産業連携・地域支援部会(第17回) 議事録

1.日時

平成30年1月26日(金曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省東館3F1特別会議室

3.議題

  1. 平成30年度予算案等について
  2. 「地域イノベーション戦略支援プログラム」及び「先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラム」等に関する評価について(非公開)
  3. その他

4.議事録

【庄田部会長】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから科学技術・学術審議会産業連携・地域支援部会を開催いたします。
 部会長を務めております庄田でございます。本日は、委員の皆様、大変お忙しい中を御出席いただきましてありがとうございます。
 本日は定数17名のうち、現時点では12名、後ほど木村委員が遅れて御出席となりますので、9名以上の定足数を満たしていることを確認しております。
 最初に、事務局から資料の確認をお願いいたします。
【内野総括係長】  産業連携・地域支援課総括係長の内野でございます。きょうは課長補佐の竹之内が出席できませんので、代わりに務めさせていただきます。
 資料ですが、全部で1から5がこういった形でクリップでとまっているもの、これが本体資料でございます。資料の1から2、これが議題1で使うもの、資料の3から5は議題の2で使います。3から5については、4・5が非公開資料となっております。そのほか、参考資料、机上配付というふうにございますけれども、1枚机上配付と書かせていただいている2枚の資料がございます。こちらは佐々木先生から昨日、議論の際に使っていただきたいということで頂きましたので、こちらも机の上に置かせていただいているという状況でございます。過不足ありましたら、事務局にお伝えください。
【庄田部会長】  事務局に人事異動がございましたので、御紹介をお願いいたします。
【坂本課長】  事務局は文部科学省の方で審議官が交代いたしました。審議官の松尾が新たに着任いたしましたが、こちらに参った際に一言御挨拶をさせていただきたいと思います。
 もう一人の交代でございますけれども、地域支援企画官の大土井から生田が新たに着任をしております。
 生田さん、お願いします。
【生田企画官】  昨年10月から地域支援企画官ということで拝命しております生田と申します。地域の学術振興、古くて新しい課題と思っておりますけれども、これからいろいろやっていきたいと思っておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
【庄田部会長】  それでは、議題に移ります。
 本日の議事内容につきましては、委員の皆様に予告をされておりました内容から一部変更がありました。議題1として平成30年度予算案についてです。報告を頂いて、今後の更なるオープンイノベーションの加速、あるいは地域科学技術イノベーションの創出に向けて委員の皆様から御意見を頂きたいと思います。また、議題2として「地域イノベーション戦略支援プログラム」及び「先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラム」等に関する評価についての報告を予定しております。
 最初の議題1について、産学官連携施策の平成30年度予算案が昨年12月に閣議決定されておりますので、まずは事務局からこの内容について報告を頂きます。
【坂本課長】  資料1ですね、平成30年度予算案の状況についてという資料がございますけれども、こちらに基づいて御説明させていただきます。本日、時間が限られておりますので、ちょっと駆け足になることをお許しいただければと思います。
 1ページ、表紙をめくっていただきますと目次がございますけれども、この予算の資料を見ていただく際、これは政策体系、一番基本的なものは科学技術基本計画でございますが、その科学技術基本計画の中で打ち出されている政策と、文部科学省の産学官連携あるいは地域科学技術施策がどのように対応しているのかというのは、参考資料、一番最後だと思いますが、文部科学省における産学官連携・地域科学技術施策の全体像という資料がございます。こちらでそれぞれの科学技術基本計画の項目立て、それぞれの項目についてマップを作成しておりまして、これも併せてごらん頂ければと思います。なお、この施策の推進に当たって、科学技術・学術審議会の総合政策特別委員会、これは庄田部会長もメンバーになられていますけれども、そちらの方で科学技術基本計画、来年度で3年目に入りますか、5年間の計画ですからもう中間に入るということでございます。PDCAサイクルを回していく上で、それぞれの施策の体系の中で何が進められているのか、あるいはどういったところまで来ているのかというところの評価、チェックというのがこれから行われるということが、これは省全体として今進められておりますので、我々産学連携・地域イノベーション政策についても、この項目立てがこれからのPDCAサイクルの議論のベースになるということも御参考に申し上げさせていただきます。
 それでは、資料1に戻っていただきまして、目次でございますけれども、今我々4つの柱で施策を展開していると説明をさせていただいております。1つ目が民間投資導入拡大によるオープンイノベーションの加速、2つ目が革新的研究成果による本格的な産学官連携の推進。特に新しいプロジェクトマネジメントの手法というものを取り入れるということです。あと、3つ目がベンチャー・エコシステムの形成、4つ目が地方創生に資するイノベーション・エコシステムということでございます。
 ちょっと時間がたちましたけれども、前回の部会におきまして、これらの概算要求の状況を御説明させていただいておりますので、ポイントになるところは詳しく御説明しますけれども、それ以外は結局予算額がどうなったかというところを中心に御説明させていただきます。
 次のページをごらんください。2ページ目でございますけれども、先ほど申し上げました4つの柱についてそれぞれ主要施策を並べているところでございます。本日ちょっと御説明させていただきたいのが、1ポツの民間投資導入拡大の項目にございます一番初めのところ、オープンイノベーション機構の整備、これの御説明を簡単にさせていただきたいと思います。
 次のページをごらんください。3ページでございますが、これはオープンイノベーション機構ともう一つ、これは28年度から始めております産学共創プラットフォーム共同推進プログラム(OPERA)とパッケージにしてオープンイノベーション促進システムの整備という施策を新たに立ち上げたところでございます。
 この狙いについて、簡単に御説明をさせていただきたいと思います。もう皆様御案内のとおり、今大学の持つ知識、技術、あるいは人材を企業側が中長期的に事業戦略に組み込みたいと、そういった期待要求というのがますます高まっているというところでございます。次のページ、4ページをごらんいただきますと、例えばこういった表現ができるかと我々は考えております。これはある大学さんから御提供いただいたものを我々が加工したものですけれども、左側にこれまでの産学連携モデルがございまして、それが今どう変わろうかとしているかというと、右に書いておりますが、従来の産学連携モデル、我々の見方としましては、基本的に大学が既に持っているシーズ、研究成果ですね、それをいかに企業側に移転するか。企業側からすると、いかにそれを導入するかというところで、技術移転であるとか、持っている研究成果、あるいは技術シーズがどの程度使えるかということを少し加工したり、あるいは検証したりという、いわば探索フェーズの部分、これは企業側でいうと研究開発部門が中心になるわけですけれども、このフェーズの協力がはっきり言うとほとんどであったと。このフェーズは産学連携で最も基本なものであって、これは世界共通でこのモードの重要性に変わりはないと考えております。
 だが、これから重要になってまいりますのが右側でございますけれども、今求められているのは企業の研究開発部門が今あるシーズを導入するだけではなくて、今後企業が作っていくであろう、あるいは進めていくであろう事業戦略に必要な技術というものを最初から大学と共同で作る、そこにも投資をしていくというところが今もう始まっていると。さらに、技術シーズを作ることだけにとどまらずに、上のレイヤーに行きますけれども、新しい技術ができたときにそれが実際市場に投入されるまでに、これは製品化が必要になるわけですが、新しい機能、価値を持つ製品、プロダクトができるかどうかというのは、それはある機能を発現させるためのモジュール、そういったものが必要になるわけですが、そういったモジュールというものが果たして作れるかどうか。モジュール自身、あるいは量産技術とかそういったものを作るというのは製造部門の段階に入ってくるわけですけれども、この製造部門の製品モジュールを作るようなレイヤーにおいても大学と協力をしたいと。これは大学のインフラも充実してまいりました。あるいは、研究者の能力も非常に高まってきておりますので、そういったいわば製品モジュール開発、試作機なのかあるいは量産技術なのかというものを大学で行いたい。そこに企業側の人間も行って一緒にやるというニーズが高まってきておるということでございます。
 さらには、では製品モジュール、新しい機能を生み出すということが可能になってきたと。じゃあ、いよいよ最終ユーザーに届けるためのプロダクトというものを市場に投入することで事業部門が出てくるわけですけれども、ここでサプライチェーンを形成する際にも、従来企業が持っていた、自社なのかあるいは他社との間のアライアンスなのか、サプライチェーンだけではなくて技術をもともと持っているのは大学ですから、大学がベンチャーを生み出して、その新しいベンチャーがパートナーとアライアンスを組むというところまで、これは大学の役割として求められ始めているというのが、これは最新の大学に対する企業側の要求であると我々は見ております。このご提供いただいた大学さんにも大変いろいろ勉強させていただきました。
 こういったニーズに対応するために何が必要になるのか。3ページに戻っていただきますと、今申し上げた製造部門あるいは事業部門――基本的にはまず製造部門のところですけれども、研究開発部門と製造部門のところまで入ってきて、事業戦略に深く関わるような研究開発を行うということでありますが、これは基本的には競争領域を中心とした大型の共同研究開発というものが必要になってまいります。そういった、ある意味企業経営的な研究開発プロジェクトを管理する受け皿を大学に作る必要がある。こういったことのためには大変なマネジメント能力が必要になるというのはもうここにおられる皆さん御案内のとおりでございます。左側にクリエイティブ・マネージャーと書いておりますけれども、企業と共同で価値創造を行う専門家集団、企画もそうですし知財もそうですし契約・財務。正直申し上げて、日本の中でも有力大学には部分的にこういう方がおられるかもしれませんけれども、なかなかこういった方々をそろえて、先ほど申し上げました競争領域を中心とした大型共同研究を行うようなマネジメント組織にするというところまではなかなかまだいけていない。そういったマネジメント組織を日本の有力大学から埋め込んでいく。こういった組織作りはもう今欧米の有力大学では盛んに行われていると我々理解をしております。それに後れをとってはならんということで、これを文部科学省としてはまず進めていきたいというところでございます。
 この改革方策として、今申し上げました特別なマネジメント組織、そしてこのマネジメント組織だけが存在するわけではなくて、当然すぐれた学内の研究者、コア技術を核にして、関連分野の研究者を結集させる、そういった仕組みも大学の中に設けていただいて、こういうプロジェクト管理組織に、各教員はそれぞれの部局の研究室から出てきていただいて、第2研究室みたいなものを作っていただくというふうな組織、これをオープンイノベーション機構と呼んでいますけれども、これを5年間で作っていただく。最終的にはこの支援事業の終了時には一定程度の自立経営を目指していただくというふうな立て付けの事業というものをこれからスタートさせたいと考えているところでございます。要は、こういった本格的に企業経営的なプロジェクトマネジメントというもの、企業経営の手法を取り入れたマネジメント組織というものを大学に埋め込む初期投資を国が行うというものでございます。ちなみに、国の支援は14億という予算を書いてございますけれども、1大学当たり大体1.7億円の積算になってございます。これはほとんどこのオープンイノベーション機構のマネジメント人材の人件費及び活動費でございまして、研究開発費はほとんどもう企業からの資金を導入することによって運営していただくという形で今設計を進めているところでございます。
 ただ、今申し上げたオープンイノベーション機構、競争領域を中心とした活動になりますので、これだけで大学に根付くかというとなかなか難しいところがございます。当然大学がこれを本気になってやるということは、この組織あるいは活動が大学の教育・研究の発展に寄与するというところがあって初めて根付くであろうと。したがいまして、このオープンイノベーション機構、競争領域を中心とした組織と併せて共同研究コンソーシアム、これは非競争領域の基礎研究とそこで人材育成も行うというふうなコンソーシアムでございますけれども、そのための産学マッチングファンドというものですね、これは28年度から立ち上げておりますが、OPERAでございます。このOPERAとセットで大学の中にこういった仕組みを導入していただくということを我々は支援させていただきたいと考えております。OPERAの方は、先ほどのオープンイノベーション機構は8件8大学というふうに御説明しましたが、その半分程度、4大学ぐらいはこのセットを望まれるのではないかと。ほかの大学さんは、例えば既にOPERAを採択されている大学が今7大学ございますけれども、そういったところはもうそれの上にこのオープンイノベーション機構を単独で乗っけるというふうなことも想定されますので、ちょっと数はOPERAは少なめになっているというところでございます。
 次ですね。ちょっと飛ばしていただいて、OPERAの説明だけさせていただきたいと思います。8ページでございます。それまでの資料はこのオープンイノベーション機構のコンセプトをいろいろと書いたものでございます。人材像、あるいは組織の概要。これは御参考に見ていただければと思います。OPERAについてですが、今申し上げた非競争領域における、基礎研究領域における共同研究と、それからあと博士課程学生を中心とした人材育成ですね、この非競争領域の研究ですので、学位論文が書けます。そこで、博士課程等の学生を産学共同で人材育成をしていただく。大型の民間資金を得て、そういった教育・研究を一体として行うというのはマネジメント改革が必要になりますので、大学のマネジメント改革も行っていただくという事業でございますけれども、これについては概算要求のときに御説明いたしましたけれども、これまでの教訓を踏まえまして、新たにフィージビリティスタディの期間を設けました。2年間は小型でとりあえず共同研究コンソーシアムを形成していただく。具体的には、1年当たり2,500万円程度の共同研究費を2年間、民間の企業から導入していただければそれに見合った額を国から出すと。フルスケールは1.5億円でございます。この1.5億円のフルスケールになるときには、2年目の途中段階で審査を行いまして、フルスケールになるぐらいの企業側からのコミットメント、あるいは研究内容の充実が図られているかどうかということを審査した上でフルスケールに行くというふうな2段階のステージゲートを設けるというふうな立て付けで今後運営させていただきたいと考えているところでございます。
 あと、9ページでございます。センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム。10年後の目指す社会像というものを起点として、そこからビジョンを設定していただいて、そこからのバックキャスティングで研究計画あるいは研究課題を策定していくと。そこでアンダーワンルーフ、大学の中に産学官の研究者にみんな結集していただいて共同で研究開発を行うと。企業側も当然リソースを持ち込んでいただくという、大型の新しいプロジェクトマネジメントを導入しておりますけれども、こちらにつきましては、右上にございますが、今年85億円、ほぼ前年同額ということでございますが、そういったことでございます。
 次でございますが、10ページ、研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)でございますが、これは長年JSTさんが行われてきている個別のすぐれた技術シーズを実用化、促進していくと。探索あるいは小型の共同研究フェーズから大型の企業側での製品開発事業まで切れ目なく支援していく事業でございますけれども、今回は地域産学バリュープログラム、マッチングプランナーという、地域の企業のニーズを起点として、そこをしっかりと把握した上で、全国的にそれにマッチするようなシーズを探していくというコーディネーターというかそういった方々をJSTは今全国に配置されていますけれども、その方々の仲介の下に共同研究を行う資金というのをこれに統合いたしまして、さらにマッチングプランナーが発掘してきた案件を、実際企業側が本気で取り組むのに、従来は300万円程度ぐらいの本当に入口、技術が物になるかどうかというところの探索ぐらいの規模から、やはり本格的に試作品を作れるぐらいまでのものも支援するということで、実証研究ということで1,000万円、よく言われるギャップファンドに相当する部分だと思うのですけれども、このギャップファンドも今回メニューに付け加えたというところでございます。
 あと、11ページでございますが、ベンチャーに関わる施策でございます。我々文部科学省はこれからの新しい産業を作る、産業構造を変えていく人材、アントレプレナーが非常に重要であると考えておりまして、そこの人材の育成、そしてそういった人材が大学の革新的な技術を使って、実際に事業を起こしていく、それを支援する起業前準備支援というようなこと、さらに実際起業してからも出資での支援とかもしておりますけれども、特に通常予算で行っておりますのは、先ほどの人材育成と、それから起業前準備の支援事業でございます。
 次の12ページをごらんいただきますと、起業前準備につきましては大学発新産業創出プログラム(START)ということで、これは前年度から少し減になっておりますけれども、約18億円の予算が措置されたところでございます。
 次のページをごらんいただきますと、13ページですが、次世代アントレプレナー育成事業、これについては若干増額で3億6,000万程度となっております。この増額部分は、これは概算要求のときに御説明させていただいたと思いますけれども、先日の日刊工業新聞の記事にも出ておりましたが、ここで出てきたトップクラスの起業家候補ですね、学生さんであるとかあるいは若手研究者の方々が、大学の革新的なシーズを用いてビジネスを起こそうとする。それは当然初めからもうグローバル展開を狙ったビジネスになると考えております。ただ、グローバル展開といっても、なかなか実際にビジネスを起こそうとすると海外の市場でいかにそれに価値が見出されるか、あるいは、販路・流通まで含めてサプライチェーンが組めるか、アライアンスが組めるかというようなところも重要となってまいります。そういったことを実際に海外に出ていって、潜在的なパートナーあるいは顧客と対話しながら自らのビジネスモデルを検証するというところを国と民間で支援をすると。国費の部分は、これはプログラムを開発したりする部分を3,000万で、とりあえず今このEDGE-NEXTでは5コンソーシアムが今走っておりますけれども、このうちの2コンソーシアムからスタートするということを考えておりまして、その2コンソーシアムのプログラム開発費を3,000万円程度措置しております。実際の派遣費用は民間からの御寄附でお願いをしたいと考えております。今複数の民間団体、企業から資金提供をするというふうなお話を頂いております。それを是非文科省としても官民協力で行っていきたいと考えているところでございます。
 最後、地域の関係でございますけれども、14ページ、地域イノベーション・エコシステム、これにつきましては、地域に存在する技術シーズを元に新しい事業を起こしていく事業プロデュースというものに関わる様々な専門家がいらっしゃいます。技術開発の専門家もそうですし、あるいはマーケティング、知財。そもそものプロデューサーといいますか、全体のビジネスを構想していく、そしてそれを推進していくリーダー的な方も必要なわけですけれども、そういった地域に存在する方々を結集して、基本的に大学を場として大学のすぐれた技術シーズを発掘して、最適な事業化計画というものを作っていただく、そういう事業を進めております。これについては、文部科学省自らが特許事務所あるいは技術等専門機関、更にこういった事業プロデュースの御経験のある専門家に御協力を頂きまして、文部科学省自らビジネスモデルを分析をする、あるいは競争環境等の変化等も分析をする、そしてハンズオン支援をするということをやらせていただいているところでございます。28年度から始まっておりまして、現在14地域を支援しておりますけれども、30年度は新たに5地域を選定させていただくということで、31億円の予算の措置となっているところでございます。
 長くなりましたが、私の説明は以上です。
【庄田部会長】  平成30年度予算ということで、過年度から行われている施策と、平成30年度に新たに開始される施策の説明がございました。後ほどの議論にも大変重要だと思いますので、まずこの予算にある施策に関して、委員の皆さんから御質問はありますか。
 須藤委員、どうぞ。
【須藤委員】  今、坂本さんから説明のあったオープンイノベーション機構なんですけれども、当初この話が出たとき、もう少し文理融合といいますか技術的な話じゃなくて大学の持っている社会科学あるいは人文科学系の力を結集するんだというのがあったと思うんですよね。企業が競争領域で大学と連携するって一番何に期待するかというと、技術もそうなんですけれども、やっぱり大学の持っている社会科学とか人文科学の力を結集してそれをいかに早く市場に出せるかというところだと思いますので、書きぶりなんですけれども、もう少し技術だけじゃなくて社会科学とか全部入れた全体のエコシステムとして社会に出していくというのを強調された方がいいんじゃないかなという気がしました。
 それからもう一点は、絵で描くと分かるんですけれども、OPERAからオープンイノベーション機構ってすんなり矢印が上がっているんですけれども、これ実際やるときは、今まで協調でやってきたところをどうやって競争領域に持っていくのかというのが、まだ実際にやってないので具体化されてないと思うんですけれども、そこをやるときにもう少し具体的に仕組みを作っておかないと、一生懸命みんなでやってきたのが次のステップにうまくいったときに今度は競争になってくるんで、ちょっとそこの制度設計が、すぐじゃなくてもいいんですけれども、まだ少し考えた方がいいかなという気がします。
【庄田部会長】  今の2点はいかがですか。
【村瀬室長】  お答えいたします。御指摘ありがとうございます。
 まず1点目の文理融合の観点、正に御指摘のとおりでございまして、私ども実際の事業の執行に当たりましては、その辺り意を用いてまいりたいと思っておりますが、正にこれからの社会像を踏まえて企業の事業選択にどう深く関わっていくのかという文脈から考えれば、正に社会科学系の力も踏まえた上での分析、これあろうかと思っておりますので、そのように事業の仕組み立ての際は工夫していきたいと思っています。
 2点目のところでございますけれども、正にそこは肝だと思ってございます。今回事業の中にオープンイノベーション機構との連携型といったメニューを用意してございますが、そこではやはり非競争領域から競争領域の一気通貫で物事が今後流れていくことが大事だと思っていますので、御指摘を踏まえまして、工夫してまいりたいと思います。
【庄田部会長】  高木委員、どうぞ。
【高木委員】  同じくオープンイノベーション機構についてコメントをさせてください。4ページに記載されている、目指すべき産学連携モデルは大学と産業界の関係が密になるという点で、大変すばらしいと思います。しかし、大学と企業の連携のスタートが、企業の研究開発部門になっていますね。この図そのものが間違っているということではなくて、事実としてはこのような場合が多いと思いますが、本来、企画部門やマーケティング部門が、まず企画を立てて、それを受けて研究開発部門が研究をしていくというのが一つのあるべき姿としての流れではないかと思います。海外の有力企業では、マーケティング部門、企画部門が研究開発部門に対して、かなりリーダーシップを発揮しているところがあります。
 オープンイノベーションで、技術が初めにあって、その用途開発をおこなってビジネスを成功させることは、実は結構難しい場合が多いです。逆に、初めにニーズ、課題があって、それに対して技術を開発する。この方が、ビジネスが成功する確率は高いということがあります。オープンイノベーション機構の連携先は、研究開発部門に限らず、もう少し企業の企画部門との連携を意識していただきたいというのが、1点目のコメントです。
 それから2点目なんですが、オープンイノベーション機構の事業規模は1.7億を5年間ということですが、その5年が終わった後なんですよね。これは人件費や経費ということですが、仮に連携がうまくいっても6年目以降に継続的に1.7億、特に人件費分を捻出できるかというと、かなり準備をしておかないと難しいのではないかと思います。何が大事かといいますと、6年目以降も継続していくために事業がスタートしたときからハンズオンで十分な支援をしていくことが非常に重要だと思いますので、この点も是非、十分ご留意していただければと思います。以上です。
【庄田部会長】  梶原委員、どうぞ。
【梶原委員】  すみません、オープンイノベーション機構のクリエイティブ・マネージャーのところでちょっと質問させていただきたいんですけれども、企画、知財、契約・財務という専門性を持った集団の人を集めていくということですが、実際にはこれは大学のスタッフの方というよりも、民間から集めるということでしょうか。そのときに、こういうメンバーというのは各案件ごとに1チームなのか、複数の案件をシェアリングするような格好で行くのかとか、その辺の構想が何かあるのであれば教えていただきたいと思います。
【坂本課長】  ありがとうございます。そういった組織設計が大変重要になってくると思います。はっきりいいますと、先ほどの高木委員の御質問にもつながりますけれども、約2億円の資金を5年後には管理的経費を自ら稼ぎ出すためには一体何が必要になるかと。単純計算で、いろいろなマネタイズの仕方があると思うので、これは是非ともマネタイズの手法を総動員していただきたいと思うんですけれども、単純化して間接経費で例えばこの2億円を出すとすると、年間7億円要るわけですね、3割だったとして。今3割一生懸命拡大を目指していますけれども。7億円を回す、研究開発に毎年です、これは相当なマネジメント力が必要になりますけれども、その年間7億円の研究費が、例えば大型の二、三社でどんと来るのか、あるいは多数の企業でばーっとあるのか、多分実際は混在した形になると思うんですけれども、その組み合わせによってパターンは変わってくると考えております。
 ただ、この7ページにマネジメント部門の人材像を描いておりますけれども、オープンイノベーション機構長とそれからプロデューサー、これはアカデミアとか大学の代表というか経営権を持った方と、それからあと実際にプロジェクトマネジメント、日々のマネジメントの実質的な責任者とタッグを組んでやるということが必要になります。その下は、多分ある程度プロジェクトごとにプロジェクトマネージャーとサブマネージャーがチームを組んで、1件なのか2件なのか見るという、幾つかのグループが出てくると。そこに共通管理的な業務を行う知財とかあるいは法務、そういった方々がいると。多分そういう組織体になってくるんではないかと想定しています。
【梶原委員】  行く行くは大学の中にそういう専門を持つ人を専任という形で作っていきたいという、大学の人材育成ということにもつながるということですか。
【坂本課長】  そうです。
【庄田部会長】  栗原部会長代理どうぞ。
【栗原部会長代理】  正に今の質問と関連するのですが、このオープンイノベーション機構というのは、各大学の中で部局等を横断的にマネージするために大学ごとに作るものなのか、それとも大学を超えて存在していてあるプロジェクトを複数の大学で構成するような機能も持つなのか分からなかったので教えていただきたいと思います。それから連携というのは目的的に行うことが有利だと思うのですよね。シーズを集めて整理しましたということではなくて、ある目的のためにいろいろな技術や材料だったり、ICTだったり、コグニションだったりが連携することが重要でして相手方の企業やどうビジネス化する可能性があるかということが明確になっていると連携の仕方や効果が見えてくると思うのですが、それがないと恐らく進まないのではないかと思います。そこの辺の仕組みがどうなっているのでしょうか。OPERAのようなプロジェクトと相乗的に取り組まないと余り実効性がないような気がするのですけれども。
【村瀬室長】  お答えします。
 まず1点目でございますけれども、正に一義的には恐らく典型的には1つの大学を中心としてしつらえを置いていくということになろうかと思いますが、相互補完的に関連する分野において他大学も組み込んだ形というのは十分あろうかと思っていますが、大事なのはやはりマネジメントをしっかりと利かせる、しつらえにするということだと思ってございます。
 2点目につきましては、正に御指摘のとおりでございまして、連携をどうしていくのかという文脈においては、対象となる研究分野といったものがある程度同一である、あるいは関連する企業群といったものがある程度親和性を持っていると。さらに、将来的な事業構想といったものの整合性といったものをオープンイノベーション機構とOPERA連携型との間で図っていくといったものが一つ我々今後の詳細の制度設計に当たって重要かと思っておりますが、御指摘を踏まえてまた検討してまいります。
【庄田部会長】  御質問はまだまだあると思いますが、次の議論の中でこの平成30年度の予算施策も含めて御議論いただけたらと思います。次の論点整理を事務局からよろしくお願いします。
【坂本課長】  資料2で御説明させていただきます。
 こちらは今これから文部科学省で進めていく施策について御説明させていただいたわけですけれども、我々は施策、これは予算に限らない話ですが、マネジメント改革であるとかあるいは制度改正であるとか、そういったものを含めてどう進めていくかと、あるいは全国のコミュニティー形成とかですね、というものを様々な形で我々は政策を打っていく必要があるであろうと考えています。きょうは、恐縮でございますが、事務局の方で何かたたき台があるというわけではございませんけれども、こういったことをこれから検討していく、我々一部準備しているところもございますけれども、検討していこうとしている、あるいはしてはどうかというふうなところを、とりあえず具体例を挙げておりますけれども、是非こういった今後、今後といっても結構近視眼的とお叱りを受けるかもしれませんけれども、例えばここ5年ぐらいとか、あるいはここ3年どういう手を打っていくかとかいうところをちょっと考えて、是非委員の皆様から御意見を頂きたいということでこの資料2を作成いたしました。
 今、上に書いてございますけれども、企業が今オープンイノベーションを本格的に進めようとしている、あるいは地方創生のために科学技術あるいは大学が持つ知の役割は非常に重要になっているというようなことが言われておりますけれども、そういった中でどういった方向に我々は産学官のコミュニティーを誘導していくべきかというところで、まず一つ目の軸は、「組織」対「組織」の本格的な産学連携というものをもっと加速していくということがあると考えております。
 これについて、ちょっと今までの施策の流れを簡単に御説明させていただきますと、これ2ページにございますけれども、これはある程度先ほど御紹介した参考資料の基本計画の項目立てに沿った形で施策を最近のもの、今残っているものを整理しておりますけれども、今からもう20年ぐらい前になりますけれども、科学技術基本計画ができまして、まだ当時ははっきり申し上げて個別の技術シーズについていかに技術移転をしていくかと、共同研究を立ち上げていくかというところが主眼であったと考えています。この個別シーズについての実用化を目指す、これは大変重要なところでございます。そのためのマネジメント体制を強化するということも当時は非常に重要であったと。今続いているものとしては、先ほど御説明したA-STEP、こういったものはそのツールとして非常に重要だったわけでございます。あるいはJSTの方で知財活用支援事業、特許の出願支援であるとかそのほか大学が知財を取得するのに対し様々な今支援を行おうとしておりますけれども、こういったマネジメント体制強化というものが重要になってまいりました。その後、ベンチャーが非常に重要になってきたということで、文部科学省としても、先ほど申し上げましたSTARTあるいはEDGEプログラムと、人材育成や起業前準備支援ということで、大学がベンチャーを起こすときに、一部の高い能力、及び必要な人脈、インフラを持っている人たちだけが大学発ベンチャーを起こすのではなくて、組織的に大学がベンチャーを起こしていくためのシステム作りというものですね、文科省としても進めるというところで、そういった施策を立ち上げてきたところでございます。
 さらに、それとある程度並行してでございますけれども、その上に行きますが、産学官共創の「場」の形成ということでございますが、特にまずプロジェクトベースで、プロジェクトマネジメントを変えることによって、今まで大学が基本的に基礎的な部分をやって、成果が出たら、はい、渡しますというこのバトンリレー方式ではなくて、もう一緒にビジョンを共有する、課題を共有する。先ほど企業の事業戦略あるいは企画部門ですね、そういったところとのつながりが重要だというお話がございましたけれども、企業側あるいは大学も含めて何を社会にもたらすべきかというところから共同で活動するというふうな場を形成していくということで、COIプログラム、あるいはOPERAもできたところでございます。
 さらに、本格的な産学連携ということで、これは前の部会で御説明したかと思いますけれども、全国の大学、これは国公私含めて、あるいは国立研究開発法人もまだまだマネジメントが弱いところがございますので、そのマネジメントを資金の面、あるいは人材流動の面、あるいは知識、技術の面ですね、知財、そういったものについてどう改革していくかというガイドラインもアカデミア、産業界、様々な有識者の方々にお集まりいただいて経産省と共に策定し、更に文部科学省でも新しい改革方策というものをオープンイノベーション共創会議というものを運営しまして、そこで出てきた提案というものがオープンイノベーション機構というところでございます。ここで本格的に民間資金を導入すると。それによって自律的に回るような組織というものを大学も作っていく。それは企業に対する、社会に対する貢献にもなるし、かつ大学の教育・研究の成長にもつながるという、その両者を目指した組織作りというものをするということで、本格的に産学連携というふうな流れが出てきていることでございます。
 1ページ目に戻っていただきますと、そういった流れを受けて今後どうしていくべきかというところでございますけれども、まず「組織」対「組織」の本格的な産学連携というところにつきましては、特に先ほどちょっと栗原委員から御質問がありましたけれども、やはり力のある大学の中にマネジメント人材もいるし、あるいは様々なアライアンスも自ら組めるというところがございますが、やはり大学の規模によってはなかなか知財にしても、あるいはマーケティングにしても広報にしても交渉にしても、契約事務、自分のところだけで全部やるというのはなかなか大変だと。こういったときに、知財の問題であるとか、あるいはリスクマネジメントもそうです。そういった有能な専門人材がいれば手が出せるけれどもなかなかそこはいないんで手が出せないと、連携活動を拡大できないというところを、大学間で連携することによって、例えばそういった人材をシェアする、あるいはそのほかのリソースもシェアするという形で、これまで手が付けられなかったような活動を展開するような、そういうリソースを共有するというふうな連携もできるんではないか。あるいは国際的な産学連携で、これは各地の大学あるいは研究機関が非常に悩んできておりますのは、当然各地の大学・研究機関は国内の企業さんとは様々な面で、研究の面でもあるいは人材の面でも太いチャンネルはあるわけですけれども、最近海外の勢いのある企業はどんどん日本の大学に投資をしてきております。そういったときに、日本の大学にとって海外の企業も当然有力なパートナーとして、彼らの持っているテーマも興味があるわけですけれども、日本の企業と競合関係にある海外企業である場合に、どう大学は海外の企業と連携していいかと非常に悩ましい問題がございます。そういったところをどうしていくのかという考え方も、ある程度やっぱり整理していく必要があるだろうと。
 あと、地方大学で様々なすぐれた分野の研究が行われておりますので知財があるわけですが、これは分散しております。こういったものをどういうふうに効果的に運用していくかというところ、こういったところは「組織」対「組織」の重要なポイントになるかと考えております。
 あと、人材についても、人材の流動化、クロスアポイントメントというのをガイドラインで打ち出したわけですけれども、企業さんから大学に対しては、これは結構クロスアポイントメントの実績が出てきておるんですが、大学から企業に行くというのがまだまだ数が少ないです。これは大学の側の問題と企業側の問題、両方あるんであろうと。それぞれインタビューしておりますけれども、見えてきております。どうその壁をぶち破っていくかというところは、これは正に行政もしっかり役割を果たさせていただいて、産学共同で考えないとなかなかこの壁はぶち破れないなというふうな考えを持っておりまして、そういったところを検討を進めていってはどうかと。あと、マネジメント人材についてオープンイノベーション機構で正にこういった人材が必要になりますけれども、URAあるいは更にそれの高度な人材をどう育てていくか、能力・質保証をしていくかというところも考えていく必要があるということを掲げております。
 あと、大学発ベンチャー、これはアントレプレナー育成を全国的な展開にしていくということで、やっと日本でも各地で北海道から九州まで全国的な活動の広がりが出てまいりましたけれども、まだまだ能力はあってもこういったところに力を入れられてない大学もありますので、そこを是非我々が開拓していって、全国的なコミュニティーを形成するということ、あと様々なところですぐれた研究が行われているんですが、その出口を既存の企業に求める従来の技術移転の発想だけではなくて、どんどんベンチャー化していくということもやっていくと。研究事業とベンチャーとをどう接続するかというところも重要な政策課題だと考えております。
 あと、地域科学技術イノベーションの創出につきましては、今地域の、これは様々な地域が課題を抱えられて大変な御努力をされていると我々理解をしております。その中で、やはり地域で雇用を生み出す。人口減少をどう防いでいくかというところで、雇用を生み出すためには新しい産業が要ると。この新しい産業をどう興すかというのを自治体と、それから金融機関と、そして産業界と今必死になって取り組まれていると。そこにどう大学を組み込むかということ、ここも政策問題としてやれることはまだまだあるのではないかということを考えてたりしているところでございます。
 大体論点は以上でございます。
【庄田部会長】  木村委員、どうぞ。
【木村委員】  大学に、研究開発や人材育成だけではなく、企業との結節点等も含めて多面的なハブ機能を持たせるために、様々な政策立案に努力されていると思います。
 10年ぐらい前に、私自身もアメリカの大学に力があるとすれば、そのポイントは何なのか調査しました。財政面では基金の運用、そしてその収益が大学の財政面を支えていますし、組織の面では基金の運用、そしてその収益が大学の財政面を支えていますし、組織の面では、教員以外のプロフェッショナル集団が大学の運営を支えています。日本のそれにあたる人員を1にすると約10倍ぐらいのスタッフがアメリカのいわゆる研究大学と言われるところにはいます。日米の大学の相違を生み出している理由は単純ではありませんが、大きな要因として考えられるのはアメリカのトップクラスの大学というのは概ね私学であることが多く、日本の場合は国立大学が中心になっているところです。これまでもトップクラスの大学の改革を進めてこられ、今回も新しいオープンイノベーションの仕組等を導入されようとしています。しかし、それらを運営する人材の確保あるいは育成には時間が必要です。短時間で成果を求めるのではなく、長期スパンでこの活動を継続し着実に成果を生み出していって頂きたいと思います。
【庄田部会長】  菅委員、どうぞ。
【菅委員】  御説明ありがとうございました。本当にいろいろ企画されて有り難く思っております。
 ちょっとオープンイノベーション機構に少し戻らせていただきますけれども、詳細に作り込むという話はさっきも出ましたが、余りがちがちに詳細に作っていただくと、これはまた発展性がなくなる可能性も高いので、ある程度のルールは必要ですが、余りがちがちにしないようにしていただきたいという私の要望です。今までは、産学連携というのは大学の先生が持っている技術ありきでそこから産業への何とか橋渡しをするための模索をするんですけれども、オープンイノベーション機構の場合は、先ほど高木委員もおっしゃっていましたが全く逆で、企業側からの方からニーズあるいは課題を大学が掘り出しに行って、多くの場合そういう課題はマーケットにつながっている場合も多いので、それを大学の中に持ち込んで、それに適した技術を探す。あるいは恐らく先生の技術がすぐにつながることはないかもしれない。その改良を産業と共に一緒にやっていくと、そういう場にしてほしいなと思います。それによって初めて大学の本当の技術力が産業につながっていくという例が生まれ、将来的には大きなイノベーションにつながっていくというような本当にスキームを作るような機構になってほしいんです。余りがちがちにするとそれがちょっとできなくなる可能性もあるので、その辺はちょっと気を付けて機構の設計をしていただければと思います。よろしくお願いします。
【庄田部会長】  渡部委員、どうぞ。
【渡部委員】  細かいことからですけれども、先ほどの資料1の4ページの右側のスキームを実際に検討すると、幾つかクラリファイしないといけないことがあります。
 大学の中の設備を使ってサンプル的なものができるわけです。マテリアルトランスファーで移転することはできますけれども、結局それをベンチャー、左側がベンチャーか大企業か分からないですがそういうところが有償で頒布するというようなときに、サンプルですから継続的、反復的に量産するわけじゃなくて、ある程度POCのための有償の提供とかきっとそういうようなケースでは、恐らく今は大学としては大学の業の範囲に入るかどうか分かんないのでやりませんと、現場はそうなっている感じなんですよね。昨年はインキュベーション施設の賃料の対価をエクイティで受領することを明示的に認めていただいたりしているんですけれども、それの並びでそういうのをちょっと明示的にクラリファイしていただくと非常によいのではないかなと。具体的に言うと、技術研究組合法で、技術研究組合はもともとできなかったのが21年法改正でサンプルの販売ができるようになっています。あのレベルでいいので、そこはホワイトリストをだしていただくといいのかなと思います。それが1点目ですね。
 それから2点目ですけれども、先ほどの国際の話というのがしょっちゅう出てくるんですけれども、海外企業という言葉で曖昧に議論しても恐らく全然だめで、海外企業って何ですかということをはっきりさせる。資本は日本のグローバル企業ってほとんど海外企業ですよね。だから、現地法人との契約が発生する場合の問題点だとか、何なのかということを整理した状態で議論すると良いかと思いますというのが2点です。
 それから3点目ですけれども、大学から企業への人材の移動が少ないということが言われていますけれども、実態を見ると、ベンチャーに関しては兼業する人はどんどん増えているのですよね。そういう意味ではフルタイムで動いているわけじゃないけれども、エフォートは実際かなりベンチャーに動いている。だから、結局それをさらに盛んにしていくと移っちゃう人もいるという状態になっていて、大学の中に実際にベンチャーがいる施設があるだとか、地理的な近接性というのはそういうことを考えると非常に重要です。今後は大学の中に企業の研究所もできたら誘致したいと思うわけですけれども、そういうようなことが実際には人材流動性を向上させるソリューションに結び付くのだろうと思います。それが3点目。
 それから4点目なんですけれども、これは一般論としての産学連携の様々な接点を充実させるという話に加えて、どういう分野のどういう方向性のものを盛んにするかという話で、年末に政府のSDGs推進本部で本部決定をされていると思うんですけれども、SDGsの観点で本部決定文書の中にはベンチャーの促進とかそういうのも入っているんですけれども、これは通常、例えばAIとかの中の産業振興とかいうと経産省は一生懸命やるんですが、SDGsはちょっと違う可能性が高いと。だから、結局それは今環境省とか外務省とかなんだけれども、ここは少しそこの担当枠をはっきりさせて、SDGs促進という観点での産学連携みたいなものも考えても良いんではないかと思います。これは実は知財などもSDGsの観点で評価をした方が良いと思います。というのは、実際はGPIFなんかがもう中長期投資についてはESG投資でそういう観点が入っているのですよね。そうすると、実際にそういう観点で評価が悪いものに関しては知財も価値が上がってこないはずです。というようなことを考えると、大学法人としても知財の評価にそういう観点を入れることが必要になってくると思うので、そういう観点での施策というのも考えられるのではないかと思います。これが4点目です。
【庄田部会長】  有難うございます。必ずしも文部科学省にとどまらず、国全体の御指摘であろうかと思いますので、是非とも事務局もほかの府省庁ともよく御議論いただきたいと思います。
 三木委員、どうぞ。
【三木委員】  今回の資料を拝見して、一番大事な点は、これは永続的に続けられるシステムをイメージできているのかということだと思うんですね。例えば、オープンイノベーション機構にしましても、マネジメント部もこういった部門を大学の中に持つことの意義というのは確かにあるわけですけれども、これを本当に学内なのか学外なのか、大学の周りに持つべきなのか、エコシステムとして持つべきなのか。この辺のところはしっかりと検討しておく必要があると思います。いずれ従来のいろいろな施策も予算措置をされている間は機能するんですけれども、予算措置が終わるとシュリンクするというのは一般的に大学で起こっていること。この辺のところを考えると、その点がまず一番に大事だろうと思っています。
 実際に私どもINPITの方ではこのプロデューサー機能の中の知財面のプロデューサーを既に大型プロジェクト、特定の大学に派遣するのではなくて、大型プロジェクト、それから中小規模の大学にはアドバイザーを派遣しています。そこではどういうことをやっているかというと、最後的なビジネスの姿を常に描くため、ビジネスモデルキャンバスのようなものを用意して、段階的にそれを充実していく。これを大学と企業、特に中堅中小企業の場合にはその辺の力が弱いところがありますので、そういったこともやっている最中です。そういった支援で上市が加速されます。やはり中身なんですね。だから、このファンクションを具体的に学外でやるのか、学内でやるのかということと同時に、いわゆるビジネスデザインをサポートする機能をどこに持たせるのか。これが大事になってくると思います。まだ今から動かし始めるところなので、将来の像についてはいろいろあるんだと思いますが、過去に起こったことも参考にしながら、いいデザインをすることが大事かと思います。
 それから、大学発ベンチャー、START事業やEDGE事業に私自身も少し関わっているので若干コメントさせていただきます。ビジネスデザインをするファンクションを実はSTART事業の12ページですか、ここでは事業プロモーターがそのファンクションを担っています。実際には民のベンチャーキャピタリスト等がここを担っているわけですけれども、実はいろいろやってみるとキャピタリスト自身もやはり投資の観点が非常に強くて、ビジネスデザインをサポートできるファンクションには弱いところもある。これが現実です。それと、この絵も、その前の絵だったかな、ベンチャーに関しては成長発展、11ページはここまでで終わっているんですけれども、これだけだとオープンイノベーションじゃないんですね。成長発展の段階でもいいんですけれども、最近CVCが非常に増えているし、資金も豊富になっている。海外ではアクセラレーションプログラムも一部の大企業がやっている。国内ではこれまではほとんどやられていなかった。CVCの投資とかアクセラレーションプラグラムとか、それらは当然エグジットとしてのM&Aも考えているわけです。やはりベンチャーを考える場合には、エグジットまで入れた絵を描かないと、本当の意味で既存の産学の、産業界、既存企業が協力できる、そしてそれが自分たちのビジネスにとってもプラスになる、こういった絵にならないと思うので、そういう絵にしていただけるといいのかなと思います。
 いずれにいたしましても、ビジネスデザインをリーディングするような人なのか、それともサポートする人なのか、そういうファンクションをどこに置くのか。これは非常に大事だと思うんです。私どもINPITでは7年間大型プロジェクトのサポートをしており、そこでは知財面を中心にサポートし始めたんですが、実際にやり始めると、ビジネスデザインのサポートまでやらざるを得なくなっているのが現状です。そういう意味では、私どもは本当に限られたことしかできませんので、文部科学省さんの方でビジネスデザインに関するファンクションをもっと強化するようなモデルを作っていただければ有り難いと思っております。以上です。
【庄田部会長】  オープンイノベーション機構は学内のみを考えられていますが、そこについてもう少し検討があっても良いのではないかという御指摘だと思います。
 栗原部会長代理、どうぞ。
【栗原部会長代理】  先ほど質問、コメントもしたので手短に申し上げます。
 先ほどの三木委員の質問と重なりますけれども、正に学内なのか学外なのかということは重要だと思います。今までの研究の在り方、それから評価の在り方と切り離して取り組めるかどうか、独自のマネジメント体制を作りビジネスモデルにつなげていくことができるかどうかというところだと思うので、それはあえて学外に作った方がいいのか、むしろ学内できちんと認知される方がいいという考え方もあるんじゃないかと思いますので、その在り方を考えていただきたいと思います。
 それから、2つ目に大学発ベンチャーというところですけれども、いろいろなアントレプレナー育成の場ができつつありますが、日本では基本的に理系の人向けのこういったアントレプレナー教育というところが実はまだまだだなと思っております。その点についても是非大学の役割として強化をしていただきたいと思います。
 それから3点目に地域という観点なんですけれども、地域と企業と大学が結び付くことが必要で、例えばなんですが、リビングラボのような形で、企業のビジネス実証を地域で大学と連携してやっていただくような、そういういい事例を積み上げていただくということもあるのではないでしょうか。そういった観点からも考えていただけるといいのではないかと思います。
【庄田部会長】  坂本課長、お願いします。
【坂本課長】  ありがとうございます。まず、オープンイノベーション機構のような、先ほど渡部委員からのクロスアポイントの話もありましたけれども、企業とのチャンネルというものをぐーっと太くしていくための大学の受け皿をどうするのかというところは非常に大きな大学にとっての問題だと我々考えております。これを中に置くか外に置くかというのはおっしゃるとおり非常に重要な問題です。我々はこのオープンイノベーション機構を是非大学の中に置きたい。それはどういうことかというと、こういった組織を大学の外に置くというのは、多分このオープンイノベーション機構の発展形としてあると思います。ただ、その大学の教育・研究とつながった形でこういう競争領域の共同研究をやるような組織と、教育・研究とつながる、教員がどんどん研究室から出ていく、あるいは学生は――これはちょっと難しいですけれどもポスドクとか学生さん、どんどんそういうところに入っていくのはハードルが高くなります。でも、そういうところに出ていくというのは、今まではベンチャーみたいなことって例えばあったんです。でも、研究開発だけをマネジメントするというのは高度な、企業経営でも高度な組織だと我々考えております。それを単独でできるようになれば、多分これは日本も相当進んだ国になるんじゃないかと、日本の大学がそういった組織を例えばTLOのような形で外部に置いて、全面的に協力して運営できる体制は多分日本の大学はまだなかなかできないんじゃないかなと。まずは中において、その大学の教育・研究とつながるようなパイプにして、それを独立させるというふうなアプローチが現実的ではないかというのが我々文部科学省の今の見方でございます。でも、栗原委員がおっしゃったように、その方向を是非目指したい。そういった中で、もうベンチャーが個別の事業ではなくて自分たちの技術を社会に出していくことそのものがビジネスになるような、そういう組織が日本に生まれるというのをできる限り早く我々は実現したいと思っているところでございます。
 2点目ですが、ベンチャーについては三木委員の御指摘は非常にそのとおりでございまして、我々は、特にこのSUCCESSとかSTARTの事業についてはエグジットというものを常に意識させていただきます。文部科学省の施策の範囲は、関係府省との間で整理されているように表現するとこういうことになりますけれども、もう意識は必ずそこに置きますので、そこは我々はもうコミットをきちっとさせていただきます。
 あと、地域の問題、これも非常に重要でございます。地域については、今おっしゃたような企業と共同で活動する場というのをいかに作っていくかというところですね。これについては、我々引き続き、インフラでも一部そういったものを作らせていただくようなところがあるわけですけれども、さきほど渡部委員からお話があった企業の研究所を誘致したいということ、あるいは大学の中にベンチャー、インキュベーション施設ですね、作りたいということと、あと地域の企業はもう本当に出たり入ったりして、ビジネスのある活動部分を大学でやるというようなことで、いかにそういう空間を作っていくかということを我々引き続き是非やらせていただきたいと思います。
【庄田部会長】  林委員、どうぞ。
【林委員】  ありがとうございます。2点申し上げたいと思います。
 資料2の最後のページのこれまでの施策の図を拝見しましても、今回のオープンイノベーション機構が加わりますと、目指す大きな目標に向けた様々な施策が同時に走ることになると思います。目指すところは共通していますので、それぞれがなるべく効率的に総合的に作用することが望まれると思います。今、オープンイノベーション機構をまずは大学に置くという御説明でございました。資料1の6ページを拝見しますと、大学の中には既にいわゆる産連本部があります。しかしながら、いわゆる部局と産連本部とは大学の組織の中では別組織であり、もう一歩部局へのグリップといったら恐縮ですけれども、トータルなマネジメントを効率的にするためにはどうしたらいいかということをいろいろお考えいただいたものと理解しております。
 オープンイノベーション機構を大学の中に置いたときには、組織内組織のような形で、産連本部とオープンイノベーション機構と部局ととがあるというよりは、一種の機能として、オープンイノベーション機能なのかどうか分かりませんが、「機能」として存在するというものになると思います。実際は兼務される方も多いでしょう。そうすると、菅先生とか渡部先生からもお話がありましたが、このオープンイノベーション機構を進める上での何とかマネジャーはどういうものであるべきということをがっちりと決めてしまうと、結構複雑な、屋上屋になりかねないと思います。むしろ今までできなかったこと、こういうことができるようになるという機能面が重要ではないかと思います。渡部先生はホワイトリストという言い方をされましたけれども、このオープンイノベーション機構という新しい施策を使えば、今までできなかった、例えば大学の中に企業の研究所を誘致できるとか、部局でいろいろ競争領域のコンフリクトが生じるような事案の受け入れのときにも悩まれると思うんですけれども、そういった点の整理もできるようになるとか、一旦窓口でファイヤーウオールを作ることでコンフリクトの生ずるような案件も研究目的ごとに契約の中で期間中の同一研究ができるかできないかとか、営業秘密とか知財の扱いをどうするかとか、そういうところの前さばきをするような組織として機能すれば、部局の先生も安心して取り組めるんじゃないかと思いますし、資金提供する企業側も取り組みやすくなるのではないかと思います。是非組織が増えるという形ではない、効率的な形でこのオープンイノベーション機構の施策を進めていっていただければと思います。以上です。
【庄田部会長】  佐々木委員から提出の机上配付の資料については後ほど読ませていただきますが、もしもここで何かあればお願いいたします。
【佐々木委員】  というか、私のペーパーはむしろこのOI機構を含めてこの施策がこれから着実に進んだとして、じゃあ3年後、5年後にどんなことが起こって、それに対してゲバがどうなるかなというところをまとめましたので、先に議題を終わらせていただいて、後の時間で話をさせていただければと思います。
【庄田部会長】  本日頂いた御指摘については、施策を実施していく上で事務局の方で検討宜しくお願いします。
 議題2です。「地域イノベーション戦略支援プログラム」及び「先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラム」等に関する評価については、この部会が報告を受けることになっております。この2つの事業に関する評価につきましては、前期である第8期の産業連携・地域支援部会における検討状況を踏まえて引き続き検討を行っていく必要があるということです。
 事務局からこの部会で何を決める必要があるかということの説明をお願いします。
【坂本課長】  この資料3で御説明させていただきます。タイトルは、「第9期産業連携・地域支援部会における研究開発評価について」というタイトルでございますけれども、特にこの記の下に書いております2つのプログラムにつきまして、この産学連携・地域支援部会の方でこの外部評価についての決定とか確定をするということをお諮りさせていただきたいと。その上でその内容もきょうもう既に外部評価の専門家による評価、その両事業が行われておりますけれども、それを改めてここで御報告をこれからお願いをいたしますので、その部分について御決定を頂きたいということでございます。
【庄田部会長】  資料3にある評価案を皆さんで決定いただくということですか。
【坂本課長】  そういうことでございます。
 まず、この2つの事業、なぜ部会の方で評価結果を最終的な決定、確定をしていただく必要があるかということでございますが、これは特別な事情がございます。実は、これ両方とも当課が担当しておりますいわゆる文部科学省の内部部局による事業でございますが、この事業の特殊性をこのペーパーで説明をしているところでございます。1つ目の先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラムなんですけれども、このプログラムはもともと過去、科学技術振興調整費という制度が旧科学技術庁でできまして、それによって実施された事業が補助金化されたものでございます。この先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラム、今から10年ぐらい前に立ち上げられたプログラムですけれども、その当時の公募要領において、文部科学省がこの事業を運営するに当たって、運営委託を行う機関に設置される評価作業部会において外部評価は実質的に行われます。行われますが、それを科学技術・学術審議会の研究計画・評価分科会に報告をして評価を決定するということが公募要領に定められたところでございます。それ以降、この評価はこの研究計画・評価分科会からこの産業連携・地域支援部会に評価をするという決定主体が移行しているところでございます。前期までその運用をさせていただいているということで、今期もこの運用を続けさせていただきたいというのが1つ目の論点でございます。
 もう一つ、地域イノベーション戦略支援プログラム、こちらにつきましても、文部科学省にこのプログラムについての外部評価委員会を別途設置して、外部評価は既に行っております、技術的なものですね。ただ、これにつきましても、この事業は実は文部科学省と総務省と経産省と農水省が共同でこの地域イノベーション戦略支援の対象地域というものを選定をして、それぞれの省が地域イノベーションについて支援をすると。文科省の場合特に研究の人材を雇用するとか、コーディネーター人材を雇用するとか、あるいは施設の共用を促進する、そういうところが中心になるわけですが、経産省さんは企業側の支援がメーンになるとかそういう形で共同で一つの地域を支援していこうというプログラムなんですが、こういった形で各省連携をやっているものですから、単に各省がそれぞれ置いているこの事業のための外部評価委員会での外部評価をするだけではなくて、公式に設けられている審議会、文科省ですと科学技術・学術審議会に報告をして、評価結果をある意味確定させるということがこれまで行われてきております。したがいまして、これを今期においてもこの部会で引き継いでいただくということを是非お願いできればなというところでございます。
【庄田部会長】  今の説明で委員の皆様お分かりになられましたでしょうか。2つのプログラム外部評価結果の報告を受けて、部会としてその評価を決定するということを決めるということですね。
【坂本課長】  そうですね。
【庄田部会長】  もし文案の中に何か細かい修正がありましたら、この修正につきましては部会長一任ということでよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、委員の皆様特に御異議がないということでしたら、部会で決定をしたいと思います。
(「異議なし」の声あり)
【庄田部会長】  それでは、実際の2つのプログラムについて、外部委員会の方から説明をお願いいたします。
【坂本課長】  申し訳ございません。一言だけ、追加の補足の説明でございますが、今御決定いただきましたペーパーの後ろに両プログラムの概要が付けられております。今回御報告いただきますのは、まず先端融合領域イノベーション創出プログラムにつきましては、事業概要はこちらに書いております。この先端融合領域イノベーション創出形成プログラム、事業概要のところのポイントと書いておりますけれども、産業界と共同で大学が提案をしてマッチングファンド、国費、これは基礎的な部分を大学が研究を行うのに使われる費用と。企業側もちゃんと同額以上の研究資金を使って、実際に大学側の研究から出てきた成果を実用化する、そのための研究をすると、こういうことをちゃんとコミットメントを最初に得て、国費を支出すると。今ですとセンター・オブ・イノベーション(COI)プログラムはそれに近い事業設計をしておりますけれども、この先端融合プログラムはアンダーワンルーフというのが厳密になっていないんですが、多分我が国では、これは年間5億円ぐらいの資金が各拠点に提供されていますけれども、これだけの大型資金を国が出して、かつそれ以上のコミットメントを企業側に求めるというマッチング形式だと、多分日本では初めてのプログラムだと思います。そういうプログラムで運営をしてきたところでございます。
 今回、事後評価について御報告いただきますのは、3ページ目にございますけれども、平成19年度に立ち上がった、大阪大学から京都大学までの5課題について事後評価を行って、その評価結果について、これから委員会の方で結論について御報告いただくということでございます。
 地域イノベーション戦略プログラム、これは事業概要を先ほど申し上げましたので飛ばしますけれども、今回御報告いただくのは同じく3ページ目ですね、24から29ですけれども、神奈川から鳥取までのこの25年度に立ち上げられたプログラムについての事後評価ということでございます。以上です。
【庄田部会長】  これからの外部評価委員会からの御説明に関しましては、個別利害に直結する事項が含まれるということで、運営規則第5条3項の規定に基づいて、これからの議事については非公開とさせていただきます。プレス並びに傍聴者の方については、恐縮ですけれども御退出をお願いいたします。

(傍聴者・プレス退出)

○「地域イノベーション戦略支援プログラム」及び「先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラム」に関する評価について、評価委員会より説明があり、評価結果について了承された。

【庄田部会長】  私から質問があります。先ほどの資料2の2ページですが、産学連携ベンチャー創出に関するこれまでの施策の中に、この先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラムが入ってのはなぜですか。
【坂本課長】  すみません、マップの方には入れております。こちらの方、シンプルに、はっきり言うと今後その論点を考えていただくときに、今こういう形でずっとプログラムを走らせていると。これ、全部実は線を書くとぐちゃぐちゃになるんです、ということがございまして、ちょっとシンプルに書かせていただきましたけれども、本来例えば先端融合であればCOIの前にぐーっとつながります。10年ぐーっとつながります。あと、地域がこれに入っていないんですけれども、地域はもう先ほどの図がありましたので、いろいろ工夫をしながら、クラスターという概念を打ち出したこともありましたし、ずっとやってきているんですね。一覧性を持たせると本当に複雑なというか線がもう重複するところが出てまいりますので、そこはちょっと簡略化したということがこの資料の構成になっております。
【庄田部会長】  分かりました。きょうは全体のプロジェクトについて報告いただきましたが、この部会では、科学技術基本計画に沿って文部科学省がとられている関連施策のPDCAサイクルを回す役割もあろうかと思います。今後は、そういう視点で資料もお作りいただき説明いただければと思います。
 
佐々木委員、どうぞ。
【佐々木委員】  私の方から言おうと思っていたんですけれども。というのは、ちょうど今週大学トップマネジメント研修でシンガポールに行ってきて、各大学の18ぐらいの大学の副学長先生とか学部長先生が集まったところにちょうどこの資料を頂いたので、本当に大学の現場の生の声を集めさせていただきました。これをちょっと1分2分で説明するのは余りにもったいないなという、これだけの皆さんの意見を集めたことって余りなくて、是非何か次回の会とかでこういう議論をさせていただければ、むしろそのときにちゃんとした資料としてお渡しさせていただいて説明も頂けるのかなと思いますので、きょうはそういう生の声をちょっと机上配付させていただいて、次回機会がありましたらちゃんとした資料として載せさせていただきたいと思います。
【庄田部会長】  ありがとうございます。
【佐々木委員】  是非読んでいただいて、御意見がありましたら是非頂いて、させていただければと思います。
【庄田部会長】  次回以降の部会の中でその機会を作っていただきたいと思います。
 最後に、その他を事務局からよろしくお願いいたします。
【内野総括係長】  
 次回の日程については部会長と御相談の上決定させていただきたいと思います。
【庄田部会長】  それでは、閉会といたします。御協力ありがとうございました。

―― 了 ――

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