産業連携・地域支援部会(第9期)地域科学技術イノベーション推進委員会(第9回) 議事録

1.日時

平成30年12月21日(金曜日) 15時30分から17時30分

2.場所

文部科学省 15階 特別会議室

3.議題

  1. 地域科学技術イノベーションと高等教育との関係について
  2. 自由討議
  3. その他

4.議事録

【須藤主査】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから科学技術・学術審議会産業連携・地域支援部会第9期地域科学技術イノベーション推進委員会を開催いたします。
 お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。本日は、議題1としまして、地域科学技術イノベーションと高等教育との関係につきまして、御承知のように、先日、中央教育審議会で示された答申を中心に、高等教育局より御報告していただきます。その後、議題2としまして、その報告を受けまして、委員の皆様の御意見を頂くということにしたいと思います。
 それでは、まず配付資料の確認を事務局からお願いします。
【植原専門官】  本委員会はペーパーレス会議となっておりますことから、配付資料につきましては、皆様のお手元にございますタブレットのデスクトップに全てダウンロードされております。
 なお、答申本体につきましては、紙でも置かせていただいておりますので、御確認ください。
 資料は、お手元の議事次第に記載のとおり、資料1-1から資料3、及び、参考資料1から参考資料2-2です。議事次第と照らし合わせながら資料を御確認くださいますようお願い申し上げます。
 なお、資料1-2の関連資料につきましては、一部、資料が追加になっております。一般傍聴の方におかれましては、スクリーンに示させていただきますので、そちらをご覧ください。後ほど委員会が終わり次第、差し替えの資料をホームページに掲載させていただきます。御不明な点等ございましたら事務局までお知らせください。以上です。
【須藤主査】  それでは、最初の議題1ですけれども、本委員会の運営規則第3条第2項に基づきまして、本日は、高等教育局高等教育企画課高等教育政策室より、石橋室長に御出席いただいています。
 まず事務局から、進め方の御説明お願いします。
【植原専門官】  本日の委員会では、地域科学技術イノベーションと高等教育との関係について、主に委員の皆様の御意見を頂戴したいと考えておりますことから、まず議題1において、先月26日の第119回中央教育審議会で示されました、2040年に向けた高等教育のグランドデザインの答申や、その関連資料につきまして、特に本委員会に関連する箇所を中心に、高等教育局高等教育企画課高等教育政策室の石橋室長より御発表いただきます。石橋室長からは30分程度で御発表いただきました後に、10分程度、質疑応答の時間を設けますので、委員の皆様からの御質問を頂戴いたしたいと思います。以上です。
【須藤主査】  それでは、石橋さん、お願いします。
【石橋室長】  失礼いたします。今、御紹介いただきました高等教育政策室長の石橋でございます。今日はどうぞよろしくお願いいたします。座って失礼させていただきます。
 まず、スクリーンにも出ております概要に基づいて概略を御説明させていただいた上で、答申の本文から今日の議題に資する観点をかいつまんで御説明するとともに、現在、高等教育の関係で動いていることを御説明させていただきたいと思っております。
 資料1-1の答申の概要をご覧ください。中央教育審議会では、少し先の未来である2040年を見据えて、高等教育のグランドデザインについて議論がございました。平成29年3月になされた諮問「我が国の高等教育に関する将来構想について」の内容を踏まえまして、約1年8か月にわたり議論が行われてきたところでございます。
 なぜ2040年なのかとよく聞かれます。現在の教育振興基本計画が大体2030年ぐらいを目途としていますし、学習指導要領の改訂も2030年というところが一つの区切りとなっておりますが、その先、高等教育に育ってきた子供たちを受け入れていくことを考えていきますと、さらにその10年後、やはり高等教育というのが一つの完成形を持っていかなければいけないだろうと考えておりまして、2040年という一つの区切りの年にしているところでございます。
 また、加えて、今年生まれた子供たちが22歳になるのが2040年でございまして、そう考えますと、少し先の話ではありますけれども、今いろいろなことを着手していくことで、予測不可能な時代を生きていく子供たちが高等教育を修めていくときに、高等教育が理想の形になっているかということを目指していく必要があるかと思っております。
 大きく柱が4つある中で、今回のポイントは、学修者を大事にするという教育へしっかりと転換していこうとするものです。もちろんそれぞれ一人一人に合った教育というものがこれまでも模索されてきておりますけれども、特に人口減を迎えていく中では、その観点が大事になってくるのではないかと考えております。
 その中で、文理横断的なことを考えていかなければならないのですが、それは高校教育においても普遍的な知識・理解と汎用的技能を文理横断的に身に付けていくということで、必要とされる人材像の枠囲みの中に入れておりますけれども、そういう人材をきちんと育てていく必要があるというところでございます。
 また、「何を学び、身に付けることができたのか」ということ、個々人の学修成果をいかに可視化するかということも、学修者本人の学びにとっても大事であり、社会がそういう人材を受け入れていくときにもその一人一人の能力を最大限に生かして、社会で活躍していただくことを考える上では重要ではないかと考えております。
 右側に、「高等教育と社会の関係」という整理をしております。この会議との関係で申し上げますと、「産業界との協力・連携」、「研究力の強化」「産業界との協力・連携」、「地域への貢献」、また、その上の「知識の共通基盤」というところも関連していくと思います。新たな社会・経済システムをいかに提案、成果を還元していけるか、また、イノベーションの創出、科学技術の発展にいかに寄与するか。産業界との協力・連携、そして、特に地方創生ということを考えたときに、地域へどう貢献するかということは、高等教育と社会との関係上、非常に重要であるということもまとめられているところでございます。
 具体的な中身は、その下になりますが、教育研究体制ということでは、多様性と柔軟性をしっかりと確保していくために、学生、教員、それから、教育プログラム、そして、またガバナンスも含めて、多様性ということが強調されています。特に多様な強みをそれぞれきちんと持つことで、それぞれの機関が強くなり、連携ということにもつながっていくだろうと考えております。
 それから、緑の部分は、教育の質保証と情報公表というのが大事であるというところです。それから、その右側は、地域における高等教育をいかに確保していくかという観点でございます。
 2040年の推計は、現在、18歳人口が120万人でございますが、これが約88万人ぐらいの規模になり、大学進学者数は、進学率が多少上昇したということを考えましても、大体80%の規模となる。こういう中で、特に地域においてそのままにしておくと、恐らく高等教育機関が、この18歳人口減によって小さくなる。しかし、なくなってしまうというようなことにならないように、地域における高等教育をいかに充実させていくかということも、この答申の中では大きな主眼として掲げているところでございます。
 こういう観点が答申の中に盛り込まれておりますが、こちらの会議の議論と近いところがあると思っておりまして、具体的な記述を見ていただければと思います。
お手元の冊子資料1-3の10ページをご覧いただければと思います。2040年の社会の方向性というところで、地方創生が目指す社会というところで書かせていただいておりまして、人口減のところがありますけれども、地域において、AIやIoTの技術、ビッグデータの活用が進むことによって、資本集約型から知識集約型にシフトしつつある社会の中では、地方、地域というものが一つの拠点になり得るということを書いております。
 また、個人の価値観を措置する生活環境を提供できる社会ということを考えていけば、地方創生という観点は非常に重要であるということは、この部分で述べているところでございます。
 また、13ページをご覧いただければと思いますが、地域との連携ということで、先の地域、地方における考え方を踏まえた上で、高等教育がそこに対して、やはり人材育成機能、それから、研究機能とともに、地域を支えていくことができるのではないか。特にリカレント教育というものを地域においてもどう展開していくかということも考えていかなければならないということが13ページに書かれております。
 39ページをご覧いただければと思います。地域における高等教育ということが書いているところでございます。この後、関連資料でも御説明いたしますが、都道府県別の進学動向や学部の配置状況などを地図上でマッピングすることを今回実施いたしました。
 そのようなことも踏まえ、40ページでは、国が提示する将来像と地域で描く将来像ということで、地域においても、やはりどのように高等教育を活用していただけるのか。また、どういう人材育成が必要なのか。そういうことをきちんと御議論いただく場が必要なのではないかという整理をさせていただいています。
 パラグラフでいいますと、2つ目、「この場合に」というところが書いてありますが、中教審の答申の中では、地域の単位は、各高等教育機関が結び付きの強い地域を中心に、歴史や文化に裏打ちされた、経済圏や生活圏といった関わりや、昨今の国際化の状況も踏まえて捉えることが適切であるということを書かせていただいておりまして、どういう地域で考えるのかということは、それぞれの地域によって違うと考えます。ただ、それまで作ってきてくださった関係性ということを留意しながら考えていく必要があるという整理にさせていただいております。
 その後、具体的な方策という、その41ページの四角囲みを見ていただければと思いますけれども、例えば、複数の高等教育機関、産業界、地方公共団体との恒常的な連携体制の構築である、地域連携プラットフォーム(仮称)の立ち上げや、その下ですけれども、これは高等教育機関の方ですが、国公私立の枠組みを超えて連携をするような大学等連携推進法人、こういうものを考えてはどうかという提案をさせていただいております。
 続きまして、資料1-2の関連資料をご覧いただければと思います。まず関連資料でございますが、これは地方大学の振興ということで、今、文部科学省全体で取り組んでいる事業について、関連資料の2ページ目で整理をさせていただいております。基盤の経費となります国立大学法人運営費交付金や、私立大学等改革総合支援事業などで、地域における高等教育の発展というものをお支えしているとともに、COC事業、それから、地域イノベーション・エコシステム形成プログラムなど、このような形で、地方大学を応援しているというのが今のまず現状ですということで整理をさせていただきました。
 めくっていただきまして、国公私を通じた大学の連携・統合ということで、先ほど地域連携プラットフォームや、大学等連携推進法人のお話を冒頭させていただきましたが、具体的には、地域連携プラットフォームにおいて、それぞれのデータも含めて、その地域における大学の規模や分野、配置の在り方や、卒業生の地元定着を促進するようなマッチングなど、地域の教育研究・文化拠点としての役割をここで御議論いただきながら、地域における高等教育の充実と、それによって役割を果たしていくということを考えていかなければならないと思っております。このガイドラインは、今後、文部科学省の方で検討させていただいて、御提示させていただこうと思っているところでございます。
 さらに、大学等連携推進法人のイメージでございますが、国公私の枠組みを超えて連携するのに難しい部分もございますが、まずはこの緩やかな連携の形で、大学等連携推進法人というものを作ってはどうかということを御提案させていただいたというところでございます。
 具体的には、4ページをご覧ください。ここに書いてあるようなイメージで、この一般社団法人という形なので、非常に緩やかな形で、地域の様々な方々に御参加いただきまして、どういう形で連携をしていくのかということを地域とも協議しながらやっていただくことを考えております。そのときは文部科学大臣が認定するような形で、例えば設置基準上の規制緩和ができるようにするなど、来年度、検討し、制度化を進めていきたいと思っているところでございます。
 それから、5ページ目からは参考ですが、先ほど申し上げました県ごとにデータを整理した事例をお持ちさせていただいております。この資料の県データは、この会議でいろいろと御議論やヒアリングをされたような県を中心に抽出させていただいておりますので、御参考にしていただければと思います。このような高等教育に関する基礎データにより、どのような学部が各県、また、地域の中にあるのかということを御理解いただいた上で、産業のマップなどとも重ねて考えていくと、更に深い議論になるのではないかと考えており、各県や地域の中で、プラットフォームの中で御議論をいただいて、データに基づいてどういうふうに高等教育を維持、発展させていくかという議論を地域の中でもしていただきたいということで、御提案をさせていただいているものでございます。
 長野県、静岡県、三重県、石川県、福井県、兵庫県、徳島県、福岡県の状況などをお持ちさせていただいております。
 残りのお時間で、これは中教審答申とは離れるのですが、国立大学改革の状況について御説明をさせていただきます。
 17ページをご覧いただきますと、国立大学法人の法人化以降の流れということで、特に地域における地方国立大学の役割というものは、我々としてもきちんと役割を果たしていかなければならない存在だと思っておりますし、更にどういう形でやっていくのがいいのかということはずっと議論がされているところではございますけれども、第1期、第2期、第3期、中期目標期間の後半戦ですが、特に予算においては、地域に根差した大学に対する予算の配分の仕方も含めて、この重点支援枠などを作ることもをやってまいっているところでございます。
 今後でございますけれども、18ページを見ていただきますと、今回の中教審答申の動きの流れも踏まえまして、国立大学の方では、今の状況としましては、この中教審答申が出たというところでございまして、国立大学の在り方については答申の抜粋を記載しております。国立大学は高等教育をリードしていくという役割を持っておりますので、特にどのようにこれからやっていくべきかということを国立大学の改革方針の中で出していくということで、国立大学法人法の一部改正では、一法人複数大学など4つの御提案が出てきているところでございます。例えば名古屋大学と岐阜大学の連携の例なども含めた法改正のほか、経営と教学の機能分担なども含めた大学ガバナンスコードというものも年度内に策定していくということで動いていくというところでございます。
 もう一つ、国立大学の改革で大きく取り組んでいるのが、国立大学法人等の人事給与マネジメント改革の推進というところでございまして、年俸制など、現場では大変な思いをして考えていただいているところではございます。教員の方々がモチベーションを持って向上していただきながら、教育研究力の伸長をしていくことが非常に大事でございます。この人事給与マネジメント改革のポイントは、やはり頑張ってらっしゃる先生方を応援するという形で、きちんとした業績評価を入れて、給与にもそれを反映させていくということがまずもって一番大事であると思っておりまして、年俸制やテニュアトラック制、クロスアポイントメントなどの方法も活用していただけないかというところでございます。
 実際の給与体系を変えていく仕組みとしては、年俸制ということを考えていくことがやりやすいのではないかということで、この全面導入ということを目指して、段階的にやっていくということとなっております。このような人事給与マネジメント改革も、運営費交付金との連動も含めて取り組んでいただければというふうに考えておりまして、下のような形で進んでいるというところでございます。
 今の資料は以上でございますけれども、今回、中教審答申がまとまっていく中で、地域における高等教育の在り方というのが非常に大きな柱としても議論されました。そのときに、大学の役割は、こちらで御議論いただいているように、やはり研究力の部分をどう地域とつなげていくのかというところもあります。一方で、人材育成という教育の部分をどう地域とつなげていくのかというのは、両輪であろうというふうに考えております。このような考え方の中で、どういうふうに連携をしていきながら、高等教育局としても、高等教育の部分と、こちらで御議論いただいている科学技術力、研究力というものをどのようにブリッジしながら、各大学の取組を進めていければいいのかという観点は非常に大事であると思っておりますので、本日御説明させていただきました内容を踏まえ、この会議におかれましても御議論いただければありがたいと思っております。
 説明は以上とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
【須藤主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの石橋室長の御発表について御質問等ございますか。はい、どうぞ。
【林委員】  すみません。林ですが、イノベーションの議論をしていますと、やはり国際競争力をどう確保するかということが何回も議論に上がるんですが、同時に、国立大学の世界的な位置付けは相対的に下がっているということは、これは否めないと思いますね。そうしますと、こういう将来にわたって国立大学、高等教育の中心となる機関の競争力をどうやって維持するのかという議論が、この地方は重要ですよという議論の中で、どのように議論されてきたんでしょうか。少しありましたら御説明いただければと思います。
【石橋室長】  ありがとうございます。中教審の中では、国公私全体の議論を中心にやっておりますので、今回は、いつもと比べると国際展開よりも地域の方に少し振れた形での議論だったようにも受け止めてはおります。
 ただ、一方で、今回もっと、海外展開みたいなところをもう少し考えていくべきではないかというような議論は、中教審の中ではありましたが、特に国立大学を取り上げてということで申し上げますと、国立大学に関しては、これまでの取組の中で、例えば指定国立大学法人の制度や、予算の配分の仕方でも3つの類型に分けて、その3つ目の第3類型になるところにおいては、やはり世界に伍していく大学としてやっていってもらうための予算の配分などの取組をしてきておりますので、その流れは恐らく変わらないと思っております。
 これも踏まえて、先ほど御説明いたしました国立大学改革の方針というものの中で、国際的に頑張っていくところ、それから、地域でしっかりとやっていただけるところ、また、それぞれ例えば芸大のように、その部分に特化して、専門性を持ってやっていただけるところ、それぞれを伸ばしていくというような形で整理されるのではないかと思っております。
【林委員】  そうしますと、それぞれの地域とか大学にある程度の役割分担が生じるという理解でよろしいですか。
【石橋室長】  はい。そのような方向で今、国立大学改革は進んでいるという状況でございます。
【林委員】  はい。ありがとうございます。
【須藤主査】  ほかにありますか。
【西村委員】  少しだけ。そうすると、役割分担という中で、ただ、国立大学は今まではスペックはちょっと、地方大学もそうなんですけれども、小さい金太郎飴みたいな感じで、全部そろっていますと。先生方の意識もそれがあって、私は三重大学なんですけれども、地域を見る、地域を通してということなんですけれども、やっぱり地域ということを言うと、私たちはもう世界を見ないのかと言う先生たちもいて、何かこうなっちゃうんですよね。でも、私は、その立ち位置によって、その地域を通して世界を見ることもできるし、本当にもう最先端の研究で見るところもあるので、それぞれの先生の特質によって変わっていくんだと思うんです。そうすると、恐らくそうなって、3分割、3つの役割に変わっていくのであれば、流動性ですよね。教員の流動性と最適配分、配置みたいなことも多分必要になるし、それに必要な人材育成的な、大学教員に対してのリカレント教育的なことが恐らく要ると思うんですけど、何かそういうこともお話し合いというか、なったんでしょうか。
【石橋室長】  ありがとうございます。非常に重要な観点だというふうに思っておりまして、今回やはり具体的にその国立大学だけを取り上げた議論ではなかったのですが、我が国の教員の流動性の低さというのは問題だというふうに、中教審の議論の中では明確になっておりました。流動性をきちんと確保していくという言い方でしかないのですが、そのような文言も答申に入っているというところでございます。
 具体的にどうやっていくかについては、まだ模索しているような状況ではありますが、今回の人事給与の仕組みを整えていくのも、まさにほかの機関に移って、働きやすくしていくということも念頭にありますし、やはり今、先生がおっしゃっていただいたように、それぞれの機関の役割とそれぞれの先生がお持ちの強みというものが、一致する場合もあるでしょうが、一致しない場合があったときに次のところでまた御活躍の場を広げていっていただく。そういうふうに、日本と世界とをフィールドにして、先生方が御活躍される中で、それぞれの機関の役割というのも整理されていくということは必要ではないかと思っております。
【須藤主査】  はい、どうぞ。
【福嶋委員】  スライドの3ページ目の地域連携プラットフォームという、これの役割と、あと、どういったことを具体的にされることを期待されているのかについて、ちょっとお伺いしたいと思います。
【石橋室長】  ありがとうございます。これの趣旨は、高等教育がどうしても国が予算措置等をしていることから、地方自治体の方々から見ると、なかなか一緒に議論がしづらい部分もあるというようなお声も頂くことがあります。一方で、最近の地方創生の議論の中で、大学も地域に出ていることもありますし、地方自治体からもお声が掛かるということも加速されていると思います。恒常的にこのような議論できる場というものを設定していく必要があるのではないかと考えております。
 ただ、先生方御案内のとおり、いろいろな形で会議体ができておりますので、新しく会議体を作るということよりも、今ある会議体を生かしていただきながら、ここに書いてあるようなことを踏まえた議論をしていただき、その地域には高等教育がどれぐらい必要で、どういう専門分野があった方がいいのか、若しくは今後こういう分野をやはり誘致してきて、そこで作っていかないと次の産業が生まれないかということや人材育成など、その地域で一体となった議論をしていただける場を常時持っていていただくような仕組みにできないかというイメージでございます。
【福嶋委員】  議論の場とするための何かこう、組織を作るということですか。
【石橋室長】  まずはそう考えております。
【福嶋委員】  そうですか。はい。
【須藤主査】  これ、一般社団法人にするというのは一つのアイデアだと思うんですけども、一般社団法人なんですか。
【石橋室長】  プラットフォームは特に一般社団法人にする必要はないと考えております。
【須藤主査】  その一つのやり方ですよね。
【石橋室長】  一つのやり方として、機関が連携する場合という意味において、この一般社団法人というやり方を御提案させていただいています、これは厚生労働省で考えておられる地域の医療機関の連携がこのような形を取っておりまして、それを参考にさせていただき御提案させていただいたものです。
 一般社団法人であれば、それぞれの大学なり、研究所というのはそのまま存在した形で、一緒にやる部分をこの連携法人の中で考えていただくというイメージになりますので、非常に緩やかな連携だと考えていただければと思います。
【須藤主査】  何か新しいアイデアが出ているようですけれども、多分この委員会でも議論になるのかなという気がしますけど。ほかにございますか。
【林委員】  緩やかな連携と何回もおっしゃるんですけど、緩やかなということに何か背景があるんですか。何か抵抗する勢力があったり、その既得の領域を守ろうとしている、何かそういうのが2040年ということを見ているのに、おっしゃるのにちょっと引っ掛かるんですけれど。すみません。
【石橋室長】  いえ、ありがとうございます。国公私を超えた連携ということを考えていったときに、恐らく2040年の姿を見ると、もしかしたら、国公私という役割がもう少し変わっていて、それぞれがまた4の類型のようなものも、今だと国立、公立、私立しかありませんけれども、昔はそれが国公私という役割だった3つの大学が一緒になって、別の類型の形の大学ができているという可能性はあるのではないかと思っております。それが最後のゴールとしても、まずは緩やかに連携をしていくことから始めればと思っております。例えば私学は建学の精神がありますし、国公私それぞれいろんな歴史的に作られてきた背景を持っていますので、今その三者が一緒になって何かやるというのは、こういう形から始めていく必要があるではないかというところで、緩やかなという言い方をさせていただいたところでございます。
【須藤主査】  はい、どうぞ。
【松原委員】  この図もそうなんですけれども、何ていうんですかね。確かに人口減少社会の中で縮小せざるを得ない部分があるんだけど、やっぱり事務の共同実施であるとか、かなりコスト削減的な、守りのイメージが強いんですけど、その前の地域連携プラットフォームあたりをどう生かしていくかということにもよると思うんですけれども、希望としては、2040年、暗いイメージではなく、明るいというか、攻めていくような方向性ももちろんあるだろうとは思うんですけれども、バラ色の夢を描くのはなかなか難しいかもしれないけれども、やっぱりこういうところは大事だというところで、しっかりと地域に根差したような形での、今回のこの地域科学技術イノベーションの推進委員会とも合うところだと思うんですけれども、やはり地域連携プラットフォームを言葉だけではなくて、また、イメージだけではなくて、しっかりとした形で、地域に根付かせるというか、根付いている部分もあるので、そこを更に伸ばしていくという、そういうような形で捉えていく必要があるのかなというふうには思っているんですけど。
 地域大学、地方大学の地方創生のようなプロジェクトの中でもやっぱりいろいろ課題は見えてきた部分があるかと思うんですけれども、とりわけやっぱり自治体ですね。今回のテーマでもあるんだけれど、自治体の方でそういう大学イノベーション、こういったようなところ、産学連携はいいんだけれど、その自治体の絡み方というのがやっぱりまだまだ弱いところが多くて、そういう面ではしっかりとした、自治体の方でこういう地域科学技術イノベーションを位置付けていただくといったような、攻めの仕方もいろいろ、3つ平等であることは大事だとは思うんだけれども、力の入れ方も地域性もあるとは思うんですが、しっかりとして、是非ここを攻めの切り口にしていただけないかなと思います。以上です。
【石橋室長】  ありがとうございます。この議論をしているときも、現実としてデータを出すと、どうしても暗い印象になってしまうので、それをどう明るくするかというのを事務局としても苦心したところではあるます。おっしゃっていただいたとおり、やはり何を攻めにしていけるのかということはよく考えなければいけない中で、日本の多様性である地域をどういうふうに元気にしていくのかというのは、今、地方創生の議論も含めて、もうそういう方向で来ていると思います。
 今回、まだイメージしか私は御説明できなかったのは、実際やはり地域でいろいろ展開されているものをもう少しきちんと文部科学省としては把握をした上で、ガイドラインにするなり、次の施策につなげていくことをしなければいけないと思っておりましたので、こうだと決めるということよりは、もう少し地域の状況をより細かく把握しながら考えていきたいと思っておりますので、これからの我々の仕事としては、実際にプラットフォームができているところのグッドプラクティスをきちんと整理をして、ほかにできていないところはどう地方自治体等に乗り気になってもらうのか、そういうきめ細やかな御支援ができるような形で持っていく必要があるのではないかと思っております。
【松原委員】  よろしくお願いいたします。
【須藤主査】  ほかにありますか。
【加藤委員】  皆さんが御意見を言っていたのとあんまり変わらないのかもしれないんですけど、これは本当に必要なのかなというのを率直に、この推進法人とか、法人なりにする必要がないんじゃないかなというのは率直に感じています。イノベーションを見出すためであれば、これは研究所と大学だけ、同じ同分類の人たちが集まってもイノベーションって起こりにくいかなと思うので、今あるいろんな地域の、それこそ事業体、いっぱい、もう既にありますので、そこがきちっと一つにまとまるというところの方が早いのかなというふうには思います。
 民間企業からすると、本当に大学の先生たちと会話が成り立たないというところが一番イノベーションが起こらない根本じゃないかなと思いますので、そこをどうクリアしていくのかというのは大学だけ連携しても多分無理なんじゃないかなと思っています。
【石橋室長】  ありがとうございます。シュリンクをイメージし過ぎではないかとの御意見でしたが、事務の共同実施であったりとか、同じ機関間の連携を念頭に置いているので、委員御指摘のようなイノベーションということを考えますと、同じところだけで集まっても動かないのではないかというのはそのとおりだと思っております。これは一つの、こういうことをやった方がやりやすいのではないかというところで使っていただく。
 今回の科学技術のテーマとは外れますけれども、例えば大学は、設置基準というところの中で、自分で自分が卒業単位を出すべき科目を全部準備しておかなければいけないというような、そういう制約がございます。例えばこういう法人格を作れば、そういう部分の規制緩和をするなどを考えていたものですから、このような少し大掛かりなものを作ったような状況でございますので、それが全てに適用できると我々も思っているということよりは、教育面若しくは事務などの共同実施の中にこれは法人として使っていただいてはどうかという御提案でございます。
【金子委員】  加藤さんがおっしゃったイノベーションというところと、もう一つの面として、やはり大学としての教育というところと2つの側面があって、こういう形を作っていくということが、教育の面で役立つとともに、それがイノベーションにも役立っていけば、さらに有意義な形になるということをイメージされているような感じがいたしました。ただ、この形を作るためには、各地域で何を強みにし、どういう教育をして、どういう産業と結び付けていくのかという大きな絵を描くリーダーシップがないとうまくいかないと思います。やはりそういう視点で考えられる存在として、自治体が大きな力を発揮していかないとうまくいかないのではないかなという感じがいたしました。
 そういう意味では、文部省さんも含めて、自治体側にメリットを感じてもらえる、大学側にもメリットを感じてもらえる、そして、企業の側にもメリットを感じてもらえるような形を、うまく見せていけるかどうかというところがポイントになってくると思います。先ほど各地域の状況とか事例を集めてという話が出ましたが、グッドプラクティスを見せていただきながらやっていただけるとありがたいなと思います。
【石橋室長】  ありがとうございます。おっしゃっていただいたとおりではないかと思っておりまして、地域によってどこがスイッチなのかが私たちもやはりまだ把握できていない。それが自治体が力があってそういうふうにまとめてくださるのか、場合によっては、既に産学連携があって、そこからやっていった方がいいのかとか、それぞれの地域でいろんな事例があると思っております。これも県だけじゃなくて、市町村でやっておられる場合もあると思いますので、我々が把握している例は、共愛学園前橋国際大学という大学で、前橋市との連携のもと、群馬大学やほかの公立大学にもお声が掛かって、そこでプラットフォームを既に立ち上げておられるような事例や、岡山の美作の地域では、小さな私学ですけれども、美作大学が頑張られて、地域の市町村との連携のもと、人材育成をされている事例もありま。また、和歌山大学からは、県域を超えて、大阪府の南の方と連携をするというやり方を選ばれた事例など、いろいろな形で我々に届けていただいています。そのような事例で、ほかの地域が使いやすいようなものをどう広めていくのかということ、我々の仕事ではないかと思っているところでございます。
【須藤主査】  はい、どうぞ。
【西村委員】  少し話題が変わってくるかも分からないんですけど、資料1-2の後ろの方の18ページぐらいに、今後の国立大学の展望について、「経営改革」となっていて、さっきの話題にも結構通じるんですけれども、結局、大学が何かをやろうとするときに、どうしても方向性を変えにくいところがあります。その大きなところが多分、ここにきちんと書いてある「経営と教学の機能分担」。逆に言うと、これは完全に分けるというやり方もあるかなと思っていて、今は、ちょっと話が違ってくるかも分からないですけれども、例えば教授会組織があって、そこがある程度、個の単位の、学部単位のガバナンスをやっていると。その集合和みたいなもので大学を動かしているんですけれども、じゃあ、どっちが全体のことを考えるかといえば、教育から入ってきて全体を見るような傾向が、教授会があるとどうしてもなってくる。
 そうすると、じゃあ、それと地方の、例えば行政の方針と合わせられるかというと、ここに相当大きな乖離があってくるので、恐らく先ほどのような法人を作ったとしても、大学執行部は、それに対してはある程度コミットできるかもしれないけれども、それを実際に落とし込むときに、どうしても教学と経営との力関係というか、バランスがやっぱりどうしても機能しないんですよね。となると、本格的な経営と教学の分離を考えて、教学に対する指令権というのは、命令とかそういうのはあんまりよくないとは思うんですけれども、やはり大学とはどういうものなんだという、その大学の特徴を出すような。
 ちょっと言い方が悪いけど、僕は、大学というのはテナント業みたいなものかなと最近思っているんですけれども、例えば私たち三重大学というのは、三重県の地域と連携して、この産業分野と、ここの人材作りをするんだというふうな形のテナントとして、正確な、確実に勝ち抜くような経営体制を取って、経営方針を立てたとしたら、そこに対して教学の方を合わせていくような形での分離と再配置ができると理想なんですよ。でも、現状、そこまでは行かないというのが今までの成り立ちの大学の在り方だとしたときに、本気でそこに踏み込むようなことをね。例えばこれは31年度となっているので、この経営と教学の機能分担というのはどこまでやられるのかなというのは、実はちょっと関心があったので聞かせていただきました。
【石橋室長】  ありがとうございます。これも今、公開で議論をされていることですが、先ほど申し上げました、一法人複数大学制度の中では、当然、例えば名古屋大学と岐阜大学の上に東海国立大学機構というような、そういう新しい法人ができる。その下に大学がぶら下がるというのが、この一法人複数大学の仕組みでございます。
 それは何が一番大きなことが起こるかというと、まさに経営と教学が分離されると。大学では教学面を見るけれども、その機構では経営面を見るというふうに考えられますので、この法人法をこれで改正するということになりますと、一つ、今、西村委員がおっしゃったような形が実現されていくということになります。これを今の一法人一大学である、例えば三重大学がお取りになるかどうかということは、今まではそれが基本的に一致していましたので、取れないというのが法人法の仕組みですけれども、そこも大学の選択で選べるようにすべきではないかという議論が行われているところでございまして、これは国大協の方からも、そのような要望が出ているという中で議論をしていますので、有識者の先生方の御議論がそのようにまとまれば、そういうことも可能になるという法改正に持っていくということになるのではないかと思っております。
 そうすると、今、委員御指摘のような、経営と教学の役割分担ということができるということを選択可能になるということなので、一気に全ての大学がそうなるということよりは、それぞれの大学でまずは御判断いただくという流れかと思いますけれども、今できなかったことがそのようにできるような仕組みを考えていくのはどうかというのが、今、議論されているところでございます。
 一方で、おっしゃっていただいたとおり、やはり歴史的な経緯を考えますと、教学の方から考えて、経営がどうなるかというのが流れだったとは思いますので、そういうことを大事にしたいという大学もおありだと思います。ここは、それぞれの大学のお考え、まさに経営方針の中でどうするかということで、お決めになっていただけるような仕組みを取れればいいのではないかと考えているところでございます。
【須藤主査】  今のお話しは最近よく新聞に書かれていることですよね。昨日か何か載っていましたよね。
【石橋室長】  はい。昨日です。
【須藤主査】  じゃあ、もう一つだけ。はい、お願いします。
【串岡委員】  ここにはダイナミックなイノベーションを起こすということで書いてあって、中身を見ると、どちらかというと、地域連携で事務を統合しましょうというような形で、なかなかダイナミックなイノベーションのイメージがなかなか湧かないなというのを今、直感的に思っています。私は広島で、広島大学と広島県と、例えばマツダさんというふうな、産学官が連携するのはどうするかというイメージがあるとすれば、例えば、マツダはBMWを超えると言っていますけれども、じゃあ、バイエルン州とミュンヘン工科大学とBMWの連携というのが具体的にあります。もちろん都市構造が違ったり、バイエルン州政府がいて、その経済省があったり、デジタル省があったり、教育省があって、そこで一元的に大学政策が行われて、産業政策もやられているから、こちらとは、違うわけですけれども、一つの例で、来月、調査する予定ですが、例えば連携で言うと、ミュンヘン工科大学とミュンヘン大学がそれぞれのベースであるテクノロジーとマネジメントが得意だから、連携して、先端デジタルテクノロジー・アンド・マネジメントの人材育成みたいなことを地域でやっている例があります。恐らく、例えば広島大学と県立広島大学のマネジメントがそういったものがあるのかなということを私どもとしては思っているんですけれども、何か前向きな事例について、ローカルのレベルでもいろんなものがあって、確かにさっきおっしゃったような群馬とかいろんな事例もありますけれども、もっとグローバルに展開しようとしているような事例も是非御紹介していただきたいなと思いました。
【石橋室長】  ありがとうございます。そこはまだ私も取材が十分ではありませんが、実際やはり今おっしゃっていただいたように、ここにダイナミックなイノベーションと書いて、そうではないのではないかと言われると、確かに弱い部分がまだあるのではないかと思います。一方で、高度連携型のようなこともあるのではないかということで、事例としては出させていただいていて、例えば医療イノベーションや、大学と研究所による新しい文理を超えた共同研究などはどんどん進めていかなければならないと思っております。
 なかなか国公私を超えて、そこまで国際的に出ていくような例というのはまだ少ないのではないかと思いますので、こちらもそこは取材し、集めさせていただいて、発信させていただきたいと思っております。

【須藤主査】  ありがとうございました。まだあると思いますけれども、この後、自由討議に入りますので、そこでまたお願いします。
 とりあえず一旦ここで、この議題1は終わりにしたいと思います。石橋室長、どうもありがとうございます。
 それでは、次の議題2に入ります。今までの御発表を踏まえつつ、地域科学技術イノベーションと高等教育との関係について議論したいと思います。
 まず議論に先立ちまして、事務局の方で、今日の自由討議での委員の皆様に、特に議論していただきたい点、これは4点ありますので、まとめてもらっています。その辺を事務局から説明していただきたいと思います。
 併せて、前回の委員会の議論についても報告させていただきます。じゃあ、よろしくお願いします。
【生田室長】  ありがとうございます。タブレット上に、まず前回の議論を振り返ってから自由討議に入る論点整理を説明させていただいた方が入りやすいかと思いますので、資料の順番が逆になりますが、資料2-2の方をまずご覧いただければと思います。
 いつもと同様、これは前回のものに赤字で追加をしていくという形を取っておりますので、赤字の部分が前回の概要というふうになります。かいつまんで、特に大学、本日は大学がテーマになりますので、それに関連する部分だけを説明させていただこうと思います。
 まず5ページ目のところでございますが、赤いところ、ここでは、大学だけではないかもしれないですけれども、日本では、なかなか一人の人間が全てをしてしまうという傾向があって、きちっと研究の専門家、知財の専門家、起業に関する専門家、そういった分業というものが海外に比べると、やはりなかなかできていないんじゃないか。そのような御議論が一つあったかと思います。
 そして、次の6ページ目に飛んでいただいて、ここはまさに先ほど来、御議論ありました赤字、2つ目のポツのところなんですけれども、全てを一つの大学の中で回すということではなくて、例えばブロック圏等を単位として、機能を補完し合った相乗効果が見込まれる大学同士の連携やネットワークの構築、このようなものも必要じゃないか、このような御議論も前回出ておりました。
 そして、8ページ目に飛んでいただきまして、枠囲みの中でございますが、前回はグローバルという観点とマネタイズの観点がございまして、グローバルの観点で、株式会社NTTデータから調査結果を御報告頂きましたが、これは日本とドイツの比較でしたけれども、日本では、特定の大学に教育と研究資源みたいなものを集中させてしまうけれども、ドイツでは、どちらかというと、教育は大学、研究はちゃんと研究所というように、これも機能、役割が明確になっていると、このようなお話があったかと思います。
 同じく8ページのマネタイズのところでございますが、これは寄附文化がない日本で、ふるさと納税を活用して、自治体が大学支援のファンドを作っている。このような例があるというお話があったり、また、地方大学では、大企業、特に大きな企業と組むと、そういう経験や文化が余り少ないけれども、今後そういったことを進めていくことも必要じゃないか。そのような御発言もございました。
 そして、少し飛んでいただいて、10ページ目、一番下のところでございますけれども、ここら辺からコーディネーターの話が前回かなりあったかと思います。
 一つはまずコーディネーターの存在、これは重要だということは当然否定することはないんですけれども、どこにそのコーディネーターさんを置くのが一番よいのかと。そして、また、その地域にやっぱり根付いた方が長期、短期間の任期付ではなくて、長期間でしっかり活動していく。それによってプロフェッショナルになることが理想だと。そういった意味で、三重大学さんの事例としては、コーディネーター全員がパーマネント職とされている、このような事例のお話もございました。
 そして、同じ11ページの一番下のところでございますけれども、ここはマネタイズの関連で、ベンチャーに関する御発表を科学技術・学術政策研究所からしていただきましたが、いわゆる大学発ベンチャーに関しまして、技術人材の確保ですとか、次の12ページ目に行っていただきまして、設備・機器の確保、こういったものはやはり創業時には大学ですとか、自治体の公設試とかもあるかと思いますので、そのようなところの貢献というのが非常に高いというような御発言があったかと思います。
 前回の振り返りは以上でございます。
 そして、早速、資料2-1の方に移っていただけますでしょうか。先ほど高等教育政策の動きということで御発表いただきましたけれども、本日は、まさにその高等教育というものの観点から科学技術イノベーション、地域の科学技術イノベーションというものを御議論いただきたいと思っております。
 まず枠囲みのところでございますけれども、中間とりまとめ、10月にセットさせていただいておりますが、その中では、地域の科学技術イノベーションを担う主体、一番大きいのは当然、大学と自治体だと思いますが、そのほかの企業だったり、当然、NPOだとかいろいろございますが、そのような主体がどう関係し合って、イノベーションが効果的に生まれていくか。それを考えていくに当たっては、それぞれに期待される役割というものを考えていく必要があるというような記載をさせていただいております。
 そして、ここで頭の整理なんですけれども、地域科学技術イノベーションを生み出す源泉、いわゆるエンジンとなるものを3つに分解してみてはどうかと。これは別に新しい発想でもないとは思うんですけれども、いわゆるヒト・モノ・カネ。特にやっぱりモノという。ここでモノという言い方がいいかどうかはあれなんですけど、地域の固有の歴史とか文化とか風土とかそういったものに根付くソフト的な知識というのもあるかと思いますし、一方で、大学等が持つ先端的な設備と、本当のハードのもの。そういったものもこの中にはあるかなというようには思っております。
 そして、カネとヒトに分解した上で、その「エコシステム」というのは、当然この3つの源泉、3つがうまく持続的に回り続けるための仕組みであろうと。そういった意味で、ここからの議論を、この4つ、地域資源、資金、ヒト、エコシステムに分けて御議論をいただくために、ちょっと論点をそのように整理をさせていただいたのが以下になります。
 まず地域資源のところでございます。これは中間とりまとめの中でもいろんな記載をさせていただいておりましたが、一つは、いわゆるシーズプッシュ型とニーズプル型、このようなお話があったかと思います。当然、地方創生に寄与するという意味合いにおいては、大学さんが持つ、いわゆる研究シーズですね。そういうものを生かしたシーズプッシュ型もあれば、逆に、特に自治体さんの方の把握が大きいかと思いますが、地域の持っている社会課題をベースとしたニーズプル、こういうものがあるだろうと。この状況下においては、例えばそれぞれにおける大学の役割。これは当然、研究力の創出とかそういうのは当然あるかと思いますけれども、逆にその2つの型で役割に違いってあるんでしょうかというのを、これは論点として出させていただいております。
 それからもう一つとしては、地域ならではかもしれないんですけれども、イノベーションを生み出すプロセスとして、0から1を創る大学発ベンチャー型だけではなくて、地域にそもそもあるリソース、これを最大限活用して磨き上げる、1から100にする第2創業型。そして、更にオンリーワンを目指す。このアプローチがあると。
 これに関しても、先ほどと同様に、大学が果たすべき役割、若しくはそれぞれにおいて役割って違うんでしょうかということをあえて論点として出させていただきました。
 次の2ページ目のところでございますが、この最初のまずカネの部分でございます。ここについては、これも中間とりまとめの中で、いわゆる地域の大学における技術シーズの創出みたいなものを、単なるコストセンターではなくて、それによって新たな投資を呼び込むプロフィットセンターへ生まれ変わらせると。そのために大学に経済的価値の獲得に向けた強みを持たせる。こういうことが必要じゃないかと。そのためにはどのようなことが求められているでしょうかという問い掛けをさせていただいております。
 少し薄い字で書かせていただいておりますように、先ほどの中教審の答申の中でも、コストの可視化ですとか、財源の多様化等々出てきていると思いますが、このようなこと。または、ほかにもいろいろ考えられるかと思いますので、カネという観点から、この1点を論点として出させていただきました。
 続きまして、今度は人材の部分でございます。これは地域の、人材の関係、この委員会でもたくさん御議論いただいていたかと思いますが、少し2つに分けております。1つは、イノベーション活動を担う人材をいかに輩出し、いかにその方の能力をアップしていくか。もう1つの観点は、そもそもそういう方たちをどうやって地域、地方で確保していくか。この2つに分けております。
 最初の方の、いかに人材を輩出、そして、レベルアップを図るかということに関して、例えばイノベーション人材ですとか、昨今、デザイナー人材という言い方がいいかもしれないですけれども、そういう方をどのように育成していくか。また、その際に大学としてどのような役割を果たしていくべきか。
 それから、ここでリカレント教育と書いておりますけれども、ここの意味合いとしては、例えばもう既に社会人になった方のスキルアップをする。これは当然のことかと思いますが、それだけじゃなくて、やはり誰一人取り残さない社会じゃないですけれども、常に学び続けられる、誰もが学べる、そのような意味合いもあるかと思います。
 そして、当然ながら、人生100年時代において、学び直しというような意味合いも兼ねてのリカレント教育ではないかというふうに思っておりますが、あと、加えまして、アントレプレナー教育等々、大学として果たせる役割というのはいくつかあるのではないかと思っております。
 その地域でいかに人材を確保するか。これについては、やはり若手の人材が最終的に地元に戻ってきてくれないとまずいだろうということ。流動性の向上。それとか、そもそも産学連携とか地域貢献をする者がちゃんと世の中に認められなければならない。そういった意味で、研究者評価の視点、インセンティブをどう付与していったらいいのか。このようなことも論点として考えられるかなというふうに思っております。
 そして、最後ですけれども、エコシステムの形成。これが先ほど来のヒト・モノ・カネ、この3つを、このエンジンを回しながらうまく回転させていくための仕組みでございますけれども、そうするためにはやはり大学というのは、地域における中立的な立場であるという特徴を持っているかと思いますので、他の主体、自治体、そして、ベンチャー、中小企業を含む企業、そして、金融機関、その他、様々な主体をどうやってつないでいったらいいのか。どのように連携していったらいいのか。そういった観点で、先ほど御議論がございましたけれども、地域連携プラットフォームみたいなものもここに議論として関わってくるのかなというふうに考えてございます。
 事務局としては、このような形で、4つの観点に区切った形で、特に大学、高等教育という視点から、本日、御意見頂ければと思います。
 説明は以上でございます。
【須藤主査】  ありがとうございました。それでは、議論に入りたいと思います。4つに分けて議論をしてみたいと思いますので、最初は、モノのところですね。地域資源のところですけれども、あくまで大学という切り口で、この委員会は議論したいと思います。その辺をちょっと頭に置いていただいて進めたいと思います。はい、どうぞ。
【西村委員】  地方の大学なので、地域にある大学も一つの資源だと思うんですけれども、役割なんですね。今、地域がどうなっているか、一番熟知しているのは地方の大学であるとしたら、それがかなり意味があって、地域資源というのは多分、時代とともに、社会背景とともに変わってくるんです。昔の地域資源は、例えば人材を作って供給すればいいとか、あと、農業をやって、漁業をやって、地方に送っていったらいいというやり方が地域資源の使い方だったんでしょうけど、今ちょっと違ってきている中で、でも、地域資源はあるんですね。三重県でも南部の方には農業や漁業がある。ただし、そのときの流通のやり方を変えるだけで、昔のやり方と違う富の見方ができる。でも、やり方を変えるということができていないから、地域資源を生かせてないですよね。
 何が言いたいかというと、地域の社会変化を理解しながら、地域をしっかりと理解して、それを生かしていくというところに恐らく地方の大学というのは役割というのがあるような気がするんですよ。確かに東京大学のようなでかい大学とか、例えば特化したような芸大のようなところもあるかもしれませんが、地方大学の自由なところは、やっぱり地域と密着していて、社会の変化が地域の末端から表出しながら、今、出ているはずなんです。それをきちんと理解し、解釈し、それに合わせて最もいい解き方をしていくというのが、多分、今の時代の地方大学の役割かなと思っています。特に重要な役割だと思う。これぐらい時代の変化のあるときには。
 そうすると、やっぱりこの地域資源を生かすことに地域の大学が本当に機能しているのかという視点から、ここは大学の改革とか役割のもう一回の定義付けをしていくべきじゃないかなと思います。
 すみません。少し地域資源という形のこととはずれているかも分かりませんけれども、それを見るときの地方の大学の役割というのは大分変わってきている。だから、シーズプッシュ型なのかも分からないし、ニーズプル型かも分からない。いずれにせよ、地域理解力みたいなものが、さっきもちょっと言っちゃったんですけれども、地方の大学は意外とそこが抜けちゃっているんですよね。いつの間にか、自分たちは国立大学で世界を見ているんだと言っておきながら、実は自分たちの足場の中にものすごく、自分たちにとって有利ないろんな情報が転がっていたりとか、トライアルの場があったりとか、伸ばしていくためのいろんな素材があるのに、そことの見方ができていないので、今、大学の問題だとすると、この大学の中を変えていくときには、それに合わせるような形の大学改革が必要かなと思います。
 これはまた後で時間があったら言おうと思いますけれども、いずれにせよ、地方大学の役割というのは、そういうことが今はあるのかなと思っています。
【須藤主査】  今の地方の大学には、地元の地域の理解力というのはほとんどないんですか。
【西村委員】  ないですね。ないですねと言っちゃいけませんけど、ある方とない方がいらっしゃると。意外と長くいらっしゃる方の方がなくなっています。昔のやり方で行っても、俺たち、もうやることをやっちゃったから、今、いいよねみたいな。逆に基礎研究にガンガン入っているという先生たちがいらっしゃいます。後から新たに来た先生たちがフレッシュに地方を見ると、これ、おもしろいねと言って入り込む人もいます。そういうふうに、タイプがかなり分かれてきているなというのはちょっと感じますし、正直に言いますと、マジョリティは地域をあまり見てません。
【須藤主査】  3つの分類に分けましたよね。地方大学の重要なミッションじゃないかと思うんですけどね。
【西村委員】  いや、改革しようとして頑張っています。
【加藤委員】  いいですか。
【須藤主査】  はい、どうぞ。
【加藤委員】  それこそ静岡にいて、まさに、今おっしゃられたことを感じていますし、関係会社が宮崎にあるんですけど、宮崎大学と、その地域の一次産業、特に私なんかは農業ですけど、全然、何を言っても一緒に研究してくれないというのが農業現場の実際の声ですね。
 私、本当に大学の先生たちと最近交わることが多くて、先生たちって、ちょっとスパイ的な機能があるじゃないですか。どこでも結構入り込めて、上層部と情報交換とか、教授という名刺でいろいろできて、ああいう情報とか人間関係を地方に持ってきてくれる重要なアンバサダーみたいな機能が本当はあるんだけれど、そんな感じで、あまり地域と交わってくださらないので、一人のものになっているというか、地域には貢献できていない仕組みになっちゃっているのかなと。
 我々、それこそ、「think global, do local」と最近よく言われますけど、まさにそれで、今、日本の地方で起こっていることを解決すると、海外のどこかの国とか地域に役立つ何か発明が生まれやすい状況にあると思うんですね。それはまだ日本が豊かだから、先行して、課題解決するイノベーション的なソリューションを世界に先駆けて生み出すことができるラストチャンスというか、これ以上、下がっちゃうと多分解決方法が解決できないことになってしまうので、せっかくここで資源といって、地方にはそういう、本当にイノベーションの宝物があちこちいっぱいあるのに、そういう多様な視点を海外で、もしかしたら身に付けてくださっている大学の先生たちが地域の人たちと交わって、それをソリューションに、イノベーションに変えていくということができたら、それはもう、私から見たらおもちゃ箱みたいな地方ですので、何でもいろんなことが生み出せて、楽しい地方になるんじゃないかなと思っています。
【須藤主査】  ほかはどうですか。広島はどうなんですか。広島はどっちの分類でしたっけ。広島大学。
【串岡委員】  モノという話で考えますけれども、モノというと、大学に来ると、いろんな研究機器、分析機器がたくさんあるんですけれども、通常、地方の公設試なんかは多分開かれた開放型の施設ということで運用されていますけれども、大学の場合は、基本的には先生がプロジェクトに使うと。プロジェクトで使った後は何か放置されているケースも多かったりして、せっかく有用な研究機器、あるいは分析機器があまり開かれていないんじゃないかというのはちょっと思っています。
 実は、経産省でもいろんな補助金が、例えばものづくり補助金という形でいろんな形に企業に配るよりは、公設試に、みんなが使えるような分析機器が有用なんじゃないかという議論もあって、大学のそういう施設をもう少し開放型にできないかなというのはちょっと思っています。
 私が見た中では、金沢工大のCOIは結構企業に使われているとかですね。あるいはドイツだと、いろんなテストベッドだとかメーカースペースというものを作って、大学の施設でありながら企業が自由に出入りしているような、そのあたりはまだ日本ではいろんな共同研究講座だとかで、大学に入った企業は使えるけれども、そうでないと、なかなかそこに、昔から言う敷居が高いというのはそういうところにもあるのかなというふうな感じがしていまして。開放型のそういったものが大学でも整備して運用できるような予算も考えていただければありがたいなと。研究プロジェクトは確かに大事ですけれども、もう少しそういうふうな目線のものも作っていただければ、是非提案をして、設置をしていきたいというふうに思います。
【須藤主査】  はい、どうぞ。
【德増委員】  よろしいですか。すみません。地域資源という一つの観点からすると、今まではやはり地域資源を生かして、いろんなことを地域はやってきたんじゃないかという印象があるんですよね。産業政策の中でも地域クラスターという概念。地域の強みを生かして一つの産業集積をやろうと、その一つのツールとしては、産学官連携という言葉をずっと言ってきているんですけど、実際見るとなかなかこれが生まれてきていないような気がしていて、それで大学、文部科学省の方でも地域イノベーションというのをこの5年間やってはきているんですよね。
 ただ、それによって、どういうふうな地域の変化、変貌してきたかというのは、まだ見えてきていないなというのがある。それは何かというと、やっぱりこう、我々も大学の先生方と会うんですけど、どうも無理やり地域資源たるものを無理やりくっつけたような感じで、研究費欲しさにやっているようなものが結構あるなというふうな印象をちょっと持っていまして。もともと地域の資源という概念が先生方は分かってないんじゃないかなという気がちょっとしております。興味本位でやってきているなというような感じがしています。
 それともう1つは、そこを直すということは非常に難しいかもしれませんけど、そこは仕組み的にもっと地域社会との連携という中で見出してこないと、何かとんちんかんなというか、ほかのどこかを見ているような研究というのが結構あったので、そういう概念を少し変えるべきじゃないかなというふうに考えております。
 それからもう一つ、今、広島の、まあ、串岡さんが言ったんだけれども、共同研究の問題、一つのいろいろ研究室の中に、機械設備とか、共同でそれを使わせるというのが結構あるんですけど、やはり難しいですよね。その研究室の中に置いてあって、さあ、どうぞというわけにいかないというのがあって、それをやっぱりもうちょっとオープンな場所にというようなことをやった方がいいんじゃないかと。
 先ほど中央教育審議会のあの中にも入っておりましたけれども、宇都宮大学の新しいオープンスペースというか、環境というか、ああいうものが本当にあると、そこでいろいろ議論する場を持ってやってくる。そうすると、やはりその地域の資源というか、本当の地域の資源がお互いに議論のできる場所があれば、分かっていくんじゃないかなという気がしております。いずれにしても、今の中でやっている地域資源というのがよく見えていないなというのが印象的には思っております。以上です。
【須藤主査】  はい、どうぞ。
【松原委員】  地域資源イコール「モノ」というふうにされてしまっているので、ちょっと発言しにくいんですけれど、確かに私も大学で資源論と教えているんですけど、そのときに出てくるのは、例えば石炭であるとか石油であるとか、何かそういったような目に見える物材を資源ということでまずは取り上げたりするんですけど、最近のイノベーションに絡む議論だと、やっぱり目に見えないようなもの、技術とか、情報、技術、知識。今回、それは全くモノもカネもヒトは出てくるんだけど、情報、知識、技術は、イノベーションに直接関わるからあえてエコシステムのところで取り上げられるのかもしれないんですけど。
【須藤主査】  ここに入っているんじゃないですか。
【松原委員】  ここに入れているの?
【生田室長】  ええ。すみません。ちょっと説明が足りなかったんですけど、この地域資源のところに、ソフト的な知識だとか、あと、先ほどあった設備みたいなもの、両方読めないかなというふうに思っております。
【松原委員】  そういう広義で捉えるということであれば了解するんですけど、ただ、力点は、そういったモノというよりは、目に見えない技術とか知識、これが歴史的に蓄積されてきて、例えば先ほどの信州だと、信州大学の繊維学部であるとか、そういったところにずっとあったり、山形大学の米沢の工学部のところであるとか、何かそういうようなところをやっぱりイメージした形で、資源というふうに捉えるのも大事だと思うんですけど、経営、まあ、福嶋先生いらっしゃるけど、資産、いわゆるアセットとして、これをやっぱり地域の中に蓄積されてきたものとして捉えていくというのが重要なのかなと。それを生かしたイノベーションという方向性を是非打ち出していただけないかなというふうに思います。以上です。
【林委員】  よろしいですか。
【須藤主査】  はい、どうぞ。
【林委員】  この「地域の科学技術のイノベーション」という言葉の、このイノベーションというふうに入ってきているわけであって、地域資源が何かあるからそれで活動すればいいというものではない。結局、経済活動としてそこに成長するものができたという、その成長していくという現実が出て初めてイノベーションですから、そうすると、地方資源があるだけでは足りなくて、それを勝てるように持っていくこと。勝てるというのは、何に勝つかというと微妙なんですけれども、結局、何だろうな。あるからやるというんじゃなくて、勝てるからやるぐらいの感覚を持っていかないといけないんじゃないかなと思うんですね。
 じゃあ、地方でそれがやり切れるんですかといったら、小規模だとかいう議論もあると思いますが、ヨーロッパのイノーベティブな国々を見てみると、非常に小さいながらも一生懸命やっていますよね。世界的なレベルでイノーベティブだというふうにランクされる。これはスイスもデンマークもそうだと思いますけども、じゃあ、なぜなのかというと、やはりそこには彼らの危機感があって、彼らは取捨選択していると思います。自分たちは、これはやるけど、ここまでは余裕がないからできないからやらない。ここの弱いところも切り捨てた上で強いものを残すというようなことまでやっているから、多分強くなれているんじゃないかなと思うんですね。だから、あるから何でもやるという形だと、少し、結局は中途半端な、イノベーションになり得ないものがいっぱいあるという感じになる。
 じゃあ、これを地方に任せておいたらできないんですかというと、さっき言った危機感か出てくればできると思います。ここで大事なのは、中央として、文科省として、何をやって、何をやらないか。例えば平均的な資源を出したら、多分危機感はなくなっちゃうのでやらないとかですね。だから、ある意味、そこもメリハリを付ける。歴史的な背景があるからといって、何でも支えようと思ったら多分もたないと思うんですね。ここは結構厳しい選択みたいなものも必要になってくるんじゃないかなというふうに思います。
【西村委員】  絡みだと、キーワードの取捨選択というのはものすごく重要だと思っていて、さっきの前回の振り返りにもあったんですけれども、クラスターがなぜちゃんとしたクラスターになっていないかの中に、僕、分業だと思っていて、プロフェッショナル同士の分業が成り立たないから、結局どこかに、ちょっと言い方悪いですけれども、アマチュア的なものがどこかに入ると、掛け算なので、そこがベースになって全体が落ちちゃうんですね。
 例えばここでも、確かに地方大学、立派な先生います。教授の先生、何でも聞いたら分かりますというんだけど、その先生が地域資源の最大の生かし方が分かるかというと、分からないんですよね。でも、そういうことに頼っちゃうんですよ。頼るということはないけども、今の大学の在り方というのはそういうふうになっちゃっているんです。一人の教授が、ちょっと言い方悪いですけれども、教育、研究、大学組織の運営、なおかつ、例えば地方への活性化の政策提言までやるとかね。できるわけがないのに、例えば農業系だったら、生物資源の何とか先生に全部お任せしますということになっちゃって。そういうふうなセクショナリズムみたいな形の、一人の個人が全ての能力をマルチで、プロじゃないよねと言うんだったら、やっぱりそこで得意なところ、得意じゃないところ、取捨選択いただいて、やっぱり学内でもこの領域の基礎研究のこの研究は先生方、この先生方。例えば応用研究に関しては、応用研究をやる先生方とかね。教育専門の先生方とかに展開するようなコーディネーションの先生方。そういう分け方が実はやり切れていないんですよね。
 これはいつも言われることで、人事制度の問題だとか、評価のこと、どうするんですかというけれども、結局、内輪から言うと、甘えもあって、あれ、やっているから、これ、できないんだということは言いやすいので、教育をやっているときに、教育レベルが低かったら、研究やらなきゃできないんだという言い訳にもなるので、ある面、そこを分けちゃうというのはあると思うんですね。
 何となくそういうのが全てにわたってあって、大学も学部の中でも取捨選択ができてなくて、何とかという学問は本当にまだ要るのかということもできてない。それが全て平等に扱われるということの掛け算が結局、0.8掛ける0.8掛ける0.8になっていて、どんどん小さくなっていくような感じ。いくら1とか2という飛び出たものがあっても、最後薄まっていくような感じはします。
 ですから、そういう意味で、地方こそ、林先生おっしゃったような取捨選択ですね。これを明確にしながら、それをやっていいんだよというなら、逆に言うと、教員の中の役割分担も、この役割であなたは評価しますということを明確にやってあげるようなことを多分していかなきゃいけないのかなという気がします。
【福嶋委員】  いいですか。
【須藤主査】  はい。
【福嶋委員】  今の話と関係するかもしれないんですけど、地域に貢献しろというと、何か自分の研究全てが奪われて、地域に資さなければならないんじゃないかという恐怖感が多分、大学教員の方にはあると思うんですね。やっぱり大学の先生の研究テーマの中には、これは応用するのは相当時間が掛かるんだろうなと思うものもありますし、それが応用しやすいものも当然あるので、全員に対して地域貢献しろと言ったら、恐らくみんな、すごい抵抗があると思います。やっぱり分野にも適性があると思います。
 あと、これは人によって違うと思うんですけれども、全般的に研究者というのは、何ですかね。やっぱり好奇心とかで動くと思うんですね。頭を押さえられて、予算でコントロールされて、何かやれと言われると、すごく抵抗する人たちはやっぱり多いと思うんです。どちらかというと、危機感も確かにそれは持たなくちゃいけないんですけれども、どちらかというと、頼られたりとか、例えばこういった新しいことができるとか、何か好奇心をくすぐられるような課題設定をすれば、一肌脱ぐという人は、私の感覚では結構いると思います。それがうまく設定できていないから、眠っているということはあるんじゃないかなというのが一つです。
 あと、基本的に、さっきから地域、地域ということもあるんですけれども、ローカルとコスモポリタンという言葉がありますけれども、やっぱり大学の中とか地域の中で研究が完結している人はほとんどいないと思うんですね。どちらかというと、私なんかはむしろ大学の中の人というよりは、大学外の人と連携して、共同研究をしているのが普通でして、ある意味では、それは外に対してネットワークを持っているのは大学の教員なんですよ。先ほど加藤委員がおっしゃったように、大学の先生に相談すれば、何かいろいろすごい、地域を越えてつながることは結構あるんですよね。
 私なんかも飛び込みで企業の人とか相談に来たりして、こういうことだったら、例えばこの先生が詳しいよというのを紹介したりとか、そういったようにつながっていくということは結構あるんですね。大学がいろいろ、講演会とかやったりして集まった人が、何かいろんな人が、おもちゃ箱と言いましたけど、若干ごみ箱みたいなところでいろんな人に会える機会を提供するというのも大学だと思うんですね。
 だから、多様性が生み出されるのは大学の存在意義、社会の中の存在意義だと思いますし、何を言いたいのかといいますと、研究者のモチベーションの作り方もちょっと工夫する必要があるんじゃないかなというのと、あと、全員が頭を押さえられるというタイプの地域科学技術イノベーションというのは難しいのではないかな、あんまり現実的じゃないかなと思います。
 あともう一つは、やっぱり最近、大学の教員が、もう教育も研究も社会貢献も全部やれというふうに言われて、正直言って、私もパンクしそうです。大学改革を話すときに、大学の教員と学生さんじゃなくて、大学の事務の効率化の話は本当に、そっちに予算を付けていただきたいというのもあります。要は、手足になる人が余りにも少な過ぎて、教員が何か書類を書いて、全てやるみたいな。学生が問題起こせば、教員が全部対応するというような、そういった体制になっていますので、そういった分業はしっかりしていただきたいなと思います。以上です。
【須藤主査】  まだあると思います。最後のところでまた元へ戻りますので、次の2番目の資金のところで何かありますか。林さん、お願いします。
【林委員】  これ、私、一番難しいところだと思うのは、結局、お金って、集まるところには集まってくるし、集まらないところには全然集まらないですね。だから、何かの結果であると同時に、次へ持ってくるきっかけになるものですから、ニワトリと卵の典型的かなと思う。これは多分、ちょっと私も答えも何もないんですけれども、一つ、エコシステム形成プログラムで、今、資金を出している各地方をサポートしていて感じるのは、プロデュース活動に対して資金を多少援助するよという仕組みは結構使えるなと。というのは、各研究支援のために出される予算が限られているわけですね。その一方で、プロデュースに自由に使っていいよという、このお金の出し方というのが意外と、少額であるんだけれども、最初のきっかけができる。最初のきっかけができると、次は投資家を呼び込めるような種が、ネタになったなというふうになるということで、こういう部分は国のサポートの仕方があるかなと思います。
【西村委員】  そうなんですよね。私、プロデューサーをさせていただいているんですけれども、あと、その前に、ベンチャー企業の社長をやっていた経験からすると、稼いできた金を再投資するのが非常に難しいんですよね。稼ぐ金の入れ方みたいなものが、何ていうんだろうな。学内の平等主義的なことがあって、できなかったりもするんですけれども。
 大学を変えるためのお金の規模感というのは、中央の大学でも、三重大学でも、運営費交付金が100億近く入っていて、病院も含めていくと、三百何十億で動いているわけですね。そこでの意味のある金の大きさといったら、やっぱり数十億ぐらいなきゃいけないんですけれども、この数十億をどうやって稼ぐかなというときに、なかなか財源として見つかるものがないんですよね。ないんだけれども、もし本気でやろうと思ったら、大学の中に新しい会社みたいな、何ていうかな。不動産事業じゃないですけれども、5つぐらい建物を建てて、それをリースを掛けながら、大学の中に企業や工場も含め入れ込んじゃおうかなと、今考えもしているんですよね。
 でも、そうやっていくと、いろんな制約があるなというのが分かってきたんです。国立大学も、土地を貸してもいいよとか、いろんな裾野ができたとは思うんですけれども、最も難しいのが学内にあるというのがよく分かってきたのが既得権ですね。だから、大学の歴史みたいなものがあって、その中で築いてきた各学部の既得権がある。その既得権を変えるのに学内的な調和を取っていくと、絶対動かないなというのがあって。私も経験があって、1回建てた建物は途中で1ミリも貸してくれない、動かさないということだったので、建物が斜めになったというケースがあったんですけれども、それはその隣にいるのがヤギだったという、ちょっと苦しい話もあるんですけれども、俺たちはヤギに負けたのかとか思ったんですけれども。
 いずれにせよ、それは大学のせいでもあるんだけれども、やっぱりここにはもう一歩踏み込んだような、大学に対する改革のプレッシャーと言うと、これは語弊になるので、外圧を掛けて、変えてくれというのは嫌なんだけれども、やっぱりさっきのような経営と教学の完全分離についてどうするんだということをもう一歩踏み込んで、国立大学に対しても、おどしを掛けろというと、また絶対、陰から刺されるのは嫌なんだけども、やっぱりそこまで踏み込んでやるぐらいのことを求めているんですよと。
 それは悪いことではなくて、さっきの福嶋先生のお話もよく分かって、大学の先生たち、みんな追い詰められているんですよ。もうちょっと開放してあげれば、この人たち、ものすごく、実は発揮できるんですよ。全ての力を生かし切れないような形で、何となくみんなで悶々とこう、しがらみとか、足かせでなっているのが、それを1回全部ほぐして、もう一回全部ガラガラポンして、こうやって組んだらむちゃくちゃ楽なのにな、いいことできるのになというのが描き切れていないんですよね。
 どうしても、縮小、縮小、縮小から、改革しろと言われちゃうと、そうなっていく。少なくとも100億あるんだったら、それは自由に使えよというぐらいのことでやってくれというんだったら、逆にやれるかも分からないとかね。そういう、この改革に対する、やっていいよというところの許し方みたいなことがちょっとこう、中途半端過ぎて、こなし切れてなくて、本当の改革に行かないので、それにもがいていきながら、何となく暗く悶々としていくという、だんだん疲れてきているというのがもしかしたら地方大学、私たちの姿かも分からないし、ほかの大学さんもそうなのかも分からないですけれども、ちょっとそういう印象を持っています。
【須藤主査】  よく分かるんですけど、じゃあ、どうやったらいいかというのが多分難しいですね。その既得権とかそういうのを。
【西村委員】  そうですね。だから、けんかしようと思っています。今、私は。
【須藤主査】  まあ、けんかしかないですね。
【西村委員】  学内は。そこでどうなるかは、ちょっとやろうかと今。
【須藤主査】  ここへ来る前に別の私立大学で同じような話をしてきたんですけども、そこですら、もう無理だと。そんなことをやったら大変な騒ぎになるというので、大学の改革はできないという話にたまたまなっていたんですけれども、もう相当難しいですね。大学というのは。
【西村委員】  改革の後の姿が想像できないんですよ。今の延長上で物事を考えているから、やっぱりどうしても自分たちの既得権を奪われるという、言い方は悪いけれども、やっぱりどこかにマイナスイメージしかないんですよね。これがバラ色の世界だというのは絶対描けないんですけれども、何が変わった後の姿がハッピーな感じになるといいんでしょうけども、これがなかなか日本人には持ちにくい、そういうメンタリティだとは思うんですけども。でも、何かそういうことを本気でどこかで考えないと、誰も悪くないなと最近思ってきたんですよ。人文・社会系の先生たちと話をしても、昔は、何だ、この人たちと思ったけども、いや、その人たちも苦しめられているなとよく分かってくる。その全員が苦しんでいるのを何かほぐしてあげて、ワッと前に向けただけで雰囲気変えるだけでも変わるのかなと思ったんですよね。それは何だろうと思ったときに、すみません。それはまだ解けません。
【林委員】  ちょっといいですか。今、私立大学の件を出されたので、私も私立大学で今おりますけれども、多分、私立大学の方が少しやりやすい。特に理事長、理事会関係がパワーを持っているところは、要するに、先ほどの経営と教学の分離がある程度できていて、経営の方が強いんですね。
 そうすると、先生方はブツブツ言います。上から何か言ってくる。ただ、大学としての方針は出しやすいし、それでも硬直していると私は思いますけれども、動きつつあるかなという感じがあると。国立大学の場合、それが多分まだできないんでしょうね。という課題意識を持っていますね。
【須藤主査】  確かに私立は、理事会と分かれていますよね。大部分の大学は。
【林委員】  絶大なる権力を理事長は持っているわけです。
【須藤主査】  学長でも何の権限もない人もいますね。
【林委員】  ないです。ここで言うとまずいかもしれませんけども。あと、硬直しているなというのは、実は大学だけじゃなくて、地方自治体も同じです。私、福岡県の中の財団でやらせていただいていますけれども、非常に産業に関して理解があり、何とかやっていこうという意識がとても強い。一方で、あの人たちにとって、お上は福岡県になりますから、福岡県の当然、議員さんがどう見るかとか、今までの役所としてどう対応してきたかというところが、やはりまたものすごい足かせになるのと、お金をプールできないというメカニズムがやはり、研究に対する再投資とかそういったところで、どうしても動きづらいなという制約になってきますね。
 ですから、この産官学連携だと言っていて、その2つ、大学と自治体が足かせがはまっている状態だと、産業としてはどうしたらいいのと。なかなか動きにくいねということになってしまうような気がします。
【須藤主査】  はい。時間の関係もあるので、また後で戻りますので、人材のところに移りたいと思いますけど、いかがでしょうか。はい、どうぞ。
【加藤委員】  じゃあ、やっぱり大学の先生、変人さというか、コミュニケーション取りにくいというのは一つ、解決しなきゃいけない大きな課題なんじゃないかなと思います。いろんなプロジェクトを私もやるときに、まず大学の先生は抜かしておこうと。民間でまずできないかというのを考えてから、どうしようもない場合に、大学の先生をお呼びして、形にさせるみたいなことに民間側はなってしまっていて、ちょっと付き合いの面倒くささみたいな。それをどう解決すればいいのかというのは教授陣の、まあ、変わっているのは分かるんですけど、ただ、社会に対しては少しコミュニケーション力を高めてほしいなというのは思っています。それをどこで教育するのかというのはちょっと分からないですけど。
 あと、地方自治体、地方大学のリカレント教育の場としての役割というのはすごい大きいと思っています。私自身も工業にいて、農業の勉強を静岡大学で半年やらせてもらったのがきっかけで、今、農業事業やっていますので、そういう意味では、静岡大学に行ったことが起点で、静岡県庁ともつながり、いろんな地域の方々とつながれて、今、事業ができているので、そこの地方大学の役割は非常に大きいかなと思います。
 リカレント教育も一つ大きな収益源として、これから考えられるといいんじゃないかなと思います。
 最後、アントレプレナー教育は、大学はちょっと難しいんじゃないかなと思います。私も小中学生向けに授業をやっていて、大学生からできるかなというのはちょっと思います。もうちょっと小さい頃から起業家精神というものは養われるかもしれなくて、20歳までと通説では言われているというところですね。大学に引っ掛かりますけど、まあまあ、じゃあ、もうちょっと早い方がいいんじゃないかなと思っています。以上です。
【須藤主査】  今のいかがですか。
【西村委員】  コミュニケーションを取れないというのは訓練されていないのは確かなので。
【加藤委員】  そうですね。
【西村委員】  これはさっきの話に戻っちゃうんですけども、大学の先生がいろんなことをさせられ過ぎで、社会貢献までも先生が出ていってやるのかというと、それは、昨日まですごい細かいことばかり研究していた人ができるわけがないと思うんですよ。だから、僕、得意分野に集中できる環境がどんどんなくなっているのがまずいと思っていて、人が減り、助手も減り、教授が全部やらなきゃいけないときに、本来だったら、教育と研究にすごい力を発揮できる人が地域に出ていって、結局よく分からないまま、学生にやるような感じで話をしちゃったら、コミュニケーションは絶対取れるわけがないんですよ。
 だから、やっぱりこれは地方大学でも、それで僕たちは人材構成を変えて、外とのインターフェースは私たちが見るという形で、コミュニケーションを私たちは取る。最初の頃は言われましたよ。何とか先生、連れてきましょうかと言ったら、いや、それだけはやめてくれということを言われたんですよ。言われたんだけれども、その先生をどう使うかということも含めて、一緒になって僕たち考えますからというやり方。そういう機能が大学にきちんとビルトインされてくると、これは先生方が生きてくるし、その人たちがある面、そこに集中できるんですよね。でも、集中できるんだけれども、それもかなり今厳しくなっているぐらい締め付けられている。締め付けられているといったら、文科省さんに悪いんですけれども。これは私たちの中で取捨選択をして、そういう人材を割けばいいというのはあるので、五分五分です。どっちもどっちです。
 ただ、1点だけ言えるのは、事務組織をもう少し規格的な形で事務組織を作り変えなきゃいけないと思うんです。ですから、先生たちが出ていくときに、私はそれで今作ったのは、29の市町と三重大学、連携しているんですけれども、全ての市町と連携して、コミュニケーションを取って、足場を作るのは全部事務にしました。そこがきちんと定期的に向こうの担当者と会いながら、この地域は何で困っているか。この地域に行くんだったら、どんな先生がいるかというのを私たちURAと一緒に考えるというのは事務にやってもらっています。
 ですから、ある面、今後、地方大学とかこういう地域に密着しているところは、人は少ないし、予算も少ないけれども、ただし、その中での役割分担をきちんとやっていけば、多分機能できるかなと。となると、そういう意味での役割分担を明確化することと、それぞれの先生たちを取捨選択して、自分が何に特化するのかを決めること。それをきちんと総合的にプロデュースするような、これがもしかしたら経営側の方針決定と、それを再配置をしていく。そこには今まで使ってなかった人材像としての事務の最大活用みたいなことも含めてやっていくと、いいような気がします。地方大学の方が実はやりやすいんですよ。しがらみも大分抜けつつあるんですけれども、でも、最後のしがらみを打破するための何かを今やらなきゃいけないなと思って、私はいろんなトライはしていて、3か月後にここに来れないぐらい疲れ果てているかもしれないですけれども、いずれにせよ、そういう時期まで来たかなとは思います。
 あんまり悲観はしてないんですよ。ある程度何とかなるんじゃないかなという楽観視しながら、できることを最後までやってみようかなとちょっと思っているところです。
【須藤主査】  特に人を増やしたりしなくても、役割分担を明確にすることによって。
【西村委員】  増やす必要はないと思っています。僕は、これは「がんばれ! ベアーズ」という言い方は悪いですけれども、それで行けるんだと思います。逆に言うと、企業の立場から、昔の経営していた立場から見ると、こんな恵まれた場所はないですよね。土地はあって、なおかつ、建物もあって、人材も豊富で、黙っていてもお金を文科省さんから入れてくれるわけですね。それ最適に使えばいいだけでしたら、ヒト・モノ・カネ全部あるわけですよね。それをどう使うかということは、目的も明確になってきて、協力してくれる企業もあって、行政もあるとなったら、本当はこんなにやりやすいものはないんですよ。
 ただし、それを止めているものがもしかしたら過去からのしがらみであるとか、何か自分たちで勝手に作っている足かせかも分からないです。それがうまくたがが外れて、本当に最適な組み合わせができるんだよねというふうになったら、これは理想図なんですけどね。そうしたら、十分な人材と金と全てあると思います。むしろ余裕が出るぐらいだと言うと、文科省さんがまた削られるかもしれないので、言いにくいんですけれども、かもしれないです。企業を経営していた立場の人間からすると、そうだと思います。そうすると、再投資が掛けられて、新しいイノベーションを起こすところに人材集中なんかもできるかもしれません。
【須藤主査】  はい。最初に話した地域連携プラットフォームに近付いてきたような気がするんですけども。
【松原委員】  明るくなってきましたよね。
【須藤主査】  それはそれで、もうちょっと後で議論したいと。ちょっと気になったのは、アントレプレナー教育は、20歳前は、20歳の後でやると意味がないと。
【加藤委員】  いや、意味ないとは言わないです。効果が薄いんじゃないかという。
【須藤主査】  それはいかがですか。
【林委員】  一応、芝浦工業大学でMOTをやっているので、そういうこともやっています。もちろん社会人教育だけではなくて、最近、学部生に講座を設けたんですが、非常に割合は低いですけど、強烈に興味を持っている工業専門の学生はいますので、先生おっしゃったように、20歳前に影響を受けたからそうなっているのだとしたら、結構厳しいかなと思いますけど、足りてないのは、やっぱり何かやりたいという気持ちは結構みんな持っている。それをどうやったらうまくこう、ちょっとしたスキルを付けてあげるとか、ちょっとした基礎知識を付けてあげると、そこから先に自分で一歩踏み出せるようになるなと、ここだと思うんですね。
【加藤委員】  起業家仲間がいるときに、ほとんどがやっぱり自営業のお家の子は、私はもう会った途端に大体分かるぐらい、経営センスいいねと思うんですよ。やっぱり小さい頃からの、大人がお手本として目の前で判断して、血を流しながら判断して、お金を社会から頂いているというのを目の前にするか、しないか。そういう大人が近くにいるか、いないかがかなり影響が大きいなというのは感じて。
【林委員】  それはおっしゃるとおりですね。
【德増委員】  私も実は大学で学部生を教えているんですけれども、私の場合はもう工学系じゃないので、割とそういうたくさんの、こういうことやりたいというのは出てこないんですけれども、今言われたような、過去に高校教育で、工業の学生というのは何かやりたいという意識が非常に強くて、インキュベーションの関係とかベンチャー企業の話をいろいろしていると、私はそれがやりたいんですよという話が出てくるんですよ。ですから、学校教育の中で、高校の役割というのは結構こういう分野では大きいんじゃないかという印象がすごくあって、私も文系の立場なので、じゃあ、どうしようかということも適切な回答は出てこないんですけれども、多分そういう人たちというのがいて、それを拾い上げる力と、私にもないのかもしれないんですけれども、拾い上げる力、拾い上げる仕組みというのがあると、その子供たちがまた次の展開に、ステージに上がっていくんだろうなという印象は残っています。
 その仕組みというのがなかなか今の大学の中では、教育だけしか役割として我々はないので、じゃあ、それを引き上げて、どうするのか。伴走型で、この学生を何かやらせるかということもできないし、そこら辺が非常に難しいところだなという印象があります。いずれにしても、先ほど言った、若いときからそういうところに携わっているというのは非常に大きな役割があるなという感じがしております。以上です。
【須藤主査】  ありがとうございました。
 それでは、全部3つまとめて、エコシステムの形成のところを移りたいと思います。先ほどから言い残したことも全部ここに入っていると思いますし、一番最初にあったプラットフォームの話も当然ここに来ると思いますので、残りの時間、全部使おうと思いますので、自由に思いのたけを語って。
【西村委員】  すみません。これは気持ちだけの話なんですけれども、これからの社会はよくなるのか、悪くなるのかということを明確にやっぱりどこかで考えておいて、私たちはよくなるんだと考えて、物事を動かそうとするんですね。だから、何となく政策の中にそれがあんまり感じられないなと思っていて、少子高齢化、それと、今、地方から人が抜けて、中央に集中していく。地方大学、これからどうしたらいい。地域の対策的なことではなくて、人が減ったことによるしがらみがなくなって、もう一回、再構築して新しいフィールドができるよという感覚の何か政策誘導的なことをしていただくと、そのためのプラットフォームなんだよねという、対策的プラットフォームではなくて、創造型プラットフォームみたいなことがね。本格的な気持ちの盛り上がるような感じのものがあんまり出てないので、是非ともそんな感じのものを、雰囲気を出していただくと、それに合わせたら登場人物はこんな感じだし、こういう役割分担でいけばいいよねという。そこが少し今、中途半端なような気がします。
【須藤主査】  多分、今、日本全体がそうですよね。これから第6期の科学技術基本計画の議論が始まるんですけど、課題先進国と言って、自慢していますものね。日本は課題先進国だからと。そればかりじゃないだろうというのは確かに言わなきゃいけないかもしれません。
【林委員】  いいですか。全くそのとおりで、私、ずっと外資系の企業にいましたのでね。外資系の企業というのは、外といろいろやる機会が多いんですけど、あんまりネガティブなことを言うと、全く動かない。人も集まってこない。日本の企業さんとお付き合いすると、すごくそれを感じるんですね。ネガティブなことばかりおっしゃる。逆にネガティブなことを言わないと偉くないんじゃないかと言われるぐらい、そこは長けてらっしゃるんですよね。これは日本に特有な問題だと思うんですが、やっぱりうまくいったよねとか、できるはずだよねとか、金儲けになるはずだというようなことを口から出して言わないと、イノベーションなんて来ないというのは全くおっしゃるとおりだと思います。
【松原委員】  地域連携プラットフォームについて書かれているんですけれども、ここが、どこが今までのと新しいのかなというところがずっと気になっていまして、マイケル・ポーターのクラスターの議論を、北欧の人たちはプラットフォームという形で別な次元のものを対峙させていたことがあって、それも、10年近く前になるのかもしれないんですけれども、そのときにやっぱりプラットフォームというのは、エコシステムと似ているのかもしれないけれども、やっぱり同業種の集積ではなくて、様々な、異業種も含めて、そして、科学技術イノベーションといって、科学技術をベースにしたようなイノベーションだけではなくて、今回も議論になっている社会課題、こういったようなものや、未来創造というか、そういった地域の未来を描くような、そんなようなビジョンを描くような、そんなような活動的なイノベーションといったものをプラットフォームで描こうという形で考えていたので、そういう面では、新しさというのは多分あるんだろうと思うんですけど、そこの新しさが何か、枠組みとしてはまだ産学官の連携という旧来型になっていて、その産とか学とか官といったものの中身をもうちょっと詰めて議論していかないと、やっぱり新しさも出てこないかなと。あるいは産学官ではないようなものももちろん入ってきてはいるんでしょうけれども、その辺あたりは、今日、議論できないんでしょうけども、また是非詰めていく議論が、新しさを出していくという意味で言うと、必要になってくるのかなと思います。まだ私自身、答えができていないんですけれども、是非そこにチャレンジしたいと思います。
【林委員】  一ついいですか。
【須藤主査】  はい、どうぞ。
【林委員】  先ほど言いそびれたことと関連させてちょっと言いますが、そのプラットフォームの中、エコシステムの中で、大事な人の行き来、それから、それが人材育成につながっていくという感覚ですね。だから、産官学連携というと、何となく固定化していて、それが話し合うみたいに見えちゃいますが、実は人も動くんだよということで、そこにいる人たちが育つ。どういう人材が必要かということに関して、何種類かのプロフェッショナルが必要になると思います。
 当然大学は、サイエンスの分野で専門家、テクノロジーの部分で専門家と、当然あると思うんですが、さらに、プロデュースできるようなマネジメントの専門家というのは絶対要ると思うんですね。日本というのはどうしても、大学というと、サイエンスやっている人が一番偉くて、工業技術、テクノロジーやっている人というのは、何ていうのかな。2番目か3番目という、これは全然違うと思うんですね。サイエンスをやる人はその役割であるし、テクノロジーの、いかにこれを社会実装するかということをやられる先生方も、これも専門家だし、それをコーディネートする人も、これも専門家ですよね。ですから、これが全部同一のリスペクトを受け、当然、報酬もね。そういうふうな形を目指して、今の人をどうやって、例えば移動させながら育てるのか、経験値を積むのか。何かそういうことがこのプラットフォームの中でできるといいのではないかなと思います。
【加藤委員】  最初の方に出ていましたけど、やっぱり楽しい感じが全くしないというのがやっぱり一番よろしくないなと思っています。例えばお金を出すにしても、もっと自由に、飲み食いに使いたいとか、おもしろいところに泊まりに行こうとか、何かそういう活動にも使っちゃっていいじゃないという、もうあげたんだから、自由に創造力をかき立てるために、例えばグーグルのオフィスみたいに、大学の一部を発想力が、机が大きいほど、どうも発想力は広がるらしいんですよ。なので、机の上、ぐちゃぐちゃな先生、いっぱいいるし、そこをお片付けできる女性をサポートに付けるとか、そういうのにもお金を使っちゃってもいいんじゃないかなというぐらい、もうちょっと寛容にお金を出して、楽しい、ワクワクするような場所が大学なんだと。
 私からすると、大学の先生はうらやましくて、特権階級だと思っているんですね。好きなことを、お金を頂きながら研究できる。私の場合、ベンチャーなので、研究もしながら、金稼ぎも考えて、地方を代表して、こういう場にも来て、何とか政府と、地方というか、現場の乖離を埋めようなんていうことも考えながらやっておるんですけど、なので、もうちょっと楽しく、大学という場があるようなお金の出し方とか、もっと打ち出した方みたいなものをやってみちゃったらいいんじゃないかなというのは本当に心の底から思います。日本はちょっと真面目過ぎますね。
【須藤主査】  はい、どうぞ。
【福嶋委員】  私も同じことを言おうと思っておりましたので。やっぱり我々研究資金をもらっても、結局ものすごく、まず大学に入れろ。それもマストです。使い方がおかしいといって、呼び出されて怒られみたいなことをやっていて、書類を書くのに、1日に最低1時間は掛かっているという、これで出張しろ、研究を申請しろと言われると、本当にもう研究している時間が正直言ってなくなっちゃう。会計検査院のせいかもしれないんですけれども、ここら辺、まあ、我々を少し信じてほしいなというのがいつも思います。研究者はいつも悪いことをたくらんでいるみたいに、一人でも何か不正を犯したりすると、みんなに対して3倍ぐらいの負荷が掛かるのは勘弁してほしいというのがひとつあります。
 あとやっぱり、お金の価値というのは、研究費が足りないかというと、ちょっと文系だから簡単に言うのかもしれないんですけど、金額全額としては足りていると思うんですね。じゃなくて、使い方が余りにも硬過ぎて、本当に秘書とか雇いたいんですけど、それはだめ。飲み食いは、科研費とかは若干はできますけど、でも、それも厳しいと。でも、100万円もらうよりは、例えば自由な5万円の方がはるかに価値があるときもあって、例えば地場産業の地域の経営者なんかが、大学に来て、学生さんとちょっとそういうような話をしたいとか、そういう機会というのはあるんですよ。そういうときに私は、それに使えるお金は全くないので、自腹で飲み会を設定したりしているという。かなり使い勝手が悪いことによって、お金の価値、発揮できるべき価値がかなり損なわれているというのが現場の意見だと思います。多分これは私だけじゃなくて、理系の先生もものすごく言っています。
 ですので、そこら辺、文科省さんでどうできるかというのはちょっとあれなんですけど、少額でいいと思うんですね。少額でいいから自由なお金が欲しいという、これが1点と、あと、もう一つ、先ほど、ベンチャー、アントレプレナー教育の話があったんですけど、どうしても教育が必要なのは若者だと思いがちなんですけど、日本はむしろシニアアントレプレナーが今伸びているんですね。逆にもう退職した後の人たちの方が元気で、しかも、いいベンチャーを作ったりしているということもあって、必ずしも若者だけを対象にしなくていい。まあ、リカレント教育という言い方をしちゃうと、本人たちは怒ると思うんですけど、こういったシニアアントレプレナーをもっと元気にするというのに対しても力を入れていいのかなと思います。
 若者の方がむしろ自覚があって、もうこれから大企業に勤めても、一生働き続けられると思っていないので、むしろアントレプレナー的に生きようという自助努力はかなりしていると思います。だから、地方公務員になって安定ということを考えている人もいるけれども、そうじゃない学生も結構いるので、若者の方がむしろ自分の将来のことを考えているんじゃないかなと思います。
【須藤主査】  はい、どうぞ。
【德増委員】  先ほど松原先生が言った広域連携と地域連携プラットフォームということなんですけど、これはもう以前からずっと言われていることなんですね。この成果というのがあまり見えてこないということである。今度はまた新しくこれをするということは、やはりその反省点が結構あるのではないかなというふうに私は思います。
 一つはやはり前回の議論の中であって、そのプラットフォームをどう推進していくかというリーダー的な役割の、言ってみるとコーディネーター、こういう人がいないというのが今の大きい欠点だったんですね。
 私は全国のいろんなところを歩いてみても、結局コーディネーターが、言ってみると、自治体のOBがポスト的に入ってきて、それで終わりと。そうすると、広域も何もないんですよね。広域というのはもう地域全体としてほかの県とも連携をしなきゃいけないし、例えば県を飛び越えて、三重県と、それから、東京都が一緒になるとかですね。そういう広域というのは非常にこの鳥瞰的な力というか、そういうものがないと、そういう人材じゃないと、なかなかできないというふうに思ってですね。
 ですから、このエコシステムの形成というのはやはりそういうところが相当必要になってくるんだろうなと。このコーディネーターをやはりどう育てるかというのが、これは大きな課題にいつもなってはいるんですよね。そういう人間がいると、相談も受けられるし、これはここに来たら、どこへ行きなさいよ、どこにあるよ、こういう技術はどこにあるよ、いや、この県にはないけど、あっちに行けばあるよ、そういう力のある人材。そういう人材をどう育てるかというところにエコシステムの形成というのはあるんじゃないかというふうに思っています。
 あともう一つだけ。これは経験上、この話が飛んで申し訳ないんですけど、役割分担というのはあって、大学とイノベーションをやって、要するに、出口、資金が入るというところまで行くと、「大学って金儲けをやるところ?」って経営者側から言われるんですよね。そうじゃないんだという、要するに、そこが非常に難しいところで、要するに、大学は、先生、教えていればいいんだよと言われちゃうという。その一歩が踏み出せないというところが結構まだ大学にはある。
【須藤主査】  経営者側というのは、産業界の経営者側ということですか。
【德増委員】  いや、大学の経営が。学校で教えることがあなたの役目で、イノベーションを起こして、金儲けする。要するに、技術を社会に出すことがあなたの仕事ではありませんと言われる。こういう先生も結構いるんですね。これはやはり、もうちょっとこう、地域なり、考え方を全体で変えていかなきゃいけないなということを感じております。以上です。
【須藤主査】  はい、どうぞ。
【串岡委員】  確かに大学は金儲けをするところじゃないんですが、せっかくそのヒト・モノ・カネというか、アセットがあるのにあんまり使われてないんじゃないかというのはちょっと感じていまして。例えば自治体だと、ちょっと遊休地があると駐車場にするとか、ホームページにちょっと企業の広告を載せるとか、それなりのアセットを使おうとするわけですけれども、大学は、まあ、中心部に土地があっても、基本的には、いわゆる行政財産的な、大学の資産として使うのが基本だということがあって、もう少し、せっかくある土地を、あるいは資産を使ってもいいんじゃないかなと。
 最近、40年ぐらい前のミュンヘン工科大学の講義録というのを見せてもらったんですね。そうすると、その講義録の中に、企業の広告が入っていて、いや、もう40年前から産業界とやりとりしていますよということをおっしゃっていました。そういうふうなものは、少なくとも国立大学は企業の広告を自分たちの中に、特定企業を載せるのは問題じゃないかとか、そういう議論に多分なるんだろうと思っていまして、自治体だと、昔、そういう議論はありましたけれども、ホームページの一面には地元の企業の広告に使ってもらうとかですね。もう少し、金儲けではないというのは分かりますけれども、アセットを活かすために、せっかくのシステムをもう少し使って、それをいろんな形に貢献できるということもお考えいただいてもいいのかなというふうに思います。
【金子委員】  私は民間企業から大学教員になりまして、大学に入って非常に驚きましたのは、何でも自分でやらなければならないことです。コピー用紙を買うところから自分でするというところに、非常に驚きを感じました。大学の場合には、分業や事務体制のフォローアップというのは非常に少ないと思います。また、評価が、分業体制の評価になっていないということもあり、画一的に英文の論文をいくつ書いているといった観点で評価されて、教育に関する評価というのは、実はほとんどないのではないかなという気がしております。さらには、アントレプレナーの教育や新しい分野の評価というのもなかなかされていないように感じます。
 ただ変化は感じていまして、というのは、民間から入っていると人たちがすごく増えてきているので、意識等は変わっていますし、お互いに刺激し合っているところはあるかなという感じはします。しかし、先生方は比較的単独で活動されるようなところも多いので、大学全体としてやそれぞれの先生がどういう方向性で動かれているのかについてはなかなか見えにくいというようにも感じております。
 あんまり結論にはならないんですけれども、新しいものを作り出したり、学生に学ぶ楽しさを伝えるといったにことに対して、大学としての評価を高めていただけるとありがたいと感じています。
【須藤主査】  時間が過ぎているんですけれども。はい。
【西村委員】  さっきの関連で。この方向が合うかどうか分からないんですけど、私は今かなり自由に動ける、大学教授として自由人なんですね。大学教授が本当に自由人になったらむちゃくちゃいろんなことができるなというのは実感しています。それから、私は企業で経営をやっていたので、自分で金を集めてきて秘書を雇ったりとか、全部を分業するとできるなというのが分かった。組織も今、60人ぐらいいるんですけど、60人ぐらいをきちんと組織として動かしたら、かなりいろんなことができるなというのが分かった。大学もやろうと思ったらできるんですね。でも、これはかなり個人力によったところはあります。
 仕組みとしてどうやって持っていくかというと、やっぱり先生方、本当に悪い人たちじゃないんですよ。一つ言えることは知らないということもある。ほかの組織を知らないということが強くあるので、こういうのができるかどうかなんですけれども、私は地域イノベーション学研究科というのを作ったときに、3年ごとに先生たちを入れ替えるというやり方で、各研究科から出してもらったんですよ。そうすると、3年間は全く違う研究科の先生たちが教授会を組んで、また戻る。そうすると、要は、大学の中の人事異動ですよ。普通の組織は人事異動があるんですよ。大学は人事異動がないんですよ。
【須藤主査】  転勤もありません。
【西村委員】  転勤もそうですよね。だから、こんなことができるかどうか分からないですけれども、テニュアになったら、もう一生保障するんだったら、5年ごとに配置転換にするぐらいのことをやっても、極端なことはいいのかも分からない。それぐらいすると、ああ、違う教授会はこんなことやっているのかというのが分かるし、違う大学はこういうことをやるのかと。そのうちの5年間だけは県庁に出てみるとかね。何かそうすると、企業に出てみてもいいです。何かそういうふうなテニュアの在り方みたいな、国立大学だったら、ちょっと極端なことを言いますよ。国立大学法人全体での人員配置みたいなことをやろうと思えばできるのかも分からないです。それをある時期だけやってみて、効果を検証してみて、行けるんだったら、新たな仕組みとしてそういう制度を設けてみるとか、あってもいいのかも分からないです。すみません。方法論になっちゃったかも分からない。少し思ったことです。
【須藤主査】  先生の流動性というのは大事ですよね。ずっとそこにいるんじゃなくて。
【西村委員】  大事ですね。本当にそこが、その先生方の固定概念になっていて、怖さも出てくるんですよね。違うところに行くという。
【須藤主査】  それがしがらみになったりしちゃうんですよね。
【西村委員】  そういうことになる。だから、そこから抜けることが怖いということになるし、守ろうという組織防衛に。
【須藤主査】  もっと自由に動けるようにすると。
【德増委員】  山形大学はもうあれですよ。県庁と人事交換をやっていましたね。工学部はですね。だから、お互いにやっぱりこう、いいところと悪いところというのは見えてくるような仕組みを出していますね。
【須藤主査】  文科省も大学に行ったりしていますものね。
【德増委員】  そうですよね。
【生田室長】  そうです。はい。役所からも。
【須藤主査】  やっぱりそういうのをもっとやると変わるかもしれない。せっかく残っていただいたので、石橋さん、何か最後に。
【石橋室長】  ありがとうございました。科学技術も、教育の部分も課題となっていることは一緒ではないかと本日伺っていて思いましたし、今日頂いた御提案は、この議論のみならず、大学改革全体の中で取り入れられることも多くあるのではないかと思っておりますので、私の方は、局が違いますけれども、高等教育局の方でも生かしていけることはたくさんあったのではないかと思っております。
 充分先生方に伝わっていない、まだ知っていただけていない観点もいろいろあると思いました。先ほど串岡委員からあった、民間の力のお話しで、例えば土地の賃借、広告など、これまで整理してお伝えはしてきたのですが、まだ大学の中ではきっと躊躇があり、やれることと、やりたいことの垣根でギャップがあるのではないかと思いましたので、我々もできること、できないこと、きちんと整理して伝えていくということを更に強化しなければならないと思いました。ありがとうございました。
【須藤主査】  はい。局が違っても是非共有しながら進めていただきたいと思います。どうもありがとうございました。それでは、議論はここまでにしたいと思います。事務局の方からお願いします。
【植原専門官】  ありがとうございました。それでは、資料3をご覧ください。次回の日程についてお知らせいたします。次回は、1月18日金曜日、15時から17時を予定しております。場所は文部科学省15階、1会議室、こちらの隣の会議室になっております。
 次回の委員会では、最終報告書案について御議論、御審議いただく予定です。また、平成31年度予算案についても、事務局より御報告させていただきます。以上です。
【須藤主査】  それでは、第9回の推進委員会を閉会したいと思います。どうもありがとうございました。

― 了 ―

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