産業連携・地域支援部会(第10期)地域科学技術イノベーション推進委員会(第3回) 議事録

1.日時

令和2年6月5日(金) 15時00分から17時00分

2.場所

   アプリケーション(Zoom)によるリモート開催  

3.議題

   (1) 関係機関からのヒアリング
   (2) 自由討議
        (3) その他


4.議事録

【林主査】 皆さん、こんにちは。主査の林でございます。本日はウェブという、なかなかやりにくい形ですが、御協力をお願いいたします。
それでは、定刻になりましたので、ただいまから、科学技術・学術審議会産業連携・地域支援部会第10期地域科学技術イノベーション推進委員会を開催いたします。
本日は、新型コロナウイルス感染症対策のため、アプリケーションによるリモート開催とさせていただきます。
また、本会議は傍聴希望者にも傍聴できるように同時配信しておりますので、あらかじめ御承知ください。
本委員会の議事録及び資料につきましては、通常どおり公開とさせていただきます。
次に、配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。
【岸良係長】 それでは、事務局より本日の資料を確認させていただきます。欠落等の不備がございましたら、事務局までお知らせください。
資料1、神奈川県の提出資料、資料2、福井県の提出資料、資料3、第10期地域科学技術イノベーション推進委員会における論点整理、資料4、地域科学技術イノベーション施策について(骨子案)、資料5、第10期地域科学技術イノベーション推進委員会スケジュール、参考資料1、科学技術・学術審議会産業連携・地域支援部会第10期地域科学技術イノベーション推進委員会委員名簿、参考資料2、科学技術・学術審議会産業連携・地域支援部会地域科学技術イノベーション推進委員会運営規則、参考資料3、地域連携プラットフォーム(仮称)構築に関するガイドライン(ポイント)案。
資料、以上でございます。過不足等ございませんでしょうか。
本日、ウェブ会議及びライブ配信を円滑に行う観点から、今から申し上げる事項について御配慮いただけますとありがたく存じます。
マイクにつきましては、ハウリング等を防止する観点から、発言時以外はミュートにしていただけますようお願いいたします。
また、御発言時においては、あらかじめお名前を仰っていただきますようお願いいたします。
また、大変僭越ではございますが、各参加者の皆様のお名前の表示やミュート等について、事務局から設定を切り替えさせていただく場合があります。あらかじめ御了承いただけますと幸いです。
事務局から、以上です。
【林主査】 ありがとうございました。
主査の林でございます。それでは、議題1は、「関係機関からのヒアリング」です。本委員会運営規則第3条第2項に基づき、本日は、神奈川県より、科学技術・政策研究担当課長の中島秀和様、ヘルスケア・ニューフロンティア推進本部室最先端医療産業グループリーダーの牧野義之様、国立大学法人福井大学より産学官連携本部長の米沢晋様に御出席いただいております。
それでは、最初に、議題1の進め方について、事務局より説明をお願いいたします。
【岸良係長】 事務局でございます。
最初に神奈川県の中島様、牧野様からお二人合わせて20分程度、次に福井大学、米沢様から20分程度御発表いただきます。
それぞれの発表の後で、各20分程度質疑応答の時間を設けます。委員の皆様からの御質問、御意見をその間で頂戴したいと考えております。
以上でございます。
【林主査】 それでは、神奈川県の中島様、牧野様から20分程度で御発表をお願いいたします。御質問、御意見等については、お二人の発表終了後にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【岸良係長】 神奈川県、中島様、牧野様、お願いできますでしょうか。
【神奈川県(中島)】 神奈川県政策局科学技術・政策研究担当課長の中島と申します。
本日は、発表の機会を頂きましてありがとうございます。私から、本県の科学技術政策の取組、ヘルスケア・ニューフロンティア推進本部室の牧野から、本県の重点施策の一つ、ヘルスケア・ニューフロンティア構想の取組について紹介させていただきます。
まず最初に、神奈川県の概要です。日本の政治経済の中心地、首都圏に位置し、面積は全国で43位と狭いものの、人口は全国第2位で、首都圏4,000万人規模の活動が見込める地域となっています。活発な産業活動が行われ、製造品出荷額は約18兆円、また県内総生産は、デンマークやマレーシアなど一国の国内総生産に匹敵しています。
また、神奈川県内には理化学研究所やJAXAなど数多くの研究機関や大学があり、県内に在住する研究者、技術者、研究所など、科学技術の原動力となる知的資源の集積が全国でも上位にあり、科学技術・産業の豊富なポテンシャルを持っています。
神奈川の科学技術政策です。資料右上になりますが、昭和50年代、本県では知識集約型・技術集約型の産業構造への転換を積極的に推進してきました。その一環として、インキュベート機能を備えたかながわサイエンスパークを整備し、後ほど説明いたします神奈川科学技術アカデミーなどの第3セクターが設立されました。また、平成2年には全国に先駆けて科学技術政策大綱を策定し、平成7年に国で科学技術基本法が制定されて以降は、国の科学技術基本計画の改定などを踏まえながら、これまで5回の改定を行ってきました。現在、第6期の計画期間中となっています。
本県では、この大綱に基づき、科学技術政策の推進体制の整備や産学公の連携交流の推進、県試験研究機関の充実強化など、資料右に記載しております地域イノベーション・エコシステム形成プログラムなど、国の事業にも参画しながら、総合的・計画的に取り組んでまいりました。近年では、ライフサイエンス分野の科学技術政策の成果の社会実装施策として、ヘルスケア・ニューフロンティア構想を推進しています。
それでは、現在の科学技術政策大綱第6期の概要について説明させていただきます。第6期政策大綱の基本目標として、「経済のエンジンを回す」ことによる地域経済の活性化、県民生活の質の向上の実現、イノベーション創出を担う人材の輩出を掲げており、この地域経済の活性化、県民生活の質の向上、人材の育成の三本柱は、第1期大綱から重視する柱となっております。また、第6期の主なポイントとして、イノベーション創出に向けた取組の強化、グローバル化に向けた取組の強化などを掲げております。
それでは、イノベーション創出支援機関である地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所について説明いたします。先ほどスライド3の本県の科学技術政策の冒頭で触れましたが、1989年にかながわサイエンスパーク内に、先端的な科学技術分野における研究や人材の育成等を行う神奈川科学技術アカデミー(KAST)、中小企業を中心に試験計測や技術移転の仲介などのサービスを提供する神奈川高度技術支援財団が第3セクターとして設立されました。2005年には両者が統合され、新しいKASTとして、県の科学技術政策、さらには産業政策を具体化する総合的な産学公連携機関として、より広範な活動に取り組むようになりました。
2017年には、県の試験研究機関である神奈川県産業技術センターとKASTが統合・独法化され、地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所、通称KISTECとして設立しております。神奈川発のイノベーション創出支援機関として、基礎研究から事業化までの一貫した支援を実施するようになっております。KISTECの事業体系は、研究開発など5本の柱となっており、このうち研究事業の一つと位置づけられたプロジェクト研究は、研究シーズに着目した3段階ステージゲート方式で実施し、目的基礎研究から応用開発、事業化への展開を目指す事業となっています。
KISTECは、旧KAST時代から第5期大綱の重点研究分野に示された医療分野に取り組み、現在、県が推進するヘルスケア・ニューフロンティア構想に大きく関わっているところです。
続いて、ヘルスケア・ニューフロンティア構想について、牧野から事業の概要を説明します。
【神奈川県(牧野)】 牧野です。よろしくお願いいたします。
平成30年間の神奈川県の科学技術活動の点と、あと、私自身、平成12、13年に科学技術庁に出向したものですから、そのときの省庁横断的施策といった観点から、神奈川県で今進めている科学技術イノベーション・エコシステムの全体的な取組を説明させていただきます。
まず、神奈川の30年の活動をざくっと言いますと、平成の当初に、東京の神奈川の結節点となる武蔵溝ノ口、こちらにアジアで初めてとなるかながわサイエンスパークを新設いたしました。このかながわサイエンスパークの中に、先ほど中島が説明したKAST、KTF、KSTと、3つの科学技術・産業系の財団、民間企業を作ってきたというのが大きな特徴です。
昨今6年間は、東京国際空港の手元にある殿町というところで、特にライフサイエンスの科学技術活動を強化してきているというところであります。特に、再生・細胞医療に特化したインキュベート施設として、ライフイノベーションセンターといった活動を展開しています。
昨年度から、大企業のポテンシャルを活用したサイエンスパークということで、大船駅と藤沢駅のちょうど間にある武田薬品の湘南研究所、こちらを民間主導のオープンイノベーションという形で、神奈川県のほうも連携をしてサイエンスパークをしてきたというところでございます。
私がいますヘルスケア・ニューフロンティア推進本部室ですけれども、科学技術政策と産業政策と保健医療政策を融合した、50名程度の知事直轄の部隊でございます。こちらのほうで様々な異分野融合のプロジェクトを推進するとともに、科学技術活動の社会実装と個々人の行動変容、こういったもので新産業と健康寿命の延伸を求めていくというものでございます。
その中の原動力としまして、神奈川として、サイエンスパークを中心とした、誰もが自由に参画できる地域主導のオープンイノベーション、この取組を進めております。コアとしましては、先ほどのかながわサイエンスパーク、殿町、湘南アイパーク、この3のサイエンスパークに、また特徴ある戦略エリアとして、京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区、県の中央のさがみロボット特区、県の西部の未病戦略エリア、この3つのエリアの特色を持ちながら、県全域を国家戦略特区という形で、科学技術を使った新しい社会を創造するための取組をしてきているというところです。
また、科学技術庁時代の政策からの我々の認識として、従来、「地方科学技術振興」と言われている中で、平成7年の科学技術基本法で「地域科学技術振興」と言われた。この地域科学技術振興が、自治体が、将来を見据えた「公」の仕事の挑戦ビジョンとして非常に重要であると。特に、長年活動している中で、合目的な区域、いわゆるグローバル・プラス・ローカルの視点を持って科学技術を進めていくということを重要視しております。
また、科技庁時代の政策から学べるところとしまして、3つほど事例を紹介したいと思います。
1つは地域研究開発促進拠点支援事業。特に、日本で初めてコーディネータを提唱して、人を雇用した事業であるということと、可能性試験数百万円、現場自由裁量で採択してきたと。このことによって、地域にいろんなシーズが発掘され成長されてきたというところかと思っています。
また、地域先導研究。これは省庁横断的な科技庁という特性を活かして、大学・公設試・企業等に自由に制限なく再委託をして、例えば香川の希少糖ですとか、神奈川県ですと相模湖のアオコ対策、こういった課題解決に企業の力も活用していったという事例でございます。
また、地域結集型共同研究事業。先ほどのサイエンスパーク等に、大学の様々な知恵を結集して、そこをコアにして地域のイノベーションを起こしていく。これが知的クラスター等につながっていったというところだと思っております。
神奈川県の総合的な科学技術イノベーションということで、この7本の柱に現在取り組んでおります。我々の認識としまして、やはり日本では産学連携だけではなくて、「公」の自治体が役割を担うということが非常に重要だということで、今、大学・企業の皆様と一緒にやってきているところでございます。
取組の1つ目としましては、首都圏の有望な研究シーズを地域で育てるということで、先ほど中島が紹介したKISTECの3段階ステージゲート方式の研究活動の前後の、より早いアーリーステージのシーズ発掘、こういったものもやりながら、いいシーズが出てくれば、国のプロジェクトとマッチングして、ベンチャー企業化等をしていく、こういった活動を毎年10課題程度、いろんなテーマで推進しております。
具体のテーマとして、今の地域イノベーション・エコシステムで、貼るだけで自律型の次世代人工膵臓、これは東京医科歯科大学の先生の技術でございます。また、再生毛髪の大量調製、これは横浜国大の先生の技術、こういった技術をKISTECが5年から10年スパンで事業化を図っていくと、こういった取組を進めているところでございます。
また、2つ目としまして、独創的な骨太基礎研究を異分野で幅を広げていくということで、代表例としまして、慶應の神経再生の骨太基礎研究成果を軸に、ロボティクスと再生医療の評価を一体的に展開するといった活動を推進しております。
また、こういった事例を成功事例としまして、さらに横にスライド展開しまして、「神経・運動系」、具体的なターゲットとしては「動ける、歩ける」といったところのテーマに焦点を当てて、再生医療の実用化を進めるとともに、品質評価を同時でやりつつ、また科学的リハビリとしては、ロボットスーツHAL等、共同研究を推進していく、こういった取組を進めているところでございます。
こういった取組を通じて、我々の1つの目標としては、殿町ライフイノベーションセンターを軸に、再生細胞医療の全体のバリューチェーンモデルを構築していきたいと考えているところです。
また、取組の3番目としまして、我々、地域でいろいろなプロジェクトをやっている中で、どういったところにターゲットを当てていくかということをかなり考えてきている中で、例えば、1つの事例として、光触媒。これは以前、どちらかというと技術開発をずっとKASTのプロジェクトでやってきました。いろんなKASTのプロジェクトで光触媒をやる中で、ある程度実用に進んでいた後に、我々としては、研究開発から事業化のフェーズを超えて、この技術を標準化に持っていくと。これは経産省の事業を通じて、KASTのほうで当時大きな役割を果たしまして、また現在は、いろんな企業の製品の評価を行う技術センター、こういった活動を20年以上かけてやってきているところでございます。ですから、我々としては、研究開発の技術開発だけではなくて、製品をしっかりと位置づける評価法を開発して、それを企業さんに使っていただくという活動も、現在、柱の一本としているところでございます。
昨今の事例としまして、機能性食品から腸内細菌といったところで、例えば、動物試験からヒト試験のトータルの組合せをする中で、腸内細菌のところのテーマをやっていく、こういった取組も現在構築中というところでございます。
また、公民協働による設備共同利用・レンタルラボということで、特にライフサイエンスの分野は、自治体の公設支援研究機関等の支援基盤が非常に脆弱なところがございますので、こういったところについては、民間のレンタルラボ、例えば、高度な解析・分析器の共同利用、または人材育成、こういったものを民間企業と協定を結びながら推進をしてきているというところでございます。
また、ヘルスケアの分野ですと、やはりデータとコホート関係という取組も重要ということで、慶應義塾と連携しながら、こういった取組を推進したりということですとか、または東北大学のメディカル・メガバンク、こちらのほうの遠隔セキュリティエリアを平成29年5月に設置して、現在、ヘルスケア分野で様々な利活用を図っているというところでございます。
また、人材育成としましては、最先端のイノベーション人材の育成ということで、公衆衛生学を基盤としたデータサイエンス、アントレプレナー人材の育成ということで、昨年の4月から殿町のほうで、神奈川県立保健福祉大学のヘルスイノベーション研究科、大学院を開設したというところでございます。
また、行政が連携・協働する科学技術の社会実装活動ということで、これは県のほうで、少額ではございますが出資をしまして、民間と連携してファンドを立ち上げています。このファンド自体は12.5億円程度ですので、規模としては決して多くありませんけれども、対象として、社会的課題解決に寄与するベンチャー企業を支援していく。また、その活動意義を可視化しながら、その社会的インパクト評価を評価してモニタリングする仕組みを構築しながらファンドを運営しているというものでございます。
また、グローカルの展開も非常に重要だという考えで、地域の結集力、いわゆるローカルの力を結集する中でグローバル展開するということで、知事がいろんな地域にトップセールスしてきているネットワークを生かしながら、交流から連携、それでグローバルに展開していくといった活動を神奈川として推進ということで進めているところでございます。
また、昨今の事例としまして、5年前に課題設定として、潜在化ニーズを捉えたプロジェクトとして、今回のオリンピックをにらんで、外来感染症が非常に重要となるというところで、5年ぐらい前から少しプロジェクトを推進してきております。今回の新型コロナウイルスの状況もありましたので、理化学研究所のスマートアンプ法、これを利用した迅速検査法というものをちょうど今年の2月に成果発表したところでございまして、現在、文部科学省の補正予算も頂いて、この社会実装活動を神奈川県の職員も一緒になって進めているというところでございます。
以上のような活動を通じて、我々の科学技術イノベーション・エコシステムの総括としまして、3点ほど申し上げたいと思っております。
1つ目が、行政区域に固執せずにグローカルにやっていくと。グローバル性も必要ですし、しっかりと地域に地に足を着いてというところも必要ということで、我々は常にこの視点を重要にしてやっております。
また2つ目としまして、顕在化しているニーズは、これは民間でやれますので、我々がやるべきところとしては、将来の価値を生む潜在的ニーズ、これをしっかりと創出して育成するという取組を進めております。
最後に、長年、神奈川県、科学技術を自らやっている中で、科学技術イノベーションは10年スパン以上の時間のかかる挑戦であると。これを推進するのに必要なものは、やっぱり揺るがない断固たる覚悟ということで、イノベーションの本質は、いろんなやり方の仕組みはありますけれども、一番重要なのは、やっぱり「辛抱・初志貫徹」であるというふうな認識の下、豊かな土壌を耕し、新しい種を植え、育てた苗を大木にしていきたい、そういった志で神奈川県としてやっているところでございます。
説明は、以上でございます。
【林主査】 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御発表についての質問、御意見等を頂ければと思います。発言のある方は、ミュートを解除して発言をお願いいたします。お名前を最初にお願いいたします。
最初に発言がある前に、私のほうから幾つか質問させていただきます。
神奈川は、私も東京に住んでいるので、比較的近いところですので、活動もいろいろ機会あるごとに聞かせていただいていますので違和感は全然ないんですが、改めてまとめて聞かせていただけると、かなりな部分やっていただいているんだなと感じました。
特に、経済的な効果と、それから、生活の質を向上すると同時に、人材育成、特にイノベーションに関してプロデューサー活動ができる、企画ができるような人材育成。そこまでやっていらっしゃるというところまでの包括的なアプローチというのは非常に印象に残ったんですね。さすが神奈川県という、首都圏の一部を構成する基盤のある自治体という活動かなと思いました。
ただ、神奈川県の立場から、逆に、首都に近過ぎる、東京という、言わば日本のセンターに近過ぎるというような、何らかのやりにくさみたいなものはあるんですか。それとも、逆に、そんなことは全然なくて、もう東京を凌駕するような形で、積極的にイケイケなのか。ここら辺、ちょっと聞かせていただけると。
【神奈川県(牧野)】 後のほうの話からしますと、やっぱり東京圏と一体に、全体のポテンシャリティが使えるという意味では、非常に恵まれた地域であると思っております。
ただ、片一方で、長年やってきてやっぱり悩むところは、例えば、何かのテーマを絞って、まとまって全体でやっていくというふうになったときに、逆に、東京も含めて、神奈川側から見てきますと、いろんな分野があるがために、その地域でまとまって集中して何かやっていくというコンセンサスを取っていくことが非常に難しい地域であると。これは多分、逆に地方の自治体からすると、それはぜいたくだというところはあるんですけれども、長年やっていて、やはりそういうところは結構独自な難しさかなと感じているところです。
【林主査】 ありがとうございました。
委員の方々から御質問、コメント等ございますでしょうか。
【清水委員】
改めて、今、牧野様からのお話の中に、哲学も含めて、感銘を受けました。潜在的ニーズを育てて、それに対してしっかりやっていくということで、非常に感銘を受けたわけですが。
1つだけ質問してもよろしいでしょうか。7ページのところなんですが、通常、県の施策というと、地元の中小を中心にしがちだと思うんですね。一方、先ほど湘南アイパークですか、武田薬品を含めて覚書を交わしたと。この中で、神奈川県は何を彼らに期待し、武田薬品は何をするということになったのか。そのために、どういう利害を絡めたのか。神奈川県が武田薬品に資金提供をした、あるいは土地を貸した、あるいは建物を提供した。武田薬品は、地元の企業や大学に対して何らかのメリットを与えるようなことを覚書に書いたと思うんですね。実際、その内容と、あと、現実どういったことをされているのか。もしありましたら、お話をお伺いしたいと思います。
【神奈川県(牧野)】 分かりました。
武田薬品との関係は古い歴史がございまして、もともと今回の湘南アイパークがありますところに工場があったところでございます。平成10年代にその工場を閉めて、要は、武田として、日本の中でどこを研究所にするかということを検討している中で、当時、神奈川県も松沢前知事が大きな政策転換して、それまで大企業への直接投資というのはあまりしていなかったのですが、やっぱりこのタイミングで、国内で研究開発の力を持つ人があるということで、インベスト神奈川という、大企業に投資を入れる、かなり思い切った政策を行いました。
武田薬品の湘南研究所につきましては、このインベスト神奈川の最後の大型案件ということで、当時、いくつかの地域との誘致合戦がありましたが、この恵まれた研究ポテンシャリティに武田薬品自身が魅力を感じていただき、神奈川に進出をしてくれたということで、2011年から武田の研究所という形でまず開所をしてきております。
ちょうど震災の前に開所したわけですが、その後、武田薬品のほうがかなりグローバルな再編がある中で、この研究所自身は3,000人ぐらいが活動できるところになりますけれども、実際には、半分ぐらいが稼働という形で、施設の半分以上が、表現は少し悪いですけれども、少し遊休化、余裕がある状態であったというところでございます。
武田薬品の戦略は、もうグローバルにやるということで明確でしたので、そこで我々と武田薬品とで、県も先行投資した武田薬品湘南研究所の施設と設備をどういうふうに利活用するかということでかなり議論をして、最終的には、製薬会社のオープンイノベーション化の活動をどうするかということも含めて、武田薬品の研究所の半分以上の施設スペースを外部に開放利用するということで、平成30年の4月に県と武田とで覚書を締結して、そういった活動を提携してきているというところでございます。
ただ、ここ一、二年のところにつきましては、県のほうで、湘南アイパークに直接資金支援をしたことはほとんどなくて、我々が一緒に誘致活動をしたり、あと、例えば様々なテクノロジーを実用化するときに、社会実装するための規制緩和等で、神奈川県として、むしろ行政の社会実装活動で連携しているというところで、現在パートナーを結んでいるところでございます。
以上です。
【清水委員】 ありがとうございました。
非常に先駆的で、面白い活動だということが分かりました。ありがとうございます。
【林主査】 ありがとうございました。
続きまして、加藤先生、よろしいですか。
【加藤(由)委員】 ありがとうございます。加藤由紀子でございます。
今、牧野様から神奈川県の取組ということで、特に神奈川県、殿町でのライフサイエンスの科学技術の活動ですとか、今お話あった武田薬品のアイパークですとか、良い事例が非常にあるというところで見ているところなんですけれども。お話を伺いまして、やはり30年といった長い時間をかけての科学技術政策の、そこを推進されてきたということを非常によく理解できました。
そこで、御質問は、とはいえ、10年以上の長いスパンで初志貫徹、ぶれないということが重要だというお話だったんですけれども、県のほうですとか、KISTECのところですね。例えば、人事異動ですとか、そういったところで、なかなか政策の一貫性を保つというところが難しいところが体制としてあるのではないかと思うんですが、そこでの何か特別な工夫とか取組というのはあるんでしょうか。これは御質問したい点です。
【神奈川県(牧野)】 1つは、県の人事異動は多少ありますけれども、KISTECの職員は、基本的には産学連携のプロパー人材がかなりそろっています。ですから、KISTEC自身は、この30年にわたって神奈川県の産学連携を推進する、いわゆる現役世代の人材としてやってきているというのが大きな特徴です。
ですから、昨今の新規職員を見ても、例えば、理研とかで研究してきた人たちがサポートするほうに回りたいといったときにKISTECの職員になって、そこから10年、20年、産学連携の支援をする。これがやっぱり神奈川県の強みの一つだろうと思っております。
もう一つ、行政の立場になりますと、やはり先ほど中島が紹介した5年で大綱を改定する中で、しっかりとそれを持続的にやっていくというところの一貫性と、あと、文部科学省の地域室の出向というのも長年やっていますけれども、そういった出向した人材を神奈川県の科学技術の現場で5年から10年スパンで活躍していただくというふうな形で、人材の育成は図っているというところでございます。
【加藤(由)委員】 ありがとうございます。
そうしますと、KISTECの方は、やはり新規の技術の社会実装ですとか、そういったところで御経験があったり知見がある方が長年取り組まれているという体制になっていらっしゃるということなんですね。
【神奈川県(牧野)】 そうですね。はい。
【加藤(由)委員】 分かりました。ありがとうございます。
【林主査】 ありがとうございました。
今の御質問に関して、中島さん、牧野さんに確認したいんですが。実は、地方自治体は、政権が変わったり、知事が変わったりすると、やはり政策も変更になり、特に神奈川県のように多額の予算をこういったイノベーションに割いている場合、何らかの影響が出るのではないかなと思うんですけれども、その点どのように対策というか、対応されているでしょうか。
【神奈川県(牧野)】 影響はやっぱりありまして、神奈川の科学技術政策は、4代前の長洲知事のときに始めた活動で、当時から多額の予算をやってきたというところは継承してございます。
その後、平成10年前後に、財務省から来た岡崎知事になったときに、県の緊急財政対策もあって、予算を半額程度にしたといった時代もございます。
松沢知事のときには、産業政策、先ほどのインベスト神奈川に力を入れている。今の黒岩知事は、ライフサイエンスのヘルスケア・ニューフロンティアに力を入れているということで、やっぱりその時々で、トップによって分野は当然変わってくる部分ですとか、いろんな内容が変わっているところはあります。
ただ、トップがいろいろ代わる中で、我々、県職員が県政としてどういうふうな手段、施策を講じていくかというところで、科学技術の活動、また先ほど申し上げたKISTECのイノベーション人材の持続的な活動を、要はトップの政策のトレンドとうまく整合性を取って一貫性のある取組を実施していくというところを我々は常にやっていまして、その中で、現在、30年間、一定程度、推進してきているというところは保てているのかなと考えています。
【林主査】 ありがとうございました。大変参考になるコメントだと思います。
そのほかに、コメント、意見等、御質問とかは。
【栗原委員】 よろしいでしょうか。
【林主査】 栗原さん、どうぞ、お願いします。
【栗原委員】 栗原と申します。御説明ありがとうございました。
神奈川県の取組について、研究開発も含めた企業集積があること、それから、何よりも現知事によるトップのメッセージというか、リーダーシップが非常に感じられまして、その辺が強いとは思っていたのですが、今日の御説明の中で、自治体の立場でいろいろな取組を肉付けされていることがよく分かりました。ありがとうございます。
それで、1点、県の住民の方々が、こういうことをやっていることについて、どのようにメリットを享受するような取組があるのでしょうか。企業・産業ではなくて、住民に対してということなんですが。ヘルスケアの場合は、健康ということで、住民を巻き込んで実行する事がありますが、神奈川県のあるところで、予防対策について、地域実証をやろうと思ったら、自治体の協力が得られず、住民巻き込んだり、データ収集ができなかったという事例がありました。その辺も、もう一歩、神奈川県の中で先進的な取組がある事を期待します。一番できる自治体ではないかと思いますので。そういう観点で、県民を巻き込んだ社会実装いうことで何か取り組んでいらっしゃること、あるいは今後取り組もうとされていることがあれば教えてください。
【神奈川県(牧野)】 恐らく、今まさしくおっしゃったテクノロジー開発をいろいろ進めているというのが多分神奈川の強みだと思うんですけれども、それを県民にどう届けるかというところが非常に課題だというのは、おっしゃるとおりです。
現知事は、未病という考え方で、県民の行動変容というところに関して強いメッセージを出している。これも施策の特徴の一つですが、我々の今課されている大きな課題は、やっぱり首都圏で最先端の科学技術を現場でいろいろ活用して、住民と一緒になった社会実装していくというふうな仕組みが非常に重要だと思っています。
そういう意味では、我々、この慶應の取組は先行的にやっているのですが、今後は、慶應義塾と東海大学と県立保健福祉大学が連携して、首都圏でいわゆるテクノロジーの介入実証コホートのような、いわゆるプラットフォームを作っていくことが必要であるということで、ちょうど昨年度ぐらいから、これをチーム化して、今後具体化をしていかなければいけないと考えています。
ですから、今おっしゃっていただいた課題を我々として認識して、これから具体化を図っていかなければいけないと、そんな状況でございます。
【栗原委員】 ありがとうございます。
取組に期待しますのと、あと、この中に入っているデータの利活用というところは、かなり戦略的にやっていかなければいけない分野だと思いますので、是非こういった取組を継続し、より活発化させていただくことを期待します。ありがとうございます。
【神奈川県(牧野)】 ありがとうございます。
【林主査】 ありがとうございました。
確かにそうですね。県民の支持を維持し続けるというのは非常に大事で、そのためのコミュニケーション能力というか、広報能力あたりも、何かイノベーションの一つの活動になるのではないかと私なんかは思ってしまうんですね。
時間もそろそろ参りましたが、そのほかに御質問等は。
【西村委員】 すみません、三重大学の西村ですけれども、お伺いしたいことがあって、よろしいですか。
大変すばらしい内容で、私たちは、逆に言うと、地方大学でやると地域で固まってしまうのが一つなので、神奈川さんの場合には、逆に、ここも国家の代表としていこうという感じもちょっと見られるんですね。特に研究テーマなんていうのは、国の最先端のことをやることになる。
となるときに、もう一つ問題になってくるのは、今度は国際展開も含めて、これは神奈川県が主導してやらなければいけないことになる可能性があるんですね。私たちも、海外へいろんな展開をしていくときに、国家レベルでの付き合い方と県レベルの付き合い方になると、やはりそこでのギャップが出てくる。でも、やっているテーマがこの内容だとすると、世界の集積地帯みたいなのを作ろうとしたときに、そこのところが県でできることの範囲というのが、逆に何か支障がないのかなと思ったんですよ。
例えば、国からは、この部分に関しては特区になっているんだったら、もう県のほうでここまでさせてくれと。逆に言うと、そういうことをやるために、県のほうとして国際展開というか、海外との誘致も含めて、トップレベルのものを作っていくということに対して、どういう戦略を県のレベルでできるのか。これは逆に今後ちょっと問題になってくるというか、何となく気になる点なんですよ。ぜひとも、こういうのが、国を代表するのが神奈川県から出ていただくと非常に面白いと思うので、その国際化についての御見解というか、少し詳しく教えていただければと思って御質問させていただきました。よろしくお願いします。
【神奈川県(牧野)】 知事がいろいろ海外に行って多くの覚書を締結したのですが、本当にどの地域とどんな取組をするかという具体化のところに関しては、やっぱり我々、地方自治体としての限界もあるので、そこは今、非常に悩みながら推進をしているというのが正直なところです。
その中で、幾つか戦略として明らかなのは、県としては、未病という独自のコンセプトを出しているというところは非常に強いメッセージを出していまして、そのところでWHOですとかインド、ここら辺とは、今、未病を軸にいろんな連携をしているところでございます。
また、最先端の再生医療ですとか医療機器関係、そういったところになりますと、やっぱりアメリカの市場は非常に重要ですので、スタンフォードですとか、あとシンガポールとか、そこら辺の連携は、最先端医療系ではかなり推進をしているところです。
だから、もう全ての分野で各国とやるということは難しいところはあるので、我々がやっぱり強みにできるところ、そこが相手方から必要とされているところ、効果的なところというところにターゲットを絞りながら、現在、このグローバル展開というところを徐々に進めている。正直なところは、そんなところでございます。
【西村委員】 どうもありがとうございました。大変参考になりました。
【林主査】 ありがとうございました。
そうしますと、ちょうど時間を過ぎてまいりましたので、ここで終わりとさせていただきたいと思います。中島さん、牧野さん、本当にありがとうございました。大変参考になりました。
それでは、続いて、福井大学の米沢様から20分程度で御発表をお願いしたいと思います。御準備をお願いいたします。
【福井大学(米沢)】 福井大学の米沢です。よろしくお願いいたします。
それでは、早速始めさせていただきます。今お手元のほうにお届けさせていただいています資料なんですけれども、この資料のほう、スライドで言うと40枚ほどございまして、半分ぐらいは参考にということで御覧いただくようなものにさせていただきつつ、ちょっと絞ってお話をさせていただきたいと思います。
今ほどの神奈川県様のお話の内容がすごく多様で、ものすごく規模が大きくて活発な取組を御紹介されたのをずっと伺っておりまして、何か帰りたいって・・・今こっちにいるので帰れないんですけど、私の方はその対極で、すごく地方大学のお悩み相談みたいになりそうな感じがしていますが、それはそれで、そういう立場でしゃべらせていただこうということで、御勘弁いただきたいと思っております。
地域としてなんですけれども、人口でいきますと、福井地域、あるいは福井県でくくるのがいいのかどうか分からないんですけれども、神奈川県さんでいきますと、多分、相模原市ぐらいの大きさで全県なんですね。我々の場合は。そういう人口密度の低いところのお話だというふうにお聞きください。
福井の場合には、中小企業、特にものづくり系の中小企業、中間財を作っている中小企業が非常に多いということで、これは県のホームページなんですけれども、「実は福井」の技というのホームページがありまして、ユニークな、オンリーワン、ナンバーワンの製品あるいはサービスを創出している企業はたくさんあります。「実は」と言わなければ分からないんだなというのが、ここがミソだと思うんですけれども、そういう地域の話だというふうにお聞きください。
こちらの図は、産学官連携本部の我々のところの組織なんですけれども、そういうサイズ感ですので、私のところの組織は、ちょっと小さい字になってしまっていますけれども、知的財産部、それから、計測・技術支援と書いていますが、これは機器分析センターになります。機器の共用化なんかをやっているところ。それから、産業人材育成と書かせていただいているのは、これは旧のVBLになります。こういったものが全て産学官連携本部の中に部として統一される形で運用させていただいているということなので、その規模感というか、タイト感というのをちょっと念頭に置いていただきたいと思います。
本日は、御紹介申し上げたい内容というのを3つほどに分けてお示しします。細かい字で書いてあるのは自分のメモというか、これ、あんまり書き過ぎると後でいろんなところから怒られるんですけれども、箸休めに御覧ください。最初、まず我々がやってきた共同研究に関する現実、どんな感じなのかということ。それから、その中でちょっと気づいてきたこと、その後、今やろうとしていることという順で、御説明申し上げたいと思っています。
この辺は、外部資金の導入の金額なので、後で御覧ください。大学の関係者の方が御覧いただくと、そんな小さいのという感じの金額、規模感になっておりますので、こういった中での活動です。
左上に文京と書いておりますが、これは工学部分という意味です。工学部のところの規模感がこんな感じということになります。
これは共同研究の件数の規模感もこれで、赤のほうが受託研究の規模感ということですので、こんな形の規模感のところの組織です。
それから、企業としては、これは我々、産学官連携本部の協力会の企業さんということで経済同友会さんとの話の中で常に対話をさせていただいているんですが、それは大体200社ぐらいの方々と対話をさせていただいている、このくらいの規模感のソサエティ、コミュニティになります。
これは、このグラフとかその図よりも字が小さいんですが、左下のほうに1件当たりの平均の共同研究費、金額の規模感が書いてございますけれども、100万ぐらいしかない。これは全国の平均からしましても半分以下ということになりますから、これを何とかしたいですよねという資料を学内で作ったときのものなんですけれども、何とかこういったk課題を解決していきたいということを考えて活動しているという、その規模感の中でのお話です。
地域共同研究センターというのは、平成4年に我々のところは設置された形になっております。そこから、現在、産学官連携本部まで改組されてきているわけなんですが、この中で、これは縦の資料で3枚のスライドに分割しておりますので、ちょっと見にくくて申し訳ないんですけれども、細かい内容で一つ一つということではなくて、本日お話の中で一番見ていただきたいなと思っておりますのは、この辺りの事業内容もありますけれども、この点線ですね。この点線で書かせていただいているところがどこへ行っているかということを見ていただきたいのですが、例えば、文科省事業として産地課さんのほうでお世話になっておりました都市エリア事業からも点線が出ているんですが、これはどこへ行っているかといいますと、そこで出てきた成果というのを、個別のものであれば、例えばサポイン事業という経済産業省の個々の企業が主導する事業に行っています。あるいは、成果の状況如何ですが、グループを組んでNEDO事業に行ってみたり、もうちょっとインキュベートするものに関しては、スーパークラスター、JSTを経てさらにNEDOへ行くというような形になっております。ですので、この省庁間連携のところでは、シーズを生み出して、磨いて、企業に渡す、渡して渡し切りではなくて、一緒に研究して、さらに事業化へ持っていくという部分というのを、こういった形の流れでやってきたということになります。それに付随して人材育成が出てくる、あるいは施設整備が出てくるという形になっていて、これは多分どこの地域も同じだと思うんですけれども、特にサポーティングインダストリーの多い我々の地域のようなところですと、こうした形でずっと進めてきております。
現状、その仕組みというのを福井県のほうで、自治体のほうで中心になって、物理的な場所としては、工業技術センターの中に事務局を置いている形にはなっていますが、ふくいオープンイノベーション推進機構というのを作りまして、福井大学もここにコミットします。企画会議という名前のところでは、どこの企業の次の戦略というのをどういうふうに提案するかという、企業に対して学官が連携して研究開発戦略を提案をするような内容も含めて作戦会議をするような、そういったような仕組みが出来上がってきています。これは、ある意味で規模がすごく小さいからこそできるのかなとは思っているところなんですけれども、そこまで踏み込んでいいのかというところまで踏み込ませていただいているという現状がございます。
今のようなところでずっと見てきますと、我々の地域に関しましては、この図は、いろんなところで遊んでみていた結果なんですけれども、SWOT分析のようなものです。そんな大層なものではありません。我々の地域としては、地域の中で非常にタイトに連携する体制というのは、信頼関係という意味でできてきている。誰がどこで何をしているかというのは大体分かるということが、地域の中ではあります。
それと、もう一つの強みの方ですが、これは福井というところに独特なものなんですけれども、先ほど申し上げましたように、中間財ではあるんですが、オンリーワンあるいはナンバーワンという、本当に特化したような製品、サービスといったものを作り出している企業がたくさんございます。社長率ナンバーワンというのをどこかでお聞きになられたかもしれませんが、福井は社長が多いというのは、中小企業が多いという逆の意味もあるんだと思います。そういった地域ですので、こうした強みを持っているということになります。
それから、プラス要素、縦に行きますと、最近になりまして、やはりそういったものをグローバルなところから直接的な要求が、ECも、越境ECも含めてですけど、入ってくるということになりまして、ローカルながらユニークなものづくりを行っている中小企業にとっては、これは今チャンスになっている部分です。逆に、こういったところで最終製品を持っていないということで、どうしても付加価値というのを取れるようなものを作っていけていないというのは、地域の産業構造、産学連携の中でもかなり悩みになってきています。
ですから、我々が産学連携をやって事業化に結び付けようとした場合、地域の企業において事業化になっても、その次の企業が最終製品を持っていますので、なかなかその投資を回収するところというのが難しいということになってしまいます。これはもうよくある話なんですけれども、そういう「いいもの」を作っているし、まじめに作っているし・・、だけど市場がなくなっちゃったら意味がないですよねということは往々にしてありますもので、常に恐れているところです。
そういったようなことで、個別の共同研究、あるいはプロジェクトを進め、経済産業省あるいは文部科学省系列のそういう事業を、自治体として、企業を巻き込んで一緒にやるといった中から、いろいろな成果、あるいは事業化の経験をさせていただいてきたところです。次の話は、ぶっちゃけた話の失敗例になります。
これ、知財バンク、これを考えたのは実は十何年前です。我々のところには承認TLOという形のものが規模感的にはございませんので、地域で一緒になって、発明協会さんとかと相談しながら、知財、特に共同研究をやって、それを持続的にしようとすると、知財の管理、それからの収入というのが必要だという話になり、この仕組みへの挑戦をしたんですけれども、その中で、知財、特に大学の知財というのは内容がばらばらで、権利範囲が小さかったり、あるいは群になっていないということがありますので、その群化するために、知財バンクという形で、知財を出してもらって、使いたい人に使ってもらってというふうな仕掛けを考えました。小さくて単独では使いきれない、あるいは群化されていないので実施する際には権利範囲が不足・不安といった状況の知財を預けたら利息が返ってくるみたいな、そんな形のものを作ろうということで、最初、結構企業の方々とも話をし、立ち上がりかかったのですが、実はそのタイミングで、JSTさんのほうで同じようなことをやっていただけました。ですので、単独でやるよりいいだろうということで、JSTさんにお願いをして、ということをしたんですが、結果としては「バンク」の仕組みはやはり回らなかったです。
回らなくても、現在も諦めてはないんですけれども、現状どうしていいか分からないという状態になっていることも事実です。この辺りは、実は、このときは特に金融機関との関係性がまだ薄かったかなという反省をしておりますので、もうちょっとその辺の体制を作り直さなければいけないのかなと思っているところです。これは実は重要なことではないかなと思っています。
その幾つか、これは私個人の共同研究、あるいはプロジェクトなんかをやらせていただいた事例になります。スライドには具体的な企業名も書かせていただいています。
一番上のストリームのところは、ずっと、もうこれは10年来、定常的に共同研究をさせていただいているケースですけれども、そういった方々の場合には、どちらかというと、ふだんの会話がよくありまして、何かテーマを決めてというのではなくて、ふだんの会話の中からどんどんテーマが出てくるので、どんどん味見実験をして、使えそうなやつはどんどん事業化していくというような流れなので、全体として定常的にはなっているんですが、これだと実は見えにくいことがあります。
何かというと、2段目のところの、この辺りに時間が書いてあるんですけれども、最初に技術の相談があってから共同研究が始まる形、この中で関西電力さんは大きな企業ですけれども、特に、地方の小さな企業さんと話をすると、最初にその状況を把握するのに1年ぐらいかかってしまいます。その後、課題を決めていく、本当にどういうふうな研究をするのかというのに、やっぱり1年ぐらいかかってしまう。その後、味見実験をして、課題をここでもう一回ちゃんと設定して、共同研究するということですので、年単位でここまで行くのにかかるという時間がかかっています。
さらに、共同研究から事業化まで行くのに、これはNISTEPさんなんかがいろいろと研究されていますけれど、大学でシーズが生まれたとして、そういうシーズが事業化へ行くのに大体どうやっても10年ぐらいかかるという結果が出ておりまして、それは我々も実感しているところです。
ちょっとでも事業化へ行くまでに早かった例というのはどこかにないかなと思って探したんですけれども、例えばこれ、今ちょうど福井県が県民衛星事業ということで進めているものです。小型の人工衛星の製造地域に福井をしようということで、福井県の技術研究組合、これは企業さんが本当にお金を出して組合を作られているんですけれども、こういったものを組織して進められています。この中では、東京大学、中須賀先生のところから人材を福井大学に持ってくる、その作戦なんかも自治体と一緒にやるというようなことをやりまして、既にちょっと製品が売れかかっているというところまできているところです。これは、実はいつ頃こういったことを夢見ていたかというと、スライドの左上に書いてありまうが、4年前ぐらいにこの絵を描いていました。この絵を描くまでに1年ぐらいありますから、五、六年で現状のところまで来ています。ちょっとものが売れ始めているのかな、あるいは、いろんなところにアピールはできたかなという状況にあるのですが、これは、ニーズというものをはっきりして、産業界が動き始めたところにシンクロしていて、進めた結果で、この例であれば10年はかかっていません。しかしこれ以外ですと、大学にもしも純粋にシーズが出てきたものを事業化へ持っていくということをすると、やはり10年はかかっているという状況ですから、どのステージから始まっているかというのはよく見ておかないといけないというのを、やはり実感しているところです。
今の話を踏まえていきますと、先ほどのSWOTのこちら側ですけれども、それだったら我々はどうしたらいいのかということで、欠けているものは何かということですから、地方であれば、やはり最後、本当に市場に出してお金を稼いでくるところを分かっている人に、地域の企業とのつなぎのところをやってもらわなければいけないから、それは自由に動ける仕組みを作らなければいけないということになります。
もうちょっと言いますと、こんなものがあったらいいのになというところ、あるいは企業としてこういうものを作りたいな、社会としてこれは望まれているから、そういうのを解決していこうよというところからスタートするということをすると、先ほどの10年というスコアをちょっとでも短くできるかな、あるいは持続的にできるかなということを考えまして、こういう組織を学内に作ってきたということになります。
今のようなところ、立ちはだかる壁と書かせていただいたのは、現実的には、「時間」というのが一番大きいのかなと思っています。
そういうことの中で、どんな挑戦をしているか。今ほど申し上げましたように、産業化研究特区、これ、我々の連携本部の横に地域創生推進本部、これ、頭がうちの大学の理事のところですから、ここは体幹部分で、これ、右手と左手があって、ちゃんとがっちりと「成果」をつかんでいこう。ネタをつかんで、ちゃんとお金もつかんでこようという、招き猫みたいなことを言っていますけれども、そういったようなことをやるための組織を今ようやっと整備をしたということになります。
それは、なぜそういうことをやろうとしているかというと、これはもう陳腐な話ですけれども、「ことづくり」というのをやろうとしていまして、地域の繊維・染色産業というのは、ものすごく上手にモノを作るんですけれども、その後、それをサービスにしてお金をもうける仕組みにする、あるいは、そのもうける仕組みにした後に、ビジネスの後に出てくる満足感という、これも大げさな言い方をすると、文化になるところまで、その文化がフィードバックされてくるというような、そういう仕組みまで持っていかないと、地域はいつまで経っても下請をやっているという状態になると感じています。
じゃ、地域でそんなことが本当にできるのかということなんですが、それは割にやりやすいのは、素材メーカー、先ほど申し上げました中間財ですけれども、非常にユニークなものを持っています。それを作ってもうけるという直接的な話ではなくて、それから生まれるサービスでもうけるというような、二次産業と三次産業をハイブリッドするような形というのを、できれば中小企業と一緒にいろんな事例を作っていきたいというのを今考えて、話をしているところです。
福井地域がこれに比較的取組やすいのは、地域にオーナー社長の中小企業が非常に多くありまして、ものづくり型、イノベーションに非常に興味のあるところ、我慢強くと書いておりますけれども、先ほどストリームがあった中の、個人的にやらせていただいたストリームで言うと、一番上なんですが、10年、15年、定常的に付き合っていただいて、どんどんネタを本当にリアルタイムで共有できるという仕組み、それはある意味ではひとつンネタに対しては10年間ずっと待ってくれているのと同じなんですけれども、そういう企業さんが結構あるということもありまして、ここのところで、地域柄をうまく利用して、生まれ変われるようなところ、リードしていくようなところを創り出していけないかというのが1つの挑戦と考えています。
この図はITも、もちろん関与してきますという話ですが、ちょっと飛ばさせてください。
こうしたことを考えて、じゃその個々の取組を、さらに結集していく仕組みが作れないかということで、オープンイノベーション機構をもし福井で作るんだったらこんな形ではないかというのを描いてみています。先ほどの二次産業と三次産業をハイブリッドしてコンソーシアムにして、プラットフォームを作って・・・とやったんですが、これが実は地方のほうの大きな課題の一つに行きあたっています。即ち、規模感が合わないです。これはもう決定的に規模感が合わないです。特にこの数年、政府系の大型プロジェクトを取りにいこう――これは文科省だけではなくて、総務省さんであったり、経済産業省さんであったりですが、いずれもそうなんですけれども、規模感が合いません。先ほど福井県の規模感を人口で見ると相模原市と同等と申し上げましたけれども、そこにマッチングファンドで何億というものを要求されてしまった場合には、我々は全く動きが取れないということになります。
ここまで提案骨子を描きました。描いて県の方と相談したんですが、県のほうがこの地域負担分をどうやってもひねり出せないというようなことに、県のレベルでなっています。ですので、地方の場合には、そういったところも含めて、規模感ですよね。先ほど時間の長さというのはありましたけど、今度はファンドとかを含めた事業の規模感というのが地方に合ったものが、今、実は、直感的な話ですが、少なくなっていると感じています。この数年少ないというふうには感じていまして、これを何とか乗り越える。だから、少ないから作ってくれという要求をするのは簡単なんですけれども、我々としては、じゃどうするのか、自分たちの努力でどこをどういうふうにして変えていくのかというのもあわせて、今、地域内であれこれ相談しているところです。
その一つが、ベンチャーというのをうまく使って稼ぐ仕組み、大学と自治体と一緒になって稼ぐ仕組みを作りたいということで、これはエコシステムの事業でやらせていただいているものなんですけれども、スマートグラス、これは鯖江の眼鏡メーカーさんなんかも含めて一緒にやらせていただいていますけれども、その手前のところで、スマートグラスというものの産業化というのを起こしているんですが、これがそろそろ市場と闘うフェーズまで来ていまして、何とか市場で戦うところまで頑張っていこうと思っています。それのために、大学の中にそれができるセンター、今までのように、研究をする部門ということだけではなくて、これはベンチャー企業の役回りなんですけれど、ちゃんとお金が回ってくるような仕組みにしたいということで、ここのところで一つ挑戦的な仕掛けというのをやろうとしているところです。こうした話の周辺でですね、今のスマートグラス関連の話の外に、さっきの図の中にあった産業化研究特区の中で次々と、先ほどの人工衛星の話なんかも含めて、出していきたいというのが現状の思いです。要は、もうこの辺りの活動を全部一括にしてしまって、稼ぐ力というのを担える仕組みを作りたいということです。
これは今まさにアイデアを練り倒しているところなんですけれども、「i-Garageふくい」という構想です。このガレージというのは、アップルコンピュータですとか、ヒューレット・パッカードさんがアメリカのガレージで何かものを作って、「これ、売れるんちゃうか」「そうだ!」と言って売り始めて、そこから起業していったというイメージでの「ガレージ」なんですが、要するに、イノベーションを起こす場のシンボルとしてのガレージという意味です。
何をしようとしているかというと、ここのところで成果のベンチマーキングとかアイデア作りのところも、みんなでここへ来て、大学の中や周辺へ入り込んできて、わさわさやって、そこに資金もきちんと入る仕組みにして、みんなで儲けていけるような仕組みというのを作っていきたいということです。あるいは、社会ニーズというのもダイレクトに聞く仕組みにしたいというところが一つの挑戦だと思っていまして、これ、実は、昨年度やらせていただきましたデザインアイ事業のビジョンチームで、ビジョンを作るところの形によく似た形をしております。このニーズのところをきちんと強化して、それにサイエンステクノロジーイノベーションというのをどうつなぐのかということを、県のレベル、あるいは市町のレベルも含めて考えていきたいと思っているところです。
この辺は人材育成のところなので、飛ばさせていただいて、最後2枚ほどのところをお話します。今ほど申し上げたような挑戦をしていくに際しては、今の体制ではちょっとやりにくいなと感じています。それは、我々、産学官連携本部は、大学組織の中にあるんですけれども、そうすると、いろんな契約をするのに、大学本体が契約者にならないといけない、ここから資金が一旦全体のお財布に入ってしまってから、研究開発現場へ流れてくる仕組みというのは非常にやりにくくてしょうがない。特に、スピード感が出ないですね。ですので、それがやれるような出先として、「出島」みたいなのを作れないかと思っています。ちなみに、絶対やってはいけないのは、この「出島」を作るために大学内部の人材を切り出すことで、ここがへこんでしまうのはまずいです。俯瞰的にこういうものを作って、経営ということが分かるような、それが実践できるような拠点というのを、組織としては大学の外に、直接に契約をハンドリングできるような拠点を形成できないかと思っているところです。
そこで、やらなければいけないことが1つあります。一番最初にあった民間資金を獲得して共同研究を伸ばすというスキームは現在もあるんですけれど、これでは全然間に合わないということです。ですので、民間資金が入ってきたときに、それにレバレッジをかけて、こういったものを全部でなくてもいいんですが、幾つかが連動して改革されるような仕組み、そのスピード感が必要なんですが、その実現のためには、やはり大学全体を動かすためというか、大学の組織、大きな組織ではなくて、少し切り出した組織で機動的にやれたらなと思っているところです。
その一つの可能性というのが、先ほどちょろっと御紹介させていただきました、イノベーションガレージなんだと思っています。この辺、細かい努力はいろいろしているんですけれども、本日は、「こういったようなアイデアっていかがでしょうか?」という点うかがってみたいと思っております。これはまだこんなところに穴があるよというようなところなど含めまして、もしいろいろと御指摘いただけるようであれば幸いと思いまして、御紹介させていただきました。
ありがとうございます。
【林主査】 ありがとうございました。
それでは、ここから質問とディスカッションに入りたいと思いますが、委員の皆様から御質問、御意見等ございますでしょうか。
【清水委員】 熊本大学の清水です。
米沢先生、非常に面白いお話をありがとうございました。福井がDESIGN-iを取られたり、すばらしい活動をされているのは知っていたんですが。
1つだけ、もう少し詳しくお聞きしたいことがあります。先ほど規模感が合わないとおっしゃいました。それは、国からお金を頂くときの、その規模があまりにもたくさん求められるので、特定の分野について、それだけの予算を必要とすることはないんだということをおっしゃっているのか、それとも、事業の中に複数というのがあると思うんですね。恐らく一件一件が集合して1つの事業になると思うんですが、一つ一つのテーマのことをおっしゃっているのか、どちらのことをおっしゃっているのかが。
【福井大学(米沢)】 最近の形でいきますと、もちろん我々の地域ですと、一つ一つのテーマの規模感というのはそれほど大きくないんですけれども、ただ、産業化・事業化に関していけば、金額規模は結果大きいです。売上規模なんかでいくと。だから、それはもう我々のそういうプロジェクト予算の規模から言えば、そんなのでは足らないよと言われる規模になるんですね。本当にものを作って売ろうとした場合。だから、そこのところは、もう合わないという理由というか、それは言い訳かなと思っているんですけれども。
現状では何よりも、プロジェクト型の共創的資金をバッケージにして、マッチングファンドとして求められる、そのパッケージ化された予算の規模が非常に大きくて、そこにばらばらのそういうテーマを集めなければいけないというような場合になったときには、一塊として大きな予算で、例えば県なら県に立ててもらうというのが非常に難しいというのが現状です。だから、パッケージとしての規模が大きすぎると申し上げたかったところです。
【清水委員】 なるほどわかりました。
もう一つ質問なんですが。そのときの県や国の考え方としては、特定のテーマ、特定の分野においてパッケージ化してほしいという要望があるからということでしょうか。
【福井大学(米沢)】 やはり大きく投資をして、それだけ投資するんだから、国富としても、非常にスケールの大きなものを返してくださいねというふうになっているという構造に、やはり我々の規模では、総動員しても耐えられないという、そういう。
【清水委員】 よく分かりました。ありがとうございました。
【林主査】 ありがとうございました。
そのほかに、御質問、コメント等ありますでしょうか。
松原先生、よろしいですか。
【松原委員】 1つお尋ねします。福井大学の産学連携本部の別添資料のところで、ヒストリーが出ていまして、都市エリアからずっと、いろいろなプロジェクトを福井大学が熱心に取ってきているというのが分かります。米沢先生はずっと関わっていらっしゃるのかなと思うんですけれども、このたくさんあるプロジェクトの中で、福井の地域経済に非常に貢献したというようなものを、言いにくいかもしれませんけれども、一つ二つ挙げていただくと助かります。
【福井大学(米沢)】 先ほど申し上げたように、本当にそれが役に立ったのかという結果が出るまでに、やはり基礎的なものであれば10年近くかかってしまうということを言いますと、直近のやつというのは、まだ結果が出ていないというところがありますので、難しいのかなと思っているんですけれど。
この経済産業省事業にちゃんとアウトプットが出せて、それが起業スケールして、ちゃんと事業化していったということでいきますと、実は、この地域イノベーション戦略プログラム、あるいは都市エリアの一般型、発展型よりは一般型のときのものが、今やはり収穫を得ているということになります。
直近のものでいきますと、これは挑戦なんで、まだ丁半博打みたいなところはあるんですけれども、エコシステムの話については、その仕組みというのを我々が最大限活かす。活かしてやれば、やはりちゃんとスケールするというところを目指してやっていますので、この事業は、形としてはいいのではないかなと思っています。この辺りは非常にいいと思います。
それから、文科省さんの直轄の事業ではないんですが、スーパークラスタープロジェクトを、ここにしめしておりますが、これはかなり地域の企業さんにいろんなネタを与えたなと思っています。これ、実はよかったのは、JSTさんが半分支援の形で、JST本部から、例えば京都であれば、京都に人を出されていますよね。ハンズオン支援の形です。その方がいろんなつなぎを全てやられて、我々のところにもかなり頻繁に来ていただいてということをしていただきましたので、この辺り、都市エリアの一般型エコシステム、それからスーパークラスター、この辺りはものすごく我々としてはその仕組みにも助けていただいたと思っています。それ以外のものももちろん助けていただいているんですけど、ここは特に助けていただいたという実感があります。
【松原委員】
ありがとうございました。今言われたことの背後にあることになりますが、多分、福井の場合には、御指摘いただいたように、企業との関係、産学官の連携はかなり密接だとは思うんですけれども、大学の研究室の中でエコシステムは、ある面では狭い範囲でやっている。スーパークラスターになると、京都とも関わったり、他の地域と関わったりしていると思います。
それから、知的クラスターも、福井は北陸3県で関わられたと思います。そういう地域イノベーションに関わるいろいろな経緯の中で、中だけではなくて、地域の広がりみたいなことなんですけれども、域内だけの関係ではなくて、新しい関係、スーパークラスターで多少言われましたけれども、そういうものはやっぱり刺激になったりするものなんでしょうか。
【福井大学(米沢)】 非常に刺激になります。先ほどの産業界の構造にも起因するんですけれど、市場の最後のところまで関われる、あるいは、そういう情報にリアルタイムに触れられるというのは、大学もそうですし、産業界もそうですけれども、地域挙げて非常に刺激になりますから、ありがたい話です。
【松原委員】 ありがとうございました。
【林主査】 ありがとうございました。
そのほかに、委員の方々から御質問等ございますでしょうか。
では、串岡先生、先にお願いします。
【串岡委員】 福井大学のお話を聞かせていただきまして、もともと福井大学は、今回、経産省のJ-Innovation HUBですか、産学官連携本部として唯一選ばれたところで、今回のようないろんな取組をされていることをお聞きして、非常に参考になったんですけれども。
この中で、お話として、産業化研究特区というのが幾つか出てまいりまして、今、手元で貴学の規約を見ますと、一般的な国際戦略特区とか、そういうものではなくて、大学の中でこういう特区を定めて、施設だとか、あるいは人員について、特に配置を優遇するようなイメージのような感じもするんですけれども、その辺り、もう少し具体的な御説明を頂ければありがたいんですけれども。
【福井大学(米沢)】 ありがとうございます。
特区の何が特別なのかということなんですけれども、ここのところは、実は、これ、特区にすることで、学長なら学長から直接、人でもお金でもいいんですが、そういう支援をするときに、その特区の中にあるということを特別に見てもらえるというのが一番大きいです。
その上で、これは多分、三重大学さんがすごくたくさんセンターを作られて、それを融合させるような取組をされていて、あれはすごくいいなと思って、いろいろと伺いに行ったこともあるんですけれども。それに近いところではあるんですが、例えば、工学部の中でも、学科によって全然専門が違う方はなかなか集まらなかったりするんですが、そういった方を組みやすくする。要するに、その壁をなくすために、あえて特区という言い方をしています。その代わり、ちゃんとその出口というのを決めて、そこに投資した資金はちゃんと企業のほうから返ってくる仕組みというのにトライするということをやるという、そういうフィールドですね。
だから、あまり学則云々とかやっているとスピードが落ちるので、これは、よく見ていただくと、産学官連携地域イノベーション推進機構の中に特区を作ってあるんですね。議事録が残るやつで言っては駄目かもしれないですけど、連携本部がやると言ったらやれるというのがありまして、そのくらいのスピード感を出したいということで、ちょっとここにくくったというようなところです。だから、学則よりは、もうちょっと、そこに書いてなくたってやってもいいよなというようなことをやりたくて、作らせていただいたと。
【串岡委員】 要は、学則とか、そういうことではなくて、研究室を超えたチームを作って、すばらしい取組を、学長直下で予算を若干つけたり、人員配置を考えてやっていこうというふうな機動的なイメージでしょうか。
【福井大学(米沢)】 そうです。
【串岡委員】 分かりました。ありがとうございます。
【林主査】 ありがとうございました。
そうしましたら、西村先生、よろしくお願いします。
【西村委員】 では、手短というか、感想も含めてなんですけれども。米沢先生、非常にいいプレゼンで、やってこられたこともすばらしいと思って、やはり長く経験されていて、仕上げ方が分かっていて、もう一個一個できているなと思ったんです。ただ、10年というスパンと、あと、一個一個に対しても結構手間がかかるので、私も同じ地方大学の苦しみなんですけれども、仕上げる力はあるんだけれども、結構、することが分かりにくいんですよね。
というのはなぜかというと、大学自体の規模感からいって、全てを完結させるには、やっぱり手駒が足りないんですよね。多分、米沢先生、これから広げられるときに、ちょっと気になってきたのは、福井大学単独で完結はしていないと思うんですけれども、やっぱりその中で足りないこと、自分たちの不得意なところ、これがあれば、今までやってきたのを掛け算したらすごく伸びるのになというのは多分あるような気がしたんで、今後、オープンイノベーション機構、例えば地方版で米沢先生が考えられるときに、福井で閉じるのか、福井とどこかと合わせるときに、今までのような近い地域で組み合わせるのか、ではなくて、自分たちの補完するところが得意になってきている、こなれているような他の地域と組むとか、多分、そういうことが必要になってくるような気がしたので。例えば、知財のことについても、不得意なところがあったらどこかと組むとか、そういうふうな御計画とか、今、多分行われていて、これから福井を大きくしようといったときに、これを本格化しようといったときに困っていること、そういうのをちょっと教えていただけませんか。
【福井大学(米沢)】 では、手短に御説明申し上げます。
特に地域として困ることというのでは、最後の出口のところとの関係性というのは大きく困るというのがあります。だから、いいものを作っていっても、最終的に市場まで持っていくときに、じゃ、誰が作って、どこに売っていって、どの販売網にするのという話のところは必ず問題になっているというのは感じています。
ここからは本当に個人的な意見なんですけれども、おっしゃっていただいたように、絶対福井の地域の中で完結できるはずがないということになると、どう組んでいくのか。幾つかあって、私も正解は全く分からないので、探っているところなんですけれども。
1つは、おっしゃっていただいたように、地域、近いところで組むというのはあると思います。価値観が近いということもあるんだろうと思います。例えば、北陸なら北陸という、割にものづくり、金沢の都市部分は違うのかもしれないんですけど、加賀とか、あるいは富山というところには、似たような形の産業構造がありますので、そういったところとの組合せはあるかなというのと、もう一つは、やはり地域の企業が持っているサプライチェーンの流れで組むというのもあるんだと思っています。
そうすると、福井の場合には、実は近畿の経済産業局の管内にはなるんですけれども、もともとやはり関西の電気メーカーのバックヤードを支えていたところがありますので、そういう流れ。あるいは、今ですと自動車産業ですので、中京地区というところに本当に品物を流しておられるという企業さんが多いですから、そういうストリームに乗っかったところに連携を求めるというのもありかなと感じています。
これもすみません、本当に個人的な話ですけど、具体的に我々がサポーティングインダストリーの多い地域だと思っているのが、規模感は別として、我々と似ているなと思っているのは、例えば、京都工繊大さんが北近畿のほうでやられている、福知山とか、あちらのほうでやられている内容は似ているだろうと思っています。それから、大阪府立大学さんが大阪南部のところでやられているような、それから、八尾とか東大阪のところのサプライチェーンというのは似ているなと思っていまして、そこは、場合によっては、そういう枠組での組み方はあるのではないかなと思っています。
【西村委員】 ありがとうございました。
私も同じような考え方をしていて、サポーティングインダストリーは三重県の北のほうにもありますので、もし機会があれば、ぜひとも三重大学とも組みませんかということ。
【福井大学(米沢)】 今ちょっと差し障りがあるといけないので言わなかったんですが、ぜひお願いします。
【西村委員】 またそんなのも考えたいと思います。どうもありがとうございました。
【林主査】 ありがとうございました。
米沢様、本当に面白い、興味深い、課題感もあるすばらしい発表だったと思います。ありがとうございました。
【福井大学(米沢)】 ありがとうございます。
【林主査】 また、改めまして神奈川県の中島様、牧野様、本日はありがとうございました。
それでは、ここから議題2に入りたいと思います。本日の関係機関からのヒアリングと、資料3の「第10期地域科学技術イノベーション推進委員会における論点整理」、資料4の「地域科学技術イノベーション施策について(骨子案)」を踏まえつつ、今後報告書の取りまとめに向けた議論を頂きたいと思います。
それでは、事務局より資料3、4についての御説明をお願いいたします。
【山之内室長】 地域室の山之内でございます。私のほうから簡単に説明させていただきます。
まず資料3でございますが、これは第1回、第2回の委員会での皆様の御意見をまとめたものになります。時間も限られていますので説明は省きますが、前回お見せした論点整理から、新しく加えたところは赤字にさせていただいております。
次に、資料4でございます。資料4は、中間まとめとなります骨子案になります。ゴシック体の太字で書いてあるものは、中間まとめでの目次になります。斜めになっている字が、これから書こうとしている内容になります。
まず1ポツ、これまでの地域科学技術施策の変遷、2ポツとしては、最近の情勢など書かせていただければと。特に、(3)新型コロナウイルス感染症による影響として、「ウィズ・コロナ」だとか「ポスト・コロナ」、こういった時代における地域科学技術に期待されることを記述する予定でございます。
3ポツ、これまでの地域科学技術イノベーション事例からの教訓ということでございますが、ここでは、今までやったヒアリングとか、委員の皆様からの御意見などを通して得られたグッドプラクティスとか課題を記述する予定でございます。
4ポツ、地域における科学技術イノベーション・エコシステム形成に向けてということでございますが、(1)では、その意義や目的について記述いたしますが、次の(2)で、イノベーション創出とエコシステム形成のために何をなすべきかというのを書く予定でございます。今まで皆様からたくさんの御意見を頂いておりまして、先ほどの資料3にあるように、論点整理にもまとめさせていただいておるところなんですが。特に深掘りしていきたい論点として、斜めの字で4点挙げさせていただいております。
1つ目が、知の拠点としての地方大学の役割ということで、先ほど福井大学さんのヒアリングでもございましたが、地方大学の産学連携機能とか、そういった課題への対応だとか、2つ目といたしましては、地域ニーズを把握している自治体の役割ということで、神奈川県のヒアリングでもありましたとおり、産学公連携、自治体の役割というのは重要だと思うんですが、どのように自治体が関わっていくべきかなど意見を頂ければと思います。
それと、ここのところで、地域連携プラットフォーム(仮称)の活用というのがあるんですが、これ、実は、現在、高等局で議論されているものでございまして、今後の我々の参考になると思いますので、簡単に別資料で説明させていただきます。
このポンチ絵は、中央教育審議会で議論した資料になります。7月に地域連携プラットフォームの構築に関するガイドライン、これはタイトルなんですが、これを出す予定と聞いております。
まず一番上のところの地域連携プラットフォームの必要性と意義とあるんですが、ここでは、2丸目のところに、地域の大学、地方公共団体、産業界がそれぞれの立場から単独で複雑化する地域課題の解決やイノベーション創出に取り組むことには限界があると。このためということで、赤字の下のところなんですが、大学、地方公共団体、産業界、関係機関、産学官が一体となって恒常的な議論の場を構築して、地域の将来ビジョンを共有して、地域の課題解決に向けた連携協力の抜本的強化を図っていくことが必要ではないかと。
そういったことから、2番目の青い丸のところでは、地域連携プラットフォームというのを作りましょうという話で、さらに、その下に、一番下のところですが、そのプラットフォームで共有・議論・実行することが考えられる事項として、例えば、真ん中にあるとおり、地域課題の解決だとか、地域の高等教育のグランドデザイン、その次の矢印のところにあるんですが、課題解決のために実行する事項として、例として挙げているのは、教育プロジェクトとかあるんですが、その2番目の矢印のところに、産業振興、イノベーションの創出などが挙げられているところでございます。
これを実際議論した事務局は高等教育局になるんですが、高等教育局によれば、こういった動きを地域で広げていって、地域における課題解決、それらを図っていきたいということでございます。
こういったプラットフォームの活用というのも今後考えられると思いますので、参考に簡単に紹介させていただきました。
戻って、3番目のポツのところなんですが、人材育成とか人事交流とあるんですが、これは今まで委員の皆様から意見が多かったところと思います。将来の担い手の育成だとか、大学への職員派遣制度の活用という御意見もありました。
最後の4つ目なんですが、ここは国支援終了後も継続的に地域活性化を行っていくエコシステムの構築ということを書かせていただいております。今現在、地域室でやっている地域イノベーション・エコシステム形成プログラムというのがあるんですが、これは事業プロデューサーとか支援スタッフなど、体制をしっかり組んでやっていただいているところでございます。ただ、地域によっては、国の支援が終われば体制としては解散するしかないとか、そういったところもあるようでございます。
そういった意味からも、単なる研究で終わるわけではなくて、エコシステムとして恒常的にそういうのを行っていただけるにはどうすればいいかというような意見も頂ければなと思って、書かせていただいております。
事務局からは、以上でございます。
【林主査】 ありがとうございました。
そうしましたら、先ほど室長から説明していただきました資料4、この施策についての骨子案について深掘りしたい論点について、皆様の御発言を頂きたいと思います。
時間がそれほど余裕があるわけではございませんが、委員の皆様にはそれぞれ御発言いただきたいと思いますが、どのようにしましょうか。順番に少しずつ皆さんに発言していただくということで。
分かりました。じゃ、佐宗先生からいきましょう。
【佐宗委員】 すみません。佐宗ですが。この資料4の2ページ目ということに当たらないことはあるかもしれませんが、御容赦願いたいんですけれども。
その前に出された1枚物の参考資料がありますよね。これが、この産地課の委員会の所掌マターがどこまでかというのは少しあると思うんですけれども。私がこの資料を見て気になったところは、一極集中から遠隔分散というところは非常に同意するところなんですけれども、真ん中の地方公共団体にとってはというところに、例えば、域内の若者の定着促進というのがあるんですけれども、やはり域内だけを考えていると、出ていく一方で、減る一方なんですよね。ですから、これは、関東圏や関西圏のような大きな人口のマスを持っているところが、例えば0.1%でも域内に流入、移住でもいいかもしれませんけれども、もう少しそういう双方向の流れを作らないと、やはりなかなかうまくいかないのではないかなというのが私の印象です。
それで、そのためには、資料3の一番上のところに、この委員会の主なプレーヤーというのが、これは全く同じつくりだと思うんですけど、大学、民間、地方自治体というふうに書いてあるんですけれども、これは、もう一つ、ステークホルダーと考えれば、やはり民というところが大事だと思うんですよね。それを入れないと、若者というのは、やはり産業だけで動くものでもなくて、もっと文化であるとか、そういうところも含めて考えないと、地方の創生とかというところはなかなか回らないのではないかなというのが私の印象で、この資料4とは逸脱しているかもしれませんけれども、そういうことも感想として持ちましたので、発言させていただきました。
以上です。
【林主査】 佐宗さん、ありがとうございました。
室長、この件、追加説明されますか。
【山之内室長】 山之内でございます。
今の話は、佐宗先生のお話、ごもっともなことだと思いますので、実はこれについては、我々が考えている、これから地域政策どうするかというところで、高等局とよく相談しながらやってございますので、今の先生のお話は高等局とも相談させていただければと思います。
【佐宗委員】 よろしくお願いしますね。
【林主査】 ありがとうございました。
じゃ、松原先生、どうぞ。
【松原委員】 (2)の4つ、先ほど佐宗先生からもあったんですけれども、この(2)の4つは、どちらかというと内向きというか、中の仕組みをどうするかというような観点が強い。これも大事だとは思うんですけれども、今、もう少し現状ということで言えば、新型コロナウイルスを考えた上で、新しい国土構造というか、そういうものの在り方、あるいは、海外、グローバルな向き合い方も含めて、どういうふうにこの地域イノベーションを位置づけていくのかという観点も大事かなと思っております。
先ほどありました東京一極集中に対して政策を打っていくときに、地域に人材をどのようにとどめるか、あるいは、東京から地方にいかに人材を移していくかという観点も必要になってくるでしょうし、ICTを使ったような形での新しい地方の拠点都市とかの位置づけあたりも関わってくると思います。
立地の面で言いますと、国内に産業の立地を回帰させてくる動き、これも強まってくると思いますので、そういうようなものと絡めたような形での、新たなウィズ・コロナの段階での地域イノベーションの在り方というのを打ち出していく必要があるのかなと思っております。
以上です。
【林主査】 ありがとうございました。
そのほかに、委員の皆様からほかに御意見は。
加藤百合子先生、よろしくお願いします。
【加藤(百)委員】 エムスクエア・ラボの加藤です。
私は先生ではないので、現場でベンチャー絡みで地方で起こっていることを少し共有させていただいて、こういう対策を打っていったほうがいいのではないかなと思っていることを共有できればと思っています。
現状、ウェブでいろんな学生と実際お話をしています。出身の関係もあって、東大の学生が多いんですけど、大学は東京にあるんですけど、やっぱりもう東京に戻りたくない海外の学生とか、結構話をしていると、いろいろ考えているようです。
私なんかがやっている地域事業ですけれども、そういう研究とか、面白い開発をしたいなと思っているような学生は、別に場所はあまり気にしていないですね。本当に面白いことをやっていきたいし、社会に実際に役に立ちたいしと思って、就職先なり、自分の能力を活かす先を探しているのではないかな。ウィズ・コロナ、アフター・コロナで、余計若者たちはその志向が強まっているように本当に感じます。
私たちは小さい会社なので、優秀な学生を囲い込むぐらいの体力はないものですから、結構地域の鈴与だとか、スズキだとか、いろんな会社さんは人材の獲得に苦労していらっしゃるので、こういう優秀な学生を地方で一緒に働きながら育てようじゃないかみたいな話を今しているところです。
そんな感じで、私、思うのは、この資料、文科省さんが作るので、とても硬くなるんだと思うんですけど、学生たちはやっぱりわくわくしたいし、怖い先生方が、今も皆さん、有名な先生方がいらっしゃるのであれなんですけど、しっかりとした先生方が硬くしゃべって、研究ってやっぱり難しくて、つまらなくてと言うとあれなんですけど、硬くて、自分たちはペーペーから始まるんだと思っちゃうと、やっぱり来ない気がして、自分たちももう主体的に関われるんだと思うと、乗ってくると思うんですよね。それは場所は、多分、本当に彼らは気にしていないと思います。
若者にしろ、企業にしろ、もう東京から本社移転考えている会社はいっぱいいるので、そういう意味では、ぜひそういう人たちにわくわくとか、地域での主体的な活動とかができるというのを、こういうエコシステムの枠組も含めて提案できれば、もっと流動的になってくるのではないかなと感じています。
以上です。
【林主査】 ありがとうございました。
私も、芝浦工大で学生と話をしていると、学生は意外とこうなんですよね。ところが、親御さんがどうも大企業志向で、大企業へ入らないと安定しないという思考がまだ残っていらっしゃる方が多い、そういう世代ギャップを感じることがよくあります。
ほかに委員の方々で。
【清水委員】 熊本大学の清水です。
先ほど山之内室長から、エコシステムの形成のためにどういうポイントがあるのかということについて意見をということがございました。それについて、私が感じることを2つお話ししたいと思います。
1つは、URA、コーディネータです。大学にとって産学連携本部はとても重要で、そこにいるコーディネータ、URAというのは、通常、任期付きだったりするんです。先ほど事業化経験のある、そういった方を雇用するということも重要なんですけれども、やはり大学のシーズをよく知っている、長い経験の中で、県外の大きな会社のニーズ、あるいは予算を持っている、裁量権のある人とお付き合いするということが非常に重要で、そういった人たちは3年や5年で人材育成できません。
言いたいのは、こういうエコシステムを作るには、やはり安定した職で、かつ、大学の中はもちろん、県外の企業との関係を持つような人をしっかりとした雇用をして、安定的に育成していくということも重要だと思います。URAの中で、恐らく文科省が一番御存じだと思うんですけれども、8割近くは有期雇用なんですね。したがって、その質のレベルのばらつきも多いですし、なかなか流動化して、落ち着いてはいけない。そういうところもあります。
2つ目ですが、これはむしろ山之内室長、あるいは文科省の方にもお話ししてきたことなんですけれども、今、熊本の場合ですと、半導体、依然として悪くないんですね。ちょっと前は車も非常に良かった。でも、車は今かなり悪くなっています。ワクチンや医薬品メーカーは好調ですが、今後変遷はあると思います。
何を言いたいかといいますと、先ほど国の事業が終わって地域のチームや体制がなくなってしまうということがありました。どうしてそういうことが起こるかというと、プロジェクトを立てるときに、特定の分野(医療機器、医薬品、特定の材料分野など)で事業に予算を投下してしまうんですね。しかし、地域は必ず変遷がありますので、その変遷に、どのようなことに応じてでも対応できるような複数の分野を許容できるようなプロジェクトを立てる。それに対して、大学も体制を整える。そういったことが、今後の地域のイノベーションのための事業を創るときにはポイントになるのではないかと思いますし、先ほどありましたが、サイズ感ですね。1テーマに1億も2億も必要な場合って、なかなかそんなにはないです。正直、1テーマ、1,000万から3,000万のを複数やっているほうが、リスクは少ないんですね。エコシステムとしても回ります。そういった点も重要かなと思います。
以上です。
【林主査】 ありがとうございました。
ほかの委員の方々からはいかがでしょうか。
【田中委員】 田中です。
私が関与している、産学発連携ファンドや国のプロジェクトで感じた事について、お話しさせて頂きます。
これまでにお会いしてきた大学の先生方は、補助金や助成金をもらい続ける前提で、研究を行っている方々が多くおられます。事業化を出口としているプロジェクトであっても、売上をあげて利益をあげるという事に対して、現実的な方法が思い至らず、プロジェクト後も尚、引き続き次の研究費をとってきて研究を続ける、とお考えになる先生が良くいらっしゃいます。
当然ながら、いやいや、そうではなくて、事業化というのは、売上を上げていずれ利益を出さなくてはいけないんです、という話になったとたんに、先生方が手詰まってしまい、お手上げになる事があります。
先程来話題に上っているように、国の補助金を原資とする研究プロジェクトが、事業化をゴールとしているのであれば、早い段階から事業化構想を発想し、その実現に向けて活動できる、ビジネス系の人材が関与する必要があります。
REVICが取り組む、島根大学や鳥取大学の産学連携ファンドそれぞれの投資先の中に、Gap投資会社という研究開発会社があります。Gap投資会社とは、あと少しの研究費があれば、事業化につながるようなPOCを取れ、その後大企業等へのライセンスアウトをトライできる、というような研究テーマに対し、少額投資をする会社です。ベンチャーを起業するよりも、ずっと早い段階の研究に対する投資になります。Gap投資会社の投資案件候補として良く上がるのが、国からの補助金を用いて長年研究を続けてきたテーマで、ある日を以て研究費が終了してしまったような案件があり、実はそのような研究テーマは、思いのほか各大学に沢山あります。
Gap投資会社のお金は、事業化が有望な研究に対し、ベンチャーキャピタルや事業会社のお金がつく前のブリッジファイナンス(橋渡しをするお金)と言えます。そのような会社の人材としては、いわゆるサイエンスやテクノロジーがわかり、投資実務ができ、経営執行できる人材が必要になります。
島根大学、鳥取大学に引き続き、現在、徳島大学でもGap投資会社を立ち上げようとしており、徳島大学学長のリーダーシップの下で、大学の協力も得られているおかげで、スムースに進んでおります。Gap投資会社のみならず、大学発ベンチャーを起業運営する場合い、大学との各部署の協力が不可欠です。知財、TLO、産学連携など、大学の各部門の協力なくして、この手の取組みはうまくいかず、あらためて学長のリーダーシップの重要性を感じています。
国が、本当の意味で事業化を意識して大学の研究に補助金を出す場合、当然ながら出口となる民間の資金に、きちんとつなげる事が必要になります。その間をブリッジ(橋渡し)するような、リスクマネーを持って事業化する支援者がいれば、途中で研究開発資金がつながっていなかったGapに対しても、事業化との橋渡しができるようになります。
島根大学、鳥取大学ではそれぞれ5社に投資し、私どもなりに投資できると思ったところには一通り投資しました。 徳島大学は、これからの取組みになりますが、多くのベンチャー投資ができると思っています。またGap投資については、島根大学、鳥取大学、徳島大学それぞれにおいて、候補案件がそれぞれ数十件程度はあると思っています。
REVICは官民ファンドの立場で、民間資金を主とした産学連携ファンドを通じて、Gap投資やベンチャー投資およびハンズオン支援を行っておりますが、いずれは民間企業主体の取組みとなっていくようモデル化を目指すべく、日々活動しております。
【林主査】 貴重な御意見、ありがとうございました。
やっぱりブリッジとおっしゃいました。国プロからブリッジを経て、ベンチャーキャピタルという、この資金的なところがないと、やっぱり出口出口と言っても、結局は事業にならないという、そこはありますよね。ありがとうございました。
まだもう少し時間がありますので、ほかに。
【栗原委員】 よろしいでしょうか。栗原です。
この骨子案についてなんですが、今回の議論するポイント、アウトプットを出す事柄からひょっとしたら外れるかもしれないのですが。しかも、まとまらないのですけれども、問題提起というか、議論するためにちょっと感想を申し上げさせていただきます。
最近の情勢の中で、「ウィズ・コロナ」「アフター・コロナ」というのは大きいテーマで、恐らく新しいビジネスとか新しい結合が起こるだろうというときに、まさに科学技術とそういう技術が融合するというのは、とても重要な視点だと思います。
では、どういうところで起こるのかなと思うと、多分いろいろなところで起こるとは思うんですけれども、地域イノベーションという観点で考えると、地域のヘルスケアや教育、それから行政サービスですね、こういうところでいろいろなデータ等が結びついて、地域が変わるような新しい動きが起こるだろうと思います。そうすると、2ページ目の(2)で記述されたエコシステム形成のための具体策は、仕組みづくりではあるんですけれども、そもそもどんなイノベーションが起こりニーズがあるかというところがないまま、仕組みについての議論がなされているような気がするので、1ページ目の4ポツの(1)のほうかもしれませんけど、地域課題とか、これからアフター・コロナで地域で何をしていくか、どんな新しい動きが起こるかというところを、もう少し考えたら良いのではないかと思います。
先程の地域ニーズはどこの地域にもあると思うので、そういうものに対する取り組みを考えていくと、また違う課題が見えるのではないかと思います。その辺をエコシステムの形成のための論点として考えられると良いと思います。
それから、地域のイノベーションと言ったときに、多分、大きなイノベーションもあれば、小さなイノベーション、どこの地域でも必要としているイノベーションというのもあるではないかでしょうか。アフター・コロナでは、きっとそこも必要とされるだろうと思うので、そこに対して少し考えても良いのかなと思います。
ちょっとまとまりがないんですけれども、感想です。
【林主査】 ありがとうございました。
確かに、おっしゃった、具体的にどういう領域なんだろうかという視点は、確かにまだ深くは検討できていない。仕組みのところは結構いろんな意見等出てきていますけど、今の栗原さんのは重要な御指摘だと思います。ありがとうございました。
じゃ、室長からちょっと。
【山之内室長】 すみません。山之内でございます。
栗原先生、貴重な意見をありがとうございます。
今のお話、私のほう、ちゃんと説明していなかったかもしれないんですが、先ほど紹介した高等局のプラットフォームだとか、あるいは、この2番目で書いてあるような、地域ニーズを把握している自治体の役割というところで、産学官で共有するビジョンの策定とか、言ってみれば、先ほど仕組みのお話が多いのではないかというお話でしたが、やっぱりニーズによって、どういうことをやっていくのかというのは産学官で決めることだと思うので、その中でも自治体の役割というのは大きいのではないのかなという意味で、ここにポツ2のところに書かせていただきました。
ただ、おっしゃるとおり、アフター・コロナになったら、先ほど松原先生からも話があったとおり、今とはもう本当に違うと思いますので、そこのところ、どういうことが必要なのかというのは、引き続き検討を続けていかせていただければと思います。
以上でございます。
【栗原委員】 コメントありがとうございます。
1点だけ、今のお話の中で、地域の自治体といったときに、連携主体になるとか、例えばマッチングを推進する等の役割だけではなくて、行政サービス自体の中にも、つまり、自治体がユーザーとなってイノベーションを導入して付加価値を出していかなくてはいけないことが多くあるのではないでしょうか。そうした行政サービスが、宇宙だとか、デジタル化だとか、データ利活用によりものすごく変わると思うので、実は、最大のユーザーというか、そこにシーズがあるような気がします。
【山之内室長】 ありがとうございます。検討させていただきたいと思います。
【林主査】 すみません。時間が来てしまっているんですが、何人か、まだ御意見をおっしゃっていない方がいらっしゃるようなので、5分か10分ぐらい延長でよろしいですかね。委員の皆様から強い反対がなければ、5分、10分程度の延長を御容赦ください。
そのほかの委員の方々で、まだ発言されていない方。西村先生。
【西村委員】 質問も結構したのであれなんですけれども。
今の栗原先生の話、私、結構意味があると思っていて。イノベーションの捉え方が、地域イノベーションというのは、私、こだわっているんですけれども、大きなイノベーションと小さなイノベーションで、要するに、小さなイノベーションが駄目というのではなくて、私の経験上、私は結構仕上げてきています。仕上げてきたイノベーションというのは、やっぱり破壊力あるんですよね。トマトの話とか、いろいろしたと思うんですけれども。そういうものというのは、私は結構手応えを感じています。
これは、地域にある中堅企業、地域に根差した企業というのは、実はポテンシャルを持っている。これを仕上げるときに、私たちも複数社仕上げましたけれども、この後を考えると、もっと生産性を上げなければいけないですよ。地域イノベーションを起こしていくための産学連携の生産性を向上させる。
これ、何かというと、先ほどの福井大学の米沢先生なんて、物すごく御経験を持たれています。米沢先生の力、でも米沢先生では足りないこと、例えば、福井には足りないこと、三重にも足りないこと、でも、三重が得意なこと、ある地域では得意なこと、こんなのあるわけですね。
これを相互乗り入れしていって、別に大きな大学と組むということ、私たちは名古屋と組むとかあるんですけれども、それではなくて、それぞれ地域特性の中で、地域を熟知している地方大学が持ってきた経験をお互いに掛け算するようなやり方というのは、これ、非常に生産性を上げることになるかなと思っていて。そういうことを、例えば、今回の中での地方大学の役割という中で、地方大学をくくり取るんだったら、地域の中にある中堅企業の、もしくは、そこにある企業からのイノベーション、小さなイノベーションかもしれないけれど、それを10個集めたら大企業のイノベーションになるんだったら、それを100個やっていくようなことを地方大学連合みたいなことでやっていくような絵を描いていく。そうなると、各大学が一つで閉じたら足りないんですよ。足りないことを、例えば知財の得意なところがほかの大学をきちんと手伝う、例えば共通のプラットフォームを作って、そこで解くようにするとかね。大企業ではない中小企業向けの共通の課題というのはあるんですよ。だから、それを、その規模感のレベル感の人たちで1つのネットワークを組みながらやっていくようなこと。
だから、OI機構地方大学版をつくるのであれば、地方大学に単独に落ちるもの、プラス地方大学をネットワークするような共通の基盤みたいなものを同時併設しながらやっていく。その中に、例えば、私も今度、また決定的にはあまり言えないんですけれども、ある地方大学のところの足りない部分に対して、私はクロスアポイントで行って手伝おうかと思っています。こういうようなことをしていけば、結局、得意な分野の掛け算がそこで出来上がるので、不得意なものを何とか仕上げながらやっていくというふうに、今の重たい生産性の低いような産学連携ではなく、経験を持った仕上げ方を分かっている人たちが、プロジェクト単位で各地域を盛り上げていくときに、相互乗り入れできるようなことはあってもいいのかな。
こうやってくると、今、ZOOMを使ってこれだけ話ができるって、僕、今回2か月、三重大学にずっといましたけれども、多分、今までの中で一番生産性高く仕事したと思うんですね。だから、そういうように考えて、ポスト・コロナということもタイミングを合わせると、本気で結果を出しにいくような産学連携は、実は経験を持っている人間が地方にごろごろいる。この人たちをどういうふうに活用させるかで、掛け算をどういうプラットフォームで作り上げるか。これ、結構重要かなと思うので。
すみません。ちょっと抽象的な話になったかもしれません。私はそういうふうに感じたので、発言させていただきました。
【林主査】 ありがとうございました。
そうですね。確かに。掛け算という言葉はいいかなとちょっと思いました。今の絵でやっていても、やっぱり似たようなところと掛け算すると、もっとこのプロジェクトはよくなると感じることが多いです。
ほかに発言されていない方、この部分で。
【加藤(由)委員】 加藤でございます。ありがとうございました。
今、非常に貴重なお話を頂いたなというふうに伺っていたんですけれども。深掘りする論点のところで、地方大学の役割というところの論点がありますけれども。私、福井大学のオープンイノベーション機構ですか、福井大学の取組というのは非常にすばらしいものだと思っておりまして。
といいますのは、やはり経験から、例えば、地方大学の産学連携の機能ですとか、産学連携本部というところにいますと、ややもすると、やはり先生の知財の管理ですとか、技術移転ですとか、知財の契約管理といったところで、比較的スコープが狭いような傾向が見受けられるようにというところは経験から感じているところなんですけれども。例えば、もう少し地域の企業とどういうふうに連携していくのか、もしくは、もうちょっと広域で、いわゆるサプライチェーンと連携して、どういうふうに技術の出口戦略を練っていくのかですとか、地域の経済との連携、そういった高い視点からコーディネートができるような方が、産学連携機能の発展版として、オープンイノベーションの機構ということで、そういった方が集まるような機能が大学にあると、ここは非常にいい仕組みになるのではないかなといった感想を持ちました。
【林主査】 ありがとうございました。
【田中委員】 コロナに関して、1点だけよろしいですか。
鳥取大学ファンドの投資先の㈱メディビートというGap投資会社は、鳥取大学医学部とのコラボレーションに基づく、医療現場のニーズを製品やサービスにする事業に取り組んでいます。コロナに際し、3月の初めに鳥取大学の医師より、フェイスガード不足を解消する手段として段ボールと薄いフィルム製のものを2週間で設計し、2週間で月産100万枚の量産体制を構築し、その後毎月、1000万円の売上をあげるヒット商品になっています。
成功のポイントは、素早く意思決定して、早くものを市場に流しただけですが、この会社は、社長と社員2人の小さなGap投資会社で、社長は元鳥大の産学官連携部門の出身で、もう1人は医療機器卸の社長をやっていた方で、要は、ニーズを元に製品設計をし、ファブレスメーカーとして製造を外部委託し、発売と同時にすぐさま日本中に流通させることが得意な会社です。山陰合同銀行系のファンドなので、同銀行が数千万円単位の与信枠を設定いた頂いたことで商売が成立し、その間、1か月でした。
Gap投資は、ステージの早いR&Dにファイナンスをつけるだけのように思えますが、実はマーケットに大学の先生のアイディアをつなぐことで、短い期間でマネタイズでき、加えて、これは知財を大学も保有していますので、大学にもお金が入る仕組みとなっています。
コロナウイルスの話は、ビジネスチャンスでもあり、たかだか数人の関与で産学連携の成果を実現できましたケースがありましたので、御参考と思いお話しした次第です。
【林主査】 ありがとうございました。
串岡先生、この部分で御意見いかがですか。
【串岡委員】 先ほどから皆さんおっしゃっていることと同じだと思うんですけれども、(2)のところで、大学と自治体という、今回、特に自治体をフォローするということが視点なんですけれども、やっぱりその地域の産業構造というか、企業、例えば、今日の神奈川県だと、研究所立地、長州知事以来のそういった議論もあって、そういうものを中核にやっているとか、福井だと、やっぱり地場産品だとか、サポーティングインダストリーだとか、その地域の特色ある産業、あるいは中核企業というのがあるわけですから、それと、もう少しそこを深掘りしたような議論というのは、(2)の中では、産業界あるいは企業の地域の構造の違いというのは1つ入れていただきたいなというのは思っています。
それから、一般的にはまち・ひと・しごとということですから、イノベーションが成り立つような、リモートでもデジタルに住めるような、そういった観点もぜひ入れていただきたいなと思います。
以上です。
【林主査】 ありがとうございました。
これで今日出席の委員の方は全て発言していただいた。金子委員は今日は欠席ですよね。ありがとうございました。
全体的に、こういう非常に難しいコロナウイルス感染の時期にやった委員会らしく、むしろこれからは違うやり方があるのではないかというような御意見が多数出ていたようにも思いますし、小さなイノベーションがあるよねという、この感覚も、イノベーションですと、投資家目線だと、もうでかくスケールするやつという議論にどっちかというと行ってしまっていたのが、本日の議論ですと、やっぱり地域というところで、かなり実質的な、でも、小さいからといって破壊的でないわけではなくて、意外とそれが行くぞという意見とか、大変貴重な御意見が多かったと思います。
そろそろもう時間を過ぎておりますので、ここで議論を終了し、この後、事務局からの説明に移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
【岸良係長】 それでは、事務局でございます。
今後のスケジュールについてお話しさせていただければと思います。資料5を御覧いただけますでしょうか。資料5、今回お出ししたものにつきましては、前回会議までにお示ししていたスケジュールでは、8月に最終報告書の策定・公表を行うとしておりましたけれども、概算要求のスケジュールが、新型コロナウイルス感染症等の影響を踏まえて、1か月後ろ倒しになりましたこと等を踏まえまして、審議・検討をより充実させるという観点から、スケジュールを少し後ろのほうに倒して変更してございますので、そちらのほうを御確認いただければと思います。
それで、次回については、7月の開催を予定させていただいてございます。各委員には、今、日程調整の御連絡等をさせていただいておりまして、御協力いただきましてありがとうございます。そちらのほうの御回答を踏まえて、日時、場所について現在調整中でございますので、決まり次第、急ぎ御連絡させていただきたいと思います。何とぞよろしくお願いします。
事務局からは、以上でございます。
【林主査】 ありがとうございました。
そうしましたら、特に追加御意見等なければ、これで第3回目の第10期地域科学技術イノベーション推進委員会を閉会といたします。ありがとうございました。
 
―― 了 ――

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