資料6 我が国の研究活動における不正行為への対応状況

1 日本学術会議

(1)第18期(平成12年7月~平成15年7月)

○ 学術と社会常置委員会対外報告「科学における不正行為とその防止について」取りまとめ。(平成15年6月)〔参考資料2〕
○ 報告では、科学者倫理について、科学者の研究遂行、成果発表における「不正行為」に関わる問題を中心に、その組織的背景について論じた後、その実態、特徴、誘因と対応策を検討し、科学者コミュニティが果たすべき課題について問題提起。

【報告のポイント】

  • 科学における「不正行為」は、人々の生活、福祉に重大な影響を与えるだけでなく、科学と科学者に人々が託した夢と信頼を裏切る行為。
  • 「不正行為」の防止は、科学者コミュニティが社会に対する説明責任を果たし、「科学者が広く国民から評価され、尊敬される社会」(科学技術白書)を築くためには不可欠な実践的課題。
  • 日本学術会議が「科学者の代表」として、不正行為の抑止と研究上の「誠実」の確保に向け、鋭意、審議を進めるべき。

(2)第19期(平成15年7月~平成17年9月)

○ 学術と社会常置委員会対外報告「科学におけるミスコンダクトの現状と対策-科学者コミュニティの自律に向けて-」取りまとめ。(平成17年7月)〔参考資料3〕
○ 報告では、第18期の対外報告を踏まえ、国内の学会の倫理に対する取り組みの現状、海外におけるミスコンダクトの防止策と事後処理の制度の調査結果を概要としてまとめるとともに、我が国におけるミスコンダクト防止と事後処理のための制度を具体的に考察。事後処理制度の策定にあたり考慮すべき事項を提示。

【報告のポイント】

  • 研究機関・組織に対しては、倫理綱領、行動規範を策定、公表し、さらに、明確かつ公正な事後処理の手続きを制定、周知させる努力を早急に開始すべき。
  • 学会、研究資金提供機関に対しても同様の行動を期待。
  • 日本学術会議においては、科学者コミュニティを代表する立場から、その自律性を担保するために、学会、関係機関と連携して、科学者の行動規範、憲章の提示などを含め、積極的に倫理活動を展開するとともに、独自の専門審理裁定機関を日本学術会議内あるいはこれに近接して設置することを検討すべき。

(3)第20期(平成17年10月~)

○ 第18期、第19期の検討をさらに進めて、実効性のある具体案を策定すべく、検討を継続。
○ 大学・研究機関、学会等科学者コミュニティ、科学者個人に向けた行動規範について検討するため、「科学者の行動規範に関する検討委員会」を設置。平成18年夏を目標に検討中。〔参考資料4〕

2 学会

○ 日本学術会議が平成16年に行った調査によると、回答のあった838学会のうち、倫理綱領等の制定状況については以下のとおり。(「科学におけるミスコンダクトの現状と対策」(平成17年7月日本学術会議学術と社会常置委員会))

  • すでに制定している学会97学会
  • 作成中の学会13学会
  • 検討中の学会87学会

○ 学会が制定している倫理綱領等の事例〔参考資料5〕

  • 経営情報学会(経営情報学会倫理綱領)
  • 電子情報通信学会(電子情報通信学会倫理綱領)
  • 日本化学会(日本化学会会員行動規範)
  • 日本原子力学会(日本原子力学会倫理規程)
  • 日本社会学会(日本社会学会倫理綱領)

3 大学、研究機関等

○ 大学、研究機関等が制定している倫理綱領等の事例〔参考資料6〕

〔大学〕

  • 東京大学(東京大学の科学研究における行動規範、東京大学科学研究行動規範委員会規則)
  • 名古屋工業大学(名古屋工業大学研究者倫理に関するガイドライン)
  • 同志社大学(同志社大学研究倫理基準、同志社大学研究倫理委員会規程)

〔研究独法〕

  • 理化学研究所(科学研究における不正行為とその防止に関する声明、科学研究上の不正行為への基本的対応方針)
  • 産業技術総合研究所(研究者行動規範、独立行政法人産業技術総合研究所におけるミスコンダクトへの対応に関する規程)

4 総合科学技術会議

○ 平成18年2月28日の総合科学技術会議本会議において「研究上の不正に関する適切な対応について」決定。〔参考資料7〕

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(科学技術・学術政策局政策課)