産業連携・地域支援部会 地域科学技術施策推進委員会(第5回) 議事録

1.日時

平成24年7月25日(水曜日)14時~16時

2.場所

文部科学省東館16F特別会議室 東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 地域科学技術施策の課題と展望
  2. 地域科学技術施策推進委員会の当面の予定
  3. その他

4.議事録

1.地域科学技術施策の課題と展望について

(1)独立行政法人科学技術振興機構 齊藤部長から資料1に基づき説明

(2)今後の地域における科学技術イノベーションの推進について(中間とりまとめ案)について資料2に基づき意見交換

(3)最終取りまとめに向けて必要な検討項目について資料3に基づき意見交換

2.地域科学技術施策推進委員会の当面の予定について事務局から資料5に基づき説明

 

その他、主な意見概要は以下のとおり。

 

【近藤主査代理】 コーディネータを確保すると同時に、次につなげる仕組み、システマティックに育成する仕組みを考えていただくといいのではないか。

【中武委員】 コーディネータは所属する母体によって行動の規範が変わってくるので、大学、自治体だけではなく、JSTのような中立的な立場のコーディネータが非常に重要。

【清水委員】 JSTプラザは、大学も含めて、どのように地域科学技術のシステムを構築し、地域の企業に成果を還元するのか、極めて真面目に議論できる唯一の場であり、大きな力を発揮した。

【清水委員】 イノベーションを起こすためには、企業側を説得しなければいけないので、コーディネータが研究者の代弁者になり、意志決定をする幹部などを説得するような能力が必要ではないか。

【清水委員】 企業のニーズに対応するだけではなく、最初から高いレベルを確保し、大規模な資金を確保していく仕組みや、今までの成果の蓄積をもう一段階、上げていくようなコーディネータの役割が必要ではないか。

【齊藤部長】 コーディネータは地域の枠を超えてグローバルな連携を図り、オールジャパンで頑張るような体制づくりが重要。

【井上委員】 大企業等に幅広く産学官連携に関する支援策を活用していただくため、知的財産の取り扱いなどの産学連携の仕組みが、昔より柔軟になったことしっかり周知をするほか、コーディネータの方々を、企業のOBから優先的に採用するなど、細かい工夫が必要ではないか。

【大津留委員】 日本においては産学連携に慣れた企業は非常に少なく、企業側のメンタリティを含めて、育成することが必要。産学官連携に慣れた連携力を持った企業を増やせばオールジャパンでつながり、バリューチェーンも太くなる。

【大津留委員】 日本では、個々の企業や行政は横断力が弱いので、価値が複合的になる業際的・学際的な部分についてコーディネータが取り組むべき。

【有信主査】 これまでJSTが行った事業の成果や地域への波及効果を見逃さないようにしてほしい。また、文部科学省は各地域に拠点がないため、全国的な展開をする際に、不都合な部分もあり、今後何か検討する余地があるのではないか。

【岩渕委員】 大学の先生のシーズを活用し、シーズオリエンテッドで進めると、体制を変えようと言える人がいなくなってしまい、5年間の事業終了時に事業化したものが何も出てこない。そのため、入口をうまくマッチングする人と、ケアをしていく人を分けて考え、大学の先生に対しては、弱い企業の代弁者として意見を言えるような仕組みをつくる必要がある。

【岩渕委員】 大学の先生のシーズオリエンテッドのプログラムについても、地域のニーズを大学に入れてシーズをうまく活用し、新しい分野を開発するという方向もある。更に総合的に、シーズオリエンテッド、ニーズオリエンテッドのめりはりをもう少し付けることなどが必要。

【有信主査】 いわゆるニーズオリエンテッドで地域イノベーション創出を考える際にも、必ずしも合致するかは分からないが、様々な知識を結集してやっていくことが重要。コーディネータの役割を、取組の過程の中で修正しながら育てていくことも必要。

【野長瀬委員】 マッチングなどの初期の弱い連結の部分、取引コストを下げるような契約行為を支援する強い連結の部分、その後起きてきたイノベーションを増幅する部分の三つが、イノベーションを創出するエンジンの構成要素である。国として、JSTのようなしっかりした組織が毛細血管のようなネットワークを維持し、イノベーションを創出する構成要素に永続性を持たせる必要がある。

【野長瀬委員】 ニュートラルなコーディネートは、色々な多分立場の方がいるため、標準化が難しいが、大学の情報がしっかり流れる毛細血管のようなものを国が最低限保障することが必要。

【大津留委員】 アメリカなどが強化しているエコシステムとして、優秀な大企業は支配型のガバナンスではなく、キーストーン型のエコシステムをつくっている。地域科学技術においても、大学の機軸、研究機関の機軸など色々あるが、JSTなどをキーストーンとしてエコシステムがあるとよい。

【井上委員】 人材育成について、各地域のクラスターの分野に応じて、どのような人材が要請されるべきかを定義し、それに合致した人材育成のプログラムを持つべき。

【福士委員】 幅広い地域の方々への情報の発信として考えるならば、科学技術の分野において、用語の使われ方や意味の付加のされ方が違うので、言い換えや用語説明が必要。一般の方が覚えやすい新しい概念を打ち出すようなキーワードになる用語も重要。

【髙橋(真)委員】 各地域で産学連携・地域振興施策による蓄積を再定義することが必要。コーディネータについても、仕事や機能をもう少し具体的に定義を細分化する観点があってもよいのではないか。既存の施策でどこができていて、どこがまだ足りないのかを明らかにすることが必要。

【高橋(一)委員】 地域の金融機関を集めて、地域の金融機関が果たすべき役割を明言していただく場を設定し、大学の取組やJSTの取組などがもう少し伝わると、金融機関が地域に持っているネットワークを活用していく可能性が少し広がり、出合ったことのない企業と大学が連携する余地がある。

【清水委員】 金融機関に期待をかける点をしっかり定義した方がよい。すぐれた取組を行っている金融機関の方に集まっていただき、金融機関のコーディネータがリスクを取ってどういう役割を果たすべきか、モデルがあるとよいのではないか。

【清水委員】 総合商社は大きな資金運用力を持っており、目利きを行い、リスクを取って、思い切った投資を行うため、地域も含めて研究機関や大学との関係を上手く構築できるかもしれない。

【大津留委員】 サイズ、ステージ、シーズの担保がきちんとあると、ベンチャーもでき、問題が解決したときに、金融機関は事業プロモーターを巻き込んで支援が始まる。地銀、都銀の国際ファンドも魅力的なので、そういった好機をつくることが必要。

【有信主査】 社会全体に資金の出口がなく、リスクを覚悟して投資をする方向に動いていかないと、銀行も成り立っていかないので、更にうまく活用できるようにすべき。

【福嶋委員】 各参画機関の役割だけではなく、全体としてどういったダイナミズムで動いていくのか、コーディネータやプロジェクトマネージャーがダイナミズムの源泉になるのであれば、中間とりまとめ案に反映すべきではないか。

【近藤主査代理】 本当の意図した政策デザインを評価するために、参画機関、参加企業、研究会などのネットワークが今も継続的に続いているのかどうかなどの、ある程度定量的なところは調査したほうがいいのではないか。また、個々のプロジェクトと全体をまとめて、分散や平均値が分かるとこれからの政策デザインにうまく応用できるのではないか。

【近藤主査代理】 システムの効果を図る評価指標を、最初の政策を企画立案するときの評価指標からつくっていかなければならないため、立案段階の評価はしっかりつくるべき。

【有信主査】 人材育成を評価する際にデータの取り方が大変難しいということを聞いている。調査を依頼するときに、分野と事業と絡めて、ある程度の基本的な設計や指標を決めておかないと、調査するデータの意味がなくなってしまう。

【井上委員】 これまでのプログラムから出ている特許について、一般に大学などから出ている特許と海外からの引用数などを比べて、どの程度質的に有意性があるのかなどを見ると非常に面白い比較ができるのではないか。

【川島委員】 地域科学技術政策で追跡評価をする際、データがそろっていないのが一番の問題。定性的な分析、例えば、人の名前、機関、所属、具体的な論文などをリスト化し、今後政策を打つ場合に、どういったアウトプットの情報を入手しておくことが必要かを、振り返りの一つのポイントとしていただきたい。

【野長瀬委員】 リージョナルイノベーションシステムについて、厳密に定義するより、幅広く定義した方が政策的な余地が大きいと感じる。

【野長瀬委員】 ナショナルミニマムの観点で各地域での施策を考える場合、信用金庫や地銀は非常に重要であり、ナショナルイノベーションシステムとしてグローバルに通じるクラスターを育てるときとはスキームが違う。

【大津留委員】 インターナショナルではなくて、日本中の都市から海外の都市というようなインターリージョナルに取り組んでいく案件が幾つか出せるとよい。その取組が形態や規模感で変わり、国がどういう形でサポートしていけるか課題設定することが求められる。

-了-

 

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