資料2 「研究活動における不正行為への対応」3原則

 「研究活動における不正行為への対応」の問題は、《知の生産のプロセスにおける品質管理》の問題であり、個々の生産者はもちろん、生産の場である研究機関、研究者の切磋琢磨・相互批判の場である研究者コミュニティも、それぞれの立場において、この《品質管理》のための厳しい自己管理を行わなければならない。それが「研究者倫理」といわれるものの核心である。
 行政は、この《品質管理》が正しく行われることを重大な関心をもって見守りつつ、健全な研究活動への支援を送っていくべき立場にある。
 このような認識を踏まえれば、《品質管理》のシステム構築にあたっては、以下の3原則が前提とされるべきである。

1 研究活動とその公表の本質(先人の業績を踏まえつつ、自らの発想に基づいて行った知的創造活動の成果を、検証可能な根拠を示して、研究者コミュニティーの批判を仰ぐ)からすれば、被疑研究者が「不正行為」を行っていないことを立証する責任を負うものである。

2 上述の本質に即して考えれば、「不正行為」に関する調査・認定、およびその結果に基づく不利益処分等の措置は、被疑研究者が属する研究機関、または研究者コミュニティー組織・機関の責任において自立的・自律的に行うべきものである。行政は関与すべきではない。

3 行政は、公的資金による研究支援の適正性の維持について重大な責任を負う。この研究支援は、正当な研究活動に対するものに限定されなければならない。「不正行為」があったことが証明された場合はもちろん、上述の挙証責任の原則からすれば、被疑研究者の申し立て如何にかかわらず、「不正行為」を行っていないことが立証されない限り、その者に対する支援は打ち切り、さらに以後の支援申請資格に一定の制限を課す等の措置をとるのが当然である。
 行政機関(独立行政法人を含む)は、適切な措置をとるために必要な組織をあらかじめ設置しておき、「不正行為」があった場合(挙証責任の原則によって、「あった」と看做される場合を含む)には、その組織の調査・認定に基づき、迅速に対応するものとする。

 

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