資料1‐2 第3期科学技術基本計画の重要政策(中間とりまとめ)概要(案)
科学技術・学術審議会
基本計画特別委員会(第10回)
平成17年3月29日
1.科学技術の投資戦略-成果の社会への実装に向けた科学技術の推進-
1.基礎研究の推進
- 自由発想研究は科学の発展とイノベーションの創出の源泉
- 多様性の確保を旨として、新しい知を生み続ける重厚な知的蓄積を形成
- 政策目的基礎研究
- 政策に基づき具体的応用を想定した基礎研究として、社会の課題解決に対して多様な選択肢を提供
2.重点分野における選択と集中
- ライフ、ナノ・材料、情報、環境の4分野及びこれらの融合領域
- 4分野におけるさらなる重点領域の絞り込み
3.国家基幹技術~国の持続的発展の基盤であって長期的な国家戦略を持って取り組むべき重要な技術
- 資源・エネルギー、環境、国土保全、災害監視等の国家の総合的な安全保障に密接に関わり、我が国の存立基盤を支える重要技術
例)地球規模の統合観測・監視システム、宇宙輸送システム
- 科学技術の発展を強力に牽引し、先端的成果が得られる世界最高性能の研究設備を実現する技術
例)ペタフロップス超級スーパーコンピュータ、超高速タンパク質ファクトリー
4.課題解決型研究開発~安全・安心に資する科学技術、経済活性化に資する科学技術等
5.新興・融合領域への対応
2.科学技術関係人材の養成・確保
1.優れた研究者の確保
○ 公正で透明性の高い人事システムの構築
- 年齢、性別、国籍等を問わず能力主義に基づく競争性・流動性を原則とした公正・透明な公募採用の徹底
- 流動性向上と創造的研究環境醸成のため、研究者を任期を付さない職につける際には「一回異動の原則」を奨励
○ 若手が自立し、活躍の機会が与えられる仕組みの整備
- 任期制の普及促進と研究者の流動的な市場の形成
- 「テニュア・トラック制」導入を分野ごとの特性に応じ促進
- 若手へのスタートアップ資金を確保、競争的資金を拡充
- 研究者を志すポスドクをテニュア・トラックの前段階と位置づけて支援
○ 多様で優れた研究者の活躍の促進
- 女性研究者の活躍を重点的に促進
- 各機関における出産・育児との両立支援、自主的な数値目標の設定と達成状況の公開を促進
- 外国人研究者の活躍を促進
- 各機関における自主的な外国人採用計画・目標の設定
- 真に優れた高齢研究者は、定年後でも能力発揮を期待
2.社会ニーズに対応した人材の養成
- 高度な人材養成の中核である大学院における教育の質の抜本的強化
- 教育の課程を重視し、組織的展開を強化
- 博士課程在学者への経済的支援の充実等を推進(トレーニーシップ的なグラントなど)
人材養成面での産学官連携を強化
- 質の高い長期のインターンシップ、産学協働による教育プログラム開発
- 産学官共同研究への学生・ポスドクの参画を促進
- 博士号取得者の産業界への就業促進などキャリアパス拡大
- 産業界等の努力をも求めつつ、多様なキャリアパス開拓に繋がる環境を整備
- 知の活用や社会還元を担う人材養成を推進
- 産学官連携を推進する知的財産・MOT人材、科学技術コミュニケーション人材等の養成を推進
- 技術者等の社会人の再教育やものづくりに係る学習の振興
3.次代を担う人材の裾野の拡大
- 理数好きの子どもの裾野の拡大
- 初中教育段階から子どもが科学技術を学び親しむ環境を形成
- 教員の資質を向上するため、大学の教職課程を改善・充実
- 興味・関心の高い子どもの個性や能力の伸長
- スーパーサイエンスハイスクール、高大接続等を支援
3.知の時代を先導するイノベーションの創出
1.研究の発展段階に応じた研究開発資金制度の整備
○ 研究の発展段階に応じ、各制度の趣旨、評価法、推進方策等を明確化
○ 論文発表に留まらず、目に見える形で技術革新を狙う制度を推進
- 推進方策や評価法を工夫した「技術革新型公募資金制度(仮称)」を推進
- プログラムマネージャーによる、具体的な応用や用途を見据えた目標設定と研究進捗管理
- そのうち、大学等を中核とした研究拠点を形成して技術革新を狙うものを「先端融合領域拠点形成事業(仮称)」として推進
○ 基礎研究の成果を実用化まで繋ぐ仕組みの構築
2.産学官の持続的・発展的なパートナーシップの確立
○ 産学官連携は持続的な発展を目指し、本格的な実行の段階へ
- 従来型の共同研究・技術移転に加え、基礎から応用まで一貫して産学官が協働で共同研究に取り組む戦略的・組織的な連携を推進
- 大学等と地域の中小企業との間で具体的な技術課題を解決する地域貢献型の共同研究等を推進
○ 研究成果の社会還元の促進
- 大学等の知的財産の管理・活用体制の整備や特許化を推進
- 大学発ベンチャーの創出とそれによる新技術の事業化などを推進
- 起業家精神を持つ分厚い人材層の形成を促進
○ 公的部門における新技術の活用促進
- 公的部門と研究機関との連携を促進し、調達までを見据えた研究開発を推進
- 国が率先して初期需要者として機能することや、研究開発型ベンチャーの能力活用に取り組むことが重要
3.地域イノベーション・システムの構築と豊かで活力ある地域づくり
○ 国と地方公共団体との協力及び相互補完
○ 地域施策と各分野の研究開発戦略との整合性確保
○ 地域クラスターの育成
- 世界レベルのクラスター形成に向けた戦略的な集中投資
- 地域特性を活かした多様なクラスターの育成
○ 関係府省の連携強化
4.創造的で質の高い研究開発システムの構築
○ 競争的資金の拡充と制度改革の推進
- 基盤的経費を確実に措置しつつ競争的資金を拡充
- 制度の多様化を踏まえ、各制度の趣旨等に即して運用
- 公正で透明性の高い評価システムの確立
- 全制度において間接経費30パーセントを措置
- 研究者の利便性等に配慮した電子化の推進
○ 評価システムの改革
- 研究者を励まし、優れた研究開発を見出し、伸ばし、育てるような評価
- 評価資源の確保、支援体制の整備
- 評価疲れ問題の克服
4.科学技術システムの基盤強化
1.知識基盤社会の時代における大学の改革
○ 世界最高水準の大学院の形成
- 大学院教育の質の抜本的向上(実質化)、国際通用性・信頼性の向上等を通じ、国際競争力を強化
- 「ポスト21世紀COE」の計画を検討し具体化
- 博士課程在学者への経済的支援を充実
- 今後5か年程度を見通した「大学院振興計画(仮称)」を策定
○ 各高等教育機関の特色に応じた人材の養成
- 各学校種ごとの役割・機能を踏まえた教育や研究を展開し、各学校ごとの個性・特色を明確化
- インターンシップをはじめとする産学連携を活用した人材養成システムの再構築
- 高等専門学校における基盤技術等を支える中核技術者教育を推進
○ 高等教育に対する公財政支出を欧米諸国並にするよう最大限の努力が必要
○ 機関補助と個人補助の適切なバランス、基盤的経費助成と競争的資源配分の有効な組み合わせ(デュアルサポートシステム)が重要
2.科学技術振興のための基盤の整備
○ 大学等の施設・設備の整備
- 国立大学等の施設整備5か年計画を策定
- 私立大学の研究施設に対する財政支援の充実
- 施設・設備の有効活用を目指し、大学経営としてマネジメントを推進
○ 先端大型共用研究設備の整備・共用の推進
- 我が国の最先端技術を駆使し更に発展させるため、世界最高性能の先端大型共用研究設備を整備し、産業を含め広く共用することを通じ、世界最高水準の成果を創出
- 国が計画的・継続的に、整備から運用まで一体的に推進するための仕組みを構築
○ 知的基盤の整備
- 「知的基盤整備計画」を見直し、2010年に世界最高水準になることを目指す
- ニーズの把握から整備、提供までの統合的運用を目指し「中核的センター」を指定・育成し拠点化
○ 研究情報基盤の整備と学協会の活動の推進
3.科学技術の国際活動の戦略的推進
○ 「競争と協調」「協力」「支援」のアプローチを使い分け、国際活動を戦略的に推進
- 国際活動を担う人材層を充実
- 海外の優れた研究者、海外で活躍する日本人研究者を登用する取組を支援
- 「東アジア共同体」構想を先導するべく東アジア科学技術コミュニティの構築を目指す
- 国際活動基盤の強化
4.科学技術と社会の関わり
- 科学技術への理解と共感の醸成に向け、研究者等のアウトリーチ活動、科学技術コミュニケーション人材の養成を推進
- 成人が身に付けるべき科学技術リテラシーの水準・内容の検討を推進
- 倫理的・法的・社会的課題(ELSI)への対応
- 生命倫理問題、ナノテクの社会的影響
- 社会の新たな要請に応えるための科学技術活動の展開
- 安全・安心の確保、心の豊かさの向上への貢献、人文・社会科学への期待

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