産業連携・地域支援部会(第10期)地域科学技術イノベーション推進委員会(第6回) 議事録

1.日時

令和3年1月19日(火曜日) 13時00分から15時00分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

   (1) 地域科学技術振興に係る令和3年度政府予算案について
   (2) 共創の場形成支援プログラム(地域共創分野)の施策の詳細について
   (3) 地域の社会課題の解決に向けた取組
   (4) 地域科学技術イノベーション・エコシステムの構築に向けた方策について(最終まとめ(案))について

4.議事録

【齊藤補佐】 それでは、時間になりましたので、今から、科学技術・学術審議会産業連携・地域支援部会第10期地域科学技術イノベーション推進委員会を開催したいと思います。
冒頭の司会を務めさせていただきます、文部科学省産業連携・地域支援課の齊藤大地と申します。よろしくお願いします。
それでは、本日の会議を始めさせていただきたいと思います。今日は、新型コロナウイルス感染症対策のために、オンラインでの開催になっておりますが、皆様、不都合等ございましたら、ぜひ御連絡いただきたいと思います。
なお、今回の委員会の様子は記録いたしまして、YouTubeでも配信させていただきます。また、議事録及び資料につきましては通常どおり公開させていただきますので、何かありましたら、そのときにまたこちらのほうでも確認できるようになっておりますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、配付資料の確認等に行きたいと思います。
本日の御出席者の紹介をいたしますと、委員といたしましては、西村委員だけが御欠席となっておりまして、総勢10名の参加となっております。
文部科学省からは、科学技術・学術政策局より、板倉局長、梶原審議官、斉藤産業連携・地域支援課長、そして、氏原地域支援室長の参加となっております。
氏原地域支援室長におかれましては、本日の会合に初めての参加となっておりますので、一言御挨拶をしていただこうと思います。では、室長、よろしくお願いします。
【氏原室長】 よろしくお願いいたします。本日オンライン開催ということで、座ったまま失礼いたします。
ただいま御紹介にあずかりました地域支援室長の氏原と申します。
昨今のコロナ禍の情勢におきまして、より一層自律的な地域科学技術イノベーション・エコシステムの重要性が増してきたものと思います。
本日は、地域科学技術イノベーション・エコシステムの構築に向けた方策について、報告書の最終的な取りまとめに向けた御審議をいただきたいと思います。本日は、忌憚のない御意見を頂ければと存じております。
それでは、よろしくお願いいたします。
【齊藤補佐】 室長、ありがとうございました。
続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。本日の資料は、議事次第にございますように、資料1から資料4-2までが本資料となっておりまして、参考資料としては、1~3の3つでございます。事前に事務局から送付させていただいていると思いますが、開けないとか、乱丁があって見えないとか、不都合がありましたら、事務局まで御連絡いただけたらと思います。
本日の会議の進行について説明いたします。本日の会議、冒頭もお話ししましたようにWeb会議でございますので、Web会議を円滑に行う観点から、発言のとき以外はマイクをミュートにしていただければと思います。また、発言時においては、可能であればですが、あらかじめ名前をおっしゃっていただきまして、発言をしていただけたらと思っております。
もし音声の関係とかで聞き取りづらい部分があったり、発言がかぶってしまったりすることがありましたら、事務局のほうでミュート設定や名前の表示の設定などをさせていただくこともございますが、その際は御了承いただけたらと思います。
では、ここからの進行でございますけれども、林主査によろしくお願いしたいと思います。では、林主査、お願いします。
【林主査】 ありがとうございました。
主査の林です。今年もよろしくお願いいたします。
それでは、早速議題1に入りたいと思います。先月末に公表されました「令和3年度予算案」につきまして、特に地域科学技術振興関係施策の予算案の内容について、事務局より説明いただきますが、議題2の「共創の場形成支援プログラム(地域共創分野)」も関連いたしますので、資料1と2について事務局から説明していただいた後、質疑応答に入りたいと思います。それでは、事務局、よろしくお願いいたします。
【齊藤補佐】 林主査、ありがとうございます。
では、早速でございますが、資料1と資料2について、文科省のほうから説明させていただきます。
では、次のページをお願いします。まず、今回の地域科学技術振興施策といたしましては、大きく分けて2つございます。
まず1つ目の地域イノベーション・エコシステム形成プログラムでございますけれども、こちらについては、皆様に良く御紹介させていただいており御存じだと思いますが、特徴ある地域資源を有する地域の大学等において事業プロデュースチームを創設いたしまして、しっかり市場化分析等を踏まえた上で事業化を目指していくという事業でございます。こちらにつきましては、来年度以降、17機関で事業を実施していきますけれども、各機関について、お金がちゃんとしっかり払えるような予算要求は取れて、来年度以降についても引き続きしっかりやっていく予定でございます。
続きまして、次のページでございます。こちらでございますけれども、共創の場形成支援プログラムという事業でございます。後ほど事業の詳細は紹介いたしますが、本事業の中に新しく地域共創分野といって、地域において産学官が共創しながら課題の解決や社会実装を目指していく事業を新たに始めていく予定でございます。まず簡単に、共創の場形成支援プログラムについて、多分初めての紹介になる部分もあると思いますので、御紹介させていただこうと思います。
本事業でございますけれども、事業の概要を御覧になってください。今般、新型コロナウイルス感染症の状況がございました。一方、その前から、我々といたしましては、国連の持続可能な開発目標として、SDGsといった将来の達成すべき目標があるという状況でございますので、これらを踏まえたビジョンをしっかり描いていただきまして、そのビジョンを達成するためにバックキャスト型で産学官が協力しながら研究開発や社会実装を行っていただきます。また、事業終了後においても連続的にこのような社会実装が進むような産学共創のシステムを形成していただくことを目指す事業でございます。
ここの下のほうに書いていますが、3つのポイントがございます。こちらの事業に関しては、もともと前身といたしましてCOIプログラムというものがございまして、本日の議題3でも、村下先生に御紹介していただきますけれども、このCOIプログラムの中でも、「人が変わる」、「大学が変わる」、「社会が変わる」ということを目指して、ビジョン主導のバックキャスト型の研究開発を行ってきました。この事業では地域の課題の解決に資するような成果が出てきておりますので、そのCOIの成果を活用して、それに倣いながら展開するような事業として共創の場形成支援プログラムを設計しておりまして、「人が変わる」、「大学が変わる」、「社会が変わる」ということを目指してもらう予定でございます。
次のページに、それぞれの形態について分類を載せております。一番左側に書いております地域共創分野が令和3年度以降より開始するものでございまして、右側にございます共創分野と政策重点分野が本年度から新たに開始しているものでございます。
共創分野に関しては、国際的な水準を目指すような産学官の共創拠点をしっかりつくっていただきまして、10年かけてシステムとして構築していってもらうということを目的にしております。
一方、政策重点分野につきましては、大学等を中心といたしまして、国の分野戦略に基づいた成果を生み出す、国際的な認知・評価が高いような拠点を形成していくというものでございます。
令和2年度に関しては、共創分野について、本格型、要は10年間しっかりやっていく拠点としては1拠点、そして、トライアルというか、育成型でございますけれども、次の本格型にいくまでの段階で、今トライアルとしてやっていく育成型の拠点といたしましては、12拠点を採っております。政策重点分野といたしましては、バイオ分野で2拠点、環境分野で1拠点、量子分野で1拠点でございまして、全部で18拠点で令和2年度はスタートしてございます。
なお、一番左側の地域共創分野でございますが、令和3年度から開始するものでございますが、議題2の資料を用いて御説明させていただこうと思います。では、資料2をお願いします。
ありがとうございます。それでは、地域共創分野について御紹介いたします。
次のページをお願いします。これまでの委員会の中においても、皆様と一緒に報告書の作成に当たっていろいろ議論させていただきましたが、地方大学というか地域の大学等の課題としまして、3つあると考えております。
1つは、特定の教員と個別企業の関係に閉じたような小規模の共同研究が多くて、なかなか異分野連携や新事業の創出につながらないという課題です。
もう一つ、課題②でございますが、今まで自治体と大学で協力してやっていこうと思っても、自治体の参加は担当者レベルにとどまっており、大学の研究成果が自治体の政策立案には影響しづらいという部分がございました。
課題③、上のほうでございますけれども、仮に共同研究が進んだといたしましても、産学連携のノウハウやネットワークが個々の研究チーム内に閉じてしまいまして、大学のほうになかなか蓄積されづらいという状況が確認されるところでございます。
そこを踏まえて、次のページでございますが、ではどうしたらいいのかということを、報告書の中でまとめさせてもらっております。
まず対応①といたしまして、多分野のシーズにつながるよう部局横断的な産学連携のマネジメント体制をしっかり作っていただき、企業と大学が組織対組織の共同研究を結べるようにしていきましょうという話でございます。
対応②、大学と自治体の関係でございますけれども、大学と自治体の関係においては、お互いにハイレベルの人たちがコミットしていただきまして、地域共創の場で議論した上で、ビジョンを共有し、施策に反映していけるようにしましょうという話でございます。
対応③でございますが、そういった課題に対してしっかり対応していこうと思うときに、これまでのように研究室内に閉じるのではなくて、大学として、学長直轄の組織をつくっていただきまして、その中で様々な寄せられた課題に対応できるようなものをしていきましょうという話です。
一方で、対応④でございますけれども、自分たちの大学だけで課題全てをクリアしようということは難しいと思いますので、他大学等の力も活用しながらシステムを作っていただき、課題の解決に向けた取組を進めていただきたいということでございます。
この対応の4つを踏まえまして、次のページでございますけれども、我々といたしまして、令和3年度から開始する事業としまして、共創の場形成支援プログラムの中の「地域共創分野」というものを設定しております。令和3年度でございますが、予算額としましては6億円ついております。
事業概要でございますが、事業概要の上の2行が、まさに我々のほうで目指そうとしているものでございます。まずSDGs、そしてウィズ・コロナ/ポスト・コロナの時代を踏まえた未来の地域社会のあるべき姿といたしまして、地域拠点ビジョンというのをしっかり定めていただきたいと。産学官の皆様で共有できるようなビジョンをしっかりつくっていただきまして、そのビジョンに基づきまして、地域共創の場という、みんなが議論する場を通じて、バックキャスト型で研究開発を実施して社会実装を図っていってもらうということを目指していただきたいと思います。また、こういった流れが一回こっきりで終わらないように、連続的に地域の課題解決につながるよう、地域の産学官共創システムを形成していただきまして、将来的に地域の社会システム変革に寄与することを目指していただきたいと考えております。
これについても、COIプログラムの経験を生かしまして、大きく3つのポイント、「人が変わる」、「大学が変わる」、そして、「地域社会が変わる」ということを目指していただきたいと思っています。
まず「人が変わる」でございますけれども、繰り返しになりますが、地域共創の場で地域拠点ビジョンを策定いたしまして、それをしっかりステークホルダー間で共有していただくことを考えております。
次に「大学変わる」ですが、産学官の共創システムをしっかりつくっていただきまして、それが持続的に回るような関係の構築やシステムをつくっていただくということを考えております。
そして、「地域社会が変わる」でございますが、大学が地域の他のプレーヤーと協力してビジョン主導の下、バックキャストで研究開発を実施していただきますけれども、それとともに、産業界の協力も得ながら社会実装をしっかり果たしていく。そういったことを通じて、地域の社会システム変革に寄与することを目指していただきたいと考えております。
事業スキームといたしましては、大学等と自治体、企業の三者が必ずプレーヤーとして参加していただきます。経費といたしましては、JSTからの委託費になりますが、タイプとして2つございます。育成型、本格型とございますが、基本的にビジョンが固まっていて、共同研究体制も固まっていて、ある程度ビジョン主導で研究開発を進められる、10年間いけるなと思ったところに関しては、本格型にアプライしていただければと思っており、最長10年間、1拠点2億円程度で支援させていただきます。一方で、育成型でございますが、ビジョンや共同研究開発の体制が弱いところにつきましては、育成型のほうにアプライいただきまして、育成型のトライアルの2年間を通じて、しっかり体制構築等を図っていただきたいと考えております。来年度は8拠点採る予定でございます。
次のページに、具体的な体制の構築の状況について、模式図でございますが紹介させてもらっております。まず、プレーヤーとして、自治体、産業界、そして大学等がおりますけれども、自治体と産業界と大学におきましては、皆さんがビジョンを共有できるような地域共創の場、左側にありますけれども、それをしっかりつくっていただきたいと思っております。この場でビジョンの策定や調整を行っていただきますけれども、これは高等局のほうで議論が進められておりましたが、地域連携プラットフォームという地域の課題の解決に向けたコンソーシアムをつくるような話がありますので、こういったものも活用しながら展開してもらえたらと思っております。
それぞれのプレーヤーの役割について簡単に御紹介いたしますと、まず大学ですが、学長等の直轄の下、産学連携機能の強化を図れるような組織をしっかりつくっていただき、PLの指導の下、展開していただきたいと思っております。下のほうの研究開発部門では、課題の解決に向けた研究を行っていただきますけれども、自分たちのできないところに関しては、他大学の研究者の協力も得ながら課題の解決に向けた研究が回るようにしていただきたいと思っています。
その際に、10年間をかけてしっかり研究開発を行っていってもらいますが、事業終了後にも続くような体制をつくっていただくことが重要だと思っておりますので、本研究開発の実施のあたっては、学生参加(OJT)を巻き込んでいただき、次の研究を担えるような人材も育てていただきたいと思っております。
続きまして、自治体のほうでございますけれども、研究成果がちゃんと社会につながっていく、社会に実装していくという観点では、自治体において実証フィールドの提供とか、また、支援していこうという観点では、もし可能であれば予算措置もしっかり図っていっていただきたいと思っております。また、将来的に自治体と大学の関係性が構築できるように、例えば、人事交流等をしっかり図ってもらうとか、そういったことも果たしてもらえたらなと思っています。
一方、産業界のほうでございますが、地元の産業界も外の企業さんもそうでございますけれども、ぜひ、大学のほうで生まれた研究成果の社会実装をしっかり果たしていただくために、共同研究資金の提供等も行ってもらって対応していただきたいと思いますし、また、将来的に大学の出てきた人材が地元企業にも受け入れられるように、学生の受け入れ等も果たしていってもらえたらと思っております。
その上ですが、本事業は、基本的には、社会を変えていくような仕組みを各地域につくっていただきまして、それをつなげながら、一番右側にあるような地域の社会的な課題の解決や、地域の経済発展に資するようなことをぜひ仕組みとしてつくっていっていただきたいと思っている次第でございます。
簡単でございますが、以上でございます。
【林主査】 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明について、委員の皆様から御質問、御意見等ございましたらお願いいたします。
齊藤さん、皆さんが御用意されるまで、私から質問させていただきます。
これ、具体的には、それなりに大きなビジョンを掲げていただかないと10年もたないと思うんですけれども、どのくらいの大きさを期待するかとか、どうやって選択するか、例えば、金太郎飴的に、あちこちが同じような総花的なものを出していただいても、あまり続かないと思いますので、やはり地元の強みとか、何か具体的なところへどのくらい深く入れるかが大事だと思うんですが、ここら辺の今後の詰め方というのはどういうふうになっていくんでしょうか。
【齊藤補佐】 ありがとうございました、先生。
私たちのほうでもこれを考えておりますけれども、基本的には、各申請者のほうで、地元の産学官のプレーヤー、もしくは民も含めてかもしれませんが、将来像、例えば10年後とか20年後、各地域どういう形にしていきたいのかということを、ステークホルダーで集まっていただいて議論していただきまして、そのビジョンをしっかりつくってもらった上で、大学で何ができるのか、自治体では何ができるのか、企業は何ができるのかという、それぞれのターゲットを定めていただきまして、それをぜひ申請書の中に落とし込んでいただいて出していただきたいと考えております。
一方で、こういった取組を初めて行われるような自治体や研究者の方とかもいらっしゃるかもしれませんので、例えば、今後、ワークショップとかの場を使って、ビジョンの策定の重要性とか参考になる情報が得られる機会も検討できたらどうかなと考えている次第でございます。
【林主査】 ありがとうございました。
皆様のほうからいかがでしょうか。御質問、御意見等、お願いいたします。
佐宗先生が手を挙げていらっしゃるように見えるんですが。
【佐宗委員】 手を挙げさせていただきました。
後からお話が出るかと思いますけれども、内閣府の、ここにもありますね、まち・ひと・しごとというのがありまして、我々も東海機構ということで、岐阜大学と一緒にやらせていただいているんですが。あちらは自治体のほうが主導で、大学のほうがどちらかというとサブということなんですが、かなり大学のほうのコミットメントを求められているところもあるんですけれども。こちらのほうは文科省で、大学が主体で、自治体が強力にサポートという、連携ということだと思うんですけれども。やはりそのあたり、ほかの地域がつかない共創分野もありますので、地域をつけるというところは、やはり自治体のコミットメントというのを明確にしていただく提案が出てくるように、募集要項、説明会等々もしていただければと思います。そこが一番キーだと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
【林主査】 事務局から何かありますか。
【齊藤補佐】 佐宗先生のおっしゃるとおりだと思っておりまして、まさに大学だけでやっていくのではなくて、自治体のほうでもコミットをしっかりいただかないと、社会実装を果たしていくことが困難ですし、社会の変革につながっていかないと思っております。ですので、ぜひ、申請に当たっては、大学だけではなくて、自治体のコミットも見ていこうと思っておりますし、それを説明会で伝えていただこうと思っております。
一方、先ほど御紹介がありました、まち・ひと・しごとの話でございますが、我々といたしましても、しっかり連携体制を図っていただきたいと思っておりまして、資料2の12ページ目にもありますが、まち・ひと・しごとの事務局ともいろいろお話をさせてもらっております。地域共創分野において、自治体、企業、大学が社会実装を進めていく中にで、自治体もしっかりコミットしていきたい、お金を払ってもしっかり大学変革をしていきたいという状況になったものに関しては、地方大学・地域産業創生交付金事業のほうにアプライしていただけるような形にしていきたいと思っております。申請に当たっても、採択された後でも、採択された方に対して、このような話をさせていただきたいと思っております。
【佐宗委員】 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。
【齊藤補佐】 ありがとうございます。
【林主査】 ほかにいかがでしょうか。どうぞ、串岡先生。
【串岡委員】 私も、今の参考6で示された資料について一言申し上げたいんですけれども。私はまさに地方大学・地域産業創生交付金事業というのを担当して、計画策定から国、県による予算も担当してきました。先ほどからお話が出ているように、この内閣府の事業では、総額5年で50億円について、自治体側で3分の1ないし2分の1の予算を確保しています。つまり、自治体が本気になるシステムが地方大学・地域産業創生交付金ではあるということですね。
先ほど自治体については、予算措置が可能であればというふうにおっしゃったんですが、そこは先ほどもおっしゃられたとおり結構肝になると思っていますので、そのあたりの立てつけを、地域共創分野から地方大学・地域産業につながるように、しっかり構築されてはいかがかなということです。
それから、もう1点は、これに絵が描いてありますけれども、これは内閣府のほうで御確認されているわけですけれども、交付金事業は一遍に50億の事業をつくるのはなかなか難しいということで、昨年から計画策定支援ということも入っておりますので、そのあたりもこの絵の中に入れられると、よりシームレスにつながるような形になるのかなと思います。
以上です。
【林主査】 ありがとうございました。
【齊藤補佐】 串岡先生、ありがとうございます。
【林主査】 次、清水先生がお手を挙げていらっしゃいますが。
【清水委員】 ありがとうございます。大きな話から小さな話になってしまって恐縮なんですけれども、よろしいでしょうか。
資料2の5ページの下のほうに、企業人のマネジメント部門への派遣というのが書いてあります。先ほど御説明があったかもしれませんが、ここの意図をちょっと教えていただければなと思います。
【齊藤補佐】 企業人のマネジメント部門への派遣でございますが、企業の方がプロジェクトリーダーとか、そういうところの役割として出していただきたいと考えているということでございまして、書かせてもらっております。
こちらのほうは、先ほど御紹介させていただきましたCOIプログラムの中において、企業の方がプロジェクトリーダーになっていただきまして、大学の方がリサーチリーダーになっていただいて対応していただくという体制で事業を展開しております。こういった体制のおかげで、研究開発の成果が社会実装に向けて着実に進んできたという部分もございますので、こういったマネジメントの部分に企業の方々に参画していただくということを想定しておりますし、もっと言うと、自治体の方からも、ある程度ハイレベルの方には、全体の研究開発、社会実装のマネジメントのところにも入っていただきながら、しっかりこの活動が進んでいただくことを期待しているところでございます。
御説明、こんな感じでございますが、いかがでしょうか。
【林主査】 清水先生、いかがですか。
【清水委員】 よく分かりました。例えば、このプロジェクトリーダーも、企業に籍を置いた人等を派遣していただく、いわゆる出向のような形でも構わないという、そういうことでございますか。
【齊藤補佐】 どういった体制になるかというのは分かりませんけれども、例えば、COIプログラムにおいては、プロジェクトリーダーとして企業の方が来ていただきまして、ずっと常駐している場合もございますし、週に1回来られて、大学のほうの研究の状況を見たりとかする方もいらっしゃると伺っております。
いずれにしろ、企業のある程度の上の方で、例えば、COIでは事業本部長クラスの方が多いのかな、そういう方々が実際に参画していただきまして、しっかり事業化できるように見ていただくといったことができるようにしてもらいたいなと思っております。
【清水委員】 ありがとうございました。
【林主査】 ありがとうございました。
そうしたら、順番に行きます。松原先生、最初に手を挙げていらっしゃいましたので、松原先生、お願いいたします。
【松原委員】 松原でございます。今お示しいただいている体制イメージについて、2点ほどお尋ねします。
1点目は、左側のところの地域共創の場と地方大学との間に双方向の矢印、赤い矢印と緑の矢印が書かれているんですけれども、地域ビジョンの策定・提示、それから、地域ビジョン案の政策提言という、これについては、どちらから先に行くのか。赤が先で、緑が後なのか。そこがよく分からないので、この双方向のタイミングというか、その辺あたりをどう考えていらっしゃるのかお聞きしたいのが1点です。
2点目は、右側のところ、これは確認にもなるんですが、体制イメージ図ですから、真ん中の地方大学の体制自体がかなりクローズアップされているんですけれども、私自身は右側の、いわゆる成果がどうなるのか、アウトカムはどうなるのかというところが非常に気になるんですけれども。ここが、先ほどのまち・ひと・しごと創生本部の「地方大学・地域産業創生交付金」と違う点というのは、地域の社会的な課題解決というところに今回こちらは力点が置かれるという解釈でいいのか。それをまた踏まえた上で、先ほど言った地域ビジョン案の政策提言みたいなものも関わってくるのか。その辺あたりの関係性みたいなことを補足説明いただければと思います。
以上です。
【齊藤補佐】 松原先生、ありがとうございます。
まず最初の1つ目の質問、緑色と赤色の矢印の部分で、タイミングの話でございますけれども。基本的に自治体と産業、どのような形になるかというのは、各拠点によっても少しずつ変わってくるかもしれませんけれども、ある程度大きな方向性としてビジョンをつくっていただく中において、将来、大学の力を活用してどんなことができるのかという部分に関しては、大学の中でないと分からない部分もあるかなと思っております。
ですので、まずイメージといたしましては、例えば、大学のほうから、今の地域の課題を解決するためには、我々の大学の力を活用するとこんなことができますよという政策提言があるかなと思っております。
それを踏まえて、自治体、産業界、大学、もしくは民も含めて、中で地域共創の場で議論をした結果、こんな方向で行きましょう、ビジョンとして10年後こんな方向を立てた上で、それぞれの課題をどういうふうにやっていくか考えていきましょうみたいな話が生じてきますので、その上で、その活動方針が地方大学のほうに赤い矢印という形で下りてくるという形かなと思っております。
一方、その後に社会の状況とか、いろいろ変化していくと思いますので、この緑と赤は多分いろいろ行き来しながら進んでくるのではないかなと思っておりますが、最初のスタート時点というのは、こういう形になるところの例があるのではないかなと考えております。
【氏原室長】 ちょっと補足をさせていただきますと、申請段階で提示するに当たっても、それぞれ地域ビジョン、一度に定まるものではございませんので、それぞれ企業から出ているニーズですとか地方自治体側のニーズ、そういったものと大学のシーズとのやり取りをしながら、何度も往復を繰り返して、最終的に提示いただくような形になるというふうに意味しております。
【齊藤補佐】 室長、ありがとうございます。
2つ目の話でございますけれども、成果やアウトカムと地域ビジョンとの関係性の話でございますが、今回の申請に当たって、地域のビジョンが地域の社会課題や経済発展なのかによっても変わってきますけれども、そのビジョンの達成に向けた研究開発をしっかり実施してもらうとともに、ビジョンに応じた社会実装を図っていただこうかなと思っております。
社会実装を果たしていく中において、これはすごく地元の産業に役に立つなというものになってきて、地元の中核企業や中核産業の振興の観点につながってくるようであれば、例えば、まち・ひと・しごとの交付金のほうに行くというような形になってくるかなと思っております。一方で、例えば、地域の社会的課題というものが防災の問題で、何とかして洪水をなくしたいんだとか、そういう災害の問題とかになってくると、もしかすると、社会システムとしてアウトカムが出てきて、それが実際にダムの開閉とか、いろいろ洪水時における避難対策のためのアプリケーションとして地元の自治体の中に実装されていくというようになっていくのではないかと想定しているところでございます。
【松原委員】 どうもありがとうございます。
【林主査】 ありがとうございました。
そうしましたら、順番に、栗原委員、御意見いかがでしょうか。
【栗原委員】 栗原です。
質問ですが、この地域共創分野の共創の場形成支援プログラムは大変重要な仕組みですので、ぜひ成功していただきたいと思うのですが、このプログラムの支援対象、資金を出す相手は、地方大学に限られるのでしょうか。
本格型へのステップアップもそうですが、より本格的になったときに、どういう出口があるかというと、1つは自治体等で社会実装するということがありますし、企業が社会実装してゆくことも想定されますので、この共創の場において、地方大学だけではなくて、他に参画する地方自治体とか産業界、具体的な企業が一緒に資金を出してやっていくということは十分あると思います。その際、この予算の支援対象は地方大学だけに限らず、参画する企業等に対しても柔軟に支援することはできるのでしょうか。
【齊藤補佐】 栗原先生、ありがとうございます。
お金の払い先の話、実際、社会実装を果たしていくに当たって、自治体や民間企業に対してもお金が払えるのかという話だと思いますが、今回の事業では、基本的に大学のみにお金を払う予定でございます。
これはもともとのCOIプログラムに倣っておりまして、企業は持ち出しというか、ポットラック的にリソース等のを持ってきていただきまして、共同で研究開発したり、社会実装を果たしていただきたいと思っております。
実際COIのほうでもそれでうまく回っておりまして、大学から出てきた成果を基に、企業は自分たちで持ち寄ったリソースを使って社会実装を果たすということができておりますので、そういった形にできたらなと思っております。
一方で、例えば、自治体と一緒に協力していく中において、社会実装を果たしていったり、もしくは、そのために必要な経費として何かあるようであれば、大学を経由して再委託をしていくとか、そういった部分もあり得るのかなと思っている次第でございます。
【栗原委員】 仕組みについては分かりました。そうであれば、地方大学に出すことによって、産業界及び自治体の方の支援にもなる、全体としてウィン・ウィンの関係になるということを理解した上で、様々な主体が積極的に参加していただくということですね。まさに三位一体で推進することが大変重要だと思いますので、よろしくお願いします。
【齊藤補佐】 ありがとうございます。
【林主査】 栗原委員、ありがとうございました。
いかがでしょうか。
やはり10年間という長いスパンだということで、とてもいい保証をつけてやっていけるという一方で、中だるみするとか、当然、最初に立ち上げたものが途中では立ち上がっていって、次のネタも出てくるとか、そういった継続性も出てくるかなとは思いますので、制度設計上、そういったことも考慮してお願いしたいと思います。
よろしいですか。大分時間にもなりましたので、特になければ、この議題はここで終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
それでは、議題3に移りたいと思います。議題3は、「地域の社会課題の解決に向けた取組」です。本日は、国立大学法人弘前大学健康未来イノベーションセンターの副センター長の村下先生に御出席いただいております。
事務局より、村下先生に御出席いただいた趣旨の説明の後、先生より資料に基づき説明いただくことになります。よろしくお願いいたします。
【齊藤補佐】 齊藤でございます。
最初に、村下先生の話をする前に、まず、今回、COIプログラムの紹介をすることになった趣旨等について簡単に御紹介させていただこうと思います。
先ほど来、共創の場の形成支援プログラムの中でも御紹介させていただいておりますが、共創の場形成支援プログラムの前身というか、制度設計としてすごく参考にしたものが「COIプログラム」でございます。
このCOIプログラムでございますけれども、平成25年度より開始しておりまして、あるべき未来像、10年後の未来像をしっかり掲げていただきまして、その未来像(ビジョン)に従って、それを達成するためのバックキャストの研究開発を実施して、社会実装してくださいという目的と、もう一つは、自律的なイノベーションプラットフォームの形成をしてくださいということをお願いしている事業でございます。
この事業の中において、これから紹介する弘前大学におきましては非常に高い評価を得ておりまして、特に地方大学の知を活用いたしまして、地域として青森県とか弘前市の社会課題の解決に向けた取組をしっかり取り組んでいただいております。ですので、今後の内容の理解のためにも、弘前大学の活動の紹介をさせていただこうと思って、今日は来ていただいております。
では、村下先生、お願いいたします。
【弘前大学(村下)】 皆様、どうもこんにちは。弘前大学の村下と申します。本日は、主査の林先生をはじめ、関係の先生方には、このような機会を頂戴しまして、誠にありがとうございます。
20分という限られた時間ではございますが、私ども、COIを活用して取組をさせていただいている1つの事例として御紹介をさせていただきたいと思います。若干スライドのほうは多めに御用意させていただいているんですが、非常に多岐にわたる活動を展開しておりまして、その辺の要素を先生方にもぜひお伝えしたいという意図もございますが、ポイントをかいつまみながら御紹介させていただきたいと思います。
このような流れでお話をします。まず全体像についてなんですが、先ほど来、社会課題のお話があるんですが、実は平均寿命という形で見ますと、青森県というのは、ここ数十年にわたって男女とも平均寿命が一番短い、最短命県という状況にあります。なおかつ、働き盛り世代の人たちの死亡率が高いという課題があるわけです。それが、まさに地域全体での決定的な大きな社会的な課題であるわけで、その解決を目指そうというところで、産学官民全てのステークホルダーが同じ方向に向かうと、ベクトルを合わせるという形でやっています。これは研究的に見ても非常に最適な実証フィールドにもなるという捉え方で研究を進めているわけでございます。
次に、拠点の全体像についてなんですが、こちら左側にある絵は、三角のカラフルなやつがあるんですが、こちら弘前の最大の特徴は、健常人のビッグデータを持っているということになります。後で詳しくお話ししますが、こちらを使いながらAI等を駆使して、病気の発症のアルゴリズムを解明して、最適な予防を開発していくというのが大きな流れということになります。地域の課題である短命県返上と地域の活性化、経済的な活性化、この両方を同時に実現するために、3つのフィールドと3つの仕掛けをクロスさせながらアプローチをしようという仕掛けでございます。
1つは、地域、市町村、学校、職域、健康経営、最近盛んですが、これを岩木健康増進プロジェクトほか3つの仕掛けで、戦略的にクロスさせながら仕掛けていこうということです。これで地域全体を活性化させながら、最終的には世界の健康づくりにも貢献しようということでございます。
先生方もよくお聞き及びかと思いますが、COIプログラム最大の特徴は、バックキャスティングという手法を入れていることでございます。これが私どもの弘前COIの最終的なゴール、ビジョンなんですが、月並みですが、「Happiness!」という最終ゴールを描きまして、ここから遡って具体的なプログラムを展開していくという考え方でございます。
産学官民が一体にやっていくというのは非常に重要になってくるわけですが、私どもは、ここにありますように、本学の学長と青森県知事、弘前市長ががっちりスクラムを組みながら、地方創生、地方共創を目指すということで、一体的にやっているのが特徴でもございます。御覧のように、先ほど来の地域のビジョンのお話も議論の中にありましたが、地域の産業戦略の中心にライフイノベーション戦略というのを青森県も弘前市も置いているんですが、その戦略の策定には、私自身も委員として関わっておりますが、こちらの中で、弘前COIとの連携というのを明確にうたいまして、一体的にそれを進めるという形ができております。
続いて、オープンイノベーションプラットフォームの構築についてのお話を申し上げたいと思います。こちらが全体の体制図になるんですが、産学官民、特に一番下の民、一般の市民の方も巻き込みながら社会課題の解決を目指すというところが、本学COIの最大の特徴でもございます。今、企業さんは大体40ぐらい、いろんな国研とか他大学とも幅広く連携しておりまして、全体で大体70ぐらいの機関が参画しております。
それぞれ得意・不得意があるわけですが、他大学間で戦略的なアライアンスを組もうということで、ビッグデータを集積していくところは本学のように地方大学が中心になりながら、幾つかの地方大と連携しながら、それを貯めていこうと。また、アルゴリズムの解明のところは、当然、データサイエンティストの先生方は、どちらかというと旧帝大系のところにやはり集まっていますから、そういう先生方とコラボして、相互補完の関係でやっていこうという体制を組みました。
また、ビッグデータの解析については、この流れで、ビッグデータ解析チームというのをつくりまして、京都大学の奥野先生を中心にした、東大の医科研、井元先生らのメンバーを合わせたチームと連携をしながら解析を進めるという形でやっております。
じゃ、弘前市は最初から大きくやっていたんですかと言いますと、皆さんも御案内のとおり、ちまたには大きなコンソーシアムというのがもう山ほどあるわけですが、うちは名前だけ入るような企業とかは絶対入れないというポリシーを持っていまして、やるところは必ず何かテーマを持ってやりなさいということで、最初は10ぐらいの小さなところから始めたんですが、どんどん進化するごとに必要なメンバーを加えながら、今、大体70ぐらいになったということでございます。
今は医学部キャンパスの臨床棟と基礎棟のど真ん中のところに「健康未来イノベーションセンター」という研究拠点の施設をつくりまして、小さな施設ではあるんですが、ここに企業の研究者の皆さんもかなりの人が常駐していただいて、毎日顔を合わせながらオープンイノベーションの体制をつくっていくということでございます。
こちら、今、14の企業の名前が出ているんですが、これらは全て共同研究講座という形になっており、各社からの投資額を合わせると、大体3億から4億ぐらいの民間資金を得ているような状態であります。これがどれぐらいのサイズかと言いますと、弘前大学って大体中堅クラスの大学の規模になると思うんですが、うちの科研費が大体6億から7億ぐらいなんですね。ですから、それまではいかないですが、COIのプログラムで頂いている資金も合わせますと、それを超すような資金で大学全体で運営をしているという状態になっています。これが今交渉中の企業も含めて、どんどん拡大する傾向にあるということでございます。
続いて、ビッグデータのところの話に移りたいと思います。こちら、左側の絵が、大きな体育館のような絵なんですが、こちらを2か所連結したようなところで、年に一回、岩木健診ということをやります。こちらのほうに医療従事者が大体毎日300名ぐらい、住民の方は1日100名の方を連続10日間健診させていただきます。1年間で大体1,000名の方を受診していただくわけですが、それをこれまで16年間、今年はコロナの影響を受けましたが、規模を縮小して何とかやり遂げております。皆様も健診を受けられると思うんですが、通常は20~30分で終わると思うんですが、こちらでやる健診は項目数も多いものですから、長い方だと10時間ぐらい、若い方でも最低4~5時間かかるというような、非常に時間を要する健診でございます。
こちらを、フィールドを使いながら、これは企業の方にも積極的に入っていただいて、新たな検査項目、また方法の開発をしています。例えば、花王なんかは皮脂のRNAを分析したりとか、ライオンも口腔だけではなくて睡眠の分析をしたりとか、ハウスは味覚の分析、エーザイは嗅覚と認知の関係とか、ファンケルは自律神経ということを理研なんかと組みながらやっているわけです。
最近コロナの中でDXが非常に注目されているわけですが、御覧のように、花王はパナソニックと内臓脂肪系、インピーダンスの方法で、右の上のほうにありますが、おなかにベルトのようなものを巻くだけで分かる。この方法自体も画期的だったんですが、これを岩木フィールドの中でしっかりエビデンスを取りながら、今は非接触でスマホで数カット撮るだけで、ほぼ正確なデータを取ることができるという開発をしています。
御覧のように、なぜここにこれだけ企業が集まってくるんですかという質問をよく受けます。これは、ここに2,000~3,000の健常人のビッグデータがあるわけで、ここに、例えば、サントリーはよく水と生きるというコンセプトを掲げているんですが、水分摂取量と人の健康は非常に関わりがあると言われているのに、未解明のことが多いわけです。これをここに持ち込むことによって、ほかの多くの健康のファクターとの関係性を分析することができるということで、これを独自に我々の大学の中のルールを作って、大学の研究データと企業のデータを共有しながら、共同で解析できるような制度、仕組みをつくりました。この中で、またコロナの中でもリモートで解析できるようなシステムを開発したりとか、いろんなことを常に進化させながら運用しているわけです。
また、通常の共同研究はバイの関係でやることが多いわけですが、これをさらに発展させまして、幾つかのテーマについては、複数の大学、また企業も複数が関わって、マルチアライアンスの形で連携をして、未解明の課題をひも解くということもチャレンジしております。
こちらが私どものビッグデータの構造図ということになるんですが、上がゲノムのデータから、一般的な2番目の生理・生化学データ、最大の特徴は3番目と4番目の下層の部分ですね。個人のライフスタイルとか社会経済環境、これを全部ひも付けた2,000~3,000の健常人の項目があるというのがここの最大の特徴であり、世界的に見てもここにしかないでしょうというふうに言われているわけです。御覧のように、頭のてっぺんから足の先まで、ほぼほぼ網羅的な全身の健康機能を調査しているということです。これを2005年から始めておりまして、今年でもう2020年ですから、16年分のデータが既にあるということになります。
我々の研究のデザインは、いわゆるベーシックなコホートとはちょっと違いまして、連続パネルデータ方式を取っております。これはコホートに何年かに一遍確実に対象群を固定して追跡する形ではないんですが、毎年新しい人たちも受け入れる、また新しい項目も受け入れるということで、企業が途中からでも参画をしやすい研究デザインを組んでいるというところにも特徴がございます。
また、研究の中でのオープンイノベーション、学内でも、医学部の中は、なかなか横連携を全てやるというのは難しいことが多いと一般に言われているんですが、御覧のように、あらゆる領域の診療科、また国研、また他学部、最近特に話題になる人文系の学部なんかも含めて、全て網羅的に関わった研究体制を構築しているというのが特徴でございます。
また、さらに他大学との連携を積極的に進めておりまして、これはCOIの全体のプロジェクトとしても取り組まれたものなんですが、小宮山先生の発意で、戦略的な他大学のデータ連携を進めようということで、私ども弘前が事務局機能を担いまして、御覧のような幾つかの大学と連携するということを進めています。これがどんどん拡張して、いろんな連携の手法も変えながら、新たな大学も加わっていただいているということでございます。
これは今日の本題とはちょっと違うと思うんですが、ビッグデータでどういうことが分かっているかということを少しだけ紹介しますと、例えば、これは京大の奥野チームと一緒にやっているのですが、健診のビッグデータを使って、主要な20疾患の発症予測をしようということでやりました。これは3年以内の発症予測なんですが、これはROC曲線といいまして、今から出すAUC値という値が0.8を超えていると、現状においてはかなり精度が高いというふうに言われています。御覧のように、かなりの疾患において同時に精度高く予測できるということが大体目途がついております。
ここから社会実装に向けた戦略展開についてのお話をいたします。こちらが全体像になるんですが、市民を真ん中に置いて、健康の地域におけるあらゆるステークホルダーを巻き込んだ形で、企業のいろんな商品・サービスを組み合わせて、全体の地域の健康増進モデルをつくろうという考え方です。
これを全県・全領域的に推進していこうということで、冒頭でも申し上げた地域、職域、学域、それぞれにおいてかなり多面的にリアルに展開しています。
まず市町村については、青森県は40自治体があるんですが、この40全てにおいて健康宣言ということをやっていただいて、これも普通自治体が主導してやるわけですが、かなり大学が積極的に関与しまして、ぜひやったらどうか、我々も応援しますよという形で呼びかけながら、宣言をしていただきました。
また、よく医師会との関係が話題になるんですが、医師会自体を巻き込んで、医師会の中に「健やか力推進センター」という、社会実装の中核組織とも呼べる組織をリアルにつくりまして、いわゆるアクションリサーチ的に、研究で得た成果を実際のフィールドで実証しながら、それをさらに研究に循環して戻していくというサイクルをつくっています。
また、ソーシャルキャピタルの最大化に向けて、健康リーダーと呼んでいますが、人から人に健康のことをつないでいく。これは実際、長寿で有名な長野県とか滋賀県、その辺が非常にこういうことでうまくいったと言われています。そういうことを現代的・システマティックにできるような仕組みはないかということで、こういう取組も展開しております。
また、最近はAIを駆使しながら、青森県の場合は、健康無関心層が特に多いと言われていますので、そういう人たちにいかに健康の行動変容を起こすかということが最大の課題になるわけですが、究極は、知らないうちに本人は勝手にいい方向に行動を変えていたということがみんなの目指すところなんですが、それをコープとタイアップしまして、実際、買い物をするだけで勝手にAIが栄養分析して、自動的にその人に対するインセンティブを働かせて、例えば、野菜が足りていない人には野菜を割引してあげますよという形で個別に、全体に対する割引ではなくて、そういうインセンティブを働かせながら誘導していくというようなこと、これはトルコで実際成功したと言われていまして、このモデルを日本で本格的に実証展開しようということでやっています。
続いて、最終的に岩木健診で得た成果をどのように社会に展開していくかということを申し述べたいと思います。こちら、岩木健診というのは、さっき申し上げたとおり、かなり壮大な大がかりな健診になるんですが、そこにはいろんな優れた要素が含まれていると考えております。その要素をかなりコンパクトにまとめた形で世の中に普及できるようなものはないかということで、「新・行動変容プログラム:QOL健診」という呼び方をしているんですが、こういうものも開発しております。
こちらは、一般的な健診は左側のメタボの一部だと言われているんですが、これに口の健康とロコモ(足腰)、うつ・認知、この4つの重要なカテゴリーを約2時間ぐらいで全て検査をして、その場で検査の結果を返します。その上で、教育をしながら、徹底して本人が納得して行動を変えるというようなプログラムとなります。
これをこのような形で、最先端の各社のデバイスを持ち込むことによって、ここでいろんなことが分かるということなんです。これも、全て岩木健診で実はエビデンスをちゃんと取った上で、こういうデバイスを取り込むという形を取っております。これを最近はさらに進化させながら、DX-QOL健診ということで、自宅にいながらいろんな健康管理、保険指導できるような仕組みを開発しようということで、さらに進化を進めています。これをしっかりと標準化しながら、これを横展開できるような仕組みをつくろうということで今進めているわけです。
これを、実際検査をすると、あれが悪い、これが悪いと分かるわけですが、そこに対して生活者の皆さんに、あなたはここが足りていないから、では企業のこういうサービスを使ったらどうですか、商品をお薦めしますよということを組み合わせることによって、ここから新しいビジネスが生まれていくということを今考えております。
政府は今、アジア健康構想を進めているわけですが、その中に、このQOL健診を位置づけていただいて、これを大々的に展開していこうと。右側のほうにありますように、健康の教科書、テキストブックとかビデオなんか、ツールを作りまして、これをいろんな国内の大手企業とか、いろんなセクターで展開をする。海外も含めて、今、展開をしています。今、JICAの事業を入れて、ベトナムでも展開を始めているところです。
これはニューノーマル時代の新健康戦略ということで、先ほどお話しした話とも重なりますが、AIとかを駆使しながら、今の時代に合った、DXを駆使した形での新たな健診スタイルですとか、保健指導の仕組みを開発していこうということで今進めております。
究極は、ここで弘前、例えば、青森県で生活をしているだけで、自然と知らないうちに健康になると、こういうような社会環境、社会インフラをつくっていきたいと考えているわけです。
これを、COIのプログラムは一応来年度で終了になるわけですが、国の事業が終わったら跡形もなく終わりましたというのはよく聞くわけですが、そうなったらいけませんので、これを自律的にちゃんと回す仕組みをつくろうということで、我々は研究のほうでしっかりした新しい知見を生み出す、そこから企業は新しい商品・サービスを生み出すということでの循環のシステムをちゃんとつくっていこうということで今進めているわけです。
じゃ、結果はどうなったんだと、こういう話が気になるわけですが、確かにまだ青森県というのは平均寿命のランキングでいくと47位のままなんですが、実は少し良い兆候が出ていまして、平均寿命の伸び幅は男性が上から3番目、また健康寿命においては、伸び幅だけで見ますと、全国のトップということになりました。ですから、寿命の変化というのは少し時間を要するんですが、確実に前進しているという結果が見えてきています。そういうことで、皆さんももうちょっと頑張ろうと、こういう雰囲気になっているわけですね。これをしっかりやることによって、社会的なインパクト、経済効果、雇用創出等々、医療費の抑制だけではなくて、新たな産業の創出も含めて、期待できるでしょうということをシミュレーションしながら、いろんなセクターを巻き込みながらやっているわけです。
ここからさらに進めて、いよいよ医療データを活用した取組を進めていくことで、つい先ほど来、弘前市と包括連携協定を結びました。いよいよ健康ビッグデータを基盤にしつつも、医療データ、介護データ、ウェアラブルのデータ等々、全て組み合わせた形で実際何ができるかということを社会的な実験として実証していこうということを考えています。
これを、よく弘前の取組はなかなか特殊だから、そこでしかできないのではないかという言い方をされることが多いわけですが、これをちゃんと分解して、コアの要素で分けると、明確なビジョン設定をしますと。そこから健康状態を把握して、地域の健康データを蓄積しながら、データの解析体制を組んで、リーダーとかを使って地域を巻き込むと、こういうことをしっかりやって、アンダーワンルーフのオープンイノベーション体制、マネタイズの仕組みをつくることによって、これがしっかりできるでしょうというふうに考えています。
これを簡単にプロセス化するとこういう表現になるんですが、こういう7つの重要な要素をしっかり組み立てることによって、これは全国の他の自治体、また海外のほうにも展開できるでしょうというふうに考えているわけです。
以上、短い時間ではございますが、私どもの取組の御紹介をさせていただきました。御清聴ありがとうございます。
以上でございます。
【林主査】 ありがとうございました。
企業とか社会を巻き込んで、かつ、データの力を蓄積することによって、付加価値をどんどん高めていくという、すばらしい活動だと感じました。
さて、委員の皆様から御質問等ありましたら、お受けしたいと思います。挙手等で御連絡ください。
清水先生、最初に手が挙がっております。
【清水委員】 熊本大学の清水と申します。
【弘前大学(村下)】 どうも、お世話になります。
【清水委員】 お世話になります。村下先生に2つほど質問がございます。
1つ、先ほどちょっと触れましたが、COIが終わった後もしっかり自前で継続されていくと。自前とは言いませんでしたが、継続されるということでございました。とは言いながらも、この活動はお金がかかりますので、どういったところから資金提供を受けていかれるのか。差し支えない範囲で結構ですので、教えていただければ。
【弘前大学(村下)】 COI後という意味で先生おっしゃっていますかね。
【清水委員】 そうでございます。
【弘前大学(村下)】 あまりこういう場で申し上げるのはどうか分からないですけど。当然ながら、本日の委員会の前半のほうでお話あったような、共創の場事業のようなものですとか、私なんかもこういうプロジェクトに関わって常々思うのは、もちろん私どもは民間のほうからも相当な資金を今御提供いただいているような状況にはあるんですが、やはりそこには、特に地方大学の場合は、信頼の担保といいますか、COIプログラムという政府の大きなプログラムが基盤にあって、そこに民間も投資をするというところがございますから、少なくともCOIが終わった後も、国の何かしらの施策にしっかり乗っかった上で、民間のお金も集めながら自律的な体制をつくるということをイメージしております。よろしいでしょうか。
【清水委員】 ありがとうございます。もう1点だけよろしいでしょうか。
【弘前大学(村下)】 どうぞ。
【清水委員】 14の共同研究講座をおつくりになったことは、本当にすごいことだと思います。
【弘前大学(村下)】 ありがとうございます。
【清水委員】 これは、どのようにお話をされていったんでしょうか。向こうが近づいてきたんでしょうか。それとも、やはり一件一件、先生が口説いていったのか。そういう細かいことで申し訳ありません。
【弘前大学(村下)】 これ、さかのぼることもう、COIが始まったのは8年ぐらい前になるんですが、最初の頃は、弘前COIの取組に、企業はほぼ見向きもしませんでしたよ。皆さん、もともとCOIプログラムというのは、やっぱり旧帝大系を基盤にしたイメージの施策だったのだと思うんですが、東大とか京大のようなところに皆さん大手の企業ほど集中しまして、私なんかもいろんなツテをたどってお誘いしたんですが、なかなか見向きもしないと。
そういう状況の中で、いろいろデータをちゃんと積み上げながら、いろんなところでも御紹介、実際、企業にもビッグデータの優れたところをしっかりまとめながらプレゼンをさせていただいて、表現は良くないかもしれませんが、営業的なこともしながら、企業を巻き込んでやっていたのが初期の段階です。
最近は、いろんな賞なんかも頂いて、弘前COIというのが1つのブランド化というか、そこそこ知名度も上がりましたので、これは大変ありがたいことに、今はもう放っておいても企業のほうからどんどん、ぜひ自分たちも加わりたいということでお話を頂戴することが多くて、そういう中で、一定の条件をクリアしないと――これはある意味、共同研究講座と言っているんですが、ビッグデータを利用するための1つの対価として、企業には求めているという形でやっています。よろしいでしょうか。
【清水委員】 最初はなかなか見向きされなかったというところは、率直な状況を教えていただいて、本当に勉強になりました。ありがとうございます。
【林主査】 ありがとうございました。
そのほかに御質問等ございますでしょうか。
村下先生、私、同じような話を、デンマークへ行ったときに、デンマークの健康保険の関係のシステムで、政府がデータをずっと何十年も貯め込んでいるのが実はものすごい価値で、いろんな企業との研究をデンマークに来てやるというので、イノベーションのネタにしているという話を聞いたんですが。結構似ているような感じがしたんですが、参考にされたんでしょうか。
【弘前大学(村下)】 デンマークの医療のところの仕組み自体を参考にしたわけではないんですが、私自身も多少イノベーション・エコシステムをつくるというか、クラスター論的なところの考え方というのは常に持っていますから、そういう考え方の中で、特に北欧のほうなんかは先行していろんな取組をしておりますので、その辺の考え方みたいなのはベースにはあったと思いますね。
【林主査】 データですから、貯まれば貯まるほど、さらに付加価値が増えていくという。
【弘前大学(村下)】 そういうことですね。
【林主査】 そうすると、さらに企業は呼び込みやすくなるという、相乗効果はあるような気がしますね。
【弘前大学(村下)】 そうですね。あと、あんまり言いませんでしたけど、企業さん同士も、実はデータを共有させるようにしているんですね。そこはちょっと画期的かもしれないですね。
【林主査】 そのほかに御質問等ございませんか。
【田中委員】 すみません、いいですか。
【林主査】 どうぞ。
【田中委員】 とてもおもしろい取組のお話、ありがとうございました。
コホートで医療データを集めるという試みは昔からありますが、人の流動性が低くて、同じグループの人のデータを取り続けるという前提が成立している事が重要だと理解しています。
今回、対象者が1,000人とありますが、固定したグループの人たちのデータになりますでしょうか。
【弘前大学(村下)】 固定していません。
研究目的でもやっておりますが、地域の健康づくりにも貢献しようという目的も併せ持っており、ほとんど同じ方たちが受けています。旧岩木町というところは、人の出入りがあまりない地域です。新しい人たちも、手挙げ方式で、受けたい方は受け入れ、少しずつ増やす方法です。多くの方はリピーターになります。
【田中委員】 コホートだと、参加される方の医療費が非常に安くなるなど、参加する方にベネフィットがあります。こちらの場合の参加者の動機は、企業と一緒に取り組み健康面のフィードバックなどが得られるという事なのでしょうか。
【弘前大学(村下)】 その点も参加者のメリットになっていると思います。必ず健診の場と、その後で、大学病院の専門医から、結果に対する分かりやすい解説とアドバイスをする場を設けるようにしております。
【田中委員】 よく分かりました。ありがとうございます。
【林主査】 ありがとうございました。
そのほかになければ、そろそろ時間も参りましたので、よろしいですか。
村下先生、本当に今日は大変貴重なお話を聞かせていただいて、ありがとうございました。
【弘前大学(村下)】 こちらこそ、ありがとうございます。
【林主査】 そうしましたら、議題を先に進めたいと思います。議題4になります。
昨年7月の第5回委員会で御議論いただきました「中間まとめ」に関して、その後、8月に開催された産業連携・地域支援部会での御意見の反映等を行い、最終まとめ(案)として整理いただきましたので、これを事務局より説明いたします。
それでは、齊藤さん、お願いいたします。
【齊藤補佐】 林主査、どうもありがとうございます。
また、引き続きまして、議題4について、齊藤のほうから説明させていただきます。
資料といたしましては、資料4-1、4-2の2つがございますが、まず冒頭、4-1について説明をした上で、ここで書いてある参考の部分の該当ページについて、4-2を使いながら簡単に説明していこうと思っております。
まず資料4-1でございますが、今般、産業連携・地域支援部会で、前回の「地域科学技術イノベーション・エコシステムの構築に向けた方策について(中間まとめ)」を議論いただきました。それについて、数人の先生からコメントをもらっておりますので、それを踏まえて、最終報告書のほうには反映しております。
そのほかでございますが、(2)や(3)、(4)もございまして、当時作ったときに比べると、若干時点が変わってきておりまして、そういった部分についても修正をさせてもらっているところでございます。
また、(3)では、理解が難しい言葉をそのまま書いているということがございましたので、補足説明とか主語がなかった部分等について、追加をさせてもらっております。
また、(4)でございますが、文言がページ数によってばらつきがございましたので、その統一化を図っているところでございます。
主な修正のポイントといたしましては、(1)の部分でございますが、下のほうの参考に載っておりますけれども、3人の委員からの指摘に基づき対応しております。
まず松尾委員から、今般、実際に地方創生をやろうと思うと、レベルとしては、世界と闘えるようなことまでしっかり考えないといけないだろうと。そういうことを考えた場合においてはという話でございますが、下線の引いてあるところでございますけれども、地方大学が自治体とバイで実際組むのではなくて、大学間連携とか地域連携プラットフォーム等の組織的なネットワークを活用して総合的に機能を強化していく方針をしっかり取ってほしいと。それをちゃんと文章として盛り込んでほしいというのがございました。
また、江戸川委員からありましたのは、地域においてベンチャー企業のためのファンドとか、そういうものを組成することは重要であるものの、実際に地域にこだわるのではなくて、全国区で活躍しているような専門家の方々も含めて展開をしてほしいという話がありました。つまり、良いチームをしっかりつくるということに重点を置いて、地元の企業等だけではなくて、ちゃんと取り組んでほしいという話があったところでございます。
最後に、須藤部会長からは、実際にこれまで地域イノベーション・エコシステム形成プログラムとか、DESIGN-iとか、産業連携・地域支援課のほうで現在実際に動かしている施策がありますよねと。こういった施策の中のどの部分を反映して、どういった部分が新しくなったのか、何が良くて何が悪くなったのかについてしっかり書いていただいたほうが、今後、その施策を見ながらやっていく人にとっては参考になるのではないかという話があったところでございます。
そこを踏まえて、今般、資料4-2について修正しておりますので、資料4-2について説明していきます。
まず、資料4-2の6~7ページ目、字が小さくて大変恐縮でございますけれども、6ページの冒頭でございます。これは須藤部会長からのコメントを踏まえて対応したものでございますけれども、最初の第1パラグラフにおきまして、現在、文科省では「地域イノベーション・エコシステム形成支援プログラム」、また「DESIGN-i」を実施してきていますと。これらの研究開発を通じまして、事業化に係る成果が創出されてきていますとか、地域の目指す将来像を描いた未来ビジョンの実現に向けて、産学官民が協力して解決していけるような事例が確認されてきているということを、良好な事例として書かせてもらっております。
一方でということでございますけれども、第2パラグラフにおいて、課題といたしまして、①、実際、「お付き合い」の小規模な共同研究にとどまっていて、異分野や新事業創出につながらない、②といたしまして、自治体の参画や担当レベルにとどまることが多くて、自治体の政策立案になかなか影響できないという話、③でございまして、産学連携のノウハウやネットワークが研究チーム内に閉じてしまっていて、他部局に連携できていない、組織としてしっかりそれがつながっていなくて、エコシステムの形成につながっていないといった課題を書かせていただいております。
こういった課題を踏まえて、改めてでございますけれども、いろいろな自治体の方々に意見を聞いてきたかなと思っております、ということを書かせてもらっております。
次の7ページ目でございます。この須藤部会長の話の続きでございますけれども、こういった話を踏まえましてというところでございますが、文科省においては、これらの好事例や地域の社会的課題の解決につながる成果が創出してきています。先ほどの村下先生からの話もありましたが、COIプログラムの制度設計を踏まえるとともに、現在実施しています「地域イノベーション・エコシステム形成支援プログラム」、そして「DESIGN-i」において、社会実装に向けて計画的に取組を進めている点、またビジョンを策定して、バックキャスト型で研究開発を進めている点などの良いところを残しつつ、今後の新しい科学技術イノベーション施策を進めていくことが必要であるというふうにまとめさせてもらっているところでございます。
続きまして、10ページをお願いします。ここに関しては、松尾委員からの御指摘にございました、実際、世界と闘っていく観点では、地方大学、地方自治体の中で閉じるのではなくて、実際に他大学との連携や地域連携プラットフォームを活用しましょうという話があったと思います。そこを踏まえてでございますが、10ページの最後の行、③の中において、研究開発の推進に当たっては、地方大学等において科学技術シーズや産学連携機能を構成する人材が不足する場合、地域資源のみに依存するのではなく、大学間連携、地域共創の場等の組織的なネットワークを活用して、総合的に研究開発能力の補強や産学連携機能の強化を図るというふうに書かせてもらっておりまして、決して自分の中だけでクローズして取り組むのではなく、いろんな大学の力を活用し、いろんな企業、もしくは民の方々の力も活用した上で、しっかりやっていくようにということを書かせてもらっているところでございます。
続きまして、15ページ、16ページ目でございます。ここに関しては、江戸川委員からのコメントでございまして、実際、地域の中でこだわってしまって、全国を見ないということではなくて、ぜひいいプレーヤーがいるなら、全国の方々の協力も得た上で、良いチームをワンチームでつくってくださいといった話があったコメントに関する対応でございます。
15ページの最後の行から3行目でございますが、地方大学等から創出された大学発ベンチャーの話が書いてあるんですけれども、のみならずと書かせてもらった上で、SDGsの実現に向けて地域において社会課題の解決に本気で取り組む全国規模で事業活動を行っている大企業の方々ということも追加させてもらっております。もちろん、15ページの「その際」のところにも、地場産業とか中堅企業、そうした地域内にある工場や研究所を持つ大企業も書いてありますが、ぜひ、こういったところも忘れないようにしてほしいと考えておりまして、追加させてもらっているところでございます。
次の16ページ目でございますが、これの続きでございます。一番上の行でございますけれども、「また」以降でございまして、社会実装を継続的に実施していくに当たっては、これに必要な資金及びビジネスの専門知見の提供者としての金融機関、そして、そのときにベンチャーキャピタルというのがございますが、地域内だけではなくて地域外もという話もございましたので、地域内外からの参画が期待されるという形でございまして、様々なプレーヤーの協力を得るようにということをあえて書かせてもらっているところでございます。
最後に、それ以外に、もう一つ追加で、17ページで、あえて今回追加させてもらっているところがございますので、御紹介させていただきます。
本日の冒頭の地域共創分野のところの話においても、まち・ひと・しごとの交付金との連携の話とか、しっかりつながるようにという話が佐宗先生のほうからあったほか、ほかにも皆様のほうから、連携の話については話がありました。我々のほうも、実際、この事業だけで完結できるような目的ではないと思っています。地域の課題解決は非常に難しいと思いますので、それに向けて取り組んでいくに当たっては、我々がこれから提供しようとする事業以外にも、ほかの関連する事業といたしまして、例えば、「地方大学・地域産業創生交付金事業」、これはまち・ひと・しごとの交付金でございますけれども、こちらの事業とか、「地域連携プラットフォーム」の事業など、高等局のほうで取り組んでいる事業等もございます。こういった事業とうまく連携しながら、地域の課題の解決に向けてしっかり取り組んでいただきたいと思っておりまして、あえてここでまた書かせてもらっています。全体を読み上げませんが、こういった事業等を活用いたしまして、相互の取組による成果が相乗効果を発揮していくことが期待されるということを、後押しでしっかり書かせてもらっているところでございます。
そのほか、幾つか細かい点といたしまして、先生に事前に確認させていただいたときのコメント等を踏まえて言葉の追記等を行っておりますが、今回の修正としては以上になります。

【林主査】 ありがとうございました。
それでは、御議論いただきたいと思います。先ほど説明がありました修正箇所を中心に議論を進めさせていただきたいと思います。それでは、御意見等ある方、挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。
松原先生、手が挙がっていますね。よろしくお願いします。
【松原委員】 松原でございます。
4-1のところで御指摘いただいた点というのは、私もやはり共通して思うところがあるんですけれども。前々から私、この会議でも言っていましたように、国際競争力を上げるような、そういったようなプロジェクトというのを、どういう形でこの中で取り上げていくかというところあたりの制度設計というのは、まだやはり十分ではなく、これを動かしていく中で鍛え上げていっていただければと思うんですけれども。
やはり御指摘がありましたように、地方自治体の中で閉じた形で進めると、どうしてもやはり小ぢんまり、それはそれで地域密着型の地域イノベーションで、成果も社会的な課題も出てくるかとは思うんですけれども、より広い視野で国際競争力もにらみながら進めていただくということも重要だと思っていまして、そういう面では、広域連携的な取組といったようなものをやはり評価していくような、そんなような方向性もあってもいいのかなとは思っています。
大分書き加えていただいて、広域連携的な要素はあるんですけれども、その辺のあたりのところの地域内外の連携の地域外の連携というのをどういうふうに考えていくのか。かつて経済産業省が「産業クラスター計画」を出したときには、いわゆる地方ブロックといいますか、東北とか、九州とか、北陸とか、そういったような横へ県を広げたような形での連携というのをやられたと思うんですけれども、そういうタイプもあるでしょうし、点と点を結ぶような、かなり離れたところの連携と、テーマによって両方あるかと思いますけれども、そういった要素をぜひ強めるような方向も御検討いただければと思います。
以上です。
【林主査】 御意見いただきありがとうございました。
私も、エコシステム形成プログラムをやっていると、どうしても自治体の意見からでも、地元に貢献をという、どうしても閉じようとするようなドライブも働くのかなと感じておりますので、やはりここはプロジェクトの運営に関しても、閉じるところは閉じてもいいんですけれども、やっぱり外へ出て、世界で通用するようなレベルでやっていただきたいなと思うんですね。
そのほかに、御意見とかいかがでしょうか。
佐宗先生、お手が挙がっているようですが、いかがでしょうか。
【佐宗委員】 4-2の17ページのところ、最後に説明があったところなんですけれども。また内閣府のプロジェクトの話にもなってしまうかもしれませんが、こういう制度と成果を相乗効果を発揮してと。書いてあることは趣旨としては賛同できるんですけれども、時期も違うし、フェーズも違うし、対象も多少異なるというところもあって、具体的にどういうことをすれば相乗効果が出てくるかというところ、なかなかイメージがつかめないので、説明いただければと思いますが。
【林主査】 齊藤さん、いかがでしょうか。
【齊藤補佐】 ありがとうございます。
例えば、地域連携プラットフォームというところに関して、簡単に御紹介しますと、地域の課題解決に向けて産学官民が協力して議論するような場みたいなのをつくっていこうとうたっておりますが、これは科学技術のみに限らず広いものでございます。この思想に基づき既につくっているところがあるようであれば、それを活用していただくというのはあるのかなと思っておりまして、新しくそれをつくるというよりは、そこを使ってしっかりほかの部分も含めて議論してもらうというので、そこで相乗効果が発揮できるのではないかなと思っております。
まち・ひと・しごと事務局の交付金の話に関しては、地域共創分野に関しても、大学が変わることを目的としてしっかり取り組んでいるような事業でございます。そういった意味で考えてみたときにも、地方大学・地域産業創生交付金は、大学が変わることもしっかり求めているものと思いますので、これらの2つのお金を使って、1つの部分に関して、うまく大学変革に相乗効果を発揮してもらうというのはあり得るのではないかなと思っております。
すみません、具体的な話があまりうまくできていないんですけれども。室長、何かありますか。
【氏原室長】 では、私のほうからも触れさせていただきたいと思います。
内閣府の施策との連携につきましては、今度の新規施策の説明の中でも、新規施策の1つのイグジットとして、こういったものがあり得るということを丁寧に説明していければと思いますし、そういった移行がスムーズに進むように、我々のほうでも内閣府との調整を進めてまいりたいと考えてございます。
【佐宗委員】 ありがとうございます。
今日、村下先生のお話を聞いて、弘前のCOIが非常によく成果が上がっているということは、聞いてはいたんですけれども、今日説明いただいて非常によく分かったんです。まち・ひと・しごともそうなんですが、やはり情報が、自治体ですと自治体の中にこもりがちなので、できれば成果の共有もできるような、今日のような場をもう少し広く持っていただければまたいいのではないかと思いましたから、また具体的なことに関しては御検討いただければと思います。
私から以上です。ありがとうございます。
【氏原室長】 ありがとうございます。
頂いた御指摘を踏まえて、実施に当たって検討してまいりたいと思います。
【林主査】 ありがとうございました。
清水先生、お手が挙がっているように見えますが。
【清水委員】 熊本大学の清水です。ありがとうございます。
前から言いにくいことをちょっとお伝えしますと、地域連携プラットフォームという、4ページは(仮称)がついていて、今度は新たに地域連携プラットフォームというのがさらに加わっております。
実は、あまり地域連携プラットフォームの存在感とか機能とかが理解されていない気がするんです。これは多分高等局で検討されていると思いますが、誰が主体で何をするものなのか分からない点があります。こういったプラットフォームが書いてあるがゆえに、他のことまでやや曖昧で理解し辛くなっているような気もします。
地域連携プラットフォームのことについての見解と、あと、それとの関係を本当にどのようにお考えになっているのか、御意見をお伺いできないでしょうか。
私の不勉強でそう言っているのであれば結構なんですけれども、ちょっと周りの、特に地方大学の産学連携や地域貢献、地域創生の関係者も理解していない方がほとんどです。よろしくお願いします。
【林主査】 齊藤さん、いかがでしょうか。
【齊藤補佐】 地域連携プラットフォームに関して、理解とか共有が追いついていないという部分がある中において、多分、こういうような疑問点が発生してきているのかなと思います。なので、しっかり情報共有等を図っていきたいと思っていますし、これからの説明会等においても丁寧に説明しながら、こういう活用の方法がありますといったことを、申請をされる側にお伝えをしていけたらなと思っている次第でございます。
あと、この文章の中でどう書いていくのかとかに関してというのは、どこまでするのかというのはありますけれども、少なくとも実際にそういう説明会の場とかを活用する中では、丁寧に説明していきたいと思っておりますし、その際に、高等局の方といろいろ御協力しながら、必要な資料を提供いただきまして、分かりやすい説明ができたらなと思っております。
すみません、ちょっと歯切れが悪くて恐縮でございます。
【斉藤課長】 林先生、よろしいでしょうか。課長のほうの斉藤でございます。
今の地域連携プラットフォームの関係なんですけれども、御指摘いただいたとおり、高等局のほうの委員会で議論されているものだと思いますが。こちらも我々の理解としては、何か文科省がかちっとしたものをプラットフォームとして定義をしていて、それを全国展開しようというふうに具体的な施策として動いているというよりは、地方大学の将来の存在とかを考えたときに、地域社会、自治体、産業界とどのような関係にあるべきかとか、それを議論するための概念としてそういうものが必要だとまだ言っている段階なのかなというふうに私自身は理解しておりまして、そういう意味ですと、概念がふわっとしているというのは、そうなのかなと思います。
具体的に高等局のほうも、プラットフォーム構築の概念、具体的な補助金をつけたりとか、具体的な制度をいじったりとかしている段階ではまだないと認識していますので、あくまでもそういう概念の問題提起をしているという段階かなという理解です。
一方で、我々のほうは、科学技術イノベーションという文脈の中で、地域発のイノベーションをどう起こして、それは地方創生につながるかというようなこと、さらには、社会課題解決みたいなことを考えていくに当たって、やはり地方大学が地域の自治体や産業界と組んで、一緒に新しい価値観なり社会課題解決をともにつくっていく共創が必要ではないかというコンセプトでここまで来たと思っておりまして、それから高等局がふわっと概念として定義しているものの、特に科学技術イノベーションの部分の具体的な事業として、ここで一歩前に進んでみましょうというような位置づけかなという認識でございます。
ですので、概念としてのプラットフォームと、それを実際科学技術イノベーションの文脈でやってみようという今回の新しい事業という関係かなと思っておりまして、こちらの我々の事業のほうも、明確な解が最初からあるわけではないと思いますけれども、それを皆で考えながらつくり上げていくという、最初の第一歩を予算もつけてやってみるというイメージかなと理解をしております。
以上でございます。
【清水委員】 熊本大学の清水です。よく分かりました。
大体想定していたことなんですけれども、今後、教育なども含めて、こういったプラットフォームを使いたいというコンセプトが高等局の中にあるということというふうに理解しました。
【斉藤課長】 はい。
【林主査】 そうですね。この制度、今の提言が10年とか、ビジョンとか、かなり大きなものを期待しながら、それから、出口に関しても、前広に出口を設定できるということはとてもいいことだと思うんですけれども。応募する際には、じゃ、どこに具体的に提案すれば、どういう視点で提案すればいいのか、確かに迷うところも出てくるかなと思いますので、説明会などでは丁寧な説明は期待したいところだと私も思いました。ありがとうございました。
【齊藤補佐】 ありがとうございます。
【林主査】 加藤百合子委員から手が挙がっておりますが、加藤さん、いかがでしょうか。
【加藤(百)委員】 加藤です。
1つ、それこそ根本的なところで、このプラットフォームをつくることへのモチベーションってお金だけなんでしょうかというところがあって。我々、ベンチャーをやっていたり、あと、先ほどの弘前大学の好事例なんかをお聞きしていると、まさに同じ絵ですね。モチベーションって、お金よりも、やっぱり課題解決をしたいんだという明確なビジョンを持った人がいて、それに巻き込まれる人たちと、そこの種銭になるこういう枠組みたいなものが一体になると、うまく走り始めるのかなと思っていまして、そこのモチベーションの部分も、もしかしたら仕掛けづくりしないと、今、この日本でなかなかベンチャーが出てこないとは言わないですけど、少なかったりいろいろするのは、豊かになった証拠なのかもしれないですけど、大概に、その軸になるネタはあっても、やろうという人がいないというのが背景としてあるので、モチベーションのおもしろい仕掛けづくりも、もちろん、今すぐにここに書ける、私もアイデアがあるわけではないんですけど、そういう仕掛けも必要かななんて思いました。
【林主査】 ありがとうございます。
この委員会の特徴なんですけど、やっぱり熱いものを期待したいと。今日、西村さんいらっしゃらないので、西村さんがいらっしゃったら、多分、乗ってこられるのではないかなと思うんですけれども。人の動きもそうですし、やっぱりやってやろうという、そういうところをどういうふうに制度の中に背中を押してあげられるかどうかというような、そこら辺の視点、大事だと思います。ありがとうございました。
【氏原室長】 御指摘ありがとうございます。
【林主査】 事務局のほうから何かコメントありますでしょうか。
【齊藤補佐】 加藤先生、ありがとうございます。
まさに今、話を聞きながら、おっしゃるとおりだなと思っていて。別の研究の中でやっていますと、変革的なリーダーというんですか、すごく熱いリーダーがいて、そのリーダーを取り巻くプレーヤーがいて、うまくそれがマッチングしているときに初めて成果が出てくるかなと思っておりまして。
例えば、今回の弘前大学でも、中路先生という、もともとこの分野に関わってきた人がいて、その人が何がなんでも短寿命を解消したいという思いからスタートしている部分がございます。
ですので、多分、こういう変革的なリーダーというか、しっかり変えたいと思っているリーダーがうまく申請できるように、もしくは、その方が申請したときにも、実際活動がしっかり継続できるように、我々、応援していきたいと思いますし、逆に、採択された暁には、そういった方が頑張って、こうやっておもしろいことをやってるよというのを広く世の中に伝えることによって、まねしたいと思えるようなことをつくっていけたらいいかなと私個人としては思っております。本当にありがとうございます。
【氏原室長】 では、私からも。
途中段階で、林先生からの御指摘もございましたように、10年という長期のプロジェクト、これ、中だるみがなく、きちんと取り組んでいただくためには、やはり熱意のようなものは欠かせないものだと思っております。我々も、審査の中でもそういったところを評価していくとともに、途中段階での中間評価といったものの中でも、どれだけ真剣に取り組んでいるか、ステークホルダーも、お付き合いではなく、自分のこととして参加いただいているようなというものをきちんと評価できるような形にしていきたいと考えております。
【林主査】 審査項目の中に熱意というのを入れると、結構大変、どうやっていいのか分からないですけれども、ぜひとも、そういった視点は持っていただければと。
【加藤(百)委員】 ぜひぜひお願いします。報告書の厚さではないことは確かだと思うので、ぜひお願いしたいです。
【齊藤補佐】 はい。
【林主査】 そのほかに、委員の皆様から御意見等ございますでしょうか。
今の加藤さんのお話が締めと言えば締めになるのかもしれませんけれども。
【齊藤補佐】 先生、今、串岡先生が手を挙げられていたかなと。
【林主査】 そうですか。串岡先生、どうぞ、お願いします。
【串岡委員】 私は単なるテクニカルな話なんですけれども。4-1で江戸川委員が、全国区で活躍する専門家を活用したいということで、まさにそのとおりなんですけれども。
その次に、VCに限らず、その他の支援者も同様でというふうにお話があって、江戸川委員は、前、新日本監査法人にいらっしゃって、利益相反の専門家で、広島大学でもいろいろ御支援いただいたこともありますし、だとすれば、この資料で、ベンチャーキャピタル、何とか書いてあるんですが、いわゆる監査法人というか、一般的な地方にいない法の専門家というか、法律のファームというか、表現は様々でしょうけれども、そういった支援者について、ここにふさわしいような書きぶりをせっかくであれば、していただいたらいかがかなと思いました。
以上です。
【林主査】 ありがとうございました。
【齊藤補佐】 串岡先生、齊藤でございますけれど、16ページのところに、金融機関やベンチャーキャピタルだけ書いてあるけれども、それ以外に関しても、そういった監査法人的な、そういうローファーム的な部分もしっかり巻き込んでという形を書いたらいいという形ですかね。
【串岡委員】 そうですね。多分、江戸川委員も、そのような趣旨でおっしゃったのではないかと憶測するんですけれども。
【齊藤補佐】 なるほど。分かりました。
【氏原室長】 ありがとうございました。書き方はちょっと工夫させていただければと思います。
【林主査】 御指摘ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。そろそろ時間も移っているようなんですが。
特に、さらになければ、ありがとうございました。
これから最終的な取りまとめを皆様の御意見を基に進めていくことになると思いますが、いろいろな修正点等、この後、細かい部分に入ると思いますが、主査一任とさせていただきたいのですが、御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【林主査】 ありがとうございます。それでは、そのように対応させていただきます。
それでは、次の議題に移らせていただきます。今後の予定についてでございますが、事務局より説明をお願いいたします。
【氏原室長】 それでは、氏原でございます。私のほうから説明させていただきたいと思います。
説明の前に、まずは、本日も密度の高い御審議をいただきまして、誠にありがとうございます。まだ本日頂いた御意見を踏まえまして何点か修正等ございますが、委員の皆様の1年にわたる議論を経まして、本日、最終取りまとめまで至りましたことを、まずはお礼を申し上げさせていただければと存じます。
続きまして、今後の予定でございますが、これまで地域科学技術の振興の強化に向けまして、我々のほうも体制の強化ということについて、総務省へ機構・定員要求等をさせていただいてございますが、こちらにつきましては、令和3年度中に、拠点形成と地域科学技術振興を一体的に取り組むことで、より効果的な施策立案形成をできるような体制への移行というものを予定してございます。
科学技術・学術審議会における検討体制につきましても、それを踏まえまして、どのような検討体制にするかということを今後検討してまいりたいと考えてございますので、今後とも地域科学技術の振興につきまして、御指導、御支援を賜れればと存じております。
事務局からは以上でございます。
【林主査】 ありがとうございました。
そのほか、事務局からなければ、これで最後の締めということになりますが、よろしいですか。
【齊藤補佐】 はい。主査からもし一言ございましたら、それを頂いた上で。
【林主査】 分かりました。
今日、第6回ということで、皆様方には6回にわたり、大変お忙しい中、いろんな書面のチェック、それから、御意見等活発に頂きまして、ありがとうございました。やはりこういう科学技術もあるし、さらにそれを社会に貢献するための実装とイノベーションということ、単純に理論だけではいかない、実際のリアルな経験値であるとか、あるいは、お金であるとか、あるいは、先ほどの加藤先生のように、熱いものがないとだめだというところとか、極めて活発な御意見いただきまして、私も主査として大変やりがいのある評価をさせていただいたと思います。
最終まとめ、まだ最後の詰めがこれからですが、おかげさまで、かなり具体的に、かつ、長期的な視点を持ったものにまとまってきたのではないかなと思います。大変御貢献いただき、ありがとうございました。
それでは、特にさらに御意見等ございませんようであれば、これで第6回目の第10期地域科学技術イノベーション推進委員会を閉会とさせていただきます。大変ありがとうございました。
【齊藤補佐】 どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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