産業連携・地域支援部会(第9期)地域科学技術イノベーション推進委員会(第5回) 議事録

1.日時

2018年8月23日

2.場所

文部科学省 16階 科学技術・学術政策研究所 大会議室

3.議題

  1. 関係機関からのヒアリング
  2. 自由討議
  3. その他

4.議事録

【須藤主査】  それでは定刻となりましたので、ただいまから科学技術・学術審議会産業連携・地域支援部会第9期地域科学技術イノベーション推進委員会を開催いたします。お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございます。
 本日は、前回の委員会と同様に最初の議題1としまして、関係機関からのヒアリングを行います。その後、議題2としまして、関係機関からのヒアリングを受けまして、委員の皆様の御意見を頂戴するとともに、御議論いただきたいと思います。
 それでは、まず配布資料の確認を事務局からお願いします。
【植原専門官】  それでは、確認させていただきます。本委員会はペーパーレス会議となっておりますことから、配布資料は皆様のお手元にございますタブレットのデスクトップに全てダウンロードされております。資料はお手元の議事次第に記載のとおり、資料1-1から資料4、及び参考資料1から参考資料2までです。議事次第と照らし合わせながら資料を御確認くださいますよう、お願い申し上げます。御不明な点等ございましたら事務局までお知らせください。
【須藤主査】  それでは、議題1、関係機関からのヒアリングでございます。本委員会の運営規則第3条第2項に基づきまして、本日は、神戸市より医療・新産業本部医療産業都市部部長の三重野様、それから学校法人金沢工業大学より産学連携局長の河合様に御出席いただいております。
 まず、進め方につきまして事務局から説明をお願いします。
【植原専門官】  議題1の関係機関からのヒアリングにつきましては、前回委員会と同様に進めさせていただきます。まず、神戸市及び金沢工業大学から、それぞれ科学技術イノベーション活動の具体的取組や成果等について御発表いただくとともに、こちらに映し出されます資料3の事務局による論点整理に沿って、I、地域の科学技術イノベーション活動の基本的方向性の地域の捉え方、地域を構成する主体やそれらに期待される役割の具体事例、地域が科学技術イノベーション活動を行う意義・目的、そして地方創生の流れにおける地域科学技術イノベーションの位置付けについて、関係機関のお考えを御発表いただきます。さらに、関係機関が科学技術イノベーション活動に取り組む際に感じる障壁や課題、また、それらを乗り越えるために期待する国の役割やサポート、具体的な支援等についても御発表いただきます。
 最初に神戸市の三重野部長から、次に金沢工業大学の河合産業連携局長から、それぞれ20分程度で御発表いただきます。発表時間の残り5分前にベルを1度、残り2分前にベルを鳴らしますので、まとめに入っていただきますよう、お願い申し上げます。
 それぞれの御発表の後で10分程度の質疑応答の時間を設けますので、委員の皆様から御質問、御意見を頂戴したいと思います。
【須藤主査】  それでは、神戸市の三重野様の方から御発表をお願いします。
【神戸市(三重野)】  御紹介ありがとうございます。本日は、こういった機会を設けていただきまして、ありがとうございます。神戸市の医療産業都市部長の三重野でございます。
 私の方から、神戸市の医療産業都市の取組等につきまして、御紹介させていただいた後、科学技術イノベーションの基本的方向性であったり、障壁、課題、今後国に期待する役割、サポート等について、神戸市の考えていることをちょっとお話しさせていただけたらと思っております。
 神戸医療産業都市なんですけれど、まずこの写真なんですけれども、ちょうどポートピアホテルというのがポートアイランド、三宮から南に行ったところにございまして、その人工島の中にホテルがありまして、そこから南を見た写真になるんですけれども、ちょうどこの今写っている範囲ぐらいが神戸医療産業都市のプロジェクトを展開しているところでございます。大体おおむね200ヘクタールぐらい。野球場で言いましたら50個分ぐらいの広さの中で事業を展開しているところでございます。
 まず、神戸医療産業都市の概要について、簡単に御説明させていただきたいと思います。このプロジェクトは、阪神・淡路大震災の復興プロジェクトということでスタートいたしまして、1998年から構想を練りまして、それからスタートしておりまして、今年で20年ということで、ちょっとロゴを付けていますけれども、20周年を迎えるという形になっております。
 井村先生が京都大学の総長までした後、神戸市の中央市民病院の病院長で当時来ていただいておりまして、そのときにこのポートアイランドで医療関連のプロジェクトをしたいということで、当時の市長が井村先生に御相談をしたのがきっかけということでございます。井村先生の方が、「そしたら」ということで、その当時の京都大学、大阪大学、神戸大学の医学部長であったり医師会の会長であったりというのを集めていただきまして、そこでコンセプトを固めたということでございます。
 取組なんですけれども、神戸にまず日本初のここにクラスターを形成しようということで、当時ここは本当に更地で何もなかった空き地だったところに、ゼロからこういうクラスターの形成が始まったということでございます。分野につきましては、もう医療関係の医療機器、創薬、それと当時20年前から再生医療というところに取組をテーマとして掲げているところでございます。目的はこの3つ。これは阪神・淡路大震災の復興プロジェクトということでスタートしておりますので、経済の活性化であったり、市民福祉の向上、それと国際貢献というのを掲げているところでございます。
 これは国からの支援を当初からずっと掲げさせていただいておりまして、先ほどちょっと申しましたように1998年に井村先生が懇談会を作っていただきまして、それから阪神・淡路大震災が1995年に起こりまして、その5年後に復興特定事業ということで、この医療産業都市、国の方に認定を頂きました。
 その後、今回ちょっと文科省さんからの支援を割と手厚く書かせていただいておりますけれども、知的クラスターの創成事業にも位置付けられまして、それと国の方の特区の一番最初だと思うんですけれども、構造改革特区の第1号にも認定を頂いております。
 その後、特区の関係では、国際戦略総合特区であったり国家戦略特区という形で、常にそういった特区構想のときには神戸市は手を挙げさせていただいて、認定を頂いているところでございます。直近では文科省さんのリサーチコンプレックスの事業であったり、地域科学技術実証拠点整備事業であったり、地域イノベーションエコシステムというような形で、毎年のように神戸大学と組んだり理研と組んだりという形で指定を頂いているところでございます。
 すいません、ちょっと飛ばしてしまいましたけれど、ここの国からの今までの神戸医療産業都市への支援というか投資額なんですけれども、ざっとなんですけれども3,600億円ぐらい。ちょっと目を剝く数字なんですけれども、このうちスーパーコンピューター「京」の整備費が2,100億円ぐらい投資を頂いておりまして、トータルこれぐらいの投資を頂いているところでございます。神戸市的には、この20年で大体700億円ぐらいの投資を、これは直接市の税金を投入しているということでございます。
 ここでクラスター作りということなんですけれども、今、研究機関、これは理化学研究所とか神戸大学とか甲南大学とか、そういったアカデミアが、研究機関が集積してきております。そして病院ですね。病院も今1,500床ぐらいのベッド数を誇る中央市民病院が中心になるんですけれども、その周りに専門病院が集まってきているところでございます。それとあと、その横に、周辺に企業さんが今トータル350社近くの企業さんが集まっておりまして、医療イノベーション、新しい医療を神戸から生み出していこうというような取組をしてきているところでございます。
 この3つをコーディネートするということで、これは神戸市の外郭団体なんですけれども、神戸医療産業都市推進機構というのを立ち上げておりまして、井村先生がずっと理事長をしていただいておったんですけれども、3年前から本庶先生が理事長に座っていただいているところでございます。
 クラスター全体では、大きく一番北側に病院群が集まっております「メディカル・クラスター」、真ん中が理研とかが中心となる「バイオ・クラスター」、企業さんもこの辺に集まってきております。一番南側にスーパーコンピューターの「京」を中心とした「シミュレーション・クラスター」。大きく3つのクラスターに分けておるところでございます。
 これが進出企業と団体と、ここでどれぐらいの人が活動していただいているかということなんですが、赤の折れ線グラフが進出企業の推移でして、今、直近346社ということでございます。活動している研究者であったり企業の方とかドクターであったりとかというのは、このエリアで大体9,400人、1万人弱の方が今活動していただいているところでございます。その企業の中身なんですけれども、当初はやっぱりベンチャー企業とか中小企業が多かったんですけれども、最近では大手企業さんも、これは分野ごとに医薬品、医療機器、再生医療、アカデミアで分けているんですけれども、それぞれ大手の企業も最近は拠点を構えていただくような状況になっているところでございます。
 続きまして、具体的な取組なんですけれども、ちょっと先ほど言いましたように、神戸市と神戸医療産業都市推進機構、これは市の外郭団体になるんですけれども、そこにやっぱり本庶先生が理事長になっていただいているところでございます。それと井村先生には引き続き神戸健康・医療戦略会議というのを、これは神戸市の方が作っておりまして、これは全国の先生方にも入っていただいて、神戸医療産業都市の方向性なんかの提言を頂きながら、神戸市と機構が両輪となってこのプロジェクトを進めているというところでございます。
 この機構につきましては、今、職員が300名ぐらいおりまして、機構の中でも研究もしておりますし、あと細胞培養のそういったところの取組もしております。それとTRI、福島先生なんかが全国の大学のアカデミアのシーズを指導するような形の活動もしておりますし、このクラスター推進センターというのが、一番のこの神戸医療産業都市全体のコーディネーター役ということで、ここに今、職員が40人ぐらいいるところでございます。
 このクラスター推進センターは、こういったメンバー、ちょっと顔写真で見づらいんですけれども、厚生労働省から医薬系の技官の方が10年前ぐらいからずっと来ていただいておりまして、今センター長になっていただいております。ちょっとこれ、今回の人事異動でちょっと変わったんですけれども、こういった厚生労働省からの医薬系技官の方に来ていただいて、その周りに、これも医療機器とか創薬、バイオ系のことであったりとか、あとヘルスケアの関係。それとPMDAからも1人職員に来ていただいておりまして、いろいろな形で事業化についてのアドバイス、サポートということをやらせていただいております。
 このクラスター推進センターでは、先ほどちょっと言いましたように事業化ですね。PMDAと連携した、そういう商品とかを開発するときのサポートをしたり、それといろいろな先生方、アカデミアとの交流会なんかも月2回ぐらいはこのエリアでやらせていただいておるところでございます。それと、これは伴走的に医療機器の開発なんかの支援もやっておりますし、展示会なんかにつきましては、神戸から言いましたら首都圏の横浜、東京であったりアメリカであったりドイツ、それと来週からシンガポールで展示会があったりするんですけれども、そういったところに医療産業都市としてブースを出して、企業さんも一緒に行っていただいて、販路開拓の支援なんかもさせていただいております。
 うちの成果の一つなんですけれども、iPS細胞を用いた再生医療への取組。再生医療というのをずっとテーマとして、うちは20年掲げてきておるんですけれども、その成果の一つとして、理化学研究所と先端医療センターと中央市民病院の連携でできたということなんですけれども、理研の高橋政代先生のiPS細胞、山中先生が作られたiPS細胞を用いた網膜の臨床研究。人に初めてiPS細胞を投与するということが、もう4年前なんですけれども、初めて神戸の地で行われました。
 それが、今まで患者さん本人の細胞からiPS細胞を作ってやったんですけれども、小さく書いていますが、1例あるだけで約1億円、費用的に掛かったということで、今はちょっと人のiPS細胞、これは山中先生のCiRAと大阪大学と理研と中央市民病院の連携、4機関の連携なんですけれども、他家のiPS細胞を使った臨床研究というのが昨年の3月から始まっておりまして、今5例、もう臨床的にやられて、今、経過観察をしているという状況でございます。こういったことも今、神戸で行われているということでございます。
 それとiPS以外の再生医療につきましても、なかなか本当に製品化とかなるところまで時間が掛かったんですけれども、やっとこういった難治性骨折の再生であったりとか下肢血管、これはもう本当に昔からずっと神戸が支援していたんですけれども、こういった再生医療も厚生労働省の先駆け審査指定の制度に認定されまして、来年度か再来年度ぐらいには実医療に使えるような段階まで来ているという状況でございます。
 地域の科学技術イノベーションの基本的方向性でございますけれども、まず地域の捉え方でございます。神戸市といたしましては、まずはやはり一義的には行政区域の神戸市であったり、私は医療産業都市部長ですからそこが守備範囲なんですけれども、そういきますとやっぱりポートアイランドのあそこのエリアというのが地域として、このプロジェクトを進めるにはそういう地域で捉えております。ですけれども、先ほどちょっと言いましたように総合特区なんかは、京都府・市、大阪府・市、兵庫県、神戸市で特区認定を一緒に共同して頂きましたし、国家戦略特区も京都、大阪、兵庫県、神戸市も含めて認定を受ける。これも一緒に活動して認定を頂いておりますし、関西は広域連合という形もございますので、いろいろな形で、ライフサイエンスなんかについては連携を今、図っております。先ほど言いました来週からのシンガポールの展示会なんかも、大阪の商工会議所さんと一緒にブースを出すみたいな、そういった取組も今、広がってきているところでございます。
 それと、これはちょっと細かく一杯書いておりますけれども、科学技術イノベーション振興政策における地域の捉え方、それぞれの神戸市であったり推進機構であったりアカデミアの役割を書かせていただいておりますが、特にうちのクラスターの特徴といいましては病院が近接であるということと、こういったアカデミアとか機構とか企業さんであったり金融機関なんかが、歩ける範囲の中に集まっているというところで、いろいろな交流が図れているというようなところでございます。余り閉じてもあれなんですけれども、それをもうちょっと広げながら、中での交流というのも強めていきたいなというようなことを考えているところでございます。
 神戸市が何でこういうプロジェクトをやっているかという意義・目的。先ほど目的は冒頭の方で言わせていただきましたけれども、やはりもともと出発点は阪神・淡路大震災の復興ということからスタートしておりまして、経済効果的には、確かに先ほど神戸市でこれまで700億ぐらい税金を投入しておりますので、市会議員の先生方とかそういったところは、これ、成果はどうなっているのかということは常に問われているところでございまして、そういった意味では定期的には経済効果であったり、税収効果も毎年大体53億円ぐらいの市税収入が上がっているということで、経済的な効果も一定は上がっているのではないかなというふうな形での御説明をさせていただいているところでございます。
 地方創生の流れにおける地域科学技術イノベーションということで、地域課題の解決の手段としても、このイノベーションというのは今後より活用の動きが出てくるのではないかと。神戸医療産業都市をやっていることが市民にどういった形で還元できているのかということをずっと20年近く問われながらやってきておりまして、病気にならないとそんなに恩恵ないよねという感じだったんですけれども、やっと最近こういう動きが出てきております。
 そういうことと、もう一つやはり地方創生ということで、神戸市も人口減少の都市になっておりまして、もう6年連続人口減少ということになっております。一昨年は福岡にも抜かれましたし、近々川崎にも抜かれるんじゃないかなというような感じでなって、政令市の中で今6位なんですけれども、やはり人口の減少というのは神戸市にとっても大きな課題になっておりまして、そこに対して地域創生ということで、この神戸医療産業都市でやってきた取組を、何か形として結び付けられないかなということも今いろいろ議論しているところでございます。
 まず、地域の課題の解決ということで、認知症に優しいまちづくりということで、神戸市は今年、認知症に優しいまちづくり条例というのを作らせていただいて、本当に認知症対策というのは待ったなしなんですけれども、イノベーション的にどうかということなんですけれど、たまたま日本イーライリリーの本社が神戸にございまして、そこが認知症の根治薬というか改善薬の開発をやるということで、それに対してやはり治験であったりということを、神戸市と神戸医療産業都市推進機構が一緒になって協力して、MCIの患者さんのリクルートであったり、そういうことで治験を受けてもらうようなネットワークを作ったりと。そういったことで新しい薬の開発の支援をしたりということもやっております。
 あとリサーチコンプレックスでは、これも今、取組を進めている、現在進行形でやっているんですけれども、市民のPHRデータを本人の同意の下に活用するということで、保健指導を行ったり、研究機関に個人のPHRのデータを研究機関とか企業さんにも活用していただくような仕組みができないかということを今、検討しているところでございます。そういったところで、課題の解決につなげられないかということを考えております。
 それと先ほど人口減少社会の中で、ベンチャー企業の育成ということで、神戸市は人口が減少するというところは、大学は結構数が神戸市内に一杯あって、全国の中でも2位ぐらいに大学の数はあるんですけれども、やはり22歳になって卒業のときにみんな東京、大阪に出て行ってしまって、人口ががくっと減るということがございます。ですから、こういった神戸の医療産業都市の基盤を使っていただいて、アカデミア発のベンチャー企業を起こそうというときに、是非神戸に来ていただいてベンチャー企業を起こすような。アメリカで言ったら、夢ですけれどもボストンとかああいった感じの街を狙っていけないかなというような取組を今ちょっとやり始めているところでございます。
 こういったピッチ大会であったりとか、1つ、これは民間企業の動きなんですけれども、バイエル社がコラボレーター神戸というのを日本で初めて作っていただきまして、共用のラボですね。使えるラボであったりオフィスなんかをバイエルが低廉な価格で供給して、ベンチャー企業が入りやすいような場所を提供するようなことを神戸医療産業都市でやっていただいております。
 そういったことも、神戸市としてもそういった、ここをちょうど「京コンピューター」駅というのがあるので、神戸空港から4分ぐらいで来られる場所なんですけれども、ここまで神戸空港から5分で来られる場所なんですけれども、そういったところにベンチャーだけでなく、大手企業からベンチャーまでが入れるようなラボも2年後に作ろうという形の取組をしているところでございます。
 イノベーションの障壁・課題なんですけれども、こういったライフサイエンス系のプロジェクトというのは、コスト、時間も掛かりますし、もともとこのプロジェクトをやるときアメリカに勉強に行ったりしたんですけれど、20年できるかって言われて、20年やらんとなかなか成果出ないよって言われて、その当時の市長とかは「分かりました」と言って帰ってきたんですけれども、やはり20年は実際掛かって、今あの程度の成果ということで。そういったことでお金も掛かります。コストも掛かる。国からの支援も一杯頂いておりますけれども、やはり今問われていますのは、うちがやっているこういった取組というのが、市の、自治体の中にとどまるようなことでもないので、そういったことを国とか民間の力の協力というのは今後取っていきたいですし、必要かなと考えております。
 それと、科学技術イノベーションのプレーヤー。医療産業都市に集まっています自治体とかアカデミア、企業とかあるんですけれども、それぞれやはり目標とするものは違いますので、そこを結び付けるというところが、今後大きな課題かなというふうに感じております。
 最後になります。国へのサポートのお願いなんですけれども、こういったうちも他都市で取組やっていることを勉強したりネット上で調べたりしているんですけれども、なかなか実態まで深く分かっていることはないので、そういった国内においての他の地域であったり、国際的ないろいろな地域とのマッチングといった場を国の方で用意していただけたらありがたいなということであったり、あとベンチャー支援のことをやりかけていると言いましたけれども、そういったところの一番アーリーなところの支援をしたいなと思っていまして、そういったところのことであったり、オープンラボ。先ほどバイエルさん、言いましたけれども、ああいうちょっと公的な感じでできないかなと思っていまして、そういったところの支援をお願いできたらなと思っております。
 それと、最近いろいろな国プロジェクトがあるんですけれども、ここ、ちょっと書いている意味が分かりにくいかもしれませんけれども、こういった場、うちのようにいろいろなノウハウとかを蓄積した地域を重点的に国から支援していただくような、オリンピックで言ったら強化選手みたいな感じで、国際的に打って出るんでしたら。確かに公募でやるといった形は踏まないといけないというのは分かっているんですけれども、できればそういったことも、ちょっとえこひいき的にやっていただけるようなスキームがあると良いと思います。
 神戸市の中でもいろいろなプロジェクトをやっています。私は医療産業をやっていますけれども、いろいろなプロジェクトをやっていますので、大きくイノベーションというくくりで何か出してこいと言われると、なかなかまとまらないというか。大学も、神戸大学としてはいろいろな取組をされています。その中でライフサイエンスに絞るんだと私は思いますけれども、なかなかみんながそう思うかといったら、そうでもないところも若干あります。地域の、私の思いといったものがありまして、そういったところを何かうまいことできないかなというような思いをこんな形で書かせていただいているところでございます。
 すいません、最後ちょっと支離滅裂になりましたけれど、以上でございます。どうもありがとうございました。
【須藤主査】  どうもありがとうございました。それでは、ただいまの三重野様の御発表につきまして、御質問、御意見等ございますか。
 はい、どうぞ。
【林委員】  林です。ありがとうございました。
 神戸市の産業都市の試みは、日本国内でもかなりうまくいっている例の一つではないかというふうに読みますし、そう感じることもあります。その中で、どうもやはり産業復興というところから発しているということもあって、自治体のリードがあるのはとてもすばらしいことです。が、企業の巻き込みの部分。つまりエコシステムとしてうまく回るかどうかのときに、自治体からの、あるいは国からのプッシュ型で行っても、企業は建物を建てたりとりあえず進出はしてくれるものの、本当にオーナーシップを持ってその地域を盛り上げようというふうに参画してくれているのかどうか。つまり、運営するときに、例えばどういうふうに参加されているのかとか、そこら辺の課題あたりを少し聞かせていただきたいんですけれど。
【神戸市(三重野)】  確かに今までどちらかというと行政が主導的にこのプロジェクトというのはやってきたというところが反省というか、そろそろ転換期かなと。海外のクラスターを見ましても、やっぱりそこの中のエリアで、おっしゃったように企業さんであったり、うちで言いましたら推進機構みたいなところがみんな同じ方向を向いて一緒に、お金もちょっと負担していただいて、そういうコンソーシアムを作って進めていくという形が一番理想かなというふうに思っております。
 今までは、どちらかというと本当に手取り足取り。何を支援するのも無償で支援します。医療機器を伴走的にサポートするのも無償でやっております。そういう形で、どちらかというと行政的に企業さんに集まってきていただくというのも目的の一つでもありましたね。そういうサポートをずっとやってきたんですけれど、そろそろ「ここを盛り上げるんや」というような企業さんと一緒に、金を払ってまでもちゃんとやろうみたいな感じのスキームに変えていかないといけないのかなと思っております。
 企業を支援していただいている企業は、大手企業で神戸の地場のシスメックスさんなんかはライフサイエンスに深い造詣があるので、割と大きな支援をずっと頂いているんですけれども、確かにそれ以外の、神戸の地元だと神戸製鋼とか川重さんとかですね。そういったところは、やはりライフサイエンスって、あんまりうち関係ないよねっていうような感じで、そんなに大きなサポートは受け入れていないかと。当初震災復興の熱が一気に上がったときは、割と大手企業も一緒にサポートいただいたんですけれども、なかなか最近はその辺も冷めてきているというような感じではございます。
【林委員】  海外のエコシステムの場所を見ると、地方自治体のリーダーシップは絶対あるんですけれども、プラス企業がやはり地元企業の特に大手、グローバル企業あたりが入り込んでいる例がうまくいっている例だと思いますね。そうでないと、官から入っているお金が少なくなると、みんな企業は逃げていってしまうという、縁の切れ目になってしまうので、そこら辺どういうふうに持っていくかという課題はあるようにちょっと今日も感じました。
【神戸市(三重野)】  それともう一つは、アカデミア。理研が大きなアカデミアとしてあるんですけれども、地元大学の神戸大学との連携。最近ちょっと出てきたんですけれども、この五、六年ぐらいからやっと連携ができてきているという。井村先生とか本庶先生とか見られたら分かると思いますけれども、うちは京都大学系のクラスターというかですね。当初は、地元の大学として神戸大学がなかなか関わりにくいという状況がありました。最近はその辺の垣根も大分なくなってきたという感じです。やはりおっしゃるように企業と大学、地元大学との連携というのは、今後深めていきたいなとは思っております。
【林委員】  ありがとうございました。
【德増委員】  よろしいですか。
【須藤主査】  はい、どうぞ。
【德増委員】  ありがとうございました。
 この医療都市構想は前々から私もいろいろ興味があって、見に行ったことがあるんですけれども、ちょっと質問が3つあって、まず1つは基本的なことで、何で神戸のところに医療という概念を持ち込めたのかという点。やっぱり関西学園都市もありますし、いろいろなところでいろいろな形で動いていたのが、やはり神戸で考えを落としたというところ。このところを少し教えていただければ。もちろん時代もあるだろうし、いろいろあると思うんですけれど、この点があります。
 2点目が、何が医療都市を引っ張ったのか。要するに、医療都市がある程度出来上がりつつある中で、何が医療都市を引っ張ってきているのかなというのが、例えば理研もあるだろうし病院もあるだろうし。何がというところを少し教えていただきたい。
 それから最後に3点目は、企業集積が一気に進んでおります。これの集積のポイントといいましょうか、何で企業が集まるんだと。350社も集まっているという、それがなぜかというところがもしお分かりであれば、教えていただきたいと思います。よろしくどうぞ。
【神戸市(三重野)】  1点目の、なぜ神戸で医療というところなんですけれど、もともと復興プロジェクトというのは医療だけではなくて、当時東北の方でもやっぱり創造的復興ということで、いろいろなテーマがありました。神戸ももともとこの土地がありまして、これは埋立地でしたので、これは神戸市が持っている土地でした。ここを何とか活用できないかなと。それと神戸空港ですね。震災のときはまだ埋め立てをやるということぐらいが決まっていた状況で、この空港を活用した産業って何かないかということで、当時中国との交流があったので、上海とかとの貿易を活性化して、ここに上海の中国村を作らないかとか、ちょっと突拍子もないんですけれど、そんな話もありましたし、ここに遊園地というかショッピングモール街みたいなことをできないかとかいったりもしましたし。その中の一つが医療産業ということで、そのほかがなかなかうまくいかず。ショッピングモールは、ちょっとダイエーと組んでやろうとしていまして、ダイエーがもうわーっとなったので、そのまま沈んだりしまして。
 井村先生も、最初にうちの市長が相談に行ったときに、おっしゃるとおりで神戸に医療って、別に何もないよねと。やっぱり関西でいったら京大阪大ですよねというところはあって、ちょっと二の足を踏まれたんですね。井村先生はやはり海外と日本とを比べて、アカデミア中心なんですけれども、なかなか基礎研究から実用化まで日本はいけてないというところは、やっぱり大学の先生の中だけで、ドクターの先生が退官して次の先生に代替わりになったら、医療機器の開発がまた違うメーカーになったりしましてね。海外は割とオープンイノベーションができているのに、日本はできてないなというようなことを思われていらっしゃって。神戸でしたら逆に何もないから、更地なので、ここに京都大学、大阪大学、神戸大学、垣根を取っ払って、みんな先生方に来ていただいて開発できたらと半分ぐらい期待していたけれど、ここまでいけるとは思っていなかったというふうおっしゃっていましたので、そういうところで井村先生の思いでやっていただいたということと、当時、井村先生が総合科学技術会議の委員をされていまして、理研が新しい発生とかサイエンス系の拠点となる場所を探していた時に、神戸にこんなところがあるよという感じで紹介していただき、何とかこちらの方に来ていただいたという経過もありました。
 それと、企業さんの集積のところでいきますと、やはりそういった基礎の理研さんというのが大きかったですし、その周りにうちは企業さんが入りやすいラボというのをできるだけつくりました。当時は阪神・淡路大震災の復興事業で、国からの支援も割と箱物もございましたので、そういったラボも作らせていただいて、そこにまずは来ていただく。当時の理研の先生は、割と本当にオープンな感じで企業さんともお話もしていただいて、理研の先生が企業さんを引っ張ってきたりみたいなのもございましたので、そういったところで割と進んだというのと、あともう一つ言えるのは、ここの土地自体、神戸市が地主であるというところは割と大きいのかなというところ。ビジョンが描きやすいということですね。
 それと、ここはポートアイランドで1期、2期で色を分けているんですけれども、2期の方は人が住んではいけない。これは瀬戸内法で人が住んではいけないということになっていまして。それはちょっとプラス面とマイナス面とあるんですけれど、プラス面的には、24時間工事ができるとか、動物を扱うような企業さんが割と気兼ねなく研究ができるとかですね。そういった理由で大阪のサイトから引っ越してきた企業さんもいたりというのはあって、地主的に神戸市が持っているというところも割とやりやすかったのかなと思っています。
【德増委員】  ありがとうございました。
【須藤主査】  はい、どうぞ。
【金子委員】  どうも貴重なお話ありがとうございました。非常に興味深く伺わせていただきました。
 それでちょっと質問2つなんですけれども、行政主導で非常に進められてきて、これから企業を中心とした自律的な動きに変わっていく必要もあるのかというようなお話だったかと思うんですが、そういう中でそれぞれのプレーヤーの目標とするものが違っている。それをどういうふうにすり合わせをしていくのかが結構課題なのではないかというお話がありましたけれども、そういう中でミッションあるいはゴール設定の合意形成を、誰かが主導的に引っ張っていくのか。そういう主体の問題と、それをうまくやっていくための何かポイントみたいなのでお気付きの点があれば、教えていただきたいなというのが1点です。
 それからもう一つは、今日お話の出てきている中では、比較的資金の面については、神戸市であったり国であったりというようなところの資金が中心であるというふうに理解したんですけれども、例えば金融機関とかそのあたりの関わりというのはどうなのかというのが、2つ目の質問です。
 それから、私ちょっと今お話を伺って、私も賛成だなと思ったところなんですけれども、最後にお話しされた27ページのところで、ノウハウが蓄積された地域を重点的に支援していくということがグローバル展開を促進するんじゃないかと。ある意味で言うと、ちょっと戦略的なえこひいきみたいなところも必要なんじゃないかというお話をされて。私もやはり全体を引き上げるということは非常に大事なことだと思いますけれども、おっしゃられるようにやはりどこかを重点的にまず引き上げていくということは、世界的にグローバルの観点からも大事なことなのかなというふうにちょっと感じました。
 すいません。よろしくお願いいたします。
【神戸市(三重野)】  御質問の方のポイントというところで、ちょっとここは余り細かく説明しなかったんですけれども、やはり主体的には神戸医療産業都市推進機構が全体を引っ張っていく中で、これも今年度から動き出したばかりなんですけれども、都市運営委員会というものを今立ち上げております。実際に進出していただいている企業さんとか研究機関とかも入っていただいて、この広報の部会であったり、このエリアの環境をどうやって良くしていくか考えていくものです。
 ここでうちの課題は、ポートライナーがものすごい混雑して大変だとか、御飯を食べる場所が余りないとかですね。先ほどちょっと言いましたように、人が住んでいないので、どうしても食べる場所とか物を買う場所とかがなくて。そういったところの環境、研究・操業環境をどうよくしていくのかとかですね。
 あと、産学官連携。大学でも今いろいろな産学連携本部みたいなのもできているんですけれども、企業さんが個人的につながっていくことが多く、組織的に余りマッチングできないよねっていうところを、今、部会を作って、そういうところをやっていけたらなというふうに、まさに今立ち上げているところでございます。
 それとアメとムチというか、ちょっとアメの部分も今年度から作っていまして。ここにファンディング機能も持たせて、企業さんとアカデミアの、この医療産業都市のエリアの先生方と企業さんの共同研究であったり、40歳以下ぐらいの若手研究者の研究支援の補助金をここが出すみたいな感じで、そういうアメも使いつつ、そういったことをやれば情報も入ってきますし、シーズの発掘にもつながりますので、そういったことも今年度からやっているところでございます。
 それと、あと資金的に銀行なんですけれども、一応地元のみなと銀行さんなんかがそういうベンチャー創業支援の融資とかそういう形ではやっているんですが、大手銀行はあまり。うち、地元的にはSMBCさんなんかは割と神戸にゆかりがある銀行なんですけれども、昔はファンドみたいなこともやったんですけれども、なかなかうまくできなかった過去の歴史もありまして、そういう投資は難しくなっているんですけれども、今は側面的な支援はしていただいているところでございます。
 それと最後に付け加えてもう一つ。やはり特区とかやるときにも、かなり私らも期待して、本当は特区なんかを国の方で指定してやるときには、シンガポールとか韓国の仁川とかにも負けへんようにエリアを限定して、もう重点的に支援してくれるのかなと思っていたら、割と結果的には関西全体とかそんな感じの特区指定になって、何かちょっと思っていたのと違うなというような感じもありましたので、そういう意味からも、書かせていただいたということです。
【須藤主査】  ありがとうございました。
 まだあるかと思いますけれども、後ほどトータルで議論する時間がありますので、そちらでお願いします。それでは、三重野様、本当にありがとうございました。
 続きまして、金沢工業大学の河合様に御発表をお願いいたします。
【金沢工業大学(河合)】  金沢工業大学の河合でございます。本日はこのような機会を頂きまして、誠にありがとうございます。
 それでは、本日の御説明する内容なんですが、大きく2点ございまして、1点目は、科学技術の先端的な取組の部分がございます。もう一点は、非常に泥臭い部分になるのかもしれませんけれども、地方都市の中でも非常に過疎地のような場所で、何かできることはないのかということについて、最近取り組んでいること。その2点について、今日は御説明したいと思っております。
 まず、最初に私どもの大学の概要なんですけれども、これが沿革なんですが、1つ特徴的にはこの日本地図を見ていただければと思います。こちらの方に入っております数字は、今の在学生の出身県の数になります。私ども、この北陸にございますけれども、中部地域がやはり人数的には多いんですが、北海道から沖縄まで全国津々浦々から入学者を迎えて、彼らがまた卒業後、地元へも残りますし、全国へまた戻っていくというような大学でございます。
 私立大学ですので、建学の綱領を持っております。このポリシーの下にいろいろなことを考えていくんですが、1つはやはり教育機関ですから人間形成であると。理工系の大学ですので、技術革新に寄与していきたいというのがございます。最後に産学共同という理念を昭和30年代の開学当初から私どもは持っております。大学の今、教員の約半数は産業界の出身というのもございまして、非常に産業界、企業さんとの連携については歴史もありますし、大学内での意識も高い大学だと思っております。
 1つ大学ですので、やはり教育、特に私立ですから、教育をまず柱に置いて、その先にいろいろな産学官連携ですとか地域の連携というのを考えております。教育の大きな特徴としましては、STEAM教育に今、力を入れておりますけれども、このプロジェクトデザイン教育といいますPBL型の課題解決、それを発表するような授業、カリキュラムを入学時から卒業まで一貫して行っているというのが非常に大きな特徴かと思います。
 こういった中に今始めていますのが、社会人にいかにそういった教育の中に入ってきていただくかというところを考えております。1つは社会人共学者と申しまして、今までも社会人の方が科目に参加して授業を受けるという形はもちろんございましたけれども、今考えております共学者と申しますのは、今の大学の授業は非常にアクティブラーニングと申しまして、単に聞くだけではなくて、いろいろな議論をしたり発表したりということで、授業の中で生徒と先生はもちろんですけれども、生徒間でもいろいろな議論を行います。そういう中に社会人の方に参画いただいて、18歳から22歳の学部生、大学生だけの議論だけにはとどまらないところを社会人の方から得たい。逆に社会人の方は、大学で新しい知識を持って、それを社会に持って帰るというところを今進めてございます。
 あと、企業との研究がこの後いろいろ出てくるんですけれども、そういう中で共同研究で大学に来ていただいて、同じく研究室で活動を行っていただく。その中にはもちろん研究室に学生が4年生、大学院生がおりますので、やはり社会人と肩を並べて研究を行うことによって、お互い切磋琢磨を行うという、この社会人の参画を今非常に意識して進めているところでございます。
 キャンパスの方は、このメーンのキャンパスとあと研究所群のキャンパスがございまして、あとは後ほどお話しする中山間部に新しいキャンパスを立ち上げたというところがございます。この八束穂という研究所群の中にございます革新複合材料開発センター、ICCと呼んでいますけれども、そちらの取組についてまず御説明差し上げたいと思います。
 こちらの方は、炭素繊維をメーンとした複合材料の研究開発を行っております。この炭素繊維の研究、産学連携が立ち上がっていった経緯といいますか歴史がございまして、こちらの方にあります私どもの中で立ち上げました研究会、材料に関するスタッフがおりましたので、そこから始まりまして、いろいろなサポインですとか事業を取ってまいりました。ある段階から、県を挙げてこれを支援していこうという流れになりまして、非常にオープンイノベーションが進んできたかなと思います。また、このクラスター事業もございまして、県内企業、県外も含めて参画を頂いてきたということになります。現在の研究所に関しましては、この文科省さんの補助事業によりまして、建物と中身を拡充してきたという流れがございます。
 こちらの方では、内容的にはこの炭素繊維を使いました社会インフラですね。インフラシステムの構築の研究を行っております。こちらの方は、COI事業のビジョン3、活気ある持続可能な社会の構築という課題の中で、採択を頂いたものでございます。このような風車ですとか発電系のものですとか、こういった社会インフラ。橋ですとか橋梁といった土木系のもの。あとは、これはもう既に実用化されているんですけれども、建物を補強する材料でしたり、建物そのものの構築というところを、新しい材料を使ってやっていこうという内容になってございます。
 この研究所の一つの特徴といたしましては、オープンラボであるということだと思います。企業さん、大学、連携大学さん、あと行政の方。それらが1つの屋根の下、「アンダーワンルーフ」と呼んでおりますけれども、その中に集って研究を進めているという形でございます。
 あとメンバーシップも用意しておりまして、こちらにメンバーシップに入っていただくことによりまして、この研究所を自由に使っていただくということがございます。今そのメンバーシップの企業数、あと非常に見学ですとか、いろいろなやり取りされる企業さんが多いので、非常に研究所としてはオープンな形で運用を進めてきたと思っております。
 ちょっとこちらの方、県内の企業群にはなるんですけれども、まず大学内での研究所としましても、クラスター型で複数の研究所と連携しながら動いております。こちらはちょうど石川県、加賀平野の部分になるんですけれども、コマツさんはじめいろいろな企業さんがいらっしゃって、彼らがこのキャンパスの方へ集っていただいているという形になります。
 あとは金沢大学さん、近くの北陸先端科学技術大学院大学さんもございますので、非常に産につきましては、もともと織機といいますか織物、繊維産業が盛んな土地でございます。ですから繊維そのものの企業群と、あとそれを支える工作機械メーカーさんというのが育成されてきた土地であるというところ。それが県の非常に主要産業ということで、先ほどのクラスター化を図ってきたという特徴があります。また、非常に本学はじめ大学が幾つも集積している土地ではありますので、産と学、あと石川県の官ということで、産官学の連携で進めてきた事業になるのかなと思います。
 非常に県内でもよく言うあれですけれども、中小企業さんにも入っていただいております。彼らも研究という部分では、参画いただいているというのがまた一つの特徴になるかと思います。
 今のは県内での連携でしたけれども、こちらの方は広域間ということで、炭素繊維関係に関しましては、この中部圏が非常に今集積が進んでおります。名古屋大学さん、岐阜大学さん、そちらは富山、福井という北陸の幾つかの大学の研究所が連携しているということがあります。あとは公設試さんも含めましたこのコンポジットハイウェイコンソーシアムというものを今立ち上げて連携を進めております。
 また、実はこの炭素繊維に関しましては、素材としては日本は非常に進んでいるんですが、最終製品で非常に立ち後れております。その部分でやはり進んでいるヨーロッパとの連携も進めておりまして、ドイツ、フランスの研究所とMOUを結んで連携を進めているということがございます。
 今までは、非常に極力オープンに、研究所の中に入りますと研究フロアが一望できるような作りになっておりまして、今何をやっているのか、どういう機材があるのかというのが非常に見えるような形で今まで進めてきたんですが、やはりなかなか今、研究が進んでくる段階で、全てオープンにもできないということで、この春に新たな建屋を、こちらの事業を頂きまして拡充させていただきました。こちらの方は、今まではTRLで言いますと、1から5ぐらいまでのところをオープンに進めようという考えで来たんですが、いよいよ商品化が迫ってきたということになりますと、ここから先はやっぱり見せたくないですとか、今までですと持ち帰って開発するという形を取っておりました。
 ですが、やはり1つの研究所内で進めていただきたいというのがございますので、今は実証エリアを横に増築しまして、そちらの方は企業ごとのブースを設けたり、誰でも中に入れるような形ではなくて、一種クローズなエリアを設けまして、そちらで最終的なTRL9に向けた開発を進めていただきたいというところを、この春から始めたところでございます。
 ここまでこのICC、COI事業の進めてきたところを少し振り返ってみますと、まず今連携を考えますと、石川県さんにつきましては、非常に県としてこの産業を立ち上げるんだという思いの中でいろいろな御支援を頂きました。やはり県内企業に対する働き掛けですとか、県としてもいろいろなところでアピールしていただいて、非常に我々としても県内企業としても助かっている部分がございます。
 あと大学としましては、いくつかの連携大学が全国にもございますので、そちらから研究員を受け入れて、私どもの中で研究を進めてもらっているという形がございます。あと企業さんに関しましては、社会実装に向けたところを進めておりますので、先ほどのメンバーシップをベースとした参画を進めてきていただいたということになります。ただ、今までの競争領域でのオープンな関係から、より社会実装に近い機密性の高いところへ今進んできているのかなという感覚でございます。国に関しましては、この事業の屋台骨を支えている資金として、今まで御支援を頂いていたという関係がございます。
 次に、新たな研究ということで、本学としましては、今まで産学の関係、地域の関係を以前からいろいろな形で進めてきております。共同研究を企業とは進めてきたという関係がありましたり、こちらの方は大学のシーズ集なんですが、常に実装ですとか、これを企業の中でどう生かしてもらうかということを意識しながら、最近ですとこのSDGsも意識したものに進めてきております。あとインターンシップ等もあります。
 あと地域に関しましても、先ほどのアクティブラーニングのPBL型の科目の中で、地域課題を頂いております。近隣の金沢市さん、野々市市さんから、市として持っている課題を学生の課題として捉えてやってみてくださいというようなものをやってまいりました。あとは、このように、これは近くの野々市市のバス停なんですが、こういったバス停の実証実験。これを新規のものを先生と学生で進めてみたり、いろいろないくつものこういったプロジェクトが走っております。あとアジアでの活動ですとか、これは一番最近ですけれども、奥にあります村の方にマイクロの水力発電所を立ち上げまして、これを大学の方で裏方といいますか黒子になって進めてきたようなものがございます。
 このように産学連携のいろいろなやり方を学んできたことと、あと地域課題に取り組むノウハウですとか体制。やはり課題は何だというところから始まるんですが、そういうものがかなり熟成されてきたということになりましたので、ちょっと新たな取組を今始めております。こちら、真ん中にありますのは、新たにこの春立ち上げました白山麓キャンパスという場所でございます。金沢市から白山、山がございますけれども、そちらに行くちょうど中間地点ぐらいになります。周りがちょっと切れていますけれども完全に山の中でして、横にはスキー場があるような典型的な過疎地でございます。
 そちらにまず黒い屋根の部分ですが、こちらの方は国際高専ということで、ここにまず全寮制の学校を作ったんですが、3年の留学、4年、5年、大学院という形で、一貫した9年間のグローバルイノベーターの教育を今進めていこうと思っております。
 こちら赤枠の方が、新たに作りました地方創生研究所という建屋でございます。こちらにイノベーションハブという実証実験キャンパスを設けます。この地方創生研究所の狙いといいますか仕組みはこのようになります。我々大学が持っている技術要素、研究所が持っている技術をクラスター的に集めてくるということ。あとはいくつかの研究課題を階層化しまして、最終的にはユーザーエクスペリエンスということで、この地域の中でどのように我々の研究が役立っているかをやはり確かめるといいますか、QOLにつながると思いますけれども、地域の方へのヒアリングも行いたいなというところまで考えております。
 この地方創生研究所につきましては、我々地方に立地している大学というのを逆手に取りまして、地域の抱えている課題を解決していこうと考えております。真ん中には、我々大学の持っている技術要素をおきまして、いくつかの分野を設定してございます。今この赤字で書かれている部分につきましては、既にいくつかプロジェクトが始まっているもの、研究活動が始まっているものがここにプロットされております。
 いくつか実例を申し上げますと、まず1つがこのエネルギーマネジメントのプロジェクトです。こちらの方にはキャンパス内にある建屋の方に太陽光パネルであるとか急速充電器、これは電気自動車の充電器といったものを配置しまして、地域でできたエネルギーを地域内で地産地消するというのが第1目標でございますけれども、その先では、そのエネルギーの範囲を広げていきまして、このキャンパス内から地域、場合によっては広域ということで、再生エネルギーをいかに活用するか。また電気自動車。それを一つのストレージとして活用して、エネルギーを可搬すると。エネルギーをやり取りするような部分まで含めた実証実験を行おうと思っております。これにつきましては、こういった設備を今、用意しましたので、いくつかの企業さんから参画の意思表示を頂いているという部分でございます。
 あとはドローンを使った森林資源の調査ですとか、実は地元の方に聞きますと一番困っているのは獣害だと言われます。非常に作物を荒らされたり生活を脅かされているということで、地域の方にとってみれば、まずこれを何とかしてほしいということもございますけれども、そういったものも入ってみて分かりました。あとはやはり中山間地ですので、農業に関する支援ですとか、あとは見守りということで、靴に少しIoTを仕込みまして、いろいろな歩き方とか場所を確認するようなものを進めております。
 今のようなプロジェクトを進めていくに当たりましては、先ほどのイノベーションハブという建物があるんですが、そちらの方に来ていただいて、滞在型で実証実験、研究を進めていただきたいと思っております。そのためのプログラムとして、こういったメンバーシップを用意しました。1つ例えばちょっと特徴があるんですけれども、支援の中に、意外と地域の方との調整というのが手間取ります。自治体もそうですけれども、実際に地域で何かやろうと思ったら、そこに住民の方がいらっしゃるので、彼らを無視しては何もできませんから、そこの意見調整とかいろいろな根回しですね。そういう部分が実は大事だったんだなということを我々気が付いております。
 こちらの方、数年前から地域に人間が入っていきまして、最初は本当にお茶を飲むようなところから始まるんですけれども、何か困っていることはありますかとか、実は我々こういうことを今後は考えていきます、いますというような話を進めていきまして、今になって、この段階。環境が整備されて、いよいよ活動が開始されますというところまで持ってきたというところでございます。
 見ますと、やはり課題がいくつかまとまってきたところがございまして、エネルギーなんかはかなり目標が見えてきましたので、それをバックキャストした形で、今後研究を進めていきたいと思っております。また、全学でSDGsに取り組んでおりますので、そういうものも目標として設定していきたいなと考えております。
 最後にまとめに入りますけれども、皆様に期待していることとしまして、やはり行政の方には、地域でどうこれから捉えていくのかいうところの大所高所の視点とリーダーシップをやはりお願いしたいなと思っております。企業の方につきましては、今比較的北陸地域も景気がいいものですから、なかなか研究開発とか人材育成に回す暇がないとよく言われるんですけれども、そこをやはり考えていただいて、投資をしていただきたいと思います。あと意外と地元からそういった新しい取組の企業が出てこないというところがありますので、そこをいかに支援していくのか。そういった雰囲気を作るのかということも大事かなと思っております。
 最後に、これ1つ実はかなり重要かなと思っているんですけれども、住民の方ですとか地域の方の意識改革ですね。問題意識は持たれているんですけれども、いざ踏み込もうと思うと、いやいや、うちでそんなことやるんかいみたいな話になってきますので、いろいろな意味で彼らも分かってはいるんですけれども、一歩踏み出すための動機付けですとか、いろいろな意識の問題。そこに何か打つ手はないのかなと。我々の方でやれる範囲もやはりありますので、ちょっとそういうところは国の方にもお願いしたいなと考えております。
 最後に国に対して期待することは、一つ運営支援としまして、実は我々今30名程度でこういった活動を行っているんですけれども、専門分野のところで、特に法的知識とか専門知識でなかなか及ばないところがあります。そういう部分を共通的に何か問い合わせたり、相談したり、御支援いただけるようなセンターがあると、非常に我々地方の中小規模の大学としてはありがたいなと思います。あとは拠点整備ですとか、人材育成。人材育成に関しましては、冒頭申しました教育と一体化した制度を設けていきたいので、そういうもののプログラムが出てくるとありがたいかなと思っております。
 かなり雑駁なお話になりましたけれども、以上で発表の方を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
【須藤主査】  どうもありがとうございました。
 ただいまの御発表につきまして、御質疑あるいは御意見等ございますか。
 どうぞ。
【林委員】  すいません、林です。
 ICCの説明とかもしていただきましたが、一度お邪魔したことがありまして、大変すばらしい設備とか環境だなと思ったんですけれども、いろいろ発展しているみたいで大変よろしいことかと思いますが、ちょっと感じたことですね。ICCとその後説明された白山にあるすばらしい拠点ですけれども、金沢工業大学さんとしては、ああいうきちんとした場所を作る。それから設備を基本的なものは導入するということを多分やられていくんだろうなと思うんですけれども、その中での活動に関して、どういうふうにされているのかなと。つまり、箱を作って、機械を設置して、使っていいですよというモデルなのか、あるいはそれよりも更に先へ行く何かの形の活動まで行けてるのかどうか。そこら辺の課題などをちょっと聞かせていただきたいなと思ったんですが。
【金沢工業大学(河合)】  まずICCに関しましては、ちょっと今日資料をお持ちしていませんけれども、研究フロアがあるんですけれども、今も完全にもう埋まる形で、研究機材等が入ってきております。これらは私どもが用意した計算機等もございますけれども、基本的には企業の方が持ち込みで開発・改良を行うためのものとして持ち込まれております。
 ですからICCの関しましては、企業持ち込みの機材、それを改良していくところを共に共同研究していっていると。最終的にはやはりそれが製品として世に出ていってほしいというところはありますので、そういう意味では箱を用意して、場所を用意して、そこに研究活動を入れ込んでくるような形かなと思います。
 もう一つ、先ほどのイノベーションハブに関しましては、この春に開所したばかりなので、実はちょっとまだなかなか中に充実した施設はございません。逆に、我々もあそこに何か機器ですとかそういうものを持ち込もうという思いは余りありませんで、やはり先ほど例えばエネルギーマネジメントを行うのであれば、ちょっと中に電気の幹線だけは作ったんですけれども、それに接続する機材を企業さんに持ち込んでいただいて、実験していただきたい。
 獣害なんかに関しましても、近くに猿とかそれこそイノシシがおります。彼らに対する機材を近くに置いて、例えばイノベーションハブにサーバーを置いていただいて、IoTでデータをやり取りする。そういうための基地を、場所を我々はあそこには用意したと思っております。地方創生といいますか、本当に過疎地の課題に対してアプローチする際に、もちろん東京でもそうですし、地方で見ましても恒常的にそこで活動ができる場、施設とか場所というのはなかなか今ないような気がしますので、我々はそういったところにアプローチしたいなと思っております。
【林委員】  だから、あえて過疎の地域のどこかに拠点的に作ったと。
【金沢工業大学(河合)】  そうですね。
【林委員】  それが実証実験等をやるハブになるだろうという、そういう目的なんですね。
【金沢工業大学(河合)】  そういうイメージでございます。
【須藤主査】  おもしろいですね。
 ほかにございますか。どうぞ。
【内島委員】  貴重なお話ありがとうございました。
 今回、地方創生研究所を立ち上げてイノベーションハブ機能を持たせたとのお話しをいただきましたけれども、この地方創生研究所の研究課題として挙がっている5つは、その地域のニーズを把握して、それらを重視し反映させた研究課題を設定したのだと認識しました。河合様は産学連携局のご所属でいらっしゃるということなのですが、実際にその地域・地方創生に向けた、地域との連携とか地域ニーズ把握の体制はどのようになっているのか教えていただけますか。
【金沢工業大学(河合)】  私どもの局にURAとまでは言えないと思うですけれど、コーディネーターの仕事をするメンバーが6、7人おります。企業さんとのやり取りはもちろんありますし、特にそのうちの2名ほどは地方創生研究所の立ち上げから関わっているんですけれども、ちょうど白山市という市がありましてそこに立地しているんですが、要は中山間地のところへ入り込んでいくような活動を行っておりまして。あと、すいません。ちょっと話が横にそれますけれども、横に国際高専という新しい学校を立ち上げました。学校を立ち上げるに当たってもやはり地元の協力が欲しかったので、その2点から、地元とのリレーションを深めていったという経緯がございます。
 それを3、4年前から始めていて、例えばこちらにありますこの発電所なんですけれども、これも大学へ来て何か話をして帰っていくだけではやっぱり信用されないと思うんですね。本当にそこで何か、物を残してくるわけではないんですけれども、足跡を残さなければいけない。これは一番奥にある白峰村という村なんですが、何かまずやりませんかと。水はたくさんあるんだけれど、川に流して終わりだねみたいな話があったものですから、一度マイクロ水力発電というものを試してみませんかと。要はエネルギーを地産地消で作りましょうというところですね。これ、やっぱり地元の方にも御賛同いただけたので、これをやってみました。
 ただ、これも意外と水、川に流れている水は大体電力会社さんが押さえていたりしていて、非常にどの水を使えるかというところがあったんですが、そういうところはやっぱり地元の方とやり取りしながら、この水なら使えるねというのを見付けて作って。実はこれ、企業さんの御協力も頂きまして、タービンなんかは中古のを持ってきて、それを再生して作ったり、制御盤なんかも企業さんの協力を頂きながら、内部資金を掛けずに作ったものでして。今は地元のNPOさんに運営を任せて、そこから上がってくる発電のお金については教育資金に回してくれという地元貢献をやったりしています。
 そこの町会とか区長会みたいなものがあるんですが、そういうところにもいろいろ話を聞いたり。やっぱりああいう地域ですので、人と人とのつながりが強いものですから、いろいろなリレーションを生かしながら。先ほどの獣害なんかも、実はお話を聞くと、まず獣害をやってくれないかというような問い掛けを我々もらったので、それ、何とかしましょうということで、今2、3社と話をしながらやったりということで、やっぱり地域に行って、そこに入ることによっていろいろ見えてきたり分かることがあるなという、正直なところありますね。
【内島委員】  ありがとうございます。
【須藤主査】  ほかにございますか。どうぞ。
【松原委員】  どうも貴重な話ありがとうございました。
 今日2つのちょっとタイプが違うお話をされたと思うんですけれども、事業化といいますか、うまく回っていくようなことを考えると、炭素繊維の方はある程度そういう製品になって、市場に出ていって、そういう面ではかなりうまくPDCAというか回っていくかと思うんですけれども、地方創生の方の研究所というのは、地域の課題解決で、非常にそういう面では社会性が高い。そういったテーマに挑まれていると思うんですけれども、そういうものが持続的に回っていく。そういったようなことについて、やっぱりいろいろなところが苦労するんじゃないかなと思うんですけれども、その辺の今後の見通しというんでしょうかね。そういうものを少しあれば教えていただきたいんです。
【金沢工業大学(河合)】  ありがとうございます。
 おっしゃるとおりで、地域の課題を解決して大学に何が残りますかというか、何かインカムありますかという話は当然あると思います。回していくための資金面で言いますと、当然公的資金、助成も取っていきたいと思いますし、あとはやはり企業さんからの持ち込み、あと共同研究という形での資金提供は頂きたいと思っています。
 ただ、1つ我々が今考えているのは、先ほどのICCもやはりそこにつながるんですけれども、我々やっぱり主柱は教育なんですね。大学教育をメーンに考えていますので、この地方の活動に関しても、先生と企業が活動を行います。その傍らには必ず学生が付きますと。既に始まっているものなんですが、企業との共同研究の中には必ず学生が入ってきて、一緒に研究に携わる。
 もう一つは、教育としましても、当然知識も必要ですけれども、実践的な課題解決能力を付けさせたいので、まさしくその課題がここにあると思っているんですね。例えば先ほどのエネルギーの問題に関しましても、横にある国際高専の学生は、既に学び始めています。何で今、再生可能エネルギーに対してアプローチしなければいけないのか。実は、本当に電気自動車に100%入れ替わったらどうなっちゃうのとか、なかなか新聞ではちょっと読み切れない部分かもしれませんけれども、そういうところに詳しい先生もいましたので、研究投資を行いながら、そのバックは教育にもフィードバックしたいということで、その両輪でやっていけば、何とか大学としてできるんじゃないかなという形では考えております。
【松原委員】  どうもありがとうございました。
【須藤主査】  どうぞ。
【串岡委員】  私もICCにこの4月か2月に県内の企業さんと一緒に見学に行ったことがあるんですけれども。というのは、広島の企業でも、例えば研究開発をしようと思っても、生産ラインを止めてはできないということもあって、今非常に繁忙期なので、前だと土日にちょっとテストピースを作るということもあったんですけれども、それができないので、例えばICCにメンバーシップになって使うということを聞いて、実際どんなものかというのを当時見に行かせていただきました。
 今、御議論があったように、オープンかクローズかということがあるんですけれども、地域の拠点というか、ある程度オープンな場所で、いろいろな企業がそこで実証できるというのは非常に有効な機能だと思っていまして、今後どういうふうにお考えなのかということを持っています。
 実は神戸の場合も、「京」に隣接したFOCUSという計算機の施設がありますけれども、そこも同じような機能、広島の企業も使っていますので、そういう、もちろん共同研究ということもあると思いますけれども、いろいろな地域の共用型の公的な施設の在り方についても是非御配慮いただければと思いますので、御意見をください。
【須藤主査】  ありがとうございました。
 まだあるかと思いますけれども、この後の議論の方に回したいと思います。それでは、第1の議題を終わりたいと思います、三重野様、それから河合様、本当にありがとうございました。
 それでは、議題2に入ります。これまでの関係機関からのヒアリングを踏まえつつ、資料2の論点整理。大体委員の先生方は頭に入っていると思いますけれど、資料2の論点整理の中の、Ⅲの「地域の科学技術イノベーション活動の置かれている現状及び課題」。ここですね。それから、Ⅳの「課題解決に向けて、今後国及び地域に期待されること」。この辺を中心に議論をしていきたいと思います。もちろん先ほどのお話、御発表の件も含めて議論したいと思います。
 それでは、まず事務局の方から、前回の委員会の議論を少しまとめていただきたいと思います。
【生田室長】  すいません。今の資料2を用いまして、少し前回の委員会を振り返ってみたいと思います。
 資料2、最初の方の第Ⅰ章とかは基本的なそもそも論の部分ですので、特段ちょっとこの資料上には記載はしておりませんが、順番に申し上げますと4ページ目の赤字の部分なんですけれども、前回の長野県さんと徳島大学さんからのヒアリングをさせていただいて、その後、本日のようにフリーディスカッションが行われました。その際に出てきたコメントをいくつかここでポツで書かせていただいております。
 これは、要は事例からの教訓のところとして、1点目でございますけれども、やはり域内、地域内に限定した活動に注力してしまうと、やはり悪平等みたいなものが発生するケースが多くて、今日もちょっと少し不平等にすべきではないかという話もございましたが、前回の議論の中でも、戦略的不平等を起こして、最適解を解くような形で、リソースが外にあればそれを逆に中に集積させていく、持ち込むような考えがあってもいいのではないかという御意見があったかと思います。
 さらにエコシステムというものを作るに当たっては、やはりそこに集まりたいという何らかのインセンティブをどうやって与えることができるか。これが重要ではないかと。これは、もちろん技術ですとかお金、研究の内容というのもあるんですが、社会制度などいろいろなほかの複数の要素といったところもあるのではないかと。逆に言うと、その仕組み作りに工夫が必要ではないかという御意見もありました。
 さらに、お金の面に関しては、補助金というのがよくあるパターンでございますが、それだけではなくて、資本性のお金をどこかのタイミングでは入れなきゃいけないのではないか。そういった思い切った投資ができる仕組みを各地域で導入する必要があるのではないかと。ここら辺では、例えばふるさと納税を投機的なものにという御意見もあったかと思います。
 最後のポツのところは、地方で新しい産業が生まれて大きく育っていくためには、ニーズドリブンでコンセプト志向が重要であるけれども、例えばゼロから立ち上げるスタートアップ方式と同様に、例えば今ある地元の企業を新しく再生させる。その両方の在り方があるのではないか。そのような御意見が全般論として出たかと思います。
 続いて、ここからはどちらかというと各2つのヒアリングから出てきた話でございますが、徳島大学さんの方で、エコシステムの形成に当たりまして、県内、それから四国・関西といった3つのエリアをそれぞれ強みを使いながら、分野によって使い分けをしているというお話ですとか、長野県さんの方のヒアリングにおいてもやはり地域自身が持つコア技術の種類によって、エリアの切り分けがなされている。
 さらに次のページに行きまして、地域における産業振興として、ものづくり、いわゆる工業を誘致することによる物作りの観点だけではなくて、もう少し川上のイノベーションを生み出す部分で地域内の雇用に結び付ける。そういう必要があるのではないか。このような御議論があったかと思います。
 具体的な関係者からのヒアリングで出てきた話は、ちょっと囲みで書かせていただいておりますが、長野県さんの方からは、まずは狭いクラスター。そしてその後、県内への波及を狙っているといった話ですとか、地域外との連携においては、コーディネーターさんがかなりの尽力をされていたという話ですとか、また徳島大学さんの方からは、大学の産業院という新しい考え方を御提示いただいたかと思います。
 また、同じく徳島大学さんの方からは、資金やアイデアを外から集めるに当たって、例えばクラウドというものをうまく使っているというような話ですとか、あと具体的な連携として、大学とTLO、そして地銀さんが連携しているといった仕組みの御紹介もあったかと思います。
 続いて、今度はどちらかというとマネジメントの話についてですが、こちら、長野県さんの方から、プロジェクトの成功の可否は、やはり主体の力を最大限に引き出すリーダー。本日も、誰が、どこが主体となってという話があったかと思いますが、そういうリーダーが必要という話。
 それから長野県さんの方からは、大学と企業とのマッチングをやはりどうやっていくかというのが一番重要だろうという話がございました。
 次の6ページ目に行っていただきまして、今度はマネタイズの仕組みに関する関係者からのヒアリングでございましたが、長野県さんからは、ノウハウの蓄積、そして事業の継続性といったものがやはり課題であるというお話ですとか、徳島大学さんからは、先ほど御紹介しましたように、クラウドファンディングによって外部資金を調達されているという御紹介がありましたけれども、大学独自でこれを運営するのは難しいので、一般社団法人として大学の支援機構というものを立ち上げた。このような御紹介もあったかと思います。
 そして続いて4点目の人材の部分、若しくはプレーヤーの役割分担の部分でございますが、こちら7ページに行っていただきまして、これは委員の方の御意見の中から、まず人材を地元に定着させるという話が前半部分ございましたが、それだけではなくて、外から人材に来てもらう、外からの来やすさといった観点も必要ではないかという御議論があったかと思います。
 そういった観点においては、徳島大学さんから御紹介があった産業院は、ある意味研究室と企業をつなぐだけではなくて、人材自体もつなげる可能性を秘めているのではないかというようなお話もあったかと思います。
 それと、スタートアップスタジオの成否を決めるのはやはり人であって、どうやって起業家群を見付けられるかというのが重要だろうというような御議論もございました。
 この点に関する具体的な関係者からのヒアリングは、また囲みで書かせていただいていますように、長野県さんからは、事業統括とか事業リーダーというような方たちがうまく機能していたという御紹介ですとか、若しくは公設試がいわゆる地元の産業界の技術力を一番把握しているので、重要な役割を担っていたという話。
 そして、徳島大学さんからは、先ほど人材のところで出てきました地元の定着率を上げるといった話に関しては、やはり県内企業を知ってもらうための講演会や現場見学などを行っているというような御紹介がございました。
 続いて、第Ⅳ章のところ、このような課題、いろいろ様々な課題に対して、どういったことが期待されるかという章でございますが、1点目のエコシステムのところについて、御議論として1つ書かせていただきましたのは、地域の資源を活用して外に発信する。これはもちろんのことでございますが、逆に地域の特徴を生かしながら、そこを目立たせて、国内外から集めてくる。こういった発想も重要ではないかというような御議論がございました。
 2つ目、マネジメントの部分については、関係機関からの御紹介として、長野県さんからは、国にはやはりコア技術の強化と実用化、ビジネス化という観点での支援を期待するという話と、それからコア技術の創出は大学が担うことを期待するとともに、自治体さんの方ではやはりビジョンを示していただいて、課題解決に向けて大学のコア技術をどう活用し、どうビジネス化するか、そのようなことを考えてほしいというような御紹介があったかと思います。
 3点目のマネタイズに関するお話の中では、徳島大学さんから、やはり国にはスタートアップ支援のための、大学が共同で持てるようなファンドの仕組み、これは主要な4大学の場合、それぞれが持っておりますが、これを例えば地方の大学が共同で持てるような仕組みが欲しいというような御発言があったかと思います。
 最後の9ページ目のところ。これは人材の部分でございますが、期待することとしまして、地域の大学が結局地域の企業との共同研究、これを自治体と連携することで人が育っていって、卒業生が最終的に地元就職してくれるというところにもつながっていくのではないかという御議論ですとか、地域において、今までのやり方を変えていく。要するにイノベーションを出すためのリーダーが重要。これはもちろんそうなんですけれども、リーダーだけではなくて、やっぱり全体の意識も変えていかなければいけない。要するに底上げとしての教育も必要というような議論があったかと思います。
 以上、前回の委員会の御議論を振り返らせていただきました。
【須藤主査】  ありがとうございました。
 それでは、議論に入りたいと思います。前回は、実は先ほどⅢ章とⅣ章のところですけれども、エコシステム等を中心に最初にやって、その後人材と分けてやっていたんですけれど、今の生田さんの説明を聞いたり時間のことを考えると、まとめてやった方がいいかなという気がしますので、余り項目に限られずに、このⅢの現状と課題、それから国の役割といったⅣ章のところに関して、どんな話題でも構わないと思いますし、先ほどの神戸の例と金沢工大の例を参考にしていただいてもいいと思いますので、まとめて議論をしたいと思います。
【林委員】  ちょっと須藤さん、いいですか。
【須藤主査】  どうぞ。
【林委員】  いろいろお聞きしてきていて、まとめてということですので、どうも課題がどこにあるのかなといろいろ考えつつお話を伺ってきていると、神戸地区もそれから金沢工業大学さんのICCも要するに成功例ですから、いい感じなんじゃないかなと思う反面、課題があるとすると、多分このいい感じをどうやって持続させられるかというところだと思うんですね。
 持続可能性をどうするんだというふうに視点を置くと、いくつか出てきて、例えば人材が出ていってしまうんですという。これは、人材が出ていってしまっても、新しく人材が入ってくれば持続可能性を維持できるし、それから資金の部分も企業の部分も、一時期は企業さん来てくれます。一時的に来て、終わったらいなくなっちゃいますというのも、これも企業さんは当然製品化すれば次のプロジェクトに移りますから、いなくなっていただいても結構なんですが、実は企業と一緒にやったことが大学とか地方にきちんと残せるような仕組みになっていますかという、そういう持続可能性ですよね。
 場所貸し、機械貸しだけをしていると、大体そのときはちゃんとお金をくれるんですけれど、じゃあ、ありがとうございましたっていうと、お金は残らないですから。そのときに大学が一緒にやっていて、きちんと技術を、企業の技術であっても使用できますよとか、そこをベースに何か次発展できますよというふうな仕組みができていると、これは持続可能に持っていけるのではないかなというふうにちょっと感じたんですね。ですから、もしも仕組みがきちんとできていない、あるいは、結構企業は企業として知的財産も全部持っていこうと思いますので、何かここは平等というかバランスできていないと多分うまくいかないのではないかな、課題があるかもというふうに思ったんですけれども。
【須藤主査】  今の持続可能な仕組みができているかどうかというのは非常に重要な点だと思いますし、その辺で何か御意見のある方はいらっしゃいませんか。
 どうぞ。
【斉藤委員】  結局これ、長期的に持続可能かどうかというのは、多分助成金が切れてしまったとしてもずっと自立してられるかということで、企業で言うとコストセンターからプロフィットセンターになっていることだというふうに言えるのではないかと思います。
 そういう意味で言うと、今日の神戸市さんの話もそうですし、ミャンマーの話もそうなのかもしれないですけれど、ROI的に助成金を入れましたというのが、コストとして使ってもらうようなそういうのではなくて、インベストメントとした上で、結果としてリターンとして、例えば大学ですとか市の先ほど税金の話もありましたけれども、そういったものの収入を稼ぐことによって、どこかで経済的に自立し、さらにはもっとどんどん稼いで、ほかの地域に例えばもっと投資できるですとかというふうにコストセンターがプロフィットセンターになるような、そういう仕組みにそれぞれがなっているかどうかというのが1つすごく重要なのではないかなというふうに。地域でエコシステムと言うからには、そこは自立するというのが多分そうだと思うんです。
 もう一つは、神戸市さんの話とかにもあったわけですけれど、やっぱりエコシステムの地域を超えて何か共有化することによって、よりプロフィットがもっと広がる。若しくは自分たちのコストが減るという意味において、先ほどの国際知財の話ですとか、あるいは何らかのファンドを共有化しましょうみたいな話ですとか、そういう地域それぞれのプロフィットセンター化をいかにしてインベストメントとしてするかという話と、地域を超えた共通インフラによって、それをより効率性を高めるかみたいな視点が、かなりちょっと企業的な視点ではありますけれども、そういうのが長期的には必要なのではないかなというのを今感じております。
【須藤主査】  関連で。ございますか、西村さん。
【西村委員】  神戸さんとか金沢工業大学さんとか、なるほど、すばらしいと思ったんですけれども、お二方を、何か批判するようなんですが、そうではなくて、私自身の最近の取組の中でずっと思っていることがあって。本来これは大学がやらなくていいことをやっていないかとか、行政は本当はここも手を出しちゃいけないんだけれど、ここもやり過ぎていないかということなんですね。
 各セクターがやるべきことを、ある程度わきまえてやっていかないと、私も昔ベンチャーをやっていたときもそうですけれども、たくさんのベンチャーを見てくると、自分の領域のプロではないところに対してまで手を出しながら、よかれというのかな、優しい心なのかも分からないけれどそこをやってしまうと、そこがどうしても例えば企業の目線から見ると、企業は常に切った張ったじゃないけれども、結局収益を取れなかったら潰れるわけなので、その厳しさの判断とは違うところで例えば家賃設定してしまったり、それとは違うところで研究開発で余分なことまで研究してしまって、そこにコストを掛けるとかですね。いうことをやってしまうケースがあるんですね。
 それがずっと染み付いていると、それは補助金があるからうまくいくけれども、さっきもおっしゃるとおり金の切れ目が縁の切れ目になってしまう。企業からは客観評価しか受けないので。お付き合いのやり方はしてくれるけれども、あるところからはすぱっといなくなるということは私たちも何回も経験していて、特に私たちの地域創生、結構やっているんですけれど、本当の意味で言葉を聞くと結構辛辣なことが起こるのは、行く先生によって向こうの受け答えが変わってくるということがあって、本音で話を聞いているときに、さっきの金沢工業大学さんもそういうことがあったかも分からないですけれども、もう来なくていいよって結構言われるんですよね。大学が来て、何してくれたのと言って。結局何か遊んで帰ったような感じだよねということを言われるケースもあります。私が行って、昔そういうことがあったので、もう二度と三重大なんて来なくていいよねということを言っている声も、実は何回も聞いたことがあるんですよね。
 その中でどうやって信頼を得て何かやるかというと、結局、全部を剝ぎ取った裸の姿と言ったらいけませんけれども、そこで本当に役に立っているか、必要とされているかだと思うんですよね。そういうちょっとシビアな、身の丈をしっかり知った上での付き合い方ができているかというところまで落とし込んでいくと、初めて持続可能かどうかが出てきていて、企業にとっては神戸市さんにいることがものすごくメリットがあるということで、企業は勝手にそこにもう投資してくれるとか。金沢工業大学さんは、多分その施設を利用するだけではなくて、最後やっぱり学生だと思うんですよね。学生たちがもう金沢工業大学で学びたいという、そこで出ていった力が必ず社会に認められるということがあるから、継続的に学生が来るから、その資金源でああいう地域の活性化ができるんだと思うんですよね。
 最後はやっぱり各セクターが、各セクターとしての本来の力を磨き切ることじゃないですか。ここが本分であって、そこがしっかりできていないものが、ちょっと横に手を出して、私はちょっと専門家なので何かできますよとか、お金があるのでできますよと言っているという、ちょっとしたおごりだとか甘えみたいなのを削っていくという作業も、もしかしたらこの持続性だとか主体性には必要なのかなと思いました。
 自らの反省を込めて、ちょっと言わせていただきました。
【須藤主査】  じゃ、松原先生、お願いします。
【松原委員】  ちょっと西村先生の話を受けてではあるんですけれど、ちょっと話が変わってしまうかもしれませんが、よろしいですかね。
 神戸市さんの方で出ていた、要するに自治体側がそういう特化したような分野に突っ走れないというか。そこは私も日々感じているところで、リスクを問わないというか、議会を通したりいろいろなことを考えていくと、やっぱり一つの分野に特化した形で突っ走るということは、かなり抑制されることが多いのかなとは思っておりますけれど。
 これは市だけではなくて都道府県なんかになるとより総花的になってきて、結局いろいろな形でのイノベーションのプロジェクトなんかを、あるいは地方創生の交付金なんかもそうなんでしょうけれども、何かそういう形でいろいろなプロジェクトを立ち上げようとしていくときに、本当に国際競争力を上げようとしたりすると、やっぱり1つの分野に特化した形で、ある地域がやっぱりやっていくという。これは海外を見ましても、ドイツだとバイオだとミュンヘンでもう行くという形で、かなり国家の中でも特定の地域に分野を絞った形で、そこを伸ばしていこうという戦略があったりするんですけれども、日本の場合はどちらかというとやっぱり総花的に終わってしまって、結局何かどこも同じような形で、大きな成果は出てこないといった。それを国の方も何か引き上げていくというようなことがない限りは、なかなかうまくいかないのかなと思うんですけれども。
 その辺あたりのマネジメントみたいな話なんですけれども、そういった形で、何かギアチェンジというか、国も自治体もそうなんですけれども、やはり絞り込んだところで国際競争力を上げていくような、それは地域の科学技術イノベーションでもそうだと思うんですけれども、そういう戦略が取れないかなというふうに思います。以上です。
【須藤主査】  先ほど出ていた、先進んでいるところのえこひいき的なやり方というのと同じような意味で捉えてよろしいんですか。
【松原委員】  ええ。
【西村委員】  ただ、そのえこひいきするときに、えこひいきの結果の評価を自己評価では絶対駄目なんですよね。全てはやっぱり客観評価で、世界に行くんだったら、世界の中で確実に勝たなかったら意味がないんだというぐらいの覚悟と、その評価ができるかどうかなんですよ。
 大変申し訳ないんですけれど、私はいろいろなプロジェクトを見てきたけれども、一応最後は何となく成功したように書くんですけれども、それ、例えば本当に望んでいたような産業の作り込み、出ましたかって、今までありましたかということを問い掛けると、産業ベースはいろいろあったかも分からないけれども、こういう産学官とかそういうので余りないような気がするんですよね。国家を変えるぐらいの新しい産業を引っ張ったようなプロジェクトまで行きましたか。国際化というのでそういうことだと思うんですけれども、ないような気がするんですよね。そこら辺の評価基軸をかなり厳しくすることも。えこひいきというのは、絶対重要なんですよ。えこひいきしたときには、えこひいきイコール結果に対しても責任をかなりシビアに求めていくというのが、大事だと思うんですよね。
【須藤主査】  そうですよね。
【松原委員】  同じような意味なんですけれども、例えばクラスターのときなども、私が1ブロックというか広域的な圏域で、1つの分野に絞りこまないと、そんな国際的に戦っていけないと、1ブロックで1セクターぐらいのところで頑張っていくべきだと常々言うんだけれども、このブロックですね。広域的な圏域でさえも2つ3つ、要するにたくさんの分野でやっていかないと、何かやっぱりリスクが大き過ぎるというふうに言われて、なかなか進んでいかない部分がある。そこを何かいろいろ破れないかなというふうには思っています。
 そのときには、やっぱり学者というか、いろいろな研究者がコンペティションをちゃんと冷静に正確に、国際競争力のある地域はここだという形で言い切れるかどうかというところも問われてくるかなというふうに思います。以上です。
【須藤主査】  神戸の話で、例えば医療ですよね。今日のお話で。そこは、今のお話でどういうお考えなんですか。うちは大丈夫だとか。
【神戸市(三重野)】  そうですね。そこの覚悟といいますか、そういう世界にも影響力を与えるような形のエリアにしたいという思いもありますので、そこはそういうつもりで御意見を言わせていただいて。私自身はそこの一応担当部長でございますので、そこは自分自身的には責任を持ってやりたいなというふうには思っております。
【須藤主査】  是非医療産業だったら神戸市という、国際的にも打って出れるようになっていただきたいと思うんですけれど。
 あと林先生が言われた最初のところで、ちょっと私、意外というかおもしろいなと思ったのは、逆に大学に資産が残っていくかどうか。資産というか、知識、知的財産だと思うんですけれど、そういうことって余り議論されていないような気がするんですけれども。例えば、河合さんのところなんかは、そういっていろいろと地域として、あるいは産学連携をやってきたとき、結果としてそれを大学にどうやって資産として残していくかということは、何かお考えになっているんですか。
【金沢工業大学(河合)】  企業との研究に関しては、やっぱりもう知財の部分と、あと研究領域をどれだけ持続させていくかかと思います。おっしゃるとおりで、結果が出なければ当然企業さんはすぐ離れるので、その部分はもう残らなくてもしょうがないと思うんですけれど、うまく、持続的にという言い方はあれかもしれませんけれど、企業とのお付き合いが続けられるのであれば、先生若しくは研究室から出ていく学生に対して、そういった研究の成果が残っていくのかなというのが1つあるかと思います。やっぱり知財でカバーするのはもちろん大事だと思います。
 あと地域とのやり取りに関しては、単発的に何かお祭りをサポートしましたという形では、これはもう全然何も残らないですし継承されません。今我々がやっているのは、学生と先生、職員が一緒になって、プロジェクトとしていろいろな活動を進めています。例えば金沢市内のライトアップをやるんですけれども、イベントに合わせた。これももう十数年続けていまして、そういう形の母体、受け皿を用意して、それが、学生の活動を教員が少しサポートする形で続けていく中で、地域とのつながりと、あと当然ブラッシュアップしていくので中身が残っていくのかなと。ちょっとお答えになっているかは分かりませんけれども、そういう活動は進めております。
【須藤主査】  なるほど。今まで産学連携っていろいろな議論をやってきていて、企業側から見れば、成果が出て事業になればいいのではっきりしているんですよね。逆に大学側に、じゃあ、何を与えてきたんだという議論は余りされていないような気がする。大学は、単にお金が入ればいいやで終わってしまっているような気がするんですけれども。何かそういう持続可能性という意味では重要な点だと思うんですけれども。
【林委員】  そうなんですよ。
【須藤主査】  何かありますか。
【林委員】  さっき一緒にやったことで何か新しいことを発見した、知財になったというのが大学にある程度きちんと残っていく。それが次の新しい何かブレークスルーにつながって、そうすると企業としてはまたやっぱりそこに非常に中心的な研究ができてきているから、もう一回やりたいと。要するにその集積がないと、一回一回で終わってしまう。次、来るかどうかは全く分からない、そんなの。
 ところが、そこでちゃんと上がりを得ているというか、お金じゃないですよ。知財としてというか、ナレッジとしてたまってくると、だんだんそれがセンターになっていくと思うんですよ。もうこの分野はあの大学だよという感じ。これ、実は、この話、ベルギーのIMECの方とお話ししたときに、すごくきちんとしたポリシーを受託研究機関として持ってらっしゃって、IMECでやったいろいろな技術開発の発明とかそういったことは全部IMECのものよと言っているんですよ。そういう言い方をしてよく企業さんが来ますねと言うと、実はそこが彼らの譲れないところで、そうでない限りIMECは存続できなくなるだろうと。
 だから、それを言っても来てくれるような付加価値が出せるかどうか。それは設備である場合もあるし、人材である場合もあるんですよね。あそこもルーベン大学から学生さんを持ってきて、そこで一緒に共同研究をやったこの優れた学生さんを企業がやっぱり持っていきますから。そういうふうないろいろな付加価値があるからこそ、そこでやったことに関してはIMECの所属になっても構わないだろうと。
 いろいろなシナリオが多分あると思うんですけれど、きちんとしたポリシーと仕組みがあるのが、やっぱりあれだけの何千人の一大研究部の組織が成り立つ根っこのコンピテンシーかなと思いました。
【須藤主査】  今の点は、こちら大学の委員の先生も何人かいらっしゃると思うんですけれど、何かありますか。
【西村委員】  すいません。
 大学に何が残るかというよりも、さっき私はちょっと研ぎ澄ますと言ったんですけれど、やっぱり大学って、何かそこでしかないものがない限りは余り来てくれないんですよね。若干手前みそで言うと、さっき林先生がおっしゃっていたようなことを私個人としては経験していて。私、もう10年ぐらい地域創生をやっていますけれども、ちょっと偉そうに言うと地域創生だったら多少三重大学という名前は通したんですよね。その中では、実施例がはっきり見えているんですよね。
 うちで来ていた最初の大学院生は、例えば赤福の社長、マスヤの社長であったり、万協製薬の社長がうちのところへ最初来ていて、彼らがある程度その地域の中ではしっかりとした実績を残しながら成長していったんですよね。その次に来たやつらが、例えばうれし野アグリを作ってみたり、あと私らは鳥羽マルシェという直売所も作ったり、いろいろな結局実績を全部残していったんです。
 それを普通に語っているというかプレゼンするだけで、ますます人が集まってきて、その人たちがまた勝手に言い始めるんですよね。あそこ行ったからよかったって。そうすると、次々と集まってくる。そういう現象が確かに起こって、ちょっと個人の話になったかも分からないですけれども、大学、そこでなきゃできないものというものに対してどんどん高まっていく雰囲気というのは、これはやっぱり学問をやっているとか大学というところは、確かに学生は入れ替わったり先生も多少入れ替わるかも分からないけれども、そういう意味で言うと残っていくんだと思うんですよね。
 ですから、やっぱり研究力の強さなのか、考える力というか、そのレベル感の高さみたいなのを上げていくようなことで、そこの産学連携の経験だとか共同研究の経験だというのは残っていくんだと思います。でも、それを個人に残すということが、今のところ、まだ大学はあるんですよね。組織としてどうやって残すかということは、すいません、それ、今、私が一番悩んでいることでもあります。なかなか難しいところです。特に大学というところはです。
【須藤主査】  非常に重要な点だと思いますので、これはもう少し議論したいですね。
 何かありますか。はい。
【德増委員】  今のところ。今、西村さんが言ったんですけれども、大学もそうなんですけれども、研究所もやはり組織に残るかというと、なかなか残らないところがあって、個人に付いていく。特に大学の中も、やはり先生の力というのは結構大きくて、あの先生がというところで学生が集まるという。こういうところが多くあって、やはり組織的に何かとなると、これが非常に難しいところだろうと思っています。
 それから、やはりあと先ほどの知財という面から見ると、大学はどうしても教育というのがあるので、教育となると学生の将来。学生が何かを起こす、学生が新しい会社なり入って、そこで何かを起こすというようなときに、大学の価値というのが出てくるかというところだろうと思います。それが、金沢工業大学で言えば、先ほどやっていたいろいろな実践の経験がどう生きてくるかというところだと思うんですよね。
 ですから、大学というのがあって、そこの周りに学生が新たな産業を起こす、起業化をする。こういうところが一つの集積の糧になってくるのではないかなというふうにちょっと思っております。
【須藤主査】  ありがとうございました。
 三木先生、何か話題を変えてもいいと思いますけれど、新しい発想で何かございますか。
【三木委員】  今の話題、すごく大事なところだと思うんですね。持続性ということを考えても。1つは、皆さん方、世の中での今のビジネスで非常に大きなマーケット、例えば5Gだとか、そういうところにぽっと目が行くんですけれども、実は地域という目で見ると、いろいろなグローバル以外のもの。でも、将来ひょっとしたらグローバル化するかもしれないような問題というのが一杯あって、それをやはり科学技術のあらゆる分野で、私は大学の中にトップの血が、もういろいろな分野でいいです、それぞれのところは。それを持っていることがすごく大事だと思うんですよね。
 それで産学連携。こういったことをやっていく中では、当然課題を見る目とか、ビジネスの視点からのアプローチの仕方といったことが大学の中にも入ってくるわけです。それをどこで次に継承するかというと、そのチームの若手なんですよね。決して組織の中全体で可視化なんかできっこないので、そのチームの中の若手にどう継承していくか。そこが多分一番大事になってくると。
 そのためには、いろいろなメソッドも、アカデミアの中のメソッドと、それからビジネスの側で、特に事業化のときのメソッド、違うメソッドも当然若手に中に入ってくる。これが、実は若手の中から、ひょっとしたらアントレプレナーが出てくる可能性にもつながっていく。そういう部分をしっかりと位置付けておかないと、大学はただ金が入ってくればいいという単純ないわゆるビジネスモデルではないと。大学のビジネスモデルというのは、そういうものまで全て価値がどう流れてきて、何が蓄積され、それが次のための投資の原資になっていくのか。こういう目で見ないと、大学側はここ最近運営費交付金が減ってお金が足りない、足りないという話ばかりが聞こえてくるので、そういう狭い範囲の議論にとどまらないようにすることが非常に大事だと私は思っています。
 それから、もう一つ大事なことは、物事には失敗ということがありますけれども、これは、こういう言い方もできるんです。やめない限りは失敗にはならないという考え方もあるんですね。やめたら失敗です。ですから、あるときには、物事ってビジネスの目から見て、春夏秋冬みたいな、やっぱり四季のサイクルみたいなのがあるわけですよ。その四季のサイクルで冬のときにどんどんやったって、うまくいかない。やはりそのときは身の丈に合ったことを、ミニマムリクワイアメントをしっかりとやっていく。で、春に備える。こういった産学連携を主体的に担うところがビジネスモデルを常にダイナミックに変える力を持っていないと、持続はしないように思っています。
 だから、その辺は、何か何らかの形で少し成功しているところに対しても、冬の時代ってあったはずなんですよ。そういったところをどういうふうにして乗り切ってきたのか。それは文部科学省としてもデータを少し収集してはどうかなと思っています。
【須藤主査】  ありがとうございました。
 ただいまの御意見あるいは指摘に対して何かありますか。
【西村委員】  ちょっと質問してもいいですか。
【須藤主査】  どうぞ。
【西村委員】  私、大変金沢工業大学さん、すごく注目しているというか、私はすごくある面うらやましいなと思いながら聞いていたりとか、いろいろな情報なんか入ってくると思っているのは、そうやって今回もいろいろな戦略をぼんぼん出していって、建物を作ったりも含めてやっていくじゃないですか。ある面それは学費なんかのいろいろな自己資金もあって、寄附とかいろいろな資金があると思うんですけれども。いずれにせよお金とか人事権とかも含めて、かなり決断がどこかできちっとされて、そういうふうな大学としての方針をきちんと守りながら、それをきちんと実現するような何か軸があるように見えるんですよ。
 ですから、これは大変申し訳ない、国立大学というのはなかなかそれがうまくできていなくて。これ、ちょっと御指導いただきたいのは、どういうふうにして、そういうイニシアチブを取りながら大学の色を出して、それを継続して実現していくか、話ができるところまででもいいんですけれども、ちょっと御指導いただければと思うんですけれど。
【金沢工業大学(河合)】  そんな御指導なんてことはとんでもない。おこがましいあれなんですけれど。
 確かに私立大学ですので、先ほどの建学の綱領が3つございましたよね。やっぱりまずあそこが非常に私は大事だと思っております。どういう考えで大学を運営していくのかという価値観といいますか、目標の共有がまずできているかどうかかなというのは、これは非常に美しい話としてはございまして。
 あとどこまで言えるかはあれなんですけれども、意思決定は確かにほかの大学から比べると、見ているとやっぱり早いと思いますね。正直言いまして、誰かが決めているんです、これは。そこがもうぶれていないので全体的にはぶれがないという、ちょっと非常に曖昧な言い方になりますけれども。
【西村委員】  非常に難しい、多分美しい建学の精神を、全員に気持ちだけではなくて行動で動かすというのは非常に難しい話かなと思っていて。私たちも立てるわけですよ。ミッションとか、三重大学は地域から世界へとか何か書くんですけれど、でも、行動の中では、結果的にはっきり言いますけれども人事権と予算権を握っていないので、誰も言うことを聞かないであっちゃこっちゃ行くわけですよ。精神論だけで言っても多分無理で、その精神論を超える統一感みたいなことができないと、恐らくこれ同じだと思うんです。セクターごとに。ちょっとそこに補助金なんかがいろいろ入ってきてしまうと、確かに取った人たちはそのことにわっとやるんだけれども、ほかの人たちは関心ないよねとかなってしまって、結局いろいろなやっていることが組織として落ちないというところに、結果的に組織としての統制力が取れないということもあるのでね。
 多分その意味で言うと、組織としての統制力を取られているところに、余り言いにくいかも分からないでしょうけれども、何か教員とか……、教員は多分そうで、組織に関わる人たちがその方向に向くというふうなきちんとしたグリップが利くようなことがなされているのかなと思ったんですね。
【金沢工業大学(河合)】  そういう意味で1つ、個というか、違いがあると思うのは、教職共同がかなり成り立っていると思います。やはり当然学生に対して、いろいろな研究に対して主体的に動いていただくのが先生方なんですけれども、職員との関係が非常にある意味平等といいますか。そこがかなりうまくいっている一つの要因かもしれませんね。
 例えばいろいろなさっき言った学生のプロジェクトとか地域のいろいろな取組に対しては、先生はもちろん入るんですけれど、必ず職員も入ってきますし、職員主体で、逆に主導で、先生、これ、やってくださいよという形でもっていくケースもあったりする。これは産学官連携だけではなくて、教育の面でも、教育方針とかいろいろな制度改革の際には職員も一緒に物を考えてやっていっている。というところで、先ほどの3つのポリシーを共有しながら、組織として動けているという一つの答えかもしれませんね。
【西村委員】  ありがとうございました。
 ちょっとだけ。すいません。長くなって大変申し訳ないんですけれども、非常にそれが意味があって、ちょっとこれ国立大学の話をすべきところじゃないかも分かりませんが、大学というものをきちんと機能させていこうということで前提で行くときに、大学が何のために、その大学が何のために存在するかというこういう方針を立てたときに、一番これを理解して動かしていく集団は、職員の方かなと思っているんですよ。
 教員は、確かにそのことを理解して、あくまでもタレントですから、その時代に合わせた一番のタレントを選んできて、その人たちがこの建学の精神にあることを実現するためのパーツとして最大力を発揮してもらったり、その大枠をきちんと捉えて動かしていく土台は職員だと思うし、その職員を束ねるところの執行部みたいなのが、ちゃんとそれを理解しながら走らせる。
 どこに精神論を共有化させるかというところが、例えばこの大学というセクターは、実はそこがうまくまだ機能できていないから、何かやろうとしたときに、本当に研ぎ澄まさせて何とかという……。言い方はあれですけれども、三重大学なんかも一杯いろいろな学部を作る必要ないんですよね。本当は一点抜けで、地方のこの課題を解くことにとっては世界で一番だというふうになれば、世界中から圧倒的に来るんですよね。
 それができないというどこかに、思い切りだとか責任とか。これは、もしかしたら神戸市さんもそうかも分からない。いろいろなところが総花的に全部やらなきゃいけないところというのは、どこかにその組織自身の本来の目的を実現するような形に、セクター自身が……。企業はそうじゃないような気もするんですよ。物すごくシビアにやられているから。でも、やっぱり公的団体である行政であるとか大学というところは、もしかしたらそこが緩いから、そこが全部に関わってきて、こういうクラスターを作っても何かにしても、ちょっと言い方は悪いけれども、一番低いところから水が漏れるように、そのレベル感が低くなってしまうのかなとちょっと思っているんですね。私もちょっとそこをどう上げていくかというときに、今回の金沢工業大学さんのこの取組と成果のレベルの高さを考えると、非常に参考になるのかと思って、聞かせていただいているということです。
 どうもありがとうございました。
【林委員】  私立大学だからできやすいのかね。
【西村委員】  できやすいというのはありますよね。でも、これは国立でもできるはずなんですよ、本来。もっとやりやすくできたはず。半分ぐらいはお金の面で苦労しなくていいわけです。
 すいません。ちょっと余分な話でした。
【須藤主査】  ありがとうございました。
 金沢工業大学さんで、自治体との連携というのがちょっと余りよく見えなかったんですけれど、そのせっかくうまくいっている仕組みを自治体とどうやってつないでいるかというのをちょっと教えていただきたいのと、逆に神戸市の方は、神戸大学とかあの辺との連携が余り御発表ではまだまだ活発ではないということを言われていたんですけれど、そこもちょっと問題かなと思うので、そこをどうしたらいいのかって、ちょっと最後にお聞きしたいんですけれど。
【金沢工業大学(河合)】  じゃ、私の方から。
 自治体さんとの連携は、多分もう20年近くやっていると思いますけれども、近隣の市町村、特に市ですね。地元の野々市市と金沢市さんとは、当たり前ですけど連携協定を結びながら、先生方の知見をまず使ってもらうようなところもありますし、1つ特徴的なのは、やっぱり学生が出ていっていろいろなプロジェクトといいますか、いろいろな御支援をしているところかもしれません。例えば建築系の学生が、地域の空き家をリノベーションして、何かやりましょうと。そこに住民の方に集まってもらう。そういうのに市も協力していただきながらやっているような活動はございます。
 あと、もちろん市のこういった委員会に入っていって、いろいろな御意見を差し上げることもあるんですけれども、かなり現場に行って何かやるという支援が我々の特徴かもしれません。それがずっと連綿と学生が先輩から後輩へ受け継ぐような形で続けてきているのが1つ大きな特徴だと思います。
【神戸市(三重野)】  神戸大学に限定して話させていただきますと、うちはやっぱり国プロを取るときに連携して取りにいくというような形でのつながりというのが最近ちょっと出てきてはおるんですけれども、本当に産学官、産学連携という形で、神戸大学全体、ですから今の国プロでしたら医学部であったり工学部の一部の先生であったりとか、そういった分野ごとでの連携はあるんですけれども、全体としての連携というか、神戸大学のアカデミア全体とうちの進出企業との何かこういうマッチングといったところまではまだ行けていないので、そこを今後ちゃんときっちり構築していきたいなというような話し合いは始まっているということです。
【金沢工業大学(河合)】  1点だけ付け加えさせていただきますと、課外にプロジェクトで地域へ出て行くのは、我々は実は教育だと思っています。僕ら、課外教育として学生が実践してくるというものなので、大学としてもそこは勝手にやってこいではなくて、必ず支援していくといいますか、面倒を見ながら、様子を見ながら手を差し伸べていくというような形で、これも教育の一環だと思っています。
【須藤主査】  ありがとうございました。
 まだあると思いますけれども、きょうは時間になりましたので、また次回、続きをやりたいと思います。
 それでは、最後に事務局の方からお願いします。
【植原専門官】  それでは、資料4を御覧ください。次回の委員会の日程ですけれども、9月12日水曜日13時から15時半を予定しております。場所は文部科学省3階にあります3F1特別会議室となっております。次回の委員会も引き続き関係機関に対するヒアリングを実施する予定です。次回は、民間企業からのヒアリングを予定しており、対象機関として、株式会社ブルックマンテクノロジ、セーレン株式会社の2社を予定しております。
 また、次回の委員会では、今月末に公表予定の来年度概算要求に関して事務局から御報告させていただく予定です。そのため、いつもより委員会のお時間を30分ほど長く取っております。
 以上です。
【須藤主査】  15時半までということですね。
【植原専門官】  はい。
【須藤主査】  それでは、これで第5回目の推進委員会を閉会といたします。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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