資料4 基本計画特別委員会(第1回、第2回)における意見の概要

科学技術・学術審議会
基本計画特別委員会(第3回)
平成16年11月4日

全般

科学技術基本計画の評価

○ 第1期、第2期科学技術基本計画が策定され、数年前や10年前と比べ、我が国の科学技術の国際的プレステージは格段に上がり、確実に効果があった。
○ もし科学技術基本計画がなかったらどうなっていたかと思うとぞっとするほどの成果が認められる。
○ 科学技術基本計画の成果については感謝することが多い。また、理念について特に大きな異論はない。

政府研究開発投資

○ 日本の科学技術予算は増えているが、現場では実感がわかない。「科学技術創造立国」を標榜するのであれば、予算の絶対額が少ない。
○ 科学技術関係予算を闇雲に増やしたからといって、効果が上がるものではなく、質が大事である。
○ 経済学の立場から述べると、24兆円という大規模な予算について、次の計画ではどのようなプレゼンテーションで国民に支持を得ていくかが最終的に大きな論点になる。
○ 研究開発投資の効率性は必ず問われる。競争性の確保は避けて通れない。単に競争イコール競争的資金ということではなく、基礎的・基盤的な研究であってもビックプロジェクトであっても、複数の道筋で競争しているべきであり、どこかが独占することは避けるべき。
○ 科学技術の推進方策の多様性は確保すべき。多額の資金を予見不可能な世界に投入することを考えると、戦略的重点化の一本調子ではなく、様々な形で柔軟な取組みができる仕組みを作ることが重要。
○ 日本は「科学技術創造立国」を標榜していることから言えば、5年間で24兆円という額は決して大きすぎる額ではない。役に立たない特殊法人への垂れ流しや社会的にほとんど役に立たないような田舎の公共事業の投資に比べれば夢があり、意味のある投資。但し効率性について説明責任は伴うので、これには日本型の評価体制を確立して応えていくべき。

第3期科学技術基本計画に向けた期待や課題

○ 科学技術が高度化、細分化していることが諸問題の裏にある根源的な原因である。経済や社会と科学技術を結びつけるためにも、知識の構造化による統合化の科学技術が必要。
○ 我が国の高齢化のスピードに負けないよう、第2期基本計画に掲げる3番目の理念である、安心・安全で質の高い生活のできる国を実現すべく、科学技術の振興が図られるよう期待する。
○ 第2期基本計画の概要を見ると、食糧とエネルギーという言葉がない。国の基本にかかわるものであり、今後議論をしてもよいのではないか。
○ 今後は安全・安心で質の高い社会構築のための科学技術の進展や、学問間の融合をも重視していくべき。
○ 第2期科学技術基本計画はシステムというハード作りの点では日本を大きく変えており、感謝している。ただし、大学の研究費の弾力化を含めて、ソフト面ではまだ不十分ではないか。
○ 第3期科学技術基本計画の中心を担う世代からの観点で言うと、自信と不安がある。我々の世代はアメリカと同じ予算をもらえれば、アメリカ以上にやる自信がある。一方で、アジア諸国、特に中国の台頭が著しく、中国や韓国の研究者の活躍を見ると、日本は国際化で遅れ始めたのではとの足元の不安がある。また、科学技術の成果に対して、国民や社会の我慢がなくなって期待感が強すぎ、かなり急がされているといった不安もある。

検討の視点

○ 科学技術基本計画は、国、経済、国民にとって大事であり大きな影響力がある。今後の科学技術の方向性だけでなく、科学技術が社会や経済発展、ビジネスモデルにどのように影響を及ぼしうるのか検討が必要。
○ 科学技術については、物質主義に偏らず、学術・文化の発展を促す観点も必要。短期的な視点が取られがちだが、学術基盤の形成には息の長い取組みが必要。産業界と学術界の連携は、両者の立場を尊重した上で進められるべき。
○ 科学技術によって物的利便性が高まることに限らず、精神的な文化の補完性を必ず視野に入れて議論すべき。精神的な豊かさや基本的な物事への関心といった面で感性豊かな子供たちの教育をすることから国民の自信や関心が育ち、文化として熟して、科学技術の発展につながると言う視点が重要。
○ 第2期科学技術基本計画で言う「科学技術政策の総合性と戦略性」の総合性がどう果たされ、今後どういう方向なのか。人文・社会科学を含めた総合性を本質に戻って考える必要がある。
○ たびたびモデルとされるアメリカには科学技術基本計画が存在しないことを認識すべき。フレキシビリティに欠けるからといわれている。また、我が国の5年が単位の基本計画は政策の柔軟性に欠ける場合もあることを配慮すべし。
○ 文部科学省としての視点をしっかりと打ち出すべき。
○ 科学技術と産業技術が混在している中で、文部科学省と経済産業省の役割を明確にすべき。基礎研究を含め科学技術の定義があいまいになっている。これを踏まえて文部科学省の科学技術政策を考えるべき。
○ 科学技術基本計画の成果の評価において、産業側とアカデミア側に乖離があり、その内容を議論すべき。基礎研究の推進は産業界としても間違いなくサポートすると思うが、国力に結びつかないところに産業界の苛立ちがある。乖離の埋め方として、科学の振興と技術の振興とを入口論で分けて考えることを提案したい。
○ 海外で行っているから日本もという海外追随型の意識からは脱却すべき。伝統的な知恵や技術など日本独自のものを伸ばす視点が大切ではないか。また、ものづくりというと、工業だけではなく農業もあることに留意すべき。
○ 科学技術のインフラとプログレスに分けて考えるべき。科学技術のインフラとは、基礎研究への重点配分、安全保障や産業基盤と密接に結びつく宇宙・エネルギー分野への持続的な重点投資、科学技術人材の確保、大学の大胆な改革、社会のおける科学技術の認識の拡大等である。科学技術のプログレスとしては、イノベーションや先端研究への重点投資が挙げられる。科学技術のインフラが何であるかを明確に持つことにより、日本の将来の国の形がはっきりしてくる。
○ 予算措置だけではなく、レジティマシーを個々の行動に与えることも、国の重要な仕事。例えば、独創的な試行を単独の者が行うのは勇気がいること。国の役割として、そのような取組みを後ろから励ますことも重要。
○ 科学技術基本計画は、第一に、日本国民の多くが納得する国益(経済利益だけでなく文化をも含めたもの)の確保を打ち出すべき。また、日本社会の内部構造を考えるとともに、国際社会における日本の座標を位置付けることが必要。
○ 我々の孫・ひ孫の世代のための科学技術を創るべき。6、7年後の成果だけを求めるのでなく、20~30年後の社会のため、初めの5年間で何をするかという視点であるべき。

時代認識

○ 現在は時代が急変革しており、第3次産業革命の真只中にいるという時代認識が重要。必要経済が行きわたり、今後は消費者の感性や嗜好が重要視される。政府は、社会や生活が変わるような新しい需要を作るフロントランナーとして、技術革新を先導すべき。フロントランナーとは、研究現場にとっては創造性を発揮したテーマへの取組みであり、知識依存の時代の到来であり、知的財産の重視であり、国際競争の激化を意味する。また、技術革新が短期化しすぐに競争者にキャッチアップされてしまう時代である。
○ 時代認識における「成長から成熟へ」について、「成熟」という言葉はややわかりにくいため、定義づけしていく必要がある。科学技術の「成熟」とは、文化、芸術、あるいは精神的なものが加わった科学技術の進展ということであろうかと思う。また、「成熟」とは豊かではないが満たされていることを指すと思うが、日本は資源がなく科学技術でやっていくこととの整合性はどうなるのか。

科学技術基本計画の在り方

○ マニフェストのような到達点がはっきりした計画ができれば、諸課題に対する不安も払拭されるのではないか。
○ 基本計画のスパンの捉え方について、科学技術には非常に進展が早いものも、非常に長期のものもある。例えば10年スパンで計画を持っておいて、3年ごとに見直してはどうか。

その他

○ アメリカのアカデミーは科学技術の振興に大きな役割を担っている。日本学術会議も改革中であり、見守り支援してほしい。ただし、アメリカのアカデミーには事務職以外の専門官が1100人おり、日本よりも体制がしっかりしている。それがない状態では理想を追い求めることができないという現状は認識して欲しい。
○ 薬学部6年制と同様に、理工系学部も6年制がよいのではないか。

科学技術の戦略的重点化

基礎研究

○ 基礎研究について、今後の持続的な国家経営戦略を考える時に、長期的な観点からロバストな、新しい芽を出せるような基盤的な投資や、多様性に富んだ長期的な視点が欠かせない。競争的資金と基盤的経費の適正比率をどこかで議論しないと、競争性ばかりを強調する結果、基盤的な投資がおろそかになってしまう。
○ 基礎研究については、資金を投じやすい分野だけでなく、長期的な視点に立って基盤的研究の継続性が重要。
○ 科学について、「何の役に立つのか」という疑問を持つ人が一般に見受けられ、科学の本質が理解されていない現実を示している。科学は全て経済効果に結びつくものと思われる傾向が増してきていることは危惧すべき。知識が増えたことの幸せ、喜びなしに、ものづくりで物が充足しても意味がない。
○ 基礎研究は非常に広い。予算規模、研究形態、タイムスパンのそれぞれにおいて多様であり、多様性を踏まえた上での評価の在り方を考えるべき。
○ 基礎研究が重要として、基礎研究の中でも重要なものを重視するとの流れになっているが、重要性を必要な資金の多寡で判断することはやめていくべき。人文・社会科学を含め無理に多額の研究計画を作るようになってしまった感がある。
○ 第2期基本計画の基礎研究の推進プラス重点4分野という全体の構図は妥当。ただし、基礎研究の中には、真理探究型の学術的な基礎研究と社会ニーズや産業化を踏まえてそこからさかのぼってスタートする基礎研究の2種類があり、きちんと区分けする必要がある。経済原則を基にした評価からは前者の基礎研究は確保されないし、後者の基礎研究は経済原則を全く無視しては成り立たない。

重点分野等

○ 第2期基本計画の重点分野としての4分野の選定に対しては、当時の委員の中からも反対があった。重点4分野についての見方には色々あり、第3期基本計画の策定には間に合わないとは思うが、成果のレビューをすべき。
○ 重点分野については、4分野で良かったか今後も検討が必要だが、大きな進展があった。
○ 技術の振興については2つあり、重点分野のシーズをニーズにマッチングしていく方法と、社会のニーズベースで目的指向型のプロジェクトを進める方法がある。これらを平行して技術振興の具体化を進めていくべき。
○ 日本独自の技術・アイディアを発掘して、何十年後かに役立つような技術に育てるのは、国にしかできないこと。将来産業の基幹となる基礎技術をサポートすることが大切。
○ 重点分野の陰に隠されてしまったものは何か。今は光が当たらない部分として、学際分野の多様性の担保が重要。科学技術の予測は不可能であるところ、新しい分野の進展にフレキシブルに予算的にも対応できることが重要。

科学技術関係人材の養成・確保

女性研究者など多様な人材の活躍

○ 人材育成は大きなポイントだが、特に、女性の科学技術への参画が極めて低い。女性の活用を進めていくためにも、小さい時から科学技術に対する興味を引き出すべき。
○ 女性の活用については是非検討すべき。
○ 男女共同参画を本質的に進めるべき。適切に理解を得た上でポジティブ・アクションを進める施策や環境作りが必要。
○ 女性研究者や外国人研究者について、いろいろなところで「活用」という言葉で語られているが、市民としての「イコールパートナー」との基本的スタンスが必要。

若手研究者の養成・確保、ポストドクター

○ 産業界は、世界に通用する人材をやはり日本から採用していかねばならないが、今後の我が国の人材育成は、大学だけでなく、産業界と大学のコラボレーションが重要。大学には新しい技術領域にチャレンジして欲しい。世界的な研究拠点ができれば、産業界も含めた人的ネットワークが広がり、人材の育成に資するとの相乗効果がある。特にドクターについては、日本と世界との人材の差はまだ大きい。
○ 大学院生への支援やポスドクの将来のキャリアの確保に努力する必要があり、国としても資源投入が必要。
○ 人材については、第2期科学技術基本計画は非常に良くできているため、大きく変える必要はない。ただし、ポスドクについて日本学術振興会のポスドクは恵まれているポスドクであり、恵まれないようなポスドクもいる。また、大学発ベンチャー1000社計画によりベンチャーが設立されているが、成功するベンチャーは5%程度であり、今後多くが路頭に迷うことが考えられる。そのような人をどうするかが問題。
○ 科学技術は人材で決まるといっても過言ではない。ポスドクが民間の研究開発に入っていない点は、高度な研究人材が活用されていないということであり、大きな問題。解決の仕組みについて、アカデミアと産業界が共に考えるべき。
○ 科学技術人材について民間を含めた多様なキャリアパスを開くべき。
○ これまで若手が独立して研究できる環境整備を目指すなど研究の項目はあったが、大学院での教育の視点が抜けている。助手が減ってしまっている現状の中、ドクターの教育には時間と手間がかかる。また、プロフェッショナルに科学的なものの見方をする教育に欠けているポスドクが増えていると聞く。ポスドクの数は増えているが質が低い。民間への採用が低いこととも無関係ではない。これらの問題は大学院での教育体制にあるのではないか。
○ 人材の活用は若手や女性が重要。若手に研究資金は入ってきているが、スタッフやスペースが十分にない。若手でも自分で研究チームを組めるような自由度が必要。

初等中等教育段階からの人材養成

○ OECDの調査によれば、日本の大人の科学技術に対するリテラシー、興味、関心は世界で最低となっている。子供の理科離れや算数の学力の低下は、このような大人の科学技術への関心の低さが引き起こしているのではないか。その点に視点を当てた政策を検討すべき。
○ 人材について、人口が減少してきていることに危機感を感じている。大学に入る段階で理科系を選ぶかどうかが一つの分かれ目であるが、高校では物理、化学が必修ではない。例えば、そのような点から見直すことも考えられるのでは。
○ 人材育成は非常に重要。小学校から進むごとに科学技術への興味を失うとの指摘があり、好奇心を失わないような配慮が必要。

科学技術関係人材に係る環境整備

○ 研究者の市場をこれから形成していくことが課題。研究者の市場は透明性、競争性が確保されたものであるべきであり、多様性を持ったキャリアパスを提供できる環境が必要。
○ 人材の確保について、科学技術に従事して成果をあげた人が報われる仕組みが必要。インセンティブがないと新しい優れた人材は入ってこないし、入ってきても伸びていかない。また、流動性確保に対する障害を取り除くべき。

新興分野・融合分野における人材養成

○ 融合分野の研究やプロジェクトに、従来の学問体系の専門家をそれぞれ持ってきて配置しても根を下ろす形での深耕は難しい。分野として人材を養成していくことが必要であり、従って、大学が関わっていくべき。
○ 研究が進めば進むほど知識が細分化するが、複合領域や学際領域といった新しい分野を創生していくためには、他分野への関心や寛容性が必要となる。そのような知識の基礎的な部分を大学の学部段階で育成できていない。アメリカは、高度化した科学技術を推進しながらも、学部段階で知識の基礎的な部分を教えている。知識の連携や、学部教育での理系と人文社会系の連携をどう確保していくかが問題。

創造的で質の高い研究開発システムの構築

大学改革

○ 国立大学が法人化し、高等教育政策の原則が事前審査から自由裁量、事後評価へと移行したが、労働基準法では10年の任期制ができなくなるなど、まだ自由裁量の意味がはっきりしていない。大学の自由裁量を実効性あるものとするためには法制度を含めた支援が必要。
○ 人材育成の強化には幅広い次世代育成が必要だが、OECDの調査では高等教育に対する公財政投資は依然として、かなり低い状況にある。これが厳しいまま大学改革を進めると将来に禍根を残す。教育への公財政投資を増やす中で新しい改革を考えていくべき。
○ 大学への科学技術関係の助成について、文部科学省と経済産業省の重複はないか。効率性のある助成を行うべき。
○ 慶應義塾大学塾長が「今、大学を活性化する上で重要なことは、産業界とも議論しながら、10年後を目指して、大学としてどういう技術領域を目指すかである」と発言されていたが、私も賛同。人材の流れや教育面の改善にもつながる。

競争的資金

○ 競争的研究資金により研究に従事する人材が、その研究をこなすことだけで手が一杯になり、他の業務の遂行や人材育成の観点が損なわれている。
○ 競争的資金は、ぬるま湯的な部分を排すため、まだまだ拡充が必要。スペースやスタッフの問題も含めた競争的資金を考えるべき。

研究支援体制

○ 研究費が増えても、大学の事務サポートの体制が不足しており、諸外国と比べて歴然とした差がある。研究者の事務の雑用が増え、思考する時間が少なくなってしまっている。多額の予算を投じて研究を推進するのであれば、サポート体制も考えなおす必要がある。

イノベーションの好循環(知の創造と活用の好循環)の形成

知の創造と活用のつながり

○ 知の創造については成果が見られるが、知の活用や社会還元についてはまだ不十分。10年スパンで考えると、基礎研究が技術の種を作り、大きな技術力になっていくサイクルを掘り下げて考える必要がある。大学も法人化し、企業の守備範囲も大きく変わってきており、新しい日本型の研究開発体制の構築が必要な時。
○ 第2期基本計画の3つの目指すべき国の姿はよいとしても、これらが適切に循環するような資源投入やシステムになっているかが問題。いかにして大学、産業界が互いにオーバーラップしながら循環をつなげていくかが必要ではないか。
○ 大学における基礎研究の成果に対し、たいていまず海外の企業からのアプローチがある。国内で知の活用・還元が基盤の段階からできないことは残念。解決策として、研究の初期段階から企業と大学が本当に連携することが必要。
○ 知の創造から知の活用、さらには社会の理解へのつながりにおいて、知の創造については、相当大きな成果が出ているが、一般の人に対して最終的にインパクトや感動を与えるものはまだ非常に少ない。このような一連のつながりについて、ベンチャーの役割も含めて考えるべき。仕組みや精神風土の違いもあろうが、アメリカは強い。

その他

○ 国として民間のイノベーションに刺激を与えることに重点を置くべき。大学とベンチャーを含めて産学連携を進め、いかに民間の自力的なサイクルを動かすかとの視点から施策が必要。
○ 大学の教授を含め、トップレベルの産学官の人材交流が必要ではないか。単に交流の場をもつことだけではなく、人材が入れ替わるようなプログラムによって、根本で分かり合えるようなシステムが必要。
○ 知的財産について、大学と企業の間で文化の違いがあり、特許の不実施補償が問題となっている。これは研究者にとっては信頼関係を失う懸念材料である。「知」を尊重する環境作りが必要。

地域における科学技術振興

○ ナショナル・イノベーション・システムとの観点とともに、地域ではリージョナル・イノベーション・システムとの概念が存在する。地域の自立や独自性をもった地域科学技術振興について、国との補完性をどのように担保していくかが課題。
○ 地域における科学技術振興や知的クラスターの形成は大事なポイント。地域の産業を振興するために地元の大学の教育の特徴を出すということがあろうが、その際の人材育成の問題は、日本全体の観点とは異なっているのではないか。人材育成まで含めた経済構造の中で、地域について議論を深める必要。

科学技術活動の国際展開

○ 国際化の推進について、第2期基本計画期間中で実行に移されなかったものが多い。かろうじて平成17年度の概算要求で大学の国際化の推進支援が要求されている。一番大事な情報発信について、日本発の論文誌、学術誌を作ることは何の施策も展開されていないと思われる。
○ 新しい研究人材の確保のためのベースや国際性の観点からも、アジア諸国からトップクラスの研究者やその卵を招いたり、養成したりすることを考えるべき。国内においては研究設備等が充実したために、若者が国内にとどまってしまい、厳しい国際競争に身をおかない傾向がある点も問題。
○ ポスドクは大きな問題。アメリカでもポスドクがその分野で就職できる割合は50%との話もある。アメリカでは外国人が多く、自国に帰ることが一つの解決策になっていると考えられる。今後東南アジアからのポスドクをどう考えるかなど、アジアに対する戦略に特に力を入れるべき。

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