資料3 先端大型共用研究設備の整備・共用の推進/基幹技術の推進

科学技術・学術審議会
基本計画特別委員会(第9回)
平成17年2月25日

第2期基本計画中の進捗状況

先端大型研究設備については、第二期基本計画期間中に、

  • 大型放射光施設(SPring-8、1997年10月運用開始)の運用本格化、重粒子線がん治療装置(HIMAC、1993年11月運用開始)の運用本格化
  • 地球シミュレータの運用開始(2002年3月)、Eディフェンスの運用開始(予定:2005年4月)、地球深部探査船の完成・訓練開始(予定:2005年5月)
  • 大強度陽子加速器(J-PARC)の建設開始(2001年4月)、等の動きがあった。
  • 国際的な取組みとして、国際熱核融合実験炉(ITER(イーター))計画に関し誘致交渉を含めた政府間協議が行われている。
  • 科学技術・学術審議会技術・研究基盤部会知的基盤整備委員会で「先端大型研究施設・設備の活用促進について」をとりまとめ(平成16年8月)
     ・先端大型研究施設・設備は、汎用性のあるものでも当初は特定の研究ニーズを想定して整備されるため、中長期的には研究成果が特定の分野に固定されたり、十分な成果が輩出されなくなる可能性が内在しており、一部施設・設備において、その兆候が見られる。
     ・我が国全体として、施設・設備の能力を最大限に活用するため、産業界を含め、常に新規利用者の拡大、新規利用領域の開拓を図っていくような取組みを行うことが必要。
  • 科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会国として戦略的に推進すべき基幹技術に関する委員会において、「国として戦略的に推進すべき基幹技術について」をとりまとめ(平成16年12月)
    (競争力の維持・強化、自立性・自律性の確保、存在感・魅力の発揮の三つのビジョンを実現するためのターゲットに対応した大規模な研究開発プロジェクトの候補を掲げた。)
  • 先端大型研究設備の運用が本格化するなか、不十分な新規利用者、不十分な各種支援体制といった問題が顕在化している。これら問題の解決に向けて、「先端大型研究施設戦略活用プログラム」が2005年4月から開始される予定である。

現状の課題

  1. 厳しい国際競争環境において必要十分な競争力を我が国が維持していくには、我が国が得意とする精密機械技術、エレクトロニクス技術、製造技術等を駆使して、世界最高レベルの先端大型設備を整備し、最高水準の成果を輩出していかなければならない状況である。
  2. 科学技術分野の国際競争力強化のためには、汎用性の高い先端大型設備の広範な共用・利用が推進されるべきところ、研究機関が本来の目的を達成するために整備した設備については、当該設備を保有する研究機関の利用がどうしても優先される等の理由により、幅広い分野の研究者による共用・利用に限界がある。
  3. 先端大型設備の整備・共用は、通常、数十年にわたる事業で、財政的負担も大きく、計画的な取組みが必要であるにもかかわらず、このための仕組みが十分に整っていない。
    「SPring-8に関する中間評価報告」(平成14年9月)、
    「地球シミュレータ中間評価報告」(平成16年12月)、
    「大型研究施設・設備の現状と今後の課題」(平成16年6月科学技術政策研究所アンケート)、
    SPring-8、地球シミュレータ、E-ディフェンスの関係者ヒアリングより

第3期基本計画において採るべき主要な方策(案)

【先端大型共用研究設備について】

 先端大型共用研究設備は最先端の研究開発活動の基盤をなし、いわゆる「国として戦略的に推進すべき基幹技術」としても重要。所要の仕組みの見直しを行ったうえで計画的かつ効率的な整備を進めていく必要がある。

1.世界ナンバーワンの共用設備の重要性

 我が国が得意とする精密機械技術、エレクトロニクス技術、製造技術等を駆使して、切れ目なく世界最高性能の先端大型共用研究設備を整備し、その共用を通じ、基礎研究から産業技術開発までの広い分野において世界最高水準の成果を創出し、以って、我が国の国際競争力を飛躍的に向上させる。

2.我が国オンリーワン設備は国が整備

 先端大型共用研究設備は、整備・運用に多額の経費を要し、基礎研究から産業技術開発まで我が国の研究組織をあげて広く共用することが大きな研究開発の成果につながるため、公平で効果的な共用を進める観点から、特定の研究機関の事業としてではなく、国が責任を持って先端大型共用研究設備を整備し、共用を促進すべきものである。

3.適切な運営組織による共用

 先端大型共用研究設備を整備し、共用を促進するに当たっては、最高の装置により最大の効果をあげるため産学官の様々な組織から最も適した組織を選択し、公平で効率的に運用実施させることが必要である。

【先端大型共用研究設備の整備・共用推進のための仕組みの構築について】

  • 国は先端大型共用研究設備を巡る諸問題を解決するため、計画的かつ継続的に、先端大型共用研究設備の整備から運用まで一体的に推進するための仕組みの構築を検討する。
  • 国は、先端大型共用研究設備の整備・運用を行うに当り、最も適した組織のポテンシャルを活用しつつ、設備の管理・運営を効率的に推進する仕組みの構築を検討する。

お問合せ先

科学技術・学術政策局計画官付

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(科学技術・学術政策局計画官付)