産業連携・地域支援部会 イノベーション創出機能強化作業部会(第1回) 議事録

1.日時

平成25年7月4日(木曜日)14時~16時

2.場所

文部科学省 東館 3F1特別会議室

3.議題

  1. 議事運営等について (非公開)
  2. 大学等発のイノベーション創出機能の強化について
  3. その他

4.議事録

【馬場主査】  それでは、定刻になりましたので、イノベーション創出機能強化作業部会、始めさせていただきたいと思います。よろしくお願いをします。
【工藤大学技術移転推進室長】  それでは、事務局の方から、当初手続の方を進めさせていただきたいと思います。私、科学技術・学術政策局産業連携・地域支援課大学技術移転室長の工藤と申します。本日はお忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございます。
 本日は最初の会合でございますので、冒頭は私の方から進行を務めさせていただきます。また主査代理の指名等、人事案件に関する議題が終了するまでの間は非公開で進めさせていただきます。
 それでは、まず配付資料の確認をさせていただきます。
【鷲崎大学技術移転推進室専門官】  それでは、お手元の配付資料の御確認をさせていただきたいと思います。
 資料1でございますが、科学技術・学術審議会産業連携・地域支援部会に置く委員会等についてというところです。
 資料2といたしまして、A4、1枚紙となっております。本作業部会の運営規則(案)を示させていただいてございます。
 資料3-1でございます。大学等発のイノベーションの創出機能の強化についてというもので、こちらもA4、2枚紙となってございます。
 資料3-2といたしまして、産学官連携の現状と今後の展開というところで、『PowerPoint』の資料となってございます。
 続きまして、資料4でございます。福井大学産学官連携本部及びURAオフィスの活動についてという、こちらも『PowerPoint』の資料になってございます。
 資料5といたしまして、イノベーション創出機能強化作業部会の予定を書かせていただきました、A4、1枚紙となってございます。
 そして、参考資料の御説明に入らせていただきます。
 参考資料1といたしまして、科学技術・学術審議会関係法令というものを付けさせていただいております。
 参考資料2といたしまして、同審議会産業連携・地域支援部会の運営規則を付けさせていただいてございます。
 そして、参考資料3-1といたしまして、東日本大震災を踏まえた今後の科学技術・学術政策の在り方について(建議)というものでございまして、こちら前期の科学技術審議会での報告書となってございます。
 そして、資料3-2でございます。こちら建議を、先ほどのを踏まえまして、学術審議会の方で決定されました、我が国の研究開発力の抜本的強化のための基本方針という資料でございます。ちょっと、こちらだけ内容に少し踏み込ませていただきますけれども、こちら、基本方針に従って、各作業部会でありますとか部会が検討を進めていくことを期待されているものでございまして、4ページ目に、研究基盤。上から、マル2番のところでございますけれども、研究基盤を支える人材の育成、獲得、確保のための取組の促進や、外部連携も含めたこれらの人材のキャリアパスの確立というところが、特に本作業部会に関係するところかなと考えてございます。
 そして、続きまして参考資料4でございます。こちらは前期、昨年、産学官連携推進委員会の方での最終取りまとめが行われた報告書でございます。
 そして、最後になります。参考資料5でございます。こちらはイノベーション対話促進作業部会というところで、本作業部会の前に行われていた作業部会の報告書となってございます。
 以上、資料多めでございますけれども、もし不足等ございましたら、会の途中でも結構ですので、事務局までお知らせいただければと思います。
 以上でございます。

○主査代理は、科学技術・学術審議会産業連携・地域支援部会運営規則第2条第7項の規定に基づき、馬場主査が柘植委員を指名した。

【工藤大学技術移転推進室長】  委員の皆様を御紹介させていただきたいと思います。
 まず、主査の馬場章夫、大阪大学理事でございます。
【馬場主査】  よろしくお願いいたします。
【工藤大学技術移転推進室長】  続きまして、内島典子、北見工業大学産学官連携コーディネーターでございます。
【内島委員】  よろしくお願いいたします。
【馬場主査】  柘植綾夫、日本工学会会長でございます。
【柘植委員】  よろしくお願いします。
【工藤大学技術移転推進室長】  永里善彦、一般社団法人経済団体連合会産業技術委員会産学官連携推進部会長、株式会社旭リサーチセンター相談役でございます。
【永里委員】  よろしくお願いします。
【工藤大学技術移転推進室長】  野口義文、立命館大学研究部事務部長でございます。
【野口委員】  よろしくお願いいたします。
【工藤大学技術移転推進室長】  堀部秀俊、筑波大学研究推進部産学連携課技術移転マネジャーでございます。
【堀部委員】  よろしくお願いします。
【工藤大学技術移転推進室長】  松永康、早稲田大学研究戦略センター教授でございます。
【松永委員】  よろしくお願いいたします。
【工藤大学技術移転推進室長】  山本佳世子、株式会社日刊工業新聞社論説委員でございます。
【山本(佳)委員】  よろしくお願いいたします。
【工藤大学技術移転推進室長】  山本外茂男、北陸先端科学技術大学院大学産学官連携総合推進センター教授でございます。
【山本(外)委員】  よろしくどうぞ。
【工藤大学技術移転推進室長】  最後に、米沢晋、福井大学産学官連携本部長でございます。
【米沢委員】  よろしくお願いします。
【工藤大学技術移転推進室長】  次に、事務局。すみません。きょうは余り、まだ出席いただいていないんですけれども、事務局の方から、産業連携・地域支援課企画官の木村でございます。
【木村地域支援企画官】  木村です。よろしくお願いいたします。
【工藤大学技術移転推進室長】  同じく、同課補佐の藤森でございます。
【藤森産業連携・地域支援課長補佐】  藤森でございます。
【工藤大学技術移転推進室長】  さらに、大学技術移転推進室補佐の沼田でございます。
【沼田大学技術移転推進室室長補佐】  沼田でございます。よろしくお願いします。
【工藤大学技術移転推進室長】  同専門官の鷲崎でございます。
【鷲崎大学技術移転推進室専門官】  よろしくお願いいたします。
【工藤大学技術移転推進室長】  では、以降の議事進行につきましては、馬場主査にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○科学技術・学術審議会産業連携・地域支援部会イノベーション創出機能強化作業部会運営規則について、資料2に基づき事務局より説明後、原案のとおり了承、決定された。

【馬場主査】   本作業部会の議事の公開についてですけれども、運営規則第4条に基づき、議事は原則公開とされております。したがいまして、ただいまより公開とさせていただきたいと思いますので、報道関係者及び一般傍聴者の入場を許可したいと思います。よろしくお願いします。
【工藤大学技術移転推進室長】 ここで局長の土屋が参りましたので、一言御挨拶を差し上げたいと思います。
【土屋科学技術・学術政策局長】  文部科学省の科学技術・学術政策局長、土屋でございます。本日は遅れて参りまして大変申し訳ありません。失礼いたしました。
 まず、先生方には、大変お忙しい中、この委員会の委員をお引き受けいただきまして、また、本日の委員会に御出席いただきまして、ありがとうございます。
 産学連携につきましては、釈迦に説法ですが、もう産学連携という言葉を制度にして15年以上たったと思うんですが、その間、教育基本法を改正して、大学のミッションの中に社会貢献が入るとか、いろいろ、あるいは国立大学法人化であるとか、いろんな制度改正によりまして、産学連携は非常に重要な柱という認識ができてきて、それなりに発展をしてきたと思うんですが、まず、その第1段階としての限界点には、ある程度来たと思っておりまして、次の第2ステップというか、いよいよ本当の役に立つ産学連携というフェーズに入ってきたと思います。
 安倍政権、3本の矢の最後の成長戦略の中における産業界との連携と、大学との連携というのが非常に重要な柱になってきておりまして、そこで本当に身のある協力を行うためには、やはりこの委員会で審議をお願いしておりますイノベーション機能強化の部分に大きく依存するんだろうと思っております。
 我々事務局としても懸命に頑張りますので、先生方に、是非強力に御指導いただいて、いい成果を出していただきたいということをお願いいたしまして、挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
(報道関係者及び一般傍聴者入室)

【馬場主査】  それでは、これより公開で、イノベーション創出機能強化作業部会を進めさせていただきたいと思います。
 本作業部会の主査をさせていただいております馬場でございます。また、柘植委員に主査代理をお願いしておりますので、二人から一言ずつ、最初に御挨拶をさせていただきます。
 大阪大学で産学連携を担当しております馬場でございます。よろしくお願いをいたします。
 先ほど局長の方からお話がありましたように、私も10年前から、法人化以後産学連携を担当しておりまして、その間の変化はもう目を見張るようなものがあり、何か馬車馬のように走ってきたような、そういう感覚だけでございます。これからどういうふうに産学連携を見直して進めていくか、この作業部会で何かのお役に立てるように頑張りたいと思います。よろしくお願いをいたします。
【柘植主査代理】  主査代理を仰せつかりました柘植でございます。
 私自身、もともと産業出でありまして、一時期、科学技術行政の方、それから、今、いわゆる工学分野ですけれども、教育の方、まさに産学官の経験をしたということで、この作業部会に少しでもお役に立ちたいと思います。
 イノベーション創出機能強化という言葉ですが、私はよく文部科学省、ここまで踏み込んでいただいたと喜んでおります。きょうの参考資料4にも配付されておりますけれども、私の属しています産学官連携推進委員会が昨年の12月にまとめました、産学連携によるイノベーション・エコシステムの推進についてということで、これを出して以来、これはかなり包括的な、若干抽象的なことの取りまとめにとどまっていたのを、私は非常に残念に思っておりましたが、実際に、このイノベーション・エコシステムというものを実現していくために不可欠なイノベーション創出機能強化、この言葉を文部科学省が使って、作っていただいたのを、私、非常に心強いと思います。
 我が国は、御存じのとおり、第4期の科学技術基本計画が今走っていて、もう3年目なんですけれども、科学技術イノベーション政策ということを打ち出しております。今まで産学官が目指していても、なかなか具体的にできていなかったものについて、科学技術イノベーション政策というものを閣議決定した以上、イノベーション創出機能強化という、これはもう本当に要中の要だと思います。私も少しでもお役に立ちたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。
【馬場主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、議題2の、大学発のイノベーション創出機能の強化について審議を進めさせていただきたいと思います。
 まず、本作業部会の目的の確認と、それから産学官連携の現状紹介について、まず事務局の方から説明をお願いいたします。
【工藤大学技術移転推進室長】  それでは、お手元の資料に3-1と3-2とそれぞれございますけれども、3-1を御説明する前に、まず3-2の「産学官連携の現状と今後の展開」というものを、簡単に触れさせていただきたいと思います。
 こちらの図は、もう皆様御案内のとおり、先ほど土屋局長、それから馬場理事からもお話があったとおり、産学官連携のこれまでの歩みというものが記されております。
 特にエポックメーキングであったのは、先ほどお話があったとおり、国立大学が法人化され、それまで個人が持っていた知的所有権、これが機関帰属になったことです。これにより、大学において、知的財産権及び産学連携を実質的に取り扱う部門が必要になりました。これは、非常に大きなことであり、約10年前に起こったことでございます。
 近年、そして、この産学連携というのは、どのように政府の文書内で触れられているかということを簡単に御紹介いたしますと、先頃、先月、6月7日に閣議決定されたばかりの科学技術イノベーション総合戦略というのがございます。この中で触れられておりますのは、地域の産学官が連携した研究開発や地域経済活性化の取組というところの文脈におきまして、産学官の連携しながら産業を発展させるというようなことが、まず述べられております。
 更に3章の科学技術イノベーションに適した環境創出と、まさにこのことに触れた文書によりますと、ここに研究支援体制の充実や、研究支援人材の部分、それから全国的なネットワークを推進するということ、スキルアップ機会を提供する等の仕組みの構築、さらには国際標準化・知財戦略の強化という分野におきまして、研究成果の技術移転活動に関する専門的な支援を促進するための仕組みの構築といったことが触れられております。
 続きまして、日本再興戦略-JAPAN is BACK-のポイントでは、これも6月14日、閣議決定されてございます。ここには出口志向の研究開発と制度改革を併せて大胆に推進し、実用化・事業化できる体制を整備するということでございます。更に研究支援人材のための資金確保等という、こちらの部分におきましても、リサーチ・アドミニストレーター等の研究支援人材を着実に配置するといったことが触れられております。
 引き続きまして、この10年間、産学連携施策において、我が国において積み上げられてきたものの大体概略みたいなものを、この後、御紹介いたします。
 まず民間企業との共同研究につきましては、その件数、受入金額とも着実に伸びてきております。これは景気の影響もあって、一時期へこんだということもありますが、この件数自体は、もう元の水準に戻ってきておりますので、この意味からも、産学連携共同研究といった文脈は着実に伸びてきていると思います。
 しかしながら、受入金額そのものは横ばいです。伸びてはいるのですが、件数の方は、それ以上のペースで伸びておりますので、どうしても1件当たりの平均金額というのが、なかなか大きくなっていかないという状況にございます。
 また、特許出願件数につきましても、国内外合わせまして9,000件程度ございまして、その特徴なんですが、企業との共同出願、いわゆる共願が非常に大きな比率を海外出願とも国内出願とも占めております。
 大学における特許保有件数につきましても、これも大幅な増加傾向にございます。特に過去に特許出願したものが、大分、一定の期間を経て権利化されたのではないかというような予測があります。これによって、特許の保有件数が多くなっています。
 他方、特許実施件数と、その実施料等収入も概して増加傾向にあります。ただ、この入ってくる収入におきましては、非常に大きなヒットがあった年は大きく伸びておりますが、それ以外の年を踏まえると、大体横ばいに来ていますので、これをどう捉えるかというのは、また別途評価が必要に見ております。
 これまでどういったものが大きな取組として導入されたかという点については、先ほど国立大学が法人化された際に、知財の取扱いの件について簡単に触れさせていただきましたけれども、まず大学における産学官連携体制というのが、法人化以前は、いわゆる地域共同研究センターというのがございまして、ここでやってきたものが、この法人化以降は組織的対応を行うべく、我々文部科学省から、平成15年から5年間のプログラムでございましたけれども、大学知的財産本部整備事業というのを補助しておりました。さらに、今年の3月で終了しておりますけれども、大学等産学官連携自立化促進プログラムというものも補助を差し上げてございまして、これによりまして、大学において知財管理と産学官連携とが一体的・発展的に整備されるというのが行われてきているところでございます。
 ここで、先ほどの資料の3-1の方の内容に入っていきます。この作業部会の目的として、我々の方から御提案を差し上げたいのは、一つとして、このこれまで構築されてきた大学における産学官連携機能について、大学発イノベーションをどうやって起こしていったらいいかと、こういった視点において、もう一度整理してみるというのがございます。
 さらに、これを機能の方を整理した後に、それにふさわしい人材というものは一体どういうふうにあるべきか、その強化策について検討していただきたいと考えております。
 このことは、先ほどお手元の資料の中で、前の作業部会、イノベーション対話促進作業部会の報告書の方を御紹介させていただいておりますけれども、そこでも現状の認識が述べられておりまして、ここで何と述べられているかを簡単に御紹介いたしますと、過去十数年間にわたる産学官連携によるイノベーション創出に向けた取組により明らかになったのは、企業側の顕在化した技術課題、ニーズに応じて、大学等の研究成果、シーズをマッチングする、点と点を結ぶ産学連携は着実な成果を得られてきております今後の方向性につきましては、大学等、企業のみならず、エンドユーザーを含む社会全体に潜在する課題と科学技術を組み合わせる、これまでにないシーズ・ニーズのマッチングの実現が求められている。更に大学等に、来るべき社会をデザインすると同時に、そのような社会の実現・イノベーションの創出を図るよう、大学等の創造生産体制がどのような形で貢献できるかについて、社会各層の議論を巻き込みつつ、自ら問い続けるシステムを整備することが必要ということが述べられております。
 今申し上げた現状のところを、むしろ従来の産学連携のイメージの方を、こちらに提示させていただいておりますけれども、これは真ん中に産学連携コーディネーター等の、いわゆる産学連携機能の方が、従前は大学の外にあった時代というのがございまして、ここが、いわゆる大学の中でも自然科学系の研究と、企業でも、特に研究開発部門、技術部門の研究、これらをいわば一つ一つつなぎ合わせることで、共同研究というものを実現してきた、それから技術の移転というのも行ってきたというのが、これまでの産学連携のイメージです。ここで得られている結果というのが、下に簡単に述べられているんですけれども、結果として共同研究は小粒なものになってしまっております。これは1件当たり100万円未満というのが全共同研究の約半数を占め、期間が1年以下という案件に至っては、これが約70%を占めるというような状態でございます。
 ここで翻って、大学の役割をもう一度確認させていただきますと、教育研究、それから成果の提供というのは大学にとって3本柱の機能でございます。それぞれ法律で、その機能について、規定してございます。
 その際、成果の社会への提供の在り方を考えなくてはいけないのではないかというのを我々の方で御提案させていただいております。これはこれまでの産学官連携で積み上げてきた個々の研究から特許を取ってライセンスするという単純ないわゆるモデルではなくて、大学等がどのような形で社会貢献するかをデザインすべきではないかというようなことがございます。
 これを受けまして、この作業部会の一つ前の作業部会、イノベーション対話促進作業部会におきまして、イノベーションを促進する対話の在り方というのを検討いたしました。前提は、先ほど御紹介したのと同じなので割愛させていただきますけれども、イノベーションを促進する対話の在り方として、これからの産学連携活動が目指すべき方向は、新たな商品・サービスを生み出し、市場を通じてイノベーション創出を拡大していくこととしております。更に取組の方向性として、これまでイメージされていなかった、全く新しいシーズ・ニーズの組合せやアイデアなどが発掘されるような仕掛けをデザインしていくことが必要ではないかと。更に対話によってイノベーション創出の確率を高めるために、問題解決の一連のプロセスを再現していくことが効果的というのが、前回の作業部会の結論でございました。
 この作業部会の結論を踏まえて、今、文部科学省では新規に、大学等シーズ・ニーズ創出強化支援事業の中に、イノベーション対話促進プログラムというものを始めております。これは大学等が多様な参加者によるイノベーション創出に向けた対話型のワークショップを運営し、その成果に基づいて調査研究等を行うプロセスを評価するために、この活動を行っていただく大学を30校ほど公募しております。その際、この30校の大学には、これを対話ツールというか、その対話の仕方を簡易に再現するためのマニュアルのようなものの作成にかかる検証を手伝っていただくものです。この図が、その対話型ワークショップのイメージ図です。問題は、この対話型ワークショップをやるためには、現在、大学の中の機能として、それぞれ設けられておりますコーディネーター、URA、それから事務職員等の協働、協力が欠かせないということがございます。今後の産学官連携の方向性は、まず大学に、こういった方々が協働する機能の方を設けていく必要があるのではないかと問いかけさせていただくことをもちまして、この箇所の説明を終了させていただきます。
 そしてまた、資料3-1に戻っていただければと思います。
 ここで、背景説明につきましては、先ほど私の方から、産学連携がなし遂げてきた状況等を踏まえたことで、割愛させていただきます。
 そして、作業部会の目的ですけれども、繰り返しになりますけれども、これまでに構築された大学等における産学官連携機能について、大学等発のイノベーションを創出・推進する観点から整理するとともに、これを担う人材の育成等の強化策について検討することです。
 以下、検討課題三つほどございますけれども、それぞれの大きな項目だけ御紹介させていただきたいと思います。
 (1)として、大学等発のイノベーションの創出に必要となる機能についてといたしまして、大学等において、産学官連携活動の意義について整理し、今後の大学等発イノベーション創出に必要となる機能を整理すると、これはそのままでございます。
 1枚めくっていただきます。(2)として、イノベーション促進人材についてとしております。
 大学内に配置された産学官連携コーディネーター、それからリサーチ・アドミニストレーター、加えて事務職員等を含めた大学等発イノベーションの創出を促進する人材に係る今後の方向性について整理するというのが二つ目でございます。
 そして、また飛ばして、(3)になりますけれども、大学等発のイノベーション創出のための具体的手法についてといたしまして、この二つの機能と、その機能を担う人材という整理を受けて、大学等発イノベーションの創出のための新たな情報発信及び研究成果、社会への提示の方法論についても御検討いただければと考えております。
 以上が私からの説明でございます。
【馬場主査】  ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございますでしょうか。よろしいですか。はい、どうぞ。
【山本(佳)委員】  確認ですけれども、ここで述べている人材というのは、イノベーション創出の産学連携や研究の支援の人材という理解で大丈夫でしょうか、イノベーションを実際に行う研究者については、今回は対象ではないということでよろしいですか。
【工藤大学技術移転推進室長】  はい。そのような理解で結構でございます。
【馬場主査】  ありがとうございます。
 そのほか、何かございますか。
【柘植主査代理】  一言。
 今、工藤室長は山本委員の認識がそのとおりと言われましたけれども、もうちょっと丁寧さが、共通の理解が要るかなと思うのは、やはりイノベーションの基になる科学技術的な価値のシーズを生み出してくれるのは研究者だと思うんですね。だから、この研究者が、その活動に専念しやすいようなことが、今回の、いわゆるリサーチ・アドミニストレーターのようなシーズとニーズをつないでいく人材の育成であるんですけれども、結果的に、この施策は研究人材を育成してくることに間接的には効いているという、私は理解しておりまして、それは多分、共通の理解であるべきだなと思って発言したんですけれども、工藤さん、どうでしょうか。
【工藤大学技術移転推進室長】  確かにリサーチ・アドミニストレーターにしても、今、産学連携コーディネーターされている委員の方もいらっしゃるのに、私の方から釈迦に説法的なんですけれども、この方々の社会の外部での、要は価値観なり考え方というのが、研究者の方に、対話によってもたらされるんだと思うんです。これによって、研究者の方の視点というのに、また新たな価値というのが付加されると、こういった要素もございますので、確かに柘植委員のおっしゃるとおり、狭義には研究支援促進人材というのを考えてはいるんですけれども、その促進人材がもたらす価値みたいなものも、当然、この議論の中には含まれているんではないかと考えております。
【馬場主査】  よろしいでしょうか。
 そのほか、よろしゅうございますか。
 それでは、先に進めさせていただきます。
 それでは、きょうは特にこれまでの産学連携の意義について整理をさせていただいて、その上で、今後の大学発のイノベーション創出に必要となる機能について、審議を深めていきたいと思います。
 先ほど工藤室長の方から話もございましたが、コーディネーターとかURAといった人材の強化に着目した議論は次回以降に集中審議をする予定としておりますので、本日は大学、あるいは産学連携本部の在り方、及び必要性、それらの機能などの視点から議論ができればと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 まず、その議論を深める材料を提供していただきたいと思います。まず、産学連携の実際の例を福井大学の米沢委員の方から御紹介いただいて、その後、議論に入りたいと思います。
 それでは、米沢委員、よろしくお願いいたします。
【米沢委員】  福井大学の米沢です。よろしくお願いいたします。こういった、非常に公的な大きな会議というのは初めてでございまして、かなり緊張しておりますので、何かとんでもないことを口走るかもしれませんけど、そのあたりはよろしくお願いいたします。
 なぜ、そのネタという言い方をすると失礼になるかもしれないですけれども、福井大学の活動を御紹介させていただけるかという私なりの理解なのですが、結構細かいところの仕事が多くて、ばらばらになりがちなところで、問題点もはっきりするからだろうなというふうに理解しております。
 福井ですから、多分、県のイメージとして、カニしか割とないところでございまして、外のカニの形は分かる、大体、皆さん、想像付くんですが、食べるとなると結構困るんですね。どうやってばらすか。ばらしていくと、中で、ここ食べちゃ駄目ですよというところがあるんですが、そういったイメージで、産学連携がカニだとすると、そのパーツ、パーツというのが、どんなふうになって、どこが毒なのかといったようなことを、ここ食べちゃ駄目だよというようなところが少しでもあぶり出せたらなと思っていますので、そんな形でお聞きいただけたらと思っております。
 前提条件といたしまして、産学官連携といいますと、どうしても地域、私ですと地域の関わりが多くなります。それから、やはりそれぞれのカラーというものがございますので、まず福井の地域も、ちょっとカニだけというふうに暴言を吐いてしまいましたけれども、ユニークな産業構造となっているところにつきまして、細かな字になってございますが、お手元の資料なんかを、後でちらちらと御覧いただきながら御説明をと思います。
 福井というのはある意味妙な地域です。といいますのは、実は福井というのは北陸であるというのは、もうこれは間違いのない話であって、気候風土からいきますと、北陸でいろんな連携ができるという状態です。ところが、実は産業構造からいきますと、近畿の方にB to Bで、ビジネス・ツー・ビジネスで材料を流すような中小零細企業がたくさんあるという地域になっております。社長率ナンバーワンと言っていますが、規模を問わなければナンバーワンというところです。そこで化学、プラスチックであったり、繊維、これがかなり昔からの産業になるんですけれども、こういったものがある。
 一方で、学生はといいますと、最近、これはいろんな見方があるんです。なぜという原因が、まだ我々もはっきりしていないんですが、名古屋周辺の学生が、工学研究科では特に増えてきている。半分以上になっているという状況です。そういう意味におきましては、中部、北陸、近畿というところにまたがった形で仕事、人間の移動が、動きがあると。それから、もう一つは、大きな特徴として、若狭湾というところに原発がたくさんあるということですね。こういったこと。それから、割といろんな県にもございますけれども、南北問題というのがございまして、嶺北、嶺南と福井の場合はいいます。北陸トンネルの北と南で全く違う。私は実は出身が大阪なものですから関西弁をしゃべっておりますが、これは実は敦賀の方、嶺南の方は、こういった言葉をしゃべっております。越前行きますと全然違う言葉をしゃべるというようなことがある。だから産業構造としては北側に、嶺北側に集中しているという、製造業ですね。いうようなことがありまして、そういう偏りを含めて、我々は地域産業界と一緒に産学官連携を考えてきたという経緯がございます。これ、平成20年頃というふうに書いてございますけれども、その前からずっと話をしてきまして、この頃にとりあえず文字に起こしてみたところを、今、引っ張り出してきたというところです。
 今の福井の産業構造についての補足みたいなところですけれども、「世界にはばたく福井の技」と書いてあります。たくさん産業がある。世界ナンバーワンシェアのものもあるんですが、これのタイトル、これは県が作っています。タイトルが、「実は福井」の技と書いてあります。全然、ぱっと見て、福井の技って分からないという、そういうビジネスをしている地域だということになります。ですので、ブランド力とか、そういったものが、全くという言い方をすると失礼なんですけれども、ないものですから、そういった苦しみがある。要するに、大企業に製品を納めて、それに対するよしあしは自分たちで判断ができないといったような産業構造をしております。ですので、そういった中で、我々は中小の方々と一緒になりまして、彼らができないことですね。これは面白い現象を基にした面白い製品がある。それを保証していくということですね。これはこういう合理的な論理の基にあるんだよというようなことを保証していくといったようなこと。それから、もう一つは、これで特徴的になってきますのは、どうしても地域には現場の方、現場でも、結局、大きなところですと、営業だとか、総務だ、いろいろ分かれていくんですが、中小になりますと、そうではない。現場で全部やっておられるといったような方々と一緒に仕事をすることになりますので、かなり大学の側が、そういう意味では、現場の方の、本当に最後作るところの工夫のところも一緒に話をしながらやらなきゃいけない、そういったような状況があったものですから、その中で必要な産学官連携の仕組みというのを作ってきたということです。
 これはもう、今の構造以外のところでも含めてなんですけれども、これは皆さんのところでも同じだと思うんですが、こういった形、そういったものの間をつないでいくような形の人というのが、やはり数が要ると。一人二人ならいるんですけれども、それが継続的にちゃんといていただけるかというと、昨今、こちらの方は若干高齢化が進行しているという状態になっておりますので、このあたりが、20年ごろには、もう既に意識をされていました。
 そこで我々は、その以前までは地域共同研究センターという名前、それから実はVBL、正確に言いますとSVBLなんですけれども、という企業の部門、それから知的財産本部、それからTLOは我々は承認された形ではありませんでしたので、自前でそのような機能を持ったものを作っております。それから、機器分析センターと言われるところですね。そういったようなものがありましたので、それを統合する形で産学官連携本部というのを作りまして、先ほどの地域の中小企業の方々と一緒になれるような、これを束ねて一緒になれるような窓口を作って仕事をするという仕組みを作りました。現在は、実はこれに、後ほど出てまいりますが、URA組織というのを付けまして、もう一つ大きな枠組みの中に入っているんですが、活動としましては、こうした基本的枠組みを発展させています。そこにおいて、地域の方々との連絡、あるいは連携を図るために、本部の協力会というのを作りました。これは実は事務局を経済同友会さんの方に置いていただきまして、会費1口、1年当たり5万円という形で頂いて、入っていただいていると。そういう組織におきまして、そことやりとりをしながら、シーズ・ニーズのマッチング。先ほど、そろそろ限界に近づいてきたと言われる形の部分ですけれども、やっています。その協力会の方々と、こういった約束をさせていただきながら、開発と人材育成、これはもう不可分ですというような形で進めさせていただいております。
 協力会の会員企業の方の数なんですが、本当は、この前、もうちょっと少ないところがあるんですけれども、ざっと増えまして、法人化、あるいは今の産学官連携というキーワードがどっと出てきた頃に増えていきまして、こうしたような推移を示しております。これは時々申し上げるんですけれども、この数はずっと変わらないというわけじゃなくて、実は、このときに入られた方というのは、やはり退会されていくところもあります。実は、ここへ来る前も、1件、電話がかかってきたのがありまして、退会させてくださいという電話がかかってきて、ちょっと大騒ぎしていたんですけれども、そういったところがある反面、新規に加入されるというので、我々、化学の世界では動的平衡という言い方をするんですが、出入りが釣り合っていて平衡に達しているというような状態なんですが、現在はその状態にあると思われます。これを基準と、身の丈というふうに見るんであれば、どうやってベースアップしていくかということは、これからの課題になるんだろうと考えております。
 その産学官連携本部の活動の中で、どういった取組をしてきているのか。これは緊張の余りスライドの量を間違えておりまして、後ろに附属資料、これはもう一切しゃべる時間がないというふうに理解しております。に付いておりますのが、このタイトルです。こういったような活動をしておりますというのは、これは後ほど、いろいろな細かいところも御覧いただければと思うんですが、要するに、研究。先ほどの両輪。研究開発と人材育成。これは別々ではなくて、一体としてやるんですけれども、その中で知財を活用するための仕組み、これも地域のネットワークの中にどんどん入っていって、あるいは地域の知財も一緒に融合、あるいはパッケージ化というような言葉も使えるようなことをしたいというようなことを考えております。
 それから、その中で共同研究するために、シーズ・ニーズのマッチング。この辺は従来、こういった産学官連携の取組の中では、そこかしこで一般的にやられてきたような内容というのが含まれているんですが、これ、進めてきたのは当然なんですけれども、もう一つ、ここから脱皮しようというような試みを、この辺で始めようとしているところです。人材育成については、これに付随する形ですが、グローバルも含めて飛び出していこうとしているというのを、少しだけ例を挙げて示させていただきます。
 その例に行く前に、規模といたしましては、非常に、数字をお示しするのがお恥ずかしいのと、本部長としては、その数字が結果だねと言われるものですから非常に怖いんですけれども、共同研究、受託研究の件数を、ずっと、前年度のところは集計が出ましたので持ってまいりました。先ほどの協力会企業会員数と似たようなカーブを描いているんですけれども、上がっていって、この辺は谷だったのかもしれませんが、この辺で平衡に達していっている。一旦下がりかけたんですが、少しそのあたりは押し戻したという、件数については、そんな状態。少し活性、活発になりかかっているかなということです。
 ただ、外部資金の方の導入に関しましては、これは受託研究の方が、がんと減っておりますので、これで大分怒られたんですけれども、そのときには、この上だけ見てくださいというふうに、ちょっと逃げているんですが、共同研究と受託研究に関しましては、実は福井の場合におきましては、昨年度、一昨年度に比べまして、金額的に、総金額ですけれども、増えるような形が出てきておりまして、大きなプロジェクトという意味での浮き沈みというのはあるんですが、地域の企業を含めました共同研究、あるいはそういった産学官連携の一番フロントの部分というのは、少し実質のところに見直され始めたのかなというふうに考えておりまして、この方向で少しでも工夫をしていきたいと思っているところです。
 その中でやっております、先ほどの事業を、こういうふうに研究開発と人材育成、大体位置関係、それから関わっていただいています、あるいは使っているハードウエアといったところを併せたのがこうなっていまして、研究と人材育成不可分ですよということと、この活躍の場として、今、共同研究拠点、あるいは地域イノベーション戦略事業というのをフルに活用する、あるいは産業現場に即応する実践等、これはドクター、あるいはマスターからも受けてもらっているんですけれども、大学院生から地域の若手技術者、あるいは若手教員といったところですね。そういったところも全部ひっくるめまして、実は我々のところ、工学研究科がメインになっておりますので、非常にものづくりばかなところがございます。そこでマネジメント、あるいは価値を創造する、イノベーションについて本当の意味としてはインベンションに価値の創造をつけてやっとイノベーションですよというところをちゃんと勉強すると。マネジメント、ビジネスへ持っていくという感覚をここで養うというようなトレーニング、実践教育というのを工学研究科で、今年から既に、もうコースとして掲げているんですが、その土台作りを、ずっとこの5年ほどやってきたというようなことがありまして、こういった事業を行っているというところです。
 その中で、三つほどだけ簡単に触れさせていただきます。
 知財フォーラムと申しましたのは、これは実は大学の事業では、正確に言うとございません。地域にはもともと大学連携リーグというのがございますが、余りたくさん大学はないんです。国立大学法人という意味におきましては、福井大学だけです。あとは県立大学、それから福井工業大学という私立、それから高専、あるいは仁愛大学といったところがあるだけなんですが、県も含めまして、そういったところの知財をできるだけ、今目指していますのはバンク。これは相当突拍子もないことを言っていますけれども、知財を集めまして、その中で知財をちゃんと棚卸しをして、ばらばらにして、使えるところだけもう一度使えるように直して、それで融合して使うと。それをプロジェクトのネタに、あるいは企業の方にお渡しするような、そういった仕組みを地域でやりましょうといったことを申し上げまして、県では、なかなかそういうことが動きにくかったところがありましたので、我々、産学官連携本部が事務局と自称いたしまして、やり始めております。3年ほど前から始めているんですが、ようやっと、この仕組みというのを地域、最初のうちは知財、自分のところの知財を、持っている知財を出すことそのものに、すごく抵抗があったんですが、いろいろ説明をさせていただいて、産学官連携というのに対して、知財をベースにしなければいけないということを繰り返し訴えてきたことで、ようやっとこの名前というのが地域にも浸透してきた感じです。地域の技術者の方に、特に浸透してきたのが、今年度ぐらいからでしょうかそれぞれいろいろなスピンオフのところでの、小さなテーマを持ったワーキンググループが生まれ始めておりますので、先ほどの対話ツール等々というお話がございましたけれども、そういった流れの中で、それはもう自主的な取組をメーンにするんですけれども、そういったものもやれる状態になってきたのかなと。ここを少し、今年度、加速してやろうと狙っている部分です。
 それから、研究としましては、こういった共同研究拠点というものを整備いたしまして、これはハードウエアですね。これに対しまして、地域と一緒に地域イノベーション戦略というのを組み立てまして、その中で、例えば、電池材料。私の研究そのものは電池材料の研究なんですけれども、それをできるだけ大型の電池で安全なものを作るためにはどうしたらいいのか。それは材料を作って、先ほどの話ですけれども、地域には材料を作っているメーカーがあるんですが、その材料を作っているメーカーは、電池メーカーさんに材料を納めますと、マルかバツかが二、三か月後に返ってくる、あるいは悪くすると1年後に返ってくるという状態です。なぜバツかマルかの理由はまず言ってくれません。そうしますと技術開発の方針が経ちませんので進まないということになりますので、その技術開発のためのベンチマーキングというのを、マテリアルベンチマーキングというふうに我々呼んでいるんですが、そういったようなことを、例えばリチウムイオン電池、あるいは半導体回路、あるいはその製造技術ですね。そういったものに対して付けてやって、お墨付きと言うのは、余りにもおこがましい言い方なんですけれども、そういった保証という、安心感というのを付けた形で製品を、その市場のところに投入していけるような、そういったもので世の中に問うていきたい。それを実証試験する場も自分たちで作ろうというようなことを言い始めたのが我々の地域イノベーション戦略でございまして、この拠点のものとしております。それを周りの企業と一緒に、複数の企業と一緒に進める。あるいは研究者と一緒に進めるといったようなことをしておりまして、これは実は、研究成果はもちろんなんですけれども、その研究成果を出しに行くに際しまして、できるだけたくさんの研究者を巻き込んでいくということを、今、もくろんでいるところです。広がりを持っていきたいというふうに考えているところです。
 その広がりを作りたいといった中の工夫の一つでして、先ほどの共同研究拠点というのは、もう事業化に向けて、実はそこに3社ほど企業に入居していただいているんですけど、これはもう、大阪大学の先生がおられますんで、余り偉そうなこと言いますと、後で、その話スケールが小さいねという話になってしまって申し訳ないんですが、例えば1社さんですと、3人ぐらいの企業の方が大学に出勤されると。それで、そこに実はその企業の区画がありまして、そこで技術開発の仕事をされていて、我々も日々そこに入り込んで、学生も入り込んで、一緒にディスカッションするようなスタイルに、小さいですが、そういうスタイルを始めたんですけれども、事業に近い側から始めたんで、その基礎のところが抜けておりますので、今回、今ちょうど工事が始まったところですけれども、こうした、最初、地域の方々から技術相談という形で、我々、本部で受け付けております。そういったところに入ってきた技術相談をちょっと試してみようかといったようなことができるようなスペースですね。サロン的に、もう少し、実務に近い議論ができるサロンが、実証試験に近いような、あるいは味見的なお試しができるような、そういったようなエリアというのを作りまして、継続的に、いろいろな話ができる、あるいは物事が生まれていくような、交流できるようなエリアというのを、オープンR&Dファシリティー(案)ですけれども、というのを作ろうとしているところです。これと、先ほどの共同研究拠点をつないでいきますと、基礎から応用、事業化への橋渡しまでを一貫してできるんじゃないかなということを、今、もくろんでいます。共同研究拠点が事業化から、かなり事業化に寄ったものであったのに対して、戦略的な研究。これは実はURA組織というものの設置と、これは狙ったわけではないんですが、たまたま同時期になっておりまして、URAがこれを指導していけば、大学の研究戦略の中に、今の出口のアイデアというのを入れて、ここで研究して、あるいは話をしてということができるんじゃないかということをもくろんでいます。
 今出てまいりました本学のURAオフィスを機能で説明するのがこの図です。産学官連携本部は、ちょっと小さめに、今、これURAオフィスが中心の絵なもので、描かれていますけれども、このように出口に位置しています。ここのところはこの10年ぐらい非常に頑張って形を作ってきたんですが、更に大学の研究戦略の方へURAを広げていって、PRE、POSTと書いてありますが、こういったような仕事分担をする。本学の場合は、産学官連携本部、我々専任教員がいて、そのサポートとして研究推進課という事務組織が、実は同じ建物の中にありまして、一体となってやっているといったところに対しまして、URAオフィスというのも、その建物の中に入れて、もうURAオフィス、産学官連携本部、研究推進課、これは事務組織ですが、すべて不可分であるという形の、機能という意味だけではなく、もう物理的にも不可分だという体制づくりをしております。
 URAの方に関しましては、実は、ちょっと正確な名前を忘れたんですが、一般的な大学の事務のものよりも、ちょっと高めになっている俸給表というのがありまして、専門職などだと思うんですが、それを適用する形にいたしまして、少し事務組織の中でも特別的に、専門的に仕事をするんだということを認めてもらうような形にしまして、インセンティブ、あるいはその中での人材育成なりにつながっていくような形をとろうということで、事務組織ではあるんですが、少し専門的なものを付与したという形にして、人材の流動性、あるいは育成ができるような形を、今、目指しているのが、我々のところの特徴になっていると思います。
 今ほどのお話をいたしました内容を、それからそこのキーワードに対しまして、これは大学改革実行プランの中にございました文言に対して、どこに対応するかというのを書いてみました。うまく動いているところ、動いていないところというのは幾つかあると思うんですが、こういった形で進めさせていただいております。
 この後は少し挑戦的な部分の御紹介なんですけれども、実は「ふくい方式」と呼ばれる産学官連携の枠組みがあります。我々が「ふくい方式」と名乗ったわけではないんですが、他地域の方から、非常にうまくやってますよねというふうにおっしゃるものですから、ふくいのやり方ということで「ふくい方式」と呼ぶことにしております。自然とやっていたことなんですが、非常にコンパクトな地域であるということを逆に使えるというか、使わざるを得ないというところがあるものですから、県と大学が、県の方の、例えば、産業振興策というものを作って、どういうところを重点にしたいといったことを、大学の先生と、もう不可分に話をしています。その中で出てきたプランに対して、あの辺をちょっと強化したいよねというような話を、大学の中のシーズを探るところも、もうこの辺は一緒になってやってしまっています。その上でプロジェクト。これは実は都市エリア事業等々は、こういった形で動かした。あるいは地域イノベーション事業も、こういう形で動いているということなんですけれども、一個一個渡していくのではなくて、最初、プランのところですね。ここのところから、もう県と大学というのは、学官というのは、もう不可分になっているという状態。最初は意識してやっていたわけじゃないんですけれども、そういった形になっている。後で考えてみますと、ばらばらにやるよりはメリットが大きいなということがありまして、これは反対に、もうちょっと強化する工夫がないかというのが現在の議論の対象になっているところです。
 そういった中で、今までのところですね。産学官連携が、こうやって掘り起こして、だーっと伸びてきた。先ほどおっしゃったように、ダッシュでという、息をつかせず走ってきたというところがあるんですが、いろいろな数字を見てみますと、じゃあ、それはそろそろ、いつまでも右肩上がりではない。きちんと存在価値を上げて持続的になっていく。それできちんと伸びていく形というのに変えていかなければいけないというのは、もうこの1年ぐらい、私としましては、実感しておりますので、そのための挑戦を進めていく必要があると考えています。
 その中で二つだけ、何かやろうとしていることを御紹介申し上げます。一つはILF、これも勝手に我々が作った名前なんですが、インキュベーションラボファクトリーです。ファクトリーにこだわったところは、ものづくりというところが我々の基本だからなんですけれども、これ実は、教員が持っていたシーズを教員が自ら試作して、これは地域のマイスターの方に、ちょっと助けていただいて、物を形にして、それを試しに売ってみるという仕組みです。これは自前でお金を用意しまして、学内の競争的資金としてやっているんですけれども、継続的にやってきました。そこで、これにもう一段、民間のニーズとか、別に大学のシーズが最初でなくてもいいや。このスタートするところが大学である必要もないねということで、少しオープンにした形にならないかと考えております。ILFというのは、もともと大学に閉じてた形なんですけど、少し周辺のそういうアイデアも含めて入ってくるようなものに拡張した形にならないか。そのために必要なのは、実はビジネス化を支援できる人。これは個人でなくて集団が要るということになってきますので、これを今、地域の社長さん、あるいは技術部長さん等々と話をしながら、どんな形がいいかという議論を始めているところです。
 それからもう一つは、地域の、もう少し地域へ広がっていこうということを含めましてやっていますのが、これは、それは連携本部の、というか大学の仕事ではないんじゃないかという批判を浴びることも覚悟して持ってきたんですが、経済産業省さんのホームページで、この間、ものづくり中小企業の支援、1,000万円のやつですね。が出ておりました。これを申請される際に、先ほど冒頭に申し上げましたように、地域ですと、なれている企業さんはいいんですが、我々のところのように中小企業さん、あるいは零細のところですと提案書を書けないんですね。やりたいけど書けないという、そういう意識を持っておられますところがたくさんあるものですから、そのサポートをオープンにしました。大学は、実は、この中には全然プロジェクトとして入ってこないものですから、関わらない、直接の収入にはならない、ので、サポートする必要はないんですけれども、その申請書書きのところをオープンでサポートします、相談会やりますからどんどん来てください。という風にして、申込みを受けましてサポートをした結果、結構な採択率UPになりました。まずは、地域のためにと実施したことが、目に見える貢献につながったと喜んでおります。
 この中で感じましたのは、こういったことができるノウハウを持っている人たちというのは、実は現在でいうと、シニア系の人材の方々なものですから、こういった方々をうまく大学の中で組織して使えるような形をいたしまして、地域の産業界とのつなぎの部分ですね。そういったところに利用していくような、活用していくような、ここで寺子屋的と書いていますが、そういったような形というのを模索していけないかなという挑戦を始めているところです。これのおかげで、余談になるのですが、協力会企業数の増加につながっております。採択後、ありがとうございます。おかげさまで申請が通りましたので協力会に入りますという、ちょっと文脈おかしいんですけれども、そういったようなことも起きているということです。
 以上、後ろの方は参考資料ということで、いろんなものに関しまして、実際にやっている例を示させていただいているんですけれども、今申し上げましたような、ちょっとばらばらになった部分ではあるんですけれども、いろいろ挑戦してみたり、あるいは挑戦した結果、返り討ちに遭ったところというようなところが少しでもお伝えできたらなと思っております。
 ちょっとざっくばらんな、いや、えらいばらばらな話になって申し訳ありませんでしたけれども、以上です。
【馬場主査】  ありがとうございました。非常にフットワークの軽さを実感したようなところがあります。うらやましいなと思いながらお聞きしておりました。今のお話をもとにいろんな議論をさせていただければと思います。
 とりあえず、今の御発表について、御質問や御意見があれば、まずお願いをしたいと思います。どうぞ。
【永里委員】  御説明の中で、何を研究テーマとするかというのは、誰が決めているのか。自然発生的なふうに見えていたんですけど。
【米沢委員】  この図でしょうか。ではなくて。個別の研究のテーマ内容ですか。
【永里委員】  個別の研究のテーマですが。
【米沢委員】  元来、大学の中で研究テーマを決めるのは、教員が勝手に決めているというのがふつうだと思うんですけど、もちろんそういうテーマはたくさん残っております。ただ、我々ですとコーディネーター。最近URAという形で、少し人数も増えてきたんですけれども、そういった方々に教員のところに行っていただいてテーマの話をしてもらうのですが、行っていただくというのは、何もなくて行くんではなくて、地域でこんなのないですかねという相談の前の段階のような情報を仕入れておいて、それを持っていっていただいて、関連の先生方にテーマとしてあげてもらうというようなことはやってテーマを作っているのが現実だと思います。ですから、そこのところのニーズをうまくくんで、先生にうまく。悪い言い方しますと、先生をだまくらかしてテーマにするという、そういうスキルというのが、まだやはりコーディネーターの、その人に付いたスキルになっていますので、これを何とかして複数の人に習得できるような形をしたいなというのは感じているところですね。
【永里委員】  はい。
【馬場主査】  そのほか。はい、どうぞ。
【野口委員】  御説明ありがとうございました。
 産学官連携本部と、その元に協力会を置いて、ファンとして囲い込んで、特化して連携体制を構築するというやり方、非常にいいかと思いました。
 その中で、先ほど研究開発と人材育成は二つの車輪だということで、御説明の人材育成については、二つの側面があると思います。一つは、この協力会も活用しながら、イノベーション・コンソーシアムですかね。その中で企業の技術者を育成していくという、企業人材の人材育成がある。このことは御説明内容から非常に読み取れるんですが、もう一方の人材育成、つまり内部人材の産学連携や研究支援を推進する人材、URAですね。こちらについては、今の話の中で、例えば、我々でしたら先輩コーディネーターがシャドーイングを実践して見せたり、ビギナーコーディネーターには現場体験をさせてサポートしたりするOJTを中心とした人材育成をしているんですけれども、貴大学では御説明のあったシニア人材がOJTも踏まえて、かなり機能しているということなのか、別途、そういった導入期のカリキュラムのようなものを作っているか、そういうところを、もう少しお聞きしたいのですが。
【米沢委員】  まだ、そのカリキュラムは作っておりません。ぎりぎり、それにかするかなと思うのは、この実践道場なんですけれども、これは、まだやはり、ちょっと研究とか事業寄りなものですから、サポート、支援するところの人材。もちろん、この中でも十分内容はあるんですけれども、ちょっと色合い的に、そういう対象に見えないものですから、もう一段、これをビジネスという色合いを強めて、そういった人たちも取り込んで、できればURAの育成ですね。そういった形のものに脱皮させるようなプログラムにしようというのが、今、ちょっと名前、ここには書いていませんけれども、グローバル産業人材育成プログラムかな。何かそういう形の名前にして広げてみようと思っています。だから、今それ専用のものがあるわけではありません。
 シニア人材に関しましては、これは多分、地方であるというか、田舎であるという特徴だと思うんですけれども、非常に元気なシニアの方が地元で地元愛を持っておられますので、その方々は非常に志高く、気持ちでやってやるよというふうにおっしゃっていただけるもんですから、今ちょっと、それに頼ってしまっているかなというところですね。
【馬場主査】  よろしいですか。
 山本先生、どうぞ。
【山本(外)委員】  山本です。ちょっとお聞きしたいのですが。福井大学さんは、地方行政と非常に近いですよね。産学官連携のどれを見ても仕掛けも多いし、そういう印象は本当に強く持ちました。
 一つ、ちょっと教えてほしいのですが、特に企業との共同研究で、私どものところ非常に注目しているのは、件数も金額ももちろんなのですけれども、分担という方式と、それから派遣方式というか、昔で言えば産学官連携研究員制度ですよね。年間四十何万必要な制度です。非常に今、分担方式が多くなってきている。要するに、人が企業から派遣されて、その派遣されてきた企業の研究者から学生がインスパイアされるとか、そういうふうな機会がなくなってきている。また同時に、深く研究室へ入って、ほかの研究者ともコンタクトするような、そういう場がちょっとなくなってきているという事実に私は非常に注目しています。福井大学さんの方では、それ以外に企業とのコンタクトする仕掛けがいっぱいあるもので、さほど気にならないのかもしれませんが、どうでしょうね。そういった共同研究における分担と派遣についての何かデータありますか。
【米沢委員】  今のおっしゃられたところいうのは、多分数は減っていると思います。その形としては。特に減った理由というのは、それが駄目だという話ではなくて、どちらかというと学生との契約というのが1度問題になったことがありまして、秘密保持ですね。どうしても学生の就職先まで縛ることはできませんよねという結論に行ってしまうものですから、企業としても、そういう話題が出てしまうと、今まではちょっと、何となくグレーゾーンのまま信用して動いていた部分というのが文章にできないということが分かってしまったことで、ちょっと、そういう活動がトーンダウンしたのかなという部分は、研究室へ、だから研究員の方が入り込むというような場合には起きているなというふうには感じているんですが、反対に共同研究の件数。共同研究に関わる学生というのは、件数が増えると勝手に増える。勝手にとはいかんですが、増えています。地域の企業ですと、だんだんと信用して、技術者が直接学生に連絡とったりということが起きてきますので、そこのところで反対にカバーされているのかなという気はしています。ですので、地域の技術者の方、企業の方が大学へ来ていただく機会を増やす。拠点で、すごく増えたのは間違いないです。あれがあるおかげで、相当にそういう機会は補われているなというふうに感じています。
【山本(外)委員】  県外の企業さんとの共同研究なんかでも、やっぱり分担は、発見は減っていますかね。傾向で。
【米沢委員】  そうですね。ごくわずかですね。余りそういう形は、今現在はとっていないと思います。そういう契約では余りないと思います。
 先ほどの共同研究拠点に関しましては、これは失敗したのか成功したのか分からないんですけれども、オープンにすることで、その機器の使用というのを使用料を課して実施しております。それがランニングコストからかなり低く見積もって作ってしまったものですから、それがちょっと独り歩きした結果なんですけれども、非常に遠いところから、具体的に言いますと、東北地方の、我々からしますと非常に行き来するのは大変なところからも機器使用申込みというのが来ました。いや、高いですよって。旅費がともかく高いじゃないですかって申し上げたんですが、旅費払っても、その方が安いから、トータル安いからって来られるんですが、来られたことで共同研究が一件二件起こったということがありましたので、そのあたりは一つの呼び水になって、もともとあった、そういう入り込んだ形が減った分を補っているのかなという、そんな印象です。
【馬場主査】  じゃ、柘植先生。
【柘植主査代理】  柘植です。一つ感心した感想と、もう一つ、URAについての職制上の立場というのについて質問なんですけれども。
 今見せていただいた、先ほどの絵でしたね。見せていただいた、このイノベーションの継続的創出に向けてという、この成功している要は、私は感じたのは、まず一つは、イノベーションを起こしてくれる協力会員の会員企業が200社も集まっているということが一つだと思います。それから、それは決してお義理じゃなくて、もっと魅力的な研究をしているという教員の質があるし、その中で、ここにも書いてあるように、創造型実践大学院工学教育ということを含めた教育に生きているという、イノベーション・エコシステムでもですが、まさに教育と研究とイノベーションというのが一緒に回っているということが実践されているなと思って感心しました。
 その中で、今、この中で、この絵ではイクスプリシットに書いてないんですけれども、URAの先ほどの組織図ですね。URA。このURAの番号が書いてないんですけれども、このURAオフィスについてということで、補助金で出ているURAもあるんですけれども、事務職員も結構、4名、9名と入っていますけれども、このいわゆる事務職員の中でURA的機能で働く、働いてくれる適材がいるんじゃないかと思うんですけれども、その人たちは、そういう形できちっと、君はある期間はURA的にやってくださいよというような、やがてまたローテーションで、彼の、彼女らのキャリアデザインが別のところに行くと、こういういわゆる事務職員の専門性を高めていくということが、この中には入っているんでしょうか。
【米沢委員】  それ、そうですね。その図は、ちょっと申し訳ない。入れ損ねていたんですけれども、先ほどちょっと口頭で申し上げましたようにURAオフィス、URAの、これ全員ではない。補助金の方というのは、実はその専門職的な、そういう俸給表の方を使っている形で、事務職員の方というのは、実は研究推進課、我々のところです。というところで、ずっと科研費、あるいは外部との契約といったことを扱っていた部署なんですけれども、そういう事務のところを一緒にして、名前を、URAオフィスと変えました。ですので、研究推進委員会とURAオフィスというのはダブルのネームで存在することになってくるんですけれども、全て学外等々に対しましては、URAオフィス。研究に関する、URAオフィスの誰それですという形でやるようにしておりまして、例えば、PREであれば科研費ですね。科研費なんかの最初の募集に関わるところのサポートというようなことは、事務的な手続のところは、その事務職員のURAと名乗っているところがやるし、その内容に関して踏み込むところは、ちょっと戦略的にやろうということで、少し専門的なことをやっている人間のところでやるといったような形にしております。
 ここはちょっと賭けみたいなところがあるんですが、この事業が一定、最後終わったときに、少し俸給表を上げたところの人間がうまく回り出すのかどうかということを、今、中で一生懸命、人間として、どう配置するのかとか、あるいは予算として、どんなふうに配分すればいいのかというようなことを、今の今、まさに苦労しているところです。ですから、今、不可分で、そこには両方とも存在するということになっています。URAの方で行って、しばらく専門的なことやって、また事務組織の方に帰ってくるとかいうことは想定の範囲内で考えています。
【柘植主査代理】  ありがとうございます。
【馬場主査】  そのほかございますか。はい、どうぞ。
【堀部委員】  先ほどから、各先生方が、すばらしい仕組みをいろいろ考えられているとおっしゃっていて、本当にそのとおりだと思うんですけれども、それを考える仕組みといいますか、どういう部署の人が、どういうふうにいろいろ考え始めて、大学がどういう形でコミットするから、こうやって実際動くのか、その辺、何かコツみたいなものを教えていただけますか。
【米沢委員】  あんまり言ってしまうと非常に、ここではいいですが、帰って怒られる可能性はあるんですけど、そんな、我々、かなりうまくいっているところもあるし、うまくいっていないところも相当量あるというふうに申し上げて、最初に、そこは申し上げておかないといけないと思うんですけど、これ、いろんなこと考えておりますのは、実はやはり本学の場合ですと、連携本部の一番基になっているストリームの地域共同研究センターの流れのところのメンバーになります。それは、実はその地域共同研究センター長というのが、たまたまだったと思うんですけれども、福井大学出身の教授の先生方が、ずっと歴代続いて、僕が初めて違うという形になっています。連携本部長においてもですけれど。そういった方々が、やはりつき合いの中で、周りの県の方と御存じだったりするといったところが、まずアイデアの出どころだと思います。今まで見てきた、そういう仕掛け作りという意味では、そうなっています。ですから、県でいきますと、産業支援、あるいは県庁内の産業労働部といったところの方、あるいはこれは経済産業省さんの方から県の方に出られている企画官としておられるような方というのが、ちょうどそういうセンター長との横並びで、いろんな話をされるといったところから生まれているアイデアが相当に多いと思います。それにプラスして、アイデアとしてというのは、そういうことをやり出すと、特にURAオフィスなんかに関しましては、実はこれは初めて事務方から出てきたアイデア。今の研究推進課長から出てきた最初のアイデアですので、そういったところというのは、やはり広がってはいっているんだろうなとは思います。ただ、繰り返しになりますが、最初の部分というのは、やはり、これはだから身もふたもない言い方かもしれませんが、そこに非常に気持ちを持って、愛着を持っておられる、志を持っておられる個人であったのではないのかなという気はします。
【堀部委員】  ありがとうございました。
【馬場主査】  ありがとうございました。
 そのほか、何かございますか。
【永里委員】  いいですか。
【馬場主査】  どうぞ。
【永里委員】  11ページ、もう一回開けてくださいますか。先ほど柘植先生がおっしゃったところとダブるんですけれども、あの中で、協力会会員企業等からの外部講師というのが書いてありますけれど、具体的に、例えば、高度産業人材育成の中の創業型実践大学院工学教育とありますね。あそこは修士及び博士課程ですか。
【米沢委員】  そうですね。こちらは、どちらかというとこれが修士メーンで、こちらは博士メーンで名前を付けてあるんで、今、結局はこれが一体になっております。
【永里委員】  そうなんですね。そうすると、そこの講師というのは福井大学の方々なのか、この下の方の外部講師なのか、あるいはどういう構成になっているんですか。
【米沢委員】  基本的に、もちろん世話する人間としては専任がいますけれども、講師として、本当に教育を与えていただいているのは、ほぼ外部の方になります。地域の社長さんであったり、専務さんであったりという方にお願いをする。あるいはキャリアデザインの方にお願いする。あるいは弁理士の先生にお願いするといったようなことをしてやっているのが、この教育になります。ビジネスプランの作成であったりとか、あるいは知財の勉強、実際にそういうグループワークをしながらやってみたりとかいったようなことは、この中でずっとやってきておりますけど、それは全部、外部人材ということになります。こういったコンソーシアムを組んでやっていますし、試作のときには、結局、地域匠人材という形で、鉄工所のおやじさんであるとか、あるいは電気回路を作っておられる社長さんであるとか、そういったところにお出ましいただいて、学生が叱り飛ばされていると。そんなんではけがするから、その旋盤の回し方あかんというようなことを教えていただいている。そんな感じです。その辺はほぼ全部外部です。
【永里委員】  分かりました。講師は分かりました。
 じゃあ、学生は全部学生ですか。それとも企業からの派遣学生というのはいるんですか。
【米沢委員】  こちらは、やはり内部の学生が多い。博士人材のところまで行きますと、3分の1ぐらいは外から受けておられると思いますね。必要単位分を全部取得してもらうと、特に創業型の方は修了証を出すんですけれども、社会人の方などは、どれか一つだけ、例えば、試作だけ、あるいはビジネスプランだけ、あるいは知財だけというふうに受けられるような方もおられます。そういった方々で平均というか見ますと、特に上の方の実践道場の方に関しましては地域の技術の方、場合によっては、かなり年かさの方も受けておられる。例えば、今度ちょっと知財の担当になっているものですからスキル磨きたいんでとおっしゃるような方が3分の1から半分ぐらい入っているような、そんな感じです。
【永里委員】  ありがとうございました。
【柘植主査代理】  一言いいですか。
【馬場主査】  どうぞ。
【柘植主査代理】  今の延長なんですけれども、この絵で、私は日本の特に博士課程後期の学生が、もっと行きたいと。結果的に産業が、もう博士課程修了者は、これはいいなということのいい循環になっていくことが、日本の本当の産学連携が国際性を持つ、あるいは高等教育の国際化にもなる、そういう究極のイメージを持っておるんですが、その中の一つの妨げになっているのは、左側の共同受託研究に博士課程の学生を投入して、当然それは、ある契約関係の中に大学院生も入るわけですけれども、そういう形で実際の社会のイノベーションを触れながら特定の研究をいい教授の下ですると。それに見合った当然の報酬をもらう仕組み、これはMITとかスタンフォードなんかでは、もう当然、日常茶飯事で、むしろ、そういうスキームがない先生は大学院生持てないわけです。そういった形まで行かないと、私はやっぱり本当のイノベーション・エコシステムにならないんじゃないかと。教育も一緒になったのです。
 それを実際やる。全員の大学院生は無理だと思うんですけれども、ある先生がある共同受託研究をして、それは参加会員の企業から見ても、大学院生に対して年間400万円は出していいですよと、こういうぐらいのものというのは例外的にできると思うんですね。それを妨げる、もし障害の制度なりがあるならば何であろうかということを、もうちょっと可視化して、じゃあ、それを例外的にでも破りたいと思っているんですけれども。もし、今、福井大学の今のような形で、A先生がB会社と組んで、これはもう大学院生400万円出してもいいからやりたいと、こういったときに、それを妨げる因子というのは何があるんでしょうか。
【米沢委員】  多分、まず福井大学のローカルな特徴としましては、福井大学の教育というか、研究水準というのが十分、400万円、今の話であれば、そういったものに満ちていないのかなと、ちょっとそういうところは危惧するところはあるんですけれども、それはちょっと本質的な問題で、横へ置いておくとしまして、イメージとしては、本学の博士学生はやはり最終的にどうするかというと、大学などではなく企業に就職していくような形を考えざるを得ないと思います。しかし、学生の方の意識で、その意識がちゃんとあるかというのも一つ問題としてあるもんですから、この辺でたたき直そうという話はあります。あと、企業という受け取る側の立場についてですが、採用のシステムが、やはりずっと来ている、戦後からずっと来ている一括採用のシステムが問題なのかなと感じてはいます。ドクターだから違うのかもしれないですけど、そうは言っても学部卒業、修士卒業は必ず4月の頭に入社式をやっていると。あの形が実はドクターにとっては一番嫌で、やはり研究というのは、いつからいつまでかって、特に共同研究もそうなんですけど、年度で研究するって本当はおかしくて、やろうと思ったときに初めて成果が出るまでやるというのが共同研究だと思うんですね。それがドクターになって、今おっしゃるような話であれば、そういうふうになっていって、最後、じゃあ、シームレスな形で、ドイツなんかそうなっていると思うんですけれども、アメリカか。企業の方に就職していくと、リーダー……。その研究の、大学側での研究のリーダーをやっていたポスドクが、あるいはドクターが企業の方に入っていく。そのときには、入るときにというのは、別に入社式云々ではない入り方を多分していると。だから、その辺があるとすると、一番大きなところであるとすると、一括で4月に必ず就職するという、ああいうコンセプトみたいなものですね。実際には中途採用が最近は増えてはいるんですけれども、まだやはりそういうところに障壁があるんじゃないかというのは感じますね。
【柘植主査代理】  ありがとうございます。
【馬場主査】  ありがとうございます。
 そのほかございますか。ちょっと時間はオーバーしているんですが、これだけの面白い発表をしていただいたので、後ろの議論をちょっと削ってでも、今と思いますが、いかがですか。どうぞ。
【野口委員】  ガバナンスの件で1点お伺いしたいんですが、5ページのスライドで、学長の下に産学官連携委員会と本部長の下に本部運営委員会があるんですけれども、とりわけ上の産学官連携委員会のところの権限とか意思決定とか機能とかですね。これを少し詳しく教えていただければと思うんですが。
【米沢委員】  ありがとうございます。一番痛いところの質問……。
 ここですね。今の今は、これがもう一つURAオフィスがあって、産学官連携推進機構という形になって、そういう委員会になっているんですが、形としては基本的に同じです。研究担当理事が、これを所掌する形になって、その戦略を見るという形になっていると。ただ、福井大学の在り方のせいなのかもしれないんですけれども、どうしても、やはり学部とか教育研究のところと、産学官連携というところの立場の違いからくる意思疎通の難しさは大きくはなくても存在しています。これは産学連携に限った話ではなく、学部教授会のような組織と大学全体のガバナンスを考えるところとで意識のズレが生じがちなのは、大学という組織の固有の問題なのかもしれないと思ったりもしています。ですので、どうしても現場から提案をしてガバナンス側が認める形になる部分が多いと思います。
 とはいっても大学の経営陣とのスムーズな関係を構築しないとと思いまして、今年ちょうど、URAオフィスが付いて、この形が変わったという節目もあったもんですから、例えば、事業をちゃんと目的別にする、それから数値目標というのをきちんと入れたような形で、ガバナンスがちゃんとできるような手法をこの委員会の中で作り上げていきたいなと思っています。
【永里委員】  すいません。
【馬場主査】  はい、どうぞ。
【永里委員】  また繰り返しになります。ちょっと別の形で、先ほどと同じことを聞くんですけれど。大きな大学においては、大きなって、福井大学よりも、ちょっと違う大学を想像してもらったらいいと思いますけど、産業界のニーズを全然考えないで、大学で大学院教育が行われていると。極論ですけれども、専ら研究中心であって、産業界のニーズを捉えていないと。だから産業界としてほしい人材が、ドクターが来ないというミスマッチが起こっているという時にあって、きょうの御説明ですと、福井大学というのは産業界のニーズと一緒に大学院教育を行われているように見えるんですが、そこのところは、逆に言うと研究の方はおろそかになっているんでしょうか。その辺はどうなんでしょうか。
【米沢委員】  決してそうではありませんというふうに言いたいところなんですけれども、やはりどちらかを選ばなきゃいけない状況というのもあるんじゃないかなというふうに感じています。それは、だから現場で工夫してバランスを取っていると。それでも周辺に若干の混乱がありまして、そのせいで、やはりドクターに対する進学の率が少し悪くなっているような気がするところもありまして、それで、結局全体として質を下げる一因になっているといわれても否定しにくい部分があるような気はします。ですので、学部の中には産学官連携本部というのをやっていることは大学の存在意義に反するんだという意見を聞くこともあります。指標として、その論文の数や質をもっている研究レベルでは維持できていますと言いたいところなんですが、これはそれだけの原因じゃないのかもしれないんですけど、全体的に下がっているものですから、完璧に両立できていますと指標をお示しして言いにくいところです。
【永里委員】  ありがとうございました。
【柘植主査代理】  応援演説なんですけれども、私はやっぱり科研費とか、あるいは論文を、あるいは査読付論文の数とか、そういう形のパフォーマンスと重ねれば、決して、私はそれはポジティブに教育に効いていると、研究にも効いているという数字が出せると思うんですけれども、逆なんですか。
【米沢委員】  いや、我々は出さなければいけない立場なものですから、これだけのことに波及していますということは、ずっと、それこそ、その委員会の中でも主張はさせていただいています。どうしても論文と科研費というのをおっしゃるものですから、そうではないですよねと。例えば、AステップのFSであったりとか、あるいはその知財をベースにした共同研究、あるいはそのプロジェクトということから入ってくる外部資金ですね。科研費を外部資金と見た場合。もう明らかに科研費よりも後者の方が大きいんですね。ですから、そういう意味においては、産学官連携そのものが研究の質、あるいは研究環境というものを悪い方に導くことはないはずだというふうには主張していますし、それは成果として見てくれという主張を、大分認めていただけるようになってきたところだと思います。
【馬場主査】  どうぞ。
【柘植主査代理】  これで、すいません。1度打ち切って、次に替わって、また後で、次の議論のところで、また組み込ませていただきます。
【山本(外)委員】  すいません。一つだけ。
 福井大学ではURAを事務職員という位置付けにする予定のようですが、私どもの大学では、技術職員をコーディネーターにというのを取り組んできたんです。企業から簡単な技術相談とか、あるいは課題解決みたいなもので、例えば、電顕でのぞいたり、あるいは分析をやって、そのデータを出す技術コンサルテーションみたいなものですね。そういう案件が結構あります。2年前のアンケート調査では、高専の技術職員は、もう本当に先生を差し置いて、直接共同研究やったり論文を出していたりしているのです。福井大学では、企業と近いようですが、技術職員の活躍というのは、どういうふうな感じなんでしょう。
【米沢委員】  今おっしゃったような形で、本当にもう完全に独立するような形で出ておられる技術職員の方もおられますがまだ数は少ないです。
 現在、連携本部に技術部から技術職員さんを派遣をしてもらって、そういう意味では、産学官連携の仕事に技術部が、その技術的な知識、ノウハウをもって当たると、外に向かっても技術の提供をやるんだと。その成果は本学の先生方の研究にも還元されるんだということをお話しながら、体制を整えつつあるところです。技術部の在り方について我々はもっと議論しなければという状況だと思っています。
【馬場主査】  どうもありがとうございました。
 このまま行きますと、多分終わらなくなりますので。
【米沢委員】  すいません。
【馬場主査】  すいません。次の議題も今のお話も含まれると思いますので、随時折り込んでいただいて、お話しいただければと思います。
 次の審議は、大学や産学連携本部の在り方、今までの産学連携が、特にこの10年間ですけれども、法人化して以後の反省と総括についてということで少し議論を深めさせていただいて、それで次のステップへの足掛かりにさせていただきたいと思いますので、それで、まず御発言を頂きたいと思います。
 すいません。最初、ちょっと指名をさせていただきたいと思います。大学とは多分違う観点で、マスコミの方から、山本様の方から、何かこの10年の産学連携についてコメントを頂ければ非常に有り難いんですが。
【山本(佳)委員】  皆さんもずっと10年ほどやってらっしゃるので恐縮ですけれども、そうですね。私も法人化前から産学連携の担当をして、ずっと皆様の活動を見てまいりまして、企業との知財のもめ事があったり、TLOと知財本部のもめ事があったりという大変なところも何とか乗り越えてきていると理解しています。それぞれの現場での頑張りがあってやってこられたというのを振り返ります。
 けれどもここ一、二年のところで言うと、ではイノベーションにつながっているのといった声が、国として出てきています。研究の研究者それぞれの取組であるとか、それを支援している産学連携の方たちの活動で見ると、それはそれで成立していると思いますし、よくやっていると感じます。思っているけれども、それがエコシステムみたいな全体の新しい大きな流れとして、社会を変えていくことにつながっているのかというと、なかなかそうはいってない。じゃあ、どうすればいいんだろうというのが現状と感じています。
 こちらの作業部会の前身になる会合でも、そのあたりはすごく議論されたと伺っていて、イノベーションをどんどん生み出していく形にしなきゃいけないけど、アメリカ型みたいなのは、なかなか日本じゃ難しいと。今までやってきた日本の産学連携の歴史もある。じゃあ、どうするのというところで、模索している段階なのかなと思っています。
【馬場主査】  私が個人的な意見を言うのは非常におかしいかもしれませんが、私たちが産学連携を始めたときには、イノベーションは企業が起こすんだから、大学は極端に言うと手伝えという認識を、正直なところ、持ってスタートした記憶があるんですが、世の中は余りそういうふうには見ていないわけですね。
【山本(佳)委員】  それは先ほどの福井大学の件に、ちょっとつながるんですけれども、あれっと思ったのは、産学連携の活動は、いわゆる大学の研究教育とは違うよねとおっしゃる先生がいらっしゃる。今もいらっしゃるということですよね。というのにちょっとショックを受けました。それは昔はそうだった、つまり10年前でしたら、そういう先生がいっぱいいましたし、総合大学という形であれば、いろんな先生、文系の先生もいらっしゃるし、お医者さんもいらっしゃるからだとは思います。けれども、そういった先生たちの間でも、工学系の産学連携がこれだけ頑張って、外部資金を取ってきて、自分たちの大学もそれで回っている面もあるという理解は進んでいると思っていたのです。なので、そうでない方が、まだ結構いらっしゃるというのは、ちょっとショックでした。
 その話と今のイノベーションの話でつなげて言いますと、やっぱり大学の役割を何と見るかということでしょう。大学の中にいる方は、いわゆる大学でしかできないところの研究と教育ということをすごく意識されるでしょうし、一般から見ると、もちろんそれもわかるけれども、やっぱり社会に役立つことしてよねという意識があると思います。それは教育と研究と社会貢献の三つで考えると、いずれも大学の役割なのですけど、それをどれぐらいの比率でやってもらうべきかというのが、結構、大学の人の感じるところと社会が思っているところと差が出ているのではないかというのが印象です。
【馬場主査】  ありがとうございます。多分大学の、私たちも含めて職員の意識が、世の中に付いていっていないのか、余り変わっていないのかもしれません。そういうところに一つ原因があるかもしれないし、その大学の意識をどう変えるのか。やっぱり変える必要があると思っていますので、そういうことも一つの課題になるのかもしれません。
 そのほか何か、今のことに関連しても。はい、どうぞ。
【永里委員】  いいでしょうか。
【馬場主査】  はい。
【永里委員】  実は福井大学に対してはエールを送りたいと思います。
 それで、その理由を言います。私は化学会社に勤めている男でして、化学会社のいわゆるリサーチ部門の人間なんですけれども、化学というのは成熟した学問なんです。工業化学と合成化学も含めて、この成熟した化学においては、新しい研究論文というのは非常に出にくいんです。そうすると困るのは企業の方でして、人材は、結局は大学からもらうことになる。大学生。もちろん大学院生、特に化学とか、あるいは製薬はドクターが欲しいんですけど、そういうところでは、福井大学みたいなところが一生懸命やってくれないと。UR11のどこかの大学あたりでは、ひょっとしたら成熟したところの学問を教えないとか研究しない可能性がありますので、産業界としては、福井大学みたいないき方をする大学を応援したいと。もちろんノーベル賞をもらうような研究をなさるところは、それでいいんですけれど、イノベーションを起こすというのは、結局は先ほどの社会貢献することなんです。そのためには、やっぱり福井大学のこのいき方というのはエールを送りたいと思います。
 以上です。
【馬場主査】  ありがとうございます。
 企業から来られたということでは、堀部先生もそうですね。何か今の……。
【堀部委員】  はい。製薬企業から来たんですけれども、薬創り、創薬ということからいうと、これは大学に対する考え方ががらっと変わったというのは、はっきりしている部分があります。2005年ぐらいまでは、割と閉鎖的に、自分のところの研究を中心に閉鎖的にいろいろやっていたんですけれども、もう薬が出ない時代がずっと続きまして、一方欧米企業なんかは2007年ぐらいから、自分のところの基礎研究は、もうやらないで、R&Dだけに徹するという情報があり、そういう姿勢をとっているというのを聞いて、そのときはびっくりしたんですけれども、それが今、ちょうど流れが遅れてきて、基礎研究は大学からいろいろ受けたい、そういった成果を企業で確認しながら進めたいという、そういうふうに流れが変わったというのがありまして、これはまさに、もう本当に時代の変化で変わったという部分があると思います。
【馬場主査】  その変わった原因というのは、企業だけではできない、その理由は何かございますか。
【堀部委員】  多分、遺伝子とかのいろいろな情報がすごく得られるようになりまして、そうなると一つには、データをとるためにもう金が掛かるし、それからあと、研究がすごい細かい部分に、深いところに入り込んでいっちゃいまして、一企業の、例えば数百人いたとしましても、数百人で研究しても、それだけの成果にしかならないんですけれども、一方、世界へ目を向けてみれば、基礎研究している先生が何万人、何十万人もいらっしゃるということで、そこから、効率とかを考えた場合、そちらの方に目を向けなければいけないという、そういうような方向に来たと思うんですね。
【馬場主査】  社会的な要請で産学連携のやり方を変えないと、始まらないというふうな時代になったと考えてよろしいですか。
【堀部委員】  そうですね。はい。
【馬場主査】  ありがとうございます。
 あと、その産学連携の、例えば、この10年で大きく変わったとか、何か、この辺は非常にまずいとか、いまだに……。はい、どうぞ。
【山本(外)委員】  山本です。私はコーディネーターをやり始めて、もう通算10年ぐらいになります。一つだけ残念なのは、大学の知が企業とか、あるいは社会の活力になると信じて、我々、コーディネーターはやってきたと思うのですが、と同時に、裏の心は大学自身の変革の力を社会からもらってほしいということだと思うんです。それを、大学が気付いていないというか、いまだにそこを分かってない。これが残念ですね。実は指標から見ると、知財が何件行ったとか、幾ら金額になったとかって、これは大学側の都合のいい指標です。企業や社会から見た外部からの満足度はどうなのかという、そういう指標で、大学は今、競わされていないので、そこら辺がちょっとまずいのかなと考えています。僕は本質的には、やっぱり産学連携というのは、その仕組みを活用して双方が刺激と活力を得る、その仕掛けであって、どっちかがどっちかへ水が流れるようなものじゃないと思うのです。
【馬場主査】  ありがとうございます。
【松永委員】  大学の立場から、ちょっと言わせてもらいます。
【馬場主査】  はい。お願いします。
【松永委員】  僕も企業にいたんで、両方のことを知っているんです。大学の立場から言うと、先ほど馬場主査がちょっとおっしゃりかけた話に絡むんですけれど、大学には、企業のお手伝いをやってもらいたいというのが、多分、最初の話だったと思います。大学に、じゃあ、一体企業は何を求めていたのか。当然、基礎研究でしょうと思うんですよね。だって、それは、大学でしかできないわけですから。で、大学で何でそれができるかというと、企業の、私も研究所にいたから分かりますけれども、同じ方向性を向いた人しかいないんです。ところが、大学というのは変なやつが結構いるわけですよね。だから同じ工学部といったって、化学やっているやつがいて、機械やっているやつがいてって。大学の強みって、多分そういうところの、学科というのか、もうちょっと広い言葉で言うと、多分多様性だと思うんですよね。そういうところでしかできないことが大学の研究であって、そこと企業との連携を、ここ10年やってきたというのが、多分現状じゃないかなというところですよね。それで、次はどういうステップに行くのかということを、我々は、これから議論しなきゃいけないんだろうなという。
 恐らく企業の方だって、その辺気付いているはずですよね。だから、大学に何を要求するのかというと一つ人材は当然ですよね。これは間違いありません。使える人材をよこせというのは、そのとおりだと思います。あと、研究として大学に要求するのは、基礎研究以外はないと思うんです。ただ、その基礎研究というのが、浮世離れした、現実性からかけ離れた研究だと、それはもう御随意にと、大学さんで勝手にやってください、我々はお金も何もコメントもしませんという、そういう態度なんじゃないかなと私は理解しているんです。このあたりは、逆にいかがでしょうか。
【馬場主査】  企業と大学が集まると必ずこの議論が起こりますので、ちょっと置いておいていただいて、少し違った視点でも結構ですので、今まで、それぞれの先生方が担当してこられて、産学連携に対する感想でも結構ですので、お願いをしたいと思います。内島先生、お願いいたします。
【内島委員】  内島でございます。
 先ほど福井大学さんの、地域、地元、そういうところでの産学官連携の必要性、在り方というお話を、興味深くお聞きいたしました。
 私がおります北見工業大学も本当に100キロ圏以内に工業大学は私たちの大学のみというような環境下にございます。その地元の中小、零細に近い企業様が、何を自分たちがやっていこうかと思うときに、やはり大学というものが持っている信頼感、先端的な知ですとか、ハード面、そういうもの全体を求めているものだというのは、大学としては感じています。それに私たちは産学官連携という形で応えていくようなことをしているわけです。今回、この産学官連携本部の在り方、また今後の役割をどのように機能強化していかなきゃいけないかという議論をするのだと思います。イノベーションを起こすために、大学の成果を社会に提示していくこともいいんじゃないかというところも、今回の委員会の話題の中でもありましたけれども、例えば、産学官連携でこういう成果が生まれましたということを、提示することで、それがうまく回っていくのかというところにつきましては、ちょっと疑問も持っております。特に中小企業がほとんどという地域においては、大学が発揮することを期待されている全ての機能の一環として、そういう面も大学の産連本部が担って、地元と一緒になって、そういうことも示していくような方向で動いていくことが今後も必要が今後も必要になるんじゃないかなというふうには感じております。
【馬場主査】  ありがとうございます。当然だと思います。大学のロケーション、それから置かれた立場、いろいろなその大学が持っている分野、それから地域との密着度というのも非常に大学にとって大事だし、大学にも、いろいろな生きる道があるかと思います。そういう意味では、言い方は悪いですが、福井大学さんの話、それから今の内島先生のお話をお聞きすると、やはり非常に大学は15年、順調にうまくやってこられたんではないかと。逆に、私のところは、今何してたんかなと、ちょっと反省を込めているんですが、もう一人、少し、私学の立場から野口先生、ちょっとお願いをできますか。
【野口委員】  はい。私が研究部に配属されたのは2001年ですから、この道12年で全く異動がないという専任職員です。非常に珍しいと思うんですけれども、人事政策上は様々な角度から考えねばならないと思います。
 さて、私が2001年に来たときには、産学連携は圧倒的に教員がリードし、教員がとの連携を積極的に推し進め、職員は後に付いてサポートをしていたという状況でした。2003年から2007年までは知的財産本部整備事業が実施され、また2008年から2012年までは産学官連携戦略展開事業が後継事業として実施され、そこでは産学官連携コーディネーターやIPスタッフを大学で数多く雇用してきましたので、組織的な人材育成とともに、職員がその時期、非常にリードし、産学官連携を推進していったと思います。このような動きは全国的にも展開され、職員がリードする機運もかなり向上していたと思います。
 それら事業が終了し、今、実績を挙げ、自立的に活動できる産学官連携コーディネーターとして残っているのは、やはり研究者と一緒に教職協働ができるコーディネーターですね。また、あくまで大学所属ですので大学の研究交流にかかわる各種規程や大学の理念とかを理解しているコーディネーター、このようなコーディネーターが今、残って、成果を上げているということだと思います。もう一点は、この間、産学官連携活動を実践していて非常に思ったのが、2001年当時はニーズとシーズのマッチングという非常にシンプルな形態だったんですが、今は産業界のニーズが非常に多様化していますね。例を挙げますと、例えば、中小中堅企業ではうちの2代目(後継者)を教育したいので、社会人ドクターで受け入れてくれないかという、こういったニーズもあります。そうすると、大学の教学部につなぎます。また、研究スペース確保のニーズがあれば、大学内にあるインキュベーション施設を紹介し、大学内に研究拠点を設けることにより、与信力(信用力)が向上し、銀行から、もし借入れするときにでも、研究力があり、研究開発に力を入れている企業として評価され、有利な条件で交渉できるかもしれないなど、やはりそういう幅広い知識、ノウハウが必要になり、求められるスキルも多様化になり、大学内の産学官連携本部や研究部門についても、しっかりと企業ニーズの多様化に応えられる力量を持つ人材育成と組織整備が求められていると、最近つとにそれを感じています。
【馬場主査】  ありがとうございます。ますます大学間が連携するか分担するかしないと、それぞれの大学が全ての要求を受けられないという時代になりつつあるような気もいたします。
 そのほかに何かございますか。ちょっと今までの産学連携についての反省でも自慢でも結構ですが。柘植先生。
【柘植主査代理】  今のこの資料3-1の命題、大学発のイノベーション創出機能の強化についてですけれども、究極のこの強化策は、特に理工系だと思うんですけれども、理工系の研究課長、あるいはその単科だったら学長が、これをしない限り、うちは永続性がないと、まず思って、それを支える教員、職員もそうだなと。本当にこのままではうちはもたないと、10年先。これをまず確信というか、危機感を確信することが最終の要だなと思います。
 その途中の中に、今、学長からすると、うちだって、先生たちにしても、ちゃんと基礎研究やっているし、そんな社会のことを考えながら、ちゃんとやっていますよと言いながらも、一番弱いのは、先生たちがやっている、いろいろな意味の社会のためになるだろうという基礎研究が意外とつながっていないというのが産業界からのクレームですので、そこの要が、やはり、柘植流にいつも言っています、大学が生み出している価値を社会とつなげるための価値のフローとインターフェース役が今弱いんだと。というふうに学長なり研究課長が気付くかということですね。気付くのが大事だと。気付いたときに、今、政府の方が、こういうURA的なものを支援してくれていますので、それを是非最大限に活用すると。活用する以上は、政府の資金がなくても、やはりうちが生き残るためには、これは職員として、あるいは教員として定着させねばならないと、こういういい循環を起こしていけるかどうか。起こす大学は、私は10年後に残るだろうと。残らないところは、もう教育だけで頑張ってもらうということが残るんですけれども、それは海外で教育した方が早いということの話もありますので、やっぱり今のような方向に早く気付く大学、あるいは気付いてもらうための我々の活動がつなぐ必要があるなと、そんなふうにずっと思っています。
【馬場主査】  ありがとうございます。
 実は、すいません。私、主査をしていて、質問したくてできなかったんで、最後に一つだけ。福井……。先生にお願いをしたいんですが。
【米沢委員】  すいません。油断していました。
【馬場主査】  はい。突然申し訳ありません。
 知財のバンクというのを作る。多分、知財をこれから一つの大学で扱うことは、私たちのような大きな国立大学でも到底不可能だと思っています。もしよろしければ、今どういうふうに、知財をどういう段階で集めて、あるいは知財取れたものを集めているのか、あるいはそれの運用の仕方とかですね。
【米沢委員】  先ほどお見せした知財バンク、あれは相当壮大なスケールで夢を描いてしまっていまして、ここで責任を持てと言われても非常に困るところなんですけど、今、まず手始めに始めておりますのは、大学なんかはほとんど使っていたのかな。あるけど使ってないという知財がある。それをとにかくそこへ全部出すと。それから企業の方からも、余り活用されていないよねというようなもの、あるいは県なら県にある、使いたいけど、まだ使い道がはっきり定まっていないといったものなどを、最初に対象にするというところを手始めの部分としてはやろうとしているところですね。それから、これは大学の中の知財の管理に関しましては、福井大学、自分で言っちゃうと、またしっかりしろと言われるんですけれど、やはり取っただけという知財が多いんですね。先ほどの多様性というのが、またここにも悪く効いている部分でして、多様性が大学の特徴であるのは絶対間違いないんですが、知財に関して言えば、多様性は使い道がばらばらということになりますので、パッケージに絶対ならないという、一大学ではですね。そういったところは、やはりそういう関係のところと連合、ちゃんと価値をすり合わせをして、使える知財に組み直して提供しないと、知財としては、まず役に立たないだろうなというのが、現状での関係者の認識です。
【馬場主査】  また具体的なことを追々教えていただきたいと思いますが、ちょっとすいません。私の手違い、余りよくなくて、時間が大体迫ってまいりました。きょうの議論はこれぐらいにさせていただきたいと思いますが。
 私、最後に、いろいろなお話をお聞きしていて、やっぱり企業も大学も、産学連携について、もっと本気になる必要があると思っています。大学も産学連携、産学連携と言っていますが、いわゆる大学が産学連携に掛けている人とお金という観点で、1度、是非、今の大学、産学連携の実態を見ていただきたいと思います。どういう人を産学連携に充てているか、どういうお金をどこから流しているか。これはすいません、大学だけではなくて、企業からもそうだと思いますし、国からもそうだと思います。お金だけで回るものではないと思っています。やっぱり、どういう人を永続的にどう付けるかというところまで含めて、本気になって産学連携体制を組んでいかないと、これから先の10年どうなるかというような点も少し加えていただければと思います。次回からの、また議論にさせていただきたいと思います。
 すいません。時間、ちょっとオーバーしてしまいましたが、きょうはこれで締めさせていただきますが、よろしいですか。
【永里委員】  すいません。一言だけ。
 私の発言の中で誤解を招くといけませんので、ちょっとだけ、言わずもがなを言いますけれども、基礎研究に裏付けされたイノベーションを企業が期待していることは間違いないのでして、基礎研究をおろそかにしてよいということを言っていないつもりですけれども、よろしくお願いいたします。
【馬場主査】  私は個人的には大学と企業のミッションは違っていいと思っていますので、これを同じにして同じ方向に走るのは、それだったら大学が企業になればいいわけですから、そこはきちんと押さえていきたいとは思っています。すいません。ちょっと変な発言になりましたけれども、大学は、やっぱりしっかりしていきたいと思いますし、よろしくお願いいたします。
 ちょっとまとめの発言にはならなかったんですけれども、本当に企業と大学が本気になってやっていけるような産学連携を目指していければと思っております。次回からの、また議論につなげさせていただきたいと思います。
 きょうは、どうも本当にありがとうございました。
 最後になりますけれども、実は里見課長と工藤室長が異動になられるということで、お二人からちょっと御挨拶を頂きたいと思います。
【里見産業連携・地域支援課長】  大変申し訳ございません。この場をおかりいたしまして、私自身は1年半ということでございまして、産学連携を担当させていただきました。大変勉強になることも多く、地域にたくさん行かせていただきまして、次に行くポストが大学振興課というところでございます。まさに大学の、今、産学連携は大学のミッションの中の一部に入ってくるということですので、全体をまた見させていただける立場に行かせていただけるということになりました。引き続き、どうぞ先生方には、よろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
【馬場主査】  どうもありがとうございます。
 じゃあ、工藤室長。
【工藤大学技術移転推進室長】  こうした第1回の会合でお別れの挨拶をするというのも、非常に何か皮肉を感ぜずにはいられないんですけれども、私、個人的に産学連携の仕事は2回目でございまして、これは2005年、6年当時、まず担当させていただきまして、昨年からちょうど1年間担当させていただいたんですけれども、六、七年前に感じていたことというのは、なかなか解決しないでここまで来たんだなというのを非常に強く、昨年、着任したときに感じました。
 それと、やはりきょうのプレゼンでも御説明しましたけれども、自立化促進プログラム等の、いわゆる大学内に知的財産本部、それから産学連携推進本部を設ける事業というのが10年続いた後、一体どうするんだろうというのを、私なりにいろいろ考えて、この1年走ってきたんですけれども、とうとう結論がなかなか出なかったので、こういう作業部会の方を組織して、答えを皆さんに頂こうというふうにたどり着いたんですけれども、なかなか、それが結論を見る前に終わってしまうんですが、非常に残念で心残りではありますけれども、文科省の中には、まだこれまで、私、まだおりますし、それから皆様方にもあらゆる場面でお世話になると思いますので、今後ともひとつよろしくお願いいたします。
 また、きょう、後任の者が一応こちらの会場に来ておりますので、後で御挨拶させていただければと思います。この会議についても、引き続き、今後含めて事務局の方がしっかり導いて、処理させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【馬場主査】  どうもありがとうございました。
  すいません。それでは最後に事務局の方から、今後の予定についてお願いできますか。
【鷲崎大学技術移転推進室専門官】  どうも御審議ありがとうございました。
 お手元の資料5を御覧ください。今後以降の日程の案を書かせていただいてございます。
 次回、第2回ですけれども、7月23日、火曜日の13時半から2時間を予定してございます。第3回、第4回につきましては、8月上旬、下旬と書かせていただいてございます。ちょっと日程につきましては、また主査と御相談させていただきまして、改めて御紹介させていただきたいと思います。
 以上でございます。
【馬場主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、これで作業部会の方を閉会させていただきたいと思います。本日は本当にありがとうございました。御協力いただきまして、ありがとうございます。

―― 了 ――

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科学技術・学術政策局 産業連携・地域支援課 大学技術移転推進室

(科学技術・学術政策局 産業連携・地域支援課 大学技術移転推進室)