参考資料1 科学技術・学術審議会 第8回基本計画特別委員会における主な意見 (項目別整理)

日時:

 平成21年11月19日(木曜日) 15時~17時30分

場所:

 ベルサール九段 イベントホール

<国家基幹技術の今後の在り方について・科学技術・イノベーションの研究開発戦略について>

【イノベーションの創出について】

○ イノベーションの創出は、基礎研究の振興だけでは実現しないことを明確にすべき。イノベーションの最大の目的は雇用の創出。
○ まずはコンセプトがあり、これを実現するために必要な技術(必ずしも新しい技術である必要はない)を組み合わせることによってイノベーションが創出される。必ずしも斬新なものだけでイノベーションが起きるということではないことに注意すべき。
○ 「科学技術・イノベーション」とする意義は、単なる科学や技術の振興だけでなく、イノベーションを阻害する様々な法規制等や社会的な部分にまで踏み込む取り組みであると理解。第4期では、様々なテーマに横串を通すという説明だけでは済まない。第3期からの変化を国民が分かるような形で見せることが必要。
○ 日本の科学技術振興を考える際、文部科学省だけでなくイノベーションに近い省庁、例えば、経産、農水、厚労省等がしっかりと科学技術を考えるべき。省庁間のすりあわせを行うことが極めて重要であるが、日本にはこれが決定的に欠けている。イノベーションを担当する省庁を含め、もっと基礎科学や基幹技術を尊重する姿勢や我が国として総合的な検討が必要。
○ イノベーションの創出のために必要となる、関連する分野や人の基礎的な情報を得づらい現状がある。学術界がそのようなデータベースを作るべき。

【基礎研究の基盤について】

○ 現在行っている研究についてだけではなく、研究に付随して新たな知識を生み出すような基盤(人、機関、制度)が構築されていることが、新しい力を生み出す源泉となる。

【人文・社会科学との協働について】

○ 第3期基本計画にも人文・社会科学との調和に関する記載があったが、本委員会の資料では、学術に関する記載があり、一歩踏み込んだ印象。具体的に進めて行くにはもう少し努力すべきで、例えば、イノベーションに向けて人文社会系の人が参画し、意見を活用できる場の形成などが必要。
○ 科学技術の革新がもたらすイノベーションは、社会システムの変革をもたらすものである。それは、現在あるシステムからイノベーションを創出するということだけではなく、現在の社会システムそのものが持続可能かをまず検討することなどが必要で、その際に人文・社会科学を活用する視点を入れることが必要。

【社会と科学技術との連携について】

○新しいものを創って産業競争力を上げるという時代は終わりつつある。新しい仕組み、社会システムを提案して世界に広げる形で貢献すべき。この中で公的研究機関が新たな役割を担う責任を持っている。
○ (今回の資料は)シーズ側、ニーズ側というアプローチで分かりやすく整理されている。諸外国では科学技術投資の理由を国民の繁栄、生活の質の維持向上、持続可能社会の実現といった中で位置づけている。国としての大きな目標からブレイクダウンしていくことが重要。

【戦略マネジャーについて】

○ 何年もかかるプログラムについて誰が戦略マネジャーをやれるのか。民間ではミッションを与え、それを評価に結びつける工夫をしながらやっている。こうした民間の取り組みを戦略マネジャーにどう当てはめるかが見えづらい。これは一つのチャレンジだろう。
○イノベーションで谷を越えていくプロセスは霧の中で橋を架けていくようなもの。頻繁に研究の方向を変える必要に迫られる研究において、これを誰がマネジメントするのかが一番重要。この観点からMBAとPh.D.の両方を持っているようなマルチタスクな人材が重要であるが、日本ではそういった人材が少ない。こうした能力を持った人材を意識的に養成することなどについて考えるべき。

【研究開発戦略全体について】

○ 第3期までは分野縦割りでの重点化で、重点分野や国家基幹技術は国民に分かりづらかった。社会の問題解決に向けて、重要な課題を打ち出し、他の分野と融合してプロジェクトとしてやっていくというのは良い。
○ (今回の資料は)難しい事柄を大変分かりやすくまとめており、課題解決のために取り組んでいくというのは良い。それぞれの分野の研究者を如何に蛸壺から出し、分野の異なる人と交わらせるかということが課題。これはプラットフォーム等の概念だけで説いても難しいので、インセンティブを与えていくことが重要。

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科学技術・学術政策局計画官付

(科学技術・学術政策局計画官付)