産業連携・地域支援部会 大学等における産学官連携リスクマネジメント検討委員会(第5回) 議事録

1.日時

平成28年2月22日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 東館 3F2特別会議室

3.議題

  1. 大学等における知的財産マネジメント上のリスク管理について
  2. 産学官連携リスクマネジメントの取組状況等について(報告)
  3. その他

4.出席者

委員

渡部主査、馬場主査代理、足立委員、飯田委員、伊藤伸委員、伊藤正実委員、苛原委員、植木委員、江戸川委員、新谷委員、西尾委員、野口委員、芳賀委員、林委員、平井委員、三尾委員、峯木委員

文部科学省

坂本産業連携・地域支援課長、山下大学技術移転推進室長、西島大学技術移転推進室長補佐、小河大学技術移転推進室専門官

5.議事録

【渡部主査】    それでは、定刻になりましたので、ただいまから、大学等における産学官連携リスクマネジメント検討委員会の第5回を開催します。
  最初に、事務局から資料の確認をお願いします。

【小河専門官】    それでは、配付資料の確認をさせていただきます。最初に、議事次第がございまして、資料1として、縦置きの論点案、資料2として、報告書案、資料3として、横置きの三尾委員のプレゼン資料、学生の発明とアカデミックハラスメントについて、資料4として、産学官連携リスクマネジメントの取組状況、こちらも横置きのパワーポイントの資料、あと、参考資料として、参考資料1から6をお配りしております。参考資料1が条文の横置きのもの、参考資料2が縦置きの特許法36条6項のガイドライン案の位置付けについて、参考資料3として、こちらは縦書きのもの、ガイドライン案指針です。資料4として、ガイドライン案に関するQ&A、参考資料5として、35条3項の適用について、大学における運用の部分です。参考資料6として、30条の適用について、こちらの1枚物です。不備がございましたら、事務局までお知らせください。
  以上です。

【渡部主査】    よろしいでしょうか。
  それでは、きょうは主に職務発明及び学生の発明も含む取扱いについて議論を進めてまいりたいと思います。
  最初、論点案について確認させていただければと思います。事務局から説明をお願いします。

【小河専門官】    それでは、資料1に基づいて、前回出された意見の論点案の整理だけを簡単にさせていただきます。詳細は後ほど説明させていただきますが、資料1の表紙に書いてある論点があると認識しております。
  論点1として、大学における職務発明に該当する範囲がどういうものかについて確認する必要があるのではないのかという意見が前回出されたところです。
  論点2として、特許を受ける権利の帰属先、原始的な帰属先として個人帰属、機関帰属があろうかと思いますが、どういったことに留意すべき事項があるのかという点を確認する必要があるのではないのかという点で、論点2としてございます。
  論点3として、大学における相当の利益について、どのような内容があるのかという点を確認する必要があるのではないのかという点で、論点3を設定しております。
  論点4として、学生発明の取扱いについて、特に学生がした発明の扱いとアカデミックハラスメント、その関係性で、機関帰属とすることの可能性について整理する必要があるのではないのかという点で御指摘がございました。
  論点5として、その他の点として、客員研究員やクロスアポイントメントのときにどうしていくのかという点の意見が出されたところです。
  このような五つの論点があろうかということで、論点案を整理しております。
  簡単ですが、以上です。

【渡部主査】    これらの論点案について、後ほど議論を進めさせていただきたいと思いますが、その前に、特に論点4に関係して、学生の発明については、いろいろな議論を踏まえて考えないといけないということで、三尾委員から、このトピックについて御発表いただいた後に、議論を進めさせていただきたいと思います。
  三尾先生、よろしくお願いします。

【三尾委員】    それでは、資料3を御覧ください。学生の発明とアカデミックハラスメントということで、そもそもアカデミックハラスメントというのはどのようなものなのかということについて、もう一度、認識を共通化していきたいと思います。大学におけるハラスメントとしては、もちろんアカデミックハラスメント以外に、セクシャルハラスメントやパワハラと言われるものなどがありますが、今回はこの中でアカデミックハラスメントというものに焦点を当てたいと思います。定義としてはいろいろありますが、概略的な定義としては、研究上や教育上、又は職場での権限を乱用して教育活動や研究活動、若しくは労働に関係する妨害、嫌がらせ、又は不利益を与えることと言われています。
  大きくは、研究・教育に関連するものと、就労に関連するものとに分かれるわけですが、後者の就労に関連するものというのは、今回は学生にフォーカスするので余り関係がないと思います。教育や研究に関連するものとして一般的な例として大学内の規定などに書かれているものは、学生や研究室に属する大学院生などに授業を受けさせない、専攻の変更を迫る、学位論文を受理しない、就職活動において不利な扱いをする、学生のプライバシーを暴露する、私的な用事に使うというようなことがあります。一般的には、大学の中にハラスメント防止指針といったものが定められていることが多くて、具体的な内容については、各大学の指針の中にかなり具体的な項目として挙がっている場合が多いのかなと思います。大学によって、具体的詳細さについて様々なので、一般化はできないと思いますが、今回は、どのようなものがアカハラに該当するのかということを詳しく理解しようと思いましたので、少し詳細に具体例を挙げてみました。
  次のページを御覧ください。これはある大学のハラスメント防止指針に書いてある例示を使わせていただいたのですが、結構詳細に書いている方だと思います。研究活動に関連したものとしては、適切な研究指導を意図的に行わないということ、機器の使用を認めない、必要な研究費や出張旅費を配分しないこと等によって研究の遂行を妨害すること、研究発表や論文作成を妨害すること、実験を行う、アイデアを出すなどして研究を主体的に行っていた者や、その研究に最も大きな貢献をした者を最終的には排除してしまう、いわゆる研究成果の剥奪と言われていること、研究試料や物品を勝手に廃棄する等、研究に不可欠な物品の購入を特定なものに限って認めないこと、その他、研究活動を妨害したり、正当な理由がないにもかかわらず、研究活動に関しての考え方や自主性を否定するような言動を行うというようなことで、このように文章にしてみると誰が見ても明らかにおかしいのではないのかというような例が列挙されていますが、このようなことが指針としては挙げられています。
  今回、学生の発明を職務発明とするのかどうかということに関連するものとしては、4番の研究成果の剥奪に当たるのではないのかという点が問題となるという認識を持っております。
  それ以外に、次のページを御覧いただきたいのですが、研究活動に関連したもの以外、教育指導に関連したものや就労に関連したものがあります。4ページの教育指導に関連したものを御覧になっていただくと、教授としての指導を行わないとか、研究テーマを押し付ける等、個人の自主性は認めないとか、学位や単位認定に関して不公正な対応をとるとか、正当な理由がないのに退学を促したりとか、要は十分な適切な研究指導を行わないというような行為が列挙されています。これ自身は、直接には職務発明による権利帰属云々(うんぬん)という問題とは直接は関連しないと思いますが、例えば、大学に権利帰属をすることを拒否する学生に対して、その応酬といいますか、対応として、この研究指導に関連して不適切な行為をするということがもしあった場合は、それらも併せてアカハラの対象になるのかなと考えます。
  就労に関連したアカハラは、特に今回は対象とはならないので説明を省きます。
  若干の裁判例を参考までに挙げておきました。二つの裁判例のうち、最初の平成19年の裁判例は、個人対個人のケースで、この場合は原告が大学の講師ですが、講師自身がアカハラに遭ったということで教授を訴えたケースになります。その次の7ページの東京高裁の平成25年の判例は、これは学生のアカハラの事案ですが、学生に対してアカハラ行為があったとした大学の処分に対して、当該処分が不当であるということで、准教授が処分の取消しを求めて訴えを提起した事案です。
  いずれの事件も対象行為がアカハラに該当するか否かが争点になっていますので、どういった行為がアカハラとして裁判所から認定を受けるのかということの参考までに示す趣旨で挙げてみました。
  また、6ページに戻っていただきたいのですが、ここでは、明らかに指導者たる教授の言動が社会相当性を逸脱しているような場合、裁判所は「指導であればどのような方法をとっても許されるということはなく、指導をされる側の人格権を不当に侵害することがないよう、社会通念上相当な方法がとられなければならず、その相当性を逸脱した場合には、違法となり、不法行為を構成するものというべきである」と判示し、アカハラを認定しています。アカハラ一般に言われることだと思いますが、教授は学生や講師等の下の者を指導するという立場にあり、教授の行為が、適正な指導なのかどうかといったことが一つの争点になるわけですが、いわゆる研究室の中で行われることが多いので、適正な指導か、相当性を逸脱したかという判定は、その事実関係自体を正確に把握しにくいため、実は難しいというところがあると思います。指導が適正である部分を越えており、それがアカハラに該当するかどうかということが争点ではありますが、実際にいろいろなお話をお伺いすると、それらの事実関係の把握と判断、つまり出発点のところの判断が難しい場合が多いと思います。これはアカハラに関する一般論として述べているので、今回の学生の発明とアカハラとの関係には余り関係ないと思いますが、アカハラにはそういった特殊性といいますか、大学の中の事実認定や判断が難しいところはあるのかなと考えます。
  アカハラについて概略をお伝えしましたが、次は、職務発明との関連について考えていきたいと思います。特許法が改正になりまして、職務発明で原則的に法人帰属とするということが認められることになりました。今回の改正法の大きなポイントは二つあると思います。一つは、原始的法人帰属を認めたということ。もう一つは、今までは相当の対価ということで、発明の対価というようなくくりをされていたものがもう少し幅広く認めて相当の利益になったということです。この2点が大きな改正点です。
  この相当の利益は、幅広い概念でもありますし、若干検討を要するかなというところではあります。9ページを御覧いただきたいのですが、改正法の御説明も一緒に見ていただいた方が分かりやすいかもしれません。特許庁の35条6項のガイドラインの位置付けといった資料がお手元にあると思いますが、併せて御覧ください。
  まず、特許法の35条5項で、契約や勤務規則、その他の定めにおいて相当の利益について定める場合には、それを定めたところにより相当の利益を与えるということが不合理であってはいけないということが原則になっています。つまり、この不合理かどうかということの判断をまずするわけですが、合理性の判断をする際には、基準を定めた手続が適正かどうかというところがまず重要になります。そして、手続が適正であるということになった場合は、その手続によって出来上がった基準といったものが合理的であろうということになるわけです。ですので、まず適正な手続により、ということが重要になってくるわけです。
  その適正な手続というのはどういったものなのかということが、ガイドラインで結構具体的に細かく規定されています。大きく手続において考慮すべき状況としては三つあります。まず十分な協議をするということ、次に、従業者に対して基準を開示した上で周知をしておくということ、最後に、その手続の状況において意見の聴取を十分に実施するということです。この三つをきちんとやってくださいということがまず出発点になるわけです。そしてその手続をきちんと行ったことを前提として、次のページに行っていただきたいんですけれども、定められた基準で認められた相当の利益が、どういったものなのかということが問題になるわけです。
  ガイドラインには、基準案の協議とか、基準の開示とか、意見の聴取等々の具体的な内容については記載されているところです。また相当な利益については二つの原則が必要であると言われています。一つは、金銭以外の経済上の利益については飽くまでも経済的な価値を有しなければいけないということです。
  もう一つは、その相当の利益の付与については、職務発明の対価ということで、職務発明を生み出したことを理由としているということが必要であるとされています。この二つが絶対に必要な要件とされているわけなんですけれども、その上で、相当な利益としてどういったものがいいのかということは、先ほどのガイドラインに記載されていますように、基準を定める際に十分な協議を行って、それぞれの各関係者の中で意見を聴取した上で定めていくということになりますので、業界や職場ごとに結構ある程度の幅はあるのかなと思います。
  今回、相当な対価が相当な利益になったことで、金銭的なものだけではなく、もう少しフレキシブルに、各所属する団体と従業者の関係の中で何が利益になるのか、発明のモチベーションになるのかということを柔軟に検討することができるようになり、幅が広がったと思います。ですので、分かりにくくなったということはありますが、現場で基準を策定する際に幅広く認められていいのではないかと思います。これはまだ改正されたばかりで裁判例もありませんので、最終的には裁判所の判断でどこまで認められるかということになるのかもしれませんが、やはり適正な手続を踏んで策定しておけば、裁判所でも、不相当であるとか、不合理であるというような判断にはならないのではないのかなとは思っています。
  例示としては、10ページに書いてある五つがガイドライン上では挙がっています。これ以外にももちろん十分にあり得るということは想定されておりますし、産構審の会議の最終のまとめの、議事録の中で、この例示以外のものでも認められるということは明言されています。ですので、その幅がどこまでなのかというのは難しいところではありますが、そこのところは、各大学の中の状況に応じて決められたらいいのではないかと思います。
  次のページを御覧ください。大学の場合でも、十分な協議をして、当該基準を開示して、告知をした上で意見の聴取をするということでいいのではないのかと思うわけです。ただ、大学の場合は、原始的に機関帰属にするということではなくて、発明者帰属から機関への承継というこれまでの方法を継続するという意見が多いと聞いております。従来の方式を継続する場合でも、やはり今までの基準を見直す必要があるのではないかと考えるわけです。今までの基準が合理的であれば、もちろんそのままでいいんですけれども、今回、ガイドラインが出来て、結構具体的な方法なども例示されていますので、できればガイドラインに沿った手続等で、今現在ある基準を見直してみる必要があるのではないかなと思います。
  それでは次に今回の論点である、学生の発明について述べたいと思います。皆さん御承知のとおり、学生というものは、基本的には勉強しに学校に来ている者なので、大学との間に雇用関係はありません。ですので、35条の適用はなく、学生が行った発明は学生に帰属するということが原則になります。しかしながら、学生の発明であったとしても、研究室の中で行われる学生の発明といったものは、大学自身がその発明の処遇をし、他の関連発明とまとめて対応をして、更にその発明を大きく育てていった方がいいようなケースが多いかなと思います。学生の発明だけを単独で残しておいても、更に次に向かってステップアップしていくときには邪魔になることもありますし、例えば共同研究の中での発明の場合は、共同研究先の企業から学生の発明について、利用したいとか、他の発明と併せて研究成果を一括で利用したいというような申出が多いと思いますが、そういった場合にも支障になるというようなことがあるかと思いますので、できれば大学が一元的に管理・活用することが望ましいのではないのかなと考えるわけです。
  また次のページは特許が共有である場合の煩雑さを記載しています。今回、機関帰属になったのも共有の煩雑さを解消したいというニーズもあったと思います。ですので、大学で、従前の、発明者帰属と承継というプロセスを残した場合に、どうしても難しい問題が残ってしまうことがあるわけです。次に、学生の発明を大学の権利として承継する必要がある場合は、譲渡契約を締結するということになるわけですが、譲渡契約の締結に際しては、学生の寄与分とか、一般的な特許権の譲渡契約に記載する条項を十分に学生に説明をしながら、個別に決めていくことが本当は必要なのではないのかなと思います。ただ、個別具体的な条項を一から研究室の先生にお願いするのは難しいだろうと思いますので、ある程度大学側でこの特許権の譲渡契約ひな型みたいなのを用意しておいて、そのひな型を使いながら、具体的に説明をしながら、きちんと学生に承諾してもらうということになろうかなと思います。
  一方、雇用関係がある場合については、このガイドラインにも記載されていますけれども、職務発明ということで処理することができますので、職務発明の出来上がった基準を学生に示して、これで職務発明として処理しますというような扱いがされていれば、それで納得すればアカハラにはならないというふうには思うわけです。
  雇用契約がない場合は、先ほど申し上げましたように、譲渡契約を締結する必要があり、その際には、やはり学生に対する十分な説明を行うということと、適切な契約内容であるといったことが必須条件になるかなと思います。このときに、例えば教授や研究室の対応として、譲渡を強制するとか、譲渡しなければ不利益を被るぞとか、自主的な研究活動から阻害するぞというようなことが行われてしまうと、やはり研究成果の剥奪や教育指導に対する不適切な対応ということになりますので、最初に戻りまして、アカハラに該当するようなこともあり得るとは思うわけです。だから、この辺のすみ分けというのは難しいとは思いますが、学生に一応の説明をして、十分に納得できる状態にあったにもかかわらず、どうしても学生が譲渡しない、自分のものであるといった場合には、やはり譲渡を強制することは、やめた方がいいかなと思います。
  その後の研究にどう参加させるかどうかということや具体的にその後の学生への対応についてどうするのかというのは難しい問題があるとは思いますがもめごとを避けるためには、できれば、学生が共同研究に最初に参加するかどうかを決める際に、もし学生が発明した場合にどうするかとか、共同研究が進み具体的な研究成果なる発明などできた場合のそれらの処遇等についてどうするかなど、最初のときに説明してあげて、納得を得るということが必要ではないかと思います。
  この辺りは、私の方も具体的な例を余り挙げることができないのですが、一応のたたき台として、皆さんの議論の参考として説明をさせていただきました。
  以上です。

【渡部主査】    ありがとうございました。ただいまの三尾委員のプレゼンテーションについて、御質問、御意見等ございましたら、お願いします。いかがでしょうか。どうぞ。

【平井委員】    平井です。今、三尾先生から御発表があったとおりかと思いますが、もちろん発明が生まれた後の譲渡というのは非常に大事なことだと思います。ただ、割と大事なのは、入り口というか、まず学生さんを交えて、企業を含めた形の共同研究を行うかどうかというところで一つの判断というか、イベントがあると思います。そこで、教育的な配慮も含めて、あるいはいろいろなことも含めて、共同研究を行うべきであると指導教授の方が判断された場合には、共同研究契約ないしは秘密保持契約をきちんと締結することがまず大事だと思います。
  実際もうこれ、大分前だと思いますが、東工大さんの方では、ひな型を作って、適用されているはずです。他大学でもそういう例は多いと思いますが、その中で、共同研究において生まれた発明の処理について事前に規定をしておいて、事前処理をする。だから、そこでもちろんきちんと合意することは必要ですが、将来生まれる発明について、こうしたいんですけど、いかがでしょうかと。例えば企業さんに活用してもらうために、持分の譲渡をお願いすることがありますと。あるいは対価はこうしたい。あるいは後々、共同出願契約を締結したいとか、そういうことをいろいろ踏まえて、そういう共同研究契約をしてしまうと。それが無事できれば、ほぼ後々のアカハラのような問題というのは、回避できるような気がします。ただ、その難しさは、そういう共同研究契約の手当てができないまま始まってしまった共同研究、これは実際にあり得ることですので、そういう場合に、後で生まれた発明についてどう処理しようか。その場合には、三尾先生からお話があったようなアカハラの問題とか、譲渡契約の問題、職務発明の問題、様々な考慮が必要になってくるかと思います。
  あと、ちょっと違うのは、バイオ系とソフトウエア系で大分違うところがあって、医薬バイオ系ですと、まず共同研究契約から始まるので余り問題はありません。ところが、ソフトウエア系の場合に、意外に学生が研究室の中で単独で発明しちゃうということが結構あります。この場合には、当然特許法の発明もそうですけど、著作権の問題も出てくるし、意外に処理が難しいことがあります。だから、分野ごとによって、実は意外に濃淡があるというか、取扱いに難しさがあるというのはあるかなと思います。
  以上です。

【渡部主査】    ありがとうございました。ほかいかがでしょうか。どうぞ。

【足立委員】    簡単なコメントですが、資料の15ページの一番下のところに、研究室に出入りさせない、資材を利用できなくなる等のことはあるのかということなのですが、共同研究をやっておられる先生方の研究室の中には、入退室管理をやっているところがありまして、守秘義務を守れない学生については、特定の研究室の特定の設備のところに入れないという状況が事実生じてしまっているケースが多々ありまして、自動的にアカハラの条件を満たすような、事前に運営が行われている研究室があります。したがって、その研究室に行くためには、初めから完全に同意することを覚悟しなければ学生はならないのですが、その事前の説明というのが大学によって行われていないという状況が散見されます。多分特定の大学だけでなく、非常に多くありますので、ここは非常に難しいところかなと思いました。

【渡部主査】    ありがとうございます。野口委員、お願いします。

【野口委員】    質問ですが、例えば、教員のベンチャー企業に、博士後期課程の院生が1年契約の契約職員として雇用契約を結びました。もちろんその会社の就業規則には機関帰属の条項が記載されています。もし、発明が出たときに、教員は、我々の会社の施設設備を使っての発明なので、これは機関帰属に該当すると主張し、学生は自主的な研究の一環だということで自身の帰属と主張し、帰属に関わってブレが生じました。こういった場合、学生を保護する観点から、何かアドバイスみたいなものがありましたら、頂戴できればと思います。

【渡部主査】    三尾先生、何かございますか。

【三尾委員】    基本的には学生という立場なので、研究室を使っていても、それは教育の一環になるかなと思いますので、やはりそれは原則、学生に帰属することにはなると思います。その原則を変えることについては、やはり学生自身の同意がないとできないということにはなると思います。

【渡部主査】    多分これ、利益相反のことですね。だから、利益相反状態になるときに、その辺のマネジメントがされているのかどうかという話で、恐らくそれがなくて、そのまま行くと後で事後的に処理しないといけないということではないのでしょうか。どうぞ。

【林委員】    学生を契約社員として雇う際に、先ほど平井先生からお話のあったような条項を手当てした契約をしておかないといけないのです。単に雇用契約だけでなく、秘密保持とか、成果の帰属の点を盛り込んだ契約書にしておけば、事前に参加する段階で契約処理が一遍にできてしまいます。雇用の契約だけをして、そのほかの手当てをしていないと、今、三尾先生からいろいろ御説明のあったような問題が生じます。雇用契約のひな型を使っていると今のような項目が漏れがちになりますので、その辺がアドバイスできる点かなと思います。

【野口委員】    起業しようとする教員に対して、事前にそういうことをアドバイスするとか、そこを担保しながら、ベンチャー企業であっても、学生を雇用する場合についてはこういう内容に注意してくださいということを促しておく準備は必要であると、そういうことでしょうか。

【林委員】    はい。そのとおりだと思います。特にベンチャーであれば、今後、大学以外の企業と契約して、それから発展していかなければいけないわけで、発明の段階で学生との間で権利処理ができていないと、その後の活用もできなくなってしまいます。特にベンチャー企業については、その辺の契約処理は必須ではないのかと思います。

【渡部主査】    その契約処理のときに、結局、学生なので、先生がこっちのベンチャーで働けと言う構造が利益相反状態になります。だから、学生としての立場と矛盾するような不利益があるかどうかというのはやはり管理しないといけないという話です。ディスクロージャーの完全に対象になりますね。いかがでしょうか。植木委員、お願いします。

【植木委員】    14ページの資料を拝見しますと、基本的に学生の発明の場合は、雇用関係があるかどうかというのが一つの重要なポイントという御指摘かと思いますが、例えば大学の現場ですと、RAというのは、例えば週に何時間という形の契約になっておりまして、RAとして活動しているところから生み出された発明なのか、あるいはそれ以外の時間帯の博士後期課程の学生としての活動から生み出された発明なのか切り分けるのが現実問題としては非常に難しいかと思います。例えば週に何時間かRAとして雇用関係があれば、そこに読み込むようなことができるのか、あるいは厳密にその業務の時間管理をして、成果はどちらから出てきたというようなことを明確にしないと判断できないのか。その辺りはいかがなものでしょうか。

【三尾委員】    原則としてはRAとして活動しているところから生み出された発明なのか、あるいはそれ以外の時間帯の博士後期課程の学生としての活動から生み出された発明なのかを細かく切り分けてということになってしまうと思いますが、実情はすごく大変だと思います。ガイドラインとしては、一応雇用関係がある場合は、職務発明規定に従って処理すれば一応大丈夫ですというような形ですみ分けをしているだけですので、はっきりしない場合というのは、やはり細かくすみ分けをして、どうするかということ、そういうことをするか、それか、先ほどもお話が出ていますように、個別具体的に譲渡契約を結ぶということの方がもしかすると簡便なのかもしれないなとは思います。

【渡部主査】    伊藤委員。

【伊藤(正)委員】    学生が関わる研究成果の知財権の譲渡の問題については、本来学生というのは教育を受けるという立場でもありますし、それと、もし自分の権利として担保しようと思うと費用負担の問題も発生しますので、そこは余り問題に今までならなかったのかなと思います。ただ、これからの時代、より大学の教育の方向性を考えるとそういった問題も顕在化する可能性もあるのかもしれないと思います。ただし、こういった議論は10年前から実際にはございました。
  三尾先生に御質問なのですが、企業との共同研究の際に、ケースとして、外国人留学生が関与する、したいというようなケースがございます。たまに、共同研究の内容がその企業にとって重要なテーマの場合、企業の方が外国人留学生の共同研究の関与に対して嫌う場合があります。こういったものはハラスメントに該当するのかどうか、お考えをもし頂けたらと思います。

【三尾委員】    飽くまで私見ですが、共同研究というのも、企業と共同研究をするわけですので、企業の研究、契約をする自由というものがあります。その中で、契約条項の中で外国人留学生をというような意見が出た場合に、それが例えば差別だったりとか、不合理な理由であれば別ですが、一応企業の立場としては、こういった理由で外国人留学生は入れてもらいたくないというような希望があった場合、それ自身は、それでなおかつ契約を結びたいというようなことがあれば、企業としては契約自由の原則の範囲内ではないかと思いますので、その企業と共同研究を結びたいと考えていて、その条件として外国人留学生は入れてもらいたくないということなのであれば、それは大学としてどう判断するかは難しいところではあるとは思いますが、その外国人留学生自身の重要性にもよりますが、企業と契約するかどうかは、大学がそこで判断するべきことなのではないかなと。学生の教育を受ける権利もあるとは思いますが、そこはやはり企業の意思が優先するのではないのかなと思います。

【伊藤(正)委員】    ありがとうございます。ただし、ハラスメントにならないような形で外国人留学生を排除できるような契約の条文、あるいはそれを大学が建前として受け入れられるような、そういうような条文というのは、今、私自身思い付かないのですが、その辺り、どういう形であればそれが回避できるのか、もしお考えがあれば。

【三尾委員】    これも私見ですが、ハラスメントになるかどうかということに関しては、共同研究の中で基本となる発明等が、その留学生が元々持っていたものである場合や、留学生の全く個人での発明したと言えるものであるような場合、留学生を排除することは研究成果の収奪ということになります。ですので、ハラスメントにつながりやすいと思います。だから、そういう事実がもしあれば、やはりそこは、大学として企業を説得して、企業が懸念する、例えば秘密保持が問題になっているから嫌だと言うなら、きちんとその手当てをするので共同研究に彼を入れてほしいという説得をして、それでも、どうしても嫌だと不合理な拒否をするのであれば契約を締結しないとか、そういったことになろうかなと思います。

【伊藤(正)委員】    ありがとうございます。

【渡部主査】    済みません。いろいろあるかと思いますが、論点の方で論点4は入っていますので、そちらの方で議論を続けさせていただきたいと思います。
  それでは、資料1、2について、論点案と報告書案の説明をお願いします。

【小河専門官】    それでは、事務局から、資料1、2を使って論点案と報告書案を説明させていただきます。ちょっと重複している記載が多くなっていて恐縮ですが、まず資料1に基づいて、論点の箇所について説明させていただきます。資料1をまずめくっていただいて、論点1の部分についてです。一つのトピックとして、大学における職務発明に該当する範囲がどのようなものか検討する必要があるのではないのかという御指摘が前回あったと認識しております。最初のパラグラフの記載は、前回の4回目の記載と同様ですが、改めて確認させていただきます。平成14年の報告書において示された方向性というものが現時点においても変更されることではないという点。その上で、大学、職務発明の範囲としては、下線の部分が定義されるのかなというところを認識しております。
  大学等から、あるいは公的に支給された何らかの研究経費を使用して大学において行った研究又は大学等の施設を利用して行った研究の結果生じた発明を職務発明の最大限として捉え、その範囲内で各大学等が自らのポリシーに基づいて取得、承継する権利を決定すべきであるという範囲かなという点があろうかというところです。
  二つ目のパラグラフで、組織的な知的資産マネジメントが求められる中で、大学等が保有する知的財産権についても価値を最大化する形で、大学組織が適切にマネジメントすることが重要であり、知的財産権を適切に保護、活用する方策というものを大学自身が検討する必要があるのではないのか。その結果として、権利帰属を大学にする場合には、発明者に対して相当の利益を適切に付与することが重要であるという点を改めて確認しております。
  三つ目のパラグラフは、海外との比較のところを少し言及しております。参考として、本資料の3ページ目に、海外の職務発明の運用と大学における運用というところを簡単に整理しております。こちらを簡単に紹介させていただきますが、職務発明の原始的帰属先について、調査研究の結果として、アメリカ、ドイツでは基本的に、原始的な帰属先としては従業者帰属です。フランス、イギリスについては、使用者に帰属するというところが原則です。細かい運用はまた別途あろうかと思いますが、基本的な原則としてはそのように認識をしております。
  大学について見ると、アメリカでは各大学で規定されております。大学のポリシーによって、様々な内容を職務発明と捉えて、帰属をどうするのかというところはポリシーによって異なるという運用がされているところです。ドイツについては、大学において特別な規則がございまして、基本的には、大学教員の発明を職務発明とする法改正を行ったところでございます。フランスについては、大学教員についても、公務員について、一般ルール、すなわち使用者に帰属するという運用がなされているところです。イギリスについては、基本的には各大学の規定がなされていますが、原始的な使用者帰属とするような運用もなされているところがございます。
  その上で、2ページ目の記載ですが、他国の状況というのは、特性に合わせてそれぞれ個性のあるような運用がなされていると認識しております。各国の状況が一義的にそのまま参考になるわけではありませんが、我が国の各大学等においても、教職員の発明の取扱いは、各機関の特性に合わせた独自性があるべきものであり、各機関が知的資産マネジメント上の戦略的要素を捉えて、明確な知的財産ポリシー等を持つことが重要ではないかという点です。
  また、原始的機関帰属とする運用を選択する場合においては、職務発明の範囲ということを明確化することはより一層求められるというところは、改めて確認させていただいているところが論点1の整理でございます。
  論点2について、4ページ目、特許を受ける権利の帰属先の選択に際して、大学等が留意すべき事項は何なのかという点を言及しております。前回の議論では、大学においては自由意思に基づいて学術研究がなされているところで、アカデミアにおいては原始的個人帰属がなじむのではないかという御意見もありました。また、選択肢が大学においても与えられたということで、柔軟性を持って選択できるようになったというところ、例えば共同研究やプロジェクトごとの研究については原始的機関帰属とすることも戦略としてあり得るのではないかというコメントを頂いたところです。それを踏まえて論点2として少し整理できればというところで書かせていただいております。
  簡単に紹介させていただきますが、最初のパラグラフで、特許を受ける権利を大学等に帰属させる場合においても、原始的な帰属先を使用者とするのか、機関にするのか、発明者にするのかということを選択できまして、1から3というところがあろうかというところを整理しております。こちらは前回、御説明したものと同じ選択肢でございますが、一つ目として、原始的に発明者帰属とするような運用、こちらは現行の運用と同様のものと理解しております。二つ目として、原始的に機関帰属とする運用、また、三つ目として、権利ごとに原始的に発明者帰属とするか、機関帰属とするかということを選択するような運用、すなわち外形標準的に識別可能な一部の職務発明の特許を受ける権利のみを原始的に帰属させるような運用です。こういった三つがあろうかというところです。
  それぞれ1から3を選択したときの特徴、また留意点を整理する必要があるのではないかというところで、それ以降で整理しております。
  4ページ目の括弧のところで書かせていただきましたが、現時点で想定されるような留意点というところは、こういうところがあろうかというところを列挙しております。一つ目として、特許を受ける権利が共有に係る場合については、帰属の不安定性があろうかという点。こちらは法改正の趣旨として挙げられている点です。
  二つ目として、二重譲渡による権利帰属の不安定性。個人に帰属した場合に、二重譲渡が発生する可能性があるという点の指摘です。
  三つ目として、特に大学における運用でよかろうかと思いますが、実際に特許出願をしないと判断した場合の案件をどうするのかという点、次のところとして、バイ・ドールの適用対象案件をどのように取り扱うか。受託先か、特許を受ける権利を持つことができるというバイ・ドール対象の件をどうするのかという点、次の点として、職務発明の特定、該当判断に関する点、その次として、権利の取得の明確化プロセス、譲渡証などに相当するプロセスも経る必要があるという点、また、発明者自身が納得感を持って運用していくことの必要性に関する点、こういった点が挙げられるということを認識しております。そういった点も踏まえて、それぞれの選択肢を採ったときにどういう点に配慮すべきかというところを5ページ目のマトリックスとして整理しております。
  今申したような点を整理しておりますが、1の原始的に発明者帰属とするような運用においては、従前の運用と同様ですので、その点について特徴というか、変更がないという点があろうかというところです。留意点としては、先ほど法改正の趣旨にもあるような共有に係る帰属の不安定さや二重譲渡の問題などがあろうかという点です。
  二つ目、原始的に機関帰属とした場合。こちらは、特許庁の方でもペーパーが出されておりますが、幾つか留意点があろうかという点です。特徴もある一方で、留意点もあろうかという点です。特徴としては、共有に係る場合の帰属の不安定性の解消ができる、二重譲渡による権利帰属の不安定性の解消ができるという点、あと、バイ・ドールの案件についても一律、受託者に帰属するということで明確化できるという点があろうかという点です。留意点としては、大学等が出願しない案件について、知財管理事務の複雑化の懸念があろうかという点です。機関に先に帰属しますので、仮に今までどおり発明者が出願したいという場合は、譲渡ないし、そういった相当の手続が必要になろうかというところです。また、二つ目のポツで、職務発明の対象の範囲を明確にするということがより一層重要になってくるところです。また、機関が権利取得したことの明確化プロセスという点、譲渡証ないしそれに相当するものが必要になってくるのではないかというところ、また発明者の納得感への配慮が求められるところです。
  3番目としては、選べる権利に応じてというところです。特徴としては、共同研究などの外形標準的に識別可能な一部の職務発明について、一律に特許を受ける権利を取得することになるので、権利帰属の不安定性を解消し、知財管理事務の効率化を図ることも期待できるというところがあります。その一方で、留意点というところですが、そういった特に留意点の下から二つ目、原始的機関帰属の対象案件に該当することの個別判断が必要になってくるという点などがあろうかというところです。そういった留意点も踏まえて、各大学が自身のポリシーを持ってこういったことをどうしていくのかというところを選択していくことが重要ではないかという点になかろうかというところです。
  5ページ目の参考と書いているところは、今申したようなところを特許庁の方で整理されているところを抜粋しております。こちらは参考資料としてお配りさせていただいている内容を一部抜粋しているものです。
  続いて論点3について、大学等における相当の利益の内容についてです。こちらは前回の議論で、研究費として配分することについて、大学がどうしていくのかという指針などを整理できないかという御意見を頂いたと認識しております。それも踏まえてですが、論点3、7ページの最初のパラグラフのところは、基本的には特許庁の方で説明されていることの改めての確認です。先ほど三尾委員からも御説明がありましたが、この相当の利益については、1、2の要件として、1、相当の利益は経済的価値を有すると評価できること、2として、相当の利益の付与は、従業者等が職務発明をしたことを理由としていること、こういった条件を満たす必要があるという点が整理されています。また、それを満たした上で、各機関が特許法第35条第5項における適正な手続、協議、基準の開示、意見の聴取等の手続を行う必要があると整理されております。
  指針、ガイドライン案においては、幾つかの金銭以外の相当の利益の付与が例示されているというところです。上記例示以外にも、要件を適切に満たすことを前提として各機関での創意工夫を発揮して、種々の相当の利益を設定することが可能であるということがあります。各大学等においても、相当の利益の内容を決定する必要があるというところを改めて確認しております。ただし、金銭以外の経済上の利益を設定する必要があるということではありませんので、各大学でそれぞれ考えて設定すればいいというところを改めて確認しております。
  次のパラグラフにおいて、研究費などについて言及しております。大学等における金銭以外の経済上の利益として、例えば研究費の増額、研究施設、研究環境の整備等が検討対象として挙げられるところではありますが、研究者個人にとって経済的価値を有すると評価できるか否かといった観点から、研究費の増額等が相当の利益に関する上記要件を満たすかについては、様々な見解があるところです。このように、上記条件を満たすか否かは一義的に判断に困難を伴う相当の利益を大学等において採用する場合、各大学は、その相当の利益がその要件を満たすというような評価、また教職員の意向を十分に勘案して検討して、教職員個人にとって納得感が高まるようなインセンティブとするように工夫することが重要ではないかという点を言及しております。
  また、相当の利益の内容を決定するための基準を定める、その定め方ということが特定の方式で定めなければいけないということはないので、例えば特許登録時や退職時に相当の利益を一括して与える方法もあろうかというところを改めて言及しております。特に退職者に対して相当の利益を退職後も付与し続けることの負担について、様々な意見がありますので、そういったことの工夫もあろうかということが可能ですという確認です。
  続いて9ページ目、論点4について、学生発明の取扱いについて。先ほど三尾委員からのコメントもございましたが、それも踏まえて検討できればというところのたたき台の整理です。最初のパラグラフは、改めての確認ですが、大学に雇用関係のない学生については職務発明には該当しないという点で、35条の適用はなく、学生に特許を受ける権利は帰属しますというところです。ただし、特定の研究プロジェクトに参加する学生等の中には、大学等と契約を締結して雇用関係を生じている場合もあるというところで、そういった場合には職務発明に該当し得ると考えられているところです。
  大学に雇用関係のない学生がした発明について、次のところで整理しております。前回の御指摘として、まず学生の発明についても治外法権化せずに、例えば機関に帰属させるということも想定されるので、その場合の手続としてどういうことをしたらいいのかというところの明確化が必要ではないかというところをコメントいただいたと認識しておりますので、その点を整理できればと思っております。
  9ページ目の内容としては、雇用関係にない学生がした発明について、例えば所定の研究プロジェクトで学生がした発明については、各大学等のポリシーに従って特許権等の活用の最大化が図られるよう一元的に管理、活用することも含めて、当該発明の取扱いを検討すべきである。その際に、大学等は学生等に係る発明を承継するためには譲渡契約の締結が必要となる。学生等が特許を受ける権利の譲渡を拒否した場合は、アカデミックハラスメント等の観点からも、大学等は譲渡を強制することはできないという点を改めて確認しております。
  しかし、所定の研究プロジェクト、例えば共同研究などにおいて学生がした発明を大学等機関側に承継することに関する同意というものを大学等が学生等に対してあらかじめ求めること、それ自身について、大学等は研究テーマを自由に選択して、教育の一環として研究が適切に行える環境であること、また、その研究に係る特定の目的達成のために、合理的な範囲での適切な譲渡契約内容となっていること、また、学生に対して十分に説明がされていること、こういったことを満たせば必ずしもアカデミックハラスメントに該当するわけではないと整理できるのではないかという点を書いております。
  また、所定の研究プロジェクトの対象としては、例えば共同研究などがあろうかという点、また、そのほかにも、日本版バイ・ドールの適用の対象になるような国の委託研究開発などもあろうかというところの言及をしています。
  めくっていただいて、10ページ目、次の段落では、雇用関係が生じている学生について言及しております。この点は、先ほど三尾委員からもあったように、適正な手続を踏む必要があるというところを改めて確認しております。
  「また、その他に」というところで、所定の研究プロジェクトの中に日本版バイ・ドール規定の適用対象の発明も想定されるというところ、その規定においては、国が委託者、受託者から譲り受けないことができるという、できる規定ですので、直接の受託者ではない発明者個人が権利を保有することが基本的には許容されていないということを鑑みると、特許を受ける権利を学生等個人が保有するよりも、大学が保有するということは合理的ではないかというところを改めて書いております。
  次に、産学官連携活動の教育の場として設定する際には、学生の身分という矛盾が起きないようにマネジメントを行うことが必要であるという点を改めて書いています。その一方で、学生は、大学の研究活動や産学官連携活動を推進していく上で重要な存在であり、主体的な研究者として育成・処遇される必要があることが指摘されているというところを改めて紹介しております。こちらは、審議会での指摘があるところです。
  次に、論点5として、客員研究員、クロスアポイントメント制度に関しての関係についてです。アメリカの大学においては、外部からの訪問者等、客員研究員やボランティア、こういった雇用関係にないような者がした発明についても、取決めが整備されているというケースもあります。日本の大学等においても、各大学等の状況、こういった発生状況も勘案して、必要に応じて雇用関係にない者の発明の取扱いについてもあらかじめ検討することは有用ではないかという点を言及しております。
  また、11ページ目に、クロスアポイントメント制度に伴う発明の取扱いについて、この点はまだ十分に議論、検討できておりませんが、他の要素、例えば営業秘密管理、秘密情報管理、こういった側面や利益相反マネジメント、こういった側面とも関連して総合的に検討する必要があるのではないかというところを言及しております。
  論点としては、たたき台としてはそのような整理にさせていただいておりまして、資料2として報告書案ということで、今の論点の記載を基本的には反映させていただいた形で報告書の案を整理しております。こちらも基本的には今と重複しない箇所を中心に紹介させていただければと思っております。資料2を御覧ください。タイトルとしては、「大学等における職務発明等の取扱いについて」としております。「はじめに」のところですが、最初のパラグラフは、特許法の改正の概要の背景的なところを整理しております。経済のグローバル化、オープンイノベーションの進展などを背景に環境の変化がなされていたという中で、特許法の改正がされたというところの確認です。
  また、2段落目ですが、大学等がイノベーション創出に向けた経営改革や財務基盤の強化を進め、世界に伍する組織へと変革していくために、長期的な視野に立って大学等が有する研究経営資源をいかに効果的にマネジメントしていくのかという視点が重要となってきているというところです。そのような中で、各大学は研究経営資源の一つである知的財産を戦略的に取得・活用するマネジメントを実行するとともに、アカデミアにおける資産の根源である研究者自身の研究活動が促進されることを図るマネジメントを実行することがより一層強く求められているところです。
  そういった中で、本検討委員会においては、大学の知財マネジメントの強化と研究者の発明創出インセンティブ向上を目指し、大学における職務発明の取扱いに関して各大学等が運用上留意すべき事項を中心に検討をさせていただいて、整備をさせていただくというところを記載しております。
  一つ目、特許法の概要について、こちらは4回目の資料と基本的に同じですので、説明は省略させていただきます。
  めくっていただいて、3ページ目、こちらも4回目の資料と基本的には重複するところでございますので、説明は割愛しますが、昭和52年のときに個人帰属を原則としていたものが平成14年の時点で機関帰属を原則とすることの運用変更がなされたという整理をここでしております。
  めくっていただいて、6ページ目、3ポツとして、大学等における職務発明の範囲について。こちらはきょう、説明させていただいた論点1の記載をそのまま記載させていただいております。
  めくって、7ページ目、4ポツとして、特許を受ける権利の帰属について。(1)として、現行の一般的な運用について、こちらは4回目の資料と基本的に同じ記載です。(2)として、特許法施行後の運用について。こちらは先ほど説明した論点2の記載を基本的には記載しております。一部重複しないところを紹介しますが、8ページ目、下線を引いたところです。この記載は4回目の会議で書かせていただいた記載と同様ですが、改めて確認させていただきます。原始的な帰属先も含めた職務発明制度の運用を各大学等において検討するに際して、重要なことというのは特許権等を適切に保護し、活用することであるという確認です。また、研究者の研究開発活動に対するインセンティブを確保すること、権利帰属の安定性を担保すること、そして、特許権等を活用し、イノベーション創出に結び付けていくことがまず重要である。それに加えて制度運用手続の合理化という観点も勘案して、各機関が望ましい運用を決定すべきではないかというところを書かせていただいております。
  その他の記載については、先ほど論点2で説明したことと重複するところでございます。
  次に、10ページ目、大学等における相当の利益について。(1)として、相当の利益の内容は論点3の先ほどの説明と同じ記載とさせていただいております。
  11ページ目、(2)相当の利益の付与に関する手続について。こちらは先ほど三尾委員からも御説明いただきましたように、特許庁の方で整理されていますので、大学においても例外なくこの運用が求められるようになっているところを改めて確認しております。
  次に、6ポツ、こちらは論点4、論点5、先ほど説明した内容と全く同じ記載をここで整理させていただいているという内容です。
  報告書の案としては、以上でございます。

【渡部主査】    ありがとうございました。この報告書案を最終的には議論するということですが、先に説明していただきました論点について、意見を頂いて報告書に盛り込むということになりますので、十分意見を頂ければと思いますが、これもどなたからでも結構です。では、足立委員から。

【足立委員】    重要なことで、論点1ですが、これは職務発明に該当する範囲についての話であって、帰属についての話ではないわけですね。ですので、それを分けて考える必要があると思います。職務発明とするかどうかという問題と、どう帰属させるのかという問題を区別しませんと、特に職務発明として認めてしまってから帰属させないということも十分に考えられるわけですので、その範囲を同一にしない方がいい。
  3ページのところに、他の国の帰属の一覧が出ていますが、これは帰属の話であって、職務発明の認定の話ではないと考えられます。そこは区別して議論をする必要があるというのが第1点と、では、職務発明と認定する範囲にどういう問題が生じるかということを考える必要があって、これは情報管理をその大学がやらなければならない範囲に当然入ってくることになるだろうと。職務発明と一旦認めておいて、情報管理について、一切大学は責任を負わないという形は多分考えられない。特に輸出管理の問題が一番深刻です。先ほどの外国人留学生のケースも、単に企業側からの要望というだけではなくて、例えばその研究内容に関わってくる外国人留学生が非ホワイト国の出身であって、キャッチオール規制の対象に十分なり得るような内容について、外国人留学生にその情報が伝わるということについては、単に契約上の問題だけではなくて、外為法上の問題になります。ですので、職務発明の範囲というものを定めた瞬間に、そこに対して大学はどこまで責任が負えるかという観点がないと机上の空論になってしまうというように今、考えます。

【渡部主査】    よろしいですか。これ、職務発明の範囲と帰属とは一緒になっているわけではないと思いますが、そこをよりはっきりさせると。それから、基本的に職務発明に認めたものは、外為の問題もありますが、秘密保持の義務が発生しますので、それは機関としての責任であるというようなところでしょうね。
  ほかいかがでしょう。

【新谷委員】    筑波大学の新谷です。資料1について、論点が五つありますが、私からは2点意見を出したいと思います。一つ目は、資料1の4ページの論点2についてですが、特許を受ける権利が発生したときの原始的な帰属先については、国の委託研究から生まれた発明や企業等との共同研究から生まれた発明など、外形的に明確な基準により識別できる場合に限って原始的に大学帰属とするという取扱いが大学教員の意識やこれまでの運用の実態により合致しているのではないかと考えます。このような取扱いをした場合には、バイ・ドール対象案件の取扱いについて解決ができますし、また共有発明の場合の権利帰属の安定性が図られるほか、大学が特許出願しないと判定した場合の発明の取扱いが容易になり、現場での実務上の利益は大きいと考えます。
  特に職務上の発明について、それらを全て原始的に大学に帰属するとした場合には、大学が特許出願しない発明に係る権利を、発明者である教員に譲渡することを検討する必要性が出てきますが、その場合は、その無償譲渡の判断の正当性をどうやって担保するのかという会計上の問題が起きてくると考えます。
  それから、資料1の7ページの論点3について、「研究費の増額等が相当の利益に関する上記要件を満たすか否かについて、肯定的見解と否定的見解が存在するところである。」とありますが、筑波大学では、発明者が希望する場合は、補償金を研究費で受領することができるようにしています。この制度を取り入れたのは、個人の収入として受領すると税金が掛けられてしまうといった理由から、研究費で受け取りたいという要請が研究者の側からあったためです。こうしたケースでは、研究費で受け取るということが個人の経済的価値を有すると評価できるのではないかと考えています。
  以上です。

【渡部主査】    ありがとうございました。後ろの方は多分、補償金を個人で受け取るのを研究費とするというプロセスがあるので、多分全く問題にはならないのではないのかと思います。どうぞ。

【伊藤(伸)委員】    東京農工大学の伊藤でございます。すごく興味深い内容で、実を言うと楽しく資料を読ませていただきました。先日、私、知財マネジメントという講義をしていますけれども、学生の後期のレポートに、こういう議論を世の中でしていますが、「皆さん、大学等の知財の発明の扱いについて、先生方のインセンティブが上がる形で、今回の特許法の改正に関してどういった選択肢がありますか。」と課題を出して、いろいろ学生の意見を聞いてみました。もちろん私の講義を受けている学生なので、ある程度割り引いて考えなければいけないのですが、学生はすごく面白いことを言って、先生方が考えることは、何を望むかというのはすごくばらつきがある。ですので、選択肢を設けるということが大事だという意見が非常に多かったです。本学としては、今のところは現金だけです。先ほども新谷先生からお話がありましたけど、研究環境の整備というのは非常に大事なので、こちらの方がインセンティブになりますという意見がありました。一方、お休みに関しては、そもそも休みを取っていないので、休みをもらっても始まらないというような意見もあって、非常に面白かったです。
  ここからは、私も持っている疑問点というか、できれば皆さんからいろいろ御意見を頂きたいと思うところです。先ほどの資料1の8ページのアンダーラインが引いてあるところで退職時に相当の利益を一括して与えるということです。実際に多くの大学で外国からの招聘の研究者があったり、あるいは特任の教員であるという形の期間を区切ったような研究者というのは日常茶飯にいるようになっています。こういった方々と学生も実は一緒になって研究をしています。
  では、こういった方々がインセンティブを高められるようになるかというところ、一方で、管理する側からすると、これだけ流動性が高い中で、先々手間を掛け続けたくないというのが本音のところです。一方で、ここで出てきているような利益を一括して与えるというのは、いい解決法だなと私も思います。すごく関心があるところは、この一括というのをどういうふうに考えて、どういうふうに試算したらいいかということです。
  実際に先ほどの学生のレポートを考えると、これに対してなかなか難しいだろうという意見がありました。それは実際に大学の発明というのは、生まれた瞬間、あるいは登録している4、5年後の段階でも実は判断できなくて、もっと事業化が進んだ段階で、例えば10年くらい先に本当の価値が分かってくるというのはあり得る話です。それを流動性の高い方に辞めたときに一括して合理的に納得して試算ができるものなのかという意見があって、なるほどよく考えましたねと、私はその人にお話をしました。私もそこは思うところです。
  このため、ここでアンダーラインを引いてある、この一括して与えるところの考え方、試算の仕方、もしあれば、こういった議論がありましたということを紹介していただきたいですし、あるいは法的にこれはこういう試算だったら大丈夫ですというような考え方があれば、お聞きしたいと思うところです。

【渡部主査】    ありがとうございます。今の点は何かございますか、考え方とか、御意見とか。林先生どうぞ。

【林委員】    今まで対価について、実施料算定の考え方を実績補償のような形で、裁判においても実施料相当額に並んだような計算の仕方をしておりました。元々、譲渡時の対価であるのにもかかわらず、譲渡した後、企業が営業したことによって生まれた収益の実施料率的な形を計算することは、理論的におかしいのではないかという批判もあったところです。
  今回の法改正で、「対価」ではなく、「相当の経済的利益」と改正され、対価ではなく、飽くまでも発明のインセンティブとしての利益を与えなければいけない。インセンティブとしての利益をもらう権利があるという規定に変わったわけです。したがって、評価の在り方も、今までは出願時、登録時、実績補償という3段階が多かったかと思いますが、必ずしも実績補償というものはもう必須ではないということになりますので、原則として、出願時、登録時のみという企業もこれから増えてくるのではないかと思います。その場合に、悪平等になってはいけないので、評価をどのようにするかが問題になると思います。出願時にはなかなか分からないかもしれませんが、登録時には、その発明、特許の当該業界における価値というものも、競合特許がどのぐらいあるかとか、基本特許なのか、それとも応用とか利用のレベルなのかとか、そういった評価を社内でした上で、ある程度幅を持った登録時の評価をすることも可能ではないかと思います。
  それから、退職時の一括支払についても、その発明が登録時以降、大ヒットした商品に結び付いている場合のボーナス的なものとして一括の評価をするといった形が考えられます。今までのような売上げに対するロイヤルティーといった実績補償の考え方を改めるのであれば、退職時一括支払も可能であり、また、企業においてもこれから採用されていくのではないかなと、今、幾つかの企業の相談を受けながら、そういう感触を持っています。

【伊藤(伸)委員】    ありがとうございました。

【渡部主査】    ありがとうございます。これは大事で、企業がどういうふうに処理をするかは、大学も共願なんかの場合は影響をかなり受けるので、実際に企業より悪い条件というか、そういうのはちょっと大学の場合はしにくいと思います。だから、大学が、企業がどういうふうな形で今の一括支払を実態的にされていくのかというのは、よく見ておかないといけないですが、すぐ分かるものではないですね。

【伊藤(伸)委員】    恐らく現実的には、大学もしばらく様子を見て、先生がおっしゃるとおり企業の動向を見て、考え方を決めていくということですかね。

【渡部主査】    伊藤委員、お願いします。

【伊藤(正)委員】    企業との共同出願で、未実施の特許を企業に譲渡するようなケースというのはたくさんあるわけでして、その場合、どちらかというと、金額の算定の根拠はコストアプローチ的な考え方でやっているわけでございます。今回のケースについても、退職される方には選択肢を与えるべきだと思いますが、大学への譲渡を御希望される場合には、コストアプローチ的な金額の算定で、当該研究者が一括して特許を大学に譲り渡して、金銭を授与するような形というのは、あり得るのかなと思いながらお話を聞いていました。
  以上でございます。

【渡部主査】    ほかいかがでしょうか。飯田委員、お願いします。

【飯田委員】    相当の利益の内容について、7ページのところに記載いただいているのですが、例えば研究費の増額については、賛否両論あるということがコメントとされていて、今回、産構審の中では、研究費の増額、研究施設とか環境整備については経済的な利益と言えないのではないのかということで結論付けられたと私の方では理解していました。実際、今回、ガイドラインの中にもちょっと違う話で、金銭的処遇の向上を伴う昇進又は昇格となっていて、実は金銭的な処遇を伴わなくても、アカデミアにおいては、昇進又は昇格がインセンティブにつながる可能性があるのではないのかということを実は委員会の方でもコメントさせていただきました。
  しかしながら、その場では、8ページの下の方にコメントがありますが、糧として更に励もうとする人もいれば、労働強化だと思ってしまう人もいるということで、ここはやはり必ず金銭的な処遇の向上を伴うということを入れましょうということで決まったはずです。実際、そういった中で、今回、8ページの上のところに、例えばもし研究費の増額というものを利益として入れるのであれば、インセンティブになるように工夫することが重要であるということが書かれていて、もしインセンティブにつながるということが説明できれば、研究費の増額であるとか、立場の昇進とか昇格というものも、必ずしも個人の経済的な利益につながらなくても大丈夫ということで、これは文章を書かれているのかということを御質問させていただきたいと思います。

【渡部主査】    これは特許庁と調整していると思いますが、小河さん。

【小河専門官】    まず研究費の部分については、判断が難しいところはありますが、これが認められないという結論になったとは思っておりません。ただ、そこの見解は分かれていますというところで、具体的にどういうプロセスをとって行うとそれが認められるかというところは、一義的な見解があるわけではないのですが、一つの考え方として、そういうことを採用するということも、可能性としてはあろうかという点を最大限の範囲で今、記載しているところです。

【飯田委員】    ここの部分、是非アカデミアとしては、非常にここは重要なところで、これもインセンティブにつながると思うので、頑張っていただけると幸いです。

【渡部主査】    そのつもりで検討していただいたのですが、これが限界というか。林委員、お願いします。

【林委員】    参考資料5の特許庁の1枚物のまとめは、よくまとめられたとは思いますが、報告書案はこれにのっとった記載をしている部分がいろいろあると思います。参考資料5の(2)のイのところで書いているのは、いわば研究形態を特定して原始使用者等帰属とすることという在り方を言っているのではないかと思います。そうすると、こちらの例えば資料1の方でいきますと、4ページの3では「権利ごと」にという整理になっているのですが、権利ごとにというよりは、研究形態ごとにとか、そういう整理ではないかなと思います。ちょっと細かいですが、特許庁の方の参考資料5の(2)のイで挙げられている二つは、企業との共同研究形態、それから、国の委託研究形態、いわゆる日本版バイ・ドールの研究形態、二つとも元々、職務発明に当たるような形態だと思うのですが、こういう形態について、特に機関原始帰属にするというような選択肢を書かれていると思います。
  以上です。

【渡部主査】    結果的に権利ごとになるかもしれませんが、その発生原因をちゃんと分かるような形で記載した方がいいと、そういうことでよろしいですか。

【林委員】    そうですね。同じ研究形態、共同研究開発の中でも、権利はいろいろ出てくるかもしれない。権利ごとと言ってしまうと、ちょっと誤解があるのかなと。

【渡部主査】    どちらに帰属したのか分からなくなってしまいますね、確かに。分かりました。
  ほかいかがでしょう。

【西尾委員】    学生の発明の関係で、9ページですが、下線部のところで、いわゆる学生に対してインフォームドコンセントをとるということになるかと思います。多分学生に対してはいろいろと説明をしなければいけなくて、決して発明というだけではないと思います。そうすると、どの程度のことをしなければいけないのか。学部4回生なら4回生、あるいは院生、大学院のときにどういうことを説明しなければいけないのか。オリエンテーションのときに多分そういうことをしなければいけないという話が出てくるかと思うので、発明ということに限定せずに、広めに注意してもらうということが必要ではないかと思いました。
  それから、発明、また学生に関することですが、特許を取らないという選択肢、要するに承継もしないし、自分も取りませんということを希望する場合は、それは学生の方に発明は渡すという感じで、その応用問題として捉えるのか、第3の選択肢として捉えるのかというところです。その取扱いについて何か書く必要があれば書いてもらった方がいいのかなと思います。特にソフトウエア関係であるといろいろな考え方を持っている人がいますので。

【渡部主査】    分かりました。言われたのは、学生が特許を受ける権利は、基本的に学生さんに発生しているのだけど、それは特許を受けないで公開するということについては、結局、共同研究や何かであって、それを譲渡してくれと言われても、いや、しませんと言うのと同じ分類になりますね、恐らく。

【小河専門官】    基本的には、渡部先生におっしゃっていただいたとおりかと思っております。特許を受ける権利をどうするかという、その次のステップかなと思いますので、必要に応じてその辺は整理したいと思います。

【渡部主査】    野口委員、お願いします。

【野口委員】    これは意見ですが、論点3にもあります、7ページの相当の利益の内容のところです。解釈の仕方もあると思いますが、7ページの金銭以外の相当の利益の付与というところの四つ目の箇所の「所定の日数・期間を超える有給休暇の付与」と例示がありますが、研究者の方の多くが裁量労働制をとっておられる上に、この有給休暇の付与というのは場合によっては付与された分、どこかでその分の労働をしなければならない。ここで言えば、正確には研究時間の確保が重要であって、例えば教授会の出席免除とか、学部長等の役職免除とか、授業コマ数の軽減とか、ここの例示の箇所は、有給休暇の付与よりも、研究時間の確保を研究専念等、どのような形態としてインセンティブにし、与えてあげるかという表記の方が重要ではないのかなというような感じがしました。

【渡部主査】    分かりますけど、難しいのではないですか。でも、職務の時間になってしまうのではないかな。何かありますか、今の点について。

【林委員】    よく存じ上げないのですが、大学ではそういう、教授会の出席とかを免除されたステータスはあるのですか。研究だけしていればいいよみたいな。

【野口委員】    うちの大学でもありますね。

【植木委員】    私どもの大学でもあります。例えばリサーチプロフェッサーという称号を与えて、研究専念で、大学行政は免除というような制度はございます。大学での行政上の職務は、権利の側面もあるのですが、義務の側面もございますので。

【渡部主査】    ちょっとこの点は難しい。ほかにいかがでしょう。植木委員。

【植木委員】    今の相当の利益のところですが、きょうの三尾先生の御説明で、10ページに相当の利益の指針案の御説明がありますが、ここで例えば10ページですと4のところに、「1、2の条件、及び従業員との間で双方納得のものであれば、例示以外のものでも認められる」と書いてありまして、ここは「及び」になっているんですね。つまり、1、2の条件というのは、双方納得しても今回の指針によれば、相当の利益から外れると。つまり、1で、経済上の利益が経済的価値を有するものでなければならないことについては、双方で合意してもこれを覆すことができないというのが特許庁の指針のポイントだと思います。具体的には、参考資料の2で特許庁が作ったパンフレットがございますが、2枚目を見ますと、例えば表彰状のように相手の名誉を表するだけのものは駄目だと。これは、つまり表彰状でお茶を濁されたのでは、発明者の利益が侵害されるという趣旨なのかもしれないのですが、双方納得しても駄目だ、この経済的な利益がないと駄目だという指針のルールが、アカデミアのインセンティブということを考えたときにむしろ縛りになっているのではないのかと思います。
  この部分の制度趣旨といいますか、1が入ったというのはどうしてなんでしょうか。つまり、発明者の利益を守るためにこれが入ったのだとすると、むしろ大学という現場では、それが逆に発明者の利益を縛っているような気がします。その辺り企業の場合ですと、たとえ表彰状だけで、金銭的対価なしにお茶を濁されたら、発明者の権利が実質的に侵害される危険性があるというのはよく分かるのですが、大学やアカデミアの現場からすると、ここの部分がいろいろな縛りになっていて、先ほどのインセンティブに関する具体例の話でも非常に不自由な縛りだなと思ってしまうのですが、どういう制度趣旨でこれが入ったのか、少し弁護士の先生方から御教示いただければと思います。

【渡部主査】    これは切下げにならないように、ぎりぎりのところだと。林先生、お願いします。

【林委員】    私が出席していた委員会では、研究者としては、もちろんこういった研究費などを一般に頂くのもいいけれども、金銭以外の利益というものも価値があるけれども、お金も欲しいですと、おっしゃったと記憶しています。
  やはり今までの経緯から考えても、余り今までの待遇から落ちるようなことがあってはいけないというベクトルで、ずっと議論しており、国会でも附帯決議もされていますので、「経済的利益」というところが入ったのだと思います。
  以上です。

【植木委員】    ありがとうございます。

【渡部主査】    いかがでしょう。平井委員、お願いします。

【平井委員】    法的な話だけであれですけど、もし当事者が合意して、例えば訴権放棄します、何があっても大学を訴えませんとすることも可能です。そういうふうに考えれば、別に当事者が合意して、経済的利益がないもので合意しても、それに対して国ないしは関係機関が絶対、大学は何か払いなさいと強制する手段というのはないので、そういう意味では、そういうふうに目的を達成することは可能ではないでしょうか、と思いますけど、間違ってないですよね。

【三尾委員】    そうですね。

【渡部主査】    いいですか。江戸川委員、お願いします。

【江戸川委員】    今、かなり議論が出ている相当の利益に関するところについて、私もいろいろ大学の先生方とお付き合いしていると、やはり研究費で配分していただくというのが一番インセンティブになるのかなと思うところではありますが、ガイドラインなどの内容を見ると、法の趣旨としては、個人の経済的利益という形できちんと払うようにということだと思いますので、私見としては、やはりこれを研究費の配分でというのは、即座にはなかなか難しいのかなと思ってお話を伺っておりました。論点をまとめていただいた資料の中で、8ページの特許制度小委員会の議論が非常に参考になると思ったのですが、この一つ目の箇条書の最後に、「特別な給付については、集団的合意と個別的合意という特別の手続を求めてもいいのではないか。」であるとか、二つ目の箇条書にも、「本人の同意がないとなかなか難しいのではないか。」と記載されているのですが、この辺りは会計的な観点で言うと解釈が難しいなと感じております。一つ、最初に経済的な利益は個人に帰属するものの、その先生が個人として受け取る権利を放棄して、結果的に大学にその財源が残り、それをもとに別途予算配分を大学が判断するというような考え方だったら、もしかすると研究費の配分ということが結果的にできる可能性があると思うのですが、そうではなく、やはり個人に帰属しているものを一旦、個人が受け取って、それを大学に寄附したとみなされるとなると、ここでは税の問題が出てきますので、そういう整理で考えざるを得ないとすると、源泉徴収を取らないといけないとか、そういう話も出てくると思います。例えば最終的に、個別に各大学が何らかの集団的合意と個別的合意というものをとって運用するとした場合に、会計上、税務上どういうふうに整理されるのかというところについてもやはり明確になってこないと、非常に各大学、後々困ることになるのではないのかなと思っております。
  あと、関連するところで、この報告書の方で1点だけ、気になったのでコメントさせていただきます。報告書の6ページですが、相当の対価に関する過去の委員会の知的財産ワーキンググループ報告書の内容を抜粋して、要約して記載をしているところがありますが、6ページの一番上に、「教員又は所属研究室への研究奨励金としての還元もありうるとしている。」と記載されているのですが、この報告書を見ますと、やはり飽くまでも教員個人への対価の支払に加えてということで、加えてこういう研究室等へ研究奨励金として還元する方法も考えられると書いてあるので、その点が少し、もしかすると誤解を与えるような文章になっているかもしれませんので、その点だけ修正を頂ければと思います。
  以上です。

【渡部主査】    ありがとうございます。報告書の書きぶりは、ちょっとチェックしていただいて整合がとれるようにするのと、それから、会計上の問題ですね。確かに職務発明のルール上は問題なくても、会計上、税務上つじつまが合わなくなるというのはあり得ますね。それはちょっと今まだ十分検討されていないので、そこは少し残ってしまうかもしれませんけど、それは課題であるということは認識をしました。
  ほかいかがでしょうか。苛原委員、お願いします。

【苛原委員】    私は特許のことは詳しくないため、その内容についてよく分からないので、教えていただきたいのですが、ちょっと興味があるのは、最後の論点にあるその他の所属しない人たちの扱いをどうするのかについてです。今回については、これは余り重要視しないと考えておいていいのでしょうか。今、実際にクロスアポイントメントは、文部科学省もある程度進めていく方向であると思うのですが、現場においては、こういう特許の様々な問題で、クロスアポイント制度の導入がなかなか進んでいないのが現状でありまして、特許の問題をどういうふうに解釈したらいいのかがクロスアポイントを進める上で障害になっている状況があるのではないかと認識しています。
  それに加えて、私は医系ですが、共同研究が非常に進んでいて、二つ、三つの大学が一緒にやっているような場合に、それらの大学によって特許の扱いや考え方が違うと、では、それをどういうふうに扱っていったらいいのかとか、そういう研究組織そのものが複数になっている場合に、特許や利益相反などを、今回の内容からは少し外れるかも分かりませんが、どのように考えていったらいいのかなというのをちょっとお聞きしたいなと思いました。

【渡部主査】    どうしましょう。クロスアポはまだ十分検討していないというのと、それから、後半言われたようなことも当然あるので、そういうことについては、課題であるという形かもしれません。何かありますか。

【小河専門官】    その理解で問題ないです。

【平井委員】    これから議論が進むというところなのであれなんですけど、発明は基本的に、その発明が生まれた瞬間の条件で帰属が決まります。つまり、例えば大学で研究中に発明が生まれれば職務発明の問題になるし、もし企業に兼業中に発明が生まれればその兼業の中で処理すべき発明になるはずです。これは大原則です。99%別のところで発明が完成されていても、最後の1%の発明ができた段階で帰属を決定するというのが一応大原則です。ちょっとこれでいいか悪いかという問題はありますが。
  だから、多分クロスアポイントメントとか、いろいろな問題も、1回その原則を置いた上で、本当にそれがいいのかどうかという議論になると思います。ただ、最近、大学の中で、私が接するいろいろな議論があって、帰属のポイントではなくて、貢献で全て判断すべきだという議論があります。例えば仮に兼業先で兼業中に発明が生まれたとしても、それまでに貢献した他の組織の部分があれば、その組織も何らかの特許を受ける権利の持分を持つはずだという議論があります。これが非常に今、困っているんです。そういう議論を言われると非常に特許法の原則からは若干外れてくるわけですし、かといって不合理とも言い切れないところもあって、非常に議論が混乱するという中で、それが将来のことを議論されるのはまだいいんですけど、過去の問題にその議論が適用されて、これまで培ってきた権利関係がちょっと危うくなるとか、いろいろな問題があります。だから、くれぐれもクロスアポイントメントの問題は、いろいろな波及がありますので是非慎重に御議論願いたいなと。文部科学省での議論というのは、大学にすごく影響がありますので、大学の隅々にどういう影響があるかということを是非ちょっと御勘案の上、よい議論をお願いしたいなと思います。

【渡部主査】    クロスアポは、この後、少しまた別にやらないといけないですね。少し総合的にね。だから、ちょっとそういう認識で、ここはおりますということになろうかと思います。足立委員、お願いします。

【足立委員】    結局、いろいろなことを総合しますと、職務発明規定というものの存在が非常に重要でして、それが就業規則の一部になっているというところがほとんどだと思うので、その変更については、労働法上の、労働契約法上の制限もあるんだということをやはり認識した形で論点整理がされるべきだと思います。そうしませんと、例えば相当の対価の切下げというのがあった場合、これは当然就業規則の一方的不利益変更になる可能性があって、労働契約法9条、10条に抵触する問題になってくる可能性がある。その辺のところがほとんど意識されていないような感じがしておりますので、そこは御注意いただければと思います。

【渡部主査】    ありがとうございます。済みません。予定時間を大分超過しており、かなり大事な文章なのですが、この報告書を議論するのは今回しかないということなんですね。いろいろな御意見を事務局の方で、きょうの意見と追加意見がございましたら頂いて、それを適切な形で処理すると。難しいところでちょっとこれというのは踏み込んでは書けないと思います、今の状況ですと。ですけれども、書けるところはできるだけ書きたいと思うのですが、そういうような形で進めさせていただきたいと思いますが、どうしても異議がある方がおられませんでしょうか。済みません。これは、御意見は、個々に事務局の方で集約させていただきますので、この後。そういう形でもよろしいですか。これは重要だと思います。多分各大学みんなこれを見ていろいろ考えられると思うので、その点、慎重に取り扱いたいと思いますが、よろしいでしょうか。

【林委員】    学生のところは、論旨の考え方をもう少し整理した方がいいのかなと思っていまして、いつまでに意見を出せばよいのか、締切りを教えてください。

【小河専門官】    端的なスケジュールはメール等で御案内させていただきますが、少なくとも、取りまとめを3月末というか、施行に間に合うタイミングでできればと思っておりまして、余り悠長ではないタイミングになってしまうと思いますが、御協力いただければと思います。

【渡部主査】    よろしいでしょうか。

【伊藤(正)委員】    各大学に対する影響力が強いということであれば、関連法規との関連性もきちんと入れていただきたい。でないと、やはり先ほどの会計法、あるいは労働に関すること、いろいろあると思うので、そこを織り込んだ形で是非作っていただきたいと思います。
  以上です。

【渡部主査】    基本的には、今の御意見を頂いた報告書の反映についてのところ、これは主査預かりとさせていただくということで御了解いただければと思います。よろしいでしょうか。
  それでは、そういう形で事務局の方でまとめて、皆さんとの意見交換を続けて、まとめさせていただきたいと思います。
  きょう、あと10分しかないのですが、もう1件ございまして、産学官連携リスクマネジメントの取組状況、これについて簡単に説明を事務局からお願いします。

【小河専門官】    それでは、資料4に基づいて、事務局から簡単に御紹介させていただきます。産学連携実施等状況調査の中でリスクマネジメント、利益相反や技術流出防止マネジメントについての取組状況を調査しておりますので、その速報値としての御紹介です。
  まだ、これをどう読むかというところの判断があるわけでありませんが、かいつまんで紹介させていただきます。2ページ目に回答属性を付けておりますが、基本的には、全国立大学を含めて700機関程度から回答があったというところでございます。
  めくっていただいて、まず利益相反マネジメント(一般)に関する、臨床だけではなく、一般的なところについての取組についての調査項目です。
  4ページ目、まず機関として利益相反に取り組んでいる機関、取り組んでいますかというところ、少し主観的になってしまいますが、半分程度の400機関程度から取り組んでいるという御報告があったところでございます。その下は、規程の策定状況や体制の状況、4ページ目の右下のところで、本部、部局それぞれに設けている機関など、いろいろな体制があろうかと思いますが、今回調査したところでは、本部のみに体制を整備しているところが半数程度、また、部局においても整備しているというところが66機関程度あったというような状況でございます。
  6ページ目の左上のところに、利益相反委員会が設置されている機関においてどのぐらいの回数を開催していますかというのを少し調査しております。243機関を対象に、委員会を開催していない機関もあれば、回数多く開催しているような機関もあるというところです。その隣の右上のところは、利益相反アドバイザリー・ボード、最終的な判断に対してアドバイスをする組織体を設けている機関が70機関程度あって、そのうち開催しているところが半数、10機関程度あるというような調査がなされましたというところです。
  7ページ目の左上のところに、利益相反の業務について、業務の経験年数を少し聞かせていただいて、およそ1年未満というところが3分の1、また1年から3年というのが3分の1、3年以上というのが3分の1程度というような状況になっているというところです。
  また、職員の研修について、その下のグラフで「研修などを受講していますか」というところに対して、受講しているような機関というのは余りないというような状況が見て取れましたというところでございます。
  めくっていただいて、8ページ目のところに、利益相反の申告書の把握状況というところを8ページの右上(9)というところで書かせていただいております。半数程度で、いろいろな運用があるとは思うのですが、把握した件数がないというところもあれば、1,000以上を超えているところもあるというところです。多様な把握方法があると思うので、これが一義的にどうというところではありませんが、事実としてはそのような状況になっているというところです。
  また、8ページの右下、(10)というところでヒアリングを実際に実施した機関の分布というところで、400機関を対象に、1件以上ヒアリングをしたという機関は100未満程度あったというような状況でございます。
  10ページ目以降は、臨床研究に特化して少し利益相反マネジメントの取組状況を調査したものでございます。実際に、最初に(1)として、臨床研究を平成26年度に実施した機関に絞ってそれ以降を分析しているというようなものです。少し先ほどと、利益相反(一般)と同じような形で整理しておりますというところです。
  次に、14ページ目以降で安全保障貿易管理に関する取組状況を聞いております。15ページ目、最初に、「安全保障貿易管理の体制を整備していますか」という質問に対して、120機関程度が整備しているという回答になっております。これも少し主観的になってしまいますが、その程度の機関が整備をしていると回答したというところです。
  15ページ目の右下にありますように、本部のみで整備している機関が多いというところで、部局にもある程度の体制を整えているというような回答をしている機関もあるというところが見て取れるところでございます。
  最後に、19ページ目以降に営業秘密管理に関する各大学の取組状況について整理しております。20ページ目、まずこちらも主観的になりますが、「営業秘密管理体制の整備をしていますか」という問いに対して、体制を整備しているという機関が60機関程度で、余り多くないというところがございます。それ以降、実際の取組について、その60機関を対象に、少しどういった取組をされているのかというところを整理しているところでございます。
  駆け足で恐縮です。そのような調査が得られたというところで、今後、文部科学省としても、こういう状況を踏まえて施策などに反映できればと思っております。
  簡単ですが、以上です。

【渡部主査】    よろしいでしょうか。これについては、今後これを活用していくということでございます。
  それでは、大体時間が参りましたので、今後の予定等について、事務局からお願いします。

【小河専門官】    先ほど渡部主査からもありましたように、職務発明の点について、今後、委員の皆様に御意見を照会させていただきまして、3月中を目途に報告書を取りまとめたいと思っております。具体的なスケジュールはまたメール等で御案内させていただきますが、また御協力いただければと思います。
  簡単ですが、以上です。

【渡部主査】    ありがとうございました。
  職務発明の話、これは大事だと思いまして、私、英語で知財のMOTの授業をやっていまして、欧米からアジアから、いろいろなところの学生が来ているので、試しに、自分の国の職務発明制度を調べてこいと言ったら、いっぱい出てきて、イタリアというのは結構発明者にいい制度なのですかね。みんなでどこの制度がいいと言ったら、当然学生に聞くと、それは発明者の権利になっている方がいいと言って、みんな手を挙げて、今度は企業の社長になったつもりで考えてごらんと言うと、またいろいろで、これ、難しい問題なんです。もちろん大学はいろいろ配慮しないといけないと思うので、報告書はしっかりまとまったものを、かつ慎重に書きたいと思いますので、御協力をよろしくお願いします。
  それでは、本日の会議はこれで散会とさせていただきます。ありがとうございました。

――  了  ――

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