に関して、成膜関係の装置がちょっと足りないといった意見もありますし、それから、スタッフ、技術支援者に対しては、装置の数に対してスタッフの数が少ない、あるいはちゃんと英語ができる人をそろえてほしいと。それから、学生で支援するのではなくて、やはりスペシャリストをきちんと置いてほしいと、そういったこともございます。
 それから、センターに対しては、やはり先ほどの検索システムだとか、それから、もうちょっといろいろな支援ができませんかという意見もございます。特に交通費とか、そういうもので支援できませんかとか、あるいは、生物・医学領域の方にもPRをしていただきたいといった、そういう御指摘がございます。
 資料3-2の19ページは、WEBページ、装置のデータベースのWEBページでございます。こういったものをつくっているということです。
 それから、他の共用プラットフォームとの連携ですが、我々のWEBページで資料3-2の20ページのように各WEBのリンクの張りつけも行っておりますし、実はここにクイックアクセスというのがございまして、ここで実際にいろいろな意見が聞けて、例えば、J-PARCが使えないかとか、それから、コンピューターの話はあったかどうか定かではありませんが、私自身もこういったところで相談を受けて、ナノテクノロジープラットフォームで対応できないものに関しては、ほかの共有施設を紹介するといったことも行っております。
 特に人材育成関係、やはり人材ということで、非常に大切なので、学生研修プログラムですが、これはプラットフォームを使って研修プログラムを行っており、海外のネットワークに行って、少しグローバルな観点からの意識を持ってもらう。技術支援者に対しても、やはりスキルアップのために、自分のところに閉じこもっているのではなくて、ほかにも行って研修を受けてくださいということで、こういった活動をしております。
 あと、やはり若手の研究者には世界で少し議論をしてほしいということで、こういったアメリカのNSFとの協力だとか、現在ヨーロッパ、あるいは、アジアとの若手の交流というものを進めております。
 イノベーション創出に資する取組ということで、我々はなるべくビジネス協議会と協力して、ナノテクノロジープラットフォームの活動状況をよく知ってもらうということと同時に、企業に出前出張をして説明会を開くといった活動をしております。その1つとして、実は試行的利用というのを我々はやっているのですけれども、旅費だとか、利用料の面で苦しい若手の人だとか中小企業、そういうところに対して支援を行っておりまして、昨年は52件、今年も96件ほど行っております。企業は大体2割になっております。
 時間が来てしまいましたので、ここでは割愛しますけれども、我々は地域に5名の人員を配置しております。これはJSTのプラザサテライトという活動のリソースを活用させていただきまして、彼らに地域でのマッチング、実施機関とユーザー開拓という点で活動しておりまして、今年、そういう意味では、かなりの認知率が上がっております。それから、マッチングも進んでいるということです。そういった地域でのセミナーも含めて、日々我々の活動、どういったことができるかという、そういう説明会を行っているということです。
 今後の課題ですけれども、やはり潜在ユーザーの掘り起こしです。それから、特に出前出張説明会が非常に大事でして、この中で、私はSPring-8やJ-PARCを使えませんかといった話も聞いております。
 それから、試行的利用というのが非常に有効であるということが分かってきたので、それを使って是非イノベーションにつながるような支援を行っていきたいと考えております。
 大型施設としてはシーケンシャルな利用の流れとかいったことが今後の取組でございます。
 以上でございます。ちょっと時間超過しました。

【二瓶主査】ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に御質問、御意見。

【長野委員】よろしいですか。
【二瓶主査】どうぞ。
【長野委員】どうもありがとうございます。
 二、三点質問させていただきたいのですが、利用実績を示されたと思いますが、それの各3つのプラットフォームに分けると大体均等でしょうか、どんな割合でしょうか。

【野田委員】実施機関の数も違いますので、微細構造解析プラットフォームは10機関、分子・物質合成プラットフォームは11機関、微細加工プラットフォームは16機関です。

【長野委員】資料3-2のプラットフォーム別に書いてあるのが実際の機関でしょうか。

【野田委員】そうです。やはり微細加工プラットフォームには来て、設備利用的なところが多いので、量は多いですね。電子顕微鏡なんかになると、やはりどうしてもかなり占有して使ってしまうケースが多いので、少し時間がかかるかと思います。

【長野委員】技術支援者の確保、キャリアパスというのは、なかなか大きな問題で、この委員会でもよく議論されているかと思うのですが、それに関係して、利用形態として、共同研究、あるいは、単に機器の利用、技術補助、いろいろなケースがあると思うのですが、大体の割合といいますか、つまり、共同研究等ですと、その技術支援をしている方々も当然論文等を書けば名前が入ってくるかなというように考えられます。ただ単に技術の補助をしたということだけであれば、教えているということで入るかもしれませんが、実際に論文等、つまり、その人の業績という観点からいうと、業績には特にリストアップはできない。つまり、キャリアパス等にもちょっといかがなのかと、その辺の兼ね合いがどんなふうになっているのかお聞きしたいのですが。

【野田委員】それは非常に大事な点でして、やはり技術支援者を見える形にしたいなというのが我々の考えでして、先ほど資料3-2の11ページからの支援成果事例には利用者しか名前が出ていません。ただし、今度6大成果というのを選んで表彰するのですけれども、そのときには支援機関も表彰の対象とすると同時に、ポスターには誰が支援したかという、支援者の名前を必ず入れるようにします。ただ、それだけではまだ不十分で、どのぐらいその支援者が、パフォーマンスはどうなのかというところは、もうちょっと詰めていかなくてはいけないかなと考えております。キャリアパスの面、評価の面できちんと評価できるようなことを今考えております。

【長野委員】もしデータがありましたら、例えば、分子・物質合成プラットフォーム、これなどはなかなか手間がかかるといいますか、時間がかかる仕事で、364件でもかなりの数をやっているかなと思うのですが、共同研究、あるいは、技術補助といったものの大体の割合というのはお分かりになりますか。

【野田委員】人数がどれだけ関わっているかということですね。

【長野委員】そうですよね。

【野田委員】平原さん、数字はわかりますか。

【長野委員】いや、大まかなところでいいのですが、共同研究というのはどれぐらい行われて、つまり、共同研究というのは共同研究者としてまさにこれにタッチしているわけですよね、そういうものがわかれば結構です。

【野田委員】共同研究が18%ですから、全体で2,000件のうちの18%がそれになっているということですね。

【平原運営室長】大よそで言いますと、分子・物質合成プラットフォームの場合、共同研究が倍ぐらい増えます。

【長野委員】そうですか、なるほど。かなりの数があるということですね。その辺が非常にこういった共用プラットフォームの将来のキャリアパス、それから、技術支援の在り方、非常に難しいところだと思うのですね。人も非常に足りないし、忙しいという、その辺をいかに解決していくかというのが課題だなと、そのとおりだと思います。

【福嶋委員】よろしいですか。再びこの利用者の数の問題ですけれども、ナノテクノロジープラットフォームになって倍増に近くなりましたけれども、これはナノテクノロジーネットワークのときと比べて何が違ってこんなに増えたのでしょうか。

【野田委員】これまでのナノテクノロジーネットワークのときはかなりそれぞれの拠点に任せていたというのがあります。今回は資料3-2の8ページのようなフォーメーションを作りました。そういう意味では、先ほど競争というのがありますけれども、この中での競争が見えますので、例えば、どこの拠点が一番よくやっているというのが見えてしまうというので、そういう意味では非常に競争が激しくなってきた。それと、全部ではないのですが、担当部署に今の再委託ということで、大学機関からまた採択されているのですけれども、そのときの評価指針として、パフォーマンスを加味しているということがあって、結構皆さん必死になっているなという感じです。

【福嶋委員】そうすると、営業努力の成果が出てきたというふうに見ればいいわけでしょうか。

【野田委員】そうです。あと、特にナノテクノロジーネットワークのときの問題として、やはり内輪で使っているのではないかということで、企業の利用者が20%を切っておりました。そこをどうするかというので、今回連携推進マネジャーと、彼らのミッションはもうまさに地方の公設試験研究機関、プラザのサテライトが持っているのは4万件ぐらいのデータを持っていますので、とにかく毎日日誌をつくっていただいて、実施機関との間を走り回っていただいて、そういう営業努力もあった影響かなという感じはします。

【福嶋委員】ありがとうございます。

【二瓶主査】ほかにはいかがでございましょうか。どうぞ。

【佐藤委員】キャリアパスのところです。やはり本委員会での課題でもあるのだと思いますけれども、技術支援者に対するモチベーション、キャリアパスというのを本当にどうするのかというのを考えないと相当大変だなと思います。
 それで、今の思いつきですけれども、例えば、何かナノテクノロジーマイスターとか、そういう資格を、モチベーションを持たせるため、対外的にもその実力がわかるような、単に表彰するだけじゃなくて、そういう制度的なもの、あるいは、資格的なもの、資格と言えるのかどうかわからないですけれども、要するに、ナノテクノロジーがもう絶対必要だということは間違いないので、今後も、そういうものに対するモチベーションを上げるというような努力を考えないといけないのではないかなというふうに思うのですが、どうでしょうか。

【野田委員】まさにその点、実は今朝も議論してきて、なかなかやはりいいアイデアが出てこない。というのは、森先生がいらっしゃいますけれども、電子顕微鏡学会では資格がありますが、ただ、それを持っていたからといって、じゃあ、すばらしいですねで終わる可能性があります。だから、やはりキャリアパスになるような方策がないかというのを、ポジションと処遇、これはどうしても、我々ナノテクノロジープラットフォームの中でまず考えなさいと言われているのですけれども、もっと全国的というか、日本としてどうあるべきかが当然問われてくる。大学の場合だと、どうしても技術職員というポジションがありますけれども、かなり給与は低い。だから、こういうサポートをしている研究者も含めてその評価をきちんとできる研究者と同等に見ていただけるような、そういう世界ができるといいなというのがあります。
 ただ、資格に関しましては、マイスターじゃないですけれども、例えば、どこで、何年間働いていたということも1つの経歴としては結構評価されるものがあるのではないかとか、幾つか提案されていますので、そういうものを加味していけばいいかなと考えております。突然ナノテクノロジープラットフォームでこういう資格を作りましたというのは、それがどうしたのと言われる可能性があるので、やはりみんなが、あそこでこれだけやったのであれば大丈夫ですねというものもあるかなと思います。今後幾つか案を考えていきたいなと思っています。

【二瓶主査】どうぞ。

【西島委員】同じような質問でくどくなってしまいますが、やはり人材育成は重要で、例えば、企業の中でも、測定のプロフェッショナルとかいうのが、例えば、X線とかいっても、すごく少ないですね。例えば、製薬会社に行くと、薬理合成なんていうのは石を投げたらそういう人にぶつかるぐらい多いですけれども、スペシャリストだからとても重要だけれども、逆に言うと、その人がなかなか評価されづらいというものですけれども、先ほど人材に関して、交流プログラムを紹介いただきましたが、例えば、キャリアを積む点に、強制とは言いませんけれども、ほかのところへ移っていって、そこで実際働いてもらって、その経験を積んでいって、その人にとって単なるプログラムじゃなくて、そういう人材交流をもっと進めていって、人事異動というのは変な言い方ですけれども。

【野田委員】人事交流。

【西島委員】人事交流をもっと強くするとか、あるいは、こういう人たちが産業界の中に戻ることができるような、産業界のそういう人たちを支援するような、そういうものをこれから考えていかなくてはならないのではないかなと思いますが、どうでしょうか。

【野田委員】支援者の中には、企業出身の方も結構いらっしゃいます。企業でのスペシャリスト的な方が、特に構造解析関係は結構多いですね。それと、微細加工もやはり半導体業界の方が結構来られていますが、今度は、プラットフォームから企業にも行けるような人事交流ができる。そのときにこういった経歴で見て判断していただけるような、そういうものが、何かスキルシートというのを、それは一般にやられているみたいですけれども、それのもうちょっと発展形がないかなとかいうことを考えておりますが、もし、いろいろアイデアがありましたら、どうぞよろしくお願いします。

【西島委員】是非また御活用ください。

【二瓶主査】利用者の要望の中に、企業にとって敷居が高い、あるいは、敷居を下げる取組、その辺はよく私も聞きますけれども、どういうことがポイントでしょうか。

【野田委員】まず、名前がちょっとあれですね、ナノテクノロジーというのが非常に難しいという人も、特に中小企業の場合ですと、ありますね。それから、やはりつてがない。だから、そういう場合には、試行的利用というので、結構若手といいますか、新しい方というのはかなり入れているのですが、これはトライアルユース的な、とにかく使ってみてくださいというものです。我々が支援しますということでやっています。いきなり正規ユーザーはまず不可能なので、こういったものももうちょっと拡大したいなというふうに考えています。いろいろそういったことを含めないと、WEBで見ただけだとか、成果を見ただけだとなかなか来ていただけません。それから、もう1つは、企業への出張説明会、私も行きましたけれども、現場で何が困っているのかなということがわかるわけです。その場合には、秘密保持契約的なところがありますけれども、それを聞きますとかなりいろいろな状況がわかります。ですから、出張説明会、これは非常に大事だなと思っています。実際ナノテクビジネス協議会からも是非そういうのをやってくださいということで、幾つか企業を紹介していただいて、活動を今始めたところです。特に企業の場合はそうですね。
 大学の場合だと、かなりつてが多いということは確かです。特に地方の大学、ただ、先ほどの試行的利用では高等専門学校の先生がかなり使ってらっしゃるので、オープンでやると、大学の先生も結構手を挙げてくるケースがあります。

【二瓶主査】どうぞ。

【今仲委員】また人材の話に戻ってしまうのですが、技術支援者の現状は、例えば、企業のOB、年をとった人と言っちゃ悪いですけれども、年配者なのか、若手なのか、どのぐらいの比率でしょうか。

【野田委員】調査をやっていまして、20代、30代、40代、50代、60代、多いのはやはり20代、30代、40代、それから、ちょっと飛んで、50、60代というのは大体定年を迎えられた方とかですと、来てすぐ指導していただけるというので、非常に我々としては助かっております。

【今仲委員】今後も年配者の方を増やされるのか、もっと若手を増やされるおつもりでしょうか。

【野田委員】やはり年配の方はそれなりに経験と知識を持っていますので、それは生かしたいと思いますけれども、ナノテクノロジープラットフォームとしてはいかに若手のキャリアパスをきちんとやりたいなと思って、そこを特に集中的にやっていますけれども、当然経験者というのは非常に役に立っていただいています。

【今仲委員】私が心配しているのは、年配者はそういうふうにうまく協力していただいたらいいと思うのですけれども、若い人は普通のプロジェクトと一緒で、大体半分終わるともう腰が据わらなくなって、次のところを探し始めます。これは10年プロジェクトですから、5年ぐらいたつともう次の絵を描けないとそわそわし始めると思います。だから、何か余り時間が、ゆっくり考えている暇がないのではないかなという気がします。文部科学省が10年後も今のままやってくれる保証ないですよね。

【野田委員】そういう意味では自立を目指せというふうにいろいろ言われています。利用料を上げていっても、それだけで雇用を続けられるかというのは難しいと思います。ただ、せっかくこれだけ多くの機関が入っているので、やはりどこかである程度パーマネントのポジションを得られるような形ができればと思っています。

【今仲委員】ありがとうございます。

【二瓶主査】ありがとうございました。
 
 それでは、この議題、以上でよろしゅうございますか。どうもありがとうございました。
 本日2つの機関から大変御丁寧な御説明、それから、質疑応答をさせていただきました。スピーカーのお二人の先生方にお礼を申し上げます。
 一応本日の議題は以上ですが、先ほど申しました、全体を通して御質問あるいは御意見ございましたら御発言いただいて結構ですが、いかがでしょうか。
 よろしゅうございますか。ありがとうございました。
 それでは、事務局から連絡事項等、御発言ください。

○三宅基盤研究課課長補佐より、今後のスケジュールについて説明があった。

【二瓶主査】ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして第12回研究開発プラットフォーム委員会を閉会させていただきます。本日は大変ありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

文部科学省 科学技術・学術政策局 研究開発基盤課

橋本、麻田、下須賀
電話番号:03-6734-4098
ファクシミリ番号:03-6734-4121
メールアドレス:kibanken@mext.go.jp

(文部科学省 科学技術・学術政策局 研究開発基盤課)