資料1 科学技術・学術審議会総会(第14回)(平成17年1月19日)における意見の概要(基本計画特別委員会における検討状況報告に対する意見)

科学技術・学術審議会
平成17年1月31日

科学技術の戦略的重点化

○ 重点分野について、4分野に限定して掲げることの是非がある。4分野への投資は年々増えているが、重要と考えられる「国の存立の基盤となる分野」(原子力、宇宙、海洋、地震)の予算は増えていない。こうした状況が果たしていいのかどうか。5年間の計画にフレキシビリティを持たせ過ぎても良くないが、第3期基本計画では良く工夫しないと、重要な研究開発に投資されない懸念がある。

○ 近年、国の事業の民営化が叫ばれる中で、いわゆる大型の国家プロジェクトを推進しにくい風潮があるが、国が絶対取り組まねばならないプロジェクトについては、文科省として是非自信を持ってアピールし、積極的に進めて欲しい。

○ 知や技術のintegration(統合)が重要。今回の津波対策でも、科学と工学の統合によるプロジェクトが必要であり、司令塔をつくり、責任省庁を明確化して、強化すべき。第2期基本計画は産業界からみて学術に重点が置かれた感じがする。

科学技術関係人材の養成・確保

○ 産業人として大学人に望むことは、将来いつかは社会の役に立つんだという強いマインド・意欲を持って研究してもらうこと。ポスドクは、やりたいこと以外やりたくないという考えの甘い人が多く疑問。企業に出れば、何でもやってやろうという意欲のある人が必ず伸びる。何より、マインド・意欲が大事。

○ 次代を担う人材の裾野の拡大について、学級崩壊が進む今の学校は、子どもが本来の力や集中力を発揮できない環境にある。理科好きの子どもの裾野を広げるには、集中して学べる環境づくりが大事。

知の創造と活用の好循環によるイノベーションの創出

○ イノベーションの創出について、科学技術の多様性の確保が重要との視点に同意。競争的資金では拾えないものにも配慮し、バランスを持って、経済産業省等との政策的な協調を通じて、出口へ向かうよう努力して欲しい。支援を臨機応変に行えるような柔軟な制度設計も必要。

○ イノベーションの創出について、出口の部分では科学技術政策と他の政策との協調努力が必要。研究開発へのインプットだけでなく日本の総合力・プレゼンスを示すための方策の必要性について、第3期基本計画に是非盛り込んで欲しい。

○ 産学官連携については、そろそろ問題点が見えてきているので、しっかりと議論し、具体的解決につなげて欲しい。

○ 第2期基本計画策定の頃と比べ、今の方が産業界の位置付けが難しい。第2期基本計画の策定時は不況下で苦しむ企業をひたすら支えねばという雰囲気があったが、今の企業はリストラを終え業績復帰を遂げつつある。今後は、産業界もビジョンを持ち、政策上コミットするような仕組みがあるとよく、産業界から本音を聞き出しそれを生かす努力をして欲しい。

地域における科学技術振興

○ 地域における科学技術振興策について積極的な記述がある点は、(地域の大学の学長として)非常にありがたい。

科学技術と社会の関わり

○ 研究者によるアウトリーチ活動は重要であり、研究予算の一部を義務的に割り当てることも一案。研究者自身が発信する努力をしないと、科学技術の倫理的・法的・社会的課題(ELSI)など、専門的な内容に係る真の問題点が明らかにならない。

○ ELSIへの対応については、研究開発の予算をつけてから議論を始めるのでなく、プロジェクトを立ち上げる時点から議論することが必要。

知識基盤社会の時代における大学の改革

○ 大学に対する基盤的経費助成と競争的資源配分の有効な組み合わせ(デュアル・サポート)の必要性について、しっかり盛り込んでほしい。大学において、不安定な競争的資金だけではまかなえないような必要経費を支えるための、恒常的・安定的な財政基盤はどうしても必要。又、大学に限らず、一定の要素についても、安定的な財政基盤の確保が必要なものがある。

その他

○ これまでの評価と反省を踏まえて良く検討して欲しい。ここ5年間で研究環境は大きく変わった。この中で、良かった点、また、問題点についてはその障害を明確にし、解決のための方法論を立てるべき。

○ 計画案の全体像を描く際、2期基本計画の策定時には、経団連や日本学術会議を始めとする様々な立場の有識者たちが集って議論した。しかし、今回は前回のようなオール・ジャパンの体制が不在で、各省の動きがバラバラな印象。是非文科省から内閣府に注文をつけるなりして、各省庁のすり合わせや産学官の意見のとりまとめの推進を図って欲しい。

※以上は事務局において作成したものであり、委員の確認を取ったものではない。

お問合せ先

科学技術・学術政策局計画官付

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(科学技術・学術政策局計画官付)