産業連携・地域支援部会 イノベーション対話促進作業部会(第3回) 議事録

1.日時

平成25年5月1日(水曜日)15時30分~18時

2.場所

文部科学省東館3F1特別会議室

3.議題

  1. 大学発イノベーションのための対話の促進について
  2. その他

4.議事録

【石川主査】  では、定刻になりましたので、ただいまからイノベーション対話促進作業部会第3回を開かせていただきます。
 傍聴者の方、ちょっと失礼な方向になりますが、よろしくお願いいたします。
 初めに事務局から、配付資料の確認をお願いいたします。
【鷲﨑専門官】  それでは、配付資料の確認をさせていただきます。
 資料1といたしまして、TWIns産学再生医療研究とイノベーション対話という資料となってございます。
 資料2といたしまして、全体スケジュール(予定)というものを御用意させていただいております。
 資料3-1といたしまして、大学発イノベーションのための対話の促進について(たたき台案)というものを御用意させていただいております。
 資料3-2といたしまして、今後の審議に向けた質問事項という資料でございます。
 資料4といたしまして、イノベーション対話促進作業部会の予定、今後の予定でございます。
 そして、最後に江上委員の方から追加で1枚、配付資料がございますので、委員の皆様方にはA4、1枚をお配りさせていただいております。
 もし過不足等ございましたら、会の途中でも結構ですので、事務局までお知らせいただければと思います。
 以上でございます。
【石川主査】  はい、どうもありがとうございます。
 それでは、今日の議論を進めてまいりたいと思いますが、事務局の方で用意していたのには、前回、アイデアを出す部分にフォーカスした結果、かなり問題点が整理できたのではないかと考えておりますので、言えと書いてあるんですが、そうも思ってないところもありまして、問題点が整理できた部分とそうでない部分があると思いますので、本日も活発な御議論をよろしくお願いいたします。
 後でいろいろな議論が始まる前にまた整理の話をさせていただきますが、今日、前回ちょっと申し上げましたように、今までちょっとどういうふうな対話をすべきかという方向からの議論が多かったんですが、今日、江上委員に実は現場はこうなんだよという方向からの議論を少し、議論というかプレゼンをしていただこうと思っています。
 まずは、そのプレゼンから始めさせていただきたいと思いますので、江上委員、よろしくお願いいたします。
【江上委員】  石川主査、御紹介ありがとうございます。
 それでは、私からはライフ・イノベーションのテーマでもある再生医療研究拠点の、イノベーション創出拠点の形成という10年プログラムをやっておりますが、こちらの活動から、このイノベーション対話に関わると思われるところをなるべくピックアップをして、現場の御紹介をさせていただきたいと思います。
 この絵は実は1978年に、私どもの先端生命医科学研究所を最初に立ち上げた故櫻井教授が既に再生医療のビジネスモデル、医療のビジネスモデルとはこうあるべしということで、漫画をつくられたものを表につけさせていただきました。まだ、サイエンスも技術も、当然企業の顔も見えない段階で、どれだけの多様なニーズとシーズを、患者の治療に結びつけるかという絵を描いた人がいるということで、日本にはこういうイノベーションの全体構想、あるべき社会像というのを啓発的に示す人たちがいるんだということを是非御理解いただきたいと思ってつけさせていただきました。
 一方今回イノベーション等々、とにかく定義はしないで議論を始めましょうということでしたので、これは実はセンター・オブ・イノベーションの今回の応募、アイデア提案の1ページ目のところに、書かせられる部分です。センター・オブ・イノベーションのビジョンとして該当する番号を記載してくださいとなっています。
 少子高齢化先進国としての持続性確保、Ageless Societyとか、豊かな生活環境の構築(繁栄し、尊敬される国へ)とか三つありまして、実は1、2、3がどう違うのか。それぞれどういうあるべき社会の具体像をビジュアルに指していて、提案者の人たちが自分のテーマ、小さなゴールにとどまらずに、この社会の像につなげ届けたらいいのかを理解するために、現場としては苦労しております。
 比較的サイエンス・ドリブンの研究開発をしているグループと、社会科学的な大きなビジョンから、いわばおりてくるグループとがどういうふうに手をつなぐ対話をするのかがわかりにくいと。手をつなぐためにはターミノロジー、共通言語として、誰からもわかりやすいイノベーションの定義というものがイノベーション対話には必要だと思います。最初のこれも一つの事例になっているかなと思います。
 例えばハピネス社会というのは一体何を指しているのか、こういったことが戸惑ったままですと、突っ込んだイノベーション対話ができないということになりかねません。
 次のスライドですが、ストックホルム市が2025年に世界でベストのヘルスサイエンスシティーをつくるという宣言をしております。こういう満ち足りたような将来都市構想の絵も描いているんです。このビジョン達成に向けて実に事細かな技術開発、社会制度の変革等をてんこ盛りにしてありまして、多分こういった絵をつくるところまでの作業を、どれだけ多様な具体的な課題解決を担うイノベーターが一緒にやるかということが多分日本に求められる。やや縦割りの国日本で、いかに横串を刺して、更に世界的なビジョンでこういった社会像をつくるかということが、多分このプログラムで求めているんだろうと思っています。
 実は、日米のイノベーションにおける強み弱みというのを常に考えながら、日本の強み、私どもの研究所の強みを生かした開発をしておりますけれども、これはちょっと乱暴ですけれども、やはりアメリカの場合は課題の設定力や発信力とか、制度革新・実現力にすぐれているかなと。
 一方、日本では通常の努力では考えられないほどのリアリティーを創ったり、二足歩行ロボットもそうですけれども、あるいは、不十分な環境でも既存のシステムを可能な限り継続してその中で工夫しながら運営し続けるという力にすぐれていると思います。ですから、アメリカですとバーチャルなデジタルコンテンツ的な開発力。デジタルですから、開発にそれほど大きなコストがかかるわけではない。その自由な開発力で“アイデア”をできるだけ拡散した上で、そこに産業ですとか、技術ですとか資金を取り入れて、リアリティーのある世界のイノベーションにいかにつなげるかというやり方がアメリカの打ち手となっているだろうと。こういったバーチャルからリアルへという開発過程の場合だと、参加者による共通の言語化とかディフィニッションという活動をあんまり急ぐと構想の矮小化を招くのではないかと。スティーブ・ジョブズが亡くなる前に言っていたように、日本には全ての技術がある、欠けているのはスティーブ・ジョブズだけというのは、まさに日本にはこの研究課題設定力、自由な製品構想力と実現力が十分じゃないと、アメリカは日本に対して比較競争力を有していると理解していると思われます。
 一方、日本は常人の努力、技量ではなし得ない、あり得ないような技術、製品、サイエンスというものを最初からこつこつと現実的につくり出してしまうと。そういう能力を持った人材がたくさんいらっしゃいます。それは大学だけではなく中小企業にもいる。7人の社員で世界のある部品の80%をつくっているというような企業が日本にはあると。そういった課題を乗り越えるものをこつこつつくるところから始めるので、こつこつつくり上げたものの社会的な価値を本人だけで抱え込むのじゃなくて広く世の中が共有し、様々な社会のステークホルダーが賛同し、ついに集団活動として社会価値全体を生み出すようなリアリティーのある社会変革力につなげる、あるいは変革体制を創る、日本でここができると圧倒的なイノベーションが多発するのではないかと私は理解しています。
 したがって、このステークホルダー間による共通言語型とか、基盤を定義する活動というのは、実は、日本のイノベーション力を高めるために非常に必要だと思います。一々確認しないでも考えていることがわかるというホモジニアスな国民で縦割りの社会において、しかも最初にこうやってこつこつものをつくられてしまう国においては、その社会価値を理解するための共通理解をつくる努力や工夫が非常に必要であると思われます。
 日本の強みを発揮するイノベーション対話としては、何がキーかというと、現場から非常に感じていることは、イノベーションというのはやはり破壊的な技術を生み出してしまうわけです。それをS字カーブのイノベーションにつなげるということがイノベーションの成果だとすれば、多様な価値観によって現状の技術、プラクティスというのを徹底的に対比する、否定する、対立的な議論をするということが必要かと。既存の技術に比べて幾らイノベーティブであっても、劣位のある部分については早い段階から十分に鍛え直すこと、それは技術も人もインフラも鍛えること、それが結果的には既存のリアリティーにとってかわることができるためのどうしても欠かせないプロセスだろうと。ただ、この過程をあまりにもいじめのような状態ではなく、より多様な関係者が楽しんで、感動して、その過程を実現するのが重要だと思っております。
 2番目は、イノベーション対話としては、メソッドは重要なんですけど、まず場があるということ。破壊的技術を一つの核にした切磋琢磨であったり、議論であったり、それをメソッド化して次なるジャンプや、次なるイノベーション対話につなげる場があって、異分野の人材がいつもそこに集う機会、切磋琢磨の機会があることがむしろ必要であるかなと。オン・ザ・ジョブで継続的に進めるということです。
 それから3番目は、やっぱりその目的とか志のある対話が必要だろうと。幾らセンスがあるメンバーが集まったとしても、無礼講で楽しい会話だけで本当に世界をひっくり返すようなイノベーションに直結した事例は今まではありません。だとすると、いかにそういうベクトルを合わせた対話を行うかは、その目的に沿ったモチベーションをつくる場であることが非常に重要です。私どもでは再生医療の実現に向けた連続的な産官学、また患者さんまでを入れた徹底議論というのが、研究所からの骨太の医療技術開発、実用化の鍵になると考えております。
 ここにいらっしゃる皆さんがよく御存じの「TEDプレゼンテーション」と「日本のプロジェクトX」を比べると、非常にこの違いがよくわかるかと思います。アメリカのTEDプレゼンテーションは、1年間準備をしたたった20分のプレゼンで世界のトップエグゼクティブに認知をされて、寄附を含めた世界的投資へのアクセスを得るという仕掛けになっています。NPOがTEDプレゼンの企画実施として、優れた実体験者たるスピーカーを選別してプレゼン内容や方法を指導し、世界のキーパーソンをまさに一瞬のうちに支援集団化するプロデュース方法であり、幾つかのすぐれたプレゼンが行われています。
 ただし、これは全てバーチャルのものではなくて、スピーカーの提示する感動とか体験とか世界情報、これはリアルです。だから、リアルなものでかつideas worth spreadingというものがこのTEDプレゼンテーションの仕掛けを通してあっと言う間に世界のキーパーソンにつながり非常に加速的な対話が実現するわけです。日本でもTEDジャパンとかあるのは御存じのとおりです。
 日本で、同じような感動的な新技術開発の実話を採りあげた番組としてはプロジェクトXとか、ザ・プロフェッショナルという番組があります。け最初にアイデア・試作品を生み出してから何十年の間に本当に苦節があって、発明者、開発者本人が、時間と手間と苦労をかけてプロデュース力を自ら蓄えて、最終的に事業実現力を獲得して実現するといった内容が多いようです。その間に一人、一人、一人と理解者集団を生み出し、えりすぐりの集団にしていくという過程を経て最終的にイノベーションを達成しています。
 ですから、日本でのイノベーション対話においては、例えば企業で言えば、ホンダの本田氏と藤澤氏とか、ソニーの井深氏と盛田氏など、そういうプロデューサー役の人物と発明者による切れ目のないタイアップがイノベーションの成功に重要になってきます。
 これは私どもの研究信条(Credo)なんですけど、Passion for Innovation, Duty oto the Patients of Tomorrowと言います。Passionとは、英語ではキリストが十字架を背負ってゴルゴタの丘を登る受難のことです。十字架に磔になるとわかっていても、丘を登りきてイノベーションを起こすまで歩みをやめないという研究者の強い熱意を指します。それから、今日の患者を治していれば良いわけではなく明日の患者を治す義務がこの研究所にいる医師、研究者、それから私のようなプロデューサーの全てに課されているということをまず見せて、じゃあどうするかを全員で議論し取り組んでおります。
 ここから先のプレゼンについては、ポイントだけをお話しするようにして、中の資料は皆さんに御覧いただければと思います。TWInsという東京女子医大と早稲田の共同の研究センター。日本で初めて医学と工学の大学が、文部科学省が想定しない頃から一つの建物を建てて自由にお互いに行き来ができる環境で実験研究をする研究センターです。
 この中では医学、工学、バイオロジー、それから、社会科学的なメンバーも結集をして研究をしており、企業のためのメディカルイノベーションラボのエリアもあります。早稲田大学側からは、理工学、社会科学のメンバーが入ってきており、すぐ隣に東京女子医大病院があり、毎日救急車が鳴って患者が運ばれる中で、のんびりマウス段階の実験だけをやっているわけにはいかないという意識を毎日待ちながら先端医療の研究と開発に取り組む拠点になっております。
 教育スペースもこの中にあることで、産業人、医学、工学のメンバーが一緒に学びつつ開発をする。例えば、東京女子医大の脳神経外科ですぐれたメディカルドクターが、外科教授になった日に同時にレギュラトリーサイエンス大学院の学生になるといったことが、ここでは当たり前に起こっている研究センターです。
 このセンターの前進となる研究所を最初に立ち上げたのは1970年代にダヴィンチのもとになるイメージ図を描いた櫻井先生という方が、医学部・病院の中に工学部をつくりたいと言って医用工学研究所を立ち上げました。
 21世紀型の先端医療開発というのは、医療現場での暗黙知、医師の暗黙知。及び様々な臨床体験と、日本の世界に誇るハイテク技術をいかにダイナミックに融合させて、先端医療の開発というソリューションにつなげるかという活動です。異なる技術、あるいは全く違ったロジックで働いてきた医者とサイエンティストの融合、対話によって初めて、先端医療、根本治療というのは実現するわけです。
 したがって、技術を持つ企業群がチーム医療の根幹を担っているわけです。私どもで毎日のようにやっていることですが、医師と企業の技術者・研究者の方と工学部の学生が一緒になって、豚の動物実験をしています。異なる暗黙知を持ったメンバーが同一の目的に対して、異なる手法でアプローチをして、お互いの頭が虹色になるほどそれぞれの暗黙知を共有しながら実践的な結果を出す活動を行っているんです。
 同一目標に向けて違ったロジックを持つ専門家の融合チームをつくるためには共通言語を確認して対話をしなければ、意味がつうじない。専門家として専門用語も違いますので、そういったことが非常に重要と思っております。
 産業との対話としてはい、このTWInsは、非常に音声多重なんですね。一つの試みやテーマだけをすごく丁寧に対話するというよりは、いつでもどこでも多重型で産官学の対話が行われると仕掛けをつくって、同じ実用化の目標を持って融合教育を受けた皆をその場に放り込んでいる状況です。例えば、Bバイオメディカルカリキュラムは既に45年続けていますけれども、企業のメンバー、研究開発研究者とか、マーケティングの人たちに対して、こちらの病院のすぐ横で、1年間徹底的に医学を教えているんですね。教員がチューターとなって30年後の医療技術として何を提案したいかという課題をそれぞれに設定し、全員が半年準備した上で一人ずつ、まさにTEDプレゼンテーション型のプレゼンと論文を書いてもらっています。
 そのために、大学側のメンバーが総出で産業の受講メンバーを助ける。できた論文というのは、それでもって全て製品になるわけじゃありませんけれども、医療の課題を明確にしつつある先端医療構想をきちんとたてて実際の治療技術にするための様々な課題を把握し課題解決の努力、医学、技術、経済としての実現努力をペーパーにすることで、企業に所属する受講生は、自ら新しい医療技術を生み出す、そういう一つの開発あるいは成功体験を持つことができる。そのことによって実際の企業活動に戻ったときに、本格的な技術開発の設計と遂行を主導することができるわけです。
 また、このTWInsの中には、産業人が常駐できるエリアがありまして、企業間、それから大学との間で、恒常的なイノベーション対話を行えています。また、医工学の基礎的な研究だけではなくて、応用、製品の承認を受けるためのレギュラトリーサイエンスについても大学院が設定されています薬事承認を担当する厚生労働省等のメンバーも博士課程の学生として入ってくる形をとっております。それから、私のようなプロデュース人材が、研究所の外にいて研究管理をするのではなくて、研究所の中の研究者の一員として、まさに監督とプロデューサーのような形、あるいは映画俳優とプロデューサーのような形で研究者と一体となって、産業化に向けて盛り上げていく役割を担い、ここでも様々な対話が日常茶飯事に起こっております。
 ですから、これは医者と企業研究者がコミュニケーションをとるだけではなくて、こ年2回研究発表会を行っています。TWInsに常駐する研究者が自分で発表するのは駄目ですと言っています。
 これはあくまで、常駐する企業のトップマネジメントの人が、常駐研究者と成果を確認しプレゼン合戦を行います。それに対して、所長以下の教員研究者が鋭く突っ込んだ議論をして、その発表内容を掘り下げるだけにとどまらず、再生医療と先端医療を実現するための打ち手についてディスカッションを恒常的に行っていますと。何年かこれをやると、企業のトップから研究部門までがつながり、すぐれたイノベーション開発力強化に向けた企業の筋肉ができる形になっております。
 再生医療というのは実は一つの特許で一つの製品、一つのサイエンスで一つの製品じゃなくて、様々な多様な先端の学問の集結でもあり、多様な知財ノウハウの結集でもあります。医薬品というのは既にできた医薬品産業のインフラ、商流に乗せるわけですけれども、再生医療というのは産業がなくビジネスフローも全く違いますので、実用化のモデルも一からつくらなければなりません。
 今、世の中ではiPS研究、山中先生で有名ですが、iPS研究に今すごくマスコミの光が当たっていて、iPS研究によって再生医療のテクノロジーができれば、ぱっと治療が開始できるようなイメージを世の中に与えています。
 ただし、実際には再生医療のテクノロジーというのは連鎖していまして、イノベーションを起こすためには「細胞ソースとその保管提供の仕組み」をつくる、大量に増やして、組織をつくる、すぐれた治療や移植デバイスの開発をして実際に移植をすると。この1、2、3、4のステップですね。これを全てバリューチェーンとしてつなげないと治療としては実現しない、あるいは世界の競争には勝てないという多様なステークホルダーでイノベーション対話をする必要があるわけです。
【石川主査】  江上委員、時間が過ぎていますので、的確にまとめていただけると大変有り難いんですが。
【江上委員】  わかりました。細胞シートという革新的な新しい再生医療の技術基盤をもとにして、実際の再生医療の実現に向けて、世界と常に競争する。臨床応用を一つの臓器だけではなくて複数の臓器でもって行う。同時にバリューチェーンについて、大学からのイノベーションの提言に呼応して各企業がそれぞれの実用化技術開発の役割を担いつつ、お互いにインターフェースを共有して、総合的な技術開発をしております。
 ただ一人の患者を治療できればいいということではなくて、必ず産業化とか、大量治療に向けた課題をこの基礎的な研究を含む研究チームが共有する形で、研究拠点活動を進めております。
 特に医療の場合には世界の医療プラクティスが違うということから、世界と連携をすることで、技術を固めると同時に、マーケットポテンシャルというものに対しての影響を与えるという形で進めております。
 イノベーション対話についていえば、この医療の分野は非常に縦割りですので、対話を阻むいろいろな課題、隘路があります。それはお配りした資料のとおりです。
 今、そういった現場をもとにして先端医療を開発するためになるべくその共通のビジョン、研究の信条を持ち、それからその知財についてはこの再生医療の社会価値、知財創造の価値を決めるのは、むしろこの拠点であるという自負認識をしています。私どもの研究を自ら客観視しながら、イノベーションに向けて価値化を進める形をとっていますので、このイノベーションコミュニティー化の活動というのが実はイノベーション対話の基盤として極めて重要になってきております。
 いろんな関係者を入れ込んでくる時には、単にそのサイエンス側のメンバーの融合教育だけではなくて、実はその文理共鳴といって、文系の様々な人材の教育についても、いろいろなプログラムをつくってきております。一橋大学で2年間、サイエンス側のメンバー、ベンチャー、企業、社会等も一緒になった状態で、まさにイノベーション対話とイノベーション活動は何なのかということの教育をしているというところです。
 ですから、私どものような研究活動をもとにして、ゴールとしては、更に国の制度をつくるというところまでを視野に入れて動いています。実は先週金曜日に再生医療推進法がついに参議院を通り成立しました。ありがとうございました。
【石川主査】  はい。どうもありがとうございます。
 それでは、今の御発表に関しまして御質問等を受けたいと思いますが、いかがでしょうか。
 じゃあ、私からなんですが、今、いろんな活動をなさっているというのはよくわかったんですが、冒頭でもおっしゃっていた、そもそも論なんですが、櫻井先生とかスティーブ・ジョブズがいると。これはカリスマで求心性のある人が一人いるわけでして、その理念に従って周りが動けば、それは歯車はちゃんと動くと思うんですが、そういう動き方とその後は、今度は自発的、自立的に新しいものを生み出すということのプロセスはちょっと違うような気がするんですが、その違いというのは、この組織の中では皆さんメンバーの方が理解してやられているのか、それとも誰かコーディネーターがいて、音頭取りがいるのかというのはいかがでしょうか。
【江上委員】  この櫻井教授の例をお見せしたのは、その櫻井先生のもとで、軍隊のようになって研究開発をしているということを言いたいためにお見せしたわけではないんです。これは将来構想力を持って従来になかった研究推進を自ら行い、将来ゴールの絵を描くリーダーのいる研究拠点が重要であると。しかもそういうリーダーの意見のもとで唯々諾々とするのではなく、リーダーが管理者にならずに、大きなゴールだけを示して多様な研究者を集めて闊達な研究を行わせる。それぞれにも多様な先端医療技術の開発の在り方、新たな社会インフラの在り方についてアイデアを出す。教授は自分と同じ構想で実験をするという研究者だけを決して推奨しない。先端医療をよりどこでも誰でも受けられるように実現するという大きなゴールは一つですけれども、そこに向けたアプローチは決して一つではないわけです。
 ですから、櫻井教授の下でみんなが同じことをやっていると思われるとしたら全然違います。
【石川主査】  スティーブ・ジョブズもおっしゃっていたと思うんですが。
【江上委員】  あれは日本にはあらゆる技術がそろっているのに。足りないのは「スティーブ・ジョブズ」構想を持って実現する遂行者だけではないかとスティーブが言ったという。アメリカの日本に対するパーセプションだというふうに私は申し上げたので、日本が実際にそうだとは私は全く思っていないです。
【石川主査】  ほかにいかがでしょうか。はい、どうぞ。
【櫛委員】  ありがとうございました。
 実際その学生さんであるとか、企業の方であるとか、教員の方であるとかという方が、場を一つ共有するというのは非常に重要だという話だったと思うんですけど、具体的には実際のタスクといったものがはっきりある、又は目的意識を持ってある一定期間その研究目的のために作業するというチームという場なんでしょうか。それとも、その前にも何かトレーニング的な場といったものも設けられているんでしょうか。
【江上委員】  1年のバイオメディカルカリキュラムや医工学博士課程という教育の場があります。また共同研究契約等によって研究所に常駐し一緒に実験を行う場まで用意されています。常駐していますので、毎日通勤してくるわけなので、大学研究者や医者とお昼を食べたり、休憩がてらにお茶をのんだりする場でいつでもお互いに声をかけられますそういうような教育と出会いの場が必要だと申し上げた次第です。アポイントをとってある1時間だけ会うという場とは違い、人としてお互いに触れ合えるような、結集した状態を連続できる場といったらいいかと思います。
【櫛委員】  そうしますと、そういう場をつくって、あとは自然にそういったものが発生していくというのを期待しているというところと、あと、まさにまた逆に言うと仕掛けていく側のエムイーのような方がいらっしゃるようにも思うんですけれども、その辺のそのバランスというのはどんなふうな感じでしょうか。
【江上委員】  もともと共同研究契約による目的のはっきりした研究活動を実行するためにきています。仕掛けるメンバーとしては、これも複数いると思いますね。例えば、私がより具体的な研究活動を反映した契約に持ち込むとか、産業化とか実用化の点について共同活動や議論の機会を仕掛ける場合もあります。また例えば脳外科教授が自ら定期的に官産学のメンバーを呼んで、夜中まで日本の医療をどう引っ張っていくか、新しいこの医療技術をどうやって実現するか、あるいはもっと違う切り口はないのか、例えばゲームソフトといったIT技術で取り入れるものはないのかというようなお題を幾つも用意をして、議論させる。一応自由な議論ではあるけれども、必ず医療技術として成り立つものとして実現しようという意識の高い議論を行うなどしています。
付随する課題について様々な専門家が集まっているものですから、その場で情報を提供しあい、それぞれのリーダー格の人たちが更に良いアイデアへ引っ張り上げる義務を感じて仕掛けを行っているということだと思います。
【石川主査】  ほか、いかがですか。はい、どうぞ。
【鳥谷委員】  江上先生御自身はそのプロデューサーというお一人に当たるわけですか。
【江上委員】  そうですね。ですから、私がこの研究所の中でより実用化とか産学国際連携を企画し、そのバックアップもする、そういう役割なので、実験研究者ではない立場です。
【鳥谷委員】  そのプロデュース、産学連携のプロデュースを行っていく上での難しさというのはどういうところに感じられますか。
【江上委員】  より踏み込んだ連携によってまさに今までにない新しい治療技術を生み出すためには、お互いに啓発しつつ開発をやりぬけるやはり人としての相性というんですかね、それが欠かせません。また同時にある程度の医工学の専門知識を持つこと、企業が企業の技術知識だけではなくて、医の現場の知識を持つこと、それから、同時にそれが上手に経営陣や関係部との間でお互い説明できる社内での人の関係があるということは重要です。
 そういう相性のいい企業の人的集団というのが必要ですが、この再生医療の産業化を考えた場合にどうしても欠かせない技術やビジネスモデルを持つ企業群とが常に一致しているわけではない。したがって、どうやってその産業化をリードしインフラの一角になる企業の中で、研究者の人たちと最も創造的な環境を生み出せる人がいるかを見つけること、あるいはそういう人がお互いに出会えるような仕掛けをすること、当然企業として開発の足がとまらないような様々な知財や注目される機会を確保すること。それから、企業側のメンバーが企業内の説明能力の不足によって途中で研究が途絶したり、事業開発部門に円滑にシフトしないことはよくあります。もともと事業開発側でしたので、企業のより事業開発側の方たちとのコミュニケーションを図って、産業の研究者が産業の経営企画とか事業開発側のメンバーとフルに連動できるようにする。そういったことをタイミングよく行うことが産学連携としては非常に難しいところだと思います。
【鳥谷委員】  そういった能力というのは、ある程度トレーニングするということでうまくこなしていけるようになるものでしょうか。
【江上委員】  私は、トレーニングというのは座学のトレーニングではないと思いますけれど、オン・ザ・ジョブ・トレーニングで。やはり企業総体を知ることも重要なんですね。大学の小さな窓、接点から見える企業ではなくて、その企業が一体どういう社会的な価値を生むことをポリシーとしている企業なのかまで理解をして、研究テーマとその企業の社会的責任活動との間をつなぐようなシナリオづくりは一緒にやる、そういったところに踏み込むことができれば、あるいはそうした理解力やコミュニケーション力のトレーニングを受ければ、私はできると思っています。
【鳥谷委員】  ありがとうございます。
【石川主査】  では、久保副主査。
【久保主査代理】  私はいつも思っていたんですけど、お医者さんというのは研究者であると同時に最終のユーザーなんですね。すごくモチベーションが高いんです。最後は何とかして難病を治すぞというそのモチベーションがすごく高くて、病院のお医者さんというのは、研究者であると同時に企業で医薬品とかつくって、最後にまた使うんですね。だから、最初と最後を見ているんですよ。
 だから、このケースなんかでもずっと一緒にやっていけるんですけれども、工学系とか理学系というのは、ベースとアプリケーションが分かれていて、大型の産学官共同研究なんか、最初に大学の先生がすごくファンダメンタルな研究をやるんですけれども、あるところから事業総括に、あとよろしくみたいな形で渡してしまう。
 大体、もめるケースというのは、ベーシックな研究やっている人が、あとがちゃんとやってくれないとできないだろうということを言われ、逆に事業化のアプリケーションの方は、こんな程度じゃまだまだ駄目で、もっと試作ぐらいまでちゃんとやってくれないとあとやれないみたいなことを言われうまくいかないんです。やっぱりそこのギャップをなかなか埋まらないケースがわりと多いんです。それで今お話しされたケースというのは、ちょっとある意味、一般的なケースとは違うのかなと思っていて、先生はこういうケースというのを一般の工学とか理学の場合にも応用できると思われるかどうかというのと、応用するとしたら、どういう点に注意をしたらうまくいくのかということについては、いかがでしょうか。
【江上委員】  メディカルドクターが本当にこういう医工学、実用化研究を十分やっているかというと、結構マウスレベルの基礎研究で終わっているケースが多いです。また先端医療の実現にかかわるメディカルドクターの中に往々にして起こるのは、その先端治療が実現し3人、4人の患者の治療に成功しました。そうするとほかのより熟練していない医者にも広く関わらせることに慎重になることはありますね。ゴッドハンドとしての成果を出すまではものすごく必死になるけれども、日本中のある程度の標準的レベルの医師や、世界の医師が自ら実証した先端医療を扱えるようにその治療方法なりデバイス技術のレベル上げる第2段階の開発努力に対して協力を得ることが難しいことはあります。
 それから、私どもの所長の岡野光夫教授は工学部出身です。高分子ですね。先端融合領域の工学研究者、バイオナノ分野の工学系の研究者は、比較的グローバルに製品を出すことに対して作り込むモチベーションが高いので、一つのマテリアルの原型ができたら、はい、どうぞと企業に渡す視点はない。企業には先端分野の人材が少ないからできないこともありますが、新たな医工学研究者達がプロジェクトの推進力になっていると思います。
【久保主査代理】  おっしゃっておられるのは、医学領域だから全部ベースとアプリケーションが一緒になっているわけではなくて、必ずしもそうでない部分もあるし、工学の部分でもそういって入り込まれる方もいらっしゃるという、そういうふうにおっしゃっておられるんですか。
【江上委員】  そうです。ですから、工学系研究者の世界観とか歴史のストリームを理解する力とかをより触発することによって、眼前の研究成果だけではない社会価値を生むということについての意識づけを持ったメンバー構成にできると思います。その努力をしないと、おっしゃるようにあるマテリアルだけで論文を書いて終わることになります。
 ですから、医者と工学者という違った意識と開発の時間感覚をもったメンバーに更に実際に実用化活動を自分の職務とする、私のようなプロデューサーとが一体になって、どこまでの研究ゴールにするかということを常に議論する、継続的に戦略を評価統御することで、実用化の手前で終わらないプロジェクトマネジメントができるんではないかと思います。
【久保主査代理】  基本的には相通じるものがあるという、そういうふうにおっしゃっていると理解していいですか。
【江上委員】  はい。
【久保主査代理】  このやっておられるものと、一般的なものに関しても十分相通じるものがあるというふうに理解していいですね、では。
【江上委員】  と思います。いわゆるエンドユーザーも含めた、様々な議論を行って最終的なそのプロジェクトのゴールを決めていくという意味で言えば、医療の場合、医者とか患者や産業ですけれども、ほかの産業セクターにおいても今の課題にさらされているエンドユーザーの人たちというのを研究の早期から取り込むことで、プロジェクト全体の規模を矮小化せずに適正にマネージすることができるのではないかと思っています。
【久保主査代理】  わかりました。ありがとうございます。
【石川主査】  では、最後に手短に平川さん。
【平川委員】  今の久保先生の御質問をちょっと別の角度から問い直してみたいんですけれども。というのは恐らく久保先生がお尋ねになったことというのは、ディシプリンごとにそれぞれの工学にしても基礎理学にしても、ディシプリンごとに様々な評価基準があるわけですよね。
 どういう研究が評価されて、特にアカデミックな研究者にとっては論文になるかどうかということが重要で、そのときに例えば医学の研究領域であれば、その論文になるものとして、実際にもっとアプリケーションのところまで踏み込んだ得物もちゃんと論文としても評価されるというものがあるのかもしれないけれども、もっと違う例えばどっちかというとわりと基礎に近い工学であったり、特に理学であったりした場合には、先ほど久保先生がおっしゃった、もうちょっと企業から見るとアプリケーション側にもっと来てほしいんだけれども、もっと手前のところでとまってしまうというのは、要はそれよりも突っ込んだところは理学のディシプリンでは別に評価されないわけです。つまり論文にならない、オリジナリティーがないものとされてしまうという、そのディシプリンごとのカルチャーがわりと障害になってしまうのではないかということが一つ、久保先生の質問の意図だったのかなと思ったんですけれども、そのあたりはいかがでしょう。医学ゆえに論文としてのわりとアプリケーションに突っ込んだところが評価されるというところがあるのかどうか。
【江上委員】  多分、伝統的な医学の学会誌の場合に、載るためにはアプリケーションまで持っていかないとならない必要はありますが、十分臨床成果からサイエンスを構想しているかどうかを評価しようとしているかはわかりません。この再生医療とかバイオナノという分野は、いずれにしてもマルチディシプナリーな領域で、最近はどんどん新しい論文発表の機会、新しい雑誌等々は発刊されインパクトファクターが挙がってきています。
 ですから、従来理学分野のディシプリンに沿った論文発表機会がないということはないように思います。再生医療は新しい融合科学で、bench to bedside and backといいまして、常に基礎から臨床、そしてまた基礎に戻る、と同時に産業化までに繋がる研究とか開発を大学側が促進してレベルアップをしていかなくちゃいけないという、そういう未踏科学の領域です。
 したがって、企業の活動は慎重である一方、大学からの学会発表機会というのは国の重点施策もあって多分恵まれてきているんだと思います。それに対して、その新分野に飛び込んでこられる人が少ないために、本来多様なポテンシャルがあるのに対して、特に日本は医学部で新しい学部を作り、医学研究者を増やすことができませんでした。融合型の人材教育の機会、キャリアが限られるために、専門人材が機敏に投入できないという背景があって、論文発表活動等についても今までの学会誌の発表スタイルにとどまってしまう人が出てきてしまう。
 ですから、岡野教授を始めとして、私どもはとにかく我々の研究所では人を治すところまでやるんですと言い続けています。場合によってはかわいそうなんですけれども、『サイエンス』に論文が出てもほとんどそのことだけのために褒められなかったりしています。むしろこれからは誰かの治療実現のためにその成果を活用して頑張りなさいという形で、前へ前へ押す仕掛けをしているというところです。
【石川主査】  はい、いろいろとありがとうございました。
 それでは、少し今日の議論に入ります前に、この作業部会も一応まとめる方向に持っていかないといけませんので、主査としてまとめの方向に思っているんですが、そのたたき台として事務局の方で報告書のちょっとした素案がありますので、それをまず御議論いただいた方が、あとの議論がスムーズにいくかと思いますので、工藤さんの方から御発表いただければと思います。
【工藤室長】  それでは、こちらから座って失礼します。
 それでは、お手元の資料の資料2、資料3-1、3-2について簡単に御紹介させていただきたいと思います。順番は前後いたしますけれども、まず、資料3-1、大学発イノベーションのための対話の促進について、たたき台というものを簡単に御紹介したいと思います。
 まず、最初の1ページ目、2ページ目、3ページ目の中段までは、これまでこの作業部会で御議論いただいたことのうち、どうしてこの作業部会を始めたのか、一体この作業部会は何を目的に議論していくのか、それはクリエーティブな対話というのは一体どういうふうなものなのかという点と、それから、これは大学の役割ですね。クリエーティブな対話が行われるに当たっての大学の役割、場としてだけではなくて、大学は何を提供できるのかといったことについて、最初の3ページほどで述べております。
 続きまして、3枚目の3ポツ目以降なですけれども、これはこれまでの2回の議論、作業部会の審議を概観させていただいたものでございまして、これが次の4ポツ以降のページにも同じく続いていくのですが、これはこれまでの議論でいろいろテーマごとに抽出できたことが幾つかございます。この抽出できた事項をこういう対話型の形で資料を視覚化してみました。この中の述べられていること自体は、それぞれ皆様型から御議論いただいたことを抽象化したものでございますので、必ずしも1対1で同じことになっていないかもしれませんけれども、内容を御確認いただければと思います。
 そして、今回むしろ御議論の中心になっていただきたいのは、7ページ目の5ポツの審議の取りまとめのところでございます。こちらはこれまで、特に上の図であらわしたところを集約して見てみますと、皆様の御議論が大分煮詰まってきているなというのが見てとれます。特に出てきている話題として大きいのは、ワークショップの参加者がどうあるべきかということがかなり論点に挙がってきていると思いました。
 この点について、簡単に4点ほど挙げさせていただいておりますけれども、一つにワークショップの参加者の多様性が高まった場合は、より飛躍的な何らかの発想が得られるけれども、実現可能性に若干疑問符がついてしまうのではないかというようなお話がございました。
 2ポツ目につきましては、反対にその辺の部分を逆に平準化した、より粒のそろった話者を集めるとどういうことが起こるかというと、質としてはかなり高まったものが出てくるけれども、どうも日常のアイデアから飛躍するようなものは出ないのではないかというような御議論でございました。
 さらに、ワークショップのテーマと課題についてはあまり関心を持たない方がいらっしゃった場合は、なかなかよい答えを得るのは難しいのではないかということも頂きました。
 女性や若手研究者、そこから素朴な疑問を投げかける方、話題が飛ぶ方を入れた方がいいのではないかということも頂きました。
 それとまた、対策と記しているところですけれども、これも1対1にはなってはいないけれども、それぞれの気づき事項として、参加者の理解のほどであるとか関心度のばらつきみたいなものは、今、これから議論する対話ツールによって補正はできるんではないかということを頂きました。
 その課題設定そのものにつきましても、これも参加者において議論を、非常に課題を煮詰める段階ではなくて、それを一旦抽象化して、一段上に上がったレベルからもう一度課題を問い直してみれば、これは参加者の間の課題に対する理解は深まって、更にこのそろった課題を解決するモチベーションも高まるのではないかというようなことでございました。
 それから人的なネットワークを駆使しつつ、多様な参加者を集めたらよいのではないかということでございます。
 もう1点の大きな御議論があったのは、ワークショップのデザイン・マネジメントです。特にファシリテーターをどうするかということが大きな話題かと思います。
 現状においての経験の浅い団体の中で、このテーマ・課題に応じた適切なツールは選べるか選べないかということになると、ちょっと難しいのではないかという議論をしていただきました。さらに、同じようにその中でマネジメント、特にファシリテーターを選ぶことができるかということを見てみましても、なかなかこれも同じく難しいのではないかという御議論をしていただきました。さらに、ファシリテーター個人の力量というのは、対話ツール設定によって、これは公の場ではなかなか日本人というのは議論を、手を挙げて発言がないという、こちらもなるべく発話させるようなシステムというのも組まなければいけないのではないかという御議論をしていただきました。
 最後に、やっぱりワークショップのテーマ・課題に応じた、数種類の対話ツールを開発するといいのではないかという御議論をしていただきました。
 この点につきまして、先ほど主査の方からもあったように収束の仕方と更にモチベーションを高めつつ、参加者が議論を続けていきたい自ら考えさせるようなシステムをどう考えるかというのが今後の課題になっているんですけれども、ちょっとその前に、この資料3-2ということで、これまでの議論で少し整理した方がよいのではないかということを用意させていただきました。
 一つに、これは大学など現場で異なる複数の対話ツールをテーマ・課題に合わせて選択するのが難しいということですけれども、実際に現場でワークショップをするには、やはりそれを乗り越えていかなければいけないと思います。その際、これはどうやったらいいのかというのがもしアイデアがあれば御議論いただきたいと思います。
 更に対話ツールをセレクトするのも非常に困難だということだったので、これはもしかしたら数種類つくった方がいいのではないかというような御議論をしていただいたんですが、もしかしたらここは1種類であったとしてもいかなるテーマ、話題にも対応できるようなことが可能なのかどうか。この辺についてももし知見があれば御議論をしていただきたいと思います。
 最後に、マネジメント人材です。そういった人材の確保が難しい場合であってもある程度参加者の発想と効用を得られるような気づきに必要な事項があれば、こちらも御議論いただければと思います。
 資料3-1と3-2につきましては以上ですが、これまであまりきちんと御紹介できていなかったので、全体のスケジュールを御紹介したいと思います。この対話の手法、ツールの検討につきまして、イノベーション対話促進作業部会につきましては、この後、1回ほど予定して、この報告書をまとめていきたいと思っています。今後具体的に一体これが何に反映されていくのかというのを御紹介したいと思います。
 まず、スライドの方を御覧になっていただくと、これはシーズ・ニーズ事業というのがございまして、その一角を占めるこのプログラムですけれども、最初のフェーズとして、現在、この対話の手法の検討という形で、イノベーション対話促進作業部会がございます。続きまして、この報告を受けまして、文部科学省におきましてツールの設計等を行います。このツール設計を行うに当たって、文部科学省だけでは非常に困難な面がございますので、外部の業者に委託させていただいて、検討していただければと考えます。
 これと実は並行したプロセスが入ってきてしまっていますが、丸3は当該ツール開発のためには、現場で実際にツールの恐らくベータ版的な、試験版的なものになると思いますこれを実験的にやっていただいて、それをフィードバックするというプロセスを設けたいと思いますが、これをやるに当たっての協力していただく大学を同時に文部科学省から公募させていただきます。
 これを時間的にどれくらいあるのか詳しく申し上げにくいのですけれども、これをやった後、このツールは最終的にはセンター・オブ・イノベーション拠点において稼働する、使っていただくというのを念頭に置いており、試行期間を経て、COI拠点の運用ということを考えております。これが図で言うと5丸と6丸のプロセスになっております。
 私の方からは以上です。
【石川主査】  どうもありがとうございました。
 幾つかの論点がまじっておりましたので、議論を少し整理しながら議論させていただきたいと思いますが、まずは今の工藤さんからの説明に関しましては、御質問があればそれは受けたいと思いますが、いかがでしょうか。
 ちょっと私、気になったのは質問といえば質問なんですが、ここでワークショップと言っていることとツールと言ってくる定義が、ちょっと一般で使うワークショップという定義やツールという定義よりかなり広いイメージを持っているんですが、そういうイメージでよろしいでしょうか。
【工藤室長】  広いというイメージとはどういったことですか?
【石川主査】  ワークショップというといろいろな分野によってちょっと違うんですけど、ちょっとした国際会議に近いような小さなことをやるというのをワークショップという場合もあるんですが、ここではそんなイメージではなくて、ちょっとしたミーティングも含めてワークショップと言っていますよね。
【工藤室長】  はい、そのとおりです。
【石川主査】  それから、ツールというのもツールにはいろいろなやり方があって、ソフトウエア分野では、ソフトウエアで書き下したツールしかツールと言わない分野もあるわけでして、ここではいろいろなやり方の集大成をツールと言っていますよね。
【工藤室長】  おっしゃるとおりです。
【石川主査】  質問というか確認事項で……。
【工藤室長】  その確認ですね。
【石川主査】  ええ。ただ、受け取る人によってはかなり狭く受け取られると、これはちょっとこれからの議論がやりにくいかなと思いまして、ちょっと確認させていただいた次第。ほかに何か御質問ありますか。
 なければ、最後の全体スケジュールというのもあったんですが、この作業部会の一番大きなミッションは、この全体スケジュールの中のツールの設計等に対して、きちんとした方向性を出し、ツールの設計――この場合のツールは広い意味でのツールですが――に対して、ちょっと平たい言葉で言えば気のきいた文章、気のきいた指示書をつくるということがこの作業部会のミッションということになります。気のきいたという言い方がよくなければ、きちんとした間違いのない方向性を出すということだと思うんです。
 前もちょっと私の個人的な意見として申し上げたのは、完全性を求めるのはこの議論では難しいので、100点満点はちょっとやめましょうということで、間違いだけは言わないようにして、かなり中心あたりを議論できていれば、この作業部会としてはよい作業部会になるという方向でやらざるを得ないかなと。これは皆さん多分御同意いただけるのではないかと思うので、できる限りいい点数はとりたいんですが、100点満点を目指すとなると、こんな3、4回の議論ではとても足らないと思いますので、100点満点を目指さないということで、そこは全員の合意ということでお願いできればと。
 それで、工藤さんの方から追加の質問、資料3-2があったんですが、これはちょっと後にして、全体のこの作業部会での方向性に関して、大きな面での、大きな流れとしての御意見があれば、こういった方向で議論は入れておかなきゃいけないとか、こういったことの視点は是非入れたいといった御意見からまずはお伺いしていきたいと思います。
 それで当然、今、前回までがサンプル・オブ・システム、いろいろな方の御発表があって、いろいろなアイデアが出たんですが、それをまとめる段階では、ちょっとした柱を幾つか設定する必要があると思いますので、その柱として私はこういったものが重要だと考えているという御意見をいただければなと思います。いかがでしょうか。
 はい、どうぞ。
【杉原委員】  これまで対話の仕方等についていろいろ議論してきたのですが、実際に研究の現場に落とし込むところについては、全く議論できていない状態かなと思っていまして。
【石川主査】  全くというとちょっとあれなので、一、二の例があったと。久保先生が言われたのはそうなんで。
【杉原委員】  まだまだ足らないのかなと正直感じていまして、COI拠点で実際に運用していくに当たっては、研究の現場にどうこの対話を落とし込めるのか。研究者が本当に理解してやっていけるのかというところが大きな課題なのかなと思っていますので、是非その辺を御議論いただければと思います。
【石川主査】  そうですね。今回の江上委員の御発表でもちょっと感じたところがあるんですが、前回でしたか、白坂委員の発表に対して、私がちょっと……、いいことをおっしゃっているんですが、それをディスクリプションとして書いて、白坂委員がいない場所でそのディスクリプションを見て各研究拠点が理解できるかという話ですよね。対話というものが何らかの方向性を書いたものがあると。これを例えば杉原委員のところに行って、ぱっと渡してその研究拠点がそれを見てうまくいけるかどうか。インプリメンテーションの話だと思うんですが、そこまでこのツールなり何なりは効力を持つかという。杉原委員の御発言はそれを持たせたいという発言だと思うんですが、まずはこのあたりはいかがでしょうか。私、今の視点は重要な視点だと思って、実はそれに関して明確な解を私自身はあまり持っていない。白坂委員はどうですか。前にちょっと質問したのと同じ質問になって恐縮ですけれども。
【白坂委員】  この前御指摘いただいたとおりで、今まで実はそういった書いただけで引き渡したことがないんです。やはり一緒にやって、一緒に考え方を共有して、先ほどもOJTという話がありましたけれども、一緒にデザインして、一緒にワークショップする中で育っていったというのが、今、我々のところでワークショップをやっている人材になりますので、石川主査おっしゃるとおりで、我々もどこまで書いて渡すことができるかというのは今までやったことがないので、やはりどこかでそれは試してみて、何ができて、何ができないか、正直今のところ切り分けられていない状態ですので、そこは注意深くやらなきゃいけないかなと感じています。
【石川主査】  それのいいものの一歩でも近づこうというのはここで言うツールということだと思うんです。今日の江上委員の御発表も面白いことをやられているし、いいことをやられている。最後の最後に人ですねと言われちゃうと、すぐつながらないかなという話になっちゃうんですね。現場ではどうですか。
【江上委員】  一ついいですか。やはりそのイノベーティブなディスカッションというのをどういうふうに活性化したらいいかというのは、1回その場を経験しないとわからないことはあると思うんです。紙に書いてマニュアルのようにして、これに沿ってやれ、ここで笑えといって笑ったから、急に上着を脱いで本質的議論するかというとそういうことはないので。文科省の方がどう活用されるかなんですけど、ツールをただマニュアルのように渡してやってみなさいとするのか、あるいはそれを実際に活用している具体例として、白坂先生のビデオでも私どもの事例でもいいですけれども、何かそういうものを見せて、ああ、人はこうやって議論しているんだと目で見て感動しないと。ツールというのは、もともとツールを本当に熱望している人でない限りは、言われたからやっておくかということで、成果だけ書いて終わるというふうになりがちかなという気はしております。
 だからツールの与え方として、できるだけリアルなものを渡せるように、渡す側が汗をかかなくちゃいけないのかなという気はいたします。
【石川主査】  どうぞ、久保先生。
【久保主査代理】  先ほどの杉原委員の話とも関連するんですけれども、ベースとして産学連携がなかなかうまくいっていないという話があったときに、大学の先生、先ほどのお話にもありましたけれども、例えば論文を出すことだけ考えていたら、ある意味、閉じこもってひたすらある1点に集中してやっていけばやれるわけですよね。
 それは必ずしも世界的に見て、学会論文では査読は通って、査読論文の数は増えるんだけれども、それで世界的な競争にイノベーションが起きて、日本が世界的な競争に勝てているのかというと、全然そうじゃないという前提のもとであれば、こういういろいろな方とお話をして、もっと発想を広げていただいて、もっと社会はこういうことを望んでいるんですよというのがわかってもらうというのは、COIに限らずに日本全体で実はやった方がいい話だと思っています。、そういう話からすると一般の方を入れて行うるようなディスカッションも意味があるし、白坂先生のところでやっておられるみたいなものをいろいろな形でやっていくというのは、私はすごくいいと思っているんですけれども、殊、ターゲットをCOIに絞ったら、あれはもうテーマが決まっているはずなので、あるテーマに関してもちろん限定はしてないけれども、そのテーマに関することの中身で、しかも出口は絶対必要だと、話しておしまいという話ではないはずなので、COIを入れるものにターゲットを絞るのか、そうではなく広くやるのかということでは大分答えが違うと思っています。それはどこかで決めなければいけないですけれども、今回はCOIに使われるというのを前提の議論ですというんだったら、それはそれでもいいですし、いや、それも含めたもっと広いものですというんだったら、ちょっと議論を考えないといけないなと個人的には思っています。
【石川主査】  今の工藤さんの御意見はどっちなんですか。
【工藤室長】  非常に難しいですけれども、どちらかというとより広い方をイメージしています。しかしながら、COI拠点になった後は確かにテーマは決まります。しかしながら、そのテーマだけをひたすらやり続けるということはなくて、もう少し周辺のテーマも拾っていかなければいけませんし、研究の課題自体は時代の流れに応じて、どんどん修正されていくイメージを持っていますので、そういったものを取り入れるときに、このツールがよりちょっと広い視点でもって活用されるとCOI自体が活性化すると、こんなイメージで思っています。
【久保主査代理】  今の話をもう一度確認しますけれども、テーマは必ずしも限定しなくてちょっと広めにとる。これは了解しました。もう一つの話の出口を必ず求めるかという話に関しては、実を言うとこういうのは多分企業の方もお話しされましたけれども、研究者を活性化するのにやられていないわけではないんですよね。ただ、それは各人が後の出口というのはそれぞれが考えるということなんですが、COIの場合はもう間違いなく出口を……。
【工藤室長】  簡単に紹介するとCOIは上からCOI事業、シーズ・ニーズ事業、A-STEP、3本立てになっていまして、COI事業そのものはやはり企業とのマッチング形式で、非常にテーマの絞られた形で企業が入ってくるでしょう。シーズ・ニーズ事業はもう少し広めのコミュニティーをつくって、大学がどういったテーマに沿った形で、どういったバリューを出せるのかというのが次々とやれる仕組みを同時に組み入れています。シーズ・ニーズ事業には対話の結論を試行するための調査研究が載っていまして、このツールを使って議論した後、何らかの形で成果物を見せていただくことになります。その成果物の見せ方は調査研究のもとの範囲の中でやるという設計をしていますから、今回の議論はあくまでもCシーズ・ニーズ事業の枠組みがどう稼働するのかを考えられるかという点についてのものと理解しています。
【久保主査代理】  いや確認だけですから。だから、COIは一つの出口であるけれども、必ずしもそれには制限されないということですね。理解しました。
【石川主査】  今の理解でよろしいでしょうか。その一般論というとちょっと自分の首を絞めそうなんですが、一般論が一つあって、それが各案件に関してはインプリメンテーションだとか、ソフトウエアだとインスタンスとかと言うんですけれども、全部の論をそこに持ち込むと大変なので、そこをより具体的な、合目的的にそれをやり直すというプロセスが必ず必要であって、そのプロセスのどこまでこの作業部会はつくるかわからないですが、全体像はつくりましょうという、それの全体像が先ほど申し上げましたように100点満点は無理だと思うので、ある程度各論併記でもあって、下のインプリメンテーションを担当する側から見ると、そこにネタが幾つか落ちていると。その幾つか落ちているネタがうまい選び方をすると、自分の合目的的な活動に使えるかもしれない。杉原委員は使いたい、使えるようにしたいと強い御意見なので、そこへどうやって全体像を持っていくかということだと思うんですね。
 アメリカのデザインスクールも、MITのシステムデザインのところもそこで苦労しているんですよね。平川委員からちょっと御意見を、櫛委員でもいいんですが、御意見を頂いて、そういう全体構造で苦労するのは仕方ないと私は思っていて、それを苦労してでもやはりやらないと、日本の産学連携を進める方向にはいかないから、それをこの作業部会はやっているんだと。簡単な話をやっているんではないんだということだけは御理解いただきたいなと思うんですが、お三方、デザイン側から御意見があれば、全体の構造に対して。
【平川委員】  まず一つの全体像で切り分けなきゃいけないのが、大学の側から見たときにその入り口側というか、一番のインプットのところ、特にこのCOIとかストリームの話の中では、バックキャストと呼ばれている部分、そのいろいろなステークホルダーとか社会の側から広くどういう課題とかニーズがあるのかということを探っていく。そのためにいろいろなステークホルダー、いろいろな方面の人たちに集まってもらって議論をするという部分と、そこから実際に研究になる部分、更にイノベーションにつながっていく部分に落とし込んでいく部分、少なくともその2層に分けて考えなきゃいけない。
 先ほど杉原さんがおっしゃったところはこの第2層の部分で、実際に研究にする部分の話だと思うんですね。そのCOIということを考えたときにも、今、久保先生がおっしゃったところに関連するところでは、COIそのものにターゲットを置いたところはこの第2層の部分、研究にどう落とし込んでいくか、それを持続的に研究自体の対話活動、これは今日の江上委員がおっしゃったような活動を組織の中でどう活性化していくかという話題になって、更にもう一つ、工藤さんがおっしゃったもっと広い意味での、COIだけではなくてニーズ・シーズ事業も含めた広い範囲で言うと、これはもっとバックキャストの部分、入り口の部分まで入れたものという形で、そういうふうにちょっとフェーズを分けた上で整理していくというのが大事かなと。
 あともう一つは、石川主査おっしゃいましたように、これはまさに本当に難しい。多分、今までの日本にとっては最難関の事業にチャレンジしているんだという意味では、すぐにこのツールを当てはめたからといってうまくいくという話ではなくて、最初は何年かは少なくとも産みの苦しみを味わわないといけないんだろうなと。そこを越えないと、そこがある種の活性化エネルギーを得て越えていかないと、次のステージには行けないだろうと。
 そういう意味では、ツールを提供するといったときに、これは前回も白坂委員がおっしゃったポイントで、今もおっしゃっていましたけれども、やはり実際に体験してみないと、自分でもファシリテーションとかというのをまずはよちよち歩きでも体験してみて、それで難しさなり、あるいはある種の面白さ、喜びなりを体験していかないといけないと思いますので、ツールプラストレーニングプログラムという形で、そういう意味での広いトレーニングプログラムまで座学ではなく、実学というか、実際のOJT的なことも含めたものとしてのプログラム、ツールとして提供するというのが、今回このツールということで表現する中身の幅になるんじゃないかなと思います。
【石川主査】  ちょっと今の話に私、一つつけ加えたいのは、ここで行われるツールは最終形じゃないと思うんですね。もまれていく間にどんどん増えたり減ったりしていって、その増えたり減ったりする機構も含んでいることが絶対条件です。
【平川委員】  そうですね、そういう意味では、いろいろなところで実際に試してもらって、さらには独自に開発してもらったり、工夫してもらったりしたものをフィードバックして、それをまた日本全体で共有できるような仕組みを、特に文科省の役割としてやっていただけるといいかなと思います。
【石川主査】  同じような質問なんですけど、櫛委員が御発表で、例えば私が印象に残っているのは、私の分野では知覚循環というんですけど、ナイサーの循環論というのがあったときに、あれは非常に雲の上の精神論というか総論ですよね。あれが杉原委員のおっしゃるように、現場でどうなるかというのは少し今の平川委員が言ったようにギャップがある。そのギャップをどうやって埋めるかというのに何か方法論はないか、難しい質問で申し訳ない。
【櫛委員】  難しいですよね。あれは1回きりの繰り返しではなくて、何回も何回も繰り返すところでリフレーミングが、精度が高まっていったり、フォーカスが絞られていくというところがあるので、どういうふうな繰り返しのステップをプログラムしていくかというところまで考えていかないといけないのかなと思いますし、現実化みたいなところに落とし込むときのソリューションはある種、研究されている実践化であったり、いろいろな方法論とかツールが既にあったりしますよね。それにどうやって引き継いでいくかということだと思うんですけれども。そう思うとまず非常に探索的な段階みたいなところの最初の三角形をぐるっと回るところのステップのクオリティーがすごく大事なんじゃないかなと思って、いろいろなマルチディシプリンの人が突然集まって、じゃあ、ちょっと議論しましょうかというとなかなか生まれてこないんじゃないかと思うんですね。そこにどのようなインプットを提供できるかというところの準備立てもすごく大事かなと。
 先ほどの江上委員の話でも、あとはディスカッションできる自由な場みたいなものの環境といったものも非常に大事ですし、私はその前半部分というんですか、問題をどう設定するか。こういう問題が定義できるかなというところまでの環境づくり、それと情報のリアリティーを持てるかみたいなところだとか、そこにコミットしようと思えるかという情報の厚みと質みたいなものをどう提供できるかに、最初の何か成功の鍵があると思う。いつもそれは気になるんですけれども、そこはやはり気にしたい部分かなと。我々はどちらかというとデザインなので、最後は格好よく何かしてくれるんじゃないかと思われているんですが、実はそんなマジックはないですよね、古谷先生、と私は思うんですね。
【石川主査】  企業の方に最後に聞こうと今思っていますので、その前に今のお話は納得できるんですが、前から申し上げた、そのお話が納得できる人というのは経験者なんです。それを未経験者にどう伝えるかという話が、わざと難しい問題を言っていますが、そこがノウハウがあれば、あるいはそれが明確に記述されていれば問題は解決される方向にいくんですが、いかがですか。
【白坂委員】  いや、本当に大変難しい問題で、ぱっと今、答えがあるわけではないんですが、やはり今までの櫛先生もおっしゃったし、平川先生もおっしゃったとおり、大きな流れというのは例えばIDEOのパターンがあったり、d.schoolのパターンがあって、アールトのパターンがあって、最近だと101のデザインメソッドのパターンがあり、大きな流れといいますか、状態のカテゴライゼーションと言った方がいいですかね。大体、3個から6個ぐらいに分かれるんですけれども、どのパターンをとっても結局似たようなことがあるんですが、それぞれに対してそこで有効に働く、ある目的に対して有効に働く手法といいますか、ツールというものが存在していると。
 大体、我々が実際に6か月にわたるデザインプロジェクトを学生たちと一緒にやっているのを見ていると、最初は回すんですけど、だんだんそのとおりには回らなくなってきまして、あること、例えばブレーンストーミングをやったんだけど十分に発散しないとか、ある手法を使ったんだけどある目的まで到達しなかったというときに次のステップに進めないので、じゃあどうしようかというので立ちどまる場合が多いんですね。それは文字だけで教えていると残念ながらそこでとまってしまう。
 我々はそこで介入を大体させていただいて、その現状が今、自分たちがどこにいるのか。ここで進めないんだったら、何もぐるぐる順番に回らなきゃいけないものでもないので、こっちに行ったり、あっちに行ったりというのが実態のプロジェクトではなるんですが、このファシリテーターが常についているんだったらそれができるんですけど、例えば先ほどの江上委員がおっしゃったような、マルチステークホルダーがいろいろな研究者の方々が一緒に常にいる場があって、そこで自由にやり出すということは必ずしもファシリテーターがいるわけでもないのかなと。だとしたときには、そこにいる人たち自身が次の方向性を見ながら、ちょっとブレーンストーミングに行ってみようかとか、ちょっとここはプロトタイピングに行ってみなきゃまずいんじゃないの、そこからもう1回フィードバックを終えて、その結果をフィードバックしてからブレストに行こうかみたいなのを臨機応変に結構やらないといけないことが多いんですね。
 それを文字で伝えるということが果たして……。
【石川主査】  いや、別に文字でなくてもいいんですが、何らかの……。
【白坂委員】  何らかの形なので、我々はそれを教育という形で我々のやり方は3ステップに分かれているんですが、知識を教えるところと、それをそのままで使わせるところと、自由に使わせて結果を出させる、その3フェーズにわざと分けているのは、まず知らないと始まらないので知ってもらうと。流れを経験しないとどういうつながりで何をやっているかが体感できないので、流れを1回経験していただいて、その後はでも結果を出すためには必ずしもそれだけではないので、そこを実際に経験してもらうという、やはりその3段階ぐらいをやっているので、そういった意味では先ほど平川先生から実際のトレーニングまで含めてやらないと駄目なんじゃないかというのは、感覚的にはすっと理解ができる。
 私も今すぐ誰かできるようにしてくれと言われたら、多分、トレーニングまで一緒にやらせてくださいと。一緒にプロジェクトやるところまで1回はやらせてもらわないと、ぱっとは移せないような気がしますという形になると思うんですね。
 そういった意味では、なかなか文字で書くことはできるんですが、書いたことが先ほど石川主査がおっしゃったとおり、経験がない人にすっと伝わる気がしないので、そこは書くことは可能だけれども、1回もやった人がそれだけを読んでわかるかというと、そこは今の段階ではちょっと疑問は残ります。
 ただ、1回経験してしまえば、いろいろなパターンを読んでも大体似たようなことを言っているので、1回どこかで経験さえしてしまえば、どれを読んでも多分実際にはわかる。ここにいらっしゃる方がそういった感じだと思うんですが、我々のやっていることを聞いても、ほかのIDEOを聞いてもアールトを聞いても、大体そういうことでここはこうやっているのねみたいなのがわかるようになると思うので、どこかで1回経験するチャンスをつくってあげられれば、その後はそこを中心に広がることは可能かなというのは感覚的には感じます。
【石川主査】  人や教育が介すと時間がかかっちゃうんです。教育を介すと20年かかっちゃう。それをどうにかしてもっと短くしたいということなので。じゃあ鳥谷さん。
【鳥谷委員】  現場の感覚からしますと、研修は3日とか1週間程度である程度こなせるようなものでないと、多分現実的じゃない。分厚いマニュアルを渡されても、ほとんど読めないし、理解できない。なので1回研修すれば使える程度のものが欲しい。例えば先ほど平川先生がおっしゃった第2層で現場の人間がある程度使えるようなもの。第1層の部分はファシリテーションのプロフェッショナルのような方に手伝っていただくというような、フェーズごとの担当というようなものを考えてもいいんじゃないかなと、現場の感覚では思います。
 それと、ワークショップでどんなツールを使ったらいいのかというような、ワークショップデザインは非常に難しいという議論が前回からもありましたけれども、そういったときに指導をしてくれるような、コンサルティングをしてくれるような方にアクセスできるような仕組みがあれば、多分もっと現実的なところで、しかもある程度のツールの組合せを使っていけるんではないかなと思います。
【石川主査】  そうですね。ただ、それは場面場面によって判断が難しいところがありますね。コンサルティングを入れるタイミングが早過ぎると普通のことしかできなくなっちゃうし、遅過ぎると何もできないという。
【鳥谷委員】  コンサルティングというほどのことでなくてもアドバイスをもらえるような。
【石川主査】  いや、でも例えばうちの研究室なんかはアイデアを出す段階では、論文なんか絶対読むなと言っているわけです。読むと必ず流されてパクリになるので。そのかわりアイデアを見つけたらば必ず論文を読めと。これも読まないから問題なんですけれども、読めと言っているわけです。このタイミングは守らないとパクリのアイデアが出たり、パクリのデザインになっちゃうので、それは努力しているんで、今の話からすると仮に3層に分けたとして、その3層のフェーズトランジションのタイミングは相当に難しいかなと。そこがちゃんとできるようになればひとり立ちできているので。
【鳥谷委員】  それはどうしたらいいんでしょうね。
【石川主査】  だから、それを議論している。こういう場合は……、じゃあ平川委員。
【平川委員】  逆に例えばコンサルタントと一緒やる場合には、最初の段階から入ってもらって、問題意識を共有してもらってやった方がいいかなという感じもするんですが。
【石川主査】  そういうタイプの……。
【平川委員】  コンサルタントのタイプというか質にもよりますけれども。
【石川主査】  それもあるし、もうわりと道が決まっている場合はそれでいいんですけど、アイデア出しのときはなかなか難しいかなと。こういう場合は現場を大分長くやられているお2人の企業の方に是非ともそうじゃないんだという御意見を頂ければ。
【古谷委員】  企業の中である意味、そういう対話的なやり方をどうやって根づかせようかとしてきたわけですが、やはり私自身、この会に参加させていただいてまだ見えないのが、どういう人が使うのか、顔が見えないんですね。ですから、デザインをする場ではよくペルソナという言い方をするんですけれども、本当に詳細に例えば何歳ぐらいでどんな専門性を持っていて、何が興味があってみたいな人が使うとしたら、その人が使いやすいものは何だろうという考え方をしやすいので、どこかのタイミングで実際に現場でどういう人がそのツールを使われるのかというのは、かなりリアルに検討されるといいのかなというのが一つ思いました。
【石川主査】  ちょっと今の話だけ先に言うと、ここ先ほどの工藤さんの話にもあったように、本当は全体像をやる。だけど、それは総論のレベルなので、各論のレベルでは見えるんです。それは杉原委員がおっしゃった。そこの各論のときになったらば、そういう目的なり人材像なりのベースにした方法論なり議論なりという話になるんだと思うんです。今、ここでこの議論が難しいのは両方一緒にはできない。
【古谷委員】  それでちょっとだけ補足させていただくと、デザインのやり方としては、総論で見てしまうと例えばユーザーセグメントとか固まりで見てしまうとリアルに状況がつかめないので、先ほど言われたように総論からはちょっと全体を包含していない関係かもしれないけれども、非常に各論をまず最低この人は使うだろうと。そこを押さえると最低その人は使えるものができる、そういう考え方だと思います。
 それから、ちょっとそこから派生して、文字で本当に伝わるかという議論があったと思うんですけれども、それもその人なりかなと思うんです。我々の場合、デザイナーとやる場合は、デザイナーは基本的にマニュアル読まないですから、非常に簡単なフレームワークとそういう場所と今後のツールで何とかそれを進歩させようとしたと。ところが、ひょっとしたら今回は非常に分厚いマニュアルをちゃんと手順を読んで、きちんとできる人たちであれば、それはそれがいいのかもしれないなと。その辺はちょっとその人によって違うのかなという気がします。
 あと、全体に関して少しだけ意見を言わせていただくと、この対話ツールの開発ステージがいわゆるウオーターフォール型に見えるのが気になっているんですね。先ほど御指摘あったように、多分、スパイラル状でこの中でぐるぐる回していかないとなかなか正解は出ないというのは全くそのとおりだと思うので、そこに近い形にならないのかなと。そのときに恐らく何かしらの評価の仕組みがないとうまく回らないのかなと思うんですね。そのワークショップ自体がいいのか悪いのか、どういうワークショップがいいのか。それが仮に絶対評価でなくても、人と比べて相対的に自分たちがどういうものであるかというのが常にわかるようにするとか、多分、そういう仕組みを仕組んでいくことでそのスパイラルが回っていくんじゃないかなという気がしました。
 ということで、ちょっと整理できていないですけれども、そういうような感想を持ちました。
【石川主査】  並木委員、いかがですか。
【並木委員】  過去2回の皆様方の発表を聞かせていただいて、大きくイノベーションを起こすということは、イノベーションの定義は別にして世の中にどんな課題があるのかという発見をすることと、課題が発見されたときにそれをどう解決するかというところがあると思うのですね。
 先ほど平川先生もおっしゃいましたけれども、多分、そこら辺はちゃんと分けて考えないといけないのではないかと思いますし、もしかすると「何が課題か」ということを発見するところが、平川先生のお話ではないですけれども、日本人が弱いところかもしれません。そのレベルの話と、課題が挙がってからどう解決するかのレベルの話を少し分けて考えた方がいいかなという気がしています。特に前者が本当は急務なんだろうなという気がしていますけれども。
 どういうふうにやっているのかという話ですけれども、確かに明文化するとということは難しいことは多々承知しています。私どもは例えば「ブランドのつくり方」ということについては、優れたプランナーの個人のわざを組織知にしなければならない。そのために、必ずフレーム化するのですね。そのフレームが下手すると何十種類もできてしまう。このフレームを使う段になると、できの悪い人はそこを埋めるだけで精いっぱいになっちゃうのですけども、できる方はそのフレームを使っているうちにだんだん物足りなくなってきて、勝手にそれをもとに広げていくという形になります。そういう意味でいうと大体そういうフレームをつくったときの賞味期限は1年ぐらいじゃないかと思います。ただ、その1年間でも「こういうふうなことを考えるのだ」というフレームを提示することだけでも、やっぱり前進はするのかなという気がします。マニュアル化は難しいんだよねというのではなくて、まずはそこをつくってみるというのも一つの手ではないかなと思います。そういう箱を埋めるというのはコンサルティング会社でもよくやっていますし、何かそういう箱を埋めるというのも時には必要ではないかと思います。
 それから、発想法を考えるときには必要なのは発想の刺激になるものをどれだけ、どのタイミングで投入するかということです。刺激になるような素材といいますか、データだったり、あるいは知見だったりということを幾つか用意して、適宜ファシリテーターの裁量で、適宜、適当な刺激を投入する。それは白坂先生が発想フレームというカードであるかもしれないし、あるいはデータかもしれない。そういう幾つかのデータということを御用意しておいて、それを投入するというのも一つのやり方ではないかと思います。
 あと、メンバーをどう投入するかという話なんですが、私はエンドユーザーに近い人は入れた方がいいと思うのですが、最初の課題発見のところにエンドユーザーを入れるのは相当つらくて、やっぱりあるところまでは専門家の方がちゃんと議論した上で課題をつくり、それを検証する意味でエンドユーザーの方を入れるというやり方がいいと思います。
 もちろんエンドユーザーが医者さまであれば、話は別ですけれども、一般のエンドユーザーと考えると、それはもう最終段階ではないかなと思うので、メンバーの選定の仕方などもどの時点で、どういう方を投入するかということは少し整理した方がいいのではないかと。
 あとは場づくりということで言うと、これはモチベーションだと思いますので、それは一番冒頭申し上げましたが、これが課題設定するところのものなのか、その解決策を見いだすためのものかというところの問題設定をちゃんとしておけば、今日の江上先生の話ではないですけれども、もうかなりクリアになる。これはこういう目的のものだとわかれば、ゴールに向かうものだと思いますので、そこら辺をちゃんとすることに尽きるんではないかなという気がいたします。
 以上です。
【石川主査】  どうもありがとうございます。では、阿部委員。大分各層ある難しい問題をうまく説明いただき、ありがとうございます。
【阿部委員】  現場で使う立場のから考えて、誰が使うというところですけれども、私がいつも想定しているのは、例えば、自分であるとか周辺にいる産学連携を担当する人です。最終的には私みたいな現場の人間が使えるようにならなければならないツールだと思っています。
 私が利用する場面には、参加メンバーとして必ず顔見知りの、大学の先生方が入っていると思います。そういう場面でワークショップみたいなことを私がファシリテーターとして行おうとするとします。事前に趣旨や手法について説明をしたとしても、メンバーの先生方にしてみれば、顔ぶれが同じであればいつもの会議や打合せの延長と認識されてしまいがちです。どんなにマニュアルを熟読して、こういう場合はこう誘導すればうまく議論が進むことを理解しても、気付けば先生方の意見やペースに呑まれたり、ファシリテート役を奪われてしまう可能性が高いと思うのです。
 マニュアルやテーマ設定だけでいつもと違う議論へと展開させるのちょっと厳しい気がしています。、それではどうすれば良いかと考えたときに、参加メンバーが見たことがない新しいツールとか、フレームみたいな「道具」があって、その道具を中心に進めれば自然といつもの会議とは違った議論ができるようなものがあればよいのではないかと思います。例えば、白坂先生が前回の会議で配布されたハート型の附箋のようなものだとか、会議室に入ったり席に着くだけで今日は何か違うことをやるのかな?という予感を与える場の設定などから入って、「道具」を使うことを楽しみながらスタートしていければ、いつもの会議やだとか、ただのディスカッションから外れて、全く新しい方向に進めることができるのではないかと思います。
 つまり、未熟なファシリテーターを助けるためのワークショップ用の「新しい道具」を作っていただければと思うのです。できれば、従来のツールを改良して産学連携に特化した専用ツールを幾つか御用意いただけると、マニュアル±新しい道具でうまくファシリテートできるのではないかという気がしています。
【石川主査】  先ほど並木委員がおっしゃったフレームというのはそれに近い話になるでしょう。それが何十種類とおっしゃっていたのはちょっと気になる。
【並木委員】  いろいろなブランドのつくり方がそのブランドの性格によって異なりますので、いろいろな手法があって、クライアント様のブランドに合った形のものを採用したらいいと思います。同様に、発想法にもいろいろなレベルがありますので、いろいろな手法が数多くあるといいのではないか。ですから、その課題に応じた形でどのフレームを使えばいいかということが幾つか用意されているということでいいと思います。
【石川主査】  それはそのフレーム自体にこれはどういう場面に合うかというのは一応の記述なり示唆があるんですか。それとも誰かファシリテーターが選ぶというこのプロセスがあると厄介かなと思っているんですか。
【並木委員】  大体フレームは成功事例を一般化したケースが多いので、この間も説明させていただきましたが、1回成功した事例を汎用化して、例えばこういうふうにやって、うまくいくとこうなるのですという形のものを提示しておくと、多少助けになると思います。
【石川主査】  ほか、よろしいですか。
 ちょっと今までの議論はいい議論だったので少しまとめますと、フェーズが幾つかあるでしょうと。上の方のフェーズ、下の方のフェーズ、総論と各論、あるいは全体像を議論する場面とその中から選ばれたインプリメンテーション、現場サイドの議論をするとき、あるいはその中間の議論のときはフェーズが違うでしょうということは大分皆さん、同じことをおっしゃっていたような気がします。そのフェーズごとにツールは多分違うだろう、あるいは同じかもしれないけれども、使い方は違うだろうという議論もあったような気がします。
 それとそのフェーズの違いを誰かが見なきゃいけないし、それをジャンプさせるためには何かデータなり意見なり、考え方の違い、あるいはフレームを変えましょうといったチェンジ・オブ・ペースというか、チェンジ・オブ・コンセプトというようなきっかけが必要だし、そのタイミングを見計らうのはちょっとファシリテーターなり何らかの形のサジェスチョンなりインストラクションが必要でしょうという話があったように思います。
 ツールの全体像としてはフェーズごとに幾つかあって、それのインプリメンテーションに幾つかあって、それが阿部委員がおっしゃったように何が1回は使ってみようという気になれば、それはそれである程度最低限の価値はあるだろうと。その何か使ってみましょうが果たして最適かどうかはやってみなきゃわからない。むしろそれを使ってみて、うまくいきそうだったら無理やり最適化の方向に自己修正をして持っていくんだろうなという気はしますが、そういう循環論は、櫛先生がこの間おっしゃった循環論なんかもあるでしょうと。
 その辺ならば、ツールはまとめられそうですか。私が質問するのは何ですが。それから使ってみたくなりますか。それとちょっとだけ棚上げに、後で議論したいと思っているのは、古谷さんがおっしゃった評価の問題だけ、評価で幾らでもこれは変わる話なんですが、これは後でやるにしても、今、私が簡単にまとめたあたりはどうでしょう、いけそうですか、それとも何かもうちょっと意見があれば頂きたいんですが、いかがですか。何か皆さん、そこいらでは何か一致できるような気がするんです。はい、どうぞ。
【古谷委員】  ちょっと部分的なある一種のフレームの事例なんですけれども、会社の中で研究者とアイデア出しをするときに考えやすいフレームがまずあって、例えば、ある新しい素材をどう活用するかというアイデアを出すときに、まずその素材の使われる場所はどこだと、比較的客観的に見られるところから入っていって、1回途中でデザイナーが介入して、それを使う場面はどうなんだろう、シーンにひっくり返すんですね。今度は使うユーザー側から見てそれがどういう価値に見えるんだろう。
 ですから、何を言いたかったかというと、最初からユーザーを考えてやりましょうといってもなかなか研究者の方は入りにくかったりするので、1回入りやすいところから入っていって、どこかでひっくり返してみるという作戦が多分先ほど言われた幾つかの階層の中で、いろいろなところに埋め込まれてくるのかなと理解しました。
【石川主査】  そうですね、私も同感です。わりと先端的活動、アイデアの豊かな研究というと大体そういうノウハウを持っていて、我が研究室も幾つかお題目のようなものがあって、例えば論文で数字を見たらば、考えるのは意味もなく10倍にして考えろとかいうのはあるんですけれども、そういう幾つか各研究室なりに持っているものがあって、それでどうにかして突破口を開こうという考え方で、今のはものすごく同意します。ほかで今の私のまとめあたりで注意点はございますか。このまとめだけで全てうまくいくとはとても思えないので、是非とも御意見を頂ければと。
 では、ちょっとまた戻るにして、次に私が気になっていたのは、古谷さんがおっしゃっていた評価の問題。評価の問題は目的との兼ね合いもあって、議論をしていますと。この議論が最終目的を、この目的の設定の仕方がまた違うかも。何にもないところにアイデアを出しなさいなのか、いやいや、ユーザーの満足度を上げましょう、顧客満足度を上げましょうという議論なのかという、そこで行っているアクティビティーの目的関数をどう設定するかという問題。
 先ほど並木委員はあまりユーザーの入れ過ぎもよくないし、入れなきゃいけない場面もあるよと、これもそうですね。我々の分野で言うとフェイスブックの考え方とグーグルの考え方は違うと。フェイスブックはユーザー・オリエンティドにやっているけれども、グーグルはある程度テクノロジー・オリエンティドになっていたと。だから、グーグルはユーザーからは発想が出ないけれども、フェイスブックは発想が出るだろうという話で、逆に言うとグーグルはユーザーからの発想を初期の段階であまり考えていなかったというものです。
 だから、並木委員のおっしゃるとおり入れた方がいい場合と入れない方がいい場合とある。これはそうなんですが、それを古谷委員のおっしゃるような評価というものはその議論の最終、アウトプットの評価につながるし、目的意識にもつながると思うんですが、どういうふうに設定すべきかというあたりはいかがでしょうか。どういう評価と目的はニアリーイコールなんですが、それを設定すると議論は進むものなんでしょうか。あるいは何らかの利用度というのは必要、論文という利用度は研究者、学者にとっては非常にうれしい利用度なんですが、それだけでは産学連携が進むとも思えない。どういう利用度あるいは評価が、先ほど江上委員は『サイエンス』に論文が通ったってしようがないというのがあるんですが、ノーベル賞をもらってもしようがないと私はある委員会で発言して、大ひんしゅくを買ってしまったんですが、それは、ただ私は正論だと思っているのは、目的がノーベル賞をとることではない場面で、私はノーベル賞が目的ではないと申し上げたので、ノーベル賞が目的ならばそこではとりましょうという発言をすべきなんで、これは産学連携の対話のときも目的なしに議論すると多分発散するだけなんですね。その収束のプロセスの中には何だかんだいって暗黙の了解かもしれませんけど、評価、目的、最終的な基準をどこに持っていくかという議論は入らざるを得ないと思うんですが、古谷さん、こういう議論をしたいんですが、よろしいですよね。そういう発言だというふうに。いかがでしょうか、白坂さん。
【白坂委員】  とてもちゃんとできているわけではないんですが、我々が今現在でやっているやり方ですが、大きくまず二つに分けたのが、メソドロジーとメソッドで分けています。要は全体としての目指しているところと各ステップで目指しているところを分けています。もちろん全体の目的があって、その目的に対して各手法でどういうところまで到達したいか。何を目指しているかという手法ごとの目的があるので、そこはデザインとして設計をしています。
 その目的を持った状態でどういう評価をやっているかといいますと、主観と客観の評価を通常やっています。それに対して手法とかメソドロジーの理解性、利用性、有効性という3段階で評価をしています。有効性のところがまさに合目的性とかちゃんと目的を果たしているかのところになるんですが、それぞれに対して主観というのはその手法がありの場合となしの場合の比較を同じ人でやることでとっています。
 客観はグループを分けて同じテーマに対して比較をしてみて、やった場合とやらない場合と、昔のやり方でやった場合という組合せで評価をすることによってやるという形、すごく大ざっぱな枠組みとしては、大体このフレームを使いながら今のところやっているんですが、正直まだどういう目的を持つべきかみたいなところは、毎回おっしゃるとおりそこで毎回苦労しまして、それを毎回設定するたびに有効性の評価で一番苦労するというので、石川主査おっしゃるとおりで、まさにそこが今、我々がずっと評価をどうしようというので議論し続けているところになります。だから、全体としての枠組みは今みたいなやり方でやっているんですが、やはり一番大切な目的のところの有効性が我々もまだ今やろうとしている最中といったところになります。
【石川主査】  ほかの委員の方いかがでしょうか。自分のところはそうじゃないんだと。
【久保主査代理】  その評価の話なんですけれども、そういうマニュアルができるじゃないですか。できて、大体ウエブに載って、PDFで大体落とせて、じゃあ使いますかというと普通は使いませんよね。ああ、そうみたいな形で、どんないいことあるのというのを見せないと、それは実を言うと結構難しいです。いろいろ世界にいっぱいありますけど、じゃあ、使うかというとみんなそれなりに手間もかかるし、それを使わないとどれほど困るのといったときに、そんなこともないでしょうみたいな話なので。今、私はこれをいかにして使ってもらうかというのをいろいろ考えたんですけども、一つの出口でCOIに使うというのはあると思いますね。
 それでこれはもうお金をもらっているので、使ってくださいと言えばみんな使うでしょう。とりあえずみんなやると思いますよ。やった上ですごい成果が出たとして、あそこで何かすごい成果が出たらしいよと言えば、みんなに広まると思います。そのときに使ったから出たよというのを評価で見せないといけない。いろいろなCOIの拠点があって、あそこは何かうまくこれを使ったのでとんでもない成果が出たよというのを見せるというのは、これは一つの方法だと思います。
 それ以外に一般的にそういうのができたから産学連携で先生を入れてやるかというと、どこからアプローチするかですよね。お金、ファンドと一緒に使ってもらうというやり方が一つ、官からいく方法。大学側がすごくやりたければ、そういうのを持って産の方に、実を言うとこういうことをやりたいんだけど、どうでしょうみたいな、そういうアプローチがあります。
 あるいは産の方が、実を言うとこういうことをやりたいんで、大学さん、是非一緒にやってもらえませんかと。いずれにしても何らかのアプローチをしないと、ぽんと置いて、じゃあみんなやるかというと普通は多分やらないと思いますね。だから、そこのところの評価と一緒なんですけど、どのぐらいいいことあるよというのを見せるかというのは、なければ多分できて置いておしまいかなという気はしています。これは多分現場の本音というか。
【石川主査】  非常に本音のレベルに近い話だと思います。じゃあ、どうぞ、古谷さん。
【古谷委員】  今のお話に関連して、我々の職場の中でも非常に小さな取り組みですけれども、表彰とか要はそういう取り組みをした人がお互い紹介し合って、年間通じてそれをある意味、そのワークショップだけでは実はないんですけれども、それを使ってあるテーマに対してアウトプットが出たということが、みんなで共有して、ある順位づけをするようなことをやっていたりとか、それに対して翌年はああいうやり方を自分たちもやろうという人があらわれたりとか、非常に地道な取り組みなんですけれども、多分、今回の取り組みも各所局所的ではなくて、もしかしたら全体でそういうことをお互いに知り合うような場があると、やったメリットといいますか、何かそういったものが間接的にやられるのかなと思います。
【石川主査】  表彰は給料に関係しますか。
【古谷委員】  給料ではなくてボーナスに関係します。あとは寸志が出たりしますけれども。
【石川主査】  なるほど。
【久保主査代理】  でも、もっと言うと企業はやっぱり組織になっているので、トップがやれと言えばやるでしょう。そうでもないですか。組織で上司がやれと言えば部下はやるでしょう。それだったらいかにボードメンバーを説得するかということを考えた方がいい。でも大学はなかなかそうではないので、大学の先生を動かすにはどうやったらいいのかというところを考えないと、よくても動いてくれないと結局駄目なんで。そういう人たちにどういう見せ方をするのかというのを考えないと多分現実に広めようと思うと私は難しいかなと思っているんですけれども。どうでしょうか。
【古谷委員】  正直言って企業でありますけど、デザイン部署は半分自由人的なところがあって、やっぱりなかなか気に入らないと使わないという面もありまして、そういう意味ですと逆に言うとそれぞれが個人商店といいますか、人と比較して自分はいい活動をしたいという思いがあるので、何かしらそれが横目で見えていると、それに対抗したり、あるいは自分の新しいやり方をそこに乗っけてみたりとか、そういう活動は始まりますので、必ずしもトップダウンでみんなきれいにやっているかというとそういうわけではありませんということです。
【久保主査代理】  もちろんそうです。モチベーションを高めるためには、各人が積極的に取り組んでいかなければいけないのはおっしゃるとおりだと思うんですが、ただ、そこへ持っていくためには、やっぱり何らかの働きかけをしないと。置いといて、じゃあ、いいものだからみんながどんどん使うかというと、なかなかそうはいかないと思います。
【石川主査】  ただ、阿部委員の発言の裏側には、これは私が読んじゃっているのは、何もやらなければ何も起こらないという逆の意味であるわけですよね。先生方が集まって、何かブレーンストーミングしてくださいといっても、いつもの議論が繰り返されるだろうと。それはそれでまた逆の意味で問題だろうと。
 それを何か突破口のヒントには使えるかもしれないという期待感を持たれているようで。私は普通に何もやらなければ、毎日同じことが起こるというのはそうだなとつくづく思うわけで、アイデアを出してくださいと言っても、集まって最近は研究費が少ないねという話をして終わりになっちゃうわけであって、そこを何かきっかけづくりをしないとまず動かないというのはあるんですが。ちょっと八方美人的な発言で申し訳ないんですけど、久保主査代理がおっしゃるように、何かインセンティブを与えないと動かないというのもまた事実であって、その間でどこら辺で動こうかという話でもあるような気がします。平川委員、どうですか。
【平川委員】  評価という言葉でいろいろと議論していくときに、ちょっと議論の整理が必要かなと思ったんですね。例えば今、久保主査代理がおっしゃったことというのは、こうした対話活動、対話的アプローチをとること自体、それをやっている活動とかそれをやっている研究者なりの評価という部分と、それから、先ほど白坂委員がおっしゃったところは、方法論あるいは手法のレベルで、それがうまく機能するか、ある目的に対して機能するかという話。さらにはまた最初の方の研究者、担い手自体の評価の結構大きな要素は、最終的にどういう成果が出てくるかという、実際に対話した結果、更にそれに基づいて様々な研究開発事業を行った結果何が出てくるかというもっと最終評価も出てきますし、それは幾つか切り分けて考えないと、これもやっぱりフェーズ別に考える必要があるだろうなと。
 あと、そのフェーズ別に考えるときに結構重要なのは、評価はコンテクストによってどんどん変わってきますし、ある時点で特に内容にかかわる評価では、例えばあるワークショップをやったときに、これはなかなか面白いというのが出てきたとしても、それは最終的に世の中に出ていったときにどういう評価をされるかというのは、これは実際に世の中がどうその時点で社会の価値観とか状況がどう変わっているかで大分変わってくる話なので、評価はやはりなかなか確定しないと思うんですね。そういう意味で評価自体が常に暫定的なもので、その評価自体もフィードバックを続けていくような仕組みが多分必要なんだろうと思います。
 あともう一つ、逆にそういう暫定的なものはなかなか長期的に見ないと最終的なところは見えてこないので、短期的にツールとしての評価という点では、例えば特に実際に研究開発につなぐところでは、幾つプロジェクトが実際にそこからスタートしたかというようなざっくりした評価でもいいのかなと。
 あとはもう一つは最初の段階、いろいろな社会的な課題を見つけるところに関しては、ここはもう少し内容に踏み込んだ部分も必要なはずで、一つは最初に主催者側の方で予定していなかったような意外性なものが出てきたかどうか。それを実際に参加者の間でも多くの人たちが意外だと感じたかどうかという点と、あと意外だと感じたところで、これは先ほどの並木委員のお話にも関連すると思うんですけれども、最初に専門家がある程度入っていって、その中で出てきたアイデア、そこに更にエンドユーザーとかいろいろなステークホルダーが入ってきた議論、そこでまたはじけた予想外のものが出てきたときに、それが実際にどういう意味を持つかと。また再び単に全然目新しいアイデアが出てきたねで終わらないで、それをもう1回専門的なさめた目で見返してみて、やはりこれは専門的な観点から見ても重要であると。我々自身もそこから新しい発見をした、学習をしたということを専門的な観点からまた評価していくというちょっと広い意味でのレビューの仕組みを入れていく。多分いろいろな場面ごとに、フェーズごとに幾つか評価のやり方というのを手法プラスプラクティスとして入れ込んでいくのが重要かなと思いました。
【鳥谷委員】  それに伴って各フェーズの評価で誰が評価するかというのも変わってきますよね。
【石川主査】  いや、誰が評価するかというのも変わってきますし、今、平川委員の言った評価の方法って非常に多種多様なものがあるんですよね。ちょっと分野で言うと材料系だとか医療なんかだとわりと目標設定が明確で、その目標設定に対してどういったことをやれば評価が高くなるか明確なんですが、そうじゃない分野もいろいろあって、何をやればいいか、分野全体のポートフォリオでも考えない限り評価できない。うまくいくということは全くわからない。10個やって1個ぐらいうまくいくというような議論をしたときに、うまくいくというのはよくわからないけれども、どれだけ評価するかという話になるので、評価軸を求めましょうといった瞬間に破綻を来しちゃう。そういったときにどうするかという問題もあるんですが、工藤さんが何か言いたいようです。
【工藤室長】  すいません、最初にこの議論を始めるときに四つの検討課題と挙げさせていただきました。これはまず発散をして、なるべく新しいアイデア、要は想定した課題に対して、その課題をある意味驚くようなものが出てこないと、恐らくイノベーションという形にはつながっていかないのではないかという前提を持って設けさせていただいています。
 さらにモチベーション、参加者の効用を高めると書いたのですけれども、これも続けていくことに価値があるというふうに見いだしていただくと、これは面白かった、是非やるべきだと、もっと新たなアイデアがどんどん出るべきだということになっていくことを目的として実はプリセットさせていただいたつもりだったので、評価の一つの軸としては、やはり新しいものを出ること、それを続けていくこと、ツールとしては満足の高いものとなることが、成功したものになると考えていいのではないと考えて書かせていただいております。
【石川主査】  それはわかるんですが、今の議論は新しいものが1,000あったらどうするのという話で、新しいものが全部いいわけじゃないわけですよね。
【工藤室長】  そこがまさに収束のプロセスの話、どういう評価軸といったときに、さっき平川先生が一応断面ごとにスライスしていただいたんですけど、そのときに出てくるのは、今の石川主査のおっしゃるとおりであれば、まさに1,000あったアイデアのうちどれを選ぶ、その評価軸というのはどう置くのかと。それはそうするとプログラムというか、ツール自体の評価とはまた違っていていいではないかと考えます。
【石川主査】  それは違いますよ。
【工藤室長】  中身としてそれは何を選ぶのかという。その辺は白坂先生はどうですか。
【石川主査】  だけど、総論としてこんなのはわかっていたらばもっとこんな議論要らないですよ。
【工藤室長】  確かにそうですけどね。
【石川主査】  はい、どうぞ。
【久保主査代理】  冒頭に石川主査が言っておられたんですが、ミスリードさえしなければいいかなと思うので、例えばCOIで使いますよね。あそこがすごくいいのは出口を必ず出さなければいけないので、議論は発散するけれども、発散してできるだけ遠い目標に置くけれども、でも、実現をしなければいけないテーマなんですね。
 だから、テーマが目的ではなくて実現が目的なんで、そういうところからするとミスリードするとものすごい広いテーマをいっぱいつくるんだけれども、全然実現しなくて論文も全く出ないといって、かえってもとより悪くなったみたいなことだけはあまりやりたくないなと思っています。そうやって目標を設定もするんだけれども、でも、実現も大事なんだよということのバランスのメッセージだけはどこかに置いておけば、あとはいろいろな使い方をしたらいいんじゃないかなと。
 私自身は先ほど評価ということで、使ってもらうことも評価なんだったら何らかの方法で、日本中でこことここが使っているという情報がもしあれば、それはそれでいろいろなところで使っているよねということでも、先ほどいろいろな評価があるといったので、ツールそのものの評価としてはすごい成功かなと思っています。
 ただ、そこがCOIなんかは使っているということはもちろんわかるんだけれども、中を別にオープンにしてもらう必要はないよねと思っています。これは今日議論がありません、今も全然議論されていないんですけれども、我々がやっているケースは、守秘契約をあるところから結んで、議論の中身に関しては、守秘契約を結ぶわけですよ。だから、中は別にクローズでもいいと思っていて、そこで使っているか使っていないか、どんな使い方をしたかぐらいわかればいいのかなと思っています。すいません、そこにちょっと異論があるかもしれません。
【石川主査】  はい、どうぞ。
【江上委員】  新しいアイデアづくりに突然ツールを使うというのは、それこそ体験がない中でなかなか難しい。そうすると、産学連携の国プロジェクトでは大体、プロジェクト運営委員会を定期的に開いていて、何か課題解決の案件がテーマとして挙がってくるわけです。研究テーマの場合もあれば、まさに産学とどう連携するかという話、お金の話もあります。その場である決定や決断をしなくてはならない場で毎回使ってもらう。
 プロジェクト運営委員会のようなものでツールを何回かやってもらうと、参加者の人たちもとにかくプロジェクト運営のために決定のモチベーションは大学側も企業側もありますし、システマチックな議論ができる。
 学だけの中でもプログレスミーティングも開いていると思うので、そういう中での使い方でまずみんながなれた上で、どんどん更に開発してもらうというような、導入部分ではそういった形でもいいかなと感じております。
【石川主査】  そのときに一番現場のイメージが、最初にわけのわからん道具があるみたいだと。これを1回やってみましょうというのを言ったときに、ある確率で失敗するわけですよね。それに対する批判は起こらないものなんでしょうか。これが起こっちゃうとままずっとシュリンクしていくんですよ。それも許容してもらえるとまま開いていくんですけど、どっちに行きそうですか。
【江上委員】  私は幾つかのツールを準備するとおっしゃった、それは非常に有効だと思っています。一つのツールだけですと、みんな何らかの議論の失敗の理由を求めるときに、どうもこのツールだなと仮想敵国にすれば、参加者の誰にとっても傷つかないというふうになります。その事態を避けるためにはやっぱり幾つかのツールを用意してある程度選択してもらう。ただし、ショッピングアラウンドにならないように、それなりの準備をしてワークショップに臨んでもらえば、自分たちでも今まで経験のないような議論の展開ができたりする。そういったことをもう1回、もう1回と実践する。成果についても何らかの簡単なメモを残してもらっていたのであれば研究者にしても企業の方にしてもかなり歓迎する体験となるのではないかと思います。
【石川主査】  古谷さんも何かおっしゃりたそうな。
【古谷委員】  先ほど申し上げた評価の意味が一つはまさにそういう話で、いわゆる減点法的にチェックするという意味以外に、うまく失敗する仕組みをつくりますと、失敗しても問題ないようにする。その失敗がちゃんと次につながるようにする。その最初からうまくいかないというのは多分皆さん御存じなので、それはどれだけ自然にそれができるようになるし、やった人が抵抗にならないようにするかという仕掛けが最初に用意してあげられると、普及する助けになるんじゃないかと思います。
【石川主査】  そうですね。ただ、その場の雰囲気が今の日本の産学連携の中にあるかという問題もちょっとはあるんです。それはここの議論ではないんですけれども。例えば、私の研究室なんかは修士で入った1年生は必ず失敗しろと、失敗を強要しているんですけれども、そうしないと失敗しないんですよ。普通の議論にすぐさまなっちゃうと。
【古谷委員】  それは先ほど鳥谷委員からお話があったように、期間を短くするというのが一つある。失敗を許容する理由といいますか、とにかく試してみて3日でやってみて駄目だったらもう1回やろうとか。3年やるともう失敗しようがなくなるんですが、その辺の時間設定をうまくやると、その辺の意識が少し変わってくるんじゃないかなと思います。
【石川主査】  この議論は重要だと思うんですが、現場サイド、どうでしょうか。これが本当に現場で動くためには、今の失敗を許容する雰囲気づくりは絶対必要なんですよね。
【工藤室長】  平川先生、この間の阪大のワークショップの後、これはどうだったかとかそういう声は何か具体的にありましたか。
【平川委員】  今のところ特にないですね。
【工藤室長】  よかったからまたやろうとかそういうレベルでもいいのですが。
【平川委員】  その場でつかんだ参加者の雰囲気、声としてはわりと満足度は高い感じではありましたけれども、組織的にまたそれを再びやってみようかということについては、今はストップしている状態ですね。またCOI本体の動きなんかもあったりしますので。
【石川主査】  はい、どうぞ。
【鳥谷委員】  企業の方が入っていなかったんですけど、異分野の教員を集めたブレーンストーミングのようなものをやったときに、合宿形式で、場所を非日常的なところに移してしまうと、何かちょっといつもと違うことをやろうというような気分になるみたいで、わりとすんなり受け入れてもらえるということがあったんですね。それから、その当初の会の目的には達しなかったんですけれども、それでもふだん言えないようなことをお互いに言い切ったみたいな充実感があるみたいでした。その会の目的を達成すること自体は失敗したかもしれませんけれども、先生方が自分たちの思いをぶつけ合って共有できたという満足感は非常にあったということで、そういう意味では成功したし、意味があることなんだと、そういう経験があります。
【石川主査】  環境を変えるとか場面を変えるとか、何回もこの場でやってきたので、それはやはり重要だとは思いますね。
【並木委員】  いいですか。
【石川主査】  はい、どうぞ。
【並木委員】  評価とは最初にプランをつくるときに決めるものと思っていて、そういう意味でいうと、例えばイノベーションを起こすのがゴールであれば、最終的な評価は画期的な商品ができて、世の中席巻したというのもあるし、商品化まで至ったというのもあるし、アイデアが少なくとも三つは出たというのもあるし、あるいはアイデアは出なかったけど、それに近い議論までは行ったんだということもある。どこまでをゴール設定にするかということだと思うのですね。
 このツールは使えたかというのが課題だったら、それは使った方々のアンケートをとればいい話だと思います。最初にプロジェクトを起こすときにどれをゴールにするかということを決めないといけなくて、そもそも論になっちゃいますけれども、そうしないと多分メンバーになった方のモチベーションもどこをゴールにするんだということがわからないと、多分ゴールに向かわないと思うんですね。ですから、評価って何かやってみてどうかじゃなくて、最初から決めておくということを、レベルが緩くても決めておかないとそれはいけないのではないかという気はするのですけれども。
【石川主査】  そうですね。おっしゃるとおりなんですが、この作業部会の評価を最初に決めるというのはあまりやってこなかったのは、ちょっと広くアイデアを頂くところがあったので、そろそろ評価の方を決め始めてもいいんで。
【工藤室長】  一つだけ補足しますと、具体の事業のシーズ・ニーズ創出強化事業というのがございまして、そちらの中にはこういったツールを使った対話をした後に、最終的に何らかの調査研究に結びついていただくというのがゴールに設定してあります。したがって、この調査研究の結果がある種の次の研究のステップにつながった。政府の何らかのグラントがとれた、企業との共同研究につながった、若しくはそのまま事業化につながったというのが一つのゴールになるのですけれども、その中でも一番レイヤーの低いというか、一番手前の段階のゴールとしては、やはり何らかの研究につながっていくというところです。そこがあれば、少なくとも事業としては一つの成功と考えてもよいのではないかと考えています。
【石川主査】  だけど、私、こんなところで2人で議論しても、私はその目標はちょっと低過ぎて。
【工藤室長】  わかります。
【石川主査】  何らかの研究になったじゃ駄目で、それが今までの日本の国費原資の研究のそもそもたる問題点なのであって、ここでイノベーションが起こるということは、国費原資の研究が社会に対して価値を何らかの小さな価値でもいいから創造したということぐらい、文科省の方から言っていただきたいなと。
【工藤室長】  COIにおいて、一つの拠点がどういう強みを持って、ある種のテーマに対してどういうバリューを出せるのかというのを拠点が自ら考えて、それがイノベーティブなアイデアかどうかについて検証するプロセスである調査研究につながるというのを設定しているだけなので、入り口には非常に大きな目標をもちろん持ってはいますが、出口のところであまりハードルを上げ過ぎても、ちょっと事業としては成立しないのかなと、これまだ事実でございまして、そこはそれで若干御容赦いただきたいと思います。
【石川主査】  でも、かみつくわけじゃないんだけれども、研究ができればという出口のイメージはあまりないんですよ。このツールが産学連携、あるいはイノベーションに対して何らかの寄与をしたという出口イメージは持っているんです。何らかのイノベーションで産学連携に寄与しているということは、研究ができただけでは駄目だということを植えつけなきゃいけないわけです。
【工藤室長】  そういう意味ですと、実は櫛先生に私がお聞きしたかったのは、プロトタイピングはこういう議論からどういうふうにつながっているかと、現場で体験されることって何かございますか。
【櫛委員】  プロトタイピングですか。
【工藤室長】  一つの議論を収束する形として、更に世の中に考えたものを提示する方法としてお伺いします。
【櫛委員】  すごいジャンプがありますよね、やっぱりそこには。僕たちがやってたのはこういうことだったのか、どうも違うぞという評価も出てくるでしょうし、思わぬ発見みたいなものも出てくると思いますし、そこはやっぱり次のステップへ踏み出す勇気をまずは持つということと、そこにつくってみてどうだったという評価を非常に大きなインパクト、トータルとしては出てくると思うんですけれども。
【石川主査】  そうだね。そこは、どうぞ。
【久保主査代理】  石川主査と工藤室長のお話を聞いていると、もちろんこの目的というのは、イノベーションを起こすことです。我々はそこは外すべきではないし、そう言うべきですし、これの目的は当然そうあるべきだと思います。ただ、テーマが決まった後、それの研究開発をやってイノベーションが成功するかどうかは、他の要素もいっぱいあるので、このツールだけでそれが決まるわけではないですよね。だから、このツールでそこまで約束するのが多分あまり適当ではないということで、多分、工藤室長はそう言っておられるんだと思います。
 だとしたら、少なくともこのツールはイノベーションを起こす、これを使ってイノベーションを起こすんだという意識にさせるようなものは必要かなとは思うんですけれども、だから、我々のミーティングも最終的にいろいろなアイデアが出て、全員がそれをやるかというと、必ずしもそうではないんだけども、社会がそういうことを求めていて、大学の教員はそこを目指していくべきですよと。そのためのツールなんですというようなメッセージは何らかの形でこのツールの中に入れておいた方がいいんじゃないかなという気はします。
【石川主査】  私もボトムラインはそこだと思うんですね。このツールが仮に全く使われなくても、このツールが言わんとしている思想なり政策、国策としての方向性が各サイトに伝われば、それはそれで重要な問題だし、当然冒頭に申し上げましたけれども、これは各論併記にならざるを得ない話なので、各論併記というのが100点満点ではあり得ない。だから当たらない人が出てくるのは当然のことなので、使えないという人が出てくるのはもう当たり前だということ。だけどもどこかでうまくヒットして、使えたという人が何人か出てくれば、それはそれでいい話だろうという話だと思うんですね。
 ちょっとそろそろまとめたいという意欲が主査にも出てきましたので、このぐらいのもしかしたらもうちょっと足りないと思いますので、次回設定させていただきましたので、次回はもう少しちゃんとしたたたき台の中で、今日の議論の柱は二つか三つしかしていませんので、それを1回書き下していただいて、その柱の吟味と、足りないことがあればもう1本、2本の柱を立てる。その柱が全国の産学連携をファシリテートするようなものであってほしいし、その柱に合わせた形のツールが何らかの形で出てきてほしいという報告書にまとめたいと思っています。
 だから、その報告書だけでは何がどうなるかわからないんだけれども、相当に日本の方向性を記述した報告書になると。ちょっと抽象的にならざるを得ないのはごめんなさいなんですが、までを次回にまとめたいなと思っております。是非とも方向に誤りがないように、ミスリードするようなことがないようにしていただきたいのと、あとツールをこれから先、実際につくるので、そのツールをつくる際の抽象的な仕様書ぐらいにはなっている形にはしたいなと思っています。
 もう一つ、資料3-2というのがありまして、これは多分、今の議論で主査の運営は正しかったと思うんですが、今の議論で全部インクルードされているとは思うんですが、大学の現場で異なる複数の対話ツールをテーマ・課題に合わせて選択することが困難であるとする、これは困難だという議論がありました。実際に現場でワークショップを行うにはどうすればよいのかという話は、最初の柱の議論のときに大分やりました。
 基本的にいい人がいればできるというのはわかるけれどもということは回答として一つだったんですが、その人がいなかった場合にインストレーションというか、そういうものはどうやってやるかということに関してはちょっと難しいねということがあったので、サンプルあるいは何らかの記述をやったときに受け取る方がやるのと、それから、ファシリテーターが少し何人かは布教のために伝道師として行かざるを得ないだろうというのが先ほどの議論の中心だったような気がします。よろしいでしょうか。
 それから、2番目が対話ツールの種類は1種類で、いかなるテーマ・課題にも効果的で対応できるのが開発可能かということ、これも最初の議論でフェーズが大分違う、三つという人がいましたけれども、3か4か2かはわかりませんが、三つぐらいのフェーズがあって、そのフェーズの間では違うだろうという意見があります。
 そのフェーズの中ではもしかしたら一緒にできるかもしれないけれども、今度は久保先生もおっしゃったように分野によって違うので、分野を限ってフェーズを限ると1種類になるかもしれないけれども、分野の違いは大分大きい影響があるだろうと。
 ただ、それを分野の違いを含めて一つのものにまとめることはもしかしたらできるかもしれないけれども、選択をする人がどこかに必要になって、その選択のノウハウがまた伝承問題が生じてしまう。私が大分何回も質問したその選択がちゃんと記述されているならいいんだけど、その記述を見て、この場面はこれだとやれるかというとそれがそうではないだろうという皆さんの考え方もあるので、先ほどの問題と同じ問題にたどり着いてしまうという形になる。
 それから、3番目はワークショップをマネジメントできる人材の確保が難しい場合でも、ある程度の結果及び参加者の効用が得られる方法はあるかということに関しては、ワークショップという話は今日はあまりしなかったので、明確な議論はしていないとは思うんですが、ワークショップということをちょっと外れて、人材の確保が難しいという場合はちょっとしたと思うんですが、なかなか難しいという結論があったわけで、それを阿部委員の話もあったように、期待感を上げ過ぎると難しいという話になるけれども、ちょっとチェンジ・オブ・コンセプトなりチェンジ・オブ・ペースのために使ってみる、あるいは江上委員もあったように、失敗をちょっと許容する雰囲気の中では使ってみるというトライという意味での雰囲気ができていればそれは可能であると。それは人材がいた方がずっとスムーズには進むけれども、いなくても自己啓発みたいなところがあるから、それの組織体の自浄作用をもって処理することは可能ではないかというような意見があったように思います。
 ちょっとあと数分の間、次回は本当にまとめに入りますので、柱で予告でも結構なんですが、こういう視点が欠けているんじゃないかというのを、次回に向けて今日はその視点を議論する時間はもうないんですけれども、その視点を次回に向けて今日の議論の中で欠けている部分というのは何かありますでしょうか。
 櫛委員。
【櫛委員】  ちょっとずれてるかもしれないんですけれど、何か対話ツールというといわゆる研究チームでやったり、いろいろな人を招き入れたグループの中での対話をどう促進するかというイメージがあるわけですけれども、先ほど工藤さんおっしゃったようなある種、その対話の結果何なんだというところにいうと、何かその発表の場というか、いわゆるアイデアはどうフィージビリティーがあるのかとか、力強いものなのかというところの、ビジネスコンテストじゃないですけれども、そういう何か常に対になっている部分があるんじゃないかなと。そこをこの作業部会はフォーカスの中に入っているのかどうなのかは、ちょっと僕もまだわかってないなというのは今思っているんですけれども。
【石川主査】  私の認識は入っている、もう方法に依存するので入っている部分もある。つまり議論とかコンテストが外部に対してそれほどの影響がなければできちゃう話なので、できちゃうものに関しては入っていると思うんですが、これが例えば外部のメンターを使ってどうこうしましょうと、コンテストには資金が要りますという話になると相当にやりにくくなるので、そこまでここで道を開くというのはちょっと重いかなという感じがします。皆さんどう思うかを、ちょっと一つの課題として受けとめておきたいと思います。
【櫛委員】  ですから、内部だけの対話でいうと、結構よかったよねという経験だけでもいいんじゃないかなみたいなところで終わってしまいそうな感じがあります。それが実際に社会インパクトにどう与えていくかというときに、結構そこはかなりいろいろな要素を取り込んだ上でのジャンプや解釈や決断といったものが入ってくるわけで、そこを入れていかないとイノベーションという内容になかなかなっていかないんじゃないかなと、そんな感じがするんですけれども。
【石川主査】  おっしゃるとおりなんですが、それを大胆にやるという案をつくっていいのかなと。例えば科研費の審査はクラウドファンディングでやろうとかというと、ものすごくセンセーショナルでいいんですけど、そうはいかないような気がする。ただ、その次善の策はいろいろありそうなので、その辺は次回議論させていただければと。重要な意見です。
 平川委員。
【平川委員】  今日のこの三つの3-2にもあるような人材確保が難しいという点に関連するんですけれども、大学内で探そうとすると難しくても、大学外ではほかの領域でコンサルタントでプロでやっている人とか、あるいはファシリテーションで結構プロになっている人とか、そのほかいろいろとソーシャルベンチャー系でわりとこういう活動をしている人たちは結構世の中にだんだん出てきていますので、そういう大学外の実際にいろいろな領域でやっている人たちと連携するというのも一つ大きな柱かなと。
 そうすることでもちろんこれを大学での研究開発に結びつけるというところでは、大学外の人たちはまだふなれだと思うんですけれども、そこはお互いに共同作業をする中でコエボリューション、共進化していくのかなということと、あとは大学内部の人材を育てる場合にも、そういう外部でやっている人たちのところにインターンシップで預けることも多分できると思うんですね。そういうところでちょっと武者修行してきなさいという形で、実際の経験を積むということもできると思いますので、外部の実際に対話的な活動をやっている人たちとの効果的な連携というのも一つの柱になるかなと思いました。
【石川主査】  そうですね。そこもいろいろな議論があると思うんですね。外部の組織体をどう評価するかという、評価と評価の掛け合いみたいなところがあって、私の経験なんかですと外部の組織体が全ていいかというとそんなことは決してなくて、外部の組織体にも全然使い物にならないところがいっぱいある。それを評価している我々がその評価が正しいかどうかに不安があるというような問題。結果論は幾らでもできるんですが、事前評価というのはほとんどできないんではないかという問題なんです。いい視点だと思いますので次回に反映する。ほかに何か忘れている視点を御指摘いただければ大変有り難いんですが。
 久保先生、よろしいですか。
【久保主査代理】  結構です。
【石川主査】  じゃあ、次回に向けては、今日議論したことと二つほど追加の指摘がありました視点を踏まえながら、もう少したたき台の議論になるようなたたき台をつくっていただいて、それをベースにまとめの作業に入りたいと。まとめの作業なので、あまりまとめ切っちゃいますと、私の最初の方針である各論併記、まとめ切ってまとまっちゃったことによる弊害というのがありますので、各論併記を考えつつも柱が幾つか見える姿をつくりたいと思っていますので、よろしく御協力のほどお願い申し上げます。
 それでは、最後になりましたが、事務局から連絡事項をお願いします。
【鷲﨑専門官】  お手元の資料4を御覧ください。今後の日程を書かせていただいてございます。第4回といたしまして5月20日月曜日10時から12時を予定してございます。場所は今、未定でございますので、追って御連絡させていただきます。
 以上でございます。
【石川主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、今日の作業部会を閉会といたします。ちょっと御参加いただいている委員の皆様方に真意が伝わったかどうか大変不安ですので、もし何か御意見がある方、終わってから一言、二言述べてからお帰りいただければ大変有り難く存じます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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