産業連携・地域支援部会 大学等知財検討作業部会(第3回) 議事録

1.日時

平成25年10月11日(金曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省東館3F1特別会議室

3.議題

  1. 大学等の知財の活用方策について
  2. その他

4.議事録

【三木主査】  それでは定刻となりましたので、ただいまから科学技術・学術審議会産業連携・地域支援部会大学等知財検討作業部会の第3回の部会を開催いたします。
 本日は御多忙にもかかわらず部会に御出席いただきまして、どうもありがとうございます。
 まずは事務局より、配付資料の確認をお願いいたします。
【鷲崎大学技術移転推進室専門官】  それでは配付資料の御確認をさせていただきます。本日、資料としては、資料1だけでございます。イノベーション創出に向けた大学等の知的財産の活用方策(中間取りまとめ)(案)という資料でございます。また、委員の皆様には机上配付資料として、2つ配付させていただいてございます。1つが中間取りまとめ(案)なんですけれども、先日事前にメールで御送付させていただいたものからの修正点が幾つかございますので、修正履歴付きで御紹介させていただいておりますので、適宜御参照いただければと思います。もう一方、A3を折り畳んだものでございますけれども、こちらは第1、2回の本作業部会における意見の概要で、こちらも御参考まででございますが、配付させていただいてございます。
 以上でございます。
【三木主査】  ありがとうございました。
 それでは早速ですが、議題であります大学等の知財の活用方策について、審議を進めてまいりたいと思います。
 きょう前半では、前回、前々回と御審議いただいた内容を基に、中間取りまとめの報告書について審議したいと考えております。前半の審議が済んだ後、後半では、大学等における知財の棚卸し方策について議論を進めていきたいと考えております。
 それでは事務局から、中間取りまとめ(案)につきまして説明をお願いいたします。
【鷲崎大学技術移転推進室専門官】  それでは、中間取りまとめ(案)につきまして御説明させていただきます。これまで2回にわたりまして御審議いただきまして、まことにありがとうございました。御審議いただきました内容を基に中間取りまとめ(案)を作成させていただきました。10分少々お時間を頂戴いたしまして、御説明させていただければと思います。
 まず、1ページ目の「はじめに」の最初の段落でございます。これまで大学等においては、平成10年のいわゆるTLO法、平成11年の日本版バイ・ドール条項、平成16年度の国立大学の法人化等を受けまして、TLOとの連携や知的財産本部の設置など、知的財産を取り扱うための体制が整備されてきたと書かせていただいてございます。
 次の段落でございますが、その結果、平成15年から平成23年度にかけて、大学等の特許出願件数は約4倍、特許保有件数は約6倍へとそれぞれ増加してございます。そして、特許権実施等件数は約30倍、特許権実施等収入額は約2倍に増加し、それぞれ成果は上がってきたという形で書かせていただいてございます。
 次の段落でございますが、一方で、平成22年9月7日に産学官連携推進委員会が取りまとめた報告書におきましては、大学等の特許の多くは基礎レベルでピンポイントの技術であり、単独では事業への活用が困難なことが多いため、大学等、研究開発独法、TLO等においては、相互の連携により、戦略的・重点的技術分野における個々の機関の特許をパッケージ化して特許群を形成し、企業にとって魅力のあるものとし、事業化につなげていくことが必要と指摘がなされてございます。
 そして、1.最後の段落でございますが、本作業部会におきましては、イノベーションの創出に向けて各大学が保有する知的財産の活用方策について審議を行い、以下に中間的に取りまとめたと書かせていただいてございます。
 続きまして、2.大学等が保有する知的財産の集約・活用方策の部分でございます。(1)知的財産の集約方法、特に四角で囲ってある部分でございますので、読み上げさせていただきたいと思います。
 大学等のすぐれた研究成果であったとしても、知的財産の権利者が一元化されていないものやその時点で技術の不確実性が高いものについては、TLO・知財ファンド・ベンチャーキャピタル等の民間組織や企業の参画が得られないケースがございます。そのような場合であって、グローバルビジネスにより我が国の経済成長を増進させる可能性のあるすぐれた研究成果については、公的機関、例えば独立行政法人科学技術振興機構(JST)に知的財産を集約し活用を図る仕組みが、大学の選択肢として存在することが必要であるとしてございます。
 次の段落でございますが、特に2行目でございまして、何でも集約するものではないというメッセージを明確にするために、集約する知的財産としては、大学等が保有する全ての知的財産を対象にするのではなく、すぐれた研究成果に係る知的財産に限定すべきであるとさせていただいてございます。また、集約後におきましても、知的財産の移転先への技術指導等の観点から、研究に携わった研究者の継続的な協力を得ることにつきましても、こちらで言及させていただいてございます。
 2ページ目の2番目の段落でございます。こちらではバイ・ドールの点について言及してございます。こちらも読み上げさせていただきますと、大学等が参加した国費による研究開発プロジェクトにおいては、原則日本版バイ・ドール条項を適用して大学等に知的財産を帰属させた上で集約の議論を行うべきであるが、多数の関係者が参加するプロジェクトにおいては、参加した各機関に知的財産が分散されて研究成果の活用が阻害される可能性も指摘されていると。そして、そのようなプロジェクトにおきましては、日本版バイ・ドール条項の運用に例外を設けることも考えられると書かせていただいてございます。
 3つ目の段落でございます。社会実装をというところからでございますけれども、少し飛ばせていただきまして、アーリーな段階であっても事業化シナリオを考慮することに言及させていただいておりまして、後半では、基本特許に対する産業界との協働を早い段階から実現できる仕組みを設けるとともに、ビジネスモデルを検討可能な人材を配置することについて言及させていただいてございます。
 4つ目の段落でございます。「また」からでございますが、公的機関に知的財産を集約する際には、研究者の協力を得つつ周辺特許を固めるための追加的な試験研究を行うことが必要であるとしてございます。そして、特許出願に関しましては下から3行目でございます。ノウハウとして秘匿すべきかを慎重に判断した上で特許出願を行い、技術流出防止の観点から国内のみの権利化にとどまらず、外国での権利化も進めることが必要と書かせていただいてございます。
 続きまして、2ページ目の(2)でございます。集約した知的財産の活用方策について御説明させていただければと思います。
 まず、最初の段落でございますけれども、公的機関に集約した知的財産については、我が国の経済成長に資する国内外の各種企業へのライセンス又は譲渡を行うことで、グローバルな視点を持って活用を図っていくことが必要であると、まず大前提を書かせていただいてございます。そして、同段落の3行目からでございますけれども、特に資金力に乏しい大学等発ベンチャーに対しては、ライセンス又は譲渡に加え、知的財産を現物出資することも選択肢の一つであるとして紹介させていただいてございます。
 2ページ目の最後の段落から3ページ目にかけてでございます。ベンチャーが知的財産の現物出資を受けることで、幾つかの効果があるということに触れさせていただいております。まず1つ目でございますけれども、経営戦略上の選択肢が広がるという点でございます。続きまして3ページ目に入りますけれども、ベンチャーの社会的信用力が上がるという点。ベンチャーキャピタル等の民間資金を呼び込むという点。また、株式上場の際に、審査の際に有利に働くという点の効果に言及してございます。そして、3ページ目の上から4行目でございます。知財の現物出資は、当該知的財産を核としたベンチャー創出を創出するという直接的な効果も期待できるというふうに、こちらでは書かせていただいてございます。
 次の段落では、留意点等々に言及させていただいておりまして、3ページ目の1つ目の段落でございます。出資を行う際の判断基準という点や、現物出資の適格性を判断できる投資家的視点と能力を有した人材の必要性について、こちらで言及してございます。
 次の段落でございますけれども、集約を行った公的機関の留意点としまして、研究者の研究活動を阻害しないように万全の注意を払うこと、また権利の適切な行使をするという点につきましても必要だという形で書かせていただいてございます。
 3ページ、3.の「おわりに」に入らせていただきたいと思います。「おわりに」の1つ目の段落の上から4行目でございますけれども、知的財産戦略の立案及び遂行に際しては、公的機関が支援すべき部分と、大学等や、TLO・知財ファンド・ベンチャーキャピタル等の民間組織、あるいは企業等に委ねるべき部分とを明確に区別し、確固たる出口を見据えて産学官が連携することが必要であると書かせていただいておりまして、こちらで役割分担に関するところに言及させていただいてございます。
 「おわりに」の2つ目の段落でございますけれども、集約は、3行目後半からございますように、大学等が単独で特許群として集約することは容易なことではないと書かせていただいてございます。そして、同段落の最後の行に飛びまして、単独の大学等で対応するには、資金的にも人員的にも限界があるという形で書かせていただいてございます。
 次の3つ目の段落でございますけれども、先日委員の皆様にお送りさせていただいたところでは、読み方によっては共有特許が全て悪いというふうに読める部分が一部ございましたので、書きぶりを改めさせていただいてございます。こちらでは、大学等が知的財産を活用する際の自由度からすれば、大学等が単独で知的財産を保有することが望ましいと書かせていただいております。ただ一方で、様々な制約から各大学が活用できない知財を長期間保有し続けることにつきましては、維持管理のための費用及び人的な負担が増大すると。また、研究成果の社会実装自体を阻害する可能性もあるという形で書かせていただいてございます。
 3ページ目、最後の段落でございます。1枚めくっていただきまして、4ページ目の上から2行目でございます。こちらの文章の主語は本作業部会でございますけれども、そのためには、上記2.に述べた論点がJSTの取組に反映され実行に移されることを期待すると書かせていただきまして、「なお」に続きますけれども、本作業部会は引き続き、大学等における知的財産の棚卸しのための方策や、海外への技術流出や訴訟等のリスク管理等について検討を行っていくという形で結ばせていただいてございます。
 4ページ目以降につきましては、図を3つほど付けさせていただいてございます。5ページ目の図1につきましては、JSTにおきます知財活用支援事業の資料でございます。そして、6ページ目の図2でございますけれども、ベンチャー創生のためのロードマップの図でございます。
 図3は、JSTに知財を集約してライセンスや金銭出資、知財の現物出資を行うまでのイメージ図でございますけれども、前回お示しいたしました事務局資料では、一部説明が足りないという御指摘がございましたので、今回修正を加えさせていただいてございます。左側のオレンジの丸の部分でございますけれども、研究者等、ノウハウというものがJSTと連携という形で、これまで図上で表現していなかった部分を改めて追加させていただいてございます。また、右側の四角、黄色い点線部分でございますけれども、ライセンス、金銭出資、知財の現物出資が全て選択肢であるということが分かるようにするとともに、金銭出資、知財の現物出資というのが新しいスキームであることが分かるように、図を変えさせていただいてございます。
 事務局からは以上でございます。
【三木主査】  どうもありがとうございました。
 皆さんのお手元に机上配付資料という形で、第1回、第2回の大学等知的財産検討部会における意見の概要を整理したものも配付させていただいております。こちらも御参考にしていただきまして、先ほどの中間取りまとめ(案)の説明に対しまして御質問、御意見等がございましたらお願いいたします。
【上野委員】  この取りまとめで1つ、先ほどの共有のところで大きく書き換えてあるところですけれども、この部分は前半の話が共有の話で、後半は特に共有には限らないけれども共有の制約もあるという書きぶりに変えていただいているものだと理解しています。その前提で、前半の共有の部分、3ページの下ですけれども、大学等が単独で知的財産を保有ということの意味は、大方の場合に大学が保有するという意味よりは、創作者主義という言葉がありますけれども、実際に知的財産が出てきた場合に創作した人が保有するという形の中で、大学が創作した場合には大学が単独で保有するという点を明確にするといいのではないかなと思いました。
 それから、バイ・ドールの話ですけれども、バイ・ドールの運用に例外を設けるという部分に関しては、私はここはかなり慎重にする必要があると思っております。もともとアメリカでバイ・ドールを開始したときには2つの柱があって、1つ目は民に帰属させる、それから2つ目は帰属させる際のコストを下げる、でした。その2つによって、民のやる気を引き出すという形の中で、権利としては民にしっかりとした権利を取得可能にして、それからコストの点では、前回も申し上げましたように、知的財産に関して、契約が省庁間で統一されているだとか、報告が簡素であるだとかという部分がありました。
 日本の場合ですと、その後者はなかなかうまくいっていない部分があるように感じています。前者に関しても本来、権利に制約を設ける場合に、いわゆるMarch-in rightsというのがありますけれども、国が介入して実際にそれを使えるようにするというMarch-in rightsは、極めて限定的な範囲で規定されているからこそ民も安心して様々な投資ができる部分であろうと思いますので、そういった意味では、1つ目の柱についても後退させかねないような扱いは、本当に慎重にする必要があるのかなと考えています。こちらの書き方に関しても、本当にこういったものをこのまま入れるのかどうなのか、しっかりと議論した上でないと、現時点ではこういった例外を設けることについて私は反対ですので、御検討いただければと思っております。
 以上です。
【三木主査】  ありがとうございます。
 上野委員の御発言、1点目は大学の単独での知的財産保有に関する点です。これについて、現在の説明での「自由度からすれば」というだけでは、少し足りないのではないかという趣旨だと思います。これにつきましては、本日の御意見を参考に、また事務局で修文ということもお考えいただければと思います。
 2点目の御意見は非常に骨格に関わることでございますので、この点につきまして、少し時間をとって意見交換させていただければと思います。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
【鮫島委員】  私は上野さんと違って、どちらかというとバイ・ドールの弊害にずっと直面してきた立場なので、バイ・ドールを後退させることについては決して否定的ではないのですが、ただ、少なくとも本部会においては、その点について十分な議論がされたとは到底言い難い状況であるという認識があります。その状況の中で、どこまでの表現が許されるのかというのが多分ここでの議論であって、バイ・ドールがいいとか悪いとかという議論は、恐らくこの部会の1時間ぐらいで終わるような話ではないんじゃないかと。なので、ここは確かに日本の政策の根幹に関わる部分なので、これはいつか誰かがどこかで、かなりけんけんがくがくにやらなきゃいけないなという気はしています。
 以上です。
【三木主査】  ありがとうございます。
 野間口委員、お願いします。
【野間口委員】  私もお二人の意見について、どちらもそうだなと思いますが、このような書き方だったら余りにも後退というか、もう少し賢い、うまい表現があるだろうと思います。弁護士先生もおられるし、大学の教授もおられるし、という気がします。
 アメリカでバイ・ドールが始まった時期を考えると、それは非常に歴史的な意味があったと思いますが、これだけグローバル競争が始まって、しかも日本はアメリカとは状況が違います。知的財産に関しては1強時代だと言っても過言ではない、アメリカのそっくりそのまま生き写しというわけにはいかないのではないか、日本は日本の守るべきは守りながら、主張すべきは主張するということでやらなければならないと思います。そういう意味では、大いにここは工夫すべきだと思います。
 私がもう一つ気になるのは、上の方にすぐれた研究成果に関わる知的財産と書いてあるのですが、例えば山中先生のiPSはこういう工夫をしなくても、日本の研究者あるいは海外の研究者も巻き込んで、日本に中心を置いて研究が進んだわけですね。従来の制度でも進められた、だけどiPSのようなものばかりではなく、それに準ずるもの、あるいは現時点ではよく見えないけれども数年後には、これはひょっとしたらというようなものを、国としてどうするかということを長期的な視点で評価する必要があると思います。
 研究というのは、その時点での評価だけで結論を出しては良くないもので、長期的な視点で評価するのだという考えが分かる制度設計にすべきだと思います。それでなければ、その時点その時点で、高温超電導ができた、それはいいですね、iPSができた、それはいいですねとやると、それこそ、その時点時点での切り売りになる気がしてしようがないので、そこのところはもう少し時間を掛けて、それから、評価もイノベートしていくんだというのが入る制度にすべきだと思います。それが日本の国力、日本がこの科学技術分野で存在感を示す、一番の知的インフラになるのではないかなと思います。
 それから、LSIPなどの活動を見てきた経験から申しますと、JSTでやるのは良いのですが、ずっとやっていくと、ああ、JSTでやってくれるんだなといろいろな人が安心してしまう。JSTはあくまでも一例だと。誰もが手を出さないけれども、国としてはほっておけないというところはJSTがやると。民間の努力でやれるものは、大いにやって良いのではと思うので、そこのところも余りJST、JSTとするより、実際動かすのはJSTがスタートして、いい活動になるとそれが刺激になって、大いにこういう取組が強化されていけばいいと思うのですが、これを事前に読んだ感じではJSTさんが全部やるようにとれるのですが、そうではないと思うのです。
 と申しますのは、前回島田さんが説明してくれた、戦略委員会でいろいろ議論された過程ですが、あれはいろいろな立場の人が参加して、とてもいいメンバーを集めてやっていたと思うのですが、こういう方々が参加しているわけですから、広い範囲の活動につながるようにしてほしい。
 それから、4ページの最後の2行。これは今後の課題ですが、是非忘れずに入れておいていただきたいのは、海外の技術流出うんぬんと技術流出を守るような表現が良いのか、日本で生まれた知的財産を世界に公正な形で示すのだという、ポジティブな書き方がいいのかは別にして、留学生が来て生まれた知財をどうするかなど、大学はいろいろな問題を抱えているわけで、そういう点についても我々は問題意識を持っているということを示すべきです。ここでJSTを中心にして取り上げようというものは、そのスタートだということではないかと私は思いますので、是非、今後の方向性も示したまとめにしてほしいと思います。
【三木主査】  ありがとうございます。
 ただいま野間口委員から幾つかの点が指摘されました。まず、先ほど来から議論している日本版バイ・ドール条項の運用うんぬんという2ページ目の真ん中付近の表現ですけれども、これは上野委員、鮫島委員、野間口委員のお話のように、日本版バイ・ドール条項の今日における意義を踏まえつつ、さらなる検討を進めていくことが求められるというような形で、ここは表現しておくのがよろしいのではないだろうかと思います。確かにこの委員会では、ここを深くは議論していないということだと思います。
 ちょっとお待ちください。その件に関してですか。
【島田委員】  バイ・ドールの件で。
【三木主査】  じゃ、よろしくお願いします。
【島田委員】  私は、バイ・ドールに適用除外を設けるというのは、推進派というか賛成派の立場です。ただし私の立場は、我が国全体が既にバイ・ドール体制の傘の下にあって、これを根本的に否定するとかそういうのは全然考えていなくて、あくまでもそれは法律でもう決まっているわけだから、基本的にバイ・ドール大肯定の立場です。
 ここの2ページの上の方の書きぶりというのは、大学が参加する場合とか、多数の参加者が参加する場合とか、阻害されるおそれがある場合とか、かなり限定的に条件を付けていると思うんですね。そういう場合には、適用除外について当然議論していいんじゃないのかなという立場です。基本的にはバイ・ドール条項を日本が導入して、大学だって特許も増えてきたわけだし、成果も出てきたわけだし、それは数字で結果が出ているんで、バイ・ドール自体はすごくいいことだと思っていまして、限定的な条件でこういうことも議論すべきだという立場です。
【三木主査】  分かりました。いずれにしろ……、どうぞ、よろしくお願いします。
【中野委員】  今のバイ・ドールの例外のことなんですけれども、特にここではバイ・ドールの例外ということを言及せずに、関係者の合意を前提に公的機関が一元管理するという言い方でもいいんではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
【三木主査】  皆様方の御意見をお聞きしますと、現状でこういうことを検討していく必要性は出てくるかもしれないと。ただし、これについて現段階で、JSTであれ、例えば野間口委員御指摘の民間でバンドルして動く場合でも、バイ・ドールのところまで今この文脈の中で踏み込む必要があるのかというと、現状では課題としてはしっかりとテークノートしておき、何らかの表現をここに入れておき、その上で、さらなる検討をしっかりとすることが必要ではないかという感じで、皆さんの御意見を伺っていると感じるんですけれども、渡部先生、この点はいかがでしょうか。
【渡部主査代理】  前回プレゼンしたように、基本的には原則バイ・ドールは国際的に見ても、適用例外を設けることを政府が明確に示すというのは反対なんですね。逆に言うと、国際的な観点から認められるケースというのはどんなケースかというと、そういうことがあるのかどうか分からないんですけれども、例えばコミュニティーに対して研究委託をするみたいな形など、バイ・ドール適用はテクニカルに難しいようなケースとか、そういうのはあり得るなとは思うんですが、ただ、鮫島先生も御指摘されたように、そういう議論はしていないですね。
 もう一つは手続論として、原則の例外をどういうふうにどこで設けるのか、どういう決定プロセスで設けるのかということが、極めて重要になると思うんですね。それを政府機関であるところが、自分で判断するという形になってしまうと、歯止めがなくなってしまうので、基本的にバイ・ドールの運用適否を決定するような制度は、今は想定していないと思うんですよね。だから、そこはかなり詳しく議論して検討しないと、多分現実にはかなり難しいんじゃないかと思います、というのが1点ですね。
 それがありますので、ここの時点では、バイ・ドールの運用について課題が生じているということは書くべきだと思いますが、それについて方向性は、ここでは出さないのがいいのかなと。先ほどの皆さんの合意を得たときにというのは、手続論が示されない限り、どうしていいか分からないんだと思います。現実にバイ・ドールを適用したものを大学がまたJSTに戻すのは、さっきのバンドルの仕組みになりますので、そちらは書いてあるので、それはやるということになっているわけですから、基本的には、バイ・ドール適用除外ということで方向性が出されるということは、ここでは書かないのかなと思います。
 一方、実はバイ・ドールは、本当に適用を全部しているわけではないんですね。著作権なんかに関しては必ずしも適用していない部分もあったりするので、そういう意味で、ちゃんと整理しなさいというのは、一方では言えるのではないかと思います。ただ、これはどこでやる議論かは考えないといけないのではないかと思います。
【三木主査】  野間口委員、お願いします。
【野間口委員】  私はうまい乗り越え方、表現があるだろうと言ったのです。前回ですか、鮫島委員が、バイ・ドールには現実として弊害が、産業界の視点から見てもあるわけで、自社の権利といいながら、企業の構造改革とかリストラとかのときに、その知財をどういうふうに扱うのか、一括して処分するという話も出てきますが、そこまで想定したバイ・ドール制度にはなっていないため、いろいろな問題も生じていると聞いております。この作業部会が始まる原因の一つにもなっていると私は思うので、今、渡部先生がおっしゃったように、問題点は指摘しておくべきだと思います。
 その上で、日本版バイ・ドールを基本としながらも、それを乗り越えるいろいろな工夫があってしかるべきで、適用例外というのもあるでしょうし、また別のプール的なやり方もあるとか、管理を委託するとか、いろいろあると思います。例えば産総研に拠点を置いている技術研究組合は、バイ・ドールで参加した企業、組合員の権利になるのですが、一度その技術研究組合で一括してプールして、知財のマネジメントをサポートするとか、いろいろ研究機関によって工夫しているところもありますから、多様な工夫があるのではと思います。
 長澤さんあたりは、いろいろとそういう工夫を御存じなのではないですか。
【長澤委員】  そうですね。バイ・ドールの運用については、私は現状でいいと思っていて、やはり企業側の立場なので、上野委員と考え方が近いのかもしれません。
 特殊なプロジェクトでは、何か例外を付けようという話ですが、余りにもいろいろなパターンが考えられて、これぐらいの表現であれば良いと思って、正直言って読み飛ばしていました。ただ、確かにこのバイ・ドールに関する書きぶりは、若干否定的なニュアンスではないかと感じますので、どちらかというと三木先生がおっしゃったような書きぶりの方が望ましいと思います。
 他の点ですが、野間口委員が御指摘された、『技術防止の観点から海外に出願する』という記述がよくわかりません。技術流出防止の観点からノウハウとして秘匿するというのは分かります。海外に特許出願する目的は、グローバル市場での特許の活用であるというのが正しいと思います。恐らく意味としては、グローバルに事業展開するときに、日本国内で特許出願して技術を公開にして、海外で特許権を取得していないというのは技術流出につながるという意味で事務局は書かれているのだと思いますが、日本で特許出願して、その後外国に出願しても、結局、技術は流出しているわけです。出願を権利として抑えられるかどうかの問題はありますが、もし技術の流出自体をさせたくなければノウハウとして秘匿すべきであって、特許出願すべきではないと思います。外国出願する目的は、技術流出を防止するためではなくて、競合企業に対する参入障壁を作る、若しくは、自社の事業のグローバル展開を有利に運ぶためなので、このような書きぶりの方が望ましいと思います。
【野間口委員】  今のは1の(1)の最後の2行ですね。
【長澤委員】  そうです。
【野間口委員】  この箇所は気になりますね
【三木主査】  ありがとうございます。この点も一旦整理させていただきますと、今、長澤委員が御指摘いただいたところ、グローバルな事業展開の立場から外国出願ということが位置付けられると。これが第一義的であって、その文言が非常に大事だと。
【野間口委員】  技術流出防止の観点からというのを取ればよいのではないですか。
【長澤委員】  そうですね。
【三木主査】  そうですね。そこをそういう観点に。
【長澤委員】  そうですね。
【野間口委員】  国内だけを書いて足す?
【長澤委員】  取っただけでも十分分かると思います。この文言だけが浮いていると思います。
【三木主査】  ここでこれはいいかと思います。
【野間口委員】  そう、技術流出防止の観点からという形容が付いているからですね。【三木主査】  その前の、ノウハウとして秘匿すべきかを慎重に判断した上でという流れの中で、技術流出防止という部分がつながってきて、こういう文章になったと想像していますけれども、特に外国での権利化という部分については、グローバルな事業展開を基本観点に据えた表現にするということかと思います。そういうことでよろしいんでしょうか。
【長澤委員】  私はそれで異論ありません。
【三木主査】  ありがとうございます。
 それからもう一点、非常に重要な御指摘が野間口委員からございました。1つは、この中間取りまとめ全体がJSTでの事業を言及していると。これ以外に、もちろん国が試行的に、先導的にやっていくという意義は皆さん深く御認識のようですけれども、例えば関連機関で、大学の関連機関、TLOが広域的にやってバンドルするということも当然あり得るでしょうし、更に民間のそういう事業主体の会社が、例えば先ほどの法人としては技術研究組合でも結構ですし、いろいろなものがバンドルして知財を活用していくという部分もあるでしょうから、少しほかの部分についても言及しておくことは重要ではないかという御指摘だったかと思います。
 それと、4ページ目の最後の、今後の問題についての御指摘がございまして、ここはリスク管理のところがかなり中心になっております。それと棚卸しの問題とか。いわゆる今からの攻めの方向性、前向きの方向性ではなくて、むしろ今、幾つかのネガティブな事象が起こっていて、それに対する対応型のものの検討が今後の課題になるように見えてくると。そうではなくて、もっと前向きの視点で考えていくべきだし、更にその中には、先ほど来もございましたが、留学生が発明したものの取扱いとか、いろいろな問題があるので、もっと多面的な今後の検討の課題を例示していくことが必要ではないかという御意見だったかと思います。
 以上のような御意見を今頂いておりますが、事務局はいかがでしょうか。
【鷲崎大学技術移転推進室専門官】  御指摘ありがとうございます。幾つか頂いてございますので、後ほどまた主査と御相談の上で、最終的には中間取りまとめに反映するような形で検討させていただきたいと思います。
【三木主査】  ありがとうございます。
 ただいま議論いただいたこととはまた別の観点も含めて、渡部先生。
【渡部主査代理】  さっきからバイ・ドールをどう書けばいいかを考えているんですけれども、困っていることを、ここにむしろ詳しく書いた方がいいかもしれません。
【三木主査】  例示をするということですね。
【渡部主査代理】  例示の方が。だって本当に困っているのは間違いないんで、そこは書いて。あと、方向性が出しにくいところがあるので、そこはしっかり書いた方がいいんでしょうね。
【三木主査】  ありがとうございます。
 それでは、今まで御議論いただいた点とは別の点、更に机上配付で資料が、A3のペーパーがございますが、ここで前回、前々回で御意見いただいたものが載っております。実はここがどうも言い切れていなかったというようなことも含めて、ございましたらよろしくお願いいたします。どうぞ。
【長澤委員】  全般的に読ませていただいて、知的財産の集約方策のところは、それなりに細かく書かれていると思いますが、(2)の集約した知的財産の活用方策についてはもう少し詳細に記載すべきだと思いました。
 大学発のベンチャーに対する現物出資については、前回の委員会で議論になったと聞いていますが、この点については私もオプションが増えるので、特に否定するつもりはございません。ただ、3行目からずっと延々と、次の3ページ目の5行目までつながっているので、1つの段落としてまとめた方がよろしいかと思いました。
 また、デューデリとか知的財産の活用の話があるのですが、活用というのもライセンスを行う場合、知的財産をベースに事業化を図る場合、また事業化を図り、プラスしてライセンスという場合も考えられます。別紙の図1と関連して知的財産の活用の記述があると思いますが、最初の3行だけでは不十分だと思います。国内、国外も含んでいますし。それから大企業、中小企業もベンチャーもまとめた書きぶりになっています。大企業にライセンスを出す場合と中小企業やベンチャーにライセンスを出す場合、また、外国の企業と一緒に事業をしたり、ライセンスを出す場合には、それぞれ戦略が随分違うと思います。
 また、図1の下のフローについてですが、企業A、企業Bは、恐らく大企業だと思います。大企業の企業A、企業Bはコンソーシアムにも参加しているような想定になっていますが、例えば極端な話をすると、弊社のような会社が企業A、企業Bのようにコンソーシアムに参加して、事業化のフィージビリティーを探って、特許も出してポートフォリオにして、全て外国企業Dにライセンスを出すということはあり得ないオプションだと思います。1ページでまとめ切れないのでこのようなフローになっているとは思いますが、説明が少し足りないのではないかと思いました。
 例えば、既に権利化されてからかなりの期間がたつ特許を、外国企業にライセンスするというのは、なかなか難しい面はあると思いますが、もしそれを目指すのであれば、こういう戦略をとるべきといった説明が必要だと思います。例えば、JSTとか、外国企業にライセンスを出すという経験があるアドバイザーの助けを借りないと非常に難しいと思います。大企業がコンソーシアムを組むことについては、第1回の委員会の議事録を見ていますと若干否定的な意見も出ていたようなのですが、異業種が交わるような大きな枠組みであれば、例えば自動車業界と製薬業界と電機業界とが、あるテーマについて大学の知的財産を利用してコンソーシアムを作るというのは、十分可能性があると私は思っています。このような説明があってもよいと思って読んでいました。
【三木主査】  ありがとうございます。
 この点については、確かに図1は最終的な企業への出口のところが並列的であって、プライオリティーも何もよく分からない。そういうところで、一見すると全てにライセンシングしていくようにも見える。これは当然プライオリティーもあるでしょうし、それからこの一連の流れですね、バンドルしたものがどういう形で利用されることが一番いいのかという。もちろん企業さんの方で相応の事前の投資が行われている場合もございますし、そこで実施しない場合にはどういう要因で実施しないのかということで、例えばマーケットのサイズその他でそういう判断をされる場合もあるでしょうし、いろいろな要件があると。そこでハイリスクなベンチャーでやるのかということも、次の考え方があるだろう。その辺を少し書き込みをすると、活用の部分が、よりメッセージがはっきりしてくるという御意見だと思います。
 今回の御議論では、そこまで踏み込んだ議論は十分にできておりません。そういう意味では、多様な活用のパスは示しておりますが、それの戦略の重要性ということを言及してはいかがかなとは思っておりますが、いかがでしょうか。
 柳生委員。
【柳生委員】  3回の議論で中間取りまとめですけれども、こういった表現まで含めて言うと、ほかにも私も申し上げたいことは結構あります。もちろん一言一句、極めて大事ですけれども、そうしますと余りにも議論が不十分な段階でして、今各委員がおっしゃったことには全て、もっと時間を掛けて議論するべき大きな課題が多々あるわけです。
 そうしますと、例えばこの四角の中に書いてあることが一番大事なんでしょうか。中間取りまとめの意味合いと、どの部分を次に詰めるかというのを確認いただいた方がいいように思います。いかがですか。
【三木主査】  分かりました。この中間取りまとめ自体は、もともとこの部会は、我々の親にある産業連携地域支援部会の依頼に基づいて設定されているということですので、まずそちらで議論されている1ページ目の真ん中付近ですか、大学等の特許の問題について指摘があって、個々の機関の特許をパッケージ化して特許群を形成して、企業等にとって魅力のあるものとし、事業化につなげていくことが必要と。これに対しての1つの方策として、我々は検討したと。それを出していくと。ただしそれに付随して、幾つかの課題が浮き彫りになっているというのが現状であろうと思います。
 ですから中間取りまとめの段階では、この「はじめに」に書かれている部分を受けて、それの1つのソリューションとしての集約方策、そして活用の方策として、従来なかった現物出資まで含めたものまで踏み込んだという、この時点だと思っております。それに付随して、幾つかの課題が出てきている。それについては別途、慎重な議論をしていく必要があると。こういう立場で中間取りまとめをまとめていけばよろしいのではないかと思っております。
 事務局の方は、そういうことで私は理解しているんですけれども、いかがでしょうか。
【鷲崎大学技術移転推進室専門官】  主査のおっしゃるとおりかと事務局も認識してございます。全て数回の議論で議論を尽くすというのは、時間的にも内容的にも厳しいところがございますので、今回、中間まとめの趣旨としましては、フォーカスを絞ったところで一旦報告書を出させていただければというところで書かせていただいてございます。
【三木主査】  ありがとうございました。
 それでは、時間も限られておりますので、本日頂いた御意見を反映する形で、この中間……。
【柳生委員】  もう一つよろしいですか。
【三木主査】  はい、どうぞ。
【柳生委員】  ちょっと書きぶりに関係するかも分かりませんが、2ページ目からちょうど現物出資の議論が始まって、3ページ目の第2段落でデューデリジェンスに関する記載がございます。ここに書いてある適格性、投資家視点というのは極めて重要でして、これは言うまでもありませんが、企業においても極めて重要な役割を果たしています。実際には社内に全てそういう人材を持っているわけではなくて、しかるべき外部機関の知恵と目線と専門性をかりながらやっているんですね。ですからここは、配置するという意味合いにもよるんですけれども、全部自前で持たれるということはおよそ考えられないと思っていますので、そのことはコメントさせていただきたいと思います。
【三木主査】  ありがとうございます。
 それでは、頂いた御意見を反映する形で、最終的に中間取りまとめを事務局でもう一度修文、更に加筆等をお願いしたいと思います。頂きました御意見は、私の方で事務局修正案を更に拝見いたしまして、主査預かりということで、この後の処理をさせていただくということでよろしゅうございますでしょうか。
                            (「異議なし」の声あり)
【三木主査】  それでは、そういうふうにさせていただきます。どうもありがとうございました。
 まだ議論が尽くせていないとか、先ほど来からも御意見がございますが、中間取りまとめに反映できていないといった点もあろうと思いますが、そういったことにつきましても、最終報告書を作成する段階で反映できるようにしたいと思っております。そういうことでこの中間取りまとめを、この段階では一旦取りまとめさせていただくということでよろしくお願いいたします。
 それでは、次の議題に入らせていただきます。次の議題は、大学等の知財の棚卸し方策についてでございます。御存じのとおり、知財、特に特許権は、出願・保有に費用が生じますし、それを管理する人員も必要になると。そのため、保有すべき知財をどのように見極めるか、つまりどう棚卸しするかということは、大学等にとっては非常に重要な課題になっております。
 大学が保有する知財の多くは、事業化等で活用が図られるべきものであります。ただ、そのような観点からは、大学の視点だけではなく産業界の視点でも、大学等の知財の取扱い、棚卸しについて必要な視点が、産業界からもいろいろ御意見をお伺いする必要があると思っております。
 そこで本日は、まず初めに企業における知財の棚卸し等につきまして、企業に御所属の委員の皆様方に簡単に御紹介いただけると有り難いと思っております。いかがでしょうか。
 視線が合いましたので、よろしくお願いいたします。
【長澤委員】  私から説明させていただきます。
 弊社も定期的に棚卸しをしています。かなりの保有件数がありますので、維持年金の費用も2桁億円ぐらいは毎年払っています。
 棚卸しのタイミングですが、基本的には全ての特許権について大体4回から5回は棚卸しの機会があります。そのタイミングは、ちょっと細かいのですが、年金の費用が上がるタイミングというのが必ずありますので、アメリカもヨーロッパも日本も、それに間に合うタイミングで必ず見直しをするようにしています。
 見直しの方法ですが、キヤノングループにもいろいろな事業がありまして、その事業に係る知財部門の責任者を含む多数の幹部が集まり、年金検討会を開催します。権利を保有している事業の者がこの権利の内容を説明し、どちらかというとこれは放棄したいという説明をします。その後、放棄したいものについては、他の事業から、実はその権利は維持してもらいたい、なぜならば、こちらの事業で実施する可能性があるといった反論若しくは説明をした上で、更に議論を重ね、最終的に権利化の責任者が決めるということにしています。このように関係する知財幹部による議論を行った上で、放棄するものは放棄するといったやり方をしています。
 実はこのやり方は、非常に良い面がありまして、その時点で、今まで意識していなかった特許が、すごいダイヤモンドの原石だったと判明することが結構あります。今まで使っていなかった事業に、実は非常に大きな影響を持つような特許を発見するという意味も兼ねていますので、年金検討会はかなりのコストを掛けてやっています。このくらいの説明でよろしいですか。
【三木主査】  はい、ありがとうございます。
【野間口委員】  何%ぐらいですか、1年で。
【長澤委員】  現在の保有件数が、ざっくり言って9万から10万件くらいですが、大体三、四年周期に棚卸ししますので、1年で2万件くらいは見直しの対象になります。
【野間口委員】  1年で。
【長澤委員】  はい。
【野間口委員】  すごいですね。
【三木主査】  すごいですね。
 それでは、他の事例ということで、前田委員からお願いします。
【前田委員】  ブリヂストンも棚卸し、半期に1度やっています。半期に1度、開発部隊に投げて、一緒に考えたり、開発の方で判断していただいたりして、全件、半期に1度みんな見直しをしているという状況です。
【三木主査】  全件ですか。
【前田委員】  全件、半期に1度やっています。電機業界とは違って、そこまで数は多くありませんので、確認できる範囲ですけれども、ただ、もちろん1年に出す特許は1,000件は超えています。今は件数を減らしていこうとしていまして、海外比率をもっと増やし、国内を減らしていく方針です。ただ、国内の場合はクロスライセンスしますので、そういう関係上、ある程度は出さざるを得ないというのもあります。
 審査請求の期間というのは、外国出願をするときに、外国出願する価値があるかどうかという判断と一緒にやってしまうという感じです。最近はまとめ審査なども活用させていただいて、タイヤと言いながらも材料から構造から様々な部署が関わるんですけれども、いろいろなところが一緒に加わって、みんなで討論します。知財デザインレビューを行いながら決めています。
 先ほどの技術流出という視点では、秘匿するべき技術にも価値をということで制度を設けています。特許出願をすると、中には100万以上報奨金がもらえる人もいるのに、秘匿するともらえないということになると、研究者が不公平感を持ちます。秘匿すべき技術というものを会議で諮った場合に、それは特許と同じような形でファイリングして、それの売上げが立ったときにきちんと報奨金を払うという、秘匿するべき技術にも報奨金の制度を作っています。
 特許の場合は、登録という形で価値を認定することができますが、秘匿の場合は、なかなか価値判断などが、難しいという問題があります。自社で独自に判断しないといけないという難しさがある訳です。しかし、最近中国で模倣が多く、弊社も訴訟をやっていますので、秘匿するべき技術を重視して、公開・秘匿・特許のどのカテゴリーかというのを毎回諮りながら出願している状況です。特許として持っているときは、先ほどお話ししましたように棚卸しをきちんとしながらやっているという状況ですね。
 クロスライセンスという感覚は、日本ではなかなか逃れられないですし、ブリヂストンの場合は世界トップシェアで、二番手に来ている横浜が4%ぐらいで、ブリヂストンが16%ぐらい持っていますので、比率が違うため、国内では良い関係でやっているというのが現状です。
【三木主査】  ありがとうございます。
【野間口委員】  質問していいですか。
【三木主査】  どうぞ。
【野間口委員】  ブリヂストンさんはファイアストンというすごい企業を傘下に収められた。あそこの知財システムとブリヂストンの知財システムは、どういうふうに違うのでしょうか。
【前田委員】  そうなんです。来週の火、水曜日と、弊社の世界中の知財のトップが集まる会議が日本で行われます。日本の知財本部が中心になって、アメリカ、ヨーロッパ、中国等各国でやっているものをまとめて、一括しながらやっていこうとしています。どうしてもファイアストン時代の、日本と違った部分が残っているんですけれども、情報交換を密にすることで、最終的には一元化しようかなという形で考えています。
【野間口委員】  例えば職務発明の整理とか。
【前田委員】  そうなんです。グローバルな職務発明や秘匿の制度設計は難しいです。今、知財本部、74人いますけれども、出願部門が3分の1、訴訟関連部門が3分の1、あとは制度だったり戦略だったり、法的なものに関わっている人が3分の1いまして、かなり出願ではないところに人を割いていることを、5月に行って初めて知りました。とても大変です。
【野間口委員】  ありがとうございます。
【柳生委員】  私どもは保有件数約5,000件ですけれども、棚卸しの考え方を考えてみたんですが、3つの切り口でやっています。1つは発明レベル、すなわち基本的な発明か応用かということで、当然棚卸しの考え方が異なります。基本的なものであるほど、当然長く保有することになります。私どもは研究部門、事業部門、両方の意見を聞きますけれども、基本的な発明については、研究部門の意見を聞く割合も増えてきていると思います。
 もう一つが事業レベルでの棚卸しですね。私どもは結構、事業領域が広うございまして、食品、アミノ酸から医薬までありますけれども、当然それぞれの事業スタイルによって権利の持ち方は異なります。決して多くはありませんが、医薬の場合は御承知のとおり、物質特許は最後の最後まで、もちろん延長期間も使って持ちます。一方、食品につきましては、むしろ特許よりもノウハウであったり商標の寄与が多いので、一般論で申し上げていますけれども、さほど特許維持の比率は大きくありません。
 3つ目は国レベルです。すなわち、外国出願は費用が掛かりますけれども、市場であるかどうか、競合がいるかどうかという部分で重点度を付けています。ですから、今申し上げた3つの切り口のマトリックスになるんですけれども、それを判断して、最終的な維持か放棄かを決めていくということでございます。
【三木主査】  ありがとうございます。
 それでは上野委員、お願いいたします。
【上野委員】  弊社ではワールドワイドでの棚卸しの検討をしています。ワールドワイドという意味は、パテントポートフォリオマネジャーという者が技術分野ごとに指名されておりまして、その特定の技術分野に関しては、その者が全ての国、全ての事業部の特許を管理し、特許出願の出願国も選定しますし、併せて特許の棚卸しも行うというやり方になっています。
 タイミングとしては、国ごとに違います。多くの場合には、先ほど長澤委員がおっしゃっていましたように年金があがるタイミングというのは参考するのでしょうけれども、基本的には国ごとに様々なサイクルでやってはおります。実際にやる場合においては、様々なファクターがありますが、自社で実施しているのか、他社が実施しているのか、しそうなのか、それから弊社にとって戦略的な技術分野であるのか、様々な視点を考慮しながら決めていると。
 実際には、棚卸しだけではなくて、長期的な計画に基づいて、ある一定の特許の群、ポートフォリオを構築するという考えの下に、出願件数を考慮し、併せて棚卸しの件数も考慮しながら、トータルとしてどういった群を形成していくのかということを検討し、計画を立てた上で、実際には年度ごとに予算が決まりますので、その予算の枠の中で一定の費用を出願に、一定の費用は棚卸しにという計画を立てて、実際に棚卸しをしていく比率も決まっていくと。
 実際の棚卸しの際には、一応のレーティングというんでしょうか、重要度の度合いというのはそれなりには付けておりますので、そういったものも参考にしながら、最終的にはパテントポートフォリオマネジャーが判断して、必要な場合には事業部なり重要な特許に関しては相談もするものの、基本的にはパテントポートフォリオマネジャーが判断して棚卸しをやっているという仕組みになっています。
【三木主査】  ありがとうございます。企業さんの中では当然……。
渡部主査代理】  すいません、質問で、棚卸しをしたことのアウトプットというのは、放棄なんでしょうか。放棄以外のアクションがアウトプットにあるのかどうかを伺えれば。
【三木主査】  どうぞ。
【長澤委員】  基本的には、費用節約の意味で放棄という結論を出すことが、一番大きな目的には確かになっています。ただ、棚卸しをしてみると、クレームがなっていないというのも時々ありまして、そのような場合には、例えばreexaminationを掛けるとか、補正ができるものは補正をします。またペンディングの権利が残っているのであれば、分割出願をするという場合もありますが、メインの目的は放棄です。
 先ほど少しお話が出ていましたが、放棄をする基準のようなものを私からも説明させてもらいますと、まず基本的に自社が実施しているもの、それから、これは侵害しているということですが、他社が実施しているもの、これを含めると、約半数はこれらに該当します。これらについては放棄をするというのは余り考えにくいと思いますが、それでも本当に数多くの国で維持しておく必要があるかという議論をします。特にヨーロッパの各国はそれなりに費用が高く、あと、中東諸国も非常に費用が高いので、これらの国の特許を維持する必要があるかどうかを議論します。そのときには、柳生委員がおっしゃったように、その特許がポートフォリオの根幹にあるのか、末端にあるのか、また、回避容易性があるのか、それから検証性があるのかというような点が議論に上がります。渡部先生の質問に答えると、放棄をするというのが一番大きなアウトプットになっています。
【三木主査】  ありがとうございます。
 今、企業のそれぞれ事業をやっているという立場での棚卸しということなんですね。この作業部会では、大学等がどう棚卸しするかということが大事になりますので、私から4名の企業の委員の方にまずお伺いしたいのが、大学等に保有を続けてほしいもの、非常に一般的で判断しづらいでしょうけれども、そういう知財について何らかの見解等がおありでしたら、少しお話しいただけると有り難いんですけれども、いかがでしょう。
 余り大学等の知財に期待していないかもしれないんですけれども、期待できる部分がどこかにあるとしたら、大学にはどういう部分を保有していただきたいのか。もちろん、ライセンシングを受けたり譲渡を受けたりして事業実施している、それは当然のことなんですけれども、大学は判断に苦しむものについて、何かヒントになるような御発言を頂けると有り難いんですけれども、いかがでしょうか。
【長澤委員】  弊社でも、自社が実施していないものをどう扱うかということには、結構苦労していると思います。そのときには関係者、また知財部門の幹部が集まるわけですから、将来の可能性についての議論を皆で行います。将来的に大きな可能性があるのであれば、今は実現可能性がないかもしれないものでもかなりの割合で維持していますので、大学でもし棚卸しをされるときには、ある側面からだけ見て、これは放棄しましょうというのではなくて、いろいろな可能性を議論できる人が集まった上で、維持する権利を決めていただけると有り難いと思います。
【三木主査】  ありがとうございます。
 いかがでしょうか。
【前田委員】  大学の特許の選択をやっていた立場からしますと、とにかく研究者の方は熱く語りますので、御自身の特許を捨ててほしいという人は一人もいないんですよ。その中で取捨選択をしなくてはいけないという現実があって、「遠い将来、大化けしたら訴えるぞ」と、私は何回も言われたことがあります。訴えてくださいとお答えするしかなかった状況がありました。したがって、取捨選択は大変難しいと思いますね。
 一番楽なのは、JSTさんが外国出願でオーケーした物だけ保有するという判断方法があります。自分の大学で判断しないというかできない所は多く存在します。しかし、そうすると本当に基本的な、大化けするかもしれない特許をどう扱うかという判断が絶対残ってきます。特に、リサーチツールのような、一社が大きな金額でランセンスの申出をしてくれる訳でなないけれど、みんなが使いたいみたいなもの、むしろそういうところをJSTさんに持ってほしいというのは強く感じていました。
【三木主査】  ありがとうございます。
 いかがですか。
【柳生委員】  具体的な例として、私どもがロシアに研究機関を持った頃にさかのぼるんですが、そこでアミノ酸、バイオテクノロジーの極めて先進的な基盤技術の研究と発明がありました。それが一つのきっかけで資本参加して、今は100%資本の研究機関になっているんですが、出願時にそれがどれほど産業界で活用されるかというのはかなり未知数であったと思うんですけれども、今振り返ってみると、極めて有用な特許であったわけです。
 ですから、今、各大学におかれても未来を見据えて、もちろんそういうお仕事を多々なさっていると思うので、明確な答えじゃなくて恐縮ですけれども、そういう基盤技術の特許はやはり持ち続けていただくのがよろしいのではないかと思います。
【三木主査】  ありがとうございます。
 いかがでしょうか。
【上野委員】  私も柳生委員と同じで、基本的な技術、それから技術分野として戦略的に重要な部分というのは、当然ながら重要になってくるわけですので、そこの部分は何らかの形で、大学若しくはJSTの中で優先順位というものを、特許そのものというよりは技術分野なり戦略的な分野の優先順位を付けながら行うことが必要です。棚卸しというとゼロか1かの話に最後はなるわけなんですけれども、その前の段階では何らかの形で、その重要度に応じたランク付けが本来ならばできているべきはずのものですので、棚卸しのときに初めてそういったことをやるんではなくて、何らかの形で評価を常にしていくようなことをやって、それを棚卸しの際に活用するという仕組みがあってもいいのかなと思いました。
【三木主査】  ありがとうございます。
 どうぞ。
【前田委員】  すごく難しいと思います。iPS細胞の山中先生のときは、奈良先端大が捨てたんですよね。そこで山中先生が、製薬会社にお願いして出願してもらった特許だと伺っています。実際に山中先生は京大に行かれてからノーベル賞をおとりになっていらっしゃいますから、出願されていて本当に良かったと思っています。どれが大化けするかというのは、結構とんがった技術だと、それが基幹になるかどうか判断が困難です。基本特許は取っておきましょうと皆さんおっしゃるんですけれども、本当にどれが基本特許になるのかというのは難しいなというのを、東京医科歯科大にいたときもすごく感じていました。
【三木主査】  ありがとうございます。
 それでは。
【野間口委員】  私が冒頭で発言したように、すぐれた研究成果というふうに一言で書いてますが、これには多様なすぐれ方があるというのが分かる案にしてもらわないと、ミスリードする恐れがあります。今、4人の方がおっしゃったとおりだと思います。知財だけではなく研究そのものがそうなのです。私は研究所長をやっていた時に、予算の関係もあるから、やめる研究チームも出てくるのですが、本当に5年後10年後に、果たしてこの技術を活用することはないのかと悩みながら、決断せざるを得ないということが結構ありました。
 それから、私も産業界の人間ですが、担当を離れてから長いですけれど、4人の方がおっしゃったことでほとんど尽きていると思います。産総研については、果敢に棚卸しをやっています。交付金が窮屈ですから、先ほど年金とおっしゃいましたが、その年その年の維持費用が大きな負担になっています。頑張って特許を出せば出すほど、自らの負担が増えることになりますので、棚卸しを大胆にやっています。比率は忘れましたが、キヤノンさんほどの高い比率ではなかったと思いますが、研究のロードマップとか技術のロードマップにそれなりの専門家がいますから、集まって評価して、これはもう可能性が低いと判断したものは放棄するという制度を作っています。
 先ほど前田委員がおっしゃったように、やはり発明者は、なぜ私の特許を放棄するのだと抵抗甚だしいですが、研究所としてのサスティナビリティーを確保しなければならないので、全部費用を増やすわけにいきませんので、説得して理解してもらうということにしています。これには相当の知恵を集めて、社外の人はたまにしか入りませんけれども、所内の有識者、知財の経験者あるいは研究の経験者、それから産学官連携の経験者が参加して、判断して説得するということをやっています。大学も今後は知財が増えてくると、そういう自ら制御する仕組みを入れてもらう必要があるのではないかと思います。
 それからJSTを中心として国としてカバーしようというときに、先ほど前田委員がおっしゃったけれども、産業界あるいは国として悩ましいもの、今の評価では本当に優ではないけれども何か可能性がありそうなもの、こういうのは企業としても、それを引き受けようかというプライオリティーを付けられないのです。こういう知財は国として確保することで、非常に相補的な役割が果たせるのではないかと思います。
 そして、確保した後の話ですが、これは棚卸しから外れますが、余りパッケージ化とかバンドルして大きなものになると、ユーザーが減るのではないかと心配です。だから、中小企業も含めて活用しやすい形で提示することが必要です。棚卸し以前の問題だと思います。
【三木主査】  ありがとうございます。これは大学でも何らかの棚卸し、それからJSTさんも今までかなりの保有件数を持っておられたはずで、JSTさんの方でも棚卸しに対する考え方というのはおありだと思うので、ちょっと御紹介を。
【島田委員】  JSTも棚卸しをやっていまして、ここ5年ぐらいで一万二、三千件持っていたものを6,000件ぐらいまで減らしました。これはJSTの経験なんですけれども、出願して7年たってしまうと、ほとんどライセンスに結び付かない。JSTの場合の経験値としてありますので、その辺が1つの目安になります。それでJSTの場合には、基本的には各大学の先生が発明者になっているわけなんで、棚卸しをするときには全件、全発明者の了解を得てやるということです。
 じゃ、7年で本当にいいのかというと、実例として、10年たってもライセンスは成立する。たしかノーベル賞をとった野依先生のルテニウム触媒の特許は10年以上たってライセンスが成立しているということがあると思うんですけれども、そういうのがありますんで、非常に難しいですね。
【三木主査】  分かりました。こういう棚卸しの判断というのは、絶対正解って、あるわけないですね。人の判断ですから。ですから、その確率をなるべく高めるような知恵を集める仕組みということなんだろうと思います。
 もう一つ、今御指摘ありましたが、大学の知的財産に関して基礎的・先進的なもので、その基礎的・先進的と判断する基準もまた非常に難しいんですけれども、それを大学が単独で維持することも難しくなる。年金の圧力がきまして難しくなる時期があると。それを例えばこういうJSTに持ってもらう。とはいえ、JSTも7年で判断すると。その辺の、今、野依先生の知財の話がございましたが、7年を越えてという非常に企業としても全く判断できないものが、ある時期に浮上してくると。これを国としては何らかの形で保有する、むしろ事業につないでいくチャンネルというのは、また今後検討していく必要があるんだろうと思います。
 そういう大学、国という立場で、もう一度いろいろな御意見を頂ければと思います。
【鮫島委員】  企業の皆様の棚卸しの話を聞きながら、大学と何が違うのかなと思いながらずっと聞いていました。
 まず今、7年というお話が出ましたけれども、私は特許訴訟をやっていて、平均的に訴えられるメジアンは大体、出願後15年ぐらいです。ということは、訴えられるということは恐らくマーケットもある程度伸びているから訴えられるのであるので、恐らく事業スタートはその5年ぐらい前の10年ぐらい。とすると、7年というのは私は短過ぎると思います。特に大学の特許は、私の経験上、各先生方が必ず論文をしながら最先端のことをやろう、やろうとしていますので、大体非常に新規性があり、斬新なことが多い。逆に言うと、基礎的な発明が多いので、恐らく大学の場合だと、今の10年というのが多分15年ぐらいたたないと、マーケッタビリティーが分からない可能性が非常に高いんだと思うんですよね。
 そうすると、まず非常に長い期間維持する必要が、どうしても性質上あるのじゃないかという点と、それから企業と大学の違う点は、企業は自社内に事業がありますが、大学は当然ありません。で、棚卸しの1つの観点として、自社実施をするのか、あるいは他社実施があるのかという観点がある中で、大学の判断では自社実施というのはないわけですから、他社実施、つまりマーケティング能力が企業さんよりもよりすぐれていないと、棚卸しができないということになって、先ほど人材を内部で抱えるという話がありましたけれども、そういうすばらしい人材を全て内部に抱えるのは、恐らく不可能であろうと考えます。
 あともう一つ、大学の特許の特徴としては、何か1つの研究テーマについてぽつぽつと一、二件出ているだけ。企業だと1個のテーマについて、多分100件、200件出しているのに対して、1件、2件なんだと思うんですよね。そうすると、単位技術に対する密度は非常に低い中で、本当にそんなものを棚卸ししてしまっていいのかという議論が、私は実は残ると思っています。むしろ改めるべきは、大学の特許というのは極めてポンコツ特許が多いんですね。要は、まともに特許事務所もちゃんとやらない、大学の産学連携のレビュー能力もないものだから、何か余計な限定が入って特許が取れていたり、肝心なことが書いていないというケースが非常に多くて、内容は最先端で非常に斬新なのにもったいないなということがよくあるので、むしろきちんとした特許を取るという、ちゃんとした専門家のレビューを入れて、それに重きを入れて、原則もう棚卸しをしないという方向も私はありなのかなと。するにしても、15年は必ず置くという方向は、私はありなのかなと思いながら聞いていました。
 すいません、単なる私見ですけれども、以上です。
【三木主査】  ありがとうございます。
 どうぞ、御意見をお願いします。
【前田委員】  きょうの議論の方向性と少しそれてしまうかもしれませんが、JSTさんなり大学が、この特許を捨てますよというのを産業界等に広く告知するというのは一案かと思います。ある意味、山中先生のを製薬会社が出してくれたじゃないですけれども、即、企業が欲しいというものでなくても、存在する特許をウオッチングしているという場合があります。知らないうちに捨てられていたとか、その後、年金が払われていなかった。「ええっ、あれもう特許なくなってるの?」というのはありますので、事前に、棚卸しじゃないですけれどもお店を広げると、企業が買いたいと言ってくるのはあるんじゃないかなと思います。そういうやり方も1つではないかなと、ちょっと思いました。
【長澤委員】  それに関連して。
【三木主査】  よろしくお願いします。
【長澤委員】  弊社は大学との共願権が非常に多いのですが、大学との共願の場合には、日本出願の1年後に外国出願をする資金がないので、大学側は外国出願権を放棄するという件が非常に多いです。一方、弊社が棚卸しをしたときには、実は最後に残るのはアメリカの権利、日本の特許は放棄するけれどもアメリカの特許は残そうという判断をすることが非常に多いです。これはグローバルのマーケット、GDPの大きさからして、アメリカが30%、日本と中国はいい勝負なので、アメリカの次に残すのは日本か中国の権利と今は判断していまして、大学側で外国出願権を放棄する場合には、弊社は喜んで引き受けますので、アメリカではキヤノンの単独の権利となっている件が非常に多いです。私は最初、企業の方がお金にシビアなので、企業の方がたくさん権利を放棄していて、大学の方は余り放棄していないのではないかと思っていたのですが、先ほどの前田委員や鮫島委員の話を聞いていると、実はそうではなくて、大学側ではかなりの特許を放棄されているのではないかと思います。
 また、大学側で共願権を放棄することを希望し、弊社に権利を買い取りますかという件も非常に多くあり、その中には、「えっ、これを放棄するんですか」というのがかなり含まれていることも確かです。外国の権利の維持をどのように考えるかという点ですが、これは費用がかさみますので、理想的に言わせていただければ、鮫島委員がおっしゃったように15年ぐらいは維持してもらえると有り難いと思います。予算の関係上難しいのであれば、どのようにすべきかを議論しなければならないと思います。
【野間口委員】  今おっしゃった通りなのですが、法人化するまでは国有財産ということで維持費用は要らなかったのですね。独立行政法人とか国立大学法人になったから負担しなければいけないということになりました。それまでの特許はちゃんと維持され、全然弊害も何も生じないわけですから、予算の関係で維持できるなら維持するにこしたことはないのではと、私も思います。
【三木主査】  柳生委員。
【柳生委員】  私も鮫島委員の「原則棚卸ししない」というお考えに、すごく共鳴できます。先ほどの山中先生の発明も基本的な遺伝子の発明、あるいは、私が申し上げた事例も基本的で斬新なテクノロジーの発明ですが、このようなレベルの発明の特許は、最初から、以前は日米欧というのがスタンダードだったんですけれども、それに新興国を加えても、例えば10か国に出して持ち続ける。それで、これはいろいろな試算パターンがありますけれども、仮に1か国をずっと持ち続けて全部で300万円掛かるとする。それでも、総額はそれぐらいの額なわけです。
 ですから大事なのは、それを全てにできないので、その持ち続ける特許をどう見極めるかということだと思います。私はお考えに賛成ですね。
【三木主査】  上野委員。
【上野委員】  この棚卸しの話をすると、万が一失敗したらどうなのかという話が必ず出てきてしまいます。先ほどパテントポートフォリオマネジャーという話をしましたけれども、私自身、数年間その職務に就いていたことがありまして、その際に私自身、強く感じていたのは、棚卸ししないで済むならばしない方がいいのは確かなのですが、ただそれをしなかったときに、先ほど長澤委員がアメリカでの出願をしないという例があるということをおっしゃいましたけれども、新規の知財の保護に回るお金が当然ながら減ってしまうわけですので、そちらはそちらで非常にもったいない話だなと思います。
 そういった意味では、しないで済むならばしないでおこうという流れになりがちな棚卸しの話ですけれども、国のお金は、本当に重要なところに使うという意味では、新規の出願で新しく出てくるものをきちんと保護する必要性にも鑑みて、腹をくくって、やるべきときはやるという決意も必要なのであろうと思います。
【三木主査】  ありがとうございました。
【野間口委員】  現実はやらざるを得ないのです。
【三木主査】  現実はやらざるを得ない状況に追い込まれている。
 ちょっと大学の方々からの御発言もと思っております。まず、中野委員から。
【中野委員】  大学でも棚卸しをやっていますけれども、基準が非常に難しいというのはあると思います。どういう特許を大学が保有していくべきかというのは、各大学で持っているとは思うんですが、相当な目利きとか伯楽とかいう人がいないと難しいなと感じていて、何か横断的な指針とか基準が、各大学じゃなくて日本の大学全体で、1つあってもいいのかなという気がしています。
 先ほど来出ています、すぐれた研究成果の知的財産ということなんですけれども、これについても、何がすぐれているかというのが難しくて、我々も経験上、これはすぐれていると思って特許出願して、米国特許も出したんだけれども、日本の企業にも海外企業にも活用されなかったということは非常によくあることなんで、今議論されているようなJSTの枠組みですよね。これでまとめて一元化するということもなんですが、品ぞろえといいますか、そこに各大学のいろいろな特許を集めて、ここに行くとこの件に関してはいろいろな特許があるというふうにデパート的にできれば、そういう効果もあるのかなという気もしております。
 で、言いたかったのは、そういう基準とか指針といったものができないかなということです。
 以上です。
【三木主査】  ありがとうございました。
 じゃ、渡部先生。
【渡部主査代理】  大学の知財管理を少し手伝ってはいるのですけれども、東京大学は割に早く判断します。多分、全国の大学の中でも最も早く判断しようとしているのかもしれない。TLOにマーケティングを委託すると、既存のマーケットのレスポンスだけで評価してしまうから、かなり早いと思いますね。そういう意味では、本当にそれでどうだったかなとサーベイを後でしてみると、もったいないことも起きているかもしれません。この間上場した会社の特許も、もともと事業自身がそんなに大きくなるとは想定していませんでしたので、それも予想外なんですよね。
 それで思ったのは、先ほどの棚卸しの目的というのが、放棄だけなのかどうかということなんですけれども、それから、もともと分母が無限大にあって、みんな維持できると思ったら何もしないので、それはよくないと思うんだけれども、他方、財政的なプレッシャーがあって、棚卸しして放棄する。放棄も予算制約上、ここまでは必ず放棄しないといけないというやり方が適切なのかどうかは、大学の場合は違うかもしれないと思うんですね。
 逆にそういうところは、棚卸しして放棄すると大学が今決めているものが、価値がないのかどうかというのは、ちょっと検討してみる必要があるだろうと。JSTのバンドリングみたいな話も、棚卸しのタイミングでそういう機会があるはずなんで、そこの接続みたいなものを、単純に言うと、普通にこういう話をすると、使わないものをJSTに預けるみたいに見えるんだけれども、そうでもない可能性があるなと思うので、そこはレビューしてみた方がいいかなと思いました。特に東大は早めに判断していますから、そういう意味では、そこを検討する余地はあるかと思います。
 ただ、さっき言いましたように、そういう判断をしても、先生によっては納得していただけないので。で、納得されない先生の特許は、ある程度しようがないみたいなところもあるんですけれども。
 以上です。
【三木主査】  ありがとうございます。大学の状況も大学によって、多分様々だと思います。ただ先ほど来、中野委員からもありましたように、まだ判断基準を、東京大学さんの場合にはある程度、それがいい悪いは別にしろ、ある判断基準をお持ちで、現状のマーケットで判断すると。それに対して、もっとこういう判断基準等もあるというガイドラインのようなものを、創造的に多分各大学は使うしかないとは思うんですけれども、そういったものが必要ではないかという中野委員の御意見もあると。
【渡部主査代理】  ガイドラインというか、そこの棚卸しのときに、どういう仕組みでやるかですね。単独大学だけで判断するというよりは、もうちょっと広くできないかということかなと思います。
【柳生委員】  ちょっとよろしいですか。
【三木主査】  はい、どうぞ。
【柳生委員】  その判断基準ですけれども、今のお話を伺って思ったのは、1つは、どれだけその先生の発明が先進的かというのは、その分野で世界中を見渡したときの判断ですね。だから、日本だけの判断基準ではないというのが1つ。もう一つは、その先生の仕事がどれぐらい国策にかなうかみたいな考え方がないのかなと思います。要するに、政策的にこの分野については持ち続けるというのが2つ目です。
以上です。
【三木主査】  ありがとうございます。
【長澤委員】  質問になりますが、例えば弊社の場合は、アイデアレベルでいくと大体年間2万件以上のアイデアが出てきます。その中で出願できるのは、約3分の1。ここでかなり絞り込みが行われています。もちろんその中には、発明者のモチベーションを保ってあげないといけないという判断で出願するものもありますし、特許になるかどうか分からないけれども、とりあえず自社で実施しているものは出願しておいた方がよいのではという判断もあります。その後、日本で審査請求する件と、アメリカに出す件は出願するもののうちの半分になるわけです。だから全体のアイデアの6分の1だけが、実際に権利行使をする、若しくは権利として活用するためにお金を使うことになります。大学の場合は出願時のスレッシュホールドといったものは何か設けていらっしゃるのかというのが質問です。
【三木主査】  どうぞ。事務局でその辺の出願と審査請求、権利化された比率というのは大体、大学でざっくり過去データがあったかと思うんですけれども。今すぐには出てこないですか。
【鷲崎大学技術移転推進室専門官】  そうですね、すいません。ちょっと手元にデータはございませんけれども、数だけ申し上げますと、9,000件ぐらい出願して、そのうち2,600件が外国出願だということだけ申し上げさせていただきたいと思います。
【鮫島委員】  ちょっといいですか。
【三木主査】  どうぞ。
【鮫島委員】  私が大学に関わっている経験上、申し上げますと、恐らく企業の場合は出願をするしないという観点として、1つは新規性がないからしない、それからマーケッタビリティーがないからしない、あとノウハウだからしないと、3つぐらいだと思うんですけれども、大学の場合は、先生方は本当に海外の論文とか学会とかの最先端で研究していますので、新規性がないという理由はほとんどない、まずないですね。それからマーケッタビリティーについては全く分からない、判断していない。それから、ノウハウだからどうだこうだというのは、出願を担当される弁理士さんがちゃんとその辺、気を使っていれば、ノウハウだという理由で出願しないこともあり得ると思います。
 それ以上に、大学が研究数に対して出願比率が下がっているのは、そもそも先生方が研究したら論文を書くものだという意識しかなくて、特許を出すんだという意識がない比率が相当高いんですね。企業の場合、それはあり得ないですよね。だけど、その比率が恐らく今でも5割ぐらいは、そういう先生が多いんじゃないでしょうか。なので、答えにはなっていないんですけれども、企業と全く出願のスレッシュホールドの構造は違うというのが私の認識です。
【三木主査】  どうぞ。
【渡部主査代理】  それで今、気が付いたんですけれども、出願するしないで、しなければ公知になるかというと、実はそうでもない事例が大学にはあって、プライベートコミュニケーションでいろいろなことをやっていて、こういうことをやっているというのが分かると、海外の先生は割に出すんですよね。だから結局、もとの先生が出願とか特許を出さない。それは出さなかったから機会損失だというだけじゃなくて、下手すると改良特許を海外で取られてしまっているというのが、結構事例としてはありまして、そこは損失としては出てこないんですね。大学の特許はむしろ、少なくとも出しておけば相打ちにはなるみたいな。今のiPS細胞も、割に早くは出したけれども、結局改良特許、すごいアメリカから出ていて、ほぼ相打ち状態に近い状態になっていますけれども、あれを最初やらないと、今度は本当に実施もできないんですね。だから、そういう見えない部分というのは大学の判断だけではお金が入れられないので、そこをどうするかというのは課題だなと思いますね。
【三木主査】  そうですね、そう思います。
 どうぞ。
【前田委員】  先生から相談を受けて、それを特許出願するかどうか、当然、鮫島先生がおっしゃったように新規性、進歩性がもっともなんですけれども、医師等の先生は最先端の研究をやっていらっしゃいますので、そちらはクリアできるんですね。ただ、データ数が足りないとか、余りにもピークデータにこだわりデータを、1個しか取っていないから出せないよねというのが、大学の特許の一番の悩みです。
 ただ、長澤さんがおっしゃったように、先生方のモチベーションだったり、公的資金獲得に特許が必要だったり、いろいろな意味合いがあって、なるべく先生方の熱意がある場合は、特許は出して差し上げようというのが基本姿勢になっています。ただし、それは、潤沢に文部科学省が大学に知財整備のお金を付けた時代だったからできたことで、それを判断できる人材が豊富にいた時代はそれでよかったと思うんですけれども、3月以降、。自主事業ということで、各大学さん自立してやるということになり、自分たちの大学でやっていて、知財屋さんを一生懸命自前で置いている大学が少なくなりました。そうしたときに、出願可否の判断をすることができない状態に、今なっているんじゃないかなと心配しています。
 良い特許をどうやって出すかとか、鮫島先生みたいな良い弁理士さんに当たればいいですけれども、そうじゃない時に、とりあえず実施例の少ないピークデータを載せた特許を、1件になるからいいやと思って書いてもらって、強力な特許にならないまま出し続けてもらうか、その判断がこれからすごく問題になると思っています。そういう意味でJSTさんが少しお手伝いができると好ましいと思います。
【三木主査】  分かりました。ありがとうございます。
【島田委員】  ちょっと1点だけ。研究者は論文発表を最優先させますんで、例えばJSTでもCRESTとかさきがけとか、新しい領域が立ち上がるときにはきちんと出向いていって、そこの領域で採択された新しい研究者に対して、特許の出願が重要なんですよというのをよく聞いていただいて、御説明して、もちろん論文は論文で重要性もあるんですけれども、特許も重要性をちゃんと理解していただく。これは地道な取組になるんですけれども、かなりやっています。
【三木主査】  大学の場合は多くの場合、予算的な限界の中で出願優先というのがあると思うんですね。そのために権利を維持、予算的限界でできないという。こういう中での棚卸しが起こりやすいと。多分、産総研さんの場合も同じなんだろうと思います。
【野間口委員】  産総研も同じ発想です。
【三木主査】  ですから最終的には、先ほど来もお話がございましたが、国有特許で保持していた時代は、日本の特許に関しては、大学も国研も維持費が要らない状態だったと。ただ、外国の特許出願が今非常に増えて、権利化も大学も増えていると。そういう中で、外国のものに関しては、国有というのはしても何も関係ございません、費用面では。だから、例えばJSTが持つということは、JSTも法人ですから国有ではないわけですよね。JSTのむしろ予算的なところをどうするかということが、国策として今度は大事になってくるかなと思うんですけれども。
【島田委員】  JSTの特許は、一万二、三千件から6,000件ぐらいまで減らしたときに、維持コストが十四、五億円だったのが、かなり減ったというのがありまして、10億円を切るぐらいになっているんです。議論として、ずっと古い特許を維持しているのが得策なのか、例えば5億円とか6億円あれば、さきがけの新規領域なんていうのは二、三億あれば、新規立てられるんですね。すると新しい研究者のために研究費に回せるみたいな議論があって、それはJSTの中の小さな議論なんですけれども、研究資金をどう使っていくのかという問題があると思います。
 もう一つは、JSTの例えば基礎研究の予算が500億円ぐらいあるんですけれども、それに対して特許の維持管理にどれぐらいの、何億円、何%ぐらい掛けるのかみたいなのがあって、解答はないんですけれども、そういう議論も必要になってくるんじゃないかなと思います。
【三木主査】  ありがとうございました。
 それでは、もう時間が迫ってまいりましたので、様々な御意見を伺ったこと、本当に感謝申し上げます。一度事務局でも、きょうお伺いした御意見を先ほどの机上配付資料と同じようにマトリックスで、テーブルになるべく整理して、今後の議論を深めていくための取り掛かりの資料として作成していきたいと思っております。本日の御議論、特に企業さんの棚卸しの実態についてのお話を頂きました4名の委員の方々、本当にありがとうございました。
 それでは事務局から、今後の予定についてお話をお願いいたします。
【鷲崎大学技術移転推進室専門官】  御審議いただきまして、どうもありがとうございました。
 次回以降の予定でございますけれども、年内、年明けをめどに2回ほどの開催を予定しております。また日程調整等させていただいた上で、主査と御相談の上、日程はセットさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
【三木主査】  ありがとうございました。
 それでは、これで大学等知財検討作業部会を閉会といたします。本日は御多忙のところ、貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございました。

 

 ── 了 ──

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-- 登録:平成25年12月 --