資料1 科学技術・学術審議会総会(第15回)(平成17年2月8日)における意見の概要(基本計画特別委員会における検討状況報告(主に科学技術の戦略的重点化)に対する意見)

科学技術・学術審議会
基本計画特別委員会(第8回)
平成17年2月15日

科学技術の戦略的重点化

○ 基礎研究の推進は、戦略的重点化に位置付けられてきたが、研究者の自由な発想に基づく研究に対して、戦略的という言葉には違和感がないか。

○ 自由な発想に基づく研究であっても、研究者それぞれに戦略がある。問題は「戦略」という概念をどの次元で使うかである。

○ 科学技術創造立国には八ヶ岳ようにピークのみを高くするだけではなく、裾野の部分の基礎研究、特に萌芽期や揺籃期の研究は重要。人材発掘にも、基礎研究は重要な役割を担う。また、スーパーカミオカンデのように新しい装置や技術があって科学が発展することもあるなど、多重的な面がある。

○ 基礎研究を推進するためには、単に研究者の自由な意志だけでなく、研究者が情熱をもてる環境が必要。

○ どんな政策でも、プラスとマイナスがあるが、重点4分野の設定は、教育面でひずみをもたらしたという印象をもっている。

○ 基幹技術は重点4分野以外のものとして説明するのは好ましくない。科学技術を遂行するハードなインフラということではないのか。

○ 基幹技術におけるビジョン実現のための具体的な6つのターゲットの中に、「地球的な規模の問題への適切な貢献」とあるが、経済大国としての日本においては「適切な貢献」というより、「積極的な貢献」をする義務があるのではないか。

○ 基幹技術の候補は、今後文部科学省が優先順位をつけて絞り込んでいくものなのか、それとも例示としての概念整理なのか。

○ 基幹技術について、重要なものを選んでいると思うが、どのような技術が今後ブレイクスルーを起こすか予測がつかない。長い目で研究をみる環境も考慮してもらいたい。

○ 基幹技術について、産業界でも議論をしてきたが、これまでの重点4分野ように分野を狭くとらえるものとは異なり、社会の要請や国の視点に基づく技術であって、分野横断的なものととらえることができる。

科学技術関係人材の養成・確保

○ 科学技術は進展したにもかかわらず、理科離れがあり、ものづくり基盤が分散してしまっている。科学技術創造立国実現のために、人材育成が重要。若者の想像力の視点だけではなく、プロジェクトを推進するための人材育成や、伝統的な技術・技能の視点を大事にしていく必要がある。

○ 研究開発に携わる高いレベルのプロの研究者は必要。かつては修士課程を修了後、企業で経験を積ませて、論文博士をとらせていたが、このような方針ではもう間に合わない。大学において企業で通用するドクターを養成して欲しい。製造現場でも、新たなものを生み出すときには、サイエンスベースの知識が必要となってくる。

○ 大学院教育は重要であるが、現在大学院教育においては、大学院生は教授の研究の兵隊として使われ、狭い分野の研究しかしていない。教授は、研究をポスドクやリサーチアシスタントにやらせるべき。

○ 少子高齢化の問題が進み、理工系人材について量的不足が懸念される。米国でも、自国の優秀な人材が金融関係等に流れ、外国人の博士、修士が増えてきている。日本にも同じ事が起こり得るので、早く方針を決めるべき。

○ e-Japan計画で、ITの大学院生を増やそうとしても、教員のポストが、すぐに増える訳ではないため、進まないということがあった。また、博士号取得者がいても、企業ではなかなかとってもらえない。高級人材の育成の方法や、育成後についても考えていくべき。

○ 博士課程を終え、大学に残れる人材の数は限られているため、最先端の研究を行わないで、社会に出て行く人材のための出口を確保すべき。

○ 自らテーマを見つけ、自ら考える力を小さいときから身につけさせなければならない。「総合的な学習」はその一環であるが、それを軽視するような動きがあるのは憂慮すべき状況。

○ 科学技術創造立国のためには、世界的に通用する人材を育成するだけではなく、国民一般、特に小さい頃に科学技術に興味を持たせ、裾野を広げる必要がある。

科学技術と社会の関わり

○ 科学技術と社会に関して、ほとんど科学技術を前提に考えており、科学技術と社会が別にあるような感じがある。科学技術のように予見可能性の小さいものについては、科学技術そのものが社会の中にもたらす危険性を考えながら、進めていく必要がある。

その他

○ 重要なプロジェクトを遂行する場合の研究システムはで今のままでいいのか。大学や公的研究機関に、プロジェクトをポンと持っていって実現できるのか。新たな課題の解決をやっていけるのか心配。

○ グローバルにみて大型プロジェクトは、世界的な棲み分けが重要。日本がやるべきものについて、絞った方が良い。この点については、国際的な協力についても考えていくべき。

※ 以上は事務局において作成したものであり、委員の確認を取ったものではない。

お問合せ先

科学技術・学術政策局計画官付

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(科学技術・学術政策局計画官付)