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産業連携・地域支援部会 イノベーション対話促進作業部会(第1回) 議事録

1.日時

平成25年3月26日(火曜日)15時~17時30分

2.場所

文部科学省東館16F特別会議室

3.議題

  1. 議事運営等について(非公開)
  2. 今後の調査検討事項について
  3. その他

4.議事録

【工藤室長】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから科学技術・学術審議会産業連携・地域支援部会イノベーション対話促進作業部会の第1回を開催いたします。
 科学技術・学術政策局産業連携・地域支援課大学技術移転推進室長の工藤と申します。本日はお忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。
 本日は最初の会合でございますので、冒頭、私が進行を務めさせていただきます。また、主査代理の指名等、人事案件等に関する議題が終了するまでの間は、非公開で進めさせていただきます。
 それでは、まず、配付資料の確認をさせていただきます。
【鷲﨑専門官】  では、配付資料の御確認をさせていただきます。冒頭、議事次第という紙をお配りさせていただいておりますので、それに従って確認させていただきたいと思います。
 資料1としまして、科学技術・学術審議会産業連携・地域支援部会に置く委員会等について1枚ございます。資料2です。科学技術・学術審議会産業連携・地域支援部会イノベーション対話促進作業部会運営規則(案)というのが資料2として用意してございます。資料3-1といたしまして、大学発イノベーションのための対話の促進についてという紙を御用意してございます。資料3-2といたしまして、パワポ資料でございます。大学発イノベーションのための対話の促進についてというものでございます。資料4でございます。COIプログラムに向けたイノベーション対話の試みということで、同じくパワポ資料を御用意させていただいております。資料5もパワポ資料でございます。創造性開発への取組というものでございます。資料6、ラピッド・エスノグラフィーとデザインというところで、同じくパワポ資料を御用意させていただいております。資料7といたしまして、今後の作業部会の予定というものを御用意させていただいております。
 また、参考資料1、2、3とございます。一つ目、参考資料1としまして、科学技術・学術審議会関係法令でございます。参考資料2といたしまして、こちら、総会の方で、1月に取りまとめられました建議を配付させていただいてございます。参考資料3といたしまして、こちら、昨年12月10日に産学官連携推進委員会で取りまとめられた最終報告書を配付させていただいております。
 もし、過不足等ございましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお問い合わせいただければと思います。
 以上でございます。

○主査代理は、科学技術・学術審議会産業連携・地域支援部会運営規則第2条第7項の規定に基づき、石川主査が久保委員を指名した。

【工藤室長】  委員の皆様を御紹介させていただきます。
 まず、石川正俊東京大学大学院情報理工学系研究科創造情報学専攻教授でございます。
【石川主査】  石川でございます。よろしくお願いいたします。
【工藤室長】  続きまして、専門委員の方を御紹介いたします。まず、阿部紀里子浜松医科大学知財活用推進本部特任助教、産学官連携コーディネーターでございます。
【阿部委員】  阿部でございます。よろしくお願いいたします。
【工藤室長】  次に、江上美芽東京女子医科大学先端生命医科学研究所客員教授でございます。
【江上委員】  江上でございます。よろしくお願いいたします。
【工藤室長】  続きまして、櫛勝彦京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科デザイン学部門教授でございます。
【櫛委員】  櫛です。よろしくお願いいたします。
【工藤室長】  続きまして、主査代理でございます久保浩三奈良先端科学技術大学院大学先端科学技術研究推進センター調査研究部門長・教授、産学官連携推進本部副本部長でございます。
【久保主査代理】  久保です。よろしくお願いします。
【工藤室長】  続きまして、ただいまお着きになられたところで恐縮ですけれども、郷治友孝株式会社東京大学エッジキャピタル代表取締役社長でございます。
【郷治委員】  大変失礼しました。郷治でございます。
【工藤室長】  続きまして、白坂成功慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科准教授でございます。
【白坂委員】  白坂です。よろしくお願いいたします。
【工藤室長】  続きまして、杉原伸宏信州大学産学官連携推進本部准教授、リサーチ・アドミニストレーション室長でございます。
【杉原委員】  杉原と申します。よろしくお願いいたします。
【工藤室長】  続きまして、鳥谷真佐子金沢大学先端科学・イノベーション推進機構特任助教でございます。
【鳥谷委員】  鳥谷と申します。よろしくお願いいたします。
【工藤室長】  続きまして、並木義巳株式会社電通ソーシャル・ソリューション局次長でございます。
【並木委員】  並木でございます。よろしくお願いします。
【工藤室長】  続きまして、平川秀幸大阪大学コミュニケーションデザイン・センター准教授でございます。
【平川委員】  平川です。よろしくお願いいたします。
【工藤室長】  最後になります。古谷純株式会社日立製作所デザイン本部主管デザイナーでございます。
【古谷委員】  古谷でございます。よろしくお願いします。
【工藤室長】  引き続きまして、事務局を紹介いたします。総括審議官の田中でございます。
【田中総括審議官】  田中でございます。よろしくお願い申し上げます。
【工藤室長】  続きまして、科学技術・学術政策局次長の田中でございます。
【田中次長】  田中でございます。よろしくお願いします。
【工藤室長】  それから、産業連携・地域支援課課長の里見でございます。
【里見課長】  里見でございます。よろしくお願いいたします。
【工藤室長】  同課補佐の寺崎でございます。
【寺崎課長補佐】  寺崎です。よろしくお願いいたします。
【工藤室長】  それから、科学技術・学術政策局計画官の阿蘇でございます。
【阿蘇計画官】  阿蘇です。よろしくお願いいたします。
【工藤室長】  それから、大学技術移転推進室専門官の鷲﨑でございます。
【鷲﨑専門官】  鷲﨑でございます。よろしくお願いいたします。
【工藤室長】  また、同室補佐の石田でございます。
【石田室長補佐】  石田でございます。よろしくお願いいたします。
【工藤室長】  それでは、事務局を代表いたしまして、課長の里見より一言御挨拶申し上げます。よろしくお願いします。
【里見課長】  皆様こんにちは。非常にかた苦しい会になっておりまして、本来ですと、もっと親しく皆様方とお話をしなければいけないところですが、今日はこちらから失礼いたします。
 今日は、科学技術・学術審議会の下にありますイノベーション対話促進作業部会ということで、かなり正式な会議として開催されております。審議会に初めて出ていただく方に御説明しますと、基本的には議事が決まっておりまして、全ての議事が議事録にとられまして、全部公開されるというようなスタイルとさせていただく会議でございますので、全体がかなりフォーマルな感じになります。通常でございますと、こういう広いお部屋に四角く座っていただくというスタイルをとっているんですが、この作業部会自体は、室長の工藤から皆様方と御議論させていただきながら集まっていただいたように、とにかく初めての試みをやってみようということで、このような座り方で開催させていただくものでございます。
 私ども、科学技術からイノベーションを起こすイノベーション政策にずっと携わってきているわけですが、なかなかシーズを上手に事業化していくということだけではイノベーションは起きないのではないかということを考えておりまして、それには、私ども自身がもっとやり方を変える必要があるのではないかということを、最近感じているところでございます。
 恐らく現場の皆様方もそう思っておられるんだと思いますが、では、どういうやり方でやればいいのかということを一度も今までちゃんと議論したことがないということがありました。その点を今日お集まりの先生方々で議論していただきたいと考えております。そのような趣旨で、基本的にはデザインの分野に関わる先生方や、URAであるとか、コーディネーター的な業務であるとかをされている現場の方にもお集まりいただきまして、実際に現場で使ったときにどういう効果があるかをイメージしながら、イノベーションを起こすためのやり方について、御議論いただきたいと思っております。
 文部科学省からやり方を示すと、すぐ大学の先生方ではこれさえやれば何とかなると思われることがよくあるんですが、そうではなく、イノベーションを起こすという目的に対して、開発したツールのうちの使えるものを上手に使っていただきながらやっていただけるような「材料」を提供するというイメージです。したがって、最終目的は、ツールを使うことではなく、ツールを使ってイノベーションを起こすということだと考えているところでございます。
 話が長くなって恐縮ですが、私、この間、オランダに行かせていただきまして、フューチャーセンターを訪問させていただきました。ちょうどこの部屋のようなセッティングのところに、いきなり映像がばっと出てくるような部屋がありまして、脳科学研究に基づいたいろいろな映像を見せることによってマインドセットを変えまして、次の部屋に移るとすっと議論に入れるといった仕掛けを持っているようなところでした。欧米でも、恐らく新しい試みをそうやってやりながら、集中して議論するというような仕掛けをつくる部分が出てきているのかなと、そのとき感じました。日本では、一つ一つの大学にフューチャーセンターを置くのは難しいと思うんですが、新しい試みによって、人間の心を集中できるようにするというような仕掛けも非常に重要かなと感じたところでございます。
 今日は、ちょっと居心地が悪いかもしれないのですが、先生方がすごく近くに向かい合って座っていただいているんですが、これもイノベーションを起こすためには一体どういうやり方がいいのかを議論していただくためのセッティングの一つと御理解いただきまして、今日やってみた結果、これだといま一つだということであれば、次回以降は、また違うセッティングでさせていただきたいと思いますので、自由にどうぞ、皆様方、そういう趣旨で御議論いただければと思っております。
 事務局が見守る形で気持ちが悪いとは思いますが、恐縮です。よろしくお願いいたします。
【工藤室長】  ありがとうございました。では、以降の議事進行につきましては、石川主査にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【石川主査】  石川でございます。よろしくお願いいたします。かた苦しいことはなるべく避けて、いい答えが出るようにしていきたいと思います。

○科学技術・学術審議会産業連携・地域支援部会イノベーション対話促進作業部会運営規則について、資料2に基づき事務局より説明後、原案のとおり了承、決定された。

【石川主査】  本作業部会の議事の公開については、運営規則第5条に基づき、議事は原則公開とされております。したがいまして、ただいまより公開とさせていただきたいと思いますので、報道関係者及び一般傍聴者の入場を許可したいと思います。よろしくお願いいたします。
(報道関係者・一般傍聴者入場)

【石川主査】  それでは、これより公開でイノベーション対話促進作業部会を進めさせていただきます。
 本作業部会の主査を務めます石川でございます。また、久保委員が主査代理に御就任いただいております。私ども2人、一言ずつ御挨拶申し上げます。
 と言いましたが、気楽にやらないと……。今のところまでは、かた苦しくやったのですが、私も東京大学で理事・副学長をやっているときに、相当な新しいものをつくり上げてきまして、ルールを新しいのを13個、建物を2棟、ファンドを一つ、仕組みを十幾つつくったんですが、それを全部ゼロからつくった。そのときの議論は相当に難しかったので、そのことを思い浮かべますと、ここでの議論をうまくまとめるのは大変難しいと思います。皆様の御協力を得て、ここで対話がちゃんとできない限りは、ここでつくったものは世の中で使われないというぐらいの心意気でやりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【久保主査代理】  主査代理の御指名いただきました奈良先端科学技術大学院大学の久保です。よろしくお願いいたします。
 後でまた、ショートのプレゼンテーションをさせていただくので、そのときにお話させていただきますけれども、長年現場でずっとやってきましたので、現場でうまくいくような成果というものを是非出したいと思っています。是非よろしくお願いいたします。
【石川主査】  それでは、議題2の今後の調査検討事項として、この作業部会の目的の確認と、産学連携の現状紹介について、事務局から説明をお願いいたします。
【工藤室長】  それでは、皆様の後ろから失礼する方もいらっしゃるので見にくいかと思いますけれども、説明したいと思います。
 今、お手元に資料3-1と3-2というのを配付させていただいているんですが、3-2は、これから御説明いたします産学官連携の置かれている現況と、この会議の目的をまとめてスライドに仕立てたものでございます。そういう意味で、3-1はお目通しいただきつつ、私の拙いお話を聞いていただければと思います。
 では、簡単に御紹介したいと思います。
 この年表は、我ども文部科学省が産学官連携関係者の集いなどの場でプレゼンテーションをするときに、産学官連携の歴史というのでよく使うものなので、既に御覧になっている方にとっておなじみのもので何ら新しいものではありません。我々が一番この中で大きなトピックだと思っているのは、やはり国立大学法人というのができたことです。それまで、個々の教員が知財を管理していたところ、これに対して、機関帰属の原則が打ち出されて、これがために、大学が自分で知財を管理できるようになった、しなくてはならない体制をつくらなければならなくなった。この辺がやはり、この10年の産学官連携の大きなターニングポイントだったと考えております。
 今申し上げたことを、法人化以前は、地域共同研究センターというのがあって、ここで研究者個人による活動が主体であったところを組織化したと。そして、組織化するに当たっては、平成15年から19年度に大学知的財産本部整備事業というのを補助さしあげまして、引き続きまして、大学等産学官連携自立化促進プログラムというのを、これが、あと数日で終了しますけれども、5年間、大学に対して補助さしあげました。これによって、大学内において、産学官連携活動というのが自律的にできる体制というのを構築してきたところでございます。
 この補助に対する一つの回答といいましょうか、ファクトとしてどういうことが起こったかと申し上げると、これは直近6年程度のデータしか出ていないのですが、より古いデータ、平成15年程度のデータから見ると、少ないレベルからあった民間との共同研究、受託研究、それから特許出願件数、こういったものが着実に伸びてきています。
 ただ、これは見た感じでそのままですが、ここ数年の伸びというのは、それまでの15年ぐらいからの急激な伸びから比べると、非常に鈍化してきている。それほど大きく伸びているような形には見えない。つまり、かつては急成長の時代があったのが、定常的な状態に入ってきたんじゃないかともとれるわけです。
 これは規模別で更に見たものでは、受入額も大体のところ、50%は100万円以下というのがほとんどでございまして、非常に大きな1,000万円以上、非常に大きなと申し上げますけれども、アメリカだと大体このぐらいが1件のあたりの相場と言われています。それが日本では3.7%にすぎない、非常に小さい。
 さらに、その契約期間を見ましても、大体70%が1年以下の契約。更に続くのも、1年から3年以下がまたほとんど、25%ぐらい。こうしたもので見てみますと、大体1件100万円から200万円のものが1年契約で進められてきているというのが産学官連携の現状であると考えられる。
 ここまでのファクトを含めまして、産学官連携推進委員会というのが、この前の期の科学技術・学術審議会の下に設けられていたんですけれども、そこで御提言いただいたのは、これまでの支援施策によって、大学等に産学官連携に関する基盤的な機能は備わり、主に1対1のマッチングや知財のライセンシング等は量的に拡大してきている。しかしながら、大きな社会的インパクトや新たな市場を創設するイノベーションにつながるシステムは構築できていないのではないか、というものでした
 さらなる今後の方向性としていただいたのが、大学等の産学官連携機能を高度化して、非顕在領域から新たなシーズ、ニーズを探索し、イノベーションにつなげていくような新たなシステムを構築することが必要ではないか、とのこのです。それから、金融機関、商社、シンクタンク等のポテンシャルも積極的に活用し、連携を強化することが必要、知のネットワークの強化が必要ではないかということを御提言いただいております。
 これは、今までの産学官連携をイメージ化したものです。必ずしも完璧に反映しているわけでもないかもしれませんが、今お話ししたことを大体のイメージであらわすと、真ん中の産学官連携コーディネーター等の企業と大学を結びつける方がいらっしゃる。こういった方が市場を見据えて、共同研究等の連携、それから、知財の実施というものを行ってきたんですけれども、これはどうもよく見てみると、大学の中でもいわゆる自然科学系、工学系の研究者だけと話している結果ではないか。さらに、企業の方も、企業といっても、研究開発部門のほかにも、事業企画部門、市場開発部門、経営、いろいろなところがありますが、その中でも研究開発部門、技術部門と積み上げた結果ではないかと見ておりまして、こういった個別の大学の中での工学系、企業の中での技術開発部門の方がマッチングしてることで、個別のシーズとニーズが連携してきている。これは結果として、今ファクトとして見てきたところの1件当たり100万円未満が50%を占め、期間1年以下が70%というような形になっているのではないかと受け取っているわけです。
 他方、大学の役割はどういうものなのかと申し上げると、これはもう釈迦に説法的ではございますけれども、教育、研究、成果提供というのが大学の三本柱であると。これは法令にも規定されておりまして、学校教育法には、大学はその目的を実現するための教育研究を行い、その成果を広く社会に提供するとあります。知財基本法にあるのは、人材の育成並びに研究及びその成果の普及に自主的かつ積極的に努める。それから、教育基本法においても、これらの成果を広く社会に提供するということを規定しておりまして、成果提供というのが非常に強くうたわれてはいるのですが、社会への成果の提供の在り方というのは、考え直さねばいけない時期に来たのではないかと捉えています。これは、個々の研究の成果から、特許を取ってライセンスする単純なものではなくて、大学がどういった形で社会貢献するかをデザインすべきではないかと、こういうふうな考えに至っているわけでございます。
 議論の背景をまとめさせていただきます。これからの大学に求められることと記しておりますけれども、これこそ、資料3-1に記載事項を若干丸めて書いてあります。一つ目として、大学の知を技術の形で社会に還元する体制というのは整備されているでしょう。それから、大学の創出する知を論文、特許等の形態で社会に還元するだけではどうも不十分である。さらに、大学発のイノベーションを創出するためには、大学の知によって、来るべき社会をデザインして、同時に、大学の知をどのような形で社会に貢献させるのかを問い続けること、こういうことが必要ではないかと。さらに、こういうことをできるようにするためなんですけれども、知の在り方を常態として、大学自らが考えることができるような新たなシステムの整備が必要ではないかというのが今回の議論の出発点になっております。
 それでは、この作業部会が一体何を議論していただくのかということですが、これはまさに、先ほどの以前の審議会でも御提言いただいている、いろいろな方の様々な意見を対話に基づいてイノベーションを創出していくこと、探していくことですけれども、問題は、具体的にどうやってやったらいいのかというのが実はよくわからないと、こういう点がございまして、そこで、まず、ここで述べさせていただいているのは、多様な参加者の対話を促進し、大学発のイノベーションを創出する確率を高める方法論を模索、検討するというのを、この会議の一つの目的にさせていただきたいと思います。
 具体的に何を検討すればよいのかと、更にブレークダウンしたものがございます。四つ御用意させていただいておりますが、左上から御紹介しますと、まず発散プロセスと置かせていただいています。これは、従来にない斬新な発想を可能な限り数多く得ることを目的とした議論の方法を考えていただきたいと思います。
 さらに、その左下に移りますと、収束のプロセス。発散のプロセスによって得られたある種の発想について、具体的な技術開発に結びつけるようにしないと、ここは議論として成立しませんので、この収束方法というのは一体どうあるべきかというのを考えていただければと思います。
 そして、これは発散、収束の前提でもあり、ある種、内部化されている部分もあるのかもしれませんが、課題解決プロセスとして、理想の社会像をデザインする、まずこういうものを置いて、これに基づく発散というものを念頭に置くための必要性があげられます。さらに、収束するに当たっての一つの軸になり得るようなものとして、この理想の社会像が有用になりますが、これをどうやって描いたらよいのかと、この方法についても御検討いただければと思います。
 そして、更に重要なのが、これらのプロセスに御参加いただける方が継続的にコミットメントいただけないと、先ほどなるべく確率を高めると強調して申し上げたんですが、やはり、この手の活動というか、議論をいろいろな場で、継続的により多く実施していただけないと、やはり確率というのは高まっていかないと思います。
 しかしながら、このプロセスに参加することそのものがいとわれるような状況では、失敗と言わざるを得なくなってしまいますので、各参加者が何度も、こういった場へ来て、検討して、議論すると。それによって、何らかの結論が得られることに御満足いただける。つまり、各プロセスに継続的にコミットメントが得られるような参加者の効用といったものを高めるにはどうしたらよいかと、この点も御検討いただければと思います。
 実際、最終的に御検討いただいた事項をどんな形にまとめるのかをイメージして、今お手元の机上の方に、英文のもので恐縮ですが、必ずしも産学官連携のためのツールではないのですが、これは、科学技術における科学と社会との対話においてよく使われているツールをそれぞれ、課題設定であったり、参加者の選定方法であったり、ワークプラン、それから、議論の進め方、ファシリテーターの役割、それから、意見抽出のための軸となる事項と、こういったものを取りまとめた、違う分野のワークブックというか、ツールが既にございます。こういった形に最終的にはなって、これが現場での実行を担保するものとなるのをイメージしておいております。
 これまでの産学官連携の枠よりも、イノベーションを大学から起こすために必要な活動の概念図・イメージ図です、拙いイメージではございますけれども、描かせていただいたのは、次の社会をどうデザインするのか、大学は社会に対してどのように貢献するのか、単なる発明から大学発のイノベーションにどうつなげるのかということについてです。これまで大学において、ここ、CD等と書いて若干わかりにくいんですけれども、コーディネーターの方には多様な外部の方を連れてきていただく。それから、URA、University Research Administratorの皆様には、大学の中のこれまでの自然科学系の研究者だけではなくて、人文科学系、社会科学系ですね。社会科学系の研究者や、それから、大学の中の事務組織、こういった方も巻き込んで、大学の中にある種このようなイノベーションを起こすような対話というものができるような場を構築していただければと考えております。
 私の資料の説明は以上でございます。
【石川主査】  どうもありがとうございます。この議論なんですが、後でまた時間をとりますので、まずは御意見ではなくて、今の工藤室長の説明に関する御質問を受けたいと思いますが、御質問はございますでしょうか。意見をここで……、後でまた議論する機会もあるので、御質問をいただけますでしょうか。
【鳥谷委員】  課題解決プロセスと発散プロセス、収束プロセスの関係がちょっとわからなかったんですけれども、まず課題解決プロセスがあって、それを経た後で、発散、収束というような順番になるんでしょうか。
【工藤室長】  実際議論するときは、おそらくそういった順番、シーケンシャルなものを考えなきゃいけないと考えますが、この場で御議論をしていただくときに、それぞれ連携はすれども、独立に議論はできます。少なくとも、発散させていく方法と収束させていく方法というのと、それらを連携させていた形にどういった社会像を描くかというのは、一応議論としては別立てにできます。ただし、この点を含めて、これからどういうふうに議論を進めていくのかそれ自体も議論いただければと考えます。
【石川主査】  よろしいでしょうか。ほか、御質問はございませんでしょうか。
【江上委員】  この議論の中核部分で、イノベーションとか理想の社会像という言葉がございます。それぞれが、定義は非常に幅広いと思うんですね。こういった会議の際には、やはり、最初にどういうディフィニションや課題認識で議論をすかということを共有化して、お人によって定義の違う場合には、常に発言にアドオンするという形で進めていただくようなプロセスが良いのでは。この委員会の対話の中にはそうした確認作業が検討されているんでしょうか。イノベーションの後で急に、理想の社会像をデザインすると記載されてていますものですから、ちょっと今のお話だと困惑します。広範な議論をするにしてもどこからスタートして、どこに行くのか、特にスタート時点のディフィニションを共有するステップがあるかどうかを教えていただきたいんですが。
【石川主査】  これは誰に。
【工藤室長】  私が。まさにおっしゃるとおりだと思うんですけれども、まさにイノベーションは何であるかというのは、ここで議論しても、もちろんいいんです。皆様が議論したいということであればいいのですが、実際それをやって、なかなかまとまり切らないだろうといいましょうか、やはり議論百出して、時間が非常に限られているものですから、なるべくそのところは御容赦いただければと存じます。もしどうしても定義がなければ御議論できないということであれば、ここは一つ、イノベーションというのは、ある種の産物、プロダクトなり、サービスなりというのがより多くの人に触れられる状態になる。これはエンドユーザーであっても、中間の生産者であっても同じだと思いますが、より多くの人がある種の技術に基づくプロダクトサービスを触れる状態を実現する。しかも、その短時間軸の内で。
 長い時間をかければ、どんな技術でも、それに触れる人数というのは増やすことができますが、一般的に、人々が何かイノベーティブな物事だなと思えるということは、それは非常に短い時間内に認識できる人が増えていないと、そうは認識できないと考えます。そのぐらいの、ふわっとした考えと捉えていただいて、そこから、具体的にどういう議論をしていこうかという点について、フォーカスしていただければと思うんですけれども、よろしいでしょうか。
【江上委員】  とりあえずこういう体でいきますということがわかれば、それぞれの委員が咀嚼して議論を進められると思いますので、十分でございます。
【石川主査】  私は今のでは答えになっていないと思うんですが。答えにはなっていないと思う。
【工藤室長】  石川先生、何か良い案があればお願いします。
【石川主査】  そうじゃなくて、答えがあるかどうかもわからないんですが、むしろ、後で議論しましょうということではなくて、この何か月かの間にできる限りの結論を出すということであれば、大学の中の会議を御経験の方は、大学の中で、教育論とデザイン論とイノベーション論はやってはいけない、なぜかというと時間がかかるからというのがあるので、そこは目をつぶっての話なんですが、目をつぶって……お互いの委員の理性の中で処理しましょうということあたりでいけたらいいなと、私は思っていますし、そういう方向でやらざるを得ないかなという感覚を持っています。
 議論はまた後でやるんですが、質問はほかにございますか。
 それでは、工藤室長は、ちょっと責任もあるから、ここへ来て、一緒に議論に参加してもらおうと思います。これも実は文科省の会議としてはわりと珍しいことなんですが、一緒に議論して。工藤室長の意見が必ずしも文科省の意見ではないということも理解した上でやらせていただきます。
 今日、最初の会なので、もう少し発散が続くんですが、きっかけづくりという意味もありまして、3人の方に御発表をお願いしています。ちょっと発表なさる方には失礼な言い方……、この方向で行くということが決まっている御発言ではありませんで、一つの意見として、あるいは一つの見方として御発表いただくということで、20分程度をめどに3人の方にお願いしております。
 まずは、平川委員から、フューチャーワークショップの取組を御紹介いただいて、その後、久保主査代理から、奈良先端科学技術大学院大学の課題創出型の取組について御紹介いただいて、最後に、櫛委員から、ニーズ発見の手法について御紹介いただきたいと思います。
 まずは、平川委員。
【平川委員】  それでは、最初のプレゼンテーターということで、私、大阪大学の平川と申します。COIプログラムに向けたイノベーション対話の試みということで、ここしばらく、昨年の11月の末、それから2月、3月とやってきた試みを紹介させていただきたいと思います。
 まず、COIプログラム、これは既に御存じの方もいらっしゃるかと思いますけれども、一応簡単に紹介させていただくと、文部科学省の方で新年度来月より始める予定になっておりますが、新しいプログラムで、革新的イノベーション創出プログラムということで、全体、いろいろなプログラムがあるようなんですけれども、COI STREAMとかという名前がついておりまして、大学に、企業と大学が本気で取り組めるようなイノベーションの拠点をつくろうというプログラムがあるんです。
 そのときに、このCOIの一つの大きな特徴として、従来のような、先ほど工藤室長からも話があったような従来の産学連携、ざっくり言ってしまうと、大学で言うと、出てくるのは工学部の先生、そして、産業界はメーカーの方たちが基本的には中心で、それで、いろいろな技術シーズを狙っていくような、そうしたものではなくて、この作業部会で検討するようなイノベーション対話と言われるようなものを取り込んで、いろいろな社会ビジョン、社会のニーズや課題というものを拾っていく。そういうものを一つ、COIの特徴にすると言われております。
 今の話を図であらわすと、こんな、大学、理工系の研究の学部、それから研究機関、あと、産業界では製造業を中心で、いろいろな技術シーズがあった。でも、これはなかなか実際の社会ニーズや解決すべき課題に必ずしもマッチしているわけではなくて、結構多くのものが、いわゆるイノベーションの死の谷を越えられずに、死蔵されてしまったものが結構たくさんあると。これを乗り越える、そして、実際に本当の社会のニーズや、解決すべき課題に応えていく。
 そうした場合、イノベーションを起こしていくための仕掛けとして、従来の理工系中心、製造業中心の形ではなくて、大学の中でも、人文社会系も一緒になり、更に大学以外も、行政も、いわゆる科学技術行政、産業政策だけではなくて、もっと地域行政、自治体なんかのものも含まれます。いろいろな地域のもの、あるいは、ナショナルな問題に関する行政のいろいろな部門、それからあと、産業界も非製造業、今回もこの作業部会でも、広告代理店で電通さんも入っていらっしゃいますし、いろいろな分野、非製造業で、サービス業とかもあれば、あるいは金融といったものもいろいろとあるわけです、そうした分野の産業。さらに、市民社会、NPO、あるいはエンドユーザーである消費者とか、ユーザーというもの。そうしたところも全部含めた上で、何らかの形でコミュニケーションを行い、そこから、ビジョンや、あるいは実際にイノベーションを起こしていく、変化を起こしていくための戦略をつくっていく。
 その中で、いろいろと検討、生まれてくるものとして、実際の社会の中のニーズや課題、あと、TAと書いてありますのはテクノロジーアセスメント、その技術というのが社会の中に、どういうプラス、マイナス、影響が及ぶのか。それをうまく、マイナスの方はできるだけ減らして、プラスのメリットをいかに増やしていけるのか。こうしたことも、特に大学の大きな役割になると思うんですけれども、そういうことをやったり、さらには、価値創出、市場創出、ビジネスモデル、新しいもの、さらに、様々な制度設計、こういうのをトータルで戦略形成の中に入れ込んでいく、ビジョンの中に入れ込んでいく。こうしたことをやっていく必要があるんだろうと。その中で、特に、大学が大きな役割を果たすべきではないかというのが、今回の作業部会の意図なんだろうなと、私自身としては思っております。
 そのときに、では、イノベーション、今、江上先生からも、イノベーションとかそういうことの考え方はどうするんだという問題提起がございましたけれども、私自身としては、一つわかりやすいイメージとして、イノベーションというのは新しいレシピの提案なんだと。つまり、新しい料理法、料理の技術であったりとか、あるいは単に調理をどんどんたくさん多くつくる、あるいは調理自体の技術を上げていくということではなくて、そもそもどんな食材を使い、どういう料理、新しいメニューを開発するのか、そのレシピを着想する。そのために、様々な素材を新たに結合する。これはシュンペーターの新結合という言葉、イノベーションの定義でもともとございますけれども、そうしたものとして考えるべきではないか。
 さらに、これは従来の産学連携の中で考えられてきたような流れの中で考えると、しばしばイノベーションに関して、よくリニアモデルと言われるような考え方でいくと、基礎研究があり、そこで得られたものが、やがて応用研究の中で展開され、そして、それが実際の社会の中に入っていくというような、ある種単線的なイメージというのが結構あったりするわけですけれども、実際にイノベーションが起きるときというのは、むしろ、先ほど言いましたような新しいレシピ、このもとで、最先端なものであろうと、あるいは既存のストックの技術であろうと、そこから必要なものをピックアップして組み合わせていく。それによって新しいものが起きていく。実際によく例に挙がるiPodとか、iPadとか、iPhoneなんかも、使われているテクノロジー自体は、実はそんなに最先端なわけじゃない。むしろ、あれを、例えばiTunesのシステムとか、そういうところと組み合わせて、新しいレシピのもとで組み合わせることで変化が起きたということがあるわけですね。そういうものとして、イノベーションというのを考えてみたい。
 これはレシピの構成、先ほどモデル機関、図の中にありましたけれども、レシピの構成としては、こんなのがありますよと。こうしたものを組み合わせて、新しいレシピを創案するわけなんですけれども、では、それはどうやったらできるのか。それには大きく分けると、学術的なアプローチ、調査や研究に基づいたアプローチと、それから、とりあえずここではソーシャルなアプローチというふうに名づけてみましたけれども、いわゆるイノベーション対話、この作業部会で検討するような対話、ダイアローグに基づいた形でのレシピの創案ということもあるでしょう。そのためには、いろいろな方法が既存にもあります。
 その中で、これから、この後ちょっと簡単にお話しするのは、特にフューチャーセッションと呼ばれているもの、それに基づいたCOIのワークショップというものを昨年11月、それからあと、今年の2月、3月に行いましたので、それを紹介したいと思います。
 そこで、まず、このフューチャーセッション、簡単にどんなものかということを説明しますと、これは基本的にはフューチャーという名前がついていますように、未来に向けてその社会の中でどういう課題が今あるのか。それは顕在化しているものもあれば、まだまだ目に見えていないものもあります。そういうのを探っていき、そして、その問題解決、あるいはニーズの創出、そしてそれに対する対応にかかわるような、今のところは顕在化していないステークホルダー、それを新たにそのプロセスの中で探し出し、そして、その人たちのつながりをつくって、そこからさらに、アイデア、ビジネスや技術の結合を生み出して、新しい変化を起こしていく。そのための対話の取組、そして、その対話の取組を行うような場、これをフューチャーセンターと、先ほど課長からもお話がありましたけれども、そうしたセンターというのが結構いろいろなところに広がっております。
 そして、このフューチャーセッションというものの特徴として、しばしば、実際フューチャーセッションをやられている方たちが強調するのは、これは何か物事を決める合意形成や意思決定の場ではなくて、創意形成なんだと。いろいろなアイデア、ビジョンというのを、この作業部会の中でも、未来のビジョンを考えるための対話ということを考えるわけなんですけれども、ただ、そのとき、未来のビジョンというのは、何か共通した大きな一つのビジョンというのがあって、そこに向けてみんなが頑張っていくというような、そういうイメージではなくて、むしろ、いろいろなアイデアに基づいて、また、世の中というのは、もちろん非常に複雑ですので、社会の中のどこの側面に焦点を当てるかによっても、いろいろなビジョンが描けるわけなんですね。さらに、その一つの焦点に絞ったとしても、いろいろなオプション、未来のオプションというのはあり得るので、そういうものを複数、いろいろなアイデアというのを、ビジョンを探っていく。そのためのアイデア、そして、それに取り組んでいこう、コミットしていこうという意思を生み出していくような対話の場、これがフューチャーセッションというふうにしばしば言われております。
 そして、これに基づいた試みとして、この後、二つ紹介します。簡単に紹介させていただきますけれども、一つは、文科省と独立行政法人科学技術振興機構、JSTが昨年の11月にお台場にあります日本科学未来館で行ったCOIワークショップというのがございました。これに、実は私、今、大阪大学以外に、このJSTの中に去年4月に設立された科学コミュニケーションセンターというのがあるのですが、そちらの方の調査担当のフェローもしておりまして、その仕事の関係で、このワークショップの設計、企画、あと、当日の運営にかかわらせていただきました。
 このワークショップでは、全部で48人の方に集まっていただきまして、その内訳としては、理工系の研究者だけではなくて、人文社会系の研究者や、産業界では、製造業、非製造業、広告代理店やデザイナーの方とか、そういう人たちにも入ってもらい、さらには、いろいろな分野のNPOで活躍されている方々、あと、行政としては、主に科学技術関連行政、文科省の担当官の方たちに参加していただきました。
 企画、運営は、先ほど申し上げましたJSTの科学コミュニケーションセンターと、さらに、こうしたフューチャーセッションをまさに、ファシリテーションとか企画、運営を専門職として行っている株式会社フューチャーセッションズの皆さんに協力していただいて、企画、運営を行いました。
 さらに、これは全部で六つのグループをつくったグループ討論というのが中心になったんですけれども、その各テーブルでの進行役、ファシリテーターとしては、そのフューチャーセッションズの皆さんたちだけではなくて、ほかの、実際にプロでいろいろな分野でファシリテーションをやっている方、それに更に加えて、この会場だった日本科学未来館のほうに科学コミュニケーターと呼ばれている人たちがおりますので、その人たちにも協力をしていただきました。
 これについては、報告書がJSTの研究開発戦略センター、CRDSのホームページで既に公開されておりますので、御関心がありましたら、是非読んでいただければと思います。
 次は、阪大の中でも同じワークショップ、これは阪大で、このCOIに手を挙げて提案をつくらなきゃいけない。その提案をつくるに当たっても、その各大学において、こうしたCOIのワークショップ、フューチャーセッションをやって、ビジョンを描いた上で、課題設定を考えてくださいということを言われておりましたので、そのための準備というのを昨年末ぐらいから進めまして、最初に2月2日、このときに第1回を行い、間に、2月中に内部の、第1回のものを取りまとめるワーキンググループの作業を行った上で、更に先々週末、第2回のワークショップも行いました。テーマとしては、こんな形に書いてあるようなお題で、各ワークショップというのは行いました。
 このときには、概要としては、第1回は多様な参加者で2040年の社会ビジョンを描いて、社会的な課題、取り組むべき課題を探るということでありまして、これには、阪大内部では自然科学系、医歯薬系、そして人文社会系の研究者、学外からも、メーカー、銀行、広告代理店、シンクタンク、NPO、行政関係の人、合計30名の方に集まっていただきました。そして、大きく分けてグループ討論を2回、午前と午後に大きくやりまして、さらに、最終的に全体を振り返る全体討論というようなものも行いました。
 これを踏まえて、いろいろとやったんですけれども、これを行うときには、一応我々の方で準備のグループで、設計チームというのを設置しまして、この中には、これまでの産学連携、大阪大学の中に産学連携本部というのがございますので、そちらの産学連携の専門の方、あと、科学技術政策、科学社会論の分野、これは私の専門ですけれども。あと、都市・環境政策の分野で、実際にファシリテーションなどや、いろいろな対話の場づくりのことをやっていらっしゃるプロの方たちにも参加していただきました。さらに、URA、大阪大学の中にあります大型教育研究プロジェクト支援室というのがございますので、そちらのほうのスタッフの方たちにもお手伝いいただきました。
 こうしたことで、とりあえず第1回を行いまして、これはざっくり簡単に紹介しますと、第1回のときには、議論があまり発散し過ぎても大変なので、ある程度議論の大きな土俵の大枠だけ、一応、我々主催者の側で、大阪ということなので、大阪らしさみたいなことをイメージできる、そういうキーワードを示した上で、自由に議論いただいたということをしました。
 そして、いろいろな意見が出ましたので、これを我々設計スタッフのほうで集約いたしまして、途中、2月中に、この議論をいろいろと整理、論点の整理などを行った上で、先々週、第2回を行いました。このときにも、今回は27名参加していただいて、これも第1回と同じように、いろいろな分野、いろいろな業種の方たちに参加していただきました。
 そして、ここにありますようにグループ討論を通じて、最終的ないろいろな意見、基本的には発散型を目指したので、いろいろな意見の多様性を狙うという方向でやりまして、その中では、また後でも申し上げますけれども、ワールドカフェという、そういう発散型の議論をするときに、わりとよく使われる対話の手法というものをベースにして、この全体のグループ討論というのを設計いたしました。
 これは当日の会議の様子です。こんな感じで、グループ討論で、わりと自由な感じで、お茶なんかも飲みながら、お菓子なんかも食べながら、半日ほど行いました。
 最後、簡単にこのワークショップを、今まで、昨年の11月、そして2月、3月とやってきたことを振り返った上で、幾つか気づいたこと、考えなきゃいけないことというものでまとめてみました。
 まず、一つ目は、先ほど申し上げましたけれども、心がけたこととしては、いろいろなアイデアが出やすいということで、発散型の対話にする工夫をしました。そのための仕掛けとしては、一番大きいのは、やはり参加者の多様性を狙った。さらに、シャッフル、いろいろな当日のメンバーの中でも、できるだけ多くの人が全員と話す機会、全員がアイデアを交換できる機会ということで、ワールドカフェ、ある一定の時間間隔で、メンバー構成を各テーブル、シャッフルするというようなやり方をベースにしたグループ討論を行いました。
 こうしたことをやった上で、見えてきた幾つかの課題というのがございます。ここに並べておりますけれども、文科省、JSTでやったこともそうなんですけれども、実際、これをやってみてわかるのは、出てくるアイデアというものは、結構いろいろな形で発散していたりとか、あるいは、結構濃密な議論は行われるんですけれども、まだまだ議論としては、取っかかりにすぎないものしか出てきません。だから、この場、ある1回の対話だけで、何か目覚ましいイノベーションのアイデアが出てくるわけではないんですね。そこを過剰に期待してしまうと、かえって失望を生んでしまうので、1回の対話、あるいは何回も続けていったとしても、そこから何か目覚ましい成果がすぐ出てくるわけではない。これは非常に大事なポイントだと考えております。
 それよりは、むしろ、その問題や課題、イメージ、アイデアに実際にコミットして、それを自分としてだったら、こういうふうにしてみたい、こういう取組ができるかもしれないということで、その課題にコミットしてくれる、そして、新しい人と人のつながりが生まれる、そういう場として、うまく機能させるということが非常に重要だなと考えております。これは、実際、この手のフューチャーセッションをこれまでいろいろとやっていらっしゃる方たちもわりと強調する論点です。
 あと、これを大学で行う場合に、結構、今回大阪大学でやって困難だなと思った、あと、文科省でやったものも結構そうなんですけれども、女性のメンバー、あと若手、あと人文社会系の参加を求めるというのは非常に難しいです。各大学、いろいろと女性研究者の数、教員とか調べると、どこも少ない。そうすると、なかなか、特に准教授とか教授とか、その辺の生きのいい世代で探すのは結構難しかったり、あと、工学部とかに声をかけると、どうしても偉い先生が出てきて、もっととんがった若手が出てこない。結構年功序列があるなというのもあったりしました。
 そういう意味で、学内外のいろいろな人、大学の研究室だけでなくて、いろいろな産業界や行政なんかでも、どういう人がその場に来てくれると面白い話になるのか、いるとアイデアが刺激されるのかということを発掘していく。そういうある種の営業活動というのは、非常に大事だなと思っています。
 学内の中でも、あちこちいろいろな研究室をめぐって、「先生、どんな研究やっているんですか」みたいなことを話したりして、いろいろとネタを拾ってくる。そういうある種の営業職というのが、この活動をやっていく上では非常に重要かなと。それを通じてのネットワークをつくっていく。
 さらに、こうした議論を行うときには、いわゆる言葉は悪いですけれども、専門ばか的な、あるいは職人的な人だとあまり議論が進まない。もちろん、そういう人たちが入ることで刺激される部分はあるんですけれども、同時に、そういう人たちをうまく別のところの議論につなげていくようなのり代をもった人たち、俯瞰的な視点、あるいはのり代的な議論ができるような人をうまく探して、見つけていく、つないでいくということも重要だということも見えてまいりました。
 あと、これはどっちかというと、かなり事務的な話ではあるんですけれども、大学の中でも部局によって、これは工学部とか理学部とか、あるいは文科系、経済学部とか法学部とか、そういう分野によって、結構事務的なことも含めて流儀が違うんですね。誰に声をかけなきゃいけないか。例えば文系だとわりと、例えば助教の人とか准教授に直接メールを送ったり電話して、声をかけて、「参加してください」と言っても全然問題ないんですけれども、工学部や医学部だと、上のほうに話を通さないと、「何やと?」という、「わしは聞いとらんぞ」みたいな話になってもめるということもあったりします。そういう流儀の部分に関しては、特に、これは事務的なところで力を発揮していただくURAの皆さんとかが結構苦労される。実際、今回やったときにも、URAの方たちが結構、「こんな壁が実はあったりするんだ」というのを発見したということもございました。
 あと、もう一つ、これは大事なことですけれども、さっき言った1回や2回で何かいいものが出てくるわけではないということで、フォーマルあるいはインフォーマルな形で、いかに継続的に対話が行われるような場とか機会を確保できるのかというのものも、非常に大きな課題だなと思いました。
 最後は、今後の課題、これは、今回のこの作業部会での議論にそのままつながるものですけれども、一つは、ツールボックスの整備、先ほど工藤室長からもありましたような、そうした整備というのが必要だろう。ちなみに、これについては、私が以前、去年の3月までJSTの社会技術研究開発センターでの受託研究として行っていたプロジェクト、この中でも、科学技術と社会に関する対話、参加型テクノロジーアセスメントと呼ばれるようなものがあるんですけれども、それに関する手法については、こうしたデータベースをつくりまして、ウエブで公開しております。これをさらに、もうちょっと手法の中身に入って、更にイノベーションという文脈の中でつくっていくというのが、これからこの作業部会の中で求められていることなんだろうと理解しております。
 あと、もう2点、大きなポイントとしては、人材活用、そして育成というのも非常に重要であろうと。特に人材という面では、基本的に、例えばこういう議論をやるときには、ファシリテーターの役割というのがすごく大きいんですが、そういうファシリテーションをできる人というのを育てるということも確かに重要なんですが、ただ、例えば大学の中の人、例えばURAとか、コーディネーターの方とか、あるいは大学教員がそういう能力を一朝一夕で身につけられるわけではない、得意不得意もあります。それよりはむしろ、外部に既にそういうことをビジネスとしてやっていらっしゃる方がたくさんいるので、その人たちを、それぞれの大学のある地域とか、そうころで見つけて、うまくつながっていく。そして、大学の中では、そういう外部にいるプロと話ができる人、自らファシリテーションはできないけれども、ファシリテーションのポイントはわかって、説明できたり、相手の言っていることを理解して、一緒に協働して仕事ができるような、そういう人というのが必要なんだと。そのための能力拡張、能力構築というのを、例えば既存の人材、既に大学の中にいるURAや、先ほども出てきましたけれども、科学コミュニケーターと呼ばれるような人たちに身につけていただくということが結構重要かなと。
 あと、ここで活用、育成と書いているのが実は大事なポイントで、しばしば、こういう文脈では、人材育成という言葉が出るんですね。だけど、僕自身、いろいろと科学コミュニケーションとか、そういう仕事にかかわっていて思うのは、育成は多分もうあまり必要ないんです。既にそういう人材は、あちこちに育っています。それよりは、むしろ、そういう人たちが実際に活躍して、仕事をして、ちゃんと食べていける、そういう労働市場というのができないと、こういう仕事というのは長く続かない、こういう活動というのが継続的に広がっていきません。そういう意味では、いかに活用の場をつくり、そこにちゃんとお金が回る仕組みをつくるかというのが非常に重要だなと考えております。
 あとは、異種領域、こうした場をやるときは我々としてよく、特に私自身の研究分野では、一般の人たちを対象にして、対話の場をつくるということをやってきたんですけれども、科学技術が絡むと、大抵来る人というのは、もともと科学技術に興味のある人たち、科学おたくな人たちがメーンになってしまうということがございます。おそらくイノベーションに関連しても、下手するとそういう形になってしまいますので、いかにそういう科学技術、技術とはちょっと遠いところ、例えばアートとか、あるいは福祉とか、いろいろな異領域の人たちといかに交差できるか、クロスできるか、そういう場をつくるかというところの、そういう場のデザインというのも非常に重要になってくるんだろうなと思っております。
 ちょっと長くなってしまいましたけれども、私からのプレゼンはこれで終わらせていただきます。どうも御清聴ありがとうございました。
【石川主査】  どうもありがとうございます。
 御質問はまた後でということで、続きまして、久保先生からお願いします。
【久保主査代理】  奈良先端科学技術大学院大学の久保です。続きまして、私どもの例を御紹介させていただきたいと思います。
 あくまでも一つの例でして、一般的な話ではないかもしれません。ただ、中の例から一般的なことが導き出せたらいいかなと思います。
 今から20分ということで、簡単に自己紹介をさせていただきますけれども、今、奈良先端科学技術大学院大学で、二つのポジションがあるのですが、この先端科学技術研究推進センターというのはアップストリーム、上流側の仕事をしていまして、こちらの産官学連携推進本部というのがダウンストリームの仕事をしています。今、両方の仕事をしていまして、今日の話でもし御興味があれば、私のメールアドレスも入れていますので、何か質問があれば遠慮なく御質問いただいたらいいかと思います。
 創造性開発とのかかわりということで、1987年、今から25年前なのですが、弁理士試験に合格しまして、基本的には特許権の取得というのがメーン業務なのですが、やっていく中で大事なのは発明抽出なんです。弁理士の仕事というのは大きく二つあって、発明をいかに把握するかというのと、それをいかに権利化するか。よく知り合いの弁理士なんかと話をするのですが、権利化するほうは、ある程度トレーニングするとできるようになるのですが、発明の把握というのはセンスだね、センスのない人が幾らやっても無理かなみたいな話はよくします。なかなかここは難しいんですけれども、発明をいかに抽出するかというのがある意味、創造性開発にかかわってくると思います。
 それから、その後すぐに大阪府の研究所、これは二つあった研究所を統合して、多分200人以上の研究者がいた、当時、日本で最大の地方公設試だったのですが、一応ダウンストリームをやるということでそこは引っ張られていったんですけれども、一緒に研究管理とか新研究のテーマの創出というのもやっていました。ただ、当時は、全体的に非常にクローズでしたから、外部の評価委員を入れたり、新たにお金をつけたり、今から思えばそんなこと当たり前の話なんですけれども、当時はそういうことをしつつ、新研究のテーマを創出していました。
 それから、3年間、これはベンチャー投資団体なのですが、ベンチャー企業への間接投資を始めた団体ということで、今で言うSTARTにコンセプトは似ているんですけれども、ベンチャーキャピタルが投資をしたときに一緒にオンしてお金を出すという間接ベンチャーというのを始めたところです。そこでは投資案件の知財調査とか、あるいは大型の産学官共同研究マネジメントと一緒にインキュベーションマネージャーもやっていたのですが、この研究所が新たにつくられたので、その中に新技術開発棟と言うでっかい建物をつくりまして、そこにインキュベーションをつくりました。
 それで、インキュベーションをする、ベンチャー企業をつくるというのと同時に、研究所の研究者がサポートできるテーマのベンチャー企業を選んで、中に入れて、研究所の研究者にベンチャー支援をしてもらって、研究所そのものを活性化するという事業なんです。だから、インキュベーションと言いつつ、同時にそういう研究所の活性化も図るという、ある意味、研究所とベンチャー企業の融合テーマ創出ということをやっていました。
 97年から関西特許情報センター、これは立ち上げからずっとやっていましたので、そこに移りまして、知財企画とか知財情報管理とかいうのをやっていました。そこで私が創造性開発に関わったのは、TRIZを知ったときです。御存じの方もいらっしゃると思うのですが、ロシアでやられた、20万件ぐらいの特許を分析して特許がどのような解決の仕方をしているのかというのを40の解決法に分類したというやり方なのですが、それとか、Knowledgistというのは文章解析ソフトなんですけれども、あるものがあるものをどう解決するかというのをソフトウエアでつくって、そして、主語と述語と目的語の内二つを入れると後の一つを見つけて何か新しい解決法を見つけてくるとか、そういうものも紹介していました。
 あと、日本初の知財支援型インキュベーションというのもスタートしまして、こういうこともやっていました。
 2003年の4月から、今からちょうど10年前になるのですが、奈良先端科学技術大学院大学の前の前の学長にヘッドハンティングされまして、大学変わりまして、ダウンストリームを中心とする産官学連携推進本部を立ち上げました。また、先端科学技術研究推進センターではこの上流側の研究動向調査、新研究領域開拓推進活動というのをやっているのですが、ここで課題創出連携研究事業というのを昨年から始めまして、今日はそれの御紹介をしたいと思います。
 本題の課題創出型連携研究事業というのは何かというと、今までに工藤室長とかいろいろお話をしていただいたのですが、今ある共同研究というのは、企業に課題があって、それを大学に持ってきて大学が解決する。そうすると金額もそんな大きなものでもないし、平均200万円ぐらいとか、先ほどのデータだと100万円以下が50%とか言っていましたけれども、そんな大きな金額にはならない。
 それで、イノベーションを本当に大学は起こせているかと言われると、やはり必ずしもそれができていないということで、我々もすごく反省をしまして、文部科学省からいろいろ採択していただいて、産官学連携推進本部とか、立ち上げに非常に御尽力を頂いているのになかなか大きな成果が出ないということで、学内で議論をしまして、課題の創出のところから、民間企業と大きく将来を見据えた社会的な課題の発掘から、個々の課題解決に向けた挑戦的な研究活動までやりましょうということになりました。
 具体的には、合宿形式によりブレーンストーミングを初めとする研究者同士の熟議を行って、様々な社会的課題の中から課題を絞り込むということをやりました。
 そして、我々の方は事業ですので、大学の中でルールをつくって、大学の中の事業として位置づけをしています。だから、いろいろな規約とか、お金のやりとりとか、推進センターの中にこういう研究室というのをつくることができるようにしています。
 それで、今までと何が違うか。親研究と子研究というのがありまして、子研究は、一言で言うと従来の共同研究とほとんどニアリーイコールだと思っていただいたらいいと思います。親研究というのが違いまして、親研究というのは継続的に、先ほどもありましたが継続が大事だということで、継続的にブレーンストーミングを行います。大体、二月に一遍ぐらいはずっと続けてやっていく。そこでは刺激のある講師を呼んで、それをもとにディスカッション後、次の課題を探索すると同時に、子研究の定期進捗報告を受けて、中間評価・事後評価を行う。後でお話ししますけれども、一つの企業に対して5個ぐらいを同時に最終的なアウトプットとして動かしていまして、それを常に入れかえをしつつ、次から次へと新しい課題をつくっていく。
 それで、設置期間は一応3年以上、大体3年から5年で、研究費は3年間で大体1億円を予定しています。だから、企業のほうもそれなりの覚悟をしていただいていますし、大学のほうもそれだけの覚悟が要るということで、単にディスカッションしておしまいという話ではないという話です。
 これはD社の例、ここはさらっと言いますけれども、一昨年、もう2011年ですから、こういうことを実際やりたいということで、我々と非常に関係の深いD社に我々の担当副学長が2人で行きまして、それで向こうの会長、常務とやりましょうということになりました。ただ、初めての取組ですので何回も何回もディスカッションしています。第1回の合宿、これは合宿風景ですけれども、教員が10名、企業が20名で合計ほぼ30名ですね。2回目をまた6月にやりまして、私どもは18名、向こうが20名で大体40名がやっています。
 これをやった上で、最終的にはテーマを選んで、10月23日に未来共同研究室という、会長さんと私どもの学長がこういう看板を設置して、本格的にスタートしています。具体的にはD社はとりあえず2テーマを子研究として選んでスタートしています。
 これはD社の例なのですが、じゃあ、ほかとどうですかという話なのですが、ずっとやっていまして、A社、B社、C社、D社、E社と、今5社とやっていまして、トータル12回こういうディスカッションというのをやっています。
 それで、大学教員は大体10名から20名程度参加で、企業は大体20名参加しています。この中から個別の打合せというのは除いています。だから、これを1回やるのに、そのために何回もまたミーティングをやるので、実を言うとトータルのミーティングというのはものすごい数になります。
 それで、次の予定も決まっていまして、C社は6月7日、8日にもう合宿予定が決まっています。それから、D社も次は5月27日に決まっています。E社は合宿はやるということは決まっていますが、日は未定です。さすがに日程調整も結構大変で、5個も動かすと、教員を20名とか出すということになると、入れかえていかないともうもたないんです。私ども小さな大学で、教員200人しかいないので、全部同じ人ばっかりというわけにもいきません。だから、二月に1回ずつやっていくと、5社とやると二月に5回ずつ出ていかなきゃいけない。これがずっと続くんですよ。一時期じゃなくて、年間を通してこれから先もずっと続いていくので、結構メンバーを入れかえなきゃいけない。すごい人気があって、6社目も言われているんですけれども、ちょっと難しい。5社でとりあえず動かしておいて、減ったらまた入れかえようかみたいなことを今学内で話しています。
 もうこれが最後のパワーポイントなのですが、まだ12回やっているだけですので、これから何十回もやっていくとまたいろいろなことがわかってくるかもしれませんけれども、とりあえず今のところ私が感じていることを、多分この委員会といいますか、これはこういうことを多分まとめていくんだろうと思って、参考になればということで今気がついていることを話します。
 最初に、目的意識をどのように持つのかということで、やっぱり危機感がないと駄目だと思います。大学側も企業側も、このままでは駄目だと、このままやっていたら行き詰まってしまうと。5年後、10年後は絶対駄目だという意識がまず大学側もありまして、私どもの例でいうと、情報、バイオ、物質という三つの研究科を持っているのですが、10年後に情報、バイオ、物質の三つの研究科だったらうちの大学はもう駄目だろうと。多分新しい名前の研究科に衣がえをしていなければ、存在価値はないだろうという、我々にはそういう危機感がある。企業の方も、今参加している5社というのは、やっぱりもう行き詰まっているという意識を持っておられる。社内のディスカッションはさんざんやっておられるんですけれども、同じことばかりやっているのでこれは駄目だということで、外部と是非やりたいということで我々とやる。目的意識、危機感が持つことがまず大事です。
 パートナーをどのようにして見つけるのか、今のところはヒューマンネットワークです。いろいろなやり方があると思います。公募してとかいうやり方もあると思うんですけれども、今のところは副学長とかのヒューマンネットワーク、最初のD社なんかはうちの学外委員をやっていただいている会社です。
 どのレベルが合意すればよいのかという話なのですが、やっぱりトップが考えて、全部トップが知っている必要があるだろうと思います。会長か、社長か、少なくとも専務取締役以上、とにかくそれぐらい。うちはもちろん学長が全部了解をしているので、私はトップ同士が合意しないとなかなか進まないだろうと思います。
 参加メンバーはどのような方がよいか、これはなかなか難しいですね。メンバーをどう選ぶかということで、今のところはトップダウンでピックアップしています。バランスもあるので、若手も当然入れなきゃいけないし、やっぱり女性も。だから、うまく選ばないと、多分うまくいかないだろうと。その辺もトータルに考えて決めていく。だから、企業なんかで選抜で、ここに選ばれてくるというのが企業の中にとってはすごいステータスになる、将来の企業を背負って立つということで、結構そういう気で来ているので、みんなやる気十分というふうに感じています。
 どのように決めるかというのは、やっぱりトップダウンがいいかなと思います。
 どこで行うのがよいかというのは、先ほどもいろいろなところでマニュアルが出ているということなので、そこにも多分同じようなことが書いてあるのかもしれませんが、会社の中でやるとやっぱり日常から離れられないので、本当はどこかへ一旦出ていったほうがいいですね。ただ、いつも出ていっているかというと、合宿は外へ行ってやっているのですが、やっぱり大学でやっているケースもあります。やっていると、ちょこちょこと抜けてまた戻ってきたり、メールを見ているとか、どうしても日常の業務から離れられないので、本当は一旦離れて、仕事を忘れてやるというほうがいいと思います。
 時間はどれくらいかければいいかということなのですが、やっぱり半日、2回ぐらい、だから続けて丸1日とかいうぐらいはかけたほうがいいと思います。3時間ぐらいではなかなかうまくいかないようですね。
 事前にどのような準備をすればいいのかということで、ある程度我々もマニュアルといいますか、我々がつくったものじゃなくて、一般のマニュアルみたいなものをPDFで渡して、こういうアウトラインでやりますよということで意識合わせをやっておくとか、それからスケジュールなんかも、時間的にはわりと現場では結構融通をきかすんですけれども、ある程度は決めておきます。何となく集まって、さあ、やろうかでは多分うまくいかないだろうと思います。
 それから、最初はどこから始めるのかということなのですが、とりあえず何かなしに集まって、さあ、やりましょうと言ったって何も出てこないので、やっぱり最初の話題提供は要りますね。我々の場合は、企業と我々なので、とりあえず研究、トピックスをお互い話して、そこからスタートするということをやっています。
 進行役はどのような方がよいのか。これはよくわかりません。少なくとも12回は全部私がやっています。私が司会進行をやっているので、ある程度全体像がわかって、いろいろな発想法みたいなものを一応はわかった上でやるほうが多分いいのかなというふうに思います。だから、実を言うともっといろいろな方にやってほしいなとは思っています。
 進行役はどのような点に注意するのかということで、とにかくどんどん意見を出しましょうとか、そういうことは当然意識をしつつ、でも、やっぱりネガティブな方はいらっしゃいまして、それはとめます。とにかくネガティブな意見はやめてくれと、前向きな意見でとりあえずやりましょうということを言います。
 議論がとまったときはどうするのかというのは、やっぱりそこは注意も向けて、無理やり当てていったり、とりあえずいろいろな方から意見を出すとかいうようなことをしています。
 この辺ぐらいからが多分このまとめの中に入れると思うんですけれども、いいなと思うのは本質論を言う人ですよね。ゼロベース思考みたいなやつもありますけれども、とらわれずに、本当に素朴な人っているんです。こういう人は是非入れていく。だから、素朴な疑問、何でそうなんですかみたいな話。それから、それって本当にそうなんですか、なぜ駄目なんですか、なぜそれ今できないんですかみたいな、そういう子供の質問みたいなことを言う人を入れておいた方がいいです。そう言われればそうだね、なぜ何だろうね、みんな駄目と思い込んでいるんだけれども、実は駄目じゃないかもしれない。そういう方とか、あるいは話題がぽんぽん飛ぶ、ワープを繰り返す人がいまして、そういう人もいると話がどんどん広がっていくので、そういう人なんかは是非入れておいた方がいいと思います。それが具体的には何割ぐらいいて、どれぐらいいた方がいいのか、それは多分またこれからの議論になると思います。そういう人がいるとほかの人も啓発されて、そういう人も議論が飛んでいくみたいな形があって、そこはやっぱり非常に相乗効果といいますか、伝染していく。だから、ネガティブな人が1人いると、その人にだんだん悪影響を及ぼされて、全体がネガティブになっていくという、それの裏返しなんですけれども、やっぱりポジティブ、アクティブな人がいると非常にいいと思います。
 どのようにまとめるのかというのは大事で、具体的には話しておしまいじゃないので、やりつつキーワードをがんがん出していくんですけれども、やっぱりデザインでうまくまとめるほうが視覚的によいと思います。それをやった例もあります。D社なんかはデザイナーを使って、最終的にデザインでまとめました。だから、できたものはイメージ的に理解できるので、そこはすごくいいと思います。
 それから、出口をどのように求めるのか。我々の場合は、最後にそういう共同研究をやってくださいみたいな話があるので、そこがないとなかなかまとまらないように思います。
 それから、最後の最後はこれですが、もう時間なので、お互いのモチベーションをどのように上げるのか、これがやっぱり一番苦労します。先生も忙しいですから、来てくださいと言ったって、忙しいんだから勘弁してくれみたいな話になるときに、いや、これはそもそもこういう意識があって、先生も新しい研究テーマが見つかるでしょうと。社会もこういうことを求めているんですよみたいなことを常に言って、企業側も大学側もモチベーションを高めるような方法、これが多分究極の話なのですが、これをやらないと、単にやっておしまいということではイノベーションまでには到達しないのかなということで、ちょうど時間ですので私の話を終了したいと思います。どうもありがとうございました。
【石川主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、櫛先生、引き続きよろしくお願いします。
【里見課長】  すみません、部屋がかなり暑くて。これ以上温度が下げられないので、上着は適宜脱いでいただいて結構ですのでよろしくお願いいたします。
【櫛委員】  京都工芸繊維大学の櫛と申します。
 私は狭義というか、デザインもいろいろな言葉というか定義があるかと思うんですけれども、いわゆるデザイナーと言われている側のアプローチを御紹介したいと思っております。ですので、結構ボトムアップ的な細かい話になってしまうかもしれないんですけれども、よろしくお願いします。
 今日はラピッド・エスノグラフィーとデザインというテーマを上げさせていただいておりますけれども、エスノグラフィーというのは最近ビジネス・エスノグラフィーであったり、言葉が結構はやって皆さんも御存じかとは思うんですけれども、社会学系の未開の土地に行っていろいろ調査してくるという、長い年月をかけて解き明かしていくというアプローチだと思うんですけれども、我々のやり方というのは、私の方はプロダクトデザインだったりインタラクションデザインと言われているような分野ですので、非常に限られた時間の中でシステムや製品を開発していかなきゃいけないということで、そこをいかにラピッドに行っていくかというのがポイントになっていくというところで、そういったアプローチをやっております。いろいろなところで既にお聞き及びかと思いますけれども、ある部分は釈迦に説法的なところになるかと思うんですけれども、よろしくお願いします。
 デザインの考え方というのはいろいろあると思うんですけれども、左にあるのはただの糸ですよね。真ん中にあるのはデンタルフロスですけれども、これはよく言われるたとえなんですけれども、デンタルフロスはもちろん歯をきれいにする、詰まったものを取り除くものなんですけれども、有史以前からわらであったり糸のようなもので歯を掃除していたという記録はどうもあるようなんです。ですが、こういったデンタルフロスといったものにカッターがついて、プラスチックの清潔な容器がついてくるくる巻くというふうな単純な機構なんですけれども、これが発明されて、実際に普及したのは第二次世界大戦後ということで、ジョンソン・エンド・ジョンソンが発売したということなんです。
 言ってみれば、これは発明と言っていいのかデザインと言っていいのか、これも非常に大きな意味ではデザインだろうと、イノベーションだろうと。これで生活が随分変わったのではないかなと思うんです。
 もう一方、こちらにあるのがイタリアのALESSIという会社のデンタルフロスです。同じ機能を持っています。ただ、カッターがフォークになっておりまして、口から出て、どう見てもこれはスパゲッティーという感じですよね。そういう文化性とかユーモア、そういったものが盛り込まれたものですね。
 皆さんのイメージとしては、デザイナーがやる世界というのはこういう世界かなというふうにお思いかもしれませんけれども、今、どうもややこちらのほうにもデザイナーの考え方とか思考とかを使っていく必要があるのではないかと言われているのではないかなと、そういうプレッシャーというか、日々感じてはいます。
 これも勝手な図なんですけれども、インベンションとイノベーションでコンペティションというふうに、こういう枠組みがいいのかわからないんですけれども、インベンションでシードをつくるというか、発見するとか発明するというところですよね。イノベーションといったものは、いろいろな生活におけるニーズであるとかテクノロジーをミックスした形で、そういったもの。そうすると、実際の生活の中で社会が変わっていく、生活が変わっていくようなものが組み合わさってできてくるということですね。しかしながら、同様なものが当然出てくるわけで、そこにはコンペティションが起こるということで、ロープライスであることも大事であるし、いろいろなバリエーションが必要になってくるということで、セレンディピティーとか、インベンションには当然必要になるかもしれません。
 イノベーションについて見ると、我々の今の価値観であるとか社会といったものをどういうふうに見直すかというリフレーミングという感覚が必要になってくるかなと思いますし、コンペティションにおいてはマーケティング的ないろいろな手法であったり思索が必要になってくるわけです。
 もちろんテクノロジーとかエンジニアリングの世界、サイエンスの世界のクリエーティビティーというものがあると思います。それはインベンションにおいては非常に役立つものであると思いますし、デザインのクリエーティビティーが、これは多分皆さん誤解というか、いろいろな意見があると思うんですけれども、大きな意味で言うならばデザインのクリエーティビティーというのはイノベーションのところに発揮されるのではないかなと思っております。もちろんビジネスの、これはビジネスをやっていらっしゃる方には大変失礼かもしれないんですけれども、コンペティションにおけるアイデアといったものが当然必要になってきます。
 デザインをどういうふうに考えるかということで言うならば、真ん中のイノベーションで言うならば、デザインはコンセプトではないかなと思いますし、コンペティションにおけるデザインというのは、皆さんが大体お思いのイメージの世界、我々はイメージをクリエートしていくんだというところでのデザインの役割がある。どちらも非常に重要です。ですけれども、今のデザインの役割といったものがイノベーションのほうにどういうふうに貢献できるかというところがトピックというかイシューになってきているのではないかと思います。
 次も、これは出典が明らかじゃなくて申し訳ないんですけれども、テクノロジー、ビジネス、人、peopleがあるとして、様々なイノベーションがあるのではないかということで、テクノロジーとビジネス、例えばT型フォードのような、非常につくり方が変わる、プロセスが変わっていくというふうな。生活、物流も変わるし、又は情報の流れも変わってくる。インターネットが出てきて、ビジネスとの絡みで生活が変わっていくというふうなプロセスイノベーションもありますし、ビジネスと人でいうならば、ブランディングの問題がありますよね。例えばスターバックスであるとか、そういったテクノロジー的には何も新しいものはないかもしれませんけれども、人の感覚といったものを新たなものに変換していく、エモーショナルなイノベーションといったものがここにあります。
 同様に、テクノロジーと人という意味では、これは日本が非常に強かった部分ではないかと思うんですけれども、ファンクショナルイノベーション、物が小型化になっていくとか携帯電話の普及であるとか、そういった技術と人とのニーズとの接点の間において行われるファンクショナルイノベーションというのがありますし、今盛んに言われるのは、そういったものが総合化された形の中で、エクスペリエンスイノベーションではないかというふうに言われているわけです。
 デザイナー、我々デザイン分野の人間がどういうふうにアプローチしていくかというと、やはり人を中心に見ようと。そこから行われるエモーショナルやファンクショナル、そういったものを通してエクスペリエンスといったものを提案していくんだということを今やっているのではないかなと。自分を横から見ると、そんな形で考えています。
 ラピッド・エスノグラフィーって何なんだ、なぜなんだ、どのようにしてやるのかということですけれども、エスノグラフィーが質的調査とか量的調査とか言われます。質的調査の代表だと思います。質問紙等での調査というよりは、実際に見てきて、実際に経験してきて、一緒に生活してきてということで、参与観察であるとかかなり深くコミットした形でのインタビューであるとかというふうなアプローチをとって、実際、いろいろなインタビューのデータといったものをコーディングしていくという作業。実際、いろいろなイベントというか、生活の中での様々な事柄というのは文脈の中にあるわけですけれども、一旦そういったものを文脈から外してみて、それを再構築していくというふうな脱文脈化と再文脈化というやり方を通して民族誌といったものを書き上げていくというのがエスノグラフィーの特徴だと。
 私は専門家じゃないのであれですけれども、ラピッド・エスノについて見れば、同様にもちろん質的調査と、これまで行われてきたようなマーケティング調査ではなくて観察といったものを中心としていく必要があるということになっていくわけですけれども、それに対して、コーディングということとほぼ同じようなことなんですけれども、私の方ではクリッピングという言い方をしているんですけれども、様々な事象といったものをつまみ出していくということをやりながら、それを再構成していく。問題構造を視覚化していくというのがデザインのやり方ではないかなと思っています。ゴールとしては、実際のニーズは何なのかという再定義をするところのテーマと、そのデザイン、コンセプトを生成していくというのがラピッド・エスノのゴールになるのかなと。
 実際、これはエスノグラフィーで第一人者である佐藤先生の図解が上なんですけれども、問題の構造化とデータの収集、データ分析といったものはかなり並行して作業が行われるのがエスノグラフィーだというふうな解説をされているわけですけれども、ラピッド・エスノの場合は、やはりややシーケンシャルな効率性といったものを考えたやり方になってしまうのかなと。データ収集して、それを分析して問題を構造化していくというふうな、そんなアプローチをとっているのではないかと。これもやっている中で、自分のやり方自体を横から見るとこんな感じではないかなと思っています。
 なぜこのラピッド・エスノなのかなというところですけれども、経済価値がシフトしているというのはよく言われることで、物からサービス、経験へというふうに移行しているんだということを言われて、これは有名なパインとギルモアさんの図ですけれども、コモディティーといった産出されるものから工場でつくられる製品に価値が移っていって、今まさにサービスといったものに価値が移っていって、さらには経験といったものが演出されるような経験といったものに経済の価値の中心が移っていっているということを言われておりまして、潜在ニーズとの関係性においても、コモディティーというのは明らかなもので、日用品ですけれども、経験を創出していくといった場合には、ユーザーさんも自ら気づいてはいないようなニーズといったものを解き明かしていくという必要性も出てくるかなと思います。
 従来アプローチがなぜ限界が出てきたのかというようなことですけれども、これは私どもが従来やっていたようなやり方でいうと、例えば同じ観察ではあるんですけれども、製品の使い勝手にどこが悪いところがあるのかというバグ探しというような、これは被験者にマシンを操作させて、それを横からミラーで見ているようなやり方であるとか、記録をとって、ログをとって分析していくというやり方をして、これはユーザビリティーエンジニアリングと言ったりしますけれども、とても問題解決というか、ある種、操作性のはっきりした問題を探し出してきて、それを解決するバグ探しに非常にいいわけですけれども、問題自体を発見していくというところにはなかなか結びつかなかったということがありますし、又はこういった専門性といったものがどうしても必要になってくるわけで、実際にデザイナーであったりエンジニアが直接かかわることが非常に難しい。どうしても人に頼まないといけないということになってくると、二次的情報になりがちだということがあります。
 これ、こういった操作性の問題だけじゃなくて、いろいろなマーケティングデータなんかも、実際に開発者にとってみるとかなり二次的な情報として、分厚い報告書として上がってくるんですけれども、なかなか自分の課題として見えてこないという実感があったわけです。
 そういった改善から、先ほどのリフレーミングというふうな意識が必要なのではないかということなんですけれども、現象を文脈的に理解する必要性がありますし、物事の図と地と言いますよね。地があって、その上に対象物、図があるということですけれども、そういった境界が結構曖昧に見えてくる状態が、イノベーションが起こる、新しいアイデアが起こる、問題が再定義できる環境ではないかなと思うんです。
 そういったリフレーミングという意識が必要になりますし、ユーザーイノベーションという、ユーザーが結構生活の中で工夫しているということがあるわけです。それはユーザーさんにしてみると小さい工夫なんですけれども、結構それが一般的な大きなニーズをあらわしていることがあるわけです。そういったものを拾い上げていくということが重要なのではないかと。
 ここにある写真はキンバリー・クラークのホームページからとってきたものなんですけれども、これは、P&Gが非常に紙おむつでは圧倒的なシェアを持っていたんですけれども、それに対してキンバリー・クラークがはく紙おむつというものをつくって、シェアを一瞬のうちに逆転したという非常に見事な例なんですけれども、これはまさしくリフレーミングの例として非常によい例だと思っていまして、開発チームが各家庭を回る中で、紙おむつの使われている状況とかを観察したりインタビューしながら、お子さんがだんだん大きくなっていって、本来は親としてはおむつは外したいんだけど、でも外せないという、外から見たら大したことない悩みなわけですけれども、それをうまく的確につかんで、トレーニングするというか、自分ではけるようになるためのトレーニングの紙おむつなんだよとコンセプトを変えていくわけです。
 そうすると、紙おむつ全体のシェアの中でも非常に大きな変革が起こったということですし、それはアメリカの例ですけれども、これは最近非常に売れているグリーンファンという、東京の非常に小さい中小企業です。高級扇風機ということで評判になっていて、数々のデザイン賞もとっているわけですけれども、発想は羽というか、風の質自体を変える。扇風機の風とか人工的な風というのは、どうしても当たると冷たかったり痛かったり、何かあると。その辺のセンシティビティーも重要かと思うんですけれども、それに対して社長の寺尾さんが、工場とかを回っているときに、工場というのは暑かったりしますから巨大な工業用の扇風機は回っているわけですけれども、そういったものを皆さん、職人の人は壁に一旦当てて、それを輻射してくるというか、返ってくる風を使っているということを見るわけです。それはなぜかというと、風を何かにぶつけて緩衝させるということがあったわけですけれども、それを見る中で、違う羽を組み合わせて、風と風をぶつけて非常にやわらかい風をつくり出すということを発明、デザイン、彼はもともとはデザイナーなわけですけれども、デザインしたわけです。そういうことが起こってくる。これは結構そういったユーザーイノベーションを活用した商品開発として非常に面白いのではないかなと。これは非常に最近の例になるわけです。
 あと、ラピッドということで、冒頭に申し上げましたけれども、学問的な民族書を書く、完成させるという厳密さも、やはり現場のエンジニアやデザイナーが使えるということが非常に重要で、そういった容易性といったものが必要ではないかというようなことと、こういった主観とか質的な調査というのは、どうしてもある種主観ではないかということなんですけれども、それを今まで私もデザイナーとして企業にいたときに、おまえの思いつきではないかというふうによく言われるわけですけれども、その思いつきが非常に重要なわけです。その思いつきを発見とか、こういうことがあったとか、面白いなと思ったいろいろな問題を見つけてくるときに、そういった主観を拾い上げていって、それをうまく共有して、グループ、開発チームとしての集団的な主観といったものに変えていくシステムというか方法論が必要なんじゃないかなということです。そういった意味合いにおいて、このラピッド・エスノというのは有効かなというふうに思っています。
 特にここで言いたいのはリフレーミングということだと思うんですけれども、次は非常にざくっとしたイメージ写真なんですけれども、自分で撮った近所の写真ですけれども、小さい子供が歩いていると。後ろを向いているのですが、よく見るとやけに大きな靴を履いているわけです。これは公園のようになっていて、ピクニックなんかができるんですけれども、多分皆さんも経験があったり、例えば自分のお子さんがそういうふうなことをやられているのを見たことがあると思うんですけれども、お父さんやお母さんの大きなスニーカーを履いてみる、歩いてみるということです。そこに、多分お父さんやお母さんに対する意識というものがどんどん変わっていっている瞬間ではないかなと思います。大きな靴と自分の小さな足といったこと、それを今踏みしめながら楽しんでいるというか、考えている、感じ取っているところだと思うんです。
 これは自転車で走っている少年がいて、おっと思って、何か大きな自転車に乗っているなと思うわけですけれども、その後すぐにお父さんがやけに小さい自転車に乗って走っているわけです。こういう家族でのたわいない遊びというか、ちょっと交換してみる。でも、お父さんにしてみると、おまえ、やっぱり小さいの乗ってるんだなという感じがありますし、さっきの子供は、お父さんってすごい大きなのに乗ってるんだなということがあったり、これは自転車を単に楽しんでいるというよりも、お互いをリフレーミングしているという感じがあると思うんです。
 こういうことはいろいろな場面であるかと思います。子供たちにしてみると、1枚のドアも公園の遊具よりも圧倒的に面白い遊び道具になりますし、これはショッピングモールのおばあさんというか、初老の方ですけれども、公的な場でこういうのを写して大丈夫なのかなとちょっと心配したんですけれども、これは非常にクリエーティブで、ユーザーイノベーションの塊みたいな感じなんですけれども、大分お疲れですよね。だけど、ショッピングカートがいわゆるオットマンのような形で足を乗っけるものになっていますし、枕のかわりになっていますし、これはすばらしいイノベーションが行われているところですよね。
 そういうことが、デザイナーだけじゃなくてユーザーさんが様々に行っているというのは非常に気づくポイントとして我々は重要視しなきゃいけないんじゃないかなと思いますし、これは古い心理学者の図解ですけれども、図式、探索、対象というふうに、人のニーズの流れというのはこういったことになっているんじゃないかと解説した図なんですけれども、僕らがデザインする上では、こういったメンタルなものが変わっているんじゃないかな。頭の中にある図式、スキーマーといいますか、頭の中にある何かしらのイメージだったり図であったりといったものをベースにして我々は行動を起こすわけです。それは活動を方向づけさせられまして、我々の頭の中にある図解から行動を方向づける、そんな探索をするわけです。実際の社会における外界においていろいろな活動をして、実際、対象に触れ合うという場面になっていったときには、そこは多分図式とは随分違ったものがあるわけです。子供たちも初老の方も、自分の実際の今の環境とか内面的なニーズの中で、ショッピングカートが枕やオットマンに変わっていくという中で、こういった図式、探索、対象といったサイクルが幾つも、何回も何回も回っているのではないかなと思うわけです。
 これはまたちょっと別の話ですけれども、いろいろなデザイナーをインタビューしたりして、それぞれの成功例なんかも見て、デザイナーには二つのひらめきがあるんじゃないかなと思うわけです。いろいろな課題を与えられるわけですけれども、実際にいいデザインをしようと思うと、自分の中で問題を再定義、言い直すということがすごい大事で、この課題は実際はこうなんだよね、クライアントはこう言っているけど、問題はそうじゃなくてこういうことだよねという再定義をできるかどうかというのが非常にいいデザインを生み出す一つのポイントになってきます。それができると、じゃあ、実際どういうアイデアで展開していったらいいのかというアナロジーを発見する可能性が非常に高まっていくわけです。
 こういう二つのひらめきがあるかなということと、先ほどの図式と探索と対象といったことで考えていっても、我々のプロセスといったものをそういった枠組みの中で考えていく必要があるかなと思っておりまして、ちょっと具体的な話になるんですけれども、組織的なリフレーミングといったものをどうやって起こしていったらいいのかなということで、今、中心的なメディアとして使っているのはビデオです。ビデオによる発見、分析、編集、そういった活動の中から問題を構造化して再定義していく。また、そういったものから概念モデルを生成し、解決案の創出、検証、実体化していくという流れを。これ、ずっとこのシーケンスうまくいくわけじゃなくて、さかもどったりするわけですけれども、今日は簡単に流れを御紹介したいと思うんですけれども、観察ということで、これは実際に製品を使っているところを撮ったり、生活しているところを撮ったりしているわけです。
 医療系のプロジェクトなんかでしたら、実際にお医者さんの現場に伺って、動物病院へ行ったり、いろいろある。これは血液採取にかかわるプロジェクトをやっていたので、そういった現場をたくさん撮ったり。
 面白い例としては、実際には観察に行けなくて、行かないんですけれども、工場の中で24時間稼働している監視カメラのようなものがあるわけです。そういったものを使って、正社員ではない参勤交代の方々に生産現場において使っていただく管理ソフトウエアがどうもうまく使用されないという状況があって、どうしようかなということでこういった観察をすると、非常に面白いことがわかってくるわけですけれども、そういったいろいろなやり方によって発見、分析ができるのかなと。
 今、ビデオが、昔はビデオって取扱いが非常に難しかったわけですけれども、こういったパーソナルコンピューターでビデオの編集とか再生が可能になってきていますので、これは学生がビデオをクリッピングしているところですけれども、ここでちょっとポイントになるのは、実際に観察に行った人間だけではなくて、行ってない人が入って、これは一体何なのということをディスカッションしながらクリッピングしていくというようなことが非常に重要で、行った人は一応わかった気になって撮ってきているわけです。それはもうフレーミングしちゃっているんです。それに対して、違う人がサイドから、どうしてこんなことが起こっちゃうわけといって質問すると、あれ、おかしいねと、2人とか3人でもう一度ビデオを見返してみて、ここにこんなものがあるねということがわかってくる。ビデオはそういう意味では非常にリッチな情報を持ったメディアなのかなと思います。
 そういったものをクリッピングしていくという作業をして、それについて、それぞれキャプションをつけて、問題を名詞化していくというか、名前をつけていくということをやります。今これはカード形式になっていますけれども、実際にビデオの代表的な部分といったものをカードにするという作業も行います。
 このビデオクリッピングしたものをグループ全体で共有して、先ほどの代表的な場面のカードといったものを、KJ法的というか、あまり厳格なKJ法ではないと思うんですけれども、これについては実際に観察した人、行ってない人、又はクライアント側からのマーケティングの人だったり、いろいろな属性の人が参加できるわけです。
 ビデオというのは、非常に面白いのは、結構ビデオを見ると、非常にそこにコミットするメディアだと思うんです。単に静止画を見せられて説明を受けるのではなくて、ビデオが流れるだけで、すっと流れ、文脈というか、生活の感覚といったものを理解することができるわけです。そういったものを使うことによって共有が結構短時間で行われるというメディアの特徴があります。
 そして、それを再編集するという段階で、これは高齢者施設の方々、スタッフの方々、学生と一緒にいろいろ再編集しているところです。そういったものをマップ化して、関係性を概観できるような形にしていくわけです。カテゴリーの名前なんかもつけていって、それの相関といったものを見ると。実際に観察しに行ったりするとわかった気になるんですけれども、ある種、問題というのはそんなに簡単ではなくて、結構複雑なわけです。そういったものをパッと理解するというのはなかなか難しいわけですけれども、こういった大きな模造紙の上に概観するということで、こういう問題があったんだねという整理がつくわけです。
 そういった事柄を実際に被験者と照らし合わせてみて、実際に問題がある種のユーザーさんだけに偏っていることなのかどうなのかという妥当性を見たり、先ほどのマップを整理する形で問題を構造化していくということをしていきたいというふうにできるかと思います。これによって、実際の現場において何なのかという問題を理解する一助になると思うんです。
 ただ、デザイン、テーマを抽出するといった場合においては、先ほどの問題を構造化しただけでは足りなくて、やはりグループで作業をやりますから、どうしても何となく一般的なというか、みんなが合意できる理解になるわけです。それはそれでいいんですけれども、今この段階においてやっているのは、個人で更にいろいろな問題を構造化したこのマップの中から幾つかの問題をピックアップしてきて、そこで更に何か言えないかということをやるわけです。
 ですから、一つのグループからとってくる場合もありますけれども、幾つかのグループからとってきて一つの大きな問題が言えるとなると、これは一般性が結構高いのではないかとか、深い内容ではないか、そういった確率が高まるのではないかと思っています。
 こういうやり方をしているんですけれども、これは当時、南デンマーク大にいらしたブーアさんという方がビデオ・エスノグラフィーというか、ビデオカードゲームというやり方をされていて、それを工夫して、改変させていただいた感じのやつを今御紹介しました。
 こういったものができ上がってきまして、テーマがはっきりしてきて、それをまたデザイナーのほうでこういった、これは英語の学習ソフトウエアのためのコンセプト図ですけれども、そういった図解化していくということもグループで共有できる一つの大きなツールになってきますし、そういったものができ上がってきますと、ブレーンストーミング、非常にテーマがはっきりしてきますから、問題、トピックがはっきりしてきますとアイデアも出しやすくなっていくということで、ブレーンストーミングをやった上で、よくあるようなラピッドプロトタイピング、ソフトウエアであったりハードウエア、そのワークショップにおいて、そこですぐに精査できるようなものから数日かけて行うものまで、いろいろあるかと思います。
 そういったアイデアを連結させていって、もう一度観察してきたような現場のシナリオの中に落とし込んでいって、実際にアイデアが生かされるのかどうかといったことのシナリオ化ということをやったり、実際にペーパープロトタイピングみたいなラピッドを使って、実際に被験者だった人たちに映画、ムービーみたいなものを見せたり、実際にさわっていただいたりして検証作業をするようなことをやったりするわけです。
 最後に、予算があったり時間があればということもあるんですけれども、実体化、最終的にはよく言われるような、かなり完成モデルに近いようなモデルを作成していくというようなことで、これは島津製作所さんと一緒にやらせていただいて、HPLCという、わりと分析装置の中で一般的な商品ですけれども、そういったデザイン事例です。
 これは先ほどもありましたけれども、ベネッセさんの英語会話の小学生低学年向けのソフトウエアとハードウエアを組み合わせたシステムなんですけれども、やらせていただいた事例で、人文学とかキッズデザイン賞とかも頂いております。
 これは私どもが直接やったわけではなくて、こういったアプローチを一緒に勉強した卒業生が企業に入られて、それを展開された事例として、堀場製作所さんのペーパーメーターのデザイン、非常にすばらしい操作性を持った、また、外観も非常に美しいデザインに仕上がっているんですけれども、こういった適用事例があるということでございます。
 そういうことで、ラピッド・エスノグラフィーといったもののアプローチを、かなり現場の泥臭い話のようなところがあるかと思うんですけれども、こういったやり方をしております。
 ありがとうございました。
【石川主査】  どうもありがとうございます。
 それでは、残り30分ちょっとなのですが、今まで議論を先送りしてきましたので議論したいのですが、時間が限られていますので少しだけ誘導させていただくと、最初に工藤さんの方からこの作業部会の役割を、漠然とではありますが御説明いただきました。繰り返しになりますけれども、イノベーションを起こすのに必要な対話手法とは何かという話になりますので、そこは委員の皆様方、理性高くコントロールしていただければと。わりと脱線しがちな予想を持っていますので、皆様の理性を頼りに、脱線しないようによろしくお願いします。
 それから、あくまでも確率を上げるという話であって、こうやれば必ずうまくいくなんていう話はどこにも落ちていないというのは皆さん共通の理解だと思いますので、それも共通の理解で、確率をどの程度上げられるか。これだと100%うまくいくよなんていう議論はまずないと思いますので、どのくらい上がるかという議論をやる。
 それから、久保先生のにありましたように、否定的議論は、皆さん大丈夫だと思いますので、なるべく避けて。実は、ある手法には、ブレーンストーミングをやって、絶対できないと何人もに言わせて、絶対できないというもののリストをつくると、それが一番いいイノベーションのリストだったりするという逆のやり方もないわけではないのですが、この作業部会ではそれはやめていただきたいと思いますので、肯定的な意見を是非ともということと、肯定的意見というよりは、今日は問題の抽出、あるいは発散プロセスにありますので、今日の3人の方以外の課題があるんだということであれば、発展的な御意見も言っていただければと思います。
 この残りの30分は、まずは質問、このお3方、工藤さんも含めた4人の方の御発表に対する再度の質問があれば、それを受けた上で皆様方に、この四つの発表にインスパイアされた、この作業部会でやるべきことに対する御意見を伺っていきたいと思っています。
 まずは、4人の方々への再度の御質問があればお受けいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 もう一度復習の意味で、私の理解を申し上げますと、平川先生には、わりとコミュニケーションの観点から、どうやってイノベーションを起こすようなコミュニケーションをつくっていくかということをお話しいただいた。それから久保先生は、御本人は泥臭いとおっしゃっていましたけれども、泥臭い面で、現場ではどうやっているか、わりと具体的かつ詳細に御発表。それから櫛先生は、デザインという立場からお話をしていただいて、デザインというものがイノベーション全体を指しているわけではないんですが、その一部としてのデザインのやり方ということに関しては示唆のあるお話をしていただいたと思います。櫛先生の御発表は、我々、工学の人間なんですが、それでも例えば、ナイサーの知覚循環論なんていうのは、工学でもよく取り入れられている話ですし、ビデオなんていうのは工学の、心理学的に言うと、行動主義的なあれなので内省までは入ってないというので、問題があるにはあるんだと思うんですが、それでもある一つの知見を与えてくれるという意味では、非常に親近感を覚える御発表だと。
 まずは、御質問等ございますでしょうか。はい、どうぞ。
【鳥谷委員】  久保先生に御質問させていただきます。先生が熟議でテーマ設定をなさる、みんなでディスカッションをするときに、先生の中で、進行の仕方の形式というのはある程度お持ちで司会進行を進めていらっしゃるんでしょうか。我々URAが、今この部会で求めているようなイノベーションのための対話促進をするに当たって、久保先生がなさっていることが非常に近いモデルだと思いますので、その進め方といったものが形式化できるのかどうかというところに非常に興味がありますので、お聞かせください。
【久保主査代理】  いいのかどうかよくわからないんですけど、最初にやったやり方をモディファイしてずっとやっています。だから、最初に全然違うやり方をやってもよかったのかもしれないですけれども、それはどういうやり方かというと、ちらっと話しましたけれども、お互いがトピックスを話して、それに対して質問をして、それからシンキングタイムというのを置いて、それで次にどういうものが欲しいかというのを、ホワイトボードを使いながらそれぞれがみんな書いて、それでそれについて10分ぐらいでプレゼンテーションをして、それをまたディスカッションするという、そういうやり方をとりました。今も大体そういうやり方の進め方をしています。
【鳥谷委員】  じゃあ、トピックスというのは、今、お互いにこんなことをやっている、こんな課題を持っているというようなことを言い合うというイメージですね。
【久保主査代理】  そうです、最初は。それがいいかどうかは別にして、とりあえずはそこから始めます。これからディスカッションなんですけれども、出口をどう持つかによって進め方というのは大分違っていて、我々の場合は、あるターゲットがあるので、最後はそこへ持っていかなければいけないというのがあるので、やっぱりお互いの内容ですよね。だから、それが違う出口だったら、当然のことながら、また違うアプローチがあるかもしれません。
【鳥谷委員】  ありがとうございます。
【石川主査】  いや、そこのところはわりとケース・バイ・ケースでいろいろあって、久保先生の例はうまくいった例なんだけれども、じゃあ、同じことを私がやってうまくいくかというと、そうでもなかったりする。だから……。
【久保主査代理】  まあ、先生、うまくいったかどうかは、まだ進行中で、いった例もあるけど、じゃあ、最終的に何を成功と言うかなんですが、イノベーションが成功だと言われると、まだそういう話ではないので、我々も試行錯誤しながらやり方を今探っているという、まだその途中ですね。
【石川主査】  でも、URAの方からすると、URAの方に与えられたミッションは、イノベーションまでというのが理想像だけれども、その手前の一里塚的なものまで行くには、いろんな人がいろんな形でやるんだと。
【久保主査代理】  そうですね、はい。
【石川主査】  ほかに、まずは御質問等ございますか。はい、どうぞ。
【白坂委員】  まず久保先生のほうに、すごくすばらしい活動をされているなと思いました。あと、お一人でやられているというのはすごく……。
【久保主査代理】  いえ、めっそうもありません、そんなことないですよ。そうだったらちょっと謝ります。偉そうに言いましたけど、いっぱいスタッフはいます。
【白坂委員】  いや、もちろんスタッフの方はいると思うんですが、ファシリテーションを中心的にされているということで。
【久保主査代理】  ああ、それはね。はい。
【白坂委員】  このプロセスなんですが、我々も、短期の紹介的なワークショップの半日コースも設計しますし、あとは実際に結果が出るような半年以上かけるような、長いのは2年近くやっているようなワークショップの連続も設計しているんですが、これは今、どういうふうに施行されているのかなと思っていまして、ある程度の期間、ここまでにここを到達しようというのがあるのか、あるいは何度か繰り返しながら、現状を見ながら先をちょっと考えながら延ばす感じでデザインをされているのか、どういうふうな進め方を設計されるんでしょうか。
【久保主査代理】  大抵、半年をめどにしています。1年は長過ぎるし、3か月ではちょっと厳しいということで、とりあえず大体半年をめどにテーマを大きく五つ、五つぐらいのテーマはわりと絞れるんですよ。何日かやれば絞れて、そのうちから具体的にお金をつぎ込んでやるようなテーマを二つくらいはとりあえず、ショートの分と、ちょっと長い中期の分と。
 本当は、先をものすごく見通したいんですけど、10年超えるようなテーマは、やっぱり企業ではなかなかしんどくて、五、六年をまず一つめどに。それと、企業がお金を出すとなると、3年目ぐらいに何か成果が出ないと、いつまでやっているのみたいなことを言われるので、だから3年ぐらいのやつと6年ぐらいのやつを、とりあえずは半年でそれぞれ出してみる、そんなイメージです。
【白坂委員】  これは企業からのお金のみで運営しているんですよね。
【久保主査代理】  今のところはそうですね。ただ、大学も、ものによっては出すよみたいなことで準備はしています。我々もそこはやぶさかではないです。
【白坂委員】  ありがとうございます。
【石川主査】  ほかはいかがでしょうか。はい。
【郷治委員】  3先生の個別の質問というよりは、デザインという一つのキーワードに関する質問になるかもしれませんけれども、平川先生はコミュニケーションのデザイン、久保先生は共同研究のデザインというか、そして櫛先生はプロダクトのデザインということで切り口が違うわけなんですけれども、そもそもここの作業部会でデザインと言うときに、やっぱりこのぐらい非常に大きなスコープでデザインの定義というか、冒頭の江上先生からイノベーションの定義という話もありましたけれども、デザインをどこまでスコーピングするのかというのを最初に確認しておきたいなと思いまして。
【石川主査】  はい、もう一度、じゃあ。
【工藤室長】  これは作業部会の目的と密接に関連いたしますので、最初に掲げさせていただきましたが、この作業部会の議論におけるデザインのスコーピングは、あくまで多様な参加者の対話を促進して、大学発のイノベーションを、大学発イノベーションは何かというのはこの場合、括弧に置かせていただきますけれども、促進するために確率を高める方法論の一部をなすものです。さらに、デザイニング自体がこの会議の運営方針にも込められています。どういうことを議論してつくり上げれば、その議論の熟度が増すかというのを考えている自体も、入れ子構造になっているというか、大分メタ構造になっていまして、この作業部会の意義を考えること自体が、既にデザインされています。
 そういう意味で、やることは、発散プロセスと、どうやって発散させるかをデザインしましょう、どう収束するのかもデザインしましょう。更に課題については、今、櫛先生の発表は非常に示唆的なんですけれども、リフレーミング、我々が課題だと思っているものが本当に課題なのかどうか。こういうことを含めて、発散と収束に役立てるような課題設定を考えることもデザインしましょうということです。
 最後には、参加者ですね。つまり参加者については、まさに久保先生から提言いただいたように、みんな来てもらわないと意味がないと。これは来ていただくことの内容をデザインしていかないと、我々が最終的にこういったものを使って現場で運用して、更にそこから技術課題を導き出して研究開発につなげ、最後にはベンチャーキャピタルなどのダウンストリームの世界につなげていくことを念頭に置いています。アップストリームの段階でボトルネックがあるという前提の話をしているので、多少、話の見えにくいところなのかもしれないのですが、そこを御理解いただければと存じます。
【郷治委員】  じゃあ、それをやっぱりインプリメンテーションというか、実際に研究者の方をはじめ、イノベーションにかかわる方に広げていってということですよね、ねらいとしては。
【工藤室長】  そうですね。そういう意味で、お手元、ツールブックというのを紹介させていただいています。これは平川先生の研究テーマの世界、サイエンスコミュニケーションの分野でつくられたもので、平川先生が今回フューチャーワークショップを開くに当たって使ったワールドカフェ方式も、この中の185ページに掲載されていまして、そこに何が書いてあるかというと、先ほどのプレゼンテーションで示したツール要素が逐一書いてあるわけです。
 これはまさに久保先生が御質問なされた、どのぐらいの長さの期間に、誰それをを集めれば良いのか、といった、非常に具体的な運びが記載してあり、結局我々が議論をしていたこの四つの考え方というのを、じゃあ、具体にインプリメンテーションまで考えようとすると、そういうことが最終的には必要になるだろうことをイメージしてこの作業部会全体をデザインしています。
【石川主査】  いや、これは、久保さんと私が話し出すと、さっき自省の念を込めて申し上げたんですけれども、デザインの話をすると2時間でも3時間でも行くんです。大学で教育の話をすると、100人いると100人が100人の教育論をやるのと同じで、デザインはこれだけいると、デザイン10人いるなら10人、デザインに対して一言言いたくなるわけですよ。私なんか2時間やったら、ここ、全部で何十時間とかかっちゃう。
 なぜデザインの話を漠然としちゃうか、皆さんの理性に任せるかというと、その時間がかかっちゃうというのが一つあるのと、ここで最終的にこういうものへ落とし込むということを目的化しちゃうとまずいので、もう少し大きなデザインというものの流れを議論しておきたいなというのがあります。
 理由は、多分感じられていることは幾つかあるんですが、アメリカあたりでデザインという定義がだんだん広くなっている。どこまでがデザインだというよりは、どんどん広がっているということが背景にありまして、今、多分、クリエーションとデザインは似たような概念で捉えられているし、実は1月に、私は、アメリカのブルームバーグのビジネスウイークのデザインカンファレンスというのに呼ばれたんですが、そこでのデザインなんかは、もう全くぐちゃぐちゃです。一人一人全部違うデザインで、勝手にしゃべっているというようなことになっているんですが。
 一つだけ同じ土俵に乗っているのは、社会を変えるということが目的としてあることがデザインである。社会を変えるということが目的でないのは、櫛先生には申し訳ないけど、ただ美しいというのでは社会は変わらないので、変わるかもしれないですが、あまり大きくは変わらない、それはデザインという新しい流れからはちょっと違う方向になっている。その程度の漠然としたデザインの流れの中で、イノベーションをどうやって起こすかという議論をこの中でやって、その結果としていろんなツールができているという流れかなと。
 それは工藤さんは文科省の人だから、結果を出さなきゃいけない。久保先生も結果を出さなきゃいけないと言うんですが、これで結果だけが一人歩きすると、多分これのツールが目的化されちゃうと、デザインというものの大きな流れはうまくいかないので。
【工藤室長】  そういう意味で、発想としては、モダリティー、思考の枠組みみたいなものを用意したいと思っています。今までのブレーンストーミングというのが、やっぱり文字通りのブレーンストーミングであったと考えますが、恐らくそれにはやってはいけない事柄の経験上の集合知のようなみものがやっぱりあって、それに注意してやっていけば、一つの結果は出るのですが、それだけでは不十分と感じています。というのも、先ほど櫛先生のプレゼンテーションを見させていただきましたが、リフレーミングしていく、課題そのものを疑って修正していくプロセスというのが、これから議論のモダリティーを考えていく上で求められているのではないかと。今、我々は社会課題からバックキャストして何かしらをつくり出そうというのをCOI等でも言っています。
 しかしながら、課題そのものに対する疑いの眼差しというのはどこまであるのかというのがちょっとわからなくなっています。課題そのものも疑い、修正をしながら、それに必要な技術的解決策というのを組み上げていくというのも、やり方として、決して絶対ではないのですがやり方の一つとしてはあるのだろうと。これを関係者が共有して、現場で実行できれば、実験的ではあるけれども、イノベーションの創出の確率は多少上がるんじゃないかというふうに思っております。
【平川委員】  ちょっとよろしいですか。私自身は、デザインという言葉を大ざっぱな整理としてプロダクトとアウトカム、アウトカムというのはコンテクストも含めたプロダクトと、あとプロセスなんだろうなと。プロダクトというのは、要するに個々の製品のレベルでのデザインで、更にアウトカムというのは、今言いましたように、文脈、それをどういう場面で使うのか。これはさっきの櫛先生のお話だと、経験をデザインするところが入ってくると思うんですけれども、それとあと更に、じゃあ、そうしたプロダクトにしても、アウトカムにしても、デザインされたものを生み出すための思考とか取組のプロセスをある種の型としてつくっていくと。やみくもにやっていく、ちょうど例えば櫛先生のこの絵で言うと、全部セレンディピティーだけに頼るわけではなくて、ちゃんとこのプロセス全体とのある種の設計を入れ込んでいく、結論を出す形でそこまで入れ込んでいく設計主義的なデザインではなくて、まさに確率が高まるような形で型をつくっていくというプロセスのデザインというのがその三つ目にあるのかなと。
【工藤室長】  そういうことです。そういう意味で参加者の効用を高める方法以外は、全部プロセスと呼んだつもりです。
【平川委員】  そういう意味で、ここでメーンは、ツールボックスみたいな話というのはよくわかります。プロセスを回すためのデザインの道具箱ということで。
【工藤室長】  ツールボックスは、石川先生ともよく議論していますが、最終的に必要になるものなんです。現場での運用を考えていれば、必ずツールボックスは必要になると。しかしながら、それの中身の理解ですよね。どういう……。
【平川委員】  意図を持って。
【工藤室長】  そうです、どういう意図を持って、どういう背景を持って、先ほど久保先生が危機感を持ったとか、こういったものは現場で共有できているかどうかはちょっとわからないけれども、そういった危機感みたいなものがモダリティーとして入っているツールを作れれば議論を行う現場でワークするものができるというようなう発想があります。
【平川委員】  そういう意味ではあれですね、プロセスとしてそういうものを入れ込むというのは、要は、従来のやり方での技術開発なりビジネスのつくり方ではないやり方をすることで、そのためにはある型を、別の形をつくらなきゃいけないという意味でのデザインですね。
【櫛委員】  一ついいですか。将来のイメージを語った上で、それをブレークダウンしていくというやり方ももちろんあると思うんですけれども、僕らが何かプロジェクトを持つという場合は、大体において何かしらテーマを持ってこられる方がいらっしゃるわけです。シーズであったりするわけですけれども、それなりに解決案をもう既にお持ちなんです。しかしながら、それを伺ってみると、じゃあ、ちょっと我々の見方でもう一度実際の現場へ行ってみましょうかといったときに、どうもその言い方というのはちょっと違うんじゃないかとか、問題の質がちょっと違うのではないかというような疑問が湧いてくる。
 そこに気づきが出てきて、そういった問題を提起されてきた方に対しても、こういうこともありますよねというふうなことで共有していくというアプローチをとっていると思うんですけれども、今回のケースはどうなのかわからないですけれども、大学においてはいろんなテーマを持って研究されている方がいらっしゃるわけですよね。だから、それは非常にポテンシャルのあるテーマがそこら中に転がっているわけですけれども、それをこういったツールなのか、方法論なのか、そういう情勢環境において、いや、でも、それはもしかしたらもうちょっと違う言い方ができるし、テーマがシフトできるんじゃないか、同じ技術を使ってというふうな、だからこれとこれをくっつけたらどうかというふうなことの、そういった場みたいなものをつくり出すということが目的なのかなというふうに、今日、お二方のお話も伺いながら思ったんですけれども。
【石川主査】  そこにいろんなパターンがあるので、一つのパターンではないということが必要になりますよね。
【櫛委員】  そうですよね。
【石川主査】  櫛先生の話で言うリフレーミングというのは、今のデザインの中ではリデザインだとか、リイメージングという言葉でよく言われますよね。
【櫛委員】  ええ、そういうことを、はい。
【石川主査】  あれというのは、やはりおっしゃっているような気づきの足りなかった部分をどうやって気づかせるか、あるいは目的に対する再定義、再試行をやるというような話ですよね。そこへどれだけ大きな流れをつくれて、それをサポートするのにどれだけのツールができるかというのがこのミッションなので。
 ちょっと時間もあれなので、御発言なさっていない方にちょっとだけ御発言いただきたいところがあるのと、それからもう一つは、同時に、次回、是非ともこの形じゃない御意見をお持ちの方に御発表いただきたいという意味もありまして、まだ御発言なさっていない方を中心にどうぞ御発言いただければ。
【杉原委員】  よろしいですか。久保先生と櫛先生の話は、参加者にメリットがあるので、それは乗ってくるのはよくわかるんです。参加者の分野が広がれば広がるほど、いろんな人が出れば出るほど、メリットを受ける人がだんだん少なくなってくる。だから、長期間議論に参加してもらえないだろうなというのは、もう容易にわかるんですよ。現場で我々が、URAの立場とかコーディネーターの立場で継続的にこれをやれと言ったら、メリットのある方のプロジェクトは、多分すぐできるんです。ただ、話が拡散していく方とか、得るものが少ない一般の方たちが多ければ多いほど、多分参加者が呼べなくなる、継続できないんじゃないのかなと現実的に思いまして。
【平川委員】  そこは私自身としては、何段階かあって、要は入り口の部分、導入の部分でできるだけ広くやって、そこから出てきたアイデアというのをもとにして更に発展させていく、実際のコミットメントを生み出していくというのは、また違う設計の、議論の場というのをつくってそれを重ねていって、また別のテーマを探していったり、あるいは最初に始めたものについて1年後、2年後、3年後とかにもう1回、それこそリデザイン、リフレーミングしていくためのやつを、またちょっと広めの参加者でやってみるとか、それは複数のやつを多段的にやっていくことで、だから継続するとしたらば、そういう多段的なところにいかに入ってもらうか。毎回の入口の部分に関しては、むしろメンバーは替わったほうがいいと。どんどんニューカマーが入ってきたほうがいいんだろうと思っています。
【杉原委員】  そうするとやっぱり、ある程度コアメンバーは固定していくんですけれども、周りの方は順次入れかえていくイメージですか。
【平川委員】  ええ。この間もうちのワークショップで実際に議論になったのは、いい感じの、一見様も入れて、常連さんも大事にされる、両方が大事にされる場みたいなものがあって、多分人材の話なんかになると、実際に北新地のママさん連れてこようかみたいな話にもなったんですけれども。そういう形で常連と一見様をうまく組み合わせていくようなそういうプロセスと、多段的な取組が必要なのかなと思います。
【石川主査】  大学の方からの御発言が多いので、是非とも企業の方から。
【並木委員】  では、よろしいですか。
【石川主査】  はい、どうぞ。
【並木委員】  私の立場は、櫛先生に非常に近いところがございまして、クライアント様がいろいろな商品をつくるときに、シーズ発想でつくられることが多い。それが本当にお客様に合っているかどうかということを調整しながら商品開発のお手伝いや広告コミュニケーションを開発するのが私たちの仕事です。 そうすると、今のお話を聞いていて、集まっている方々が企業の研究者の方だとか大学の先生というと、最終商品までを目指すのであるならば、もうちょっとエンドユーザーに近いような方々をどう巻き込むかというところが、大きなポイントになってくるのだろうと思います。
 有名なエピソードに、ソニーがウォークマンを出すときに、事前に秋葉原の営業マンに聞いたら、全員が売れないと言った。それを聞いて社長がゴーサインを出したという話がありますが、わりあい門外漢の意見のほうが正しかったりするというケースもあります。それからユーザーの方々が、実は先ほどの櫛先生のお話にもありましたけれども、自分勝手な使い方をするということがあります。例えば昔で言えば、ポケベルというのはもともとビジネスマンのツールだったのが、女子高生のグッズになったみたいな、割にいい素材さえ提供すれば、ユーザーは勝手にいい使い方をしていってしまう。今のiPhone、iPadもそのような使われ方で伸びていったのではないか。そのような意味では、そういうユーザーをいち早く巻き込むということが必要なのだろうなと思います。
 ただ、ユーザーも全くのフリーのところから入っていくと、おっしゃるように全く反応しませんから、ある程度こういうものなんだよということを提示すると、それに対して反応してくるというようなプロセスがあるので、そこをどういうふうに形にしていくかというところがポイントになってくるのではないかと思います。
 それは、櫛先生おっしゃられたように、エスノグラフィーのようなやり方もありますし、、今オープンイノベーションというような仕組みもあります。そういうところは技術的にも随分できるようになってきました。そういうテクニカルなことを活用するといろいろなことができるんじゃないかと思います。
【石川主査】  古谷さんはいかがでしょうか。
【古谷委員】  今日、企業の立場で非常に現場に近いところから、櫛先生からは非常に俯瞰的なデザインの話を伺って非常に勉強になりまして、企業の中でも、実はかなり近い取組も既にしています。そのときにワークショップを、社内と、場合によっては社外の方も含めて、いろんな多様な方でやるというのは非常に大事なんですが、一つ悩みとしては、多様な人が集まると、まず言葉が合わないんです。同じ言葉を使っているようだけど、実は違うことを言っているということが間々ありまして、例えば、これは研究者とデザイナーのワークショップで気がついたんですが、一つ、仮説・検証という言葉を使ったときの仮説の確からしさということが違うらしいと。
 最初は全然、食い違いがよくわからなかったんですけれども、研究者の方は大抵、これは実は社内の博士の方何人かに聞いたんですけれども、6割から7割ぐらいをもって仮説と言うと。ところが、デザイナーの仮説は大体二、三割だったりするんです。ですから、三案を出してその中から絞っていくみたいなやり方をしていくということで、一つ仮説といっても、その重さが全然違うと。ですから、それに伴う、じゃあ、何か月かけようとか、どこまでやろうとか、プロトタイプの精度をどうしようかと、そういうところで、随分食い違いが出てきてしまったと。そういうことが間々ありました。
 ですから、多様な人が集まったワークショップをやるときには、そういう問題が間々ありますし、今日、櫛先生から御紹介があったようなエスノグラフィーをそういうワークショップの冒頭で使うような場面がやっぱりありまして、要は、ある事実に基づいた写真であったり、ビデオであったり、場合によっては、本当は現物が一番いいんですけれども、みんなで見るとそこで一つの世界観といいますか、共通の認識が持てるので、そこから議論を始めると、比較的その後、半日なり1日が過ごせますとか。わりと現場レベルの泥臭いやり方ではあるんですけれども、そういう使い方を実際にはしています。
【石川主査】  ちょっと今日、もう時間もそろそろなんですが、中途半端な議論になっちゃうのは今日は仕方ないと思っているところがあって、次回、会社側のお二人に、少し現場でのまとめ方はどうなっているのかを教えていただけると有り難いなと思うんですが、よろしいですか。
【古谷委員】  はい。
【石川主査】  それと、もう少し問題点の抽出が足りないような気がするんです。ぱっと思っただけでも、例えば社会の評価を受けたときに、社会の評価がみんないいというのは大体売れないわけで、売れる場合もあるから大体としか……、そういうときに社会の評価をどう考えるかというのは非常に難しい問題で、先ほどの話じゃないけれども、みんながノーと言ったのでも売れるやつがあるわけですよね。
 それから、100人がオーケーと言ったのは誰もが考えることだから、オリジナリティーが足りないわけですよね。じゃあ、オリジナリティーの高いものはどうやって見つけ出すかというと、それはそれで、先ほどの話じゃないが、全員がノーと言ったのをわざわざやるかというと、それが大体駄目なテーマだったりするのでできなかったり、そこの評価をどうするかという問題であるとか、それから社会の受容性、社会がどう受け取るかということと研究者がどう受け取るか、要するにそこのプレーヤーがどう受け取るかというのと社会の受け取りというのはちょっと違うので、先ほどもおっしゃっていましたけれども、そこの評価をどうするか。
 それから、今、多分いろんなパターンがある。このパターンをどれだけまとめ上げて、現場の人が使いやすくするかといったときに、パターンの抽出の完全性みたいな、完全性というのはちょっと強い言葉すぎるんですけれども、網羅性の100%は無理だとしても、30%じゃ足りないだろうというので、何%かカバーするようなパターンが抽出できるかという議論は、わりと難しい議論になる。
 というのが、私が今日お聞きした中での問題点であると。皆さんもそれなりの問題点をお持ちだと思いますので、それを次回あたりまでにまとめ上げられたらなと思っております。できたら、メールか何かで事前にお送りいただければ、こちらで。
【江上委員】  短くよろしいですか、すみません。
【石川主査】  どうぞ。
【江上委員】  今日の議論を聞いていて、これは一応、科学技術に関する委員会なので、科学技術のある成果が大学に生まれ出てきたときに、比較的日本で弱い分野ですが、異分野のステークホルダー同士がどうその成果の価値や問題について対話をするか。あるいはウランドテーブル型といいますか、研究の上流から最後の川下に至るところまで、つまり研究、マーケティングからユーザーに至るところまでの、それこそ素人と言われている人たちからサイエンティフィックな会話しかできない人までが一堂に会して、科学技術の成果の価値を再確認したり、さっきおっしゃった価値の再設定をしたり、あるいはサイエンス側のビジョンと川下のビジョンを大きく融合させていくかということについての対話力を高めるためのメソドロジー、さっき言われデザインが、一つキーになるのかなという感じを持っています。
 対話=ダイアログ、ディアレクティケというのは、ギリシャ語でも哲学の意味なのです。ダイアログ=哲学をどう「みえるか」するかということでしょう。私は先端医療の分野から来ていますので、特に縦割りや専門化が顕著で、かつ横串をさした議論が最も少ない分野です。歴史のストリームとか技術のストリームとか、医療というものの守備範囲をかなり俯瞰しながら、円卓の対話によって新しい価値創出をするというところが重要であります。どういうようなアプローチがあるかについては、幾つかポイントをお出ししたいと思うんですけど、あまりにも本日の議論の幅が広いので。何か「「異分野融合のためのダイアログ」とか、何か一つ、片足はそこに掛けていればというようなものがあると、まとめに入っていったときにいいかなと思いました。何か一つ議論のキーワードというようなものを、委員長、副委員長のもとで考えていただければ有り難いなと。
【石川主査】  キーワードですか。
【江上委員】  はい。
【石川主査】  これはツール全体、あるいはデザインのプロセス全体の設計という観点からすると、キーワードはミスリーディングする可能性があるので、わりと出さずに今までここでやってきたんです。皆さんからいろんなキーワードを、皆さんが言う分には構わないんですけれども、全体でこれでやりましょうといいますと、矮小化させる可能性が非常に高いので、今は発散のプロセスで矮小化しないように頑張っている主査と主査代理がおりますので、後で全体がこれだけでもう言い切ったというときには、これをまとめる段階ではキーワードがまとまってくるというふうな、そういうプロセスを我々は想定しています。
【江上委員】  議論からどう出していくかということですね。
【工藤室長】  そうですね。あと、白坂先生もいろんな取組をされているので。
【白坂委員】  そうですね。うちは大学院自体が異分野の融合大学院をつくったので、我々の取組を次回、もし御紹介できるようでしたら。
【石川主査】  そうですね。じゃあ、この3人の方にお願いすると。
【白坂委員】  はい。我々は、まさに可視化することによって異分野と何とか対話しようとしていますので、是非それを紹介させていただきます。
【石川主査】  あと、リサーチアドミニスターの方は、現場の問題点というのをよく御存じだと思いますので、後でメールを投げかけますので、問題点をリストアップするなりに御協力いただければと思います。そこは少し発散ぎみにやった上で、まとめのプロセスに入りたいと。
【工藤室長】  あと、皆さんにお願いなんですけれども、もしこの会議の前に読んでおいたらいいような資料、URL等でも結構なので、なるべく無料、かつ、公開のものを御紹介いただければ、一度事務局のほうに集めまして、また皆さんにお示しして、それを共有しながらお進めした方が生産的だと思いますので、どうかその辺もよろしくお願いいたします。
【石川主査】  それでしたら、今日の議論はここまでとして、事務局から連絡が。
【鷲﨑専門官】  お手元の資料7に、簡単に次回以降の予定を書かせていただいてございます。4月の上旬から中旬にかけて第2回を考えてございます。また、中旬から下旬にかけて第3回ということで今考えているところでございますが、今回の進め方とか、今、主査の方から頂きました問題点等々、また事務局の方から連絡先等を御連絡させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
【石川主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、今日の作業部会は閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

 ―― 了 ―― 

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