産業連携・地域支援部会 産学官連携推進委員会(第13回) 議事録

1.日時

平成24年9月13日(木曜日)13時~14時45分

2.場所

文部科学省 東館 16F特別会議室

3.議題

  1. イノベーション創出能力の強化
  2. 産学官連携システムの見える化

4.議事録

 【柘植主査】  時間が参りましたので、産学官連携推進委員会の第13回を開催いたします。

 本日は、イノベーション創出能力の強化と産学官連携システムの見える化、この2つが主議題でございます。

 まず初めに、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【石田室長補佐】  それでは、お手元の議事次第に沿って簡単に配付資料の確認をさせていただきます。配付資料一覧としては、議事次第の真ん中あたりにございます。

 まず資料の1でございます。イノベーション・エコシステムの確立に向けて早急に措置すべき施策という資料でございます。

 資料2でございます。右方にタイトルがあります、「基本戦略」に挙げられた施策と現状という資料でございます。1枚物でございます。

 続きまして資料3でございます。イノベーション・エコシステムの確立に向けて早急に措置すべき施策。A4判、ホチキスどめ資料となっております。

 資料4でございます。産学官連携推進委員会の予定、1枚物の資料となっております。

 配付資料は以上でございまして、委員のお手元には、その他、机上配付参考資料として、紙のファイルにとじた資料を用意させていただいているところでございます。落丁等がございましたらお申しつけいただきたいと思います。ご確認方、よろしくお願いいたします。

【柘植主査】  ありがとうございます。

 それでは、本日の第1の議題のイノベーション創出能力の強化についてに入りたいと思います。

 前回の委員会でも、中間取りまとめ案につきまして活発なご議論をいただきまして、その後メール上でも各委員からのご意見をいただきまして、それも踏まえまして修正したものが、お手元のイノベーション・エコシステムの確立に向けて早急に措置すべき施策。副題として、イノベーション創出能力の強化に向けて。これを本日取りまとめてしまいたい、今日で脱稿してしまいたいということでございます。

 それでは資料1。事務局から、特に前回からブラッシュアップしたところを中心にご説明願いますでしょうか。

【工藤室長】  失礼いたしました。それでは説明させていただきます。

 その説明の前に、まず概算要求の状況を簡単にご紹介させていただこうと思います。

 お手元のこの報告書の最後のほうに幾つかポンチ絵をつけさせていただいております。この委員会で議論していただきましたセンター・オブ・イノベーションの創出に係る、特に大規模研究開発拠点の整備、それから大学におけるシーズ・ニーズの創出強化の取り組みについて。さらにその次のページに行きますと、これからの産学官連携コーディネーター育成について。これらもろもろを、ひとつ大きなCOI、センター・オブ・イノベーション構想として約110億円の要求をさせていただいております。特に大学におけるシーズ・ニーズ取り組みの強化についてと、あとコーディネーターの育成については、合わせて約20億弱という形で概算要求を提出させていただいております。ここまでに至るまでのご議論、それから応援をいただいたことをまことに感謝申し上げます。

 続きまして、資料についての前回からの主な変更点についてご紹介いたします。まず最初のページの1のセンター・オブ・イノベーションの構築につきましては、この中で、従前、IMECやMINATECなどの海外拠点の名前が掲げられていたところですが、これは若干もう情報として古いというご指摘もいただきましたので、こちらのほうは削除させていただいております。

 続きまして、大きな変更点として2ページ目、(2)大学等におけるシーズ・ニーズ創出強化の取り組みにつきましては、まずここの中に、今まで専門家会合という形でこのシーズ・ニーズ取り組み、創出強化のための委員会名を置いていたんですが、これが(1)の産学連携研究開発拠点との関連において、シーズ・ニーズ創出強化の取り組みの出口を意識して各種の研究プログラムにつなげていくというような考え方から、この観点ではむしろ省内の議論も踏まえると、協議会というような形のほうがふさわしいかというお話もございまして、今回、そこを協議会という形に直させていただいております。

 また、(2)の大学等におけるシーズ・ニーズ創出強化の取り組みにつきましては、こちらの(1)の大規模研究開発拠点との関連において、広い知見を有するプロデューサーを配置する。それから、コーディネーターをチームとして、これ一体になるものでございますけれども、こういう点を中心に加筆させていただいております。

 次の大きな四角2の、産学官連携を担う人材の育成の、特に(1)シーズ・ニーズ創出をコーディネートする人材の育成につきましては、これまで、今年の委託事業でございます産学官連携コーディネーターの活動、スキル、資質のこの成果を踏まえまして、確たる専門分野を持って異分野にも対応できるコーディネーターが求められる点、それからコーディネーターがまさに、繰り返しになりますけれども、チーム編成することも想定する点を中心に加筆しております。

 続きまして、(3)産学官連携活動と教育の重要性につきましては、前回の審議内容を踏まえまして、新たに書きおろしてございます。

 その次、5ページ目の4ポツ、今後の産学官連携の検討課題の(1)産学官連携システムの見える化の中に、各参加者が生み出す新たな価値のフローとインターフェースに着目するという点を加筆させていただいております。

 次の最後のページに(4)社会的課題への対応につきましては、ここにいろいろご議論いただいた形で、人材の育成に関する記載、特に、同時に社会的課題解決のための分野間連携を支える人材の育成の必要という点を踏まえまして、この辺を加筆させていただいております。

 私からは以上でございます。

【柘植主査】  ありがとうございます。かなり、各委員からその後のメール上でのコメントも含めて盛り込んでいただいたと思います。

 今日は、いろいろご指摘があろうかもしれませんけれども、これで脱稿したいと思います。そういうことを含めて、今後の修文というだけじゃなくて、今後これを実行していく上でのご意見とかですね、こういうのはぜひいただきたいと思います。

 いかがなものでしょうか。どうぞ、藤本委員。

【藤本委員】  すいません。お送りいただいたときにちゃんとコメントできていないのに今コメントを申し上げるのは恐縮なんですけれども、4ページの(3)の育成される側の大学院生についてなんですけれども、東京、この首都圏の院生さんですと、このコースに挑戦してだめだった場合うまくブレーク、その分野でうまく育っていかなかった後も、何らかのそれだけのそのステップのあたりまで行っておられる方だと、いわば、ほかの分野へのだめだったときの代替案というのがキャリアパスとして選択肢があろうかと思うんですけれども、地方になりますと、なかなかその後のキャリアパスが不明で、怖くて行けないというようなこともいろいろ聞きますので。

 例えば、理系の先生方がよくフランスとダブルディグリーでやっておられるようなところでも、グランゼコールを目指してだめだった翼を焼かれた少年たちの途中までの能力の評価によって幾つかのキャリアパスの潰しがきくというような状況がいろいろ考えられていると思うんですけれども。育てる側の大人の思いはものすごく大きいんだけれども、育てられる側の人たちが、ポスドク1万人計画の後、専任職がなくて何度も何度もポスドクになって40を迎えるというような人たちを見ている若い人たちは、やっぱりこの分野にこういう機会に挑戦してほんとうに大丈夫なのかという怖さを感じているという話もいろいろインタビューで聞きます。首都圏だとそれでも大丈夫と思うんですけれども、それ以外の分野でも地域でも優秀な方はたくさんいて、かえって自己評価が低いぐらいで、もっとチャレンジしたらいいのに、いやいや自分なんかと言うような人たちも、次のキャリアパスが見えないと、親が堅実なことを勧めたりするので、そのキャリアパスがだめだったときのキャリアパスという選択肢が幾つかというものがある程度示されないと、結局首都圏に集まっている優秀な人たちという、その小さなパイの中から、もちろんたくさんいらっしゃるので全然それで問題ないのかもしれないんですけれども、全国からそういうことを吸い上げようと思うと、地方に関してはキャリアパスがどういう、だめだったときのということが見えないと、ちょっと能力があっても挑戦しない若い人が出てくるのではないかというふうに考えます。

【柘植主査】  ちょっと質問。ご意見の背景の質問。この資料で言うと、4ページのどの部分のまず記述とリンクされ……。

【藤本委員】  そういう育成が大事だということが書かれているんですけれども、この間の慶応大学のすばらしい、いろんな学生に機会を与えるというようなプログラムがあって、首都圏だとそこへ行って、そういうふうにセレクトされてチャレンジした人はこうなんだというのがすごくいい刺激もあってよかったと思うんですが、例えば、マネジメントのテクノロジーとかの分野の人でも、その分野に行ったんだけれども結局次の仕事がなくて、そこにチャレンジしたものの就職がというようなことがあったりすると思うので、この分野に挑戦しても、みんな物になる人ばっかりでもないと思うので、何かキャリアパスに対する言及がないと、どんどん若い人を呼び込んで後がないというような状況が起こると怖いんじゃないかなと思ったんです。

【柘植主査】  ちょっと今、藤本委員がおっしゃったことを私なりにご心配を解釈して言いますと、4ページの(3)番の産学官連携活動と教育の重要性のところですね。

【藤本委員】  はい。

【柘植主査】  ここのところで特に2パラに、一方で、大学・大学院教育においてとこういうことで、産学官協働による実践的人材育成がますます重要視されていくっていうことがここに書いてあって。

 今、藤本委員がおっしゃったのは、このことに関して強いて私なりに理解すると、大学院生なのか、あるいは学生をこの産学連携推進本部の中で実際に使ってあたかもコーディネーターのコースなりに育てていくことに対してのリスクのことを言われたように理解したんですけれども。これ自身は、もちろんその人、そういうキャリアパスもあり得るかもしれませんけれども、むしろもう社会に出たときには、産学連携推進本部とさまざまな参画を大学院生等がすると思うんですけれども、それとは、本人の次の就職先というかキャリアパスとはあまり結びつけることがない事例のほうが多いんじゃないかと。

 そういう、いわゆる1つの事例として、大学院なりにコースにいる間に、自分の専門プラス社会に役に立つ技術というのはこういうことなのかなというのを先生の背中を見ながら、あるいはちょっと一緒についてそういう経験をするだけで、キャリアまで縛るようなリスクの話というのはかなり例外的じゃないかと思って、今、藤本委員がおっしゃった心配が、今、そういう理解のことでご心配になられたのかなと思って質問になっちゃうんですけども。

【藤本委員】  いや、この間のリーディングのプレゼンテーションを拝聴しまして、そういうものとのリンクとかを想定されて、どちらかというと望ましいケースとして考えておられるのかなと思いましたので。あちらなんかのイメージですとそんな感じで、そういう院生がこういうところで連携をどんどんかかわるのかなというが、企業にとって魅力的に育ってくれればうまくいくと思うんですけれども、いわゆるアカデミックな価値観のところにも行けず、でも、企業のところでも一緒にやろうというような感じに育ち切れないんでというような状況が起こるとちょっと大丈夫かなと思ったんですけれども。リーディングのああいう感じとの連携だけをイメージではないということであれば、院生の間に少しでも基礎研究意識よりは、応用のほうの直接社会貢献になる意識に転換させるというほうがどちらかというとウエートが大きいということであれば問題ないと思います。

【柘植主査】  私はそう理解しているんですけれども、2つ、先回のあれは京都大学でしたっけ。

【藤本委員】  慶応の。

【柘植主査】  慶応。

【藤本委員】  はい。

【柘植主査】  慶応の教育コンソーシアムということで。ですからあれは、あの範囲はあれで、私は非常に教育効果としてあるなと。問題は、次に研究コンソーシアムというものに自然進化的に行くんだろうかってあって、逆に今、行かないんじゃないかというと、藤本委員のおっしゃった危惧は逆にいいも悪いもない。

 ここで言われている話は、やはりさっき私が言いましたように、大学院の自分の専門の分野の勉強、研究もしながら、こういう産業界との協働の中に、程度のレベルの差はあれ、触れることによっていずれ社会にほとんどの人が出ていくわけですので、その社会の課題に解決、取り組み方が1つの事例として体験をしたということの場がほとんどだと思うんですね。

 ですから、その人、彼女、彼のキャリアを縛る話というのはあるかもしれませんけど、そんなに心配する必要はないんじゃないかと思うんですけど。いや、ほかの委員の方々、どうでしょうか。

【藤本委員】  もしそれであれば、もう全然問題ないと思うんですけれども、あともう1つ……。

【柘植主査】  ちょっと、今の点だけすみません。前田委員。

【前田委員】  前回私も、知財本部とかで人材育成が非常に役に立ちますよというお話をしたと思うんですけれども、医科歯科のときは、そのまま知財本部に入られた方もいますし、もちろん資生堂やロジッサの研究者になられた人もいますので、今、柘植先生がおっしゃったように、社会を見た上で研究をどう展開するかという視野を広げるという意味で非常に勉強になると思いますので、私的にはこの書きぶりでいいのかなというふうに思いました。

【常本委員】  ちょっとすいません、私もいいですか。

【柘植主査】  どうぞ。

【常本委員】  私、地方大学を経験していて、ドクター育成の中で、今、藤本先生がおっしゃったような格好の問題が全くないわけじゃないですけれども、かなりやはり企業と共同研究をするような格好で育成しなきゃいけないというムードがどこの大学も持っていて、同じようなものをもう一歩進めるという格好ではこんな形でいいんじゃないかなという気がします。

 私、北見工業大学、信州大学、それからスーパー連携大学院というのはまさにそういう学校で、地方大学が連携してこういうものをやってみようということで取り組んでいますので、東京じゃなきゃだめだということはなくて、地方でもやらなきゃいけないしやれると思うんです。

【藤本委員】  もう1つ勝手な心配をしているのは、ポスドク1万人計画のときに、おそらく、大学とか政府系の研究機関に入れなかった子たちも、企業がもっと引き受けてくれると思ってあの計画はつくられたんじゃないかと思うんですけれども、実際は企業がポスドクやドクターコースの子を採るというのは20%、研究機関、研究所ですとその程度ですし、この産学連携に名乗りを上げてくれて、そこで共同研究した院生を積極的に雇用したいという企業が、ちゃんと経済界と、霞が関と大学があるいはそういう思いで思っていても、企業のほうがどういうつもりでいるんだろうというところが、あの1万人計画のときも、おそらくもっと企業にとって魅力的なポスドクが雇用されるということも期待されていたんではないかと。

 でも実際には企業にとっては、あまりそこまで雇用が増えなかったという経緯がありましたので、今回のことも、受け入れてくれる企業が、どれぐらい大学と院生との共同研究で一緒に育てた人たちを雇用したいという意欲を持っているかというのを、ここだけでなかなか企業さんも入ってもらうというのがそんなにたくさん難しいとは思うんですけれども、何か産業界との思いとのリンクがちょっとすごく気になりました。

【柘植主査】  後で永里さん、ちょっと意見を伺いたいんですけども、産業界からの思いと遊離していないかと。

 私も産業経験者でありまして、かつ、家庭ドクターをとって産業でやってきた立場から言うと、まずこの4ページの(3)番のところには、まずポストドクターの話は全然出てきていない。

 逆にこれは意見が分かれるかもしれませんが、私はここはポストドクターは要らないと。つまり、ポストドクターの修業は、もちろん学術の最先端の道を歩む人にとってみたら非常に貴重な試練の場であることはよく産業人としてもわかるんですけども、大学院を出て修士課程にせよ博士課程にしても、産業で活躍していくリーダーを育てようというときには、産業経験者の意見としてはポストドクターのコースは不要である。かえってマイナスが多いと。その人のキャリアデザイン上。

 ですから、ここはあくまでも大学とか大学院教育においてということですので、そういうことが書かれ込んでいるので、私は産業人の経験者から見てもいいかなと思っているんですけれども、永里さん、何か。

【永里委員】  産業界は、従来とは違って大学院生、特に博士課程の高級人材を今必要とする時代に来ているんですね。もう皆さんご存じですけど、企業で昔は育てていたんですけれど、最近はそうではなくて、やっぱり非常に高度なタレント性を持った大学院生からイノベーションが出てくるというふうにイギリスあたりでも考えていますし、日本もそういうふうに、今ここでイノベーションのためのそういうのを考えているわけですけれど、そういう意味では、この文章はこの書き方でいいんですけど、問題は実際に、これは私の意見ですが、博士課程の人材教育のカリキュラムとか何とかそこを充実させるほうが重要。それは産業界のニーズが入った形にやればいいのであって。

 今後は、そこを加速するようなカリキュラムをつくるとか、産業界の意見を入れるとかいうことに傾斜していけばいいし、予算もその方向でいっているんだろうと思うんです。

【柘植主査】  よろしいでしょうか。

【藤本委員】  はい。

【柘植主査】  今の永里さんの、博士課程教育への話は前回の教育クラスターコンソーシアムの話も出て、高等教育局のほうは、いろんなリーディング大学院を含めてやってくれているので、そっちのほうに対して確かに我々からも要求していくことはあると思うんですけれども、この文書としては特にこれでよろしいでしょうか。

【藤本委員】  はい。

【柘植主査】  そうですか。ありがとうございます。

 ほかにぜひともというのがもしありましたらと思うんですけども、これで脱稿させていただいてよろしいでしょうか。渡部委員、何か発したいような。

【渡部委員】  いや、ちょっと今の話で、この文書はそのままで結構なんですけど、教育の場合、基本的に企業の方が参画するのはそれでよしだと言うほど実はそんなに簡単ではないよということもありますので。基本的に教育というのは未来のニーズに応えないといけないので、今のニーズで設計して必ずしも合っているということにはならないことがあります。

 今まで見ていますと、そういうことで、結果的に実は少し将来のニーズに対した教育にならなかったみたいなことも多少ありましたので、実際こういうのを運用していくときには、そういうことはやっぱり考慮するほうがいいんじゃないかなって、ちょっとそういうことを思ったのが顔に出ました。

【柘植主査】  ありがとうございます。

 どうぞ、井口委員どうぞ。

【井口委員】  ただいま、地域という話も出たんですけれども、文科省の地域再生人材育成拠点の形成というプログラムは、残念ながらもう終わりかけているんですけれども、五十幾つかのユニットがあって、そこは非常に各地域において多種多様なんですけれども、現役のマスターとかドクターの学生、そして社会人の学生とか、そういう方とのカリキュラムがかなり出て。そして、企業、官、それからもちろん大学の講師の方でやられておりまして。

 さっき、その後の問題と出ておりまして、今、最初からスタートしたプログラムが事後評価というので係ってきておりまして、終わった20年、23年とずっと終わってきて、その事後評価を見るとヒアリングもやっておりますので、かなり確かに心配なことはありますけれども、それなりのキャリア的なのを生かしながら、大学あるいは官とか産業界に、地域は地域なりにも職を見つけたりしているというようなことがありますので、ほんとうはああいう事業が再開してほしいなというのが思いでございます。

 以上です。

【柘植主査】  ありがとうございます。

 それでは、この資料1の今までブラッシュアップしてきたもの、この資料1の中については特に修正なしで中間まとめとしてさせていただき……。

【永里委員】  先生、30秒だけいいですか。

【柘植主査】  どうぞ。

【永里委員】  単なる質問なんですけれども、だめ押しというか要するに確認の質問なんですけれど、3ページの上のほうに、具体的に大学等において、3行目、4行目ですけど、何々何々の協議会、以下「協議会」といってこう書いてありまして。これ、至るところに協議会というのがあるから、それと区別するために、ここの場合の協議会については何々に対する協議会(仮称)とぐらいにむしろ書いていないのは、いろいろとこのほうが便利であるというような意味なのかどうか。要するに、ちょっとその辺の本音を教えてほしい。私、これをいけないと言っているんじゃないの。そうじゃなくて、こういう書き方が物議を起こさないのかなという意味で、こういう書き方をしてあるんでしょうか。

【工藤室長】  極めて便宜上の書き方で、本来、何か名前を課すのが確かに特定するのには非常に簡便なんですけれども、ほかにこれ以外の協議会というのは特段ない。この文書上出てこないので、そういうことを勘案すると、もう特に名称を課す必要もないのかなという理解で書いています。もしここがわかりづらいというご指摘であれば、またちょっとした冠を課すことはあるので、そこは問題が……。

【永里委員】  いや、そういう意味じゃないです。ただ、その辺のことを聞きたかっただけです。

【工藤室長】  すいません。

【柘植主査】  よろしいでしょうか。

【永里委員】  はい。

【柘植主査】  それでは、この中間まとめ資料1のままで中間まとめとして決定したいと思います。この中間まとめは、10月9日に、我々の委員会の親委員会であります産学連携・地域支援部会で報告させていただきます。

 それでは、次の議題に移りたいと思います。産学官連携システムの見える化でございます。これにつきましては、先ほどの資料の1におきまして、今後の課題でございますかね。5ページの大きな枠の中の4の今後の検討課題の1つとして挙げられております。

 まずは、平成22年、我々の委員会の前の期の委員会にて取りまとめられました基本戦略で挙げられている施策と現状について事務局から説明いただいて、その後、私のほうからこの見える化について提案をさせていただきたいと思います。

 まず、事務局のほうお願いいたします。

【鷲﨑専門官】  それではご説明させていただきます。お手元の資料の資料2をごらんいただけますでしょうか。

 まず、こちらの資料の見方でございますけれども、右側にございますグレーのブロックが、現在あるいは未来に行う予定も含めた事業をあらわしてございます。左側の四角及び右下の赤文字が入っている矢印のような四角でございますが、こちらが先ほど主査のほうが申し上げてくださいました基本戦略の文章からそのまま転記したものでございます。こちらの資料でございますが、その2年前の基本戦略で示された必要となる施策に、現状の施策がどのように対応しているのかという点をご説明する資料でございまして、見える化の一助とさせていただきたいと考えてございます。

 まず、左の表でございますけれども、青、黄色、赤と色分けしてございまして、ブルーのところが対応した施策が現在あると考えられているところでございます。黄色につきましては一部対応しているものがございまして、赤については今後まだ検討が必要であると考えられるものでございます。

 まず、黄色の一番上のところでございます。国は、大学等やTLO等の産学官連携システムの最適化に向けた改革を検討し、結論を得るというところでございまして、こちら丸2というふうに右に書いてございますけれども、右のグレーのブロックをごらんいただきまして、産学連携機能評価というところに対応づけさせていただいてございます。こちらは経済産業省と連携させていただきまして、産学官の機能がどのように評価できるかというところで指標づくりということで、今活動させていただいてございます。黄色にさせていただいている理由でございますけれども、結論を得るというところまでは至っておりませんので、黄色という形で書かせていただいてございます。

 上から2つ目の黄色の点でございます。こちらも、ネットワークの構築を支援というところでございますけれども、当初、基本戦略のほうで挙げられてございました形とはちょっと別の形ではございますけれども、自立化支援プログラムでございますとか、地域イノベのほうで一部対応するところがございますので黄色で書かせてございます。

 続きまして赤でございますけれども、こちらは出口イメージを共有した実りある共同研究の推進に向けて、共同研究のあり方について調査・検討を実施とございます。具体的には、共同研究における費用負担でありますとか間接経費のあり方について調査・検討を実施するという点が基本戦略の中に書かれてございまして、こちらについてはまだ今後検討の必要があるというところでございます。

 次の青は飛ばさせていただきまして、上から3つ目の黄色の点でございます。こちらは、研究成果の海外特許取得であるとか、海外侵害対応を支援という点がございます。対応する事業といたしましては、JSTで行っております知財活用支援事業とございまして、ただ海外侵害対応というところまでは現在行っていないというところで黄色にさせていただいてございます。

 一番下の黄色の点でございます。産学官協働による教育プログラムの構築というところで、具体的にはインターンシップの推進でございますとか、産業連携による教育プログラムの開発というところを必要施策として書かれてございますけれども、こちらについても、一部自立化であるとか、地域イノベのほうで独自な取り組みがあるというところで黄色と書かせていただいてございます。

 右側に目を移していただきまして、こちらが事業一覧でございます。ざくっと現在の事業を並べさせていただいておりまして、右側のブロックの中の、特に研究と書いてあるほうにつきましては、研究のテーマについてお金なりを突っ込んでいるという事業でございます。

 一方左側の基盤というところでございますが、インフラ整備という目的のもとでリサーチ・アドミでございますとか、コーディネーターの育成でありますとか、研究開発を支える基盤というところを補助するという事業を書かせていただいてございます。

 知財活用支援事業、一番下にございますけれども、こちらは研究テーマに合わせた特許化の支援ございますとか、例えばJ-STORE等々、ウエブ上の無料のデータベース等々を提供してございますので、どちらにも係るという意味合いで横長に書かせていただいてございます。

 最後になりますけれども、センター・オブ・イノベーションの構築というところで、一部A-STEPも加えまして、先ほど中間取りまとめでもございましたけれども、センター・オブ・イノベーションのプログラム、シーズ・ニーズ創出強化の取り組み、コーディネーターの育成というところで、来年度以降事業化していく予定となってございます。

 以上でございます。

【柘植主査】  ありがとうございます。ご質問は、私、今から説明者として説明をさせていただいた後まとめまして、今後の課題としてのイノベーションシステムの見える化ということの議論をしたいと思います。

 先ほど申し上げたかもしれませんけれども、この第2番目の議題は今日結論を出すという趣旨の議題ではありませんで、こういう議論は、今日公開でもありますので、既に動いている産学官の連携の現場で参考にしていただく。あるいは年が変わりますと、次の期の、我々の委員会が編成されて、新しい年度での審査も含めてプロセスが入ってくるので、それに対してやはり活用できるところは活用していこう。こういうことに資するための今日の提案でありまして、かつ、今日行います議論。こういうふうに理解して、今日の2番目の議題を進めたいと思います。

 それでは、説明者として、この資料3をごらんください。表題にイノベーション・エコシステムの確立に向けて早急に措置すべき施策という、これが今日の中間まとめの主題ですけれども、私のプレゼンテーションは、そのイノベーションシステムの見える化とPDCA現場への実践という提案をさせていただきます。

 提案の背景は、先ほどの鷲﨑さんの話が、いわゆる前期で提案した産学官連携の基本戦略、それに基づいてここ3年ほどやってきたわけですけれども、ここに書きましたように、個別の成果は得るものの、全体のアウトカム、言うならば、産業から見るとイノベーションにつなげていく、産業がイノベーションを起こすんですけども、産業側のほうにつながるアウトカム、あるいは教育も含めた人材育成まで、相変わらず産業側から見ると大学院教育をもうちょっとそういう面で強化してくださいと、先ほど永里委員からもあったわけでございますので、全体の効果に対して社会・産業界からの高い評価を受けるには至っていないというのは、残念ならが我々認めざるを得ないわけです。その一因として、私の意見は、基本戦略で打ち出した新機軸である持続可能なイノベーション創出能力の強化、これの必須であります基礎研究から社会経済的価値創出に至る各参加者が生み出す価値の受け渡し。これを価値のフローとインターフェースという言葉を私は使いますが、それの見える化と、それから、当然ファンディングの審査・評価も含めて、事後評価も含めて、いわゆる各参加者間のその共有化が不十分なままで個別の事業が行われてきたということを私は指摘したいと思います。

 社会における科学技術の視座に立った価値創造及びフローとインターフェース、何言っているんだというのを、私もちょっと可視化してみました。これは、当然大学等が中心になります科学的価値とか知の創造というものと、産業界としては、やはりこの社会経済的な価値、すなわちイノベーションの創造というもの。この段階に対して、やはり参加者の中にはインターフェース役の人がいると。それから、当然そこの中にシーズがあり、産業側からのニーズがあるわけですけれども、ここのインターフェースの間では、多分大学等が生み出していく価値を掘り起こすと。あるものはあるんですけれども、いわゆる開拓する、そしてそれが流れるというフローと、それからやはり産業界との間については、価値の結合、結びつきとそれのフローがあるんじゃないか。

 これは、まさにシーズ・ニーズにせよオープンイノベーションという言葉が使われるように、これは必ずしも1対1の話じゃなくて、こういうふうにどんどん外の世界からも入ってきているのは当然なんですけれども、問題は、参加者というのは大学で言うと研究者。同時にこの研究者はほとんどがやっぱり教育者でもあるわけですね。ですから、そこには学生がいるし大学院生もいるし、リサーチアドミニストレーター、あるいは知財、それからコーディネーター。それからここでは取り上げないんですけれども、研究型の独法の役割というのも非常に大事なことだと思いますし、自治体も一生懸命やっています。そこにベンチャーキャピタルの役割。最終的に社会経済的価値を生み出してくれる企業、こういうさまざまな参加者がいるんですけれども、それぞれは多分生み出しているのは、ここに単なるシーズとニーズという言葉、あるいは価値の開発とフロー、価値の結合とフローとこう書きましたけれども、それぞれの参加者は違った価値を生み出しているし、違った相手にフローを渡している。あるいは、違った人たちから自分のインプットをもらっていると。こういうことが意外と見える化されていないままに、それぞれがみんな頑張っていると。こういう構造だと思います。

 先ほど、鷲﨑さんから説明していただいた資料一つとってみても、これ非常によく全体としては体系化されて見える化されているんですけれども、見える化されていないのは、実はこのいわゆるインフラ整備側の投資の一つ一つですね。それから、こちらはどちらかというと、研究への投資というそれぞれのブロック。それぞれの、ここに書いたように、横と縦、実は斜めもあるんですけれども、この間にどういう価値を生み出して渡すのかということが、参加者間の中でもはっきりしないままでこの1つの箱の中で一生懸命やっているという実態があるんで、見える化というのは、このもともとの図の見える化と同時に、この赤で書きました縦、横、斜めの、誰に何を渡すつもりで各ブロックの価値の創造をしているかと。こういうことも見える化させないといけないと思います。

 まさにですね、各事業・プログラムが生み出す価値と、フロー・インターフェースの見える化の重要性ということをこれで指摘したい。

 反省点であります。これはもう昨年3月に終わった、第3期の科学技術基本計画で目指したのは、結局、大政策目標、中政策目標、そして個別の政策目標、これ1個1個は、一種の社会の中のどういう価値を生み出すかということを約60項目にわたって立てていたわけです、もう6年ぐらい前にですね。そして、投資上はどういう形にしたかというと、例えば環境分野、情報通信、ナノテク・材料、ライフサイエンスの分野で、知の創造のところに投資したわけであります。

 最終的な狙いは、この個別の政策目標に何とかつなげていこうという思いで、第3期の科学技術基本計画は組み立てられたわけですけれども、実際問題、価値のフロー、結びつき、結合というのはここに書きましたように、私どもはスパゲッティ状の関係と言っています。ここはこういう価値の創造とフロー・インターフェースというのは非常に複雑であって、結局、知の創造を社会経済的価値に結合するシステムと、それからそれをほんとうに、プラン・ドゥー・チェック・アクションという、これを実践不十分だったと。こういう実践に欠いたというのが、第3期の基本計画の非常に大きな反省点だと思います。

 それで、幸いなことに、第4期は、科学技術イノベーション政策というものをタックスペイヤーに対してコミットしたわけでありますので、まさにこの点は要注力点であるというふうに言えると思います。

 全部読みませんけれども、基本的には今申し上げたように、第4期の科学技術基本計画が、科学技術イノベーション一体推進、それから人材育成ということを打ち出していますので、我々委員会としては、科学技術イノベーションに資する産学官連携体制の構築、こういうことで先ほどの中間報告。これは前の段階ですけれども、このイノベーション創出能力の強化に向けて早急に措置すべき施策を、今日脱稿できたわけであります。

 この施策をちょっと読みますと、この施策がPDCAマネジメントの視点に立って、産学官連携の各参加者の現場において有効に実施、実践されるためには、各参加者が担うさまざまな価値創造、創出、そしてフローとインターフェースに対するコミットメントの見える化が必要だということであります。そしてそれを各参加者間で協力する、共有するということが必要でありまして、そんなことで、この科学技術イノベーションシステムの見える化とその活用についての提案を行うわけであります。

 さて、科学技術イノベーションシステムの見える化について、かなり我々は努力してきたと思います。既に1に書きましたように、イノベーションシステムの確立に貢献する産学官連携基本戦略。もう2年前にこの委員会の前期にも立てて、その絵を見てみますと、これが1つの絵です。これは2年前の8月に立てた基本戦略です。

 これは、さっき鷲﨑さんがサマライズしたように、私は非常に基本構想図としてはよかったと思うんですけれども、次にもうちょっと見える化しようじゃないかということで、この絵が出てきました。

 これも、産学官連携による知の循環システムと、それから大学等における産学官連携機能の戦略的強化、インフラ整備ですね。そして人材の育成ということで、見える化をしたわけです。これも、オープンイノベーションという言葉は何とか生かそうということで、何をじゃあオープンイノベーションで可視化したかというと、この絵を出したわけです。

 これも、何となく言いたいことはわかるんですけれども、見える化されたという話ではないと思うんですね。結局この3枚の絵で、私が反省点としてサマライズしたのは、お手元の資料に書きましたけれども口で言いますと、いわゆる知の循環、それから産学官連携の強化、それから人材育成の推進方策が非常に概念的にとどまっていた。したがって、価値創造のフローとインターフェースが具体的ではなくて、結果的に現場におけるPDCAマネジメントの実践と事業成果の具体的な成果が不鮮明であった。

 それで、このあたりの反省に基づいて、去年、今年として、地域イノベーションシステムの、まずプランについてなるべく見える化しようではないかと。誰が何の価値を生み出してどこに渡すのかということで、この絵は、去年、今年に実際のプランの段階で生かした図であります。

 これも、私は確かに今までつくり上げてきた地域イノベーションの現状、それから当然問題点があるわけですけれども、それを今回のこの地域支援プログラムでどういうところを強化するのかということを見える化して、それは当然地域資金や他の府省などの施策などで構築を狙う具体的な取り組みも、どういうふうにプラスして、そして結果的にほんとうに出口に対して何を生み出すか。この出口にしても、それは当然産学連携ですからイノベーションまではいかないわけですね。ある価値はありますけれども、イノベーションまではいきませんので。つまり、この中でも、今までの構築したイノベーションシステムを基盤として、その上に構築する地域イノベーションの能力の全体の企画書としては、かなり前よりは見える化されたわけですけれども、事業参加者の現場レベルでは、一体自分はというか、誰が何の価値を生み出すのか、それでその価値を誰に渡すのかと。そういう価値のフローとインターフェースがこの絵でもまだ十分ではなかったと。こういうふうに思います。

 そんなことで私の大事な話は、やはり見える化すべき科学技術イノベーションのエコシステムの全体像というものをやっぱり共有化して、それで、それに基づいて自分は何を生み出すつもりなんだと。こういうことをやはり各参加者ですね、さっき言いました研究者からコーディネーターからリサーチアドミニストレーターから、最終的には産業ですけれども、こういうまず見える化すべきイノベーション・エコシステムの全体構造というものを見える化して教育はすべきではないかということで、この絵をまとめたわけなんですけれども。

 やはり横軸は科学技術の領域であります。言うならば、学術のディシプリンという。縦軸は、基礎、知の創造から一番上が社会的な価値というマーケット、ステップがありました。具体的に幾つかのパターンがあると思うんですけれども、まずある研究領域AからプロジェクトのAが生み出される。それでも、やはりストレートフォワードにイノベーションなんかが起こった事例はほとんどなくて、他の技術革新が、たまたま誰かが価値をインターフェースでフローして一緒になったために社会的な価値ができ上がったと、こういうパターン。あるいは、もう途中で、このプロジェクトAから出た派生技術を誰かがインプットを受けて、それが新たなプロジェクトを経て社会的な価値につながるという派生技術の活用というパターンがあります。あるいは、まさに知の融合と今言われていますけれども、この融合が行われて、新たなプロジェクトの創成が行われる。

 それでも、大体かなりの部分がやっぱり非採用になる。その非採用の技術を誰かがこれは価値があるぞということで、派生技術によって新しいサービスとか新しい社会システムを生み出してそれがイノベーションにつながったと。こういう事例がある。

 非常に大事な話は、やはり産業からの、このシーズの見直し。そしてそれが大学へちゃんと、知の創造への現場に社会のニーズが戻っていくと。このメカニズムが非常に大事なことであったということの事例もかなりあります。

 そういうことで、融合場あるいは融合研究拠点の提供、これは今までも施策で具体的にやってきましたし、府省間の垂直連携もやってきたし、これからもまた強化していく。当然、規制改革等のですね。

 やはり、今日も教育ということも絡めようということですけれども、基本的には、この教育というものと科学技術とイノベーション政策の一体化ということが、非常にこのイノベーション・エコシステムにとっても不可欠であると。こういうことが言えると思う。

 そして、これを申し上げた全体像、これは私はこれだけじゃなくてもいいと思うんです。何かやっぱりこういうイノベーション・エコシステムの全体像というものを、やはりこれよりもっといいものを見える化して共有化するということのための参考としてお見せしたわけです。

 さて、このフローとインターフェースの見える化の重要性。これはもう釈迦に説法になっちゃうんですけれども、やっぱりこの下のところは大学の教育と基礎研究の範疇ですね。そしてこの真ん中の部分は国研とか研究開発の独法。この担っているやっぱり人材育成と教育。そして最後はやはり産業が担うイノベーションと人材育成。これがもうほんとうにこの矢印で結んだように、ほんとうにエコシステムとして回っていないと、ほんとうのこのシステムはできないわけでありまして、まさに各参加者が担う価値創造とフロー・インターフェースの明確化とコミットメントの見える化、これがほんとうに不可欠であります。

 どの参加者でも1つ、全部のことはできないわけですので、そこではもちろん仮説検証ですよね。これは価値があると思うということのそれを検証するわけで、必ずしも全部が、そのコミットメントが実現するということはあり得ないことは、みんながやっぱり認識しなければならないのは当然であります。

 別な言い方をすると、日本の特色を生かしたということの持続可能なイノベーション・エコシステムを牽引するエンジンですけれども、我々大学は当然国際基準の教育と研究をやっていかないともう生き残れないわけですね。産業のほうも当然世界競争に勝つ研究開発、社会経済的な価値創出をしなければ産業はやっていけない。当然でありますけれども。やっぱり私は、日本が随分育ててきた研究開発型の法人群というもの、これも含めたエンジン構造ですね。この絵を結構大事にしたいと思うんです。そして、大きく分けると3つのセクターの参加者の生み出す価値のフローとインターフェースの明確化が成功のかなめになると思います。

 それで、何を私は……。この紙が今日の提案のみそでありまして、各参加者が明確にすべき価値とフローとインターフェースについて見ると、因数分解するとこういうことになるんじゃないかと思います。これ、全部ができる。誰かの参加者は、このうちのどれかを担うはずだと。すなわち、独自技術シーズを生かした目的基礎研究を担う。それからあるいは、誰かが生み出した革新的技術を生かして、全く意図していなかったこちらのほうに社会的な価値を生み出す。あるいは、自分の独自技術を生かした目的基礎だったけれども、途中で新技術、誰かが生み出した新技術革新を取り込んで初めてイノベーションが起こるという、この価値の創造とインターフェースのパターンがあります。

 それから当然、まさに分野融合によって新たな社会価値創成というものを主張する方もおられます。それでもやはり、市場の手前ではもうこれは採用されなかったものを見つけ出して、その方が派生技術による新たな市場価値を生み出す。こういう価値の創出とフロー・インターフェースがある。

 もっと大事な話は、社会ニーズに基づいて、知の創造からの立ち返りという価値を創造して、フロー・インターフェースを担うと。こういうことでありまして、このどれかをやはり担うわけですね。そういう意味で、価値創造のインプット、アウトプットの明確化ということ。それから、フロー・インターフェースのコミットメント、これがいかに大事かと。結局、同時にプラス、大学院教育と人材育成計画へのコミットメントも、大学がコミットメントする以上、当然抱き合わせて一緒にしていただく。こういう、このうちのどれかの価値創造なりインターフェースを各参加者は明確ですべきであるというのが、今日の私の提案であります。

 今の同じことをまとめますと、各参加者が明確にすべき価値創造とフロー・インターフェースについて見ると、自分の価値創造の立ち位置を見える化することで、今、1の独自シーズを生かした目的基礎から、6番の社会ニーズに基づく知の創造への立ち返りというものをお話ししたわけです。当然そこには、大学ならば大学教育と、イノベーション人材育成計画とのリンケージの見える化。そしてそれを参加者全体と共有するということを今申し上げたわけです。価値創造のインプット、アウトプットの明確化、それから各参加者が担う価値のフロー・インターフェースのコミットメント。この視座に立って、全ての産学官連携の見える化と、プラン段階からチェック、アクションのサイクルまでの適用を提案するというのが、今日の私のお話であります。

 あと、お手元の資料の中にまとめて書いてございますので、18ページには提案のまとめが書いてありますので説明は省きますが、最後に言いましたことは、構築を目指すイノベーション・エコシステム構造の見える化と共有化。今日は、図の1に完全ではないんですけれども、1つの共有化すべき構造の見える化のリレーを示しましたけれども、もっといいテンプレートが出ればそっちのほうがいいと思います。

 それから、各参加者が目指す価値の創造と橋渡しですね。フローとインターフェースをこのテンプレート上で見える化すること。そして、価値創造のインプット、アウトプットの明確化。各参加者が担う価値のフローとインターフェースのコミットメントをする。そして、大学は当然大学院教育を中心として、イノベーション人材育成計画とのリンケージの見える化と、それを産業も含めた、あるいは大学院生みずからも含めた参加者間の共有化。この視座に立って、すべての産学官連携プログラムの見える化と、実際実行する現場でのPDCAサイクルを適用する。

 これが、私は第4期の科学技術基本計画が、タックスペイヤーにコミットした科学技術イノベーション政策の実行に必須の打ち手であると思いました。

 こういうことを今日できるだけ議論して、そして議論をオープンにして、各現場でも活用して生かせるものは生かして、そして来年度以降はさらに投資をしますので、その投資に対する評価にも活用していただきたいなと。こんなことでございます。

 それでは、また座長に戻らせていただきます。

【工藤室長】  ありがとうございました。

【柘植主査】  それでは、先ほどの鷲﨑専門官が説明した資料2も含めて議論をして、先ほども申し上げましたように、今からの議論は公開して各現場で生かしていくところは生かしていく。そういうことと来期につなげていきたい。こういう形に資する議論を残った時間でしたいと思いますので、自由なご発言をいただきたいと思います。

【橋本委員】  よろしいですか。

【柘植主査】  どうぞ。

【橋本委員】  あまりきちっとした概念も持てないままこの委員会で勉強させていただいているんですけれども、今日お話を伺って、何か少しわかってきたというかですね、ということがあります。

 それで、今日、柘植先生のお話の中の一番最後の図の10は、非常にカラフルな絵ですけれども、これを見てひとつさらに何かつけ加えるんであればこんなことはないかということをちょっとお話をさせていただきたいんですけれども。この上下が、どちらかというと下から上に上がっていくようなフローを中心に書かれているかと思うんですけれども、これ、上下対称性というか、そういうことをちょっと考えてみたらどうかということ。

 例えばシーズの見直しというのがございます。これと同じような意味で、シーズが今度は駆動力になってニーズの見直しとか、そういう意味の逆方向の流れで考えることもできるだろう。そして、社会ニーズに基づく知の創造への立ち返りっていうのは、これは多分、新しい研究領域をここにつくり出すとかということがあるんだろうと思うんですね。そういう意味で言うと、逆に、知の創造が社会ニーズを新しくつくるというような意味の、そういう意味の立ち返りというのもあるだろうというふうに思います。

 それと、かなりこれ、大分わかってきたんですけれども、ニーズ側がフィックスターゲットというか、ある決まったスタティックなターゲットではないんだということで、もう少しダイナミックに変わっていくんだと。シーズ・ニーズの循環が上、下で起きて、シーズもニーズもダイナミックに変わっていくということが非常に大事なところかなと思うんですね。

【柘植主査】  そうですね。

【橋本委員】  そうすると、大学院教育に関しても、ある意味では1つの原動力が人材が大学から外に流れていくというときに、大学にいる者として考えると、どういうふうな学生が出ていったら、フローとしてですね、この中のフローとして学生が流れ出すということを考えると、社会が、あるいは地域が、あるいは企業がどんな未来を描いているのかということを共有できるような、そういう機会をつくるというのがインターンシップだとか、協働の産学連携に参加するとかいうときに非常に重要なことであって、それを身につけた人であれば、社会で非常にすぐに使っていただけるだろうというふうに思いますし、あるいはそれを外挿する力を持てれば、さらにその先のダイナミックな変わり方がどうなるかというようなことの展望を持ちながら社会に出ていくというようなことが、それがまた原動力になって、このダイナミックなシーズ・ニーズの変換が起きて、それがイノベーションそのものではないかという気がいたしました。

 そうすると、まさにこの絵の今度は上、下の対称性を少し考えればですね、さらに私が申し上げたようなことが表現できるんではないかという気がいたしました。ほんとうに言うばかりなんですが。

【柘植主査】  ありがとうございます。ぜひ、今のこの絵ではあらわし切れていない、ほかのイノベーションの、まさに、それが広い意味でのオープンイノベーションだと思うんですけれども、この絵ではあらわし切れないものについては、こういう絵なんだと主張できるような、いわゆる審査されるほうも審査するほうも、真剣勝負ができるように事例をつくりたいと思います。

 ありがとうございます。ほかにいかがなもんでしょうか。どうぞ。

【田中総括審議官】  私はあまり発言権がないんですけれども。

【柘植主査】  いいえ、とんでもないです。大いにお願いします。

【田中総括審議官】  事務局でもないし委員でもないし、おまえ何だって言われそうな気もしなくはないんですけれども、柘植先生が今お示しいただいたものをずっと見させていただいて思ったことは、やっぱりイノベーションというのが出ていくときに、ここではフロー・アンド・インターフェースと言っていただいたんですけれども、受け渡しということですね。必ずしも受け渡さないんじゃないかというふうに最近思うようになっていてですね。確かに1人の人がずっとやって最後まで行くわけじゃないんですけれども、そのステージごとにかかわる者の質とか幅とかいうことが大きく変わるんだと思うんですけれども。例えばある技術、ある研究を出した人を社会ニーズに基づいて、あ、これ、よさそうだなと思った人が結構最後まできちんとかかわっていかないと物にならない。

 そういう意味では、あまりにも受け渡しっていう、それぞれの階層ごとに役割分担が決まっていて、渡すと次が発展されるんだねということにならないんじゃないかなというふうに思うんですよね。

 したがって、構造化するべきときに役割分担をはっきりさせることは大事なんですけれども、やっぱり次に渡しちゃったら自分の責任が終わりだということだと、ほんとうに不連続的な新しい価値創造というのが生まれないんじゃないんだろうかというふうに思うんです。

 したがって、これは少し狭義に先生の例を見させていただくと、例えば図10なんかも、上から下に、何かこう1階、2階、3階、4階みたいなことがありますよね。必ずしもこういうことっていく技術ってあるのもかもしれないんですけれども、そうでないものもあって、特に医薬なんていうのは、ある人がやったら、それを支える人っていうのがどわっと広がってきて製品化すると。きっと最初に思った人はずっと思い続けて、それは支援する人の数とか質が変わってくると。そういうイノベーションというのを生み出していくという道筋もあるんじゃないかなというふうに思ったんです。

【柘植主査】  そうですね。私も、今、田中さんがおっしゃった話はあると思います。それから、否定してはいけないと思います。

 卑近な例がおととしでしたか、日本国際賞を受賞された東北大学の岩崎先生の垂直磁気記録ですね。あの方が産業界と一緒に起こしたイノベーションを見ると、これで言うと、図の8を見ると、やはり当然そのベースには自由な発想の基礎研究があったわけですけれども、この最初のパターンである、目的基礎研究で垂直磁気記録方式にするととんでもなく要領が増えると岩崎先生がおっしゃったんですね。

 一生懸命、産業界がそれを実用化しようというんで、この上の話にストレートフォワードでやっていったらなかなかうまくいかなくて、その間、岩崎先生は諦めなかったんですね。結局教え子がどんどんどんどん産業界に行っている間に、岩崎先生がずっと40年間、30年間ひとりでこだわり続けたからあれが起きたわけで。したがって、岩崎先生のいわゆる役割というのを見ると、今、田中さんがおっしゃったような役割というものはあるんだぞと、非常に大事だぞというふうに思います。

 ただ、私が今日言ったのは、オールマイティーのテンプレートを提示した気はないです。これは使い物にならないからこっちのテンプレートのパターンでいこうと。今の田中さんがおっしゃったようなことを明確に見える化ができると思うんですね。間違っているかもしれない。仮説だけども、私がコミットしようとしているのはこういうことだっていうのは、別な表現で見える化は今できるんじゃないかと。それを求めるべきだっていうのは、私としては今日の主張なんですけども。

【田中総括審議官】  もう1つ言わせていただくと、特に最近、文部科学省って一気通貫の何かイノベーションとか何か言っていて、それはどういう意味だと、我々も自省して議論するんですけれども。橋渡ししちゃうと、橋のこっち側と向こう側と何か別みたいになるんですけど、渡してあげて、渡すことが大事であって、対岸に行ったら、対岸に行ってさようならっていうことには決してしてはいけないというふうに思うんですね。それをどうやって構造化するかというのは大事だと思いますけれども。さっき事務局から説明した25年度の概算要求で新しい仕組みをつくるんですけれど、それもみんな基本的には渡れるようにするというか、そういうことを強くしてあげる。そういう思いで施策としてはつくっているんですけど。

【柘植主査】  ぜひ、そのあたりは多様性というか。ただ、やはり目的を持つ以上はやっぱり見える化というか、自分の仮説は主張してもらわないかんですけれども、どうですか、今の話を聞いていて。

 いわゆる、知の創造をした人が最後まで持っていったほうがいい場合と、やっぱりちゃんと受け渡しをしてイノベーションのほうまでつないでいくのと、いわゆる、キャピタル的に見たときのご意見。

【田中総括審議官】  私、知の創造した人だけがずっと持っていけばいいというわけじゃないんですよ。そういう問題意識を持った人がずっと、例えば、あの知識がいいなと思ったら、そういう思いを持った人がぐっと抱えるということだろうと思うんです。

【柘植主査】  いかがですか、郷治さん。

【郷治委員】  今の総括審議官にまとめていただいたような認識で私も同じでおりまして、研究者の方は多分一番長くですね、最初から最後まで見届けるお立場に近い方かなと思いますが、やっぱりフェーズ、フェーズでいろいろご協力いただかなきゃいけない方とか参画いただかなきゃいけない方でやっぱり変わってくる面もあるので、そこはバランスといいますか、両方観点としては必要なのかなと思います。

 あと、せっかく発言の機会をいただいたので……。

【柘植主査】  そうですね、お願いします。

【郷治委員】  むしろ文科省さんの資料2に関するコメントになるかと思うんですけれども。この死の谷を越える明日にかける橋というのは、明日はいいんですがあさってどうするんだろうなっていうかですね。この死の谷は越えても丘に上がって死んじゃったらどうするんだろうとか、要はここに書いてある図だと、新産業創出拠点プログラムとかA-ATEPとか、研究サイドのいろいろな施策を着実に進めておられますけれども、これがやっぱり意味があったというふうに評価されるためには、その後のところの、より市場サイドとか民間サイドの話になってくるので、この審議会で全部カバーできるかわかりませんけれども、そういったところの資金供給とかいろいろな、まさに柘植先生がまとめられたような、こういう見える化とか必要になってくるのかなという漠とした印象を受けたという次第です。

【柘植主査】  いかがなものでしょうか、行政側としては。

【工藤室長】  まさにですね、郷治先生からご指摘にあったように、最後のワンマイルの部分、要は陸に上がって、あさっての日が迎える日が上るかどうかのところというのは、いつも我々とほかの役所さんですね、といつももめるところでもありますし、かといって、じゃあそれがやらなくていいかというと、まさにそこが肝になっていて、今後の施策の中で概算要求にも込められていますけれども、センター・オブ・イノベーションの中にはその辺もチャレンジできていく、最後のところもカバーできていくというのをプログラムの中にロードマップとして考えていきたいというふうに入っております。

 ただ、具体的にこれからどうしていくのかというのは、まさに今後のつくり……。

【郷治委員】  そうですね。各論ごとに全部違うと思うんですね。ただ基本的な問題意識は最初の藤本先生の問題意識に近いところがあってですね、何かやるとしても、そのさらに先どうするんだって。

【柘植主査】  まさに、エコシステムのエコというものをどういうふうに設計しているんですか。

【工藤室長】  そういう意味だと、この議論が先ほど主査のほうからありましたように、オープンになっている議論ですので、次の期につなげるときに、まさにその最後のラストステップの部分をどう構築、具体的なものとして落とし込んでいくかという議論ができればというふうには考えています。

【郷治委員】  私個人は、金融についてはちょっと意見があるんですが、ちょっとまた別の機会にします。

【柘植主査】  また別に。ありがとうございます。ぜひ、別の機会にまたまとめた考えで説明。今期無理かもしれませんけど、また来期からお願いいたしますんで。北澤委員。後、それから前田委員。

【北澤委員】  私は、この産学が特に絡んだこのエコシステムとしての見える化の1つの切り口として柘植委員長が出された、これ非常によくわかるんですけれども、私の質問としては、これを強く回転していかなきゃいけないわけですけれども、その回転のモーティブフォースは何かという問題なんですけれども。これがアメリカ的な、おのおののステップでアメリカというのは、とってもギブ・アンド・テークがきっちり成立するように、一つ一つのところで支払いと受け取りって何を受け取って何を支払うのかっていうのが非常にはっきりしているんですね。

 それで日本は、それを社会主義的使命感でこれを回転させていこうとしているのか、それともおのおののステップでそれが成立するようにしているのかという、そういうことと絡むんです。

 それで、先ほどの藤本委員の質問でも、私は気持ちがよく実はわかるんですけれども、例えばMITなんかの産学連携の人たちを見ていると、その人たちは自分を自分が雇っている。つまり、産学連携事業をうまく回転させればさせるほど自分たちのセクションにはお金が入ってきて、それで自分たちを雇える、人数も増やせるというふうになっているんですね。あるいは、じゃあ、その人たちに協力して、例えば日本からやってきた企業の方々をご案内したりすると、そこのプロフェッサーにはそれをやってくれた日にはポイントがつくとかですね、そういった意味でいろんなきめ細かいギブ・アンド・テークみたいなものができるようになっているわけです。

 ところが、日本は、何となくそういうことを使命感でやりなさいって言っているようなところがあってですね。それで、しかしある部分には支払いっていうのが大きくぼんとなるような、そういう制度も入ってきている。

 そうなると、この一つ一つのステップが、アメリカなんかはかなりやっぱり歴史的に長い間学びながらギブ・アンド・テークが成立するような形で、柘植委員長が書かれた図の一つ一つの受け渡しっていう、そこのところがはっきりしているために、渡してしまってそれだけの利益は得たら自分はそこで引っ込むっていう。田中さんが聞かれた、渡っちゃうのか、渡らないで受け渡すのかというのも、そこできちんとしたメリットをもらったら、そこで渡らずに次の人にそれを渡してしまうというようなやり方もありますし、あるいは、自分は渡ってそっちのほうに行ってから、今度そのメリットをきちんと受けるのかとかですね。その辺、考えることができる。

 それで、これは非常に今度具体的に卑近なことを申し上げますと、例えば自分の研究室の学生をあるプロジェクトにやってもらっていて、それで会社のほうが、いやあ、あの学生さんだったら、この装置のソフトウエア、ぜひ、学生さんに開発してもらいたいと。ものすごくそれだったら早くできますよといったときに、そこの企業がお金を出して、その学生にそのアルバイト代を研究の中で払えるかどうかっていうようなそういった問題になるんですけど、アメリカはこれはもう融通無碍なんですね。

 それで、日本、なかなかそういうことがうまくいかないシステムになっているっていうようなこともあって、うーんと考えてしまうとかですね、そういうことになるケースがあるので、私はこれを骨太にうまく回転させていくっていう、このことはやっぱり基本的にもう少し考えていったほうがいいんじゃないかな。

 それで、私はその意味では、おのおののステップがギブ・アンド・テークが成立する形になっていくほうが日本としては自然なんじゃないかなという感じがしています。

【柘植主査】  ありがとうございます。ちょっと私も、今ので感じるところをお話ししたいんですけど、その後で石川委員、ぜひ、大学側の立場で今のお話をちょっとコメントいただきたいと思います。

 今の北澤委員のおっしゃった話ですね、私からすると、究極は14ページの図の7を見ていただきたいんですけれども、14ページの図の7ですけれども、日本の強み。当然、日本型なんてことはいけないんでしょうけど、日本の強みを生かしていくことは大事だと思うんですけれども、やはり私は何がインセンティブかというと、やっぱり大学の場合は国際基準の教育と研究ができるようになる。これ、今の中で、今の日本の大学で、国際基準の教育と研究をしているかというと、まだまだじゃないかなと思います。

 同じように、今、産業群からすると、ほんとうに世界競争に勝てなかったらもう研究開発をしてもほとんど意味がないし、製品開発をしてもほとんど意味がない。

 それから一方、日本の場合は非常に強みがあるのは理研とか産総研とか物材機構という、こういう研究開発型の法人の人の知識も含めて、そういう意味で国際レベルの研究開発とイノベーションという、この3つがそれぞれの目的だと思うんですね。この目的がお互いに生かし合う、お互いに尊敬、尊重し合う、このメカニズム。それは人もあるしお金もあるし物もあると思うんですけど、インセンティブも含めてですね、報酬も含めて。

 そういうこの図の7を、ほんとうに世界で生きていけるために、それぞれが特に大学が世界基準の教育研究をしていく。それにプラスになるというもののインセンティブが必要じゃないかと思うんですけれども。それが関係なくてもいいんですけれども、石川委員、大学のほうの立場から何かご発言。実際、相当イノベーションを起こされた方ですので。

【石川委員】  一度これ、柘植主査のプランを大批判したので、もう一回批判する気はないんですが、今日はちょっと褒めてみたいと思うんですが。この柘植先生の、橋本委員とかちょっと前の渡部委員の発言にもあったように、この絵のみが重要ではなくて、この絵と似たような幾つかの絵があるっていう発言を、今日、柘植主査はなさっていたので、それは高く評価します。

 要するに、この絵は、やっぱりどう見ても古典的な科学というものの絵なんです。そうじゃない科学がどんどんできてきていることに対して対応できてない。ちなみに橋本先生はその古典的な材料系・物理系関係じゃない分野の方で、情報系の方は大体こういう絵は嫌い。橋本先生は丁寧なしゃべり方をするので、対称性とおっしゃったんですが、分野のことだけを考えると逆のほうがいいんですよね、ニーズ先行型の。

 それの動きの全体像は何かといったら、科学技術というものが古典的には機能的なアプローチのみをとってきた、あるいはそういう考え方が蔓延してきた。ところが、新しい考え方、実は演繹的な考え方を入れないとどうにもならない。

 例えば典型的なのはグーグルだったりフェイスブックであったりは、帰納的な基礎研究から立ち上げて動くという形ではない。それは、例えば柘植先生のこの絵が、この絵だけで議論しようとするとこの絵には入らない。それ以外のものを入れるべきだという議論はしかるべきで、橋本委員がおっしゃったように対称性なりほかの構造があって。もう1つ橋本委員がすばらしいことをおっしゃったのはダイナミックに動くんだと。渡部委員も同じことをおっしゃったのはダイナミック。ということは、これ、静止画じゃだめで動画でやらなきゃいけないんで、いろいろと動きながら変わっていくというような絵をつくるのが正しい。これじゃなきゃいけない。ステレオタイプを押しつけた瞬間に、創造性は失ってしまうんですね。そうじゃないものを排除することになる。ですから、いろいろなものが受け入れられる。その過去のいい例は出すんだけれども、未来に対しては保証しないというのがいい。

 そのときに、この絵をじゃあ実際の運用に持ってきたときに、大学の立場からすると、先ほど北澤委員がおっしゃったように、各部分部分でギブ・アンド・テークをきちんとやらなきゃいけないんですが、今まで大学の産学連携を一生懸命やってきた立場からしますと、価値、要するにギブ・アンド・テークは何かを渡して何かをもらうんですが、渡すものがキャッシュと特許以外の価値を評価しないというところに問題があって、それ以外の価値がいっぱいあるのを見える化できていないというところが問題。

 私、常々申し上げるのは、日本で経産省の方がLLPなりLLCなりっていう仕組みを入れたんですが、うまくいっていない。うまくいっていない1つの問題は、キャッシュ以外の価値を評価できないから。教育をしますと言っても、いい教育というものを何らかの評価軸を持って評価できないので、北澤委員が言うギブ・アンド・テークしたときに1億円出します。ならばそこに新しいアイデアをいただきますという動きの新しいアイデアが1億円に相当するかどうかを誰も判断できない。だから、判断できるものだけでやろうという話になる。これはVCにも言えて。郷治さんを責めるわけじゃないんだけど、VCにも言えて、お金以外の価値というのがあるのに対してベットしなきゃいけないのに、VCの教科書にはこういう数字になるものだけを評価しなさいって書いてあるから、日本のVCは新しい分野に対して投下できない。

 柘植主査のこの絵は概念的にいいんですが、実際に運用しようと思ったときにそういう問題が生じてくるんですね。

【柘植主査】  それは見える化できないんですか。

【石川委員】  見える化できるんですが、心の問題があって、マインドセットをしなきゃいけない。その変化がないといけない。

 例えば広辞苑に研究って何て書いてあるかというと、よく調べて真理をきわめることと書いてあるわけです。だけど、この委員会の雰囲気からすると、そんな定義はとんでもない定義なんです。

 私、ある辞書は直してもらったんですが、新しい価値を生み出すことっていうことを一言入れてもらわないといけないわけで。それは辞書を編さんしている人でも、そこに具体的な価値があると見えないんですね。だから見える化をしようと思っても、皆さんの目がしっかりしていないから見えない。見えないものは見える化できないので、それをどうやってやるか。

 大学の中ではそれを……。今日は牧野先生はいらっしゃらないので。東大、京大をはじめとした大学でどうにかしてそれを机の上に上げて企業の人に見てもらおうという努力はいっぱいしてきたんですが、まだまだ道半ばというところがあるので、この案を進めるならば、この下にある、ここの見える化の具体的なアイデアをもっと出しましょうとやらないと動かないんだと思うんですね。

 もう1つ、この柘植主査の案の中で、PDCAサイクルを入れましょうというんですが、私、いろんな産学連携の講演をさせられるときに、PDCAサイクルだけは入れないほうがいいって申し上げていて。もっと正確に言うと、PDCAを入れたほうがいい場面とそうじゃない場面とがあって、柘植主査の8割ぐらいのところは入れたほうがいいと思うんですが、一番重要な独創性あるいは創造性、新しい問題を生み出すところにPDCAサイクルを入れた瞬間に、それは過去のディシプリンの中でしか議論しなくなるので、過去のディシプリンの外のものが出てこなくなるので創造性を潰すことになる。だから、その段階には絶対入れないほうがよくて、何らかのディシプリンが決まって方向性が決まった後には入れたほうがいい。だから、これ、全面的に書いてあるので、そこはちょっと微妙でして。こういった施策のチェックにはいいと思うんですが、独創性のところには入れない。その辺の、新しいものが出たときの価値を、例えばチェックというのが入っていますよね。PDCAのチェックしたときに新しいものがぽっと出た。

 例えば何でもいいんですけど、グーグルの新しいアイデアが出たときに、これ、チェック入れたら日本では全部グーグルはだめっていう結論になるんですよ。それをそうじゃないっていう結論を出すような場をつくらなきゃいけないわけで、そのためには、チェックのところのまだステレオタイプ的な評価をしないという文化。それとそこで起こる価値というものの評価を積極的にするというマインドセットが必要じゃないかなというふうに思います。

【柘植主査】  ありがとうございます。ほかに。前田委員。

【前田委員】  私も、どういうテンプレートがいいのかがご提案できないんですけれど、自分でずっと研究者の方の相談に乗っていた時期のときに感じていたものは、やはり産学連携の組織っていうのはよろず相談の場所なんですね。そうすると、ビジネスになるのかわからないんだけれど、何かおもしろそうっていう相談を受けるんですね。時として変わり者と思われるような血気盛んな若い人が話しに来ることがあります。

 やはりそれを、例えば実例を挙げますと、歯科医のお医者さんが医科歯科は当然歯では最先端を行っていますので、教育システムを全国に簡単にわかるようなシステムをつくりたいということで相談されたので、普通に考えたら、何かソフト会社か何かと組もうかなと思うんですけれど、それがソフト会社に行ってももうからないな。世のため、人のためにはなるけれど、もうからないなって。でもよく考えてみたら、フェイスブックみたいなああいうもので、何かの形でSNSみたいな形でもうけることはできたかもしれないんですけれど、かなり私はやったんですけれど、そのときはうまくいきませんでした。

 私が思うのは、いいことを発想してどこへ持っていこうと思った人が最後までボールを持って走るっていうんですかね。異分野に持っていって、あそこだったらビジネスになるかもしれないというところを、さっきの田中さんがおっしゃったように、その人がラグビーのボールを最後まで持って走るじゃないですけれど、そういうことをしてもらうと、変わった発想を描いた人の思いが遂げられるんじゃないかなというふうに思っているんですね。

 やはり科学技術、私ももともとリチウム電池の研究者だったんで、この図は非常に私的にはわかりがいいんですけれど、やっぱりよろず相談を受けていたときに、時として変わり者と映るような人からイノベーションが私は創出されるような気がするので、そういう人たちを生かすためには、いわゆるコーディネーターっていうか、その思いを遂げられるような人が最後まで持って走れるような形にするとイノベーションって創出されると思えて。それがこの絵だと描けないなと思っていて、どうしたらいいのかなっていうふうにちょっと思っていました。

【柘植主査】  ありがとうございます。

 ちょっと私の感想を申し上げますと、図の8で書きました、一番下の自由な発想の基礎研究。つまり、今、前田委員がおっしゃった話というのは基礎研究じゃないかもしれんけれども、やっぱりこの自由な発想の研究というのは、あるPDCAなんかの話じゃなくて、やはり確保していくことでカバーするしかないかなと。これから、上の話の中である程度価値があるかどうかわからないけども、どことと、今おっしゃったことの許すファンディングなり評価なり、どうしていくかということですよね。

 別な図で言うと、私がもうちょっとあまり縛りがなく言えるのが、最初に書きました3枚目の社会における科学技術の視座に立ったフローとインターフェースの中で、こういう下に参加者が、研究者、教育者から一番右側の企業がありますけども、この中で、こういう若干ぼやっとした中で、そういう方を許容しサポートし何らかの評価をしていくことが何か制度として必要かなと思っています。

 ですから私としては、さっきのテンプレート、金科玉条のごとく押しつけることのマイナスというのは重々、私、産業人上がりでもわかっていますので、そういうおっしゃったようなことも許容する文化をどういうふうにするか。

 かといってやはり、これだけせっぱ詰まった日本の経済、それから産業の競争力から考えると、この部屋の外に出たときに、やっぱり私の言っているものと前田委員がおっしゃった、あるいは石川委員がおっしゃった話とのものをどういうふうにタックスペイヤーに説得、納得してもらうかということに対して、やはり私の今日の提案というのもある程度。ただ、弊害はあるぞということは、いろんな面でやっぱりご指摘があったと思いますけれども。

 ほかに。もうちょっと時間が、あと5分。

【永里委員】  産業界から自戒を込めて言わなきゃいけないんですけど、産業界はPDCAということを盛んに言うんです。理由は非常に簡単でして、それをやらないとお金がどんどん、野放図に使われちゃうんですよ。だから言うんですね。

 だから、常にそこに立ち返らないと、どんどん利益を生まないようなことが起こるからやっています。だから、石川先生のおっしゃる、その基礎研究の特にその辺については、ますますお金を、それを外したらお金をどんどん使っていきますんでね。という産業界のちょっと自戒を込めて。実際はだけど、石川先生のおっしゃることでしょう。あれ、チェックばっかりやっていたら絶対にいい研究ができないはずですから。だって、チェックする側の人のほうが古いわけですから。その人たちが新しいものができるわけがないんですよね。

 よく言われますよね。ノーベル賞をもらった人の5割の方々は否定されていたっていうんですよね、最初に。ですから、それぐらい新しい考えを出す人はやっぱり違った人たちですよ。

 それから、私、化学業界にいて、どっちかというと重厚長大側のほうで、したがって、この柘植先生のことが非常によくわかるんです。リチウムイオン電池の基本特許を持っている旭化成の吉野フェローという人がいるんですけれど、この方なんかは、カーボンファイバーの研究者でも何でもなかったんだけれど、カーボンファイバーを旭化成がやっている話を小耳に挟んでぱっとヒントが出たんですね。

 それはこの図で、8の図でも何でもいいんですけど、言われてみれば派生技術というようなところで出てきたんだと思うんですけど、考えようによっては、人によってはものすごいアイデアをぽっと気がつくということは、石川先生流に言うと、何か違う図で描けるのかなと。それで、私は重厚長大側にいるのでこの図がわかりやすいんですけど、やっぱり前田先生とか石川先生がおっしゃるようなことを何かひとつ別の形で、今度違う形の図をつくってもらったら僕らも理解できると思うんですけど。そちらのものが存在することはよくわかるんですよ。特にニュービジネスと言われる部門はそうだと思いますので、ひとつお願いいたします。

【柘植主査】  はい。羽鳥委員、どうぞ。

【羽鳥委員】  すいません、1点だけ。テンプレートに関して、あとつけ足す部分がどんなことかという、そういった視点でございます。受け渡しのインターフェースを見える化するって、これはこれで大変すばらしいことだと思うんですけども、もう1つの視点として、最終的にはイノベーションが出るその出口というんでしょうか、最終出口に対して、それぞれの役割者のトータルに対するコントリビューションという、それをどう書けばいいのかわかりませんけれども、単にAさんとBさんの間の受け渡しっていう部分的なパーシャルなものじゃなくて、トータルのアウトプットに対するそれぞれの役割者のコントリビューションみたいなものの何か図を描けるといいのかなというふうに思いました。

【柘植主査】  渡部委員、今の話は知財によって私は確保することを含めて、今のは非常に大事な話だと思うんですけども、何か今の羽鳥委員のおっしゃったことに対してこうしたらどうだってサジェスチョンはございませんか。

【渡部委員】  ちょっと今の話と違うことは、単純に感想になってしまうんですけど、絵に描くと、例えばシーズとかニーズとか価値とかそういう言葉は使われるんですけど、これなかなかやはり実際難しいのは、非常に基礎研究的な話も含んでいるので、その時点でじゃあ技術っていうのは一体何なのかというのは単なる科学的な知識なんですよね。科学的な知識というのは、日々、研究者の頭の中にしかないのでどんどん変化をしていくし、不確実性が高いし多義的だし、価値というのはその多義性の中に含まれますし、知識である以上はスピルオーバーがあって、ほっておいても拡散をしていくと。一方では粘着性があって、知識によっては非常に粘着性の高いものがあって、なかなか受け渡そうと思っても受け渡せないと。

 そういうものをどうやって整理していくかと。スピルオーバーがあるから科学技術政策というのがあるので、過少投資になる、自分がやってもその企業がやっても必ずしもそれを果実を全部手にできないので過少投資になるので、科学技術に対する投資が正当化されるとかいろんなメカニズムがあって、その中の1つとして、知識は制御が非常に難しいので、知財である程度コントロールしようというのが知財の役割なんですよね。そういう意味では、一般論としては今の話としては、手段として知財を持ってくるというのはあり得ますと。

 ただ、本質として、やっぱり結局知識の特性と、それからそれぞれのセクターの役割、ビジネスセクターとガバメントと大学とは違うわけですけども、日本の場合は、でもビジネスセクターのリサーチャーの数が最も多いので、実際はそこに対して、大学とかガバメントのリサーチャーの成果・知識をどういうふうに貢献させていくかということ。知識の特性をもとにして設計していかないといけないです。

 それがそのさっきの絵でコメントしにくいというのが感想です。すいません。

【柘植主査】  ありがとうございます。そろそろ時間が来ましたので、最後にどなたか。三木委員、一言、ご感想でも結構でございますけれども。

【三木委員】  絵自体は理解はできます。ただ、1つは時代の中で見ていく必要があると思っていまして。まず今からの時代を考えるときには、過去の成功体験をまず横に置くということから考えないといけない。そういう時代になっているんだと思うんですね。もちろん、過去の成功体験がある程度準用できるところ。そういうふうに思っています。そもそも人間活動、科学技術にしましてもビジネスにしましても、人間活動というのは境界領域がはっきりせずに、いわゆる偏微分方程式の世界で言えば、境界値問題がはっきりしない。初期値問題もはっきりしない。しかもケイ自身は非線形ケイだと。こういう中では、いろんなものがあちこちで起こっているわけですね。その中からどこかが発信しそうなところがあるはずなんですよね。そこを見つけた瞬間にいかに突破力を持たせるか。そういうことだと思います。その突破力の中で、ビジネス面での排他力になるのは知財権であろうと。ただしこれも、日本、それから欧米、ここではある程度機能するでしょうと。アジア新興国で機能するかという問題がございます。

 それから場合によったらシナリオによっては、知財権ではなくてコモンズ化したほうがいい場合もある。これはもう情報の世界ではリナックスの成功を見てわかるように、そういう場合。ケース・バイ・ケースなんですね。ですから、ステレオタイプなモデルでは何も言えなくなりますので、基本的には発信しそうなものをいかに突破力を持たせるのか。そこにおいて受け渡しであったり、一気通貫であったりというところがあると思います。

 ですから、基本的に突破力のあるものをどういうふうに見つけるかという部分ですね。ここに肝があるなと私は思っています。それを見つけた瞬間に何をしなければならないかというと、非常に曖昧かもしれませんけれども、仮説のシナリオをつくらないといけない。このシナリオをつくるプロデュースできる人が、どういうふうに今育てられているのか。そういう人たちを我々はいかに育てようとするのかということだと思います。

 そして、シナリオがあれば、それは仮説のシナリオでいいんですけれども、必要な要素は見える化を必ずさせるんです。すべてを見える化させる必要はなくて、必要なものを徹底的に見える化。しかもそれは、世界中に見える化させる必要はなくて、そのチームの中が見える化する。そういうふうにして、イノベーションというのは、今からインクリメンタルなイノベーション以外の、少し違う形のイノベーションのことを据えておかないと、大学は単に今の長い産学連携の中でいきますと、多くの方々がインクリメンタルのイノベーションに動員されつつあるような気もいたします。そこが、今から、我々、よく判断する必要があるのではないかと。ほんとうに感想めいた話ですけど。

【柘植主査】  ありがとうございます。時間が来ましたので、この第2の議題も、とりあえず今日のとしては送りたいと思いますが、今日は、鷲﨑さんからの見える化の1つの考え方と、それから柘植のほうから提案があって、それに基づいて、それが有効であろうという面と、それから有効ではない、逆にマイナスになる可能性の分野のイノベーションプロセスもあるんだよと、こういうご意見があってですね。

 今日の議論は公開をされていきますよね。ですから、これでさまざまなさらに日本全体で広がって、今日カバーできなかったところまでいろいろ現場方が工夫していくような動きになることを期待したいと思います。

 それでは、最後に今後の予定について事務局からお願いいたします。

【鷲﨑専門官】  では、今後の予定についてご連絡させていただきます。

 次回、第14回でございますが、11月12日月曜日の14時から16時を予定してございます。そして、第15回でございますが、12月10日月曜日、同じく14時から16時を予定してございます。こちらで提言の取りまとめを予定してございます。そして予備日といたしまして、12月19日水曜日、13時から15時を予定してございます。

 審議内容につきましては、資料4の下方に書かせていただいておりますけれども、主査とご相談させていただきながら、次回以降を検討していきたいと思います。

 以上でございます。

【柘植主査】  ありがとうございます。閉会の前に、ぜひ何かご発言がございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、ご多忙中のところ、大変貴重な時間を参画していただきましてありがとうございました。これをもって閉会といたします。

 

―― 了 ――

 

 

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