3.科学技術関係人材の養成・確保 若手研究者の養成・確保

意見の例

  1. アメリカで博士号をとりましたが、日本の大学院教育に関するお粗末さは今も昔も変わらないように思います。やる気のない教授の問題はもちろんですが、それをサポートするティーチングアシスタントの給料が安すぎる。アメリカのTAは授業もやるし実習もやる。かわりに月12万円プラス授業料免除になる。(大学助手)
  2. 人材育成のインセンティブを高めるべく、優れた教育者個人を表賞したり、あるいは研究費を提供したりする制度を設けていただきたい。残念ながら、日本では大学院生やポストドクターなどの若手研究者を研究の労働力としてみなす傾向があり、教育がおろそかになっている印象がある。(32歳、男、医師、兵庫県)
  3. 日本学術振興会の特別研究員制度は採用人数が博士課程在学者のほんの数%であり、博士課程進学への動機付けにはなっていない。また旧日本育英会の奨学金については返還の特別免除制度が廃止され、利息付奨学金に象徴されるように、教育ローンを提供しているにすぎない。30歳近くまで勉学に励んで科学技術の進歩に貢献し、就職の不安と莫大な借金を抱え込むのでは全く割に合わない。以前留学していたオランダでは、学費は無料で、大学生は学部では給費奨学金を受け、博士課程では最低限の生活が出来る給与を受け取る。この点で、日本は全くの後進国である。(大学教授、北海道)
  4. ドイツでは博士課程を修了して企業に就職するのはごく普通である。企業で研究職を得る、また、待遇のよい職につくのは博士号は必須のようで、博士をとるという努力が評価される社会であると思う。研究だけではなく、バイオ企業の営業やカスタマーサポートなどにも、博士号保持者はよく目にする。研究だけでなく英語やプレゼンテーション技術までトレーニングされた人々が、その能力を生かして科学研究の底上げをしている印象がある。ひるがえって日本での経験を思いだしてみると、一生懸命研究室で成果を挙げて博士号をとるより、修士課程修了後、また、博士課程の途中で中退して就職した方が、職も見つけやすく、その後の待遇も博士卒とほとんど変わらない。(38歳、女、ポストドクター、ドイツ)
  5. ポスドクのキャリアの多様性を認識することが重要です。
    総体的には
    ・ 研究職だけがポスドクのキャリアパスではないこと
    ・ ポスドクのさらなる自己研鑽も必要であること
    の二つの認識を社会全体で共有することが重要です。
    例えば、「科学技術のわかる弁護士を目指して法科大学院に通う」「ベンチャーキャピタリストを目指してMBAをとる」「科学のインタープリタを目指す」などの人材として、ポスドクの資質を有効に活かすことは、ポスドク問題解決の糸口となるばかりでなく、社会システムの活性化、健全化にも寄与します。(41歳、男、大学助教授、東京都)
  6. 極言すれば、国威発揚のため科学をすすめるのではなく、アテネオリンピックで男子体操選手がいみじくも発言したように「個々人の成果に国の威信がかかっているわけではない」という考えが、科学においても重要である。ポスドクポジションを出身グループ外で過ごす、武者修行制度や研究者の流動性向上などが必要。(35歳、男、独立行政法人研究員)

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