参考6 主要各国における研究活動の不正行為への対応について

国名 対応主体 制度の概要 ガイドライン等
米国 政府機関大学・研究機関 ○連邦政府規律(Federal Policy on Research Misconduct)の制定のほか、保健福祉省の公衆衛生庁(PHS)に研究公正局(ORI)を設置するなど、生命科学分野を中心に、研究活動の不正行為に対して、立法を含む多様な取り組み。
○連邦政府が資金援助した研究には、研究機関は不正の予防と調査の責務を有し、連邦政府機関が監査権限を有するという仕組み。

(連邦政府)
○大統領府科学技術政策局(OSTP)が、2000年12月に連邦政府規律(Federal Policy on Research Misconduct)を制定。連邦政府が資金援助した研究に適用(連邦政府の各機関がこの規律を適用した場合に実行力が生じる)。現在までに保健福祉省、国防総省など10機関等が適用。
○この規律において不正行為の範囲を、研究の計画・実行・評価、研究結果の報告における「捏造」、「改ざん」、「盗用」と定義。

(保健福祉省)
○保健福祉省では、公衆衛生庁(PHS)に研究公正局(ORI)を設置。PHSが助成している研究活動における公正さを監視・指導。研究の不正行為に関するPHS規律(Public Health Service Policies on Research Misconduct)を2005年に改定。
○研究の不正行為に関するPHS規律では、規律の適用範囲、不正行為の定義、PHSから研究資金を受けている研究機関及びORIの責務など詳細に規定。
○ORIは、上記の規律に基づき、不正が申し立てられた場合の手続等に関し、次の対応方針を改訂。
1)Model Policy for Responding to Allegations of Scientific Misconduct
2)Model Procedures for Responding to Allegations of Scientific Misconduct
○当該Model Policyにおいて、PHSから研究資金を受けている研究機関に示している方針の内容
1)疑いのある事例の受付
2)告発すべきかどうかを決める照会調査
3)公式調査
4)確認調査結果のORIへの報告を義務付け

英国 大学・研究機関 ○英国科学技術局(OST)と傘下の研究評議会(RC)群は、研究活動の不正行為を防止し、健全な科学の実践を担保するための原則を定め、研究資金を受けている研究機関に対して、この原則を取り入れた具体的なガイドラインを策定、周知することを勧告。
○研究資金を受ける大学、研究機関の多くがそれに対応した規則を有する。
○法制化あるいは政府機関が直接関与するには至っていない。
(英国科学技術局)
○英国科学技術局(OST)が不正行為防止の原則(Safeguarding good scientific practice)を次のように設定。
1)健全な科学活動の原則に基いたガイドラインの策定、周知
2)ミスコンダクトの審査に関して、明確に独立した機関の組織
3)審査手続きの明示、周知
4)ミスコンダクトの申し立て者と被申し立て者に対しての公正さ
5)審査が終わるまでの秘密厳守(医学研究評議会)
○医学研究評議会(MRC)は、不正行為申し立てに対する審査手続を次のように勧告。(Policy and Procedure for Inquiring into Allegations of Scientific Misconduct)
1)申し立てが不正行為にあたるかの判定のために当事者から意見聴取
2)正式調査の必要性を評価し、必要な場合には調査委員会設置
3)ミスコンダクトが確認された場合、解任、最終通告、仕事の監視、昇給停止、解雇等の制裁
4)処分された側からのアピールの仕方を規定

国名 対応主体 制度の概要 ガイドライン等例
独国 大学・研究機関 ○自由と独立心の強い精神的土壌に根ざしたドイツの研究システムにおいては、科学界独自で不正行為への対応を模索。
○ドイツ研究協会(DFG)は、科学における研究者の自己規制に関する委員会を設置。委員会は科学倫理の扱いと不正行為の申し立ての方法についての提言を発表。
○ドイツ学長会議(HRK)は、DFGの提言に基づき、不正行為の申し立てを処理するためのモデルガイドラインを制定。

(ドイツ研究協会)
○ドイツ研究協会が科学倫理の扱いと不正行為の申し立ての方法を次のように提言。(Recommendations of the Commission on Professional Self Regulation in Science)
1)健全な科学活動の基準を明確にし、周知すること
2)若い研究者の教育に関心を払うこと
3)ミスコンダクトの疑いがある場合などには、独立した仲介者を指名すること
4)ミスコンダクトの申し立ての手続きを策定し、当該機関で承認を受けること
○科学倫理に関して研究者・技術者からの疑問に答えるとともに、その支援を行うオンブズマンの配置も考慮。オンブズマンは3名の委員から構成され、年1回報告書を発行。

(ドイツ学長会議)
○ドイツ学長会議は、ドイツ研究協会の提言に基づき、メンバーの大学に対して不正行為の取り扱いに関してのモデルガイドラインを提示。当該ガイドラインに基づき、各大学が早急に取り組みを進めるか、又はその取り組みを強化することを提言。
1)オンブズマンは1名以上のベテランの科学者を指名すること
2)大学の教授が主体となった調査委員会を設置すること
3)手続きの順番は、予備調査、正式調査、措置
4)若い研究者に対して科学倫理の教育を行うこと
○2000年半ばまでに13の大学で倫理規定および申し立て処理の規定が作られ、その他の17の大学でも進行中。

デンマーク 政府機関 ○デンマーク研究省(DRM)に設置されたデンマーク科学研究不正委員会(DCSD)が不正行為防止に取り組んでいる。
○委員会には、人文・社会科学、自然科学(医学・健康科学を除く)、医学・健康科学の3つの委員会を設置。(各委員会における結論の均一性確保のため、議長(高等裁判所裁判官)は共通。)
(デンマーク科学研究不正委員会)
○デンマーク科学研究不正委員会における研究活動の不正行為の取り扱いを次のように行政令で規定。
1)デンマーク行政法に基づく研究活動の不正行為の申し立てを取り扱うこと
2)科学研究の不正は、改ざん、盗用、隠蔽及びそれに類する行為とする
3)委員は1人の議長と6名のメンバーから構成される。議長は大臣から任命される
4)必要な場合には数人の委員を含む特別委員会を設置できる
5)活動に関する年次報告を公表する
○デンマーク科学研究不正委員会は、健全な研究活動のための次のようなガイドラインを公表。
(Guideline for Good Scientific Practice)
1)Guidelines for the presentation of experimental protocols and reports, data documentation and data storage in basic health research
2)Guidelines for the presentation of research plans and protocols, data documentation and data storage in clinical and clinical-epidemiological research
3)Guideline for agreements at the initiation of research projects
4)Guidelines on the rights and duties in the storage and use of research data
5)Guidelines concerning authorship

※「科学者の不正行為」(山崎茂明著)、「科学におけるミスコンダクトの現状と対策」(日本学術会議学術と社会常置委員会報告(平成17年7月21日))等を参考に文部科学省において整理。未定稿。

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