参考資料1 科学技術・学術審議会 第9回基本計画特別委員会における主な意見(項目別整理)

日時

平成21年12月1(火曜日)15時~17時

場所

文部科学省第2講堂

<基本計画特別委員会における中間報告(素案)について>

【中間報告(素案)の全体構成について】

○ 上手くまとまっている。科学技術イノベーション戦略では、2つの政策的アプローチが提言されていると共に、基礎科学・政策課題対応・社会と科学技術の三本柱で取り組みを進めていくということも適切である。
○ 従来の科学技術政策から、科学技術イノベーション政策へ大きく舵を切った点を評価。ただし、従来の体制にとって、変化には痛みを伴うものであることを覚悟しなければいけない。
○ 重要な政策課題への対応は極めて重要。今まで産業界は政策立案や実現に関わることは少なかったが、今後はより積極的に参画していくことが必要。
○ 報告書策定プロセスを事務局に任せるのではなく、委員がもっと踏み込まなくてはイノベーティブなものは出来ない。

【研究開発投資について】

○ 総研究開発費のうち政府は18%しか負担していない状況。政府研究開発投資を増やしていく姿勢が必要。
○ 諸外国が総額も大きく重点投資を行い、ハイリスクハイリターン研究開発にもしっかりと国が投資している現状を、科学技術政策動向に記載すべき。
○ 日本の総研究開発費に占める公的投資の割合は約2割で少ないが、公的投資が民間の投資を呼び込んでいることも事実であり、今日の社会をつくってきた実績があることを前提に記載することが必要。
○ 政府研究開発投資をGDPの1%を目指す必要性をどの様に訴えるかが重要。

【人材育成について】

○ 人材育成については、基本的方針の中で1つの柱として記載され、また、それぞれの施策の中にちりばめられていると理解したが、人を重要視していることをより分かりやすく強調して記載すべき。
○ イノベーションを起こすために、特に人材については産業界とアカデミアが協力することが重要。
○ 奨学金について記載が足りない。これでは支援をしないというネガティブな意思表示ととられかねない。
○ 経済危機だからこそ、若手に対する経済支援に取り組まなくてはならない。
○ 人材の多様性は極めて重要。ポイントは優れた人材が交わることであるが、日本では優れた人材が1つの場所に閉じこもる傾向にあるため、人材交流について工夫が必要。各国の最も優れた人を呼び込むことが重要。
○ イノベーションを担う人材は今の仕組みでは育たない。大学の先生はイノベーションの現場の実体験が無く、産業界等のセクターが建設的に関わることが重要。
○ 基礎科学力強化委員会では、大学の教室改革が大変重要であるとの認識であった。若手研究者の確保も重要だが、教室改革を行わなくてはポストが増えても意味がない。
○ 若い研究者がこの中間報告を読んだ時、具体的なことが書かれていないように感じるだろう。いくらぐらい金をかけるか、その代わりに若い研究者がどのような責任を負うのか、アウトプットはどうなるのか等の観点から、もっと踏み込んだ記載が必要。
○ マネジメントや知財等の人材育成のシステムを構築をする必要がある。
○ 学生の流動性を上げることを記載すべき。

【戦略的重点化について】

○ これまでの縦割の分野別重点化から政策課題による重点化になるが、今まで積み重ねてきた成果を如何に有機的・連続的に結びつけるかが重要。
○ 研究開発を進めるためのe-サイエンスや研究のツールとしてのハイパフォーマンスコンピューティングへの取り組みも重要。
○ 国民に分かりやすく伝えるには、目的・手段の連鎖で書いた方がよい。「安全・安心な社会の実現に寄与する科学技術」のように目標に対して科学技術をやるという形が望ましいのではないか。また、インプット、アウトプット、パフォーマンスを測定する仕組みを整備すると説明しやすくなる。
○ 中長期的に目指すべき国の姿を達成するため、重要となるのは他の施策とのシナジーや補完性を如何に引き出すかであり、述べておくべき論点。従来の役割分担のままで各省がそれぞれの施策をやるだけにならないか危惧される。

【科学技術コミュニケーションについて】

○ 科学技術リテラシーの向上は大変重要。アカデミアだけでなく、社会総掛かりでやるべき課題。
○ 社会に対する説明責任の強化と記載があるが、誰が責任を果たすのかが重要な課題。研究者が論文発表を通して行うのが一義的だが、一次情報をなるべくエンドユーザーである国民から見やすくする工夫が必要。国としてどのように説明責任を果たすのかも不明確。また、学協会の説明責任についても記載すべき。
○ 第三期基本計画でも社会との関わりについて書かれていたが、事業仕分けを見ると科学技術コミュニティが社会とのコミュニケーションをやってこなかったという構造が露呈した。産、政、国民、学協会も含んだ形での社会とのコミュニケーションを充実させることが必要。
○ 「国費で研究している研究者は、全員年に1回市民に対してレクチャーをすることを義務づける」くらいの緊急声明を出すべき。
○ キャッチフレーズとして、「市民とともに築く科学技術先進国」を掲げられないか。事業仕分けにおいては、理解が徹底していない中で科学技術政策が論じられた。これを改善するため、市民のリテラシー向上運動を強力に進めるべき。幼小中高における科学技術人材育成を正面から取り上げるべき。
○ 市民の科学技術リテラシーの話が出たが、市民だけを対象とするのであればこれは第三期以前に後退することになる。むしろ、科学者コミュニティの社会リテラシーを向上させることの方が重要であり、両方の視点を記載すべき。

【その他】

○ 国内に海外の人材を呼び込みづらいのであれば、海外に新しい研究所を作ることはできないか。国立大学でできないなら私立大学や国の研究所が出先機関を作ることはできないか。
○ 中国は政府の方針で孔子学院を作り、中国の思想を発信している。文部科学省でもそのようなことを考えてはどうか。
○ 科学技術イノベーション政策では、企業単独で支えられない公的な研究開発インフラが大きな力を発揮する傾向にあり、強調すべき。
○ 研究基盤の充実とその活用による科学技術イノベーションの推進は重要な柱の一つになる。
○ 知識、サービスということも重要なキーワード。
○ 司令塔組織について、複雑化した社会の中ではそれぞれの現場で対応することも必要だが、全体が見える所から方向性を示す機能も必要。また、司令塔という言葉は、「安全な位置にありモノがよく見えない場所」という比喩でも使われることから、言葉の使い方を検討すべき。

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