産業連携・地域支援部会(第10期)地域科学技術イノベーション推進委員会(第5回) 議事録

1.日時

令和2年7月31日(金曜日) 15時00分から17時00分

2.場所

オンライン会議(Zoom)にて開催 

3.議題

   (1) 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)からのヒアリング
   (2) 中間まとめ(案)について
   (3) その他

4.議事録

【林主査】 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、科学技術・学術審議会産業連携・地域支援部会第10期地域科学技術イノベーション推進委員会を開催いたします。
本日は、新型コロナウイルス感染症対策のため、オンラインにして開催とさせていただきます。
また、本委員会運営規則第5条第3号に基づき、傍聴者の入室を制限させていただいています。委員会の模様は記録し、後日YouTube上で配信させていただきます。議事録及び資料につきましても通常どおり公開とさせていただきますので、あらかじめ御了承ください。
次に、配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。
【岸良係長】 事務局でございます。それでは、本日の資料を確認させていただきます。欠落等の不備がございましたら、事務局までお知らせください。
資料1、JST様、提出資料、資料2、地域科学技術イノベーション・エコシステムの構築に向けた方策について(中間まとめ(案))、資料3、同じく(中間まとめ(案))【概要】、資料4、第10期地域科学技術イノベーション推進委員会(第4回)における(中間まとめ(案))についての意見概要、資料5、第10期地域科学技術イノベーション推進委員会スケジュール、参考資料1、科学技術・学術審議会産業連携・地域支援部会、第10期地域科学技術イノベーション推進委員会委員名簿、参考資料2、同じく地域科学技術イノベーション推進委員会の運営規則、参考資料3として、地域科学技術イノベーション・エコシステムの構築に向けた方策について(中間まとめ(案))の前回からの見え消し版をそれぞれ用意してございます。資料の欠落等の不備はございませんでしょうか。
それでは、次に進みます。ウェブ会議を円滑に進める観点から、今から申し上げる事項について御配慮いただけますとありがたく存じます。
マイクは、ハウリング等を防止する観点から、発言時以外はミュートにしていただきますようお願い申し上げます。また、御発言時においては、あらかじめお名前をおっしゃっていただきますようお願い申し上げます。
また、大変僭越ではございますが、各参加者の皆様のお名前の表示やミュート設定等について、事務局より設定を切り替えさせていただく場合がありますこと、あらかじめ御了承ください。
事務局から以上でございます。
【林主査】 次に、事務局に異動があったということなので、御紹介お願いいたします。
【岸良係長】 事務局です。事務局に人事異動がありましたので、御紹介させていただきます。
7月28日付で、科学技術・学術政策局長として、板倉が着任いたしました。ここで板倉より皆様に一言御挨拶させていただきたく存じます。板倉局長、よろしくお願いいたします。
【板倉局長】 ありがとうございます。今、御紹介いただきましたとおり、7月28日付で、菱山の後任で、科学技術・学術政策局長を拝命いたしました板倉でございます。よろしくお願いいたします。
私は非常に産学連携には興味を持っておりまして、と申しますのは、10年程前に東京農工大学に出向させていただいた経験がございまして、そこで実際、一教員として、周辺の企業あるいは自治体、あるいは地銀の方々などと産学連携の話をいろいろさせていただいて、大変貴重な体験をさせていただいたという経歴も持っております。したがいまして、本日の議論も楽しみにしているところでございます。
今日はまた、コロナ対策ということで、ウェブで開催ということで御不便をかけておりますが、この新型コロナの感染拡大によりまして、日本の東京集中の脆弱性というものが浮き彫りになってきたのではないかなというふうにも感じてございまして、こういうコロナ時代においては、ますます地域におけるイノベーション・エコシステムを確立して、地域が元気になるような取組が必要かなと考えております。
本委員会では、その観点から御議論を重ねていただきまして、今日も中間まとめについての御議論と聞いております。この報告書につきましては、私ども今後の地域科学技術政策の土台として受け止めさせていただきたいと考えておりますので、本日も委員の先生方におかれましては、忌憚のない御意見をいただければと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
【林主査】 板倉局長、ありがとうございました。
それでは、議題1に入ります。議題1は、関係機関からのヒアリングです。本委員会運営規則第3条第2項に基づき、本日は、国立研究開発法人科学技術振興機構、JST、副理事の齊藤様に御出席いただいております。
進め方について、事務局より説明をお願いいたします。
【岸良係長】 事務局でございます。最初に、科学技術振興機構の齊藤様より20分程度で御発表をいただきます。その後20分程度、質疑応答の時間を設けますので、委員の皆様からの御質問、御意見を頂戴したいと思います。
【林主査】 それでは、科学技術振興機構の齊藤様から20分程度で御発表をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【JST(齊藤)】 皆様、こんにちは。JST、科学技術振興機構の齊藤でございます。本日はこのような場をいただきまして、大変ありがとうございます。また、委員の先生方の名簿を見させていただきましたが、いろいろな先生がいらっしゃり、また、懐かしい先生がいらっしゃいますので、本来ならお目にかかりたいと思っていたのですが、こういう時期でございます。今日はオンラインでお話をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
今日は、今までも4回、委員会を開いてきたということなので、箸休めということではないのですが、少しよもやま話ということで、JSTが行った産学連携事業についてお話をさせていただきたいと思います。
今、御覧になっていただいておりますのが、これは日本の産学連携施策ということでございます。科学技術基本法に始まりまして、ずっといろいろなものがあるわけですが、やはり科学技術基本法が核、それとまた、大学の改革のところでターニングポイントになったのかなと思っています。
一番最初に、科学技術基本立国ということで基本法が制定されましたが、皆さんも御承知のとおり、そのとき、各自治体さんが科学技術立県、また、科学技術大綱だとか科学技術指針というものを作りまして、国に準じて一緒に科学技術を進めたという認識を持っているところでございます。ただし、残念なことに、47都道府県に全てがこういう大綱、指針があるわけではありません。一度じっくりまた確認をしたいと思っておりますが、全てあるわけではありません。
それとまた、第1期、第2期というときには重点課題というものがあったと思います。例えば宇宙だとか海洋、ロボットだと。そういうテーマがあったわけですが、ここは少し面白い話がございまして、自治体はやはり幅広くいろいろな課題を取り入れて、また、自分たちでいろいろな国の施策にチャレンジしたいわけですが、そこの主たる大学の先生が、「このテーマをやるの? うち、こういうことをやっていないよ、ロボット、やっていないよ。」という話があって、真剣にいろいろな議論をしているんだなと思った次第でございます。
次がJSTの産学連携の事業の施策を横の表でお示しさせていただいております。やはり前期、青い色の部分、非常に一つ一つ実施した期間が長いと思います。一番長いもので16年でございます。だんだん下のほうに行くと、緑のところになってくると5年とか、非常に短いものになっていきます。ここがいいか悪いかというのは、また皆さんでよく御議論していただきたいと思うのですが、少し面白い話をさせていただきます。
一番上の科学技術特別研究員という事業がございます。これは1990年に文部科学省が制定した事業でございますが、1993年、JSTに移管されました。これは研究者が自ら国研を見つけて、そこの職員として3年間研究するという制度なのですが、最初は科学技術庁がやっていたものですから、これには辞令が出されていました。当時は田中眞紀子さんだったと思います。田中眞紀子さんから辞令が出たと、非常に親御さんは喜んでいたそうですが、それが私どものJRDC(現JST)のほうに移ってきて、JRDC(現JST)の理事長の辞令になって、何だよ、と、こんな話があったやにも聞いています。
また、今日、串岡先生もいらっしゃいますが、酒類総合研究所というのが今、広島にございます。実はこれは東京の北区の滝野川にありました。これが移転するとなったときに、そこの研究員がだだをこねまして、そこに説得に行ったという記憶もございます。また、研究所の中には休まない研究員がいるという報告があり、どうにか休むようにして欲しいということで、研究所のほうに行ってお話をさせてもらいました。なかなかガッツのある研究者で、いや、俺はいつかは左うちわで御飯を食うようになるんだから、今は頑張るよと、こんなお話を伺ったこともございます。
また、その下でございます。RSP事業等幾つかございますので、これは順次、御説明をさせていただきたいと思います。
これが先ほど申し上げました地域研究開発促進拠点支援事業ということで、RSPという事業でございます。これは各都道府県が設立した財団にJSTからコーディネーターを配置させていただいて、地域の科学技術の根起こしをやるというものでございます。これも10年間で、39都道府県に御支援をさせていただいたところでございます。現在は科学技術コーディネーターという名前を使っておりますが、最初の頃は新技術コーディネーターという言い方をしておりました。といいますのは、その昔、我が社は、新技術事業団(のちに新技術開発事業団)という言い方をしておりましたので、その頭を取って、新技術コーディネーター、その後、科学技術振興機構ということになったものですから、科学技術を入れたこのネーミングにさせていただきました。
実は、ここで育ったといいましょうかね。そこに勤めていたコーディネーターの皆さんがいて、いろいろな大学の教授になって御活躍をしております。あの人、この人とお名前を出せばいいんでしょうが、今日はあんまり固有名詞を言うなと言われておりますので、そういう状況でございます。
次が地域結集型共同研究、これは先ほど申し上げました16年間で39か所を支援させていただきました。これも各自治体からエントリーをしてきていただくわけですが、今日、特色ある面白い取組をしたということで、3つを御紹介させてください。一番左が茨城県の環境フロンティア技術開発というものでございます。要は、霞ケ浦の環境の開発をしていただいたわけでございますが、下にもございます、これが終わったときに、霞ケ浦環境科学センターというものを作りました。ここは研究所であり、子供たちを学ばせる場でもあります。ここの特色は、えっ、そんなことできるの? ということがあるわけですが、実は森林湖沼環境税というものを茨城県が設置しまして、実は県民から税金をいただいて、ここを運営しております。
実際、この税金は時限立法でございますので、来年が終了の年度になっております。来年度、またこれが延長するという審議が県議会で通るかどうか。これは楽しみなんですが、やはり自治体が、当初の頃は県を挙げてこういう地域の科学技術を結集しようという動きがあったわけでございます。そういう意味においては、本件はあまり知られてはいないんですが、非常に特色のある取組をしていただいたなと思っているところでございます。
それから、奈良県でございます。えっ、何で奈良? ということなんですが、これは当初、奈良はなかなかこういう制度にエントリーしてくれませんでした。といいますのは、御説明に伺ったときは、奈良県は、うちは「文化県」だからねとこういうことを言われた経緯がございます。ただ、非常に良く取り組んでいただいて、一生懸命やっていただいております。この中で、ああ、そうだったんだと思ったことを一言申し上げます。
実は、ここに宇治茶というものが京都では売られているわけですが、かなりの量が奈良県から行って、宇治茶として売られているということがありました。これを機会に、大和茶というブランディングをちゃんとつけまして、今は、パークハイアット等々で非常に収益が上がっているということを聞いております。やはりそういうネーミングひとつ、また、自治体の販売経路の考え方ひとつで、自治体が大きく変わるという成果だと思います。
それと、一番右の熊本の次世代耐熱マグネシウム合金の基礎研究です。これほど非常に大学の名を一発で世間に知らしめた研究はなかった。今、KUMADAIマグネシウムというと、皆さん、すぐ、あっと分かっていただけると思いますが、実はこれはつい最近も新聞に載っておりましたが、アメリカの航空機メーカーからも引き合いも来ているということでございます。ただ、私はもう少し、我々JSTとしてもまた熊本大学と連携して、この販売に少しいろいろとサポートしてあげられると、一気に上がっていくんじゃないかなと思っているところでございます。
それから、イノベーションプラザ・サテライトというものが全国に16か所ありました。これはJSTが自ら研究施設を地域にセットさせていただきました。誠に残念だったわけですが、事業仕分けに伴い、この施設は現在、全てありません。ただし、こういうところで育ったコーディネーターが、先ほどの大学の話でありましたように、大学、また、地域の財団等に所属されて、非常に活躍していただいているというところであります。また、館長の運営方法は決して本部から、こうやれ、ああやれではありませんでした。全て館長の独特な特色ある運営をして、非常に地域に根差した取組方をしていただいておりました。
それから、地域卓越でございます。もうこのお二人、山形大学の城戸先生、また、信州大学の遠藤先生、皆様、御承知だと思いますが、実はこれは当初、私どもの当時の北澤理事長が日本のシリコンバレーを作りたいと、こういうお話から始まったところでございます。そして、事業を集約して、そこに一大の研究施設を作りたいということがありました。
我々は、こういう事業をやると、非常に面白い取組だなと思っていたわけでございますが、大学が何を考えるんだろうと、何をしたいんだろうということがあったものですから、実はこのときに、私どもが大学に対して、どういうことを、大学の一押しの研究としてやるんですかということで、1件300万のFS調査費をつけさせていただき調べさせていただきました。50大学応募があって、そのうちから30大学を採択させてもらったわけでございます。その中に山形大学、また、信州大学がありました。それで卓越を募集させていただいたところ、この2課題がまた採択されたということでございます。
また、これも少し面白いことをやりました。といいますのは、決まった先生方ともう少しJSTが直接いろいろな話をしたいということで日を決めまして、例えば山形大学の城戸先生に半日、JSTの会議室にいてよと。そこにJSTの各部の部長また担当者が行って、先生の技術を使ってどういうことができるんだろうかと、こういうミーティングを、山形大学、および、信州大学、の2大学を実施しました。JSTの中でそんなことをやったのは、私は経験がないので、なかなか面白い取組をやらせてもらったなと思っているわけでございます。現にこういう制度がCOIにもつながっているというところでございます。
それから、イノベーションコーディネーター表彰というものをやらせていただきました。大学と企業、そういう人たちをつなぐ、まさにつなぐ役のコーディネーターでございます。なかなか日が当たらない職種であるわけですが、このイノベーションコーディネーター表彰というものをやって、アワードを作らせていただいたわけです。これは非常にいろいろな意味でコーディネーターの励みになったかと思っています。
実際に、このコーディネーターも期限付で各大学等にかなり雇用されているのが現状でございますが、ここで若手賞というものを取った、とある大学のコーディネーターが、若手賞を取ったのならということで、今、パーマネントで勤務しております。そしてまた、右上のロゴマークでございます。これを、今でも名刺の中に刷り込んでいただいており、また、こういう賞があったから今の私があるんだよというようなことで、非常に私どもの制度を大変ありがたく思っている方がいらっしゃいます。また、先ほどの話ではございませんが、やはりこういう中から、現在、いろいろな大学の教授になっている若手の先生方がたくさんいらっしゃるということでございます。
さて、次でございます。地域産学官共同研究拠点整備事業というものでございます。ここに2つ、富山県と岐阜県さんの今の状況を参考にさせてもらいました。実は、これもまさに事業仕分のときにやった補正の事業でございます。当初、建物と研究機器を設置していいよということで、いっときは、予算上で言うと1,500億ぐらいの話があったわけですが、だんだん削られて、最後は263億の予算をいただいたわけでございます。全国で40か所に研究機器を整備させてもらったところでございます。
ただ、その中で少し、どうしても大きな機械を入れなくちゃいけないよというところにつきましては、施設も可ということで、全面改築でなく、一部増築というような格好で支援させてもらったわけですが、実はここにあります富山県。もう最初の頃は、えっ?と思ったほどでしたが、大変すばらしいものになっております。全部改築して、ものすごくいい研究所になっております。これもそういう意味におきましては、我々が支援させてもらったのが一つのきっかけになってやったのかなと思っております。
また、岐阜の技術革新センターでございます。こちらもそういう意味では非常にすばらしく、研究課題を選ぶときに、今日参画しています熊大の清水先生が、当時は岐阜県のほうに技官として出向されていたと思いますが、自ら県内の100社の企業を回っていただきまして、そこで、今、何が必要なんだというアンケートを取って、実際に必要な機械を入れさせてもらいました。その後、岐阜県さんのほうにつきましては、しっかりしたこういう建物も作っていただいて、今、十分な稼働をしているところでございます。
そして、ここで若干私どもはこういうしかけをしましたよ、というお話をさせてもらいます。やはり金の切れ目が縁の切れ目ではありませんが、こういった機械を譲渡してしまいますと、「ああ」ということで終わってしまうわけでございますが、右下にございます岐阜県さんの場合は、ぎふ技術革新センター運営協議会というものを作っていただいて、今でも動いております。これは実は、この40拠点全てに、我々はこの機械を譲渡するときに、ちゃんと10年間は、参画した企業の連携協議会を作っていただき、私どもJSTにしっかりと報告してくださいということでお願いしたところでございます。
岐阜県は、今でもこういう機械の維持管理のための予算を年会費として、正会員や賛助会員からお金をいただいているわけでございます。大体年間4,000万円の運営基金が集まり、このぎふ技術革新センターの中の協議会の運営をしていただいているというところでございます。やはり地域との連携を図らせていただき、若干、我々が無理を言ったということはないんですけど、そういうことをお願いすれば、しっかり10年間、少なくとも10年間は維持していただけるということです。また、それ以上に富山県も岐阜県も更にパワーアップしているというようなことでございます。
それから、どうしても我々が語らなくてはいけないのは、2011年に起きました東日本大震災でございます。JSTのプラザ・サテライトが閉館したのが2012年でございます。その後、JSTではJST復興促進センターというものを、岩手県、宮城県、それから、福島県郡山市のほうに設置させていただきました。全部で288の課題を採択させていただきまして、金額的には64億円の予算をいただきまして、支援をさせてもらったところでございます。これがまさに、今、皆さんが資料を見て心が痛くなるわけですが、東日本大震災のときのこういう悲惨な状況であったわけでございます。
ところが、そんな中で、やはり今いろいろな成果が出始めているところでございます。例えば上のところでございますが、宮城県でございます。これは玉虫塗という民芸品でありますが、これは産総研の力をかりまして、ここにガラスコーティングをさせていただいており、傷がつきにくいものになっております。食洗機で洗っても、傷つかないというものでございます。これは2016年の伊勢志摩サミットで記念品にも使っていただいたり、また、一番右にあります羽生結絃君が宮城の県民賞をもらったときの賞の大皿にも使われています。また、特に今年は調子いいですねと言いたいんですが、楽天イーグルスのヘルメットも実はこの玉虫塗で作っていただいています。ですから、これはデッドボールでも傷がついていない。ちょっと高価だなと個人的には思っているところでございますが、今、非常に調子よく頑張っているチームでございます。
それから、その下でございます。「玄米オリザーノあまざけ」ということであります。実はこれは福島県にあります会津天宝醸造というみそ屋でございます。みそ屋と琉球大学の先生が連携して、メタボリック対策に効果があるとされるオリザーノの甘酒を作ったということで、これは実は既に『Nature』にも載っています。言い方は失礼ですけど、福島県のこういうみそ屋が載ったということで、新しいいろいろな開発型企業として頑張っていただいております。
また、右にありますように、そういう製品を地元の学校に提供して、そこでいろいろなお菓子などを作っていただいて、コンテストもやっているというところでございます。
それと次が熊本大地震のところでございます。JSTも熊本大学と一緒に、熊本城の城壁の復興の支援をさせていただいているところであります。1枚1枚、落ちてきた石の写真を撮って、それを熊大のコンピューター画像処理技術で、一つ一つ、ジグソーパズルのように絵を合わせているわけでございます。こういうところの技術開発とともに、実証も一緒にやらせてもらっているというところでございます。
また、下の穴が空いているシャベルがございます。これは西日本豪雨の復興支援のときに採択させてもらったところでございます。西日本のときは非常に土砂による被害が多く、床下にまで潜って、一生懸命土砂を掻き出したわけです。非常に腰に負担がくるわけでございますが、スコップをちょっとこういうふうに曲げるだけで、非常に腰への負担が軽減されるというものでございます。実はこれは今年の3月末で研究期間が終わったところでございますが、今年7月初めの豪雨ですね。九州豪雨で鹿児島県の薩摩川内市というところが大変な被害に遭い、また、コロナの感染もあって非常に大変だったわけでございますが、今、そこで実証試験をしてもらっています。実証試験という言い方は大げさなんですが、実際に使ってみてよと。使ってみた後でレポートを頂戴ねということでございますが、そういうこともさせていただいているところでございます。
次でございます。これは日本列島にこういうふうに書いてありますが、東日本大震災から熊本、西日本豪雨への被災地のつながりということでございます。やはりカキでございます。一番最初は、東日本大震災のときに、カキの産地である岩手県の山田湾というところが傷んだわけでございます。そこに我々のほうで技術提供をさせていただいたものが、今度は熊本の地震のときに傷んだ水俣のカキのほうに、この技術を持っていって、今、養殖に励んでいます。それからまた、カキの本場であります広島のほうにもこの技術を持っていきまして、現在これは実験の継続中でございます。
一つの研究が全国にまたいでいくということですね。これは非常に大事なことであるし、また、今、そこに鳥羽のワカメとかアワビ、実はこちらの研究のほうにも、これで支援させていただいているところでございます。そういう意味におきましては、たかがカキではありますが、全国、ましてや、この技術は近々海外のほうにも持っていきたいと、こういうことを考えているところでございます。
さて、やはり我々JSTは、プラザ・サテライトが全国にあったわけですが、そういうときには本当にきめ細かなサービスをさせてもらったわけでございます。それは現地に人がいたわけでございます。JSTプラザ・サテライトがなくなった後、そういうことはなかなかできなかったわけですが、東日本大震災のときのマッチングプランナーの活躍を文部科学省から認めていただきまして、27年度、28年度と予算をいただきまして、それ以来、マッチングプランナーが全国で20名活躍しています。20名では少ないねということもございます。ただ、そこに産学連携アドバイザー、これはマッチングプランナーの経験者等々にも協力していただいてということになります。
それから、イノベーションプランナー、4名入っておりますが、これは2年前からスタートさせていただきました。各大学に1名ずつ配置させていただいて、大学の中におけるシーズをいろいろなところに展開してもらうというようなクロスアポイントメント制度で事業をさせてもらっているところでございます。
いろいろな事業がありまして、たくさんの成果があるのですが、ちょっとトピックス的なところで御紹介させてもらいたいと思います。一番左の上は、ダチョウの抗体マスク。今、コロナで非常にいろいろなお話が出ている評判のマスクでございますが、これもそんな単純にできたわけじゃなくて、これは実はプラザ大阪で実施したシーズ発掘試験で採択されたものでございます。その後またプラザ大阪の育成研究で採択し、それをより製品化に近く、また、機能性をしっかり検証したものを大学発ベンチャーにつないで、ベンチャースタートということで、現在に至っているというものでございます。
それから、その隣のチタン合金でございます。これは福井県でございますが、チタンという非常に硬い金属を加工するということで、当初は、この眼鏡ですね。業者名が書いてありますから、シャルマンの眼鏡でございます。シャルマンの眼鏡、非常にいろんな方がかけていますので、このデザインを見ると大体、ああ、シャルマンの眼鏡だねと分かるわけですが、これも育成研究、それから、地域結集につながって、製品化されたものでございます。
その下に青いピンセットがございます。これは実は私どもの研究支援ではなくして、今、独自に彼らのほうが事業を進めている内容でございます。今、非常に、世界一切れるメスというものも、このチタン加工で手がけているところでございます。
それと、すぐその下に、何だ、これはということで、バレーボールが描いてあります。これは決してバレーボールを作ったわけでなくして、本当は皮膜でございます。超断熱材の皮膜を作ったわけなんですが、これがどういうわけか、バレーボールが滑らないということで、ミカサのほうでこれを使っていただきまして、これはまさに、今、テレビでいろいろと試合を見ていただくと思いますが、公式球になっておりますね。そういう意味におきましては、違う意味の展開をしているというものでございます。
また、その左のスラリーアイス、これは高知工科大のほうでやっていただきましたけど、これも可能性試験、シーズ発掘、また、地域ニーズということで、多岐にわたった支援をさせてもらいましたが、実はこの製品も今、東日本大震災のほうで活躍している成果でございます。
さて、今日はお時間がないんで、一つ一つ詳しく説明させていただきませんが。いろいろな制度があるんだよという中で、ぜひともちょっと、ああ、そうなの? と見ていただきたいんですが、実はこれは事業を申請するときの申請者の名前、役職がみんな違うんですね。例えばRSP事業、先ほども言いました各都道府県が作った財団をしっかり支援するというものでありますので、これは都道府県知事から申請していただきました。また、地域結集型というものも地域に根差した、地域がとんがった研究をやるということもあったものですから、都道府県の知事、また、この場合は政令指定都市もオーケーということになっていますので、政令指定都市の首長ということになっています。育成研究になりますと、やはり大学の研究を企業側とするということで、ちゃんと企業もいなくちゃ駄目だよということで、企業の連名ということになっております。
ここでこういうお話をさせていただいたのは、大学、企業、また、自治体の結びつきが非常に難しく、また印鑑をもらうのも非常に難しいです。といいますのは、申請するに当たって、受かるか受からないか分からないのに、企業さんのオーケーを取る、自治体のオーケーを取る。これは非常に苦しい。落ちた場合、全部に御説明に行ったり、謝りに行ったりしなくちゃいけない。実は私ども、今これを統一化しようということで少し動いているところでございます。大変恐縮でございます。
最後に、弘前のCOIでございます。皆様、この弘前COIというのは非常によく御存じかと思います。成功事例、まさにこういうものが拠点のものだと思います。ただ、ここのすごいのは、自分たちで問題意識を持っていたわけですね。やはり日本一の短命県だったということです。その短命県を、2005年から大元の研究をしていて、その後、COIにエントリーして、採択されて、今やもうCOIを代表とする成功事例ということでございます。
実際これも来年の令和3年度で終わる事業でございます。最近では、新しいキャッチフレーズを作っています。COIで短命県を脱却し、長寿革命を実現するということです。イノベーションは、偏狭、逆境から生まれるというようなお話、実は昨日、ここの部長と話をしていまして、なかなかすごいお話を聞かせていただけたということで、感謝しているわけでございます。やはり地域事業というものは決して大学だけでなく、地域の地元の大学と連携するということが非常に大事なのかなと思っています。
大変恐縮でございます。私見ではありますが、私は今申し上げましたように、自治体はその地域にある主たる大学と連携を図ることが大事ですねと。また、地方大学にはいろいろな原石が多数あります。地域に密着したテーマを創出できますよということで、日本に活力、元気を出すテーマができるんじゃないかと思っておりますので、ぜひとも先生方もそういう制度の構築をしていただければ大変ありがたいと思います。御清聴ありがとうございました。
【林主査】 齊藤様、ありがとうございました。
そうしましたら、委員の皆様から質問、御意見等、頂戴したいと思いますが、いかがでしょうか。
齊藤様、私は主査の林でございますが、よろしいでしょうか。こうやって俯瞰的に御説明いただくと、JSTさんがかなり長きにわたり、いろんな仕組みをいろいろ変えつつ、地域の振興に当たってきたというのがとても分かって、私も大変勉強になったんですけれども、幾つか質問あるんですが、一つだけ、地域ということを特定の県だけに限定するのか。あるいはもう少し広域で、広域連携のものを考えて振興を図っていったほうがいいのか。そこら辺は委員会の中でも結構議論が出るテーマではあるんですけれども、齊藤さん、いろいろやっていただいて、どのような見解をお持ちでしょうか。何かありましたら、お聞かせいただきたいと思います。
【JST(齊藤)】 ありがとうございます。私は広域をどんどんするべきだと思っております。やはり地域の中でとんがった研究というのはあります。ただ、同じようなことの研究をやっているところもあるわけですので、そういうところと連携することによって強みがより増すと思っております。ですから、今日はあえて広域連携ということは言わなかったんですが、実は、私どもマッチングプランナーの場合も、北海道で困ったことがあったとき、例えば九州の技術を使ってやるとか、非常に横連携を横断的に使って事業を展開させてもらっております。
【林主査】 なるほど。そうしますと、プランナーの方々の意識の持ち方で、そういった活動も活発にできるということですよね。どうでしょう。自治体の方ともお話ししていると、多少の抵抗的な意識も出てしまう。例えば自分のところでやりたいとか、あるいは、なぜあそことというのは、やはり無意識のうちに出る抵抗なのかなとも感じることがあるんですが、齊藤様はそういった御経験はいかがですか。
【JST(齊藤)】 正直申し上げまして、北のほうの、何とか道はそうですね。当初、完全に自分たちの中で全部クリアしたいという自治体でございました。我々は何回もおつき合いさせていただいて、今あそこは富山県と連携を図っております。そういう意味におきましては、自分たちの中だけではクリアできないものがたくさんできてきているというのがありますので、そういうのにおきましては、広域連携というのは徐々に自治体を中心として進んでいると認識しております。
【林主査】 ありがとうございます。
ほかの委員の方々から何か御質問等いかがでしょうか。
【清水委員】 熊本大学の清水です。私のほうからよろしいでしょうか。
【林主査】 はい、どうぞ。お願いします。
【清水委員】 ありがとうございます。齊藤さん、ありがとうございました。熊本大学や岐阜県の話も教えていただいて、ありがとうございました。ちょっとお聞きしたいのは、県庁に出向したり、あるいは震災以降のときに感じたのは、JSTさんが地域の産学連携をすごく支えていたということを実感として感じました。ただ、残念ながら地域や県庁からも強く支持された事業を見直しして、なくなっているものがあるんですね。廃止した事業の中で、これは残したかったと、これは非常にJSTにとっては重要だったというものがあったら、ひとつ紹介していただきたいなと思います。
なぜかといいますと、東海JSTサテライトでございまして、当時は、名古屋大学の元教授だった浅井先生が館長をされ、経済産業省中部経済局長や県の部長級が集まって、各県の関係者の独りよがりにならないように、地域の科学技術の在り方、産学連携の在り方、JSTの事業との関係の在り方を議論したものです。JSTサテライトやJSTの事業を通じて、私たちは年数回議論し競い合っていたと思います。あと、ニーズ即応とかシーズ発掘とか、先ほど懐かしいお話があったんですが、必ずしも1億や2億ではなくて、そういった200万から1,000万のような地域の企業と密着した事業が非常に重要だったのではないかなと思っております。
【JST(齊藤)】 今まさに清水先生がお話ししていただいたとおり、私も個人的に好きな制度というと、ニーズ即応やRSP事業でございます。今日、提言の中には書かなかったんですが、我々としては、先生とまるっきり同じ意見です。1億、2億のでかい金額でなくて、少額であってもいいから、ぜひとも地域の芽起こし等の事業をさせていただければ大変ありがたいなと思っています。また、プラザ・サテライトがなくなったことが今回のコロナで本当に痛切に分かりました。やはりああいうものがあればもっと即効でいろいろなところの御支援ができたんじゃないかなと思っているところでございます。
ただ、JSTの活動が狭められたということで残念というだけではなく、実はああいうものがあれば、例えば、実際に現在でも大学の中に入って研究ができない状態の中で、プラザ・サテライトの中には研究機器があったわけでございますので、制約はあるにせよそういうところで研究が細々とでもできたかもしれません。本当に今回、あれがあったらよかったなと思ったことは事実でございます。
【清水委員】 分かりました。ありがとうございました。
座長、一つ加えてよろしいでしょうか。先ほど、ぎふ技術革新センターの御紹介をいただきました。10年間運用しているんですが、私も岐阜県のほうとは今もおつき合いがあるんですけども、研究所は5つに分かれていたんですが、実は、関市というところにある、ぎふ技術革新センターにほとんどの機能を集約いたしました。これはJSTの地域産学官共同研究拠点整備事業があったおかげで、私ども非常に各地域との関係者の利害を何とか説得して、一つに集約して、技術者、研究者を集約できたというのがありました。地域の関係者は、これに対してすごい感謝をしておりますし、今、川崎重工の会長である村山さんですね。そういった関係者も含めて、地域の企業が非常に熱心に応援していると聞いております。
【林主査】 ありがとうございました。
時間の都合もありますので、すみませんが、松原先生からの御質問がありますので、これを最後にしたいと思います。松原委員、お願いいたします。
【松原委員】 松原でございます。齊藤さん、お久しぶりでございます。
【JST(齊藤)】 こんにちは。
【松原委員】 3ページのところで質問したいんですけれども、これは長期的に見ていただきまして、非常に分かりやすいんですけれども、特に緑で示されている拠点事業と、青で示されている旧地域事業とで、やっぱり最近、非常に短命というんですかね、5年ぐらいでもう終わっているようなものが多い。この理由は何なのかということを一つお聞きしたい。もう一つは、後の話と関わるんですけれども、全体として見ると大学中心の話になってきていて、地方自治体の方のこういう科学技術イノベーションに関わってきているものが弱くなっているように思うんですけれども、なぜなのか、その辺りで何か示唆いただけるものがあれば、よろしくお願いいたします。
【JST(齊藤)】 ありがとうございます。今、先生が言われたように、やはり自治体のほうの産学連携を担当している職員が少なくなっているのは確かでございます。決して工業試験場の人が少なくなっているというわけではなくて、本部における事務方が少なくなっているのは確かでございます。これはだんだん国プロ、大きな枠を言う、私どもの結集型みたいな支援型がなくなってきたからですね。各自治体に落ちる仕事がなくなってきたからだと思っています。これはまさに大学改革のところの一つで、大学にシフトしてしまったというところでございます。
ただ、そんな中でも、決して大学は敷居の高いところじゃないんだよということが、地域の皆様、企業の皆様、我々はそういうことの布石を打ってきたはずですので、もっと大学のほうが一緒に、大学のほうが門戸を広げていただいて、組んでいけば、そういうことが少しカバーできるんじゃないかなと思っているところでございます。
それとあと、やはり我々もこういうロングスパンのものを幾つかやりましたよと言いつつも、やはりだんだんこういう、似て非なるものになってきているわけでございます。今年度、共創の場というもので大くくり化をさせていただきます。ああいう中で、やはり足の長いもの、また、短いもの、金額の多いもの、少ないものということを柔軟に対応させていただいて、これから事業の展開を進めていきたいと思っているところでございますので、御指導よろしくお願いしたいと思っています。
【松原委員】 どうもありがとうございました。
【林主査】 どうもありがとうございました。科学技術振興機構の齊藤様、本当にお忙しいところ、貴重なお話をまとめていただき、ありがとうございました。
【JST(齊藤)】 どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。
【林主査】 よろしくお願いいたします。
それでは、続いて議題2に入りたいと思います。議題2は中間まとめ(案)についてです。本議題につきましては、今月初頭に開催されました第4回の委員会におきまして議論され、本日はその続きとなります。前回の委員会において、委員の皆様よりいただきました御意見を踏まえ、修正したものを資料2、中間まとめ(案)に反映しております。
まずは事務局より、主な修正点等を説明いただき、その後、中間まとめ(案)について、委員の皆様から御質問、御意見を頂戴するとともに議論したいと思います。
そうしましたら、山之内室長、お願いいたします。
【山之内室長】 山之内でございます。資料2を御覧いただければと思います。前の中間まとめ(案)から主な変更点を赤字にしております。この赤字の主な変更点を説明させていただければと思っています。
まず、最初のほうはなかったので、6ページをお開きください。第3章の「これまでの地域科学技術イノベーション事例からの教訓」のところでございますが、一番下のところに赤字があります。前回の(案)では、「学長の後押しにより」としていたところですが、学長の後押しではなくて、コミットメント・リードとすべきという御意見がございました。そのように修正させていただいております。
次は、少し飛んで、8ページをお開きください。これは4-1、イノベーション創出の意義・目的の部分でございます。前回のまとめ(案)では、地域課題と地域社会課題を一緒になって書いていたところがございまして、課題は、この前の部分に、第1、第2と書いてあるんですが、経済的課題、それと社会的課題の2つございます。誤解がないように、その旨の文章を追加しております。それと、イノベーションは、課題を解決するだけではなくて、マイナスをゼロ、あるいはプラスにするというものという御意見もございました。そのために文章として、「ウィズ・コロナ」、「ポスト・コロナ」に適応した新しい社会を地域発で構築していくことが期待されると修正しております。
次のページを見ていただければと思うんですが、ここは、4-2、イノベーション創出とエコシステム形成のための具体策の部分になります。
まず①のところで赤が書いてあるんですが、前回の(案)では、「地域共創の場」というのを、産学官が共同する場となるというように書いていたんですが、これだと、「地域共創の場」が、活動の場なのか、あるいは会議体なのか分からないという御意見もありました。そのため、意思決定する場というふうに、会議であるということが分かりやすくなるように修正しております。
②の部分でございます。ここは、委員から、地域ビジョンが具体的に何なのか、イメージとか例は? という御質問がございました。何かについては、この②の中に、「地域の産学官のアクター及びその全てに関係する地域住民にとってより良い地域のあり方、目指すべき地域の未来像となる地域ビジョン」と書いております。もう一つ、例としましては、その下なんですが、新産業の創出を通じた、あるいは、社会的課題の克服を通じた地域レジリエンスの強化等が考えられると追加させていただいております。
次のページ、ここは4-2-1、地方自治体の役割の部分でございます。上のほうから赤があるんですが、まず1番上の「また」以降ですね。これは委員の御意見から、基礎自治体は本気で取り組もうとしているところも多いと。基礎自治体にも広げるべきという御意見がございましたので、追加しております。
その次のパラグラフのところに、「上記『地域共創の場』においては」とございます。前の文章では、地域ビジョンの策定だとか、あるいは研究がビジョンに沿っているかの確認というのは、自治体が行うものと書いておりました。前回の御意見では、自治体ではなくて、「地域共創の場」で決めるべきという御意見がございました。そのように修正しております。
それと、研究の進捗管理など、自治体で口出しすべきなのか、どうなのかという御意見もございました。それで、この赤字の中の一番下のところですね。「研究開発の方向付けについて議論し、方針を決定する」と修正させていただいております。
ちょっと戻るんですが、この真ん中辺り、「また」というところがあるんですが、ここは、産学官でビジョンの捉え方とかゴールというのが違うのではないか、共有されていないこともあるのではないかという御意見がございました。そのため、地方自治体それぞれの立場、観点の違いもあり、ビジョン達成のためのマイルストーンの設定について、具体的な中身まで合意・共有されていないことが想定されると。その下に、KPI等のマイルストーンも併せて決めるなど、細部まで詰めて地域産学官で合意・共有することが求められるという文章を追加させていただいております。
次のページ、11ページでございます。4-2-2、地方大学の役割でございますが、上のほうの「そのための」の赤のところは、産学官連携ガイドラインの記述を追加させていただいております。
その下に、「なお」以降、下のところの「なお」ですね。「社会実装にあたっては」とあるんですが、ここのところは、人社系の働きも重要との御意見がありましたので、追加させていただいております。
その次は13ページでございます。4-2-3、産業界等の役割でございますが、企業とか産業界の役割を追加すべきという御意見が前回ございましたので、4-2-3として追加させていただいております。この中身としては、ビジョン達成に向けて、企業として行うこと、あるいは、どういった企業の参画が求められるかということを記述しております。中ほどのところに、地域ビジョンの実現に向けて、地方大学等や地方自治体と一体となって取組を進める企業の参画、その際、地域産業の中核を担う中堅企業、あるいは域内に工場や研究所を持つ大企業、SDGsに取り組む企業などですね。そういった多様な企業が参画することで、地域ビジョンの実現可能性を大きく高めることが期待されると。「また」として、必要な資金供給元としての金融機関だとか、特に地域の実情に通じた地元金融機関の参画も期待されるということを追加させていただいております。
その次のページ、4-2-4でございます。ここは人材の確保・育成の部分でございますが、前回の委員の御意見では、教育を追加すべきといったことを受けて、「また」以降の一文を追加させていただいております。
あと、その下、4-2-5、エコシステムの構築のところでございますが、下のほうの赤字は、産学官連携の体制を維持していくためには、間接コスト比率などについても記述すべきという御意見がございましたので、追加させていただいております。
最後、15ページでございます。「なお」以降のところでございますが、ここは国の支援終了後、国は何をするのかという御意見がございましたので、追加させていただいている部分と、その下に、「その際」というところがあるんですが、こちらは国のファンドは、研究者が管理などが大変であると。研究に専念できるようなファンドにしていく必要があるという御意見から追加させていただいております。
主な修正点は、以上でございます。
それともう一つ、資料3でございますが、こちらは概要になりますが、今、本文で説明した修正部分を青書きにしております。
説明は以上でございます。
【林主査】 ありがとうございます。
なお、この中間まとめ(案)ですが、前回も御紹介いたしましたとおり、本委員会の上部部会に当たります産業連携・地域支援部会にて報告する予定です。
また、今回、御議論いただくのは中間まとめになりますので、引き続き時間をかけた議論が必要な事項につきましては、最終報告まとめの段階で整理できればと考えております。
それでは、御議論いただきます。先ほど事務局より説明のありました中間まとめ(案)の修正箇所を中心に御議論いただきたいと思います。前回御意見をいただき、それを基に反映させていただいた委員の方々、あるいは、全体的に御意見のある委員の方々、自由にお願いしたいと思います。前回のように、指名で順番に回すということは、本日は時間の関係もありましていたしませんので、御自由に御議論いただきたいと思います。いかがでしょうか。
【清水委員】 熊本大学の清水です。よろしいでしょうか。
【林主査】 清水先生。はい、どうぞ。
【清水委員】 ありがとうございます。今日の10ページのところで、適切に改定をしていただいたと思っております。前回は、大学の研究テーマ全てにおいて自治体から意見を言われるものとの印象を受けましたけども、今日はきちっとビジョンの実現に向けて実施されている研究開発についてということで、関係者と合意したものについて、確認や方向性について議論されるというふうに限定されておりますので、大変ありがたいと思っております。
もう1点なんですが、やや修文していただいたほうがいいのではないかと思う点が一つございます。これについてお話ししてもよろしいでしょうか。
【林主査】 はい、どうぞ。
【清水委員】 9ページでございます。9ページの赤文字の②のところでございます。これもいろんな関係者と合意されていると思うんですが、ややちょっと、こうしたらどうかと思う点がございます。②のところですが、赤文字の下から3行目のところなんですけども、「発揮した新産業の創出を通じた」と書いてあります。この「を通じた」は要らないのではないかなと。何を言いたいかといいますと、前の「地域の有する強み」というのは、恐らく大学や産業技術センターの地域の技術をおっしゃっていると思うんですね。その後に、「新産業の創出」が入っておりますので、これは印象としては、ベンチャー創出をイメージされているのかなと思います。
ここで切って、その後、もともとある「地域の産業のグローバル競争力の獲得、地域住民が直面している社会的課題」というふうに、この3つの要素を入れていらっしゃるのではないかなと思うんですね。
【林主査】 そうですね。文章のつながりのところですけど。室長、いかがでしょう。
【山之内室長】 意味は全く変わらないと思いますので、問題ないかなと思います。ありがとうございます。
【林主査】 清水先生、ありがとうございました。
ほかの委員の方々からはいかがでしょうか。
【西村委員】 三重大学、西村ですけども、8ページのところ、私も意見を言わせていただいたものが、「新しい社会を地域発で構築していく」という言葉にしていただいて、私は、それは非常にいいかなと思いました。ゼロから、マイナスをゼロにするというレベルじゃなくて、プラスを作っていくという意味でも、それとあと、「ウィズ・コロナ」とか「ポスト・コロナ」はこの中でも触れられていたので、やっぱりこれは元に戻すのではなくて、これによって加速して、新しい社会ができるんだ、それが地方からも起こってくるんだと。それで、できれば、地方から日本を変えていくぐらいの気概で、こういう科学技術イノベーションに取り組んでほしいなという、そういう思いも込めて言葉を言わせていただいたので、そういう言葉が載ったんだなということで、私は感謝していますと、それを伝えたかったという、それだけです。よろしくお願いします。
【林主査】 西村先生、ありがとうございました。実は私もそこのところを室長といろいろ話をさせていただいたところでございます。
そのほかにいかがでしょうか。手を挙げていらっしゃるのは栗原さんですね。栗原委員、お願いいたします。
【栗原委員】 前回欠席いたしましてすみません。前回に当たって意見をお伝えしたことは反映させていただいておりまして、かつ、前回、皆様から出た意見が、今回このような形で入ってきたのを拝見させていただきました。まさに4のところの意義ですとか、産学官連携の産業界の役割というのが……。聞こえますか。
【林主査】 はい。聞こえますが、何ページのところをおっしゃっていますか。
【栗原委員】 ページで言うと、4-1のところ、7ページから8ページにかけて、全体としては非常に良いまとめになっていると思いました。それから、13ページ以降の4-2-3で、産業界の役割というのを今回、項目を立てて追加していただいたことは、非常に意義があると思います。
そこで、産業界についてですが、ちょっと細かいんですけども、さまざまな企業がありまして、地域の金融機関については資金供給元ということで記述されているのですが、最近は、地域金融機関に求められる役割は、ファンディングだけでなく地域人材、ナレッジ機能としての役割が求められていると感じますので、資金供給元としてという限定ではなくて、もう少し広めに地域金融機関のリソースに期待するということを書かれたらいかがかと思います。
【林主査】 ありがとうございました。いかがですか。
【山之内室長】 御趣旨は分かりました。修正させていただければと思います。
【栗原委員】 はい。あと、その下に記述されている点ですが、ここは良いと思ったところですけども、自治体は、場の提供だけではなくて、自治体自体が公共サービスや行政サービスの、まさにニーズ側になることもあるので、新規ビジネスのユーザーという観点からの役割も期待されるということを書いていただいたのは大変良いと思いました。
以上です。
【林主査】 栗原委員、ありがとうございました。
そのほかいかがでしょうか。串岡先生、御意見ありますか。
【串岡委員】 先ほどの栗原先生のところとちょうど同じ13ページについて、私も同じような問題意識を持っていまして、産業界の役割を書いていただいて、非常にいい章ができていると思うんですけれども、先ほど栗原先生からは、金融機関の役割は多様なものであるということがありましたけれども、最近、さっきお話があったように、人材供給だとか、案件の目利きとか、もう少し地元の金融機関が積極的な役割を果たされている面もありますので、その辺り、もう少し手厚く書いていただいたらどうかというのが1点と、地元の金融機関という形になっていますけれども、やっぱり地元金融機関だと、地銀だとか信金だとか信組だとか、そういうデット系の金融機関をイメージするもので、14ページのVCの話だとか、今回もVCの方もいらっしゃいますので、エクイティーを扱うような、地域金融機関や、VCというか、そういった機能についても書き加えていただいたらどうかというのが1点です。
もう1点は、社会実装先。これも自治体が担うということですけれども、私も以前、経験したんですけれども、自治法に基づいてベンチャー調達ということもやっていますけれども、そういった、自治体がまさに、随意契約でなく、こういったものを提供できる、需要するというか、そういった制度もありますので、ちょうど日本型SBIRの見直しという議論も出ていますし、地方においても、そういったベンチャー調達の新たなイノベーションを目的としたベンチャー調達とか、そういった書き口ももし可能であれば書いていただくと、もう少しこの辺りのイメージが湧くのかなと思いました。
以上です。
【林主査】 ありがとうございました。
いかがですか。
【山之内室長】 ええ。それはおっしゃるとおりだと思いますので、そのように修正して、(案)を作りたいと思います。
【林主査】 はい。ありがとうございます。ほかには。加藤百合子先生ですね。加藤先生、マイクのほうをお願いします。
【加藤(百)委員】 加藤です。いろいろ反映していただいて、ありがたいなと思って、ずっと拝見していました。私は、2か所、ちょこっとだけ、本当に気持ちだけ気になっているところがあります。
14ページで、「地域イノベーターとして地域社会に輩出していくような教学面での改革も並行して」ということで書かれているのは、すごいいいなと思うんですけど、イノベーションを生み出すスキル、ある程度プロセスみたいなものもあるんですけど、その雰囲気というのもとても大事でして、ひとつそこを言葉で、みんなで応援する雰囲気作りじゃないですけど、そういうのもどこかで書けないかなと思ったりしました。難しければ大丈夫です。
結局、何で日本がイノベーターができないかという。なかなか、特にアメリカみたいなところと比べて、じゃあ、どうなんだというときに、イノベーターというか、チャレンジャーが、比較すると非常に少ないと言っているけど、チャレンジャーをよしとしない雰囲気がありまして、変人だし、応援しても、自分たちも何かいいことが起こるのかどうか分からないしみたいな雰囲気が全体としてあるという意味で、アメリカと日本だと、イノベーションの起こし方というのは全然違うかなと思っていますので、一言だけでもいいんですけど、みんなできちっと温かく、寛容という言葉になるんですかね。前回、いっぱい寛容という言葉が出たと思いますけど、そういう雰囲気を醸成するような仕組み作りというのも、ぜひ大学からじゃないと始められないんじゃないかなと思っていまして、そういうのも加えられるとありがたいなと思います。
もう一つは、もう感想だけなんですけど、15ページで、最後、研究者に事務負担が生じることがないような制度設計と運用というのは、これはもう二重線ぐらいで御提案いただけるとうれしいなと思います。
以上です。
【林主査】 ありがとうございました。最初の御指摘はどうですかね。もう少し感情も入ったような、優しさが入ったようなという。
【山之内室長】 あれですかね。やっぱりアメリカのように、出る杭を打つみたいなところが日本はあるから、そういったものではなくて、自由にイノベーションを創出できるような場を、大学からでもいいから広げていったらどうかと、そういう感じの一言をつけ足して。
【加藤(百)委員】 そうですね。例えば、この間、会津大学の先生が、楽しんでAIをやっているところと一緒に議論したんですけど、会津大学が何でそういう学生を生み出せるかという議論になったときに、大学が24時間空いているからだというのが一つのキーワードとして出てきまして、やっぱり自由とか寛容は、イノベーションには必須で、今の大学の運用だと、土日は来るなとか、5時で電気が消えるとか、そんなことだと無理なので、そういう寛容、自由とか何かそういうのをもうちょっと言葉で散りばめていただけると、イノベーティブな雰囲気に文章もなるかなと思いました。
【山之内室長】 分かりました。ありがとうございます。
【林主査】 確かにそうですね。大変大事な、特に人に関するところで大事なところかもしれません。
【西村委員】 すみません。三重大学の西村ですけど、加藤委員の意見、物すごく好きで、三重大学はずっとやっていて、こういう言葉がいいかどうかは分からないんですけども、企業の人たちに言われたのは、やっぱりかみしもを脱いで集まれる場と言われたんですよ。あと、たまり場とかね。私は自分でゼミをやっているんですけど、これも産官学関係なしに、夜6時ぐらいからもうエンドレスで議論するというのを毎週やっていたんですよ。いまだにそれをオンラインでもやっていますけども、そういう場というのは大学しか作れないんですよね。官でも駄目だし、産業界でも駄目だし、やっぱり大学が全ての役職とかそういうのを捨てて議論する場としてはいいので、何かそういう雰囲気を私もぜひとも入れていただきたいと思いますね。
【林主査】 よろしいですか。
【山之内室長】 はい。
【林主査】 松原委員から御意見があると聞いております。松原委員、いかがでしょうか。
【松原委員】 9ページのところです。今の加藤委員や西村委員の意見とも関わるんですけれども、事務局長の話の中で、私の思いとは違う方向に動いているのが気になりました。それは何かというと、9ページのところの「地域共創の場」というのをはっきり提示したほうがいいとは言ったんですけれども、はっきりし過ぎていて、結局、①のところの、いわゆる意思決定する場という形になると、どうしても学長とか市長とかそういうトップが出てきて意思決定するといったようなニュアンスが出てきてしまう。私としては、会議体というのも大事かもしれないけれども、いろいろなレベルでの活動体と言うんですかね、それが大事だと思っています。重層的な意思決定というと、やっぱりトップがちらつくんですけれども、自治体とか大学の先生、あるいは企業の人もそうだけど、若い人ですね。課長と係長とかそういったような人たちと、大学の若手の研究者とか、若い、まだ社長にはなれないんだけど、2代目候補であるとかそういったような人たちがかなりアクティブに動いていくところが、非常にこういう「地域共創の場」としては重要かなと思うので、書きぶりを少し変えていただくのもいいかなと思います。
あと、もう一点は細かいところなんですけれども、10ページのところに多分一つだけだと思うんですけれども、赤字ではないんですけれども、地域中核大学という名前があって、分かりますかね。
【山之内室長】 第2パラグラフ、上記のところですね。
【松原委員】 これを意図的に使っているのかどうかなんですけれど、地域中核企業に引きずられているとすると、地域中核大学は何なのかというのは、話題になるかなと思いますが。
【山之内室長】 これは消し忘れのところですね。これは修正しようと思ったところを修正し忘れておりました。すみません。
【松原委員】 私からは以上です。
【林主査】 ありがとうございました。最初の点、意思決定の場というのがあまりにも出過ぎてしまっているんじゃないかという、書き方の問題ですが。
【山之内室長】 例えば意思決定とは言わない。議論する場とかそういう感じのほうが、いろんな人が入れるというイメージもあるので、いかがでしょうか。では、そういうふうに修正をさせていただこうと思います。
【林主査】 よろしいですかね。最終版みたいなものはまた委員の方には回るということですね。
栗原先生、どうぞ。御意見があれば。
【栗原委員】 今の「地域共創の場」というところなんですけど、中教審の大学分科会で、地域連携プラットフォームのガイドライン策定中とあって、産学官の議論の場となる地域連携プラットフォームというのと、ここで言う「地域共創の場」というのは同じなのか異なるのか、似ているのか似ていないのか。皆さんは、どう考えられているのでしょうか。
【山之内室長】 事務局からですが、基本的には同じというか、多分ここの中間取りまとめでやろうとしている「地域共創の場」というのは、高等教育で今、議論されているのは、地域連携プラットフォームというものなんですが、そこの一部というか、地域連携プラットフォームは教育も雇用とか全てが入っているので、ただ、科学技術に関してやろうとしているところの部分は同じでいいんじゃないのかなと思っています。
高等局ともそういう相談をしていて、目的は同じなので、分野として違いはあるかもしれないけど、ですから、共有させていただいて、考えも共有させていただいているという状況です。
【栗原委員】 そうすると、先ほど意思決定する場と限定するのはどうかというようなお話があり、活動の場であったり、共有したりする場という、もう少し広い考え方というような御趣旨のお話がありましたけど、それとこの地域連携プラットフォームの一部であるという考え方、それは整合的だということでいいですよね。
【山之内室長】 そうですね。実は、意思決定というのは我々がちょっと書き過ぎてしまったかもしません。高等局が書いているのは議論する場としてなんです。ですから、同じ議論する場でいいんじゃないのかなと、直させていただければと思っています。
【栗原委員】 議論だけか、場合によっては、そこで一緒に共同して活動する場でもいいわけですよね。
【山之内室長】 そうですね。まだガイドラインができていないんですが、(案)の段階では、取りあえず議論する場というふうに彼らも定義していたので、する場でもいいんじゃないかと思いますが。
【岸良係長】 すみません。事務局、岸良でございます。今の山之内からの発言の一部補足なんですけれど、今、高等局、中央教育審議会大学分科会で議論しているガイドラインの中においては、それぞれの情報、産学官などの地域のアクターが持っている情報とかビジョンなどを共有し、それぞれが思いを一つにできるようにいろんな議論をしていく場となっています。ガイドラインの中では、そこで何か、これをしてはいけないみたいなことというのは特に書いていないので、共有から更に進んで、地域で、産学官それぞれのアクターで合致できる一つのビジョンみたいなものも作っていくことは、むしろ奨励され、そういうことも念頭に置かれていますし、高等教育局だったりと議論する中でも、そういうことの取組が進むことは非常に歓迎されると聞いてございます。
【林主査】 栗原委員、よろしいでしょうか。はい。
すみません。次に佐宗先生が手を挙げていらっしゃいますが、佐宗先生、いかがですか。
【佐宗委員】 まず、これはオーバーオールには前回の内容を取り入れていただいて、私のほうも地域産業とグローバルという話と、あと、産の位置づけというところで結構だと思います。私の、今日の意見は非常に細かい意見なので、皆さんの御意見のような大所高所からではないかもしれませんけども、11ページから、4-2-2で、「知の拠点」としての地方大学の役割というのが2ページ半ぐらいあるんですけども、第6期の科学技術計画だと、かなり人文社会系も交えた産業イノベーションということを非常に強調されているんですけども、この2ページ半の間で、人文社会という言葉が2つ出てくるんですけども、全部、まくら言葉みたいな形で使われているだけなんですね。私の意見では、もう少しそういうところにもう力点があってもいいんじゃないかなと。3行から5行ぐらいの1段落を作るぐらいに強調しても、私は、「知の拠点」としてはいいのではないかなというのが一つの意見です。
それからもう一つは非常に細かい話で、テクニカルな話なんですけども、14ページの4-2-5の一番下の赤いところ、6月に出たガイドラインの、これは追補版の話だと思うんですけども、私もこれは産学連携をやっているので気になるので、読んでいるんですけどね。今度出されたタイムチャージであるとか、それから、知の価値というのをどういうふうに入れ込むかというところで、いろんなチョイスがあって、少し表現をガイドラインと整合が取れるように修正いただいたほうがいいかなと思います。
以上です。
【林主査】 最初の点についてはいかがですかね。人文科学の部分。実際、赤字の部分で幾つか追加はしていただいたんですが、もう少し厚いほうがよろしかったということですかね。
【山之内室長】 中身的にどういうことを書くかというところなんですけど、人社系の役割をもう少し厚くということなんでしょうか。
【佐宗委員】 そういうことなんですけれども、社会課題をまず。地域課題ですね。そこになってくると、インプリメントするときに、やはり技術を開発しても法令の話とか、もちろん経済系の話も出てきますし、それから、やっぱり文化とかそういう話もありますので、どちらにしてもあまり、それなしではイノベーションは起こらないんじゃないかなというのが今議論されているところだと思うんですよね。そういう意見です。
【山之内室長】 分かりました。ありがとうございます。今の御意見を踏まえて、修正など考えようと思います。ありがとうございます。
【林主査】 2点目はよろしいですか。ガイドラインとの話ですけど。
【山之内室長】 ええ。2点目は整合性ですよね。これは勉強が足りなかったかもしれないので、いま一度確認したいと思います。
【林主査】 ありがとうございます。
ほかに御意見等ございますか。清水先生。
【清水委員】 今の佐宗先生からあった2つ目なんですが、ちょっと意見を言わせていただくと、場合によっては、これでもいいのではないかなと思います。多分ほとんどの地方大学は、間接経費比率がまだ不十分なんですね。それを踏まえて、この地方大学については、間接比率を20を30にすることを書いていらっしゃるのではないかなと思います。
恐らく名古屋大学は、人件費の部分を間接経費の中に入れていらっしゃるので、そういう御事情もあって、深くお読みだと思うんですね。ここの部分については、間接コストの比率の適正化という言葉は残した上で、恐らく知の価値化、いわゆる直接経費の中身については抜け落ちているので、そこの部分を一言入れれば、大体新しいガイドラインには対応するのではないかなと思います。
【林主査】 ありがとうございました。
【佐宗委員】 私も清水先生のお考えに同意しました。ありがとうございます。
【林主査】 はい。ありがとうございました。よろしいですか。
【山之内室長】 了解しました。
【林主査】 そのほかに御意見等、いかがでしょうか。
それでは、委員の皆様、御意見をいろいろといただき、ありがとうございました。また、中間まとめ(案)についての追加コメント等、御意見がさらにございましたら、メール等で事務局までお伝えいただければと思います。
なお、本日の議論を含む本委員会のこれまでの議論の中間まとめ(案)への反映、及び産業連携・地域支援部会での報告内容については、主査一任とさせていただきたいと思いますが、御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【林主査】 はい。ありがとうございます。それでは、そのように、この後、対応させていただきます。
それでは、次の議題に移らせていただきます。その他でございます。今後の予定について、事務局よりお願いいたします。
【岸良係長】 事務局でございます。資料5、スケジュールを御覧いただければと思いますが、本日御議論いただきました中間まとめ(案)については、8月から9月の間で、最終的な策定、公表をさせていただきたいと考えております。
第6回以降、9月以降を現状、めどとしてございますが、具体的な日程については、また後日、日程調整の上、別途、事務局より御案内させていただきます。日程調整の連絡について、また近日中に御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
【林主査】 本日はいろいろと御活発な御議論いただき、ありがとうございました。特に御意見なければ、これで第5回目の第10期地域科学技術イノベーション推進委員会を閉会とさせていただきます。ありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

科学技術・学術政策局産業連携・地域支援課

(科学技術・学術政策局産業連携・地域支援課)