産業連携・地域支援部会 地域科学技術施策推進委員会(第2回) 議事録

1.日時

平成24年4月12日(木曜日)14時~16時

2.場所

文部科学省東館3階 3F2特別会議室

3.議題

  1. 地域科学技術施策の課題と展望
  2. その他

4.議事録

1.地域科学技術施策の課題と展望について

(1)小泉 公益財団法人長野県テクノ財団専務理事、三浦 信州大学理事・副学長から資料1に基づき説明

(2)東京大学教授 松原委員から資料2に基づき説明

(3)福岡先端LSI開発クラスター事業総括 大津留委員から資料3-1、3-2に基づき説明

(4)地域科学技術施策推進委員会における論点事項について、資料4に基づき意見交換

2.地域科学技術施策推進委員会の当面の予定について、事務局から資料5に基づき説明

その他、主な意見概要は以下のとおり。

【小泉専務理事】 5年先、10年先の産業を牽引していく研究開発については、科学技術の要素が強く、広い視点がないと対応できないので、地域間の連携はもちろんのこと、国際的な視野のもとに、情報収集活動や事業の展開が必要。

【三浦信州大学理事・副学長】 国際連携を行う際には、継続的な活動を通じて、クラスター間の人的ネットワークを構築・維持し、地域のクラスターでの取組を認識してもらう必要がある。国際見本市への出展などの取組も重要。

【近藤主査代理】 ISOのなどの国際標準に、地域の技術を組み込んで提案することができれば、ビジネスの価値が国際的に上がり、ビジネスがやりやすくなるのではないか。

【小泉専務理事】 クラスターに参画しているメンバーは中小企業が多いので、アフターケアの体制、人的、資金的な負担が今後の課題。

【三浦信州大学理事・副学長】 研究者とのプロジェクトごとに産学連携がクローズドに進むと、中小企業が成果を水平展開できない。例えば、企業がコンソーシアムを組むなど、これまでの取組の成果、今後の取組方法、個々のノウハウ・技術を生かす仕組みが必要。

【受田委員】 各地域において、地域イノベーションの実現、国際的展開を進めていく上で、人のつながりの構築、コアになる人材の育成は重要。

【三浦信州大学理事・副学長】 国際標準の議論に加わるためには、主要な大学に留学する研究者を増やすなど色々な基盤づくりをしながら、対等に話ができる環境をつくっていくことが必要。そのためには、戦略的に若い人を育て、新しい人脈をより強固にしていくプロジェクトが必要。

【高橋(真)委員】 国際的連携のプロセスにおいて、現地の事情と日本の状況を理解しているキーパーソンが、連携先にいることは強みである。

【松原委員】 地域イノベーション政策をどう評価するか。ネットワーク分析による可視化、地域実態分析の両方をミックスして行っていくことが重要。切り口としては知識フローが考えられ、業種、集積地域のタイプなどを考慮しながら評価をしていくべき。

【松原委員】 共同研究開発において、100キロメートル未満の割合は5割超である。その中でも、公設試験研究機関同士の共同研究は非常に近い関係の比率が高くなっている。一方で大学同士の共同研究は500キロメートル以上の比較的距離のある関係の比率が高くなっている。

【松原委員】 ライフサイエンス、情報などの大学の知識を中心としたような分野は比較的距離があっても共同研究している事例が多い。逆に製造技術のようなものづくり系の分野は、比較的近い距離で共同研究している事例が多い。

【松原委員】 産学共同研究実績について、分野ごとに連携相手の所在地や連携相手組織の関係を分析したときに、地域に密着した中小企業と強力に産学連携を行っている地域や分野との関係を分析していくことも非常に重要な研究。

【松原委員】 知的クラスターのような政策での成果と、実態の特許の件数、資金の獲得などの産学連携の成果は、乖離があると考えていく必要がある。

【松原委員】 政令市と県、どちらが知的クラスターの中心になるか空間構造形成では違ってくる。国際的な戦略をどう構築していくかは、空間構造をしっかりと把握していく必要がある。

【松原委員】 Knowledge hubsを日本でどのように高度化させ、評価し、打ち出していくかが重要。グローバルな競争での広域経済圏との関係が重要。

【松原委員】 今後テーマを選別していくときに、産業分野のトレンドを見極め、グローバルな競争の中でしっかりターゲット、プロジェクトを定めることが必要。先端分野の動向は変動が激しく、サイクルも非常に短くなってきているので、そこを中長期的に見るのはなかなか難しいが、しっかりと見ていく必要がある。

【野長瀬委員】  県内に複数の力がある地域を有する県と、政令市のウエイトが都道府県の中で圧倒的に多い地域の違いもある。

【福嶋委員】 クラスターの境界を適切に設定しないと、なかなか効果が出ず、分散した結果を導いてしまうため、これから議論が必要。

【福嶋委員】 産業ごとにネットワーク形成の仕方が違うため、どういう産業、分野を選んだかによって政策評価の仕方が全く違う。

【松原委員】  ネットワーク進化過程をどうやって可視化できるか、インフォーマルなネットワーク、知的クラスター、産業クラスターのようなフォーマルなネットワークがどう関係しているのかも見ていく必要がある。

【大津留委員】  地域のビジョンが明確に示されて、政策面、実行面でぶれないことが重要。

【大津留委員】グローバルにベンチマーキングを行い、戦略的な研究開発を行う必要がある。

【大津留委員】 ガバナンスの縦割りの構造問題に関連して、人や知識のネットワークを含めて地域イノベーションの国レベルのプラットホームについて、議論をいただきたい。

【大津留委員】 特許申請までを権利化するところで予算が使えれば、特許などの研究開発成果がプールできるので、事業化を推進することができる。

【大津留委員】 プラットホームからエコシステムをつくり、需要を見据え、業際イノベーションを創出し、次の市場にとにかく仕掛ける。これをオールジャパンでやることが重要。

【大津留委員】 研究開発組織、産学連携組織、行政組織など各主体において、とにかく教育が重要。特に若手を見つけて、専門家を増やせればよい。

【大津留委員】 学から民への流れの中で、試作段階に終わることが多い。税収を使って、研究資金などをインプットしているので、しっかりリターンを企業からいただき、還流させる必要があることを企業に訴えたい。

【大津留委員】 基礎研究から事業化までのステージについて認識を共有化し、しっかりコーディネートしたい。プラットホームからイノベーションエコシステムをつくり、政策的にどうリターンをするかが次の重要な課題。

【大津留委員】 人材育成の課題としては、若手研究者、研究代表の意識改革などがあるが、中小企業のほか、事業プロデューサー、リサーチアドミニストレーターのような専門職などの次世代の人材をしっかり育成し、キープレーヤーのネットワークを構築することが必要。

【大津留委員】 世界の研究機関のようにスペシャリスト、マーケティングのグローバル人材を引っ張り込まないと事業化しない。世界の研究機関はそのようにグローバルに展開できる機能を有し、意志決定している。

【大津留委員】 アメリカのように異なる分野で創造的な地域が偏在して、それぞれがドライブし、直接世界と交流することが日本でもできると思っている。日本は勝てる構造を多く持っているので、中央でしっかり取り組むこと、地域がドライブすることがより整理されると国力につながる。シーズの魅力度が地域性を決めてくると思っている。

【有信主査】 一極集中ではなく、地域の特性が生きる方向でベクトルが動かさないといけない。いかに効果的に研究者や産業をそれぞれの特性のある地域に集中させるかが重要。

【有信主査】 市場全体の中で、将来市場を見て、新需要をねらうポジショニングにこだわる視点は重要。

―以上―

 

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