産業連携・地域支援部会 大学等における産学官連携リスクマネジメント検討委員会(第4回) 議事録

1.日時

平成27年10月5日(月曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省 東館 3F1特別会議室

3.議題

  1. 大学等における知的財産マネジメント上のリスク管理について
  2. 産学官連携リスクマネジメントモデル事業について(報告)
  3. その他

4.出席者

委員

渡部主査、馬場主査代理、足立委員、飯田委員、伊藤伸委員、伊藤正実委員、植木委員、新谷委員、田仲委員、西尾委員、野口委員、芳賀委員、平井委員、三尾委員、峯木委員

文部科学省

神代科学技術・学術総括官、坂本産業連携・地域支援課長、山下大学技術移転推進室長、西島大学技術移転推進室長補佐、小河大学技術移転推進室専門官

5.議事録

【渡部主査】    定刻になりましたので、大学等における産学官連携リスクマネジメント検討委員会の第4回を始めさせていただきます。
初めに、事務局から配付資料の確認をお願いします。

【小河専門官】    配付資料の確認をさせていただきます。クリップ留めを外していただいて、まず資料1として、ホチキス留めの大学等における知的財産マネジメント上のリスク管理について、資料2として、1枚の検討スケジュール等について、資料3として、1枚物の産学官連携リスクマネジメントモデル事業、参考資料として、1、各大学等における現状の運用と課題等というカラーの資料、参考資料2として、1枚物の特許法35条の条文について、参考資料3として、知的財産ワーキング・グループ報告書、平成14年のものですが、ホチキス留めのものを配付させていただいております。過不足等ございましたら、事務局側にお知らせいただければと思います。
  以上です。

【渡部主査】    よろしいでしょうか。
  よろしければ、早速ですけれども、議題でございますが、大学等における知的財産マネジメント上のリスク管理ということで議論を進めてまいりたいと思います。
  まず、今回の議論の中心は職務発明制度の改正に関してとなります。これについては、今国会で改正法が決まりまして、内容的にはイノベーション創出を中心とする職務発明制度の在り方ということで、権利の安定性、あるいは、今までは相当の対価というふうに言われていた対価の安定性、そのようなことを勘案して制度改正が行われる見込みでございます。これにつきましては、後ほど御説明があるかと思いますが、大学で幾つかの運用のやり方を選択するということが必要になってまいりますので、その点、少し整理をする必要があるのではないのかということでございます。ガイドラインが出てくる予定になっていますが、これは少し年末から来年にかけてということになりますので、その時点でまたガイドラインについても、大学の立場から検討すべきことが出てくると思いますが、今回は、まず改正法の中身の、そもそもの選択肢が発生するということの整理になろうかと思います。これについて、事務局から資料の説明をお願いします。

【小河専門官】    それでは事務局から、資料1を中心に使って説明させていただきます。その前に、簡単に今回の検討の趣旨を口頭で説明させていただきます。タイトルとしては知的財産マネジメント上のリスク管理とさせていただいておりますが、その要素の一つとして職務発明制度の運用を中心に検討することを想定しております。今、渡部主査からも御案内いただいたように、法律が公布されまして、7月から1年以内に施行される予定となっております。法律公布後においても各大学が適切に運用できるように、文部科学省としても適切に検討していきたいと考えております。
  また、リスクマネジメントの観点から職務発明制度を捉えた場合に、職務発明の取扱いや相当の利益の付与、こういったものを適切に行わなければ発明者の研究開発のインセンティブが損なわれるとか、訴訟のトラブルの一因にもなってしまうというケースも想定されますので、職務発明制度の運用について、今回検討していきたいと思っております。
  また、省内の審議会の中でも本検討委員会が一番検討に値する、一番適切であると考えておりますので、今回検討させていただければと思っております。
  本検討委員会では利益相反や技術流出防止といった様々なテーマを取り扱っている関係上、委員の皆様においては、必ずしも職務発明制度について専門的な方ばかりではないと存じておりますが、今回検討させていただくことを御了承いただければと思っております。
  それでは、資料1を御覧いただければと思います。初めの部分は、少しまだ箇条書的に書かせていただいておりますが、今、申し伝えたような趣旨のところを勘案して、今回検討させていただくという背景を書かせていただいております。
  次に、1ページ目の1ポツのところですが、特許法35条の制度趣旨などについて、こちらで記載しております。簡単にですが、紹介させていただきます。
  (1)職務発明制度の趣旨について。職務発明制度、こちらは使用者が組織として行う研究開発活動が我が国の知的創造において大きな役割を果たしていることを鑑み、使用者が研究開発投資を積極的に行い得るよう安定した環境を提供するとともに、職務発明の直接的な担い手である個々の従業者が使用者によって適切に評価され、報いられることを保証することによって発明のインセンティブを喚起しようというものであります。産業政策的側面を持つ制度ですので、その手段として従業者と使用者との間に利益調整を図ることを制度趣旨としている制度です。
  (2)今回の法改正の概要について、ここで紹介しております。条文については参考資料2に添付しておりますが、必要に応じて御覧いただければと思います。説明は、資料1の本文で説明させていただきます。職務発明に関する現行制度は、幾つかの問題が顕在化しつつあるといった指摘がなされているところですので、2ページ目のところに書いているような丸1から丸3のところを骨格として、制度改正の見直しがされたというところです。
  丸1ですが、権利帰属の不安定性を解消するために、所定のところであらかじめ使用者に特許を受ける権利を取得させることを定めたとき、この場合は、その特許を受ける権利は、その発生したときから使用者等に帰属するものとする。選択的に原始的に使用者に帰属することができるという法律になりましたというところです。
  丸2のところでは、従業者は相当の金銭その他の経済上の利益を受ける権利を有するものとする。今まで対価、金銭と捉えられていたものを、その他のところでも可能になるといったところです。
  丸3については、経済産業大臣は、産業構造審議会の意見を聞いて、相当の金銭その他の経済上の利益の内容を決定するための手続に関する指針を定めるものとするということで、丸2における定めの手続に関する指針を明確に定めるといったところが法律上、定められたというところで法改正がなされております。
  (3)特許法上の職務発明についてということで、職務発明の範囲についてです。職務発明とは従業者がその性質上、当該使用者の業務範囲に属し、かつその発明をすることに至った行為がその使用者における従業者の現在又は過去の職務に属する発明と第35条1項で規定されております。この部分については、大学の教職員についても特則があるわけではなくて、原則は適用されます。
  括弧に書いた使用者の業務範囲について、こちらは特許庁のホームページなどで見解が出されているところですが、基本的には企業の部分についてコメントがなされております。
  職務について、こちらを少し紹介させていただきますが、研究をすることを職務とする者がテーマを与えられ、又は研究を命じられた場合に生じた発明は、明らかに職務上の発明となります。また、命令又は指示がない場合であっても、結果から見て発明の過程となり、これを完成するに至った思索的発動が、使用者との関係で従業者の義務とされている行為の中に予定され、期待されている場合も含むと考えられます。このように考えられております。
  ここまでが職務発明制度の概要というところです。
  次に、2ポツを説明する前に、資料2を御覧いただければと思います。1枚物の資料です。こちらに、これまでの特許法改正に関わるスケジュール等を記載しております。一番左に職務発明に関係するトピックとして、職務発明の範囲、権利の帰属について、また相当の利益の部分について、右が時系列になっております。
  職務発明の範囲については、今回の法改正で特段変更されるところではありません。
  権利帰属の部分については、先ほど御案内したように、第3項の文が新設されて、原始的に使用者帰属とすることができるというところが定められました。
  相当の利益については第4項、第6項が改正新設されまして、金銭以外の部分が可能になるような制度になりました。こちらが特許法の改正として7月10日付けで交付されております。これを受けて、1年以内に施行がされる予定です。また、相当の利益の部分については、特許庁の特許制度小委員会の方で手続に関する指針、ガイドラインについて検討がスタートしておりまして、こちらが年内又はそれに近いタイミングで完成していくものと考えられております。
  また、それを受けて大学の運用についても適切に行っていくために、本検討委員会で検討していきたいと思っておりまして、今回第4回の委員会では、特許庁の相当の利益の部分については、まだ方針が明確になっていない部分がありますが、現状と今後の運用について、少し検討を開始したいと思っております。
  また、ある程度指針の形ができた段階で、5回目の委員会で、もう少し具体的な検討の形を示していければと思っております。
  また、施行された後に、適切に運用できるようにと考えております。
  検討のスケジュールとしては、このような形で考えております。
  それでは、資料1の方に戻っていただいて、それを受けて、まず、大学における職務発明制度、これまでの議論の経緯というところを少し御紹介させていただきます。2ページ目の下のところですが、昭和52年の審議会の答申や、それも同様ですが、53年の文部科学省の通知においては、個人帰属とすることを原則としておりました。3ページ目の上の部分ですが、平成14年の知的財産ワーキング・グループ報告書、こちらにおいて個人から法人に承継することを原則とすべきという方向性が示されており、今日においてもこの方向性に基づいて運用されているという状況でございます。
  簡単にその辺を、次以降、紹介させていただきますが、(1)の部分は昭和52年学術審議会答申です。先ほど御紹介したとおり、「大学における研究に基づく発明に係る権利は原則個人帰属とすることが望ましい」としております。少し飛びますが、その(1)の一番下に書いたように、大学における職務発明の内、特殊な発明につて、具体的には特別な研究費などに基づくプロジェクトなどの研究などについては、限定的に国に権利を承継させることとしたというような方向性が示されております。
  (2)の文部科学省通知についても、これを受けて同様の趣旨で通知が出されております。
  めくっていただいて4ページの(3)のところ、平成14年知的財産ワーキング・グループ報告書、こちらは参考資料3として付けさせていただいておりますが、概要については、こちらの資料1で紹介させていただきます。こちらは平成14年の時点では、(3)の1段落目ですが、知的財産戦略大綱が策定され、国立大学の法人化前、こういったタイミングの状況下において、以下に示すとおり大学で生み出される知的財産等について、今後は原則大学帰属とし活用するなど、各大学が自らのポリシーの下で組織として一元的に管理・活用を図ることが望ましい旨の方向性が示されています。
  次の段落ですが、大学の第三の使命として、社会への貢献、中でも知的財産立国の実現に向けて大学が自らの研究成果を主体的に育成し、社会での活用を図ることが喫緊の課題として重要であり、そのための環境整備も進められているといった状況の変化を勘案する必要性が指摘されているところです。
  少し飛んで5ページ目の真ん中、下線が引いてある段落ですが、それを踏まえて、学術研究の発展や科学技術の方向性、また知的財産等のより効果的な活用等の見地から、この時点の最善の選択として、大学が知的財産等を保護・管理し、有効な活用を企画・推進する能力を有することを前提に、教員が大学で行った職務発明に係る特許権等の内、大学が承継するものの範囲について見直しを行い、機関帰属を原則とすることが適切であるとしています。
  具体的なその職務発明の範囲について、それ以降に述べられておりまして、大学から、あるいは公的に支給された何らかの研究経費を使用して大学において行った研究、又は大学の施設を利用して行った研究の結果生じた発明を職務発明の最大限と捉え、この内、研究成果の効果的・効率的な育成と活用推進の観点から、各大学が承継すべきであると判断する範囲を各大学がそれぞれ自らのポリシーにおいて明らかにすることが必要である、こういった方向性が提示されているところです。その範囲については、具体的な在り方については各大学で合理的な判断に基づく多様性が尊重されるべきであるとしております。
  こういった取りまとめが平成14年の方向性となっております。
  それを受けて、現在の状況を(4)に紹介させていただきます。参考資料1を使って、また後ほど補足させていただきますが、まず、資料1の方で確認させていただきます。各大学における職務発明制度に対する対応が進展してきておりまして、350機関以上において職務発明規程が整備されている状況です。基本的には機関帰属を原則とするような運用をとっている大学が多いような状況です。
  また今回、特許法の改正の検討に際して、特許制度小委員会の方では、6ページの上の方ですが、大学の位置付けとしては、特許を受ける権利の従業者等帰属を希望する法人として例示されておりまして、従業者帰属を可能とするように制度設計すべき旨が方向性として示されております。
  また、平成26年7月、こちら法改正が可決する前というか検討の途中ですが、日本学術会議の方においても、科学者コミュニティーから見た特許発明制度の在り方について提言が出されておりまして、こちらでは今後の具体的な在り方としては、大学等の研究者にとっては職務発明をみなされるものであっても、今後も発明者帰属が維持されることが望ましいという方向性が提案されているところです。
  現状について、少し参考資料1を見ながら補足させていただきます。参考資料1を御覧いただけますでしょうか。横になっているカラー刷りのものです。グラフが載っているものですが、現状について、少し補足させていただきます。
  1ページ目の左側に職務発明規程の整備状況を記載しております。緑の棒グラフのものが特許関係の実績がある機関ということで、その年に特許出願を行ったなどの実績がある機関数です。その上の紫の部分が、職務発明規程(教職員のみ)と書いてあるところですが、教職員の職務発明規程が整備されている機関数です。特許出願を行っているような機関については、基本的には多くは職務発明規程を整備している状況ではないかということが捉えられます。
  右側の発明の帰属についてですが、大体の機関については機関帰属を原則としているような状況です。
  めくっていただいて2ページ目のところ、左側の図ですが、権利の承継、対価の額に関する取決めの形態について、こちらは基本的に職務発明規程などで定めているという機関が多いという状況です。
  右側について、手続的なところですが、対価を決定するための基準、こちらを策定するための協議についてどうやって行っているかというところですが、企業などにおいては、労働組合などの代表者を協議の対象としている場合が多いですが、大学においては、各組織、学部とか学科の代表者ですとか、教職員の代表者と行っていることが多いという状況です。
  めくっていただいて3ページ目、左側、こちらも手続的なところですが、対価を決定するための策定した基準の開示の状況について、オンライン等で行っているという機関が多い状況です。
  右側、こちらは対価の額の算定に関する意見の聴取をどうやって行っていますかというところに対して、大多数の44%というところで意見の聴取は行っていないという機関が多いという状況です。
  めくっていただいて4ページ目、対価の支払のタイミングについて、基本的には、一番多いのがライセンスや権利譲渡した、そのタイミングで行うという機関が多いです。また、特許出願を行ったタイミング、特許登録を行ったタイミングで支払うという機関も多いという状況です。
  ライセンス料の配分比率について、大学側、発明者側で見たときに、大体5割ずつと回答している機関が多いという状況です。こちら、発明者側に研究室なども含んでいるので、一概に発明者に行っているというわけではないですが、割合としては5割程度というような状況です。
  めくっていただいて5ページ目、学生の自由発明の取扱いについて、データとしてどういう状況かというところです。左側、学生の自由発明の取扱いの取決めを有している機関が半数以上あるというような状況にあります。
  また、右側、学生の自由発明の取決めについて、合意の時期についてですが、個々の発明が生まれたタイミング、個々の発明時という機関が多い状況にあります。
  めくっていただいて6ページ目、次に現状の職務発明制度の問題点など、何かありますかというようなアンケートの結果です。左側のところでは、大学の運用上の問題について、特段問題がないという機関が多い状況ですが、退職者の取扱いについて、少し問題を挙げている機関が幾つかあるという状況です。
  右側については、学生の自由発明の取決めに関連した大学の運用上の問題について、こちらも特段問題がないという機関が多い状況ですが、2番目にあるように、学生の行った発明の権利承継について問題になりますというような機関も幾つかあるというような状況でございます。
  7ページ目、そういった今までの調査結果や個別のヒアリングなどから得られた、幾つか今後の運用上の課題や懸案事項、こちらについて大学の方から挙がっている事項を少し列挙させていただいております。
  職務発明の該当性について、職務発明と自由発明の判断が大学組織側と発明者側で見解が相違するというようなケースも存在しますというところです。
  特許を受ける権利の帰属について、今後、選択的に可能となる原始的機関帰属とした場合の留意点など、少し例示をしてほしいというような声もあります。また、原始的に機関帰属とした場合に、特許出願しないとき、こういった場合に発明者に権利譲渡をどうやって行うのか、また、営業秘密化する、ノウハウ化するといった場合にどういう留意点があるのかというところで少し戸惑いがあるという声もあります。
  また、相当の利益について、今後、どういう運用にしていくのか。一括払いにするとか、金銭以外の運用について具体的にどういうふうに考えていけばよいのか、少し具体的な想定が必要ですというところ。また、三つ目のポツとして、今後、運用を変更しない場合について、手続上、協議を更に行う必要があるのか明確にしたいとの声がありますというところ。4ポツ目、相当の利益の内容を決定するための協議について、従前の運用で問題ないのか明確化してほしいというところ。また、5ポツ目として、意見聴取は大学においても行わないといけないのか明らかにしてほしいというところの懸念ないし声があります。また、退職者に対する職務発明の相当の利益の支払において、連絡や確認作業の負担が大きくなっているというような状況の声が聞こえます。
  また、学生の発明の取扱いについて、今後もう少し検討の課題があるのではないのか。例えば留学生が行った発明について、機関が適切に把握できなかったケースや、相当の利益を適切に付与しにくいケースなどもあるというような声が聞かれているという状況です。
  現状については、このような状況ですという御報告です。
  資料1に戻っていただいて、今後の運用の方向性について、少し検討させていただければと思っております。資料1の6ページ目、3ポツのところですが、職務発明の範囲について。平成14年に示された方向性が現時点においても変更されるところではなくて、そういった方向性で進めることでよいのではないかということを下線部の部分で書かせていただいております。
  4ポツ、権利の帰属について、(1)で現行の運用について紹介させていただいておりますが、多くの大学においては、丸1、発明届をまず研究者側から行っていただいて、その発明を機関側で評価して、機関に帰属するべきかどうかを判定して、必要に応じて承継手続を行うという運用がなされている機関が多いと認識しております。
  また今後、特許法改正後の運用について、幾つか運用があるのかなと思っておりまして、7ページ目の原始的な帰属先の例というところ、丸1から丸3で例示させていただいております。丸1では、従前の運用のところですが、原始的には発明者に帰属させて、それを必要に応じて機関に承継させるという運用。丸2では、原始的に機関帰属として、こちらは比較的、今後、大企業等で採用されると考えているような運用の部分です。丸3においては、権利ごとに原始的に発明者帰属にさせたり、機関帰属にしたりという運用について。具体的には特定の条件、例えば国の委託研究開発から生まれたような発明ですとか、企業等との共同研究から生まれた発明、こういった特定の条件の権利については原始的に機関帰属として、また、それ以外については原始的に発明者帰属とする。その場合においても必要に応じて機関に承継するというような運用、こういった運用、原始的な帰属先の例として幾つかあると考えられます。
  その上で、今後、大学でどういうふうに運用していくのかというところの考え方ですが、下線部の部分、原始的な帰属先も含めた職務発明制度の運用を各大学等において検討するに際して重要なことというのは、まず特許権等を適切に保護し活用することであるというところです。また、研究者の研究開発活動に対するインセンティブを確保すること、権利帰属の安定性を担保すること、そして特許権等を活用し、イノベーションに結び付けていくこと、こういったことが重要であり、それに加えて制度の手続の合理化といったところも勘案して、各機関で望ましい運用を決定すべきではないかと考えております。運用において、長所、短所などあると思いますので、そういったことを適切に把握した上で、運用を各大学で選択することが重要ではないかと考えております。
  「また」以降ですが、原始的な帰属先をどのようにするかについては、協議は必ずしも特許法上求められているところではないですが、研究者に対しても方針を明示していくことが望ましいのではないかということを言及しております。
  次の段落で、職務発明の該当性や権利帰属先について適切に手続を踏んで、どのような原始的な帰属先になるかにかかわらず、対外的・事後的にも明確化されるような運用が望ましいのではないかと考えております。
  次に「なお」の段落ですが、大学の組織に対して発明を開示して、職務発明と認めるべきかについては、各機関で適切に判断して検討することが必要ではないかということを記載しております。
  次に、8ページ目の5ポツ、相当の利益について。こちら、内容としては相当の利益の内容、金銭以外の部分のどのようなものがあるかといった点や、(2)では、その手続について言及しております。8ページ目の上の真ん中ですが、大学等においても、まだ指針が明確になっていない状況ですが、こういった指針が策定された後、この指針に沿って適切な運用が行われるようにすることが重要だと考えております。下線の部分ですが、この指針の検討がある程度進展した時点で、本検討委員会においても大学等における具体的な運用を更に検討していく必要があるのではないかと考えられるというところです。
  (1)相当の利益の内容について、こちら、まだ指針が明確になっておりませんが、幾つかトピックとしてあるのではないかということで、現時点での例示をしております。1個目のポツですが、実施許諾収入等を発明者に配分するという大学が多いところですが、大学においても、相当の利益の在り方というのをいま一度検討する余地はあるのではないかというところを一つ目のポツで書いております。
  二つ目のポツでは、大学においては特に研究者の流動性が企業に比して高いような状況ですので、相当の利益を適切に付与する手法について検討する余地があるのではないかという点。具体的には、そのポツの最後のところに書いたように、退職者に対する相当の利益の付与の運用をどうするのかというところは検討の余地があるのではないかというところを書いております。
  3ポツ目、こちらは確認的なところですが、研究テーマの設定や発明創出の実現における発明者の貢献というのは、大学においては非常に大きいところですので、そういった実状も鑑みて、発明創出に対する発明者の貢献というのは十分に評価した上で相当の利益を付与することが今後も引き続き重要ではないかという点を書いております。
  (2)では、相当の利益の付与の手続について。こちら、大学と企業との間で異なる事情、特有の事情というところも存在するところではありますが、大学においても相当の利益の付与に関する手続を特許法第35条6項で規定されている指針に沿って行い、相当の利益を与えることに係る不合理性を否定されるように運用を努める、それによって訴訟等のリスクを低減することが重要と言うべきではないかというところです。
  具体的な現状の運用などについて9ページ目のところで紹介しております。先ほどのアンケートの結果も同様の趣旨のところではございますが、まず協議について、大学においては労働組合の代表者ではなく教授会など、そういった代表する者が行っているケースが多いという状況です。
  また、基準の開示については、イントラ等のオンラインで行っているケースが多いという状況。
  また、意見聴取については、大学等の多くの機関で行っていないという状況があります。大学の現状としては、相当の利益をある程度明確に基準を定めて、ライセンス料の配分ですとか、そういった運用で行っているケースが多いので、個別案件の相当の利益の決定に対する発明者からの意見というのは、それほど多くないというか限定的になると考えられるところではございますが、意見の聴取の機会を所定のプロセスで適切に担保するということは、相当の利益の不合理性を否定する上で必要な手続と考えられますので、大学においても、この運用は適切に行うべきではないのかというところをコメントしております。
  6ポツ、学生発明の取扱いについて。こちらは大学特有の部分であると思いますが、まず雇用関係にあるかないかで大きく運用は異なるところかなと思っております。まず雇用関係のない学生がした発明については、職務発明には該当しない、自由発明ですというところをコメントしております。学生がした発明を機関に帰属させる場合においては、学生の同意の下で所定の手続によって承継する必要があるというところです。ただ、共同研究などから生まれた発明などについては、学生の身分を十分に勘案した上で、特許権等の活用の最大化が図られるよう、帰属先等を含めた発明の取扱いは十分に検討すべきであるというところかと思っております。また、雇用関係にある学生がした発明については、職務発明に該当すると解されます。その場合にあっても適切な手続を踏んで相当の利益を付与する必要があるのではないかという状況です。
  説明としては以上です。

【渡部主査】    ありがとうございました。
  ただいま説明がございましたように、この職務発明制度の改正、これは法律はもう決まっておりますので、この運用上の課題ですね。特に大学の固有の事情に関して課題がいろいろあると存じますので、その課題の把握ということについて、様々御意見を頂ければと存じます。どなたからでも結構でございますので、いかがでしょうか。

【伊藤(正)委員】    一つよろしいですか。

【渡部主査】    それでは伊藤先生から。

【伊藤(正)委員】    群馬大学の伊藤でございます。もし法人に原始的に帰属させるというふうに大学がなった場合、一番気になるのは、成果の公開との関連性をどう考えるのかというところでございます。大学の場合、御存じのとおり研究者が、自分自身が発明をしたという認識があって初めて発明届というものが出されるわけです。ですので、発明者が、これが発明ではないと思った場合、発明届は出ない、そういう仕組みになっているわけです。その後どうなるのかというと、学会発表や論文発表というものがなされ、新規性が喪失されます。あるいは新規性喪失の例外適用の手続がなされて特許出願がされるケースもあるわけですが、いずれにしても原始的に特許等を受ける権利が法人に帰属されるということであれば、その特許等を受ける権利が、発明者の自由意思による成果の公開がなされることにより、阻害されていると大学側に受け取られる可能性を若干懸念しております。となると、大学組織が教員の研究発表の自由を制限する動きには、まさかならないとは思いますが、そういうことを考えるような方が出てこないとも限らないということを一つ心配しておりまして、あらかじめ各大学でのルールを、もし原始的に機関帰属ということにするのであれば整理しておく必要があると思う次第です。以上でございます。

【渡部主査】    ありがとうございます。足立委員、お願いします。

【足立委員】    四つほど問題があると思うのは、まず、これ、労働契約の問題としては全く捉えられていないというところに大きな問題があって、資料1の9ページの上のところにもありますように、労働組合等の代表者としては何も話していないところが多いということでして、就業規則の一部として、委任規定として、もし職務発明規定が定められている場合は、明確に就業規則の一部であって、だとすれば、労働契約法第9条の、要するにもし不利益変更する場合には、労働者の同意がなければならないはずなのですが、その辺りの考慮というのをしなくていいのか。それと、特に労働契約として問題なのは、職務発明とは一体何ということで、職務発明となった場合にどうするのかということについては、もう既に、割と比較的はっきりとしてきたとは思うのですが、大体何が職務発明なのかということを大学教員の研究実態に合わせてどう定義したらよいのか。そこが非常に大きな問題だろうと思います。ある場合は職務発明になったり、ある場合は職務発明でなくなったりするという判断を大学の知的財産本部等が行った場合に、それが係争のネタになることは十分に考えられるだろうと。
  それと、職務発明と認めた以上、多分、その当の発明の技術については、輸出管理との関係などからいいますと、完全に大学がその責任を持って管理すべき対象になるだろうと。だんだん職務発明が増えていきますと、輸出管理の対象として管理しなければならない情報、大学が法人として責任を持って管理しなければならない情報が増えてくるのですが、そこは一体どうしたらよいのだろうか。
  それから共同研究、相手先がある場合の職務発明ですが、中小企業相手の共同研究の場合、相手先に職務発明規程がない場合もあります。これが時々大きなトラブルの原因になるのですが、そうしたことに対するリスクマネジメントというのがやはりなければいけないのではないか。
  それから学生の権利の部分ですが、学生の発明が全部一律に職務発明に該当するというように言うのは余りにも乱暴な話だと思いまして、そのような契約が実際可能なのか。入学時に、学生に対して、あなたの学内で雇用関係に入った場合の発明については、全て職務発明です、同意しなさいというようなことが一体できるのかどうか。また、そういう雇用契約を学生として具体的に結んでいる大学があるのか。あるいはそれが可能なのか。そこのところは非常に不安に感じるところであります。
  以上です。

【渡部主査】    ありがとうございます。新谷委員、お願いします。

【新谷委員】    筑波大学の新谷です。資料1の5ページに記載のある平成14年の知的財産ワーキング・グループ報告書の抜粋である下線部については私も同感です。昭和52年の学術審議会答申で指摘されているとおり、そもそも大学教員の発明は職務発明と言えるのかという点についての疑義はありますが、機関帰属についての前提条件、つまり公的研究費と大学の施設等を使用した発明については、大学が承継して保護・管理等に当たるとすることは合理的であると考えます。ただし現在では、むしろ大学で承継した発明についての特許関連経費の負担の増大の問題の方が大きくなっていると考えています。実際問題として、発明を企業に移転したり、実施許諾契約を締結したりすることは容易なことではありません。経費と実施料収入等との関係で言うと、筑波大学では、特許関連経費を掛け過ぎているためか、収入は経費の15%程度にすぎないのが現状です。つまり機関帰属となった知財を大学が保有し続けて管理することの負担が大きく、機関帰属となった発明については、早期の段階で産業界への売却を図るなど、機関帰属後の発明の取扱いの在り方が課題になっていると思います。
  また、7ページにも紹介されていますが、今回の特許法35条の改正に伴って、例えば大学における職務発明の特許を受ける権利が原始的に大学に帰属するという取扱いをした場合に、特許出願しない発明をどうするのかという問題が出てきます。これは先ほど参考資料1の方でも御説明いただいたのですが、ただ放置するというのではやはり発明者の納得を得るというのは困難だと思います。また、発明者に返還する場合にも、いったん大学の資産となったものについて、どのような根拠で発明者に譲渡するのかという問題があると考えます。
  それからもう一つ申し上げておきたいのは、大学において一番問題となるのは、すぐれた発明を特定の企業の利用のために特許化するのではなくて、人類全体の福利のために誰もが使えるようにすべきではないかというアカデミズムの根幹に関わる問題です。このことは発明が個人帰属であっても大学帰属であっても、考慮すべきポイントになると思います。こうした場合に筑波大学では、そもそもの発明者である教員の意向を十分に酌み取って判断しています。この点についてはポリシーや規則などで触れておくことも重要なのではないかと考えています。
  以上です。

【渡部主査】    ありがとうございました。伊藤委員、お願いします。

【伊藤(伸)委員】    東京農工大学の伊藤です。話題提供を含めて少しコメントをさせていただきたいと思います。大学技術移転協議会という大学の知財のマネジメントに関わっている者の社団法人があり、その年次大会が9月の頭にありました。その中で、この職務発明に関係する特許法の改正について、セッションで取り上げました。全体で500人ぐらい集まるイベントですが、こうした大きな場で、これを正面から取り上げるのは多分初めてであったと思います。私がモデレーターをして、特許庁の制度審議室長にいらしていただき、それからお隣にいる飯田先生に来ていただいて、また、東北大学からも知財の担当者に来ていただきました。質疑応答が非常に活発に行われました。また、事後のアンケートを見ても、やはり参加者、大学の知財マネジメントに関係している人たちでも関心が非常に高いということが分かったわけです。そもそもこのUNITTという技術移転協議会は実務者の集まりなので、出てきた質問というのは手続を含めて個別具体的な質問が非常にたくさんありました。一つ一つは御紹介しませんが、いずれにしても、これは今までの制度、原始、個人帰属で、それを承継していくという手続を続けていてもかまわないのだと。場合によっては、恐らくこの改正特許法が来年の4月に施行されると思われますが、施行以降であっても、追っ掛けで世の中の動向を見ながら、あるいは学内の調整の事情を見ながら、新しい制度に対応してもよいということがみんな分かって、少し胸をなでおろして安心して帰っていったのではないかと思っています。
  私は、冒頭、渡部委員長が選択しなければいけないという言葉を使いましたが、その選択肢がむしろ広がったということで前向きに捉えた方がよろしいのではないかと考えています。そのセッションの中で飯田先生から御紹介を受けたのですが、実際に既に共同研究先の企業から、共同研究で生まれるような共同発明については、今度のこの法改正を踏まえて、原始、機関帰属にしてほしいというような意見、もう少し平たく言ってしまうとプレッシャーのようなものまでもう既に受け始めているというような例がありました。これはこれでまた非常に貴重な情報であると思ったわけですが、これもうまく使えば、大学としても企業との交渉の中で選択肢が増えていくと、対応の仕方によって円滑に物事の交渉が進むかもしれないという可能性があると思っています。
  それ以外にも、先ほどもいろいろ御意見がありましたが、研究者の流動性というところで見れば、大学というのは企業以上に流動性が高いということです。そういうことを考えますと、より具体的に言うと、先ほどから出ている特定の場合、発生時、機関帰属にするという場合ですが、具体的に言うと企業の共同研究もそうですし、あるいは特定の外部資金ですね。特定の外部資金をもらって、そのプロジェクトに専従しているような研究者というものの発明、あるいは外国人ですね。期間が決まっていて、ある期間がたったら本国に戻ってしまう。こういうような外国人の研究者、こういった者については改正特許法の職務発明規程を適用すると。こういった選択肢、こういった戦略というのも考えられると思います。
  以上です。

【渡部主査】    ありがとうございます。野口委員、お願いします。

【野口委員】    私どもは、私立大学ですので、やはり学生が非常に多い。特に学生については、先ほどお話がありましたように教育を受ける権利と、選択の自由などを損なわないようにしなければならないということで、もちろん当初から知財の機関帰属について同意させるということはしていません。ただ、共同研究にも学生が関与するのは、大学院生を中心に増えてきていますので、自発的に特許を受ける権利の譲渡を申し出た場合については、機関帰属を前提に、発明規程に準じて対応していくということで進めています。しかし、最近懸念しているのが、大学教員が社長等の役員をしている大学発ベンチャー企業で、学生がアルバイトや契約社員として働くケースがあり、その際の知財の取扱いについて悩んでおります。教員のみならず学生の方にも周知徹底できていない部分もあり、例えば、学生の知見も含まれている可能性のある発明を、事業主である教員が自分の単独発明で出したりするケースです。学生が大学発ベンチャーに関与する雇用の在り方について、慎重に検討する必要があると思います。また、非常勤の研究者の取扱いをどうするのかも大きな課題と思います。とりわけ、今後、国の政策としても重要視されてくるクロスアポイントメント制度の取扱いとも関わってくると思います。例をあげると、企業の技術顧問に就任するとなると、本大学の利益相反委員会に諮ります。その際、相手方企業の雇用契約書のひな形を添付するのですが、実際、相手方企業の知財の取扱いが、どのような取決めになっているかが分からないケースが散見されます。つまり、相手方企業の発明規程まで添付されていないのです。そういった兼業の場合や、企業の研究者を客員研究員として受け入れる場合も課題があります。受入れの際に、受入れの契約書を締結するのですが、本大学の発明規程を遵守する条項があるものの、業務に照らし合わせての、実態確認や知財マネジメントがなかなかできていない部分があります。本大学の受入れ教員の情報から実態を把握するしかありません。その辺をどのように、組織的に大学内でマネジメントしていくのかという問題があります。そのような、学外研究者のマネジメントが手薄であり、今後、広域にクロスアポイントメント制度が導入されてくると想定すると、知財の取扱いの細部も含め、詰めていく必要があるのではないかと考えております。以上です。

【渡部主査】    ありがとうございました。飯田委員、お願いします。

【飯田委員】    私の方からも少し情報提供という形でお話しさせていただきます。産業構造審議会の特許制度小委員会に委員として入らせていただいていて、次回の委員会で御紹介をさせていただくことになっておりますが、医学系の大学で、特許法改正に関するアンケートを行っています。簡単に概要を御紹介しますと、帰属に関して改正をする可能性があるかどうかということで、13機関に質問をしたところ、改正すると答えた機関は20%です。しないと答えているのが50%。一方、相当の利益に関しては、40%が改正する必要があると答えていて、40%が改正する必要がないと答えています。帰属について、原始的に機関帰属とする発明が生じた際の手続論について、先ほど足立先生もおっしゃっていましたが、相当の利益の設定プロセスが、現行の方法では不十分ではないかと気にされている機関が多く、今回の改正を契機に適正な手続に改善していきたいという声が多くございました。以上です。

【渡部主査】    ありがとうございます。三尾委員、お願いします。

【三尾委員】    今回、特許法が改正されましたが、これは主に企業からの要望によって改正されたという経緯があると思います。大学と企業との違いといいますか、大学としてどのように今回の法改正を捉えればよいのかという観点から、少し考えてみたのでお話ししたいと思います。
  企業の場合は、基本的に大学と違い、研究成果を実施するという目的があります。実施のために発明者以外の方々も、企業として、組織として一体となって貢献をして、企業の実施につなげていくということになるわけですが、これに対して大学の方は、研究者の個人的な発明に対する寄与が非常に大きいということもありますし、又は実施をしないという非常に企業とは異なっているというところが大きいと思います。ですので、機関帰属にする必要性ということに関しては、企業と大学とは大きく違っているのかなと思います。加えまして、大学の研究者の、先ほどからお話がありますように、研究先の異動ということが非常に想定されているということや、研究成果の公開の自由ということが大学の本質からして強く求められるということ、また、幾ら大学の先生の機関帰属を求めたとしても、学生に対しては一貫して同じような扱いはできないというようなことがありますので、基本的には、大学は、機関帰属にするのかどうかについては、企業とは大きく違っていると考えてよいと思うんです。
  今までのお話からすると、原則どちらかにするかということをまず決めなければいけないと思いますが、その場合に、機関帰属にしなければならないというようなモチベーションは全くないと私としては思っております。むしろ大学自身のそれぞれの特性もあると思いますし、原則としては現状でよいのかなという、私の個人的な意見ですが、それほど問題ないのかなと思っております。
  ただ、問題となるのは、先ほどからお話がありますように、共同研究の場合なんですね。企業との共同研究の場合は、特許法の共有の規定もありますので、必ず最終的な権利帰属を統一化する必要が出てきます。そこで企業が非常に気にするということは致し方ないと思いますし、先ほどからお話がありましたように、特定の、国等の外部資金による発明の場合に、個人に帰属させて流動とかした場合に問題になるのではないかとか、そういった様々なバリエーションがありますので、やはり原則はどちらかに決めたとしても、場合によってはある程度、その都度決めていかなければいけないというようなことも必要になってくるのではないかと考えております。
  更に相当の利益の件ですが、大学の場合は、今まで50%が多いという、非常に企業からしますと高い比率で発明者に対価の還元がなされてきたわけですので、そういったことからもそれほど詳細な協議は求められなかったとも考えています。ただ、50%というのが適当かどうかも含めまして、いい機会ですので協議の場を設けるのは必要なのではないかと思います。
  学生の発明についてですが、学生は未成年者という者も含まれますので、一律に学生の発明を吸い上げることは非常に難しいことは当然ですが、大学発ベンチャー、学生発の大学発ベンチャーも非常にこれから盛んになってくるということもありますので、それほど学生の発明だからというふうな、治外法権的に守らなければいけないというところまで考えなくても、ある程度柔軟に、学生の発明であっても大学や組織として帰属させることは可能ではないかと思いますし、そのために、そういう結果を得るために必要な手続を考えるということの方が重要ではないかなと思います。
  以上です。

【渡部主査】    ありがとうございます。平井先生、お願いします。

【平井委員】    今の三尾先生のお話とほとんど同じところですが、特許法というのは、我々はアメリカの特許からかなり学ぶところが多いのですが、アメリカの特許法というのは少し変わっておりまして、アメリカの憲法の中に発明、発見という言葉があります。アメリカでは発明によって得た財産権は、基本的人権の一部であると、極めて重要なものであると捉えています。その頭の中に生まれた財産権が国を育て、大きくする。誰にも負けない国になるという強い意識があります。これはとても大事だと思います。普通の財産権と違って、頭の中に生まれたもの、これはなかなか切り離せません。ノウハウであったり、あるいは、逆に言えば全世界の財産である知の源泉であったり、それをどういうふうに我々は取り扱って、この世の中にそれを生かしていくのか。非常に大きな哲学が求められる部分だと思います。アメリカの憲法及び裁判所では、それに非常に重きを置いた判断をたくさんしています。だから本来的に言えば、発明は個人の財産であって、最初に原始的には個人が取得すべきものである、これはもう間違いないと思います。これを今般、特許法の改正によって、組織も原始的に取得することになったと。これはある意味、社会的な要請としてあり得ることかもしれません。ただ、翻って考えてみるに、それを求めていたのはやはり企業だと思います。企業の側の要請でそうなったと私は捉えています。なぜ企業の側の要請でそれは求められるのかというと、企業というのは、これも別の法律用語ですが、特別権力関係みたいなところがあって、これは例えば刑務所のようなところですが、人権が一部制限されるようなところ、特別権力関係といいますが、企業の中では、組織の一員として、例えば外部発表はできないとか、兼業はできないとか、もう企業のために従業員は労働を提供して対価を得るという関係にあるわけです。これはよい、悪いではないですよ。そういう中で、従業員が得た個人的な財産である発明がどのように取り扱われるべきなのか。それは企業が一元的に取り扱った方がよいに決まっています。理にかなっています。そういう意味で今回の職務発明の改正というのは意味があると思いますが、では果たしてアカデミア、研究者の方々がどうなのか。これは原則に戻って、研究者の方々の頭に生まれたすばらしい財産、これをどのように生かしていくのかというところから離れてはいけないと思います。研究者の方は、いろいろな大学でお仕事をされ、あるいは独立行政法人と兼務され、あるいは学会で発表され、世界で活躍して、学生とも交流します。こういう方にはこういう方にふさわしい発明の取扱いがあるのではないのかと思います。そういう意味で今回の特許法が選択肢を増やして、企業の方にも大学の方にもふさわしい道を用意してくれた。これはよいことだと思いますので、あとは大学の方がそれをどう理解して、どう使っていくのか。それぞれの研究者の方に生まれたすばらしい財産というものをどうやって生かしていくのかということを考えていく。それが必要であると考えます。以上です。

【渡部主査】    ありがとうございました。植木委員、お願いします。

【植木委員】    大学の側からの発言になるかと思いますが、今回の改正は、先ほど少し知財管理のコストの話もございましたが、やはり知財、ある意味宝の山の部分もありますが、その管理経費が掛かりますので、今まで以上にますます知財についての目利きといいますか、専門的な管理の労力が各大学に問われるようになると思います。先ほど御紹介いただきました平成14年の知財ワーキングの報告書の中にも、大学の第三の使命として社会への貢献が明記されたということ、それが流れが少し変わるきっかけになったと思いますが、結局、各大学で、教育、研究に並ぶ第三の柱である社会貢献あるいは産学連携をどう位置付けて、どれだけのコストをその分野に投入する覚悟があるのか。あるいはそれだけの専門的知見を各大学が、大学のトップが取り組んでいく姿勢を見せるのかということに掛かってくるので、そういう意味では各大学の産学連携に向けての取組の基本姿勢がますます問われる。そういう意味では、各大学の個性がより強く、この問題についても反映されるような方向になっていくのかなと。そういう意味では、コストも掛かる可能性もありますし、あるいは宝の山がますます活用されやすくなるという部分もありますので、やはり大学トップのその点のコストあるいは基本姿勢が問われるような時代がますます来ているのかなという気がしました。感想になりますが以上です。

【渡部主査】    ありがとうございました。馬場委員、お願いします。

【馬場委員】    やはり対価のことをある程度議論しておく必要があると思います。例えば、個人といわれても、個人に直接お給料のような形で入る場合と、いわゆる研究費として入る場合と、大きく対価の意味は違うと思います。大学によって違ってもよいのかもしれませんが、基本的にはある程度の世の中が承知するような配分の仕方も併せて検討しておく必要があると思います。特に大学、先ほどから議論がありますが、ベンチャーが非常に今、奨励をされています。特許というのは非常に使い方も難しいし、特にベンチャーとの間でいろいろなトラブルが起こるケースも考えられます。知財部がある企業と違い、ベンチャーの間では、対価の配分についてある程度の基本方針みたいなものがある方が現場としては非常に有り難い、そう思っています。以上です。

【渡部主査】    ありがとうございます。西尾委員、お願いします。

【西尾委員】    この検討をして、何を出せばよいのかというところが、少しはっきりしないところがあります。いろいろな戦略があり得るでしょう、大学として。皆さん、共通でお持ちになっていると思いますが、ではそれをどうしたらよいのかというのは、なかなか分からないというか判断がつかないだろうし、多分、各大学で決めることが非常に難しいのではないかという気がしています。こういう法律改正を受けて、リスクマネジメントの観点から、この場で何を検討すればよいのかということを、もう少し分かりやすく教えていただければと思います。結局、最終的には大学で考えろというところに落ち着いてしまうのではないか。そうすると大学は何もできないのでは。大学が方針を検討するためのヒントというものを、我々はここでどういうふうに出していけばよいのか、文科省さんの方でどうお考えなのか、教えていただければと思います。

【渡部主査】    ありがとうございます。
  今、頂いた意見の中には、やはり今回、機関帰属で処理をするという選択肢が増えましたので、委員の方の御指摘にもありましたが、基本的に理解としては企業側の要請でそういうふうになったという経緯の中で、先ほど学術会議の議論等も紹介していただきましたが、大学は必ずしも、三尾委員が御指摘されたように、立場が違いますので、むしろその意見は酌んでいただいて、選択肢を設けていただいたという経緯かと思います。これは企業も決して、では企業は全部、機関帰属がよいのかというと必ずしもそれは、経団連もそういうふうには言っておりませんし、中小企業等に関しては現状の運用で問題はないというかその方がよいというところもあるということでこういう形になったと。ただ、そうやって選択肢が増えた段階で、改めて大学はどうかということを考えたときに、もう1回ちょっと機関帰属にした場合に何が問題になって、どういうことが問題になるのか。相当問題があるのですが、それをきちんと整理しておきましょうと。そこの論点ははっきり出しておいて、いずれにしても、機関帰属にすることを先延ばしにはできるのですが、でも方針を決めるに当たって十分な論点とか情報は、ここで出していただければという趣旨だと思います。
  その意味では、頂いた御意見はみんな貴重な御意見で、いろいろ判断する上で重要な論点が出ていると思いますし、ちょっと法律的に解釈、学生の問題とかいろいろなことについては、この後、文科省、事務局の方でも整理をして、最終的にはガイドラインが出ますので、ガイドラインの相当の利益のところについても、またちょっと論点が増える。これ、どこまで広がるのか、先ほどの話で、研究費を相当の利益の中に入れるのか入れないのかというのはまだ何か決着をしていないみたいですが、そういうことも含めて大学が決めるに当たって十分な情報と指針、指針というのはちょっと言い過ぎかな。三尾先生の趣旨を書くとほぼ指針になりますが、そこはどういうふうに書くか分かりませんが、そういうようなことかと思います。
  それと機関帰属にする場合の問題点ということに加えて、今、御指摘いただいた話の中には実態上、やはり機関帰属の原則で運用してきて、今のまま運用しても問題があるのだということは加えてあったかと思います。特にクロスアポイントの問題ですとか、学生のベンチャーの問題ですとか、あるいは客員研究員の機関帰属をどうするのかとか、ボランティアの方々の問題とか、こういうのはちょっと、やはり加えて整理ができれば整理をしておいた方がよろしいのではないかなという印象を持ちました。
  というような捉え方をしているのですが、事務局の方で、どういうふうにされるのかは、ちょっと今、コメントを頂ければと思います。

【小河専門官】    基本的には、今、渡部主査からコメントを頂いたとおりではございますが、基本的には大学がどの選択肢をとられるのかということはもちろん自由ですので、文科省として具体的にこれでないといけない、ないし、こういう方向性ですというところまでは発信しないと思いますが、各選択肢をとったときに、どういう留意点があるのかというところは少なからず整理する必要があると思っております。その上で各大学が適切に運用できるように、一つメッセージを発信していくということに意味があるかなと考えておりまして、その方向性で議論をまとめていきたいと文科省としては考えております。

【渡部主査】    ありがとうございます。足立委員、お願いします。

【足立委員】    特に異論があるわけではないのですが、ただ、機関帰属か個人帰属か、あるいはそのほかのやり方かというようなことの前に、何が職務発明かというところの問題の方が、その手前にあるのではないか。これは職務発明ですというものが曖昧な状況において、どれを機関帰属にするのかというような話をしてもなかなか進まないような感じがします。実際問題として、大学で教員が発明をするプロセスを考えると、大概の方は研究をやった結果として発明が出てくると思っておられる方も多いと思いますが、実態としては初めに思い付きの発明があって、後から研究をしているという場合はかなり多いわけです。実際問題として、私は全く研究をしない段階で特許を出願して、そのまま通ってしまっているものがあります。想像だけで書いています。本当はこんなことは言わない方がよいのですが、その特許はもうとっくに切れてしまったので、時効だと思いますが、出して、それはそのまま、出願したものがそのまま特許として権利化されてしまっています。後から研究をしていると。ということは、大学の中で職務としてやった結果として発明が出てくるというプロセスに全然合わないケースが幾つもあるわけです。だから何を職務発明とするかということが大いに問題になってくるのだろうと。大概の先生方の頭の中というのは、よく聞いてみると最初に思い付きがあって、その後から後付けで研究をやっていくという方が本当は多いです。では最初のひらめきはどこから出てくるのか。よく分かりません。私自身の場合もよく分かりません。ひらめいたのです。それで出したのですが、それが通ってしまいました。ですからこういうケースがかなりあるということをちょっと頭に置いて、何を職務発明とするのかというところから話を始めないと、機関帰属か個人帰属かというような問題を、その手前で言っても仕方がないという気が私はしております。

【渡部主査】    機関帰属にすると、それが最大の問題になりますよね。今、言われたのは、そのとおりであると思います。ちなみに東京大学は職務発明という言葉を使っていないですね。職務関連発明という言葉を使っています。
  では、まだこの先、今度ガイドラインのときに、今の頂いたことで確認が必要な事項、あるいは特許庁の方で確認をしていただく必要がある事項もあったかと思いますので、そのときにまた整理をもう1回出させていただくという形になろうかと思いますが、よろしいでしょうか。
  それでは、この話題については一旦ここで終わりにしまして、続きまして産学官連携リスクマネジメントモデル事業について、資料3を基に御報告いただければと思います。

【小河専門官】    それでは資料3、1枚物の資料を御覧ください。こちらの検討委員会で先日7月にまとめた報告書に基づきまして、産学官連携リスクマネジメントモデル事業の公募を終了して事業を開始させていただいておりますので、その状況と、また今後の展開について御報告させていただきます。
  まず資料3のこちら側、事業の内容、また採択機関についてですが、事業の目的としては、先日来ありますように、モデルを適切に構築して取組体制・システムを構築するとともに、こちらの取組を全国的に波及させることを目的とするような事業となっております。
  事業の内容としては、利益相反マネジメント、技術流出防止マネジメント、この二つのテーマについて公募をさせていただきました。内容としては、先日の報告書にありましたように五つの方向性、実行的・効率的なマネジメント体制・システムの構築、学長等のリーダーシップの下でのマネジメント強化、研究者等への普及啓発、リスクマネジメント人材の確保・育成、事例把握、情報共有、こういった五つの方向性に沿ってモデルの構築、実施、改善を図って全国の大学等に普及する、こういったことを事業の内容としております。当面の予定としては、まず2年程度、実際には1年半程度ですが、この10月から事業を開始して、28年度中にモデルを確立していく。また29年度以降については、その確立したモデルを各大学で自主財源によってちゃんと運用してもらう。また、そういった機関が中核となって全国に普及啓発活動を実施して、全国のリスクマネジメントシステムを確立していく、こういったような事業の内容となっております。
  下の採択機関は、一番下に書いてあるように、利益相反マネジメント4機関、技術流出防止マネジメント3機関、こちらを採択して、10月から事業を開始しているところでございます。
  めくっていただいて裏側の方ですが、まだこちら、平成28年の概算要求ということで、財務省に要求している時点のものですので、確定のものではございませんが、このような方向性で概算要求をしているということの御紹介です。今年度から利益相反マネジメント、技術流出防止マネジメントについて、モデル事業を通じてモデルの構築を行っておりますが、右側の上に書いてありますように、クロスアポイントメント制度、こちらについては新たにモデルの確立ということができないかということで要求しております。こちら、利益相反や技術流出、こういったところに係るところももちろんありますが、その他の項目も多くあると思いますので、こういったモデルについて構築できないかというところで要求しております。また、こういった全国的な取組をつなぐようなネットワーク協議会ということも確立できないかということで、今後検討しているところです。
  簡単ですが、報告としては以上です。

【渡部主査】    ありがとうございます。
  この推進事業に関する報告について、何か御質問等ございますでしょうか。

【新谷委員】    はい。

【渡部主査】    新谷委員、お願いします。

【新谷委員】    応募は何件ぐらいあったのですか。

【小河専門官】    利益相反マネジメントが、機関数としては4機関の応募でして、技術流出防止マネジメントが7機関の応募になっております。

【渡部主査】    よろしいですか。

【新谷委員】    はい。

【渡部主査】    ほか、いかがでしょうか。平井委員、お願いします。

【平井委員】    この資料3の真ん中ぐらいのところに、「平成29年度以降」と書かれていますよね。ここに「中核機関として、全国への普及活動等を実施し」と書かれているのですが、これは具体的にはどういう普及活動を考えられておられるのかなということと、その上に「財源による」と書いていますので、もしかしてこの普及活動も自主財源ではないですよね。それがちょっと気になったもので。

【小河専門官】    その辺は検討中のところではありますが、まず、運用としては28年度までに確立したものを引き続き運用してもらう。これは確実にやっていただくということを想定しております。普及啓発については、どういう形がよいのかというのは少し検討しているところではあるのですが、やはり中核機関として自発的にできる部分もあろうかと思いますので、その部分は適切にやっていただくということを前提に、何か別の予算措置でできる部分があれば、普及啓発も予算措置をするということも考えているところです。まだ具体的にというところは、十分確立はしていないのですが、そのような状況です。

【平井委員】    恐らく、普及啓発が非常に大事になるという気はします。せっかくいいモデルができても、それがほかの大学に移転していかなければ意味がないので。だからそういう何かワーキングなり、シンポジウムなり、いろいろなことがあるのでしょうけれどもね。人材交流とかね。この辺は結構大事かなと思います。

【渡部主査】    よろしいでしょうか。野口委員、お願いします。

【野口委員】    資料3の概算要求の資料ですが、1点目は、事業のところの二つ目の箇所で、「ネットワーク協議会を構築し」と書いていますが、これは、そういったモデル的な協議会が自主的に、この指とまれ方式のような形で形成するのか、それとも官主導でナショナル的なものを作るのかということをお伺いしたいと思います。2点目は、新規事業のクロスアポイントメント制度のところの取組方針ですが、「民間企業との」ということで「等」も入れずに言い切っています。つまりこのことは、学学とか、独法と学ということではなくて、民間企業とのクロスアポイントメント制度にターゲットを絞ったものなのかということを確認したく思います。以上です。

【小河専門官】    まず前者の方、ネットワーク協議会についてですが、ちょっとその形はまだ明確に定まってはおりませんが、文科省としてもこういう形で公募していくのですが、中核となるのは、やはりそのモデル、今回モデル機関として採択されたところが中心となって、こういった、全国的に取り込むというか、全国的な普及になるようなネットワーク協議会というものを立ち上げる、そういったイメージで考えております。
  二つ目の点ですが、こちら「等」という言葉が欠けている部分はありますが、ただ、民間企業とのクロスアポイントメントがなかなか進みづらい状況というのは少なからずあるのかなと思っておりまして、そこが大きなポイントかなと思いつつも、必ずしも民間企業だけというところまで限定しているわけではないので、ちょっと言葉足らずなところもあったかと存じております。

【渡部主査】    よろしいでしょうか。
  研究機関同士、大学同士のクロスアポイントも含まれると考えてよいのですね。とりあえずね。問題あると思いますね。

【馬場委員】    ただ、文章としてはこの方が、「等」にするとそっちに逃げてしまう可能性が高いので、これは是非やるのだという意思は示してもらった方が対応しやすいと思います。

【渡部主査】    その辺は上手に書いていただいて。ほか、いかがでしょうか。足立委員、お願いします。

【足立委員】    もう一つ、クロスアポイントメント制度に関係することなのかもしれませんが、他全体にも関わることですが、市場で競合する2社との同時の共同研究という場合に、どういう対処をすべきかというのは、リスクマネジメントの中で最もリエゾンの担当者が頭を抱えることで、そこにクロスアポイントメント制度で関わってきている教員がいた暁には、もう怖くて何もできないというのが多分、本音ではないかと思います。ですからクロスアポイントメント制度のところで特に気を付けなければいけないのは、市場で競合する2社と同時に共同研究契約、当然どこの大学も結んでいると思いますので、そうせざるを得ないのですが、そういうときの対処というような観点もちょっと入れた形で応募を募られるとよいのかなという気がします。

【渡部主査】    今の、クロスアポイントの話?共同研究の話?

【足立委員】    ほかのことについても当然関わってくると思います。特にクロスアポイントメントの場合、非常に深刻な状況を呈するであろうということです。

【渡部主査】    よろしいでしょうか。全体を通じて何か御意見、まだ言い残されたこととかございましたら。よろしいですか。
  それでは今後の予定等について、事務局から何かございましたらよろしくお願いします。

【小河専門官】    すみません、ちょっと先ほどの発言、1点修正があって、モデル事業の採択の状況の応募の状況ですが、技術流出防止マネジメント、先ほど7と申し伝えましたが、6機関でしたので、大変失礼しました。そこの点、修正させていただきます。
  今後の予定ですが、先ほど資料2の説明のときに少し御案内させていただきましたが、今回第4回の委員会で検討させていただいた事項、また特許庁の方の特許制度小委員会の議論の経過も踏まえまして、もう一度5回目の委員会、今のところ2月目途で考えておりますが、職務発明制度の点も含めて検討を進めさせていただければと思っております。今後の日程調整等は、また別途させていただければと思っております。
  以上です。

【渡部主査】    これで閉会させていただきたいと思います。本日は御多忙中のところ、大変ありがとうございました。

――  了  ――


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